(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5651673
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】無線通信装置およびそのプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 52/24 20090101AFI20141218BHJP
H04W 88/08 20090101ALI20141218BHJP
H04B 5/00 20060101ALI20141218BHJP
【FI】
H04W52/24
H04W88/08
H04B5/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-263041(P2012-263041)
(22)【出願日】2012年11月30日
(65)【公開番号】特開2014-110478(P2014-110478A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2013年10月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】熊川 敬之
【審査官】
石原 由晴
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−049292(JP,A)
【文献】
特開2005−198094(JP,A)
【文献】
特開2007−282180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
H04B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波の送出および取込みを行う漏洩同軸ケーブルと、
前記漏洩同軸ケーブルから送出する電波の送信出力を予め定められた設定値に制御する制御手段と、
前記漏洩同軸ケーブルで送出および取込みを行う電波と同じ周波数のノイズの強度が、当該装置の100%の送信出力に占める割合を、外部からのノイズ量として検出する検出手段と、
前記設定値を前記検出手段で検出されるノイズ量に応じて補正する補正手段と、
を備えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記設定値を可変設定するための送信出力設定器、
をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
接続インタフェースをさらに備え、
前記送信出力設定器は、前記接続インタフェースを介しての入力データに応じて前記設定値を可変設定することを特徴とする請求項2記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記補正手段は、前記検出手段で検出されるノイズ量に比例する補正値を算出し、算出した補正値の分だけ前記設定値を補正する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記補正手段は、送信出力の最大値を超えない範囲で前記設定値を補正する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項6】
コンピュータを含み、漏洩同軸ケーブルにより電波の送出および取込みを行う無線通信装置において、
前記コンピュータを、
前記漏洩同軸ケーブルから送出する電波の送信出力を予め定められた設定値に制御する制御手段、
前記漏洩同軸ケーブルで送出および取込みを行う電波と同じ周波数のノイズの強度が、当該装置の100%の送信出力に占める割合を、外部からのノイズ量として検出する検出手段、
前記設定値を前記検出手段で検出されるノイズ量に応じて補正する補正手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、漏洩同軸ケーブルをアンテナとして用いる無線通信装置およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
漏洩同軸ケーブルをアンテナとして用いることにより、その漏洩同軸ケーブルの周りに無線LANエリアいわゆるフリースポットを形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−179756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
漏洩同軸ケーブルの周りに形成されるフリースポットの大きさつまり通信可能範囲は、漏洩同軸ケーブルの特性に依るところが大きい。したがって、同じ漏洩同軸ケーブルを持つ製品であれば、ほぼ同じ通信可能範囲を設定することができる。
【0005】
ただし、この通信可能範囲は、外部から入り込んでくるノイズの干渉により変動することがある。
【0006】
実施形態の目的は、ノイズの干渉による通信可能範囲の変動を抑えることができ、これにより信頼性の向上が図れる無線通信装置およびそのプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の無線通信装置は、電波の送出および取込みを行う漏洩同軸ケーブルと、この記漏洩同軸ケーブルから送出する電波の送信出力を予め定められた設定値に制御する制御手段と、
前記漏洩同軸ケーブルで送出および取込みを行う電波と同じ周波数のノイズの強度が、当該装置の100%の送信出力に占める割合を、外部からのノイズ量
として検出する検出手段と、前記設定値を前記検出手段で検出されるノイズ量に応じて補正する補正手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態の構成および通信可能範囲を示す図。
【
図2】一実施形態におけるアクセスポイントのブロック図。
【
図3】一実施形態におけるアクセスポイントの制御を示すフローチャート。
【
図4】一実施形態における補正値選定条件を示す図。
【
図5】一実施形態における送信出力の補正の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、床、天井、テーブル等の取付け面1に円盤形の基台2を設置し、その基台2上に円筒形の筐体3を介してタワー型のアンテナ10を直立状態に立設する。アンテナ10は、電波の送出および取込みを行う線状の漏洩同軸ケーブル11、この漏洩同軸ケーブル11から送出される電波(=漏洩同軸ケーブル11に供給される高周波電力)を減衰させる減衰器(アッテネータともいう)12、これら漏洩同軸ケーブル11および減衰器12を被う円筒状のカバー13からなる。
【0010】
漏洩同軸ケーブル11は、LCXケーブルとも称し、電波を送出(漏洩)および取込むための多数のスロットを軸方向に配列して有する。この漏洩同軸ケーブル11を含むアンテナ10の周りに、2点鎖線で示す無線LANエリアいわゆるフリースポット(サービスエリアともいう)が形成される。このフリースポットの中では、無線通信端末20を用いて自由に無線通信を行うことができる。減衰器12については、漏洩同軸ケーブル11から送出する電波の強度を弱めたい場合に取付けたり、弱めたくない場合は取外しも可能である。減衰量の異なる複数の減衰器12を用意しておき、これら減衰器12のいずれかを選択的に取付ける構成としてもよい。
【0011】
上記筐体3は、アンテナ10を支持することに加え、データの送受信を行う送受信ユニットいわゆるアクセスポイント4を収容する。アクセスポイント4は、
図2に示すように、主制御部として機能するCPU30、外部の通信ネットワークに接続される入出力インターフェース31、電波の送受信を行う送受信部32、外部機器接続用の接続インターフェース33、送信出力設定器34、およびノイズ量検出部(検出手段)35などを構成要素とするコンピュータを含み、CPU30の内部メモリに記憶されているプログラムにより動作する。
【0012】
送受信部32は、CPU30からの指示に応じた信号やデータを高周波電力に重畳して漏洩同軸ケーブル11に送るとともに、漏洩同軸ケーブル11で取込まれる電波に含まれる信号やデータを抽出してCPU30に供給する。接続インターフェース33は、外部機器たとえばパーソナルコンピュータ40の接続用として用意されている。送信出力設定器34は、送受信部32から出力される高周波電力、つまり漏洩同軸ケーブル11から送出する電波の送信出力(強度)を0〜100%の範囲で可変設定するためのもので、操作用のボリュームつまみを含む。
【0013】
ノイズ量検出部35は、漏洩同軸ケーブル11で送出および取込みを行う電波と同じ周波数のノイズの強度が、当該装置の100%の送信出力(強度)に占める割合(チャネル使用率ともいう)を、外部からのノイズ量(%)として検出する。
【0014】
ノイズの発生源として、例えば、電子レンジ、ディジタルテレビ、テレビ信号送信機、防犯用の無線式カメラ、証明写真やシール写真を自動で撮る自動写真機、セキュリテイゲートの機器、ディジタルコードレス電話機、冷蔵庫や空気調和機の圧縮機などがある。
【0015】
そして、CPU30は、主要な機能として次の(1)〜(5)の手段を有する。
(1)漏洩同軸ケーブル11から送出される電波の到達領域に存する無線通信端末20を、その無線通信端末20から送出される電波に含まれるビーコン内の識別データに基づいて認識する認識手段。具体的には、当該アクセスポイント4に固有のビーコンを漏洩同軸ケーブル11からの電波の送出により定期的に送信し、そのビーコンに応答して無線通信端末20から送出される電波およびその電波に含まれるビーコンを受信し、受信したビーコンに含まれる識別データに基づいて無線通信端末20を認識する。この認識により、電波の到達領域に複数の無線通信端末20が存在していても、各無線通信端末20を個々に認識することができる。
【0016】
(2)上記認識した無線通信端末20から送出されて上記漏洩同軸ケーブル11で取込まれる電波の強度を検出する検出手段。具体的には、上記認識手段の機能の一部を含み、漏洩同軸ケーブル11で取込まれる電波のうち、上記ビーコンの定期的な送信に応答して無線通信端末20から送出された電波に含まれるビーコンの信号強度いわゆる受信信号強度R(%)を検出する。受信信号強度は、RSSI(Received Signal Strength Indication)と称される。
【0017】
(3)上記認識した無線通信端末20に対する漏洩同軸ケーブル11からの電波の送出によるデータ送信を、上記検出手段で検出される受信信号強度Rが設定値Rs以上の場合に実行して設定値未満Rsの場合に実行せず、かつその設定値Rsを接続インターフェース33に接続されるパーソナルコンピュータ40からの入力データに応じて可変設定する制御手段。設定値Rsのことを、以下、送信レートRsという。
【0018】
(4)送受信部32から出力される高周波電力つまり漏洩同軸ケーブル11から送出する電波の送信出力を、送信出力設定器34の操作により予め定められた設定値(0〜100%)に制御する制御手段。
【0019】
(5)上記設定値をノイズ量検出部35で検出されるノイズ量に応じて補正する補正手段。具体的には、ノイズ量検出部35で検出されるノイズ量に比例する補正値X(%)を算出し、算出した補正値(%)の分だけ、かつ送信出力の最大値を超えない範囲で、上記設定値を補正する。
【0020】
つぎに、アクセスポイント4のCPU30が実行する制御について説明する。
CPU30は、当該アクセスポイント4に固有のビーコンを高周波電力に重畳し、その高周波電力に基づく電波を漏洩同軸ケーブル11から定期的(制御ループ毎)に送出する。送出された電波は、障害物等がなければ約50mほど離れたところまで到達する。この電波を受けた無線通信端末20は、受けた電波に含まれるビーコンに応答して、当該無線通信端末20に固有のビーコンを含む電波を送出する。
【0021】
CPU30は、漏洩同軸ケーブル11で受けた電波にビーコンが含まれていれば、そのビーコンに含まれる識別データに基づいて送信元の無線通信端末20を認識するとともに、同ビーコンの受信信号強度Rを検出する。
【0022】
漏洩同軸ケーブル11から送出される電波の到達領域に存する無線通信端末20と当該アクセスポイント4との間には、相互間の伝送損失で決まる通信速度いわゆるリンク速度L(Mbps)が存在する。そして、このリンク速度Lは、受信信号強度(RSSI)Rと対応する関係にある。例えば、リンク速度L=54(Mbps)を得るためには、受信信号強度Rとして少なくとも70(%)が必要となる。リンク速度L=48(Mbps)を得るためには、受信信号強度Rとして少なくとも60(%)が必要となる。リンク速度L=36(Mbps)を得るためには、受信信号強度Rとして少なくとも50(%)が必要となる。リンク速度L=24(Mbps)を得るためには、受信信号強度Rとして少なくとも40(%)が必要となる。
【0023】
また、リンク速度Lは、通信可能距離Dと対応する関係にある。例えば、リンク速度Lが54(Mbps)の場合の通信可能距離Dは約1m、リンク速度Lが(Mbps)の場合の通信可能距離Dは約2m、リンク速度Lが36(Mbps)の場合の通信可能距離Dは約3m、リンク速度Lが24(Mbps)の場合の通信可能距離Dは約4mとなる。
【0024】
実際の通信可能距離Dは、
図1に2点鎖線で示すように、漏洩同軸ケーブル11から水平方向、漏洩同軸ケーブル11の上端から上方向、漏洩同軸ケーブル11の上端から下方向にそれぞれあって、これら通信可能距離Dで規定される略円筒状の領域が無線LANエリアいわゆるフリースポットとなる。
【0025】
CPU30は、検出した受信信号強度Rと予め設定されている送信レートRsとを比較する。そして、受信信号強度Rが送信レートRs以上であれば、上記認識した無線通信端末20に対するデータ送信を実行する。受信信号強度Rが送信レートRs未満であれば、上記認識した無線通信端末20に対するデータ送信を実行しない。
【0026】
送信レートRsは、接続インターフェース33にパーソナルコンピュータ40を接続し、そのパーソナルコンピュータ40を操作して設定値データを入力することにより、適宜に変更することができる。
【0027】
例えば、送信レートRsとして50(%)が設定された場合、受信信号強度Rが50(%)以上の無線通信端末20に対してはデータ送信を実行し、受信信号強度Rが50(%)未満の無線通信端末20に対してはデータ送信を実行しない。受信信号強度Rが50(%)以上ということは、リンク速度L=36(Mbps)を確保し得る3m範囲内の無線通信端末20に対してのみデータ送信を実行することになる。3m範囲の外に存する無線通信端末20に対しては、データ送信を実行しない。3m範囲の外に存する無線通信端末20が3m範囲内に移動してきた場合は、データ送信を実行する。3m範囲内の無線通信端末20が再び3m範囲の外に移動した場合は、データ送信を実行しない。
【0028】
送信レートRsとして60(%)が設定された場合、受信信号強度Rが60(%)以上の無線通信端末20に対してはデータ送信を実行し、受信信号強度Rが60(%)未満の無線通信端末20に対してはデータ送信を実行しない。受信信号強度Rが60(%)以上ということは、リンク速度L=48(Mbps)を確保し得る2m範囲内の無線通信端末20に対してのみデータ送信を実行することになる。2m範囲の外に存する無線通信端末20に対しては、データ送信を実行しない。2m範囲の外に存する無線通信端末20が2m範囲内に移動してきた場合は、データ送信を実行する。2m範囲内の無線通信端末20が再び2m範囲の外に移動した場合は、データ送信を実行しない。
【0029】
送信レートRsとして70(%)が設定された場合、受信信号強度Rが70(%)以上の無線通信端末20に対してはデータ送信を実行し、受信信号強度Rが70(%)未満の無線通信端末20に対してはデータ送信を実行しない。受信信号強度Rが70(%)以上ということは、リンク速度L=54(Mbps)を確保し得る1m範囲内の無線通信端末20に対してのみデータ送信を実行することになる。1m範囲の外に存する無線通信端末20に対しては、データ送信を実行しない。1m範囲の外に存する無線通信端末20が1m範囲内に移動してきた場合は、データ送信を実行する。1m範囲内の無線通信端末20が再び1m範囲の外に移動した場合は、データ送信を実行しない。
【0030】
このように、送信レートRsを適宜な値に設定することにより、当該アクセスポイント4の設置場所や使用状況などを考慮しながら、通信可能範囲を適宜に調整することができる。たとえ、漏洩同軸ケーブル11から送出される電波が約50m離れたところまで飛んだとしても、実際のデータ通信を電波の到達距離とは関係なく望みの範囲のフリースポットに確実に制限することができる。フリースポットの外の無線通信端末20に対しては無線通信を遮断するので、無線通信のセキュリティ性および信頼性を高めることもできる。
【0031】
一方、アクセスポイント4のCPU30は、送受信部32から出力される高周波電力つまり漏洩同軸ケーブル11から送出する電波の送信出力を、送信出力設定器34の操作により予め定められた設定値(0〜100%)に制御する。
【0032】
ただし、この送信出力の制御に際し、CPU30は
図3のフローチャートに示す制御を実行する。
すなわち、CPU30は、ノイズ量検出部35で検出されるノイズ量(%)に基づいて例えば
図4に示す補正値選定条件を参照することにより、上記設定値に対する補正値X(%)として、ノイズ量(%)が多いほど大きい値を選定する(ステップ101)。この補正値選定条件は、CPU30の内部メモリに予め記憶されている。
【0033】
そして、CPU30は、選定した補正値X(%)を送信出力設定器34の操作により予め定められた設定値(0〜100%)に加えることにより、その設定を補正する(ステップ102)。
【0034】
例えば
図5に示すように、設定値が30(%)、ノイズ量が0(%)のときには、設定値をそのまま30(%)とする。設定値が30(%)、ノイズ量が16(%)のときには、設定値を46(%)に補正する。設定値が30(%)、ノイズ量が40(%)のときには、設定値を70(%)に補正する。設定値が30(%)、ノイズ量が54(%)のときには、設定値を84(%)に補正する。設定値が30(%)、ノイズ量が24(%)のときには、設定値を54(%)に補正する。設定値が30(%)、ノイズ量が76(%)のときには、設定値を上限の100(%)に補正する。設定値が30(%)、ノイズ量が42(%)のときには、設定値を52(%)に補正する。設定値が30(%)、ノイズ量が18(%)のときには、設定値を48(%)に補正する。
【0035】
CPU30は、送受信部32から出力される高周波電力つまり漏洩同軸ケーブル11から送出する電波の送信出力を、上記補正した設定値に制御する(ステップ103)。
【0036】
このように、ノイズ量(%)が多いほど設定値を高める補正を行うことにより、外部から入り込んでくるノイズの干渉による通信可能範囲つまり通信可能距離Dの不要な変動を抑えることができる。これにより、無線通信装置としての信頼性の向上が図れる。
【0037】
なお、上記実施形態では、アンテナ10が直立している場合を例に説明したが、アンテナ10を床面と平行に倒伏させる場合、アンテナ10を所定角度で傾ける場合、アンテナ10を天井面から吊り下げる場合についても、同様に実施可能である。
【0038】
その他、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、書き換え、変更を行うことができる。これら実施形態や変形は、発明の範囲は要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 電波の送出および取込みを行う漏洩同軸ケーブルと、前記漏洩同軸ケーブルから送出する電波の送信出力を予め定められた設定値に制御する制御手段と、外部からのノイズ量を検出する検出手段と、前記設定値を前記検出手段で検出されるノイズ量に応じて補正する補正手段と、を備えることを特徴とする無線通信装置。
[2] 前記設定値を可変設定するための送信出力設定器、をさらに備えることを特徴とする[1]記載の無線通信装置。
[3] 前記検出手段は、前記漏洩同軸ケーブルで送出および取込みを行う電波と同じ周波数のノイズの強度が、当該装置の100%の送信出力に占める割合を、外部からのノイズ量として検出する、ことを特徴とする[1]記載の無線通信装置。
[4] 前記補正手段は、前記検出手段で検出されるノイズ量に比例する補正値を算出し、算出した補正値の分だけ前記設定値を補正する、ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれかに記載の無線通信装置。
[5] 前記補正手段は、送信出力の最大値を超えない範囲で前記設定値を補正する、
ことを特徴とする[1]乃至[4]のいずれかに記載の無線通信装置。
[6] コンピュータを含み、漏洩同軸ケーブルにより電波の送出および取込みを行う無線通信装置において、前記コンピュータを、前記漏洩同軸ケーブルから送出する電波の送信出力を予め定められた設定値に制御する制御手段、外部からのノイズ量を検出する検出手段、前記設定値を前記検出手段で検出されるノイズ量に応じて補正する補正手段、として機能させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0039】
1…取付け面、2…基台、3…筐体、4…アクセスポイント、10…アンテナ、11…漏洩同軸ケーブル、12…減衰器、13…カバー、30…CPU、31…入出力インターフェース、32…送受信部、33…接続インターフェース、34…送信出力設定器、35…ノイズ量検出部