特許第5651750号(P5651750)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5651750
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】リレーを駆動する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20141218BHJP
【FI】
   H02J1/00 306D
   H02J1/00 304E
   H02J1/00 307F
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-168852(P2013-168852)
(22)【出願日】2013年8月15日
(65)【公開番号】特開2014-39465(P2014-39465A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2013年8月15日
(31)【優先権主張番号】201210298679.8
(32)【優先日】2012年8月17日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】508107788
【氏名又は名称】光寶電子(廣州)有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】503443599
【氏名又は名称】光寶科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】陳 志泰
(72)【発明者】
【氏名】蔡 名陽
【審査官】 石川 晃
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭51−161010(JP,U)
【文献】 特開平09−023649(JP,A)
【文献】 特開平09−322399(JP,A)
【文献】 特開2010−213440(JP,A)
【文献】 特開昭48−015050(JP,A)
【文献】 特公昭52−038223(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リレーを駆動するための装置であって、
前記リレーを起動させるのに十分な第1の電圧を出力する第1の電力供給モジュールと、
前記第1の電圧以下の電圧であって前記リレーが起動された状態である前記リレーの起動状態を保つための電圧である第2の電圧を出力する第2の電力供給モジュールと、
前記リレーに接続されるように前記第1の電力供給モジュールと前記第2の電力供給モジュールとに電気的に接続されたスイッチング回路と、
前記リレーから前記第2の電力供給モジュールを遮断すると共に前記第1の電力供給モジュールを前記リレーに接続させると、前記第1の電力供給モジュールから前記第1の電圧を前記リレーに与えて前記リレーを起動させ、その後、前記リレーから前記第1の電力供給モジュールを遮断すると共に前記リレーを前記第2の電力供給モジュールに接続させると、前記第2の電圧を前記リレーに与えて前記リレーの前記起動状態を保つよう前記スイッチング回路を制御するように前記スイッチング回路に接続された制御モジュールとを備え
前記スイッチング回路は、前記第1の電力供給モジュール及び前記リレーの間に接続されたスイッチングトランジスタと、前記第2の電力供給モジュール及び前記リレーの間に接続されたスイッチングダイオードとを有し、
前記スイッチングトランジスタは、前記第1の電力供給モジュールに接続された第1の端子と、前記リレーに接続された第2の端子と、制御端子とを有し、
前記制御モジュールは、
電源投入信号を受信すると共に電源投入遅延信号を出力する遅延回路と、
前記遅延回路に前記電源投入遅延信号を受信するように接続されており第1の端子と第2の端子と制御端子とを有する第1のトランジスタと、
前記第1の電力供給モジュール及び前記第1のトランジスタの前記第1の端子の間に電気的に接続された第1のレジスタと、
第1の端子と第2の端子と前記第1のトランジスタの前記第1の端子に接続された制御端子とを有する第2のトランジスタと、
前記スイッチングトランジスタの前記制御端子及び前記第2のトランジスタの前記第1の端子との間に接続された第2のレジスタと、
前記スイッチングトランジスタの前記第1の端子及び前記制御端子の間に並列接続された第3のレジスタとを有する
ことを特徴とするリレー駆動装置。
【請求項2】
前記第2の電圧は、前記リレーの最も低い励磁電圧以上である
ことを特徴とする請求項1に記載のリレー駆動装置。
【請求項3】
前記第2の電力供給モジュールは、前記第1の電力供給モジュールから前記第1の電圧が入力されるように構成され、分圧コンデンサと、前記分圧コンデンサに並列接続されたツェナーダイオードと、を有し
前記第2の電圧は、前記第1の電圧の前記分圧コンデンサと前記ツェナーダイオードによる分圧である
ことを特徴とする請求項1に記載のリレー駆動装置。
【請求項4】
前記遅延回路は、互いに並列接続された遅延コンデンサと遅延レジスタとを有する
ことを特徴とする請求項1に記載のリレー駆動装置。
【請求項5】
前記スイッチングトランジスタは、前記制御端子とするベースと、前記第1の端子とするエミッタと、前記第2の端子とするコレクタとを有するPNPバイポーラジャンクショントランジスタ(BJT)であり、
前記第1のトランジスタは、前記制御端子とするゲートと、前記第1の端子とするドレインと、前記第2の端子とするソースとを有するNチャンネル金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(N−MOSFET)であり、
前記第2のトランジスタは、前記制御端子とするベースと、前記第1の端子とするコレクタと、前記第2の端子とするエミッタとを有するNPN BJTである
ことを特徴とする請求項1に記載のリレー駆動装置。
【請求項6】
前記遅延回路は、前記電源投入信号を受けた後予め決められた遅延時間を経過すると前記電源投入遅延信号を出力するように構成され、
前記予め決められた遅延時間は、前記第1の電圧によって前記リレーを起動させるのに要する時間よりも長い時間である
ことを特徴とする請求項1に記載のリレー駆動装置。
【請求項7】
リレーを駆動するための装置であって、
前記リレーを起動させるのに十分な第1の電圧を出力する第1の電力供給モジュールと、
前記第1の電圧以下の電圧であって前記リレーが起動された状態である前記リレーの起動状態を保つための電圧である第2の電圧を出力する第2の電力供給モジュールと、
前記リレーに接続されるように前記第1の電力供給モジュールと前記第2の電力供給モジュールとに電気的に接続されたスイッチング回路と、
前記リレーから前記第2の電力供給モジュールを遮断すると共に前記第1の電力供給モジュールを前記リレーに接続させると、前記第1の電力供給モジュールから前記第1の電圧を前記リレーに与えて前記リレーを起動させ、その後、前記リレーから前記第1の電力供給モジュールを遮断すると共に前記リレーを前記第2の電力供給モジュールに接続させると、前記第2の電圧を前記リレーに与えて前記リレーの前記起動状態を保つよう前記スイッチング回路を制御するように前記スイッチング回路に接続された制御モジュールとを備え、
前記スイッチング回路は、前記第1の電力供給モジュールに接続された第1のスイッチングトランジスタと、前記第1のスイッチングトランジスタを前記リレーに導通させるように設けられた第1のスイッチングダイオードと、前記第2の電力供給モジュールを前記リレーに導通させるように設けられた第2のスイッチングダイオードとを備え、
前記第1のスイッチングトランジスタは、前記第1の電力供給モジュールに接続された第1の端子と、第2の端子と、制御端子とを有し、
前記制御モジュールは、
電源投入信号を受けるように配置されており第1の端子と第2の端子と制御端子とを有する第1のトランジスタと、
前記第1の電力供給モジュールと前記第1のトランジスタの前記第1の端子との間に電気的に接続された第1のレジスタと、
遅延信号を受けるように配置されており、前記第1のトランジスタの前記第1の端子に接続された第1の端子と第2の端子と制御端子とを有する第2のトランジスタと、
第1の端子と第2の端子と前記第1のトランジスタの前記第1の端子に接続された制御端子とを有する第3のトランジスタと、
前記第1のスイッチングトランジスタの前記制御端子及び前記第3のトランジスタの前記第1の端子の間に電気的に接続された第2のレジスタと、
前記第1のスイッチングトランジスタの前記第1の端子及び前記制御端子に並列接続された第3のレジスタとを備える
ことを特徴とするリレー駆動装置。
【請求項8】
前記スイッチング回路は、前記第1のスイッチングトランジスタの前記第2の端子に接続された第1の端子と、前記第1のスイッチングダイオードに接続された第2の端子と、 制御端子とを有する第2のスイッチングトランジスタを有し、
前記制御モジュールは更に、前記第2のスイッチングトランジスタの前記制御端子に接続されたツェナーダイオードと、前記第2のスイッチングトランジスタの前記第1の端子及び前記制御端子に並列接続された第4のレジスタとを有する
ことを特徴とする請求項7に記載のリレー駆動装置。
【請求項9】
前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタとは、前記制御端子とするゲートと、前記第1の端子とするドレインと、前記第2の端子とするソースとを有するNチャネル金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(N−MOSFET)であり、
前記第3のトランジスタと前記第2のスイッチングトランジスタとは、前記制御端子とするベースと、前記第1の端子とするコレクタと、前記第2の端子とするエミッタとを有するNPNバイポーラジャンクショントランジスタ(BJT)であり、
前記第1のスイッチングトランジスタは、前記制御端子とするベースと、前記第1の端子とするエミッタと、前記第2の端子とするコレクタとを有するPNPバイポーラジャンクショントランジスタ(BJT)である
ことを特徴とする請求項8に記載のリレー駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リレーを駆動する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のパワーコンバータ(例えば電力供給装置)では、電力変換装置に電源を投入したときに発生する突入(inrush)電流を抑えると共に高い変換効率を図るために、リレーを用いている。リレーでは、パワーコンバータに電源を投入した際、突入電流を、短時間の大電流を抑制するためのものである例えばレジスタ、サーミスタなどの電流サプレッサーに流す。そして、突入電流が無くなってから、リレーからショート電流を流して電流サプレッサーを励磁させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0174468号明細書の段落[0010]、図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のリレーによれば、パワーコンバータは突入電流を抑えて小さい励磁電流で起動するので多くの電力を消費せずにすむが、リレー自体の電気部品によって電力を多く消費するので、パワーコンバータの変換効率の低下をきたす問題点がある。またリレーは起動されると、起動したままになっているので、起動するための電力を消費したままパワーコンバータに接続されたとき、パワーコンバータの変換効率が低下する問題点もある。
【0005】
優れた変換効率をもったパワーコンバータを用いたりリレーにおける電気部品を高価の電力変換用の部品に替えたり、又は回路構成を変えたりする方法を用いてもよいが、コストがアップしてしまう問題点がある。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決してなされたものであり、回路構成或いは構成部品の変更をせずリレーの電力消費を低減することができるリレーを駆動する装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、一つの観点によれば、本発明は、リレーを駆動するための装置であって、前記リレーを起動させるのに十分な第1の電圧を出力する第1の電力供給モジュールと、前記第1の電圧以下の電圧であって前記リレーが起動された状態である前記リレーの起動状態を保つための電圧である第2の電圧を出力する第2の電力供給モジュールと、前記リレーに接続されるように前記第1の電力供給モジュールと前記第2の電力供給モジュールとに電気的に接続されたスイッチング回路と、前記リレーから前記第2の電力供給モジュールを遮断すると共に前記第1の電力供給モジュールを前記リレーに接続させると、前記第1の電力供給モジュールから前記第1の電圧を前記リレーに与えて前記リレーを起動させ、その後、前記リレーから前記第1の電力供給モジュールを遮断すると共に前記リレーを前記第2の電力供給モジュールに接続させると、前記第2の電圧を前記リレーに与えて前記リレーの前記起動状態を保つよう前記スイッチング回路を制御するように前記スイッチング回路に接続された制御モジュールとを備えていることを特徴とするリレー駆動装置を提供する。
【0008】
また、他の観点によれば、本発明は、リレーに電気的に接続されたリレー駆動装置によって実行する方法であって、前記リレーを起動させるのに十分な電圧である第1の電圧を前記リレーに出力するように前記リレー駆動装置を構成するステップと、前記第1の電圧以下の電圧であって前記リレーが起動された状態である前記リレーの起動状態を保つための電圧である第2の電圧を前記リレーに出力するように前記リレー駆動装置を構成するステップとを特徴とするリレー駆動方法をも提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るリレーを駆動する装置及び方法によれば、ハイレベル電圧である第1の電圧とローレベル電圧である第2の電圧との切替により、リレー全体の電力消費を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係るリレー駆動装置の1つの実施形態を示す回路ブロック図である。
図2】異なるレベルの電圧及び電流による図1のリレー駆動装置を作動させるフローを示す図である。
図3図1のリレー駆動装置における異なる電圧及び電流のタイミングチャートを示す図である。
図4図1のリレー駆動装置の一例を示す回路構成図である。
図5図1のリレー駆動装置の他例を示す回路構成図である。
図6図5のリレー駆動装置における電圧のタイミングチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係るリレー駆動装置100の一実施形態は、図1に示されているように、リレー210が備えられているパワーコンバータ200に連結されて構成されている。なお、リレー駆動装置100は、他の形態としてリレーを含むパワー装置に連結されるようにしてもよい。
【0012】
リレー210は、この形態において、リレー駆動装置100に連結された一次側と、パワー変換ユニット220に連結された二次側とを有する。本発明に係るリレー駆動装置100は、電力使用量を削減するために異なる2種類の電圧を用いてリレー210を駆動するものである。
【0013】
リレー駆動装置100は、第1の電力供給モジュール10と、第2の電力供給モジュール20と、スイッチング回路30と、制御モジュール40とを備えている。
【0014】
第1の電力供給モジュール10は、リレー210を作動できるほどの第1の電圧Voを出力する。第2の電力供給モジュール20は、第1の電圧Voよりも低い第2の電圧Voを出力する。第1の電圧Voは、リレー210を起動可能な最も低い電圧よりも大きい又は等しい。第2の電圧Voは、リレー210が起動された状態である起動状態を保持するのに十分な電圧であって、リレー210の最も低い励磁電圧よりも大きい又は等しい。
【0015】
スイッチング回路30は、一例として第1の電力供給モジュール10とリレー210とが電気的に接続される、或いは第2の電力供給モジュール20とリレー210とが電気的に接続されるように切替可能に、リレー210に電気的に接続されるように、第1の電力供給モジュール10と第2の電力供給モジュール20とに電気的に接続されている。
【0016】
なお、スイッチング回路30は、電圧切替用の機械的な構成要素或いは半導体素子を用いて実現されてもよく、例えば金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、バイポーラジャンクショントランジスタ(BJT)、ダイオード、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などを用いることができる。
【0017】
制御モジュール40は、スイッチング回路30に電気的に接続されており、スイッチング回路30の切替を制御するように構成されている。
【0018】
次に本発明に係るリレー駆動装置100を用いてリレー210を駆動する方法について図2〜4を参照して説明する。
【0019】
ステップS10では、時刻tにて、電源を投入する(例えば電源スイッチを押す)と、リレー駆動装置100を作動させると共に、電源投入信号PS_ONを生成する。より具体的には、図2図3に示されているように、時刻tにて制御モジュール40に電源投入信号PS_ONを供給し、制御モジュール40は電源投入信号PS_ONに基づいて時刻tにてハイレベルになった制御信号Vdを生成してスイッチング回路30に供給する。なお、この形態では、リレー駆動装置100は、第1の電力供給モジュール10にて第1の電圧Voを、第2の電力供給モジュール20にて第2の電圧Voを生成してリレー210に供給するように構成される。
【0020】
この実施形態において、制御信号Vdは、時刻tでローレベルになって、スイッチング回路30を介して第2の電力供給モジュール20とリレー210との間が導通しないが、第1の電力供給モジュール10とリレー210との間が電気的に接続されるように導通するものである。これによって、リレー210を起動できるのに十分である第1の電圧Voがスイッチング回路30を介してリレー210に供給される。
【0021】
ステップS20では、第1の電圧Voを出力し、設定時間の後、時刻tでリレー駆動装置100によって第1の電圧Voよりも低い第2の電圧Voをリレー210に供給する。このとき、時刻tで制御信号Vdがハイレベルになって制御モジュール40によって出力される。こうして、第1の電力供給モジュール10はリレー210から遮断され、第2の電力供給モジュール20はスイッチング回路30を介してリレー210に電気的に接続されるように導通し、リレー210に第2の電圧Voが供給される。
【0022】
ここで、設定時間とは、第1の電圧Voにてリレー210を確実に作動できるように保証するために設定した時間であって、リレー210の第1の電圧Voにて起動するのに十分である最短な時間である固有時間よりも長いことに留意されたい。リレー駆動装置100は、第1の電圧Voにてリレー210を設定時間起動した後、第1の電圧Voよりも低い第2の電圧Voに切り替える。
【0023】
リレー駆動装置100は、リレー210に第1の電圧Voを供給し、そして、リレー210に第2の電圧Voを供給するように構成されている。第2の電圧Voは、第1の電圧Vo以下の電圧であってリレー210が起動された状態であるリレー210の起動状態を保つための電圧であるので、リレー210をより低い電力消費で作動させることになり、パワーコンバータ200の電力変換効率を高めることができる。
【0024】
表1は、パワーコンバータ200の異なる負荷(例えば、それぞれ20%、50%、100%)によるリレー210の電力消費の結果を示す。それぞれの場合においてリレー駆動装置100によってリレー装置210をそれぞれ作動させる。それぞれの場合、第1の電圧Voを12ボルト、第2の電圧Voを5ボルトとセットし、パワーコンバータ200は250ワットの電力を供給するように構成されたものである。
【0025】
【表1】
【0026】
表1を見ると、リレー駆動装置100によれば、負荷条件が異なってもリレー210の電力消費は共に0.256ワット低減することが分かる。
【0027】
(リレー駆動装置の回路構成の一例)
図4は、本発明に係るリレー駆動装置の回路構成の一例を示す図である。この例では、第1の電力供給モジュール10は、電源投入信号PS_ONに応答してハイレベル電圧からローレベル電圧に変わるように起動すべく、第1の電圧Voを供給する外部電圧源である。なお、電源投入信号PS_ONは外部基準電圧Vrefによって供給される。
【0028】
第2の電力供給モジュール20は、分圧コンデンサCvと、分圧コンデンサCvに並列接続された第1のツェナーダイオードZDと、第1の電力供給モジュール10に電気的に接続された分圧抵抗とを備えている。この形態において、第2の電力供給モジュール20は、第1の電力供給モジュール10が出力した第1の電圧Voを受けるように配置され、第2の電圧Voは、第1の電圧Voによる分圧コンデンサCvと第1のツェナーダイオードZDとを跨いで得られた分圧である。
【0029】
スイッチング回路30は、第1の電力供給モジュール10がリレー210に接続されたスイッチングトランジスタQsと、第2の電力供給モジュール20がリレー210に接続されたスイッチングダイオードDsとを有する。この形態では、スイッチングトランジスタQsは、例えばPNPバイポーラジャンクショントランジスタ(BJT)であり、制御端子とするベースと、第1の端子とするエミッタと、第2の端子とするコレクタとを有するものである。スイッチングダイオードDsは、第2の電力モジュール20に電気的に接続されたアノードと、リレー210の一次側に電気的に接続されたカソードとを有する。
【0030】
制御モジュール40は、遅延回路41と、第1のトランジスタQと、第1のレジスタRと、第2のトランジスタQと、第2のレジスタRと、第3のレジスタRとを有する。
【0031】
遅延回路41は、この例では、互いに並列接続された遅延コンデンサCdと、遅延レジスタRdとを有するRC回路である。遅延回路41は、電源投入信号PS_ONを受信し、電源投入遅延信号を出力する。
【0032】
なお、第1のトランジスタQは、例えばNチャネルMOSFET(N−channel metal−oxide−semiconductor field effect transistor)であり、制御端子とするゲートと、第1の端子とするドレインと、第2の端子とするソースとを有するものである。第1のトランジスタQの制御端子は、電源投入遅延信号を受信するように遅延回路41に接続されている。第1のトランジスタQの第2の端子は接地されている。
【0033】
第1のレジスタRは、第1の電力供給モジュール10と第1のトランジスタQの第1の端子との間に電気的に接続されている。
【0034】
第2のトランジスタQは、例えばNPN BJTであり、制御端子とするベースと、第1の端子とするコレクタと、第2の端子とするエミッタとを有するものである。第2のトランジスタQの制御端子は、第1のトランジスタQの第1の端子に接続されている。第2のトランジスタQの第2の端子は接地されている。
【0035】
第2のレジスタRは、スイッチングトランジスタQsの制御端子と第2のトランジスタQの第1の端子との間に電気的に接続されている。第3のレジスタRは、スイッチングトランジスタQsの第1の端子及び制御端子の間に並列に接続されている。
【0036】
次に、上記のように構成されたリレー駆動装置の動作及び効果について説明する。この形態では、パワーコンバータ200が起動される(例えば外部よりパワーコンバータ200の電源が押されたとき)と、電源投入信号PS_ONがハイレベル電圧からローレベル電圧へ変わるように切り替わる。
【0037】
第1の電力供給モジュール10は、レスポンスとして第1の電圧VO1を出力し、そして第2の電力供給モジュール20は第2の電圧VO2を出力する。スイッチングトランジスタQsと第2のトランジスタQが導通し、スイッチングダイオードDsが逆方向バイアスとなる。結果として、第1の電力供給モジュール10のみから電流IO1がスイッチングユニット30に流れるようになる。即ち、第2の電力供給モジュール20からの電流IO2が遮断される。そして、リレー210を起動するように第1の電圧VO1が入力される。
【0038】
次いで、電源投入信号PS_ONが制御モジュール40の遅延回路41に入力され、スイッチングトランジスタQsと第2のトランジスタQとの導通で、遅延回路41によって電源投入遅延信号が第1のトランジスタQの制御端子に出力される。そして、スイッチングトランジスタQと第2のトランジスタQは遮断され、スイッチングダイオードDが順方向バイアスとなる。結果として、第2の電力供給モジュール20のみから電流IO2がスイッチングユニット30に流れるようになる。即ち、第1の電力供給モジュール10からの電流IO1が遮断される。そして、第2の電圧VO2が入力されることにより、リレー210が起動された状態である起動状態を保つことができる。
【0039】
ここで、リレー210を起動するために、第1の電圧VO1をある期間(設定時間)供給しつづける必要があることに留意されたいが、遅延回路41は、切り替わって第2の電圧VO2をリレー210に供給する前に電源投入遅延信号を出力して、リレー210を起動するための固有時間よりも長く経過するようにしなければならない。この形態では、遅延回路41はRC回路であり、その遅延時間はリレー210が起動するのに必要である最短の時間よりも長く予め設定する必要がある。
【0040】
(リレー駆動装置の回路構成の他例)
図5は、本発明に係るリレー駆動装置の回路構成の他例を示す図である。この例では、第1の電力供給モジュール10と第2の電力供給モジュール20は外部電圧源であり、電源投入信号PS_ONに応答してローレベル電圧に切り替えるように作動される。電源投入信号PS_ON及び遅延信号PGOは2つの独立した外部電圧源を用いて生成されるものであり、図6に示されているように、電源投入信号PS_ONが遅延時間に出力された後遅延信号PGOが出力されるように構成されている。
【0041】
スイッチング回路30は、第1のスイッチングトランジスタQS1と、第1のスイッチングダイオードDと、第2のスイッチングダイオードDと、第2のスイッチングトランジスタQS2とを有する。第1のスイッチングダイオードDと第2のスイッチングダイオードDとは、第1の電力供給モジュール10が第1のスイッチングダイオードDを介してリレー210に接続されると共に、第2の電力供給モジュール20が第2のスイッチングダイオードDを介してリレー210に接続されるように配置されている。
【0042】
この例では、第1のスイッチングトランジスタQS1は、例えばPNP BJTであり、制御端子とするベースと、第1の端子とするエミッタと、第2の端子とするコレクタとを有するものである。第1のスイッチングトランジスタQS1の第1の端子は第1の電力供給モジュール10に接続されている。
【0043】
第2のスイッチングトランジスタQS2は、例えばNPN BJTであり、制御端子とするベースと、第1の端子とするコレクタと、第2の端子とするエミッタとを有するものである。第2のスイッチングトランジスタQS2の第1の端子は、第1のスイッチングトランジスタQS1の第2の端子に接続されている。第2のスイッチングトランジスタQS2の第2の端子は、第1のスイッチングダイオードDに接続されている。
【0044】
制御モジュール40は、第1のトランジスタQaと、第1のレジスタRaと、第2のトランジスタQbと、第3のトランジスタQcと、第2のレジスタRbと、第3のレジスタRcと、ツェナーダイオードZDaと、第4のレジスタRとを有する。
【0045】
第1のトランジスタQaは、例えばN−MOSFETであり、制御端子とするゲートと、第1の端子とするドレインと、第2の端子とするソースとを有するものである。第1のトランジスタQaの制御端子は、電源投入信号PS_ONを受信するように配置されている。第1のトランジスタQaの第2の端子は接地されている。
【0046】
第1のレジスタRaは、第1の電力供給モジュール10及び第1のトランジスタQaの第1の端子の間に接続されている。
【0047】
第2のトランジスタQbは、例えばN−MOSFETであり、制御端子とするゲートと、第1の端子とするドレインと、第2の端子とするソースとを有する。第2のトランジスタQbの第1の端子は、第1のトランジスタQaの第1の端子に接続されている。第2のトランジスタQbの制御端子は、遅延信号PGOを受信するように配置されている。第2のトランジスタQbの第2の端子は接地されている。
【0048】
第3のトランジスタQcは、例えばNPN BJTであり、制御端子とするベースと、第1の端子とするコレクタと、第2の端子とするエミッタとを有するものである。第3のトランジスタQcの制御端子は、第1のトランジスタQaの第1の端子に接続されている。第3のトランジスタQcの第2の端子は接地されている。
【0049】
第2のレジスタRbは、第1のスイッチングトランジスタQS1の制御端子及び第3のトランジスタQcの第1の端子の間に接続されている。第3のレジスタRcは、第1のスイッチングトランジスタQS1の第1の端子と制御端子とに並列接続されている。第4のレジスタRは、第2のスイッチングトランジスタQS2の第1の端子と制御端子とに並列接続されている。
【0050】
次に、この例に係るリレー駆動装置100の動作及び作用について説明する。
【0051】
図6に示されているように、時刻tにて例えばリレー駆動装置100に入力された電源投入信号PS_ONによって、パワーコンバータ200が起動されると、第1の電力供給モジュール10と第2の電力供給モジュール20は電源投入信号PS_ONの電圧レベルの切替に応じてそれぞれが第1の電圧VO1、第2の電圧VO2を出力する。この際、電源投入信号PS_ONと遅延信号PGOとは共にローレベル電圧であるため、第1のトランジスタQaと第2のトランジスタQbとに電流が遮断されて流されない。第1の電圧VO1によって第1のスイッチングトランジスタQS1、第2のスイッチングトランジスタQS2及び第1のダイオードDを導通状態にし、第2のダイオードDが逆方向バイアスとなる。そうすると、第1の電圧VO1がリレー210に出力される。
【0052】
遅延時間(例えば100〜500msecと予め設定された時間)の経過後、遅延信号PGOが時刻tにてハイレベル電圧に切り替わる。次いで第2のトランジスタQbが導通状態になり、第3のトランジスタQc及び第1のスイッチングトランジスタQS1、第2のスイッチングトランジスタQS2の間は遮断状態となり、第1のダイオードDが逆方向バイアスとなる。その後、第2のダイオードDは順方向バイアスとなり、第2の電圧VO2がリレー210に出力される。
【0053】
以上により、リレー駆動装置100は、ハイレベル電圧とローレベル電圧との切替により、リレー210の全体の電力消費を削減することができる。なお、リレー駆動装置100は、電力変換効率が高い部品に替えたり回路の配置を変更する必要もなく、周辺機器としてリレー210に接続されることができる。本発明に係るリレー駆動装置100は、高価な電気部品を使うことはないので比較的に安価に仕上げることができ、しかも良品質な装置が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、電力消費を低く抑え高い変換効率を得ることができる電力変換装置に有用である。
【符号の説明】
【0055】
100 リレー駆動装置
200 パワーコンバータ
210 リレー
220 パワー変換ユニット
10 第1の電力供給モジュール
20 第2の電力供給モジュール
30 スイッチング回路
40 制御モジュール
O1、IO2、Ir 電流
PS_ON 電源投入信号
Vd 制御信号
Vo 第1の電圧
Vo 第2の電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6