特許第5651806号(P5651806)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5651806
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】重ね合わせ複合部品
(51)【国際特許分類】
   B32B 3/30 20060101AFI20141218BHJP
   B60R 13/02 20060101ALI20141218BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20141218BHJP
【FI】
   B32B3/30
   B60R13/02 B
   B60K35/00 Z
【請求項の数】13
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2014-503411(P2014-503411)
(86)(22)【出願日】2012年8月27日
(86)【国際出願番号】JP2012071602
(87)【国際公開番号】WO2013132677
(87)【国際公開日】20130912
【審査請求日】2014年5月21日
(31)【優先権主張番号】特願2012-50184(P2012-50184)
(32)【優先日】2012年3月7日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000241496
【氏名又は名称】豊田鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】宮下 長武
(72)【発明者】
【氏名】酒井 秀彰
【審査官】 加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−225035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 3/30
B60K 35/00
B60R 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の合わせ面を有する第1部材と、
前記合わせ面と略平行な板状部を有するとともに、該板状部には、該合わせ面との間に空間が形成されるように該合わせ面に向かって突き出す多数の突起が一体に設けられ、該突起が該合わせ面に接する状態で前記第1部材に重ね合わされるように配置される弾性変形可能な樹脂材料製の第2部材と、
を有し、前記突起の先端が前記合わせ面に押圧されて弾性変形させられることによりクッション性が付与される重ね合わせ複合内装部品において、
前記多数の突起は同一形状で、前記板状部に点在形成されているとともに、各突起の圧縮荷重に対する曲げ剛性が軸まわりにおいて異方性を有し、軸まわりの一定方向または対称的な2方向のみへ撓み変形するように構成されており、
且つ、該多数の突起は、多数の多角形の各辺がそれぞれ隣接する多角形の辺と重なる格子模様を形成するように、該多角形の各辺を構成する位置に設けられている
ことを特徴とする重ね合わせ複合内装部品。
【請求項2】
前記突起は、前記板状部に対して垂直な方向から見た平面視の形状が長手形状とされている
ことを特徴とする請求項1に記載の重ね合わせ複合内装部品。
【請求項3】
前記多数の突起は軸まわりの一定方向へ撓み変形するように構成されており、
前記格子模様は、四角形または六角形の同一形状の多角形が連続して繰り返すもので、
前記突起は、撓み方向が前記多角形の内側向きまたは外側向きになるように該多角形の各辺に一つずつ配置されるとともに、該多角形の中心線まわりにおいて撓み方向が交互に逆向きになる姿勢で設けられている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の重ね合わせ複合内装部品。
【請求項4】
前記格子模様は、前記多角形として一定の大きさの正六角形が連続して繰り返すハニカム模様である
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の重ね合わせ複合内装部品。
【請求項5】
前記突起は、非対称形状の縦断面を有している
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の重ね合わせ複合内装部品。
【請求項6】
前記突起は、前記縦断面における両側の一対の側壁の一方が、先端側へ向かうに従って他方よりも大きく内側へ傾斜する大傾斜面を備えている
ことを特徴とする請求項に記載の重ね合わせ複合内装部品。
【請求項7】
前記突起は、前記板状部から立ち上がる根元部分のコーナー形状が軸まわりにおいて相違している
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の重ね合わせ複合内装部品。
【請求項8】
前記突起は、材質が軸まわりにおいて相違している
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の重ね合わせ複合内装部品。
【請求項9】
前記重ね合わせ複合内装部品は板状のパネル部品で、
前記第2部材は表層部材で、
前記第1部材は前記第2部材よりも硬質の樹脂材料にて構成されている板状の基材であり、
該基材の表面が前記合わせ面として機能し、前記表層部材は、該表面に重ね合わされるように配置されて該基材に一体的に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の重ね合わせ複合内装部品。
【請求項10】
前記表層部材には、前記板状部の前記突起が設けられた側と反対側の表面に表皮材が一体的に固着されており、前記板状の基材と合わせて全体として3層構造を成している
ことを特徴とする請求項に記載の重ね合わせ複合内装部品。
【請求項11】
前記重ね合わせ複合内装部品は板状のパネル部品で、
前記第1部材は、弾性変形可能な樹脂材料製の板状の表層部材で、
前記第2部材は、前記板状部の前記突起が設けられた側と反対側の裏面が板状の基材に密着するように該基材に一体的に固定されている
ことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の重ね合わせ複合内装部品。
【請求項12】
前記基材には、空調装置から供給される熱媒体を前記表層部材との間の空間内に導入するための導入口が設けられており、該空間内に該熱媒体が供給される
ことを特徴とする請求項または10に記載の重ね合わせ複合内装部品。
【請求項13】
前記表層部材は、前記基材との間の空間を密閉するように該基材に重ね合わされて一体的に固定されているとともに、
該空間内には圧縮ガスが充填され、該圧縮ガスにより前記表層部材の前記板状部が付勢されている
ことを特徴とする請求項または10に記載の重ね合わせ複合内装部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は重ね合わせ複合内装部品に係り、特に、多数の突起の弾性変形によってクッション性が付与される重ね合わせ複合内装部品の触感を一層向上させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(a)所定の合わせ面を有する第1部材と、(b)前記合わせ面と略平行な板状部を有するとともに、その板状部には、その合わせ面との間に空間が形成されるようにその合わせ面に向かって突き出す多数の突起が一体に設けられ、その突起がその合わせ面に接する状態で前記第1部材に重ね合わされるように配置される弾性変形可能な樹脂材料製の第2部材と、を有し、(c)前記突起の先端が前記合わせ面に押圧されて弾性変形させられることによりクッション性が付与される重ね合わせ複合内装部品が知られている。特許文献1に記載の部品はその一例で、車両用の内装部品(アームレスト等)に関するものであり、第2部材である表皮材の裏面に多数のピン状の突起を設けることにより、その突起の弾性変形で表皮材の触感(ソフト感)を向上させる技術が記載されている。特許文献1にはまた、ピン状の突起の代わりにリブを設ける技術も記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−103676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の重ね合わせ複合内装部品においては、単純な円柱形状の突起が設けられるだけであるため、押圧荷重によって弾性変形させられる際の変形態様(撓み方向など)が安定せず、触感がばらつき易いという問題があった。また、多数の突起の代わりにリブを設ける場合には、剛性が高くなって十分なソフト感が得られ難い。
【0005】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、多数の突起の弾性変形によってクッション性が付与される重ね合わせ複合内装部品において、その触感を一層向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、第1発明は、(a) 所定の合わせ面を有する第1部材と、(b) 前記合わせ面と略平行な板状部を有するとともに、その板状部には、その合わせ面との間に空間が形成されるようにその合わせ面に向かって突き出す多数の突起が一体に設けられ、その突起がその合わせ面に接する状態で前記第1部材に重ね合わされるように配置される弾性変形可能な樹脂材料製の第2部材と、を有し、(c) 前記突起の先端が前記合わせ面に押圧されて弾性変形させられることによりクッション性が付与される重ね合わせ複合内装部品において、(d) 前記多数の突起は同一形状で、前記板状部に点在形成されているとともに、各突起の圧縮荷重(軸方向からの押圧荷重)に対する曲げ剛性が軸まわりにおいて異方性を有し、軸まわりの一定方向または対称的な2方向のみへ撓み変形するように構成されており、且つ、(e) その多数の突起は、多数の多角形の各辺がそれぞれ隣接する多角形の辺と重なる格子模様を形成するように、その多角形の各辺を構成する位置に設けられていることを特徴とする。
【0007】
第2発明は、第1発明の重ね合わせ複合内装部品において、前記突起は、前記板状部に対して垂直な方向から見た平面視の形状が長手形状とされていることを特徴とする。
【0009】
発明は、第1発明または第2発明の重ね合わせ複合内装部品において、(a) 前記多数の突起は軸まわりの一定方向へ撓み変形するように構成されており、(b) 前記格子模様は、四角形または六角形の同一形状の多角形が連続して繰り返すもので、(c) 前記突起は、撓み方向が前記多角形の内側向きまたは外側向きになるようにその多角形の各辺に一つずつ配置されるとともに、その多角形の中心線まわりにおいて撓み方向が交互に逆向きになる姿勢で設けられていることを特徴とする。
【0010】
発明は、第1発明〜第3発明の何れかの重ね合わせ複合内装部品において、前記格子模様は、前記多角形として一定の大きさの正六角形が連続して繰り返すハニカム模様であることを特徴とする。
【0011】
第5発明は、第1発明〜第4発明の何れかの重ね合わせ複合内装部品において、前記突起は、非対称形状の縦断面を有していることを特徴とする。
【0012】
発明は、第発明の重ね合わせ複合内装部品において、前記突起は、前記縦断面における両側の一対の側壁の一方が、先端側へ向かうに従って他方よりも大きく内側へ傾斜する大傾斜面を備えていることを特徴とする。
【0013】
発明は、第1発明〜第4発明の何れかの重ね合わせ複合内装部品において、前記突起は、前記板状部から立ち上がる根元部分のコーナー形状が軸まわりにおいて相違していることを特徴とする。
【0014】
発明は、第1発明〜第4発明の何れかの重ね合わせ複合内装部品において、前記突起は、材質が軸まわりにおいて相違していることを特徴とする。
【0015】
発明は、第1発明〜第8発明の何れかの重ね合わせ複合内装部品において、(a) 前記重ね合わせ複合内装部品は板状のパネル部品で、(b) 前記第2部材は表層部材で、(c) 前記第1部材は前記第2部材よりも硬質の樹脂材料にて構成されている板状の基材であり、(d) その基材の表面が前記合わせ面として機能し、前記表層部材は、その表面に重ね合わされるように配置されてその基材に一体的に取り付けられていることを特徴とする。
【0016】
10発明は、第発明の重ね合わせ複合内装部品において、前記表層部材には、前記板状部の前記突起が設けられた側と反対側の表面に表皮材が一体的に固着されており、前記板状の基材と合わせて全体として3層構造を成していることを特徴とする。
【0017】
11発明は、第1発明〜第8発明の何れかの重ね合わせ複合内装部品において、(a) 前記重ね合わせ複合内装部品は板状のパネル部品で、(b) 前記第1部材は、弾性変形可能な樹脂材料製の板状の表層部材で、(c) 前記第2部材は、前記板状部の前記突起が設けられた側と反対側の裏面が板状の基材に密着するようにその基材に一体的に固定されていることを特徴とする。
【0018】
12発明は、第発明または第10発明の重ね合わせ複合内装部品において、前記基材には、空調装置から供給される熱媒体を前記表層部材との間の空間内に導入するための導入口が設けられており、その空間内にその熱媒体が供給されることを特徴とする。
【0019】
13発明は、第発明または第10発明の重ね合わせ複合内装部品において、(a) 前記表層部材は、前記基材との間の空間を密閉するようにその基材に重ね合わされて一体的に固定されているとともに、(b) その空間内には圧縮ガスが充填され、その圧縮ガスにより前記表層部材の前記板状部が付勢されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
このような重ね合わせ複合内装部品においては、多数の突起が板状部に点在形成されているとともに、各突起の圧縮荷重に対する曲げ剛性が軸まわりにおいて異方性を有し、軸まわりの一定方向または対称的な2方向のみへ撓み変形するように構成されているため、ソフト感(クッション性)が向上する。また、各突起の撓み(倒れ)方向をコントロールできるため、突起が弾性変形させられる際の変形態様(撓み方向など)が安定し、指や手で押圧した時の触感のばらつきが抑制される。
また、多数の多角形が連続して隣り合う格子模様を形成するように、その多角形の各辺を構成する位置に突起が設けられるため、多数の突起が一定の配置パターンで設けられるようになり、指や手で押圧した時の触感のばらつきが抑制される。また、格子模様の各辺に対応して突起の姿勢を変化させれば、それに伴って各突起の撓み方向が変化するため、互いに支え合うことによって適度な剛性感(柔らか過ぎない感じ)が得られるようになり、その突起の弾性変形によって得られるソフト感と相まって一層優れた触感を設定することができる。
【0021】
第2発明は、突起が平面視において長手形状を成している場合で、長手方向と直角な方向へは撓み変形し易く、長手方向へは撓み変形し難いため、その突起が弾性変形させられる際の変形態様が安定し、指や手で押圧した時の触感のばらつきが抑制される。また、例えば平面視の形状が単純な長方形の場合、成形金型の構造が単純になるなど、製造コストが低減されて安価に構成できる。
【0023】
発明は、多数の突起が軸まわりの一定方向へ撓み変形するように構成されている場合で、四角形または六角形の同一形状の多角形が連続して繰り返す格子模様において、突起は撓み方向が多角形の内側向きまたは外側向きになるようにその多角形の各辺に一つずつ配置されるとともに、その多角形の中心線まわりにおいて撓み方向が交互に逆向きになる姿勢で設けられているため、一定方向への撓み変形に拘らず多角形を単位とした突起の変形態様が全域で略同じになり、均質な触感が得られる。
【0024】
発明は、多数の突起によって構成される格子模様が、多角形として一定の大きさの正六角形が連続して繰り返すハニカム模様の場合で、例えば正六角形の各辺に対応して突起の姿勢を60°或いは120°ずつ変化させれば、正方形の格子模様に比較して押圧荷重に対する弾性変形の異方性が抑制され、斜め方向からの押圧荷重に対しても均質な触感が得られるようになる。
【0025】
第5発明では、突起が非対称形状の縦断面を有しているため、突起が常に一定の変形態様で弾性変形させられるようになり、触感のばらつきが抑制されて略同じ触感が安定して得られるようになる。また、非対称の断面形状により突起の撓み(倒れ)方向や撓み易さをコントロールできるため、撓み変形時に互いに干渉しないように突起を配置することで、所定のソフト感が確実に得られるようにできる。
【0026】
発明では、上記縦断面における両側の一対の側壁の一方が他方よりも大きく内側へ傾斜する大傾斜面を備えているため、突起はその大傾斜面と反対側へ撓み易くなり、突起の弾性変形によって得られるソフト感を一層向上させることができるとともに、その大傾斜面の傾斜の大きさや範囲を変更して撓み易さをコントロールすることにより、ソフト感の調整を容易に行うことができる。また、大傾斜面を設ける位置により撓み方向をコントロールできるため、撓み変形時に互いに干渉しないように突起を配置することにより、突起をできるだけ密に設けて突起の有無による触感のばらつきを抑制しつつ、弾性変形により所定のソフト感が確実に得られるようにできる。
【0027】
発明は、突起が板状部から立ち上がる根元部分のコーナー形状が軸まわりにおいて相違している場合で、コーナー形状によって定まる特定方向へ撓み変形し易くなるため、突起が弾性変形させられる際の変形態様が安定し、指や手で押圧した時の触感のばらつきが抑制される。また、コーナー形状の相違により突起の撓み(倒れ)方向や撓み易さをコントロールできるため、撓み変形時に互いに干渉しないように突起を配置することにより、突起をできるだけ密に設けて突起の有無による触感のばらつきを抑制しつつ、弾性変形により所定のソフト感が確実に得られるようにできる。
【0028】
発明は、突起の材質が軸まわりにおいて相違している場合で、材質によって定まる特定方向へ撓み変形し易くなるため、突起が弾性変形させられる際の変形態様が安定し、指や手で押圧した時の触感のばらつきが抑制される。また、材質の相違により突起の撓み(倒れ)方向や撓み易さをコントロールできるため、撓み変形時に互いに干渉しないように突起を配置することにより、突起をできるだけ密に設けて突起の有無による触感のばらつきを抑制しつつ、弾性変形により所定のソフト感が確実に得られるようにできる。
【0029】
発明は、重ね合わせ複合内装部品が板状のパネル部品の場合で、第2部材が表層部材、第1部材が第2部材よりも硬質の板状の基材であり、その基材の表面に表層部材が重ね合わされるように配置されてその基材に一体的に取り付けられる。このようなパネル部品においては、表層部材に設けられた突起の弾性変形により、その表層部材の板状部を指や手で押した場合に優れた触感が得られるなど、第1発明〜第発明の効果が適切に得られる。また、第1部材および第2部材のみの2層構造とすれば、製造コストを抑制できる。
【0030】
10発明は、上記第発明のパネル部品において、表層部材に表皮材が一体的に固着されている場合で、板状部の突起と反対側の面が表皮材で被覆されるため、突起に起因して板状部にヒケや艶ムラ等が生じても外部に露出することが無いとともに、表層部材の傷付きが防止される。このため、その表層部材の樹脂材料の選択の幅が広くなるとともに、触感に関与する突起形状等の設計の自由度が高くなり、触感の調整を一層容易に且つ適切に行うことができる。
【0031】
11発明は、重ね合わせ複合内装部品が板状のパネル部品の場合で、第1部材が弾性変形可能な軟質樹脂材料製の板状の表層部材であり、第2部材は、板状部の突起が設けられた側と反対側の裏面が板状の基材に密着するように一体的に固定されている。このようなパネル部品においては、表層部材(第1部材)を指や手で押した場合に、その表層部材の裏面(合わせ面)が第2部材に設けられた突起の先端に押圧されることにより、その突起の弾性変形で優れた触感が得られるなど、第1発明〜第発明の効果が適切に得られる。また、突起が設けられる第2部材が表層部材(第1部材)によって被覆されるとともに、第2部材の板状部は基材に固定されるため、その板状部の突起と反対側の面にヒケや艶ムラ等が生じても外部に露出することが無く、第2部材の樹脂材料の選択の幅が広くなるとともに、触感に関与する突起形状等の設計の自由度が高くなり、触感の調整を一層容易に且つ適切に行うことができる。
【0032】
12発明では、基材(第1部材)に導入口が設けられ、表層部材(第2部材)との間の空間内に空調装置から熱媒体が供給されるため、その熱媒体により温度調整を行うことが可能で、表層部材の板状部の触感を一層向上させることができる。
【0033】
13発明では、基材(第1部材)と表層部材(第2部材)との間の空間内に圧縮ガスが充填され、その圧縮ガスにより表層部材の板状部が付勢されているため、突起以外の部分にも適度な剛性感を付与することが可能で触感を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施例であるオーナメントを有する車両用ドアトリムの上端部を示す図で、意匠面側(車室内側)から見た概略図である。
図2図1の車両用ドアトリムのオーナメントを単独で示す図で、表層部材の裏面に設けられた多数の微小突起を意匠面側から透過して示した図である。
図3図2のオーナメントの表層部材を取り除いて基材を示した図である。
図4図1におけるIV−IV矢視部分の拡大断面図である。
図5図1におけるV−V矢視部分の拡大断面図である。
図6】表層部材の裏面に設けられた多数の微小突起を説明する図で、(a) は実際の大きさに近い状態で示した平面図、(b) は(a) における VIb部を拡大して示した平面図である。
図7図6の(b) におけるVII −VII 矢視部分の拡大縦断面図である。
図8図6の(b) におけるVIII−VIII矢視部分の拡大縦断面図である。
図9】本発明の他の実施例を説明する図で、図6の(b) に対応する平面図である。
図10図9におけるX−X矢視部分の拡大縦断面図である。
図11図9におけるXI−XI矢視部分の拡大縦断面図である。
図12図9に示す微小突起の斜視図である。
図13図9の平面図に対して各微小突起の撓み方向を白抜き矢印で加筆した図である。
図14図6および図9の2種類の微小突起について、反力とストロークとの関係を調べた際の試験方法を説明する図である。
図15図14の試験方法に従って調べた反力−ストローク特性を示す図である。
図16】表層部材に表皮材が固着されている他の実施例を説明する図で、図4に対応する断面図である。
図17】第1部材が表層部材で第2部材が基材に固定されている他の実施例を説明する図で、図4に対応する断面図である。
図18】微小突起の形状が異なる他の実施例を説明する図で、その微小突起の三面図である。
図19図18の微小突起の斜視図である。
図20】微小突起の形状が異なる更に別の実施例を説明する図で、その微小突起の三面図である。
図21図20の微小突起の斜視図である。
図22図6の(b) に示す微小突起が3つずつ連結されている実施例を説明する図で、その1組の微小突起群の三面図である。
図23図22の1組の微小突起群の斜視図である。
図24】本発明の更に別の実施例を説明する図で、図6の(b) に相当する平面図である。
図25図24における XXV−XXV 矢視部分の拡大縦断面図である。
図26】本発明の更に別の実施例を説明する図で、図6の(b) に相当する平面図である。
図27図24における XXVII−XXVII 矢視部分の拡大縦断面図である。
図28】本発明の更に別の実施例を説明する図で、図6の(b) に相当する平面図である。
図29図28におけるXXIX−XXIX矢視部分の拡大縦断面図である。
図30図9の実施例において、微小突起を格子模様の正六角形の各辺に対して傾斜配置した例を説明する図である。
図31図30の実施例において各微小突起が弾性変形させられた時の領域(斜線部)を、図9の実施例と比較して示した図である。
図32図30の実施例において、突起高さが異なる2種類の微小突起について、反力とストロークとの関係を図14の試験方法に従って調べた結果を示す図である。
図33図6の実施例に比較してアスペクト比を変更した例を説明する図である。
図34】微小突起の平面視の形状が台形状で、長辺(下底)側に大傾斜面が設けられた本発明の更に別の実施例を説明する図であり、(a) は図6の(b) に相当する平面図、(b) は一つの微小突起の拡大図である。
図35図34の(b) におけるXXXV−XXXV矢視部分の縦断面図である。
図36図34の微小突起の斜視図である。
図37】微小突起の平面視の形状が正方形で大傾斜面を有しない〈変更例1〉を説明する図であり、(a) は図6の(b) に相当する平面図、(b) は一つの微小突起の拡大図である。
図38図37の(b) における XXXVIII−XXXVIII 矢視部分の縦断面図である。
図39図37の(b) における XXXIX−XXXIX 矢視部分の縦断面図である。
図40図37の微小突起の斜視図である。
図41】微小突起の平面視の形状が正方形で且つ大傾斜面を有する〈変更例2〉を説明する図で、(a) は図6の(b) に相当する平面図、(b) は一つの微小突起の拡大図である。
図42図41の(b) におけるXLII−XLII矢視部分の縦断面図である。
図43図41の(b) における XLIII−XLIII 矢視部分の縦断面図である。
図44】微小突起の平面視の形状が台形状で大傾斜面を有しない〈変更例3〉を説明する図で、(a) は図6の(b) に相当する平面図、(b) は一つの微小突起の拡大図である。
図45図44の(b) における XLV−XLV 矢視部分の縦断面図である。
図46図44の(b) におけるXLVI−XLVI矢視部分の縦断面図である。
図47】変更例1〜3と図34の実施例とを用いて、反力とストロークとの関係を図14の試験方法に従って調べた結果を示す図である。
図48】微小突起の平面視の形状が半円形状で、直線部側に大傾斜面が設けられた本発明の更に別の実施例を説明する図であり、(a) は図6の(b) に相当する平面図、(b) は一つの微小突起の拡大図である。
図49図48の(b) におけるXLIX−XLIX矢視部分の縦断面図である。
図50図48の微小突起の斜視図である。
図51】微小突起の平面視の形状が半円形状で大傾斜面を有しない〈変更例4〉を説明する図で、(a) は図6の(b) に相当する平面図、(b) は一つの微小突起の拡大図である。
図52図51の(b) における LII−LII 矢視部分の縦断面図である。
図53図51の微小突起の斜視図である。
図54】変更例1、2、4と図48の実施例とを用いて、反力とストロークとの関係を図14の試験方法に従って調べた結果を示す図である。
図55】微小突起の平面視の形状が正方形の一辺が傾斜した台形状で、その傾斜辺と反対側に大傾斜面が設けられた本発明の更に別の実施例を説明する図であり、(a) は図6の(b) に相当する平面図、(b) は一つの微小突起の拡大図である。
図56図55の(b) における LVI−LVI 矢視部分の縦断面図である。
図57図55の微小突起の斜視図である。
図58】多数の微小突起が正方形の格子模様を構成するように配置されている他の実施例を説明する平面図である。
図59】多数の微小突起が正三角形の格子模様を構成するように配置されている他の実施例を説明する平面図である。
図60】多数の微小突起が複数種類の多角形から成る格子模様を構成するように配置されている他の実施例を説明する平面図である。
図61図1のオーナメントの内部に空調装置から熱媒体が供給される場合を説明する図で、図1における LXI−LXI 矢視断面に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、ドアトリムやラゲージサイドトリム、インストルメントパネル等の車両用内装部品や、その内装部品に取り付けられるオーナメント等に適用されるが、車両用以外のパネル部品に適用することも可能である。また、板状のパネル部品だけでなく、三次元的に湾曲した立体形状を有する第1部材或いは基材の表面に第2部材を重ね合わせた立体部品にも適用され得る。第1部材を基材として用いる場合、硬質ポリ塩化ビニルやポリプロピレン、ポリエチレン、ABS等の比較的硬質の合成樹脂材料が好適に用いられるが、金属等の他の材料製であっても良い。第1部材を表層部材として用いる場合や第2部材の樹脂材料としては、軟質ポリ塩化ビニルやスチレン系、オレフィン系、ポリエステル系等の各種の熱可塑性樹脂が好適に用いられる。表皮材としては、軟質ポリ塩化ビニルやスチレン系、オレフィン系、ポリエステル系等の各種の熱可塑性樹脂だけでなく、織布や不織布、編布、塩化ビニル、軟質フィルムなど、種々の表皮材料を採用できる。
【0036】
第2発明の平面視において長手形状を成す突起は、例えば平面視において長方形を成すように構成されるが、円弧状に湾曲した湾曲形状、クランク形状など、全体として長手形状を成す種々の形状が可能で、例えば長手方向が格子模様の多角形の各辺とそれぞれ略平行になる姿勢で設けられる。これ等の突起は、先端側程断面積が小さくなる先細形状とすることが望ましい。突起の高さ寸法Hは、例えば2mm<H<4mm程度の範囲内が適当である。また、長方形の突起の長手方向と直角な方向の幅寸法dは、例えば1mm<d<2mm程度の範囲内が適当で、長手方向の長さ寸法Lは、1.5mm<L<2.5mm程度の範囲内が適当である。
【0037】
上記突起が配置される格子模様は、例えば多角形として同一形状の正三角形や正方形、或いは正六角形が連続して繰り返すように定められるが、長方形や菱形、平行四辺形、不等辺三角形、不等辺六角形などが連続的に繰り返すものでも良い。また、複数種類の多角形が規則的に繰り返す格子模様や、複数種類の多角形が不規則に隣り合って設けられる格子模様でも良く、種々の格子模様が可能である。
【0038】
突起は、多角形の各辺に1つずつ配置することが望ましいが、各辺に2つ以上配置することも可能である。多角形の各辺の長さが異なる長方形や平行四辺形の場合、長辺と短辺とで突起の数が異なっていても良い。各突起は、例えば多角形の辺に対して長手方向が平行になる姿勢で設けられるが、辺に対して長手方向が直交になる姿勢で設けることもできるし、所定の角度で傾斜する傾斜姿勢で設けることも可能である。格子模様の中の突起の配置場所により、辺に対して突起の長手方向が平行であったり直交であったりしても良い。
【0039】
第2発明の突起は、長手方向に対して直角な縦断面が例えば第発明のように非対称形状とされ、或いは第発明のように大傾斜面を有して構成されるが、長手方向に対して直角な縦断面が対称形状であっても良い。第発明の非対称形状では、突起が一定の変形態様で弾性変形させられるようになり、例えば第発明のように縦断面の両側の側壁の傾斜が異なる大きさとされるが、側壁の全長に亘って傾斜が異なる場合だけでなく、例えば先端側の一部など部分的に傾斜が異なる場合でも良い。また、長手方向と直角な縦断面が、板状部に対して垂直な方向から傾斜するように突起を斜めに立設する場合も、非対称形状で、突起はその傾斜方向へ撓み易い。変形態様としては、突起が長手方向に対して直角な何れか一方へ撓み変形する場合の他、中心線まわりの一定方向へねじれるように弾性変形させられる場合でも良い。第発明の大傾斜面は、例えば垂直方向に対する傾斜角度γが15°〜60°程度が適当で、20°〜50°程度の範囲内が望ましい。
【0040】
発明、第発明は、平面視の形状(横断面)が長手形状の場合に限らず、平面視の形状が円形や半円形、正方形、台形などでも良い。突起の根元部分のコーナー形状が軸まわりにおいて相違している第発明や、材質が軸まわりにおいて相違している第発明についても、平面視の形状が長手形状であっても良いし、円形や半円形、正方形、台形などでも良いなど、種々の態様が可能である。第発明、第発明の非対称形状と、第発明のコーナー形状の相違と、第発明の材質の相違は、それぞれ単独で実施して曲げ剛性に異方性を付与することができるが、それ等の2つ以上を組み合わせて曲げ剛性に異方性を付与することもできる。
【0041】
発明の格子模様は、正六角形が連続して繰り返すハニカム模様であるが、例えば平面視の形状が長方形の突起の場合、その長手方向が正六角形の各辺に対して平行になる姿勢で配置される。正六角形の互いに平行な2辺間のピッチ(その2辺に設けられる突起の中心距離)Pは3.5mm≦P≦7.5mmの範囲内が適当で、4mm≦P≦7mmの範囲内が望ましい。P<3.5mmの場合は、突起が小さくなって成形性が悪化する。P>7.5mmの場合は、突起の有無による反力の差(突起が設けられた位置と中間位置における反力の差)が大きくなり、材質や板状部の板厚によっても異なるが触感に違和感を生じるようになる。なお、平面視の形状が長手形状の突起を、正六角形の各辺に対して長手方向が直交になる姿勢や傾斜姿勢で設けることも可能である。正六角形以外の格子模様に対しても同様である。
【0042】
発明、第発明の実施に際しては、平面視の形状が長手形状の突起だけでなく、正方形や円形、半円形、台形などの突起を用いることも可能で、例えば傾斜角度γが15°〜60°程度の大傾斜面を設けて撓み方向をコントロールすることができる。また、第発明や第発明のようにコーナー形状や材質を相違させて撓み方向をコントロールすることもできる。その場合、第発明のハニカム模様のピッチPは例えば3.5mm〜7.5mm程度の範囲内が適当である。また、突起の高さHは例えば2mm〜4mm程度の範囲内が適当で、基端の縦横寸法は例えば1mm〜3mm程度の範囲内が適当である。
【0043】
発明の突起は、板状部から立ち上がる根元部分のコーナー形状が軸まわりにおいて相違させられることにより異方性が付与される場合で、例えば根元の近傍に溝を設けることにより、その溝側へ倒れ易くすることができる。突起の根元に切欠を設けるようにしても良い。また、板状部から立ち上がるコーナーの半径rを変更し、反対側よりも半径rを大きくすることにより、その反対側へ倒れ易くすることができる。直線状の傾斜部をコーナー部分に設けても良い。
【0044】
発明の突起は、材質が軸まわりにおいて相違させられることにより異方性が付与される場合で、硬度が異なる合成樹脂材料を組み合わせることで、低硬度材側へ倒れ易くなるようにすることができる。材質の相違は、例えば突起を軸まわりに2等分割して材質を変更したり、例えば120°等に不等分割して材質を変更したりしても良いし、軸心からオフセットした位置で不等分割しても良いなど、種々の態様が可能である。
【0045】
板状部に点在形成される多数の突起は、撓み変形時に互いに干渉しないように突起高さに応じて所定の間隔を隔てて設けることがソフト感を向上させる上で望ましいが、例えば所定の変形段階で複数の突起が互いに干渉するように設けることも可能である。
【0046】
11発明では、第1部材が表層部材で、第2部材が板状の基材に一体的に固定されており、基材を含めて少なくとも3層構造で構成されるが、表層部材に表皮材を設けて4層構造とすることも可能である。
【0047】
第12発明の熱媒体や第13発明の圧縮ガスとしては、何れも空気が適当であるが、空気以外のガスを用いることもできるし、熱媒体として水等の液体を用いることも可能である。なお、他の発明の実施に際しては、第1部材と第2部材との間の空間内に熱媒体を供給したり圧縮ガスを充填したりする必要はなく、単にその空間を密閉するだけでも良いし、その空間が大気に連通していても良い。また、第12発明、第13発明は第1部材が基材で第2部材が表層部材の場合であるが、第11発明のように第1部材が表層部材で第2部材が基材に固定される場合も同様に構成することが可能で、第2部材および基材に導入口を設けて空調装置から熱媒体が導入されるようにしたり、圧縮ガスにより表層部材(第1部材)が付勢されるようにしたりすることができる。
【実施例】
【0048】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用されたオーナメント10を有する車両用ドアトリム12の上端のショルダー部分(窓の下端部分)を示す概略図で、車両右側のドアの意匠面側すなわち室内側から見た正面図である。図2は、図1のオーナメント10を単独で示す図で、表層部材16の裏面に設けられた多数の微小突起20(図6等参照)を意匠面側から透過して示した図であり、図3は、オーナメント10の表層部材16を取り除いて基材14を示した図である。また、図4図1におけるIV−IV矢視部分に相当するオーナメント10の断面図、図5図1におけるV−V矢視部分に相当するオーナメント10の断面図である。
【0049】
上記オーナメント10は、板状の基材14と、その基材14の表面22に沿って略平行に重ね合わされるように配置された表層部材16とから成る重ね合わせ部品で、板状パネルに相当し、基材14の表面22は合わせ面に相当する。また、表層部材16は第2部材で、軟質ポリ塩化ビニル等の比較的軟質の弾性変形可能な合成樹脂材料にて一体成形されており、上記表面22と略平行な板状部18を有するとともに、その板状部18の裏面には基材14の表面22に向かって突き出す多数の微小突起20が一体に設けられている。そして、これ等の微小突起20により板状部18と表面22との間に空間24が形成されるとともに、微小突起20の先端が表面22に密着する状態で、板状部18の外周端末部26が基材14の外周縁部に巻き付けられることにより、表層部材16が基材14に一体的に取り付けられている。微小突起20は突起に相当する。
【0050】
基材14は第1部材に相当し、上記表層部材16よりも硬質のポリプロピレン等の合成樹脂材料にて一体成形されており、裏面の外周縁部に設けられた複数の掛止突起28に前記端末部26が掛け止められるようになっている。基材14の裏面にはまた、複数の取付係合部30が一体に設けられており、この取付係合部30を介して車両用ドアトリム12に一体的に取り付けられる。このように取付係合部30を介してオーナメント10が車両用ドアトリム12に一体的に取り付けられた状態で、車両用ドアトリム12に設けられた複数の押え部32により、前記端末部26が基材14の外周縁部に押圧され、その外周縁部に巻き付けられた状態に保持される。なお、端末部26を接着剤等の他の固定手段により基材14の周縁部に固定するようにしても良い。
【0051】
図6は、上記表層部材16の裏面に設けられた多数の微小突起20を説明する図で、(a) は実際の大きさに近い状態(直径φ=50mm)で示した平面図、(b) は(a) における
VIb部を拡大して示した平面図である。これ等の平面図は、何れも前記板状部18に対して垂直方向から見た状態である。また、図7図6の(b) におけるVII −VII 矢視部分の拡大縦断面図、図8図6の(b) におけるVIII−VIII矢視部分の拡大縦断面図である。これ等の図から明らかなように、多数の微小突起20は同一形状で、板状部18に対して垂直な方向から見た平面視(図6の状態)において長手形状(この実施例では長方形)を成しており、同一形状の多数の多角形の各辺がそれぞれ隣接する多角形の辺と重なる格子模様34を形成するように、その多角形の各辺を構成する位置にその辺と長手方向とが略平行になる姿勢で設けられている。本実施例では、微小突起20の平面視の形状は、四隅が丸められた長方形で、その長手方向が多角形の各辺と一致する姿勢で配置されている。また、格子模様34は、図6の(b) に二点鎖線で示すように、多角形として一定の大きさの正六角形が連続して繰り返すハニカム模様で、微小突起20は、その正六角形の各辺の中央部分に一つずつ設けられている。
【0052】
上記微小突起20は、図7図8から明らかなように、先端側へ向かうに従って断面積が小さくなる緩やかな先細形状を成している。また、図7に示す長手方向と直角な幅方向の縦断面形状、および図8に示す長手方向の縦断面形状は、何れも板状部18に対して垂直な中立面に対して対称形状を成しており、先端周縁部(断面形状の両端部)には丸みが設けられている。この微小突起20について更に具体的に説明すると、格子模様34の正六角形の互いに平行な2辺の間隔であるピッチP、すなわちその2辺に設けられる微小突起20の中心距離は、4mm≦P≦7mmの範囲内で、本実施例では約5mmである。また、微小突起20の高さ寸法Hは、2mm≦H≦3.5mmの範囲内で、本実施例では約2.5mmである。微小突起20の幅寸法dは、1mm≦d≦2mmの範囲内で、本実施例では約1.2mmである。微小突起20の長さ寸法Lは、1.5mm≦L≦2.5mmの範囲内で幅寸法dよりも大きく、本実施例では約1.8mmである。微小突起20の幅方向両側の側壁の傾斜角度αは、2°≦α≦5°の範囲内で、本実施例では約3°である。微小突起20の長手方向の両端縁の傾斜角度βは、10°〜15°の範囲内で、本実施例では約13°である。板状部18の板厚tは1mm≦t≦2mmの範囲内で、本実施例では約1.5mmである。これ等の寸法や角度は、表層部材16の材質などを考慮して、所定の触感(ソフト感や剛性感など)や強度等が得られるように適宜定められる。
【0053】
そして、このようなオーナメント10においては、表層部材16の板状部18が指や手で押圧された場合、微小突起20の先端が基材14の表面22に押圧されて弾性変形させられることによりクッション性が付与され、所定の触感が得られる。本実施例では、多数の微小突起20が対称形状を成しているため、板状部18に対して垂直方向から押圧荷重が加えられた場合、基本的には微小突起20が図7図8における上下方向へ圧縮変形させられることによりクッション性が付与され、板状部18に斜め方向から押圧荷重が加えられると、微小突起20は上下方向の圧縮変形に加えて長手方向と直角な方向(図7における左右方向)へ撓み変形させられることによりクッション性が付与される。この微小突起20は、長手方向に対して直角な幅方向(図7における左右方向)の曲げ剛性が、長手方向である図8の左右方向に比較して小さくなり、圧縮荷重に対する曲げ剛性が軸まわりにおいて異方性を有する。
【0054】
このように、本実施例では、多数の微小突起20が板状部18に点在形成されているとともに、各微小突起20の圧縮荷重に対する曲げ剛性が軸まわりにおいて異方性を有するため、その異方性によって定まる特定方向へ撓み変形し易くなってソフト感が向上する。すなわち、本実施例の微小突起20は平面視において長手形状を成しているため、その長手方向と直角な幅方向へ撓み変形し易くなり、ソフト感が向上する。
【0055】
また、各微小突起20の撓み方向をコントロールできるため、微小突起20が弾性変形させられる際の変形態様(撓み方向など)が安定し、指や手で押圧した時の触感のばらつきが抑制される。
【0056】
また、多数の多角形が連続して隣り合う格子模様34を形成するように、その多角形の各辺を構成する位置に微小突起20が設けられるため、多数の微小突起20が一定の配置パターンで設けられるようになり、指や手で押圧した時の触感のばらつきが抑制される。
【0057】
また、格子模様34の各辺に対応して微小突起20の姿勢が所定角度(実施例では60°)ずつ変化しており、それに伴って各微小突起20の撓み方向が変化するため、互いに支え合うことによって適度な剛性感(柔らか過ぎない感じ)が得られるようになり、その微小突起20の弾性変形によって得られるソフト感と相まって一層優れた触感を設定することができる。
【0058】
また、上記格子模様34は、多角形として正六角形が連続して繰り返すハニカム模様であり、長手形状の微小突起20の姿勢が60°ずつ変化しているため、例えば90°ずつ変化する正方形の格子模様に比較して押圧荷重に対する弾性変形の異方性が抑制され、斜め方向からの押圧荷重に対しても均質な触感が得られるようになる。
【0059】
また、本実施例では基材14に表層部材16のみを重ね合わせて一体的に取り付けた2層構造であるため、オーナメント10を安価に製造できる。
【0060】
また、本実施例では多数の微小突起20の平面視の形状が単純な長方形であるため、その微小突起20を有する表層部材16を成形する成形金型の構造が単純になるなど、製造コストが低減されて安価に構成できる。
【0061】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例において前記実施例と実質的に共通する部分には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0062】
図9は、前記図6(b) に対応する拡大平面図で、この表層部材40は、前記表層部材16に比較して微小突起42の形状が相違する。また、図10図9におけるX−X矢視部分の拡大縦断面図、図11図9におけるXI−X1矢視部分の拡大縦断面図である。これ等の図から明らかなように、多数の微小突起42は、板状部18に対して垂直な方向から見た平面視(図9の状態)において長手形状を成しているとともに、ハニカム模様の格子模様34における正六角形の各辺を構成する位置に設けられている点は前記実施例と同じである。また、図11に示す長手方向の縦断面形状も対称形状を成していて前記微小突起20と同じであるが、図10に示す幅方向の縦断面形状は、板状部18に対して垂直な中立面に対し非対称形状であり、この点が微小突起20と相違している。すなわち、幅方向の一方の側壁は、前記微小突起20と同じ傾斜角度αで形成されているが、他方の側壁は、その傾斜角度αよりも大きな傾斜角度γで微小突起20の中心軸側である内側へ傾斜する大傾斜面44を先端側部分に備えている。この傾斜角度γは、15°≦γ≦25°の範囲内で、本実施例では約20°である。他の寸法P、H、L、d、tや角度α、βは前記微小突起20と同じである。
【0063】
そして、このように幅方向の縦断面形状が非対称とされると、板状部18に対して垂直方向から押圧された場合に、微小突起42は幅方向の一方、すなわち大傾斜面44が設けられた側と反対側へ撓み変形し易くなる。図12は、本実施例の微小突起42を示す斜視図で、図13は前記図9と同じ平面図であり、何れも細かい斜線を付した部分が大傾斜面44で、微小突起42は白抜き矢印で示すように大傾斜面44と反対方向へ撓み変形する。また、これ等の微小突起42は、格子模様34を構成している多角形すなわち正六角形の中心線まわりにおいて、撓み方向が交互に逆向きになる姿勢で設けられている。具体的には、正六角形を形成するように各辺に設けられる6つの微小突起42のうち、周方向において一つ置きに位置する3つの微小突起42は正六角形の内側へ撓み変形し、それ等の間に位置する残りの3つの微小突起42は正六角形の外側へ撓み変形する。また、格子模様34の全域において、正六角形を形成する6つの微小突起42が同じ変形態様で撓み変形させられる。
【0064】
本実施例においても、多数の微小突起42が平面視において長手形状を成しており、且つ、正六角形の格子模様34を構成するように設けられているため、指や手で押圧した時の触感のばらつきが抑制されるとともに優れた触感が得られるなど、前記実施例と同様の作用効果が得られる。
【0065】
また、本実施例の微小突起42は、軸まわりの特定位置すなわち長手方向に対して直角な幅方向の縦断面形状が非対称形状とされ、常に一定の撓み方向へ倒れるように弾性変形させられるため、触感のばらつきが抑制されて略同じ触感が安定して得られるようになる。
【0066】
また、微小突起42は大傾斜面44を備えているため、その大傾斜面44と反対方向へ撓み変形し易くなり、微小突起42の弾性変形によって得られるソフト感を一層向上させることができるとともに、その大傾斜面44の範囲や傾斜角度γにより微小突起42の撓み易さをコントロールすることにより、ソフト感の調整を適切に行うことができる。
【0067】
また、上記大傾斜面44を設ける位置により撓み方向をコントロールできるため、撓み変形時に互いに干渉しないように微小突起42を配置することにより、微小突起42をできるだけ密に設けて微小突起42の有無による触感のばらつきを抑制しつつ、その微小突起42の弾性変形による所定のソフト感が確実に得られるようにできる。
【0068】
また、微小突起42は、格子模様34を構成している正六角形の各辺に一つずつ配置されるとともに、撓み方向が交互に逆向きになる姿勢で設けられているため、一定方向への撓み変形に拘らず六角形を単位とした微小突起42の変形態様が全域で略同じになり、均質な触感が得られる。
【0069】
図14は、前記微小突起20を有する平坦な表層部材16、および上記微小突起42を有する平坦な表層部材40を試験片として用意し、反力とストロークとの関係を調べる際の試験方法を示す図である。表層部材16、40は、何れも60mm×60mmの大きさで、TPO(オレフィン系熱可塑性エラストマー)にて構成されており、微小突起20、42は上記実施例と同様にハニカム状の格子模様34を形成するように多数設けられている。そして、それ等の表層部材16、40を、微小突起20、42が下向きになる姿勢でアクリル製の基材上に載置し、先端の球面半径が15mmのアルミニウム製圧子を5mm/secの速度で押圧して、圧子に接続されたロードセルを用いて反力とストロークとの関係を計測した。
【0070】
図15は、上記押圧試験により得られた反力−ストローク特性を示す図で、実線は、大傾斜面44を有する微小突起42が設けられた表層部材40の特性で、一点鎖線は、大傾斜面44を備えていない微小突起20が設けられた表層部材16の特性である。これ等の特性から明らかなように、大傾斜面44を有する微小突起42が設けられた表層部材40は、大傾斜面44を備えていない対称形状の微小突起20が設けられた表層部材16に比較して、ストロークに対する反力の上昇が緩やかで、優れたソフト感が得られる。
【0071】
図16のオーナメント50は、前記オーナメント10に比較して、表層部材16の表面、すなわち板状部18の微小突起20が設けられた側と反対側の面に、表皮材52が一体的に固着されており、板状の基材14と合わせて全体として3層構造を成している場合である。表皮材52は、例えば織布や不織布、編布、塩化ビニル、軟質フィルムなどで構成されており、表層部材16と一体成形することにより、その表層部材16の成形と同時に成形されるとともに、その表層部材16の表面に一体的に固着される。また、表皮材52の外周端末部54が基材14の外周縁部に巻き付けられて、前記掛止突起28に掛け止められるとともに、オーナメント50が車両用ドアトリム12に一体的に取り付けられた状態で、前記押え部32により端末部54が基材14の外周縁部に押圧されるようになっており、これにより表層部材16が表皮材52と共に基材14に一体的に取り付けられる。なお、表層部材16の代わりに前記表層部材40が設けられる場合も、その表層部材40の表面に表皮材52を固着して3層構造とすることができる。
【0072】
このようなオーナメント50においても、前記オーナメント10と同様の作用効果が得られる。加えて、表層部材16が表皮材52によって被覆されるため、その表層部材16の板状部18の微小突起20と反対側の面にヒケや艶ムラ等が生じても外部に露出することが無いとともに、表層部材16の傷付きが防止される。このため、その表層部材16の樹脂材料の選択の幅が広くなるとともに、触感に関与する微小突起20の形状等の設計の自由度が高くなり、触感の調整を一層容易に且つ適切に行うことができる。
【0073】
図17のオーナメント60は、板状の基材62の表面に、多数の微小突起64を有するクッション部材66が設けられ、そのクッション部材66の微小突起64側に重ね合わされるように表層部材68が取り付けられている。基材62は、前記基材14と同様に比較的硬質の合成樹脂材料にて構成されているとともに、裏面側には前記掛止突起28や取付係合部30が一体に設けられている。クッション部材66は第2部材に相当し、前記表層部材16、40と同様に弾性変形可能な合成樹脂材料にて構成されているとともに、基材62の表面に密着するように一体的に固定される板状部70を有し、その板状部70に多数の微小突起64が一体に設けられている。微小突起64は、前記微小突起20或いは42と同様に構成されており、表層部材68の裏面72と板状部70との間に空間74が形成されるように、板状部70から表層部材68側へ向かって突き出すように突設され、先端が裏面72に密着させられている。裏面72は合わせ面に相当する。また、表層部材68は第1部材に相当し、本実施例では前記表層部材16、40と同様に比較的軟質の合成樹脂材料にて構成されている。そして、表層部材68の外周端末部76が基材62の外周縁部に巻き付けられ、図示しない掛止突起28に掛け止められるとともに、オーナメント60が車両用ドアトリム12に一体的に取り付けられた状態で、前記押え部32により端末部76が基材62の外周縁部に押圧されるようになっている。なお、この表層部材68に更に前記表皮材52が設けられても良い。
【0074】
このようなオーナメント60においては、表層部材68を指や手で押した場合に、その表層部材68の裏面72がクッション部材66に設けられた微小突起64の先端に押圧されることにより、その微小突起64の弾性変形で優れた触感が得られるなど、前記オーナメント10と同様の効果が得られる。また、微小突起64が設けられるクッション部材66は表層部材68によって被覆されるとともに、クッション部材66の板状部70は基材62に固定されるため、その板状部70の微小突起64と反対側の面にヒケや艶ムラ等が生じても外部に露出することが無く、クッション部材66の樹脂材料の選択の幅が広くなるとともに、触感に関与する微小突起64の形状等の設計の自由度が高くなり、触感の調整を一層容易に且つ適切に行うことができる。
【0075】
図18は、本発明の更に別の実施例を説明する図で、前記微小突起20、42とは形状が異なる微小突起80の三面図であり、図19はその微小突起80の斜視図である。図18の(a) は、前記図6(b) や図9と同様に板状部18に対して垂直方向から見た平面図で、(b) は(a) の右方向から見た側面図、(c) は(a) の下方から見た正面図である。この微小突起80は、図18(a) の上下方向に長い長手形状を成しているとともに、その長手方向において滑らかに円弧状に湾曲した湾曲形状を成しており、右側面82は凹曲面で左側面84は凸曲面とされている。また、図18(a) における左右方向である幅方向の断面は非対称形状で、先端近傍には、内側へ向かう傾斜角が反対側よりも大きい大傾斜面86が設けられており、白抜き矢印で示すように右側面82側へ撓み変形し易くなっている。図18および図19の細かい斜線を付した部分は大傾斜面86の範囲である。そして、このような微小突起80は、例えば前記微小突起42と同様に、多角形の格子模様34を構成するように配置されるとともに、その多角形の中心線まわりにおいて撓み方向が交互に逆向きになる姿勢で設けられる。これにより、前記微小突起42を有する実施例と同様の作用効果が得られる。また、湾曲形状により押圧荷重が加えられた際の剛性が高くなるため、ソフト感や剛性感のコントロール幅が広くなる。
【0076】
図20は、本発明の更に別の実施例を説明する図で、前記微小突起20、42とは形状が異なる微小突起90の三面図であり、図21はその微小突起90の斜視図である。図20の(a) は、前記図6(b) や図9と同様に板状部18に対して垂直方向から見た平面図で、(b) は(a) の右方向から見た側面図、(c) は(a) の下方から見た正面図である。この微小突起90は、図20(a) の上下方向に長い長手形状を成しているとともに、その長手方向において滑らかにクランク状に曲げられた繭型形状を成している。また、図20(a) における左右方向である幅方向の断面は、長手方向の中央部分では対称形状であるが、長手方向の端部では非対称形状とされており、内側へ向かう傾斜角が反対側よりも大きい一対の大傾斜面92、94が設けられている。これ等の大傾斜面92、94は左右反対側に設けられており、微小突起90は、白抜き矢印で示すように中心線まわりにねじれるように撓み変形させられる。図20および図21の細かい斜線を付した部分は大傾斜面92または94の範囲である。そして、このような微小突起90は、例えば前記微小突起20と同様に、多角形の格子模様34を構成するように配置される。これにより、前記微小突起20を有する実施例と同様の作用効果が得られる。また、本実施例の微小突起90は、一定の変形態様で弾性変形させられるため、触感のばらつきが抑制されて略同じ触感が安定して得られるとともに、大傾斜面92、94の範囲や傾斜角を変更して撓み易さをコントロールすることによりソフト感の調整を容易に行うことができる。
【0077】
図22および図23は、本発明の更に別の実施例を説明する図で、前記微小突起20を3つずつ連結して構成した場合であり、図22は一組の微小突起群100の三面図、図23はその微小突起群100の斜視図である。このように3つの微小突起20が連結部102を介して互いに連結されることにより、3つの微小突起20が互いに支え合うようになるため、押圧荷重が加えられた際の剛性が高くなり、ソフト感や剛性感のコントロール幅が広くなる。なお、この実施例では微小突起20について説明したが、前記微小突起42等の他の微小突起についても同様に構成できる。一組の微小突起の数は必ずしも3つである必要はなく、適宜定められる。
【0078】
図24は、前記図6(b) に対応する拡大平面図で、図25図24における XXV−XXV 矢視部分の拡大縦断面図であり、前記表層部材16、40やクッション部材66として用いられる第2部材200の板状部201には多数の微小突起202が設けられている。微小突起202は、前記微小突起20に比較して、板状部201から立ち上がる根元部分のコーナー形状が相違する。すなわち、微小突起202が板状部201から突き出す部分は前記微小突起20と同じであるが、平面視において長方形を成す微小突起202の長手方向と直角な幅方向の一方の根元部分には、断面が半円形の溝204が長手方向の全長に亘って設けられており、幅方向(図25の左右方向)のうち溝204が設けられた側の曲げ剛性が低くなって撓み変形し易くなる。図24において細かい斜線を付した部分は溝204で、図24および図25の白抜き矢印は微小突起202の倒れ方向を表しており、図9の実施例(図13参照)と同様に、格子模様34を構成している正六角形の中心線まわりにおいて、撓み方向が交互に逆向きになる姿勢で設けられている。溝204の円弧の半径rは例えば0.5mm程度である。
【0079】
本実施例においても、微小突起202が格子模様34を構成している正六角形の各辺に一つずつ配置されるとともに、撓み方向が交互に逆向きになる姿勢で設けられているため、撓み変形時に互いに干渉しないように微小突起202をできるだけ密に配置することにより、触感のばらつきを抑制しつつ、その微小突起202の弾性変形による所定のソフト感が確実に得られる一方、六角形を単位とした微小突起202の変形態様が全域で略同じになり、均質な触感が得られるなど、前記図9の実施例と同様の作用効果が得られる。
【0080】
また、微小突起202に沿って溝204を設けるだけで良いため、多数の微小突起202および溝204を有する第2部材200を成形するための成形金型が簡単且つ安価に構成されて製造コストが節減されるとともに、溝204の幅や深さによって微小突起202の撓み易さをコントロールできるため、ソフト感の調整を容易且つ適切に行うことができる。
【0081】
図26は、上記図24に対応する拡大平面図で、図27図26における XXVII−XXVII 矢視部分の拡大縦断面図であり、この第2部材210は、前記第2部材200に比較して微小突起212の根元部分のコーナー形状が相違する。すなわち、本実施例では前記溝204を設ける代わりに、その溝204と反対側に板状部211から比較的大きな半径rで滑らかに湾曲するR部214が設けられており、幅方向(図27の左右方向)のうちR部214が設けられた側の曲げ剛性が高くなり、その反対方向へ撓み変形し易くなる。図26において細かい斜線を付した部分はR部214で、図26および図27の白抜き矢印は微小突起212の倒れ方向を表しており、図24の実施例と同様に、格子模様34を構成している正六角形の中心線まわりにおいて、撓み方向が交互に逆向きになる姿勢で設けられている。R部214の半径rは例えば0.5mm程度である。
【0082】
本実施例においても、微小突起212をできるだけ密に配置することにより、触感のばらつきを抑制しつつ、その微小突起212の弾性変形による所定のソフト感が確実に得られる一方、六角形を単位とした微小突起212の変形態様が全域で略同じになり、均質な触感が得られるなど、前記図24の実施例と同様の作用効果が得られる。また、微小突起212に沿ってR部214を設けるだけで良いため、多数の微小突起212およびR部214を有する第2部材210を成形するための成形金型が簡単且つ安価に構成されて製造コストが節減されるとともに、R部214の半径rの大きさによって微小突起212の撓み易さをコントロールできるため、ソフト感の調整を容易且つ適切に行うことができる。
【0083】
図28は、前記図24に対応する拡大平面図で、図29図28におけるXXIX−XXIX矢視部分の拡大縦断面図であり、この第2部材220は、前記第2部材200に比較して微小突起222の構成が相違する。すなわち、本実施例では前記溝204を設ける代わりに、前記微小突起20と同一形状の微小突起222が長手方向と平行な分割面を挟んで2分割され、高硬度部225および低硬度部227によって構成されており、幅方向(図29の左右方向)のうち高硬度部225が設けられた側の曲げ剛性が高くなり、その反対の低硬度部227側へ撓み変形し易くなる。高硬度部225は、板状部221の主要部を構成する高硬度材料224にて一体に構成されており、低硬度部227は、その高硬度材料224の表面側に積層された低硬度材料226と一体に構成されており、例えばインサート成形によって一体的に成形される。図28において細かい斜線を付した部分は高硬度部225で、図28および図29の白抜き矢印は微小突起222の倒れ方向を表しており、図24の実施例と同様に、格子模様34を構成している正六角形の中心線まわりにおいて、撓み方向が交互に逆向きになる姿勢で設けられている。
【0084】
上記高硬度材料224および低硬度材料226の硬度は相対的なもので、所定の曲げ剛性が得られるように適宜定められ、例えばJIS K6253に従って測定されるデュロA硬度において、高硬度材料224は80程度、低硬度材料226は40程度が適当であり、インサート成形により相互に融着する合成樹脂材料が好適に選択される。
【0085】
本実施例においても、撓み変形時に互いに干渉しないように微小突起222をできるだけ密に配置することにより、触感のばらつきを抑制しつつ、その微小突起222の弾性変形による所定のソフト感が確実に得られる一方、六角形を単位とした微小突起222の変形態様が全域で略同じになり、均質な触感が得られるなど、前記図24の実施例と同様の作用効果が得られる。また、高硬度材料224、低硬度材料226の材質や分割面の位置を変更することにより微小突起222の撓み易さをコントロールできるため、ソフト感の調整を容易且つ適切に行うことができる。
【0086】
図30の第2部材230は、前記図9の表層部材40に比較して、板状部231に設けられる微小突起232の配置姿勢が相違する。微小突起232は、前記微小突起42と同一形状であるが、格子模様34の六角形の辺に対して所定角度(例えば10°〜30°程度の範囲内で実施例では約20°)だけ傾斜している。図9のように六角形の辺と平行に微小突起42を配置した場合、圧縮荷重によって微小突起42が撓み変形させられると、図31の(a) に細かい斜線で示すように六角形の中心に向かって倒れるため、干渉を避けるためにその高さ寸法が制約される。これに対し、図30に示すように傾斜させると、微小突起232の倒れ方向が、図31の(b) に細かい斜線で示すように互いにずれるため、互いに干渉し難くなり、その分だけ高さ寸法を大きくしてソフト感を向上させることができる。前記微小突起202、212、222等の他の実施例の微小突起についても、このように傾斜配置することができる。
【0087】
図32は、図9の微小突起42において高さHが2.5mmの場合と高さHが3.5mmの場合について、前記図14に示す試験方法に従って反力−ストローク特性を調べた結果を示す図である。この図32から明らかなように、高さHが3.5mmの場合には2.5mmに比較して反力が小さくなり、優れたソフト感が得られる。なお、高さH以外の各部の寸法P、L、d、tや角度α、βは同じである。
【0088】
図33は、アスペクト比を変更してソフト感を向上させる場合の例で、(a) は図6の実施例の微小突起20の平面図で、(b) の微小突起240は、長さ寸法Lを同じに維持したまま幅寸法を半分のd/2にした。この場合、幅寸法が半分であるため、その幅方向へ一層撓み変形し易くなり、ソフト感が向上する。微小突起42等の他の微小突起についても、アスペクト比を変更してソフト感を調整することができる。
【0089】
図34の第2部材250は、板状部252に対して垂直な方向から見た平面視の形状が台形状の微小突起254を有する場合で、(a) は前記図24に対応する拡大平面図、(b) は一つの微小突起254を拡大して示した平面図である。また、図35図34の(b) におけるXXXV−XXXV矢視部分の縦断面図で、図36は複数の微小突起254の斜視図である。この微小突起254は、台形状の長辺(下底)側に大傾斜面256が設けられて、反対側すなわち図34(b) および図35における左方向である短辺(上底)側への曲げ剛性が低くされ、その短辺側へ撓み変形し易くなっている。図34の(b) および図36において細かい斜線を付した部分は大傾斜面256で、図34図36の白抜き矢印は微小突起254の倒れ方向を表しており、図24の実施例と同様に、格子模様34を構成している正六角形の中心線まわりにおいて、撓み方向が交互に逆向きになる姿勢で設けられている。台形状の寸法a、b、cはそれぞれ約1.8mm、0.9mm、1.8mmで、角部のコーナーRは約0.3mmである。また、高さH≒2.5mm、板厚t≒1.5mm、図35の縦断面における両側の側壁の傾斜角度α≒10°、大傾斜面256の傾斜角度γ≒45°である。
【0090】
本実施例においても、微小突起254が格子模様34を構成している正六角形の各辺に一つずつ配置されるとともに、撓み方向が交互に逆向きになる姿勢で設けられているため、撓み変形時に互いに干渉しないように微小突起254をできるだけ密に配置することにより、触感のばらつきを抑制しつつ、その微小突起254の弾性変形による所定のソフト感が確実に得られる一方、六角形を単位とした微小突起254の変形態様が全域で略同じになり、均質な触感が得られるなど、前記図9の実施例と同様の作用効果が得られる。
【0091】
一方、このように微小突起254の平面視の形状を台形状とした場合、正方形の場合に比較して曲げ剛性が低くなり、高いソフト感が得られるようになる。その場合、短辺の寸法bを長辺の寸法aの2/3以下にすることが望ましい。また、台形状の長辺側に大傾斜面256を設けたため、短辺側に大傾斜面を設ける場合に比較して高いソフト感が得られる。
【0092】
因に、上記実施例品(第2部材250)の他に、図37図40に示す〈変更例1〉、図41図43に示す〈変更例2〉、および図44図46に示す〈変更例3〉を用意し、前記図14に示す試験方法に従って反力−ストローク特性を調べたところ、図47に示す結果が得られた。
【0093】
図37図40に示す〈変更例1〉の第2部材260は、板状部262に対して垂直な方向から見た平面視の形状が略正方形の微小突起264を有する場合で、図37の(a) は前記図24に対応する拡大平面図、(b) は一つの微小突起264を拡大して示した平面図である。図38図37の(b) における XXXVIII−XXXVIII 矢視部分の縦断面図で、図39図37の(b) における XXXIX−XXXIX 矢視部分の縦断面図、図40は複数の微小突起264の斜視図である。この微小突起264の寸法a、bは何れも約1.8mmで、角部のコーナーRは約0.3mmである。また、高さH≒2.5mm、板厚t≒1.5mm、図38の縦断面における両側の側壁の傾斜角度α≒10°、図39の縦断面における両側の側壁の傾斜角度β≒5°である。この〈変更例1〉は、正方形の対角線方向へ撓み変形し難いとともに、傾斜角度αおよびβの相違から図37(b) および図38における左右方向へ比較的撓み変形し易く、曲げ剛性が軸まわりにおいて異方性を有する本発明の一実施例に相当する。
【0094】
図41図43に示す〈変更例2〉の第2部材270は、板状部272に対して垂直な方向から見た平面視の形状が略正方形の微小突起274を有する場合で、図41の(a) は前記図24に対応する拡大平面図、(b) は一つの微小突起274を拡大して示した平面図である。図42図41の(b) におけるXLII−XLII矢視部分の縦断面図で、図43図41の(b) における XLIII−XLIII 矢視部分の縦断面図である。この微小突起274は、前記〈変更例1〉と略同じであるが、傾斜角度γの大傾斜面276が設けられ、その反対側すなわち図41(b) および図42における左方向への曲げ剛性が低くされ、その左方向へ撓み変形し易くなっている点が相違する。図41の(b) において細かい斜線を付した部分は大傾斜面276で、図41および図42の白抜き矢印は微小突起274の倒れ方向を表しており、図24の実施例と同様に、格子模様34を構成している正六角形の中心線まわりにおいて、撓み方向が交互に逆向きになる姿勢で設けられている。上記傾斜角度γは約45°で、それ以外の各部の寸法a、b、R、H、tや角度α、βは〈変更例1〉の微小突起264と同じである。この〈変更例2〉も、曲げ剛性が軸まわりにおいて異方性を有する本発明の一実施例に相当する。
【0095】
図44図46に示す〈変更例3〉の第2部材280は、板状部282に対して垂直な方向から見た平面視の形状が台形状の微小突起284を有する場合で、図44の(a) は前記図24に対応する拡大平面図、(b) は一つの微小突起284を拡大して示した平面図である。図45図44の(b) における XLV−XLV 矢視部分の縦断面図で、図46図44の(b) におけるXLVI−XLVI矢視部分の縦断面図である。この微小突起284は、〈実施例品〉である第2部材250の微小突起254と略同じであるが、前記傾斜角度γの大傾斜面256が設けられず、図45および図46の縦断面が何れも中心線に対して対称形状を成している点が相違する。この場合でも、微小突起284は、台形状の短辺側である図44(b) および図45における左方向へ撓み変形し易い傾向があり、図34の第2部材250と同様に、格子模様34を構成している正六角形の中心線まわりにおいて交互に逆向きになる姿勢で設けられている。各部の寸法a、b、c、R、H、tや角度αは、第2部材250の微小突起254と同じで、図46の断面における両側の側壁の傾斜角度βは約5°である。β≒5°は、微小突起254も同じである。この〈変更例3〉も、曲げ剛性が軸まわりにおいて異方性を有する本発明の一実施例に相当する。
【0096】
図47の試験結果から明らかなように、図34の〈実施例品〉、すなわち台形状で大傾斜面256を有する微小突起254が設けられた第2部材250によれば、正方形で大傾斜276を有する微小突起274が設けられた〈変更例2〉よりも反力(曲げ剛性)が低下し、優れたソフト感が得られる。また、台形状で大傾斜面を備えていない微小突起284が設けられた〈変更例3〉は、〈実施例品〉よりもソフト感が低いものの、〈変更例2〉よりも優れたソフト感が得られる。これ等の点から、平面視の形状を台形状にするだけでも、微小突起が撓み変形し易くなって反力が低下し、優れたソフト感が得られるようになると考えられる。〈実施例品〉と〈変更例3〉との反力の相違や、〈変更例2〉と〈変更例1〉との反力の相違は、大傾斜面256、276の有無によるもので、大傾斜面256、276が設けられることによって反力が低下し、ソフト感が向上することが分かる。
【0097】
図48の第2部材300は、板状部302に対して垂直な方向から見た平面視の形状が半円形状の微小突起304を有する場合で、(a) は前記図24に対応する拡大平面図、(b) は一つの微小突起304を拡大して示した平面図である。また、図49図48の(b) におけるXLIX−XLIX矢視部分の縦断面図で、図50は複数の微小突起304の斜視図である。この微小突起304は、半円形状の直線部側に大傾斜面306が設けられて、反対側すなわち図48(b) および図49における左方向である円弧側への曲げ剛性が低くされ、その円弧側へ撓み変形し易くなっている。図48の(b) および図50において細かい斜線を付した部分は大傾斜面306で、図48図50の白抜き矢印は微小突起304の倒れ方向を表しており、図24の実施例と同様に、格子模様34を構成している正六角形の中心線まわりにおいて、撓み方向が交互に逆向きになる姿勢で設けられている。半円形状の縦横寸法a、bは何れも約1.8mmで、半円弧の半径Rは約0.9mmである。また、高さH≒2.5mm、板厚t≒1.5mm、図49の縦断面における大傾斜面306側すなわち直線部側の側壁の傾斜角度α1≒10°、反対の円弧側の傾斜角度α2≒5°、大傾斜面306の傾斜角度γ≒45°である。
【0098】
本実施例においても、微小突起304が格子模様34を構成している正六角形の各辺に一つずつ配置されるとともに、撓み方向が交互に逆向きになる姿勢で設けられているため、撓み変形時に互いに干渉しないように微小突起304をできるだけ密に配置することにより、触感のばらつきを抑制しつつ、その微小突起304の弾性変形による所定のソフト感が確実に得られる一方、六角形を単位とした微小突起304の変形態様が全域で略同じになり、均質な触感が得られるなど、前記図9の実施例と同様の作用効果が得られる。
【0099】
一方、このように微小突起304の平面視の形状を半円形状とした場合、前記〈変更例2〉のような正方形の場合に比較して曲げ剛性が低くなり、高いソフト感が得られるようになる。また、半円形状の直線部側に大傾斜面306を設けたため、円弧側に大傾斜面を設ける場合に比較して高いソフト感が得られる。
【0100】
因に、上記実施例品(第2部材300)の他に、前記図37図40に示す〈変更例1〉、図41図43に示す〈変更例2〉、および図51図53に示す〈変更例4〉を用意し、前記図14に示す試験方法に従って反力−ストローク特性を調べたところ、図54に示す結果が得られた。
【0101】
図51図53に示す〈変更例4〉の第2部材310は、板状部312に対して垂直な方向から見た平面視の形状が半円形の微小突起314を有する場合で、図51の(a) は前記図24に対応する拡大平面図、(b) は一つの微小突起314を拡大して示した平面図である。図52図51の(b) における LII−LII 矢視部分の縦断面図で、図53は複数の微小突起314の斜視図である。この微小突起314は、〈実施例品〉である第2部材300の微小突起304と略同じであるが、前記傾斜角度γの大傾斜面306が設けられず、図52の縦断面における右側すなわち半円形状の直線部側の側壁が傾斜角度α1のまま先端部に達しており、先端に板状部312と平行な平坦面316が設けられている。この場合でも、微小突起314は、半円形状の円弧側である図51(b) および図52における左方向へ撓み変形し易い傾向があり、図48の第2部材300と同様に、格子模様34を構成している正六角形の中心線まわりにおいて交互に逆向きになる姿勢で設けられている。各部の寸法a、b、R、H、tや傾斜角度α1、α2は、第2部材300の微小突起304と同じである。この〈変更例4〉も、曲げ剛性が軸まわりにおいて異方性を有する本発明の一実施例に相当する。
【0102】
図54の試験結果から明らかなように、図48の〈実施例品〉、すなわち半円形状で大傾斜面306を有する微小突起304が設けられた第2部材300によれば、正方形で大傾斜276を有する微小突起274が設けられた〈変更例2〉よりも反力(曲げ剛性)が低下し、優れたソフト感が得られる。このことから、平面視の形状を半円形状にするだけでも、微小突起が撓み変形し易くなって反力が低下し、優れたソフト感が得られるようになると考えられる。〈実施例品〉と〈変更例4〉との反力の相違や、〈変更例2〉と〈変更例1〉との反力の相違は、大傾斜面276、306の有無によるもので、大傾斜面276、306が設けられることによって反力が低下し、ソフト感が向上することが分かる。〈変更例4〉の反力が〈変更例1〉よりも高いのは、〈変更例1〉は図40から明らかなように微小突起264の先端が半円筒形状(かまぼこ型)で、基材との当接初期に基材と線接触させられるのに対し、〈変更例4〉は微小突起314の先端に平坦面316が設けられており、基材との当接初期から基材と面接触させられるため、倒れ難くなって反力が高くなったものと考えられる。
【0103】
図55の第2部材320は、板状部322に対して垂直な方向から見た平面視の形状が正方形の一辺を傾斜させた台形状の微小突起324を有する場合で、(a) は前記図24に対応する拡大平面図、(b) は一つの微小突起324を拡大して示した平面図である。また、図56図55の(b) における LVI−LVI 矢視部分の縦断面図で、図57は複数の微小突起324の斜視図である。この微小突起324は、台形状の傾斜辺と反対側の側面に大傾斜面326が設けられて、その傾斜辺側すなわち図55(b) および図56における左方向への曲げ剛性が低くされ、その傾斜辺側へ撓み変形し易くなっている。図55の(b) および図57において細かい斜線を付した部分は大傾斜面326で、図55図57の白抜き矢印は微小突起324の倒れ方向を表しており、図24の実施例と同様に、格子模様34を構成している正六角形の中心線まわりにおいて、撓み方向が交互に逆向きになる姿勢で設けられている。ここでは、台形状の傾斜辺が正六角形の各辺と平行になる姿勢で配置されている。台形状の各部の寸法a、b、cはそれぞれ約1.8mm、1.35mm、1.8mmである。また、高さH≒2.5mm、板厚t≒1.5mm、図56の縦断面における両側の側壁の傾斜角度α≒10°、大傾斜面326の傾斜角度γ≒45°である。
【0104】
本実施例においても、微小突起324が格子模様34を構成している正六角形の各辺に一つずつ配置されるとともに、撓み方向が交互に逆向きになる姿勢で設けられているため、撓み変形時に互いに干渉しないように微小突起324をできるだけ密に配置することにより、触感のばらつきを抑制しつつ、その微小突起324の弾性変形による所定のソフト感が確実に得られる一方、六角形を単位とした微小突起324の変形態様が全域で略同じになり、均質な触感が得られるなど、前記図9の実施例と同様の作用効果が得られる。
【0105】
一方、このように微小突起324の平面視の形状を台形状とした場合、前記〈変更例2〉のような正方形の場合に比較して曲げ剛性が低くなり、高いソフト感が得られるようになる。また、台形状の傾斜辺に対して垂直方向へ撓み変形し易くなるため、その傾斜辺の傾斜角度を調整することによりソフト感の向上と合わせて倒れ方向を容易にコントロールすることができる。
【0106】
図58は、前記図9に比較して微小突起42の配置パターンが異なる場合で、多数の微小突起42を正方形の格子模様110を構成するように配置した場合である。微小突起42は、格子模様110を構成している正方形の各辺に一つずつ長手方向が各辺と平行になる姿勢で配置されるとともに、その正方形の中心線まわりにおいて撓み方向が交互に逆向きになる姿勢で設けられている。これにより、一定方向への撓み変形に拘らず正方形を単位とした微小突起42の変形態様が全域で略同じになり、均質な触感が得られるなど、図9の実施例と同様の効果が得られる。なお、前記微小突起20等の他の微小突起についても、このように正方形の格子模様110を構成するように配置することができる。また、この実施例では、正方形の格子模様110について説明したが、菱形や長方形、平行四辺形の格子模様となるように微小突起42を配置することもできる。
【0107】
図59は、前記図6に比較して微小突起20の配置が異なる場合で、多数の微小突起20を正三角形の格子模様112を構成するように配置した場合である。微小突起20は、格子模様112を構成している正三角形の各辺に一つずつ長手方向が各辺と平行になる姿勢で配置される。この場合も、格子模様112を構成するように設けられる多数の微小突起20は、その長手方向の向きが所定角度ずつ変化しているため、互いに支え合うことによって適度な剛性感が得られるようになり、その微小突起20の弾性変形によるソフト感と相まって優れた触感を設定することができるなど、前記図6の実施例と同様の作用効果が得られる。なお、前記微小突起42等の他の微小突起についても、このように正三角形の格子模様112を構成するように配置することができる。
【0108】
上記図59の格子模様112は、正六角形114が連続して繰り返す格子模様に書き換えることができる。その場合は、正六角形114の各辺に対して長手方向が直交になる姿勢で微小突起20が配置されることになる。前記図6(b) の格子模様34についても、正三角形が連続して繰り返す格子模様に書き換えることができる。また、上記図58の格子模様110についても、正方向の格子のピッチをそれぞれ半ピッチずらすことにより、正方向の各辺に長手方向が各辺と直交になる姿勢で微小突起42が配置される正方向の格子模様に書き換えることができる。
【0109】
図60の格子模様120は、四角形(図面では正方形)122、六角形(図面では正六角形)124、および八角形126の3種類の多角形を組み合わせたもので、このような態様も本発明の一実施態様である。この格子模様120は、3種類の多角形が同じパターンで規則的に繰り返しているが、複数種類の多角形が不規則に組み合わされる格子模様を構成するように微小突起20を設けることもできる。なお、微小突起20の代わりに前記微小突起42等の他の微小突起を用いることもできる。
【0110】
図61は、前記図1における LXI−LXI 矢視断面に相当する断面図で、前記オーナメント10の基材14には一対の導入口130および排出口132が設けられている。そして、車両の空調装置134によって温度調節された熱媒体(空気)が矢印(→)で示すように配管136から導入口130を経てオーナメント10の空間24内に供給されるとともに、排出口132から排出されて配管138を経て車室内へ循環させられるようになっている。配管136は、インストルメントパネル140に設けられた車体側の配管142に対して接続離間可能とされており、ドアが閉じられた状態では図に示すようにシール部材を介して気密に接続される。この実施例では、表層部材16の端末部26は、基材14の外周縁部に接着剤等により気密に固着しておくことが望ましい。
【0111】
本実施例では、空調装置134によって温度調節された熱媒体(空気)がオーナメント10の空間24内に供給されるため、表層部材16の触感を一層向上させることができる。なお、表層部材40を備えているものなど他のオーナメントについても、同様に構成できる。
【0112】
上記図61では、空間24内に熱媒体が供給されるが、空間24内に予め圧縮エア等の圧縮ガスを充填して密閉しておくだけでも良い。表層部材16は、その圧縮ガスのガス圧に応じて膨出するように付勢されるため、微小突起20以外の部分にも適度な剛性感を付与することが可能で触感を一層向上させることができる。他のオーナメントについても同様に構成できる。なお、前記各実施例では、空間24、74内が何れも大気圧で、気密に密閉する必要もない。
【0113】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0114】
10、50、60:オーナメント(重ね合わせ複合内装部品、板状パネル) 14:基材(第1部材) 16、40:表層部材(第2部材) 18、70、201、211、221、231、252、262、272、282、302、312、322:板状部 20、42、64、80、90、202、212、222、232、240、254、264、274、284、304、314、324:微小突起(突起) 22:表面(合わせ面) 24、74:空間 34、110、112、120:格子模様 44、86、92、94、256、276、306、326:大傾斜面 52:表皮材 66:クッション材(第2部材) 68:表層部材(第1部材) 72:裏面(合わせ面) 114:正六角形(多角形) 122:四角形(多角形) 124:六角形(多角形) 126:八角形(多角形) 130:導入口 134:空調装置 200、210、220、230、250、260、270、280、300、310、320:第2部材 204:溝(コーナー形状) 214:R部(コーナー形状) γ:大傾斜面の傾斜角度
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