【実施例】
【0036】
以下に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
【0037】
以下の実施例において、NMRスペクトルは、日本電子JNM−EX400型核磁気共鳴装置を使用し、内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)を使用して測定した。MSスペクトルは日本電子JMS−T100LP型及びJMS−SX102A型質量分析計で測定した。元素分析はヤナコ分析CHN CORDER MT−6元素分析装置で行った。
【0038】
(参考例1)
ビス(アセタト−O)−〔6,7−ジフルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキシラト−O
3,O
4〕ボロン
窒素雰囲気下、無水酢酸21.4L(225mol)に、ホウ酸(触媒作成用)103g(1.67mol)を加え、70.0〜76.9°Cで30分間加熱撹拌した(撹拌速度69.5rpm)。内温24.6°Cまで冷却した後、1回目のホウ酸1.01kg(16.3mol)を加え、24.6〜27.4°Cで30分撹拌した。2回目のホウ酸1.01kg(16.3mol)を加え、24.7〜27.5°Cで30分撹拌した。3回目のホウ酸1.01kg(16.3mol)を加え、24.7〜27.7°Cで30分撹拌した。4回目のホウ酸1.01kg(16.3mol)を加え、25.4〜29.4°Cで30分撹拌した。さらに、50.0〜56.9°Cで30分撹拌し、ホウ酸トリアセテート調整液とした。当該調整液に、6,7−ジフルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸エチルエステル5.50kg(16.7mol)を加え、得られた混液を54.7〜56.9°Cで3時間撹拌した。当該混液を30.0°Cまで冷却し、室温で一夜放置した。混液を58.6°Cまで加熱し析出した化合物を溶解させ、アセトン16.5 Lを混液に加え、反応液(a)とした。
窒素雰囲下、常水193L及びアンモニア水(28%)33.7 L(555mol)の混合液を、−0.6°Cまで冷却した。当該混合液に、前述の反応液(a)を添加し、アセトン11.0Lで洗い込んだ。15.0°Cまで冷却後、4.3〜15.0°Cで1時間撹拌した。析出した結晶をろ取し、常水55.0Lで洗浄し、湿潤粗結晶を14.1kg得た。設定温度65.0°Cで約22時間減圧乾燥し、粗結晶を6.93kg得た(収率96.7%)。
得られた粗結晶に、窒素雰囲下、アセトン34.7Lを加え、加熱溶解した(温水設定温度57.0°C)。加熱時、ジイソプロピルエーテル69.3Lを晶析するまで滴下した(滴下量12.0 L)。晶析確認後、48.3〜51.7°Cで15分撹拌し、残りのジイソプロピルエーテルを滴下し、45.8〜49.7°Cで15分撹拌した。15°Cまで冷却後、6.5〜15.0°Cで30分撹拌した。析出した結晶をろ取し、アセトン6.93L及びジイソプロピルエーテル13.9Lで洗浄し、湿潤結晶を7.41kg得た。得られた湿潤結晶を設定温度65.0°Cで約20時間減圧乾燥し、ビス(アセタト−O)−〔6,7−ジフルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキシラト−O
3,O
4〕ボロンを 6.47kg得た(収率90.3%)。
元素分析(%):C
17H
15BF
3NO
8として
計算値:C,47.58;H,3.52;N,3.26.
実測値:C,47.41;H,3.41;N,3.20.
1H−NMR(CDCl
3,400 MHz)δ:2.04(6H,s),4.21(3H, d,J=2.9Hz),4.88(2H,dt,J=47.0,4.4Hz),5.21(2H,dt,J=24.9,3.9Hz),8.17(1H,t,J=8.8Hz),9.10(1H,s).
ESI MS(positive) m/z:430(M+H)+.
【0039】
(参考例2)
7−[(3S,4S)−3−{(シクロプロピルアミノ)メチル}−4−フルオロピロリジン−1−イル]−6−フルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸塩酸塩の製造
窒素雰囲気下、(3R,4S)−3−シクロプロピルアミノメチル−4−フルオロピロリジン3.56kg(15.4mol)、トリエチルアミン11.7 L(84.2mol)及びジメチルスルホキシド30.0Lの混液を、23.0〜26.3°Cで15分撹拌した。当該混液に23.0〜26.3°Cでビス(アセタト−O)[6,7−ジフルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキシラト−O
3,O
4]ボロン6.00kg(14.0mol)を加え、反応液とした。反応液を23.7〜26.3°Cで2時間撹拌した。反応液に酢酸エチル120Lを加え、さらに常水120Lを加えた後、水酸化ナトリウム960g(2mol/Lとする量)及び常水12.0Lの溶液を加え、5分間撹拌後、水層を分取した。水層に、酢酸エチル120Lを加え、5分間撹拌後、酢酸エチル層を分取した。酢酸エチル層を合わせて、常水120Lを加え、5分間撹拌後、静置し、水層を廃棄した。酢酸エチル層を減圧留去した。得られた残留物を、2−プロパノール60.0Lに溶解させ、室温で一夜放置した。当該溶液に塩酸5.24L(62.9mol)及び常水26.2L(2mol/Lとする量)の溶液を加え、28.2〜30.0°Cで30分撹拌した。外温55.0°Cで加熱し、溶解後(47.1°Cで溶解確認)、冷却し晶析させた。39.9〜41.0°Cで30分撹拌し、冷却後(目安:20.0°Cまでは設定温度7.0°C、それ以下は−10.0°C)、2.2〜10.0°Cで1時間撹拌した。析出した結晶をろ取、2−プロパノール60Lで洗浄し、7−{(3S,4S)−3−[(シクロプロピルアミノ)メチル]−4−フルオロピロリジン−1−イル}−6−フルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸塩酸塩の湿潤粗結晶を9.57kg得た。
【0040】
(参考例3)
7−[(3S,4S)−3−{(シクロプロピルアミノ)メチル}−4−フルオロピロリジン−1−イル]−6−フルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸塩酸塩(A形結晶、化合物1)の製造方法
7−{(3S,4S)−3−[(シクロプロピルアミノ)メチル]−4−フルオロピロリジン−1−イル}−6−フルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸塩酸塩の湿潤粗結晶9.57kgをエタノール60L、精製水10.8Lの混液に添加し、加熱溶解した。この溶解液を、フィルターを通すことによりろ過し、エタノール24.0L及び精製水1.20Lの混液で洗い込んだ。溶解を確認し、加熱したエタノール(99.5)96.0Lを71.2〜72.6°Cで添加した。その溶解液を冷却し(温水設定温度60.0°C)晶析確認後(晶析温度61.5°C)、59.4〜61.5°Cで30分撹拌した。段階的に冷却させ(50.0°Cまで温水設定温度40.0°C、40.0°Cまで温水設定温度30.0°C、30.0°Cまで温水設定温度20.0°C、20.0°Cまで設定温度7.0°C、15.0°Cまで設定温度−10.0°C、これ以降溜置き)、4.8〜10.0°Cで1時間撹拌した。析出した結晶をろ取し、エタノール30.0Lで洗浄し、7−{(3S,4S)−3−[(シクロプロピルアミノ)メチル]−4−フルオロピロリジン−1−イル}−6−フルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸塩酸塩の湿潤結晶を5.25kg得た。得られた湿潤結晶を設定温度50.0°Cで約13時間減圧乾燥し、化合物1を4.83kg得た(収率72.6%)。
国際公開第2013/069297号に基づく化合物1の粉末X線回折の結果を
図1に示す。
図1から理解できるように4.9度、10.8度、12.9度、18.2度、21.7度、24.7度及び26.4度にピークが見られ、10.8度、12.9度、及び24.7度に特徴的なピークが確認できる。
元素分析値(%):C
21H
24F
3N
3O
4HClとして
計算値:C,53.00;H,5.30;N,8.83.
実測値:C,53.04;H,5.18;N,8.83.
1H NMR(DMSO−d
6,400MHz)δ(ppm):0.77−0.81(2H,m),0.95−1.06(2H,m),2.80−2.90(2H,m),3.21−3.24(1H,m),3.35−3.39(1H,m),3.57(3H,s),3.65−3.78(3H,m),4.13(1H,dd,J=41.8,13.1Hz),4.64−4.97(3H,m),5.14(1H,dd,J=32.7,15.6Hz), 5.50(1H,d,J=53.7Hz),7.80(1H,d,J=13.7Hz), 8.86(1H,s),9.44(2H,brs),15.11(1H,brs).
ESI MS(positive) m/z:440(M+H)+.
(参考例4)
7−[(3S,4S)−3−{(シクロプロピルアミノ)メチル}−4−フルオロピロリジン−1−イル]−6−フルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸塩酸塩水和物(B形結晶、化合物2)
参考例2で得られた7−{(3S、4S)−3−[(シクロプロピルアミノ)メチル]−4−フルオロピロリジン−1−イル}−6−フルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1、4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸塩酸塩30.0 g(63.0 mmol)を2−プロパノール600 mL及び常水90.0 mLの混合溶媒に添加し、加熱溶解(内温72℃)した。溶解液を冷却し、晶析を確認(内温49℃)後、晶析温度付近で5分間撹拌した(内温48〜49℃)。晶析温度から内温が10℃程度上昇するまで溶解液を加熱し、その温度で30分間撹拌した(内温48〜60℃)。溶解液を徐々に冷却(毎分約1℃冷却)し、10℃以下で1時間撹拌した(内温2〜10℃)。析出した結晶をろ過し、2−プロパノール143mL及び常水7.5mLの混合溶媒で洗浄して白色粉末の7−{(3S,4S)−3−[(シクロプロピルアミノ)メチル]−4−フルオロピロリジン−1−イル}−6−フルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1、4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸塩酸塩水和物(B形結晶)を34.5g得た。
国際公開第2013/069297号に基づく化合物2の粉末X線回折の結果を
図2に示す。
図2から理解できるように4.8度、9.4度、17.7度、22.8度、25.8度および27.0度にピークが見られ、9.4度および17.7度に特徴的なピークが確認できる。
1H NMR(DMSO−d
6、400MHz)δ(ppm):0.77−0.81(2H、m)、0.98−1.00(2H、m)、2.79−2.93(2H、m)、3.22(1H、dd、J = 8.4、12.2 Hz)、3.58(3H、s)、3.65−3.81(3H、m)、4.13(1H、dd、J = 13.2、42.1 Hz)、4.81−4.97(2H、m)、5.15(1H、dd、J = 15.7、32.8 Hz)、5.55(1H、d、J = 53.8 Hz)、7.79(1H、dd、J = 2.4、13.2 Hz)、8.85(s、1H)、9.56(2H、brs)、15.07(1H、brs).
【0041】
(実施例1)
表1記載の処方に従い、化合物1、乳棒乳鉢で粉砕後に目開き212μm篩を用いて篩過したL-グルタミン酸塩酸塩、及び結晶セルロースをポリエチレン袋中で3分間混合した。さらに、当該混合品にステアリン酸マグネシウムを加え、ポリエチレン袋中で1分間混合した。当該混合品を、ローラーコンパクター(TF−MINI、フロイント産業社製、ロール圧力:70kgf、ロール回転数:3min−1)を用いて圧縮成形した後、ロールグラニュレーター(GRN−T−54−S、日本グラニュレーター社製)を用いて整粒し造粒物を得た(ピッチ幅6mm、2mm、1.2mm、0.6mmの4種類のロールを使用した。)。得られた造粒物を目開き850μm篩を用いて篩過し、得られた篩過品を主薬顆粒とした。次に主薬顆粒、結晶セルロースと低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをポリエチレン袋中で3分間混合した。さらに、当該混合品にステアリン酸マグネシウムを加え、ポリエチレン袋中で1分間混合した。当該混合品を、打錠機(HT―AP―18SS−II、畑鉄工所、直径8.5mmの臼、曲率半径10mmのR面杵)を用いて質量250mg、錠厚4.2mmとなるように打錠し、素錠を得た。さらに、当該素錠に対し、ハイコーター(HCT−MINI、フロイント産業社製)を用いて、ヒプロメロース、酸化チタン、及びポリエチレングリコール400の混合物を水系コーティングした。
【0042】
(実施例2)
L-グルタミン酸塩酸塩の代わりにL-(+)酒石酸を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行った。
【0043】
(実施例3)
L-グルタミン酸塩酸塩の代わりに無水クエン酸を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行った。
【0044】
(実施例4)
L-グルタミン酸塩酸塩の代わりにDL-リンゴ酸を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行った。
【0045】
(実施例5)
L-グルタミン酸塩酸塩の代わりにフマル酸を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行った。
【0046】
(実施例6)
L-グルタミン酸塩酸塩の代わりにクエン酸二水素ナトリウムを用いた以外は、実施例1と同様に操作を行った。
【0047】
(比較例1)
L-グルタミン酸塩酸塩の代わりにクエン酸二ナトリウムを用いた以外は、実施例1と同様に操作を行った。
【0048】
(比較例2)
L-グルタミン酸塩酸塩の代わりにクエン酸ナトリウム水和物を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行った。
【0049】
(比較例3)
表1記載の処方に従い、化合物1、乳棒乳鉢で粉砕後に目開き212μm篩を用いて篩過した結晶セルロースをポリエチレン袋中で3分間混合した。さらに、当該混合品にステアリン酸マグネシウムを加え、ポリエチレン袋中で1分間混合した。当該混合品を、ローラーコンパクター(TF−MINI、フロイント産業社製、ロール圧力:70kgf、ロール回転数:3min−1)を用いて圧縮成形した後、ロールグラニュレーター(GRN−T−54−S、日本グラニュレーター社製)を用いて整粒し造粒物を得た(ピッチ幅6mm、2mm、1.2mm、0.6mmの4種類のロールを使用した。)。得られた造粒物を目開き850μm篩を用いて篩過し、得られた篩過品を主薬顆粒とした。次に主薬顆粒、結晶セルロースと低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをポリエチレン袋中で3分間混合した。さらに、当該混合品にステアリン酸マグネシウムを加え、ポリエチレン袋中で1分間混合した。当該混合品を、打錠機(HT―AP―18SS−II、畑鉄工所直径8.5mmの臼、曲率半径10mmのR面杵)を用いて質量250mg、錠厚4.2mmとなるように打錠し、素錠を得た。さらに、当該素錠に対し、ハイコーター(HCT−MINI、フロイント産業社製)を用いて、ヒプロメロース、酸化チタン、及びポリエチレングリコール400の混合物を水系コーティングした。
【0050】
【表1】
【0051】
(実施例7)
表2記載の処方に従い、化合物1、乳棒乳鉢で粉砕後に目開き212μm篩を用いて篩過したアルギン酸、目開き212μm篩を用いて篩過したクエン酸二水素ナトリウム、及び結晶セルロースをポリエチレン袋中で3分間混合した。さらに、当該混合品にステアリン酸マグネシウムを加え、ポリエチレン袋中で1分間混合した。当該混合品を、ローラーコンパクター(TF−MINI、フロイント産業社製、ロール圧力:70kgf、ロール回転数:3min−1)を用いて圧縮成形した後、ロールグラニュレーター(GRN−T−54−S、日本グラニュレーター社製)を用いて整粒し造粒物を得た(ピッチ幅6mm、2mm、1.2mm、0.6mmの4種類のロールを使用した。)。得られた造粒物を目開き850μm篩を用いて篩過し、得られた篩過品を主薬顆粒とした。次に主薬顆粒、結晶セルロースと低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをポリエチレン袋中で3分間混合した。さらに、当該混合品にステアリン酸マグネシウムを加え、ポリエチレン袋中で1分間混合した。当該混合品を、打錠機(HT―AP―18SS−II、畑鉄工所、直径8.5mmの臼、曲率半径10mmのR面杵)を用いて質量250mg、錠厚4.2mmとなるように打錠し、素錠を得た。さらに、当該素錠に対し、ハイコーター(HCT−MINI、フロイント産業社製)を用いて、ヒプロメロース、酸化チタン、及びポリエチレングリコール400の混合物を水系コーティングした。
【0052】
(実施例8)
アルギン酸の代わりにL-アスパラギン酸を用いた以外は、実施例7と同様に操作を行った。
【0053】
(実施例9)
アルギン酸の代わりにL-グルタミン酸を用いた以外は、実施例7と同様に操作を行った。
【0054】
【表2】
【0055】
(実施例10)
表3記載の処方に従い、化合物1、目開き212μm篩を用いて篩過したアルギン酸とクエン酸二水素ナトリウム、及び結晶セルロースをポリエチレン袋中で3分間混合した。さらに、当該混合品にステアリン酸マグネシウムを加え、ポリエチレン袋中で1分間混合した。当該混合品を、ローラーコンパクター(TF−MINI、フロイント産業社製、ロール圧力:70kgf、ロール回転数:3min
−1)を用いて圧縮成形した後、ロールグラニュレーター(GRN−T−54−S、日本グラニュレーター社製)を用いて整粒し造粒物を得た(ピッチ幅6mm、2mm、1.2mm、0.6mmの4種類のロールを使用した。)。得られた造粒物を目開き850μm篩を用いて篩過し、得られた篩過品を主薬顆粒とした。次に主薬顆粒、結晶セルロースと低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをポリエチレン袋中で3分間混合した。さらに、当該混合品にステアリン酸マグネシウムを加え、ポリエチレン袋中で1分間混合した。当該混合品を、打錠機(HT―AP―18SS−II、畑鉄工所、直径7.5mmの臼、曲率半径9mmのR面杵)を用いて質量190mg、錠厚3.9mmとなるように打錠し、素錠を得た。さらに、当該素錠に対し、ハイコーター(HCT−MINI、フロイント産業社製)を用いてヒプロメロース、酸化チタン、ポリエチレングリコール400、及び黄色三二酸化鉄の混合物を水系コーティングした。
【0056】
(実施例11)
表3記載の処方に従い、化合物2と目開き212μm篩を用いて篩過したアルギン酸、クエン酸二水素ナトリウムと結晶セルロースを乳棒乳鉢で均一に混合した。さらに、当該混合品にステアリン酸マグネシウムを加え、乳棒乳鉢中で混合し、打錠機(HT―AP―18SS−II、畑鉄工所)を用いて直径7.5mmの臼、曲率半径9mmのR面杵を用いて質量190mgとなるように、打錠した。錠剤を乳棒乳鉢で粉砕し、得られた造粒物を主薬顆粒とした。次に主薬顆粒、結晶セルロース、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをポリエチレン袋中で3分間混合した。さらに、当該混合品にステアリン酸マグネシウムを加え、ポリエチレン袋中で1分間混合し、打錠機(HT―AP―18SS−II、畑鉄工所、直径7.5mmの臼、曲率半径9mmのR面杵)を用いて質量190mg、錠厚3.9mmとなるように打錠し、素錠を得た。さらに、当該素錠に対し、ハイコーター(HCT−MINI、フロイント産業社製)を用いて、ヒプロメロース、酸化チタン、ポリエチレングリコール400、及び黄色三二酸化鉄の混合物を水系コーティングした。
【0057】
【表3】
【0058】
(試験例1)
実施例1〜11で使用した酸性物質、比較例1で使用したクエン酸二ナトリウム、比較例2で使用したクエン酸ナトリウム水和物について、それぞれ50mgを秤量し、水1950μLに溶解または懸濁させた液(2.5%濃度)のpHをpHメーターで測定した。当該測定結果を表4に示す。
【0059】
【表4】
【0060】
(試験例2)
実施例2〜6、11、比較例1〜3の各組成物(錠剤)をガラス瓶に充填し、開栓及び密栓した状態で60℃90%RH条件下、2週間保存した。保存後における7−{(3S,4S)−3−アミノメチル−4−フルオロピロリジン−1−イル}−6−フルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸(化合物3)の含有量と、化合物1の含有量を液体クロマトグラフィーで測定し、化合物3の含量を化合物1の含量に対する百分率で表した。
【0061】
液体クロマトグラフィーによる試験条件
カラム:内径4.6mm、長さ150mmのそれぞれのステンレス管に3μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填し、分離カラムとした(ジーエルサイエンス、Inertsil ODS−3)。
A液:1−オクタンスルホン酸ナトリウム2.16gを薄めたリン酸(1→1000)に溶かして1000mLとした。
B液:液体クロマトグラフィー用メタノール
送液:A液及びB液の混合比を変えて濃度勾配を制御した。
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:294nm)
化合物3の化合物1に対する保持時間:0.69
【0062】
実施例2〜6、11及び比較例1〜3の安定性試験結果を表5に示す。pH4.0以下の酸性物質を配合した錠剤(実施例2〜6及び11)は、pHが4.0より高い酸性物質を配合した錠剤(比較例1)、酸性物質を配合していない錠剤(比較例3)及び塩基性物質を配合した錠剤(比較例2)と比べ、分解物の生成が抑制される傾向が認められた。このような安定化効果は特に密栓保存後の錠剤において顕著に見られる。また、より低いpHを有する酸性物質を配合した錠剤の方が、安定化効果が高かった。
【0063】
【表5】
【0064】
(試験例3)外観観察(製造直後)
実施例1〜9で得られたコーティング錠剤の外観観察結果を表6に示す。
【0065】
【表6】
【0066】
実施例2〜4において確認された凸状の斑点は、表6から分かる通り、20℃における水への溶解度が30%より高い酸性物質を使用した場合には、錠剤の表面に斑点が生じた。一方、L−グルタミン酸塩酸塩、フマル酸、クエン酸二水素ナトリウム、アルギン酸、L−アスパラギン酸及びL−グルタミン酸などの20℃における水への溶解度が30%以下の酸性物質を使用した場合には錠剤の表面において斑点は確認されなかった。実施例1〜9の錠剤の製造直後における写真を
図3〜11に示す。(実施例1:
図3、実施例2:
図4、実施例3:
図5、実施例4:
図6、実施例5:
図7、実施例6:
図8、実施例7:
図9、実施例8:
図10、実施例9:
図11)
【0067】
(試験例4)外観観察(2週間保存後)
実施例1〜7、9及び11をガラス瓶に充填し、開栓した状態で、60℃90%RH条件で2週間保存を行った。2週間保存後の外観観察結果を表7に示す。
【0068】
【表7】
【0069】
表7から分かる通り、pHが2.2未満の酸性物質を使用すると、上記条件下で保存することで、外観変化が生じた。その一方で、pHが2.2以上である酸性物質を使用した場合には、外観変化を生じなかった。この点から、pH2.2以上である酸性物質を使用することが好ましいことが理解できる。
実施例1〜7、9及び11で得られた錠剤を、60℃90%RH条件で2週間保存した後の写真を
図12〜20に示す。(実施例1:
図12、実施例2:
図13、実施例3:
図14、実施例4:
図15、実施例5:
図16、実施例6:
図17、実施例7:
図18、実施例9:
図19、実施例11:
図20)