特許第5651680号(P5651680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5651680
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】高効率タービンおよび発電方法
(51)【国際特許分類】
   F03B 1/00 20060101AFI20141218BHJP
   F03B 3/12 20060101ALI20141218BHJP
【FI】
   F03B1/00 A
   F03B3/12
【請求項の数】21
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-503553(P2012-503553)
(86)(22)【出願日】2010年3月29日
(65)【公表番号】特表2012-522183(P2012-522183A)
(43)【公表日】2012年9月20日
(86)【国際出願番号】US2010029043
(87)【国際公開番号】WO2010114794
(87)【国際公開日】20101007
【審査請求日】2013年1月18日
(31)【優先権主張番号】12/414,279
(32)【優先日】2009年3月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511235652
【氏名又は名称】オーシャン・リニューワブル・パワー・カンパニー・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】OCEAN RENEWABLE POWER COMPANY,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144082
【弁理士】
【氏名又は名称】林田 久美子
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(72)【発明者】
【氏名】マッケンティー・ジャーラス
(72)【発明者】
【氏名】サウアー・クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】マクギニス・パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ファイアーバウ・ミラード
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 特表平11−506180(JP,A)
【文献】 特開昭61−093279(JP,A)
【文献】 国際公開第2001/048374(WO,A2)
【文献】 特開昭59−501870(JP,A)
【文献】 特開昭62−170442(JP,A)
【文献】 特開2003−206848(JP,A)
【文献】 特開2004−312797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 1/00
F03B 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)タービンを両端で境界付ける一対の対向する端部ディスクであって、一対の対向する端部ディスクが軸心と同心に位置合わせされ、対向する少なくとも一方の端部ディスクが発電機と係合するようになっている、一対の対向する端部ディスクと、
b)流体の流れに晒されるときに一方向に回転する複数のブレードであって、i)複数のブレードが一対の対向する端部ディスク間で延びるとともに軸心周りに均等に配置され、ii)回転する複数のブレードが一対の対向する端部ディスクを回転させ、iii)複数のブレードが軸心周りに螺旋状に巻かれた軌跡を形成し、この螺旋状軌跡は、複数のブレードから軸心までの距離がタービンの長さ方向中央部でいずれかの端部よりも大きくなるように、タービンの長さに沿って半径が変化し、iv)複数のブレードは、ゼロでない迎え角を有する翼形断面を更に備え、この迎え角は、翼形断面の翼弦と翼断面に接して相対的な流体流れの方向に向けられる接線との交差角度によって規定され、かつ、タービンの長さに沿って変化する、複数のブレードと、
c)一対の対向する端部ディスクと平行に向けられて、複数のブレードと交差するとともに、軸心と同心に位置合わせされる少なくとも1つの輪状体と、
を備え
前記複数のブレードの軌跡の投影は、複数のブレードと軸心との間の径方向距離がタービンの端部で該端部間の任意の点におけるよりも小さくなる樽形状をなす
タービン。
【請求項2】
請求項1において、前記複数のブレードが軸心周りで螺旋状に延びる少なくとも2つのブレードであるタービン。
【請求項3】
請求項1において、前記複数のブレードの巻き合計が軸心周りに360°回転以上にわたって旋回するタービン。
【請求項4】
請求項1において、ガス流および/または液体流中に浸漬された状態で動作するタービン。
【請求項5】
請求項1において、前記複数のブレードが耐久性のある軽量な材料から製造されるタービン。
【請求項6】
請求項において、耐久性のある軽量な材料が型成形可能な繊維強化複合体であるタービン。
【請求項7】
請求項1において、軸心に沿って延びる中心シャフトを更に備え、中心シャフトが一対の対向する前記端部ディスクと係合するタービン。
【請求項8】
請求項1において、前記一対の対向する端部ディスクのうちの一方と発電機との間に配置されるシャフトを更に備えるタービン。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項において、前記複数のブレードと前記一対の端部ディスクまたは少なくとも1つの輪状体との間の各交差部における前記ブレードの断面形状は、非対称形状であり、前記非対称形状は、前記ブレードの前記交差部以外の部分における断面形状とは異なる形状であるタービン。
【請求項10】
タービンにより発電する方法であって、
a)一対の対向する端部ディスクを設けるステップであって、一対の対向する端部ディスクが軸心と同心に位置合わせされ、少なくとも一方の対向する端部ディスクが発電機と係合するようになっているステップと、
b)流体の流れに晒されるときに一方向に回転する複数のブレードを設けるステップであって、i)複数のブレードが一対の対向する端部ディスク間で延びるとともに軸心周りに均等に配置され、ii)回転する複数のブレードが一対の対向する端部ディスクを回転させ、iii)複数のブレードが軸心周りに螺旋状に巻かれた軌跡を規定し、この螺旋状軌跡は、複数のブレードから軸心までの距離がタービンの長さ方向中央部でいずれかの端部よりも大きくなるように、前記タービンの長さに沿って半径が変化し、iv)複数のブレードは、ゼロでない迎え角を有する翼形断面を更に備え、この迎え角は、翼形断面の翼弦と翼断面に接して相対的な流体流れの方向に向けられる接線との交差角度によって規定され、かつ、タービンの長さに沿って変化する、ステップと、
c)一対の対向する端部ディスクと平行に向けられて複数のブレードと交差する少なくとも1つの輪状体を設けるステップであって、少なくとも1つの輪状体が軸心と同心に位置合わせされるステップと、
d)一対の対向する端部ディスクのうちの少なくとも一方と係合するための発電機を設けるステップと、
e)発電機と複数のブレードとを一対の対向する端部ディスクに取り付けてタービン発電ユニット装置を形成するステップと、
f)タービン発電ユニットを流体の流れの中に配置するステップと、
を含み、
前記複数のブレードの軌跡の投影は、複数のブレードと軸心との間の径方向距離がタービンの端部で該端部間の任意の点におけるよりも小さくなる樽形状をなす
方法。
【請求項11】
請求項10において、前記タービン発電ユニットとベース発電所との間で延びる送信ラインを介して発電機からの電力を利用するステップを更に含む方法。
【請求項12】
請求項10において、前記複数のブレードが軸心周りで螺旋状に延びる少なくとも2つのブレードである方法。
【請求項13】
請求項10において、前記複数のブレードの巻き合計が軸心周りに360°回転以上にわたって旋回する方法。
【請求項14】
請求項10において、前記複数のブレードの螺旋巻回して半径が変化する軌跡は、負荷条件下での応力および歪みを減少させる方法。
【請求項15】
請求項10において、前記タービンをガス流および/または液体流中に浸漬された状態で動作させる方法。
【請求項16】
請求項10において、前記複数のブレードが耐久性のある軽量な材料から製造される方法。
【請求項17】
請求項16において、前記耐久性のある軽量な材料が繊維強化複合体である方法。
【請求項18】
請求項17において、前記複数のブレードが型成形される方法。
【請求項19】
請求項10において、軸心に沿って延びる中心シャフトを更に備え、中心シャフトが前記一対の対向する端部ディスクと係合する方法。
【請求項20】
請求項10において、前記一対の対向する端部ディスクのうちの一方と発電機との間に配置されるシャフトを更に備える方法。
【請求項21】
請求項10から20のいずれか一項において、前記複数のブレードと前記一対の端部ディスクまたは少なくとも1つの輪状体との間の各交差部における前記ブレードの断面形状は、非対称形状であり、前記非対称形状は、前記ブレードの前記交差部以外の部分における断面形状とは異なる形状である方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して述べるとタービンに関し、より詳細には、流体の流れからのエネルギを利用して出力を生成する高効率の一方向タービンに関する。
【背景技術】
【0002】
長年にわたって、タービンは、出力を生成するために流体の流れからのエネルギを利用してきた。風車、ジャイロミル、デルタタービン(delta turbine)、および、サイクロミル(cyclomill)は、長きにわたって、風からのエネルギを利用してこれを動力に変換してきた。水力タービンは、排出物のない再生可能なエネルギ源を実質上無尽蔵に与えることができる海流や潮流を利用する。たとえば、ダリウスタービン(Darrieus turbine)、風力タービン、ゴルロフのスパイラルタービン(Gorlov Helical Turbine)(GHT)、水中タービンはそれぞれ、出力を生成するために流体の流れのエネルギを利用する独特の手法をとる。
【0003】
垂直軸風力タービン(VAWT)であるダリウス風力タービンは、垂直シャフトと、この垂直シャフトに固定され、この垂直シャフトにおいて互いに対称的に配置された複数の垂直翼とを備えている。その垂直シャフトはギアボックスと発電機に連結され、トルクを電力に変換する。VAWTはどの方向の風からの風力も有効に利用できるが、幾つかの短所がある。第1に、ダリウスタービンは自己起動性に乏しく、流れを受けて回転し出す際に、何らかの始動力が必要である。第2に、ダリウスタービンの翼は、空気流の方向に対して垂直になる2つの位置において、その回転周期における最大のトルクを生成する。すなわち、ダリウスタービンの翼は、流れに対して迎え角が変化する。そのため、生成されるトルクには、正弦波状の変化が発生する。これが翼(ブレード)の固有振動数に合致すると、その共振は破壊的なものになり得る。したがって、ダリウスタービンには、破壊的な共振が生じる前にVAWTの回転を減速させる何らかの制動機構が必要となる。最後に、ダリウスタービンのシャフトと発電機とを接続するにあたり、ギアによる増減速が必要となる。これは、機械的不良の原因になり得る。
【0004】
ゴルロフのスパイラルタービン(GHT)は、ダリウスタービンの原理に基づいた水系タービンであり、翼形断面のブレードが中心部のシャフトおよび回転軸に沿って延びているという点が同じである。しかし、GHTの構造は、ダリウスタービンの短所を改善するようにされている。第1に、GHTの水中翼ブレードは、回転軸を中心として螺旋状に捻れているので、流れの中で、一定の最適な迎え角が常に得られる。これにより、ダリウスタービンの共振の問題が解消される。第2に、GHTは、タービンと発電機との間のギアによる増減速を最小に抑制する。しかし、これらの改良点にもかかわらず、GHTには幾つかの制限もある。まず、GHTは最大で約35%の効率しか得られない。さらに、螺旋形状のブレードは直円筒の円周軌道を描くので、大きな遠心応力が発生する。また、GHTは、流入チャネルおよび流出チャネルを有する囲み構造を一般に必要とし、好ましくは、流体の流れをガイドして乱流を軽減するための内側に延びる湾曲した側壁を備えている。
【0005】
参照することにより本願に組み入れられる米国特許出願第11/985,971号はこれらの問題の一部を扱う。この出願では、2つ以上の螺旋巻回ブレードが、エネルギの生成のために流体の流れを効率的に利用するバレル(樽)形状のタービンを形成する。このタービンは、2つ以上の螺旋状に巻かれたブレードのそれぞれをタービンの中心シャフトに固定する径方向スポークを備える。径方向スポークおよび中心シャフトは、抗力を生み出して、海藻などの残骸を蓄積する場合があり、そのため、効率が低下する場合もある。また、特定の実施形態では、2つ以上のブレードが中心シャフトに独立に固定されるため、スポークの形態が偏向問題を不十分に扱う場合があり、それにより、動作ブレードと非動作ブレードとの間の負荷伝達が妨げられる。
【0006】
海流や潮流は世界中に存在して一定の速度で流れ或いはその速度変化を極めて容易に予測できるため、これらの流れのエネルギを電気に変換することにより、世界中の多くの場所の電力システムに対して、予測できる確実な電気供給を行なうことができる。全世界の人口の約70%が海から200マイル(約320km)以内に居住しているため、海を再生可能なエネルギ源として利用できる。したがって、当該技術分野では、低速で高出力を生み出して、潮流、公海の海流、河川、土手道、運河、ダム、および、任意の他の天然または人工の水流を含む様々な場所および水流条件からエネルギを効率的に利用する、容易に製造可能で頑丈な高効率のタービンが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、既存の水力タービンに関連する問題を解決して、低速で高出力を生み出し、かつ様々な場所および水流条件からエネルギを効率的に利用する、容易に製造可能で頑丈な高効率のタービンを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、タービンを両端で境界付ける一対の対向する端部ディスクを備えるタービンを含み、一対の対向する端部ディスクは中心の軸心と同心に位置合わせされ、少なくとも一方の対向する端部ディスクは発電機と係合するようになっている。タービンは、流体の流れに晒されるときに一方向に回転する複数の翼(ブレード)を備え、複数のブレード(翼)は、一対の対向する端部ディスク間で延びるとともに、軸心周りに均等に配置され、回転する複数のブレードは一対の対向する端部ディスクを回転させる。複数のブレードは翼形状の断面を有し、この翼形断面は、流れに対してゼロでない迎え角を与える。この迎え角は、翼形断面の翼弦と翼断面に接して相対的な流体流れの方向に向けられる接線との交差角度によって規定される。
【0009】
複数のブレードは、軸心周りに螺旋軌跡となるように巻回される。この螺旋状軌跡は、複数のブレードから軸心までの距離がタービンの長さ方向の中央部付近でいずれかの端部よりも大きくなるように、軸心の長さに沿って半径が変化する。したがって、複数のブレードは、回転時に樽状の筒の外周軌道を描く。最後に、タービンは、一対の対向する端部ディスクと平行に向けられて、複数のブレードと交差するとともに、軸心と同心に位置する少なくとも1つの整形された輪状体を備える。幾つかの実施形態では、複数のブレードのそれぞれが軸心周りに360°回転以上にわたって旋回し、また、他の実施形態では、複数のブレードの巻き合計が軸心周りに360°回転以上にわたって旋回する。
【0010】
また、本発明は、発電する方法も含み、該方法は、一対の対向する端部ディスクを設けるステップであって、一対の対向する端部ディスクが軸心と同心に位置合わせされ、少なくとも一方の対向する端部ディスクが発電機と係合するようになっているステップを含む。該方法は、流体の流れに晒されるときに一方向に回転する複数のブレードを設けるステップであって、複数のブレードが一対の対向する端部ディスク間で延びるとともに軸心周りに均等に配置され、回転する複数のブレードが一対の対向する端部ディスクを回転させるステップを含む。複数のブレードは、ゼロでない迎え角を有する翼形断面を更に備え、この迎え角は、翼形断面の翼弦と、翼断面に接して相対的な流体流れの方向に向けられる接線との交差角度によって規定される。また、複数のブレードは、軸心周りに螺旋状に巻回する軌跡を有するとともに、複数のブレードから軸心までの距離がタービンの軸心方向(長さ方向)の中央部でいずれかの端部よりも大きくなるように軸心の長さに沿って半径が変化する。
【0011】
複数のブレードを設けた後、この方法は、一対の対向する端部ディスクと平行に向けられて複数のブレードと交差する少なくとも1つの輪状体を設けるステップを含み、前記少なくとも1つの輪状体は軸心と同心に位置合わせされる。次のステップは、一対の対向する端部ディスクのうちの少なくとも一方と係合する発電機を設けるステップと、発電機と複数のブレードとを一対の対向する端部ディスクに取り付けてタービン発電ユニット装置を形成するステップと、タービン発電ユニット装置を流体の流れの中に配置するステップとを含む。
【0012】
本発明の実施形態のこれらの特徴および利点並びに他の特徴および利点は、以下の図を参照して詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(A)、(B)および(C)はそれぞれ本発明のタービンの一実施形態を示す斜視図、側面図および端面図である。
図2】(A)、(B)および(C)はそれぞれ、他の実施形態を示す斜視図、側面図および端面図である。
図3】(A)、(B)および(C)はそれぞれ、別の実施形態を示す斜視図、側面図および端面図である。
図4】(A)、(B)および(C)はそれぞれ、さらに別の実施形態を示す斜視図、側面図および端面図である。
図5】本発明のタービンブレードの一実施形態の断面図である。
図6】流体の流れ中に配置された図5の断面図である。
図7A】さらに別の実施形態の斜視図である。
図7B図7Aのタービンの実施形態の分解斜視図である。
図7C図7Aのタービンの実施形態の側面図である。
図7D図7Aのタービンの実施形態の拡大斜視図である。
図8A】本発明のタービンのさらに別の実施形態を示す端面図である。
図8B図8Aの実施形態の拡大断面図である。
図9A】本発明のタービンの一実施形態の解析モデルを示す図である。
図9B】本発明のタービンの一実施形態の解析モデルを示す図である。
図10】本発明に係る発電方法の一実施形態を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明はタービンおよび発電方法を含む。本発明の独自の設計により、低い流速で高出力を生み出しかつ様々な場所および水流条件からエネルギを効率的に利用する、容易に製造可能でスケーラブル(拡大/縮小可能)な高効率のタービンが提供される。タービンの製造方法は、低コストで容易に再現できるスケーラブルなプロセスである。以下、本発明の幾つかの好ましい実施形態および変形例を参照しつつ、本発明の様々な特徴および利点について説明する。しかしながら、当業者であれば分かるように、記載される本発明の範囲および原理から逸脱することなく、本明細書中で説明される構造および方法に対する代替的な実施形態が使用されてもよい。
【0015】
図1A図4Cに示されるように、本発明の高効率タービン100の典型的な実施形態はそれぞれ、タービン100の両端を境界付ける一対の対向する端部ディスク102a,102bと、一対の対向する端部ディスク102a,102b間で延びる複数のブレード105とを備える。対向する端部ディスク102a,102bはタービン100の軸心110と同心に位置合わせされており、少なくとも1つの対向する端部ディスク102a,102bは、参照することにより本願に組み入れられるSauer et al.の米国特許出願第11/975,581号に開示されるような発電機と係合するようになっている。また、タービン100は、一対の対向する端部ディスク102a,102bと平行に向けられて複数のブレード105と交差する少なくとも1つの輪状体(faired ring)107を備える。少なくとも1つの輪状体107もタービン100の軸心110と同心に位置合わせされている。
【0016】
複数のブレード105は、流体の流れに晒されるときに一方向に回転して、一対の対向する端部ディスク102a,102bを回転させる。複数のブレード105は、軸心周りに均等に配置され、タービン100の軸心110周りで螺旋状に巻かれた経路を辿る。複数のブレート105の螺旋状軌跡は、複数のブレード105から軸心110までの距離がタービン100の軸方向中央部でいずれかの端部よりも大きくなるように、タービン100の長さ方向に沿って半径が変化する。たとえば、図1A,2A,3A,4A,7Aの実施形態に明確に描かれるように、複数のブレード105は、樽の円形の垂直断面を傾斜角を変化させて横切る点の回転によって樽上を辿る曲線に相当する形状をとる。つまり、複数のブレード105は、軸心110の長さに沿って半径が変化する螺旋状軌跡を与える。
【0017】
図1A図4Cおよび図7A図7Dの実施形態において、タービン100は、複数のブレード105が少なくとも1つの輪状体107によって軸心に対して固定された位置に保たれることで、樽形状をとる。タービン100の軸心110から、少なくとも1つの輪状体107と複数のブレード105との間の交差ポイントまでの距離Dは、軸心110の長さに沿って変化する。たとえば、図3Aに明確に描かれるように、第1の輪状体107aは、第1の輪状体と複数のブレード105との間の交差部が軸心から第1の距離D3aに存在するように軸心110の中間点またはその近傍に配置される。その第1の距離D3aは、第1の輪状体107aに跨って第1の輪状体107aと端部ディスク102a,102bとの間に配置される一対の第2の輪状体107bと軸心110との間の第2の距離D3bよりも長い。輪状体107a,107bのこの漸進的な直径の減少により、複数のブレード105は、タービン100の横断面円形の樽状の壁に沿って半径が変化する。複数のブレード105のこの独特の軌跡(螺旋巻回および樽湾曲)は、ブレード強度を高め、負荷条件下での応力および歪みを減少させる。また、この独特の樽形状は、本発明のタービン100が直円筒のタービンよりも高効率で動作できるようにするのにも役立つ。
【0018】
樽形状に加えて、他の特徴も本発明のタービン100の効率を高める。たとえば、一実施形態において、複数のブレード105は、半径を変化させながら軸心110周りに螺旋状に延びることに加えて、軸心110周りに合計360°回転以上にわたって旋回する。図1A,2A,3A,4A,7Aの各実施形態では、各ブレード105が90°回転にわたって旋回し、複数のブレード105は4つのブレード105を備える。この実施形態では、複数のブレード105の少なくとも一部が常に好ましい流れ位置にあり、また、複数のブレード105が合計で360°にわたって巻回する。更なる他の実施形態では、タービン100が3つのブレード105を備え、各ブレードが120°回転する。他の実施形態において、タービン100は、それぞれが72°回転する5つのブレード105を備えてもよく、あるいは、それぞれが60°回転する6つのブレード105を備えてもよい。特定数のブレード105の選択は、特定の河川または潮の場所の特性によって決まる。しかしながら、全ての実施形態において、複数のブレード105の巻回は合計で360°である。
【0019】
ここで、図5および図6を参照すると、複数のブレード105は、前縁210、後縁220、および、中心翼弦230を持つエアフォイルまたはハイドロフォイル形状の断面200を有する。本発明の一実施形態において、ハイドロフォイル断面(水中翼の翼断面)200は、空気力学的なアスペクト比、たとえば、NACA0018またはNACA0020を備える。この形態は、タービン100の回転速度を最大にして、複数のブレード105が遠心力および流体の流れによる力に耐える強固な形態を有することを可能にする。ハイドロフォイル断面200は、中心翼弦230周りで対称であってもよいが、非対称であることが好ましい。非対称構造は、最大トルクを生み出すのに役立ち、それにより、最大効率を得るのに寄与する。
【0020】
ハイドロフォイル断面200は、揚力を生み出して生成トルクを最大にするためにゼロでない迎え角240も与える。迎え角240は、中心翼弦230と、ハイドロフォイル断面200に接して相対的な流体流れ250の方向に向けられる接線245との交差によって規定される角度である。本発明の一実施形態において、迎え角240は、複数のブレード105のそれぞれの長さに沿って変化する。複数のブレード105は、流体流れ250の方向に対してゼロでない最適な迎え角240を有する少なくとも1つのポイント、より好ましくは少なくとも2つのポイントを常に持つ。この変化する迎え角240は、タービン100の長さに沿う、中心半径の小さい部分での遅い周速度を補償する。したがって、変化する迎え角240で軸心110周りに巻回する1つ以上のブレード105のそれぞれのこのような形状は、タービン回転中の乱流の可能性を減少させ、タービン100の効率を高める。
【0021】
また、変化するゼロでない迎え角240により、タービン100を流体の流れ250の中に配置した際、タービン100のハイドロフォイル断面200の周りの圧力差がタービン100を自動始動させる。また、本発明のタービン100は、抗力の原理ではなく揚力の原理で動作する他のタービンと同様に、流体の流れ250の方向に関係なく一方向にのみ回転する。このようにして、本発明のタービン100の空気力学的なブレードは、任意の方向からタービン100に近づく流体の流れ250からのエネルギを効率的に利用することができる。
【0022】
生成トルクを最大にする効果に役立つ複数のブレード105のハイドロフォイル断面200に加えて、少なくとも1つの輪状体107もその効果に寄与する。少なくとも1つの輪状体107の流線型の丸みを帯びるように整形された前縁210は、複数のブレード105の前縁210と同じ方向に向けられ、それがタービン100の流体力学的構造の効率に更に寄与する。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの輪状体107が図1A図4Cの実施形態に明示されるようにリング形状であってもよいが、他の実施形態では、少なくとも1つの輪状体107が図7A図7Dに描かれるようにディスク(円盤)形状であってもよい。タービンサイズおよび流体の流れ250の速度によっては、少なくとも1つの輪状体107の剛体(solid surface)ディスクの実施形態が、動作ブレード105と非動作ブレード105との間の負荷伝達を助けるため、および/または水面下のタービン100を貫く層流の流体流れ250を維持するために好ましい。いずれの実施形態においても、少なくとも1つの輪状体107は、複数のブレード105を支持するために中心シャフト112の長さに沿って同様に配置された複数の独立の径方向支持スポークよりも抗力が小さい。
【0023】
少なくとも1つの輪状体107は、負荷を動作ブレード105から1つ以上の非動作ブレード105へと伝達する働きをする。これは、動作ブレードに作用する応力および歪みを減少させるとともに、複数のブレード105の偏向を減らす。応力および歪みのこの減少に起因して、複数のブレード105がガラス繊維複合体などの頑丈で軽量な材料から製造および/または型成形されてもよい。また、タービン100の少なくとも1つの輪状体107が繊維強化複合体から型成形されてもよい。これは、高負荷条件下で変形に抵抗できる頑丈な軽量構造をもたらす。
【0024】
また、特定のタービン100における輪状体107の適切な数の選択は、負荷下での変形を減少させるのに役立つ。たとえば、図9Aおよび図9Bは、2つのタービン100のモデルの有限要素解析を描いている。2つのタービン100は、図9Aのタービン100が1つの中央部に位置する輪状体107を備えるのに対し、図9Bのタービン100が2つの等しい距離で離間した輪状体107を備えている点を除いて、全ての寸法が同一である。図9Bのタービン100は偏向があまり生じない。これは、輪状体107の位置および数が、複数のブレード105を効果的に拘束して、複数のブレード105間でより効果的な負荷伝達を可能にし、それにより、動作ブレード105の内部応力が減少するからである。複数の輪状体107を備える実施形態では、軸心110に沿う輪状体107の均等な間隔が望ましくない場合がある。軸心110の長さに沿う輪状体107のための配置場所を決定するために何らかの最適化が必要な場合がある。輪状体107の間隔を最適にすると、複数のブレードに作用する応力および歪みが減少し、それにより、偏向が減少して、出力生成(発電)の効率が最大になる。
【0025】
本発明のタービン100の端部ディスク102a,102bおよび少なくとも1つの輪状体107は、複数のブレード105と交差して、これらの要素105、107を強固に係合して適切に負荷伝達する。図8Aおよび図8Bは、複数のブレード105を少なくとも1つの端部ディスク102a,102bまたは輪状体107に結合するための技術の一実施形態を描いている。この実施形態では、複数のブレード105がガラス繊維のような繊維強化複合材料から成形される。複数のブレード105と端部ディスク102a,102bまたは少なくとも1つの輪状体107との間の各交差部300では、ブレード105がガラス繊維から成形される中実の非対称形状断面305を有する。したがって、交差部300におけるブレード105の非対称形状断面305は、ブレード105における交差しない部分のハイドロフォイル形状断面200とは異なる形状を有する。端部ディスク102a,102bまたは輪状体107との交差部300に配置される非対称形状断面305は2つの平行な直線縁部307を備え、該直線縁部は、これらの2つの平行な直線縁部間で延びる長手方向直線縁部309によって離間される。この構造は、交差する端部ディスク102a,102bまたは輪状体107の外周縁に配置された、同様に形成される窪み310と係合する部分的に長方形の輪郭を伴う非対称形状断面305を与える。
【0026】
一実施形態において、端部ディスク102a,102bまたは輪状体107は、長方形状の窪み310が機械加工される中実材料から製造されてもよい。他の実施形態では、非対称形状断面305を受けるための窪み310が端部ディスク102a,102bまたは輪状体107の外周に形成されるように端部ディスク102a,102bまたは輪状体107が繊維強化複合体から成形されてもよい。いずれの実施形態でも、少なくとも1つの端部ディスク102a,102bまたは輪状体107が、非対称形状断面305に対応した形状を有してこの断面305を受け入れるための窪み310を備える。図8Aおよび図8Bの実施形態では、細長い窪み310の長手方向軸が端部ディスク102a,102bまたは輪状体107の径方向と垂直でない角度を成す。この実施形態は、交差するブレード105のねじれに対応する。
【0027】
図8Aおよび図8Bの実施形態は、ブレード105の非対称形状断面305を端部ディスク102a,102bまたは輪状体107に取り付けるためのボルト締めシステムを更に備える。ボルト締めシステムは、端部ディスク102a,102bまたは輪状体107に形成され或いは機械加工されるとともに窪み310の長手方向軸に対して平行に延びる長手方向軸を有する楕円形状の切り欠き315を備える。切り欠き315および窪み310は、これらに挿通されて切り欠き315内に配置されるワッシャ325と係合する1つ以上の機械的な締結具320を支持するのに十分な幾らかの長さだけ、端部ディスク102a,102bまたは輪状体107を横切って離間される。1つ以上の機械的な締結具は、たとえばボルト、ねじ、およびリベットなどであり、ブレード105の非対称形状断面305を貫通してワッシャ325と係合することにより、ブレード105を端部ディスク102a,102bまたは輪状体107に対して強固に締結する。
【0028】
複数のブレード105、端部ディスク102a,102bおよび少なくとも1つの輪状体107は、軽量金属や繊維強化複合体またはプラスチックなどの任意の耐久性のある軽量材料から製造できる。また、複数のブレード105、端部ディスク102a,102bおよび少なくとも1つの輪状体107は中空または中実であってもよい。本発明の一実施形態では、複数のブレード105、端部ディスク102a,102bおよび少なくとも1つの輪状体107がガラス繊維または炭素繊維強化複合体などの繊維強化複合体から回転モールド成形される。少なくとも端部ディスク102a,102bおよび/または1つの輪状体107が複数のブレード105間で負荷を効率的に伝達し、それにより、応力を減少させて偏向を減らすので、複数のブレード105は、炭素繊維強化複合体ではなく、費用効率が高い軽量な繊維強化複合体105から製造するのが有益である。本発明の他の実施形態において、複数のブレード105、端部ディスク102a,102bおよび少なくとも1つの輪状体107は、ポリヒドロキシブチレート系プラスチック、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ナイロン、アクリル、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、硫化ポリフェニル、シリコーン、および、ポリウレタンからなるグループから選択されるがこれらに限定されない、高強度プラスチック材料から製造される非中空部材である。複数のブレード105、端部ディスク102a,102bおよび少なくとも1つの輪状体107は、機械加工、回転モールド製法、押出成形、または、射出成形などの任意の数の既知の製造方法によって形成することができる。
【0029】
複数のブレードおよび少なくとも1つの輪状体に加えて、図1B図3Cの実施形態などのタービンの幾つかの実施形態は、タービンの軸心110に沿って配置される中心シャフト112を備えてもよい。図4A図4Cに描かれる実施形態などの他の実施形態は、中心シャフト112を必要とせず、その代りに、端部ディスク102a,102bの少なくとも一方の外面上に配置され、および/または該外面と一体の端部シャフト114を備える。図1A図3Cに示されるように、中心シャフト112を備えるタービン100の実施形態でも、少なくとも一方の端部ディスク102a,102bに配置される端部シャフト114を備える。中心シャフト112を備える実施形態において、少なくとも1つの端部シャフト114は、端部ディスク102a,102bを貫通してこれを越えて延びる中心シャフト112の一部分であってもよい。中心シャフト112を排除して1つ以上の端部シャフト114だけを維持することは、タービン100の回転動作中の抗力を減少させて、ごみがタービン100に絡まることにより効率が低下する可能性を減らすのに役立つ。
【0030】
端部シャフト114は、タービン100の回転中に電力を発生させるために1つ以上の発電機と係合するようになっている。したがって、端部シャフト114は、端部ディスク102a,102bから端部シャフト114を剪断するような大きなトルクまたはモーメント力に耐えるよう、端部ディスク102a,102bと強固に係合される。たとえば、端部シャフト114は、端部ディスク102a,102bにボルト締結されてもよく、あるいは、一片の素材から端部ディスク102a,102bとともに形成されてもよい。図1A図4Cの実施形態において、端部ディスク102a,102bは、それらの中心へ向けて厚くなっており、それにより、剛性を高めるとともに、端部シャフト114との接続点で応力を減少させる。図1B,2B,3B,4Bはこの厚肉化技術を最も明確に描いている。これらの図は、各端部ディスク102a,102bの両側で対称的な形状の厚肉化を描いている。しかしながら、中心シャフト112の存在、タービン100の全体のサイズ、および、使用中の予期される力などのファクタに応じて、端部ディスク102a,102bの局部的な厚肉化が一方側または両側で行なわれてもよい。端部ディスク102a,102bの断面厚を端部シャフト114との接続点で増大させることにより、負荷を端部シャフト114へ、その後、係合される発電機(図示せず)へと更に効果的にかつ効率的に伝達することができる。
【0031】
本発明のタービン100は、発電機と係合されて、タービン発電ユニット(TGU)を形成する。中心シャフト112および/または端部シャフト114は、動作時の力に耐えることのできる任意の頑丈な材料から製造される。たとえば、中心シャフト112および/または端部シャフト114は、1つ以上のタービン100を設置できるように、および/または1つのタービン100における複数のブレード105の軌跡の変化に対応できるように長さを変えることができる2インチ(約5cm)直径のスケジュール80の鋼製バイプであってもよい。1つ以上のタービン100は一般に永久磁石発電機と直接に係合し、そのため、該発電機はギアによる増減速を必要としない。1つ以上のタービン100は、流体の流れ250の中で回転して、その流れのエネルギを機械エネルギに変換し、この機械エネルギは、回転する端部シャフト114を介して、端部シャフトに接続される水中永久磁石発電機に直接に伝わる。
【0032】
発電機は機械エネルギ(すなわち、RPMおよびトルク)を電気に変換する。一実施形態では、パワーエレクトロニクスシステムが、発生された電気を制御し、調整し、同期化する。同期化された電気は、その後、1つ以上の水中送電ケーブルを介して海岸の変電所に到達する。電気エネルギを海岸へ送る代わりに、更なる他の実施形態では、沖合で発電システムが水素および/または飲用水を生産した後、この水素および/または飲用水を世界中の任意の受入れ基地に輸送するようにしてもよい。
【0033】
水中TGUは、流体の流れのエネルギを十分かつ効率的に利用できかつ商船活動やその他の水上活動を妨げないように流れの中の最適な場所に位置させることができる。流速は一般的に深さに応じて変化するので、すなわち、通常、水平面内では流速があまり変化しないので、TGUの水平配置が電力を効率的に発生する。水中タービン発電ユニットは垂直配置にも適合できる。そのような垂直配置は、垂直方向でほぼ均一な流速を有するほぼ一方向の流れの水路内において好ましい。
【0034】
本発明の実施形態に係る水中タービン発電ユニットは、バージ船などの取付プラットフォームに個別に取り付けてもよく、あるいは、タービン発電ユニットの幾つかが水中に完全に沈めることのできるプラットフォーム構造体(図示せず)に取り付け(“積み重ね”)てもよい。プラットフォームは、係留ラインおよびアンカーを備える係留システムによって水路の底に引っ掛けられてもよい。あるいは、浅瀬に配置されるTGUは、杭または他の適切な既存の基礎構造、たとえば、既存の石油掘削プラットフォームや桟橋に直接取り付けてもよい。
【0035】
本発明は、本発明のタービン100を発電機と係合させて流体の流れ250の中に配置できるタービン発電ユニットを形成することによって電力を生成する方法1000を含む。図10は、この発電方法1000の一実施形態を描いている。第1のステップS1005は、一対の対向する端部ディスク102a,102bを設けることを含み、この場合、一対の対向する端部ディスク102a,102bは軸心110と同心に位置合わせされ、また、対向する少なくとも一方の端部ディスク102a,102bは発電機と係合するようになっている。第2のステップS1010は、流体の流れ250に晒されるときに一方向に回転する複数のブレード105を設けることを含み、この場合、複数のブレード105は、一対の対向する端部ディスク102a,102b間で延びるとともに、軸心110周りに均等に配置される。
【0036】
複数のブレード105は、流体の流れに晒されるときに一方向に回転して、一対の対向する端部ディスク102a,102bを回転させる。複数のブレード105は、タービン100の軸心110周りで螺旋状に巻かれた経路を辿る。複数のブレートの螺旋状軌跡は、複数のブレード105から軸心100までの距離がタービン100の軸心方向(長さ方向)の中央部でいずれかの端部よりも大きくなるように、タービン100の長さに沿って半径が変化する。たとえば、図1A,2A,3A,4A,7Aの実施形態に明確に描かれるように、複数のブレード105は、樽の円形の垂直断面を傾斜角を変化させて横切る点の回転によって樽上を辿る曲線に相当する形状をとる。こうして、複数のブレード105は、軸心110の長さに沿って半径が変化する螺旋状軌跡を与える。
【0037】
図10に描かれる電力を生成する方法の実施形態における第3のステップS1015は、一対の対向する端部ディスク102a,102bと平行に向けられて複数のブレード105と交差する少なくとも1つの輪状体107を設けることを含む。この場合、少なくとも1つの輪状体107は軸心110と同心に位置合わせされている。第4のステップS1020は、一対の対向する端部ディスク102a,102bのうちの少なくとも一方と係合するための発電機を設けることを含み、第5のステップS1025は、発電機と複数のブレード105とを一対の対向する端部ディスク102a,102bに取り付けてタービン発電ユニット装置を形成することを含む。最終ステップS1030は、タービン発電ユニットを流体の流れ250の中に配置することを含む。
【0038】
なお、前述の例は、単なる説明の目的のためだけに示されており、決して本発明を限定するものと解釈されるべきでない。典型的な実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本明細書中で使用された文言が説明用および例示用の文言に過ぎず、限定的な意味を含む文言でないことは言うまでもない。本発明の思想および範囲から逸脱することなく、現時点の特許請求の範囲内および補正後の特許請求の範囲内で変更を行なうことができる。ここでは特定の手段、材料および実施形態を参照しながら本発明を説明してきたが、本発明は本明細書中に開示された前記特定の事項に限定されない。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲内の構造、方法および用途と機能的に等価なあらゆる構造、方法および用途に及ぶ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図9A
図9B
図10