(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、様々な分野で世界的な規模の拡大(グローバル化)が図られている。とりわけ、国際間で行われる物流取引において、グローバル化の流れは顕著になっており、建設機械の事業分野においても、グローバル化が進んでいる。そして、グローバル化が進んだ現在、建設機械が世界各国に輸出されている。
【0005】
このような環境下において、建設機械をある国向けに生産する際、従来技術に示すエンジン自動停止機能を備えることが求められる出荷向けのものと、従来技術に示すエンジン自動停止機能を備える必要がないものとが、製造ラインに混在する。
【0006】
このため、製造ラインでの製造過程では、エンジン自動停止機能を備えたコントローラとエンジン自動停止機能を備えていないコントローラとを予め準備しておく必要があるので、コスト高となっている。また、各建設機械毎にエンジン自動停止機能の要否を判断して、当該コントローラを建設機械の本体に設定しなければならないので、生産効率が良好でない。
【0007】
本発明は、上述の事柄にもとづいてなされたもので、その目的とするところは、建設機械のエンジン自動停止機能の設定及び解除を容易にできる建設機械のエンジン制御装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、建設機械のエンジンの自動停止機能の設定及び解除を容易に可能とする建設機械のエンジン制御装置であって、キースイッチを介して電源側に接続する第1の端子とエンジン制御部側に接続する第2の端子とエンジンの自動停止を出力するコントローラに接続する第3の端子とを有し
、前記コントローラからのエンジン自動停止指令によりエンジン制御部への電源を遮断する電源カットリレーとエンジン制御部に電源を供給するジャンプコネクタとが選択的に接続される接続端子部を備え
、前記電源カットリレーを選択して前記接続端子部に接続する場合に、前記電源カットリレーを前記第1の端子、前記第2の端子、及び前記第3の端子に接続し、前記ジャンプコネクタを選択して前記接続端子部に接続する場合に、前記ジャンプコネクタを前記第1の端子及び前記第2の端子に接続することを特徴とする。
【0009】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記電源カットリレーは、2つの固定接点と、前記固定接点に接離する可動接点と、前記コントローラからのエンジン自動停止指令により前記可動接点を開操作するリレー線輪と、前記一方側の固定接点に接続され、前記接続端子部の前記第1の端子に接続される
第1の端子と、前記他方側の固定接点に接続され、前記接続端子部の前記第2の端子に接続される第2の端子と、前記
リレー線輪に接続され、前記接続端子部の前記第3の端子に接続される第3の端子とを備え、前記ジャンプコネクタは、前記接続端子部の前記第1の端子に接続される第1の端子と、前記接続端子部の前記第
2の端子に接続される第2の端子と、第1と第2の端子を接続した導体とを備えたことを特徴とする。
【0010】
更に、第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記コントローラは、前記エンジンの自動停止を判断し、前記電源カットリレーのリレー線輪に消磁信号を出力する自動停止判断手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、第4の発明は、第1又は第2の発明において、前記コントローラは、前記電源カットリレーが前記接続端子部に接続されているか否かを判断するリレー接続検出手段と、前記エンジンの自動停止を判断した場合に前記リレー接続検出手段での前記接続端子部への前記電源カットリレーの接続を確認して前記電源カットリレーのリレー線輪に消磁信号を出力する自動停止判断手断とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電源側とエンジン制御部との間に接続端子部を設け、この接続端子部に電源カットリレーを選択的に接続可能にして、建設機械のエンジン自動停止機能を発揮するエンジン自動停止装置を容易に追加設定することができるので、簡単かつ安価な構成にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の建設機械のエンジン制御装置の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の建設機械のエンジン制御装置の一実施の形態を備えた建設機械としての油圧ショベルを示すもので、油圧ショベル1は、走行体2と、この走行体2上に旋回可能に設けた旋回体3と、この旋回体3の基礎下部構造をなす旋回フレーム4と、この旋回フレーム4の前側に左右方向に回動可能に設けられたスイングポスト5と、このスイングポスト5に上下方向に回動可能(俯仰可能)に連結された多関節型の作業機6と、旋回フレーム4上に設けたキャノピータイプの運転室7と、旋回フレーム4上の運転室7以外の周囲部分及び原動機室8を覆う外装カバー9と備えている。
【0015】
走行体2は、上方から見て略H字形状のトラックフレーム10と、このトラックフレーム10の左右両側の後端近傍に回転可能に支持された左右の駆動輪11と、トラックフレーム10の左右両側の前端近傍に回転可能に支持された左右の従動輪(アイドラ)12と、左右それぞれの駆動輪11と従動輪12とに掛け渡された左右の履帯(クローラ)13とを備えている。駆動輪11は、これに連結した走行用油圧モータ(図示せず)及び減速装置14により駆動される。
【0016】
トラックフレーム10の前側には、排土用のブレード15が上下動可能に設けられている。このブレード15は、ブレード用油圧シリンダ(図示せず)により上下動するようになっている。
【0017】
旋回体3は、トラックフレーム10の中央部に設けた旋回輪16を介してトラックフレーム10に旋回可能に設けられている。旋回体3は旋回用油圧モータ17により作動される。
【0018】
スイングポスト5は、旋回体3の前側に左右方向に回動可能に設けられ、スイング用油圧シリンダ(図示せず)により左右方向に回動するようになっている。 作業機6は、スイングポスト5に上下方向に回動可能に連結されたブーム18と、このブーム18に上下方向に回動可能に連結されたアーム19と、このアーム19に上下方向に回動可能に連結されたバケット20とを備えている。ブーム18、アーム19、及びバケット20は、ブーム用油圧シリンダ21、アーム用油圧シリンダ22、及びバケット用油圧シリンダ23により上下方向に回動するようになっている。
【0019】
運転室7には、運転者が着座する運転席(座席)25が設けられている。運転席25の前方には、手または足で操作可能とし前後方向に操作することで左の走行用油圧モータ(図示せず)の動作を指示する左走行用操作レバー26と、手または足で操作可能とし前後方向に操作することで右の走行用油圧モータ(図示せず)の動作を指示する右走行用操作レバー26が設けられている。
【0020】
運転席25の左側には、前後方向に操作することでアーム用油圧シリンダ22の動作を指示し、左右方向に操作することで旋回用油圧モータ17の動作を指示する十字操作式のアーム・旋回用操作レバー27が設けられている。また、運転席22の左側(言い換えれば、運転室6の乗降口)には、ロック解除位置(詳細には、運転者の乗降を妨げる下降位置)とロック位置(詳細には、運転者の乗降を許容する上昇位置)に操作されるロックレバー28が設けられている。
【0021】
また、運転席25の右側には、前後方向に操作することでブーム用油圧シリンダ21の動作を指示し、左右方向に操作することでバケット用油圧シリンダ23の動作を指示する十字操作式のブーム・バケット用操作レバー(図示せず)が設けられている。また、運転席25の右側には、ブレード用油圧シリンダの動作を指示するブレード用操作レバー(図示せず)が設けられている。また、運転席25の右側には、エンジンの目標回転数を指示する回転数指示手段としての回転数ダイヤル(図示せず)設けられている。
【0022】
旋回体3における旋回フレーム4の後部には、カウンタウエイト29が設けられている。このカウンタウエイト29と運転席25の側部を覆う外装カバー9とにより、運転席25の後部には、原動機室8が形成され、運転席25の下部には、コントローラ等の制御機器を収納する制御機器室が形成されている。
【0023】
原動機室8内には、エンジンと、このエンジンにより駆動される油圧ポンプと,この油圧ポンプからの圧油を切換え制御する制御弁と,圧油タンクとからなる圧油機器と、エンジンを冷却する機器等とが設けられている。
【0024】
次に、上述した建設機械に装備した本発明のエンジン制御装置の一実施の形態を
図2及び
図3を用いて説明する。
図2は、本発明のエンジン制御装置の第1の実施の形態を示す構成図、
図3は本発明のエンジン制御装置の第1の実施の形態の制御動作を示すフローチャート図である。図
2において、
図1と同じ部分には、同じ符号を付し説明を省略する。
【0025】
図2において、
図1に示す原動機室8内には、エンジン30の左,右方向に延びる横置き状態に配設したエンジン30とこのエンジン30によって駆動される油圧ポンプ31等が搭載されている。油圧ポンプ31は多関節型の作業機6、走行用油圧モー
タ、旋回用油圧モータ17等に圧油を供給する油圧回路32に連結している。
【0026】
エンジン30には、タイミングベルト33を介してオルタネータ34が連結している。オルタネータ34は、発電した電力をバッテリ35に供給する。バッテリ35は、原動機
室8内に設置した電気回路系統及び電装品36に接続し、これらに電力を供給する。
【0027】
エンジン30には、エンジン30を制御するためのエンジン制御部37が接続している。エンジン制御部37には、コントローラ38が接続している。コントローラ38は、記憶部38aと演算部38bとを備えている。
【0028】
演算部38bには、エンジン制御部37からのエンジン30の回転数、オーバヒートの有無等のエンジン30の状態量Eを取り込み、記憶部38aに記憶させるとともに、エンジン30の状態量をモニタ39に出力する表示制御
手段38baと、非作業時に燃料節約及び排気、騒音の低減等のためにエンジン30を自動的に停止させるために、予め設定した時間が経過し、かつ、オペレータが降車したときに、エンジン30を自動停止させる自動停止手段38bbと、後述する電源カットリレーを閉じるように、電源カットリレーのリレー線輪に励磁信号を出力し、また、自動停止手段38bbからの指令により後述する電源カットリレーを閉から開とするように、電源カットリレーのリレー線輪に消磁信号を出力する制御リレー38bcとを備えている。制御リレー38bcは、例えば、機械的接点又は半導体素子で構成されている。
【0029】
自動停止手段38bbは、具体的には、ゲートロックレバー28のスイッチ28aからのロック位置とエンジン制御部37からのオーバヒートの有無とエンジン回転数を取り込み、ゲートロックレバー28がロック位置で、かつオーバヒートしていない状態で、エンジン回転数が一定の回転数のまま、記憶部38aに予め設定記憶した時間を経過した場合に、エンジン自動停止と判断し、制御リレー38bcを介して後述する電源カットリレーをオフさせる。これにより、バッテリ35からエンジン制御部37に供給される電力が遮断されてエンジンは自動停止する。
【0030】
自動停止手段38bbは、エンジン自動停止と判断した場合、エンジン自動停止のための電源カットリレーのオフ操作以外に、例えば、エンジン30の停止から30秒前にブザー40に1回の吹き鳴らし信号を出力し、15秒前になると、エンジン30の停止までの間、モニタ39に警告点滅作動信号を出力し、また、ブザー40に断続音を出力する信号を出力する。
【0031】
エンジン制御部37
とバッテリ35との
間の電源系回路には、キースイッチ41が接続している。キースイッチ41は、端子B,C,ACC間で接続パターンを切り替える形式であり、端子Bはバッテリ35に接続している。キースイッチ41は、キーによって、オフ位置(OFF)からオン位置(ON)、スタート位置(START)に回動操作できるように構成され、キーを挿入してキースイッチ41をスタート位置にセットして、キーから手を離すと、スプリングの力でキースイッチ41はオン位置に戻るように構成されている。
【0032】
そして、キースイッチ41は、キーによって、オフ位置(OFF)からオン位置(ON)に切り替えられると、端子Bが端子Cに接続してバッテリ35からの電力を端子Cに供給する。また、スタート位置(START)に切り替えられると、端子Bが端子Cと端子ACCに接続して、バッテリ35からの電力をスタート信号STとして端子Cからエンジン制御部37に出力する。また、端子ACCは、バッテリ35からの電力を、
図2の太線で示す信号線Pによってエンジン制御部37、オルタネータ34、及び電装品36に供給する。
【0033】
上述した信号線Pにおけるキースイッチ41の端子
ACCとエンジン制御部37の入力側及びコントローラ38、オルタネータ34及び電装品36の入力側との間には、接続端子部42が設けられている。接続端子部42は、キースイッチ41の端子ACCに接続した第1の端子42aと、エンジン制御部37、オルタネータ34、及び電装品36の入力側に接続した第2の端子42bと、後述する電源カットリレーのリレー線輪とコントローラ38の制御リレー38bcに接続する第3の端子42cとを備えている。
【0034】
接続端子部
42には、エンジン自動停止機能を発揮させるために、電源の供給をカットするための電源カットリレー43又は電源の供給を維持するためのジャンパコネクタ44が取付け及び取外し可能に接続される。
【0035】
上記の電源カットリレー43は、2つの固定接点43a,43bと、固定接点43a,43bに接離する常開形の可動接点43cと、可動接点43cに連結したリレー線輪43dとを備えている。固定接点43aは信号線43eを介して接続端子部42の第1の端子42aに接続される。また、固定接点43bは信号線43fを介して接続端子部42の第2の端子42bに接続される。更に、リレー線輪43の一方側は信号線43eに接続し、リレー線輪43の他方側は信号線43gを介して接続端子部42の第3の端子42cに接続される。
【0036】
また、エンジン自動停止機能を不要とする場合には、接続端子部42の第1の端子42aと第
2の端子42bとを短絡するためのジャンパコネクタ44が
接続端子部
42に接続される。ジャンパコネクタ44は、接続端子部42の第1の端子42aと第
2の端子42bとにそれぞれ接続する第1の端子44a,第2の端子44bと、第1の端子44aと第2の
端子44bとを接続する導体44cとを備えている。
【0037】
次に、上述した本発明の建設機械のエンジン自動停止装置の第1の実施の形態の動作を
図2及び
図3を用いて説明する。
建設機械のエンジン自動停止機能を不要とする場合、接続端子部42の第1の端子42aと第2の端子42bにジャンパコネクタ44を装着すれば、接続端子部42の第1の端子42aと第2の端子42bとが短絡接続されるので、キースイッチ41がキーによってオン位置に切り換えられると、端子Bが端子ACCに接続して、バッテリ35からの電力が、エンジン制御部37、オルタネータ34、及び電装品36に供給され、始動準備状態になる。
【0038】
次に、キースイッチ41がキーによってスタート位置に切り換えられると、端子Bが端子C及び端子ACCに接続して、バッテリ35からの電力が、エンジン制御部37、オルタネータ34、及び電装品36に供給されるとともに、エンジン制御部37に始動信号が出力される。この結果、エンジン30が始動し、建設機械を通常のように稼働させることができる。
【0039】
次に、無作業時の排気ガスの排出を停止して、大気汚染等を抑制するためのエンジン自動停止機能を追加したい場合には、接続端子部42からジャンパコネクタ44を取外し、接続端子部42に電源カットリレー43を
図2に示すように接続すれば、エンジン自動停止機能を実行することができるエンジン自動停止装置を追加構成することができる。
【0040】
このエンジン自動停止装置によるエンジンの自動停止動作を次に
図3を用いて説明する。
キースイッチ41がキーによってオン位置に切り換えられると(
図3のステップS301)、端子Bが端子ACCに接続して、バッテリ35からの電力が、エンジン制御部37、オルタネータ34、及び電装品36に供給され、始動準備状態になるとともに、コントローラ38の制御リレー38bcが作動して、電源カットリレー43の
リレー線輪43dが励磁して、可動接点43cが固定接点43a,43bに接触し、電源カットリレー43がオンになる(
図3のステップS302)。
【0041】
次に、キースイッチ41がキーによってスタート位置に切り換えられると(
図3のステップS303)、端子Bが端子C及び端子ACCに接続して、バッテリ35からの電力が、エンジン制御部37、オルタネータ34、及び電装品36に供給されるとともに、エンジン制御部37に始動信号が出力される。この結果、エンジン30が始動する(
図3のステップS304)。
【0042】
上述したエンジン30の始動状態において、コントローラ38の自動停止手段38bbは、キースイッチ41がオフか否かを判断し(
図3のステップS305)、キースイッチ41がオフでないことを確認した後、ゲートロックレバー28のスイッチ28aからのロック位置とエンジン制御部37からのオーバヒートの有無とエンジン回転数を取り込む。
【0043】
そして、コントローラ38の自動停止手段38bbは、ゲートロックレバー28がロック位置で、かつオーバヒートしていない状態で、エンジン回転数が一定の回転数のまま継続している場合に、エンジン自動停止可能状態であると判断し(
図3のステップS306)、この状態が記憶部38aに予め設定記憶した時間を経過した場合に(
図3のステップS307)、制御リレー38bcを介して電源カットリレー43のリレー線輪43dに消磁信号を出力し、電源カットリレー43の可動接点43bを開く(
図3のステップS308)。これにより、バッテリ35からエンジン制御部37等に供給される電力が遮断されて、エンジン30は自動停止する(
図3のステップS309)。
【0044】
自動停止手段38bbは、エンジン自動停止と判断した場合、エンジン自動停止のための電源カットリレー43のオフ操作以外に、例えば、エンジン30の停止から30秒前にブザー40に1回の吹き鳴らし信号を出力し、15秒前になると、エンジン30の停止までの間、モニタ39に警告点滅の作動信号を出力し、また、ブザー40に断続音を出力する信号を出力する。
【0045】
上述したように、本発明の第1の実施の形態によれば、電源側のバッテリ35に接続するキースイッチ41とエンジン制御部37との間に接続端子部42を設け、この接続端子部42に電源カットリレー43を選択的に接続可能にして、建設機械のエンジン自動停止機能を発揮するエンジン自動停止装置を容易に追加設定することができるので、簡単かつ安価な構成により、エンジン制御に対する機能性を向上させることができる。
【0046】
図4乃至
図6は、本発明の建設機械のエンジン制御装置の第2乃至第4の実施の形態をそれぞれ示すもので、これらの実施の形態は、
図2に示す本発明の建設機械のエンジン制御装置の第1の実施の形態に構成に対して、接続端子部42に電源カットリレー43が接続されているか否かを検出し、接続されている場合には、電源カットリレー43の可動接点43cを閉じ操作するものである。
図4乃至
図6において、
図1と同じ部分には、同じ符号を付し説明を省略する。
図4に示す本発明の建設機械のエンジン制御装置の第2の実施の形態は、接続端子部42に電源カットリレー43が接続されているかを検出するためのリレー接続検出手段38bdをコントローラ38に設けている。このリレー接続検出手段38bdは、キースイッチ41の端子ACCからの入力と、オルタネータ34のL端子(チャージランプインジケータにつながる端子)からの出力とにより、接続端子部42に電源カットリレー43が接続されているかを検出する。
【0047】
オルタネータ34は、そのIG端子(図示せず)にキースイッチ41から直接オン信号が入力されるので、キースイッチ41がオフのときは、L端子に電流が流れず、キースイッチ41がオンすると、L端子に電流が流れ、エンジン30が始動して回転すると、電流が遮断される構成となっている。
【0048】
そこで、リレー接続検出手段38bdは
、キースイッチ41の端子ACCから電流が出力されていても、オルタネータ34のL端子からの出力電流がないとき(即ち、オルタネータ34が電荷状態でないとき)には、電源カットリレー43が接続端子部42に接続されていると判断し、制御リレー38bcを介して電源カットリレー43の可動接点43cを閉じる。
【0049】
以降、電源カットリレー43は、前述した第1の実施の形態における自動停止手段38bbにより、開操作されて、電源の供給を遮断する。
【0050】
この実施の形態によれば、前述した第1の実施の形態と同様に、電源側のバッテリ35に接続するキースイッチ41とエンジン制御部37との間に接続端子部42を設け、この接続端子部42に電源カットリレー43を選択的に接続可能にして、建設機械のエンジン自動停止機能を発揮するエンジン自動停止装置を容易に追加設定することができるので、簡単かつ安価な構成により、エンジン制御に対する機能性を向上させることができる。
【0051】
また、リレー接続検出手段38bdによって、接続端子部42に接続した電源カットリレー43を、キースイッチ41のオンと同時に閉じ操作することができるので、電源カットリレー43の開操作の信頼性が更に向上する。
【0052】
図5に示す本発明の建設機械のエンジン制御装置の第3の実施の形態は、第2の実施の形態と同様に、接続端子部42に電源カットリレー43が接続されているかを検出するためのリレー接続検出手段38bdをコントローラ38に設けている。このリレー接続検出手段38bdは、キースイッチ41がオンのとき、端子ACCからの電流を取り込むことにより、電源カットリレー43が接続端子部42に接続されていることを判断し、制御リレー38bcを介して、電源カットリレー43のリレー線輪43dに励磁信号を出力し、電源カットリレー43の可動接点43bを閉じるように構成したものである。
【0053】
そして、端子ACCからの電流を取り込むために、接続端子部42には、電源カットリレー43の信号線43eから分岐した信号線43hが接続される第4の端子42dを備えている。端子42dはリレー接続検出手段38bdに接続している。リレー接続検出手段38bdは、キースイッチ41がオンのとき、端子ACCからの電流を信号先43e,43h,接続端子部42の第4の端子42dを通して取り込むことにより、電源カットリレー43が接続端子部42に接続されていることを判断し、制御リレー38bcを介して、電源カットリレー43のリレー線輪43dに励磁信号を出力し、電源カットリレー43の可動接点43bを閉じる。
【0054】
上述の閉じられた電源カットリレー43は、前述した第1の実施の形態における自動停止手段38bbにより、開操作されて、電源の供給を遮断する。
【0055】
この実施の形態によれば、前述した第2の実施の形態と同様な効果が得られる。
【0056】
図6に示す本発明の建設機械のエンジン制御装置の第4の実施の形態は、
図4及び
図5に示す第2及び第3の実施の形態におけるコントローラ38内のリレー接続検出手段38bdを省略し、制御リレー38bcに手動操作式のスイッチ45を接続して構成してものである。
【0057】
この実施の形態においては、手動操作式のスイッチ45をオンすると、このオン信号が制御リレー38bcに入力される。制御リレー38bcは手動操作式のスイッチ45からのオン信号を取り込み、接続端子部42に接続されている電源カットリレー43のリレー線輪43dに励磁信号を出力する。これにより、電源カットリレー43の可動接点43bが閉じられる。
【0058】
上述の閉じられた電源カットリレー43は、前述した第1の実施の形態における自動停止手段38bbにより、開操作されて、電源の供給を遮断する。
【0059】
この実施の形態によれば、前述した第2の実施の形態と同様な効果が得られる。
【0060】
以上述べたように、本発明の実施の形態によれば、電源側のバッテリ35に接続するキースイッチ41とエンジン制御部37との間に接続端子部42を設け、この接続端子部42に電源カットリレー43を選択的に接続可能にして、建設機械のエンジン自動停止機能を発揮するエンジン自動停止装置を容易に追加設定することができるので、簡単かつ安価な構成により、エンジン制御に対する機能性を向上させることができる。それにより、グローバル対応の建設機械を提供することができる。
【0061】
また、電源カットリレー43を接続端子部42から抜き取り、その後の接続端子部42にジャンパコネクタ44を取り付ければ、エンジン自動停止機能を必要としないエンジン制御回路を構成することができるので、建設機械のエンジン制御に対する機能性が更に拡張する。
【0062】
また、エンジン自動停止機能を発揮する構成は、電源とエンジン制御部37との間に設けた接続端子部42と、この接続端子部42に取り外し可能に接続した電源カットリレー43とで構成し得るので、構成が簡単かつ安価である。
【0063】
更に、エンジン自動停止機能の設定及び解除を容易に改変することができるので、コントローラの結線作業時における精神的な疲労が改善することができるとともに、作業効率が大幅に向上し、生産性が更に向上する。
【0064】
なお、上述の実施の形態においては、電源カットリレー43及びジャンパコネクタ44の信号線を、接続端子部42の各端子に接続したが、電源カットリレー43及びジャンパコネクタ44を、それぞれケース内に収納してユニット化するとともに、ケースに、接続端子部42に挿入する接続ピンを設けて構成することもできる。これによれば、電源カットリレー43及びジャンパコネクタ44の接続端子部42への装着性が更に改善され、作業性が更に向上する。