【文献】
Toshihiro YAMANARI, Kohjiro HARA, Tetsuya TAIMA, Jun SAKAI and Kazuhiro SAITO,DYE-SENTISIZED BULK HETEROJUNCTION POLYMER SOLAR CELLS,Conference Record of the 2006 IEEE 4th World Conference on Photovoltaic Energy Conversion,2006年,Volume 1,Pages 240-243
【文献】
Jianhui HOU, Hsiang-Yu CHEN, Shaoqing ZHANG, Gang LI,and Yang YANG,Synthesis, Characterization, and Photovoltaic Properties of a Low Band GapPolymer Based on Silole-Containing Polythiophenes and2,1,3-Benzothiadiazole,JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,2008年12月 3日,Volume 130, Issue 48,Pages 16144-16145
【文献】
Zhengguo ZHU, David WALLER, Russell GAUDIANA, Mauro MORANA,David MUHLBACHER, Markus SCHARBER, and Christoph BRABEC,Panchromatic Conjugated Polymers Containing Alternating Donor/Acceptor Units for Photovoltaic Applications,Macromolecules,2007年 3月20日,Volume 40, Issue 6,Pages 1981-1986
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1のポリマーが、第1および第2のコモノマー繰り返し単位とは異なる第3のコモノマー繰り返し単位をさらに含み、第3のコモノマー繰り返し単位が、シラシクロペンタジチオフェン部位またはシクロペンタジチオフェン部位を含む、請求項1に記載の物品。
第1のポリマー、第2のポリマーおよび前記電子受容材料がそれぞれ、第1のHOMOレベル、第2のHOMOレベルおよび第3のHOMOレベルを有し、第1のHOMOレベルが第2と第3のHOMOレベルの間である、請求項1に記載の物品。
第1のポリマー、第2のポリマーおよび前記電子受容材料がそれぞれ、第1のLUMOレベル、第2のLUMOレベルおよび第3のLUMOレベルを有し、第1のLUMOレベルが第2と第3のLUMOレベルの間である、請求項1に記載の物品。
第1のポリマーが、第1および第2のコモノマー繰り返し単位とは異なる第3のコモノマー繰り返し単位をさらに含み、第3のコモノマー繰り返し単位が、シラシクロペンタジチオフェン部位またはシクロペンタジチオフェン部位を含む、請求項24に記載の物品。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、2つ以上の電子供与体(例えば、低バンドギャップの電子供与体および相対的に高バンドギャップの電子供与体)を光電池の単一の光活性層に組み込むと、光電池の電力変換効率を相当に(例えば、約4%以上)改善することができ、比較的大きい厚さ(例えば、約150nm以上)の光活性層を形成することができて、製造がより容易且つより安価になる一方で、光活性層の電荷移動能が犠牲になることはないという、意外な発見に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの態様において、本開示は、第1の電極、第2の電極、および第1と第2との電極の間の光活性層を含む物品を特徴とする。光活性層は、電子供与材料および電子受容材料を含む。電子供与材料は、第1のポリマー、および第1のポリマーとは異なる第2のポリマーを含む。第1のポリマーは、シラシクロペンタジチオフェン部位またはシクロペンタジチオフェン部位を含む第1のコモノマー繰り返し単位と、ベンゾチアジアゾール部位を含む第2のコモノマー繰り返し単位とを含む。第2のポリマーは、チオフェン部位を含むモノマー繰り返し単位を含む。第1のポリマーは第1のバンドギャップを有する。第2のポリマーは、第1のバンドギャップより高い第2のバンドギャップを有する。物品は光電池として構成されている。
【0005】
別の態様において、本開示は、第1の電極、第2の電極、および第1と第2との電極の間の光活性材料を含む物品を特徴とする。光活性材料は、電子供与材料および電子受容材料を含む。電子供与材料は、第1のポリマー、および第1のポリマーとは異なる第2のポリマーを含む。第1のポリマーは、シラシクロペンタジチオフェン部位またはシクロペンタジチオフェン部位を含む第1のコモノマー繰り返し単位と、ベンゾチアジアゾール部位を含む第2のコモノマー繰り返し単位とを含む。第1のポリマーは第1のバンドギャップを有する。第2のポリマーは、第1のバンドギャップより高い第2のバンドギャップを有する。物品は光電池として構成されている。
【0006】
さらに別の態様において、本開示は、第1の電極、第2の電極、および第1と第2との電極の間の光活性材料を含む物品を特徴とする。光活性層は約150nm以上の厚さである。物品は光電池として構成されている。物品はAM1.5条件下で約4%以上の電力変換効率を有する。
【0007】
実施形態は、下記の特徴の1つ以上を含むことができる。
いくつかの実施形態では、第1のポリマーにおける第1のコモノマー繰り返し単位は、下記の式(1)のシラシクロペンタジチオフェン部位または式(2)のシクロペンタジチ
オフェン部位を含み、
【0008】
【化1】
【0009】
R
1、R
2、R
3およびR
4は各々独立に、H、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、C
3〜C
20シクロアルキル、C
1〜C
20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、C(O)R、C(O)ORまたはSO
2Rであり、RはH、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C
3〜C
20シクロアルキルまたはC
1〜C
20ヘテロシクロアルキルである。特定の実施形態では、R
1およびR
2は各々独立に、H、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、C
3〜C
20シクロアルキル、C
1〜C
20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールである。例えば、R
1およびR
2は各々独立に、C
1〜C
20アルキル(例えば、2−エチルヘキシルまたはヘキシル)であることができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1のポリマーにおける第2のコモノマー繰り返し単位は、下記の式(3)のベンゾチアジアゾール部位を含み、
【0011】
【化2】
【0012】
R
1およびR
2は各々独立に、H、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、C
3〜C
20シクロアルキル、C
1〜C
20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、C(O)R、C(O)ORまたはSO
2Rであり、Rは、H、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C
3〜C
20シクロアルキルまたはC
1〜C
20ヘテロシクロアルキルである。例えば、R
1およびR
2は各々独立にHであることができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1のポリマーは、第1および第2のコモノマー繰り返し単位とは異なる第3のコモノマー繰り返し単位をさらに含む。例えば、第3のコモノマー繰り返し単位は、シラシクロペンタジチオフェン部位(例えば、上記の式(1)のシラシクロペンタジチオフェン部位)またはシクロペンタジチオフェン部位(例えば、上記の式(2)のシクロペンタジチオフェン部位)を含むことができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、第1のポリマーは次式を含み、nは1〜1000の整数であり、mは1〜1000の整数である。
【0015】
【化3】
【0016】
いくつかの実施形態では、第2のポリマーは、下記の式(4)のチオフェン部位のような、チオフェン部位を含むモノマー繰り返し単位を含み、
【0017】
【化4】
【0018】
R
5、R
6、R
7およびR
8は各々独立に、H、C
1〜C
20アルキル(例えば、ヘキシル)、C
1〜C
20アルコキシ、C
3〜C
20シクロアルキル、C
1〜C
20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、C(O)R、C(O)ORまたはSO
2Rであり、Rは、H、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C
3〜C
20シクロアルキルまたはC
1〜C
20ヘテロシクロアルキルである。例えば、R
5およびR
6の一方はヘキシルであることができる。特定の実施形態では、第2のポリマーは、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、電子受容材料は、フラーレン、無機ナノ粒子、オキサジアゾール、ディスコティック液晶、カーボンナノロッド、無機ナノロッド、CN基含有ポリマー、CF
3基含有ポリマーおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む。例えば、電子受容材料は、[6,6]−フェニルC61−酪酸メチルエステル(C6
0−PCBM)、[6,6]−フェニルC71−酪酸メチルエステル(C70−PCBM)、ビス(1−[3−(メトキシカルボニル)プロピル]−1−フェニル)−[6,6]C62(ビス−C60−PCBM)、または3’フェニル−3’H−シクロプロパ[8,25][5,6]フラーレン−C70−ビス−D5h(6)−3’ブタン酸メチルエステル(ビス−C70−PCBM)のような、置換フラーレンを含むことができる。一例として、ビス−C60−PCBMの化学構造は次のように示される。
【0020】
【化5】
【0021】
いくつかの実施形態では、第1と第2とのポリマーの重量比は、約20:1〜約1:20の範囲(例えば、約1:4または約1:5)である。
いくつかの実施形態では、第1のポリマー、第2のポリマーおよび電子受容材料はそれぞれ、第1の最高被占軌道(HOMO)レベル、第2のHOMOレベルおよび第3のHOMOレベルを有し、第1のHOMOレベルは、第2と第3のHOMOレベルの間である。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1のポリマー、第2のポリマーおよび電子受容材料はそれぞれ、第1の最低空軌道(LUMO)レベル、第2のLUMOレベルおよび第3のLUMOレベルを有し、第1のLUMOレベルは、第2と第3のLUMOレベルの間である。
【0023】
いくつかの実施形態では、電子供与材料と電子受容材料との重量比は、約1:1〜約1:3の範囲(例えば、約1:1)である。
いくつかの実施形態では、光活性層は約150nm以上の厚さである。
【0024】
いくつかの実施形態では、物品はAM1.5条件下で約4%以上の電力変換効率を有する。
実施形態は、下記の利点の1つ以上を提供することができる。
【0025】
理論に縛られようとするものではないが、1つ以上の低バンドギャップの半導体ポリマー(例えば、上記の第1のポリマー)と、1つ以上の相対的に高バンドギャップの半導体ポリマー(例えば、上記の第2のポリマー)との両方を、光電池の単一の光活性層に含める(例えば、ブレンドする)と、光電池の電力変換効率を相当に(例えば、約4%以上)改善することができると考えられる。
【0026】
理論に縛られようとするものではないが、1つ以上の低バンドギャップの半導体ポリマー(例えば、上記の第1のポリマー)と、1つ以上の相対的に高バンドギャップの半導体ポリマー(例えば、上記の第2のポリマー)との両方を、光電池の単一の光活性層に含める(例えば、ブレンドする)と、これらの各半導体ポリマーを電池(例えば、タンデム型電池)の2つの別個の光活性層に含めた場合に優る利点が提供されると考えられる。前者
の電池は、作製がより容易且つより安価で、電池の製造コストが相当に削減されるためである。
【0027】
理論に縛られようとするものではないが、1つ以上の低バンドギャップの半導体ポリマー(例えば、上記の第1のポリマー)と、1つ以上の相対的に高バンドギャップの半導体ポリマー(例えば、上記の第2のポリマー)との両方を、単一の光活性層に含める(例えば、ブレンドする)と、層の電荷移動能を犠牲にすることなく比較的大きい厚さ(例えば、約200nm以上)の層が得られると考えられる。かかる光活性層は、作製がより容易且つより安価であり、したがって光電池の製造コストを相当に削減することができる。
【0028】
理論に縛られようとするものではないが、1つ以上の低バンドギャップの半導体ポリマー(例えば、上記の第1のポリマー)と、1つ以上の相対的に高バンドギャップの半導体ポリマー(例えば、上記の第2のポリマー)との両方を、光活性層に含める(例えば、ブレンドする)と、光電池の耐用年数を相当に改善することができるはずであると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
様々な図面における類似の参照記号は、類似の要素を表す。
図1は、光電池100の断面図を示し、基板110、電極120、任意の正孔ブロック層130、光活性層140(電子受容材料および電子供与材料を含む)、正孔輸送層150、電極160および基板170が含まれている。
【0031】
一般に、基板110および170の一方または両方は、太陽光を透過するように、透明材料で形成することができる。基板110が透明材料で形成されている場合、使用中、光は基板110の表面に当たり、基板110、電極120および任意の正孔ブロック層130を通過する。その後、光は光活性層140と相互作用し、電子が電子供与材料(例えば、1つ以上の共役ポリマー)から電子受容材料(例えば、フラーレン)に移動する。その後、電子受容材料が、任意の正孔ブロック層130を通じて電子を電極120に伝達し、電子供与材料が、正孔輸送層150を通じて正孔を電極160に移動させる。電極120と160とは外部負荷を介して電気的に接続しており、かかる負荷を通じて電子が電極120から電極160に移る。
【0032】
一般に光活性層140は、電子供与材料(例えば、有機電子供与材料)および電子受容材料(例えば、有機電子受容材料)を含むことができる。いくつかの実施形態では、電子供与材料または受容材料は、1つ以上のポリマー(例えば、ホモポリマーまたはコポリマー)を含むことができる。本明細書において言及するポリマーは、少なくとも2つの同一のまたは異なるモノマー繰り返し単位(例えば、少なくとも5つのモノマー繰り返し単位、少なくとも10個のモノマー繰り返し単位、少なくとも50個のモノマー繰り返し単位、少なくとも100個のモノマー繰り返し単位、または少なくとも500個のモノマー繰り返し単位)を含む。本明細書において言及するホモポリマーは、ただ1種類のモノマー繰り返し単位を含むポリマーを指す。本明細書において言及するコポリマーは、化学構造の異なるコモノマー繰り返し単位を少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)含むポリマーを指す。ポリマーは共役半導体ポリマーであることができ、光起電活性を有することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、電子供与材料は、第1のポリマー、および第1のポリマーとは異なる第2のポリマーを含むことができる。特定の実施形態では、電子供与材料は、3つ以上(例えば、3つ、4つまたは5つ)の異なるポリマーを含むことができる。電子供与材料における各ポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーであることができる。
【0034】
電子供与材料における第1のポリマーはコポリマーであることができ、2つ以上(例えば、3つ、4つまたは5つ)の異なるコモノマー繰り返し単位を含むことができる。例えば、第1のポリマーは、第1のコモノマー繰り返し単位、および第1のコモノマー繰り返し単位とは異なる第2のコモノマー繰り返し単位を含むことができる。
【0035】
第1のポリマーにおける第1のコモノマー繰り返し単位は、下記の式(1)のシラシクロペンタジチオフェン部位または式(2)のシクロペンタジチオフェン部位を含むことができ、
【0037】
R
1、R
2、R
3およびR
4は各々独立に、H、C
1〜C
20アルキル(例えば、ヘキシルまたは2−エチルヘキシル)、C
1〜C
20アルコキシ、C
3〜C
20シクロアルキル、C
1〜C
20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、C(O)R、C(O)ORまたはSO
2Rであり、Rは、H、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C
3〜C
20シクロアルキルまたはC
1〜C
20ヘテロシクロアルキルである。
【0038】
アルキルは飽和または不飽和の分岐鎖または直鎖であることができる。C
1〜C
20アルキルは、1〜20個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20個の炭素原子)を含む。アルキル部位の例は、−CH
3、−CH
2−CH=CH
2および分岐−C
3H
7を含む。アルコキシは分岐鎖または直鎖で飽和または不飽和あることができる。C
1〜C
20アルコキシは、酸素ラジカルと、1〜20個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20個の炭素原子)とを含む。アルコキシ部位の例は、−OCH
3および−OCH=CH−CH
3を含む。シクロアルキルは、飽和または不飽和であることができる。C
3〜C
20シクロアルキルは、3〜20個の炭素原子(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20個の炭素原子)を含む。シクロアルキル部位の例は、シクロヘキシルおよびシクロヘキセン−3−イルを含む。ヘテロシクロアルキルもまた、飽和または不飽和であることができる。C
1〜C
20ヘテロシクロアルキルは、少なくとも1つの環状ヘテロ原子(例えば、O、NおよびS)と、1〜20個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20個の炭素原子)とを含む。ヘテロシクロアルキル部位の例は、4−テトラヒドロピラニルおよび4−ピラニルを含む。アリールは、1つ以上の芳香環を含むことができる。アリール部位の例は、フェニル、フェニレン、ナフチル、ナフチレン、ピレニル、アントリルおよびフェナントリル
を含む。ヘテロアリールは、1つ以上の芳香環を含むことができ、そのうち少なくとも1つが、少なくとも1つの環状ヘテロ原子(例えば、O、NおよびS)を含む。ヘテロアリール部位の例は、フリル、フリレン、フルオレニル、ピロリル、チエニル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、キナゾリニル、キノリル、イソキノリルおよびインドリルを含む。
【0039】
本明細書において言及するアルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは、別途指定しない限り、置換部位と非置換部位との両方を含む。シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリール上の置換基の例は、C
1〜C
20アルキル、C
3〜C
20シクロアルキル、C
1〜C
20アルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アミノ、C
1〜C
10アルキルアミノ、C
1〜C
20ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヒドロキシル、ハロゲン、チオ、C
1〜C
10アルキルチオ、アリールチオ、C
1〜C
10アルキルスルホニル、アリールスルホニル、シアノ、ニトロ、アシル、アシロキシ、カルボキシルおよびカルボン酸エステルを含む。アルキル上の置換基の例は、C
1〜C
20アルキルを除き、上記置換基の全てを含む。また、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは縮合基も含む。
【0040】
第1のポリマーにおける第2のコモノマー繰り返し単位は、下記の式(3)のベンゾチアジアゾール部位を含むことができ、
【0042】
R
1およびR
2は各々独立に、H、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、C
3〜C
20シクロアルキル、C
1〜C
20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、C(O)R、C(O)ORまたはSO
2Rであり、Rは、H、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C
3〜C
20シクロアルキルまたはC
1〜C
20ヘテロシクロアルキルである。例えば、R
1およびR
2は、各々独立にHであることができる。
【0043】
第1のポリマーは、第1および第2のコモノマー繰り返し単位とは異なる第3のコモノマー繰り返し単位をさらに含むことができる。例えば、第3のコモノマー繰り返し単位は、シラシクロペンタジチオフェン部位(例えば、上記の式(1)のシラシクロペンタジチオフェン部位)またはシクロペンタジチオフェン部位(例えば、上記の式(2)のシクロペンタジチオフェン部位)を含むことができる。
【0044】
第1のポリマーの例は、次式を含み、nは1〜1000の整数であり、mは1〜1000の整数である。
【0046】
いくつかの実施形態では、第1のポリマーは相対的に低いバンドギャップを有する。本明細書において言及する「バンドギャップ」という用語は、材料の価電子帯の上部(例えば、HOMOレベル)と伝導帯の下部(例えば、LUMOレベル)とのエネルギー差を指す。例えば、第1のポリマーは、バンドギャップが約1.8eV以下(約1.7eV以下、約1.6eV以下、約1.5eV以下、約1.4eV以下、または約1.3eV以下)、または約1.1eV以上(例えば、約1.2eV以上、約1.3eV以上、約1.4eV以上、または約1.5eV以上)であることができる。好ましくは、第1のポリマーは、約1.3〜約1.6eV(例えば、約1.4eV〜約1.6eV)のバンドギャップを有する。例えば、ポリマー1〜3は、約1.3eV〜約1.4eVの範囲のバンドギャップを有する。
【0047】
いくつかの実施形態では、電子供与材料における第2のポリマーはホモポリマーであることができる。第2のポリマーにおけるモノマー繰り返し単位は、下記の式(4)のチオフェン部位のような、チオフェン部位を含むことができ、
【0049】
R
5、R
6、R
7およびR
8は各々独立に、H、C
1〜C
20アルキル(例えば、ヘキシル)、C
1〜C
20アルコキシ、C
3〜C
20シクロアルキル、C
1〜C
20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、C(O)R、C(O)OR
またはSO
2Rであり、Rは、H、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C
3〜C
20シクロアルキルまたはC
1〜C
20ヘテロシクロアルキルである。第2のポリマーの例は、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)である。
【0050】
いくつかの実施形態では、第2のポリマーは相対的に高いバンドギャップを有する。例えば、第2のポリマーは、バンドギャップが約1.5eV以上(約1.6eV以上、約1.7eV以上、約1.8eV以上、約1.9eV以上、または約2.0eV以上)、または約2.5eV以下(例えば、約2.4eV以下、約2.3eV以下、約2.2eV以下、約2.1eV以下、または約2.0eV以下)であることができる。例えば、P3HTは約1.9eVのハンドギャップを有する。好ましくは、第2のポリマーは、第1のポリマーより高いハンドギャップを有する。
【0051】
光活性層140内で電子供与材料として使用できるその他のポリマーは、例えば、同一出願人が所有する同時係属中の米国特許出願公報第2007−0014939号、第2007−0158620号、第2007−0017571号、第2007−0020526号、第2008−0087324号、第2008−0121281号および第2010−0032018号に記載のものである。
【0052】
第1および第2のポリマーは、当該技術分野において知られている方法により調製するか、または販売元から購入することができる。例えば、式(1)のシラシクロペンタジチオフェン部位を含むポリマーの調製方法は、同一出願人が所有する同時係属中の米国特許出願公報第2008−0087324号および第2010−0032018号に開示のものである。別の例として、式(2)のシクロペンタジチオフェン部位を含むポリマーの調製方法は、同一出願人が所有する同時係属中の米国特許出願公報第2007−0014939号に開示のものである。別の例として、式(3)のベンゾチアジアゾール部位を含むポリマーの調製方法は、同一出願人が所有する同時係属中の米国特許出願公報第2007−0158620号に開示のものである。式(4)のチオフェン部位を含むポリマーは一般に、商業的に入手できるか、または当該技術分野において知られている方法により作製することができる。
【0053】
一般に、第1と第2とのポリマーの重量比は必要に応じて変更することができる。例えば、第1と第2とのポリマーの重量比は、約20:1〜約1:20(例えば、約10:1〜約1:10、約5:1〜約1:5、または約3:1〜約1:3)の範囲であることができる。好ましくは、第1と第2とのポリマーの重量比は、少なくとも約1:4(例えば、少なくとも約1:3、少なくとも約1:2、または少なくとも約1:1)であることができる。
【0054】
理論に縛られようとするものではないが、1つ以上の低バンドギャップの半導体ポリマー(例えば、上記の第1のポリマー)と、1つ以上の相対的に高バンドギャップの半導体ポリマー(例えば、上記の第2のポリマー)との両方を、光電池の単一の光活性層に含める(例えば、ブレンドする)と、光電池の電力変換効率を相当に(例えば、約4%以上)改善することができると考えられる。いくつかの実施形態では、(上記の第1および第2のポリマーのような)2つ以上の半導体ポリマーが光活性層140に含まれる場合、光電池100は、電力変換効率が約2.5%以上(例えば、約3%以上、約3.5%以上、約4%以上、約4.5%以上、または約5%以上)であることができる。
【0055】
さらに、理論に縛られようとするものではないが、1つ以上の低バンドギャップの半導体ポリマー(例えば、上記の第1のポリマー)と、1つ以上の相対的に高バンドギャップの半導体ポリマー(例えば、上記の第2のポリマー)との両方を、光電池の単一の光活性層に含める(例えば、ブレンドする)と、これらの各半導体ポリマーを電池(例えば、タ
ンデム型電池)の2つの別個の光活性層に含めた場合に優る利点が提供されると考えられる。前者の電池は、作製がより容易且つより安価で、電池の製造コストが相当に削減されるためである。
【0056】
いくつかの実施形態では、光活性層140は、相補的な吸収スペクトルを有する2つ以上の半導体ポリマー(例えば、1つは低バンドギャップのポリマーで1つは相対的に高バンドギャップのポリマー)を含むことができる。例えば、P3HT(すなわち、上記の例示的な第2のポリマー)は、約500〜550nmの波長に吸収ピークがある。ポリマー1(すなわち、上記の例示的な第1のポリマー)は、約700〜900nmの波長に吸収ピークがあり、約500〜550nmの波長では吸収が最小である。よって、P3HTおよびポリマー1を光活性層140内に含めると、幅広い太陽光スペクトルにおいて光吸収が向上し、光電池100の外部量子効率が改善され、その結果、光電池の電力変換効率を改善することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、第1のポリマー、第2のポリマーおよび電子受容材料はそれぞれ、第1のHOMOおよびLUMOレベル、第2のHOMOおよびLUMOレベル、並びに第3のHOMOおよびLUMOレベルを有する。好ましくは、第1のHOMOレベルは、第2のポリマーと電子受容材料のHOMOレベルの間である。かかる実施形態では、第1のポリマーから発生した光誘起正電荷(例えば、正孔)を第2のポリマーに移動させることができる。そのようなものとして、第1と第2との両方のポリマーが電荷の発生および移動に寄与し、光電池100の外部量子効率および電力変換効率が改善される。加えて、第2のポリマーは、一般に優勢な電荷キャリアであるため、第1のポリマーが相対的に不十分な電荷移動能を有する場合、第1のポリマーから発生した正電荷の、対応する電極への移動を促進することができる。
【0058】
その一方で、第1と第2とのポリマー間に負電荷(例えば、電子)の著しい移動は見られない。よって、第1のLUMOレベルが第2と第3のLUMOレベルの間であることは絶対に必要なことではない。しかしながら、いくつかの実施形態では、第1のLUMOレベルが第2と第3のLUMOレベルの間であることが好ましい。
【0059】
いくつかの実施形態では、光活性層140は、次のようなHOMOレベルおよびLUMOレベルを有する半導体ポリマー(例えば、第1のポリマーのような低バンドギャップのポリマー)を含むことができる。すなわち、それぞれ、別の半導体ポリマー(例えば、第2のポリマーのような相対的に高バンドギャップのポリマー)と電子受容材料(例えば、C60−PCBMのようなフラーレン)のHOMOレベルおよびLUMOレベルの間であるようなHOMOレベルおよびLUMOレベルである。例えば、ポリマー1はHOMOレベルが約−5.3eVで、当該レベルは、P3HT(すなわち、約−5.1eV)とC60−PCBM(すなわち、約−6eV)のHOMOレベルの間であり、LUMOレベルが約−3.6eVで、当該レベルは、P3HT(すなわち、約−2.9eV)とC60−PCBM(すなわち、約−4.3eV)のLUMOレベルの間である。よって、ポリマー1からの光誘起電子は、C60−PCBMに(その後、隣接する電極に)移動することができ、ポリマー1からの光誘起正孔はP3HTに(その後、隣接する電極に)移動することができる。換言すれば、電子供与体であるP3HTに加えて、電子供与体であるポリマー1もまた、電荷の発生および移動に寄与することができ、光電池100の外部量子効率および電力変換効率が改善される。
【0060】
当該技術分野では、次のことが知られている。すなわち、光電池の光活性層の厚さが増せば増すほど、一般に、この層で発生した光誘起電荷キャリアを隣接層へ、最終的には対応する電極へ移動させることが困難となり、光活性層の電荷移動能は低下するはずである。しかしながら、意外にも、1つ以上の低バンドギャップの半導体ポリマー(例えば、上
記の第1のポリマー)と、1つ以上の相対的に高バンドギャップの半導体ポリマー(例えば、上記の第2のポリマー)との両方を、単一の光活性層に含める(例えば、ブレンドする)と、層の電荷移動能を犠牲にすることなく比較的大きい厚さ(例えば、約150nm以上)の層が得られることが判明している。かかる光活性層は、作製がより容易且つより安価であり、したがって光電池の製造コストを相当に削減することができる。いくつかの実施形態では、かかる光活性層は、厚さが約100nm以上(例えば、約150nm以上、約200nm以上、約300nm以上、または約500nm以上)であることができる。
【0061】
さらに、理論に縛られようとするものではないが、意外にも、1つ以上の低バンドギャップの半導体ポリマー(例えば、上記の第1のポリマー)と、1つ以上の相対的に高バンドギャップの半導体ポリマー(例えば、上記の第2のポリマー)との両方を、単一の光活性層に含める(例えば、ブレンドする)と、光電池の耐用年数を相当に改善することができることが判明している。
【0062】
いくつかの実施形態では、光活性層140における電子受容材料は、フラーレン、無機ナノ粒子、オキサジアゾール、ディスコティック液晶、カーボンナノロッド、無機ナノロッド、CN基含有ポリマー、CF
3基含有ポリマーおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含むことができる。例えば、電子受容材料はフラーレン(例えば、置換フラーレン)を含むことができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、光活性層140は、1つ以上の非置換フラーレンおよび/または1つ以上の置換フラーレンを電子受容材料として含むことができる。非置換フラーレンの例は、C
60、C
70、C
76、C
78、C
82、C
84およびC
92を含む。置換フラーレンの例は、PCBM(例えば、C60−PCBM、C70−PCBM、ビス−C60−PCBM、またはビス−C70−PCBM)、またはC
1〜C
20アルコキシで置換されたフラーレンであって当該アルコキシが任意にC
1〜C
20アルコキシおよび/もしくはハロ(例えば、(OCH
2CH
2)
2OCH
3またはOCH
2CF
2OCF
2CF
2OCF
3)でさらに置換されたものを含む。理論に縛られようとするものではないが、長鎖アルコキシ基(例えば、エチレンオキシドオリゴマー)またはフッ素化アルコキシ基でフラーレンを置換すると、有機溶媒への溶解性が改善され、モルフォロジーの改良された光活性層を形成することができると考えられる。光活性層140における電子受容材料として使用できるその他の材料は、例えば、同一出願人が所有する同時係属中の米国特許出願公報第2007−0014939号、第2007−0158620号、第2007−0017571号、第2007−0020526号、第2008−0087324号、第2008−0121281号および第2010−0032018号に記載のものである。特定の実施形態では、光活性層140内において電子受容体(例えば、2つの異なるフラーレン)を組み合わせて使用することができる。かかる実施形態は、例えば、同一出願人が所有する同時係属中の米国特許出願公報第2007−0062577号に記載のものである。
【0064】
一般に、電子供与材料と電子受容材料との重量比は必要に応じて変更することができる。いくつかの実施形態では、電子供与材料と電子受容材料との重量比は、約1:1〜約1:3の範囲(好ましくは約1:1)である。
【0065】
当該技術分野では、次のことが知られている。すなわち、2つ以上の半導体ポリマーをブレンドする(例えば、電子供与体ポリマーと電子受容体ポリマーとをブレンドする)と、ドメインサイズが数マイクロメートルの大きい相分離が生じるはずであり、このようにして形成された光活性層の電荷移動能は著しく低下し、その結果、光電池の電力変換効率が低下するはずである。ところが意外にも、上記の第1と第2とのポリマーをブレンドし
ても、これら2つのポリマー間に著しい相分離(例えば、ドメインサイズが500nmを超えるもの)は現れず、したがって、これら2つのポリマーの相分離により引き起こされる効率損失は最小限に抑えられる。
【0066】
光活性層140は一般に、次のように形成される。すなわち、電子供与材料(例えば、上記の第1および第2のポリマー)および電子受容材料(例えば、置換フラーレン)を適切な溶媒(例えば、有機溶媒)と混合して溶液または分散体を形成し、溶液または分散体を層130に塗布し、塗布した溶液または分散体を乾燥させることにより形成される。
【0067】
一般に、光活性層140を形成した後(例えば、光電池100全体を形成した後)、この層を(例えば、加熱することにより)適切な温度で、適切な時間期間、アニール処理することが望ましい。アニール処理温度は、約70℃以上(例えば、約80℃以上、約100℃以上、約120℃以上、または約140℃以上)、または約200℃以下(例えば、約180℃以下、約160℃以下、約140℃以下、または約120℃以下)であることができる。アニール処理時間は、約30秒以上(例えば、約1分以上、約3分以上、約5分以上、または約7分以上)、または約15分以下(例えば、約13分以下、約11分以下、約9分以下、または約7分以下)であることができる。理論に縛られようとするものではないが、未アニール処理の光活性層では、短絡電流密度は低く、充填率も低く、直列抵抗は高くなると考えられる。しかしながら、光活性層140をアニール処理すると、短絡電流密度を相当に改善できるはずであり、したがって光電池100の電力変換効率を増大できるはずである。
【0068】
光電池100のその他の構成要素に目を転じると、基板110は一般に透明材料で形成される。本明細書において言及する場合、透明材料は、光電池100に使用される厚さで、光電池の稼動中に使用される波長または波長範囲(例えば、約350nm〜約1000nm)の入射光を約60%以上(例えば、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上)透過する材料である。基板110を形成することのできる例示的な材料は、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、炭化水素ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエーテルおよびポリエーテルケトンを含む。特定の実施形態では、ポリマーはフッ素化ポリマーであることができる。いくつかの実施形態では、ポリマー材料の組み合わせが使用される。特定の実施形態では、基板110の異なる領域を異なる材料で形成することができる。
【0069】
一般に、基板110は可撓性、半剛性または剛性(例えば、ガラス)であることができる。いくつかの実施形態では、基板110は、曲げ弾性率が約5000メガパスカル未満(例えば、約1000メガパスカル未満または約500メガパスカル未満)である。特定の実施形態では、基板110の異なる領域が可撓性、半剛性または不撓性である(例えば、1つ以上の領域が可撓性で1つ以上の別の領域が半剛性、1つ以上の領域が可撓性で1つ以上の別の領域が不撓性である)ことができる。
【0070】
通常、基板110は、厚さが約1マイクロメートル以上(例えば、約5マイクロメートル以上、約10マイクロメートル以上)、および/または厚さが約1000マイクロメートル以下(例えば、約500マイクロメートル以下、約300マイクロメートル以下、約200マイクロメートル以下、約100マイクロメートル以下、約50マイクロメートル以下)である。
【0071】
一般に、基板110は有色または無色であることができる。いくつかの実施形態では、基板110の1つ以上の部分が有色である一方で、基板110の1つ以上の別の部分は無色である。
【0072】
基板110は、1つの平坦面(例えば、光が当たる面)、2つの平坦面(例えば、光が当たる面およびその裏面)、または非平坦面を有することができる。基板110の非平坦面は、例えば、湾曲面または階段状であることができる。いくつかの実施形態では、基板110の非平坦面はパターン状である(例えば、パターン化された段差を有してフレネルレンズ、レンチキュラーレンズまたはレンチキュラープリズムを形成する)。
【0073】
電極120は一般に、導電性材料で形成される。例示的な導電性材料は導電性金属、導電性合金、導電性ポリマーおよび導電性金属酸化物を含む。例示的な導電性金属は、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、パラジウム、プラチナおよびチタンを含む。例示的な導電性合金は、ステンレス鋼(例えば、332ステンレス鋼、316ステンレス鋼)、金合金、銀合金、銅合金、アルミニウム合金、ニッケル合金、パラジウム合金、プラチナ合金およびチタン合金を含む。例示的な導電性ポリマーは、ポリチオフェン(例えば、ドープ処理したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(ドープPEDOT))、ポリアニリン(例えば、ドープ処理したポリアニリン)、ポリピロール(例えば、ドープ処理したポリピロール)を含む。例示的な導電性金属酸化物は、酸化インジウム錫、フッ素添加酸化錫、酸化錫および酸化亜鉛を含む。いくつかの実施形態では、導電性材料の組み合わせが使用される。
【0074】
いくつかの実施形態では、電極120はメッシュ電極を含むことができる。メッシュ電極の例は、例えば、同一出願人が所有する同時係属中の米国特許出願公報第2004−0187911号および第2006−0090791号に記載のものである。
【0075】
任意に、光電池100は正孔ブロック層130を含むことができる。正孔ブロック層は一般に、光電池100に使用される厚さで電子を電極120に輸送するとともに電極120への正孔の輸送を実質的に阻止する材料で形成される。正孔ブロック層を形成することのできる材料の例は、LiF、金属酸化物(例えば、酸化亜鉛、酸化チタン)およびアミン(例えば、第一級、第二級または第三級アミン、またはアミノ基含有ポリマー)を含む。正孔ブロック層での使用に適したアミンの例は、例えば、同一出願人が所有する同時係属中の米国特許出願公報第2008−0264488号に記載のものである。
【0076】
理論に縛られようとするものではないが、アミンで作られた正孔ブロック層が光電池100に含まれる場合、正孔ブロック層は、紫外線に暴露されることなく、光活性層140と電極120との間におけるオーミック接触の形成を促進することができ、紫外線暴露から生じる光電池100の損傷が減少すると考えられる。
【0077】
一般に、正孔ブロック層130の厚さ(すなわち、光活性層140に接触している正孔ブロック層130の表面と、正孔ブロック層130に接触している電極120の表面との間の距離)は必要に応じて変更することができる。通常、正孔ブロック層130は、厚さが0.02マイクロメートル以上(例えば、約0.03マイクロメートル以上、約0.04マイクロメートル以上、約0.05マイクロメートル以上)、および/または厚さが約0.5マイクロメートル以下(例えば、約0.4マイクロメートル以下、約0.3マイクロメートル以下、約0.2マイクロメートル以下、0.1マイクロメートル以下)である。
【0078】
正孔輸送層150は一般に、光電池100に使用される厚さで正孔を電極160に輸送するとともに電極160への電子の輸送を実質的に阻止する材料で形成される。層130を形成することのできる材料の例は、ポリチオフェン(例えば、PEDOT)、ポリアニリン、ポリカルバゾール、ポリビニルカルバゾール、ポリフェニレン、ポリフェニルビニレン、ポリシラン、ポリチエニレンビニレン、ポリイソチアナフタネンおよびそれらのコポリマーを含む。いくつかの実施形態では、正孔輸送層150は、半導体ポリマーと組み
合わせて使用されるドープ剤を含むことができる。ドープ剤の例は、ポリ(スチレン−スルホン酸)、スルホン酸ポリマーおよびフッ素化ポリマー(例えば、フッ素化イオン交換ポリマー)を含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、正孔輸送層150を形成するために使用できる材料は、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化銅、酸化ストロンチウム銅または酸化ストロンチウムチタンのような、金属酸化物を含む。金属酸化物は未ドープ処理であることも、ドープ剤でドープ処理することもできる。金属酸化物用ドープ剤の例は、フッ化物、塩化物、臭化物およびヨウ化物の塩または酸を含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、正孔輸送層150を形成するために使用できる材料は、炭素同素体(例えば、カーボンナノチューブ)を含む。炭素同素体は、ポリマー結合剤に埋め込むことができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、正孔輸送材料は、ナノ粒子の形態であることができる。ナノ粒子は、球形、円筒形または棒状形のような適切な形状であることができる。
いくつかの実施形態では、正孔輸送層150は、上記の正孔輸送材料の組み合わせを含むことができる。
【0082】
一般に、正孔輸送層150の厚さ(すなわち、光活性層140に接触している正孔輸送層150の表面と、正孔輸送層150に接触している電極160の表面との間の距離)は必要に応じて変更することができる。通常、正孔輸送層150の厚さは、0.01マイクロメートル以上(例えば、約0.05マイクロメートル以上、約0.1マイクロメートル以上、約0.2マイクロメートル以上、約0.3マイクロメートル以上、または約0.5マイクロメートル以上)、および/または約5マイクロメートル以下(例えば、約3マイクロメートル以下、約2マイクロメートル以下、または約1マイクロメートル以下)である。いくつかの実施形態では、正孔輸送層150の厚さは、約0.01マイクロメートル〜約0.5マイクロメートルである。
【0083】
電極160は一般に、電極120に関する上記の導電性材料の1つ以上のような、導電性材料で形成される。いくつかの実施形態では、電極160は導電性材料の組み合わせにより形成される。特定の実施形態では、電極160はメッシュ電極で形成することができる。
【0084】
基板170は、基板110と同一であることも異なることもできる。いくつかの実施形態では、基板170は、上記の基板110に使用されるポリマーのような、1つ以上の適切なポリマーで形成することができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、(第1および第2のポリマーのような)上記の半導体ポリマーは、2つの光電池が共通の電極を共有するシステムにおいて電子供与材料として使用することができる。かかるシステムは、タンデム型光電池という別名でも知られている。
図2は、2つの半電池202および204を有するタンデム型光電池200を示す。半電池202は、電極220、任意の正孔ブロック層230、第1の光活性層240および再結合層242(共通の電極としても機能する)を含む。半電池204は、再結合層242、第2の光活性層244、正孔輸送層250および電極260を含む。電極220および260を介して外部負荷が光電池200に接続されている。
【0086】
生産工程および所期のデバイス構造に応じて、特定の層の電子/正孔伝導性を変更する(例えば、正孔ブロック層230を正孔輸送層に変更する)ことにより、半電池における電流フローを逆転させることができる。そうすることにより、タンデム型電池における半
電池を電気的に直列または並列に相互接続できるよう、タンデム型電池を設計することができる。
【0087】
再結合層とは、第1の半電池から発生した電子と、第2の半電池から発生した正孔とが再結合するタンデム型電池における層を指す。再結合層242は、通常、p型半導体材料およびn型半導体材料を含む。一般に、n型半導体材料は選択的に電子を輸送し、p型半導体材料は選択的に正孔を輸送する。その結果、n型とp型の半導体材料の界面で、第1の半電池から発生した電子と、第2の半電池から発生した正孔とが再結合する。
【0088】
いくつかの実施形態では、p型半導体材料はポリマーおよび/または金属酸化物を含む。p型半導体ポリマーの例は、ポリチオフェン(例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン))、ポリアニリン、ポリビニルカルバゾール、ポリフェニレン、ポリフェニルビニレン、ポリシラン、ポリチエニレンビニレン、ポリイソチアナフタネン、ポリシクロペンタジチオフェン、ポリシラシクロペンタジチオフェン、ポリシクロペンタジチアゾール、ポリチアゾロチアゾール、ポリチアゾール、ポリベンゾチアジアゾール、ポリ(チオフェン酸化物)、ポリ(シクロペンタジチオフェン酸化物)、ポリチアジアゾロキノキサリン、ポリベンゾイソチアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリチエノチオフェン、ポリ(チエノチオフェン酸化物)、ポリジチエノチオフェン、ポリ(ジチエノチオフェン酸化物)、ポリテトラヒドロイソインドールおよびそれらのコポリマーを含む。金属酸化物は、真性p型半導体(例えば、酸化銅、酸化ストロンチウム銅または酸化ストロンチウムチタン)、またはドープ剤によるドープ処理後にp型半導体を形成する金属酸化物(例えば、p−ドープ酸化亜鉛、またはp−ドープ酸化チタン)であることができる。ドープ剤の例は、フッ化物、塩化物、臭化物およびヨウ化物の塩または酸を含む。いくつかの実施形態では、金属酸化物をナノ粒子の形態で使用することができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、n型半導体材料(真性またはドープn型半導体材料)は、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化モリブデンおよびそれらの組み合わせのような、金属酸化物を含む。金属酸化物は、ナノ粒子の形態で使用することができる。その他の実施形態では、n型半導体材料は、フラーレン、無機ナノ粒子、オキサジアゾール、ディスコティック液晶、カーボンナノロッド、無機ナノロッド、CN基含有ポリマー、CF
3基含有ポリマーおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、p型とn型の半導体材料はブレンドして1層にされる。特定の実施形態では、再結合層242は2つの層を含み、一方の層がp型半導体材料を含み、他方の層がn型半導体材料を含む。かかる実施形態では、再結合層242は3つの層を含むこともでき、第1の層がp型半導体材料を含み、第2の層がn型半導体材料を含み、第1と第2との層の間に、n型・p型混合半導体材料を含む第3の層がある。
【0091】
いくつかの実施形態では、再結合層242は、p型半導体材料を約30重量%以上(例えば、約40重量%以上または約50重量%以上)、および/または約70重量%以下(例えば、約60重量%以下または約50重量%以下)を含む。いくつかの実施形態では、再結合層242は、n型半導体材料を約30重量%以上(例えば、約40重量%以上または約50重量%以上)、および/または約70重量%以下(例えば、約60重量%以下または約50重量%以下)を含む。
【0092】
再結合層242は一般に、再結合層242上に塗布される溶媒から下位層を保護するに足る十分な厚さである。いくつかの実施形態では、再結合層242は、厚さが約10nm以上(例えば、約20nm以上、約50nm以上、または約100nm以上)、および/または、約500nm以下(例えば、約200nm以下、約150nm以下、または約100nm以下)である。
【0093】
一般に、再結合層242は実質的に透明である。例えば、再結合層242は、タンデム型光電池200に使用される厚さで、光電池の稼動中に使用される波長または波長範囲(例えば、約350nm〜約1000nm)の入射光を約70%以上(例えば、約75%以上、約80%以上、約85%以上、または約90%以上)透過することができる。
【0094】
再結合層242は一般に、十分に低い表面抵抗を有する。いくつかの実施形態では、再結合層242は、表面抵抗が約1×10
6オーム/平方以下(例えば、約5×10
5オーム/平方以下、約2×10
5オーム/平方以下、または約1×10
5オーム/平方以下)である。
【0095】
理論に縛られようとするものではないが、再結合層242は、光電池200における2つの半電極(例えば、一方が電極220、正孔ブロック層230、光活性層240および再結合層242を含み、他方が再結合層242、光活性層244、正孔輸送層250および電極260を含むもの)間の共通の電極と見なすことができると考えられる。いくつかの実施形態では、再結合層242は、上記のような導電性グリッド(例えば、メッシュ)材料を含むことができる。導電性グリッド材料は、半電池に対する同一極性(p型またはn型)の選択的接触を提供し、高導電性でありながら透明の層を提供して電子を負荷に輸送することができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、再結合層242は、n型半導体材料とp型半導体材料とをブレンドした物を光活性層に塗布することにより調製できる。例えば、まず、n型半導体とp型半導体材料とを一緒に溶媒内に分散または溶解させて分散体または溶液を形成することができ、その後、分散体または溶液を光活性層に塗布して再結合層を形成することができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、n型半導体材料の層およびp型半導体材料の層を別個に塗布することにより、2層式結合層を調製することができる。例えば、n型半導体材料として酸化チタンナノ粒子が使用される場合、酸化チタンナノ粒子の層は、次のように形成することができる。すなわち、(1)前駆体(例えば、チタン塩)を溶媒(例えば、無水アルコールのような有機溶媒)に分散させて分散体を形成し、(2)分散体を光活性層に塗布し、(3)分散体を加水分解して酸化チタン層を形成し、(4)酸化チタン層を乾燥させることにより形成することができる。別の例として、p型半導体としてポリマー(例えば、PEDOT)が使用される場合、ポリマー層は、次のように形成することができる。すなわち、まず、ポリマーを溶媒(例えば、無水アルコールのような有機溶媒)に溶解して溶液を形成し、その後、溶液を光活性層に塗布することにより形成することができる。
【0098】
タンデム型光電池200のその他の構成要素は、上記の光電池100と同じ材料で形成するか、または同じ特性を有することができる。
タンデム型光電池の例は、例えば、同一出願人が所有する同時係属中の米国特許出願公報第2007−0181179号および第2007−0246094号に記載のものである。
【0099】
いくつかの実施形態では、タンデム型電池における半電池は電気的に直列に相互接続される。直列に接続する場合、一般に層は、
図2に示す順序にすることができる。特定の実施形態では、タンデム型電池における半電池は、電気的に並列に相互接続される。並列に相互接続する場合、2つの半電池を有するタンデム型電池は、次のような層を含むことができる。すなわち、第1の電極、第1の正孔ブロック層、第1の光活性層、第1の正孔輸送層(電極として機能することができる)、第2の正孔輸送層(電極として機能することができる)、第2の光活性層、第2の正孔ブロック層および第2の電極である。いくつか
の実施形態では、第1と第2との正孔輸送層が一緒になって再結合層になることができ、2つの別個の層を含むか、または1つの単一の層であることができる。第1および第2の正孔輸送層の伝導性が不十分な場合、必要な伝導性を提供する追加の層(例えば、導電性メッシュ層)を挿入してもよい。
【0100】
いくつかの実施形態では、タンデム型電池は3つ以上の半電池(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上の半電池)を含むことができる。特定の実施形態では、いくつかの半電池は電気的に直列に相互接続することができ、いくつかの半電池は電気的に並列に相互接続することができる。
【0101】
一般に、
図1および
図2に記載された光電池の各層の調製方法は、必要に応じて変更することができる。いくつかの実施形態では、液体ベースのコーティング工程により層を調製することができる。特定の実施形態では、化学的または物理的蒸着工程のような気相ベースのコーティング工程により層を調製することができる。
【0102】
本明細書において言及する「液体ベースのコーティング工程」という用語は、液体ベースのコーティング組成物を使用する工程を指す。液体ベースのコーティング組成物の例は、溶液、分散体または懸濁液を含む。液体ベースのコーティング工程は、次の工程の1つ以上を使用することにより実行できる。すなわち、溶液コーティング、インクジェット印刷、スピンコーティング、浸漬コーティング、ナイフコーティング、バーコーティング、スプレーコーティング、ローラーコーティング、スロットコーティング、グラビアコーティング、フレキソ印刷またはスクリーン印刷である。液体ベースのコーティング工程の例は、例えば、同一出願人が所有する同時係属中の米国特許出願公報第2008−0006324号に記載のものである。
【0103】
いくつかの実施形態では、層が無機半導体ナノ粒子を含む場合、液体ベースのコーティング工程は、次のように実行することができる。すなわち、(1)ナノ粒子を溶媒(例えば、水性溶媒、または無水アルコールのような有機溶媒)と混合して分散体を形成し、(2)分散体を基板に塗布し、(3)塗布した分散体を乾燥させることにより実行することができる。特定の実施形態では、無機金属酸化物ナノ粒子を含む層を調製するための液体ベースのコーティング工程は、次のように実行することができる。すなわち、(1)前駆体(例えば、チタン塩)を適切な溶媒(例えば、無水アルコール)に分散させて分散体を形成し、(2)分散体を基板に塗布し、(3)分散体を加水分解して無機半導体ナノ粒子層(例えば、酸化チタンナノ粒子層)を形成し、(4)無機半導体材料層を乾燥させることにより実行することができる。特定の実施形態では、液体ベースのコーティング工程は、ゾル−ゲル工程により(例えば、分散体を基板に塗布する前に分散体内にゾル−ゲルとして金属酸化物ナノ粒子を形成することにより)実行することができる。
【0104】
一般に、有機半導体材料を含む層の調製に使用される液体ベースのコーティング工程は、無機半導体材料を含む層の調製に使用されるものと同一であることも異なることもできる。いくつかの実施形態では、層が有機半導体材料を含む場合、液体ベースのコーティング工程は、次のように実行することができる。すなわち、有機半導体材料を溶媒(例えば、有機溶媒)と混合して溶液または分散体を形成し、溶液または分散体を基板に塗布し、塗布した溶液または分散体を乾燥させることにより実行することができる。
【0105】
いくつかの実施形態では、
図1および
図2に記載の光電池は、ロールツーロール工程のような連続製造工程で調製することができ、製造コストが大いに削減される。ロールツーロール工程の例は、例えば、同一出願人が所有する同時係属中の米国特許出願公報第2005−0263179号に記載のものである。
【0106】
特定の実施形態について開示してきたが、その他の実施形態もあり得る。
いくつかの実施形態では、光電池100は、下部電極としてカソードを、上部電極としてアノードを含む。いくつかの実施形態では、光電池100はまた、下部電極としてアノードを、上部電極としてカソードを含むことができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、光電池100は、
図1に示す層を逆の順序で含むことができる。換言すれば、光電池100は、これらの層を下部から上部に向かって次のような順序で含むことができる。すなわち、基板170、電極160、正孔輸送層150、光活性層140、任意の正孔ブロック層130、電極120および基板110の順序である。
【0108】
いくつかの実施形態では、複数の光電池を電気的に接続して光起電システムを形成することができる。一例として、
図3は、光電池320が収容されたモジュール310を有する光起電システム300の模式図である。電池320は電気的に直列に接続されており、システム300は負荷330に電気的に接続されている。別の例として、
図4は、光電池420が収容されたモジュール410を有する光起電システム400の模式図である。電池420は電気的に並列に接続されており、システム400は負荷430に電気的に接続されている。いくつかの実施形態では、光起電システムにおけるいくつか(例えば、全て)の光電池は1つ以上の共通基板を有することができる。特定の実施形態では、光起電システムにおけるいくつかの光電池は電気的に直列に接続され、光起電システムにおけるいくつかの光電池は電気的に並列に接続される。
【0109】
有機光電池について説明してきたが、その他の光電池にも、本明細書に記載の1つ以上の半導体ポリマーを組み込むことができる。かかる光電池の例は、色素増感光電池および無機光活性電池であって光活性材料がアモルファスシリコン、セレン化カドミウム、テルル化カドミウム、セレン化銅インジウムおよびセレン化銅インジウムガリウムで形成されたものを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の半導体ポリマーをハイブリッド光電池に組み込むことができる。
【0110】
光電池について上記に説明してきたが、いくつかの実施形態では、その他のデバイスおよびシステムにも本明細書に記載のポリマーを使用することができる。例えば、次のような適切な有機半導体デバイスにポリマーを使用することができる。すなわち、電界効果トランジスタ、光検出器(例えば、赤外線検出器)、光起電検出器、撮像装置(例えば、カメラ用RGBイメージングデバイスまたは医療用撮像システム)、発光ダイオード(LED)(例えば、有機LED(OLED)または赤外もしくは近赤外LED)、レーザー装置、変換層(例えば、可視発光を赤外放射に変換する層)、電気通信用増幅器およびエミッタ(例えば、ファイバードープ剤)、記憶素子(例えば、ホノグラム記憶素子)およびエレクトロクロミック素子(例えば、エレクトロクロミックディスプレー)のような適切な有機半導体デバイスである。
【0111】
本明細書において言及する全ての公報、特許出願、特許およびその他の参考文献は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
以下の実施例は、例示的なものであり、限定することを意図するものではない。
【0112】
実施例1:2つの半導体ポリマーを含む光電池の作製
ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)(バイトロンPH)は、エイチ・シー・スターク社(H・C・Starch)から購入された。P3HT(4002E)はリエケ社(Rieke)から購入された。ポリマー1は、コナルカテクノロジーズ社(Konarka Technologies,Inc.)により、米国特許出願公報第2007−0014939号に記載の手順に従って調製された。C60−PCBMはソレンネBV社(SolenneBV)から購入
された。
【0113】
光起電デバイスは次のように作製された。すなわち、まず、PEDOT:PSSを含む正孔輸送層100nmを、ドクターブレード法により酸化インジウム錫(ITO)被覆ガラス基板(メルク)に塗布する。P3HT、ポリマー1(数平均分子量が35000g/モルで、重量平均分子量が47000g/モルのもの)およびC60−PCBMを、様々な重量比でo−ジクロロベンゼンに溶解させた。このようにして形成した溶液を、ドクターブレード法によりPEDOT:PSS層の上に溶着させて光活性層を形成した。その後、LiF/Al(0.6nm/80nm)金属電極を光活性層上に熱析出して光電池を形成した。
【0114】
P3HT、ポリマー1およびC60−PCBMを次のような重量比で含む3つの光電池を、上記の手順に従って調製した。(1)95:5:100、(2)9:1;10および(3)8:2:10。また、ポリマー1を含まない第4の光電池(すなわち、電池(4))も調製し、対照として使用した。
【0115】
キースリー2400SMUを用いて光電池(1)〜(4)の電流−電圧特性を測定しながら、オリエルキセノン太陽光シミュレータ(100mWcm
−2)におけるAM1.5G照射下で太陽電池に光を当てた。結果は、光電池(1)〜(4)がそれぞれ、2.48%、2.38%、2.86%および2.6%の電力変換効率を呈することを示した。結果は、光活性層における電子供与材料にポリマー1を20%含む光電池(すなわち、電池(3))が、電子供与材料としてP3HTのみを含む光電池(すなわち、電池(4))より高い電力変換効率を呈することを示した。
【0116】
実施例2:光活性層の厚さが異なる光電池の作製
P3HTおよびPEDOT:PSSは、実施例1に記載のものと同じ販売元から購入された。ポリマー2および3はそれぞれ、米国特許出願公報第2008−0087324号および第2010−0032018号に記載の手順に従ってコナルカテクノロジーズ社により調製された。C70−PCBMおよびビス−C60−PCBMはソレンネBV社から購入された。
【0117】
デバイス調製のために、全ての光活性材料を所望の重量比で混合し、o−ジクロロベンゼンに溶解させた。デバイスは、次のようなやり方で調製された。
光電池を次のように作製した。イソプロパノール内で超音波処理することにより、ITO被覆ガラス基板を洗浄した。その後、ITOの上に溶液をブレードコーティングすることにより、ポリエチレンイミンおよびグリセロールプロポキシレートトリグリシジルエーテルを含む薄い電子注入層を形成した。電子供与材料として1つまたは2つの半導体ポリマーと電子受容材料として置換フラーレンとを含むo−ジクロロベンゼン溶液を、正孔ブロック層にブレードコーティングし、その後、乾燥させて光活性層を形成した。PEDOT:PSSを含む溶液を光活性層の上にブレードコーティングして、正孔輸送層を形成した。その後、銀電極を正孔輸送層に熱蒸着して光電池を形成した。
【0118】
上記の手順に従って4つの光電池を調製した。光電池(1)は、ポリマー2およびC70−PCBMを1:2の重量比で含むとともに厚さが100nm未満の光活性層を含んでいた。光電池(2)は、ポリマー2およびC70−PCBMを1:2の重量比で含むとともに厚さが100nm〜200nmの光活性層を含んでいた。光電池(3)は、P3HT、ポリマー2およびC70−PCBMを5.6:1:6.7の重量比で含むとともに厚さが150nm〜200nmの光活性層を含んでいた。光電池(4)は、P3HT、ポリマー3およびビス−C60−PCBMを5.6:1:6.7の重量比で含むとともに厚さが約200nmの光活性層を含んでいた。
【0119】
キースリー2400SMUを用いて光電池の電流−電圧特性を測定しながら、シュトイアナーゲル太陽光シミュレータ(70〜80mWcm
−2)により送出される模擬太陽光に太陽電池を暴露した。結果は、光電池(1)〜(4)がそれぞれ、約4.5%、3.6%、4.2%および4.6%の電力変換効率を呈したことを示す。理論に縛られようとするものではないが、次のように考えられる。すなわち、電池(2)は、光活性層の厚さが大きいため、電池(1)より低い電力変換効率を呈し、電荷キャリア(すなわち、電子または正孔)を隣接する正孔ブロック層または輸送層に移動させる性能は低下するはずである。さらに、理論に縛られようとするものではないが、次のようにも考えられる。すなわち、電池(3)は、低バンドギャップの半導体ポリマー(すなわち、ポリマー2)と相対的に高バンドギャップの半導体ポリマー(すなわち、P3HT)との組み合わせが存在するため、電池(2)より高い電力変換効率を呈し、光活性層の厚さが電池(2)とほぼ同じであっても光活性層の電荷キャリア能を改善できるはずである。加えて、結果は、電池(3)に使用したポリマー2およびC70−PCBMをそれぞれ、電池(4)に使用したポリマー3およびビス−C60−PCBMに置換すると、光電池の効率を改善できることを示した。
【0120】
実施例3:異なる光活性層を含む光電池の耐用年数
上記の実施例2の記載の手順に従って、2つの光電池を調製した。電池(1)は、P3HT、ポリマー3およびビス−C60−PCBMを5.6:1:6.7の重量比で含む光活性層を含んでいた。電池(2)は、P3HTおよびビス−C60−PCBMを1:1の重量比で含む光活性層を含んでいた。
【0121】
一定の時間、これら2つの電池を85%湿度下で65℃で加熱した(すなわち、光電池の耐用年数を測定するための加速実験)後、実施例2に記載の手順に従って、電池(1)および(2)の電力変換効率を測定した。結果は、電池(2)が約190時間の加熱処理後に効率の20%を損失したのに対して、電池(1)が約450時間の加熱処理後に効率の20%を損失したことを示した。結果は、低バンドギャップのポリマー(例えば、ポリマー3)と相対的に高バンドギャップのポリマー(例えば、P3HT)との両方を光活性層に使用すると、光電池の耐用年数を相当に改善できることを示唆した。
【0122】
その他の実施形態は、特許請求の範囲に示されている。