特許第5651714号(P5651714)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5651714クローズドセルの膨張パーライトを用いた保温材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5651714
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】クローズドセルの膨張パーライトを用いた保温材
(51)【国際特許分類】
   C04B 38/08 20060101AFI20141218BHJP
   C04B 28/26 20060101ALI20141218BHJP
   C04B 26/02 20060101ALI20141218BHJP
   C04B 14/18 20060101ALI20141218BHJP
   F16L 59/02 20060101ALN20141218BHJP
   F16L 59/147 20060101ALN20141218BHJP
【FI】
   C04B38/08 B
   C04B28/26
   C04B26/02 Z
   C04B14/18
   !F16L59/02
   !F16L59/147
【請求項の数】17
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-556017(P2012-556017)
(86)(22)【出願日】2011年3月3日
(65)【公表番号】特表2013-522148(P2013-522148A)
(43)【公表日】2013年6月13日
(86)【国際出願番号】KR2011001454
(87)【国際公開番号】WO2011108856
(87)【国際公開日】20110909
【審査請求日】2012年9月5日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0020108
(32)【優先日】2010年3月5日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512229791
【氏名又は名称】キョントン ワン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】KYONGDONG ONE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(72)【発明者】
【氏名】ペク, ブン−ギュ
(72)【発明者】
【氏名】リー, サン−ユン
【審査官】 末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−032667(JP,A)
【文献】 特開平03−037168(JP,A)
【文献】 特開平05−243781(JP,A)
【文献】 特開平10−259048(JP,A)
【文献】 特開平06−100384(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2006−0012497(KR,A)
【文献】 特開平06−256057(JP,A)
【文献】 特開平09−328374(JP,A)
【文献】 特開平06−056497(JP,A)
【文献】 特開2010−047459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 7/00−28/36
C04B 38/00−38/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面がクローズドセル(Closed Cell)形状を有するクローズドセルの膨張パーライトが20〜40g/l範囲のバルク比重(Bulk Density)を有する膨張パーライト全体重量を基準として50重量%以上含まれた膨張パーライト10〜84重量%と、液状バインダ15〜85重量%と、補強繊維0.25〜5重量%とを含むクローズドセルの膨張パーライトを用いた保温材。
【請求項2】
前記クローズドセルの膨張パーライトが膨張パーライト全体重量を基準として500重量%以上含まれた膨張パーライトの粒子は、膨張パーライト全体重量を基準として400μm超過粒子15±10重量%と、400〜250μm粒子40±15重量%と、250〜160μm粒子20±10重量%と、160未満粒子30±15重量%の粒度分布とで構成されることを特徴とする、請求項1に記載のクローズドセルの膨張パーライトを用いた保温材。
【請求項3】
前記膨張パーライトの原鉱は、真珠岩、黒曜石、松脂岩、軽石のうちから選ばれた1種であることを特徴とする、請求項1に記載のクローズドセルの膨張パーライトを用いた保温材。
【請求項4】
前記液状バインダは、無機質系バインダまたは有機質系バインダのうちから選ばれた1種または2種であることを特徴とする、請求項1に記載のクローズドセルの膨張パーライトを用いた保温材。
【請求項5】
前記補強繊維は、無機質系繊維または有機質系繊維のうちから選ばれた1種または2種であることを特徴とする、請求項1に記載のクローズドセルの膨張パーライトを用いた保温材。
【請求項6】
前記無機質系繊維は、ガラス系鉱物質を材料とするガラス繊維と、シリカアルミナ系繊維、ジルコニア繊維、炭素繊維のうちから選ばれた1種であることを特徴とする、請求項5記載のクローズドセルの膨張パーライトを用いた保温材。
【請求項7】
前記クローズドセルの膨張パーライトを用いた保温材は撥水剤をさらに含めており、前記撥水剤は表面にガラスシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、ジルコネート系カップリング剤のうちから選ばれた1種のコーティング膜がさらに構成されることを特徴とする、請求項1に記載のクローズドセルの膨張パーライトを用いた保温材。
【請求項8】
パーライト原鉱を乾燥させてパーライト重量対比結晶水の重量%を調節した後に膨張させて中空型を形成し、表面がクローズドセル(Closed Cell)形状を有するクローズドセルの膨張パーライトが20〜40g/l範囲のバルク比重(Bulk Density)を有する膨張パーライト全体重量を基準として50重量%以上含まれるように膨張した膨張パーライトを製造する第1ステップと、
前記第1ステップで製造した膨張パーライト10〜84重量%に液状バインダ15〜85重量%と補強繊維0.25〜5重量%とを入れて混合して混合材を製造する第2ステップと、
前記第2ステップで製造した混合材を圧縮して成形体を製造する第3ステップと、
前記第3ステップで製造した成形体を乾燥する第4ステップとで構成された、クローズドセルの膨張パーライトを用いた保温材の製造方法。
【請求項9】
前記第1ステップの膨張パーライトの製造時、前記膨張した膨張パーライトは一度に膨張させて製造する方法、または全体膨張パーライトの重量を基準として400μm超過粒子15±10重量%と、400〜250μm粒子40±15重量%と、250〜160μm粒子20±10重量%と、160μm未満粒子30±15重量%の粒度分布とで粒子サイズ別に膨張させた後、これを混合して製造する方法のうちから選ばれた1種で製造されることを特徴とする、請求項8に記載のクローズドセルの膨張パーライトを用いた保温材の製造方法。
【請求項10】
前記第1ステップの膨張パーライト製造時、直接火炎法または間接火炎法のうちから選ばれた1種で膨張することを特徴とする、請求項8に記載のクローズドセルの膨張パーライトを用いた保温材の製造方法。
【請求項11】
前記第3ステップの成形体の製造時、第2ステップの混合材を振動や衝撃を与えて最密充填方法をさらに経た後に圧縮して製造することを特徴とする、請求項8に記載のクローズドセルの膨張パーライトを用いた保温材の製造方法。
【請求項12】
前記第2ステップの混合物の製造時、液状バインダとして無機質系バインダまたは有機質系バインダのうちから選ばれた1種または2種を使用することを特徴とする、請求項8に記載のクローズドセルの膨張パーライトを用いた保温材の製造方法。
【請求項13】
前記第2ステップの混合物の製造時、補強繊維として無機質系繊維または有機質系繊維のうちから選ばれた1種または2種を使用することを特徴とする、請求項8に記載のクローズドセルの膨張パーライトを用いた保温材の製造方法。
【請求項14】
前記無機質系繊維としては、ガラス系鉱物質を材料とするガラス繊維とシリカアルミナ系繊維、ジルコニア繊維、炭素繊維のうちから選ばれた1種であることを特徴とする、請求項13に記載のクローズドセルの膨張パーライトを用いた保温材の製造方法。
【請求項15】
前記第2ステップの混合物の製造時、撥水剤、補強剤、輻射熱遮断剤のうちから選ばれた1種以上をさらに添加して製造することを特徴とする、請求項8に記載のクローズドセルの膨張パーライトを用いた保温材の製造方法。
【請求項16】
前記撥水剤は、表面がガラスシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、ジルコネート系カップリング剤のうちから選ばれた1種でコーティングされることを特徴とする、請求項15に記載のクローズドセルの膨張パーライトを用いた保温材の製造方法。
【請求項17】
前記補強剤は、ヒュームドシリカやホワイトカーボンのうちから選ばれた1種であることを特徴とする、請求項15に記載のクローズドセルの膨張パーライトを用いた保温材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クローズドセル(Closed cell)形状の膨張パーライトを用いた保温材に関し、より詳細には、表面に寝床構造がない中空型クローズドセル形状の膨張パーライトを使用することにより、低い密度による施工性向上はもちろん、優れた熱伝導率によって保温材の厚さを薄くして資材およびエネルギーコストを節減し、設備設置の空間面積を減らすことができる保温材に関する。
【背景技術】
【0002】
石油化学、発電所、製鉄所などプラント産業において、その生産工程およびラインは複雑な構造で形成されている。
特に、高温や低温の流体を保存したり、移送するラインを多く使用している。
産業用保温材は、このような高温や低温部のプラント産業においてエネルギーの損失を防ぐだけではなく、製品の品質と密接な関係を有しており、極めて重要な役割を担っている。
特に、エネルギーの大部分を輸入に依存して使用している国家は、原油高騰によるエネルギー節減と気候変化協約による炭素排出規制などの影響により、産業全般に渡って敏感に対処している。
このような傾向により、産業プラントに使用されている保温材も、多様な分野の素材の開発と性能向上のための研究と努力が続いている。
【0003】
産業用保温材に主に用いられるものとしては、無機質の繊維系、粉末系、発泡系保温材がある。
繊維系保温材は、珪砂、石灰石、長石、ソーダ灰などのガラス系鉱物質を材料とするガラス面と、高炉スラグおよび玄武岩を材料とする岩綿、アルミナ系繊維、ジルコニア繊維、炭素繊維などの無機質繊維を利用して製造される。
【0004】
韓国登録特許公報第10−0522568号「ガラス繊維を利用した撥水性断熱パイプおよびその製造方法」、韓国登録特許公報第10−0760003号「装置物保温用ラウンド型ガラス繊維保温材およびその製造方法」などの多数の資料で公知されたように、無機質繊維群中のガラス長繊維を利用してマット化し、このマットを多重に再びニードルパンチングしてバインダを含浸、接着させて製造する。
【0005】
このような方法によって製造した製品は、繊維形態の特性において運搬が楽であり、既存の無機質繊維系保温材に比べて熱伝導率が低いという利点はあるが、製品の密度偏差が大きく、熱的特性が均一でないという短所がある。
特に、水分に極めて弱く、表面を撥水処理しても繊維の特性において切断面などに水分が容易に侵入して多重のマットが生じる現象と、これによって熱伝導率が急激に高まり、製品の耐久性が低下するという問題が発生する。
また、施工時に発生するガラス繊維の粉塵は人体に有害であり、作業現場でこれを忌避する現象も発生する。
【0006】
粉末系保温材は、ケイ酸カルシウム、硅藻土、塩基性炭酸マグネシウムなどを用いる。
特に、その中でも多く用いられるケイ酸カルシウム保温材は、硅藻土と消石灰を過量の水で水熱反応させた後にスラリー状態に湿式成形し、オートクレーブで高圧加熱して硬化させた製品である。
【0007】
硬化時、結晶構造によってトバモライト(Tobermorite)とゾノトライト(Xonotlite)形状によって強度が優れており、結晶形状によって熱伝導率が低まるという利点があるが、硬化による製造工程が複雑であって生産性が低く、特にトバモライトの場合は撥水性能を形成させることができないとう問題点がある。
【0008】
発泡系保温材は、膨張蛭石や膨張パーライトを使用する保温材であって、産業用として膨張パーライト保温材が主に用いられる。
膨張パーライト保温材は、製造工程が簡単であり、生産性も高く、材料費が安いという利点により、産業用保温材全般に渡って使用されてきた。
【0009】
しかし、原材料である膨張パーライトは、粒度分布が寝床構造のオープンセル(Open cell)形態を有している大粒子であって、過度に偏っている反面、粒子間の孔隙を埋める小粒子が極めて少ない。
これによって粒子間の孔隙が大きくなり、全体孔隙率が高く形成されるため、成形工程中の圧縮によって膨張パーライトセル(Cell)が破壊され、熱効率が低下するという問題点を抱えている。
また、寝床構造のオープンセル(Open cell)膨張パーライトは、無機質バインダであるケイ酸塩系バインダの吸収率が高いため、製造時にケイ酸塩系バインダの使用量が増えるようになるが、ケイ酸塩系バインダはそれ自体が非晶質形態を有しており、ガラス繊維系や粉末系水化物保温材に比べて熱伝導率が高く、粉末系水化物保温材に比べて強度が低いという短所を有している。
【0010】
このような問題点を解決するために多角度で研究開発されているが、膨張パーライト自体を改善するよりは製造工法に集中し、圧縮成形による熱伝導率の低下を克服するのに限界があり、強度補強のために乾燥工程で焼成または硬化などの方法が提示されながら製造工程が複雑になり、製造コストが上昇するという問題点などがある。
【0011】
また、膨張パーライト自体の場合にも、次のように多様な発明が公開されている。
【0012】
日本特許特願2007−320805「硬質発泡パーライトおよびその製造方法」には、膨張パーライトの圧縮強度別に焼成の条件を調整し、微細な構想の高強度硬質発泡パーライトを製造することが公開されている。
【0013】
米国特許「US5,005,696 Round baler」は、間接熱の膨張焼成炉を利用して構想の膨張パーライトを製造することが公開されている。
【0014】
しかし、このような発明は、構想の形態による強度を補強して吸収や吸油が行われ難くする水準であって構想の非多孔性だけを目的とし、膨張パーライトの比重が高く、内部セル(cell)間の壁体が厚くなり、保温材製造時に強度は補強されるが、熱伝導率に対してはむしろ逆効果を有するようになるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】韓国登録特許公報第10−0522568号「ガラス繊維を用いた撥水性断熱パイプおよびその製造方法」
【特許文献2】韓国登録特許公報第10−0760003号「装置水保温用ラウンド型ガラス繊維保温材およびその製造方法」
【特許文献3】日本特許特願2007−320805「硬質発泡パーライトおよびその製造方法」
【特許文献4】米国特許US5,005,696「Roundbaler」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
そこで、本発明は、上述したような問題点を解決するためのものであって、大部分の膨張パーライトを表面に寝床構造がない中空型クローズドセル(Closed Cell)の形態で生成し、単位粒子を最大限に軽くしながらも膨張パーライトの強度を向上させ、圧縮成形時に粒子と粒子の間の大きい孔隙によって膨張パーライトが破砕することを防ぐために、大粒子と中間粒子または小粒子の粒度分布を適切に調節して粒子間の孔隙が最大限に埋められるように最密充填させることにより、圧縮成形時に膨張パーライトの粒子破砕とセル(Cell)構造破壊を最小化することを目的とする。
【0017】
また、膨張パーライト表面がクローズドセル(Closed cell)形状となりながら、ケイ酸塩系バインダが膨張パーライト内部に浸透する量を減らし、表面の寝床構造除去によってコーティングされなければならない比表面積を小さくして表面での接着性を有する量だけを使用することにより、より一層低い密度の保温材を製造できるようになり、輻射と伝導による熱伝導率を低くすることができ、優れた強度と硬度を有するようにする膨張パーライトを用いた保温材を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した目的を達成するために、本発明のクローズドセルの膨張パーライトを用いた保温材は、パーライト原鉱を乾燥させた後に膨張させて中空型を形成し、表面はクローズドセル(Closed Cell)形状を有する粒子を有効性分として含んで形成された膨張パーライト10〜84重量%と液状バインダ15〜85重量%と、補強繊維0.25〜5重量%とで構成される。
【0019】
本発明のクローズドセルの膨張パーライトを用いた保温材の製造方法としては、パーライト原鉱を乾燥させてパーライト重量対比結晶水の重量%を調節した後に膨張させて中空型を形成し、表面はクローズドセル(Closed Cell)形状を有する粒子が一定の粒度分布で形成されるように膨張させて膨張パーライトを製造する第1ステップと、前記第1ステップで製造した膨張パーライトに液状バインダと補強繊維を入れて混合して混合材を製造する第2ステップと、前記第2ステップで製造した混合材を圧縮して成形体を製造する第3ステップと、前記第3ステップで製造した成形体を乾燥する第4ステップとで構成される。
【0020】
前記第3ステップの成形体の製造時、第2ステップの混合材を振動や衝撃を与える最密充填方法をさらに経た後に圧縮して製造したりもする。
【0021】
また、前記第4ステップの乾燥工程としては、直/間接熱風またはマイクロ波を利用して乾燥することが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
上述した解決手段により、本発明の保温材は、中空型クローズドセル(Closed cell)形状の膨張パーライトを利用して最大限に最密充填させて粒子間の孔隙を最小化することにより、低い密度による施工性の向上と保温材の厚さを薄くして資材およびエネルギーコストを節減し、設備設置の空間面積を減らすことができる保温材であって、産業プラントなどの高温、低温工程において用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】既存の保温材用膨張パーライトを示す図である。 (A):800μm超過(30倍率)(B):800〜500μm(32倍率)(C):500〜400μm(32倍率)(D):400〜250μm(48倍率)(E):250〜160μm(84倍率)(F):160〜63μm(100倍率)(G):63μm(100倍率)
図2】本発明の膨張パーライトを示す図である。 (A):400μm超過(32倍率)(B):400〜250μm(48倍率)(C):250〜160μm(84倍率)(D):160〜63μm(100倍率)(E):63μm(100倍率)
図3】本発明のクローズドセルの膨張パーライトを用いた保温材の製造工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
先ず、既存の膨張パーライトを用いた保温材製造方法は、鉱物状のパーライトをオープンセル(Open cell)形態の膨張パーライトを有するようにする膨張工程が、これを無機質バインダと混合するミキシング工程、目的形状を有するようにする成形工程、液状の無機質バインダの水分を物理的に除去する乾燥工程で構成される。
【0026】
前記膨張工程をさらに詳しく説明すれば、通常、パーライトは、真珠岩、松脂岩、黒曜石などの天然鉱物に分類され、その他にも類似する性能を有する軽石もある(以下、通称して原鉱と表記)。
【0027】
原鉱は種類によって含水量に差はあるが、内部に結晶水と呼ばれる水分を含んでおり、焼成工程で高温の火炎を受ければ表面がガラス窒化され、内部の水分が蒸気化して膨張する。
【0028】
一般的に、膨張パーライト保温材は、伝導と輻射の影響を多く受ける。
伝導は、同一の物質の場合、大部分がその物質の密度に影響を受け、軽ければ伝導が低い反面、重くなるほど伝導が高まる傾向がある。
輻射は、高温領域に行くほど熱伝達に及ぼす影響が大きくなり、これは膨張パーライト粒子が有するセルの形態とサイズに影響を受け、クローズドセル形態とセルのサイズが小さくてセルの数が多いほど輻射による熱伝達が低くなり、オープンセル形態とセルのサイズが大きくて数が少ないほど熱伝達がより一層高まる。
【0029】
しかし、膨張パーライトの熱伝達を良くするために低い密度を有するように保温材を製造すれば、自体の強度不足の現象を誘発するため、現在常用されている基準がほぼその限界に到達しており、使用される素材である膨張パーライト単位粒子の比重を限界以上に軽く膨張させれば、過膨張によって内部のセル(Cell)サイズが大きくなってセル(Cell)の隔膜が薄くなりながら、結局は粒子表面が破裂して寝床構造のオープンセル形態となり、剥離した破片によってむしろ比重が重くなる。
【0030】
これによって表面のオープンセル形態が深刻になりながら内部セルも大きくなり、輻射による熱伝達も高まり、粒子の強度が弱くなって保温材の強度も低下し、保温材の強度を高めようとすればむしろ成形時の膨張パーライト使用量が増加して密度が上がり、伝導による熱伝達が高まるという問題点があった。
【0031】
このような問題点を改善するために、膨張パーライト保温材の性能を極大化するための本発明の核心技術を先ず説明し、それに伴う利点と特性を付加的に説明する。
【0032】
第1に、本発明は、熱伝導率を低くするために、膨張パーライトの比重を最大限に軽くしながらもオープンセルの発生を最小化し、大部分の膨張パーライトの表面に寝床構造がなくて粒子強度が強い中空型クローズドセルの形状を生成する。
【0033】
先ず、表面に寝床構造がない中空型クローズドセル形状の膨張パーライトを生成するためには、乾燥させ、内部結晶水量の調節によって過膨張を抑制すれば、膨張パーライトの形状を表面に寝床構造がない中空型クローズドセル形態となるように製造することができる。
【0034】
この反面、結晶水の量を極めて少なくすれば、膨張がなされなかったり膨張性が低下して粒子の比重が上がるため、全体パーライト重量対比結晶水の重量%を調節して膨張をさせなければならない。
【0035】
また、結晶水の調節程度は、パーライト原鉱の結晶水量と特性に応じて差があり、画一的に定めることはできないが、原鉱の種類によって直接実験を通じて確認することができる。
【0036】
しかし、結晶水の重量%を一定に調節しても、一般的にパーライトの粒度が400μm以上に大きくなればなるほど結晶水の絶対量が多くなるため、結晶水が気体化し、パーライトを膨張させるときに圧力が高まり、表面を破壊してオープンセルが多発する。
【0037】
したがって、製造工程においてパーライト晶石の粒度分布が広いほど、上位の大きい粒子をクローズドセル(Closed Cell)として生成することが難しくなる。
【0038】
また、63μm未満の粒子は未膨張現象が発生し易く、初めから焼成過程で発生しないようにパーライト晶石から予め除去する方法と、全体粒度分布において大きい粒子を減らして粒度分布を適切に狭く設計して膨張させなければならない。
【0039】
このように製造された63μm未満の粒子の場合には、既存のパーライトとは異なり、大部分が中空形態の形状を備えるようになり、熱伝導や粒子強度においては明確に異なり、断熱性能が確保された微粒子は粒子間の孔隙を埋めるのに相当に役立つため、むしろ好ましい役割をするといえる。
【0040】
このとき、用いられる膨張方法としては、一般的に直接火炎法(火炎が原料に直接に触れる方法)または間接火炎法(火炎が原料に触れない方法)などがあり、目的とする粒度分布範囲を一度に膨張する方法と、それぞれ粒度別に膨張し、これを混合して目的とする粒度分布範囲で生成する方法もある。
【0041】
このような方法によって製造された大部分の膨張パーライトは、粒子サイズが小さいものは内部にいくつかのセル形態で形成され、パーライトの粒子サイズが大きくなるほど、多数のセル集合体として粒子強度が強い中空型クローズドセル形状を有するようになるため、比重をさらに軽く膨張できるようになる。
【0042】
しかし、このような方法を動員しても、膨張パーライトすべてを完全に中空型クローズドセルの形状で生成することはできない。一般的に使用されている垂直および水平膨張の特性上、粒子サイズの区間によって約10〜30%の粒子はオープンセルの形態も一部有し、さらにクローズドセルの形状で生成された膨張パーライトも、膨張工程中または空気移送中に衝突することによって表面の一部がオープンセルになったりするため、通常は約70〜80%程度がクローズドセルになる。
【0043】
しかし、本発明において、クローズドセルの範囲を上述のとおりに必ずしも限定された数値のとおりに適用して用いることを前提とはしない。これは、原鉱の種類と設備条件によって差があるだけでなく、クローズドセルが50%程度になっただけでも、既存の膨張パーライトよりもその効果が相当に良くなるためである。
【0044】
上述した本発明の特性を、図1、2を参照しながら詳しく説明すれば次のとおりである。
すなわち、図1は既存の保温材用膨張パーライトの走査電子顕微鏡写真を示した図であり、図2は本発明の膨張パーライトの走査電子顕微鏡写真を示す図である。
【0045】
図1を見れば、全体的に既存の保温材用膨張パーライトは、大部分の粒子がオープンセルの形態を示すだけでなく、表面に多くの寝床が形成されており、(E)250μm以下からは過膨張によって潰れた破片が含まれており、(F)160μm以下では破砕破片が半分以上に増加し、(G)63μm未満はセルさえも有していない破砕粉が大部分であり、未膨張粒子も相当部分が含まれていることを確認することができる
【0046】
これとは反対に、図2は本発明の膨張パーライトであって、400μm程度の大きい粒子によって部分的に一部オープンセルが見えるが、これは実際には表面にだけ限定された形態であり、内部セルは個別の独立セルを有し、過膨張破砕粉がほぼ含まれていない。特に、63μm未満の粒子は、大部分が中空を有している。
【0047】
したがって、既存の保温材用膨張パーライトは、400μm以上800μmの間の粒子が多く、さらには800μm以上の粒子も相当量があり、全体的に膨張パーライト内部セルのサイズも大きくなり、同じ体積で有するセルの数が本発明の膨張パーライトに比べて遥かに少なく、過量の破砕粉(潰れた膨張パーライトとセルをほぼ有しない破砕粉)のために熱伝達はさらに悪くなるしかない。
【0048】
しかし、本発明では、オープンセルの発生を最小化し、大部分の膨張パーライトを粒子強度が強い中空型クローズドセル形状として膨張パーライトの比重を最大限に軽く製造することにより、熱伝達において最も大きい影響を与える熱伝導率を低くすることができる。
【0049】
第2に、圧縮成形工程において粒子と粒子の間の大きい孔隙によって膨張パーライトが破砕することを防ぐために、大粒子と中間粒子または小粒子および微粒子の粒度分布を適切に調節し、粒子間の孔隙が最大限に埋められるように最密充填させる。
【0050】
上述した本発明の特性を一般的な膨張パーライト保温材製造工法と比較して説明すれば、成形工程はプレスによる圧縮成形で製造される。
【0051】
このとき、バルクな状態の膨張パーライトおよび混合材をプレスに投入し、普通は製造しようとする成形体の約3.5倍以上の体積で投入する。
【0052】
もし、このとき、膨張パーライトがオープンセルの寝床構造の形態を有していれば、粒子間の孔隙のサイズが大きくて粒子の強度が弱く、圧縮成形工程時に粒子とセルの破砕現象が多発する反面、十分に圧縮をしなければ製品の成形状態が悪くなり、製品の強度と硬度が低下するという問題が発生する。
【0053】
また、粒子間の孔隙を最小化するために、機械的には膨張パーライトをバルク(bulk)状態で投入して振動や衝撃によって最密充填した後に圧縮成形する方法も適用されたが、これも膨張パーライト自体がオープンセル形状の寝床構造を有していればその効果が大きくないだけでなく、粒度分布自体が適合しないため、究極的に孔隙を減らすには限界がある。
【0054】
したがって、既存の膨張パーライト保温材は、膨張パーライト自体がオープンセル形態の寝床構造を有しており、粒子自体の強度が弱く、適合しない粒度分布によって粒子間の孔隙のサイズが大きく、これによって圧縮成形工程で発生する膨張パーライト粒子の破砕とセル破壊によって輻射と伝導による影響が大きくなり、熱伝導率が高まるという問題点を有しているといえる。
【0055】
これにより、本発明は、寝床構造がない中空型クローズドセル膨張パーライトを用いることによって粒子とセル自体の強度を補強し、大粒子と中間粒子または小粒子および微粒子の粒度分布を適切に調節して粒子間の孔隙を最小化することにより、成形モールドへの投入時に粒子間の孔隙が極めて小さくて緻密度が良くなり、既存の膨張パーライトよりも少ない量の体積で成形が可能なようにし、低い圧縮比でも保温材の強度を有するようにし、加圧による膨張パーライト粒子およびセルの破砕を最小化することができる。
【0056】
すなわち、本発明の保温材は、粉砕過程における自然発生的な粒度分布比率を考慮した上で、寝床構造がない中空型クローズドセル形状の膨張パーライトを製造するという前提の下で、バルク比重(Bulk Density)20〜40kg/mを有し、膨張パーライトに含まれていた粒子は、膨張パーライトの重量を基準として400μm超過粒子15±10重量%と、400〜250μm粒子40±15重量%と、250〜160μm粒子20±10重量%と、160μm未満粒子30±15重量%の粒度分布とで構成され、これを最大限の最密充填によって粒子間の孔隙を最小化できるようにすることが最も合理的だといえる。
【0057】
本発明において、400μm程度の粒度サイズからは、パーライト膨張時に十分な制御を加えても相当量のオープンセル(Open cell)が発生し始め、400μmサイズの粒度をより多くする理由は、適切な粒度分布を通じて粒子間空の孔隙を最小化しても、結局は圧縮成形時に一部粒子が破砕して空の孔隙を満たさなければならず、400μm以上の膨張パーライトが400μm以下の粒度よりも強度が弱く、そのような役割をできるようにするためである。
【0058】
さらに、粒度が極めて小さい場合、膨張パーライトが液状のバインダとの混合過程に固まってしまうという問題が発生し、さらに圧縮成形をするために保温材内部が極めて緻密になり、乾燥工程などにおいてクラックが発生するという問題点があるためである。
【0059】
しかし、本発明では、前記粒度分布を必ずしも限定された数値のとおりに適用して使用することは前提としない。
【0060】
本発明において、400μm程度の粒度サイズからは、パーライト膨張時に十分な制御を加えても部分的にオープンセルが発生し、結晶水と予熱程度によっては500μmを基準とすることがより好ましいこともある。
【0061】
さらに具体的に説明すれば、パーライトが天然資源であるため、原鉱の生成過程によって原石の結晶水と硬度が異なり、さらに製造された晶石と予熱程度、または膨張炉の種類によって膨張パーライトの強度と粒度サイズはもちろん、オープンセルの発生比率など、結果が異なる特徴のために画一的に基準を定めることは難しい。
【0062】
これだけでなく、原石の粉砕過程で粒度を小さくするほど200メッシュ以下の微分発生が多くなるため、一定の粒度分布比率の維持や粉砕した粒度を一定に調節して残りを廃棄するということは現実性がなく、可能な範囲内ではむしろ粒子を育てることが好ましいともいえる。
【0063】
また、目的とする粒度分布範囲に適合するように一度で膨張する方法、またはそれぞれ粒度別に生産してこれを混合し、目的とする粒度分布範囲に生成する方法のうちから選ばれた1種以上の方法によって製造が可能である。
【0064】
第3に、結合材として用いられる液状の無機バインダ使用量を減らし、これによる熱伝達の影響を低くする。
【0065】
一般的に、膨張パーライト保温材に用いられる無機質バインダのケイ酸塩はMOnSiOxHOで表示され、Mは周期律表第1A族に属するアルカリ金属を示し、nとxは整数である化合物である。
【0066】
1A族に属するアルカリ金属の具体的な例としては、リチウム、ナトリウム、およびカリウムなどがある。
【0067】
このケイ酸塩形態の液状無機質バインダはその種類によって差があるが、大部分はHOを50%以上含有している。
【0068】
このような無機質バインダは膨張パーライト保温材の結合材として用いられ、圧縮成形前に膨張パーライトおよび無機質繊維と混合およびミキシング工程を経る。
【0069】
このとき、既存の膨張パーライトは、オープンセル部位と膨張時に破砕した粒子が液状のバインダを吸収する現象と破砕、および寝床構造による比表面積が大きく、過量の液状無機質バインダを使用しなければならない。
【0070】
しかし、本発明のクローズドセル膨張パーライトは、表面が大部分は閉じていて寝床構造が少なく、同一体積の膨張パーライト使用量対比80%以下の液状無機質バインダを使用しても強度が確保されるという利点があり、本発明は既存の保温材に比べて膨張パーライトの使用が少ないため、実際には無機質バインダの使用量が大幅に減る。
【0071】
これは、ケイ酸塩自体が非晶質形態の結晶体であるため熱伝導率が高く、全体的に使用量の縮小によって低い密度で製作されるため、伝導の影響が低くなる効果を得る。
【0072】
さらに、水分は熱伝導率に悪影響を及ぼすが、無機質バインダによって保温材に残留する水分は、同一の乾燥条件で使用量が少ない本発明の保温材が水分の含量が少ないため有利である。
【0073】
また、それだけエネルギーコストと乾燥時間を節約することができるという利点もある。
【0074】
また、本発明において、液状のバインダはさらに有機バインダを使用したり、無機バインダと混用での使用も可能である。
【0075】
保温材使用において、液状のバインダは結合材の役割を実行することができれば可能である。ただし、このときは、保温材が適用される使用上の条件が考慮されなければならない。
【0076】
一般的に、膨張パーライト保温材は、使用上において、熱伝導率に影響を与える水分吸収を防ぐためにシリコン系の撥水剤を使用する。
【0077】
本発明においても既存のシリコン系撥水剤を使用するが、さらに撥水性向上および吸収率減少、流れ性(ここで表現する流れ性とは、粒子と粒子の摩擦力および安息角の影響が低く、位置移動が容易に行われることをいう)などを向上させるために、シランモノモ系統をコーティングすることができる。
【0078】
膨張パーライト保温材は、水分の影響を除去するためにシリコン系の撥水剤を使用するが、これをシラン系モノモコーティングを適用すれば、粒子ごとに撥水性能を示し、圧縮成形前の緻密な充填に有利な効果を出すことができる。
【0079】
シリコン系撥水剤は、パーライト表面に反応性を有しているのではなく、シロキサンオリゴマ形態のシリコンが単純接着する形態であって、撥水剤の役割だけをし、流れ性を向上させることはできない。
【0080】
しかし、シラン系モノモは、末端にパーライトと化学的結合を誘導するアルコキシを有しており、尻尾は撥水特性を示すアルキル基があり、パーライト表面全体から木の枝や毛茸のように外部に広がって1つの層を形成し、表面の摩擦抵抗を低くするようになることによって流れ性が向上し、圧縮成形工程に投入するときに最密充填がより適切に行われ、既存の方式のシリコン系とは異なって撥水特性を永久的に有するという効果を得る。
【0081】
本発明では、撥水性能を示す目的である表面コーティングによる撥水剤として、有機シランだけでなく強度を補強することができるチタネート系、ジルトネート系を使用することができ、より詳しくは、イソオクチルトリメトキシシラン(i−Octyltrimethoxysilane)、メチルトリメトキシシラン(Methyltrimethoxysilane)、オクチルトリエトキシシラン(Octyltrietoxysilane)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(3−aminopropyltriethoxysilane)、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(3−glycidyloxytriethoxysilane)、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(3−methacryloxypropyltrimethoxysilane)、ビニルトリエトキシシラン(vinyltriethoxysilane)、ビニルトリメトキシシラン(vinyltrimethoxysilane)、ビニルトリ(2−メトキシ−エトキシ)シラン[vinyltri(2−methoxy−ethoxy)silaneなどを含む有機シラン系カップリング剤と、ネオペンチル(ジアリル)オキシ、トリネオデカノニルチタネート[neopentyl(diallyl)oxy、trineodecano titanate]、ネオペンチル(ジアリル)オキシ、トリル(ドデシル)ベンゼン−スルホニルチタネート[neopentyl(diallyl)oxy、tri(dodecyl)benzene−sulfonyl titanate]、ネオペンチル(ジアリル)オキシ、トリ(ジオクチル)フォスフェートチタネート[neopentyl(diallyl)oxy、tri(dioctyl)phosphate titanate]、ネオペンチル(ジアリル)オキシ、トリ(ジオクチル)ピロ−フォスフェートチタネート[neopentyl(diallyl)oxy、tri(dioctyl)pyro−phosphato titanate]、ネオペンチルジアリルオキシ、トリ(N−エチレンジアミノ)エチルチタネート[neopentyl(diallyl)oxy、tri(N−ethylenediamino)ethyl titanate]、ネオペンチルジアリルオキシ、トリ(m−アミノ)フェニルチタネート[neopentyl(diallyl)oxy、tri(m−amino)phenyl titanate]などを含むチタネート系カップリング剤と、ネオペンチル(ジアリル)オキシ、トリネオデカノニルジルコネート[neopentyl(diallyl)oxy、trineodecano zirconate]、ネオペンチル(ジアリル)オキシ、トリル(ドデシル)ベンゼン−スルフォニルジルコネート[neopentyl(diallyl)oxy、tri(dodecyl)benzene−sulfonyl zirconate]、ネオペンチル(ジアリル)オキシ、トリ(ジオクチル)フォスフェートジロコネート[neopentyl(diallyl)oxy、tri(dioctyl)phosphate zirconate]、ネオペンチル(ジアリル)オキシ、トリ(ジオクチル)ピロ−フォスフェートジロコネート[neopentyl(diallyl)oxy、tri(dioctyl)pyro−phosphato zirconate]、ネオペンチルジアリルオキシ、トリ(N−エチレンジアミノ)エチルジロコネート[neopentyl(diallyl)oxy、tri(N−ethylenediamino)ethyl zirconate]、ネオペンチルジアリルオキシ、トリ(m−アミノ)フェニルジルコネート[neopentyl(diallyl)oxy、tri(m−amino)phenyl zirconate]などを含むジルコネート系カップリング剤などを含む。
【0082】
本発明において、膨張パーライト保温材の成形性、曲げ強度、施工性などを補強するためには、長さが5〜30mmである強繊維を含む。補強繊維は、無機質系繊維や有機質系繊維をそれぞれ使用したり混用して用いる。
【0083】
また、強度や熱伝導率をさらに下げるための補強剤を使用することもできる。
強度を補強するために、50μm未満のヒュームドシリカやホワイトカーボンを使用し、これは圧縮前の膨張パーライトの粒子間の隙間を埋め、成形圧縮比を減らしたとしても緻密な成形状態を有するようになり、強度が向上する。
【0084】
熱伝導率を低くするために、輻射熱遮断剤を使用することができる。
【0085】
これは、膨張パーライトをオープンセル形態からクローズドセル形状に転換するときに輻射と伝導の影響を低くすることができるが、高温になるほど輻射の影響が大きくなり、その輻射による影響を遮断するのに限界が生じるため、さらに輻射を遮断する物質を添加することにより、熱伝導率をより一層低くするることができる。
【0086】
特に、これは高温領域でさらに大きい効果を奏する。
【0087】
上述した内容の根拠としてより詳細に説明するために、下記のように実施例と実験例を参照しながら詳細に説明するが、これは本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例1】
【0088】
<実施例1>本発明のクローズドセル形態の膨張パーライトを用いた保温材1の製造
パーライト晶石を使用し、密度30kg/mであり、膨張パーライト全体重量を基準として400μm超過粒子−15重量%、400〜250μm粒子−40重量%、250〜160μm粒子−20重量%、160μm未満粒子−30重量%に粒度分布され、クローズドセルの比率が粒度区間によって70重量%を有する膨張パーライトを製造した。
【0089】
上述のとおりに製造されたクローズドセル膨張パーライト1000gに無機質繊維を前記膨張パーライト重量対比1.5重量%入れて混合して混合材を製造した。
【0090】
33Be’ケイ酸ソーダ1000gにシリコン系撥水剤をケイ酸ソーダ重量対比0.5重量%入れて混合して液状無機質バインダを製造した。
【0091】
前記製造された混合物459gと前記製造された液状無機質バインダ413gを混合した後、初期体積の約3.2倍を圧縮して300×300×50mm(体積4.5L)サイズの成形体を製造した(ここで、圧縮比は人為的に調整したのではなく、前記混合量を成形モールドに投入したとき、バルク状態の体積を基準として成形体4.5L体積で製造したときに発生する圧縮比であり、以下では実施例および比較例も同一である)。
【0092】
製造した成形体を200℃熱風乾燥器に4時間乾燥させ、密度130±5kg/mを有するクローズドセルの膨張パーライト保温材1を製造した。
【実施例2】
【0093】
<実施例2>本発明のクローズドセル形態の膨張パーライトを用いた保温材2の製造
前記実施例1で製造された密度が30kg/mであるクローズドセル形態の膨張パーライトを用意した。
【0094】
上述のとおりに製造されたクローズドセル膨張パーライト1000gに無機質繊維を膨張パーライト重量対比1.5重量%入れて混合して混合材を製造した。
【0095】
33Be’ケイ酸ソーダ1000gにシリコン系撥水剤をケイ酸ソーダ重量対比0.5重量%入れて混合して液状無機質バインダを製造した。
【0096】
前記製造された混合材405gと前記製造された液状無機質バインダ365gを混合し、初期体積の約2.8倍を圧縮して300×300×50mm(体積4.5L)サイズの成形体を製造した。
【0097】
製造した成形体を200℃熱風乾燥器に4時間乾燥させ、密度115±5kg/mを有するクローズドセルの膨張パーライト保温材2を製造した。
【実施例3】
【0098】
<実施例3>本発明のクローズドセル形態の膨張パーライトを用いた保温材3の製造
前記実施例1で製造された密度が30kg/mのクローズドセル形態の膨張パーライトを用意した。
【0099】
上述のとおりに製造されたクローズドセル膨張パーライト1000gに無機質繊維を膨張パーライト重量対比1.5重量%入れて混合して混合材を製造した。
【0100】
33Be’ケイ酸ソーダ1000gにシリコン系撥水剤をケイ酸ソーダ重量対比0.5重量%入れて混合して液状無機質バインダを製造した。
【0101】
前記製造された混合材352gと前記製造された液状無機質バインダ317gを混合し、初期体積の約2.5倍を圧縮して300×300×50mm(体積4.5L)サイズの成形体を製造した。
【0102】
製造した成形体を200℃熱風乾燥器に4時間乾燥させ、密度100±5kg/mを有するクローズドセルの膨張パーライト保温材3を製造した。
【実施例4】
【0103】
<実施例4>本発明のクローズドセル形態の膨張パーライトを用いた保温材4の製造
前記実施例1で製造された密度が30kg/mのクローズドセル形態の膨張パーライトにメチルトリメトキシシラン(Methyltrimethoxysilane)を膨張パーライト重量対比0.5重量%コーティングして製造した。
【0104】
前記コーティングされたクローズドセル膨張パーライト1000gに無機質繊維を膨張パーライト重量対比1.5重量%入れて混合して混合材を製造した。
【0105】
33Be’ケイ酸ソーダ1000g単独を液状無機質バインダとして用意した。
【0106】
前記混合材459gと前記液状無機質バインダ413gを混合し、初期体積の約3.1倍を圧縮して300×300×50mm(体積4.5L)サイズの成形体を製造した。
【0107】
製造した成形体を200℃熱風乾燥器に4時間乾燥させ、密度130±5kg/mを有するクローズドセルの膨張パーライト保温材4を製造した。
【実施例5】
【0108】
<実施例5>本発明のクローズドセル形態の膨張パーライトを用いた保温材5の製造
前記実施例1で製造された密度が30kg/mのクローズドセル形態の膨張パーライトを用意した。
【0109】
上述のとおりに製造されたクローズドセル膨張パーライト1000gに無機質繊維を膨張パーライト重量対比1.5重量%入れて混合して混合材を製造した。
【0110】
33Be’ケイ酸ソーダ1000gにシリコン系撥水剤をケイ酸ソーダ重量対比0.5重量%入れて混合して液状無機質バインダを製造した。
【0111】
前記製造した混合材352gと前記製造した液状無機質バインダ317gを混合し、ここに前記混合材重量対比3重量%のヒュームドシリカを処理して再び混合した後、初期体積の約2.5倍を圧縮して300×300×50mm(体積4.5L)サイズの成形体を製造した。
【0112】
製造した成形体を200℃熱風乾燥器に4時間乾燥させ、密度100±5kg/mを有するクローズドセルの膨張パーライト保温材5を製造した。
【0113】
<比較例1>オープンセル形態の既存の膨張パーライトを用いた保温材1の製造
パーライト晶石を使用し、密度40kg/mであり、膨張パーライト全体重量を基準として800μm超過粒子10重量%、800μmで500μm粒子35重量%、500μmで250μm粒子25重量%、250μmで160μm粒子15重量%、160μm未満粒子15重量%に粒度分布されたオープンセル形態の既存の膨張パーライトを製造した。
【0114】
前記製造された既存のオープンセル膨張パーライト1000gに無機質繊維を膨張パーライト重量対比1.5重量%入れて混合して混合材を製造した。
【0115】
33Be’ケイ酸ソーダ1000gにシリコン系撥水剤をケイ酸ソーダ重量対比0.5重量%入れて混合して液状無機質バインダを製造した。
【0116】
前記製造された混合材635gと前記製造された液状無機質バインダ571gを混合し、初期体積の約3.5倍を圧縮して300×300×50mm(体積4.5L)サイズの成形体を製造した。
【0117】
製造した成形体を200℃熱風乾燥器に4時間乾燥させ、密度180±5kg/mを有するオープンセルの膨張パーライト保温材1を製造した。
【0118】
<比較例2>オープンセル形態の既存の膨張パーライトを用いた保温材2製造
前記比較例1で製造された密度が40kg/mのオープンセル形態の膨張パーライトを用意した。
【0119】
前記製造された既存のオープンセル膨張パーライト1000gに無機質繊維を膨張パーライト重量対比1.5重量%入れて混合して混合材を製造した。
【0120】
33Be’ケイ酸ソーダ1000gにシリコン系撥水剤をケイ酸ソーダ重量対比0.5重量%入れて混合して液状無機質バインダを製造した。
【0121】
前記混合材459gと前記液状無機質バインダ413gを混合し、初期体積の約3.2倍を圧縮して300×300×50mm(体積4.5L)サイズの成形体を製造した。
【0122】
製造した成形体を200℃熱風乾燥器に4時間乾燥させ、密度130±5kg/mを有するオープンセルの膨張パーライト保温材2を製造した。
【0123】
<比較例3>オープンセル形態の既存の膨張パーライトを用いた保温材3の製造
本発明のクローズドセル膨張パーライトと既存のオープンセル膨張パーライトを同じ密度で比較するために、本発明の実施例1と同じ密度で既存の膨張パーライトを膨張させたが、密度35kg/m以下に低下すれば、むしろ過膨張した膨張パーライトが弱くなって膨張中や後に破砕が発生し、密度が再び上昇した。
【0124】
したがって、密度35kg/mの粒度を分析した結果、膨張パーライトの粒子サイズが全体的に上昇し、密度35kg/mであり、膨張パーライト全体重量を基準として800μm超過粒子15重量%、800μmで500μm粒子40重量%、500μmで250μm粒子20重量%、250μmで160μm粒子10重量%、160μm未満粒子は15重量%に粒度分布されたオープンセル形態の既存の膨張パーライトを製造した。
【0125】
前記製造された既存のオープンセル膨張パーライト1000gに無機質繊維を膨張パーライト重量対比1.5重量%入れて混合して混合材を製造した。
【0126】
33Be’ケイ酸ソーダ1000gにシリコン系撥水剤をケイ酸ソーダ重量対比0.5重量%入れて混合して液状無機質バインダを製造した。
【0127】
前記製造された混合材635gと前記製造された液状無機質バインダ571gを混合し、初期体積の約3.8倍を圧縮して300×300×50mm(体積4.5L)サイズの成形体を製造した。
【0128】
製造した成形体を200℃熱風乾燥器に4時間乾燥させ、密度180±5kg/mを有するオープンセルの膨張パーライト保温材3を製造した。
【0129】
<比較例4>オープンセル形態の既存の膨張パーライトを用いた保温材4の製造
比較例3で製造された密度35kg/mのオープンセル形態の膨張パーライトを用意した。
【0130】
前記製造された既存のオープンセル膨張パーライト1000gに無機質繊維を膨張パーライト重量対比1.5重量%入れて混合して混合材を製造した。
【0131】
33Be’ケイ酸ソーダ1000gにシリコン系撥水剤をケイ酸ソーダ重量対比0.5重量%入れて混合して液状無機質バインダを製造した。
【0132】
前記製造された混合材459gと前記製造された液状無機質バインダ413gを混合し、初期体積の約3.3倍を圧縮して300×300×50mm(体積4.5L)サイズの成形体を製造した。
【0133】
製造した成形体を200℃熱風乾燥器に4時間乾燥させ、密度130±5kg/mを有する膨張パーライト保温材4を製造した。
【0134】
<比較例5>オープンセル形態の既存の膨張パーライトを用いた保温材5の製造
本発明のクローズドセル膨張パーライトと既存の膨張パーライトを同じ粒度で比較するために、本発明の実施例1と同じ粒度で既存の膨張パーライトを製造しようとしたが、同一または類似する粒度を有するときは密度51kg/mで製造された。
【0135】
密度を類似するように比較しようと密度を低くすれば、粒度が再び大きくなりながら、比較例1に使用された膨張パーライト粒度に近づいた。
【0136】
したがって、51kg/mよりも低い密度で膨張時に目的とした粒度を製造することができないため、密度51kg/mであり、膨張パーライト全体重量を基準として400μm超過粒子−15重量%と、400〜250μm粒子−40重量%と、250〜160μm粒子−20重量%と、160μm未満粒子−30重量%粒度分布とで構成された膨張パーライトを製造した。
【0137】
前記製造された膨張パーライト1000gに無機質繊維を膨張パーライト重量対比1.5重量%入れて混合して混合材を製造した。
【0138】
33Be’ケイ酸ソーダ1000gにシリコン系撥水剤をケイ酸ソーダ重量対比0.5重量%入れて混合して液状無機質バインダを製造した。
【0139】
実施例1と同じように、密度130±5kg/mである膨張パーライト保温材を製造するために、前記製造された混合材459gと前記製造された液状無機質バインダ413gを混合した。
【0140】
このとき、膨張パーライト自体の密度が51kg/mと高くて圧縮前の体積が低く、圧縮比が約2倍で形成され、300×300×50mm(体積4.5L)サイズの成形体を製造した。
【0141】
製造した成形体を200℃熱風乾燥器に4時間乾燥させ、密度130±5kg/mを有するオープンセルの膨張パーライト保温材5を製造した。
【0142】
<比較例6>オープンセル形態の既存の膨張パーライトを用いた保温材6の製造
比較例5で製造された密度が51kg/mである膨張パーライトを用意した。
前記製造された膨張パーライト1000gに無機質繊維を膨張パーライト重量対比1.5重量%入れて混合して混合材を製造した。
【0143】
33Be’ケイ酸ソーダ1000gにシリコン系撥水剤をケイ酸ソーダ重量対比0.5重量%入れて混合して液状無機質バインダを製造した。
【0144】
実施例2と同じように、密度115±5kg/mである膨張パーライト保温材を製造するために、前記製造された混合材405gと前記製造された液状無機質バインダ365gを混合した。
【0145】
300×300×50mm(体積4.5L)サイズの成形体を製造するために、圧縮成形時の圧縮比が体積対比約1.7倍だけで形成され、製品の成形強度が殆どなくて脱型時に破砕し、成形体を製造することができなかった。
【0146】
<実験例1>膨張パーライト保温材の特性分析
前記実施例と比較例をKS F 4714に基づき、熱伝導率、曲り強度、線収縮率、撥水度を測定分析して下記表1に示した。
【0147】
【表1】
【0148】
また、撥水処理による効果をさらに比較するために、実施例1と実施例4をKS M 3809の吸収率測定方法を引用して比較した。
【0149】
試験は、表皮を除去して100mm×100mm×25mmの試験片3つを切り取り、23±3℃の澄んだ水の水面で50mm下に浸けた10秒後に試験片を取り出し、鉛直に30°傾けた網の目のサイズが3mmの金網に30秒間放置させた後に重さを0.01g精密度で測定して基準重量とし、再び澄んだ水に浸けて24時間吸収させた後に基準重量を測定する方法によって重さを測定し、基準重量との差値を表面積で割って下記表2に示した。
【0150】
【表2】
【0151】
前記表1と表2に示すように、本発明の実施例1、実施例2、実施例3の保温材は既存の保温材比較例1に比べて熱伝導率が遥かに低くなり、密度が低いのにも係わらず曲り強度が全体的に高く出た。
【0152】
また、比較例2は、本発明の実施例1と同じ投入量で密度を同じにしたが、熱伝導率は比較例1に比べて低いだけで、実施例1よりも高く、むしろ強度が酷く低下して製品としての価値が下落した。
【0153】
本発明と同じ密度と粒度構造を有する膨張パーライトを製造して本発明の膨張パーライト成形品と比較しようとしたが、これは上述した比較例で説明したように製造が不可能であった。
【0154】
既存の膨張パーライト条件で密度を30kg/mに下げようとした比較例3と比較例4は、膨張パーライトの過膨張によってオープンセル形態の膨張パーライトがさらに多くなり、それによって粒子自体の強度が低下し、比較例1と比較例2に比べてむしろ熱伝導率と曲り強度が悪化した。
【0155】
これは、本発明の膨張パーライト表面がクローズドセル形態であるかオープンセル形態であるかよって及ぼす影響を明確に確認することができる。
【0156】
既存の膨張パーライト条件において粒度を本発明の粒度分布構造で生成しようとした比較例5と比較例6は、低い密度の製品としては不可能であり、密度51kg/mであるときに可能であった。
【0157】
しかし、これは単に粒度分布だけが考慮されており、外観上では本発明の膨張パーライトと類似すると見なされたが、粒子の内部セルの間の壁体が厚く、高い密度によって熱伝導率がむしろ高まり、体積が小さくて成形圧縮比が大幅に低くなることによって成形不良も来した。
【0158】
また、実施例1と比較例2、比較例4を見れば、実施例1は密度が30kg/mであり、比較例2は40kg/m、比較例4は35kg/mと、同一投入重量に対比して実施例1の体積が最も多いのにも係わらず、圧縮比が低いか類似する。
【0159】
これは、上述したように、本発明のクローズドセル膨張パーライトの適切な粒度と表面が滑らかであるため、緻密に成形モールドに投入されることが分かる。
【0160】
撥水度は全体的に良い結果が出たため、シリコン系撥水剤と実施例4のシランモノモ系の差が比較されなかったが、前記表2の吸収率比較を見るとき、シランモノモ系によって粒子ごとにコーティングされた場合に吸収率が低いことが分かる。
【0161】
実施例5はヒュームドシリカを使用することにより、実施例3よりも強度が向上することが分かる。
【0162】
上述したように、実施例を参照しながら、本発明のクローズドセル膨張パーライトを用いた保温材が低い密度で強度が良く、熱伝導率が低くなることが分かる。
【0163】
前記実施例および実験例、特に構造的形態などが説明されたが、これはこれらの範囲を制限するのではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者にとっては、本発明の原則を逸脱しない範囲で変形が可能であることが自明である。
図1
図2