(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5651330
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】バンプクッション
(51)【国際特許分類】
F16F 9/58 20060101AFI20141218BHJP
F16F 9/08 20060101ALI20141218BHJP
F16F 1/36 20060101ALI20141218BHJP
B60G 7/04 20060101ALI20141218BHJP
B60G 15/12 20060101ALI20141218BHJP
【FI】
F16F9/32 E
F16F9/08 A
F16F1/36 Z
B60G7/04
B60G15/12
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2009-287321(P2009-287321)
(22)【出願日】2009年12月18日
(65)【公開番号】特開2011-127703(P2011-127703A)
(43)【公開日】2011年6月30日
【審査請求日】2012年6月21日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067367
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 泉
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】伊佐治 誠
(72)【発明者】
【氏名】久野 武志
(72)【発明者】
【氏名】石丸 健太
【審査官】
柳楽 隆昌
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−037200(JP,A)
【文献】
実開平05−066354(JP,U)
【文献】
特開2005−090697(JP,A)
【文献】
特開昭60−139935(JP,A)
【文献】
特開平09−250587(JP,A)
【文献】
特開2007−255588(JP,A)
【文献】
特開2006−248401(JP,A)
【文献】
特開2003−166586(JP,A)
【文献】
実開昭62−202543(JP,U)
【文献】
実開昭57−035534(JP,U)
【文献】
特開昭63−020206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F9/00−9/58
F16F1/00−6/00
B60G1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと、前記シリンダ内に挿通されるロッドと、前記ロッド周りに形成されるエア室と、前記シリンダと前記ロッドとの間に介装されるエアばねとを備えたエアばね付きダンパにおける前記ロッド端に装着され、前記シリンダ端に固定したバンプストッパと衝合して前記エアばね付きダンパの収縮を制限するバンプクッションにおいて、前記ロッド端に固定されるカップと、前記カップ内に挿入される筒状のクッションラバーとを備え、前記カップが、環状の底部と前記底部の外周から立ち上がる外筒とを備えたカップ本体と、前記カップ本体の前記外筒内に圧入固定されると共に内筒を備えた内筒部材とを有し、前記クッションラバーの基端部が前記外筒内に挿入され、前記クッションラバーの基端部内周に前記内筒を嵌合させてなることを特徴とするバンプクッション。
【請求項2】
前記内筒の先端側が先端に向かうほど拡径されていることを特徴とする請求項1に記載のバンプクッション。
【請求項3】
前記内筒の先端側のみが拡径されていることを特徴とする請求項1に記載のバンプクッション。
【請求項4】
前記カップにおける前記外筒で前記クッションラバーの基端部外周を保持することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のバンプクッション。
【請求項5】
前記クッションラバーの基端部外周に対向する前記外筒の部位に縮径部を設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のバンプクッション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアばね付きダンパの収縮を制限するバンプクッションに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両における車体と車軸との間に介装されるダンパにあっては、ダンパ自身の収縮を制限するとともに最収縮時における衝撃を緩和するため、バンプクッションをロッド端に装着している。具体的には、このバンプクッションは、ダンパのシリンダ端に固定したバンプストッパに衝合することによって、上記のダンパ自身の収縮を制限するとともに衝撃を緩和するようになっている。
【0003】
他方、近年、乗り心地の更なる向上や車高調整を目的として懸架ばねをエアばねとするエアサスペンション等が実用化されており、このようなエアサスペンション等では、ロッド周りにエア室を設けてダンパとエアばねとを一体化したエアばね付きダンパが広く採用されるに到っている。
【0004】
このようなエアばね付きダンパにあっては、エア室がロッド周りに設けられているので、ロッド端に固定したバンプクッションもエア室内に配置されることになる(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−37200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、エア室内に収容されるバンプクッションは、ロッド端に固定されるカップと、カップ内に圧入されて固定される筒状のクッションラバーとを備えて構成されている。より詳しくは、カップは、環状の底部と、底部の外周から立ち上がる外筒とを備えており、この外筒にクッションラバーの基端部外周を圧入することによって、カップとクッションラバーとの一体化が図られている。
【0007】
このようにクッションラバーを外筒内に圧入することで、エア室内の気体圧力によるクッションラバーの縮径で、カップからのクッションラバーの脱落を防止するとともに、クッションラバーがバンプストッパに衝合して圧縮された際に拡径してエア室を形成するエアピストンやエアチャンバに干渉してしまうことを防止するようにしている。
【0008】
しかしながら、上述のような配慮をしても、エア室内の圧力が高圧となると、クッションラバーの縮径変形が大きくカップから脱落する不安があり、また、前記脱落を確実に防止せんが為に圧入代を大きくすると、今度はカップにクッションラバーを圧入することが困難となるといった問題が新たに発生することになる。
【0009】
そこで、本発明は、上記した問題を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、クッションラバーのカップの脱落を確実に阻止しえるとともにクッションラバーをカップへ容易に組み付けることが可能なバンプクッションを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した目的を達成するため、本発明の課題解決手
段は、シリンダと、
前記シリンダ内に挿通されるロッドと、
前記ロッド周りに形成されるエア室と、
前記シリンダと
前記ロッドとの間に介装されるエアばねとを備えたエアばね付きダンパにおける
前記ロッド端に装着され、
前記シリンダ端に固定したバンプストッパと衝合して
前記エアばね付きダンパの収縮を制限するバンプクッションにおいて、
前記ロッド端に固定されるカップと、
前記カップ内に挿入される筒状のクッションラバーとを備え、
前記カップが、環状の底部と
前記底部の外周から立ち上がる外筒とを備えたカップ本体と、
前記カップ本体の
前記外筒内に圧入固定されると共に内筒を備えた内筒部材とを有し、
前記クッションラバーの基端部が
前記外筒内に挿入され、
前記クッションラバーの基端部内周に
前記内筒を嵌合させてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のバンプクッションによれば、エア室内の圧力がどのような状況となっても、カップからのクッションラバーの脱落を防止することができ、また、クッションラバーの圧入代を過大に設定してクッションラバーをカップ内に圧入する必要も無いので、クッションラバーのカップへの組付けも容易である。
また、カップをカップ本体と内筒部材とで構成しているので、エア室内の圧力が比較的低圧の場合、クッションラバーは、内筒部材に嵌合されていて、カップからの脱落が防止され、エア室内の気体圧力が高圧となって、クッションラバーが縮径変形されて基端部が外筒に保持された状態を維持できなくなるような事態が生じても、基端部の内周がカップにおける内筒部材の内筒を締め付ける緊迫力が大きくなるので、カップからクッションラバーが脱落することが無い。よって、クッションラバーの圧入代を過大に設定してクッションラバーをカップ内に圧入する必要も無いので、クッションラバーのカップへの組付けも容易である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施の形態におけるバンプクッションが適用されたエアばね付きダンパの縦断面図である。
【
図2】本発明の一実施の形態におけるバンプクッションの拡大断面図である。
【
図3】本発明の一実施の形態の一変形例におけるバンプクッションの拡大断面図である。
【
図4】本発明の他の実施の形態におけるバンプクッションの拡大断面図である。
【
図5】本発明の他の実施の形態の一変形例におけるバンプクッションの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図に示した一実施の形態に基づいて本発明について説明する。一実施の形態におけるバンプクッション1は、
図1に示すように、エアばね付きダンパDにおけるロッド6に装着されており、エアばね付きダンパDの収縮行程において、エアばね付きダンパDのシリンダ5の端部に設けたバンプストッパ7に衝合して、エアばね付きダンパDの収縮を制限するとともに最収縮時における衝撃を緩和する。
【0014】
他方、上記バンプクッション1が適用されるエアばね付きダンパDは、
図1に示すように、シリンダ5とシリンダ5内に挿通されるロッド6とを備えたダンパ本体4と、エアばねSとを備えて構成されている。また、エアばねSは、ダンパ本体4におけるシリンダ5に固定されるエアピストン8と、ダンパ本体4におけるロッド6に固定されるエアチャンバ9と、筒状であって一端がエアピストン8に固定されるとともに他端がエアチャンバ9に固定されるダイヤフラム10とを備えていて、これらでロッド周りにエア室Gを形成している。
【0015】
そして、エアばねSは、エア室G内に封入された気体の圧力によってダンパ本体4を伸長方向に附勢するエアばねとして機能し、ダンパ本体4の伸縮に伴うエア室Gの容積変化に応じた弾発力を発揮するようになっている。それゆえ、エアばね付きダンパ1が、たとえば、車体と車軸との間に介装される場合、エアばね付きダンパDにおけるエアばねSはダンパ本体Dに並列される懸架ばねとして機能することになる。
【0016】
このように構成されたエアばね付きダンパDは、上述のように、たとえば、車体と車軸との間に介装されて使用され、伸縮する際にダンパ本体4で減衰力を発揮するとともに、エアばねSで弾発力を発揮して、車体の振動を抑制する。
【0017】
バンプクッション1は、マウントMを介してロッド6に固定されるカップ2と、カップ2内に挿入される筒状のクッションラバー3とを備えて構成されていて、エアばねSにおけるエア室G内に収容されている。
【0018】
カップ2は、
図2に示すように、ロッド6の挿通を許容する環状の底部2aと、底部2aの外周から立ち上がりクッションラバー3の基端部3aが挿入される外筒2bと、底部2aの内周から立ち上がりクッションラバー3の基端部3aの内周に嵌合する内筒2cとを備えて構成されている。また、上記内筒2cの先端外周は、彎曲面2dを備えている。
【0019】
マウントMは、ロッド6の先端に固定されるロアマウント部材11と、ロアマウント部材11の外周を保持するとともにエアチャンバ8を外周に備えた筒状のマウントケース14と、防振ゴム13を備えてエアチャンバ8を回転自在に保持するアッパマウント部材12とで構成されている。
【0020】
そして、カップ2は、底部2aを溶接等によってマウントケース14に固定することによってマウントケース14に一体化されており、このようにして、カップ2がロッド6の先端となる
図1中上端に固定されるマウントMに介してロッド6に固定される。
【0021】
なお、マウントMのロアマウント部材11は、径の異なる一対の筒をこれらに融着、溶着や接着される防振のゴムで一体化したものであり、カップ2をロアマウント部材11に直接溶接することができないため、カップ2をマウントMに固定するためのマウントケース14を設けている。また、ロアマウント部材11は、ロッド6の先端に設けた小径部6aの外周に装着され、ロッド6の小径部6aの境に形成される段部との間にカラー15が介装されている。上記カラー15は、ロッド6の小径部6aと他部の外径との差が小さく、マウントMのロアマウント部材11との接触面積を充分に確保できない場合に、上記の如く、段部に積層することで上記接触面積を充分に確保するために設けられるものであって、マウントMに過剰な接触面圧を作用させないように、予めロッド6に固定されるものである。
【0022】
そのため、カップ2の底部2aの内径およびクッションラバー3の内径は、カラー15の外径よりも大径に設定されて、カップ2とクッションラバー3の組付けに支障が無いようになっている。なお、カラー15を用いずとも上記接触面積を確保できる場合、カラー15を省略してもよい。
【0023】
クッションラバー3は、
図2に示すように、筒状であって、外径が大径の基端部3aと、基端部3aよりも外径が小径な中間部3bと、中間部3よりも外径が小径な先端部3cと、基端部3aと中間部3bとの間に設けられた環状凹部3dと、中間部3bと先端部3cの間に設けられた環状凹部3eとを備えて構成されている。
【0024】
そして、クッションラバー3の基端部3aをカップ2の外筒2b内に挿入し、当該基端部3aの内周をカップ2の内筒2cの外周に嵌合させることで、クッションラバー3をカップ2に固定する。
【0025】
戻って、基端部3aの内周には、拡径部3fが設けられており、当該拡径部3fをカップ2の内筒2cの外周に嵌合させることができるようになっている。なお、カップ2の内筒2cの先端外周は、彎曲面2dを備えているので、クッションラバー3のカップ2内への嵌合の際に、拡径部3fを内筒2cの内周に傷つけることなくスムーズに案内することができる。このように拡径部3fを設けることで、クッションラバー3の拡径部3f以外の内周をロッド6の外周近傍に対向させて、クッションラバー3の体積を確保しつつ外径の大型化を回避することができる。さらに、クッションラバー3がバンプクッション7に衝合して圧縮された際のクッションラバー3の内周の縮径で、ロッド6の外周に当該内周を接触させることができ、クッションラバー3の座屈を防止することができる利点もある。
【0026】
バンプストッパ7は、環状であって、シリンダ5の
図1中上端に固定されてクッションラバー3の先端部3cに対向している。そして、エアばね付きダンパDが収縮して所定量ストロークすると、クッションラバー3は、バンプストッパ7に衝合して、押し縮みつつ、衝撃を緩和するとともにエアばね付きダンパDの収縮を制限する。
【0027】
このように構成されたバンプクッション1は、上述のようにエア室G内に収容されていて、常に、エア室G内の気体の圧力を受けている。そして、圧力が比較的低圧の場合、クッションラバー3は、基端部3aをカップ2の内筒2cに嵌合させてあるので、カップ2からの脱落が防止される。他方、エア室G内の気体圧力が高圧となって、クッションラバー3が縮径変形されても、基端部3aの内周がカップ2の内筒2cを締め付ける緊迫力が大きくなるので、カップ2からクッションラバー3が脱落することが無い。
【0028】
このように、クッションラバー3の脱落を防止することができるので、クッションラバー3の圧入代を過大に設定してカップ2内に圧入する必要も無い。
【0029】
上記したように、本実施の形態のバンプクッション1にあっては、エア室G内の圧力がどのような状況となっても、カップ2からのクッションラバー3の脱落を防止することができ、また、クッションラバー3の圧入代を過大に設定してクッションラバー3をカップ2内に圧入する必要も無いので、クッションラバー3のカップ2への組付けも容易である。
【0030】
さらに、この実施の形態の場合、カップ2の内筒2cの先端外周に彎曲面2dを備えているので、クッションラバー3のカップ2内への嵌合の際に、拡径部3fを内筒2cの内周に傷つけることなくスムーズに案内することができ、組付性をより一層向上することができる。
【0031】
なお、クッションラバー3の基端部3aの外径をカップ2の外筒2bの内径より大径に設定して、クッションラバー3の基端部3aをカップ2の外筒2b内に軽圧入することによって、クッションラバー3が外筒2bによっても保持されるようにしてもよい。
【0032】
このように、クッションラバー3の基端部3aを圧入代を持ってカップ2の外筒2b内に軽圧入する場合には、大気圧下で基端部3aが内筒2cに遊嵌されていてもよく、エア室G内の圧力によって、クッションラバー3が縮径変形されて基端部3aが外筒2bに保持された状態を維持できなくなるような事態となる場合に、基端部3aが内筒2cを締め付けてカップ2からクッションラバー3の脱落を阻止できるように設定するとしてもよい。
【0033】
また、クッションラバー3の基端部3aをカップ2の外筒2b内に嵌合や軽圧入する場合、外筒2bの先端を外周側に彎曲して拡開させておくことで、クッションラバー3の基端部3aをカップ2内へ傷つけることなくスムーズに案内することができる。また、外筒2bでクッションラバー3の基端部3aの外周を保持する場合、外筒2bの中間に縮径部を設けておいて、外筒2bでクッションラバー3の基端部3aをより堅固に保持できるようにしてもよく、外筒2bによるクッションラバー3の保持については、軽圧入以外の方法を採用することも可能であり、たとえば、クッションラバー3の基端部3aを抱持するなどして保持するとしてもよい。
【0034】
なお、
図3に示すように、内筒2cの先端側を拡径するようにしておけば、クッションラバー3の抜けをより一層防止することができる。内筒2cの先端側が拡径されていればよいので、図示したように、内筒2cが先端側へ向かうほど拡径するもののほか、先端側のみが拡径する形状を採用することも可能である。
【0035】
また、
図4に示した他の実施の形態のバンプクッションのように、カップ17をカップ本体18と内筒部材19で構成することもできる。このバンプクッション16は、上記した一実施の形態のバンプクッション1とカップ17における構成が異なるのみであり、その他の構成は上述したところと同様であるので、異なるカップ17についてのみ説明し、同様の部分についてはその詳しい説明を省略することとする。
【0036】
カップ17は、上述のようにカップ本体18と内筒部材19を備えている。カップ本体18は、ロッド6の挿通を許容する環状の底部18aと、底部18aの外周から立ち上がる外筒18bとを備えて構成されている。他方、内筒部材19は、環状であってクッションラバー3の
図3中上端が着座する座部19aと、座部19aの内周から立ち上がる内筒19bとを備えて構成されていて、座部19aの外周をカップ本体18の外筒18bの内周に圧入して、両者が一体化されている。
【0037】
なお、カップ本体18と内筒部材19は、エア室G内の圧力を受けても変形が小さい材料から作られていればよいが、カップ本体18は、マウントケース14に溶接されることが前提であれば金属とされ、内筒部材19は、金属のほか、硬質樹脂などを用いることができる。
【0038】
そして、クッションラバー3の拡径部3fを内筒部材19の内筒19bに嵌合して、クッションラバー3をカップ17に固定する。
【0039】
このようにカップ17をカップ本体18と内筒部材19とで構成するようにしても、エア室G内の圧力が比較的低圧の場合、クッションラバー3は、内筒部材19に嵌合されていて、カップ17からの脱落が防止され、エア室G内の気体圧力が高圧となって、クッションラバー3が縮径変形されて基端部3aが外筒18bに保持された状態を維持できなくなるような事態が生じても、基端部3aの内周がカップ17における内筒部材19の内筒19bを締め付ける緊迫力が大きくなるので、カップ17からクッションラバー3が脱落することが無い。
【0040】
このように、クッションラバー3をカップ本体18の外筒18bの内周に圧入せずとも、カップ17からのクッションラバー3の脱落を防止することができる。
【0041】
よって、本実施の形態のバンプクッション16によれば、エア室G内の圧力がどのような状況となっても、カップ17からのクッションラバー3の脱落を防止することができ、また、クッションラバー3の圧入代を過大に設定してクッションラバー3をカップ17内に圧入する必要も無いので、クッションラバー3のカップ17への組付けも容易である。
【0042】
なお、
図5に示すように、内筒部材19における内筒19bの先端側を拡径するようにしておけば、クッションラバー3の抜けをより一層防止することができる。内筒19bの先端側が拡径されていればよいので、図示したように、内筒19bが先端側へ向かうほど拡径するもののほか、先端側のみが拡径する形状を採用することも可能である。
【0043】
また、この実施の形態にあっては、クッションラバー3の基端部3aの外周を外筒18bの内周に軽圧入することで、外筒18bでクッションラバー3の基端部3aを保持するようにしてもよい。
【0044】
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、たとえば、車両等といった制振対象の振動を抑制するエアばね付きダンパのバンプクッションに利用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1,16 バンプクッション
2,17 カップ
2a カップにおける底部
2b カップにおける外筒
2c カップにおける内筒
2d カップにおける彎曲面
3 クッションラバー
3a クッションラバーにおける基端部
3b クッションラバーにおける中間部
3c クッションラバーにおける先端部
3d,3e クッションラバーにおける環状凹部
3f クッションラバーにおける拡径部
4 ダンパ本体
5 シリンダ
6 ロッド
6a ロッドにおける小径部
7 バンプストッパ
8 エアピストン
9 エアチャンバ
10 ダイヤフラム
11 ロアマウント部材
12 アッパマウント部材
13 防振ゴム
14 マウントケース
15 カラー
18 カップ本体
18a カップ本体における底部
18b カップ本体における内筒
19 内筒部材
19a 内筒部材における座部
19b 内筒部材における内筒
D エアばね付きダンパ
G エア室
M マウント
S エアばね