特許第5651401号(P5651401)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5651401
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】ペット用吸収性シート
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/015 20060101AFI20141218BHJP
【FI】
   A01K1/015 A
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-171870(P2010-171870)
(22)【出願日】2010年7月30日
(65)【公開番号】特開2012-29624(P2012-29624A)
(43)【公開日】2012年2月16日
【審査請求日】2013年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104927
【弁理士】
【氏名又は名称】和泉 久志
(72)【発明者】
【氏名】田畑 憲一
(72)【発明者】
【氏名】山本 正
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雅也
(72)【発明者】
【氏名】奥岡 拓也
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−254345(JP,A)
【文献】 特開2005−198597(JP,A)
【文献】 特開2005−58167(JP,A)
【文献】 特開平10−313894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の開孔が形成された樹脂フィルムよりなる透液性トップシートと不透液性のバックシートとの間に吸収体が介在されたペット用吸収性シートにおいて、
前記開孔は、周縁に沿って前記吸収体側に突出する突出縁部が形成されるとともに、前記突出縁部先端の頂点と、この頂点と開孔中心点とを通る横断面において前記頂点から対面側の突出縁部の基端側に向けて引いた直線の接点との2点間について、これら2点間の平面距離をA、垂直距離をBとしたとき、平面距離Aに対する垂直距離Bの比率B/Aが0.25<B/A<1.30の範囲内で形成されていることを特徴とするペット用吸収性シート。
【請求項2】
前記吸収体は、地色が白色である請求項1記載のペット用吸収性シート。
【請求項3】
前記透液性トップシートの開孔率は、30〜50%である請求項1、2いずれかに記載のペット用吸収性シート。
【請求項4】
前記透液性トップシートに形成される開孔の1個当たりの面積は、0.80〜1.60mmである請求項1〜3いずれかに記載のペット用吸収性シート。
【請求項5】
前記透液性トップシートより下層の部材には、pHを検知して変色する指示薬を含有するインキによってデザインが施されている請求項1〜4いずれかに記載のペット用吸収性シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレシート、ペットシーツなど、犬などのペットの排泄処理用品として使用されるペット用吸収性シートに係り、詳しくは離れた位置からは吸収された排泄物を視認しにくくする一方で、シートに近づくことで排泄物のチェックができるようにしたペット用吸収性シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、犬などのペットの排泄処理用品として、ポリエチレンシートなどの不透液性バックシートと、不織布などの透液性トップシートとの間に綿状パルプなどからなる吸収体を介在したペット用吸収性シートが知られている。
【0003】
近年の居住空間の狭小化やペットを家族同然に扱う意識の変化などを背景として、一般的な家庭では、前記ペット用吸収性シートを、廊下や洗面所など常時人目に付きにくい場所に限らず、リビングなど人目に付きやすい居室内に設置するケースが多くなっている。この場合、前記ペット用吸収性シートは居室の隅域に設置することが多い。
【0004】
また、前記ペット用吸収性シートは、単に排泄処理を目的とした使用だけでなく、シートに排泄された尿の色などをチェックすることにより日々のペットの健康管理を目的としても使用されている。ところが、前述のようにペット用吸収性シートを居室内に設置した場合には、シートに吸収された排泄物の跡が目に留まることにより不快感を抱いている飼育者が多い。
【0005】
このような不快感を軽減するため、下記特許文献1には、表面シートが上層と下層の2層からなり、上層が白色で、複数の開孔を有し、下層が所定の色相に着色されているペット用排泄物吸収性物品が開示されている。詳細には、表面シートの下層を所定のマンセル色相とすることで、ペットの尿跡を隠蔽することが可能となり、更に、その上層に複数の開孔を有するシートを用い、所定の開孔率又は開孔密度とすることにより尿の吸収を妨げることなく、尿跡の隠蔽性が良好となる、という効果が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−254345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1記載のペット用排泄物吸収性物品では、白色で複数の開孔を有する上層によって尿跡の隠蔽性を良好にするというものであるため、居室の遠くから見た場合のみならず、近くから見た場合でも上層によって尿跡の視認性が遮られ、尿の色のチェックなどがしにくくなり、適切な健康管理を行うことができないという問題があった。
【0008】
また、上記特許文献1記載の表面シートでは、前記下層が所定の色相に着色されているため、尿本来の色をチェックすることができず、微妙な尿の色の変化による日常の健康管理が十分に行われないという問題があった。
【0009】
そこで本発明の主たる課題は、離れた位置からは吸収された排泄物を視認しにくくする一方で、シートに近づくことで排泄物のチェックができるようにしたペット用吸収性シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、多数の開孔が形成された樹脂フィルムよりなる透液性トップシートと不透液性のバックシートとの間に吸収体が介在されたペット用吸収性シートにおいて、
前記開孔は、周縁に沿って前記吸収体側に突出する突出縁部が形成されるとともに、前記突出縁部先端の頂点と、この頂点と開孔中心点とを通る横断面において前記頂点から対面側の突出縁部の基端側に向けて引いた直線の接点との2点間について、これら2点間の平面距離をA、垂直距離をBとしたとき、平面距離Aに対する垂直距離Bの比率B/Aが0.25<B/A<1.30の範囲内で形成されていることを特徴とするペット用吸収性シートが提供される。
【0011】
上記請求項1記載の発明は、透液性トップシートに形成された開孔の高さや幅に基づく開孔の構造的特性を規定することによって、居室内の離れた位置で斜め上方から見下ろしたときに開孔の構造上、下層部材(吸収体)に吸収された排泄物が視認しにくくなるようにしたものである。その一方で、シートに近づき、シート上方から見たときには前記開孔から吸収体に吸収された排泄物の色などのチェックができるようになっている。
【0012】
具体的な前記開孔の構造的特性としては、開孔の周縁に沿って吸収体側に突出する突出縁部が形成されるとともに、前記突出縁部先端の頂点と、この頂点と開孔中心点とを通る横断面において前記頂点から対面側の突出縁部の基端側に向けて引いた直線の接点との2点間について、これら2点間の平面距離をA、垂直距離をBとしたとき、平面距離Aに対する垂直距離Bの比率B/Aが0.25<B/A<1.30の範囲内で形成されるようにしている。上記数値範囲は、後段で詳述するように、居室の壁際にペット用吸収性シートを設置した場合において、人の位置及び姿勢(座位又は立位)を考慮して、透液性トップシートの開孔から下層部材の表面が視認不可能となるように設定されたものである。
【0013】
請求項2に係る本発明として、前記吸収体は、地色が白色である請求項1記載のペット用吸収性シートが提供される。
【0014】
上記請求項2記載の発明では、吸収体に着色を施さず地色を白色のままとすることにより、吸収体に吸収された尿の色が吸収体などの着色によって隠蔽されることなくチェックすることが可能となり、ペットの適切な健康管理が可能となる。
【0015】
請求項3に係る本発明として、前記透液性トップシートの開孔率は、30〜50%である請求項1、2いずれかに記載のペット用吸収性シートが提供される。
【0016】
上記請求項3記載の発明では、吸収性能の低下を防止するため開孔率を30%以上とし、またペットがシート上に乗った際に破れや伸びが生じない程度の強度を確保するため開孔率を50%以下としたものである。
【0017】
請求項4に係る本発明として、前記透液性トップシートに形成される開孔の1個当たりの面積は、0.80〜1.60mmである請求項1〜3いずれかに記載のペット用吸収性シートが提供される。
【0018】
上記請求項4記載の発明では、開孔による隠蔽性を確保するとともに、吸収性能の低下や逆戻りを防止するため、開孔1個あたりの面積を所定の面積で形成するようにしている。
【0019】
請求項5に係る本発明として、前記透液性トップシートより下層の部材には、pHを検知して変色する指示薬を含有するインキによってデザインが施されている請求項1〜4いずれかに記載のペット用吸収性シートが提供される。
【0020】
上記請求項5記載の発明では、前記透液性トップシートより下層の部材にpHを検知して変色する指示薬を含有するインキによってデザインを施すことにより、シートに近づいて見たときに、尿自体の色のチェックと同時に尿のpHをチェックでき、ペットの健康管理がより一層確実に行えるようになる。なお、透液性トップシートより下層の部材とは、吸収体やこの吸収体を覆うクレープ紙又は別途デザインを施すためのデザインシートのことである。
【発明の効果】
【0021】
以上詳説のとおり本発明によれば、離れた位置からは吸収された排泄物を視認しにくくする一方で、シートに近づくことで排泄物のチェックができるようにしたペット用吸収性シートが提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係るトイレシート1の一部破断平面図である。
図2】トイレシート1の断面図である。
図3】透液性トップシート3の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0024】
ペット用吸収性シート1(以下、トイレシートという。)は、図1及び図2に示されるように、ポリエチレンシートなどからなる不透液性バックシート2と、尿などを速やかに透過させる透液性トップシート3と、これら両シート2、3間に介装された綿状パルプなどからなる吸収体4とから主に構成され、前記吸収体4の周囲の外周フラップ部において前記不透液性バックシート2と透液性トップシート3とがホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接合手段によって接合され、平面視で略方形状に形成されている。図示例のように、前記吸収体4の形状保持および拡散性向上のため前記吸収体4の上面および下面を覆うクレープ紙5、5を配設することが好ましい。
【0025】
以下、さらに前記トイレシート1の構造について詳述すると、
前記不透液性バックシート2は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、この他に防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した上で不織布シート(この場合には、防水フィルムと不織布とで不透液性バックシートを構成する。)などを用いることができる。
【0026】
前記透液性トップシート3としては、メッシュシートが用いられる。このメッシュシートとしては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系の熱可塑性樹脂フィルムが好適に使用されるが、ポリエステル、ナイロンなどのポリアミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)なども使用することができる。
【0027】
前記メッシュシートには、体液透過性を付与するために、多数の体液透過用開孔6、6…が形成されている。前記開孔6…を形成するには、周面に多数の突出ピンが設けられたピンエンボスロールとアンビルロールとを対向配置し、これらロール間に前記プラスチックフィルムを通過させる方法、前記プラスチックフィルムを軟化温度付近に軟化させて、多数の開孔を有する支持体の上面に位置させた状態で、支持体の下方から吸引したり、支持体の上面から空気圧で加圧したりする方法などを挙げることができるが、適宜の方法によって形成することができる。かかる方法により形成した開孔6には、該開孔6の周縁に沿って一方面側に突出する突出縁部7が形成されるようになる。前記透液性トップシート3は、前記突出縁部7が突出する一方面を前記吸収体4側、他方面を表面側に向けて配置される。
【0028】
この開孔6の1個当たりの面積は、0.80〜1.60mmが好ましく、1.00〜1.40mmがより好ましい。0.80mm未満では、開孔が小さいために吸収性能に劣り、1.60mmより大きいと逆戻りが多くなり、また開孔による隠蔽性が損なわれるようになる。前記開孔の開孔率は、20〜50%が好ましく、35〜45%がより好ましい。前記開孔率が20%より低いと吸収性能の低下を招くおそれがあり、50%より高いと透液性トップシート3の強度が弱くなり、ペットが乗った際に破れや伸びが発生する可能性が高くなる。
【0029】
前記開孔6の平面形状は、円孔とするのが望ましいが、これ以外に楕円形、四角形等の多角形状等、任意の形状とすることができる。
【0030】
前記透液性トップシート3の目付は、15〜30g/mが好ましい。15g/mより小さい場合、ペットが乗ったとき、又は加工時などに破れが発生する可能性がある。30g/mより大きい場合、透液性トップシート3自体の厚みが厚くなるため、開孔6の深さが深くなり、吸収性能が低下するおそれがある。
【0031】
また、前記透液性トップシート3は、白色など不透明化度の高いプラスチックフィルムを使用するのが好ましい。前記透液性トップシート3は白色が好ましいが、犬などのペットが識別可能な青色、黄色、黒色などに着色することもできる。
【0032】
前記吸収体4としては、尿等の排泄物を吸収・保持し得るものであれば良く、たとえばパルプ中に高吸水性樹脂を混入したもの、或いはパルプ中に化学繊維を混入させるとともに、高吸水性樹脂を混入したものが使用される。前記パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が吸収機能および価格の面で好適に使用される。前記吸収体4の目付けは、50〜240g/m、特に160〜200g/mのものが望ましい。
【0033】
前記高吸水性樹脂としては、たとえばポリアクリル酸塩架橋物、自己架橋したポリアクリル酸塩、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体架橋物のケン化物、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体架橋物、ポリスルホン酸塩架橋物や、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミドなどの水膨潤性ポリマーを部分架橋したもの等が挙げられる。これらの内、吸水量、吸水速度に優れるアクリル酸またはアクリル酸塩系のものが好適である。前記吸水性能を有する高吸水性樹脂は製造プロセスにおいて、架橋密度および架橋密度勾配を調整することにより吸水力と吸水速度の調整が可能である。前記高吸水性樹脂の含有率は10〜50重量%とするのが望ましい。高吸水性樹脂含有率が10重量%未満の場合には、十分な吸収能を与えることができず、50重量%を超える場合にはパルプ繊維間の絡み合いが無くなり、シート強度が低下し破れや割れ等が発生し易くなる。
【0034】
前記クレープ紙5としては、通常のクレープ紙の他に、薄葉紙、ティッシュペーパ、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸水性樹脂粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。前記クレープ紙5は、図2に示される例では吸収体4の表面側及び裏面側にそれぞれ配設されているが、1枚のシートで吸収体4を囲繞するように配設することもできる。クレープ紙5の目付けは、5〜40g/m、特に10〜30g/mのものが望ましい。また、吸収体4の上層側と下層側とで異なる目付のものを使用することもできる。この場合、下層側の方が低い目付のものを使用するのが好ましい。
【0035】
上記トイレシート1を構成する各部材には、尿などの臭いを軽減するために、消臭剤及び/又は芳香剤を配合(内添又は外添)するようにしてもよい。
【0036】
本発明に係るトイレシート1では、前記開孔6の高さや幅に基づく開孔の構造的特性を規定することによって、居室内の離れた位置で斜め上方から見下ろしたときに、開孔6の構造上、下層の吸収体4及びクレープ紙5に吸収された排泄物を視認しにくくしている。その一方で、シートに近づき、シートの上方から見たときには前記開孔6、6…から吸収体4及びクレープ紙5に吸収された排泄物の色などのチェックができるようにしている。
【0037】
具体的な開孔6の構造的特性について、図3に基づいて説明する。先ず、前記開孔6周縁の突出縁部7の先端に任意の頂点P1をとる。そして、この頂点P1と開孔中心点とを通る横断面において前記頂点P1から対面側の突出縁部の基端側に向けて引いた直線Lの接点をP2とする。これら頂点P1と接点P2を結ぶ直線Lは、離れた位置からトイレシート1を見たときに、開孔6から下層部材(吸収体4(クレープ紙5))の上面が見えなくなる上限の境界線である。即ち、トイレシート1に対して床面とこの直線Lの成す角θより上側に人の目がある場合、当該開孔6を通じて下層の吸収体4及びクレープ紙5の一部が見え、目線が直線Lの成す角θ以下である場合、透液性トップシート3に遮られて下層の吸収体4及びクレープ紙5が見えなくなる関係にある。
【0038】
従って、前記開孔6は、前記頂点P1と接点P2との2点間について、これら2点間の平面距離をA、垂直距離をBとしたとき、平面距離Aに対する垂直距離Bの比率B/A(正接:tanθ)が0.25<B/A<1.30、好ましくは0.25<B/A<0.65の範囲内で形成するようにする。この数値範囲は、次のような居室に対する人の位置及び姿勢を考慮して定められたものである。先ずトイレシート1を設置する居室の広さとして、トイレシート1を壁際に設置可能な広さを有するとともに、壁際に設置したときに吸収された排泄物の跡が気になる程度の広さとして適当な6畳間の居室を想定した。この6畳間の長辺の壁同士の距離はおよそ2.73mで、室中央から長辺の壁までの距離は1.365mである。そして、この居室の長辺の壁際にトイレシート1を設置したとき、室中央部又は対面する長辺の壁際において立位又は座位の姿勢にある人の内眼角点の位置が前記直線Lより下側にあることを条件に、最小値及び最大値を求めたものである。前記比率B/Aの最小値0.25は、対面する壁際に座位の場合を想定したもので、座位の床面から内眼角点までの高さの最小値673mmと長辺の壁間距離2.73mとの比率673/2730=0.25から算出される。前記比率B/Aの最大値1.30は、室中央部に立位の場合を想定したもので、立位の床面から内眼角点までの高さの最大値1777mmと室中央から長辺の壁までの距離1.365mとの比率1777/1360=1.30から算出される。また、前記比率B/Aが0.65のときは、室中央部に座位の場合を想定したもので、座位の床面から内眼角点までの高さの最大値886mmと室中央から長辺の壁までの距離1.365mとの比率886/1360=0.65から算出される。なお、前記B/Aは大きな値にするほど隠蔽性に優れるようになるが、1.30以上では開孔6の深さが深くなりすぎることで、トイレシート1上にペットが乗った際に、孔の側壁が潰れ、孔が塞がれてしまうため、液透過性が低下するおそれがあるので好ましくない。
【0039】
ところで、本トイレシート1では、前記吸収体4は、着色を施さず白色のままとすることが好ましい。クレープ紙5が配置される場合には、このクレープ紙5も同様に白色にする。これにより、吸収体に吸収された尿の色が吸収体などの着色によって変色することなくチェックすることができ、ペットの適切な健康管理が可能となる。
【0040】
〔他の形態例〕
(1)前記開孔6は、円形以外に楕円形や、長方形等の多角形とすることもできるが、楕円形や多角形の開孔6とした場合、開孔の長軸や長辺の方向をトイレシート1の長手方向とすることが好ましい。トイレシート1の長辺を壁際に沿って配置されるケースが多いことから、トイレシート1の長辺から所定距離だけ離れた位置で斜め上方から見下げたときに隠蔽性に優れる一方で、シートに近づいてシート上方から見たときには開孔6が幅広に形成されているので排泄物の色のチェックがし易くなるためである。
(2)上記形態例では、透液性トップシート3として、白色の他、犬などのペットが識別可能な青色、黄色、黒色などに着色することを挙げたが、これらの色に限らない。例えば、不透明な有彩色であれば、トップシート3を透かして排泄物が見えなくなるため、隠蔽性をさらに向上させることが可能である。なお、この場合の有彩色はペットが識別不能な色であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…トイレシート、2…不透液性バックシート、3…透液性トップシート、4…吸収体、5…クレープ紙、6…開孔、7…突出縁部
図1
図2
図3