特許第5651285号(P5651285)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5651285抗CD19抗体および腫瘍学における使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5651285
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】抗CD19抗体および腫瘍学における使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20141211BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20141211BHJP
【FI】
   A61K39/395 UZNA
   A61P35/02
【請求項の数】29
【全頁数】131
(21)【出願番号】特願2007-555383(P2007-555383)
(86)(22)【出願日】2006年2月15日
(65)【公表番号】特表2008-530142(P2008-530142A)
(43)【公表日】2008年8月7日
(86)【国際出願番号】US2006005676
(87)【国際公開番号】WO2006089133
(87)【国際公開日】20060824
【審査請求日】2009年2月9日
【審判番号】不服2012-18918(P2012-18918/J1)
【審判請求日】2012年9月27日
(31)【優先権主張番号】60/653,587
(32)【優先日】2005年2月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/702,063
(32)【優先日】2005年7月22日
(33)【優先権主張国】US
【微生物の受託番号】ATCC  PTA-6581
(73)【特許権者】
【識別番号】502363490
【氏名又は名称】デューク ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100171505
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 由美
(72)【発明者】
【氏名】テッダー, トーマス エフ.
(72)【発明者】
【氏名】濱口 儒人
(72)【発明者】
【氏名】グロン, ハンネ
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 徳仁
【合議体】
【審判長】 田村 明照
【審判官】 大宅 郁治
【審判官】 川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/000901(WO,A2)
【文献】 特表2004−502742(JP,A)
【文献】 特表2003−535907(JP,A)
【文献】 特表2003−535908(JP,A)
【文献】 特表2003−531178(JP,A)
【文献】 特表2003−501401(JP,A)
【文献】 特表2002−544173(JP,A)
【文献】 特開2001−58956(JP,A)
【文献】 Mol.Immunol,1997年,Vol.34,pp.1157−65.
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K39/00-44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)IgG1ヒトアイソタイプまたはIgG3ヒトアイソタイプであるか、または(b)ヒトの抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を媒介する、モノクローナルヒトまたはヒト化抗CD19抗体を含む、ヒト患者におけるB細胞の悪性疾患の治療用組成物であって、該抗体が、
配列番号2で示される配列のアミノ酸33〜37、51〜68および101〜115に対して少なくとも90%の同一性を有する配列と、
配列番号16で示される配列のアミノ酸43〜58、74〜80および113〜121に対して少なくとも85%の同一性を有する配列とを含むか、または
配列番号4で示される配列のアミノ酸33〜37、51〜68および101〜114に対して少なくとも90%の同一性を有する配列と、
配列番号18で示される配列のアミノ酸44〜58、74〜80および113〜121に対して少なくとも85%の同一性を有する配列とを含む、
上記組成物
【請求項2】
前記抗体が配列番号2または配列番号4で示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列からなる重鎖を含む、請求項1に記載の組成物
【請求項3】
前記抗体が配列番号16または配列番号18で示される配列に対して少なくとも95%の同一性を有する配列からなる軽鎖を含む、請求項1または2に記載の組成物
【請求項4】
前記抗体が循環するB細胞を枯渇させることができる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物
【請求項5】
前記抗体が骨髄のB細胞を枯渇させることができる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物
【請求項6】
B細胞の悪性疾患が、急性リンパ芽球性白血病、マントル細胞リンパ腫、プレB細胞性急性リンパ性白血病、または前駆B細胞リンパ芽球性リンパ腫である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物
【請求項7】
ADCCを媒介する前記抗CD19抗体が、IgG1ヒトアイソタイプ、IgG2ヒトアイソタイプ、IgG3ヒトアイソタイプ、またはIgG4ヒトアイソタイプの抗体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物
【請求項8】
前記B細胞の悪性疾患は、前記組成物の投与前に処置される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物
【請求項9】
前記B細胞の悪性疾患は、前記組成物の投与後に、抗CD19抗体治療以外の治療によって処置される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物
【請求項10】
前記悪性疾患に対する処置は、化学療法、放射免疫治療、毒素治療、プロドラッグ活性化酵素による治療、抗体治療、単球もしくはマクロファージを増強する治療、免疫調節療法、腫瘍新生血管傷害(スタチン)療法、カリチェアミシン治療、外科的治療、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項8または9に記載の組成物
【請求項11】
トの抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を媒介するモノクローナル抗CD19抗体を含む、(a)ヒト患者においてB細胞の悪性疾患から生じる初期の疾患の処置用、または(b)ヒト患者におけるB細胞の悪性疾患の処置用組成物であって、該ヒト患者が、該悪性疾患に対する処置を以前に受けておらず、B細胞の悪性疾患がCD19陽性であるか、または該ヒトが少なくとも1/dlの単球カウントを有し、該処置のためのレジメンによって循環するB細胞が枯渇し、かつ該抗体が、
配列番号2で示される配列のアミノ酸33〜37に対して少なくとも90%の同一性を有する配列、アミノ酸51〜68に対して少なくとも90%の同一性を有する配列、およびアミノ酸101〜115に対して少なくとも90%の同一性を有する配列と、
配列番号16で示される配列のアミノ酸43〜58に対して少なくとも85%の同一性を有する配列、アミノ酸74〜80に対して少なくとも85%の同一性を有する配列、およびアミノ酸113〜121に対して少なくとも85%の同一性を有する配列とを含むか、または、
配列番号4で示される配列のアミノ酸33〜37に対して少なくとも90%の同一性を有する配列、アミノ酸51〜68に対して少なくとも90%の同一性を有する配列、およびアミノ酸101〜114に対して少なくとも90%の同一性を有する配列と、
配列番号18で示される配列のアミノ酸44〜58に対して少なくとも85%の同一性を有する配列、アミノ酸74〜80に対して少なくとも85%の同一性を有する配列、およびアミノ酸113〜121に対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含むものである、
上記組成物
【請求項12】
前記抗体が配列番号2または配列番号4で示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列からなる重鎖を含む、請求項11に記載の組成物
【請求項13】
前記抗体が配列番号16または配列番号18で示される配列に対して少なくとも95%の同一性を有する配列からなる軽鎖を含む、請求項11または12に記載の組成物
【請求項14】
抗CD19抗体治療以外の治療が次に前記ヒト患者に適用される、請求項11〜13のいずれか1項に記載の組成物
【請求項15】
前記治療は、化学療法、放射線治療、毒素ベースの治療、放射化学ベースの治療または外科的治療である、請求項14に記載の組成物
【請求項16】
前記レジメンは、単一の治療剤としての、別の治療剤と組み合わせた、または毒性の副作用を減少させる薬剤と組み合わせた前記抗体の投与を含む、請求項11〜15のいずれか1項に記載の組成物
【請求項17】
前記レジメンは、前記抗体の反復適用を含む、請求項11〜16のいずれか1項に記載の組成物
【請求項18】
前記抗CD19抗体は、少なくとも4日間〜7日間である半減期を有する、請求項11〜16のいずれか1項に記載の組成物
【請求項19】
前記抗CD19抗体が、ヒトIgG1アイソタイプ抗体、ヒトIgG3アイソタイプ抗体、ヒトIgG2アイソタイプ抗体、またはヒトIgG4アイソタイプ抗体である、請求項11〜18のいずれか1項に記載の組成物
【請求項20】
前記抗CD19抗体が、ヒト抗体またはヒト化抗体である、請求項11〜19のいずれか1項に記載の組成物
【請求項21】
前記B細胞の悪性疾患は、軽度悪性群/濾胞性非ホジキンリンパ腫、小リンパ球性(SL)非ホジキンリンパ腫、中等度悪性群/濾胞性非ホジキンリンパ腫、中等度悪性群のびまん性非ホジキンリンパ腫、高度悪性群の免疫芽球性非ホジキンリンパ腫、高度悪性群のリンパ芽球性非ホジキンリンパ腫、高度悪性群の小さい大細胞の非ホジキンリンパ腫および大きな病変の非ホジキンリンパ腫を含むB細胞サブタイプの非ホジキンリンパ腫(NHL);バーキットリンパ腫;多発性骨髄腫;前B細胞性急性リンパ性白血病および早期B細胞前駆体に由来する他の悪性疾患;一般的な急性リンパ性白血病;慢性リンパ性白血病;ヘアリーセル白血病;ヌル急性リンパ芽球性白血病;ヴァルデンストレームマクログロブリン血症;ならびに前リンパ性白血病;L鎖病;形質細胞腫;骨硬化性骨髄腫;形質細胞性白血病;意味未確定の単クローン性高ガンマグロブリン血症(MGUS);くすぶり型多発性骨髄腫(SMM);無症候性多発性骨髄腫(IMM);またはホジキンリンパ腫である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の組成物
【請求項22】
前記レジメンは、単球の機能またはマクロファージの機能を増強する化合物を投与する工程をさらに含む、請求項11〜21のいずれか1項に記載の組成物
【請求項23】
前記ヒトは、免疫無防備状態である、請求項14に記載の組成物
【請求項24】
経口経路、腹腔内経路、または筋肉内経路によって投与される、請求項1〜21のいずれか1項に記載の組成物
【請求項25】
脈内経路または皮下経路によって投与される、請求項1〜21のいずれか1項に記載の組成物
【請求項26】
前記抗CD19抗体は、37.5mg/m以下の用量で皮下経路によって投与される、請求項25に記載の組成物
【請求項27】
前記抗CD19抗体は、1.5mg/m以下の用量で投与される、請求項26に記載の組成物
【請求項28】
前記レジメンは、前記ヒトに対する前記抗CD19抗体の1回より多い投与を含む、請求項11〜27のいずれか1項に記載の組成物
【請求項29】
前記レジメンは、抗CD20抗体、抗CD22抗体、抗CD52抗体、またはそれらの任意の組み合わせを投与する工程をさらに含む、請求項11〜28のいずれか1項に記載の組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一部、National Cancer Institute of the National Institutes of Healthによって授与された助成金番号CA81776、CAl 05001、およびCA96547、ならびにNational Institute of Allergy and Infectious Disease of the National Institutes of Healthによって授与された助成金番号AI56363のに基づく政府支援によってなされた。米国政府は、本発明において特定の権利を有する。
【0002】
本願は、米国特許法第119条(e)項の下で、米国仮特許出願第60/653,587号(2005年2月15日出願)および米国仮特許出願第60/702,063号(2005年7月22日出願)(それらの各々は、その全体が参考として援用される)に基づく優先権を主張する。
【0003】
(1.導入)
本発明は、ヒト被験体におけるB細胞の障害または疾患(B細胞の悪性疾患を含む)の、ヒトCD19抗原に結合する治療用抗体を使用した処置のための方法に関する。好ましい実施形態において、本発明の組成物および方法の治療的抗CD19抗体は、好ましくは、ヒトの抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を媒介する。本発明は、さらに、IgG1ヒトアイソタイプおよび/またはIgG3ヒトアイソタイプのヒト抗CD19抗体、ヒト化抗CD19抗体、またはキメラ抗CD19抗体を含む組成物に関する。本発明は、さらに、好ましくはヒトのADCCを媒介するIgG2ヒトアイソタイプおよび/またはIgG4ヒトアイソタイプのヒト抗CD19抗体、ヒト化抗CD19抗体、またはキメラ抗CD19抗体を含む組成物に関する。本発明はまた、モノクローナルヒト抗CD19抗体、モノクローナルヒト化抗CD19抗体、またはモノクローナルキメラ抗CD19抗体を包含する。
【背景技術】
【0004】
(2.発明の背景)
B細胞表面マーカーは、一般に、B細胞の障害または疾患、自己免疫疾患、および移植拒絶反応の処置のための標的として示唆されている。B細胞表面マーカーの例としては、CD10白血球表面マーカー、CD19白血球表面マーカー、CD20白血球表面マーカー、CD21白血球表面マーカー、CD22白血球表面マーカー、CD23白血球表面マーカー、CD24白血球表面マーカー、CD37白血球表面マーカー、CD53白血球表面マーカー、CD72白血球表面マーカー、CD74白血球表面マーカー、CD75白血球表面マーカー、CD77白血球表面マーカー、CD79a白血球表面マーカー、CD79b白血球表面マーカー、CD80白血球表面マーカー、CD81白血球表面マーカー、CD82白血球表面マーカー、CD83白血球表面マーカー、CD84白血球表面マーカー、CD85白血球表面マーカー、およびCD86白血球表面マーカーが挙げられる。特定のこれらのマーカーを特異的に結合する抗体が、開発されており、そしてその抗体は、疾患および障害の処置について試験されている。
【0005】
例えば、成熟B細胞に特異的なCD20細胞表面分子およびそれらの悪性の対応物に対するキメラモノクローナル抗体(mAb)または放射性標識モノクローナル抗体(mAb)ベースの治療は、非ホジキンリンパ腫に対する有効なインビボ処置であることが示されている(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10)。抗CD20モノクローナル抗体治療はまた、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、特発性血小板減少性紫斑病および溶血性貧血の発現、ならびに他の免疫媒介性疾患を改善することが見出されている(非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15)。抗CD22モノクローナル抗体LL−2は、化学療法の処置を受けている、攻撃的でありかつ再発したリンパ腫の患者を処置するのに有効であることが示された(Goldenberg、特許文献1および特許文献2)。抗CD20(IgG1)抗体、RITUXANTMは、特定の疾患(例えば、成人の免疫性血小板減少性紫斑病、慢性関節リウマチ、および自己免疫性溶血性貧血)の処置において首尾よく使用されている(Curedら、特許文献3)。この治療の効果にもかかわらず、大部分の急性リンパ芽球性白血病(ALL)および多くの他のB細胞の悪性疾患は、CD20を発現しないか、CD20を低レベルで発現するか、またはCD20免疫療法後にCD20発現を失ったかのいずれかである(非特許文献16)。さらに、CD20の発現は、非ホジキンリンパ腫患者のうちの半分しかCD20指向型免疫療法に応答しないので、抗CD20治療に対する応答を予測するものではない。
【0006】
ヒトCD19分子は、ヒトB細胞の表面上に発現される構造的に異なる細胞表面レセプターであり、そのB細胞としては、プレB細胞、発達初期におけるB細胞(すなわち、未熟B細胞)、形質細胞への最終的な分化を経る成熟B細胞、および悪性B細胞が挙げられるが、これらに限定されない。CD19は、大部分の前B細胞性急性リンパ性白血病(ALL)、非ホジキンリンパ腫、B細胞慢性リンパ性白血病(CLL)、前リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、一般的な急性リンパ性白血病、およびいくつかのヌル急性リンパ芽球性白血病(Null−acute lymphoblastic leukemia)によって発現される(非特許文献17、非特許文献18、非特許文献19、非特許文献20、非特許文献21)。形質細胞上のCD19の発現は、それが分化したB細胞の腫瘍(例えば、多発性骨髄腫、形質細胞腫、ヴァルデンストレーム腫瘍)上に発現され得ることを、さらに示唆する(非特許文献22;非特許文献23)。CD20とは異なり、CD19抗原は、抗CD19抗体によって結合される場合、細胞によって、より高いレベルで発現され、そして内在化されると考えられた。
【0007】
CD19抗原はまた、免疫療法のための、目的とされる多くの標的のうちの1つであった。しかし、細胞による内在化に起因して標的として認知されていなかった利用可能性は、ヒト被験体において首尾よく使用され得る治療プロトコルの開発に障害を与えていると考えられた。CLB−CD19抗体(抗CD19マウスIgG2a mAb)は、無胸腺マウス中に移植されたヒト腫瘍の増殖を阻害することが見出された(非特許文献24)。別の研究において、モノクローナルマウス抗体FMC63(IgG2a)は、ヒトIgG1 Fc領域を用いてキメラ化された。ヒトB細胞リンパ腫を有するSCIDマウス(異種移植(xenotransplantation)モデル)に対するこのキメラ抗体の投与は、補体媒介性細胞傷害またはADCCを誘導しなかったが、移植された腫瘍細胞の顕著な殺傷を生じた(非特許文献25)。
【0008】
腫瘍移植の異種移植マウスモデルを使用して得られた結果は、ヒト患者におけるマウス抗CD19抗体を用いた研究をもたらした。マウスCLB−CD19抗体は、進行性の非ホジキンリンパ腫と診断され、以前に従来の治療(化学療法または放射線治療)に失敗した6人の患者に投与された。これらの患者は、225〜1,000mgの範囲の総抗体用量を与えられた(非特許文献26)。循環する腫瘍細胞は、抗体の注入後に2人の患者において一時的に減少したが、1人の患者だけが、2期間の抗体処置後に部分的な寛解を達成した。治療効力に関する結論を、この小さな群の治療抵抗性患者から導くことはできなかった。
【0009】
その後、これらの研究者らは、結合体化されていないCD20 mAbの抗腫瘍効果が、移植モデルにおいてCD19 mAbの抗腫瘍効果よりずっと優れていることを示した(非特許文献27;および非特許文献28)。さらに、この者らは、CD19 mAbとCD20 mAbとを組み合わせて使用する場合、腫瘍発生数に対する相加効果または相乗効果を観察しなかった(非特許文献27)。異種移植動物モデルは、ヒト被験体における効力について悪い予後を示すと認識され、これらの動物におけるこのネガティブな結果は、むき出しの抗CD19抗体による治療への興味をなくさせた。
【0010】
抗CD19抗体ベースの免疫毒素の使用は、思わしくない結果を等しくもたらした。初期の臨床試験において、B4抗CD19抗体(マウスIgG1 mAb)は、植物毒素リシンに結合体化され、そして以前に従来の治療に失敗した、多発性骨髄腫を有するヒト患者(非特許文献29)、進行した非ホジキンリンパ腫を有するヒト患者(非特許文献30)、および治療抵抗性であるB細胞の悪性疾患を有するヒト患者(非特許文献31)に投与された。これらの試験は、一般に、B4−リシン結合体をヒトに投与することの安全性を示した;しかし、結果は、雑多なものであり、そして応答率は、RITUXANTMによる臨床試験と比較して思わしくないものであった(非特許文献30)。さらに、発症した患者の大部分は、ヒト抗マウス抗体(HAMA)応答またはヒト抗リシン抗体(HARA)応答を生じた。
【0011】
別の試験において、以前に従来の治療によって処置された7人の軽度悪性群非ホジキンリンパ腫患者が、低用量のインターロイキン−2の持続注入と組み合わせてマウスCLB−CD19抗体によって処置された(非特許文献32)。部分的な寛解が、1人の白血病患者において生じ、そして循環するB細胞の50%より大きい減少が、観察された。循環するB細胞の数は、評価された5人の残りの患者のうちの4人において変化しなかった。したがって、ヒトにおけるマウス抗CD19抗体および抗CD19抗体ベースの免疫毒素の治療的評価は、効力について評価されることができない逸話的なデータをもたらした。
【特許文献1】米国特許第6,134,982号明細書
【特許文献2】米国特許第6,306,393号明細書
【特許文献3】国際公開第00/67796号パンフレット
【非特許文献1】Tedderら、Immunol.Today、1994年、第15号、p.450−454
【非特許文献2】Pressら、Hematology、2001年、p.221−240
【非特許文献3】Kaminskiら、N.Engl.J.Med.、1993年、第329号、p.459−465
【非特許文献4】Weiner、Semin.Oncol、1999年、第26号、p.43−51
【非特許文献5】Onrustら、Drugs、1999年、第58号、p.79−88
【非特許文献6】McLaughlinら、Oncology、1998年、第12号、p.1763−1769
【非特許文献7】Reffら、Blood、1994年、第83号、p.435−445
【非特許文献8】Maloneyら、Blood、1997年、第90号、p.2188−2195
【非特許文献9】Maloneyら、J.Clin.Oncol、1997年、第15号、p.3266−3274
【非特許文献10】Andersonら、Biochem.Soc.Transac、1997年、第25号、p.705−708
【非特許文献11】Silvermanら、Arthritis Rheum.、2002年、第48号、p.1484−1492
【非特許文献12】Edwardsら、Rheumatology、2001年、第40号、p.1−7
【非特許文献13】De Vitaら、Arthritis Rheumatism、2002年、第46号、p.2029−2033
【非特許文献14】Leandroら、Ann.Rheum.Dis.、2002年、第61号、p.883−888
【非特許文献15】Leandroら、Arthritis Rheum.、2001年、第46号、p.2673−2677
【非特許文献16】Smithら、Oncogene、2003年、第22号、p.7359−7368
【非特許文献17】Nadlerら、J.Immunol.、1983年、第131号、p.244−250
【非特許文献18】Lokenら、Blood、1987年、第70号、p.1316−1324
【非特許文献19】Uckunら、Blood、1988年、第71号、p.13−29
【非特許文献20】Andersonら、1984.Blood、1984年、第63号、p.1424−1433
【非特許文献21】Scheuermann、Leuk.Lymphoma、1995年、第18号、p.385−397
【非特許文献22】Grossbardら、Br.J.Haematol、1998年、第102号、p.509−15
【非特許文献23】Treonら、Semin.Oncol、2003年、第30号、p.248−52
【非特許文献24】Hooijbergら、Cancer Research、1995年、第55号、p.840−846
【非特許文献25】Geoffreyら、Cancer Immunol.Immunother.、1995年、第41号、p.53−60
【非特許文献26】Hekmanら、Cancer Immunol.Immunotherapy、1991年、第32号、p.364−372
【非特許文献27】Hooijbergら、Cancer Res.、1995年、第55号、p.840−846
【非特許文献28】Hooijbergら、Cancer Res.、1995年、第55号、p.2627−2634
【非特許文献29】Grossbardら、British Journal of Haematology、1998年、第102号、p.509−515
【非特許文献30】Grossbardら、Clinical Cancer Research、1999年、第5号、p.2392−2398
【非特許文献31】Grossbardら、Blood、1992年、第79号、p.576−585
【非特許文献32】Vlasveldら、Cancer Immunol.Immunotherapy、1995年、第40号、p.37−47
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(3.発明の要旨)
本発明は、免疫療法組成物、ならびにヒトCD19抗原に結合し、そして好ましくは、ヒトのADCCを媒介する治療用抗体を使用する、ヒト被験体におけるB細胞の疾患および障害(例えば、B細胞の悪性疾患であるが、これに限定されない)の処置のための方法に関する。本発明は、IgG1ヒトアイソタイプまたはIgG3ヒトアイソタイプのヒト抗CD19抗体またはヒト化抗CD19抗体を含む薬学的組成物に関する。本発明は、好ましくは、ヒトのADCCを媒介するIgG2ヒトアイソタイプまたはIgG4ヒトアイソタイプのヒト抗CD19抗体またはヒト化抗CD19抗体を含む薬学的組成物に関する。本発明は、ヒトのADCCを媒介するIgG1アイソタイプ、IgG2アイソタイプ、IgG3アイソタイプ、またはIgG4アイソタイプのキメラ化抗CD19抗体を含む薬学的組成物に関する。好ましい実施形態において、本発明は、モノクローナルヒト抗CD19抗体、モノクローナルヒト化抗CD19抗体、またはモノクローナルキメラ抗CD19抗体を含む薬学的組成物に関する。
【0013】
治療用処方物および治療レジメンは、B細胞およびそれらの前駆体に由来するB細胞の悪性疾患と診断されたヒト被験体を処置するために記載され、この悪性疾患としては、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、B細胞慢性リンパ性白血病(CLL)、多発性骨髄腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、前リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、一般的な急性リンパ性白血病およびいくつかのヌル急性リンパ芽球性白血病が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の方法は、例えば、ヒト被験体においてCD19指向型免疫療法を評価するためのトランスジェニックマウスモデルを使用することによって示される。
【0014】
1つの実施形態において、本発明は、薬学的に受容可能なキャリア中のIgG1アイソタイプまたはIgG3ヒトアイソタイプのモノクローナルヒト抗CD19抗体またはモノクローナルヒト化抗CD19抗体を含む薬学的組成物を提供する。別の実施形態において、本発明は、薬学的に受容可能なキャリア中のIgG1アイソタイプまたはIgG3ヒトアイソタイプのモノクローナルキメラ化抗CD19抗体の治療的に有効な量を含む薬学的組成物を提供する。関連する実施形態において、IgG1アイソタイプまたはIgG3ヒトアイソタイプのモノクローナルキメラ化抗CD19抗体の治療的に有効な量は、患者の体重1kgあたり1mg未満である。他の関連する実施形態において、IgG1アイソタイプまたはIgG3ヒトアイソタイプのモノクローナルキメラ化抗CD19抗体の治療的に有効な量は、患者の体重1kgあたり2mgより大きい。
【0015】
1つの局面にしたがって、本発明は、薬学的に受容可能なキャリア中のヒトの抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を媒介するモノクローナルヒト抗CD19抗体またはモノクローナルヒト化抗CD19抗体の治療的に有効な量を含む薬学的組成物を提供する。別の局面にしたがって、本発明は、薬学的に受容可能なキャリア中のヒトの抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)および/または補体依存性細胞傷害(CDC)および/またはアポトーシス活性を媒介するモノクローナルキメラ化抗CD19抗体を含む薬学的組成物を提供する。
【0016】
本発明は、ヒトにおいてB細胞の悪性疾患を処置する方法であって、その処置が必要であるヒトに、IgG1ヒトアイソタイプまたはIgG3ヒトアイソタイプのモノクローナルヒト抗CD19抗体またはモノクローナルヒト化抗CD19抗体を、循環するB細胞を枯渇させるのに十分な量で投与する工程を包含する方法に関する。本発明はまた、ヒトにおいてB細胞の悪性疾患を処置する方法であって、その処置が必要であるヒトに、ヒトの抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を媒介するモノクローナルヒト抗CD19抗体またはモノクローナルヒト化抗CD19抗体を、循環するB細胞を枯渇させるのに十分な量で投与する工程を包含する方法に関する。本発明は、ヒト患者においてB細胞の悪性疾患を処置する方法であって、このような処置が必要であるヒト患者に対する、IgG1ヒトアイソタイプまたはIgG3ヒトアイソタイプのモノクローナルヒト抗CD19抗体またはモノクローナルヒト化抗CD19抗体の治療的に有効なレジメンの適用を包含する方法に関する。
【0017】
1つの実施形態において、本発明は、ヒト患者においてB細胞の悪性疾患を処置する方法であって、このような処置が必要であるヒト患者に対する、ヒトの抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を媒介するモノクローナルヒト抗CD19抗体またはモノクローナルヒト化抗CD19抗体の治療的に有効なレジメンの適用を包含する方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、ヒト患者においてB細胞の悪性疾患から生じる初期の疾患を処置する方法であって、このような処置が必要であるヒトに対する、ヒトの抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を媒介するモノクローナル抗CD19抗体の治療的に有効なレジメンの適用を包含する方法を提供する。さらなる実施形態において、本発明は、ヒト患者においてB細胞の悪性疾患を処置する方法であって、その処置が必要であるヒト被験体に対する、ヒトの抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を媒介するモノクローナル抗CD19抗体の治療的に有効なレジメンの適用を包含する方法を提供し、ここで上記ヒト被験体は、上記悪性疾患に対する処置を以前に受けていない。本発明のなお別の実施形態は、ヒト患者においてB細胞の悪性疾患を処置する方法であって、このような処置が必要であるヒト患者に対する、ヒトの抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を媒介するモノクローナル抗CD19抗体の治療的に有効なレジメンの適用を包含する方法を提供し、上記B細胞の悪性疾患は、CD19陽性である。さらなる実施形態において、本発明は、ヒト患者においてB細胞の悪性疾患を処置する方法であって、このような処置が必要であるヒト患者に対する、ヒトの抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を媒介するモノクローナル抗CD19抗体の治療的に有効なレジメンの適用を包含する方法を提供し、上記ヒト患者は、1dLあたり少なくとも1の単球数を有する。
【0018】
(3.1.定義)
本明細書中で使用される場合、用語「抗体(antibody)」および「抗体(antibodies)」(免疫グロブリン)とは、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクトな抗体から形成される多重特異性(multispecific)抗体(例えば、二重特異性抗体)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ化(camelised)抗体、キメラ抗体、単鎖Fv(scFv)、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、ドメイン抗体、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、所望の生物学的活性を示す抗体フラグメント、ジスルフィド結合したFv(sdFv)、および抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、本発明の抗体に対する抗Id抗体が挙げられる)、細胞内抗体、および上記のうちのいずれかのエピトープ結合フラグメントをいう。特に、抗体は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性なフラグメント(すなわち、抗原結合部位を含む分子)を含む。免疫グロブリン分子は、任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスの分子であり得る。
【0019】
ネイティブな抗体は、通常、2つの同一の軽(L)鎖および2つの同一の重(H)鎖から構成される約150,000ダルトンのヘテロ四量体の糖タンパク質である。各軽鎖は、1つのジスルフィド共有結合によって重鎖に連結されるが、ジスルフィド連結の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖の間で変動する。各重鎖および各軽鎖はまた、一定間隔の鎖内ジスルフィド架橋を有する。各重鎖は、一方の末端に可変ドメイン(V)を有し、それに続く多くの定常ドメインを有する。各軽鎖は、一方の末端に可変ドメイン(V)を有し、そして他方の末端に定常ドメインを有する;軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第1の定常ドメインと整列され、そして軽鎖可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと整列される。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間に界面を形成すると考えられる。このような抗体は、任意の哺乳動物(ヒト、サル、ブタ、ウマ、ウサギ、イヌ、ネコ、マウスなどが挙げられるが、これらに限定されない)に由来する。
【0020】
用語「可変」とは、可変ドメインの特定の部分が、抗体の間で配列において広範に異なり、そしてその可変ドメインの特定の部分が、その特定の抗原に対するそれぞれの特定の抗体の結合特異性を担うという事実をいう。しかし、その変動性は、抗体の可変ドメイン全体にわたって等しく分散されない。それは、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインの両方における相補性決定領域(CDR)と称されるセグメント中に集中する。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と称される。ネイティブな重鎖および軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、β−シート構造に連結するループを形成し、そしていくつかの場合において、β−シート構造の部分を形成する3個のCDR(概してβ−シート構造を採る)によって連結される4個のFR領域を含む。各鎖中のCDRは、FR領域によって、他の鎖由来のCDRは、FR領域によって他の鎖由来のCDRと非常に接近して一緒に保持され、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD(1991)を参照のこと)。定常ドメインは、一般に、抗原結合に直接関与しないが、抗原結合親和性に影響し得、そしてその定常ドメインは、種々のエフェクター機能(例えば、ADCCにおける抗体の関与)を示し得る。
【0021】
用語「超可変領域」とは、本明細書中で使用される場合、その抗原に対する結合を担う、抗体のアミノ酸残基をいう。超可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」由来のアミノ酸残基(例えば、軽鎖可変ドメイン中の残基24〜34(L1)、残基50〜56(L2)および残基89〜97(L3)ならびに重鎖可変ドメイン中の残基31〜35(H1)、残基50〜65(H2)および残基95〜102(H3);Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD(1991))、および/あるいは「超可変ループ」由来のアミノ酸残基(例えば、軽鎖可変ドメイン中の残基26〜32(L1)、残基50〜52(L2)および残基91〜96(L3)、ならびに重鎖可変ドメイン中の残基26〜32(H1)、残基53〜55(H2)および残基96〜101(H3);ChothiaおよびLesk、J.Mol Biol、196:901−917(1987))を含む。「フレームワーク」残基または「FR」残基は、本明細書中で定義される場合、超可変領域残基以外の可変ドメイン残基であり、そしてそれらは、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、ドメイン抗体、ダイアボディ(diabody)、ワクチボディ(vaccibody)、直鎖抗体(linear antibody)、および二重特異性抗体を含む。
【0022】
本明細書中で使用される場合、用語「モノクローナル抗体」とは、実質的に同種の抗体の集団から得られる抗体をいい、すなわち、集団を含む個々の抗体は、小さい量で存在し得る可能な天然に存在する変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、単一の抗原性部位に対して高度に特異的である。さらに、代表的に、異なる決定因子(エピトープ)に対する異なる抗体を含む従来(ポリクローナル性)の抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定因子に対する。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、それらが他の免疫グロブリン産生細胞によって汚染されていないハイブリドーマ細胞によって合成されるという点で有利である。あるいは、モノクローナル抗体は、そのモノクローナル抗体をコードする重鎖遺伝子および軽鎖遺伝子によって、安定かまたは一過性にトランスフェクトされた細胞によって産生され得る。
【0023】
修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に同種の集団から得られるような抗体の性質を示し、そして任意の特定の方法による抗体の操作を必要とする場合に構築されるべきではない。用語「モノクローナル」は、本明細書中で、任意の真核生物のクローン、原核生物のクローン、またはファージのクローンを含む細胞のクローンの集団に由来する抗体をいうために使用され、そしてそれは、抗体が操作された方法ではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohlerら、Nature、256:495(1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製され得るか、または例えば、Clacksonら、Nature、352:624−628(1991)およびMarksら、J.Mol.Biol.、222:581−597(1991)に記載された技術を使用するファージ抗体ライブラリーからの単離を包含する任意の組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと)によって作製され得る。これらの方法は、モノクローナル性の哺乳動物抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、ドメイン抗体、ダイアボディ、ワクチボディ、直鎖抗体、および二重特異性抗体を産生するために使用され得る。
【0024】
用語「キメラ」抗体は、重鎖および/または軽鎖の少なくとも一部が特定の種に由来する抗体、または特定の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体において対応する配列と同一または相同であり、そしてそれらの鎖の少なくとも1つの他の部分が、別の種に由来する抗体、または別の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体において対応する配列と同一または相同である抗体、ならびにこのような抗体のフラグメントを含むが、但し、それらは、所望の生物学的活性を示す(米国特許第4,816,567号;Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:6851−6855(1984))。本明細書中の目的とするキメラ抗体は、非ヒト霊長類(例えば、旧世界猿(例えば、ヒヒ、アカゲザルまたはカニクイザル))およびヒトの定常領域配列に由来する可変ドメイン抗原結合配列を含む「霊長類化(primatized)」抗体を含む(米国特許第5,693,780号)。
【0025】
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含むキメラ抗体である。ほとんどの部分に関して、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、ここでそのレシピエント由来の超可変領域からの残基は、所望の特異性、親和性、および能力を有する、非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類)(ドナー抗体)の超可変領域由来の残基によって置換される。いくつかの場合において、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。さらに、ヒト化抗体は、そのレシピエント抗体またはそのドナー抗体に見出されない残基を含み得る。これらの改変は、抗体の性能をさらに洗練するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1個、および代表的に2個の可変ドメインの実質的に全部を含み、その超可変ループの全部または実質的に全ては、非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、そしてそのFRの全部または実質的に全ては、ヒト免疫グロブリン配列のFRである。特定の実施形態において、ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)(代表的に、ヒト免疫グロブリンの定常領域)の少なくとも一部を含む。さらに詳細には、Jonesら、Nature、321:522−525(1986);Riechmannら、Nature、332:323−329(1988);およびPresta、Curr.Op.Struct.Biol.、2:593−596(1992)を参照のこと。
【0026】
「ヒト抗体」は、ヒトに由来する抗体または抗原のチャレンジに応じて特定のを産生するように「操作」されているトランスジェニック生物体から得られる抗体であり得、当該分野で公知の任意の方法によって産生され得る。好ましい技術に従って、ヒト重鎖遺伝子座およびヒト軽鎖遺伝子座のエレメントは、内因性の重鎖伝子座および軽鎖遺伝子座の標的化された破壊を含む胚性幹細胞株に由来する生物体の系統に組み込まれる。トランスジェニック生物体は、ヒト抗原に特異的なヒト抗体を合成し得、そしてその生物体は、ヒト抗体を分泌するハイブリドーマを産生するために使用され得る。ヒト抗体はまた、重鎖および軽鎖が1種以上のヒトDNAに由来するヌクレオチド配列によってコードされる抗体であり得る。完全ヒト抗体はまた、遺伝子または染色体のトランスフェクション法、およびファージディスプレイ技術、またはインビトロで活性化したB細胞(これらの全ては、当該分野において公知である)によって構築され得る。
【0027】
「CD19」抗原とは、例えば、HD237またはB4抗体によって同定された約90kDaの抗原をいう(Kieselら、Leukemia Research II、12:1119(1987))。CD19は、幹細胞の段階から最終的には形質細胞に分化するB系統細胞の分化全体を通して細胞において見出され、そのB系統細胞としては、プレB細胞、B細胞(ナイーブなB細胞、抗原刺激性B細胞、記憶B細胞、形質細胞、およびBリンパ球を含む)および濾胞性樹上細胞が挙げられる。CD19はまた、ヒト胎児組織中のB細胞において見出される。好ましい実施形態において、本発明の抗体によって標的化されるCD19抗原は、ヒトCD19抗原である。
【0028】
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」および「ADCC」とは、非特異的細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)が、標的細胞上に結合した抗体を認識し、次いで標的細胞の溶解をもたらす細胞媒介性の反応をいう。好ましい実施形態において、このような細胞は、ヒト細胞である。任意の特定の作用機構に限定されることは望まないが、ADCCを媒介するこれらの細胞傷害性細胞は、一般に、Fcレセプター(FcR)を発現する。ADCCを媒介する主要な細胞(NK細胞)が、FcγRIIIを発現するのに対して、単球は、FcγRI、FcγRII、FcγRIIIおよび/またはFcγRIVを発現する。造血細胞におけるFcRの発現は、RavetchおよびKinet、Annu.Rev.Immunol.、9:457−92(1991)において要約される。分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号または同第5,821,337号に記載されるようなインビトロADCCアッセイが、実施され得る。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。代替的かまたは追加的に、目的の分子のADCC活性は、インビボ(例えば、Clynesら、PNAS(USA)、95:652−656(1998)において開示されるような動物モデル)において評価され得る。
【0029】
「補体依存性細胞傷害」または「CDC」とは、補体の活性化を開始し、そして補体の存在下で標的を溶解する、分子の能力をいう。補体の活性化経路は、同族の抗原と複合体形成した分子(例えば、抗体)に対する補体系(C1q)の第1の成分の結合によって開始される。補体の活性化を評価するために、例えば、Gazzano−Santaroら、J.Immunol.Methods、202:163(1996)に記載されるようなCDCアッセイが、実施され得る。
【0030】
「エフェクター細胞」は、1以上のFcRを発現し、かつエフェクター機能を遂行する白血球である。好ましくは、その細胞は、少なくともFcγRI、FCγRII、FcγRIIIおよび/またはFcγRIVを発現し、そしてADCCエフェクター機能を実行する。ADCCを媒介するヒト白血球の例としては、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞傷害性T細胞および好中球が挙げられる;PBMCおよびNK細胞が、好ましい。好ましい実施形態において、そのエフェクター細胞は、ヒト細胞である。
【0031】
用語「Fcレセプター」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合するレセプターを記載するために使用される。好ましいFcRは、ネイティブな配列のヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体を結合するもの(γレセプター)であり、そしてFcRとしては、FcγRIサブクラス、FcγRIIサブクラス、FcγRIIIサブクラス、およびFcγRIVサブクラスのレセプターが挙げられる、これらは、対立遺伝子改変体、および代替的に、これらのレセプターのスプライシングされた形態を含む。FcγRIIレセプターとしては、主にその細胞質ドメインにおいて異なる類似のアミノ酸配列を有するFcγRIIA(「活性化レセプター」)およびFcγRIIB(「阻害レセプター」)が挙げられる。活性化レセプターFcγRIIAは、細胞質ドメイン中に免疫レセプターチロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含む。阻害レセプターFcγRIIBは、細胞質ドメイン中に免疫レセプターチロシンベースの阻害モチーフ(ITIM)を含む。(Daeron、Annu.Rev.Immunol、15:203−234(1997)を参照のこと)。FcRは、RavetechおよびKinet、Annu.Rev.Immunol、9:457−92(1991);Capelら、Immunomethods、4:25−34(1994);ならびにde Haasら、J.Lab.Clin.Med.、126:330−41(1995)において概説される。他のFcR(将来において同定されるべきものを含む)は、本明細書中の用語「FcR」によって包含される。この用語はまた、胎児への母体のIgGの移行を担う新生児のレセプター(FcRn)を含む(Guyerら、Immunol、117:587(1976)およびKimら、J.Immunol、24:249(1994))。
【0032】
「Fv」は、完全な抗原認識部位および抗原結合部位を含む最小限の抗体フラグメントである。この領域は、強固な、非共有結合または共有結合における1個の重鎖ドメインと1個の軽鎖可変ドメインとのダイマーからなる。この構造において、各可変ドメインの3個のCDRは、V−Vダイマーの表面上に抗原結合部位を規定するように相互作用する。集合的に、6個のCDRは、抗体に対して抗原結合特異性を与える。しかし、単一の可変ドメイン(抗原に特異的な3個のCDRのみを含むFvの半分)であっても、抗原を認識しそして結合でする能力を有するが、それは、結合部位全体よりも低い親和性である。
【0033】
本明細書中に記載される処置に使用されるエピトープに対する抗体の「親和性」は、当該分野において十分に理解される用語であり、エピトープに対する抗体の結合の程度、または強度を意味する。親和性は、当該分野において公知である多くの方法で測定され、そして/または示され得、その方法としては、平衡解離定数(KDまたはKd)、見かけの平衡解離定数(KD’またはKd’)、およびIC50(競合アッセイにおいて50%の阻害を達成するのに必要とされる量)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の目的に関して、親和性はエピトープに結合する抗体の所与の集団に対する平均の親和性であることが、理解される。本明細書中で報告されるKD’の値は、mg mLまたはmg/mLあたりのIgGに関して、1mLの血清(しかし、血漿が使用され得る)あたりのmg Igを示す。抗体親和性が、本明細書中に記載される処置方法の適用についての基礎、または本明細書中に記載される処置方法についての選択として使用される場合、抗体親和性は、処置の前および/または間に測定され得、そして得られた値は、ヒト患者が処置についての適切な候補者であるか否かを評価するために、臨床家によって使用され得る。
【0034】
「エピトープ」は、当該分野において十分に理解されている用語であり、そして抗体に対する特異的結合を示す任意の化学的部分を意味する「エピトープ」はまた、エピトープを含み、そしてまた、抗体に特異的に結合するような部分または分子である抗原を含み得る。
【0035】
「B細胞表面マーカー」は、本明細書中で使用される場合、B細胞の表面上に発現される抗原であり、そのB細胞は、そのB細胞に結合する薬剤によって標的化され得る。例示のB細胞表面マーカーとしては、CD10白血球表面マーカー、CD19白血球表面マーカー、CD20白血球表面マーカー、CD21白血球表面マーカー、CD22白血球表面マーカー、CD23白血球表面マーカー、CD24白血球表面マーカー、CD25白血球表面マーカー、CD37白血球表面マーカー、CD53白血球表面マーカー、CD72白血球表面マーカー、CD73白血球表面マーカー、CD74白血球表面マーカー、CD75白血球表面マーカー、CD77白血球表面マーカー、CD79a白血球表面マーカー、CD79b白血球表面マーカー、CD80白血球表面マーカー、CD81白血球表面マーカー、CD82白血球表面マーカー、CD83白血球表面マーカー、CD84白血球表面マーカー、CD85白血球表面マーカー、およびCD86白血球表面マーカーが挙げられる。特定の目的とするB細胞表面マーカーは、哺乳動物の他の非B細胞組織と比較してB細胞において優勢に発現され、そして前駆B細胞および成熟B細胞の両方において発現され得る。1つの実施形態において、好ましいマーカーは、CD19であり、それは、プロ/プレB細胞の段階〜最終的に分化した形質細胞の段階までの系統の分化全体を通して、B細胞において見出される。
【0036】
用語「抗体半減期」は、本明細書中で使用される場合、投与後の抗体分子の平均生存時間の尺度である抗体の薬物動態特性を意味する。抗体半減期は、患者の身体またはその特定の区画(例えば、血清において測定される(すなわち、循環半減期))からか、あるいは他の組織において、免疫グロブリンの既知の量の50%を排除するのに必要とされる時間として示され得る。半減期は、免疫グロブリンまたは免疫グロブリンのクラスによって異なり得る。一般に、抗体半減期の増大は、投与された抗体について、循環における平均滞留時間(MRT)の増大をもたらす。
【0037】
用語「アイソタイプ」とは、抗体の分類をいう。抗体の定常ドメインは、抗原に対する結合に関与しないが、種々のエフェクター機能を示す。重鎖定常領域のアミノ酸配列に依存して、所与の抗体または免疫グロブリンは、5種の主要な免疫グロブリンのクラスのうちの1種に割り当てられ得る:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM。これらのクラスのうちの数種は、サブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG1(γ1)、IgG2(γ2)、IgG3(γ3)、およびIgG4(γ4)、ならびにIgA1およびIgA2)へとさらに分割され得る。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常領域は、それぞれ、α、δ、ε、γ、およびμと称される。免疫グロブリンの異なるクラスの構造および三次元立体配置は、周知である。種々のヒト免疫グロブリンのクラスのうち、ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3、ヒトIgG4およびヒトIgMのみは、補体を活性化することが公知である。ヒトIgG1およびヒトIgG3は、ヒトにおいてADCCを媒介することが公知である。
【0038】
本明細書中で使用される場合、用語「免疫原性」は、化合物が(特定の抗体の産生および/または特定のT細胞の増殖を刺激する)免疫応答を誘発し得ることを意味する。
【0039】
本明細書中で使用される場合、用語「抗原性」は、化合物が抗体によって認識されるか、または抗体に結合し得、そして免疫応答を誘導することを意味する。
【0040】
本明細書中で使用される場合、用語「アビディティ」は、抗体が抗原を結合する全体の結合強度(すなわち、両方の抗体のアーム(arm))の尺度である。抗体のアビディティは、当該分野で公知である任意の手段(例えば、Grayら、J.Virol.Metk、44:11−24.(1993)によって記載されるような間接的な蛍光抗体の改変であるが、これに限定されない)を使用して過剰な抗原における抗原−抗体結合の解離を測定することによって決定され得る。
【0041】
用語「処置する(treat)」、「処置する(treating)」または「の処置」(または文法的に等しい用語)によって、被験体の状態の重篤度が、低下するかまたは少なくとも部分的に改善もしくは回復されること、ならびに/あるいは少なくとも1つの臨床症状におけるある程度の緩和、軽減もしくは減少が達成され、そして/または状態の進行における阻害もしくは遅延ならびに/または疾患および疾病の発症の予防もしくは遅延が存在することが、意味される。したがって、用語「処置する(treat)」、「処置する(treating)」または「の処置」(または文法的に等しい用語)とは、予防的処置レジメンおよび治療的処置レジメンの両方をいう。
【0042】
本明細書中で使用される場合、「十分な量」または特定の結果を達成「するのに十分な量」とは、必要に応じて治療効果(すなわち、治療的に有効な量の投与による)である所望の効果をもたらすのに有効である本発明の抗体または組成物の量をいう。例えば、「十分な量」または「するのに十分な量」は、枯渇するB細胞を枯渇させるのに有効な量であり得る。
【0043】
「治療的に有効な」量は、本明細書中で使用される場合、被験体にある程度の改善または利益を提供する量である。代替的に定められる場合、「治療的に有効な」量は、少なくとも1つの臨床症状においてある程度の緩和、軽減、および/または減少を提供する量である。本発明の方法によって処置され得る障害に関連する臨床症状は、当業者に公知である。さらに、当業者は、ある程度の利益が被験体に提供される限り、治療効果が完全であるかまたは治癒的である必要はないことを認識する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
(5.発明の詳細な説明)
本発明は、CD19抗原に結合し、そして好ましくは、ヒトのADCCを媒介する治療用抗体を使用した、ヒト被験体におけるB細胞の疾患および障害(例えば、B細胞の悪性疾患であるが、これに限定されない)の処置のための免疫療法組成物ならびに免疫療法による方法に関する。本発明は、IgG1ヒトアイソタイプまたはIgG3ヒトアイソタイプのヒト抗CD19抗体、ヒト化抗CD19抗体、またはキメラ抗CD19抗体を含む薬学的組成物に関する。本発明はまた、好ましくは、ヒトのADCCを媒介するIgG2ヒトアイソタイプまたはIgG4ヒトアイソタイプのヒト抗CD19抗体またはヒト化抗CD19抗体を含む薬学的組成物に関する。特定の実施形態において、本発明はまた、当該分野で公知の手段によって産生され得るモノクローナルヒト抗CD19抗体、モノクローナルヒト化抗CD19抗体、またはモノクローナルキメラ化抗CD19抗体を含む薬学的組成物に関する。
【0045】
治療用処方物および治療レジメンは、B細胞およびそれらの前駆体に由来するB細胞の悪性疾患と診断されたヒト被験体を処置するために記載され、この悪性疾患としては、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、B細胞慢性リンパ性白血病(CLL)、多発性骨髄腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、前リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、一般的な急性リンパ性白血病およびいくつかのヌル急性リンパ芽球性白血病が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
(5.1.抗CD19抗体の産生)
(5.1.1.ポリクローナル抗CD19抗体)
ポリクローナル抗体は、好ましくは、関連する抗原およびアジュバントの複数の皮下(sc)注射または腹腔内(i.p.)注射によって動物において惹起される。関連する抗原を免疫化される種において免疫原性であるタンパク質(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシチログロブリン、または大豆トリプシンインヒビター)に、二官能性薬剤または誘導体化剤(例えば、マレイミドベルトゾイルスルホスクシンイミドエステル(maleimidobertzoyl sulfosuccinimide ester)(システイン残基を介する結合体化)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を介する)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸(succunic anhydride)、SOCl)を使用して結合体化することは、有用であり得る。
【0047】
動物は、例えば、100μgまたは5μgのタンパク質または結合体(それぞれ、ウサギまたはマウスに対する)と、3容量のフロイント完全アジュバントとを混合し、そして複数の部位にてその溶液を皮内に注射することによって、抗原、免疫原性結合体、または免疫原性誘導体に対して免疫化される。1ヵ月後、その動物は、フロイント不完全アジュバント中の本来の1/5〜1/10の量のペプチドまたは結合体を用いて、複数の部位における皮下注射によってブーストされる。7〜14日後、その動物は、採血され、そしてその血清は、抗体力価についてアッセイされる。動物は、その力価がプラトーになるまでブーストされる。好ましくは、その動物は、同じ抗原の結合体(しかし、異なるタンパク質に結合体化され、そして/または異なる架橋試薬を介して結合体化される)を用いてブーストされる。結合体はまた、タンパク質融合体として組換え細胞培養物において作製され得る。また、凝集剤(例えば、ミョウバン)は、免疫応答を増強するために適切に使用される。
【0048】
(5.1.2.モノクローナル抗CD19抗体)
本発明のモノクローナル抗CD19抗体は、ヒトCD19抗原に対する結合特異性を示し、そして好ましくは、ヒトのADCCを媒介し得る。これらの抗体は、ハイブリドーマ技術、組換え技術、およびファージディスプレイ技術、またはそれらの組み合わせの使用を含む、当該分で公知の広範な種々の技術を使用して産生され得る。抗体は、単一の抗原性部位に対して高度に特異的である。さらに、代表的には異なる決定因子(エピトープ)に対する異なる抗体を含む従来(ポリクローナル性)の抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、ヒトCD19抗原上の単一の決定因子に対する。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohlerら、Nature、256:495(1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製され得る、このハイブリドーマ法は、マウス抗体(または他の非ヒト哺乳動物(例えば、ラット、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ラクダなど)に由来する抗体)、またはトランスジェニック動物に由来するヒト抗体(米国特許第6,075,181号、同第6,114,598号、同第6,150,584号、および同第6,657,103号を参照のこと)を産生するために使用され得る。あるいは、モノクローナル抗体は、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと)によって作製され得、そしてモノクローナル抗体は、キメラ抗体およびヒト化抗体を含む。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clacksonら、Nature、352:624−628(1991)およびMarksら、J.Mol Biol、222:581−597(1991)に記載される技術を使用してファージ抗体ライブラリーから単離され得る。
【0049】
操作された抗CD19抗体は、当該分野において公知である任意の手段によって産生され得、この方法としては、以下に記載される技術およびその技術に対する改良法が挙げられる。大規模な高収量の産生は、代表的に、操作された抗CD19抗体を産生する宿主細胞を培養すること、およびその宿主細胞培養物から抗CD19抗体を回収することを含む。
【0050】
(5.1.3.ハイブリドーマ技術)
モノクローナル抗体は、当該分野で公知であり、そして、例えば、Harlowら、Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版、1988);Hammerlingら、Monoclonal Antibodies and T Cell Hybridomas、563−681(Elsevier、N.Y.、1981)(これらの参考文献は、その全体が参考として援用される)において教示される技術を含むハイブリドーマ技術を使用して産生され得る。例えば、ハイブリドーマ法において、マウスまたは他の適切な宿主動物(例えば、ハムスターまたはマカクザル)は、免疫化に使用されたタンパク質に特異的に結合する抗体を産生するか、または免疫化に使用されたタンパク質に特異的に結合する抗体を産生し得るリンパ球を誘発するために免疫化される。あるいは、リンパ球は、インビトロで面気化され得る。次いでリンパ球は、ハイブリドーマ細胞を形成するために、適切な融合剤(例えば、ポリエチレングリコール)を使用して骨髄腫細胞と融合される(Goding、Monoclonal Antibodies:Principles and Practice、pp.59−103(Academic Press、1986))。
【0051】
そのようにして調製させたハイブリドーマ細胞は、好ましくは、融合されていない親の骨髄腫細胞の増殖または生存を阻害する1種以上の物質を含む適切な培養培地中に接種され、そしてその倍地中で増殖される。例えば、親の骨髄腫細胞が、酵素であるヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマのための培養培地は、代表的に、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジンを含み(HAT培地)、これらの物質は、HGPRT欠損細胞の増殖を妨げる。
【0052】
好ましい骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定で高レベルの産生を補助し、そして培地(例えば、HAT培地)に対して感受性である骨髄腫細胞である。これらの間で、好ましい骨髄腫細胞株は、マウス骨髄腫株(例えば、Salk Institute Cell Distribution Center、San Diego、CA、USAから入手可能なMOPC−21マウス腫瘍およびMPC−11マウス腫瘍に由来するもの、ならびにAmerican Type Culture Collection、Rockville、MD、USAから入手可能なSP−2細胞またはX63−Ag8.653細胞)である。ヒト骨髄腫細胞株およびマウス−ヒトへテロ骨髄腫細胞株もまた、ヒトモノクローナル抗体の産生について記載されている(Kozbor、J Immunol、133:3001(1984);Brodeurら、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications、pp.51−63(Marcel Dekker,Inc.、New York、1987))。
【0053】
ハイブリドーマ細胞が増殖している培養培地は、ヒトCD19抗原に対するモノクローナル抗体の産生についてアッセイされる。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって産生されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降またはインビトロ結合アッセイ(例えば、放射免疫アッセイ(RIA)または酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA))によって決定される。
【0054】
所望の特異性、親和性、および/または活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が同定された後、そのクローンが、限界希釈手順によってサブクローニングされ得、そして標準的な方法によって増殖され得る(Goding、Monoclonal Antibodies:Principles and Practice、pp.59−103(Academic Press、1986))。この目的のための適切な培養培地は、例えば、D−MEM培地またはRPMI 1640を含む。さらに、ハイブリドーマ細胞は、動物における腹水腫瘍のようなインビボで増殖され得る。
【0055】
サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、例えば、プロテインA−セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、またはアフィニティークロマトグラフィーなどの従来の免疫グロブリン精製手順によって培養培地、腹水流体、または血清から適切に分離される。
【0056】
(5.1.4.組換えDNA技術)
本発明の抗CD19抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、抗CD19抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合し得るオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に同定および配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供給源として機能する。一旦単離されると、そのDNAは、発現ベクター中に配置され得、その発現ベクターは、組換え宿主細胞中における抗CD19抗体の合成を得るために、トランスフェクトしなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しない宿主細胞(例えば、E.coli細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞)中にトランスフェクトされる。
【0057】
ファージディスプレイ法において、機能的抗体ドメインが、それらをコードするポリヌクレオチド配列を保有するファージ粒子の表面上に提示される。特に、VドメインおよびVドメインをコードするDNA配列は、動物cDNAライブラリー(例えば、罹患組織のヒトcDNAライブラリーまたはマウスcDNAライブラリー)から増幅される。VドメインおよびVドメインをコードするDNAは、PCRによってscFvリンカーと一緒に組換えられ、そしてファージミドベクター中にクローニングされる。そのベクターは、E.coli中にエレクトロポレーションされ、そしてそのE.coliは、ヘルパーファージに感染する。これらの方法において使用されるファージは、代表的に、fdおよびM13を含む糸状ファージであり、そしてVドメインおよびVドメインは、ファージの遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIのいずれかに組換え的に融合される。特定の抗原に結合する抗原結合ドメインを発現するファージは、抗原を用いて(例えば、標識された抗原あるいは固体表面またはビーズに結合または捕捉された抗原を使用して)選択または同定され得る。本発明の抗体を作製するために使用され得るファージディスプレイ法の例としては、Brinkmanら、1995、J.Immunol.Methods、182:41−50;Amesら、1995、J Immunol.Methods、184:177−186;Kettleboroughら、1994、Eur.J.Immunol、24:952−958;Persicら、1997、Gene、187:9−18;Burtonら、1994、Advances in Immunology、57:191−280;国際出願番号PCT/GB91/O1 134;国際出願番号WO 90/02809、WO 91/10737、WO 92/01047、WO 92/18619、WO 93/11236、WO 95/15982、WO 95/20401、およびWO 97/13844;ならびに米国特許第5,698,426号、同第5,223,409号、同第5,403,484号、同第5,580,717号、同第5,427,908号、同第5,750,753号、同第5,821,047号、同第5,571,698号、同第5,427,908号、同第5,516,637号、同第5,780,225号、同第5,658,727号、同第5,733,743号、および同第5,969,108号(これらの各々は、その全体が参考として援用される)に開示されるものが挙げられる。
【0058】
上記の参考文献に記載される通り、ファージの選択後、ファージ由来の領域をコードする抗体は、ヒト抗体を含む全抗体、または任意の他の所望の抗原結合フラグメントを産生するために、単離され得、使用され得、そして例えば、下に記載されるような哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、および細菌を含む任意の所望の宿主において発現され得る。Fabフラグメント、Fab’フラグメントおよびF(ab’)フラグメントを組換え的に産生するための技術はまた、当該分野で公知の方法(例えば、PCT出願番号WO 92/22324;Mullinaxら、1992、BioTechniques、12(6):864−869;Sawaiら、1995、AJRI、34:26−34;およびBetterら、1988、Science、240:1041−1043(これらの参考文献は、その全体が参考として援用される)において開示される方法)を用いて利用され得る。
【0059】
さらなる実施形態において、抗体は、McCaffertyら、Nature、348:552−554(1990).Clacksonら、Nature、352:624−628(1991)に記載される技術を使用して作製される抗体ファージライブラリーから単離され得る。Marksら、J.Mol.Biol、222:581−597(1991)は、ファージライブラリーをそれぞれ使用したマウス抗体およびヒト抗体の単離を記載する。鎖シャッフリングは、高親和性(nMの範囲)のヒト抗体の産生(Marksら、Bio/Technology、10:779−783(1992))、ならびに非常に大きいファージライブラリーを構築するためのストラテジーとしてのコンビナトリアル感染(combinatorial infection)およびインビボ組換え(Waterhouseら、Nuc.Acids.Res.、21:2265−2266(1993))に使用され得る。したがって、これらの技術は、抗CD19抗体を単離するための伝統的なモノクローナル抗体ハイブリドーマ技術の実行可能な代替技術である。
【0060】
全抗体を産生するために、Vヌクレオチド配列またはVヌクレオチド配列、制限酵素部位およびa制限酵素部位を保護するフランキング(flanking)配列を含むPCRプライマーは、そのV配列またはV配列をscFvクローンにおいて増幅するために使用され得る。当業者に公知のクローニング技術を利用して、PCR増幅されたVドメインは、V定常領域(例えば、ヒトγ4定常領域)を発現するベクター中にクローニングされ得、そしてPCR増幅されたVドメインは、V定常領域(例えば、ヒトκ定常領域またはヒトλ定常領域)を発現するベクター中にクローニングされ得る。好ましくは、VドメインまたはVドメインを発現するためのベクターは、EF−1αプロモーター、分泌シグナル、可変ドメインについてのクローニング部位、定常ドメイン、および選択マーカー(例えば、ネオマイシン)を含む。VドメインおよびVドメインはまた、必要な定常領域を発現する1つのベクター中にクローニングされ得る。次いで重鎖変換ベクターおよび軽鎖変換ベクターは、完全長抗体(例えば、IgG)を発現する安定な細胞株または一過性の細胞株を産生するために、当業者に公知の技術を使用して細胞株中に同時トランスフェクトされる。
【0061】
上記DNAはまた、例えば、そのコード配列を、相同マウス配列に代えてヒト重鎖定常ドメインおよびヒト軽鎖定常ドメインに置換すること(米国特許第4,816,567号;Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:6851(1984))、またはcovalently joining to the 免疫グロブリンのコート配列に、非免疫グロブリンポリペプチドについてのコード配列の全部または一部を共有結合させることによって改変され得る。
【0062】
(5.1.5.キメラ抗体)
本明細書中の抗CD19抗体は、具体的に、重鎖および/または軽鎖の一部は、特定の種に由来する抗体あるいは特定の抗体のクラスまたはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一または相同である一方で、それらの鎖の別の部分は、別の種に由来する抗体あるいは別の抗体のクラスまたはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一または相同であるキメラ抗体(キメラ免疫グロブリン)およびこのような抗体のフラグメントを含むが、但しそれらは、所望の生物学的活性を示す(米国特許第4,816,567号;Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:6851−6855(1984))。本明細書中の目的とするキメラ抗体は、非ヒト霊長類(例えば、旧世界猿(例えば、ヒヒ、アカゲザルまたはカニクイザル))およびヒトの定常領域配列に由来する可変ドメイン抗原結合配列を含む「霊長類化」抗体を含む(米国特許第5,693,780号)。
【0063】
(5.1.6.ヒト化抗体)
ヒト化抗体は、当該分野で公知である種々の技術を使用して産生され得、この技術としては、CDRグラフティング(例えば、欧州特許第EP 239,400号;国際出願番号WO 91/09967;および米国特許第5,225,539号、同第5,530,101号および同第5,585,089号(これらの各々は、その全体が本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)、薄板化(veneering)または再表面作成(resurfacing)(例えば、欧州特許第EP 592,106号および同第EP 519,596号;Padlan、1991、Molecular Immunology 28(4/5):489−498;Studnickaら、1994、Protein Engineering、7(6):805−814;およびRoguskaら、1994、PNAS、91:969−973(これらの各々は、その全体が本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)、鎖シャッフリング(例えば、米国特許第5,565,332号(これは、その全体が本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)、および例えば、米国特許第6,407,213号、米国特許第5,766,886号、国際出願番号WO 9317105、Tanら、J.Immunol、169:1119−25(2002)、Caldasら、Protein Eng.、13(5):353−60(2000)、Moreaら、Methods、20(3):267−79(2000)、Bacaら、J.Biol Chem.、272(16):10678−84(1997)、Roguskaら、Protein Eng、9(10):895−904(1996)、Coutoら、Cancer Res.、55(第23補遺):5973−5977(1995)、Coutoら、Cancer Res.、55(8):1717−22(1995)、Sandhu JS、Gene、150(2):409−10(1994)およびPedersenら、J.Mol.Biol、235(3):959−73(1994)(これらの各々は、その全体が本明細書中に参考として援用される)に開示される技術が挙げられるが、これらに限定されない。しばしば、フレームワーク領域中のフレームワーク残基は、抗原結合を変化させる(好ましくは、改良する)ためにCDRドナー抗体由来の対応する残基によって置換される。これらのフレームワークの置換は、当該分野において周知である方法(例えば、抗原結合に重要なフレームワーク残基を同定するためのCDRとフレームワーク残基との相互作用のモデリング、および特定に位置における通常のフレームワーク残基を同定するための配列比較)によって同定される。(例えば、Queenら、米国特許第5,585,089号;およびRiechmannら、1988、Nature、332:323(これらは、その全体が本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)。
【0064】
ヒト化抗CD19抗体は、ヒトではない供給源由来のヒト化抗CD19抗体中に導入された1個以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、「輸入(import)」残基と称され、その残基は、代表的に、「輸入(import)」可変ドメインから取り入れられる。したがって、ヒト化抗体は、非ヒト免疫グロブリン分子由来の1個以上のCDRおよびヒト由来のフレームワーク領域を含む。抗体のヒト化は、当該分野において周知であり、そして本質的に、Winterおよび共同研究者の方法(Jonesら、Nature、321:522−525(1986);Riechmannら、Nature、332:323−327(1988);Verhoeyenら、Science、239:1534−1536(1988))に従い、げっ歯類CDRまたはげっ歯類CDR配列でヒト抗体の対応する配列を置換すること(すなわち、CDRグラフティング(EP 239,400;PCT出願番号WO 91/09967;および米国特許第4,816,567号;同第6,331,415号;同第5,225,539号;同第5,530,101号;同第5,585,089号;同第6,548,640(これらの内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される)))によって行われ得る。このようなヒト化キメラ抗体において、実質的にインタクトのヒト可変ドメイン未満のものは、非ヒト種由来の対応する配列によって置換されている。実際には、ヒト化抗体は、代表的に、いくつかのCDR残基および可能ないくつかのFR残基がげっ歯類抗体中の類似部位由来の残基によって置換されるヒト抗体である。抗CD19抗体のヒト化はまた、薄板化または再表面作成(EP 592,106;EP 519,596;Padlan、1991、Molecular Immunology 28(4/5):489−498;Studnickaら、Protein Engineering、7(6):805−814(1994);およびRoguskaら、PNAS、91:969−973(1994))または鎖シャッフリング(米国特許第5,565,332号)によって達成され得る(これらの内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される)。
【0065】
ヒト化抗体の作製において使用されるヒト可変ドメイン(軽鎖および重鎖の両方)の選択は、抗原性を減少させるためである。いわゆる「ベストフィット(best−fit)」法に従って、げっ歯類抗体の可変ドメインの配列は、公知のヒト可変ドメイン配列のライブラリー全体に対してスクリーニングされる。次いで、げっ歯類の配列に最も近縁のヒト配列は、ヒト化抗体のためにヒトフレームワーク(FR)として受容される(Simsら、J.Immunol、151:2296(1993);Chothiaら、J.Mol Biol、196:901(1987)(これらの内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される)。別の方法は、軽鎖または重鎖の特定のサブグループの全てのヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定のフレームワークを使用する。同じフレームワークは、数種のヒト化抗CD19抗体のために使用され得る(Carterら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:4285(1992);Vrestaら、J.Immunol、151:2623(1993)(これらの内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される))。
【0066】
抗CD19抗体は、CD19に対する高い親和性の保持および他の好ましい生物学的特性を伴ってヒト化され得る。本発明の1つの局面にしたがって、ヒト化抗体は、親配列およびヒト化配列の三次元モデルを使用した親配列および種々の概念的なヒト化産物の分析プロセスによって調製される。免疫グロブリンの三次元モデルは、一般的に利用可能であり、そして当業者に十分に知られている。選択された候補の免疫グロブリン配列の可能な三次元のコンホメーション構造を例示および表示するコンピュータープログラムが、利用可能である。これらの表示の観察は、候補の免疫グロブリン配列の機能性における残基の考えられる役割の分析(すなわち、候補の免疫グロブリンのCD19を結合する能力に影響を及ぼす残基の分析)を可能にする。この方法において、FR残基は、所望の抗体の特徴(例えば、CD19に対する増大した親和性)が達成されるように、レシピエント配列および輸入配列から選択され、そして混合される得る。一般に、CDR残基は、直接的かつほぼ実質的に、抗原結合に対する影響に関与する。
【0067】
「ヒト化」抗体は、元の抗体と同様の抗原特異性(すなわち、本発明において、ヒトCD19抗原を結合する能力)を保持する。しかし、ヒト化の特定の方法を使用して、ヒトCD19抗原に対する抗体の結合の親和性および/または特異性は、Wuら、J.Mol.Biol、294:151(1999)(これらの内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される)によって記載されるように、「定向進化」の方法を使用して増大され得る。
【0068】
(5.1.7.ヒト抗体)
ヒトにおける抗体のインビボ使用のために、ヒト抗体を試用することが、好ましくあり得る。完全なヒト抗体は、特に、ヒト被験体の治療的処置のために望まれる。ヒト抗体は、当該分野において公知である種々の方法によって作製され得、この方法としては、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを使用した上に記載されるファージディスプレイ法(これらの技術に対する改良法を含む)が挙げられる。また、米国特許第4,444,887号および同第4,716,111号;ならびにPCT公開WO 98/46645、同WO 98/50433、同WO 98/24893、同WO 98/16654、同WO 96/34096、同WO 96/33735および同WO 91/10741(これらの各々は、その全体が本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。ヒト抗体はまた、重鎖および軽鎖がヒトDNAの1つ以上の供給源に由来するヌクレオチド配列によってコードされる抗体であり得る。
【0069】
ヒト抗CD19抗体はまた、機能的な内因性免疫グロブリンを発現できないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現し得るトランスジェニックマウスを使用して産生され得る。例えば、ヒト重鎖免疫グロブリン遺伝子複合体およびヒト軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体は、マウス胚性幹細胞中に、ランダムに導入されても、相同組換えによって導入されてもよい。あるいは、ヒト可変領域、ヒト定常領域およびヒト多様性領域は、ヒト重鎖遺伝子およびヒト軽鎖遺伝子に加えて、マウス胚性幹細胞中に導入され得る。マウス重鎖免疫グロブリン遺伝子およびマウス軽鎖免疫グロブリン遺伝子は、相同組換えによるヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入によって、別個または同時に非機能的にされ得る。例えば、キメラマウスおよび生殖系列変異マウス中の抗体重鎖連結領域(J)遺伝子のホモ欠失は内因性の抗体産生の完全な阻害をもたらすことが、記載されている。改変された胚性幹細胞は、キメラマウスを産生するために、拡大培養(expand)され、そして胚盤胞中にマイクロインジェクションされる。次いでキメラマウスは、ヒト抗体を発現するホモ接合の子孫を産生するために採決される。トランスジェニックマウス選択された抗原(例えば、本発明のポリペプチドの全部または一部)によって通常の様式で免疫化される。ヒトCD19抗原に対する抗CD19抗体は、通常のハイブリドーマ技術を使用した免疫化されたトランスジェニックマウスから得られ得る。トランスジェニックマウスによって内包されるヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞の分化の間に再配列し、次いでクラススイッチおよび体細胞変異を受ける。したがって、このような技術を使用して、治療的に有用なIgG抗体、IgA抗体、IgM抗体およびIgE抗体を産生することが、可能であり、これらの抗体としては、IgG1(γ1)およびIgG3が挙げられるが、これらに限定されない。ヒト抗体を産生するためのこの技術の概要については、LonbergおよびHuszar(Int.Rev.Immunol、13:65−93(1995))を参照のこと。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのこの技術、ならびにこのような抗体を産生するためのプロトコルの詳細な考察については、例えば、PCT公開番号WO 98/24893、同WO 96/34096および同WO 96/33735;ならびに米国特許第5,413,923号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,569,825号;同第5,661,016号;同第5,545,806号;同第5,814,318号および同第5,939,598号(これらの各々は、その全体が本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。さらに、Abgenix,Inc.(Freemont、CA)およびGenpharm(San Jose、CA)などの会社は、上に記載されるものに類似する技術を使用して、選択された抗原に対するヒト抗体を提供するために従事し得る。抗原チャレンジの際にヒト抗体の産生をもたらす生殖系列変異マウスにおけるヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイの移動の特定の考察については、例えば、Jakobovitsら、Proc.Natl Acad.Sci.USA、90:2551(1993);Jakobovitsら、Nature、362:255−258(1993);Bruggermannら、Year in Immunol、7:33(1993);およびDuchosalら、Nature、355:258(1992)を参照のこと。
【0070】
ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリー(Hoogenboomら、J.Mol Biol、227:381(1991);Marksら、J.Mol Biol、222:581−597(1991);Vaughanら、Nature Biotech.、14:309(1996))に由来し得る。ファージディスプレイ技術(McCaffertyら、Nature、348:552−553(1990))は、免疫化されていないドナー由来の免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レポーターからヒト抗体および抗体フラグメントをインビトロで産生するために使用され得る。この技術にしたがって、抗体Vドメイン遺伝子は、糸状バクテリオファージのメジャーコートタンパク質またはマイナーコートタンパク質遺伝子(例えば、M13またはfd)中にインフレームでクローニングされ、そしてファージ粒子の表面上に機能的抗体フラグメントとして提示される。糸状粒子は、ファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含むので、抗体の機能的特性に基づく選択はまた、その特性を示す抗体をコードする遺伝子の選択をもたらす。したがって、そのファージは、B細胞の特性のいくつかを模倣する。ファージディスプレイは、種々の様式で行われ得る;それらの概要については、例えば、Johnson,Kevin S.およびChiswell,David J.、Current Opinion in Structural Biology 3:564−571(1993)を参照のこと。V遺伝子セグメントの数種の供給源は、ファージディスプレイのために使用され得る。Clacksonら、Nature、352:624−628(1991)は、免疫化されていないマウスの脾臓に由来するV遺伝子の小さいランダムコンビナトリアルライブラリー由来の抗オキサゾリン抗体の多様な配列を単離した。免疫化されていないヒトドナー由来のV遺伝子のレポーターが、構築され得、そして抗原(自己抗原を含む)の多様な配列に対する抗体は、本質的に、Marksら、J.Mol.Biol.、222:581−597(1991)、またはGriffithら、EMBO J.、12:725−734(1993)によって記載される技術に従って単離され得る。また、米国特許第5,565,332号および同第5,573,905号(これらの各々は、その全体が本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。
【0071】
ヒト抗体はまた、インビトロで活性化されたB細胞によって産生され得る(米国特許第5,567,610号および同第5,229,275号(これらの各々は、その全体が本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)ヒト抗体はまた、インビトロハイブリドーマ技術(例えば、Roderら(Methods Enzymoh、121:140−167(1986))によって記載される技術であるが、これに限定されない)を使用してインビトロで産生され得る。
【0072】
(5.1.8.変化した抗体/変異抗体)
本発明の組成物および方法の抗CD19抗体は、変異抗体であり得る。本明細書中で使用される場合、「抗体変異体」または「変化した抗体」とは、抗CD19抗体のアミノ酸残基の1個以上が改変されている抗CD19抗体のアミノ酸配列改変体をいう。抗CD19抗体のアミノ酸配列の改変としては、その抗原に対する抗体の親和性もしくはアビディティを改良するための配列に対する改変、および/またはエフェクター機能を改良するための抗体のFc部分に対する改変が挙げられる。それらの改変は、任意の公知の抗CD19抗体または本明細書中に記載されるような抗CD19抗体に対して行われ得る。このような変化した抗体は、必然的に、公知の抗CD19抗体との100%未満の配列の同一性または類似性を有する。好ましい実施形態において、変化した抗体は、抗CD19抗体の重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインのいずれかのアミノ酸配列との少なくとも25%、35%、45%、55%、65%、または75%(より好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも85%、より好ましくは、少なくとも90%および最も好ましくは、少なくとも95%)のアミノ酸配列の同一性または類似性を有するアミノ酸配列を有する。好ましい実施形態において、変化した抗体は、抗CD19抗体の重鎖CDR1、CDR2、またはCDR3のアミノ酸配列との少なくとも25%、35%、45%、55%、65%、または75%(より好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも85%、より好ましくは、少なくとも90%および最も好ましくは、少なくとも95%)のアミノ酸配列の同一性または類似性を有するアミノ酸配列を有する。好ましい実施形態において、変改した抗体は、ヒトCD19結合能を維持する。特定の実施形態において、本発明の抗CD19抗体は、HB12aの重鎖に対応する配列番号2(図5A)のアミノ酸配列に対して約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上同一である重鎖を含む。特定の実施形態において、本発明の抗CD19抗体は、HB12bの重鎖に対応する配列番号4(図5B)のアミノ酸配列に対して、約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上同一である重鎖を含む。特定の実施形態において、本発明の抗CD19抗体は、HB12aの軽鎖に対応する配列番号16(図6A)のアミノ酸配列に対して、約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上同一である重鎖を含む。特定の実施形態において、本発明の抗CD19抗体は、HB12bの軽鎖に対応する配列番号18(図6B)のアミノ酸配列に対して、約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上同一である軽鎖を含む。HB12a抗CD19抗体およびHB 12b抗CD19抗体を産生するハイブリドーマは、ATCC受託番号PTA−6580およびPTA−6581の下で受託されている。
【0073】
この配列に関する同一性または類似性は、配列を整列し、そして最大の%配列同一性を達成するために必要に応じてギャップを導入した後における、抗CD19抗体残基と同一(すなわち、同じ残基)または類似(すなわち、一般的な側鎖特性に基づいた同じ群由来のアミノ酸残基、以下を参照のこと)である候補配列中のアミノ酸残基の%として本明細書中で規定される。配列の同一性または類似性に影響するような、可変ドメインの外側の抗体配列中へのN末端、C末端、または内部の伸長、欠失、または挿入は、構築されない。
【0074】
「%同一性」は、当該分野において公知である通り、2つのポリヌクレオチドまたは2つのポリペプチドの間の関係の尺度(それらの配列を比較することによって決定される)である。一般に、比較される2つの配列は、それらの配列間に最大の相関を与えるように整列される。それら2つの配列のアライメントが、調べられ、そしてそれら2つの配列の間で決定された正確なアミノ酸またはヌクレオチドの対応を与える位置の数は、%同一性の数値を与えるために、アライメントの全長で除算され、そして100を乗算される。この%同一性の数値は、比較される配列の、全長にわたって決定(それらの配列は、同一または非常に類似する長さの配列に特に適切であり、そしてその配列は、高度に相同である)され得るか、またはより短い規定された長さにわたって決定(それは、等しくない長さの配列により適切であるか、またはより低い相同性のレベルを有する)され得る。
【0075】
例えば、配列は、「.aln」拡張子を有するファイルを作成するUnix(登録商標) におけるソフトウェアclustalwを用いて整列され得、次いでこのファイルは、.alnファイルを開くBioeditプログラム(Hall、T.A.1999、BioEdit:a user−friendly biological sequence alignment editor and analysis program for Windows(登録商標) 95/98/NT.Nucl.Acids.Symp.Ser.41:95−98)へとインポートされ得る。Bioeditウィンドウにおいて、個々の配列(1回に2つずつ)を選択し得、そしてそれらを整列し得る。この方法は、配列全体の比較を可能にする。
【0076】
2つ以上の配列の同一性を比較するための方法は、当該分野において周知である。したがって、例えば、プログラムは、Wisconsin Sequence Analysis Package、バージョン9.1(Devereux Jら、Nucleic Acids Res.、12:387−395、1984、Genetics Computer Group、Madison、WI、USAから利用可能である)において利用可能である。2つの配列間の%同一性の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成され得る。例えば、プログラムBESTFITおよびGAPは、2つのポリヌクレオチド間の%同一性および2つのポリペプチド配列間の%同一性を決定するために使用され得る。BESTFITは、SmithおよびWaterman(Advances in Applied Mathematics、2:482−489、1981)の「局所相同性(local homology)」アルゴリズムを使用し、そして2つの配列間で最も類似性の単一の領域を見出す。BESTFITは、長さが類似していない2つのポリヌクレオチドまたは2つのポリペプチド配列の比較により適合され、このプログラムは、より短い配列がより長い配列の一部を表すと仮定する。比較において、GAPは、NeddlemanおよびWunsch(J Mol.Biol、48:443−354、1970)のアルゴリズムに従って、「最大の類似性」を見出す2つの配列を整列する。GAPは、ほぼ同じ長さである配列の比較により適合され、そしてアライメントは、全長にわたって予想される。好ましくは、各プログラムにおいて使用されるパラメータ「ギャップ加重(Gap Weight)」および「長さ加重(Length Weight)」は、それぞれ、ポリヌクレオチドについては50および3であり、そしてポリペプチドについては12および4 である。好ましくは、%同一性および%類似性は、比較される2つの配列が最適に整列される場合に決定される。
【0077】
配列間の同一性および/または類似性を決定するための他のプログラムもまた、当該分野において公知である(例えば、BLASTファミリーのプログラム(Karlin & Altschul、1993、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:5873−5877のように改変された、Karlin & Altschul、1990、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87:2264−2268(National Center for Biotechnology Information(NCB)、Bethesda、MD、USAから入手可能であり、そしてwww.ncbi.nlm.nih.govにてNCBIのホームページからアクセス可能である)))。これらのプログラムは、2つの配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの好ましい非限定的な例を例示する。このようなアルゴリズムは、Altschulら、1990、J.Mol.Biol.、215:403−410のNBLASTプログラムおよびXBLASTプログラムに組み込まれる。BLASTヌクレオチド検索は、本発明の抗CD19抗体の全部または一部をコードする核酸分子に対して相同なヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12を用いて行われ得る。BLASTタンパク質検索は、本発明のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いて行われ得る。比較目的のためのギャップ付きアライメントを得るために、Gapped BLASTが、Altschulら、1997、Nucleic Acids Res.、25:3389−3402に記載される通りに利用され得る。あるいは、PSI−Blastは、分子の間の距離関係を検出する反復検索を実行するために使用され得る(Id.)。BLASTプログラム、Gapped BLASTプログラムおよびPSI−Blastプログラムを利用する場合、各プログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)の初期設定パラメータが、使用され得る。http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照のこと。配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの別の好ましい非限定的な例は、MyersおよびMiller、1988、CABIOS 4:11−17のアルゴリズムである。このようなアルゴリズムは、GCG配列アライメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれる。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120加重残基表、12のギャップ長ペナルティーおよび4のギャップペナルティーが、使用され得る。
【0078】
配列間の同一性および/または類似性を決定するための当該分野において公知であるプログラムの別の非限定的な例は、FASTAである(Pearson W.R.およびLipman DJ.、Proc.Nat.Acad.Sci.USA、85:2444−2448、1988(Wisconsin Sequence Analysis Packageの一部として利用可能))。好ましくは、BLOSUM62アミノ酸置換マトリックス(Henikoff S.およびHenikoff J.G.、Proc.Nat.Acad.Sci.USA、89:10915−10919、1992)は、ヌクレオチド配列がまず比較前にアミノ酸配列に翻訳される場合を含む、ポリペプチド配列比較において使用される。
【0079】
アミノ酸配列間の同一性および/または類似性を決定するための当該分野において公知であるプログラムのなお別の非限定的な例は、プログラムの初期設定のアルゴリズムおよびパラメータ設定:blosum62、ギャップ加重8、長さ加重2を用いて利用されるSeqWeb Software(GCG Wisconsin Package:Gapプログラムに対するウェブベースのインターフェース)である。
【0080】
2つの配列間の%同一性は、ギャップを許容してか、またはギャップを許容せずに上記の技術と同様の技術を使用して決定され得る、%同一性の算出において、代表的に、正確な一致が、計測される。
【0081】
好ましくは、プログラムBESTFITは、本発明のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列に関して、クエリーポリヌクレオチド配列またはクエリーポリペプチド配列の%同一性を決定するために使用され、クエリー配列および参照配列は、最適に整列され、そしてプログラムのパラメータは、初期値に設定される。
【0082】
変化した抗体を産生するために、1個以上のアミノ酸の変化(例えば、置換)が、種依存的抗体の1個以上の超可変領域に導入される。代替的かまたは追加的に、フレームワーク領域残基の1つ以上の変化(例えば、置換)は、抗CD19抗体に導入され得、これらは、第2の哺乳動物種由来の抗原に対する抗体変異体の結合親和性における改善をもたらす。改変するフレームワーク領域残基の例としては、直接的に抗原を非共有結合する残基(Amitら、Science、233:747−753(1986));CDRのコンホメーションと相互作用する残基/CDRのコンホメーションと相互作用に影響を及ぼす残基(Chothiaら、J.Mol Biol、196:901−917(1987));および/またはV−V界面に関与する残基(EP 239 400B1)が挙げられる。特定の実施形態において、1個以上のこのようなフレームワーク領域残基の改変は、第2の哺乳動物種由来の抗原に対する抗体の結合親和性の増強をもたらす。例えば、約1個〜約5個のフレームワーク残基が、本発明のこの実施形態において変更され得る。ときとして、これは、超可変領域残基が変更されていない場合でさえ、前臨床試験において使用するのに適した抗体変異体を産生するのに十分であり得る。しかし、通常は、変化した抗体は、さらなる超可変領域の変化を含む。
【0083】
変更される超可変領域残基は、ランダムに変えられ得る(特に、第2の哺乳動物種由来の抗原に対する抗CD19抗体の結合親和性の開始が、このようなランダムに産生された変化した抗体が容易にスクリーニングされ得ることをもたらすものである場合)。
【0084】
このような変化した抗体を産生するための1つの有用な手順は、「アラニンスキャニング変異誘発(alanine scanning mutagenesis)」(CunninghamおよびWells、Science、244:1081−1085(1989))を称される。ここで、超可変領域残基の1個以上は、そのアミノ酸と、第2の哺乳動物種由来の抗原との相互作用に影響を与えるように、アラニン残基またはポリアラニン残基によって置換される。次いで、置換に対する機能的感受性を示す超可変領域残基は、置換の部位においてか、またはそれに対して、さらなる変異誘発または他の変異誘発を導入することによって洗練される。したがって、アミノ酸配列のバリエーションを導入するための部位が、予め決定される一方で、変異それ自体の性質は、予め決定される必要がない。この方法によって産生されたAla変異体は、本明細書中に記載されるような生物学的活性についてスクリーニングされる。
【0085】
このような変化した抗体を産生するための別の手順は、ファージディスプレイを使用した親和性成熟(affinity maturation)を含む(Hawkinsら、J.Mol Biol、254:889−896(1992)およびLowmanら、Biochemistry、30(45):10832−10837(1991))。簡単にいうと、数個の超可変領域部位(例えば、6〜7個の部位)は、各部位に全ての可能なアミノ酸置換をもたらすために変異される。そのようにして産生された抗体変異体は、糸状ファージ粒子から、各粒子内にパッケージ化されたM13の遺伝子III産物に対する融合体として一価の様式で提示される。次いで、ファージが提示した変異体は、本明細書中に開示されるような生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。
【0086】
抗体配列における変異としては、置換、内部欠失を含む欠失、付加(融合タンパク質を生じる付加を含む)、またはアミノ酸配列内のアミノ酸残基および/もしくはアミノ酸配列に隣接するアミノ酸残基の保存的置換(しかし、それらは、「沈黙(silent)」変化(すなわち、その変化は、機能的に等価の抗CD19抗体を産生する)をもたらす)が挙げられ得る。保存的アミノ酸置換は、関与する残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、および/または両親媒性に基づいて行われ得る。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンが挙げられ;極性の中性アミノ酸としては、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギンおよびグルタミンが挙げられ;正に荷電した(塩基性)アミノ酸としては、アルギニン、リジンおよびヒスチジンが挙げられ;そして負に荷電した(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられる。さらに、グリシンおよびプロリンは、鎖の位置付けに影響し得る残基である。非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーを別のクラスのメンバーに交換することを必要とする。さらに、所望される場合、非古典的アミノ酸または化学的なアミノ酸アナログは、抗体配列に対する置換または付加として導入され得る。非古典的アミノ酸としては、一般に、一般的なアミノ酸のD−異性体、α−アミノイソ酪酸、4−アミノ酪酸、Abu、2−アミノ酪酸、γ−Abu、ε−Ahx、6−アミノヘキサン酸、Aib、2−アミノイソ酪酸、3−アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β−アラニン、フルオロ−アミノ酸、β−メチルアミノ酸、Cα−メチルアミノ酸、Nα−メチルアミノ酸およびアミノ酸アナログなどのデザイナー(designer)アミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
別の実施形態において、改変のために選択された部位は、ファージディスプレイを使用して、親和性成熟される(上記を参照のこと)。
【0088】
当該分野において公知である変異誘発のための任意の技術は、DNA配列中の個々のヌクレオチドを改変するため、抗体配列においてアミノ酸置換を行なう目的のため、またはさらなる操作を容易にするために制限酵素部位を作製/削除するために使用され得る。このような技術としては、化学的変異誘発、インビトロ位置指定変異誘発(Kunkel、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、82:488(1985);Hutchinson,C.ら、J.Biol.Chem.、253:6551(1978))、オリゴヌクレオチド指定変異誘発(Smith、Ann.Rev.Genet、19:423−463(1985);Hillら、Methods Enzymol、155:558−568(1987))、PCRベースのオーバーラップ伸長(Hoら、Gene、77:51−59(1989))、PCRベースのメガプライマー変異誘発(Sarkarら、Biotechniques、8:404−407(1990))などが挙げられるが、これらに限定されない。改変は、二本鎖デオキシDNA配列決定によって確認され得る。
【0089】
本発明の特定の実施形態において、抗CD19抗体は、融合タンパク質(すなわち、異種のタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドに融合された抗体、またはフラグメント)を産生するために改変され得る。特定の実施形態において、抗CD19抗体の部分に融合されたタンパク質は、ADEPTの酵素成分である。抗CD19抗体との融合タンパク質として操作され得る他のタンパク質またはポリペプチドの例としては、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ、DNase I、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリン(diphtherin)毒素、シュードモナス属の体外毒素およびシュードモナス属の内毒素などの毒素が挙げられるが、これに限定されない。例えば、Pastanら、Cell、47:641(1986)およびGoldenbergら、Cancer Journal for Clinicians、44:43(1994)を参照のこと。使用され得る酵素的に活性な毒素およびそのフラグメントとしては、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性フラグメント、体外毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシン(modeecin)A鎖、α−サルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP−S)、momordica charantiaインヒビター、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、sapaonaria officinalisインヒビター、ゲロニン、マイトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)、およびトリコテセンが挙げられる。例えば、1993年10月28日に公開されたWO 93/21232を参照のこと。
【0090】
さらなる融合タンパク質は、遺伝子シャッフリング、モチーフシャッフリング、エキソンシャッフリング、および/またはコドンシャッフリング(集合的に、「DNAシャッフリング」と称される)の技術によって産生され得る。DNAシャッフリングは、SYNAGIS(登録商標)またはそのフラグメント(例えば、より高い親和性およびより低い解離速度を有する抗体またはそのフラグメント)の活性を変化させるために利用され得る。一般に、米国特許第5,605,793号;同第5,811,238号;同第5,830,721号;同第5,834,252号および同第5,837,458号ならびにPattenら、1997、Curr.Opinion Biotechnol、8:724−33;Harayama、1998、Trends Biotechnol.16(2):76−82;Hanssonら、1999、J.Mol.Biol、287:265−76;ならびにLorenzoおよびBlasco、1998、Biotechniques 24(2):308−313(これらの特許および刊行物の各々は、その全体が本明細書によって参考として援用される)を参照のこと。上記抗体は、さらに、米国公開第20030118592号、米国公開第200330133939号およびPCT公開WO 02/056910(全ては、Ledbetterらに対するもの)(これらは、その全体が本明細書中に参考として援用される)に記載されるような結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質であり得る。
【0091】
(5.1.9.ドメイン抗体)
本発明の組成物および方法の抗CD19抗体は、ドメイン抗体(例えば、ヒト抗体の重鎖(V)または軽鎖(V)の可変領域に対応する抗体の小さな機能的結合ユニットを含む抗体)であり得る。ドメイン抗体の例としては、治療標的に特異的である、Domantis Limited(Cambridge、UK)およびDomantis Inc.(Cambridge、MA、USA)から入手可能な抗体(例えば、WO04/058821;WO04/003019;米国特許第6,291,158号;同第6,582,915号;同第6,696,245号;および同第6,593,081号を参照のこと)が挙げられるが、これに限定されない。ドメイン抗体の市販のライブラリーは、抗CD19ドメイン抗体を同定するために使用され得る。特定の実施形態において、本発明の抗CD19抗体は、CD19の機能的結合ユニットおよびFcγレセプターの機能的結合ユニットを含む。
【0092】
(5.1.10.ダイアボディ)
用語「ダイアボディ」とは、2個の抗原結合部位を有する小さい抗体フラグメント(フラグメントが、同じポリペプチド鎖において軽鎖可変ドメイン(V)に連結した重鎖可変ドメイン(V)を含む(V−V))をいう。同じ鎖上の2個のドメインの間の対形成を可能にするには短すぎるリンカーを使用することによって、それらのドメインは、別の鎖の相補ドメインと対形成させられ、そして2個の抗原結合部位を形成する。ダイアボディは、例えば、EP 404,097;WO 93/11161;およびHollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:6444−6448(1993)において、より完全に記載される。
【0093】
(5.1.11.ワクチボディ)
本発明の特定の実施形態において、抗CD19抗体は、ワクチボディである。ワクチボディは、ダイマーのポリペプチドである。ワクチボディの各々のモノマーは、ヒンジ領域およびCγ3ドメインを介して第2のscFvに連結したAPC上の表面分子に対する特異性を有するscFvからなる。本発明の他の実施形態において、scFvのうちの1つとして抗CD19抗体フラグメントを含むワクチボディは、破壊されたB細胞およびADCCを媒介するエフェクター細胞を並置するために使用され得る。例えば、Bogenら、米国特許出願公開第20040253238号を参照のこと。
【0094】
(5.1.12.直鎖抗体)
本発明の特定の実施形態において、抗CD19抗体は、直鎖抗体である。直鎖抗体は、抗原結合領域の対を形成する、縦列のFdセグメントの対(V−CH1−V−CH1)を含む。直鎖抗体は、二重特異性または単一特異性であり得る。Zapataら、Protein Eng.、8(10):1057−1062(1995)を参照のこと。
【0095】
(5.1.13.親抗体)
本発明の特定の実施形態において、抗CD19抗体は、親抗体である。「親抗体」は、本明細書中に開示されるような変化した抗体/変異抗体と比較して、その1個以上の超可変領域にあるか、またはそれに隣接する1個以上のアミノ酸残基を欠くか、またはそのアミノ酸が不足しているであるアミノ酸配列を含む抗体である。したがって、親抗体は、本明細書中に開示されるような抗体変異体の対応する超可変領域よりも短い超可変領域を有する。親ポリペプチドは、ネイティブな配列(すなわち、天然に存在する)の抗体(天然に存在する対立遺伝子改変体)、または天然に存在する配列の予め存在するアミノ酸配列の改変(例えば、他の挿入、欠失および/または置換)を有する抗体を含み得る。好ましくは、親抗体は、ヒト化抗体またはヒト抗体である。
【0096】
(5.1.14.抗体フラグメント)
「抗体フラグメント」は、完全長抗体の一部(一般に、その抗原結合領域または可変領域)を含む。抗体フラグメントの例としては、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)フラグメントおよびFvフラグメント;ダイアボディ;直鎖抗体;単鎖抗体分子;ならびに抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が挙げられる。
【0097】
伝統的に、これらのフラグメントは、インタクトな抗体のタンパク質分解性の消化によって得られた(例えば、Morimotoら、Journal of Biochemical and Biophysical Methods、24:107−117(1992)およびBrennanら、Science、229:81(1985)を参照のこと)。しかし、これらのフラグメントは、現在、組換え宿主細胞によって直接産生され得る。例えば、抗体フラグメントは、上で考察される抗体ファージライブラリーから単離され得る。あるいは、Fab’−SHフラグメントは、E.coliから直接回収され得、そして化学的にカップリングされてF(ab’)フラグメントを形成し得る(Carterら、Bio/Technology、10:163−167(1992))。別のアプローチに従って、F(ab’)フラグメントは、組換え宿主細胞培養物から直接単離され得る。抗体フラグメントの産生のための他の技術は、当業者に明らかである。他の実施形態において、選択肢である抗体は、単鎖Fvフラグメント(scFv)である。例えば、WO 93/16185を参照のこと。特定の実施形態において、抗体は、Fabフラグメントではない。
【0098】
(5.1.15.二重特異性抗体)
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに対する結合特異性を有する抗体である。例示の二重特異性抗体は、B細胞表面マーカーの2つの異なるエピトープに結合し得る。他のこのような抗体は、第1のB細胞マーカーを結合し得、そして第2のB細胞表面マーカーをさらに結合し得る。あるいは、抗B細胞マーカー結合アームは、B細胞に細胞防衛機構を行なわせるために、白血球上の誘発分子(例えば、T細胞レセプター分子(例えば、CD2またはCD3))またはIgGに対するFcレセプター(FcγR)に結合するアームと合わされ得る。二重特異性抗体はまた、細胞傷害性因子をB細胞に局在化させるために使用され得る。これらの抗体は、B細胞マーカー結合アームおよび細胞傷害性因子を結合するアーム(例えば、サポリン、抗インターフェロン−・、ビンカアルカロイド、リシンA鎖、methola−exateまたは放射性同位体ハプテン)を有する。二重特異性抗体は、完全長抗体または抗体フラグメント(例えば、F(ab’):二重特異性抗体)として調製され得る。
【0099】
二重特異性抗体を作製するための方法は、当該分野において公知である。(例えば、Millsteinら、Nature、305:537−539(1983);Trauneckerら、EMBO J、10:3655−3659(1991);Sureshら、Methods in Enzymology、121.−210(1986);Kostelnyら、J.Immunol、148(5):1547−1553(1992);Hollingerら、Proc.Natl Acad.Sci.USA、90:6444−6448(1993);Gruberら、J.Immunol、152:5368(1994);米国特許第4,474,893号;同第4,714,681号;同第4,925,648号;同第5,573,920号;同第5,601,819号;同第5,731,168号;同第4,676,980号および同第4,676,980号、WO 94/04690;WO 91/00360;WO 92/200373;WO 93/17715;WO 92/08802;ならびに EP 03089を参照のこと)。
【0100】
本発明の特定の実施形態において、上記組成物および方法は、ヒトCD19およびT細胞レセプターのCD3ε鎖に対する特異性を有する二重特異性マウス抗体(例えば、Danielら、blood、92:4750−4757(1998)によって記載される二重特異性抗体)を含む。好ましい実施形態において、本発明の組成物および方法の抗CD19抗体が二重特異性である場合、その抗CD19抗体は、ヒト抗体またはヒト化抗体であり、そしてヒトCD19およびT細胞上のエピトープに対する特異性を有するか、または例えば、細胞死をもたらす単球/マクロファージおよび/またはナチュラルキラー細胞などのヒトエフェクター細胞に結合し得る。
【0101】
(5.1.16.エフェクター機能の操作)
本発明の抗CD19抗体を、例えば、B細胞の悪性疾患の処置におけるその抗体の効果を増強するためにエフェクター機能に関して改変することが、望まれ得る。例えば、システイン残基が、Fc領域中に導入され得、それによってこの領域における鎖間のジスルフィド結合形成を可能にする。そのようにして産生されたホモダイマー抗体は、改良された内在化性能ならびに/または増大した補体媒介性の細胞殺傷および/もしくは抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を有し得る。Caronら、J.Exp Med、176:1191−1195(1992)およびShopes,B.、J.Immunol、148:2918−2922(1992)を参照のこと。増強された抗腫瘍活性を有するホモダイマー抗体はまた、Wolffら、Cancer Research、53:2560−2565(1993)に記載されるようなヘテロ二官能性架橋剤を使用して調製され得る。あるいは、抗体は、操作され得、その抗体は、二重のFc領域を有し、それによって増強された補体溶解性能およびADCC性能を有し得る。Stevensonら、Anti−Cancer Drug Design、3:219−230(1989)を参照のこと。
【0102】
エフェクター機能を変化させるように抗体のFc領域を操作する他の方法は、当該分野において公知である(例えば、FCγRIIに対する結合親和性と比較してFcγRIIBに対する結合親和性を増強させるようにFc領域を変化させることを記載する米国特許公開第20040185045号およびPCT公開第WO 2004/016750号(両方とも、Koenigらに対するもの)を参照のこと;Armourらに対するPCT公開第WO 99/58572号、Idusogieらに対するWO 99/51642およびDeoらに対する米国特許第6,395,272号もまた参照のこと(これらの開示は、その全体が本明細書中に援用される))。FcγRIIBに対する結合親和性を減少させるようにFc領域を改変する方法もまた、当該分野において公知である(例えば、米国特許公開第20010036459号およびPCT公開第WO 01/79299号(両方とも、Ravetchらに対するもの)(これらの開示は、その全体が本明細書中に援用される))。野生型Fc領域と比較してFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する増強された結合親和性を有する改変体Fc領域を有する改変された抗体もまた、記載されている(例えば、Stavenhagenらに対するPCT公開第WO 2004/063351号(この開示は、その全体が本明細書中に援用される))。
【0103】
当該分野において公知であるインビトロアッセイは、本発明の組成物および方法において使用される抗CD19抗体がADCCを媒介し得るか否かを決定するために使用され得る(例えば、第5.3.2節に記載されるもの)。
【0104】
(5.1.17.改変体Fc領域)
本発明は、改変体Fc領域を含むタンパク質の処方物を提供する。それは、天然に存在しないFc領域(例えば、1個以上の天然に存在しないアミノ酸残基を含むFc領域)である。アミノ酸の欠失、付加および/または改変を含むFc領域もまた、本発明の改変体Fc領域によって包含される。
【0105】
本明細書中で使用されるFc領域が第1の定常領域免疫グロブリンドメインを除く抗体の定常領域を含むポリペプチドを含むことが、理解される。したがって、Fcとは、IgA、IgDおよびIgGの最後の2つの定常領域免疫グロブリンドメイン、ならびにIgEおよびIgMの最後の3つの定常領域免疫グロブリンドメインならびにこれらのドメインに対する柔軟なヒンジN末端をいう。IgAおよびIgMに関して、Fcは、J鎖を含み得る。IgGに関して、Fcは、免疫グロブリンドメインCガンマ2およびCガンマ3(Cγ2およびCγ3)ならびにCγ1(Cγ1)とCγ2(Cγ2)との間のヒンジを含む。Fc領域の境界は変動し得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、そのカルボキシ末端に対して残基C226またはP230を含むように規定され、番号付けは、Kabatら(1991、NIH Publication 91−3242、National Technical Information Service、Springfield、VA)のようなEUインデックスに従う。「Kabatに示されるようなEUインデックス」とは、Kabatら(前出)に記載されるようなヒトIgG1 EU抗体の残基の番号付けをいう。Fcとは、単離におけるこの領域または抗体、抗体フラグメント、またはFc融合タンパク質の文脈におけるこの領域をいい得る。Fc改変体タンパク質は、Fc領域を含む抗体、Fc融合体、または任意のタンパク質もしくはタンパク質ドメインであり得る。改変体Fc領域を含むタンパク質が、特に好ましく、その改変体Fc領域は、Fcの天然に存在しない改変体である(注記:多型性が、多くのFc位置(Kabat270、272、312、315、356および358が挙げられるが、これらに限定されない)において観察されており、したがって提供された配列と先行技術における配列との間のわずかな違いが、存在し得る)。
【0106】
本発明は、類似の分子(例えば、野生型Fc領域を有することを除いて同じアミノ酸配列を有するタンパク質)と比較して、Fcリガンド(例えば、Fcレセプター、C1q)に対する結合特性を変化させたFc改変体タンパク質を包含する。結合特性の例としては、結合特異性、平衡解離定数(KD)、解離速度および会合速度(それぞれ、KoffおよびKon)、結合親和性ならびに/またはアビディティが挙げられるが、これらに限定されない。低いKDを有する結合分子(例えば、Fc改変体タンパク質(例えば、抗体))は高いKDを有する結合分子に対して好ましいことが、一般的に理解される。しかし、いくつかの場合において、konまたはkoffの値は、KDの値よりも多くの意味を有し得る。当業者は、所与の抗体の応用に最も重要である動態パラメータを決定し得る。
【0107】
Fcドメインのそのリガンドに対する親和性および結合特性は、Fc−FcγR相互作用(すなわち、FcγRに対するFc領域の特異的結合)を決定するために、当該分野において公知である種々のインビトロアッセイ法(生物化学ベースのアッセイまたは免疫学ベースのアッセイ)によって決定され得、そのインビトロアッセイ法としては、平衡法(例えば、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)、または放射免疫アッセイ(RIA))、または動態(例えば、BIACORE(登録商標)分析)および他の方法(例えば、間接的結合アッセイ、競合阻害アッセイ、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、ゲル電気泳動およびクロマトグラフィー(例えば、ゲル濾過))が挙げられるが、これらに限定されない。これらの方法および他の方法は、1つ以上の試験される成分に対する標識を利用し得、そして/または種々の検出方法(色素標識、蛍光標識、発光標識、または同位体標識が挙げられるが、これらに限定されない)を使用し得る。結合親和性および動態の詳細な記載は、抗体−免疫原相互作用に焦点をあてるPaul,W.E.(編)、Fundamental Immunology、第4版、Lippincott−Raven、Philadelphia(1999)に見出され得る。
【0108】
1つの実施形態において、Fc改変体タンパク質は、類似の分子と比較して、1種以上のFcリガンドに対する増強された結合を有する。別の実施形態において、Fc改変体タンパク質は、類似の分子のFcリガンドに対する親和性よりも少なくとも2倍、または少なくとも3倍、または少なくとも5倍、または少なくとも7倍、または少なくとも10倍、または少なくとも20倍、または少なくとも30倍、または少なくとも40倍、または少なくとも50倍、または少なくとも60倍、または少なくとも70倍、または少なくとも80倍、または少なくとも90倍、または少なくとも100倍、または少なくとも200倍大きいFcリガンドに対する親和性を有する。特定の実施形態において、Fc改変体タンパク質は、Fcレセプターに対する増強された結合を有する。別の特定の実施形態において、Fc改変体タンパク質は、FcレセプターFcγRIIIAに対する増強された結合を有する。さらに別の特定の実施形態において、Fc改変体タンパク質は、FcレセプターFcRnに対する増強された結合を有する。なお別の特定の実施形態において、Fc改変体タンパク質は、類似の分子と比較して、C1qに対する増強された結合を有する。
【0109】
Fc領域を含むタンパク質の血清半減期は、FcRnに対するFc領域の結合親和性を増大させることによって増大し得る。1つの実施形態において、Fc改変体タンパク質は、類似の分子と比較して増強された血清半減期を有する。
【0110】
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」または「ADCC」とは、特定の細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球およびマクロファージ)上に存在するFcレセプター(FcR)に結合される分泌型Igが、これらの細胞傷害性エフェクター細胞が抗原を有する標的細胞に特異的に結合し、次いで細胞毒性によって標的細胞を殺すことを可能にするという細胞傷害性をいう。標的細胞の表面を指向する特定の高親和性IgG抗体は、細胞傷害性細胞を「武装させ(arm)」、そしてこのような殺傷のために絶対に必要とされる。標的細胞の溶解は、細胞外であり、細胞同士の直接的な接触を必要とし、そして補体を伴わない。抗体に加えて、抗原を有する標的細胞に特異的に結合する能力を有するFc領域を含む他のタンパク質(特に、Fc融合タンパク質)が、細胞媒介生細胞傷害を達成し得ることが、企図される。単純化するために、Fc融合タンパク質の活性によって生じる細胞媒介生細胞傷害もまた、本明細書中でADCC活性と称される。
【0111】
任意の特定のFc改変体タンパク質がADCCによる標的細胞の溶解を媒介する能力は、アッセイされ得る。ADCC活性を評価するために、目的のFc改変体タンパク質は、標的細胞の細胞溶解をもたらす抗原抗体複合体によって活性化され得る免疫エフェクター細胞と組み合わせて、標的細胞に添加される。細胞溶解は、一般に、溶解した細胞からの標識(例えば、放射性物質、蛍光色素または天然の細胞内タンパク質)の放出によって検出される。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。インビトロADCCアッセイの具体的な例は、Wisecarverら、1985 79:277−282;Bruggemannら、1987、J Exp Med 166:1351−1361;Wilkinsonら、2001、J Immunol Methods 258:183−191;Patelら、1995 J Immunol Methods 184:29−38に記載される。代替的かまたは追加的に、目的のFc改変体タンパク質のADCC活性は、インビボ(例えば、動物モデル(例えば、Clynesら、1998、PNAS USA 95:652−656において開示されるもの))において評価され得る。
【0112】
1つの実施形態において、Fc改変体タンパク質は、類似の分子と比較して、増強されたADCC活性を有する。特定の実施形態において、Fc改変体タンパク質は、類似の分子のADCC活性よりも少なくとも2倍、または少なくとも3倍、または少なくとも5倍または少なくとも10倍または少なくとも50倍または少なくとも100倍大きいADCC活性を有する。別の特定の実施形態において、Fc改変体タンパク質は、類似の分子と比較して、FcレセプターFcγRIIIAに対する増強された結合、および増強されたADCC活性を有する。他の実施形態において、Fc改変体タンパク質は、類似の分子と比較して、増強されたADCC活性および増強された血清半減期の両方を有する。
【0113】
「補体依存性細胞傷害」および「CDC」とは、補体の存在下における標的細胞の溶解をいう。補体の活性化経路は、例えば、同族の抗原と複合体形成された分子(抗体)に対する補体系(C1q)の第1の成分の結合によって開始される。補体の活性化を評価するために、例えば、Gazzano−Santoroら、1996、J.Immunol.Methods、202:163に記載されるようなCDCアッセイが、行われ得る。1つの実施形態において、Fc改変体タンパク質は、類似の分子と比較して、増強されたCDC活性を有する。特定の実施形態において、Fc改変体タンパク質は、類似の分子のCDC活性よりも少なくとも2倍、または少なくとも3倍、または少なくとも5倍または少なくとも10倍または少なくとも50倍または少なくとも100倍大きいCDC活性を有する。他の実施形態において、Fc改変体タンパク質は、類似の分子と比較して、増強されたCDC活性および増強された血清半減期の両方を有する。
【0114】
1つの実施形態において、本発明は、処方物を提供し、そのFc領域は、Kabatに示されるようなEUインデックスによって番号付けされる場合に、234、235、236、239、240、241、243、244、245、247、252、254、256、262、263、264、265、266、267、269、296、297、298、299、313、325、326、327、328、329、330、332、333および334からなる群より選択される1つ以上の位置にて天然に存在しないアミノ酸残基を含む。必要に応じて、Fc領域は、当業者に公知のさらなる位置および/または代替的な位置にて天然に存在しないアミノ酸残基を含み得る(例えば、米国特許第5,624,821号;同第6,277,375号;同第6,737,056号;PCT特許出願公開第WO 01/58957号;同第WO 02/06919号;同第WO 04/016750号;同第WO 04/029207号;同第WO 04/035752号および同第WO 05/040217号を参照のこと)。
【0115】
特定の実施形態において、本発明は、Fc改変体タンパク質処方物を提供し、そのFc領域は、Kabatに示されるようなEUインデックスによって番号付けされる場合に、234D、234E、234N、234Q、234T、234H、234Y、2341、234V、234F、235A、235D、235R、235W、235P、235S、235N、235Q、235T、235H、235Y、2351、235V、235F、236E、239D、239E、239N、239Q、239F、239T、239H、239Y、240I、240A、240T、240M、241W、241L、241Y、241E、241R、243W、243L、243Y、243R、243Q、244H、245A、247V、247G、252Y、254T、256E、262I、262A、262T、262E、263I、263A、263T、263M、264L、2641、264W、264T、264R、264F、264M、264Y、264E、265G、265N、265Q、265Y、265F、265V、265I、265L、265H、265T、2661、266A、266T、266M、267Q、267L、269H、269Y、269F、269R、296E、296Q、296D、296N、296S、296T、296L、2961、296H、269G、297S、297D、297E、298H、298I、298T、298F、299I、299L、299A、299S、299V、299H、299F、299E、313F、325Q、325L、325I、325D、325E、325A、325T、325V、325H、327G、327W、327N、327L、328S、328M、328D、328E、328N、328Q、328F、328I、328V、328T、328H、328A、329F、329H、329Q、330K、330G、330T、330C、330L、330Y、330V、3301、330F、330R、330H、332D、332S、332W、332F、332E、332N、332Q、332T、332H、332Yおよび332Aからなる群より選択される少なくとも1個の天然に存在しないアミノ酸残基を含む。必要に応じて、Fc領域は、当業者に公知のさらなる天然に存在しないアミノ酸残基および/または代替的な天然に存在しないアミノ酸残基を含み得る(例えば、米国特許第5,624,821号;同第6,277,375号;同第6,737,056号;PCT特許出願公開第WO 01/58957号;同第WO 02/06919号;同第WO 04/016750号;同第WO 04/029207号;同第WO 04/035752号および同第WO 05/040217号を参照のこと)。
【0116】
別の実施形態において、本発明は、Fc改変体タンパク質処方物を提供し、そのFc領域は、Kabatに示されるようなEUインデックスによって番号付けされる場合に、239、330および332からなる群より選択される1つ以上の位置にて少なくとも1個の天然に存在しないアミノ酸を含む。特定の実施形態において、本発明は、Fc改変体タンパク質処方物を提供し、そのFc領域は、Kabatに示されるようなEUインデックスによって番号付けされる場合に、239D、330Lおよび332Eからなる群より選択される少なくとも1個の天然に存在しないアミノ酸を含む。必要に応じて、Fc領域は、Kabatに示されるようなEUインデックスによって番号付けされる場合に、252、254および256からなる群より選択される1つ以上の位置にてさらなる天然に存在しないアミノ酸をさらに含み得る。特定の実施形態において、本発明は、Fc改変体タンパク質処方物を提供し、そのFc領域は、Kabatに示されるようなEUインデックスによって番号付けされる場合に、239D、330Lおよび332Eからなる群より選択される少なくとも1個の天然に存在しないアミノ酸を含み、および1つ以上の位置における少なくとも1個の天然に存在しないアミノ酸は、Kabatに示されるようなEUインデックスによって番号付けされる場合に、252Y、254Tおよび256Eからなる群より選択される。
【0117】
1つの実施形態において、本発明のFc改変体は、他の公知のFc改変体(例えば、Ghetieら、1997、Nat Biotech.15:637−40;Duncanら、1988、Nature 332:563−564;Lundら、1991、J.Immunol 147:2657−2662;Lundら、1992、MoI Immunol 29:53−59;Alegreら、1994、Transplantation 57:1537−1543;Hutchinsら、1995、Proc Natl.Acad Sci U S A 92:11980−11984;Jefferisら、1995、Immunol Lett.44:111−117;Lundら、1995、Faseb J 9:115−119;Jefferisら、1996、Immunol Lett 54:101−104;Lundら、1996、J Immunol 157:4963−4969;Armourら、1999、Eur J Immunol 29:2613−2624;Idusogieら、2000、J Immunol 164:4178−4184;Reddyら、2000、J Immunol 164:1925−1933;Xuら、2000、Cell Immunol 200:16−26;Idusogieら、2001、J Immunol 166:2571−2575;Shieldsら、2001、J Biol Chem 276:6591−6604;Jefferisら、2002、Immunol Lett 82:57−65;Prestaら、2002、Biochem Soc Trans 30:487−490);米国特許第5,624,821号;同第5,885,573号;同第5,677,425号;同第6,165,745号;同第6,277,375号;同第5,869,046号;同第6,121,022号;同第5,624,821号;同第5,648,260号;同第6,528,624号;同第6,194,551号;同第6,737,056号;同第6,821,505号;同第6,277,375号;米国特許出願第2004/0002587号およびPCT公開第WO 94/29351号;同第WO 99/58572号;同第WO 00/42072号;同第WO 02/060919号;同第WO 04/029207号;同第WO 04/099249号;同第WO 04/063351において開示されるFc改変体)と合わせられ得る。欠失、付加および/または改変を含むFc領域もまた、本発明によって包含される。Fcドメインのさらに他の改変/置換/付加/欠失は、当業者にとって容易に明白である。
【0118】
天然に存在しないFc領域を産生するための方法は、当該分野において公知である。例えば、アミノ酸の置換および/または欠失は、変異誘発法によって産生され得、この方法としては、位置指定変異誘発(Kunkel、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488−492(1985))、PCR 変異誘発(Higuchi、「PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications」、Academic Press、San Diego、pp.177−183(1990))およびカセット変異誘発(Wellsら、Gene 34:315−323(1985))が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、位置指定変異誘発が、オーバーラップ伸長PCR法(Higuchi、「PCR Technology:Principles and Applications for DNA Amplification」、Stockton Press、New York、pp.61−70(1989))によって行われる。あるいは、オーバーラップ伸長PCRの技術(Higuchi、ibid.)は、標的配列(開始DNA)に任意の所望の変異を導入するために使用され得る。例えば、オーバーラップ伸長法におけるPCRの第1のラウンドは、外部プライマー(プライマー1)および内部変異誘発プライマー(プライマー3)を用い、そして別個に第2の外部プライマー(プライマー4)および内部プライマー(プライマー2)を用いて標的配列を増幅して、2つのPCRセグメント(セグメントAおよびB)を産生することを包含する。内部変異誘発プライマー(プライマー3)は、所望の変異を指定する標的配列に対するミスマッチを含むように設計される。PCRの第2のラウンドにおいて、PCRの第1のラウンドの産物(セグメントAおよびB)は、2つの外部プライマー(プライマー1および4)を使用するPCRによって増幅される。得られた完全長PCRセグメント(セグメントC)は、制限酵素によって消化され、そして得られた制限酵素フラグメントは、適切なベクター中にクローニングされる。変異誘発の第1の工程として、(例えば、Fc融合タンパク質、抗体またはFc領域のみをコードする)開始DNAは、変異誘発ベクター中に作動可能にクローニングされる。上記プライマーは、所望のアミノ酸置換を反映するように設計される。改変体Fc領域の産生のために有用な他の方法は、当該分野において公知である(例えば、米国特許第5,624,821号;同第5,885,573号;同第5,677,425号;同第6,165,745号;同第6,277,375号;同第5,869,046号;同第6,121,022号;同第5,624,821号;同第5,648,260号;同第6,528,624号;同第6,194,551号;同第6,737,056号;同第6,821,505号;同第6,277,375号;米国特許出願公開第2004/0002587号およびPCT公開第WO 94/29351号;同第WO 99/58572号;同第WO 00/42072号;同第WO 02/060919号;同第WO 04/029207号;同第WO 04/099249号;同第WO 04/063351を参照のこと)。
【0119】
いくつかの実施形態において、Fc改変体タンパク質は、1種以上の操作されたグリコフォーム(すなわち、Fc領域を含む分子に共有結合される炭水化物組成)を含む。操作されたグリコフォームは、種々の目的に対して有用であり得る、その目的としては、エフェクター機能を増強または減少させることが挙げられるが、これらに限定されない。操作されたグリコフォームは、当業者に公知の任意の方法例えば、操作された発現株または改変体発現株を使用すること、1種以上の酵素(例えば、DI N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTI11))を伴う同時発現、種々の生物体または種々の生物体由来の細胞株においてFc領域を含む分子を発現すること、またはFc領域を含む分子を発現させた後に炭水化物を改変すること)によって産生され得る。操作されたグリコフォームを産生するための方法は、当該分野において公知であり、そしてその方法としては、Umanaら、1999、Nat.Biotechnol 17:176−180;Daviesら、20017 Biotechnol Bioeng 74:288−294;Shieldsら、2002、J Biol Chem 277:26733−26740;Shinkawaら、2003、J Biol Chem 278:3466−3473)米国特許第6,602,684号;米国特許出願第10/277,370号;米国特許出願第10/113,929号;PCT WO 00/61739A1;PCT WO 01/292246A1;PCT WO 02/311140A1;PCT WO 02/30954A1;Potillegent(登録商標)技術(Biowa,Inc.Princeton、N.J.);GlycoMAb(登録商標)グリコシル化工学技術(GLYCART biotechnology AG、Zurich、Switzerland)が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、WO 00061739;EA01229125;US 20030115614;Okazakiら、2004、JMB、336:1239−49を参照のこと。
【0120】
(5.1.18.抗体のグリコシル化)
なお別の実施形態において、本発明に従って利用される抗体のグリコシル化は、改変される。例えば、グリコシル化された抗体が、作製され得る(すなわち、その抗体は、グリコシル化を欠く)。グリコシル化は、例えば、標的抗原に対する抗体の親和性を増大させるために変えられ得る。このような炭水化物の改変は、抗体配列内の1つ以上のグリコシル化部位を変えることによって達成され得る。例えば、1つ以上のアミノ酸置換が、行われ得、この置換は、1つ以上の可変領域フレームワークグリコシル化部位の排除を生じ、それによってその部位におけるグリコシル化を排除する。このようなグリコシル化は、抗原に対する抗体の親和性を増大させ得る。このようなアプローチは、米国特許第5,714,350号および同第6,350,861号においてさらに詳細に記載される。あるいは、1つ以上のアミノ酸置換が、行われ得、この置換は、Fc領域に存在するグリコシル化部位(例えば、IgGのアスパラギン297)の排除を生じる。さらに、グリコシル化された抗体は、必要なグリコシル化機構を欠く細菌細胞において産生され得る。
【0121】
追加的かまたは代替的に、変化した型のグリコシル化を有する抗体(例えば、減少した量のフコシル残基を有するフコシル化が少ない抗体または2つに分かれるGlcNAc構造の増加を有する抗体)が、作製され得る。このような変化したグリコシル化パターンは、抗体ADCC能力を増大させることが示されている。このような炭水化物の改変は、例えば、変化したグリコシル化機構を有する宿主細胞中で抗体を発現させることによって達成され得る。変化したグリコシル化機構を有する細胞は、当該分野において記載されており、そして本発明の組換え抗体を発現する宿主細胞として使用され得、それによって変化したグリコシル化を伴う抗体を産生する。例えば、Shields,R.L.ら(2002)J Biol.Chem.277:26733−26740;Umanaら(1999)Nat.Biotech.17:176−1、および欧州特許第EP 1,176,195号;PCT公開第WO 03/035835号;同第WO 99/54342号を参照のこと。
【0122】
(5.2.抗CD19抗体の製造/生産)
一旦所望の抗CD19抗体が操作されると、その抗CD19抗体は、抗体を大規模に製造するための当該分野において周知である方法を用いて商業的規模で生産され得る。例えば、これは、組換え発現系(例えば、下に記載されるものであるが、これらに限定されない)を使用して達成され得る。
【0123】
(5.2.1.組換え発現系)
本発明の抗体またはその改変体の組換え発現は、一般に、その抗体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターの構築を必要とする。一旦抗体分子または抗体の重鎖もしくは軽鎖、あるいはその部分(好ましくは、重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインを含むが、必ずしもそうではない)をコードするポリヌクレオチドが得られると、抗体分子の産生のためのベクターが、当該分野において周知である技術を使用した組換えDNA技術によって産生され得る。例えば、米国特許第6,331,415号(これは、その全体が本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。したがって、抗体をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを発現させることによってタンパク質を調製するための方法が、本明細書中に記載される。当業者にとって周知である方法が、抗体コード配列および適切な転写調節シグナルおよび翻訳調節シグナルを含む発現ベクターを構築するために使用され得る。これらの方法としては、例えば、インビトロの組換えDNA技術、合成技術およびインビボの遺伝的組換えが挙げられる。本発明は、したがって、本発明の抗体分子、抗体の重鎖もしくは軽鎖、抗体の重鎖可変ドメインもしくは軽鎖可変ドメイン、あるいはそれらの一部、または重鎖CDRもしくは軽鎖CDRをコードするヌクレオチド配列を含む複製可能なベクターを提供し、このヌクレオチド配列は、プロモーターに作動可能に連結される。このようなベクターは、抗体分子の定常領域をコードするヌクレオチド配列を含み得(例えば、国際出願第WO 86/05807号および同第WO 89/01036号;ならびに米国特許第5,122,464号を参照のこと)、そしてその抗体の可変ドメインは、重鎖全体、軽鎖全体、あるいは重鎖全体および軽鎖全体の両方の発現のためにこのようなベクター中にクローニングされ得る。
【0124】
代替的な実施形態において、本発明の組成物および方法の抗CD19抗体は、その抗CD19抗体の全部または一部を産生するために、標的化された相同組換えを使用して作製され得る(米国特許第6,063,630号、同第6,187,305号および同第6,692,737号を参照のこと)。特定の実施形態において、本発明の組成物および方法の抗CD19抗体は、その抗CD19抗体の全部または一部を産生するためにランダム組換え(random recombination)技術(米国特許第6,361,972号、同第6,524,818号、同第6,541,221号および同第6,623,958号を参照のこと)を使用して作製され得る。抗CD19抗体はまた、Cre媒介性の部位特異的相同組換えを使用して改変された免疫グロブリンの遺伝子座を含む細胞のゲノム配列由来の抗体を発現する細胞において産生され得る(米国特許第6,091,001号を参照のこと)。ヒト抗体の産生が望まれる場合、宿主細胞は、ヒト細胞株であるべきである。これらの方法は、その抗体分子を不変に発現する安定な細胞株を設計するために、有益に使用され得る。
【0125】
一旦上記発現ベクターが従来の技術によって宿主細胞に移入されると、そのトランスフェクトされた細胞は、次いで、本発明の抗体を産生するために従来の技術によって培養される。したがって、本発明は、本発明の抗体、またはそのフラグメント、またはその重鎖もしくは軽鎖、またはそれらの部分、あるいは本発明の単鎖抗体をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を含み、このポリヌクレオチドは、異種プロモーターに作動可能に連結される。二本鎖抗体の発現に関して好ましい実施形態において、重鎖および軽鎖の両方をコードするベクターは、下に記載される通り、免疫グロブリン分子全体の発現のために宿主細胞において同時発現され得る。
【0126】
種々の宿主−発現ベクター系が、本発明の抗CD19抗体またはその部分を発現するために利用され得、その宿主−発現ベクター系は、抗CD19抗体の操作および産生において使用され得る(例えば、米国特許第5,807,715号を参照のこと)。例えば、ベクター(例えば、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要な中間初期遺伝子プロモーター(major intermediate early gene promoter)エレメント)と組み合わせた哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO))は、抗体のための有効な発現系である(Foeckingら、Gene、45:101(1986);およびCockettら、Bio/Technology、8:2(1990))。さらに、挿入された抗体配列の発現を調節するか、または所望される特定の様式で抗体遺伝子産物を改変もしくは加工する宿主細胞株が、選択され得る。タンパク質産物のこのような改変(例えば、グリコシル化)および加工(例えば、切断)は、タンパク質の機能に関して重要であり得る。異なる宿主細胞は、翻訳後の加工ならびにタンパク質および遺伝子産物の改変についての特徴と特定の機構とを有する。適切な細胞株または宿主系は、発現された抗体またはその部分の正しい改変および加工を確保するように選択され得る。この目的のために、一次転写産物の適切な加工(遺伝子産物のグリコシル化およびリン酸化)のための細胞機構を有する真核生物宿主細胞が、使用され得る。このような哺乳動物宿主細胞としては、CHO細胞、VERY細胞、BHK細胞、HeIa細胞、COS細胞、MDCK細胞、293細胞、3T3細胞、W138細胞、BT483細胞、Hs578T細胞、HTB2細胞、BT2O細胞およびT47D細胞、NSO細胞(任意の免疫グロブリン鎖を内因的に産生しないマウス骨髄腫細胞株)、CRL7O3O細胞およびHsS78Bst細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
好ましい実施形態において、不死化ヒトリンパ球によって作製されたヒト細胞株は、モノクローナルヒト抗CD19抗体を組換え的に産生するために使用され得る。
【0128】
好ましい実施形態において、ヒト細胞株PER.C6.(Crucell、Netherlands)は、モノクローナルヒト抗CD19抗体を組換え的に産生するために使用され得る。
【0129】
細菌系において、多くの発現ベクターは、発現される抗体分子を対象とした使用に依存して、有利に選択され得る。例えば、大量のこのような抗体が産生されるべき場合(抗CD19抗体を含む薬学的組成物のため)、容易に精製される高レベルの融合タンパク質産物の発現を目的とするベクターが、望まれ得る。このようなベクターとしては、抗体をコードする配列がlac Zコード領域とインフレームでベクター中に個別にライゲーションされ得、その結果、融合タンパク質が産生されるE.coli発現ベクターpUR278(Rutherら、EMBO、12:1791(1983));pINベクターs(InouyeおよびInouye、1985、Nucleic Acids Res.13:3101−3109(1985);Van HeekeおよびSchuster、1989、J Biol.Chem.、24:5503−5509(1989))などが挙げられるが、これらに限定されない。pGEXベクターはまた、グルタチオン5−トランスフェラーゼ(GST)を有する融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現するために使用され得る。一般に、このような融合タンパク質は、可溶性であり、そしてグルタチオンアガロースビーズのマトリックスに吸着および結合させ、次いで遊離グルタチオンの存在下で溶出させることによって、溶解した細胞から容易に精製され得る。pGEXベクターは、トロンビンプロテアーゼ切断部位またはファクターXaプロテアーゼ切断部位を含むように設計され、その結果クローニングされた標的遺伝子産物は、GST部分から切り離され得る。
【0130】
昆虫系において、Autographa californica核多核体病ウイルス(AcNPV)が、外来遺伝子を発現するために、ベクターとして使用される。そのウイルスは、Spodoptera frugiperda細胞中で増殖する。抗体コード配列は、そのウイルスの非必須領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)中に個別にクローニングされ得、そしてAcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下におかれ得る。
【0131】
哺乳動物宿主細胞において、多くのウイルスベースの発現系が、利用され得る。アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合において、目的とする抗体コード配列は、アデノウイルスの転写/翻訳調節複合体(例えば、後期プロモーターおよび三分節リーダー(tripartite leader)配列)にライゲーションされ得る、このキメラ遺伝子は、次いで、インビトロ組換えまたはインビボ組換えによってアデノウイルスゲノム中に挿入され得る。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域ElまたはE3)における挿入は、生存可能な組換えウイルスを生じ、そしてそのウイルスは、感染した宿主において抗体分子を発現し得る(例えば、LoganおよびShenk、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:355−359(1984)を参照のこと)。特定の開始シグナルもまた、挿入された抗体コード配列の効率的な翻訳に必要とされ得る。これらのシグナルは、ATG開始コドンおよび隣接配列を含む。さらに、その開始コドンは、一般に、挿入物全体の翻訳を確保するために、所望のコード配列のリーディングフレームに同調するべきである。これらの外因性の翻訳調節シグナルおよび開始コドンは、種々の起源(天然および合成の両方)のものであり得る。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどを含むことによって増強され得る(例えば、Bittnerら、Methods in Enzymol、153:51−544(1987)を参照のこと)。
【0132】
組換えタンパク質の長期であり高収量の産生のために、安定な発現が、好ましい。例えば、抗体分子を安定に発現する細胞株が、設計され得る。ウイルス起源の複製を含む複製発現ベクターを使用する一過性の発現系よりもむしろ、宿主細胞は、適切な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)および選択マーカーによって制御されたDNAによって形質転換され得る。外来DNAの導入後、操作された細胞は、富栄養培地中で1〜2日間増殖され得、次いで選択培地へと切り替えられる。組換えプラスミド中の選択マーカーは、その選択に対する抵抗性を与え、細胞に、そのプラスミドがそれらの染色体中に安定に組み込まれ、次にクローニングされ得る巣からの増殖を可能にし、そして細胞株中に拡大する。上記抗CD19抗体をコードするプラスミドは、遺伝子/cDNAを培養における産生に適した任意の細胞株中に導入するために使用され得る。あるいは、「標的性ベクター」と称されるプラスミドは、発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサーなど)を宿主細胞中の適切な染色体の位置に導入するために使用されて、抗CD19抗体についての内因性遺伝子を「活性化」し得る。
【0133】
多くの選択系が、使用され、それらとしては、それぞれ、tk細胞、hgprt細胞またはaprT細胞において使用され得る単純ヘルペスチミジンキナーゼ遺伝子(Wiglerら、Cell、11:223(1977))、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(SzybalskaおよびSzybalski、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、48:202(1992))およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Lowyら、Cell、22:8−17(1980))が挙げられるが、これらに限定されない。また、代謝拮抗剤耐性が、以下の遺伝子に対する選択の基礎として使用され得る:メトトレキサートに対する耐性を与えるdhfr(Wiglerら、Natl.Acad.Sci.USA、77:357(1980);O’Hareら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、78:1527(1981));ミコフェノール酸に対する耐性を与えるgpt(MulliganおよびBerg、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、78:2072(1981));アミノグリコシドG−418に対する耐性を与えるneo(WuおよびWu、Biotherapy 3:87−95(1991);Tolstoshev、Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.32:573−596(1993);Mulligan、Science 260:926−932(1993);ならびにMorganおよびAnderson、Ann.Rev.Biochem.62:191−217(1993);May、TIB TECH 11(5):155−2 15(1993));およびハイグロマイシンに対する耐性を与えるhygro(Santerreら、Gene、30:147(1984))。組換えDNA技術の分野において一般的に公知である方法は、所望の組換えクローンを選択するために慣用的に適用され得、そしてこのような方法は、例えば、Ausubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、NY(1993);Kriegler、Gene Transfer and Expression、A Laboratory Manual、Stockton Press、NY(1990);ならびに第12章および第13章、Dracopoliら(編)、Current Protocols in Human Genetics、John Wiley & Sons、NY(1994);Colberre−Garapinら、1981、J.Mol.Biol、150:1(これらは、その全体が本明細書中に参考として援用される)に記載される。
【0134】
抗体分子の発現レベルは、ベクターの増幅によって増大し得る(概説については、BebbingtonおよびHentschel、The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cell in DNA cloning、第3巻.Academic Press、New York(1987)を参照のこと)。抗体を発現するベクター系中のマーカーが、増幅可能な場合、宿主細胞の培養において存在するインヒビターのレベルの増加は、マーカー遺伝子のコピーの数を増加させる。増幅された領域は、抗体遺伝子に関連するので、その抗体の産生もまた、増大する(Grouseら、Mol.Cell.Biol、3:257(1983))。抗体の発現レベルは、組換えタンパク質の当業者に公知の組換え方法および組換えツールを使用することによって拡大され得、それらとしては、周囲の染色質を再構築し、そして活性な人工転写ドメインの形態において導入遺伝子の発現を増強する技術が挙げられる。
【0135】
宿主細胞は、本発明の2種の発現ベクター(重鎖由来のポリペプチドをコードする第1のベクターおよび軽鎖由来のポリペプチドをコードする第2のベクター)によって同時トランスフェクトされ得る。上記2種のベクターは、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドの等しい発現を可能にする同一の選択マーカーを含み得る。あるいは、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドの両方をコードし、かつ発現し得る単一のベクターが、使用され得る。このような状態において、上記軽鎖は、過剰の有毒な遊離した重さを回避するために、重鎖の前に配置されるべきである(Proudfoot、Nature 322:562−65(1986);およびKohler、1980、Proc.Natl Acad.Sci.USA、77:2197(1980))。重鎖および軽鎖についてのコード配列は、cDNAまたはゲノムDNAを含み得る。
【0136】
一旦本発明の抗体分子が組換え発現によって産生されると、それは、免疫グロブリン分子の精製について当該分野において公知である任意の方法(例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー(特に、プロテインA後の特定の抗原に対する親和性)、およびサイズ排除クロマトグラフィー)、遠心分離、示差溶解(differential solubility))またはタンパク質の精製に関する他の標準的な技術によって精製され得る。さらに、本発明の抗体またはそのフラグメントは、精製を容易にするために、本明細書中に記載されるか、またはそうでなければ当該分野において公知である異種ポリペプチド配列二融合され得る。
【0137】
(5.2.2.抗体の精製および単離)
組換え技術を使用する場合、抗体は、細胞膜周辺腔において細胞内に産生され得るか、または培地中に直接分泌され得る。抗体が細胞内に産生される場合、第1の工程として、微粒子状の破片(宿主細胞または溶解したフラグメントのいずれか)は、例えば、遠心分離または限外濾過によって除去される。Carterら、Bio/Technology、10:163−167(1992)は、E.coliの細胞膜周辺腔に分泌される抗体を単離するための手順を記載する。簡単にいうと、細胞のペーストは、酢酸ナトリウム(pH3.5)、EDTAおよびフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)の存在下において約30分間かけて解凍される。細胞の破片は、遠心分離によって除去され得る。抗体変異体が培地中に分泌される場合、このような発現由来の上清は、一般に、まず市販のタンパク質濃縮フィルター(例えば、AmiconまたはMillipore Pelliconの限外濾過ユニット)を使用して濃縮される。プロテアーゼインヒビター(例えば、PMSF)は、タンパク質分解を阻害するために前述の工程のいずれかに含まれ得、そして抗生物質が、外来性の汚染因子の増殖を防ぐために含まれ得る。
【0138】
上記細胞から調製された抗体組成物は、例えば、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、および/またはアフィニティークロマトグラフィーを単独または他の精製工程との組み合わせのいずれかで使用することによって精製され得る。親和性リガンドとしてのプロテインAの適合性は、抗体変異体に存在する任意の免疫グロブリンFcドメインの種およびアイソタイプに依存する。プロテインAは、ヒトγ1重鎖、ヒトγ2重鎖、またはヒトγ4重鎖に基づく抗体を精製するために使用され得る(Lindmarkら、J.Immunol.Methods、62:1−13(1983))。プロテインGは、全てのマウスアイソタイプおよびヒトγ3について推奨される(Gussら、EMBO J.、5:15671575(1986))。親和性リガンドを結合するマトリックスは、ほとんどの場合、アガロースであるが、他のマトリックスも、利用される。機構として安定なマトリックス(例えば、多孔質ガラス(controlled pore glass)またはポリ(スチレンジビニル)ベンゼン)は、アガロースによって達成され得るよりも早い流速および短い処理時間を可能にする。抗体がCH3ドメインを含む場合、Bakerbond ABX樹脂(J.T.Baker、Phillipsburg、NJ)が、精製に有用である。タンパク質精製のための他の技術(例えば、イオン交換カラムにおける分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカでのクロマトグラフィー、ヘパリンでのクロマトグラフィー、アニオン交換樹脂またはカチオン交換樹脂でのSEPHAROSEクロマトグラフィー(例えば、ポリアスパラギン酸カラム)、等電点電気泳動、SDS−PAGEおよび硫酸アンモニウム沈殿)もまた、回収される抗体抗体に依存して利用可能である。
【0139】
任意の予備的な精製工程の後、目的の抗体および汚染因子を含む混合物は、pH約2.5〜4.5の溶出緩衝液を使用する低いpHの疎水性相互作用クロマトグラフィー(好ましくは、低い塩濃度にて行われる(例えば、約0〜0.25Mの塩))に供され得る。
【0140】
(5.3.治療用抗CD19抗体)
本発明の組成物および方法において使用される抗CD19抗体は、好ましくは、ヒトのADCCを媒介するヒト抗体またはヒト化抗体であるか、または好ましくは、ヒトのADCCを媒介する公知の抗CD19抗体から選択される。特定の実施形態において、抗CD19抗体は、キメラ抗体であり得る。好ましい実施形態において、抗CD19抗体は、モノクローナルヒト抗CD19抗体、モノクローナルヒト化抗CD19抗体、またはモノクローナルキメラ抗CD19抗体である。本発明の組成物および方法において使用される抗CD19抗体は、好ましくは、IgG1ヒトアイソタイプまたはIgG3ヒトアイソタイプのヒト抗体またはヒト化抗体である。他の実施形態において、本発明の組成物および方法において使用される抗CD19抗体は、好ましくは、IgG2ヒトアイソタイプまたはIgG4ヒトアイソタイプのヒト抗体またはヒト化抗体であり、それらは、好ましくは、ADCCを媒介する
このような抗体は、上に記載される技術を使用して産生され得るが、本発明の他の実施形態において、本明細書中に記載されるマウス抗体HB12aおよびHB12bまたは他の市販の抗CD19抗体は、キメラ化され得るか、ヒト化され得るか、またはヒト抗体へと作製され得る。
【0141】
例えば、使用され得る公知の抗CD19抗体としては、HD37(IgG1)(DAKO、Carpinteria、CA)、BU12(G.D.Johnson、University of Birmingham、Birmingham、United Kingdom)、4G7(IgG1)(Becton−Dickinson、Heidelberg、Germany)、J4.119(Beckman Coulter、Krefeld、Germany)、B43(PharMingen、San Diego、CA)、SJ25C1(BD PharMingen、San Diego、CA)、FMC63(IgG2a)(Chemicon Int’l.、Temecula、CA)(Nicholsonら、Mol.Immunol、34:1157−1165(1997);Pieterszら、Cancer Immunol.Immunotherapy、41:53−60(1995);およびZolaら、Immunol Cell Biol、69:411−422(1991))、B4(IgG1)((Beckman Coulter、Miami、FL)Nadlerら、J.Immunol、131:244−250(1983))、および/またはHD237(IgG2b)(Fourth International Workshop on Human Leukocyte Differentiation Antigens、Vienna、Austria、1989;およびPezzuttoら、J.Immunol、138:2793−2799(1987))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0142】
特定の実施形態において、本発明の抗CD19抗体は、配列番号2(図5A)のアミノ酸配列を含むHB12aの重鎖を含む。他の実施形態において、本発明の抗CD19抗体は、配列番号4(図5B)のアミノ酸配列を含むHB12bの重鎖を含む。
【0143】
特定の実施形態において、本発明の抗CD19抗体は、配列番号16(図6A)のアミノ酸配列を含むHB12aの軽鎖を含む。他の実施形態において、本発明の抗CD19抗体は、配列番号18(図6B)のアミノ酸配列を含むHB12bの軽鎖を含む。
【0144】
特定の実施形態において、抗体は、公知の抗体の(例えば、IgG1ヒトアイソタイプまたはIgG3ヒトアイソタイプへの)アイソタイプスイッチ改変体(例えば、上に記載されるもの(例えば、HB12aまたはHB12b))である。
【0145】
本発明の組成物および方法において使用される抗CD19抗体は、むき出しの抗体、免疫結合体または融合タンパク質であり得る。好ましくは、本発明の組成物および方法において使用するための上に記載される抗CD19抗体は、それによって処置されるヒトにおいて、B細胞および循環する免疫グロブリンを減少または枯渇させ得る。B細胞の枯渇は、循環するB細胞、または特定の組織(例えば、骨髄、脾臓、消化管関連リンパ組織、および/またはリンパ節であるが、これらに限定されない)におけるものであり得る。このような枯渇は、種々の機構(例えば、抗体依存性細胞媒介生細胞傷害(ADCC)および/または補体依存性細胞傷害(CDC)、B細胞増殖の阻害および/またはB細胞の死の誘導(例えば、アポトーシスによる))によって達成され得る。B細胞の「枯渇」によって、循環するB細胞および/または特定の組織におけるB細胞の、第5.4.3節に記載されるような少なくとも約25%、40%、50%、65%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上の減少が意味される。特定の実施形態において、実質的に全ての検出可能なB細胞は、循環および/または特定の組織から枯渇する。循環する免疫グロブリン(Ig)の「枯渇」によって、第5.4.3節に記載されるような少なくとも約25%、40%、50%、65%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上の減少が、意味される。特定の実施形態において、実質的に全ての検出可能なIgは、循環から枯渇する。
【0146】
(5.3.1.ヒトCD19結合についての抗体のスクリーニング)
結合アッセイは、ヒトCD19抗原を結合する抗体を同定するために使用され得る。結合アッセイは、直接結合アッセイまたは競合結合アッセイのいずれかとして行われ得る。結合は、標準的なELISAアッセイまたは標準的なフローサイトメトリーアッセイを使用して検出され得る。直接結合アッセイにおいて、候補の抗体は、ヒトCD19抗原に対する結合について試験される。特定の実施形態において、上記スクリーングアッセイは、第2の工程において、ヒトCD19を発現するB細胞の細胞死またはアポトーシスを引き起こす能力を決定する工程を包含する。他方では、競合結合アッセイは、公知の抗CD19抗体またはヒトCD19を結合する他の化合物と競合する候補の抗体の能力を評価する。
【0147】
直接結合アッセイにおいて、上記ヒトCD19抗原は、ヒトCD19抗原に対する候補の抗体の結合を可能にする条件下で、候補の抗体と接触される。上記結合は、溶液中または固体表面上で起こり得る。好ましくは、候補の抗体は、検出のために予め標識される。任意の検出可能な化合物(例えば、発光体、蛍光体、または放射性同位体もしくはそれを含む群、または非同位体標識(例えば、酵素または色素)であるが、これらに限定されない)が、標識化のために使用され得る。結合が起きるのに十分なインキュベーション期間の後、その反応は、過剰な抗体または非特異的に結合した抗体を除去する条件および操作に曝される。代表的に、それは、適切な緩衝液によって洗浄することを包含する。最終的に、CD19−抗体複合体の存在が、検出される。
【0148】
競合結合アッセイにおいて、候補の抗体は、ヒトCD19抗原に対する公知の抗CD19抗体(または他の化合物)の結合を阻害または駆逐するその能力について評価される。CD19の標識された公知のバインダーは、候補の抗体と混合され得、そして候補の抗体の添加有り、および候補の抗体の添加無しで、それらの間の相互作用が通常に起きる条件下におかれる。ヒトCD19に結合するCD19の標識された公知のバインダーの量は、候補の抗体の存在下または非存在下において結合される量と比較され得る。
【0149】
好ましい実施形態において、抗体抗原複合体の形成および検出を容易にするために、上記結合アッセイは、固体表面上に固定化された1種以上の成分を用いて行われる。種々の実施形態において、その固体支持体は、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ガラス、ニトロセルロース、デキストラン、ナイロン、ポリアクリルアミド、およびアガロースであり得るが、これらに限定されない。その支持体の構造としては、ビーズ、膜、微粒子、(例えば、マイクロタイタープレート、試験管または他の反応容器)の内部表面が挙げられ得る。ヒトCD19、または他の成分の固定化は、共有結合または非共有結合によって行われ得る。1つの実施形態において、その結合は、間接的(すなわち、結合された抗体を介する)であり得る。別の実施形態において、ヒトCD19抗原およびネガティブコントロールは、固体表面に対する結合が市販の抗体(例えば、抗GST(Santa Cruz Biotechnology))によって媒介され得るようにエピトープ(例えば、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST))によってタグ化される。
【0150】
例えば、このような親和性結合アッセイは、固体支持体に固定化されるヒトCD19抗原を使用して行われ得る。代表的に、結合反応の非移動成分(non−mobilized component)は、この場合の候補である抗CD19抗体において、検出を可能にするために標識される。種々の標識方法が、利用可能であり、そしてそれらの標識方法が、使用され得る(例えば、発光体、発色団、蛍光体、または放射性同位体もしくはそれを含む群、および非同位体標識(例えば、酵素または色素))。好ましい実施形態において、候補の抗CD19抗体は、フルオレセインイソチオシアネート(FITC(Sigma Chemicals、St.Louisから入手可能))などのフルオロフォアによって標識される。
【0151】
最終的に、固体表面に残る標識は、当該分野において公知である任意の検出法によって検出され得る。例えば、候補の抗CD19抗体がフルオロフォアによって標識される場合、蛍光光度計が、複合体を検出するために使用され得る。
【0152】
好ましくは、ヒトCD19抗原は、ヒトCD19抗原を発現するインタクトな細胞の形態、またはヒトCD19抗原を含む単離された膜の形態で結合アッセイに添加される。したがって、ヒトCD19抗原に対する直接的な結合は、細胞候補の抗CD19抗体の存在下および非存在下で、培養物または動物モデル中のインタクトな細胞においてアッセイされ得る。標識された候補の抗CD19抗体は、ヒトCD19抗原を発現する細胞、またはこのような細胞から得られた粗抽出物と混合され得、そしてその候補の抗CD19抗体は、添加され得る。単離された膜は、ヒトCD19と相互作用する候補の抗CD19抗体を同定するために使用され得る。例えば、単離された膜を使用する代表的な実験において、細胞は、ヒトCD19抗原を発現するように遺伝的に操作され得る。膜は、標準的な技術によって回収され得、そしてインビトロ結合アッセイにおいて使用され得る。標識された候補の抗CD19抗体(例えば、蛍光標識抗体)は、その膜に結合され、そして特定の活性についてアッセイされる;特異的結合は、過剰な標識されていない候補の抗CD19抗体(非放射性)の存在下で行われる結合アッセイとの比較によって決定される。あるいは、可溶性ヒトCD19抗原は、組換え的に発現され得、そしてヒトCD19抗原に結合する抗体を同定するために、非細胞ベースのアッセイにおいて利用されえる。その組換え的に発現されたヒトCD19ポリペプチドは、非細胞ベースのスクリーニングアッセイにおいて使用され得る。あるいは、ヒトCD19抗原の結合部分の1つ以上に対応するペプチド、またはヒトCD19抗原の結合部分の1つ以上を含む融合タンパク質が、ヒトCD19抗原の部分に結合する抗体を同定するために、非細胞ベースのアッセイシステムにおいて使用され得る。非細胞ベースのアッセイにおいて、上記組換え的に発現されたヒトCD19は、当業者に周知の手段(Ausubelら、前出を参照のこと)によって、試験管、マイクロタイターウェルまたはカラムなどの固体基材に結合される。次いで、試験抗体は、ヒトCD19抗原に結合するそれらの能力についてアッセイされる。
【0153】
あるいは、上記結合反応は、溶液中で行われ得る。このアッセイにおいて、標識された成分は、溶液中でその結合パートナーと相互作用し得る。標識された成分とその結合パートナーとの間の大きさの違いがこのような分離を可能にする場合、その分離は、結合反応の産物を、結合していない標識された成分の通過を許容するが、その結合パートナーまたはそのパートナーに結合した標識された成分の通過を許容しない限外濾過膜に通すことによって達成され得る。分離はまた、溶液から標識された成分の結合パートナーを捕捉し得る任意の試薬(例えば、その結合パートナーに対する抗体など)を使用して達成され得る。
【0154】
1つの実施形態において、例えば、ファージライブラリーは、連続的なファージディスプレイライブラリー由来のファージを、精製されたヒトCD19抗原、またはその誘導体、アナログ、フラグメント、もしくはドメイン(固相(例えば、プラスチックビーズ)に結合されている)を含むカラムに通すことによってスクリーニングされ得る。洗浄緩衝液のストリンジェンシーを変えることによって、ヒトCD19抗原に対する高い親和性を有するペプチドを発現するファージを豊富にすることが、可能である。そのカラムから単離されたファージは、クローニングされ得、そして親和性が、直接測定され得る。抗体およびそれらのアミノ酸配列はヒトCD19抗原に対する最も強い結合を与えることが分かっているので、コンピューターモデルが、CD19抗原と候補の抗体との間の分子の接触を同定するために使用され得る。
【0155】
本発明のこの局面の別の特定の実施形態において、上記固体支持体は、マイクロタイターディッシュに結合したヒトCD19抗原を含む膜である。候補の抗体、例えば、マイクロタイターディッシュ中のライブラリー膜の発現を可能にする条件下で培養される、ライブラリー抗体を発現する細胞を結合し得る。ヒトCD19に結合するライブラリー膜が、回収される。このような方法は、一般に、例としてParmleyおよびSmith、1988、Gene、73:305−318;Fowlkesら、1992、BioTechniques、13:422−427;PCT公開第WO94/18318号;ならびに以上に引用される参考文献に記載される。ヒトCD19抗原に結合することが同定された抗体は、上に記載される抗体の任意の型または改変の抗体であり得る。
【0156】
(5.3.2.ヒトADCCエフェクター機能についての抗体のスクリーニング)
ヒトIgGクラスの抗体は、本発明において使用するのに好ましい。なぜならば、それらは、血清における長い半減期のような機能的特徴を有し、そして種々のエフェクター機能を媒介し得るからである(Monoclonal Antibodies:Principles and Applications、Wiley−Liss,Inc.、第1章(1995))。ヒトIgGクラス抗体は、以下の4種のサブクラスにさらに分類される:IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4。多数の研究が、IgGクラス抗体のエフェクター機能に関する限り、ADCCおよびCDCならびにアポトーシス活性について行われており、そしてその研究は、ヒトIgGクラスの抗体の間で、IgG1サブクラスがヒトにおいて最も高いADCC活性およびCDC活性を有することを報告している(Chemical Immunology、65、88(1997))。
【0157】
ヒトIgG1サブクラス抗体のADCC活性およびCDC活性ならびにアポトーシス活性の発現は、一般に、エフェクター細胞(例えば、キラー細胞、ナチュラルキラー細胞または活性化されたマクロファージ)の表面上に存在する抗体に対するレセプター(以下、「FcγR」と称する)に対するその抗体のFc領域の結合を含む。種々の補体成分が、結合され得る。その結合に関して、上記抗体のヒンジ領域における数個のアミノ酸残基およびC領域の第2のドメイン(以下、「Cγ2ドメイン」と称する)が重要であること(Eur.J.Immunol.、23、1098(1993)、Immunology、86、319(1995)、Chemical Immunology、65、88(1997))、およびCγ2ドメインにおける糖鎖(Chemical Immunology、65、88(1997))もまた重要であることが、示唆されている。
【0158】
本発明の抗CD19抗体は、例えば、その抗体のADCCおよび/または補体依存性細胞傷害(CDC)ならびに/あるいはアポトーシス活性を増強させるために、エフェクター機能に関して改変され得る。これは、抗体のFc領域において1つ以上のアミノ酸置換を導入することによって達成され得る。代替的かまたは追加的に、システイン残基は、Fc領域中に導入され得、この領域における鎖間のジスルフィド結合を可能にする。このようにして、改良された内在化性能ならびに/または増大した補体媒介性の細胞殺傷およびADCCを有し得るホモダイマーの抗体が、産生され得る(Caronら、J.Exp.Med.、176:1191−1195(1992)およびShopes、J Immunol.、148:2918−2922(1992))。ヘテロ二官能性架橋剤もまた、増強された抗腫瘍活性を有するホモダイマー抗体を産生するために使用され得る(Wolffら、Cancer Research、53:2560−2565(1993))。抗体はまた、増強された補体溶解性能およびADCC性能をもたらす2つ以上のFc領域を有するように操作され得る(Stevensonら、Anti−Cancer Drug Design,(3)219−230(1989))。
【0159】
エフェクター機能を変えるように抗体のFc領域を操作する他の方法は、当該分野において公知である(例えば、FCγRIIAに対する結合親和性と比較してFcγRIIBに対する結合親和性を増強させるようにFc領域を変化させることを記載する米国特許出願第20040185045号およびPCT公開第WO 2004/016750号(両方とも、Koenigらに対するもの)を参照のことを参照のこと;Armourらに対するPCT公開第WO 99/58572号、Idusogieらに対するWO 99/51642およびDeoらに対する米国特許第6,395,272号もまた参照のこと(これらの開示は、その全体が本明細書中に援用される))。FcγRIIBに対する結合親和性を減少させるようにFc領域を改変する方法もまた、当該分野において公知である(例えば、米国特許出願第20010036459号およびPCT公開第WO 01/79299号(両方とも、Ravetchらに対するもの)(これらの開示は、その全体が本明細書中に援用される))。野生型Fc領域と比較してFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する増強された結合親和性を伴う、改変体Fc領域を有する改変された抗体もまた、記載されている(例えば、Stavenhagenらに対するPCT公開第WO 2004/063351号(この開示は、その全体が本明細書中に援用される))。
【0160】
少なくとも4種の異なる型のFcγRが、見出されており、それらは、それぞれ、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、FcγRIII(CD16)およびFcγRIVと称される。ヒトにおいて、FcγRIIおよびFcγRIIIは、それぞれ、FcγRIIaおよびFcγRIIbならびにFcγRIIIaおよびFcγRIIIbへとさらに分類される。FcγRは、免疫グロブリンスーパーファミリーに属する膜タンパク質であり、FcγRII、FcγRIIIおよびFcγRTIVは、2つの免疫グロブリン様ドメインを含む細胞内領域を有するα鎖を有し、FcγRIは、構成成分に寄与するような、3つの免疫グロブリン様ドメインを含む細胞内領域を有するα鎖を有し、そしてそのα鎖は、IgG結合活性に関与する。さらに、FcγRIおよびFcγRIIIは、α鎖に関連するシグナル伝達機能を有する成分に寄与するγ鎖またはζ鎖を有する(Annu.Rev.Immunol、18、709(2000)、Annu.Rev.Immunol、19、275(2001))。FcγRIVは、Bruhnsら、Clin.Invest.Med.,(Canada)27:3D(2004)によって記載されている。
【0161】
目的とする抗CD19抗体のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号または同第5,821,337号に記載されるようなインビトロADCCアッセイが、使用され得る。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞を含む。例えば、任意の特定の抗体の、補体の活性化および/またはADCCによる標的細胞の溶解を媒介する能力が、アッセイされ得る。目的の細胞は、増殖され、そしてインビトロで標識される;上記抗体は、抗原抗体複合体(すなわち、ADCC応答に関与するエフェクター細胞)によって活性化され得る免疫細胞と組み合わせて細胞培養物に添加される。上記抗体はまた、補体の活性化について試験され得る。いずれかの場合において、標的細胞の細胞溶解は、溶解された細胞からの標識の放出によって検出される。実際に、抗体は、補体および/または免疫細胞の供給源として患者自らの血清を使用してスクリーニングされ得る。インビトロ試験においてヒトのADCCを媒介し得る抗体は、次いで、特定の患者において治療的に使用され得る。代替的かまたは追加的に、目的とする分子のADCC活性は、インビボ(例えば、Clynesら、PNAS(USA)95:652−656(1998)において開示されるような動物モデル)で評価され得る。さらに、抗体のADCCおよびCDC(必要に応じて)活性ならびにアポトーシス活性(必要に応じて)のレベルを調節(すなわち、増大または減少)するための技術は、当該分野において周知である。例えば、米国特許第6,194,551号を参照のこと。(例えば、Chaouchiら、J.Immunol.、154(7):3096−104(1995);Pedersenら、Blood、99(4):1314−1318(2002);Albertsら、Molecular Biology of the Cell;Steensmaら、Methods Mol Med.、85:323−32,(2003)を参照のこと)。本発明の抗体は、好ましくは、ADCCおよび/またはCDCならびに/あるいはアポトーシスの応答を誘導する能力を有し得るか、またはADCCおよび/またはCDCならびに/あるいはアポトーシスの応答を誘導する能力を有するように改変されている。好ましくは、決まったADCC機能に対するこのようなアッセイは、ヒトのADCCを評価するために、ヒトエフェクター細胞を使用して行われる。
【0162】
(5.3.3.免疫結合体および融合タンパク質)
本発明の特定の局面に従って、治療剤または毒素は、本発明の組成物および方法において使用するためにキメラ化抗CD19抗体、ヒト抗CD19抗体、またはヒト化抗CD19抗体と結合体化され得る。特定の実施形態において、これらの結合体は、融合タンパク質として産生され得る(第5.1.8節を参照のこと)。治療剤および毒素の例としては、エンジインファミリーの分子のメンバー(例えば、カリチェアミシン(calicheamicin)およびエスペラミジン)が挙げられるが、これらに限定されない。科学的毒素はまた、デュオカルマイシン(例えば、米国特許第5,703,080号および米国特許第4,923,990号を参照のこと)、メトトレキセート、ドキソルビシン、メルファラン、クロラムブシル、ARA−C、ビンデシン、マイトマイシンC、シスプラチン、エトポシド、ブレオマイシンおよび5−フルオロウラシルからなる群より採択され得る。化学療法剤の例としてはまた、アドリアマイシン、ドキソルビシン、5−フルオロウラシル、シトシンアラビノシド(Ara−C)、シクロフォスファミド、チオテパ、タキソテール(ドセタキセル)、ブスルファン、サイトキサン、タキソール、メトトレキセート、シスプラチン、メルファラン、ビンブラスチン、ブレオマイシン、エトポシド、イホスファミド、マイトマイシンC、ミトザントロン、ビンクリスチン、ビノレルビン、カルボプラチン、テニポシド、ダウノマイシン、カルミノマイシン(Carminomycin)、アミノプテリン、ダクチノマイシン、マイトマイシン系、エスペラミジン系(米国特許第4,675,187号を参照のこと)、メルファランおよび他の関連するナイトロジェンマスタードが挙げられる。
【0163】
他の実施形態に、例えば、「CVB」(1.5g/mのシクロホスファミド、200−400mg/mのエトポシドおよび150〜200mg/mのカルムスチン)は、本発明の併用療法と組み早稲て使用され得る。非ホジキンリンパ腫を処置するために使用されるCVBは、レジメンである(Pattiら、Eur.J.Haematol.、51:18(1993))。他の適切な併用化学療法レジメンは、当業者に周知である。例えば、Freedmanら、「Non−Hodgkin’s Lymphomas」、Cancer Medicine、第2巻、第3版、Hollandら(eds.)、pp.2028−2068(Lea & Febiger 1993)を参照こと。例として、中等度悪性群の非ホジキンリンパ腫の処置のための第1世代の化学療法レジメンとしては、C−MOPP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、プロカルバジンおよびプレドニゾン)およびCHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン)が挙げられる。有用な第2世代の化学療法レジメンは、m−BACOD(メトトレキセート、ブレオマイシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、デキサメタゾンおよびロイコボリン)であり、一方で、第3世代のレジメンは、MACOP−B(メトトレキセート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン、ブレオマイシンおよびロイコボリン)である。さらなる有効な薬物としては、フェニルブチレートおよびブロスタチン(brostatin)−1が挙げられる。
【0164】
本発明の免疫結合体に使用され得る他の毒素としては、有毒なレクチン、植物毒素(例えば、リシン、アブリン、モデシン、ボツリヌス(botulina)毒素およびジフテリア毒素が挙げられる。当然に、種々の毒素の組み合わせもまた、1つの抗体分子と合わせられ得、それによって適切な可変の細胞傷害性を提供する。本発明の併用療法に適切に使用される毒素の例は、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ、DNase I、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリン毒素、シュードモナス属の体外毒素およびシュードモナス属の内毒素である。例えば、Pastanら、Cell、47:641(1986)およびGoldenbergら、Cancer Journal for Clinicians、44:43(1994)を参照のこと。使用され得る酵素的に活性な毒素およびそのフラグメントとしては、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性フラグメント、体外毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、α−サルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンチンタンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP−S)、Momordica charantiaインヒビター、クルシン、クロチン、sapaonaria officinalisインヒビター、ゲロニン、マイトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、およびトリコテセンが挙げられる。例えば、WO 93/21232(1993年10月28日公開)を参照のこと。
【0165】
適切な毒素および化学療法剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第19版(Mack Publishing Co.1995)およびGoodman And Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics、第7版(MacMillan Publishing Co.1985)に記載される。他の適切な毒素および/または化学療法剤は、当業者に公知である。
【0166】
本発明の抗CD19抗体はまた、その抗体を、プロドラッグ(例えば、ペプチジル化学療法剤、WO81/01145参照)を活性な抗癌薬に変換するプロドラッグ活性化酵素に結合体化することによってADEPTにおいて使用され得る。例えば、WO 88/07378および米国特許第4,975,278号を参照のこと。ADEPTに有用な免疫結合体の酵素成分は、そのプロドラッグをそのより活性な細胞傷害性形態に変換するためにそのような方法でプロドラッグを活性化し得る任意の酵素を含む。
【0167】
本発明の方法に有用な酵素としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ホスフェート含有プロドラッグを遊離の薬物に変換するのに有用なアルカリホスファターゼ;サルフェート含有プロドラッグを遊離の薬物に変換するのに有用なアリールスルファターゼ;非毒性の5−フルオロシトシンを抗癌薬(5−フルオロウラシル)に変換するのに有用なシトシンデアミナーゼ;ペプチド含有プロドラッグを遊離の薬物に変換するのに有用なプロテアーゼ(例えば、セラチアプロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボキシペプチダーゼおよびカテプシン(例えば、カテプシンBおよびカテプシンL));プロドラッグをD−アミノ酸置換体に変換するのに有用なD−アラニルカルボキシペプチダーゼ;グリコシル化されたプロドラッグを遊離の薬物に変換するのに有用な炭水化物切断酵素(例えば、β−ガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼ;α−ラクタムによって誘導体化された薬物を遊離の薬物に変換するのに有用なβ−ラクタマーゼ;およびアミン窒素にて、それぞれ、フェノキシアセチル基またはフェニルアセチル基によって誘導体化された薬物を遊離の薬物に変換するのに有用な、ペニシリンVアミダーゼまたはペニシリンGアミダーゼなどのペニシリンアミダーゼ。あるいは、当該分野において「アブザイム」としても公知である酵素活性を有する抗体は、本発明のプロドラッグを遊離の活性な薬物に変換するために使用され得る(例えば、Massey、Nature 328:457−458(1987)を参照のこと)。抗体−アブザイム結合体は、B細胞の悪性疾患に罹患するヒトの部分に対する所望されるようなアブザイムの送達のために、本明細書中に記載される通りに調製され得る。
【0168】
本発明の酵素は、当該分野において周知である技術(例えば、上で考察されるヘテロ二官能性架橋試薬の使用)によって上記抗体に共有結合され得る。あるいは、本発明の酵素の少なくとも機能的に活性な部分に結合した本発明の抗体の少なくとも抗原結合領域を有する融合タンパク質は、当該分野において周知である組換えDNA技術を使用して構築され得る(例えば、Neubergerら、Nature、312:604−608(1984)を参照のこと)。
【0169】
本発明の抗CD19抗体の共有結合的な改変は、本発明の範囲内に含まれる。それらは、該当する場合、化学合成あるいは抗体の酵素的切断または化学的切断によって作製され得る。抗CD19抗体の他の型の共有結合的な改変は、その抗体の標的アミノ酸残基と、選択された側鎖あるいはN末端残基またはC末端残基と反応し得る有機誘導体化剤とを反応させることによって分子中に導入される。
【0170】
システイニル残基は、最も一般的に、カルボキシメチル誘導体またはカルボキシアミドメチル誘導体を与えるように、α−ハロアセテート(および対応するアミン)(例えば、クロロ酢酸またはクロロアセトアミド)と反応させられる。同様に、ヨード試薬(iodo−reagent)もまた、使用され得る。システイニル残基はまた、ブロモトリフルオロアセトン、α−ブロモ−β−(5−イミドゾイル)プロピオン酸、クロロアセチルホスフェート、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリジルジスルフィド、メチル2−ピリジルジスルフィド、p−クロロ水銀安息香酸、2−クロロ水銀−4−ニトロフェノール、またはクロロ−T−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールとの反応によって誘導体化される。
【0171】
ヒスチジル残基は、pH5.5〜7.0におけるジエチルピロカルボネートとの反応によって誘導体化される。なぜならば、この薬剤が、ヒスチジル側鎖に比較的特異的であるからである。p−ブロモフェナシルブロミドもまた、有用である;その反応は、好ましくは、0.1Mカコジル酸ナトリウム中でpH6.0にて行われる。
【0172】
リジル残基およびアミノ末端残基は、無水コハク酸または他の無水カルボン酸と反応させられる。これらの薬剤による誘導体化は、リジニル残基の電荷を逆転させる効果を有する。α−アミノ含有残基および/またはε−アミノ含有残基を誘導体化するための他の適切な試薬としては、イミドエステル(例えば、メチルピコリニミデート(methyl picolinimidate)、リン酸ピリドキサール、ピリドキサール、クロロ水素化ホウ素(chloroborohydride)、トリニトロベンゼンスルホン酸、O−メチルイソ尿素、2,4−ペンタンジオンおよびグリオキシレートとのトランスアミナーゼ触媒反応物)が挙げられる。
【0173】
アルギニル残基は、1種または数種の従来の試薬(とりわけ、フェニルグリオキサール、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオンおよびニンヒドリン)との反応によって改変される。アルギニル残基の誘導体化は、一般に、グアニジン官能基の高いpKaに起因して、その反応がアルカリ性条件において行われることを必要とする。さらに、これらの試薬は、リジンのε−アミノ基およびアルギニンのε−アミノ基と反応し得る。
【0174】
チロシル残基の特定の改変は、特殊な標識をチロシル残基中に導入することへの特定の関心に伴って、芳香族ジアゾニウム化合物またはテトラニトロメタンとの反応によって行われ得る。最も一般的に、N−アセチルイミジゾール(acetylimidizole)およびテトラニトロメタンは、それぞれ、O−アセチルチロシル化学種および3−ニトロ誘導体を形成するために使用される。チロシル残基は、放射免疫アッセイにおいて使用するためにの標識されたタンパク質を調製するために、125Iまたは131Iを使用してヨウ素化される。カルボキシル側差(アスパルチルまたはグルタミル)は、カルボジイミド(R−N=C=N−R’)との反応によって選択的に改変され、RおよびR’は、異なるアルキル基(例えば、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリニル−4−エチル)カルボジイミドまたは1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルペンチル)カルボジイミド)である。さらに、アスパルチル残基およびグルタミル残基は、アンモニウムイオンとの反応によってアスパラギニル残基およびグルタミニル残基に変換される。
【0175】
グルタミニル残基およびアスパラギニル残基は、頻繁に、それぞれ、対応するグルタミルおよびアスパルチル残基へと脱アミドされる。これらの残基は、中性条件または塩基性条件下で脱アミドされる。これらの残基の脱アミド形態は、本発明の範囲内に含まれる。
【0176】
他の改変としては、プロリンおよびリジンの水酸化、セリル残基またはトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン側鎖、アルギニン側鎖およびヒスチジン側鎖のαアミノ基のメチル化(T.E.Creighton、Proteins:Structure and Molecular Properties、W.H.Freeman & Co.、San Francisco、pp.79−86(1983)、N末端アミンのアセチル化および任意のC末端カルボキシル基のアミド化)が挙げられる。
【0177】
別の型の共有結合的な改変は、抗体にグリコシドを化学的または酵素的にカップリングすることを含む。これらの手順は、それらがN−結合型グリコシル化またはO−結合型グリコシル化のためにグ、リコシル化性能を有する宿主細胞における上記抗体の産生を必要としない点で有利である。使用されるカップリングの様式に依存して、糖は、(a)アルギニンおよびヒスチジン、(b)遊離のカルボキシル基、(c)遊離のスルフヒドリル基(例えば、システインの基)、(d)遊離のヒドロキシル基(たとえば、セリン、トレオニン、またはヒドロキシプロリンの基)、(e)芳香族残基(例えば、フェニルアラニン、チロシン、またはトリプトファンの基)、または(f)グルタミンのアミド基に結合し得る。これらの方法は、WO 87/05330(1987年、9月11年公開)およびAplinおよびWriston、CRC Crit.Rev.Biochem.、pp.259−306(1981)に記載される。
【0178】
(5.4.薬学的処方物、薬学的投与および薬学的投薬)
本発明の薬学的処方物は、活性成分として、ヒト抗CD19抗体、ヒト化抗CD19抗体、またはキメラ抗CD19抗体を含む。上記処方物は、むき出しの抗体、免疫結合体、または融合タンパク質を、ヒト患者に対する投与に適した重量または容量の単位において所望の応答をもたらすのに有効な量で含み、そして好ましくは、無菌である。上記応答は、例えば、抗CD19抗体組成物の生理学的効果(例えば、循環するB細胞の枯渇、組織B細胞の枯渇、B細胞の悪性疾患の後退、または疾患症状の減少であるが、これらに限定されない)を決定することによって測定され得る。他のアッセイは、当業者に公知であり、そして応答のレベルを測定するために利用され得る。
【0179】
(5.4.1.薬学的処方物)
抗CD19抗体組成物は、薬学的に受容可能なキャリアと一緒に処方され得る。用語「薬学的に受容可能な」は、上記活性成分の生物学的活性の効果を妨害しない1種以上の非毒性の物質を意味する。このような調製物は、慣用的に、塩、緩衝剤、保存剤、適合性のキャリアおよび必要に応じて他の治療剤を含む。このような薬学的に受容可能な調製物はまた、慣用的に、ヒトに対する投与に適した適合性の固体フィラー(filler)または液体フィラー、希釈剤または封入物質(encapsulating substance)を含み得る。医薬において使用される場合、上記塩は、薬学的に受容可能であるべきであるが、薬学的に受容可能ではない塩は、便宜的に、その薬学的に受容可能な塩を調製するために使用され得、そして薬学的に受容可能ではない塩は、本発明の範囲から除外されない。このような薬理学的および薬学的に受容可能な塩としては、以下の酸から調製されるものが挙げられるが、これらに限定されない:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、ホウ酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸など。また、薬学的に受容可能な塩は、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩またはカルシウム塩)として調製され得る。用語「キャリア」は、天然または合成の有機成分または無機成分を示し、活性成分は、適用を容易にするためにこのキャリアと組み合わされる。上記薬学的組成物の成分はまた、実質的に所望の薬学的効力を損なう相互作用が存在しないような様式で、本発明の抗体および互いと混合可能である。
【0180】
本発明の特定の局面に従って、抗CD19抗体組成物は、所望の純度を有する抗体または免疫結合体と、必要に応じた生理学的に受容可能なキャリア、賦形剤または安定化剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、Osol、A.編(1999))とを混合することによって保存のために、凍結乾燥した処方物または水溶液の形態で調製され得る。受容可能なキャリア、賦形剤、または安定化剤は、使用される投薬量および濃度においてレシピエントに対して非毒性であり、そして緩衝液(リン酸、クエン酸および他の有機酸;アスコルビン酸およびメチオニンを含む酸化防止剤;保存剤(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノールアルコール、ブチルアルコールまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン(例えば、メチルパラベンまたはプロピルパラベン);カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン);親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン);アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジン);グルコース、マンノースまたはデキストリンを含む単糖類、二糖類および他の炭水化物;キレート剤(例えば、EDTA);糖(例えば、スクロース、マンニトール、トリハロースまたはソルビトール);塩を形成する対イオン(例えば、ナトリウム);金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);および/または非イオン性界面活性剤(例えば、TWEEN、PLURONICSTMまたはポリエチレングリコール(PEG))を含む。
【0181】
抗CD19抗体組成物はまた、必要に応じて、適切な保存料(例えば、塩化ベンザルコニウム;クロロブタノール;パラベンおよびチメロサール)を含み得る。
【0182】
上記抗CD19抗体組成物は、便宜的に、単位投薬形態で調製され得、そして薬学の分野において周知である任意の方法によって調製され得る。全ての方法は、活性剤を、1種以上の補助成分を構成するキャリアと会合させる工程を包含する。一般に、上記組成物は、活性化合物を液体キャリア、微粉化した固体キャリア、またはその両方と均一および本質的に会合させ、次いで必要に応じて、生成物を成形することによって調製される。
【0183】
非経口投与に適した組成物は、便宜的に、抗CD19抗体の無菌の水性調製物または非水性調製物を含み、それらは、好ましくは、レシピエントの血液と等張である。この調製物は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して公知の方法に従って処方され得る。無菌の注射可能な調製物はまた、無菌の注射可能な溶液または非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒中の懸濁物(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として)であり得る。とりわけ、使用され得る需要可能なビヒクルおよび溶媒は、水、リンガー溶液および等張の塩化ナトリウム溶液である。さらに、無菌の不揮発性油は、便宜的に、溶媒または懸濁媒体として使用される。この目的のために、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性の不揮発性油が、使用され得る。さらに、脂肪酸(例えば、オレイン酸)が、注射可能なものの調製において使用され得る。経口投与、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与などに適したキャリア処方物は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、PAに見出され得る。特定の実施形態において、種々の投与経路に適したキャリア処方物は、RITUXANTMについて記載されるものと同一または類似であり得る。Physicians’Desk Reference(Medical Economics Company,Inc.、Montvale、NJ、2005)、pp.958−960および1354−1357(これは、その全体が本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。本発明の特定の実施形態において、抗CD19抗体組成物は、静脈内投与のために、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム二水和物、ポリソルベート80および滅菌水と一緒に処方され、その組成物のpHは、約6.5に調整される。当業者は、静脈内注射が迅速に分布する抗体において、循環の徹底に起因して有用な投与の様式を提供することを認識する。しかし、静脈内投与は、血管の内皮細胞および内皮下のマトリックスを含む血管の障壁による制限に供される。依然として、その血管の障壁は、固形腫瘍による治療用抗体の取り込みに関して、より注目すべき問題である。リンパ腫は、有効な抗体送達に寄与する比較的高い血流量を有する。皮下注射または筋肉内注射などのリンパ管内の投与経路(すなわち、リンパ管のカテーテル法)はまた、B細胞リンパ腫を処置する有用な手段を提供する。好ましい実施形態において、本発明の組成物および方法の抗CD19抗体は、皮下に自己投与される。このような好ましい実施形態において、上記組成物は、約50mg/mLにて、凍結乾燥された薬物としてか、または液体緩衝液(例えば、PBSおよび/またはクエン酸塩)中に処方される。
【0184】
本明細書中の処方物はまた、処置される特定の指標に対する必要性として、1種より多い活性化合物(好ましくは、互いに有害に作用しない補完的な活性を有するもの)を含み得る。例えば、免疫抑制因子をさらに提供することが、望まれ得る。このような分子は、意図された目的に対して有用である量で組成物中に適切に存在する。
【0185】
上記活性成分はまた、例えば、コアセルベーション技術または界面重合(例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン−マイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)によって、コロイド性の薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子およびナノカプセル)またはマクロエマルションにおいて調製されるマイクロカプセル中に封入され得る。このような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、Osol,A.編(1980)において開示される。
【0186】
インビボ投与のために使用される処方物は、代表的に、無菌である。これは、濾過滅菌膜を通した濾過によって容易に達成される。
【0187】
徐放処方調製物が、調製され得る。徐放調製物の適切な例としては、抗CD19抗体を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、そのマトリックスは、成形された物品の形態(例えば、フィルム、またはマイクロカプセル)である。徐放マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸とγエチル−L−グルタミン酸とのコポリマー、非分解性のエチレン−ビニルアセテート、LUPRON DEPOTTMなどの分解性の乳酸−グリコール酸コポリマー(乳酸−グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリド)およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸から構成された注射可能なマイクロスフェアが挙げられる。エチレン−ビニルアセテートおよび酪産−グリコール酸などのポリマーが、100日間を超えて分子の放出を可能にする一方で、特定のヒドロゲルは、より短い時間にわたってタンパク質を放出する。封入された抗体が、長時間にわたって身体中に残存する場合、それらは、37℃における水分に対する曝露の結果として変性または凝集され得、生物額的活性の損失および免疫原性の可能な変化を生じる。合理的なストラテジーは、含まれる機構に依存して、安定化のために工夫され得る。例えば、凝集機構は、チオ−ジスルフィド交換によって分子間S−S結合形成であることが乱される場合、安定化は、スルフヒドリル残基を改変すること、酸性溶液から凍結乾燥すること、水分含量を制御すること、適切な添加剤を使用することおよび特定のポリマーマトリックス組成物を開発することによって達成され得る。特定の実施形態において、本発明の組成物において使用される薬学的に受容可能なキャリアは、ヒトのADCCまたはCDCに影響を与えない。
【0188】
本明細書中に開示される抗CD19抗体組成物はまた、免疫リポソームとして処方され得る。「リポソーム」は、ヒトに送達するのに有用である種々の型の脂質、リン脂質および/または界面活性薬物(例えば、本明細書中に開示される抗CD19抗体)から構成される小さいビヒクルである。リポソームの成分は、一般的に、二重層の形成において配置される(生物学的な膜の脂質配置と同様)。本発明の抗体を含むリポソームは、当該分野において公知である方法(例えば、Epsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、82:3688(1985);Hwangら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77:4030(1980);および米国特許第4,485,045号および同第4,544,545号に記載されるもの)によって調製される。向上した循環時間を有するリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示される。特に有用な有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物を用いた逆相エバポレーション法によって産生され得る。リポソームは、所望の直径を有するリポソームを生じる規定された孔径のフィルターを通して押し出される。本発明の抗体は、ジスルフィド交換反応を介して、Martinら、J.Biol.Chem.、257:286−288(1982)に記載されるようなリポソームと結合体化され得る。治療剤はまた、リポソーム内に含まれ得る。Gabizonら、J.National Cancer Inst.,(19)1484(1989)を参照のこと。
【0189】
いくつかの好ましい薬学的処方物としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
(a)100mg(10mL)または500mg(50mL)いずれかの単回使用バイアル中に10mg/mlの濃度で供給される抗CD19抗体の静脈内(i.v.)投与のための、無菌であり保存剤を含有しない液体濃縮物。この産物は、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム二水和物、ポリソルベートおよび注射用滅菌水を使用して、i.v.投与のために処方され得る。例えば、上記産物は、9.0mg/mLの塩化ナトリウム、7.35mg/mLのクエン酸ナトリウム二水和物、0.7mg/mLのポリソルベート80および注射用滅菌水中に処方され得る。そのpHは、6.5に調整される。
【0190】
(b)皮下(s.c.)注射のための単回使用ガラスバイアル中の無菌である凍結乾燥粉末。この産物は、スクロース、塩酸L−ヒスチジン一水和物、L−ヒスチジンおよびポリソルベート20を用いて処方され得る。例えば、それぞれの単回使用バイアルは、150mgの抗CD19抗体、123.2mgのスクロース、6.8mgの塩酸L−ヒスチジン一水和物、4.3mgのL−ヒスチジンおよび3mgのポリソルベート20を含み得る。単回使用バイアルの1.3ml滅菌水による再構成は、1.25mlあたり125mg(100mg/ml)の抗体を送達するための、約1.5mlの溶液をもたらす。
【0191】
(c)静脈内(i.v.)投与のための無菌である保存剤を含まない凍結乾燥粉末。この産物は、α−トレハロース二水和物、L−ヒスチジンHCl、ヒスチジンおよびポリソルベート20 USPを用いて処方され得る。例えば、各バイアルは、440mgの抗CD19抗体、400mgのα,α−トレハロース二水和物、9.9mgのL−ヒスチジンHCl、6.4mgのL−ヒスチジンおよび1.8mgのポリソルベート20,USPを含み得る。保存剤として1.1%のベンジルアルコールを含む20mlの注射用の静菌水(bacteriostatic water)(BWFI),USPによる再構成は、約6のpHにて21mg/mlの抗体を含む複数用量の溶液を生じる。
【0192】
(d)抗CD19抗体がスクロース、ポリソルベート、一塩基のリン酸ナトリウム一水和物および二塩基のリン酸ナトリウム二水和物を用いて処方される、静脈内注入のための無菌である凍結乾燥粉末。例えば、各単回使用バイアルは、100mgの抗体、500mgのスクロース、0.5mgのポリソルベート80、2.2mgの一塩基の一塩基のリン酸ナトリウム一水和物および6.1mgの二塩基のリン酸ナトリウム二水和物を含み得る。保存剤は、存在しない。10mlの注射用滅菌水,USPによる再構成後、得られるpHは、約7.2である。
【0193】
(e)単回使用(1mlの予め充填された注射器)で供給される皮下投与のための、無菌である保存剤を含まない溶液。この産物は、塩化ナトリウム、一塩基のリン酸ナトリウム二水和物、二塩基のリン酸ナトリウム二水和物、クエン酸ナトリウム、クエン酸一水和物、マンニトール、ポリソルベート80および注射用水,USPを用いて処方され得る。水酸化ナトリウムが、pHを約5.2に調整するために添加され得る。
【0194】
例えば、各注射器は、0.8ml(40mg)薬物生成物を送達するために、処方され得る。各0.8mlは、40mgの抗CD19抗体、4.93mgの塩化ナトリウム、0.69mgの一塩基のリン酸ナトリウム二水和物、1.22mgの二塩基のリン酸ナトリウム二水和物、0.24mgのクエン酸ナトリウム、1.04のクエン酸一水和物、9.6mgのマンニトール、0.8mgのポリソルベート80および注射用水,USPを含む。
【0195】
(f)滅菌注射用水(SWFI),USPを用いて再構成され、そして皮下(s.c.)注射として投与されるる単回使用バイアル中に含まれる無菌であり保存剤を含まない凍結乾燥粉末。この産物は、スクロース、塩酸ヒスチジン一水和物、L−ヒスチジンおよびポリソルベートによって処方され得る。例えば、75mgのバイアルは、129.6mgまたは112.5mgの上記抗CD19抗体、93.1mgのスクロース、1.8mgの塩酸L−ヒスチジン一水和物、1.2mgのL−ヒスチジンおよび0.3mgのポリソルベート20を含み得、そして0.9mlのSWFI,USPを用いた再構成後に、0.6ml中に75mgの上記抗体を送達するように設計される。150mgのバイアルは、202.5mgまたは175mgの抗CD19抗体、145.5mgのスクロース、2.8mgの塩酸L−ヒスチジン一水和物、1.8mgのL−ヒスチジンおよび0.5mgのポリソルベート20を含み得、そして1.4mlのSWFI,USPを用いた再構成後に、1.2ml中に150mgの上記抗体を送達するように設計される。
【0196】
(g)滅菌注射用水を用いた再構成のための、無菌である凍結乾燥(hyophilized)産物。この産物は、筋肉内(IM)注射のために、マンニトール、ヒスチジンおよびグリシンを使用して単回使用バイアルとして処方され得る。例えば、それぞれの単回使用バイアルは、100mgの抗体、67.5mgのマンニトール、8.7mgのヒスチジンおよび0.3mgのグリシンを含み得、そして1.0mlの滅菌注射用水を用いて再構成された場合に、1.0ml中に100mgの抗体を送達するように設計される。あるいは、それぞれの単回使用バイアルは、50mgの抗体、40.5mgのマンニトール、5.2mgのヒスチジンおよび0.2mgのグリシンを含み得、そして0.6mlの滅菌注射用水を用いて再構成された場合に50mgの抗体を送達するように設計される。
【0197】
(h)100mg/mlの濃度で供給される、筋肉内(IM)注射のための無菌であり保存剤を含まない溶液。この産物は、ヒスチジン、グリシンおよび滅菌注射用水を用いて単回使用バイアル中に処方され得る。例えば、それぞれの単回使用バイアルは、1.2mlの容量において100mgの抗体、4.7mgのヒスチジンおよび0.1mgのグリシンを用いて処方され得、1ml中に100mgの抗体を送達するように設計される。あるいは、それぞれの単回使用バイアルは、0.7mlまたは0.5mlの容量において、50mgの抗体、2.7mgのヒスチジンおよび0.08mgのグリシンを用いて処方され得、0.5ml中に50mgの抗体を送達するように設計される。
【0198】
特定の実施形態において、本発明の薬学的組成物は、4℃にて安定である。特定の実施形態において、本発明の薬学的組成物は、室温にて安定である。
【0199】
(5.4.2.抗体半減期)
特定の実施形態において、本発明の組成物および方法の抗CD19抗体の半減期は、少なくとも約4日間〜7日間である。特定の実施形態において、本発明の組成物および方法の抗CD19抗体の平均半減期は、少なくとも約2日間〜5日間、3日間〜6日間、4日間〜7日間、5日間〜8日間、6日間〜9日間、7日間〜10日間、8日間〜11日間、8日間〜12日間、9日間〜13日間、10日間〜14日間、11日間〜15日間、12日間〜16日間、13日間〜17日間、14日間〜18日間、15日間〜19日間、または16日間〜20日間である。他の実施形態において、本発明の組成物および方法の抗CD19抗体の半減期は、約50日間までであり得る。特定の実施形態において、本発明の組成物および方法の抗体の半減期は、当該分野において公知である方法によって延長され得る。このような延長は、次に、本発明の抗体組成物の投薬の量および/または頻度を減少させ得る。改良されたインビボの半減期を有する抗体およびそれらを調製する方法は、米国特許第6,277,375号;および国際公開第WO 98/23289号および同第WO 97/3461号に開示される。
【0200】
インビボにおける本発明の抗CD19抗体の血清循環はまた、その抗体のN末端もしくはC末端に対するPEGの部位特異的な結合体化によるかまたは、リジル残基上に存在するε−アミノ基を介するかのいずれかの多官能性リンカーを用いてか、または用いずに、不活性なポリマー分子(例えば、高分子量のポリエチレングリコール(PEG))をその抗体に結合することによって延長され得る。生物学的活性の最小限の損失をもたらすリンカーまたは分子鎖ポリマー誘導体が、使用される。結合体化の程度は、その抗体に対するPEG分子の適切な結合体化を確保するために、SDS−PAGEおよび質量分析によって厳密にモニタリングされ得る。反応しなかったPEGは、サイズ排除クロマトグラフィーまたはイオン交換クロマトグラフィーによって、抗体−PEG結合体から分離され得る。PEG誘導体化抗体は、当業者に公知の方法(例えば、本明細書中に記載されるイムノアッセイ)を使用して、結合活性およびインビボでの効力について試験され得る。
【0201】
さらに、本発明の組成物および方法の抗体は、インビボでより安定な抗体を作製するか、またはより長いインビボでの半減期を有するために、アルブミンに結合体化され得る。上記技術は、当該分野において周知である(例えば、国際公開第WO 93/15199号、同第WO 93/15200号および同第WO 01/77137号;および欧州特許第EP 413、622号(これらの全ては、本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)。
【0202】
(5.4.3.投与および投薬)
ヒト患者に対する本発明の組成物の投与は、任意の径路によるものであり得、その経路としては、静脈内、皮内、経皮、皮下、筋肉内、吸入(例えば、エアロゾルによる)、口腔粘膜(例えば、舌下(sub−lingual))、局所(すなわち、皮膚表面および粘膜表面の両方)(領域カテーテルを介する灌流、または直接的な病巣内への注射による気道表面投与、鞘内投与、関節内投与、胸膜内(intraplural)投与、脳内投与、動脈内投与、腹腔内投与、経口投与、リンパ管内投与、鼻腔内投与、直腸投与または膣投与を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、本発明の組成物は、規定の時間(例えば、0.5〜2時間)にわたって与えられる静脈内プッシュ(intravenous push)または静脈内注入によって投与される。本発明の組成物は、蠕動手段によってか、またはデポーの形態において送達され得るが、任意の所定の場合における最も適切な経路は、当該分野において周知である通り、被験体の種、年齢、性別、および全状態、処置される状態の性質および重篤度、ならびに/または投与される特定の組成物の性質(すなわち、投薬量、処方物)に依存する。特定の実施形態において、投与経路は、週に1回または2回の時間にわたるボーラス注入または持続注入を介する。他の特定の実施形態において、投与経路は、皮下注射(必要に応じて、週に1回または2回)によるものである。1つの実施形態において、上記組成物、および/または本発明の方法は、外来患者ベースで投与される。
【0203】
特定の実施形態において、抗CD19抗体を含む組成物の用量は、患者の体重1kgあたりのmgの単位で測定される。他の実施形態において、抗CD19抗体を含む組成物の用量は、患者の除脂肪体重(すなわち、体重から体脂肪量を減算する)1kgあたりのmgの単位で測定される。なお他の実施形態において、抗CD19抗体を含む組成物の用量は、患者の体表面積1mあたりのmgの単位で測定される。なお他の実施形態において、抗CD19抗体を含む組成物の用量は、患者に投与される用量あたりのmgの単位で測定される。用量のあらゆる測定は、本発明の組成物および方法に関して使用され得、そして投薬単位は、当該分野において標準的な手段によって変換され得る。
【0204】
当業者は、投薬量が、被験体の年齢、性別、種および状態(例えば、B細胞の悪性疾患の病期)、細胞の枯渇の望ましい程度、処置される疾患および/または使用される特定の抗体または抗原結合フラグメントを含む多くの因子に基づいて選択され得ること、およびそれらが、当業者によって決定され得ることを認識する。例えば、本発明の組成物の有用な量は、インビトロ試験系または動物モデル(例えば、コットンラットまたはサル)の試験系から得られる用量−反応曲線から推定され得る。抗体の効果を評価するためのモデルおよび方法は、当該分野において公知である(Wooldridgeら、blood、89(8):2994−2998(1997)(これは、その全体が本明細書中に参考として援用される)。特定の実施形態において、特定のB細胞の悪性疾患に関して、当該分野における抗体治療についての標準的な治療レジメンは、本発明の組成物および方法と一緒に使用され得る。本発明の方法において使用され得る投薬レジメンの例としては、毎日、1週間に3回(間欠的)、毎週、または14日毎が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、投薬レジメンとしては、毎月の投薬または6〜8週間毎の投薬が挙げられるが、これらに限定されない。
【0205】
当業者は、維持レジメンと比較して、最初の処置に関しては、投薬量が一般にはより高くそして/または投与の頻度がより多いことを認識する。
【0206】
本発明の実施形態において、上記抗CD19抗体は、B細胞に結合し、したがってより効率的(すなわち、より低い投薬量における)なB細胞の枯渇(本明細書中に記載されるようなもの)を生じる。より高い程度の結合は、患者のB細胞表面上のヒトCD19の密度が高い場合に達成され得る。例示の実施形態において、抗体(必要に応じて、薬学的組成物の一部として薬学的に受容可能なキャリア中にある)の投薬量は、少なくとも約0.0005mg/m、0.001mg/m、0.05mg/m、0.075mg/m、0.1mg/m、0.25mg/m、0.375mg/m、0.5mg/m、1mg/m、2.5mg/m、5mg/m、10mg/m、20mg/m、37.5mg/m、または50mg/mおよび/あるいは約500mg/m、475mg/m、450mg/m、425mg/m、400mg/m、375mg/m、350mg/m、325mg/m、300mg/m、275mg/m、250mg/m、225mg/m、200mg/m、175mg/m、150mg/m、125mg/m、100mg/m、75mg/m、60mg/m、50mg/m、37.5mg/m、20mg/m、15mg/m、10mg/m、5mg/m、2.5mg/m、1mg/m、0.5mg/m、0.375mg/m、0.1mg/m、0.075mg/mまたは0.01mg/m未満である。特定の実施形態において、上記投薬量は、約0.0005〜約200mg/mとの間、約0.001mg/mと150mg/mとの間、約0.075mg/mと125mg/mとの間、約0.375mg/mと100mg/mとの間、約2.5mg/mと75mg/mとの間、約10mg/mと75mg/mとの間および約20mg/mおよび50mg/mとの間である。関連する実施形態において、使用される抗CD19抗体の投薬量は、患者の体重1kgあたり少なくとも約0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、0.9mg、1mg、1.5mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、5.5mg、6mg、6.5mg、7mg、7.5mg、8mg、8.5mg、9mg、9.5mg、10mg、10.5mg、11mg、11.5mg、12mg、12.5mg、13mg、13.5mg、14mg、14.5mg、15mg、15.5mg、16mg、16.5mg、17mg、17.5mg、18mg、18.5mg、19mg、19.5mg、20mg、20.5mgである。特定の実施形態において、使用されるむき出しの抗CD19抗体の用量は、患者の体重1kgあたり少なくとも約1mg〜10mg、5mg〜15mg、10mg〜20mg、または15mg〜25mgである。特定の実施形態において、使用される抗CD19抗体の用量は、患者の体重1kgあたり少なくとも約1mg〜20mg、3mg〜15mg、または5mg〜10mgである。好ましい実施形態において、使用される抗CD19抗体の用量は、患者の体重1kgあたり少なくとも約5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、または10mgである。特定の実施形態において、抗体(必要に応じて、薬学的組成物の一部として薬学的に受容可能なキャリア中にある)の単一の投薬単位は、少なくとも約0.5μg/m、1μg/m、2μg/m、4μg/m、6μg/m、8μg/m、10μg/m、12μg/m、14μg/m、16μg/m、18μg/m、20μg/m、22μg/m、24μg/m、26μg/m、28μg/m、30μg/m、32μg/m、34μg/m、36μg/m、38μg/m、40μg/m、42μg/m、44μg/m、46μg/m、48μg/m、50μg/m、52μg/m、54μg/m、56μg/m、58μg/m、60μg/m、62μg/m、64μg/m、66μg/m、68μg/m、70μg/m、72μg/m、74μg/m、76μg/m、78μg/m、80μg/m、82μg/m、84μg/m、86μg/m、88μg/m、90μg/m、92μg/m、94μg/m、96μg/m、98μg/m、100μg/m、102μg/m、104μg/m、106μg/m、108μg/m、110μg/m、112μg/m、114μg/m、116μg/m、118μg/m、120μg/m、122μg/m、124μg/m、126μg/m、128μg/m、130μg/m、132μg/m、134μg/m、136μg/m、138μg/m、140μg/m、142μg/m、144μg/m、146μg/m、148μg/m、150μg/m、152μg/m、154μg/m、156μg/m、158μg/m、160μg/m、162μg/m、164μg/m、166μg/m、168μg/m、170μg/m、172μg/m、174μg/m、176μg/m、178μg/m、180μg/m、182μg/m、184μg/m、186μg/m、188μg/m、190μg/m、192μg/m、194μg/m、196μg/m、198μg/m、200μg/m、204μg/m、206μg/m、208μg/m、210μg/m、212μg/m、214μg/m、216μg/m、218μg/m、220μg/m、222μg/m、224μg/m、226μg/m、228μg/m、230μg/m、232μg/m、234μg/m、236μg/m、238μg/m、240μg/m、242μg/m、244μg/m、246μg/m、248μg/m、または250μg/mであり得る。他の実施形態において、用量は、単一の投薬単位あたり1gまでである。
【0207】
上記の用量の全ては、例示であり、そして本発明の組成物および方法と一緒に使用され得るが、しかし、抗CD19抗体は、毒素または放射線療法剤と組み合わせて使用され、上に記載されるものより低い用量が、好ましい。特定の実施形態において、上記患者が低いレベルのCD19密度を有する場合、上に記載されるもの低い用量が好ましい。
【0208】
本発明の特定の実施形態において、キメラ抗CD19抗体が使用される場合、そのキメラ抗体の用量または量は、患者の体重1kgあたり約2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、または16mgよりも大きい。本発明の他の実施形態において、キメラ抗CD19抗体が使用される場合、そのキメラ抗体の用量または量は、患者の体重1kgあたり約1mg、0.9mg、0.8mg、0.7mg、0.6mg、0.5mg、0.4mg、0.3mg、0.2mg、または0.1mg未満である。
【0209】
本発明の方法のいくつかの実施形態において、本発明の抗体および/または組成物は、約375mg/mよりも低い用量;約37.5mg/mよりも低い用量;約0.37mg/mよりも低い用量;および/または約0.075mg/mと約125mg/mとの間の用量で投与され得る。本発明の方法の好ましい実施形態において、投薬レジメンは、間隔を空けて繰り返して投与される低い用量を含む。例えば、1つの実施形態において、本発明の組成物は、約1日毎、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、7日毎、8日毎、9日毎、10日毎、15日毎、20日毎、25日毎、30日毎、35日毎、40日毎、45日毎、50日毎、60日毎、70日毎、80日毎、90日毎、100日毎、125日毎、150日毎、175日毎、または200日毎の間隔で約375mg/mよりも低い用量を投与し得る。
【0210】
上記特定の用量は、本発明の組成物および方法を使用して少なくとも約1日間、2日間、3日間、5日間、7日間、10日間、14日間、20日間、30日間、45日間、60日間、75日間、90日間、120日間、150日間または180日間またはそれ以上にわたって処置されるヒトにおいてB細胞の枯渇をもたらし得る。特定の実施形態において、プレB細胞(表面の免疫グロブリンを発現しない)は、枯渇する。特定の実施形態において、成熟B細胞(表面の免疫グロブリンを発現する)は、枯渇する。他の実施形態において、全ての非悪性型のB細胞は、枯渇を示し得る。あらゆるこれらの型のB細胞は、B細胞の枯渇を測定するために使用され得る。B細胞の枯渇は、体液(例えば、血液の血清)、または組織(例えば、骨髄)において測定され得る。本発明の方法の好ましい実施形態において、B細胞は、本発明の組成物および方法の使用前に処置された患者のB細胞レベルと比較して、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%枯渇する。本発明の方法の好ましい実施形態において、B細胞は、ヒトに関する代表的な標準のB細胞レベルと比較して、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%枯渇する。関連する実施形態において、ヒトに関する代表的な標準のB細胞レベルは、年齢、性別、体重および他の因子に関連して処置される患者に匹敵する患者を用いて決定される。
【0211】
本発明の特定の実施形態において、約125mg/m以下の投薬量の抗体または抗原結合フラグメントは、少なくとも約7日間、14日間、21日間、30日間、45日間、60日間、90日間、120日間、150日間、または200日間にわたるB細胞の枯渇をもたらす。別の代表的な実施形態において、約37.5mg/m以下の投薬量は、少なくとも約7日間、14日間、21日間、30日間、45日間、60日間、90日間、120日間、150日間、または200日間にわたってB細胞を枯渇させる。さらに他の実施形態において、約0.375mg/m以下の投薬量は、少なくとも約7日間、14日間、21日間、30日間、45日間または60日間にわたってB細胞の枯渇をもたらす。別の実施形態において、0.075mg/m以下の投薬量は、少なくとも約7日間、14日間、21日間、30日間、45日間、60日間、90日間、120日間、150日間、または200日間にわたってB細胞の枯渇をもたらす。なお他の実施形態において、約0.01mg/m、0.005mg/mまたは0.001mg/m以下の投薬量でさえ、少なくとも約3日間、5日間、7日間、10日間、14日間、21日間、30日間、45日間、60日間、90日間、120日間、150日間、または200日間にわたってB細胞の枯渇をもたらす。これらの実施形態に従って、上記投薬量は、任意の適切な経路にって投与され得るが、その投薬量は、必要に応じて、皮下経路によって投与される。
【0212】
別の局面の場合、本発明は、B細胞の枯渇および/またはB細胞の障害に対する処置が現在利用可能な方法において使用されるよりも低い抗体または抗体フラグメントの投薬量において達成され得るという発見を提供する。したがって、別の実施形態において、本発明は、B細胞を枯渇させる方法および/またはB細胞の障害を処置する方法を提供し、これらの方法は、ヒトに、CD19に特異的に結合する抗体の有用な量を投与することを包含し、約500mg/m、475mg/m、450mg/m、425mg/m、400mg/m、375mg/m、350mg/m、325mg/m、300mg/m、275mg/m、250mg/m、225mg/m、200mg/m、175mg/m、150mg/m、125mg/m、100mg/m、75mg/m、60mg/m、50mg/m、37.5mg/m、20mg/m、10mg/m、5mg/m、2.5mg/m、1mg/m、0.5mg/m、0.375mg/m、0.25mg/m、0.1mg/m、0.075mg/m、0.05mg/m、0.001mg/m、0.0005mg/mまたはそれ以下の投薬量は、少なくとも約3日間、5日間、7日間、10日間、14日間、21日間、30日間、45日間、60日間、75日間、90日間、120日間、150日間、180日間、または200日間またはそれ以上にわたって、25%、35%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%またはそれ以上のB細胞(循環するB細胞および/または組織B細胞)の枯渇をもたらす。代表的な実施形態において、約125mg/mまたは75mg/mまたはそれ以下の投薬量は、少なくとも約7日間、14日間、21日間、30日間、60日間、75日間、90日間、120日間、150日間または180日間にわたって、少なくとも約50%、75%、85%または90%のB細胞の枯渇をもたらす。他の実施形態において、約50mg/m、37.5mg/mまたは10mg/mの投薬量は、少なくとも約7日間、14日間、21日間、30日間、60日間、75日間、90日間、120日間または180日間にわたって、少なくとも約50%、75%、85%または90%のB細胞の枯渇をもたらす。さらに他の実施形態において、約0.375mg/mまたは0.1mg/mの投薬量は、少なくとも約7日間、14日間、21日間、30日間、60日間、75日間または90日間にわたって、少なくとも約50%、75%、85%または90%B細胞の枯渇をもたらす。さらなる実施形態において、約0.075mg/m、0.01mg/m、0.001mg/m、または0.0005mg/mの投薬量は、少なくとも約7日間、14日間、21日間、30日間または60日間にわたって、少なくとも約50%、75%、85%または90%のB細胞の枯渇をもたらす。
【0213】
本発明の特定の実施形態において、上記用量は、血液または組織(例えば、骨髄であるが、これに限定されない)において一定の用量を維持するために、漸増または減少され得る。関連する実施形態において、上記用量は、本発明の組成物および方法の抗体の所望のレベルを維持するために、約2%、5%、8%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%および95%で漸増または減少され得る。
【0214】
特定の実施形態において、上記投薬量は、調整され得、そして/または上記注入速度は、本発明の組成物および方法に対する患者の免疫原性応答に基づいて減少され得る。
【0215】
本発明の方法の1つの局面にしたがって、本発明の抗CD19抗体および/または組成物の負荷用量が、最初に投与され得、次いで処置されるB細胞の悪性疾患が進行するまで維持用量が投与され得るかまたは規定の処置過程(例えば、CAMPATHTM、MYLOTARGTM、またはRITUXANTM、後者は患者が増加した規定の数の用量で処置されることを可能にし、これはさらなるデータをもたらす)が適用され得る。本発明の方法の別の局面にしたがって、患者は、免疫原性応答を検出、最小化するためか、または本発明の組成物および方法の有害作用を最小化するために、本発明の組成物および方法によって前処置され得る。
【0216】
(5.4.4.毒性試験)
本発明の組成物および/または処置レジメンの耐性、毒性および/または効力は、例えば、LD50(50%の集団の致死用量)、ED50(50%の集団の治療的に有効な用量)およびIC50(50%の阻害を達成するのに有効な用量)を決定するために。細胞培養物または実験動物における標準的な薬学的手順によって決定され得る。好ましい実施形態において、上記用量は、循環するB細胞もしくは循環する免疫グロブリン、またはその両方の少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、または99%の枯渇を達成するのに有効な用量である。毒性と治療効果との間の用量比は、治療指数であり、そしてそれは、LD50/ED50を比として表され得る。大きい治療指数を示す治療が、好ましい。毒性の副作用を示す治療が使用され得る一方で、患者管理は、CD19陰性な細胞に対する潜在的な損傷を最小化し、それによって副作用を減少させるために、このような薬剤がCD19発現細胞を標的とするような送達系を設計するように行われるべきである。
【0217】
細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトに対する組成物の投薬量および/または処置レジメンの範囲を処方するするのに使用され得る。このような薬剤の用量は、好ましくは、毒性がほとんどないかまたは毒性を伴わないED50を含む循環濃度の範囲内にある。その投薬量は、使用される投薬量および使用される投与経路に依存してこの範囲内で変動し得る。本発明の方法において使用される任意の治療に関して、治療的に有効な用量は、適切な動物モデルによって推定され得る。動物モデルの種に依存して、上記用量は、例えば、Freireichら、Quantitative comparison of toxicity of anticancer agents in mouse、rat、monkey、dog and human、Cancer Chemotherapy Reports、NCI 1966 40:219−244によって提供されるような当該分野で受容される処方物に従ってヒトにおいて使用するために見積もられる。細胞培養アッセイから得られたデータは、潜在的な毒性を予測するのに有用であり得る。動物研究は、細胞培養物において決定されるような、IC50(すなわち、症状の最大半量の阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度を達成する特定の用量を処方するために使用され得る。このような情報は、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定するために使用され得る。血漿薬物濃度は、高速液体クロマトグラフィー、ELISA、または細胞ベースのアッセイによって測定され得る。
【0218】
(5.5.患者の診断、病期分類および治療レジメン)
本発明の特定の局面に従って、本発明の組成物および方法と一緒に従って使用される処置レジメンおよび用量は、多くの因子に基づいて選択され、その因子としては、処置されるB細胞の疾患または症状の病期が挙げられるが、こらに限定されない。適切な処置レジメンは、患者または患者集団におけるB細胞の疾患または障害の特定の病期について、当業者によって決定され得る。用量反応曲線は、B細胞の疾患または障害の異なる病期を有する患者を処置するための本発明の組成物の有効な量を決定するために、当該分野で標準的なプロトロコルにおいて作製され得る。一般に、B細胞の疾患または障害のより進んだ病期を有する患者は、早期のB細胞の疾患または障害を有する患者と比較して、より長い期間にわたって投与され得る、より高い用量および/またはより多くの頻度の用量を必要とする。
【0219】
本発明の抗CD19抗体、組成物および方法は、B細胞の悪性疾患を含むB細胞の疾患を処置するために実施され得る。用語「B細胞の悪性疾患」は、B細胞系の細胞に由来する任意の悪性疾患を含む。例示的なB細胞の悪性疾患としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:B細胞サブタイプの非ホジキンリンパ腫(NHL)(低度悪性群/濾胞性NHL、小リンパ球性(SL)NHL、中等度悪性群/濾胞性NHL、中等度悪性群のびまん性NHL、高度悪性群の免疫芽球性NHL、高度悪性群のリンパ芽球性NHL、高度悪性群の小さい大細胞(small non−cleaved cell)のNHL;成熟細胞のリンパ腫および大きな病変(bulky disease)のNHLを含む);バーキットリンパ腫;多発性骨髄腫;前B細胞性急性リンパ性白血病および早期B細胞前駆体に由来する他の悪性疾患;一般的な急性リンパ性白血病(ALL);慢性リンパ性白血病(CLL)(免疫グロブリン変異型CLLおよび免疫グロブリン非変異型CLLを含む);ヘアリーセル白血病;ヌル急性リンパ芽球性白血病;ヴァルデンストレームマクログロブリン血症;胚中心B細胞様(GCB)DLBCL、活性化B細胞様(ABC)DLBCL、および3型DLBCLを含むびまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL);前リンパ性白血病;L鎖病;形質細胞腫;骨硬化性骨髄腫;形質細胞性白血病;意味未確定の単クローン性高ガンマグロブリン血症(MGUS);くすぶり型多発性骨髄腫(SMM);無症候性多発性骨髄腫(IMM);古典的および結節性リンパ球優勢型を含むホジキンリンパ腫;リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL);ならびに胃粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫を含む辺縁帯リンパ腫。
【0220】
本発明者らは、本発明の抗体および組成物が成熟B細胞を枯渇させ得ることを示した。したがって、別の局面として、本発明は、成熟B細胞(すなわち、その細胞表面上にIgを発現する)の悪性疾患を処置するために使用され得、その悪性疾患とては、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、胚中心B細胞様(GCB)DLBCL、活性化B細胞様(ABC)DLBCL、および3型DLBCLを含むびまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL)、古典的および結節性リンパ球優勢型を含むホジキンリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)、胃粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫を含む辺縁帯リンパ腫、ならびに免疫グロブリン変異型CLLおよび免疫グロブリン非変異型CLLを含む慢性リンパ性白血病(CLL)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0221】
さらに、CD19は、例えば、CD20よりも、B細胞の発達の早期に発現され、したがって、例えば、骨髄における、プレB細胞および未熟B細胞(すなわち、その細胞表面上にIgを発現しない)の悪性疾患を処置するのに特に適している。例示のプレB細胞および未熟B細胞の悪性疾患としては、急性リンパ芽球性白血病が挙げられるが、これに限定されない。
【0222】
他の特定の実施形態において、本発明は、結節外の腫瘍を処置するために実施され得る。
【0223】
(5.5.1.B細胞の悪性疾患の診断および病期分類)
癌(例えば、腫瘍形成が可能なB細胞の疾患または障害(例えば、非ホジキンリンパ腫、びまん性大B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫およびバーキットリンパ腫)の進行は、代表的に、癌が身体全体に拡散している程度によって特徴付けられ、そしてしばしば、帰結の予測である以下の4つの段階に分けられる。第I期:癌が、特定の組織に局在し、そしてリンパ節に拡散していない。第II期:癌が、近くのリンパ節に拡散(すなわち、転移)している。第III期:癌が、元の組織から離れた身体の領域中のリンパ節において見出され、そして腫瘤または1つとは対照的に複数の腫瘍を含み得る。第IV期:癌は、身体の遠隔部位に拡散している。癌の病期は、臨床上の観察および当業者に周知である試験法によって決定され得る。上に記載される癌の病期は、伝統的に、腫瘍形成によって特徴付けられる癌の臨床診断と組み合わせて使用され、そしてB細胞の疾患および障害を処置する本発明の組成物および方法と組み合わせて使用され得る。代表的に、初期の疾患は、その疾患が、患者の身体の一部に局在したままであるか、または転移していないことを意味する。
【0224】
腫瘍を形成しないB細胞の疾患および障害(例えば、多発性骨髄腫であるが、これに限定されない)に関して、疾患の病期を決定するための判定基準は、異なる。Durie−Salmon Staging Systemが、広く使用されている。この病期分類システムにおいて、疾患の臨床段階(第I期、第II期、または第III期)は、Mタンパク質のレベル、溶解性骨病変の数、ヘモグロビン値および血清カルシウムレベルを含む数種の測定基準に基づく。病期は、腎(腎臓)機能に従ってさらに分けられる(AまたはBとして分類される)。Durie−Salmon Staging Systemに従って、第I期(低い細胞量)は、以下の全てによって特徴付けられる:>10g/dLのヘモグロビン値;正常または≦12mg/dLの血清カルシウム値;骨のx線、正常な骨構造(スケール0)または孤立性の骨形質細胞腫のみ;および低いM−成分産生速度:<5g/dLのIgG値、<3g/dのIgA値、<4g/24時間のベンズ・ジョーンズタンパク質の。第I期患者は、代表的に、関連する器官または組織の障害または症状を有さない。第II期(中程度の細胞量)は、第I期にも第III期にも適合しないことによって特徴付けられる。第III期(高い細胞量)は、以下の1つ以上によって特徴付けられる:<8.5g/dLのヘモグロビン値;>12mg/dLの血清カルシウム値;進行した溶解性骨病変(スケール3);高いM−成分産生速度:>7g/dLのIgG値、>5g/dLのIgA値、>12g/24時間のベンズ・ジョーンズタンパク質、細分類(AまたはBのいずれか)(Aは、比較的正常な腎機能(<2.0mg/dLの血清クレアチニン値)であり、そしてBは、異常な腎機能(≧2.0mg/dLの血清クレアチニン値)である)。
【0225】
骨髄腫に関する別の病期分類システムは、骨髄腫に関するInternational Staging System(ISS)である。このシステムは、病期分類群の間をより有効に区別し得、そしてβ2−ミクログロブリン(β2−M)およびアルブミンの血清レベルの容易な測定に基づく。骨髄腫に関するISSに従って、第I期は、<3.5のB2−Mおよび>3.5のアルブミンによって特徴付けられ、第II期は、<3.5のB2−Mおよび<3.5のアルブミンまたは3.5〜5.5のB2−Mによって特徴付けられ、そして第III期は、>5.5のB2−Mによって特徴付けられる(Multiple Myeloma Research Foundation、New Canaan、CT)。
【0226】
患者におけるB細胞の悪性疾患の病期は、臨床的な決定である。上に示される通り、固形腫瘍に関して、拡散した位置および腫瘍の数は、病期の臨床的な決定における主要な因子である。腫瘍を形成しないB細胞の悪性疾患を有する患者における病期の決定は、上に記載されるような血清レベルの測定を必要とし、より複雑であり得る。
【0227】
上記のB細胞の疾患および障害の病期の記載は、限定的ではない。B細胞の疾患および障害の診断に関する当該分野において公知である他の特徴は、B細胞の疾患または障害の病期を決定するために、患者に対する判定基準として使用され得る。
【0228】
(5.5.2.B細胞の悪性疾患を診断するための臨床的判定基準)
異なるB細胞の悪性疾患に対する診断的判定基準は、当該分野において公知である。歴史的に、診断は、代表的に、顕微鏡所見と免疫表現型との組み合わせに基づく。より最近、分子技術(例えば、遺伝子発現プロファイリング)は、B細胞の悪性疾患の分子的な定義を開発するために応用されている(例えば、Shafferら、Nature 2:920−932(2002)を参照のこと)。特定のB細胞の悪性疾患の臨床的診断のための例示的な方法は、下に提供される。他の適切な方法は、当業者に明らかである。
【0229】
(5.5.2.1.濾胞性NHL)
一般に、大部分のNHL(マントル細胞リンパ腫を除く)は、体細胞突然変異(SHM)の結果であることが明らかである、高度に変異した免疫グロブリン遺伝子を有する。NHLにおける最も一般的な遺伝的異常性は、BCL6遺伝子の転座および変異である。
【0230】
濾胞性NHLは、しばしば、濾胞性の増殖パターンを伴う低悪性度のB細胞リンパ腫である。それは、米国および西欧における第2の最も一般的なリンパ腫である。この疾患が存在する年齢中位数は、60歳であり、そして女性においてわずかに優勢である。無痛性リンパ節症は、最も一般的な症状である。試験は、しばしば、血液髄(blood marrow)およびときとして、末梢血の関与を示す。濾胞性NHLは、濾胞における大細胞の割合に基づく細胞学的な段階に分けられ、この段階は、濾胞性の小さい大細胞から大細胞優勢までの連続体を形成する(S.Freedmanら、Follicular Lymphoma、pp.367−388、Non−Hodgkin’s Lymphomas、P.Mauchら(編)、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA(2004);T.Listerら、Follicular Lymphoma、pp.309−324、Malignant Lymphoma、B.Hancockら(編)、Oxford University Press、New York、N.Y.(2000)を参照のこと)。
【0231】
ほとんどの濾胞性NHLは、BCL2の過剰発現を生じる、14染色体と18染色体との間の転座によって特徴付けられる。濾胞性NHLはまた、SHMおよび進行するSHMならびに胚中心(GC)B細胞と同様の遺伝子発現プロフィールの両方によって特徴付けられ(例えば、Shafferら、Nature 2:920−932(2002)を参照のこと)、胚中心B細胞細胞は、この悪性疾患について起源と推定される細胞である。重鎖および軽鎖の再配列は、代表的である。この疾患の腫瘍細胞は、ほとんどがIgMの発現を伴うモノクローナル表面免疫グロブリンを発現する。ほぼ全ての濾胞性NHL腫瘍細胞は、抗原CD19、CD20、CD79a、CD21、CD35およびCD10を発現するが、CD5およびCD43の発現を欠く。小さい大細胞による中間洞の浸潤が、骨髄において観察される(S.Freedmanら、Follicular Lymphoma、pp.367−388、Non−Hodgkin’s Lymphomas、P.Mauchら(編)、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA(2004);T.Listerら、Follicular Lymphoma、pp.309−324、Malignant Lymphoma、B.Hancockら(編)、Oxford University Press、New York、N.Y.(2000)を参照のこと)。
【0232】
濾胞性NHLの診断は、一般に、組織構造および細胞学的特徴を評価するために、切除された節の生検による。細針吸引は、この手順が、評価され得る組織を提供する可能性が低く、そしてさらなる試験に十分な組織を提供できないので、通常、適用されない。両側性の骨髄生検もまた、病変が斑状であり得るので示される。さらなる診断手順としては、胸部x線、胸、腹、首および骨盤のコンピュータ連動断層撮影(CT)スキャン、全血球算定ならびに化学プロフィールが挙げられる。フローサイトメトリーおよび免疫組織化学は、濾胞性NHLと他の成熟B細胞リンパ腫との間を区別するために使用され得る。(S.Freedmanら、Follicular Lymphoma、pp.367−388、Non−Hodgkin’s Lymphomas、P.Mauchら(編)、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA(2004);T.Listerら、Follicular Lymphoma、pp.309−324、Malignant Lymphoma、B.Hancockら(編)、Oxford University Press、New York、N.Y.(2000)を参照のこと)。
【0233】
(5.5.2.2.マントル細胞リンパ腫)
マントル細胞リンパ腫は、二次濾胞のマントル領域に局在し、そして結節性および/またはびまん性の増殖パターンによって特徴付けられる。マントル細胞リンパ腫の患者は、60〜65歳の年齢中位数を有し、この疾患は、男性が優勢に罹患する。診断目的のために、通常存在する特徴は、全身性リンパ節症である。さらに、脾臓は、しばしば、腫脹する。このB細胞リンパ腫は、IgH遺伝子座とサイクリンD1遺伝子との間に(11;14)で関連し、サイクリンD1の過剰発現をもたらす。50%より多くの症例は、さらなる染色体異常を示す。マントル細胞リンパ腫は、代表的に、SHMによって特徴付けられない。(W.Hiddemannら、Mantle Cell Lymphoma、pp.461−476、Non−Hodgkin’s Lymphomas、P.Mauchら(編)、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA(2004);D.Weisenburgerら、Mantle Cell Lymphoma、pp.28−41、Malignant Lymphoma、B.Hancockら(編)、Oxford University Press、New York、N.Y.(2000)を参照のこと)。
【0234】
マントル細胞リンパ腫の細胞の免疫表現型分類(フローサイトメトリーまたは凍結切片)の免疫組織化学は、それらのほぼほとんどがモノクローナル性であり、表面IgMを有することを示す。マントル細胞リンパ腫細胞はまた、表面IgDを有することが記載されている。その細胞は、抗原CD19、CD20、CD22およびCD24を発現するが、CD23を発現しない。それらはまた、表面抗原CD5を発現するが、CD10を発現せず、マントル細胞リンパ腫を、ほぼ必ずCD5陰性である真性の濾胞中心細胞リンパ腫から区別する。頻繁に、節外病変は、骨髄浸潤ならびに肝臓および胃腸管の腫瘍を含むことが見出される。軽度の貧血および白血病の発現は、マントル細胞リンパ腫に関して一般的である。(A.Lalら、Role of Fine Needle Aspiration in Lymphoma、pp.181−220、W.Finnら(編)、Hematopathology in Oncology、Kluwer Academic Publishers、Norwell、MA(2004);W.Hiddemannら、Mantle Cell Lymphoma、pp.461−476、Non−Hodgkin’s Lymphomas、P.Mauchら(編)、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA(2004)を参照のこと)。
【0235】
マントル細胞リンパ腫の診断は、末梢血ならびに骨髄生検およびリンパ節生検の検査を含む。さらに、細胞遺伝学的な研究および免疫表現型分類は、鑑別診断において有用である。(W.Hiddemannら、Mantle Cell Lymphoma pp.461−476、Non−Hodgkin’s Lymphomas、P.Mauchら(編)、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA(2004);D.Weisenburgerら、Mantle Cell Lymphoma、pp.28−41、Malignant Lymphoma、B.Hancockら(編)、Oxford University Press、New York、N.Y.(2000)を参照のこと)。
【0236】
(5.5.2.3.バーキットリンパ腫)
バーキットリンパ腫は、子供および若年成人において代表的に観察される攻撃的なB細胞リンパ腫であり、そして通常、顎および/または腹の大きな病変を伴う。患者の約20%が、骨髄病変を有する。バーキットリンパ腫の流行性形態は、悪性細胞のエプスタイン−バーウイルス(EBV)感染を含み;孤発性形態は、EBV感染に依存する。c−myc遺伝子の脱調節を生じる免疫グロブリン遺伝子座へのc−mycの転座は、この疾患の特徴である(t(8;14)(q24;q32))。興味深いことに、c−myc配列の欠失は、この疾患の孤発性に関与するようであり、一方で、流行性形態は、通常、点変異または挿入を含む。(V.Pappaら、Molecular Biology、pp.133−157、Malignant Lymphoma、B.Hancockら(編)、Oxford University Press、New York、N.Y.(2000)を参照のこと)。バーキットリンパ腫はまた、SHMによって特徴付けられ、そして悪性細胞は、GC B細胞と同様の遺伝子発現プロフィールを有し、これは、この悪性疾患がGC B細胞に由来することを示唆する。
【0237】
バーキットリンパ腫の免疫表現型は、この疾患の細胞はCD19、CD20、CD22およびCD79aを発現するが、CD5、CD23、サイクリンDまたはターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼを発現しない。頻繁に、これらの細胞は、CD10およびBCL6について陽性であり、そして通常、BCL2について陰性である。(I.Magrathら、Burkitt’s Lymphoma、pp.477−501、In Non−Hodgkin’s Lymphomas、P.Mauchら(編)、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA(2004)を参照のこと)。
【0238】
高度悪性群のB細胞バーキット様リンパ腫は、バーキットリンパ腫と大B細胞リンパ腫との間のリンパ腫の境界例である。このリンパ腫の細胞は、CD19およびCD20を発現するが、ほぼ必ず真性のバーキットリンパ腫に存在するCD10の発現は、頻繁に、欠如する。この特徴および他の特徴に起因して、このリンパ腫は、びまん性大B細胞リンパ腫として分類されるはずであると考えられる。(K.Maclennan、Diffuse Aggressive B cell Lymphoma、pp.49−54、Malignant Lymphoma、B.Hancockら(編)、Oxford University Press、New York、N.Y.(2000)を参照のこと)。
【0239】
バーキットリンパ腫の診断は、一般に、このリンパ腫に関連する転座の検出により;したがって、従来の細胞遺伝学的分析が、通常は行われる。長距離(long distance)ポリメラーゼ連鎖反応技術および蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)は、Ig−myc連結を、この疾患に関する転座および他の遺伝的変化において検出するために使用されている。(R.Siebertら、blood 91:984−990(1998);T.Denyssevychra、Leukemia、16:276−283(2002)を参照のこと)。
【0240】
(5.5.2.4.びまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL))
DLBCLは、ほとんどの一般的な非ホジキンリンパ腫であり、そして小B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫または辺縁帯リンパ腫から生じ得る。代表的に、患者は、リンパ節症を呈する;しかし、患者の多くの割合は、同様に、最も一般的である胃腸管の病変による節外部位の病変を示す。骨髄病変は、約15%の患者において観察される。(Armitageら、Diffuse Large B cell Lymphoma、pp.427−453、Non−Hodgkin’s Lymphomas、P.Mauchら(編)、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA(2004)を参照のこと)。臨床的特徴、生物学的特徴および形態学的特徴における異質性は、この群のリンパ腫を細分類することを困難にする。しかし、2つの異なる下位集団が、胚中心B細胞(GC−DLBCL)の発現する遺伝子の特徴および末梢血B細胞における他の過剰発現する遺伝子によって同定されている。生存率は、活性化B細胞型(ABC)−DLBCLを有する患者よりもGC−DLBCLを有する患者において有意に良好である。(W.Chan、Archives of Pathology and Laboratory Medicine 128(12):1379−1384(2004)を参照のこと)。
【0241】
DLBCLは、細胞表面抗原CD19、CD20、CD22およびCD79aを発現する。CD10は、大部分の症例において発現され、そしてCD5発現は、約10%の症例において観察される。(K.Maclennan、Diffuse Aggressive B cell Lymphoma、pp.49−54、Malignant Lymphoma、B.Hancockら(編)、Oxford University Press、New York、N.Y.(2000)を参照のこと)。DLBCLは、しばしば、BCL6の異常性および/またはIgH遺伝子座へのBCL2の転座によって特徴付けられる。GC B細胞様(GC)DLBCLは、高度に変異した免疫グロブリン遺伝子を有するSHMおよびGC B細胞様の遺伝子発現プロフィールを有する悪性クローンにおける進行するSHMによって特徴付けられる。大部分のGC DLBCLは、免疫グロブリンのクラススイッチを受ている。ABC−DLBCLは、BCL2、インターフェロン調節因子4、CD44、FLIPおよびサイクリンDを含むNF−κB標的遺伝子の高レベルの発現によって特徴付けられる。SHM(しかし進行するSHMではない)が、存在し、そしてABC−DLBCLは、GC B細胞の遺伝子発現プロフィールを有さない。ほぼ全てのABC−DLBCLは、高レベルのIgMを発現する。
【0242】
(5.5.2.5.節外性辺縁帯リンパ腫)
節外性辺縁帯リンパ腫は、通常、器質性のリンパ組織(例えば、胃、唾液腺、肺および甲状腺)を欠く器官において生じる節外性リンパ腫である。概して、60歳を超える年齢中位数を伴う高年齢者が罹患する疾患である。しばしば、慢性炎症プロセスまたは自己免疫プロセスは、リンパ腫の発症に先行する。胃粘膜関連のリンパ組織(MALT)リンパ腫(最も一般的な型の辺縁帯リンパ腫)は、Helicobacter pylori感染に付随する。研究は、以下の抗生物質レジメンを用いたH.pylori感染の根絶による症状の解決を示している。The胃のMALTリンパ腫に関して示される症状としては、非特異的な消化不良、上腹部痛、悪心、胃腸出血および貧血が挙げられる。全身症状は、一般的ではなく、その全身症状は、高いレベルの乳酸デヒドロゲナーゼである(J.Yahalomら、Extranodal Marginal Zone B−cell Lymphoma of Mucosa−Associated Lymphoid Tissue、pp.345−360、In Non−Hodgkin’s Lymphomas、P.Mauchら(編)、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA(2004);J.Radford、Other Low−Grade Non−Hodgkin’s Lymphomas、pp.325−330、Malignant Lymphoma、B.Hancockら(編)、Oxford University Press、New York、N.Y.(2000)を参照のこと)。全身性のB症状としては、感染の徴候を伴わない2週間を超える38℃より高い発熱、寝汗、極度の疲労または直近6ヶ月間にわたる体重の10%を超えるかもしくはそれに等しい意図していない体重減少が挙げられる。
【0243】
MALTリンパ腫の免疫表現型は、CD20、CD79a、CD21およびCD35の発現によって特徴付けられ、そしてCD5、CD23およびCD10の発現を欠く。MALTリンパ腫の約半分は、CD43を発現する。この疾患の腫瘍細胞において発現される上記免疫グロブリンは、代表的に、IgMであるが、IgDは、発現されない。これらの特徴は、このリンパ腫を、他の小B細胞リンパ腫(例えば、マントル細胞リンパ腫、リンパ球性リンパ腫および濾胞性リンパ腫)から区別するのに重要である。トリソミー3は、60%のMALTリンパ腫の症例において報告されている。25〜40%の胃のMALTリンパ腫および肺のMALTリンパ腫において、t(11;18)が、観察される・この転座は、頻繁に、他のMALTリンパ腫においてかなり少なく観察される。t(11;18)は、BCL10の核での発現に関連する。(J.Yahalomら、Extranodal Marginal Zone B cell Lymphoma of Mucosa−Associated Lymphoid Tissue、pp.345−360、In Non−Hodgkin ’s Lymphomas、P.Mauchら(編)、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA(2004)を参照のこと)。辺縁帯リンパ腫は、一般に、SHMおよび進行するSHMによって特徴付けられる。
【0244】
診断手順は、細胞表面マーカーの同一性を決定するために免疫表現型分類またはフローサイトメトリーを含む。さらに、分子的な遺伝分析は、t(11;18)の存在を決定するために行われるべきである。なぜならば、これは、この疾患が抗生物質に応答しないことを示すからである。組織学は、H.pyloriの存在を決定するために使用され得る。さらなる試験は、全血球算定、乳酸デヒドロゲナーゼについての試験;腹、胸および骨盤のCTスキャンならびに骨髄生検を含む基礎的な生化学的試験を含むべきである。(J.Yahalomら、Extranodal Marginal Zone B cell Lymphoma of Mucosa−Associated Lymphoid Tissue、pp.345−360、Non−Hodgkin’s Lymphomas、P.Mauchら(編)、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA(2004)を参照のこと)。
【0245】
(5.5.2.6.節性辺縁帯B細胞リンパ腫)
節性辺縁帯B細胞リンパ腫は、比較的新しく分類されたリンパ腫であり、したがって、ほとんどが、それとして公表されていない。それは、遺伝的特徴ならびに形態学的特徴を、節外および脾臓の辺縁帯リンパ腫と共有する一次結節性B細胞リンパ腫であるが、脾臓または節外に局在しない。C型肝炎ウイルスが、ジョーンズ症候群を有するようなこのリンパ腫に関連することが報告されている。(F.Bergerら、Nodal Marginal Zone B cell Lymphoma、pp.361−365、Non−Hodgkin’s Lymphomas、P.Mauchら(編)、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA(2004)を参照のこと)。
【0246】
節性辺縁帯リンパ腫は、異質性の細胞学および形態学を有する。大細胞の比較的高い割合に起因して、このリンパ腫は、他の辺縁性リンパ腫(脾臓および節外)と異なり、真性の低度悪性群B細胞リンパ腫として分類されない可能性がある。節性辺縁帯リンパ腫の遺伝的表現型および免疫学的表現型は、CD19、CD20、BCL2、slgMおよび細胞質IgG(clg)の発現を含む。これらの細胞は、CD5、CD10、CD23、CD43またはサイクリンD1を発現しない。MALTリンパ腫の転座の特徴(t(11;18))は、節性辺縁帯リンパ腫に関して観察されない。これらの特徴は、他の小B細胞リンパ腫からのこのリンパ腫の鑑別診断に役立つ。(F.Bergerら、Nodal Marginal Zone B cell Lymphoma、pp.361−365、Non−Hodgkin’s Lymphomas、P.Mauchら(編)、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA(2004))。
【0247】
(5.5.2.7.脾性辺縁帯リンパ腫)
脾性辺縁帯リンパ腫は、顕著な脾腫ならびに末梢血および骨髄の浸潤の特徴的な臨床所見を伴う無痛性の小結節性B細胞リンパ腫である。さらに、比較的高いレベルの肝臓病変が、報告されている。C型肝炎ウイルスの役割が、このリンパ腫について仮定されている。脾性変縁帯リンパ腫の免疫表現型は、代表的に、CD20、IgD、BCL2、p27、CD3、CD5、CD10、CD23、CD38、CD43、BCL−6およびサイクリンD1である。遺伝的特徴としては、7qの欠失、p53の変化およびSHMが挙げられる。(M.Pirisら、Splenic Marginal Zone Lymphoma、pp.275−282、Non−Hodgkin’s Lymphomas、P.Mauchら(編)、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA(2004)を参照のこと)。
【0248】
診断は、一般に、細胞表面マーカーの同一性を決定するために、免疫表現型分類による。遺伝的分析および生化学的分析は、細胞表面マーカーにおけるデータと組み合わせて、このリンパ腫を、他の小B細胞リンパ腫から鑑別することを補助する。(M.Pirisら、Splenic Marginal Zone Lymphoma、pp.275−282、Non−Hodgkin’s Lymphomas、P.Mauchら(編)、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA(2004)を参照のこと)。
【0249】
(5.5.2.8.急性(B細胞)リンパ球性白血病(ALL))
ALLは、概して子供が罹患する骨髄ベースの新生物であり、1〜5歳の間に最も高い発生数を伴う。診察時に最も一般的な症状としては、疲労、嗜眠、発熱ならびに骨および関節の痛みが挙げられる。疲労および嗜眠は、存在する貧血の程度に相関する。高い白血球数は、診察時において一般的である。胸部のX線写真は、しばしば、骨格病変を示す。髄外の拡散が、一般的であり、そしてその拡散は、中枢神経系、精巣、リンパ節、肝臓、脾臓および腎臓を含む。前縦隔腫瘤は、新しく診断された症例の約5〜10%のみに観察される(J.Whitlockら、Acute Lymphocytic Leukemia、pp.2241−2271、In Wintrobe’s Clinical Hematology、第10版、G.Leeら(編)、Williams & Wilkins、Baltimore、MD(1999)を参照のこと)。
【0250】
ALLの免疫表現型は、CD10、CD19、CD20およびCD24である。前B細胞ALLの細胞は、細胞質免疫グロブリンを発現するが、表面免疫グロブリンを発現せず、一方で成熟B細胞ALL(ALL症例の1〜2%だけについての原因である)は、表面免疫グロブリンの発現によって、B細胞系統の他の白血病から区別される。ALLの細胞遺伝学的特徴は、t(8;14)、t(2;8)およびt(8;22)を含む。細胞遺伝学的レベルにおいて稀に検出されるが、t(12;21)は、小児期ALL(症例の約25%において観察される)に伴う最も一般的な細胞遺伝学的異常性であり得る。(M.Kinneyら、Classification and Differentiation of the Acute Leukemias、pp.2209−2240、Wintrobe’s Clinical Hematology、第10版、G.Leeら(編)、Williams & Wilkins、Baltimore、MD(1999);J Whitlockら、Acute Lymphocytic Leukemia、pp.2241−2271;Wintrobe’s Clinical Hematology、第10版、G.Leeら(編)、Williams & Wilkins、Baltimore、MD、(1999)を参照のこと)。
【0251】
急性白血病の正確な診断は、通常、骨髄穿針液および生検による。吸引スミアは、形態学的評価、免疫学的評価および細胞学的評価のために使用される。骨髄におけるリンパ芽球の実証は、ALLの診断である。骨髄におけるの白血病性リンパ芽球細胞の5%より大きい存在は、ALL診断を与えるが、確定診断のためには、ほぼ25%より多くの存在を必要とする。腰椎穿刺が、中枢神経系を診断するために使用される。血清尿酸レベルおよび血清乳酸デヒドロゲナーゼ技術は、ALLにおいて上昇することが見出されている。(M.Kinneyら、Classification and Differentiation of the Acute Leukemias、pp.2209−2240、In Wintrobe’s Clinical Hematology、第10版、G.Leeら(編)、Williams & Wilkins、Baltimore、MD(1999);J.Whitlockら、Acute Lymphocytic Leukemia、pp.2241−2271;In Wintrobe’s Clinical Hematology、第10版、G.Leeら(編)、Williams & Wilkins、Baltimore、MD,(1999)を参照のこと)。
【0252】
(5.5.2.9.慢性リンパ球性白血病(CLL)/小B細胞リンパ球性リンパ腫(SLL))
CLL/SLLは、最も一般的な型の白血病である。この疾患が末梢血および骨髄に関する場合、それは、CLLと称される。しかし、リンパ節および他の組織が、CLLにおける細胞と免疫学的および形態学的に同一である細胞によって浸潤されるが、疾患の白血病性の特徴が、ない場合、次いでこの疾患は、SLLと称される。この疾患は、概して、高齢者を苦しめ、それは、女性よりも男性において多く生じる疾患の発生数である。無痛性のリンパ節症は、診察時に最も一般的な見出されるものである。低γグロブリン血症は、免疫グロブリンの任意の特定のサブクラスよりもむしろ全ての免疫グロブリンのレベルの減少を示すCLL/SLLのほとんどの症例と共通である。無症候性患者は、慣用的な血球算定の間に頻繁に診断される(1Lあたり5000×10個を超えるリンパ球数)。CLL/SLL症例の20%程度は、B症状を報告する。さらなる診断的特徴は、未熟リンパ球による30%よりも大きい骨髄の浸潤である。リンパ節生検は、一般に、高分化型リンパ球によるリンパ節転移の浸潤を示す。自己免疫の徴候は、しばしば、自己免疫性溶血性貧血および免疫性血小板減少を含むCLL/SLLに付随する。(J.Gribbenら、Small B cell Lymphocytic Lymphoma/Chronic Lymphocytic Leukemia and Pro Lymphocytic Leukemia、pp.243−261、Non−Hodgkin’s Lymphomas、P.Mauchら(編)、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA(2004);K.Maclennan、Diffuse IndolentB cell Neoplasms、pp.43−47、In Malignant Lymphoma、B.Hancockら(編)、Oxford University Press、New York、N.Y.(2000);Clinical Oncology、A.Nealら、Neal,HoskinおよびOxford University Press、共同出版、New York、NY(2003)を参照のこと)。
【0253】
低度悪性群のB細胞の悪性疾患の多くとは対照的に、ランダムではない相互転座は、CLL/SLLにおいて稀に見出される。しかし、他の細胞遺伝学的異常性は、13ql4、11q22−23および17ql3における欠失を含むことが報告されており、後者2つは、p53遺伝子座を含む。約20%の症例は、トリソミー12を示す。高いレベルのβ−2ミクログロブリン、より高いレベルのCD38発現および腫瘍壊死因子−αの産生は、CLL/SLLの全ての特徴である。CLL/SLLの免疫表現型は、非常に特徴的であり、そして表面免疫グロブリン(通常は、IgM、またはIgMおよびIgG)の弱い発現を含み、かつ細胞抗原CD19、CD20ならびに通常はCD5およびCD23の発現を含む(J.Gribbenら、Small B cell Lymphocytic Lymphoma/Chronic Lymphocytic Leukemia and Prolymphocytic Leukemia、pp.243−261、Non−Hodgkin’s Lymphomas、P.Mauchら(編)、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA(2004);K.Maclennan、Diffuse 無痛性 B cell Neoplasms、pp.43−47、In Malignant Lymphoma、B.Hancockら(編)、Oxford University Press、New York、N.Y.(2000)を参照のこと)。
【0254】
(5.5.2.10.B細胞性前リンパ球性白血病(PLL))
PLL(一旦CLLの変異形と見なされた)は、現在、異なる疾患と認識される。PLLは、一般に、高齢者の男性の疾患であり、そして非常に高い白血球数(1Lあたり200×10個より大きい)および巨脾腫によって特徴付けられる。さらなる症状としては、貧血および血小板減少が挙げられる。PLL中の前リンパ球は、血液および骨髄中に55%よりも多いその細胞を含む。CLLとは対照的に、自己免疫徴候は、稀に、PLLにおいて観察される。(J.Gribbenら、SmallB cell Lymphocytic Lymphoma/Chronic Lymphocytic Leukemia and Prolymphocytic Leukemia、pp.243−261、Non−Hodgkin’s Lymphomas、P.Mauchら(編)、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA(2004)を参照のこと)。
【0255】
PLLの免疫表現型は、CD19、CD21、CD22、CD24およびFMC7の発現によって特徴付けられる。PLLの細胞は、CD23を発現せず、そして大部分は、CD5を発現しない。PLL細胞は、複雑な染色体異常を示し、13ql4および11q23における欠失は、最も頻度が高いもののいくつかである。PLL細胞におけるp53変異のパターンは、CLLについて観察されるものとは異なる。鑑別診断は、通常、全血球算定、組織学的分析、免疫表現型分析および遺伝的分析による。(J.Gribbenら.、Small B cell Lymphocytic Lymphoma/Chronic Lymphocytic Leukemia and Prolymphocytic Leukemia、pp.243−261、Non−Hodgkin’s Lymphomas、P.Mauchら.(編)、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA(2004)参照のこと)。
【0256】
(5.5.2.11.ヘアリーセル白血病(HCL))
HCLは、稀な、女性よりも男性(中年の男性)が多く罹患する無痛性の慢性白血病である。代表的な症状としては、巨大な巨脾腫および汎血球減少が挙げられる。末梢血および骨髄は、代表的な「ヘアリー細胞」を含み、それは、細胞質突起を有するBリンパ球である。90%を超えるHCL患者は、骨髄浸潤を有する。(Clinical Oncology、A.Nealら、Neal、Hoskin and Oxford University Press、共同出版、New York、NY(2003);J.Johnston、Hairy Cell Leukemia、pp.2428−2446、Wintrobe’s Clinical Hematology、第10版、G.Leeら(編)、Williams & Wilkins、Baltimore、MD(1999)を参照のこと)。
【0257】
細胞分析学的分析は、クローンの異常性が19%の症例に存在し、そして第5染色体、第7染色体および第14染色体の数的および構造的な異常性を含むことを示している。TNF−αの血清レベルは、ヘアリーセル白血病において評価され、そして腫瘍量(tumor burden)と相関する。ヘアリーセル白血病細胞は、表面免疫グロブリン(IgGおよびIgM)ならびにCD11c、CD19、CD20、CD22および代表的に、CD25を発現する。さらに、FMC7、HC−2およびCD103が、発現される。HCL細胞は、CD5またはCD10を発現しない。診断は、一般に、骨髄穿針、細胞遺伝学的、血液スメアおよび免疫表現型分類の使用を含む。(Clinical Oncology、A.Nealら、Neal、Hoskin and Oxford University Press、共同出版、New York、NY(2003);J.Johnston、Hairy Cell Leukemia、pp.2428−2446、Wintrobe’s Clinical Hematology、第10版、G.Leeら(編)、Williams & Wilkins、Baltimore、MD(1999)を参照のこと)。
【0258】
(5.5.2.12.前駆Bリンパ芽球性リンパ腫/前B細胞性急性リンパ性白血病/リンパ芽球性リンパ腫)
前駆B細胞リンパ芽球性リンパ腫/前B細胞性急性リンパ性白血病/リンパ芽球性リンパ腫は、前駆T細胞または前駆B細胞の疾患である。T細胞リンパ芽球性リンパ腫およびB細胞リンパ芽球性リンパ腫は、形態学的に同一であるが、臨床的区別は、骨髄浸潤または骨髄病変の程度に基づいて行われ得る。85〜90%のリンパ芽球性リンパ腫は、B細胞由来である残部によって得られるT細胞。リンパ芽球リンパ腫は、20歳の年齢中位数を有し、それは、男性が優勢である。末梢リンパ節病変は、診察時に一般的な特徴であり、部領域、鎖骨上領域および腋窩領域において特に生じる。この疾患は、頻繁に、骨髄病変を呈する。中枢神経系の病変は、診断時においてより一般的ではないが、しばしば、再発の症例において現れる。他の部位の病変はとしては、肝臓、脾臓、骨、皮膚、咽頭および精巣が挙げられ得る(J.Sweetenhamら、Precursor B−and T−CeIl Lymphocytic Lymphoma、pp.503−513、Non−Hodgkin’s Lymphomas、P.Mauchら(編)、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA(2004)を参照のこと)。
【0259】
前駆B細胞リンパ芽球性リンパ腫は、未熟マーカーであるB細胞マーカー(CD99、CD34およびターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ)を発現する。これらの細胞はまた、CD79a、CD19およびときとしてCD20を発現し、そして代表的に、CD45および表面免疫グロブリンの発現を欠く。11q23ならびにt(9;22)(q34;q11.2)およびt(12;21)(p13;q22)における転座は、不良な予後に関連している。良好な予後は、高二倍体核型に関連し、特に、トリソミー4、トリソミー10およびトリソミー17およびt(12;21)(pl3;q22)に関連する。(J.Sweetenhamら、Precursor B−and T−CeIl Lymphoblastic Lymphoma、pp.503−513、Non−Hodgkin’s Lymphomas、P.Mauchら(編)、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA(2004)を参照のこと)。
【0260】
診断試験としては、リンパ節生検、血液検査、x線、CTスキャンおよび脳脊髄液(cerebralspinal fluid)を悪性細胞について試験するための腰椎穿刺が挙げられる。
【0261】
(5.5.2.13.縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫)
縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫は、若年女性において優勢に発症するびまん性大B細胞リンパ腫であり、そして胸腺に由来する局所的に侵襲性の前縦隔腫瘤によって特徴付けられる。末梢リンパ節および骨髄の病変に対する遠隔転移は、通常ではない。全身症状は、一般的である。この疾患は、節性大細胞リンパ腫と似ているが、それは、異なる遺伝的特徴、免疫学的特徴および形態学的特徴を有する。
【0262】
縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫の腫瘍細胞の免疫表現型は、しばしば、表面免疫グロブリンネガティブであるが、CD19、CD20、CD22およびCD79aのようなB細胞関連抗原を発現する。CD10およびBCL6はまた、共通して発現される。マーカーCD15、CD30、上皮膜抗原(EMA)に関連する形質細胞の発現は、稀である。BCL6遺伝子配列およびc−myc遺伝子配列はまた、共通ではない。BCL6超変異を伴うクローン性免疫グロブリンの再配列、免疫グロブリン可変領域および遺伝子の超変異の存在は、このリンパ腫が成熟胚中心または胚中心後のB細胞に由来することを示唆する。この疾患の腫瘍に関連すると考えられる染色体転座は、びまん性大細胞リンパ腫の他の形態において観察されるものと同様である。(P.Zinzaniら、Primary Mediastinal Large B cell Lymphoma、pp.455−460、In Non−Hodgkin’s Lymphomas、P.Mauchら(編)、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA(2004))。
【0263】
縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫についての診断的評価としては、一般に、完全な理学的検査、完全な血液学的分析および生化学的分析、全身コンピュータ連動断層撮影ならびに骨髄生検が挙げられる。ガリウム−67スキャニングは、病期分類、処置に対する応答および再発の評価のために有用な試験である。(P.Zinzaniら、Primary Mediastinal Large B cell Lymphoma、pp.455−460、In Non−Hodgkin’s Lymphomas、P.Mauchら(編)、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA(2004))。
【0264】
(5.5.2.14.リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)/リンパ形質細胞性免疫細胞腫/ヴァルデンストレームマクログロブリン血症)
LPL/リンパ形質細胞性免疫細胞腫/ヴァルデンストレームマクログロブリン血症は、通常、無痛性である節性リンパ腫であり、そしてしばしば、骨髄、リンパ節および脾臓を含む。これは、一般に、男性においてわずかに優勢である高齢者の疾患である。ほとんどの患者は、血清の過粘稠を生じるそれらの血清(>3g/dL)におけるモノクローナルIgMパラプロテインを有する。腫瘍細胞は、形質細胞性の形態学を有する。LPLのサブセットは、PAX5遺伝子座および免疫グロブリン重鎖遺伝子座を含む、第9染色体と第14染色体との間の再発する転座によって特徴付けられる。LPLは、SHMおよび進行するSHMによって特徴付けられ、そしてGC後のB細胞に由来すると考えられる。(A.Rohatinerら、Lymphoplasmacytic Lymphoma and Waldstroem’s Macroglobulinemia、pp.263−273、Non−Hodgkin’s Lymphomas、P.Mauchら(編)、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA(2004);K.Maclennan、Diffuse Indolent B cell Neoplasms、pp.43−47、Malignant Lymphoma、B.Hancockら(編)、Oxford University Press、New York、N.Y.(2000);A.Lalら.、Role of Fine Needle Aspiration in Lymphoma、pp.181−220、W.Finn、ら.(編)、Hematopathology in Oncology、Kluwer Academic Publishers、Norwell、MA(2004)を参照のこと)。
【0265】
この疾患の免疫表現型は、抗原CD19、CD20、CD22およびCD79aを伴うB細胞の発現を示し、そしてCD5、CD10およびCD23の発現の欠如を示す。強力な表面免疫グロブリンおよびCD20の存在、CD5およびCD23の発現の欠如ならびに細胞質免疫グロブリンの存在は、この疾患を、慢性リンパ性白血病から区別するのを補助する特徴である。また、この疾患の特徴は、t(9;14)(pl3;q32)である。(A.Rohatiner、ら、Lymphoplasmacytic Lymphoma and Waldstroem’s Macroglobulinemia、pp.263−273、Non−Hodgkin’s Lymphomas、P.Mauchら(編)、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA(2004);K.Maclennan、Diffuse Indolent B cell Neoplasms、pp.43−47、Malignant Lymphoma、B.Hancockら(編)、Oxford University Press、New York、N.Y.(2000);R.Chagantiら、Cytogenetics of Lymphoma、pp.809−824、In Non−Hodgkin’s Lymphomas、P.Mauchら(編)、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA(2004)を参照のこと)。
【0266】
診断試験としては、代表的に、全血球算定、腎機能試験および肝臓機能試験、CTスキャン、生検および骨髄の吸引、パラプロテインおよび血清の粘稠度を定量および特徴付けるためのタンパク質電気泳動が挙げられる。β2−ミクログロブリンの測定は、予後試験として使用される。(A.Rohatinerら、Lymphoplasmacytic Lymphoma and Waldstroem’s Macroglobulinemia、pp.263−273、Non−Hodgkin’s Lymphomas、P.Mauchら(編)、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA(2004)を参照のこと)。
【0267】
(5.5.2.15.ヌル急性リンパ芽球白血病)
ヌル急性リンパ芽球性白血病は、B細胞の特徴またはT細胞の特徴を欠くALLのサブセットである。白血病性芽球の表現型分析は、代表的なヌルALLパターンを示す(すなわち、CD10(一般的なALL抗原)陰性、強力なHLA−DR陽性およびCD19(B4)陽性)(Katzら(1988)blood 71(5):1438−47を参照のこと)。
【0268】
(5.5.2.16.ホジキンリンパ腫)
ホジキンリンパ腫は、通常、若年成人のリンパ節において生じる。それは、古典的なサブタイプおよびあまり一般的ではない結節性リンパ球性の優勢なサブタイプに分けられ得る。古典的な型は、SHMを示すが、進行するSHMを示さず、そしてGC B細胞遺伝子発現プロフィールを有さない。結節性リンパ球の優勢な型は、対照的に、SHMおよび進行するSHMならびにGC B細胞遺伝子発現プロフィールによって特徴付けられる。上記2つの型は、臨床的および生物学的に異なる一方で、それらは、良性な炎症細胞のバックグラウンド内における腫瘍性細胞の欠如などの特定の特徴を共有する。B.Schnitzerら、Hodgkin Lymphoma、pp.259−290、W.FinnおよびL.Peterson(編)、Hematopathology in Oncology、Kluwer Academic Publishers、Norwell、MA(2004)。
【0269】
診察時における最も一般的な特徴は、通常、首におけるリンパ節の無痛性の腫脹であるが、ときとして鼡径部におけるリンパ節の無痛性の腫脹である。節の漸増および漸減もまた、この疾患の特徴である。B症状は、患者の約3分の1において観察される。単離された節外病変は、稀であり、そして播種が起きている症例において、節外病変は、約10〜20%の場合に観察される。(P.Johnsonら、Hodgkin’s Disease:Clinical Features、pp.181−204、Malignant Lymphoma、B.Hancock、ら(編)、Oxford University Press、New York、N.Y.(2000)を参照のこと)。
【0270】
リード‐スターンバーグ(RS)細胞は、ホジキンリンパ腫の悪性細胞である。RS細胞およびそれらの改変体は、CD15、CD25、CD30およびトランスフェリンレセプターを発現する。さらに、これらの細胞は、ポリクローナル性の細胞質免疫グロブリンを発現する。ホジキンリンパ腫のほとんどの症例において、RS細胞は、CD45を発現しない(この疾患を非ホジキンリンパ腫と区別するのに役立つ特徴)。エプスタイン−バーウイルスは、約半分のホジキンリンパ腫症例のリード‐スターンバーグ細胞に存在することが示されているが、その役割は、不明確である。
【0271】
診断は、リンパ節生検によって最も頻繁に行われる。さらなる診断試験としては、全血球算定(しばしば、血液学的試験は、正常である;1Lあたり1.0×10個未満の白血球数が、約20%の症例で認められる)、赤血球沈降速度(しばしば、その疾患の進行期において高い)、生化学的試験(電解質、尿、クレアチニン、尿酸、カルシウム(高カルシウム血症は、稀であるが、存在する場合、広範な骨病変に付随する)、肝臓血液試験、乳酸デヒドロゲナーゼ(高いレベルは、しばしば、進行した疾患に付随する)、アルブミンおよびβ2−ミクログロブリン(β2−M)を含む)が挙げられる。リンパ管造影および胸部x線ならびに胸、腹および骨盤のCTスキャンは、異常なリンパ節および節外病変の程度を同定するのに重要である。骨髄生検は、代表的に、骨髄病変は通常ではないので随意的と見なされ、そしてこのような生検の結果は、臨床的な管理または予後に影響しないようである。脾摘出は、通常、それが稀に管理に影響するので行われず、そしてCTまたはMRIイメージングは、脾臓の状態についての情報を提供する。有意に高いレベルのp55、TNFおよびsICAM−1は、疾患の病期、症状の存在および完全奏功率に相関する。(P.Johnsonら、Hodgkin’s Disease:Clinical Features、pp.181−204、Malignant Lymphoma、B.Hancockら(編)、Oxford University Press、New York、N.Y.(2000);Clinical Oncology、A.Nealら、Neal,HoskinおよびOxford University Press、共同出版、New York、NY(2003);R.Stein、Hodgkin’s Disease、pp.2538−2571、Wintrobe’s Clinical Hematology、第10版、G.Leeら(編)、Williams & Wilkins、Baltimore、MD(1999)を参照のこと)。
【0272】
(5.5.2.17.多発性骨髄腫)
多発性骨髄腫は、形質細胞の悪性疾患である。腫瘍性細胞は、骨髄に位置し、そして溶骨性骨病変が、特徴的である。免疫グロブリン遺伝子座の1つと種々の他の遺伝子(例えば、サイクリンD1、サイクリンD3、c−MAF、MMSET(多発性骨髄腫SET−ドメインタンパク質)または線維芽細胞増殖因子レセプター3)との間の相互の染色体転座は、主要な発癌事象であると考えられる。多発性骨髄腫は、SHM5によって特徴付けられ、そして起源と推定される細胞は、GC後B細胞である。多発性骨髄腫は、代表的に、まず症状(例えば、反復性の感染、疲労、疼痛および腎臓の問題)によって同定され、そして臨床的な試験によって確認される(例えば、Cancer:Principles and Practice of Oncology.第6版.DeVita,V.T.、Hellman,SおよびRosenberg,S.A.(編).2001 Lippincort Williams and Wilkins Philadelphia、PA 19106 pp.2465−2499を参照のこと)。
【0273】
特定の実施形態において本発明の組成物および方法による処置に対する候補である患者は、多発性骨髄腫の診断または疑いを確認するために、血液および/または尿についてのさらなる診断試験を受け得、その診断試験としては、全血球算定(CBC)試験(CBCにおいて報告された細胞の型が当該分野において周知であるそれらの正常範囲内にあるか否かを決定する)、血液化学プロフィール(種々の血液成分(例えば、アルブミン、血中尿素窒素(BUN)、カルシウム、クレアチニンおよび乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH))のレベルが基準値から逸脱するか否かを決定する)が挙げられるが、これらに限定されない。β2−ミクログロブリン(B2−M)の血清レベルはまた、検査され得、そして骨髄腫細胞に関してIL−6、増殖因子についてのマーカーを代理する。検尿は、尿中のタンパク質のレベルを測定するために使用され得る。電気泳動は、種々のタンパク質(血液(血清タンパク質電気泳動、またはSPEPと称される)または尿(尿電気泳動、またはUEPと称される)中のMタンパク質が挙げられる)のレベルを測定するために使用され得る。さらなる試験(免疫固定電気泳動(IFE)または免疫電気泳動)もまた、異常な型の抗体タンパク質の存在についてのより具体的な情報を提供するために行われ得る。種々のタンパク質(特に、Mタンパク質)の変化および割合を評価することは、骨髄腫疾患の進行および処置レジメンに対する応答を追跡するために使用され得る。多発性骨髄腫は、骨髄腫腫瘍細胞によって分泌されるMタンパク質の大きな増加によって特徴付けられる。
【0274】
骨に対する診断試験は、多発性骨髄腫の診断または疑いを確認するために行なわれ得、X線および他の画像化試験(骨(骨格)検索、磁気共鳴画像法(MRI)およびコンピュータ連動断層撮影(computed tomography)(CT)としても公知であるコンピュータ連動断層撮影(computerized axial tomography)(CAT)を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。それらの診断試験は、骨構造の変化を評価し得、そして骨における腫瘍の数および大きさを決定し得る。骨髄吸引または骨髄生検は、骨髄中の形質細胞の数の増加を検出するために使用され得る。吸引は、液体の骨髄サンプルを必要とし、そして生検は、固体骨組織サンプルを必要とする。両方の試験において、サンプルは、好ましくは、骨盤(寛骨)から採取される。胸骨(sturnum)(胸骨(breast bone))はまた、骨髄の吸引のために使用され得る。
【0275】
多発性骨髄腫を有する患者は、代表的に、有効な処置レジメンの規定を補助する以下の3つの群に分類される。意味未確定の単クローン性高ガンマグロブリン血症(MGUS)は、代表的に、3g/dL未満の血清Mタンパク質レベル、10%未満の骨髄クローン形質細胞、他のB細胞障害の形跡がないことおよび関連した器官または組織の障害(例えば、高カルシウム血症(増大した血清カルシウムレベル)、増大した血清クレアチニンによって示される腎機能の障害、貧血、または骨病変)がないことによって特徴付けられる。無症候性の骨髄腫は、代表的に、第I期であり、そしてくすぶり型多発性骨髄腫(SMM)および無症候性多発性骨髄腫(IMM)を含む。SMMは、3g/dLより大きいか、または3g/dLに等しい血清Mタンパク質によって特徴付けられ、そしてIMMは、骨髄細胞の10%より大きいか、または10%に等しい骨髄クローン形質細胞によって特徴付けられる。症候性の骨髄腫は、血清および/または尿中のMタンパク質によって特徴付けられ、そして骨髄クローン形質細胞または形質細胞腫の存在によって特徴付けられる第II期の多発性骨髄腫、および関連した器官または組織の障害によって特徴付けられる第III期の多発性骨髄腫を含む。
【0276】
骨硬化性骨髄腫は、稀なPOEMS症候群(多発性神経障害、臓器巨大症、内分泌障害、単クローン性高ガンマグロブリン血症および皮膚病変)の構成要素である。ピークの発生数は、40〜50歳にある。全身的な特徴としては、骨格病変、<5%の骨髄−形質細胞、正常なCBC、増加した血小板および臓器巨大症が挙げられる。CSFは、細胞の存在を伴わずに高いタンパク質を有する。M−タンパク質レベルは、低い(<3g/dl、中央値=1.1g/dl);重鎖のクラスは、通常、αまたはγである;軽鎖のクラスは、通常、λである;稀な尿のモノクローナルタンパク質および臨時のクリオグロブリン血症。神経障害は、脱力(近位および遠位の両方)ならびに脱髄および長い遠位の潜伏時間(long distal latency)を伴って50%の患者で起こり、感覚の損失は、小線維よりも大線維において大きい。
【0277】
くすぶり型多発性骨髄腫患者は、一般に、数ヶ月/数年にわたって安定な疾患(貧血、骨病変、腎不全または高カルシウム血症を伴わない)を呈し、>10%の骨髄中の形質細胞およびモノクローナル血清タンパク質を有する。くすぶり型多発性骨髄腫についての判定基準は、多発性骨髄腫の診断に適合性であるが;しかし、進行過程の形跡は、存在しない。これらは、遅い進行を伴う症例であり、その腫瘍細胞量は、診断時に低く、そしてS期の骨髄形質細胞の割合は、低い(<0.5%)。特徴的な臨床上の特徴としては、>3g/dLの血清Mタンパク質レベルおよび/または≧10%の骨髄形質細胞;貧血、腎不全、高カルシウム血症、溶解性骨病変の非存在が挙げられる。
【0278】
無痛性(または無症候性)の多発性骨髄腫は、通常ではスクリーニング検査室での試験後に、症状がない見込みによって診断される多発性骨髄腫である。無痛性の多発性骨髄腫は、くすぶり型骨髄腫と同様であるが、いくつかの骨病変および軽度の貧血を伴う。無症候性の多発性骨髄腫のほとんどの症例は、3年以内に顕性の多発性骨髄腫を発症する。診断上の判定基準は、以下を除いて多発性骨髄腫に対するものと同様である:骨病変がないことまたは1つの無症候性の溶解性病変(X線調査);IgGについて<3g/dLのM成分レベル、IgAについて2g/dLのM成分レベル、<4g/24時間の尿軽鎖;>10g/dlのヘモグロビン、正常な血清カルシウム、<2mg/dLの血清クレアチニンおよび感染がないこと。
【0279】
(5.5.2.18.孤立性形質細胞腫)
孤立性形質細胞腫は、良性の単クローン性高ガンマグロブリン血症から孤立性形質細胞腫〜多発性骨髄腫までの範囲である形質細胞の新生物の領域(spectrum)の1つである。全ての孤立性形質細胞腫の症例の約70%が、実際に、多発性骨髄腫を生じる。これらの疾患は、特徴的なパラプロテインを産生するB細胞の増殖によって特徴付けられる。孤立性形質細胞腫は、孤立部位(通常は、単一の骨または髄外組織の部位)におけるクローン形質細胞の増殖を生じる。孤立性形質細胞腫の診断上の判定基準としては、組織学的に確認された単一の病変、通常の骨生検、ネガティブな骨検索、貧血を伴わないこと、正常なカルシウムおよび正常な腎機能が挙げられる。ほとんどの症例は、最小限に上昇した血清M−タンパク質(パラプロテイン)を示す。診断における年齢中位数は、50〜55歳(多発性骨髄腫についての年齢中位数よりも約5〜10歳若い)である。(C.Wilson、The Plasma Cell Dycrasias、pp.113−144、In W.FinnおよびL.Peterson(編)、Hematopathology in Oncology、Kluwer Academic Publishers、Norwell、MA(2004)、S.Chagantiら、Cytogenetics of Lymphoma、pp.809−824、Non−Hodgkin’s Lymphomas、P.Mauchら.(編)、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA(2004)を参照のこと)。
【0280】
形質細胞腫の免疫表現型的特徴および遺伝的特徴は、多発性骨髄腫に類似するようである。
【0281】
(5.5.2.19.L鎖病/L鎖沈着症(LCDD))
LCDDは、組織に沈着する免疫グロブリン軽鎖(通常は、κ軽鎖)の過剰合成によって引き起こされる形質細胞の悪液質障害である。患者は、一般に、器官の機能不全、衰弱、疲労および体重減少を伴う。LCDDの症例の約80%において、モノクローナル免疫グロブリンが、検出される。免疫蛍光技術を使用したモノクローナルκ軽鎖の検出は、過剰なバックグラウンド染色を与えるという軽鎖の傾向によって制限され、それによって、超微細構造の免疫金標識化が、必要とされ得る。(C.Wilson、The Plasma Cell Dyer asias、pp.113−144、W.FinnおよびL.Peterson(編)、Hematopathology in Oncology、Kluwer Academic Publishers、Norwell、MA(2004)を参照のこと)。
【0282】
(5.5.2.20.形質細胞性白血病(PCL))
PCL(形質細胞の悪液質)は、多発性骨髄腫の稀であり攻撃的な変異形である。形質細胞性白血病についての判定基準は、1Lあたり2×10個より多い末梢血の絶対的な形質細胞数、または白血球の20%より多い形質細胞である。フローサイトメトリーによる細胞質軽鎖の拘束(restriction)を用いたCD138集団の存在の決定は、PCLを形質細胞の特徴を有するリンパ新生物から区別する。PCL細胞はまた、表面の軽鎖発現およびCD19発現の欠如、ならびにCD45の発現がないことまたはCD45の弱い発現のいずれかによって特徴付けられる。PCLの症例の約50%は、CD20を発現し、そして約50%は、CD56の発現を欠く。PCL患者において観察される遺伝的異常性は、多発性骨髄腫患者について観察されるものと同じであるが、その異常性は、PCLにおいてより高い頻度で見出される。(C.Wilson、The Plasma Cell Dycrasias、pp.113−144、W.FinnおよびL.Peterson(編)、Hematopathology in Oncology、Kluwer Academic Publishers、Norwell、MA,(2004)を参照のこと)。
【0283】
形質細胞性白血病は、2種の形態を有する:初期診断が骨髄腫の白血病の段階に基づく場合、一次形態が存在し、そうでない場合、それは、二次形態である。一次形質細胞性白血病は、より若い年齢、肝脾腫大、リンパ節症およびより少ない溶解性骨病変を伴うが、二次形態よりも予後が不良である。形質細胞白血病患者の末梢血は、20%より多い形質細胞を有し、1mlあたり2000個以上の絶対数を有する。
【0284】
(5.5.2.21.意味未確定の単クローン性高ガンマグロブリン血症(MGUS))
MGUSは、電気泳動的に均質な免疫グロブリンまたは良性のM−成分の存在によって特徴付けられる、比較的一般的な状態である。この状態の出現は、年齢とともに増加するようである。M−成分を保有するほとんどの個体は、悪性形質細胞の悪液質(例えば、多発性骨髄腫)を発症しない。しかし、この状態を有するいくつかの個体は、悪性の状態を伴った。症状がある場合、患者は、腫脹した肝臓または脾臓、および胸膜の神経障害(pleuroneuropathy)を有し得る。(J.Foerster、Plasma Cell Dycrasias:General Considerations、pp.2612−2630、Wintrobe’s Clinical Hematology、第10版、G.Leeら(編)、Williams & Wilkins、Baltimore、MD(1999)を参照のこと)。
【0285】
MGUSは、末梢血中の循環するモノクローナル形質細胞の数の増加の存在によって、多発性骨髄腫と鑑別され得る。M−成分の血清学的特徴は、他の形質細胞の悪液質状態と同一であるが、しかし、M−成分の総濃度は、通常、30g/L未満である。パラプロテインは、通常、IgGであるが;しかし、IgG、IgA、IgMを含む複数のパラプロテインが、存在し得る。個々の免疫グロブリンクラスの各々の相対量は、代表的に、正常な血清において見出される量に比例する。タンパク質血症またはタンパク尿は、稀である。血液および尿中のM−タンパク質レベルの連続測定ならびに臨床上の特徴および実験室的な特徴の連続したモニタリング(タンパク質電気泳動を含む)は、MGUSを早期の形質細胞の悪液質から区別する最も信頼に足る方法である。Wintrobe’s Clinical Hematology、第10版、G.Leeら(編)、Williams & Wilkins、Baltimore、MD(1999)。
【0286】
(5.5.2.22.成熟B細胞の悪性疾患)
本発明者らは、本発明の抗CD19組成物が成熟B細胞を枯渇させ得ることを示した。したがって、別の局面として、本発明は、成熟B細胞の悪性疾患を処置するために実施され得、これらの悪性疾患としては、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、びまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL)(胚中心のB細胞様(GCB)DLBCL、活性化B細胞様(ABC)DLBCL、および3型DLBCLを含む)、古典的および結節性リンパ球優勢型を含むホジキンリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)、胃粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫を含む辺縁帯リンパ腫、ならびに慢性リンパ性白血病(CLL)(免疫グロブリン変異型CLLおよび免疫グロブリン非変異型CLLを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0287】
(5.5.2.23.プレB細胞の悪性疾患)
さらに、CD19は、B細胞の発達において、例えば、CD20よりも早く発現され、したがってCD19は、例えば、骨髄におけるプレB細胞および未熟B細胞の悪性疾患を処置するために、特に研究される。代表的なプレB細胞および未熟B細胞の悪性疾患としては、マントル細胞リンパ腫、前B細胞性急性リンパ性白血病、前駆B細胞リンパ芽球性リンパ腫、およびCD19発現によって特徴付けられる他の悪性疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
【0288】
(5.5.3.サンプルまたは被験体におけるCD19密度の決定)
必要とされないが、CD19密度についてのアッセイは、患者の診断をさらに特徴付けるために利用され得る。細胞に対する抗体結合の密度を決定する方法は、当業者に公知である(例えば、Satoら、J.Immunology 165:6635−6643(2000)(これは、特定のCD抗原の細胞表面密度を評価する方法を開示する)を参照のこと)。他の標準的な分析としては、スキャッチャード分析が挙げられる。例えば、上記抗体またはフラグメントは、単離され得、放射標識され得、そして放射標識された抗体の特定の活性が、決定され得る。次いでその抗体は、CD19を発現する標的細胞と接触される。その細胞に関連する放射活性は、測定され得、そしてその放射活性は、上記特定の活性に基づき得、その細胞に結合した抗体または抗体フラグメントの量は、決定され得る。
【0289】
あるいは、蛍光細胞分離(FACS)分析が、使用され得る。一般に、上記抗体または抗体フラグメントは、CD19を発現する標的細胞に結合される。次いで、上記抗体に結合する第2の試薬(例えば、蛍光色素標識された抗免疫グロブリン抗体)が、添加される。次いで、蛍光色素染色は、上記細胞に対する抗体または抗体フラグメントの結合の密度を決定するために、測定および使用され得る。
【0290】
別の適切な方法として、上記抗体または抗体フラグメントは、検出可能な標識(フルオロフォア)によって直接標識され得、そして標的細胞に結合され得る。タンパク質に対する標識の比が、決定され、そしてその比は、標準的なビーズ(それに結合した標識の既知の量を伴う)と比較される。その細胞に結合した標識の量と、既知の標準との比較は、その細胞に結合した抗体の量を算出するために使用され得る。
【0291】
なお別の局面において、本発明は、サンプルまたは個体中のCD19の存在および/または密度を、インビトロまたはインビボで検出するための方法を提供する。これはまた、疾患および処置の効果をモニタリングするため、ならびに投与される抗体の用量を決定および調整するために有用であり得る。上記インビボの方法は、画像化技術(例えば、PET(陽電子断層撮影法)またはSPECT(シングルフォトンエミッションコンピュータ連動断層撮影))を使用して行なわれ得る。あるいは、共有結合性キレート剤を使用してインジウムによって抗CD19抗体を、標識し得る。得られた抗体は、ZEVALINTM(インジウム標識された抗CD20 mAb)(Biogen Idec)がCD20抗原を画像化するために使用される方法と同じく、標準的なγ線カメラを使用して画像化され得る。
【0292】
1つの実施形態において、上記インビボの方法は、試験されるサンプル(必要に応じて、コントロールサンプルを伴う)とヒト本発明の抗CD19抗体とを、本発明の抗体とヒトCD19抗原との間の複合体の形成を可能にする条件下で接触させることによって行われ得る。次いで、複合体形成は、(例えば、FACS分析またはウェスタンブロッティングを使用して)検出される。試験サンプルを伴うコントロールサンプルを使用する場合、複合体は、両方のサンプルにおいて検出され、そしてそのサンプル間の複合体の形成における任意の統計的に有意な違いは、その試験サンプルにおけるヒトCD19の存在を示す。
【0293】
他の実施形態において、平均蛍光強度が、CD19密度の測定として使用され得る。このような実施形態において、B細胞は、患者から取り出され、そしてそのB細胞は、蛍光標識によって標識されたCD19抗体によって染色され、そしてその蛍光強度が、フローサイトメトリーを使用して測定される。蛍光強度は、B細胞1個あたりの平均強度として測定および表わされ得る。このような方法を使用して、CD19密度を示す平均蛍光強度は、本発明の方法および組成物を使用した処置の前後における患者に関して比較され得るか、または患者と、B細胞上のhCD19の正常レベルとの間で比較され得る。
【0294】
B細胞上のCD19発現の密度が決定されている患者において、CD19の密度は、本発明の組成物および方法の抗CD19抗体と一緒に使用される、投薬量ならびに/または処置レジメンの決定および/または調整に影響し得る。例えば、CD19の密度が高い場合、ヒトにおいてADCCを効率的に媒介しない抗CD19抗体を使用することが可能であり得る。特定の実施形態において、本発明の組成物および方法を使用して処置される患者が低いCD19密度を有する場合、本発明の組成物および方法の抗CD19抗体のより高い投薬量が、使用され得る。他の実施形態において、本発明の組成物および方法を使用して処置される患者が低いCD19密度を有する場合、本発明の組成物および方法の抗CD19抗体の低い投薬量が、使用され得る。特定の実施形態において、本発明の組成物および方法を使用して処置される患者が高いCD19密度を有する場合、本発明の組成物および方法の抗CD19抗体のより低い投薬量が、使用され得る。特定の実施形態において、CD19密度は、患者におけるCD20密度と比較され得るか、CD19密度は、ヒトまたは特定の患者集団についての平均CD19密度と比較され得るか、またはCD19密度は、治療前またはB細胞の疾患または障害の発症前における患者のCD19レベルと比較され得る。特定の実施形態において、本発明の組成物および方法を使用して処置される患者は、CD19がB細胞の表面上に存在するB細胞の悪性疾患を有する。
【0295】
(5.6.免疫療法プロトコル)
治療レジメン/治療プロトコル(本明細書中で「抗CD19免疫療法」と称される)において使用される抗CD19抗体組成物は、むき出しの抗体、免疫結合体および/または融合タンパク質であり得る。本発明の組成物は、単剤療法としてか、または他の治療剤またはレジメンと組み合わせて使用され得る。その抗CD19抗体または免疫結合体は、1種以上の治療剤の投与の前か、その投与と同時か、またはその投与の後に投与され得る。治療レジメンと本発明の組成物との組み合わせにおいて使用され得る治療剤としては、細胞の機能を阻害もしくは妨害する任意の物質および/または細胞の破壊を引き起こす任意の物質が挙げられる。例としては、放射性同意体、化学療法剤および毒素(例えば、細菌起源、真菌起源、植物起源または動物起源の酵素的に活性な毒素あるいはそのフラグメント)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0296】
本明細書中に記載される治療レジメン、または任意の所望の処置レジメンは、ネイティブなCD19抗原に加えてか、それに代えてヒトCD19抗原を発現するトランスジェニック動物モデル(例えば、第6.2節において下に記載されるマウスモデル)を使用して、効力について試験され得る。したがって、抗CD19抗体処置レジメンは、ヒトに対する投与前に効力を決定するために、動物モデルにおいて試験され得る。
【0297】
本発明の抗CD19抗体、組成物および方法は、B細胞の疾患を処置するために実施され得、その疾患としては、B細胞の悪性疾患が挙げられる。用語「B細胞の悪性疾患」は、B細胞系統の細胞に由来する任意の悪性疾患を含む。例示のB細胞の悪性疾患としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:B細胞サブタイプの非ホジキンリンパ腫(NHL)(低度悪性群/濾胞性NHL、小リンパ球性(SL)NHL、中等度悪性群/濾胞性NHL、中等度悪性群のびまん性NHL、高度悪性群の免疫芽球性NHL、高度悪性群のリンパ芽球性NHL、高度悪性群の小さい大細胞のNHL;マントル細胞リンパ腫および大きな病変のNHLを含む);バーキットリンパ腫;多発性骨髄腫;前B細胞性急性リンパ性白血病および早期B細胞前駆体に由来する他の悪性疾患;一般的な急性リンパ性白血病(ALL);慢性リンパ性白血病(CLL)(免疫グロブリン変異型CLLおよび免疫グロブリン非変異型CLLを含む);ヘアリーセル白血病;ヌル急性リンパ芽球性白血病;ヴァルデンストレームマクログロブリン血症;びまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL)(胚中心B細胞様(GCB)DLBCL、活性化B細胞様(ABC)DLBCL、および3型DLBCLを含む);前リンパ性白血病;L鎖病;形質細胞腫;骨硬化性骨髄腫;形質細胞性白血病;意味未確定の単クローン性高ガンマグロブリン血症(MGUS);くすぶり型多発性骨髄腫(SMM);無症候性多発性骨髄腫(IMM);古典的および結節性リンパ球優勢型を含むホジキンリンパ腫;リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL);ならびに胃粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫を含む辺縁帯リンパ腫。
【0298】
本発明者らは、本発明の抗体および組成物が成熟B細胞を枯渇させ得ることを示した。したがって、別の局面として、本発明は、成熟B細胞(すなわち、その細胞表面上にIgを発現する)の悪性疾患を処置するために使用され得、これらの悪性疾患としては、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、びまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL)(胚中心のB細胞様(GCB)DLBCL、活性化B細胞様(ABC)DLBCL、および3型DLBCLを含む)、古典的および結節性リンパ球優勢型を含むホジキンリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)、胃粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫を含む辺縁帯リンパ腫、ならびに慢性リンパ性白血病(CLL)(免疫グロブリン変異型CLLおよび免疫グロブリン非変異型CLLを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0299】
さらに、CD19は、例えば、CD20よりも、B細胞の発達においてより早く発現され、したがって、例えば、骨髄における、プレB細胞および未熟B細胞(すなわち、その細胞表面上にIgを発現しない)の悪性疾患を処置するのに特に適している。例示のプレB細胞および未熟B細胞の悪性疾患としては、急性リンパ芽球性白血病が挙げられるが、これに限定されない。
【0300】
他の特定の実施形態において、本発明は、結節外の腫瘍を処置するために実施され得る。
【0301】
(5.6.1.抗CD19免疫療法)
本発明に従って、「抗CD19免疫療法」は、任意の本明細書中に記載される治療レジメンに従う任意の本発明の抗CD19抗体の投与を包含する。その抗CD19抗体は、むき出しの抗体としてか、または免疫結合体もしくは融合タンパク質として投与され得る。
【0302】
抗CD19免疫療法は、B細胞の悪性疾患の処置のための単剤治療として、抗CD19抗体の投与を包含する。抗CD19免疫療法は、B細胞の悪性疾患から生じる初期の疾患を処置する方法を包含する。抗CD19免疫療法は、B細胞の悪性疾患を処置する方法を包含し、その抗CD19抗体は、ADCCを媒介する。抗CD19免疫療法は、B細胞の悪性疾患を処置する方法を包含し、その抗CD19抗体は、患者がその悪性疾患に対する任意の処置を受容する前に投与される、その治療は、化学療法でも、放射化学ベースの治療でもまたは外科的治療でもよい。
【0303】
好ましい実施形態において、B細胞の悪性疾患を有するヒト被験体は、好ましくはヒトのADCCを媒介するヒト抗体またはヒト化抗体を投与することによって処置され得る。初期の疾患または単剤療法の場合において、好ましくはADCCを媒介する任意の抗CD19抗体(マウス抗体およびキメラ抗体を含む)は、ヒト被験体において使用され得るが;しかし、ヒト抗体およびヒト化抗体が、好ましい。
【0304】
IgG1ヒトアイソタイプまたはIgG3ヒトアイソタイプの抗体が、治療に好ましい。しかし、IgG2ヒトアイソタイプまたはIgG4ヒトアイソタイプが、使用され得るが、但しそれらは、ヒトのADCCを媒介する。このようなエフェクター機能は、エフェクター細胞による標的細胞の溶解をインビトロまたはインビボで媒介する目的の抗体の能力を測定することによって評価され得る。
【0305】
使用される抗体の用量は、循環するB細胞を枯渇させるのに十分であるべきである。上記治療の進行は、血液サンプルを分析することによって患者においてモニタリングされ得る。臨床的改善の他の徴候は、治療をモニタリングするために使用され得る。
【0306】
本発明の組成物および方法と組み合わせて使用され得るB細胞の枯渇を測定するための方法は、当該分野において周知であり、そしてその方法としては、以下の実施形態が挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態において、循環するB細胞の枯渇は、B細胞の量を規定するための、B細胞に結合する抗CD19抗体以外の試薬を使用したフローサイトメトリーによって測定され得る。他の実施形態において、血中の抗体レベルは、標準的な血清分析を使用してモニタリングされ得る。このような実施形態において、B細胞の枯渇は、B細胞によって産生されることが公知である抗体に対して量を規定することによって、間接的に測定される。次いでその抗体のレベルは、B細胞の枯渇および/または機能的な枯渇を決定するためにモニタリングされる。別の実施形態において、B細胞の枯渇は、B細胞を同定するための免疫化学的染色によって測定され得る。このような実施形態において、患者組織から抽出されたB細胞は、顕微鏡のスライドガラス上に配置され得、標識され得、そして存在または非存在について試験され得る。関連する実施形態において、比較は、B細胞の存在における違いを決定するために、治療前に抽出されたB細胞と、治療後に抽出されたB細胞との間で行なわれる。
【0307】
腫瘍量は、本発明の組成物および方法と組み合わせて測定ならびに使用され得る。腫瘍量を測定するための方法は、当該分野において周知であり、そしてとしては、以下の実施形態が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、PETスキャンが、代謝活性を測定し、そして腫瘍を示すより高い活性の領域を同定するために、使用され得る。CTスキャンおよびMRIはまた、腫瘍の存在および大きさについてを試験する軟部組織ために使用され得る。他の実施形態において、骨スキャンは、腫瘍の体積および位置を測定するために使用され得る。なお他の実施形態において、腫瘍量は、ドップラー技術(例えば、超音波)を使用して腫瘍の中および外への血流を試験することによって測定され得る。このような実施形態において、患者の適切な組織における時間にわたる血流の変化または正常な血流からの偏移は、腫瘍量についての推定値を算出するために使用され得る。腫瘍量を測定するためのこのような方法は、本発明の処置の方法の前後に使用され得る。
【0308】
本発明の方法の好ましい実施形態において、B細胞は、枯渇し、そして/または腫瘍量は、減少する一方で、ADCC機能は、維持される。
【0309】
上記抗CD19抗体が単剤療法として投与される本発明の実施形態において、本発明は、異なる処置レジメンの使用を企図する
本発明の特定の局面に従って、本発明の組成物および方法において使用される抗CD19抗体は、むき出しの抗体である。関連する実施形態において、使用されるむき出しの抗CD19抗体の用量は、患者の体重1kgあたり、少なくとも約0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、0.9mg、1mg、1.5mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、5.5mg、6mg、6.5mg、7mg、7.5mg、8mg、8.5mg、9mg、9.5mg、10mg、10.5mg、11mg、11.5mg、12mg、12.5mg、13mg、13.5mg、14mg、14.5mg、15mg、15.5mg、16mg、16.5mg、17mg、17.5mg、18mg、18.5mg、19mg、19.5mg、20mg、20.5mgである。特定の実施形態において、使用されるむき出しの抗CD19抗体の用量は、患者の体重1kgあたり、少なくとも約1mg〜10mg、5mg〜15mg、10mg〜20mg、または15mg〜25mgである。特定の実施形態において、使用されるむき出しの抗CD19抗体の用量は、患者の体重1kgあたり、少なくとも約1mg〜20mg、3mg〜15mg、または5mg〜10mgである。好ましい実施形態において、使用されるむき出しの抗CD19抗体の用量は、患者の体重1kgあたり、少なくとも約5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、または10mgである。
【0310】
特定の実施形態において、上記用量は、4〜8週間連続して毎週投与される、約375mg/mの抗CD19抗体を含む。特定の実施形態において、上記用量は、4〜8週間連続して毎週投与される患者の体重1kgあたり、少なくとも約1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、または15mgである。
【0311】
上に記載される抗CD19抗体の例示の用量は、第5.4.3節に記載されるように投与され得る。1つの実施形態において、上記用量は、単一用量の注射である。他の実施形態において、上記用量は、時間の期間にわたって投与される。他の実施形態において、上記用量は、時間の期間にわたって、複数回投与される。上記時間の期間は、数日間、数ヶ月間または数週間で測定され得る。抗CD19抗体の複数用量は、毒性の副作用とバランスをとりつつ治療的利益を達成するのに適した間隔で投与され得る。例えば、複数用量使用される場合、抗体による反復処置の前における患者の単球数を回復させる時間間隔をあけることが、好ましい。この投薬レジメンは、その単球集団が患者におけるADCC機能を反映するので、処置の効率を最適化する。
【0312】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、ヒト患者に対して、その患者が治療に応答する限り投与される。他の実施形態において、本発明の組成物は、ヒト患者に対して、その患者の疾患が進行しない限り投与される。関連する実施形態において、本発明の組成物は、ヒト患者に対して、患者の疾患が、進行しないか、または時間の期間にわたって進行なくなるまで投与され、次いでその患者は、その疾患が、再発しないか、または再び進行し始めない限り本発明の組成物を投与されない。例えば、患者は、その患者が疾患の進行についてモニタリングされる時間の間、約4〜8週間にわたって任意の上記用量によって処置され得る。疾患の進行が、停止または逆転する場合、その患者は、患者が再発する(すなわち、その処置される疾患が、再発または進行する)まで、本発明の組成物を投与されない。この再発または進行の際に、その患者は、最初に使用されたものと同じ投薬レジメンを用いてか、または上に記載される他の用量を使用して、再び処置され得る。
【0313】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、負荷用量として投与され得、次いで時間の期間にわたって、複数のより低い用量(維持用量)として投与され得る。このような実施形態において、その用量は、時期が選ばれ得、そしてその量は、有効なB細胞の枯渇を維持するように調整され得る。好ましい実施形態において、上記負荷用量は、患者の体重1kgあたり、約10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、または18mgであり、そして上記維持用量は、患者の体重1kgあたり、少なくとも約5mg〜10mgである。好ましい実施形態において、上記維持用量は、7日毎、10日毎、14日毎または21日毎の間隔で投与される。上記維持用量は、毒性が出現するまでか、血小板数が減少するまでか、疾患の進行が存在しなくなるまでか、その患者がその薬物に対する免疫応答を起こすまでか、または疾患が終末期に進行するまで、無期限に継続され得る。なお他の実施形態において、本発明の組成物は、その疾患が終末期に進行するまでヒト患者に投与される。
【0314】
患者の循環する単球レベルが処置レジメンの一部としてモニタリングされる本発明の実施形態において、投与される抗CD19抗体の用量は、単球数の回復を可能にするために、間隔を空けられ得る。例えば、本発明の組成物は、8日毎、9日毎、10日毎、11日毎、12日毎、13日毎、14日毎、15日毎、16日毎、17日毎、18日毎、19日毎、20日毎、21日毎、22日毎、23日毎、24日毎、25日毎、26日毎、27日毎、28日毎、29日毎、または30日毎の間隔で投与され得る。
【0315】
抗CD19抗体が、毒素に結合体化されるか、または毒素と組み合わせて投与される本発明の実施形態において、当業者は、抗CD19抗体の用量が毒素用量に基づいて調整され得ること、およびその毒素用量が使用される特定の型の毒素に依存することを認識する。代表的に、毒素が使用される場合、抗CD19抗体の用量は、むき出しの抗CD19抗体によって使用される用量よりも低い。適切な用量は、当該分野において周知である技術を使用して、特定の毒素について決定され得る。例えば、用量範囲の研究が、毒素と一緒に投与されるかまたは毒素に結合体化される場合の、抗CD19抗体の最大許容投与量を決定するために行われ得る。
【0316】
抗CD19抗体が、放射線療法剤に結合体化されるか、または放射線療法剤と組み合わせて投与される本発明の実施形態において、その抗CD19抗体の用量は、使用される放射線療法剤に依存して変動する。特定の好ましい実施形態において、2工程のプロセスが、使用される。第1に、ヒト患者は、むき出しの抗CD19抗体を含む組成物を投与され、そして約6、7、8、9、または10日後の少量の放射線療法剤が、投与される。第2に、一旦その低用量療法の耐性、分布およびクリアランスが決定されると、その患者は、上記むき出しの抗CD19抗体の用量を投与され、次いで治療量の放射線療法剤が、投与される。このような処置レジメンは、ZEVALINTM(インジウム標識された抗CD20 mAb)(Biogen Idec)またはBEXXARTM(GSK、Coulter Pharmaceutical)を使用する非ホジキンリンパ腫の処置について承認されているものと同様である。
【0317】
(5.6.2.化学療法剤との組み合わせ)
抗CD19免疫療法(むき出しの抗体、免疫結合体、または融合タンパク質を使用する)は、他の治療と組み合わせて使用され得、その治療としては、化学療法単独、放射免疫治療(RIT)単独、化学療法および外部照射(集学的治療(combined modality therapy)、CMT)単独、または集学的放射免疫治療(CMRIT)単独、あるいはそれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態において、本発明の抗CD19抗体治療は、CHOP(シクロホスファミド−ヒドロキシドキソルビシン−オンコビン(ビンクリスチン)−プレドニゾロン)(非ホジキンリンパ腫を処置するための最も一般的な化学療法レジメン)と組み合わせて適用され得る。本明細書中で使用される場合、用語「と組み合わせて適用される」は、上記抗CD19免疫療法が使用される他の治療の前、その間、またはその後に投与され得ることを意味する。
【0318】
特定の実施形態において、上記抗CD19免疫療法は、細胞傷害性の放射性核種または放射線療法の同位体と組み合わせてである。例えば、α線放出同位体(例えば、225Ac、224Ac、211At、212Bi、213Bi、212Pb、224Ra、または223Ra)である。あるいは、上記細胞傷害性の放射性核種は、β線放出同位体(例えば、186Re、188Re、90Y、131I、67Cu、177Lu、153Sm、166Ho、または64Cu)であり得る。さらに、上記細胞傷害性の放射性核種は、オージェ電子および低エネルギー電子を放出し得、そしてその放射性核種としては、同位体125I、123Iまたは77Brが挙げられ得る。他の実施形態において、上記同位体は、198Au、32Pなどであり得る。特定の実施形態において、被験体に投与される放射性核種の量は、約0.001mCi/kgと約10mCi/kgとの間である。
【0319】
いくつかの好ましい実施形態において、被験体に投与される放射性核種の量は、約0.1mCi/kgと約1.0mCi/kgとの間である。他の好ましい実施形態において、被験体に投与される放射性核種の量は、約0.005mCi/kgと0.1mCi/kgとの間である。
【0320】
特定の実施形態において、上記抗CD19免疫療法は、化学毒素または化学療法剤との組み合わせである。好ましくは、上記化学毒素または化学療法剤は、エンジイン(例えば、カリチェアミシンおよびエスペラミジン);デュオカルマイシン、メトトレキセート、ドキソルビシン、メルファラン、クロラムブシル、ARA−C、ビンデシン、マイトマイシン C、シスプラチン、エトポシド、ブレオマイシンおよび5−フルオロウラシルからなる群より選択される。
【0321】
上記抗CD19免疫療法との併用療法において使用され得る適切な化学毒素または化学療法剤としては、エンジインファミリーのメンバーの分子(例えば、カリチェアミシンおよびエスペラミジン)である。化学毒素はまた、デュオカルマイシン(例えば、米国特許第5,703,080号および米国特許第4,923,990号を参照のこと)、メトトレキセート、ドキソルビシン、メルファラン、クロラムブシル、ARA−C、ビンデシン、マイトマイシンC、シスプラチン、エトポシド、ブレオマイシンおよび5−フルオロウラシルからなる群より採択され得る。化学療法剤の例としてはまた、アドリアマイシン、ドキソルビシン、5−フルオロウラシル、シトシンアラビノシド(「Ara−C」)、シクロホスファミド、チオテパ、タキソテール(ドセタキセル)、ブスルファン、サイトキサン、タキソール、メトトレキセート、シスプラチン、メルファラン、ビンブラスチン、ブレオマイシン、エトポシド、イホスファミド、マイトマイシンC、ミトザントロン、ビンクリスチン、ビノレルビン、カルボプラチン、テニポシド、ダウノマイシン、カルミノマイシン(Carminomycin)、アミノプテリン、ダクチノマイシン、マイトマイシン系、エスペラミジン系(米国特許第4,675,187号を参照のこと)、メルファランおよび他の関連するナイトロジェンマスタードが挙げられる。
【0322】
他の実施形態において、例えば、「CVB」(1.5g/mのシクロホスファミド、200〜400mg/mのエトポシドおよび150〜200mg/mのカルムスチン)が、本発明の併用療法において使用され得る。CVBは、非ホジキンリンパ腫を処置するために使用されるレジメンである。Pattiら、Eur.J.Haematol.51:18(1993)。他の適切な併用化学療法レジメンは、当業者に周知である。例えば、Freedmanら、「Non−Hodgkin’s Lymphomas」、CANCER MEDICINE、第2巻、第3版、Hollandら(編)、pp.2028−2068(Lea & Febiger 1993)を参照のこと。例示として、中等度悪性群の非ホジキンリンパ腫の処置のための第1世代の化学療法レジメンとしては、C−MOPP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、プロカルバジンおよびプレドニゾン)およびCHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン)が挙げられる。有用な第2世代の化学療法レジメンは、m−BACOD(メトトレキセート、ブレオマイシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、デキサメタゾンおよびロイコボリン)であり、一方で、第3世代のレジメンは、MACOP−B(メトトレキセート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン、ブレオマイシンおよびロイコボリン)である。さらなる有効な薬物としては、フェニルブチレートおよびブロスタチン−1が挙げられる。好ましい複数様式の治療において、化学療法約およびサイトカインの両方は、本発明に従って、抗体、免疫結合体または融合タンパク質と同時投与される。上記サイトカイン、化学療法薬および抗体、免疫結合体または融合タンパク質は、任意の順序で投与されても、一緒に投与されてもよい。
【0323】
本発明の組成物および方法において使用するのに好ましい他の毒素としては、有毒なレクチン、植物毒素(例えば、リシン、アブリン、モデシン、ボツリヌス(botulina)毒素およびジフテリア毒素が挙げられる。当然に、種々の毒素の組み合わせもまた、1つの抗体分子と合わせられ得、それによって適切な可変の細胞傷害性を提供する。本発明の併用療法に適切に使用される毒素の例は、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ、DNase I、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリン毒素、シュードモナス属の体外毒素およびシュードモナス属の内毒素である。例えば、Pastanら、Cell、47:641(1986)およびGoldenbergら、Cancer Journal for Clinicians、44:43(1994)を参照のこと。使用され得る酵素的に活性な毒素およびそのフラグメントとしては、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性フラグメント、体外毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、α−サルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンチンタンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP−S)、momordica charantiaインヒビター、クルシン、クロチン、sapaonaria officinalisインヒビター、ゲロニン、マイトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、およびトリコテセンが挙げられる。例えば、WO 93/21232(1993年10月28日公開)を参照のこと。
【0324】
適切な毒素および化学療法剤は、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES、第19版.(Mack Publishing Co.1995)、およびGOODMAN AND GILMAN’S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS、第7版.(MacMillan Publishing Co.1985)二記載される。他の適切な毒素および/または化学療法剤は、当業者に公知である。
【0325】
本発明の抗CD19免疫療法はまた、プロドラッグ(例えば、ペプチジル化学療法剤、WO81/01145参照)を活性な抗癌薬に変換するプロドラッグ活性化酵素との組み合わせであり得る。例えば、WO 88/07378および米国特許第4,975,278号を参照のこと。このような組み合わせの酵素成分は、そのプロドラッグをそのより活性な細胞傷害性形態に変換するためにそのような方法でプロドラッグを活性化し得る任意の酵素を含む。本願で使用される場合、用語「プロドラッグ」とは、腫瘍細胞に対して、親薬物と比較してより低い細胞傷害性である薬学的に活性な物質の前駆物質形態または誘導体形態をいい、そしてそれらは、酵素的に活性化され得るか、またはより活性な親形態に変換され得る。例えば、Wilman、「Prodrugs in Cancer Chemotherapy」、Biolchemical Society Transactions、14、pp.375−382、615th Meeting Belfast(1986)、およびStellaら、「Prodrugs:A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery」、Directed Drug Delivery、Borchardtら(編)、pp.247−267、Humana Press(1985)を参照のこと。本発明の抗CD19抗体と組み合わせて使用され得るプロドラッグとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:より活性な細胞傷害性の遊離薬物に変換され得る、ホスフェート含有プロドラッグ、チオホスフェート含有プロドラッグ、サルフェート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D−アミノ酸改変プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、α−ラクタム含有プロドラッグ、必要に応じて置換されたフェノキシアセトアミド含有プロドラッグまたは必要に応じて置換されたフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5−フルオロシトシンおよび他の5−フルオロウリジンプロドラッグ。本発明で使用するためのプロドラッグ形態に誘導体化され得る細胞傷害性薬物の例としては、上に記載される化学療法剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0326】
特定の実施形態において、本発明の組成物および方法の適用は、毒素療法の順延を可能にし得、そして必要とされない副作用および化学療法に関連する合併症の危険性の回避を補助し得、そして化学療法に対する耐性の発生を遅らせる。特定の実施形態において、毒素療法および/または毒素療法に対する耐性は、本発明の組成物および方法を適用された患者において遅延され、約6ヶ月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、または10年まで遅延する。
【0327】
(5.6.3.治療用抗体との組み合わせ)
本明細書中に記載される抗CD19免疫療法は、他の抗体と組み合わせて投与され得、その抗体としては、抗CD20 mAb、抗CD52 mAb、抗CD22抗体(例えば、米国特許第5,484,892号、米国出願番号10/371,797の米国特許公開番号2004/0001828、米国出願番号10/372,481の米国特許公開番号2003/0202975および米国仮特許出願番号60/420,472(これらの各々の全内容は、CD22抗原および抗CD22抗体のそれらの教示に関して参考として本明細書中に援用される)に記載されるような)および抗CD20抗体(例えば、RITUXANTM(C2B8;RITUXIMABTM;Biogen Idec))が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の抗体と組み合わせて使用され得るか、または本発明の組成物において使用され得る治療用抗体の他の例としては、HERCEPTINTM(トラスツズマブ;Genentech)、MYLOTARGTM(ゲムツズマブオゾガマイシン;Wyeth Pharmaceuticals)、CAMPATHTM(アレムツズマブ;Berlex)、ZEVALINTM(イブリツモマブチウキセタン(Ipritumomab tiuxetan);Biogen Idec)、BEXXARTM(トシツモマブ;GlaxoSmithKline Corixa)、ERBITUXTM(セツキシマブ;Imclone)およびAVASTINTM(ベバシズマブ;Genentech)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0328】
特定の実施形態において、抗CD19 mAbおよび抗CD20 mAbならびに/または抗CD22 mAbは、必要に応じて同じ薬学的組成物において、任意の適切な比で投与され得る。例示するために、上記抗CD19抗体と抗CD20抗体との比は、約1000:1、約500:1、約250:1、約100:1、約90:1、約80:1、約70:1、約60;l、約50:1、約40:1、約30:1、約20:1、約19:1、約18:1、約17:1、約16:1、約15:1、約14:1、約13:1、約12:1、約11:1、約10:1、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、約1:10、約1:11、約1:12、約1:13、約1:14、約1:15、約1:16、約1:17、約1:18、約1:19、約1:20、約1:30、約1:40、約1:50、約1:60、約1:70、約1:80、約1:90、約1:100、約1:250、約1:500もしくは約1:1000またはそれ以上の比であり得る。同様に、上記抗CD19抗体と抗CD22抗体との比は、約1000:1、約500:1、約250:1、約100:1、約90:1、約80:1、約70:1、約60;l、約50:1、約40:1、約30:1、約20:1、約19:1、約18:1、約17:1、約16:1、約15:1、約14:1、約13:1、約12:1、約11:1、約10:1、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、約1:10、約1:11、約1:12、約1:13、約1:14、約1:15、約1:16、約1:17、約1:18、約1:19、約1:20、約1:30、約1:40、約1:50、約1:60、約1:70、約1:80、約1:90、約1:100、約1:250、約1:500もしくは約1:1000またはそれ以上の比であり得る。
【0329】
(5.6.4.単球またはマクロファージの機能を増強する組み合わせ化合物)
本発明の方法の特定の実施形態において、単球またはマクロファージの数または機能を(例えば、少なくとも約25%、50%、75%、85%、90%、95%以上)増強する化合物は、上記抗CD19免疫療法と組み合わせて使用され得る。このような化合物は、当該分野において公知であり、そしてその化合物としては、サイトカイン(例えば、インターロイキン(例えば、IL−12))およびインターフェロン(例えば、αインターフェロンまたはγインターフェロン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0330】
単球もしくはマクロファージの機能を増強する化合物または単球もしくはマクロファージの増強因子は、抗体、免疫結合体または抗原結合フラグメントとして同じ薬学的組成物に処方され得る。別々に投与される場合、その抗体/フラグメントおよびその化合物は、同時に(互いの時間の期間内で)投与されても、治療の同じ経過の間に投与されても、連続的に投与されてもよい(すなわち、その患者は、第1に抗体/フラグメント処置の経過を受容し、次いでマクロファージ/単球の機能を増強する化合物を受容するか、またはその逆も同様)。このような実施形態において、単球またはマクロファージの機能を増強する化合物は、他の治療レジメンおよび/または本発明の組成物の前か、それらと同時か、またはそれらの後に、ヒト被験体投与される。1つの実施形態において、ヒト被験体は、ヒトついての正常範囲内である、血液の白血球数、単球数、好中球数、リンパ球数、および/または好塩基球数を有する。ヒト血液の白血球(総白血球)についての正常範囲は、約3.5個〜約10.5個(10個/L)である。ヒト血液の好中球についての正常範囲は、約1.7個〜約7.0個(10個/L)であり、単球は、約0.3個〜約0.9個(10個/L)であり、リンパ球は、約0.9個〜約2.9個(10個/L)であり、好塩基球は、約0個〜約0.3個(10個/L)であり、そして好酸球は、約0.05個〜約0.5個(10個/L)である。他の実施形態において、ヒト被験体は、ヒトについての正常範囲よりも少ない血液の白血球数(例えば、少なくとも約0.01個、0.05個、0.1個、0.2個、0.3個、0.4個、0.5個、0.6個、0.7個、または0.8個(10個/L)の白血球)を有する。
【0331】
本発明のこの実施形態は、本発明の抗体、免疫結合体もしくは抗体フラグメントまたは当該分野において公知である他の抗体と共に実施され得、そして抗CD19抗体治療、抗CD20抗体治療および/もしくは抗CD22抗体治療(例えば、存在する抗体(例えば、C2B8)による治療)に対して耐性である被験体、化学療法によって現在処置を受けているか、もしくは以前に化学療法によって処置されていた被験体、B細胞の障害の再発を有している被験体、免疫無防備状態の被験体、または他にマクロファージまたは単球の機能の欠陥を有する被験体に特に適する。治療に対して耐性であるか、またはB細胞の生涯の再発を有する患者の有病率は、少なくとも部分的に、マクロファージまたは単球の機能の欠陥に起因し得る。したがって、本発明は、抗CD19抗体および抗原結合フラグメントを投与する方法と組み合わせて使用される、ADCCおよび/またはマクロファージおよび/または単球の機能を増強する方法を提供する。
【0332】
(5.6.5.免疫調節剤との組み合わせ)
本発明の抗CD19免疫療法はまた、免疫調節剤と組み合わせて使用され得る。このアプローチにおいて、キメラ化抗体の使用が、好ましい;ヒト抗CD19抗体またはヒト化抗CD19抗体の使用が、最も好ましい。併用療法について本明細書中で使用される場合、用語「免疫調節剤」とは、宿主の免疫系を抑制するか、遮蔽するか、または増強するように作用する物質をいう。これとしては、サイトカイン産生を抑制する物質、自己抗原の発現をダウンレギュレートもしくは抑制する物質、またはMHC抗原を遮蔽する物質が挙げられる。このような薬剤の例としては、2−アミノ−6−アリール−5−置換ピリミジン(米国特許第4,665,077号を参照のこと)、アザチオプリン(またはシクロホスファミド、アザチオプリンに対する有害反応が存在する場合);ブロモクリプチン;グルタルアルデヒド(米国特許第4,120,649号に記載される通り、MHC抗原を遮蔽する); MHC抗原およびMHCフラグメントに対する抗イディオタイプ抗体;シクロスポリンA;ステロイド類(例えば、糖質コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン、メチルプレドニゾロンおよびデキサメタゾン;サイトカインアンタゴニストもしくはサイトカインレセプターアンタゴニスト(抗インターフェロン−γ抗体、抗インターフェロン−β抗体、もしくは抗インターフェロン−α抗体を含む);抗腫瘍壊死因子−α抗体;抗腫瘍壊死因子−β抗体;抗インターロイキン−2抗体および抗IL−2レセプター抗体;抗L3T4抗体;異種抗リンパ球グロブリン;pan−T抗体(好ましくは、抗CD3抗体または抗CD4/CD4a抗体;LFA−3結合ドメインを含む可溶性ペプチド(WO 90/08187(1990年7月26日公開);ストレプトキナーゼ;TGF−β;ストレプトドルナーゼ;宿主由来のRNAまたはDNA;FK506;RS−61443;デオキシスパーガリン(deoxyspergualin);ラパマイシン;T細胞レセプター(米国特許第5,114,721号);T細胞レセプターフラグメント(Offnerら、Science 251:430−432(1991);WO 90/11294;およびWO 91/01133);ならびにT細胞レセプター抗体(EP 340,109)(例えば、T10B9)が挙げられる。サイトカインの例としては、リンホカイン、モノカインおよび伝統的なポリペプチドホルモンが挙げられるが、これらに限定されない。成長ホルモン(例えば、ヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモンおよびウシ成長ホルモン);副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;糖タンパク質ホルモン(例えば、卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)および黄体形成ホルモン(LH));肝細胞増殖因子(hepatic growth factor);線維芽細胞増殖因子;プロラクチン;胎盤性ラクトゲン;腫瘍壊死因子−α;ミュラー管抑制物質;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子;インテグリン;トロンボポイエチン(thrombopoiotin)(TPO);神経成長因子(例えば、NGF−α);血小板増殖因子(platelet−growth factor);トランスフォーミング増殖因子(TGF)(例えば、TGF−αおよびTGF−α);インスリン様増殖因子−Iおよびインスリン様増殖因子−II;エリスロポエチン(EPO);骨形成誘導因子(osteoinductive factor);インターフェロン;コロニー刺激因子(CSF)(例えば、マクロファージ−CSF(M−CSF);顆粒球−マクロファージ−CgP(GM−CSP);および顆粒球−CSF(G−CSF));インターロイキン(IL)(例えば、IL−1、IL−1a、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−11、IL−12、IL−15;腫瘍壊死因子(例えば、TNF−αまたはTNF−β);ならびに他のポリペプチド因子(LIFおよびkitリガンド(KL)を含む)が、サイトカインの間に含まれる。本明細書中で使用される場合、用語「サイトカイン」は、天然の供給源または組換え細胞培養由来のタンパク質およびネイティブな配列サイトカインの生物学的に活性な等価物を含む。特定の実施形態において、上記方法は、1種以上の免疫調節剤(immunomodulatory agent)(好ましくは、サイトカイン)を被験体に投与することさらに包含する。好ましいサイトカインは、インターロイキン−1(IL−1)、IL−2、IL−3、IL−12、IL−15、IL−18、G−CSF、GM−CSF、トロンボポイエチンおよびγインターフェロンからなる群より選択される
これらの免疫調節剤は、本発明の抗CD19抗体と同時か、または異なる時間に投与され、そして当該分野において示されるものと同じか、またはそれよりも低い投薬量で使用される。好ましい免疫調節剤は、処置される障害の型、ならびに患者の履歴を含む多くの要因に依存するが、一般的で総体的な選択は、薬剤がシクロスポリンA、糖質コルチコステロイド(最も好ましくは、プレドニゾンまたはメチルプレドニゾロン)、OKT−3モノクローナル抗体、アザチオプリン、ブロモクリプチン、異種抗リンパ球グロブリン、またはその混合物から選択されることである。
【0333】
(5.6.6.他の免疫療法剤との組み合わせ)
腫瘍新生血管傷害において作用する薬剤はまた、抗CD19免疫療法と組み合わせて使用され得、そしてその薬剤としては、チューブリン結合剤(例えば、コンブレスタチン(combrestatin)A4(Griggsら、Lancet Oncol.2:82,(2001)))ならびにアンジオスタチンおよびエンドスタチン(Rosen、Oncologist 5:20、2000(本明細書中に参考として援用される)に概説される)が挙げられる。抗CD19抗体と組み合わせて使用するのに適した免疫調節因子としては、α−インターフェロン、γ−インターフェロン、および腫瘍壊死因子α(TNFα)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、本発明の組成物および方法を使用する治療と組み合わせて使用される治療剤は、ペプチドである。
【0334】
特定の実施形態において、上記抗CD19免疫療法は、1種以上のカリチェアミシン分子との組み合わせである。カリチェアミシンファミリーの抗生物質は、ピコモル未満の濃度で二本鎖DNAの破壊をもたらし得る。使用され得るカリチェアミシンの構造的アナログとしては、γ11、γ21、γ31、N−アセチル−γ11、PSAGおよび011が挙げられるが、これらに限定されない(Hinmanら、Cancer Research 53:3336−3342(1993)およびLodeら、Cancer Research 58:2925−2928(1998))。
【0335】
あるいは、本発明の抗CD19抗体および細胞傷害性因子を含む融合タンパク質が、例えば、組換え技術またはペプチド合成によって作製され得る。
【0336】
なお別の実施形態において、本発明の抗CD19抗体は、腫瘍プレターゲット法(tumor pretargeting)の利用のために「レセプター」(例えば、ストレプトアビジン)に結合体化され得、そのアンタゴニスト−レセプター結合体は、患者に投与され、次いで除去剤(clearing agent)を使用してその循環から結合していない結合体が、除去され、その後、治療剤(例えば、放射性核種(radionucleotide)に結合体化される「リガンド」例えば、ビオチン)の投与が、行われる。
【0337】
特定の実施形態において、処置レジメンは、本発明の抗CD19抗体組成物の細胞傷害作用を軽減する化合物を含む。このような化合物としては、鎮痛剤(例えば、アセトアミノフェン)、ビスホスホネート、抗ヒスタミン剤(例えば、マレイン酸クロルフェニラミン)およびステロイド(例えば、デキサメタゾン、レチノイド、デルトイド(deltoid)、ベタメタゾン、コルチゾール、コルチゾン、プレドニゾン、デヒドロテストステロン、糖質コルチコイド、鉱質コルチコイド、エストロゲン、テストステロン、プロゲスチン)が挙げられる。
【0338】
特定の実施形態において、本発明の抗CD19免疫療法と組み合わせて使用される治療剤は、低分子(すなわち、約2500ダルトン未満の分子量を有する無機化合物または有機化合物)である。例えば、低分子のライブラリーは、Specs and BioSpecs B.V.(Rijswijk、The Netherlands)、Chembridge Corporation(San Diego、CA)、Comgenex USA Inc.(Princeton、NJ)およびMaybridge Chemicals Ltd.(Cornwall PL34 OHW、United Kingdom)から商業的に得られ得る。
【0339】
特定の実施形態において、上記抗CD19免疫療法は、抗菌剤と組み合わせて投与され得る。抗菌剤の非限定的な例はとしては、細菌感染を阻害しそして/または減少させ、細菌の複製を阻害しそして/また減少させ、あるいは他の細胞もしくは被験体に対する細菌の伝播を阻害しそして/また減少させる、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、融合タンパク質、抗体、核酸分子、有機分子、無機分子および低分子が挙げられる。特定の抗菌剤の例としては、抗生物質(例えば、ペニシリン、セファロスポリン、イミペネム、アクストレオナム(axtreonam)、バンコマイシン、サイクロセリン、バシトラシン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、クリンダマイシン、テトラサイクリン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、アミカシン、カナマイシン、ネオマイシン、スペクチノマイシン、トリメトプリム、ノルフロキサシン、リファンピン、ポリミキシン、アムホテリシンB、ナイスタチン、ケトコナゾール(ketocanazole)、イソニアジド、メトロニダゾールおよびペンタミジン)が挙げられるが、これに限定されない
特定の実施形態において、本発明の抗CD19免疫療法は、抗真菌剤と組み合わせて投与され得る。抗真菌剤の特定の例としては、アゾール系薬物(例えば、ミコナゾール、ケトコナゾール(NIZORAL(登録商標))、カスポファンギンアセテート(CANCIDAS(登録商標))、イミダゾール、トリアゾール(例えば、フルコナゾール(DIFLUCAN(登録商標)))およびイトラコナゾール(SPORANOX(登録商標)))、ポリエン(例えば、ナイスタチン、アムホテリシンB(FUNGIZONE(登録商標))、アムホテリシンB脂質複合体(「ABLC」)(ABELCET(登録商標))、アムホテリシンBコロイド分散物(「ABCD」)(AMPHOTEC(登録商標))、リポソームアムホテリシンB(AMBISONE(登録商標)))、ヨウ化カリウム(KI)、ピリミジン(例えば、フルシトシン(ANCOBON(登録商標)))およびボリコナゾール(VFEND(登録商標))が挙げられるが、これらに限定されない。抗菌剤および抗真菌剤の投与は、本発明の方法において生じ得る感染症の効果または激化を軽減し得、患者のB細胞は、著しく枯渇する。
【0340】
本発明の特定の実施形態において、本発明の抗CD19免疫療法は、本発明の組成物の投与に付随し得る毒性の副作用を軽減するために、上に記載される1種以上の薬剤と組み合わせて適用され得る。他の実施形態において、本発明の抗CD19免疫療法は、抗体投与、化学療法、毒素、または薬物の副作用の軽減に使用するための当該分野において周知である1種以上の薬剤と組み合わせて適用され得る。
【0341】
本発明の抗CD19免疫療法が多発性骨髄腫を処置するために適用される本発明の特定の実施形態において、本発明の組成物は、高用量の化学療法(メルファラン、メルファラン/プレドニゾン(MP)、ビンクリスチン/ドキソルビシン/デキサメタゾン(VAD)、リポソームドキソルビシン/ビンクリスチン、デキサメタゾン(DVd)、シクロホスファミド、エトポシド/デキサメタゾン/シタラビン、シスプラチン(EDAP))、幹細胞移植(例えば、自家幹細胞移植または同種幹細胞移植、および/または小規模同種(mini−allogeneic)(骨髄非破壊的)幹細胞移植)、放射線治療、ステロイド(例えば、コルチコステロイド、デキサメタゾン、サリドマイド/デキサメタゾン、プレドニゾン、メルファラン/プレドニゾン)、支持療法(例えば、ビスホスホネート、増殖因子、抗生物質、静脈内免疫グロブリン、低線量の放射線治療、および/または整形的介入)、THALOMIDTM(サリドマイド、Celgene)、および/またはVELCADETM(ボルテゾミブ、Millennium)を組み合わせてか、またはそれらによる処置レジメンにおいて投与され得る。
【0342】
本発明の抗CD19免疫療法が別の抗体および/または薬剤と組み合わせて適用される本発明の実施形態において、さらなる抗体および/または薬剤は、本発明の抗体の投与に対して任意の順序で投与され得る。例えば、さらなる抗体は、本発明の抗CD19抗体または免疫結合体の投与の前、その投与と同時および/またはその投与の後に、ヒト被験体二投与され得る。さらなる抗体は、本発明の抗体と同じ薬学的組成物中に存在し得るか、そして/またはさらなる抗体は、異なる薬学的組成物中に存在し得る。本発明の抗体の投与の用量および様式ならびにさらなる抗体の用量は、投薬量の任意の教示ならびに本願において提供されるような投与の様式および当該分野において周知であるような投与の様式に従って、同じであり得るか、または異なり得る。
【0343】
(5.7.B細胞の悪性疾患の診断における抗CD19抗体の使用)
本発明はまた、ヒトCD19抗原に免疫特異的に結合する抗CD19抗体およびその組成物を包含し、その抗CD19抗体は、診断剤または検出可能な薬剤に結合体化される。好ましい実施形態において、その抗体は、ヒト抗CD19抗体またはヒト化抗CD19抗体である。このような抗CD19抗体は、臨床試験手順(例えば、特定の治療の効力の決定)の一部としてB細胞の悪性疾患の発症または進行をモニタリングまたは予見するのに有用であり得る。このような診断および検出は、ヒトCD19抗原に免疫特異的に結合する抗CD19抗体を検出可能な物質にカップリングすることによって達成され得、この検出可能な物質としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:種々の酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼであるが、これらに限定されない);補欠分子族(例えば、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンであるが、これらに限定されない);蛍光物質(例えば、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンであるが、これらに限定されない);発光物質(例えば、ルミノールであるが、これに限定されない);生物発光物質(例えば、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンであるが、これらに限定されない);放射活性物質(例えば、ヨウ素(131I、125I、123I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(H)、インジウム(115In、113In、112In、111In)およびテクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、153Sm、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105Rh、97Ru、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、153Gd、169Yb、51Cr、54Mn、75Se、113Sn、および117Tmであるが、これらに限定されない);種々の陽電子断層撮影法に使用される陽電子放出金属、放射標識されるか、または特定の放射性同位体に結合体化される非放射性で常磁性の金属イオンおよび分子。容易に測定され得る任意の検出可能な標識は、抗CD19抗体に結合体化され得、そしてB細胞の悪性疾患を診断するのに使用され得る。上記検出可能な物質は、当該分野において公知である技術を使用して、抗体に直接か、または仲介物質(例えば、当該分野において公知であるリンカーなど)を介して間接的に、カップリングまたは結合体化され得る。例えば、本発明に従って診断薬として使用するための抗体に結合体化され得る金属イオンについては、米国特許第4,741,900号を参照のこと。特定の実施形態において、本発明は、診断剤または検出可能な薬剤に結合体化された抗CD19抗体を含む診断キットを提供する。
【0344】
(5.8.キット)
本発明は、B細胞の悪性疾患またはその1つ以上の症状(B細胞の悪性疾患によって強化されたか、またはB細胞の悪性疾患を強化する)の予防、処置、管理、あるいは改善のために、本発明の組成物によって充填された1個以上の容器を備える薬学的パックまたは薬学的キットを提供する。
【0345】
本発明は、上記の方法において使用され得るキットを提供する。1つの実施形態において、キットは、本発明の組成物を、1個以上の容器中に含む。別の実施形態において、キットは、本発明の組成物を、1個以上の容器中に含み、そしてB細胞の悪性疾患またはその1つ以上の症状(B細胞の悪性疾患によって強化されたか、またはB細胞の悪性疾患を強化する)の予防、管理、あるいは処置に有用な1種以上の他の予防薬または治療剤を、1個以上の容器中に含む。好ましくは、上記キットは、B細胞の悪性疾患を予防するか、処置するか、管理するか、または改善するための指示書、ならびに副作用および投与方法に関する投薬量情報についての指示書をさらに備える。必要に応じて、医薬品または生物製剤の製造、使用または販売を規制する政府機関によって指示された形態による通知が、このような容器に付随し得、その通知は、ヒトに対する適用に関する製造、使用、または販売の政府機関による承認を反映する。
【実施例】
【0346】
(6.実施例)
以下の実施例において、トランスジェニックマウスモデルを、免疫療法に対するヒトCD19を評価するために使用した。これらのデータは、CD19抗原に対する結合およびADCCの媒介の両方を行う抗体が、インビボ(FcγR(好ましくは、FcγRIIIまたはFcγRIV)を発現し、そしてADCCを行うエフェクター細胞を有する被験体)でB細胞の枯渇を誘導するのに有効であることを示す、このような抗体は、長続きするインビボでのB細胞の枯渇を有するために使用され得、そして特定の実施形態においては、循環、脾臓およびリンパ節から実質的に全てのB細胞を排除し得る。驚くべきことに、CD19抗原の比較的低い密度を発現する骨髄B細胞およびその前駆体も、同様に枯渇する。B細胞の枯渇の効果は、抗CD19抗体が結合するヒトCD19の領域に依存しないが、CD19密度(患者サンプルにおける)によって影響を受ける。B細胞クリアランスの効率は、ADCCを媒介する抗CD19抗体の能力と相関し得る。抗CD19抗体を使用したB細胞クリアランスの効率は、宿主エフェクターFcγRの発現/機能とも相関し得る。
【0347】
(6.1.材料および方法)
本明細書中に記載されるマウスHB 12a抗CD19抗体およびマウスHB 12b抗CD19抗体は、ヒトCD19に結合する抗体の例である。このような抗体は、第5.1節において上に記載される技術を使用してヒト抗CD19抗体、ヒト化抗CD19抗体、またはキメラ抗CD19抗体を設計するために使用し得る。ヒトCD19またはその部分に対してHB 12a抗体およびHB 12b抗体と同一の特異性を有するヒト抗CD19抗体、ヒト化抗CD19抗体、またはキメラ抗CD19抗体が、本発明の組成物および方法における使用のために企図される。特に、またはHB 12aまたはHB 12bと同一または類似の重鎖CDR1領域、重鎖CDR2領域、および/または重鎖CDR3領域を有するヒト抗CD19抗体、ヒト化抗CD19抗体、またはキメラ抗CD19抗体が、本発明の組成物および方法における使用のために企図される。
【0348】
(6.1.1.材料および方法)
抗体産生および配列分析。HB 12a抗体およびHB 12b抗体を、ヒトCD19をコードするcDNAによってトランスフェクトしたマウスプレB細胞株を用いて免疫化したBalb/cマウスにおいて産生した(Zhouら、Mol.Cell Biol、14:3884−94(1994))。両方の抗体を、1993年11月3日〜7日にボストンで開催されたFifth International Workshop and Conference on Human Leukocyte Differentiation Antigensに提出した。
【0349】
重鎖鎖遺伝子の利用を、RNEASY(登録商標)Mini Kit(QIAGEN(登録商標)、Valencia、CA)を使用して1〜5×10個のハイブリドーマ細胞から抽出したRNAを使用して決定した。第1cDNA鎖を、INVITROGEN(登録商標)(Carlsbad、CA)製の200単位のSUPERSCRIPT III(登録商標)逆転写酵素および第1cDNA鎖合成緩衝液、PROMEGA(登録商標)(Madison、WI)製の20ngのランダムヘキサマープライマーおよび20単位のRNAseインヒビターならびにDenville(Metuchen、NJ)製の80ナノモルのdNTPを使用して、2μgの全RNAから20μLの容量で合成した。1μlのcDNA溶液を、重鎖(V)遺伝子のPCR増幅のためにテンプレートとして使用した。PCR反応を、10mM Tris−HCl(pH8.3)、5mM NHCl、50mM KCl、1.5mM MgCl、800μM dNTP(Denville)、400pmolの各プライマーおよび10%pfuプルーフリーディングポリメラーゼ(Stratagene、LaJolla、CA)を伴う2.5UのTaq DNAポリメラーゼ(Invitrogen)から構成された50μl容量の反応混合物中で行った。Vに関して、PCR反応を、20mM Tris−HCl(pH8.4)、50mM KCl、1.5mM MgCl、800μM dNTP(Denville)、400pmolの各プライマーおよび10%pfuプルーフリーディングポリメラーゼ(Stratagene)でスパイクした2.5UのTaq DNAポリメラーゼ(Invitrogen)から構成された50μl容量の反応混合物中で行った。3分間の変性工程の後、増幅を、32サイクル(94℃で1分間、58℃で1分間、72℃で1分間)行い、次いで72℃(Thermocycler、Perkin Elmer)で10分間の伸長を行った。重鎖cDNAを、先に記載される通り(Kantorら、J.Immunol.、158:1175−1186(1997))、乱交雑のセンス5’Vプライマー(MSVHE;5’GGG AAT TCG AGG TGC AGC TGC AGG AGT CTG G 3’)(配列番号19)およびCγコード領域と相補的なアンチセンスプライマー(プライマーCγ1;5’GAG TTC CAG GTC ACT GTC ACT GGC TCA GGG A 3’)(配列番号20)を使用して増幅した。
【0350】
軽鎖遺伝子の利用を、重鎖について記載したように抽出した細胞質RNAを使用して決定した。5’可変領域のヌクレオチド配列を、GeneRacerTMキット(Invitrogen)を使用して産生したcDNAから得た。全RNAを、仔ウシ腸のホスファターゼによって脱リン酸化した。5’キャップ構造を、タバコの酸ピロホスファターゼによってインタクトな、完全長mRNAから除去した。そのmRNAをcDNAに転写した後に、GeneRacer RNAオリゴを、公知の5’プライミング部位をGeneRacer PCRプライマーに対して提供するT4 RNAリガーゼを使用してそのmRNAの5’末端にライゲーションした。ライゲーションしたmRNAを、SuperscriptTMIII RTおよびthe GeneRacerランダムプライマーを用いて逆転写した。第1cDNA鎖を、GeneRacer 5’プライマー(GeneRacer RNAオリゴと相同的)および定常領域特異的アンチセンス3’プライマー(GAC TGA GGC ACC TCC AGA TGT TAA CTG)(配列番号21)を使用して増幅した。タッチダウンPCR増幅を、添加した10%pfuプルーフリーディングポリメラーゼ(Stratagene)を伴う2.5UのTaq DNAポリメラーゼ(Invitrogen)を使用して、Invitrogenによって推奨されるような緩衝液を用いて50μL容量中で行った。2分間の変性工程の後、Taqおよびpfuを、添加し、そして増幅を、3工程(94℃で30秒間、72℃で60秒間の5サイクル;94℃で30秒間、72℃で60秒間の5サイクル;94℃で30秒間、65℃で30秒間、72℃で60秒間の20サイクル)で行い、次いで72℃で10分間の伸長を行った。2.5UのTaqを、添加し、そしてその伸長を可能にして、インタクトな3’A−オーバーハング確保するためにさらに10分間伸長を続けた。増幅したPCR産物を、スクリーニングのために、pCR4−TOPOベクター中にクローニングし、そしてOneShot(登録商標)TOP10コンピテント細胞に形質転換した。8個のクローン由来のDNA挿入物を、重鎖について記載したように、pCR4−TOPOベクターに特異的な「M13フォワード」プライマーおよび「M13リバース」プライマーを使用して各mAb軽鎖について配列決定した。
【0351】
AmpliTaq(登録商標)DNAポリメラーゼおよび最初のPCR増幅に使用した同じプライマーまたは軽鎖について記載したようなpCR4−TOPOベクター特異的プライマーを用いてPerkin Elmer Dye Terminator Sequencingシステムを使用した増幅の後、精製した重鎖PCR産物および軽鎖PCR産物を、ABI 377 PRISM(登録商標)DNAシークエンサーを使用して直接的に配列決定した。HB 12aおよびHB 12bの重鎖領域ならびに軽鎖領域を、センスDNA鎖およびアンチセンスDNA鎖の両方において完全に配列決定した。
【0352】
抗体および免疫蛍光分析。本明細書中で用いられるヒトCD19抗原に結合するモノクローナルマウス抗CD19抗体は、included HB12a(IgG1)およびHB12b(IgG1)、FMC63(IgG2a、Chemicon International、Temecula、CA)、B4(IgG1、Beckman Coulter、Miami、FL)(Nadlerら、J.Immunol、131:244−250(1983))ならびにHD237(IgG2b、Fourth International Workshop on Human Leukocyte Differentiation Antigens、Vienna、Austria、1989)を含んだ(HD37抗体(Pezzuttoら、J.Immunol、138:2793−2799(1987))のアイソタイプスイッチ改変体)。他の抗体は:マウスCD19に結合するモノクローナルマウス抗CD19抗体、MB19−1(IgA)(Satoら、J.Immunol、157:4371−4378(1996));モノクローナルマウスCD20特異的抗体(Uchidaら、Intl.Immunol、16:119−129(2004));B220抗体RA3−6B2(DNAX Corp.、Palo Alto、CA);Thy1.2抗体(CALTAGTMLaboratories、Burlingame、CA);ならびにCD5抗体、CD43抗体およびCD25抗体(BD PHARMINGENTM、Franklin Lakes、NJ)を含んだ。アイソタイプ特異的抗体および抗マウスIg抗体またはIgM抗体は、Southern Biotechnology Associates,Inc.(Birmingham、AL)製であった。
【0353】
hCD19 cDNA(TedderおよびIsaacs、J.Immunol、143:712−717(1989))によってトランスフェクトしたマウスプレB細胞株、300.19(Altら、Cell、27:381−388(1981))、または単一細胞の白血球懸濁物を、確立された方法(Zhouら、Mol.Cell.Biol、14:3884−3894(1994))に従って、所定の最適な濃度の各抗体を使用して氷上で20〜30分間染色した。リンパ球の前方光散乱特性および側方光散乱特性を有する細胞を、FACSCAN(登録商標)フローサイトメーターまたはFACSCALIBUR(登録商標)フローサイトメーター(Becton Dickinson、San Jose、CA)を使用して分析した。バックグラウンド染色を、≧98%の細胞を除外するように位置付けたゲートを用いて、非反応性のコントロール抗体(CALTAGTMLaboratories、Burlingame、CA)を使用して決定した。試験した各抗体に関して、単核細胞の前方光散乱特性および側方光散乱特性を有する1万個の細胞を、40倍の対数目盛で示される蛍光強度によって、可能な限り各サンプルについて分析した。
【0354】
マウス。ヒトCD19(h19−1)を発現するトランスジェニックマウスおよびその野生型(WT)同腹子を、先に記載される(Zhouら、Mol.Cell.Biol、14:3884−3894(1994))ように産生した。TG−1マウスを、元のh19−1樹立系統(C57BL/6×B6/SJL)から産生し、そしてC57BL/6バックグラウンドに対して少なくとも7世代にわたって交雑させた。TG−2マウスを、元のh19−4樹立系統(C57BL/6×B6/SJL)から産生した。複数の世代の戻し交雑の後、TG−1+/+マウスを得た。そのB細胞は、ヒトB細胞において見出された密度とほぼ同じ細胞表面密度のヒトCD19を発現した。ヒトCD19発現マウスは、さらに記載されており、そしていくつかの研究においてモデルとして使用されている(Engelら、Immunity、3:39−50(1995);Satoら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、92:11558−11562(1995);Satoら、J.Immunol、157:4371−4378(1996);Tedderら、Immunity、6:107−118(1997);Satoら、J.Immunol、158:4662−4669(1997);Satoら、J.Immunol、159:3278−3287(1997);Satoら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、94:13158−13162(1997);InaokiらJ.Exp.Med.、186:1923−1931(1997);Fujimotoら、J.Immunol、162:7088−7094(1999);Fujimotoら、Immunity、11:191−200(1999);Satterthwaiteら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、97:6687−6692(2000);Fujimotoら、Immunity、13:47−57(2000);Satoら、J.Immunol、165:6635−6643(2000);Zipfelら、J.Immunol、165:6872−6879(2000);Qianら、J.Immunol、166:2412−2419(2001);Hasegawaら、J.Immunol、167:2469−2478(2001);Hasegawaら、J.Immunol、167:3190−3200(2001);Fujimotoら、J.Biol.Chem.、276:44820−44827(2001);Fujimotoら、J.Immunol、168:5465−5476(2002);Saitoら、J.Clin.Invest.、109:1453−1462(2002);Yazawaら、blood、102:1374−80(2003);Shohamら、J.Immunol、171:4062−4072(2003))。CD19欠損(CD19−/−)マウスおよびそのWT同腹子はまた、先の通りに記載されている(Engelら、Immunity、3:39−50(1995))。トランスジェニックマウスにおけるヒトCD19の発現は、内因性のマウスCD19発現を低下させることが示されており(Satoら、J.Immunol、157:4371−4378(1996);およびSatoら、J.Immunol、158:4662−4669(1997))、そして内因性のマウスCD19発現のこの低下に関する仮説もまた、評価されている(Shohamら、J.Immunol、171:4062−4072(2003))。ヒトCD19を発現するトランスジェニックマウスにおけるCD19発現の密度もまた、評価されている(Satoら、J.Immunol、165:6635−6643(2000))。TG−1+/+マウスを、Taconic Farms(Germantown、NY)製のFcR(Fcレセプター)共通γ鎖(FcRγ)欠損マウス(FcRγ−/−、B6.129P2−Fcergltml)と交配して、hCD19+/− FcRγ−/−同腹子およびWT同腹子を産生した。c−Myc導入遺伝子についてヘミ接合のマウス(Eμ−cMycTG、C57Bl/6J−TgN(IghMyc);The Jackson Laboratory、Bar Harbor、ME)は、記載された通りである(Harrisら、J.Exp.Med.、167:353(1988)およびAdamsら、Nature、318:533(1985))。c−MycTGマウス(B6/129バックグラウンド)をhCD19TG−1+/+マウスと交雑させて、PCRスクリーニングによって決定されるようなヘミ接合性hCD19TG−1+/− cMycTG+/−子孫を産生した。Rag1−/−(B6.129S7−Rag1tmlMom/J)マウスは、The Jackson Laboratory製であった。マクロファージ欠損マウスを、標準的な方法(Van RooijenおよびSanders、J.Immunol.Methods、174:83−93(1994))に従って、C57BL/6マウスへの−2日目、1日目および4日目におけるクロドロネート封入リポソーム(10グラムあたり0.1mL体重;Sigma Chemical Co.、St.Louis、MO)の尾静脈注射によって産生した。全てのマウスを、特定の病原体を含まないバリアー施設において飼育し、そして最初に、6〜9週齢にて使用した。
【0355】
ELISA。血清Ig濃度を、記載される通り(Engelら、Immunity、3:39(1995))、検量線を作成するために、アフィニティー精製したマウスIgM、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3およびIgA(Southern Biotechnology Associates、Inc.)を使用したELISAによって決定した。dsDNA、ssDNAおよびヒストンに対するIgM自己抗体ならびにIgG自己抗体の血清レベルを、記載される通り(Satoら、J.Immunol.、157:4371(1996))、仔ウシ胸腺の二本鎖(ds)DNA(Sigma−Aldrich)、煮沸した仔ウシ胸腺のDNA(一本鎖(ss)DNAを含む)またはヒストン(Sigma−Aldrich)でコートしたマイクロタイタープレートを使用したELISAによって決定した。
【0356】
免疫療法。200μLリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中の滅菌した抗CD19抗体および非反応性のアイソタイプコントロール抗体(0.5〜250μg)を、側方尾静脈を介して注射した。全ての実験は、他に示さない限り、250μgの抗体を用いた。血液の白血球数を、赤血球溶解後に血球計数器によって定量し、B220B細胞の頻度を、フローサイトメトリー分析を用いた免疫蛍光染色によって決定した。ヒトおよびマウスにおける抗体用量を、Oncology Tool Dose Calculator(www.fda.gov/cder/cancer/animalframe.htm)を使用して比較した。
【0357】
免疫化。2月齢のWTマウスを、生理食塩水中の50μgの2,4,6−トリニトロフェニル(TNP)結合体化リポ多糖(LPS)(Sigma、St.Louis、MO)または25μg 2,4−ジニトロフェノール結合体化(DNP)−FICOLL(登録商標)(Biosearch Technologies、San Rafael、CA)によってi.p.に免疫化した。マウスをまた、完全フロイントアジュバントにおける100μgのDNP結合体化キーホールリンペットヘモシアニン(DNP−KLH、CALBIOCHEM(登録商標)−NOVABIOCHEM(登録商標)Corp.、La Jolla、CA)によってi.p.に免疫化し、そして不完全フロイントアジュバントにおけるDNP−KLHによって21日後にブーストした。マウスを、示される通り、免疫化の前後に採血した。個々の血清サンプルにおけるDNP特異的抗体力価またはTNP特異的抗体力価を、標準的な方法(Engelら、Immunity、3:39−50(1995))に従って、DNP−BSA(CALBIOCHEM(登録商標)−NOVABIOCHEM(登録商標)Corp.、La Jolla、CA)またはTNP−BSA(Biosearch Technologies、San Rafael、CA)でコートしたELISAプレートを使用して二連で測定した。TNP−LPS免疫化マウス由来の血清を、DNP−FICOLL(登録商標)製の血清によって1:400に希釈し、そしてDNP−BSA免疫化マウス由来の血清を、ELISA分析のために1:1000に希釈した。
【0358】
腫瘍研究。hCD19TG−1+/− c−mycTG+/−マウスから突発性のリンパ節腫瘍を、単離し、そしてインビボで拡大培養した。腫瘍細胞(105/マウス)を、0日目にRag−/−レシピエントマウスに対してi.v.に投与し、FMC63およびアイソタイプが一致したコントロールmAb(250μg/ml)を、1日目および7日目においてi.v.に与えた。血液の白血球をレシピエントマウスから、毎週単離し、循環するマウスCD19 B220細胞の数を、フローサイトメトリー分析を用いた免疫蛍光染色によって定量した。
【0359】
統計分析。全てのデータを、平均±SEMとして示す。ステューデントt検定を使用して、サンプル平均の間の差の有意性を決定した。
【0360】
(6.2.実施例1:トランスジェニックマウスにおけるヒトCD19発現)
本明細書中に記載されるトランスジェニックhCD19TGマウスまたはヒトCD19を発現する他のトランスジェニック動物は、ヒト抗CD19抗体、ヒト化抗CD19抗体、またはキメラ抗CD19抗体を含む異なる治療レジメン(投薬の濃度、量、またはタイミングにおけるバリエーション)を評価するために使用され得る。異なる治療レジメンのヒト患者における効力は、下に記載される2つの指標を使用して予想され得る(すなわち、特定の体液および/または組織におけるB細胞の枯渇ならびにモノクローナルヒト抗CD19抗体もしくはモノクローナルヒト化抗CD19抗体のB細胞を結合する能力)。特定の実施形態において、ヒトCD19トランスジェニックマウスにおいて有効である処置レジメンは、ヒトにおいてB細胞の悪性疾患を処置するために、本発明の組成物および方法と一緒に使用され得る。
【0361】
ヒトCD19がヒトCD19導入遺伝子を発現するトランスジェニックマウス(ヘミ接合TG−1+/−)由来のB細胞上に発現したか否かを決定するために、B細胞を、これらのマウスの骨髄、血液、脾臓および腹膜洗浄液(peritoneal lavage)から抽出した。ヒトCD19発現およびマウスCD19発現を、その細胞と、CD19を結合するマウスモノクローナル抗CD19抗体とを摂食させることによって、これらの細胞において評価した。B系統細胞に対するその抗体の結合を、フローサイトメトリー分析を用いた2色免疫蛍光染色を使用して検出した。
【0362】
結果を、骨髄(BM)、血液、脾臓および腹膜洗浄液(PL)についてヒトCD19(hCD19)の検出された発現(y軸)に対してプロットしたマウスCD19(mCD19)の検出された発現(x軸)のグラフにおいて図1Aに示す。この軸の単位は、左下の1を伴う40倍の対数目盛を示す。ヒトCD19に結合するB4抗CD19抗体(Beckman/Coulter)を使用して、ヒトCD19発現を可視化し、そしてマウスCD19に結合する1D3 CD19抗体(PharMingen)を、マウスCD19発現を可視化した(また、図1Bおよび1Cについて使用される)。ヒトCD19発現がヒトB細胞の発達の間に漸増する一方で、マウスCD19は、マウス骨髄B細胞の発達の間に高レベルで発現する。図1Aは、ヒトCD19発現が、血液、脾臓および腹膜洗浄液(PL)に見出された末梢B細胞上のマウスCD19発現に匹敵することを示し、これは、そのマウス抗hCD19抗体(ヒトCD19を結合する)が末梢B細胞集団を結合することを実証する。さらに、骨髄(BM)由来B細胞の小集団は、内因性のマウスCD19を発現するが、ヒトCD19(ヒトCD19に結合するモノクローナルマウス抗CD19抗体)を発現しない。したがって、骨髄B細胞は、ヘミ接合TG−1+/−マウスにおいて2つの分類(hCD19 mCD19である成熟B系統細胞およびmCD19のみである成熟していないB系統細胞)に納まる(図1A)。これらの結果は、これらのトランスジェニックマウスにおけるヒトCD19発現がB細胞の成熟に相関することを示すZhouらの発見(Mol.Cell.Biol.、14:3884−3894(1994))と一致する。血液、脾臓および腹膜腔内の全ての成熟B細胞は、hCD19およびmCD19の両方であった。
【0363】
mCD19およびhCD19の相対的な発現レベルを、それぞれ、平均蛍光強度(hCD19に対するマウス抗CD19およびmCD19に対するマウス抗CD19)を測定することによって評価した場合、図1Bに示す。hCD19導入遺伝子(TG−1+/+)についてホモ接合のTG−1マウスの間で、血液由来のB細胞上のhCD19発現は、ヒトB細胞上のhCD19発現に匹敵した。TG−1+/+トランスジェニックマウス系統、TG−1+/−トランスジェニックマウス系統およびTG−2+/+トランスジェニックマウス系統におけるhCD19発現ならびにmCD19発現の相対密度を比較するために、血液由来B細胞を、抽出し、そして上に記載されるように、CD19発現についてアッセイした。その結果を、ヒト血液B細胞、hCD19TGマウス由来のTG−1+/+血液B細胞、TG−1+/−血液B細胞およびTG−2+/+血液B細胞についてのヒトCD19発現の%(左)、ならびに野生型(WT)マウス血液B細胞、hCD19TGマウス由来のTG−1+/+血液B細胞、TG−1+/−血液B細胞およびTG−2+/+血液B細胞についてのマウスCD19発現の%(右)を示すヒストグラムにおいて図1Bに示す。その値(平均蛍光強度の線形値)は、ヒトまたは野生型(WT)マウス由来の血液B細胞(100%として示される)と比較したCD19発現の平均相対密度(±SEM)を示す。その結果は、ホモ接合のTG−1+/+マウスにおいて、血液B細胞がヒト血液B細胞よりも約72%高い平均蛍光強度によって測定されるような密度でhCD19を発現したことを示す。TG−1+/−マウスにおける血液B細胞は、ヒト血液B細胞と同様の密度でhCD19を発現し、一方で、TG−2+/+マウスにおける血液B細胞は、ヒト血液B細胞よりも65%低い密度でhCD19を発現した。
【0364】
TG−I+/−マウス組織由来のB細胞におけるhCD19発現およびmCD19発現の相対密度のさらなる比較を、hCD19(左)およびmCD19(右)についての、骨髄、血液、脾臓、リンパ節およびPL由来のB細胞に対する抗CD19抗体染色の平均蛍光強度(MFI±SEM)を示すヒストグラムにおいて図1Cに示す。この結果は、TG−1+/−マウスにおいて、hCD19が、B220細胞によって、骨髄(63%のヒト血液レベル)<血液(100%)<脾臓(121%)=リンパ節(120%)および<腹膜腔(177%)において漸増するレベルで発現されたことを実証する。ヒトCD19発現は、mCD19発現に対する小さい影響を有した。hCD19およびmCD19についてのmRNAのレベルは、変化しなかった。
【0365】
IgG1(HB12a、HB12b、B4)アイソタイプ、IgG2a(FMC63)アイソタイプおよびIgG2b(HD237)アイソタイプのマウス抗hCD19抗体(ヒトCD19を結合する)が異なって反応するか否かを決定するために、血液および脾臓のB220B細胞を、TG−1+/−マウスから単離した。その単離した細胞を、インビトロで上述の抗CD19抗体と接触させ、そしてフローサイトメトリー分析を用いた、アイソタイプ特異的PEを結合体化した二次抗体を使用して可視化したモノクローナル抗体染色を使用して、ヒトCD19発現トランスジェニックマウス(hCD19TG)のB細胞を結合するそれらの能力について評価した。
【0366】
その結果を、5μg/mLにおけるIgG2b(マウスアイソタイプ)抗CD19抗体、IgG2a(マウスアイソタイプ)抗CD19抗体およびIgG1(マウスアイソタイプ)抗CD19抗体についての蛍光強度(x軸) 対 相対的なB細胞数(y軸)のグラフにおいて図1Dに示す。抗CD19抗体によって染色したB220細胞の蛍光強度を、実線で示し、そしてアイソタイプが一致したコントロール(CTL)の蛍光強度を、破線で示す。各抗体は、5μg/mLの濃度で、脾臓B細胞との反応性の飽和レベルに達した。この結果は、TG−1+/−マウス由来のマウス血液およびマウス脾臓のB220B細胞における抗CD19抗体の結合密度が、試験した抗体アイソタイプならびに血液B細胞および脾臓B細胞の両方に関して均一であることを実証した。
【0367】
平均蛍光強度が抗CD19抗体アイソタイプと無関係であったか否かを決定するために、個々の抗CD19抗体(5μg/mLにおける)の結合活性を、hCD19 cDNAによってトランスフェクトしたマウスプレB細胞株(300.19)を、同じ抗マウスIg二次抗体を使用して染色することによって評価した。抗体染色(MFI±SEM)を、フローサイトメトリー分析を用いて、マウスIg特異的PEに結合体化した二次抗体を使用して可視化した。この結果を、HB 12a抗CD19抗体、HB 12b抗CD19抗体、B4抗CD19抗体、FMC63抗CD19抗体、HD237抗CD19抗体およびコントロール抗体(CTL)についての、hCD19 cDNAトランスフェクト300.19細胞に対する抗CD19抗体結合(染色強度によって示される場合、y軸)のヒストグラムにおいてに図1E示す。各抗体は、抗CD19抗体アイソタイプと無関係である特徴的な平均蛍光強度を伴って細胞を染色し、HB 12bは、最も低いレベルの染色を示し、そしてHD237は、最も高いレベルの染色を示した。したがって、示された結果は、300.19細胞が、抗CD19抗体のインビトロでCD19を結合する能力の比較のめたのモデルインビトロ系であること実証する。
【0368】
したがって、まとめると、図1に示した結果は、hCD19TGマウスおよび300.19細胞が、hCD19が密度の範囲にわたって発現される場合、B細胞を結合する抗hCD19抗体の能力を評価するための適切なインビトロモデル系およびインビボモデル系に相当するを実証する。
【0369】
図1A〜1Dは、≧3匹の各遺伝子型のマウスによって得られた結果を示す。
【0370】
(6.3.実施例2:インビボにおけるB細胞の抗CD19抗体の枯渇)
マウス抗CD19抗体(ヒトCD19に結合する)を、インビボでhCD19TG(TG−1+/−)の血液、脾臓およびリンパ節のB細胞を枯渇させるそれらの能力について評価した。各抗体を、マウス1匹あたり250μgまたは50μg(ヒトにおける抗CD20治療のために主として4回与えられる375mg/mの用量よりも約10倍〜50倍低い単一用量)のいずれかでマウスに与えた(Maloneyら、J.Clin.Oncol、15:3266−74(1997)およびMcLaughlinら、12:1763−9(1998))。
【0371】
その結果を、HB 12a抗CD19抗体、HB 12b抗CD19抗体、もしくはFMC63抗CD19抗体またはコントロールを用いた、CD19またはアイソタイプが一致したコントロール(CTL)による処置後の7日間のB細胞量のプロットにおいて図2Aに示す。別のプロットが、各抗CD19抗体について、リンパ節、脾臓および血液組織に提供される。各プロット上に示される7日間のゲートをかけた枯渇したリンパ球の%は、フローサイトメトリー分析を用いた免疫蛍光染色によって決定した場合の、TG−1+/−マウスの血液、脾臓およびリンパ節からの代表的なB細胞の枯渇を示す。図2Bは、抗CD19抗体(黒塗りの円)またはアイソタイプコントロール抗体(白抜きの円)による処置後のB220血液B細胞の平均数(1mlあたりの±SEM)を示す。時間0の後に示される値は、1時間において得られたデータを示す。図2Cおよび図2Dは、それぞれ、示された用量の抗CD19抗体(黒塗りのバー)またはコントロール抗体(白抜きのバー)抗体によるTG−1+/−マウスの処置後における脾臓およびリンパ節のB細胞数(±SEM)を示す。図2B〜2Dにおいて、抗CD19抗体またはアイソタイプコントロール抗体で処置したマウス(データポイントあたり≧3匹のマウス)についての平均結果の間の有意差を、コントロールと比較して示す;p<0.05、**p<0.01。
【0372】
各抗体は、処置の1時間以内に大部分の循環するB細胞を枯渇させ(図2B)、7日目で脾臓およびリンパ節のB細胞の頻度(図2A)ならびに数(図2C−D)に対する強力な枯渇作用を有した。HB 12a抗体は、7日目で、98%の血液B細胞ならびに90〜95%の脾臓およびリンパ節のB細胞を枯渇させた。同様に、HB12b抗体、B4抗体、FMC63抗体およびHD237抗体は、それぞれ、99%、96%、99%および97%の血液B細胞を枯渇させた。HB12b抗体、B4抗体、FMC63抗体およびHD237抗体は、それぞれ、88〜93%、64〜85%、72〜95%および88〜90%の脾臓およびリンパ節のB細胞を枯渇させた。ほとんど残存しなかったB細胞は、主として表現型として、未熟細胞が骨髄からの潜在的な移住細胞(emigrant)であったことを示した。CD19抗体は、WTマウスに与えた場合に、有意な効果を有さず、そして同一条件下で与えたアイソタイプが一致したコントロール抗体は、B細胞数に影響しなかった(図2A〜2D)。したがって、抗hCD19抗体は、7日目で、hCD19TGマウスの循環、脾臓およびリンパ節から有効にB細胞を枯渇させた。TG−1+/−マウスにおけるB細胞の枯渇の概要を、表1に提供する。
【0373】
【表1】
B細胞サブセットは、以下であった:骨髄(BM)プロ−B(CD43IgMB220lo)、プレ−B(CD43IgMB220lo)、未熟B(IgMB220lo)、成熟B(IgMB220hi);末梢B1a(CD5B220lo)、B2(CD5B220hi)。
値(±SEM)は、抗体処置後(250μg)の7日間のマウスに存在する細胞数(×106)を示す。BM値は、左右の大腿骨についてのものである。血液数は、1mlあたりのものである。LN数は、左右の鼡径リンパ節および腋窩リンパ節についてのものである。マウスの数は、括弧内に示される。平均の間の有意差は、が示される;p<0.05、**p<0.01。
【0374】
(6.3.1.骨髄B細胞の枯渇)
公知の抗CD19抗体をhCD19TGマウスにおいて試験して、このような抗体が種々の体液および組織からB細胞を枯渇させるのに有効であったか否かを決定した。本明細書中に記載されるアッセイは、他の抗CD19抗体(例えば、ヒトCD19抗原の特異的部分に結合する抗CD19抗体)が枯渇するB細胞を有効に枯渇させるか否かを決定するために使用され得る。B細胞を枯渇させ得るとして同定された抗CD19抗体を使用した結果は、ヒトにおける使用と相関し得る。同定された抗体の特性を有する抗体は、ヒトにおけるB細胞の悪性疾患の処置のために、本発明の組成物および方法において使用され得る。図3A〜3Fは、CD19抗体処置後の骨髄B細胞の枯渇を示す。
【0375】
図3Aは、リンパ球の前方散乱特性および側方散乱特性を有する細胞のフローサイトメトリー分析を用いた4色免疫蛍光染色によって評価した、TG−1+/−骨髄B細胞の下位集団によるhCD19発現およびmCD19発現についての、蛍光強度(x軸) 対 相対的なB細胞数(y軸)のグラフを示す。プロB細胞を、CD43IgMB220loと規定し、プレB細胞は、CD43IgM B220loであり、未熟B細胞は、IgMB220loであり、そして成熟B細胞は、IgMB220hiであった。棒グラフ(右)は、各B細胞サブセット(データポイントあたり≧3匹のマウス)によるCD19発現についての相対平均MFI(±SEM)値を示す。hCD19TGマウス(図1A)における通り、CD19発現は、ヒトにおいて異質性である。なぜならば、B細胞は、成熟し、そして骨髄を出るからである。プロB細胞の小さい分画(20%、CD43hiIgMB220lo)のみが、TG−1+/−マウスにおいてhCD19を発現したが、ほとんどのプレB細胞は、hCD19であり、そして骨髄における大部分の成熟B細胞は、比較的高いレベルでhCD19を発現した。プロB細胞の半分(55%、IgMB220)は、TG−1+/−マウスにおいてmCD19を発現し、一方で、CD19は、大部分のB細胞sおよび骨髄における成熟B細胞による比較的高いレベルで発現であった。
【0376】
図3Bは、フローサイトメトリー分析を用いた2色免疫蛍光染色によって評価した、FMC63またはアイソタイプが一致したコントロール抗体(250μg)による処置後の7日間のhCD19TGマウスにおけるhCD19細胞の枯渇を示す。数は、示されたゲート内の細胞の相対頻度を示す。結果は、各マウス遺伝子型の3つの同腹子の対によって得られた結果を示す。CD19抗体処置後、TG−1+/+マウス、TG−1+/−マウスおよびTG−2+/+マウスの骨髄におけるhCD19細胞の大部分は、250μg/マウスにて与えたFMC63抗体によって枯渇した。
【0377】
図3Cは、抗CD19抗体またはアイソタイプが一致したコントロール抗体(250μg)によるTG−1+/−マウスの処置後の7日間における、体表的なB220B細胞の枯渇を示す。棒グラフの値は、抗体処置マウスの左右の大腿骨内のB220細胞の総数(±SEM)を示す。サンプル平均の間の有意差(1群あたり≧3匹のマウス)が、示される;p<0.05、**p<0.01。予想外にも、検出不可能なレベルまで低いhCD19を発現したmCD19プレB細胞の大きい画分はまた、骨髄から枯渇した。これと一致して、FMC63抗体、HB 12a抗体、HB 12b抗体、B4抗体およびHD237抗体は、骨髄B220細胞の大部分を枯渇させた。
【0378】
図3Dは、3色免疫蛍光染色によって評価した、FMC63抗体またはアイソタイプが一致したコントロール抗体(250μg)によるTG−1+/−マウスの処置後の7日間における代表的な骨髄B細胞サブセットの枯渇を示す。IgMB220loプロ/プレB細胞を、CD43発現(下のパネル)に基づいてさらに細分した。図3Eは、2色免疫蛍光染色によって評価した、FMC63抗体またはアイソタイプが一致したコントロール抗体(250μg)によるhCD19TGマウス系統の処置後の7日間における骨髄のCD25B22 B220loプレB細胞の代表的な枯渇を示す。結果は、異なる日において行なった実験に由来し、したがってゲートは、同一ではない。個々の骨髄の下位集団を分析した場合、大部分のCD43hiIgMB220loプロB細胞(図3D)は、TG−1+/+マウス、TG−1+/−マウスまたはTG−2+/+マウスにおいてFMC63抗体処置よって影響されなかった一方で、CD25CD43loIgMB220loプレB細胞(図3E)は、枯渇した。図3Fは、FMC63抗体(黒塗りのバー)またはコントロール抗体(白抜きのバー)による≧3匹の同腹子の対の処置後7日間における、左右の大腿骨内のプロB細胞、プレB細胞、未熟細胞および成熟B細胞の数(±SEM)を示す棒グラフを示す。この結果は、大部分の未熟および成熟B細胞もまた、TG−1+/+マウス、TG−1+/−マウスおよびTG−2+/+マウスの骨髄から枯渇した。したがって、hCD19を低レベルで発現したプレB細胞を含むほとんどのhCD19細胞は、CD19抗体処置によって骨髄から枯渇した。
【0379】
(6.3.2.腹膜B細胞の枯渇)
TG−1+/−マウスにおける腹膜腔B細胞は、他の組織B細胞よりも高いレベルでhCD19を発現し(図Aおよび図1C)、それは、主として、従来の(B2)B細胞のCD5IgMloB220hiサブセットよりも約25%高い密度でhCD19を発現したCD5IgMhiB220loB1細胞に起因する(図4A)。図4B〜4Cは、腹膜腔B細胞が抗CD19抗体処置に対して感受性であることを示す。
【0380】
図4Aは、ヒトCD19発現およびマウスCD19発現(x軸)対 腹膜腔のCD5B220BIa B細胞およびCD5B220hiB2(従来)B細胞の相対数(y軸)のプロットを示す。腹膜腔リンパ球の単一細胞の懸濁物を、フローサイトメトリー分析を用いて3色免疫蛍光染色によって試験した。棒グラフは、TG−1+/−マウスの3つの同腹子の対によるCD19発現についての平均MFI(±SEM)値を示す。
【0381】
図4Bは、CD19抗体(250μgのHB12a、HB12bおよびFMC63;50μgのB4およびHD237)またはコントロール抗体(250μg)によって処置したTG−1+/−マウス由来の腹膜腔B220細胞の枯渇を示す。数は、7日目における示されたゲート内のB220細胞の相対頻度を示す。棒グラフの値は、抗体処置マウス(1群あたり≧3匹のマウス)の腹膜内のB220細胞の総数(±SEM)を示す。サンプル平均の間の有意差が、示される;p<0.05、**p<0.01。この結果は、250μg/マウスにおける抗CD19抗体処置が、7日目で腹腔B220B細胞のかなりの部分を枯渇させることを示す。図4Bに示す結果は、B1細胞および従来のB2細胞の両方の枯渇によって部分的に説明される。hCD19が最も高い密度でTG−1+/+マウスにおいて発現された場合、大部分のB1細胞およびB2細胞は、枯渇した。しかし、B1細胞およびB2細胞のCD19媒介性の枯渇は、TG−1+/−マウスおよびTG−2+/+マウスにおいて効率的ではなく、hCD19レベルは、より低かった。したがって、CD19抗体処置は、平均蛍光強度を使用して評価した場合、腹膜のB1細胞およびB2細胞を枯渇させ、その枯渇は、CD19発現のそれらの密度に依存したが、腹膜B細胞は、脾臓およびリンパ節のB細胞よりも抗CD19抗体媒介性の枯渇に対して耐性であった。
【0382】
図4Cは、抗CD19抗体またはコントロール抗体によるhCD19TGマウスの処置後の7日間における、CD5B220B1a B細胞およびCD5B220hiB2 B細胞の代表的な枯渇を示す。数は、示されたゲート内の各B細胞サブセットの相対頻度を示す。棒グラフの値は、抗体処置マウス(1群あたり>3匹のマウス)の腹膜内の各細胞サブセットの総数(±SEM)を示す。サンプル平均の間の有意差が、示される;p<0.05、**p<0.01。
【0383】
(6.3.3.異なる抗CD19抗体は、B細胞クリアランスを媒介する)
HB 12a抗CD19抗体およびHB 12b抗CD19抗体が公知の抗CD19抗体と異なるか否かを決定するために、本明細書中で使用される各抗CD19抗体可変領域のアミノ酸配列を、分析した(図5Aおよび5B、図6Aおよび6B、図7Aおよび7B)
図5Aは、HB12a抗CD19抗体の重鎖V−D−J連結配列についてのヌクレオチド配列(配列番号1)および予想されるアミノ酸配列(配列番号2)を示す。5’PCRプライマーと重複する配列は、二重下線によって示され、そしてその配列は、重複(redundant)プライマーを使用したので、実際のDNA配列から変化し得る。V配列と、D配列と、J配列との間の適切な連結の境界は、垂直のバー(|)によって配列において示される。下のケースの文字におけるヌクレオチドは、連結の境界におけるヌクレオチド付加、または体細胞突然変異についての可能性がある部位のいずれかを示す。抗体のアミノ末端残基(E)は、残基1と印を付けられる。
【0384】
図5Bは、HB12b抗CD19抗体の重鎖V−D−J連結配列についてのヌクレオチド配列(配列番号3)および予想されるアミノ酸配列(配列番号4)を示す。5’PCRプライマーと重複する配列は、二重下線によって示され、そしてその配列は、重複プライマーを使用したので、実際のDNA配列から変化し得る。V配列と、D配列と、J配列との間の適切な連結の境界は、垂直のバー(|)によって配列において示される。下のケースの文字におけるヌクレオチドは、連結の境界におけるヌクレオチド付加、または体細胞突然変異についての可能性がある部位のいずれかを示す。抗体のアミノ末端残基(E)は、残基1と印を付けられる。
【0385】
図6Aは、HB12a抗CD19抗体の軽鎖VK−JK連結配列についてのヌクレオチド配列(配列番号15)および予想されるアミノ酸配列(配列番号16)を示す。図6Bは、HB12b抗CD19抗体の軽鎖V−J連結配列についてのヌクレオチド配列(配列番号17)および予想されるアミノ酸配列(配列番号18)を示す。アミノ酸配列分析によって決定された成熟分泌タンパク質のアミノ末端アミノ酸は、番号1として番号付けされる。3’PCRプライマーと重複する配列は、二重下線によって示される。V−J−C領域についての予想される連結の境界が、示され(/)、J領域ヌクレオチドは、太字で、体細胞突然変異についての可能性がある部位を示す。
【0386】
図7Aおよび図7Bは、公開されたマウス抗CD19抗体のアミノ酸配列アライメントを示す。.図7Aは、コンセンサス配列(配列番号5)を含む重鎖V−D−J連結配列、HB12a(配列番号2)を含む重鎖V−D−J連結配列、4G7(配列番号6)を含む重鎖V−D−J連結配列、HB12b(配列番号4)を含む重鎖V−D−J連結配列、HD37(配列番号7)を含む重鎖V−D−J連結配列、B43(配列番号8)を含む重鎖V−D−J連結配列、およびFMC63(配列番号9)を含む重鎖V−D−J連結配列についての配列アライメントを示す。各抗体のV領域、D領域およびJ領域についてのアミノ酸の番号付けならびにコード配列の起点の決定は、従来の方法に従い(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest.、U.S.Government Printing Office、Bethesda、MD(1991))、アミノ酸位置1〜94ならびに相補性決定領域CDR1およびCDR2は、V遺伝子によってコードされる。ダッシュは、類似するアミノ酸配列のアライメントを最大化するためにその配列中に挿入されたギャップを示す。ドットは、各抗CD19抗体と、全ての抗体についてのコンセンサスアミノ酸配列との間の同一性を示す。CDR領域は、明確性のために強調される。図7Bは、抗CD19抗体の軽鎖Vκアミノ酸配列分析を示す。コンセンサス配列(配列番号10)、HB12a(配列番号16);HB12b(配列番号18);HD37(配列番号11)、B43(配列番号12)、FMC63(配列番号13)および4G7(配列番号14)が、整列される。アミノ酸の番号付けおよび各抗CD19抗体についてのコード配列の起点の決定は、従来の方法に従う(Kabatら、(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest.、U.S.Government Printing Office、Bethesda、MD)。予想されるシグナル配列切断部位の次のアミノ酸が、1と番号付けられる。ダッシュは、類似するアミノ酸配列のアライメントを最大化するためにその配列中に挿入されたギャップを示す。CDR領域は、明確性のために強調される(囲まれる)。
【0387】
この研究において試験された各抗CD19抗体は、インビボで有意な数のB細胞を枯渇させたので、各抗CD19抗体可変領域のアミノ酸配列を、これらの抗体が、配列において異なり、そして異なるCD19エピトープに潜在的に結合するか否かを決定するために評価した。抗体は、各抗体分子の可変領域内の特定のアミノ酸によって媒介される分子相互作用によって標的抗原を結合する。したがって、タンパク質抗原と、これらの抗原上の特定のエピトープに結合する抗体との間の複雑な相互作用は、各抗体およびその特定のアミノ酸配列に対してほぼ固有である。抗原と抗体との相互作用における複雑性のレベルは、ほとんどのタンパク質抗原に対する多様な抗体レパートリーの反映である。標的抗原との抗体の相互作用が、主として、抗体分子の相補性決定領域(CDR)内のアミノ酸によって媒介される一方で、フレームワークアミノ酸もまた、抗原結合活性に重要である。したがって、構造的に類似する抗体は、同じ抗原または標的分子の領域に結合するようである一方で、異なるV領域およびCDR領域を有する構造的に類似しない抗体は、異なる分子相互作用を介して抗原の異なる領域と相互作用するようである。
【0388】
標的抗原の同じ分子領域(またはエピトープ)を相互作用し、そしてそれに結合する抗体は、定義により構造的に類似するので、HB 12a、HB 12b、FMC63および他の公開された抗CD19抗体のアミノ酸配列を、HD37抗体(Kipriyanovら、J.Immunol.Methods、196:51−62(1996);Le Gallら、FEBS Letters、453:164−168(1999))、2G7抗体(Meekerら、Hybridoma、3:305−320(1984);Brandlら、Exp.Hematol、27:1264−1270(1999))およびB43抗体(Bejcekら、Cancer Res.、55:2346−2351(1995))を含めて比較した。上記抗CD19抗体の重鎖を、V(D)J遺伝子セグメントと、V1S39遺伝子セグメント、V1S56遺伝子セグメント、V1S136遺伝子セグメント、またはV2S1遺伝子セグメントに由来するV領域と、FL16.1遺伝子セグメントに由来するD領域と、J2遺伝子セグメントまたはJ4遺伝子セグメントのいずれかに由来するJ領域との異なる組み合わせによって産生した(表2)。B43抗体およびHD37抗体の公開された重鎖可変領域および軽鎖可変領域は、アミノ酸配列において実質的に同一であった(図7A〜7B)。保存のこのレベルは、これらの抗体の各々がまた、同一のV(D)J連結部およびV連結部を有するヌクレオチドレベルにおいて著しく類似するという事実を反映し、それらは、その違いのほとんどが、各cDNA配列をPCR増幅するための重複プライマーの使用によって説明される。これは、HD37およびB43ならびに抗体が共通(同一でない場合)の起源を共有し、従ってCD19タンパク質上の同一のエピトープに結合することを示す。HB 12a抗体および4G7抗体はまた、他の抗CD19抗体と異なっていた。HB 12a抗体および4G7抗体の重鎖領域は、類似し、そして同じ生殖系列V(D)J遺伝子セグメントに由来しているようであるが、異なる連結の境界が、D−Jの構築に使用された(図7A)。HB 12b抗体は、異なるV遺伝子セグメントを利用し(表2)、そして他の抗CD19抗体と明確に異なるCDR3配列を有した。FMC63抗体はまた、他の抗CD19抗体と非常に異なるアミノ酸配を有した。
【0389】
【表2】
N.D.、決定されず。
括弧内の数は、PCRプライマーと重複する領域を除いて、CD19抗体をコードする遺伝子と、現在のデータベースにおいて同定された最も相同的な生殖系列配列との間のヌクレオチドの違いの数を示す。
遺伝子配列についてのGENBANK(登録商標)アクセッション番号
図7Bに示す通り、HB12a抗体、HB12b抗体、FMC63抗体、4G7抗体およびHD37/B43抗体は、それぞれ、異なる軽鎖遺伝子を利用する(図7B)。軽鎖を、複数のV遺伝子セグメントおよびJ遺伝子セグメントから産生した。これらの6種の抗CD19抗体のH鎖配列およびL鎖配列の間の同種性(homogeneity)の欠如は、これらの抗体がヒトCD19上の数種の異なる部位に結合すること示唆する。対になる重鎖および軽鎖のアミノ酸配列の比較は、これらの抗CD19抗体の大部分が、構造的に異なり、したがって異なる分子相互作用を介してヒトCD19を結合することをさらに示す。したがって、抗CD19抗体のインビボでB細胞を枯渇させる能力は、同一部位にてCD19を結合する限定された数の抗体に限られないが、クラスのような抗CD19抗体の一般的特性である。
【0390】
(6.3.4.CD19密度は、CD19抗体誘導性のB細胞の枯渇の効果に影響を及ぼす)
抗CD19抗体のB細胞を枯渇させる能力がCD19密度に依存するか否かを決定するために、HB 12b抗CD19抗体およびFMC63抗CD19抗体を、変動するレベルのCD19発現を有するマウスに投与した。その結果は、B細胞上のヒトCD19密度および抗体アイソタイプが抗CD19抗体の存在下においてB細胞の枯渇に影響を及ぼし得ることを示す。同じアッセイは、他の抗CD19抗体がB細胞を効率的に枯渇させる得るか否かを決定するために使用され得、そしてその結果は、変動するレベルのCD19発現を有するヒト患者の処置に相関し得る。したがって、第5.5.3節に記載されるヒト被験体においてCD19の存在および密度を試験するための方法は、特定の抗CD19抗体がB細胞を枯渇させ得る患者もしくは患者集団を同定するためおよび/または適切な投薬量を決定するために使用され得る。
【0391】
上に示した結果は、試験した全5種の抗CD19抗体は、250μgまたは50μgで使用した場合にTG−1+/−マウスにおいて同様に有効であったが、血液骨髄および脾臓由来のB細胞に対するB細胞の枯渇の程度は、抗体アイソタイプと相関するようであった(IgG2a>IgG1>IgG2b)(図2A図2D)。したがって、HB 12b(IgG1)抗体およびFMC63(IgG2a)抗体の効果を、異なる密度でCD19を発現するホモ接合TG−1+/+マウス、ヘテロ接合TG−1+/−マウスおよびホモ接合TG−2+/+マウスにおいて比較した(図1A〜1E)。
【0392】
CD19密度が抗CD19抗体誘導性のB細胞の枯渇の効果に影響を及ぼすか否かを決定するために、代表的な血液および脾臓のB細胞の枯渇を、HB 12b(図8A)抗体またはFMC63(図8B)抗体による処置後のhCD19TGマウスにおいて試験した(7日間、250μg/マウス)。数は、ゲートをかけたB220リンパ球の%を示す。棒グラフは、抗CD19抗体(黒塗りのバー)またはアイソタイプコントロール(白抜きのバー)抗体による処置後の血液(1mLあたり)または脾臓(総数)のB細胞の数(±SEM)を示す。抗CD19抗体またはアイソタイプコントロール抗体で処置したマウス(データポイントあたり≧3匹のマウス)についての平均結果の間の有意差が、示される;p<0.05、**p<0.01。
【0393】
図8A〜8Dに与えられた結果は、CD19密度が抗CD19抗体によるインビボでのB細胞の枯渇の効率に影響を及ぼすことを示す。TG−2+/+マウスにおける低レベルのCD19発現は、7日目において、HB12b抗体による循環するB細胞または組織B細胞の枯渇に対する顕著な影響を有した(図8A)。TG−1+/+マウス、TG−1+/−マウスおよびTG−2+/+マウスによるCD19発現における違いはまた、FMC63抗体による循環するB細胞または組織B細胞の枯渇に影響を及ぼしたが、循環するB細胞の枯渇を有意に変化させなかった(図8B)。
【0394】
CD19密度がCD19 mAb媒介性のB細胞の枯渇において重要な因子であることをさらに確かめるために、CD19TG−1+/+B細胞およびCD19TG−2+/+B細胞の相対枯渇速度を、直接比較した。CD19TG−1+/+マウスおよびCD19TG−2+/+マウス由来の脾細胞を、CFSEを用いて差示的に標識した(hCD19TG−1+/+マウスおよびhCD19TG−2+/+マウス由来の分別していない脾細胞を、それぞれ、0.1μMおよび0.01μMのVybrantTMCFDA SE(CFSE;Molecular Probes)を用い、製造業者の指示書に従ってを標識することによる)。CFSE標識した脾細胞の間のB220細胞の相対頻度を、フローサイトメトリー分析を用いた免疫蛍光染色によって決定した。次いで、等しい数のCFSE標識したB220hCD19TG−1+/+脾細胞およびB220hCD19TG−2+/+脾細胞(2.5×10)を、3匹の野生型B6マウスの腹膜腔に注射した。1時間後、そのマウスに、FMC63またはコントロールmAb(250μg、i.p.)のいずれかを与えた。24時間後、標識されたリンパ球を、フローサイトメトリーによって評価した場合のCFSE標識したB220細胞およびB220細胞の相対頻度と共に回収した。図8C中の各ヒストグラムにおけるゲートは、CD19TG−1+/+(CFSEhigh)脾細胞集団およびCD19TG−2+/+(CFSElow)脾細胞集団内のB220細胞の頻度を示す。棒グラフは、コントロール mAb処置マウスと比較して抗CD19mAb処置マウスに存在するCFSE標識した細胞集団の数を示す。結果は、≧3匹の野生型レシピエントマウス中に転移したhCD19TG−1+/+脾細胞(黒塗りのバー)およびhCD19TG−2+/+脾細胞(白抜きのバー)が、サンプル平均(±SEM)の間の有意差を示したことを表す;**p<0.01。
【0395】
B細胞クリアランスを、抗CD19 mAbまたはコントロールmAbによる個々のマウスの処置後24時間評価した。CD19TG−1+/+ B220B細胞は、コントロールmAb処置マウスと比較して、抗CD19 mAb処置マウスにおいてCD19TG−2+/+ B細胞よりも有意に速い速度(p<0.01)で枯渇した(図8C)。さらに、抗CD19 mAb処置マウスにおけるCD19TG−2+/+ B220B細胞に対するCD19TG−1+/+ B220B細胞の相対頻度は、コントロールmAb処置マウスにおけるCD19TG−2+/+ B220B細胞に対するCD19TG−1+/+ B220B細胞の比よりも有意に低かった(p<0.01)。同様に、抗CD19 mAbマウスまたはコントロールmAbマウスにおけるCD19TG−1+/+およびCD19TG−2+/+のCFSE標識したB220細胞の数もまた、共通点を有した。したがって、高密度のCD19を発現するCD19TG−1+/+B細胞は、低密度でCD19を発現するCD19TG−2+/+B細胞よりも速い速度で枯渇する。
【0396】
図8Dは、抗体染色を用いて、CD19抗体(太い線)、CD20抗体(細い線)またはアイソタイプが一致したコントロール抗体(CTL、破線)(5μg/mL)によって染色したB220細胞の蛍光強度を示し、この抗体染色は、フローサイトメトリー分析を用いたアイソタイプ特異的な、PEが結合体化した二次抗体を使用して可視化される。結果は、4回の実験において得られた結果を示す。その結果は、TG−1+/−マウス由来の脾臓B220B細胞における抗hCD19抗体および抗mCD20抗体の相対結合密度を示す。抗mCD20抗体結合の密度は、10〜64%であり、それは、抗CD19抗体と同程度に高く、各抗体について使用された抗体アイソタイプとは無関係である(図8D)。mCD20発現は、一般に、hCD19発現よりも低かったが、TG−1+/−マウスにおけるhCD19発現のレベルは、依然として、ヒトB細胞において見出されるhCD19発現のレベルに匹敵する(図1B)。したがって、抗CD19抗体は、比較的低密度でhCD19を発現したTG−2+/+B細胞を有効に枯渇させたが(図1B)、TG−1+/+細胞およびTG−1+/−B細胞による高レベルのCD19発現は、IgG2a抗体およびIgG1抗体の効果における相対的差異を分かりにくくした。B細胞の数とTG−1トランスジェニックマウスおよびTG−2トランスジェニックマウスにおけるhCD19発現の密度との間に、直接の逆相関が存在するが、hCD19の密度は、B細胞の枯渇に寄与する重要な因子である。抗CD19抗体レベルは、250μg/マウスにて投与した場合に、飽和された(図12における飽和レベルもまた、参照のこと)。したがって、遊離の抗CD19抗体のレベルは、B細胞数に関係なく、過剰なレベルであった。
【0397】
(6.4.実施例3:組織B細胞の枯渇は、FCγR依存性)
以下のアッセイを使用して、抗CD19抗体によるB細胞の枯渇がFcγR発現に依存するか否かを決定した。hCD19tgと特定のFcγRの発現を欠くマウスとを異種交配する工程によって、hCD19を発現しかつ特定のFcγRの発現を欠いたマウスを、産出した。このようなマウスをアッセイに使用して、抗CD19抗体の、FcγR発現を含む経路(例えば、ADCC)を介してB細胞枯渇させる能力を評価した。したがって、これらのアッセイにおいて同定された抗CD19抗体は、上で第5.1節において記載される技術を使用してキメラ抗CD19抗体、ヒト抗CD19抗体またはヒト化抗CD19抗体を設計するために使用され得る。次に、このような抗体は、ヒトにおけるB細胞の悪性疾患の処置のための本発明の組成物および方法に使用され得る。
【0398】
先天免疫系は、FcγR依存性の工程による抗CD20抗体処置後のB細胞の枯渇を媒介する。マウスエフェクター細胞は、IgGに関して4種の異なるFcγRクラス(高親和性のFcγRI(CD64)分子および低親和性のFcγRII(CD32)分子、FcγRIII(CD16)分子ならびにFcγRIV分子)を発現する。FcγRI、FcγRIIIおよびFcγRIVは、各リガンド結合α鎖が一般的なγ鎖(FcRγ)と結合するへテロオリゴマー複合体である。FcRγ鎖発現は、FcγRの構築ためおよびFcγRによるエフェクター機能の誘発のために必要とされ、このエフェクター機能としては、マクロファージによる貪食作用が挙げられる。FcRγ−/−マウスは、高親和性のFcγRI(CD64)分子および低親和性のFcγRIII(CD16)分子ならびにFcγRIV分子を欠くので、hCD19を発現するFcRγ−/−マウスを、抗CD19抗体処置後の組織B細胞の枯渇におけるFcγRの役割を評価するために使用した。図9Aは、抗CD19抗体またはアイソタイプ−コントロール抗体によるFcRγ+/−同腹子またはFcRγ−/−同腹子の処置後の7日間における、それぞれ、血液および脾臓のB細胞の枯渇を示す。数は、示されたゲート内のB220リンパ球の%を示す。図9Bは、0日目におけるFcRγ−/−同腹子の抗体処置後の7日間ににおける、血液および組織のB細胞の枯渇を示す。血液について、時間0の後に示される値は、1時間にて得られたデータを示す。棒グラフは、抗CD19抗体(黒塗りのバー)またはアイソタイプコントロール抗体(白抜きのバー)によるマウス(1群あたり≧3匹のマウス)の処置後における、平均のB220B細胞数(±SEM)を示す。抗CD19処置マウスまたはアイソタイプコントロール抗体処置マウスについての平均結果の間の有意差が、示される;p<0.05、**p<0.01。図9Aおよび9Bに与えられた結果は、抗CD19抗体処置後のB細胞の枯渇がFcRγ依存性であることを示す。IgG2a抗体によって処置したFcRγ−/−同腹子と比較した場合、FMC63抗体処置後のFcRγ−/−マウスにおける骨髄、血液、脾臓、リンパ節および腹膜腔のB細胞の数に、変化はなかった。対照的に、抗CD19抗体処置は、FcRγ+/−同腹子においてほとんどのB細胞を枯渇させた。したがって、抗CD19抗体処置は、主として、FcγRI発現およびFcγRIII発現を必要とする経路を介して血液B細胞および組織B細胞を枯渇させる。
【0399】
図9Cは、単球が枯渇したhCD19TG−1+/−マウスにおける代表的なB細胞数を示す。マウスを、クロドロネートリポソームによって−2日目、1日目および4日目において処置し、かつ250μgのFMC63 mAb(n=9)、アイソタイプコントロール mAb(n=6)、またはCD20 mAb(n=3)を0日目に与えた。PBS−リポソームによって処置したマウスおよびFMC63抗CD19抗体(n=3)によって処置したマウスは、コントロールとして機能した。抗体処置後の7日間において示された代表的な血液および脾臓のB細胞の枯渇を、示されたゲート内のリンパ球の%を用いて示した。
【0400】
図9Dは、(C)にあるような、抗体処置後の7日間における血液および組織のB細胞の枯渇を示す。棒グラフは、マウス(1群あたり≧3匹のマウス)の抗体処置後の平均のB220B細胞数(±SEM)を示す。血液について、値は、FMC63抗CD19抗体(黒塗りの三角)を伴うPBS処置マウスの循環するB細胞の数、またはコントロール抗体(白抜きの円)、CD20抗体(黒塗りの四角)、もしくはFMC63抗CD19抗体(黒塗りの円)によって処置した単球が枯渇したマウスの循環するB細胞の数を示す。アイソタイプコントロールmAb処置マウスおよび他の群についての平均結果の間の有意差が、示される;p<0.05、**p<0.01。
【0401】
図9に与えられた結果は、抗CD19抗体処置後のB細胞の枯渇がFcRγおよび単球に依存することを示す。リポソーム封入クロドロネートを用いた処置によってマクロファージ欠損にされたマウスは、FMC63抗体、抗CD20(MB20−11)抗体またはコントロール抗CD19抗体による処置後の1日間において、枯渇する 循環するB細胞を有意に枯渇しなかったが、FMC63抗体処置は、PBS充填(loaded)リポソームによって処置したマウスにおいて循環するB細胞を排除した(図9C〜9D)。4〜7日後、循環するB細胞数は、FMC63抗体処置および抗CD20抗体処置の両方によって有意に枯渇し、抗CD19抗体処置は、クロドロネート処置マウスにおけるB細胞数に対する、より劇的な効果を有した。同様に、抗CD19抗体処置および抗CD20抗体処置は、7日目に、コントロール抗体処置同腹子と比較して、クロドロネート処置マウスにおいて骨髄B220細胞数を55%減少させ、一方で抗CD19抗体処置は、PBS処置マウスにおいて骨髄B220細胞数を88%減少させた。抗CD19抗体処置は、7日目に、コントロール抗体処置同腹子と比較して、クロドロネート処置マウスにおいて脾臓B細胞数を52%減少させ、一方で抗CD20抗体は、B細胞を最小限まで枯渇させ、そして抗CD19抗体処置は、PBS処置マウスにおいて脾臓B細胞数を89%減少させた。抗CD19抗体処置および抗CD20抗体処置の両方は、7日目に、コントロール抗体処置同腹子と比較して、クロドロネート処置マウスにおいてリンパ節B細胞数を48〜53%減少させ、一方で抗CD19抗体処置は、PBS処置マウスにおいてリンパ節B細胞数を93%減少させた。血液、脾臓およびリンパ節において、抗CD19抗体処置は、PBS処置同腹子においてよりもクロドロネート処置マウスにおいて有意に有効ではなかった(p<0.01)。これらの発見は、マクロファージを、インビボにおけるCD19B細胞およびCD20B細胞の枯渇に対する主要なエフェクター細胞と見なし、そして抗CD19抗体治療が、単球の数または機能が減少する場合に抗CD20抗体治療よりも有効であり得ることを示す。
【0402】
(6.5.実施例4:抗CD19抗体誘導性のB細胞の枯渇は、長持ちする)
B細胞の枯渇の効力および持続期間を評価するために、hCD19TGマウスに、抗CD19抗体の単一であり低用量の250μg注射を施した。図10A〜10Cは、抗CD19抗体処置後のB細胞の枯渇の持続期間および用量反応を示す。図10Aは、0日目におけるFMC63抗体またはアイソタイプコントロール抗体によるTG−1+/−マウスの処置後の、血液B220B細胞およびThy−1 T細胞の数を示す。値は、各群における6匹のマウスからの平均(±SEM)結果を示す。この結果は、循環するB細胞が13週間にわたって枯渇し、血液由来のB細胞が次の13週間にわたって緩やかに回復したことを示す。Thy−1 T細胞の表示は、抗CD19処置の結果として、変化しなかった。
【0403】
図10B〜10Cは、図10Aで示されるマウスにおける、抗体処置後の11週目、16週目および30週目での代表的な組織B細胞の枯渇を示す。数は、示されたゲート内のB220リンパ球の%を示す。図10Bにおける結果は、骨髄、血液、脾臓、リンパ節および腹膜腔が、本質的に、抗体処置後の11週間においてB細胞を欠いたことを示す(サンプル平均の間の有意差が、示される;*p<0.05、**p<0.01)。循環するB細胞の最初の出現の後、循環するB細胞数は、さらに10週間を超える期間をかけて、正常範囲に達した。抗体処置後16週間で、血液、脾臓、LNおよびPLのB細胞数が、回復し始めた一方で、BMのB細胞成分は、図10Cに示される通り、未処置コントロールと有意に異ならなかった。30週間目で、全ての組織に、正常コントロールに匹敵するレベルでB細胞が再集合した。
【0404】
図10Dは、血液、骨髄および脾臓のB細胞の枯渇に対する抗CD19抗体の用量反応を示す。マウスを、0日目に抗CD19抗体によって処置し、組織B細胞の表示を、7日目に評価した。結果は、各抗体用量に対して各群における3匹のマウスを用いて得られたものを示す。コントロール抗体用量は、250μgである。サンプル平均の間の有意差が、示される;p<0.05、**p<0.01。2μg/マウスと同程度の低さの単一FMC63抗体用量が、かなりの数の循環するB細胞を枯渇させた一方で、10μgのHB 12b抗体が、循環するB細胞数を有意に減少させるために必要とされた(図10D)。骨髄および脾臓のB細胞の顕著な枯渇は、7日目で、10〜50μg/マウスからなる5倍高い抗体用量を必要とした。したがって、比較的低用量でのCD19抗体処置は、枯渇する大部分の循環するB細胞および組織B細胞を、かなりの時間の期間にわたって枯渇させ得る。
【0405】
(6.5.1.CD19は、抗CD19抗体の投与後にB細胞表面上に存続する)
CD19の内在化がインビボでのB細胞の枯渇に影響を及ぼしたか否かを、250μgのHB 12a抗体処置、HB 12b抗体処置およびFMC63抗体処置後の細胞表面のCD19発現を比較することによって評価した。
【0406】
図11A〜11Cは、インビボで250μgのHB12a抗体(図11A)、HB12b抗体(図11B)、FMC63抗体(図11C)またはアイソタイプが一致したコントロール抗体によって処置したTG−1+/−マウスにおける細胞表面のCD19発現およびB細胞クリアランスを示す。時間0(抗CD19投与の前)、ならびに抗体投与の1時間後、4時間後および24時間後において、脾臓B細胞を、回収し、そしてインビトロでアイソタイプ特異的二次抗体を用いて細胞を処理し、フローサイトメトリー分析を用いてCD19抗体結合(太い線)およびコントロール抗体結合(細い線)について評価した。単離したB細胞をまた、飽和濃度の各CD19抗体を用いてインビトロで処理し、さらに、アイソタイプ特異的二次抗体を用いてインビトロで処理し、フローサイトメトリー分析を用いて、細胞表面全体のCD19発現を可視化した。各時点は、1匹のマウスによる結果を示す。図11A〜11Cに与えられた結果は、細胞表面のCD19がインビボでの抗体結合後に細胞表面から排除されないことを実証し、かつ大部分の脾臓B細胞は抗体処置後24時間までにわたって高レベルの細胞表面hCD19を均一に発現したが、B細胞のサブセットは、FMC63抗体処置後の1時間にて減少したレベルのhCD19を発現したことを示す(図11C)。図11A〜11Cに示される結果はまた、B細胞の表面上のCD19の量が一定であることを実証し、これは、そのB細胞のADCCを媒介する性能が維持されることを示す。
【0407】
この結果は、CD19が、驚くべきことに、抗CD19抗体の投与後に予想されるよりも低いレベルの内在化を示したことを実証する。特に、この結果は、CD19が、予想外にも、抗CD19抗体の結合後に細胞表面上に存続し、したがって、B細胞が、ADCC活性に曝され易い(accessible)ままであることを実証する。これらの結果は、部分的に、本発明の抗CD19抗体および処置レジメンがB細胞の悪性疾患を処置するのに有効である理由を示す。図12A〜12Cは、B細胞の枯渇の程度、および抗hCD19抗体のhCD19を結合し、したがって他の抗hCD19抗体の結合を阻害する能力を記録する。図12Aにおける結果は、TG−1+/−マウスに対するFMC63(250μg)の単回投与が抗体投与の1時間以内に血液B細胞および脾臓B細胞の両方の有意な枯渇をもたらすことを示す。この実験において、血液細胞および脾臓細胞を、回収し、そして抗CD19抗体投与の前またはその後の種々の時間(1時間、4時間、または24時間)においてB細胞の頻度を評価した。血液サンプルを、抗Thy1.2および抗B220によって染色して、右下象限(lower right quadrant)においてB細胞を同定した。脾臓細胞を抗IgM抗体および抗B220抗体によって染色して、示されたゲート内のB細胞を同定した。各時点は、1匹のマウスによる結果を示す。予想外にも、血液B細胞は、脾臓B細胞よりも迅速に除去された。
【0408】
図12Aに記載されるB細胞の枯渇は、投与した抗体が投与の1時間以内にhCD19上の利用可能な抗体結合部位を迅速に飽和させたことを示唆した。この観察を裏付けるために、マウスを、FMC63(hCD19結合抗体)またはアイソタイプコントロール抗体のいずれかによって処置した。その後、種々の時間において、血液および脾臓のB細胞を、mCD19B細胞またはmCD20B細胞の表面上の占有されていない抗体結合部位を同定するために、蛍光色素結合体化B4抗体によって染色した。上部象限(upper quadrant)および右下象限内の細胞の頻度が、示される。各時点は、1匹のマウスから得た結果を示す。この結果は、FMC63処置が、この実験の過程にわたってhCD19を有する細胞の進行性の枯渇をもたらし、脾臓よりも迅速に枯渇する血液B細胞を伴うこと示す。各時点において残存するB細胞は、mCD19またはmCD20のそれらの発現によって定義され得るが、B4によって染色されず、これは、投与したFMC63がその残存するB細胞に結合されたことを示唆する。これらの発見は、FMC63の、インビボでB細胞を結合しそしてそれを枯渇させる能力をを裏付ける。さらに、FMC63は、これらの抗体がhCD19上の重複するエピトープを認識することを示唆するB4結合を妨げる。図12Cにおける結果は、HB 12b抗体処置(250μg)がまた投与の1時間以内にhCD19上の抗体結合部位を飽和させ、そしてhCD19陽性B細胞の枯渇をもたらすことを裏付ける。予想外にも、HB12b抗体は、B4抗体の結合を完全には阻害せず、これは、FMC63とは異なり、HB 12bが、B4によって認識されるエピトープとは異なるhCD19上のエピトープを認識することを示唆する。図12B〜12Cに示される結果は、ほとんどの抗CD19抗体がほとんどの他の抗CD19抗体の結合を阻害することを実証し、これは、ほとんどの抗CD19抗体が、類似するか、同一か、または重複するCD19タンパク質上の領域またはエピトープに結合することを示す。あるいは、これらの観察はまた、抗体分子の大きさと比較して比較的小さい大きさのCD19細胞外ドメインによってもたらされ得る。
【0409】
(6.6.実施例5:抗CD19抗体処置は、体液性免疫および自己免疫を廃絶する)
この実施例に記載されるアッセイは、抗CD19抗体が免疫応答を排除または減弱し得るか否かを決定するために使用され得る。これらのアッセイにおいて同定された抗CD19抗体は、上で第5.1節において記載される技術を使用してキメラ抗CD19抗体、ヒト抗CD19抗体またはヒト化抗CD19抗体を設計するために使用され得る。次に、このような抗体は、ヒトにおけるB細胞の悪性疾患の処置のための本発明の組成物および方法に使用され得る。
【0410】
血清抗体レベルに対する抗CD19抗体誘導性のB細胞の枯渇の効果は、hCD19TG+/−マウスに抗CD19抗体の単回注射を与えることによって評価した。図13Aは、CD19抗体処置がTG−1+/−マウスにおいて血清免疫グロブリンレベルを減少させることを示す。2月齢の同腹子を、250μgのFMC63抗体(黒塗りの円)またはコントロール抗体(白抜きの円)の単回注射によって、0日目に処置した。抗体レベルを、ELISAによって、≧5匹のマウスの各群について示される平均値(±SEM)を用いて決定した。CD19 mAb処置マウスまたはコントロールmAb処置マウスの間の差は、有意であった;p<0.05、**p<0.01。この結果は、1週間〜2週間後において、血清IgM抗体レベル、血清IgG2b抗体レベル、血清IgG3抗体レベルおよび血清IgA抗体レベルが有意に減少し、そして少なくとも10日間にわたって減少したままであることを示す(図13A)。IgG1抗体レベルおよびIgG2a血清レベルは、処置後の6週間および4週間にて正常を有意に下回った。
【0411】
hCD19TG+/−マウスは2月齢を経過した後に検出可能な自己抗体を産生する (Satoら、J.Immunol、157:4371(1996))ので、ssDNA、dsDNAおよびヒストンに対する血清自己抗体結合を評価した。図13Bは、抗CD19抗体処置が、抗CD19抗体処置後に自己抗体の抗dsDNA自己抗体レベル、抗ssDNA自己抗体レベルおよび抗ヒストン自己抗体レベルを減少させることを示す。この結果は、抗CD19抗体処置が2週間後に血清IgM自己抗体レベルを有意に減少させたことを示し、そしてアイソタイプスイッチIgG自己抗体の産生を10週間まで妨げたことを示す(図13B)。したがって、B細胞の枯渇は、実質的に急性の抗体応答および長期の抗体応答を減少させ、そして正常な免疫応答および病原性の免疫応答のクラススイッチを減弱した。
【0412】
T細胞非依存性の1型(TI−1)抗体応答および2型(TI−2)抗体応答に対するB細胞の枯渇の影響を、hCD19TG+/−マウスをTNP−LPSまたはDNP−Ficoll(0日目にて)免疫化し、抗CD19抗体(FMC63)またはコントロール抗体による処置後の7日間において評価した。有意なハプテン特異的なIgM抗体応答、IgG抗体応答およびIgA抗体応答は、いずれかの抗原(図14Aおよび14B)によって免疫化した抗CD19抗体処置マウスにおいて観察されなかった。T細胞依存性(TD)Ag(DNP−KLH)に対する抗体応答をまた、免疫化前の7日間において抗CD19抗体によって処置したマウスを使用して評価した(図14B)。図14Cは、抗CD19抗体によって処置したDNP−KLH免疫化マウスが減少した体液性免疫を示したことを示す。同腹子を、0日目における一次免疫化前の7日間において250μgのFMC63抗体(黒塗りの円)またはコントロール抗体(白抜きの円)によって処置し、血清を、示された日において得たDNP−KLH免疫化のために、全てのマウスを、21日目において100μgのDNP−KLHを用いてチャレンジした。全ての値は、各群の5匹のマウス由来の血清を使用して得た平均(±SEM)ELISA OD単位である。抗CD19抗体処置マウスまたはコントロール抗体処置マウスの間の差は、有意であった;p<0.05、**p<0.01。この結果は、コントロール抗体処置同腹子がDNP−KLH免疫化後の7日間において一次IgM抗体応答を生じ、そして21日目における抗原チャレンジ後に二次応答を生じたことを示す(図14C)。しかし、有意なハプテン特異的なIgM抗体応答、IgG抗体応答またはIgA抗体応答は、抗原によって免疫化または再チャレンジしたCD19 mAb処置マウスにおいて検出されなかった。二次抗体応答に対するB細胞の枯渇の効果を評価するために、マウスをまた、DNP−KLHによって免疫化し、そして14日後(矢印)に抗CD19抗体によって処置した(図14D)。21日目で、血清IgM抗DNP抗体応答、血清IgG抗DNP抗体応答および血清IgA 抗DNP抗体応答は、CD19 mAb処置マウスにおいて、コントロールmAbによって処置した免疫化マウスのレベルを下回るレベルまで減少した。しかし、DNP−KLHによるコントロールmAb処置マウスの21日目における再チャレンジは、有意な二次抗体応答を誘導するが、CD19mAb処置マウスは、抗DNP抗体を、DNP−KLH再チャレンジ後に産生しなかった。したがって、CD19 mAb誘導性のB細胞の枯渇は、実質的に、一次抗体応答および二次抗体応答の両方を減少させ、そして体液性免疫応答の間のクラススイッチを妨げた。
【0413】
(6.7.実施例6:抗CD20抗体処置と組み合わせた抗CD19抗体処置)
本明細書中に記載されるアッセイは、他の併用療法または組み合わせ療法(例えば、化学療法、毒素治療または放射線治療と組み合わせた抗CD19抗体)が有益な効果(例えば、相加効果またはそれ以上のB細胞のさらなる枯渇)を有するか否かを決定するために使用され得る。動物モデルにおいて試験した併用療法の結果は、当該分野において周知である手段によってヒトに関連付けられ得る。
【0414】
抗CD20抗体は、インビボでヒトおよびマウスのB細胞を枯渇させるのに有効である。したがって、抗CD19(FMC63)抗体および抗CD20(MB20−11)抗体による同時治療の利点を、これがB細胞の枯渇を増強するか否かを決定するために評価した。マウスを、最適以下の2μg用量の各抗体によって個別に処置したか、または1μgの両抗体のの組み合わせによって個別に処置したか、または組み合わせた2μg用量によって個別に処置した。図15は、0日目においてコントロール(250μg)、FMC63(CD19、2μg)、MB20−11(CD20、2μg)、FMC63+MB20−11(各1μg)、またはFMC63+MB20−11(各2μg)の抗体によって処置したTG−1+/−マウスの結果を示す。血液B細胞数を、時間0、1時間ならびに1日目、4日目および7日目において測定した。組織B細胞数を、7日目において決定した。値は、3匹のマウスからなる群からの平均(±SEM)を示す。図15に示される結果は、同時の抗CD19抗体処置および抗CD20抗体処置が有益であることを示す。1μgの両抗体の組み合わせによって処置したマウスにおけるB細胞の枯渇は、中間であるか、または2μgのそれぞれ個々の抗体によるマウスの処置後に観察された枯渇と同様であった(図15)。しかし、2μgの両抗体によるマウスの同時治療は、いずれかの抗体単独によって観察されたものよりも有意に大きいB細胞の枯渇をもたらした。したがって、組み合わせた抗CD19治療および抗CD20抗体治療は、B細胞の枯渇を増強する有益な効果を有した。これは、個々のB細胞の上の治療的に有効な抗体分子の蓄積によってもたらされるようである。
【0415】
(6.8.実施例7:皮下(S.C.)抗CD19抗体投与は、治療的に有効である)
本明細書中に記載されるアッセイは、抗CD19抗体の投与の皮下経路がB細胞を有効に枯渇させ得るか否かを決定するために使用され得る。動物モデルにおいて試験した異なる送達経路の効力の結果は、当該分野において周知である手段によってヒトに関連付けられ得る。i.v.に与えた抗CD19抗体は、循環するB細胞および組織B細胞を有効に枯渇させるので、s.c.またはi.p.に与えた抗CD19抗体がB細胞を等しい程度まで枯渇させるか否かを評価した。野生型マウスを、250μgにおいて皮下(s.c)、腹腔内(i.p.)またはi.v.いずれかでFMC63抗体によって処置した。値は、7日目における、フローサイトメトリーによって評価した場合の、平均(±SEM)の血液(1mLあたり)、骨髄、脾臓、リンパ節および腹膜腔のB220B細胞数を示す(n≧3)。コントロールと比較して、マウスの各群についての平均結果の間の有意差が、示される;p<0.05、**p<0.01。図16における結果は、CD19抗体の皮下(s.c)投与、腹腔内(i.p.)投与およびi.v.投与がインビボで循環するB細胞および組織B細胞を有効に枯渇させることを示す。大部分の循環するB細胞および組織B細胞は、250μg用量としてi.v.、i.p.、またはs.c.のいずれかに抗CD19抗体を与えたマウスにおいて枯渇した(図16)。予想外にも、抗CD19抗体をi.p.に与えることは、i.v.処置よりも有意に良好に腹膜B細胞を枯渇させなかった。したがって、抗CD19抗体は、≦64mgのs.c注射として与えた場合に、循環するB細胞および組織B細胞の両方を有効に枯渇させるために使用され得る。抗CD19抗体は、最低で10μg用量のi.v.まで有効である(図10D)ので、より低いs.c抗体用量でさえ、有効であるであろう。
【0416】
(6.9.実施例8:抗CD19抗体処置は、インビボで腫瘍増殖を廃絶する)
バーキットリンパ腫(ヒトにおけるB細胞の悪性疾患)は、異常なc−Mycの過剰発現をもたらすIg遺伝子プロモーター領域へのc−mycプロトオンコジーンの転座によって特徴付けられる。同様に、c−mycプロトオンコジーンがIg重鎖エンハンサーの制御下にあるEμ−cMycトランスジェニック(cMycTG)マウスは、攻撃的なB細胞由来のリンパ腫を早期(early age)に発症し、Eμ−cMycトランスジェニックマウスは、20週齢にて約90%の死亡率を有し、そして約12週間に生存の年齢中位数を有する(Harrisら、J.Exp.Med.167:353(1988)およびAdamsら、Nature 318:533(1985))。c−MycTGマウス由来の腫瘍は、特定の発達段階のB細胞に限定されないが、優勢にIg遺伝子再編成およびプレB細胞または未熟B細胞の表現型特徴を伴って存在する(Adamsら、Nature 318:533(1985))。CD19指向型免疫療法のインビボにおける効力を評価するために、hCD19TG−1+/+マウスとcMycTGマウスとを交雑させて、攻撃的なB細胞由来のリンパ腫を早期に発症するhCD19TG−1+/− cMycTG+/−マウスを産出した。1匹のマウスに由来する腫瘍細胞を、単離し、インビトロで拡大培養し、そして表現型として、hCD19およびマウス CD19 CD20 CD43 IgM IgD B220のリンパ芽球(c−mycTG+/−マウスにおいて発症するプレB/未熟B細胞腫瘍のうちの代表的なものである(Harrisら、J.Exp.Med.167:353(1988)およびAdamsら、Nature 318:533(1985)))であると特徴付けられる。hCD19TG−1+/− c−mycTGマウス由来の腫瘍細胞(10個)を、0日目に20匹のRag−/−マウスに対してi.v.に移植した。等しい数のランダムに選択したマウスを、1日目および7日目において250μgのFMC63抗体(塗潰した円)またはコントロール抗体(白抜きの円)によって処置した。図17Aは、6週間にわたってフローサイトメトリーによって定量した循環する腫瘍細胞の数(±SEM)を示し、そして図17Bは、7週間にわたる、生存したマウスの%を示す。各値は、それらのマウスを試験した各日における生存可能なマウスの%を示す。図17における結果は、抗CD19抗体処置がhCD19リンパ腫の増殖をインビボで妨げることを示す。20匹のRag−/−マウス中へのこれらの腫瘍細胞の移植は、コントロールmAbによって処置した10匹のランダムに選択したレシピエントにおいて2週間で、循環するマウスCD19リンパ芽球およびマウスB220リンパ芽球の出現をもたらし、これらのマウスは、3.5週間で死亡した。対照的に、腫瘍移植後に抗CD19抗体によって処置(1日目および7日目)するマウスは、10匹のレシピエントの全てにおいて循環する腫瘍細胞の出現を7週間までにわたって防いだ。1匹の抗CD19抗体処置マウスは、血液採取の間に死亡したが、決して循環する腫瘍細胞を示していたわけではなかった。したがって、抗CD19抗体処置は、B細胞系統の悪性疾患(特に、CD20を発現しないか、またはCD20を低いレベルで発現する腫瘍を伴う悪性疾患)を有する患者を処置するための有効な治療を提供し得る。
【0417】
本発明は、本明細書中に記載される特定の実施形態によって範囲が限定されるべきではない。実際に、本発明の種々の改変は、記載されるものに加えて、上述の説明および添付の図面から当業者に明らかとなる。このような改変は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
【0418】
種々の出版物が、本明細書中に引用され、それらの開示は、その全体が参考として援用される。
【0419】
本発明は、本明細書中に記載される特定の実施形態によって範囲が限定されるべきではない。実際に、本発明の種々の改変は、記載されるものに加えて、上述の説明および添付の図面から当業者に明らかとなる。このような改変は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
【0420】
種々の出版物が、本明細書中に引用され、それらの開示は、その全体が参考として援用される。
【0421】
【表3】
【0422】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【0423】
図1A図1A〜1Eは、hCD19TGマウス系統によるCD19発現を示す。図1Aは、hCD19TG(TG−1+/−)マウス由来のB細胞によるヒトCD19発現およびマウスCD19発現を示す。図1Bは、hCD19TGマウス由来のCD19血液B細胞によるヒトCD19発現およびマウスCD19発現の相対平均密度を示す。図1Cは、TG−1+/−マウス組織由来のCD19B細胞によるhCD19発現およびmCD19発現の相対密度を示す。図1Dは、TG−1+/−マウス由来のマウス血液およびマウス脾臓のB220B細胞に対するCD19抗体結合密度を示す。図1Eは、hCD19 cDNAトランスフェクト300.19細胞に結合する抗CD19抗体を示す。
図1B図1A〜1Eは、hCD19TGマウス系統によるCD19発現を示す。図1Aは、hCD19TG(TG−1+/−)マウス由来のB細胞によるヒトCD19発現およびマウスCD19発現を示す。図1Bは、hCD19TGマウス由来のCD19血液B細胞によるヒトCD19発現およびマウスCD19発現の相対平均密度を示す。図1Cは、TG−1+/−マウス組織由来のCD19B細胞によるhCD19発現およびmCD19発現の相対密度を示す。図1Dは、TG−1+/−マウス由来のマウス血液およびマウス脾臓のB220B細胞に対するCD19抗体結合密度を示す。図1Eは、hCD19 cDNAトランスフェクト300.19細胞に結合する抗CD19抗体を示す。
図1C図1A〜1Eは、hCD19TGマウス系統によるCD19発現を示す。図1Aは、hCD19TG(TG−1+/−)マウス由来のB細胞によるヒトCD19発現およびマウスCD19発現を示す。図1Bは、hCD19TGマウス由来のCD19血液B細胞によるヒトCD19発現およびマウスCD19発現の相対平均密度を示す。図1Cは、TG−1+/−マウス組織由来のCD19B細胞によるhCD19発現およびmCD19発現の相対密度を示す。図1Dは、TG−1+/−マウス由来のマウス血液およびマウス脾臓のB220B細胞に対するCD19抗体結合密度を示す。図1Eは、hCD19 cDNAトランスフェクト300.19細胞に結合する抗CD19抗体を示す。
図1D図1A〜1Eは、hCD19TGマウス系統によるCD19発現を示す。図1Aは、hCD19TG(TG−1+/−)マウス由来のB細胞によるヒトCD19発現およびマウスCD19発現を示す。図1Bは、hCD19TGマウス由来のCD19血液B細胞によるヒトCD19発現およびマウスCD19発現の相対平均密度を示す。図1Cは、TG−1+/−マウス組織由来のCD19B細胞によるhCD19発現およびmCD19発現の相対密度を示す。図1Dは、TG−1+/−マウス由来のマウス血液およびマウス脾臓のB220B細胞に対するCD19抗体結合密度を示す。図1Eは、hCD19 cDNAトランスフェクト300.19細胞に結合する抗CD19抗体を示す。
図2A図2A〜2Dは、hCD19TGマウスにおける血液、脾臓、およびリンパ節のB細胞の枯渇を示す。図2Aは、CD19またはアイソタイプが一致したコントロール(CTL)抗体によるTG−1+/−マウスの処置後の7日間における、血液、脾臓、およびリンパ節からの代表的なB細胞の枯渇を示す。図2Bは、抗CD19抗体による循環するB細胞の枯渇の時間経過を示す。図2Cおよび図2Dは、それぞれ、示された用量のCD19(黒塗りのバー)またはコントロール(白抜きのバー)抗体によるTG−1+/−マウスの処置後における、脾臓およびリンパ節のB細胞数(±SEM)を示す。
図2B図2A〜2Dは、hCD19TGマウスにおける血液、脾臓、およびリンパ節のB細胞の枯渇を示す。図2Aは、CD19またはアイソタイプが一致したコントロール(CTL)抗体によるTG−1+/−マウスの処置後の7日間における、血液、脾臓、およびリンパ節からの代表的なB細胞の枯渇を示す。図2Bは、抗CD19抗体による循環するB細胞の枯渇の時間経過を示す。図2Cおよび図2Dは、それぞれ、示された用量のCD19(黒塗りのバー)またはコントロール(白抜きのバー)抗体によるTG−1+/−マウスの処置後における、脾臓およびリンパ節のB細胞数(±SEM)を示す。
図2C図2A〜2Dは、hCD19TGマウスにおける血液、脾臓、およびリンパ節のB細胞の枯渇を示す。図2Aは、CD19またはアイソタイプが一致したコントロール(CTL)抗体によるTG−1+/−マウスの処置後の7日間における、血液、脾臓、およびリンパ節からの代表的なB細胞の枯渇を示す。図2Bは、抗CD19抗体による循環するB細胞の枯渇の時間経過を示す。図2Cおよび図2Dは、それぞれ、示された用量のCD19(黒塗りのバー)またはコントロール(白抜きのバー)抗体によるTG−1+/−マウスの処置後における、脾臓およびリンパ節のB細胞数(±SEM)を示す。
図2D図2A〜2Dは、hCD19TGマウスにおける血液、脾臓、およびリンパ節のB細胞の枯渇を示す。図2Aは、CD19またはアイソタイプが一致したコントロール(CTL)抗体によるTG−1+/−マウスの処置後の7日間における、血液、脾臓、およびリンパ節からの代表的なB細胞の枯渇を示す。図2Bは、抗CD19抗体による循環するB細胞の枯渇の時間経過を示す。図2Cおよび図2Dは、それぞれ、示された用量のCD19(黒塗りのバー)またはコントロール(白抜きのバー)抗体によるTG−1+/−マウスの処置後における、脾臓およびリンパ節のB細胞数(±SEM)を示す。
図3図3A〜3Fは、抗CD19抗体処置後の骨髄B細胞の枯渇を示す。図3Aは、それぞれ、フローサイトメトリー分析を用いた4色免疫蛍光染色によって評価された、TG−1+/−骨髄B細胞の下位集団による代表的なhCD19発現およびmCD19発現を示す。図3Bは、FMC63またはアイソタイプが一致したコントロール抗体(250μg)による処置後の7日間における、hCD19TGマウスの骨髄におけるhCD19細胞の枯渇を示し、この枯渇は、フローサイトメトリー分析を用いた2色免疫蛍光染色によって評価された。図3Cは、CD19またはアイソタイプが一致したコントロール抗体(250μg)によるTG−1+/−マウスの処置後の7日間における、骨髄中の代表的なB220B細胞の枯渇を示す。図3Dは、FMC63またはアイソタイプが一致したコントロール抗体(250μg)によるTG−1+/−マウスの処置後の7日間における、3色免疫蛍光によって評価された場合の代表的なB細胞サブセットの枯渇を示す。IgMB220loプロ/プレB細胞は、CD43発現に基づいてさらに細分された(下のパネル)。図3Eは、FMC63またはアイソタイプが一致したコントロール抗体(250μg)によるhCD19TGマウスの処置後の7日間における、2色免疫蛍光によって評価された場合のCD25B220loプレB細胞の代表的な枯渇を示す。図3Fは、3匹以上の同腹子の対のFMC63(黒塗りのバー)またはコントロール(白抜きのバー)抗体による処置後の7日間における、左右の大腿骨内のプロB細胞、プレB細胞、未熟B細胞、および成熟B細胞の数(±SEM)を示す棒グラフを示す。
図4A図4A〜4Cは、腹膜腔B細胞が抗CD19抗体処置に感受性であることを示す。図4Aは、腹膜腔のCD5B220 B1aB細胞およびCD5B220hi B2(従来通り)B細胞によるヒトCD19発現およびマウスCD19発現を示す。図4Bは、CD19(250μgのHB 12a、HB 12b、およびFMC63;50μgのB4およびHD237)抗体またはコントロール抗体(250μg)によって処置されたTG−1+/−マウスからの腹膜腔B220細胞の枯渇を示す。図4Cは、抗CD19抗体またはコントロール抗体によるhCD19TGマウスの処置後の7日間におけるCD5B220 B1a B細胞およびCD5B220hi B2 B細胞の代表的な枯渇を示す。
図4B図4A〜4Cは、腹膜腔B細胞が抗CD19抗体処置に感受性であることを示す。図4Aは、腹膜腔のCD5B220 B1aB細胞およびCD5B220hi B2(従来通り)B細胞によるヒトCD19発現およびマウスCD19発現を示す。図4Bは、CD19(250μgのHB 12a、HB 12b、およびFMC63;50μgのB4およびHD237)抗体またはコントロール抗体(250μg)によって処置されたTG−1+/−マウスからの腹膜腔B220細胞の枯渇を示す。図4Cは、抗CD19抗体またはコントロール抗体によるhCD19TGマウスの処置後の7日間におけるCD5B220 B1a B細胞およびCD5B220hi B2 B細胞の代表的な枯渇を示す。
図4C図4A〜4Cは、腹膜腔B細胞が抗CD19抗体処置に感受性であることを示す。図4Aは、腹膜腔のCD5B220 B1aB細胞およびCD5B220hi B2(従来通り)B細胞によるヒトCD19発現およびマウスCD19発現を示す。図4Bは、CD19(250μgのHB 12a、HB 12b、およびFMC63;50μgのB4およびHD237)抗体またはコントロール抗体(250μg)によって処置されたTG−1+/−マウスからの腹膜腔B220細胞の枯渇を示す。図4Cは、抗CD19抗体またはコントロール抗体によるhCD19TGマウスの処置後の7日間におけるCD5B220 B1a B細胞およびCD5B220hi B2 B細胞の代表的な枯渇を示す。
図5図5Aは、HB12a抗CD19抗体の重鎖V−D−J連結配列についてのヌクレオチド配列(配列番号1)および予想されるアミノ酸配列(配列番号2)を示す。図5Bは、HB12b抗CD19抗体の重鎖V−D−J連結配列についてのヌクレオチド配列(配列番号3)および予想されるアミノ酸配列(配列番号4)を示す。
図6図6Aは、HB12a抗CD19抗体の軽鎖配列についてのヌクレオチド配列(配列番号15)および予想されるアミノ酸配列(配列番号16)を示す。図6Bは、HB12b抗CD19抗体の軽鎖配列についてのヌクレオチド配列(配列番号17)および予想されるアミノ酸配列(配列番号18)を示す。
図7A図7A〜7Bは、公開されたマウス抗(ヒト)CD19抗体のアミノ酸配列アライメントを示す。図7Aは、コンセンサス配列(配列番号5)を含む重鎖V−D−J連結配列、HB12a(配列番号2)を含む重鎖V−D−J連結配列、4G7(配列番号6)を含む重鎖V−D−J連結配列、HB12b(配列番号4)を含む重鎖V−D−J連結配列、HD37(配列番号7)を含む重鎖V−D−J連結配列、B43(配列番号8)を含む重鎖V−D−J連結配列、およびFMC63(配列番号9)を含む重鎖V−D−J連結配列についての配列アライメントを示す。図7Bは、抗CD19抗体の軽鎖VKアミノ酸配列分析を示す。コンセンサス配列(配列番号10)、HB12a(配列番号16)、HB12b(配列番号18)、HD37(配列番号11)、B43(配列番号12)、FMC63(配列番号13)、および4G7(配列番号14)は、整列される。
図7B図7A〜7Bは、公開されたマウス抗(ヒト)CD19抗体のアミノ酸配列アライメントを示す。図7Aは、コンセンサス配列(配列番号5)を含む重鎖V−D−J連結配列、HB12a(配列番号2)を含む重鎖V−D−J連結配列、4G7(配列番号6)を含む重鎖V−D−J連結配列、HB12b(配列番号4)を含む重鎖V−D−J連結配列、HD37(配列番号7)を含む重鎖V−D−J連結配列、B43(配列番号8)を含む重鎖V−D−J連結配列、およびFMC63(配列番号9)を含む重鎖V−D−J連結配列についての配列アライメントを示す。図7Bは、抗CD19抗体の軽鎖VKアミノ酸配列分析を示す。コンセンサス配列(配列番号10)、HB12a(配列番号16)、HB12b(配列番号18)、HD37(配列番号11)、B43(配列番号12)、FMC63(配列番号13)、および4G7(配列番号14)は、整列される。
図8A図8A〜8Cは、CD19密度がインビボで抗CD19抗体によるB細胞の枯渇効率に影響を及ぼすことを示す。hCD19TGマウスにおける代表的な血液および脾臓のB細胞の枯渇は、HB12b(図8A)抗体またはFMC63(図8B)抗体による処置後(7日、250μg/マウス)に示される。図8Cは、TG−1+/−マウス由来の血液B220B細胞に対する相対的な抗CD19抗体結合密度および抗CD20抗体結合密度を示す。図8Dは、TG−1+/−マウス由来の脾臓B220B細胞に対する相対的な抗CD19抗体結合密度および抗CD20抗体結合密度を示す。
図8B図8A〜8Cは、CD19密度がインビボで抗CD19抗体によるB細胞の枯渇効率に影響を及ぼすことを示す。hCD19TGマウスにおける代表的な血液および脾臓のB細胞の枯渇は、HB12b(図8A)抗体またはFMC63(図8B)抗体による処置後(7日、250μg/マウス)に示される。図8Cは、TG−1+/−マウス由来の血液B220B細胞に対する相対的な抗CD19抗体結合密度および抗CD20抗体結合密度を示す。図8Dは、TG−1+/−マウス由来の脾臓B220B細胞に対する相対的な抗CD19抗体結合密度および抗CD20抗体結合密度を示す。
図8C図8A〜8Cは、CD19密度がインビボで抗CD19抗体によるB細胞の枯渇効率に影響を及ぼすことを示す。hCD19TGマウスにおける代表的な血液および脾臓のB細胞の枯渇は、HB12b(図8A)抗体またはFMC63(図8B)抗体による処置後(7日、250μg/マウス)に示される。図8Cは、TG−1+/−マウス由来の血液B220B細胞に対する相対的な抗CD19抗体結合密度および抗CD20抗体結合密度を示す。図8Dは、TG−1+/−マウス由来の脾臓B220B細胞に対する相対的な抗CD19抗体結合密度および抗CD20抗体結合密度を示す。
図8D図8A〜8Cは、CD19密度がインビボで抗CD19抗体によるB細胞の枯渇効率に影響を及ぼすことを示す。hCD19TGマウスにおける代表的な血液および脾臓のB細胞の枯渇は、HB12b(図8A)抗体またはFMC63(図8B)抗体による処置後(7日、250μg/マウス)に示される。図8Cは、TG−1+/−マウス由来の血液B220B細胞に対する相対的な抗CD19抗体結合密度および抗CD20抗体結合密度を示す。図8Dは、TG−1+/−マウス由来の脾臓B220B細胞に対する相対的な抗CD19抗体結合密度および抗CD20抗体結合密度を示す。
図9図9A〜9Dは、抗CD19抗体処置後のB細胞の枯渇がcRγ依存性および単球依存性であることを示す。図9Aは、CD19またはアイソタイプコントロール抗体によるhCD19 TG−1+/− FcRγ+/−同腹子またはhCD19 TG−1+/− FcRγ−/−同腹子の処置後の7日間における、代表的な血液および脾臓のB細胞の枯渇である。図9Bは、FcRγ−/−同腹子の抗体処置後の7日間の0日目における血液および組織のB細胞の枯渇である。図9Cは、単球が枯渇したhCD19 TG−1+/−マウスにおける代表的なB細胞数である。図9Dは、抗体処置後の7日間における、血液および組織のB細胞の枯渇である。
図10A図10A〜10Dは、抗CD19抗体処置後のB細胞の枯渇の持続期間および用量応答を示す。図10Aは、FMC63またはアイソタイプコントロール抗体によるTG−1+/−マウスの処置後の7日間の0日目における、血液のB220 B細胞およびThy−1 T細胞の数を示す。図10B〜Cは、抗体処置後の11週目、16週目、および30週目における、図10Aに示されるマウスの代表的な組織B細胞の枯渇を示す。図10Dは、血液、骨髄、および脾臓のB細胞の枯渇についての抗CD19抗体用量応答を示す。
図10B図10A〜10Dは、抗CD19抗体処置後のB細胞の枯渇の持続期間および用量応答を示す。図10Aは、FMC63またはアイソタイプコントロール抗体によるTG−1+/−マウスの処置後の7日間の0日目における、血液のB220 B細胞およびThy−1 T細胞の数を示す。図10B〜Cは、抗体処置後の11週目、16週目、および30週目における、図10Aに示されるマウスの代表的な組織B細胞の枯渇を示す。図10Dは、血液、骨髄、および脾臓のB細胞の枯渇についての抗CD19抗体用量応答を示す。
図10C図10A〜10Dは、抗CD19抗体処置後のB細胞の枯渇の持続期間および用量応答を示す。図10Aは、FMC63またはアイソタイプコントロール抗体によるTG−1+/−マウスの処置後の7日間の0日目における、血液のB220 B細胞およびThy−1 T細胞の数を示す。図10B〜Cは、抗体処置後の11週目、16週目、および30週目における、図10Aに示されるマウスの代表的な組織B細胞の枯渇を示す。図10Dは、血液、骨髄、および脾臓のB細胞の枯渇についての抗CD19抗体用量応答を示す。
図10D図10A〜10Dは、抗CD19抗体処置後のB細胞の枯渇の持続期間および用量応答を示す。図10Aは、FMC63またはアイソタイプコントロール抗体によるTG−1+/−マウスの処置後の7日間の0日目における、血液のB220 B細胞およびThy−1 T細胞の数を示す。図10B〜Cは、抗体処置後の11週目、16週目、および30週目における、図10Aに示されるマウスの代表的な組織B細胞の枯渇を示す。図10Dは、血液、骨髄、および脾臓のB細胞の枯渇についての抗CD19抗体用量応答を示す。
図11A図11A〜11Cは、CD19がインビボで抗体結合後に内在化されないことを示す。インビボにおける、HB12a(図11A)、HB12b(図11B)、FMC63(図11C)またはアイソタイプが一致したコントロール抗体(250μg)によって処置されたTG−1+/−マウスにおける細胞表面のCD19発現およびB細胞クリアランス。
図11B図11A〜11Cは、CD19がインビボで抗体結合後に内在化されないことを示す。インビボにおける、HB12a(図11A)、HB12b(図11B)、FMC63(図11C)またはアイソタイプが一致したコントロール抗体(250μg)によって処置されたTG−1+/−マウスにおける細胞表面のCD19発現およびB細胞クリアランス。
図11C図11A〜11Cは、CD19がインビボで抗体結合後に内在化されないことを示す。インビボにおける、HB12a(図11A)、HB12b(図11B)、FMC63(図11C)またはアイソタイプが一致したコントロール抗体(250μg)によって処置されたTG−1+/−マウスにおける細胞表面のCD19発現およびB細胞クリアランス。
図12図12A〜12Cは、インビボでの、抗CD19抗体結合後のCD19の飽和を示す。図12Aは、インビボにおける、FMC63またはアイソタイプが一致したコントロール抗体(250μg)によって処置したTG−1+/−マウスにおけるB細胞クリアランスを示す。図12Bは、FMC63抗体処置(250μg)が投与の1時間以内にhCD19上の抗体結合部位を飽和させることを示す。図12Cは、HB12b抗CD19抗体処置(250μg)が、図12Bにおいて評価されたように、投与の1時間以内にhCD19上の抗体結合部位を飽和させることを示す。
図13図13A〜13Bは、抗CD19抗体処置がTG−1+/−マウスにおける血清の免疫グロブリンレベルおよび自己抗体レベルを減少させることを示す。図13Aは、抗CD19抗体処置後の血清の免疫グロブリンレベルを示し、そして図13Bは、抗CD19抗体処置後の、抗dsDNA自己抗体レベル、抗ssDNA自己抗体レベルおよび抗ヒストン自己抗体レベルを示す。
図14図14A〜14Bは、抗CD19抗体処置がTG−1+/−マウスにおいて体液性免疫応答をブロックすることを示す。抗体処置マウスは、図14A TNP−LPS、図14B DNP−Ficollおよび図14C〜14D DNP−KLHによって免疫化された。同腹子は、0日目における一次免疫化前の7日間(A〜C)または0日目における一次免疫化後の14日間(D)のいずれかにおいて、FMC63(黒塗りの円)コントロール(白抜きの円)抗体(250μg)によって処置された。
図15図15は、抗CD19抗体および抗CD20抗体による同時の処置が相加的であることを示す。
図16図16は、抗CD19抗体の皮下(s.c)投与、腹腔内(i.p.)投与およびi.v.投与が、インビボにおいて、循環するB細胞および組織B細胞を有効に枯渇させることを示す。
図17図17A〜17B。抗CD19抗体処置は、インビボでhCD19リンパ腫の増殖を妨げ(図17A)、そして生存率を上昇させる(図17B)。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]
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