特許第5651812号(P5651812)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5651812
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】固形医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4709 20060101AFI20141218BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20141218BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20141218BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20141218BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20141218BHJP
   A61K 9/30 20060101ALI20141218BHJP
   A61K 9/32 20060101ALI20141218BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20141218BHJP
【FI】
   A61K31/4709
   A61K47/18
   A61K47/12
   A61K47/36
   A61K47/38
   A61K9/30
   A61K9/32
   A61P31/04
【請求項の数】9
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2014-541237(P2014-541237)
(86)(22)【出願日】2014年4月24日
(86)【国際出願番号】JP2014002308
【審査請求日】2014年8月21日
(31)【優先権主張番号】特願2013-92171(P2013-92171)
(32)【優先日】2013年4月25日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001395
【氏名又は名称】杏林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100067541
【弁理士】
【氏名又は名称】岸田 正行
(74)【代理人】
【識別番号】100103506
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 弘晋
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】内田 浩
(72)【発明者】
【氏名】花田 真隆
【審査官】 石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/026147(WO,A1)
【文献】 国際公開第2003/078439(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/069297(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/145749(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/145750(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−33/44
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00−47/48
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1):
【化1】
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、アミノ基またはシアノ基で1または2以上置換されていてもよい炭素数1から3のアルキル基を示し、Rは炭素数1から3のアルキル基、水素原子、ハロゲン原子、水酸基またはアミノ基を示し、Rは水素原子またはハロゲン原子を示し、Rは水素原子またはフッ素原子を示し、Xはハロゲン原子を示す)で表される化合物またはその塩、セルロース系賦形剤及びpH4.0以下の酸性物質を含有する固形医薬組成物。
【請求項2】
前記酸性物質として、グルタミン酸塩酸塩、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、クエン酸二水素ナトリウム、グルタミン酸、アスパラギン酸及びアルギン酸からなる群より選ばれる1種または2種以上の化合物を含有する請求項1に記載の固形医薬組成物。
【請求項3】
前記酸性物質の20℃における水への溶解度が30%以下である請求項1に記載の固形医薬組成物。
【請求項4】
前記酸性物質のpHが2.2以上4.0以下である請求項1または請求項3に記載の固形医薬組成物。
【請求項5】
前記酸性物質として、フマル酸、クエン酸二水素ナトリウム、グルタミン酸、アスパラギン酸及びアルギン酸からなる群より選ばれる1種または2種以上の化合物を含有する、請求項1に記載の固形医薬組成物。
【請求項6】
前記セルロース系賦形剤が、結晶セルロースである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の固形医薬組成物。
【請求項7】
前記一般式(1)で表される化合物またはその塩として、前記一般式(1)で表される化合物の塩酸塩を含有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の固形医薬組成物。
【請求項8】
前記一般式(1)で表される化合物またはその塩、セルロース系賦形剤及び前記酸性物質を混合し、得られた混合物を乾式造粒法により造粒することを含む方法により得られる請求項1に記載の固形医薬組成物。
【請求項9】
一般式(1):
【化2】
(式中、Rはハロゲン原子、アミノ基またはシアノ基で1または2以上置換されていてもよい炭素数1から3のアルキル基を示し、Rは炭素数1から3のアルキル基、水素原子、ハロゲン原子、水酸基またはアミノ基を示し、Rは水素原子またはハロゲン原子を示し、Rは水素原子またはフッ素原子を示し、Xはハロゲン原子を示す)で表される化合物またはその塩、セルロース系賦形剤及びpH4.0以下の酸性物質を混合し、
得られた混合物を乾式造粒法により造粒することを含む、固形医薬組成物の製造方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式(1)で表される化合物またはその塩を含む固形医薬組成物に関する。
【0002】
【化1】
【0003】
式(1)中、Rはハロゲン原子、アミノ基またはシアノ基で1または2以上置換されていてもよい炭素数1から3のアルキル基を示し、Rは炭素数1から3のアルキル基、水素原子、ハロゲン原子、水酸基またはアミノ基を示し、Rは水素原子またはハロゲン原子を示し、Rは水素原子またはフッ素原子を示し、Xはハロゲン原子を示す。
【背景技術】
【0004】
医薬有効成分の中には、単独の固体状態では安定であっても、製剤化のため加圧成形を行うと、医薬有効成分の結晶に歪み等の変化が起き、得られた医薬組成物中の医薬有効成分の分解が進行するものがある(特許文献1〜7)。このような課題を解決する従来技術として、低融点油脂状物質を添加する方法(特許文献1)、素錠の密度や硬度を特定の範囲に調整する方法(特許文献2)、カラギーナン等の親水物質を添加する方法(特許文献3)、湿潤顆粒を用いる方法(特許文献4)、飽和高級脂肪酸及び/または飽和高級アルコールを添加する方法(特許文献5〜6)、ショ糖脂肪酸エステルを添加する方法(特許文献7)、ゼラチン微小球及び/またはゼラチン発泡体を添加する方法(特許文献8)、単糖アルコールを使用する方法(特許文献9〜10)が知られている。
一方で、医薬有効成分の中には、一定の条件に賦されるとゲル化するものが知られている(特許文献11〜17、非特許文献1〜2)。また、キノロンカルボン酸抗菌剤を含有する製剤において、主薬が安定化された製剤として、酸性添加物を加えた経口用組成物や(特許文献18)、同じく酸性添加物を加えた注射用製剤(特許文献19〜20)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−194218号公報
【特許文献2】特開2006−111639号公報
【特許文献3】特開2008−528456号公報
【特許文献4】特開平10−245335号公報
【特許文献5】特開昭62−252723号公報
【特許文献6】特開昭63−270624号公報
【特許文献7】特開平08−175996号公報
【特許文献8】国際公開第1990/007327号 パンフレット
【特許文献9】国際公開第2002/080013号 パンフレット
【特許文献10】特開平11−130674号公報
【特許文献11】特開2006−298811号公報
【特許文献12】国際公開第2006/030826号
【特許文献13】特表2002−505290号
【特許文献14】特表2004−522782号
【特許文献15】特開昭62−123118号公報
【特許文献16】国際公開第2006/059716
【特許文献17】特表2002−530338号
【特許文献18】特開2004−339198号公報
【特許文献19】特表2004−509921号
【特許文献20】国際公開第2006/004028号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】薬剤学 Vol.55,No.3(1995),175−182.
【非特許文献2】Pharm Tech Japan,vol.17,No4(2001)87−100(619−632).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、含有される以下の一般式(1)で表される化合物(以下、式(1)化合物とも称す)またはその塩の分解を抑制可能である新規な医薬組成物及びその製造方法を提供する。
【0008】
【化2】
【0009】
式(1)中、Rはハロゲン原子、アミノ基、シアノ基で1または2以上置換されていてもよい炭素数1から3のアルキル基を示し、Rは炭素数1から3のアルキル基、水素原子、ハロゲン原子、水酸基またはアミノ基を示し、Rは水素原子またはハロゲン原子を示し、Rは水素原子またはフッ素原子を示し、Xはハロゲン原子を示す。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、含有される式(1)化合物の分解が抑制できる医薬組成物の処方を検討していた。当該研究の過程で、式(1)化合物に含まれるシクロプロピルアミノメチル構造は化学的に分解し易く、例えば乾式造粒等の加圧成形を行うと、シクロプロピル基が脱離した、一般式(2)で表される化合物(以下、式(2)化合物)が生じることが判明した。
【0011】
【化3】
【0012】
式(2)中、R、R、R及びXは、上記定義と同じである。
【0013】
鋭意研究の結果、本発明者らは、式(1)化合物またはその塩、セルロース系賦形剤及び所定の酸性物質を含有する組成物とすることで、式(1)化合物の例えば式(2)化合物等への化学的分解が抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
【0014】
本発明の要旨は以下のとおりである。
〔1〕一般式(1):
【化4】
(式中、Rはハロゲン原子、アミノ基またはシアノ基で1または2以上置換されていてもよい炭素数1から3のアルキル基を示し、Rは炭素数1から3のアルキル基、水素原子、ハロゲン原子、水酸基またはアミノ基を示し、Rは水素原子またはハロゲン原子を示し、Rは水素原子またはフッ素原子を示し、Xはハロゲン原子を示す)で表される化合物またはその塩、セルロース系賦形剤及びpH4.0以下の酸性物質を含有する固形医薬組成物。
〔2〕前記酸性物質として、グルタミン酸塩酸塩、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、クエン酸二水素ナトリウム、グルタミン酸、アスパラギン酸、及びアルギン酸からなる群より選ばれる1種または2種以上の化合物を含有する、〔1〕に記載の固形医薬組成物。
〔3〕前記酸性物質の20℃における水への溶解度が30%以下である〔1〕に記載の固形医薬組成物。
〔4〕前記酸性物質のpHが2.2以上4.0以下である〔1〕または〔3〕に記載の固形医薬組成物。
〔5〕前記酸性物質として、フマル酸、クエン酸二水素ナトリウム、グルタミン酸、アスパラギン酸及びアルギン酸からなる群より選ばれる1種または2種以上の化合物を含有する、〔1〕に記載の固形医薬組成物。
〔6〕前記セルロース系賦形剤が、結晶セルロースである〔1〕乃至〔5〕のいずれか1項に記載の固形医薬組成物。
〔7〕前記一般式(1)で表される化合物またはその塩として、前記一般式(1)で表される化合物の塩酸塩を含有する〔1〕乃至〔6〕のいずれか1項に記載の固形医薬組成物。
〔8〕前記一般式(1)で表される化合物またはその塩、セルロース系賦形剤及び前記酸性物質を混合し、得られた混合物を乾式造粒法により造粒することにより得られる請求項1に記載の固形医薬組成物。
〔9〕一般式(1):
【化5】
(式中、Rはハロゲン原子、アミノ基またはシアノ基により1または2以上置換されていてもよい炭素数1から3のアルキル基を示し、Rは炭素数1から3のアルキル基、水素原子、ハロゲン原子、水酸基またはアミノ基を示し、Rは水素原子またはハロゲン原子を示し、Rは水素原子またはフッ素原子を示し、Xはハロゲン原子を示す)で表される化合物またはその塩、セルロース系賦形剤及びpH4.0以下の酸性物質を混合し、
得られた混合物を乾式造粒法により造粒することを含む、固形医薬組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、含有される式(1)化合物またはその塩の分解を抑制可能である新規な組成物及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】7−[(3S,4S)−3−{(シクロプロピルアミノ)メチル}−4−フルオロピロリジン−1−イル}−6−フルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1、4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸塩酸塩(A形結晶)の粉末X線回折パターンである。
図2】7−[(3S,4S)−3−{(シクロプロピルアミノ)メチル}−4−フルオロピロリジン−1−イル}−6−フルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1、4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸塩酸塩水和物(B形結晶)の粉末X線回折パターンである。
図3】実施例1で得られた錠剤の製造直後の写真である。
図4】実施例2で得られた錠剤の製造直後の写真である。
図5】実施例3で得られた錠剤の製造直後の写真である。
図6】実施例4で得られた錠剤の製造直後の写真である。
図7】実施例5で得られた錠剤の製造直後の写真である。
図8】実施例6で得られた錠剤の製造直後の写真である。
図9】実施例7で得られた錠剤の製造直後の写真である。
図10】実施例8で得られた錠剤の製造直後の写真である。
図11】実施例9で得られた錠剤の製造直後の写真である。
図12】実施例1で得られた錠剤を60℃90%RH条件で2週間保存した後の写真である。
図13】実施例2で得られた錠剤を60℃90%RH条件で2週間保存した後の写真である。
図14】実施例3で得られた錠剤を60℃90%RH条件で2週間保存した後の写真である。
図15】実施例4で得られた錠剤を60℃90%RH条件で2週間保存した後の写真である。
図16】実施例5で得られた錠剤を60℃90%RH条件で2週間保存した後の写真である。
図17】実施例6で得られた錠剤を60℃90%RH条件で2週間保存した後の写真である。
図18】実施例7で得られた錠剤を60℃90%RH条件で2週間保存した後の写真である。
図19】実施例9で得られた錠剤を60℃90%RH条件で2週間保存した後の写真である。
図20】実施例11で得られた錠剤を60℃90%RH条件で2週間保存した後の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態の1つについて詳細に説明する。
本実施形態は、一般式(1)で表される化合物またはその塩、セルロース系賦形剤及びpH4.0以下の酸性物質を少なくとも含有する固形医薬組成物に関する。
本明細書において、固形医薬組成物とは、固体である含有成分により構成される医薬組成物をいう。
【0018】
【化6】
【0019】
式(1)中、Rは炭素数1から3のアルキル基を示し、Rは炭素数1から3のアルキル基、水素原子、ハロゲン原子、水酸基またはアミノ基を示し、Rは水素原子またはハロゲン原子を示し、Rは水素原子またはフッ素原子を示し、Xはハロゲン原子を示す。Rとして表される炭素数1から3のアルキル基は、ハロゲン原子、アミノ基またはシアノ基により1または2以上置換されていてもよい。
本明細書中に記載されている「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。一般式(1)において、ハロゲン原子は、フッ素原子が好ましい。本明細書中に記載されている「炭素数1から3のアルキル基」とは、メチル基、エチル基、プロピル基または2−プロピル基を示す。
本実施形態の固形医薬組成物に含有される式(1)化合物またはその塩は、例えば国際公開第2005/026147号パンフレットに記載の方法により製造することができる。本実施形態の固形医薬組成物に含有される式(1)化合物として、7−[3−{(シクロプロピルアミノ)メチル}−4−フルオロピロリジン−1−イル]−6−フルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸が好ましく、さらに好ましくは7−[(3S,4S)−3−{(シクロプロピルアミノ)メチル}−4−フルオロピロリジン−1−イル]−6−フルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸である。
【0020】
本実施形態の固形医薬組成物においては、水への溶解度の向上という点で、式(1)化合物の塩が含有されることが好ましい。
本実施形態の固形医薬組成物に含有され得る式(1)化合物の塩としては薬理学的に許容される塩である限り、特に限定されない。式(1)化合物の塩として、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等の無機酸との塩、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、マロン酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、乳酸、シュウ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸等の有機酸との塩、またはナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、セシウム、クロム、コバルト、銅、鉄、亜鉛、白金、銀等の金属との塩が挙げられる。このうち、安定性の観点から特に好ましくは塩酸塩が挙げられる。式(1)化合物の塩酸塩は、遊離型の式(1)化合物や他の式(1)化合物の塩と比較して光照射による当該化合物の分解が進みにくく、加速試験条件下保存した場合にも化学的な分解が少ない点で、優れている。本実施形態の固形医薬組成物に含有され得る式(1)化合物の塩として、より好ましくは7−[3−{(シクロプロピルアミノ)メチル}−4−フルオロピロリジン−1−イル]−6−フルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸塩酸塩であり、さらにより好ましくは7−[(3S,4S)−3−{(シクロプロピルアミノ)メチル}−4−フルオロピロリジン−1−イル]−6−フルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸塩酸塩である。
【0021】
本実施形態の固形医薬組成物においては、式(1)化合物またはその塩とともに、セルロース系賦形剤と、pH4.0以下である酸性物質が含有される。
本明細書中に記載されている「セルロース系賦形剤」とは、セルロースまたはその誘導体を構成成分とする賦形剤である。セルロース系賦形剤として、例えば結晶セルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどのうち1種または2種以上が本実施形態の固形医薬組成物に含有される。このうち、本実施形態の固形医薬組成物に含有されるセルロース系賦形剤として、錠剤に成形した際に高い硬度が出せるという点で、結晶セルロースが好ましい。
【0022】
本明細書中に記載されている「酸性物質」とは、水に溶解した際に、水素イオンを発生させる物質であり、本実施形態の固形医薬組成物においては式(2)化合物等の生成を抑制するという点で、pH4.0以下の酸性物質が含有される。pH4.0以下の酸性物質の例として、多価カルボン酸が挙げられ、例えばグルタミン酸塩酸塩等のアミノ多価カルボン酸の無機酸塩、酒石酸、クエン酸若しくはリンゴ酸等のヒドロキシ多価カルボン酸、アジピン酸若しくはコハク酸等の飽和多価カルボン酸、フマル酸等の不飽和多価カルボン酸、グルタミン酸若しくはアスパラギン酸等のアミノ多価カルボン酸、アルギン酸等の酸性多糖類、クエン酸二水素ナトリウム等のヒドロキシ多価カルボン酸のアルカリ金属塩、またはメタクリル酸コポリマーL等の高分子多価カルボン酸が例示できる。本実施形態の固形医薬組成物においては、例えばこのうちの1種または2種以上の酸性物質が用いられる。含有されるpH4.0以下である酸性物質として、式(1)化合物またはその塩の分解を抑制しつつ本実施形態の固形医薬組成物の外観変化を抑制するという点から、pH2.2以上pH4.0以下の酸性物質が好ましい。pH2.2以上pH4.0以下の酸性物質の例として、アジピン酸若しくはコハク酸等の飽和多価カルボン酸、フマル酸等の不飽和多価カルボン酸、グルタミン酸若しくはアスパラギン酸等のアミノ多価カルボン酸、アルギン酸等の酸性多糖類、クエン酸二水素ナトリウム等のヒドロキシ多価カルボン酸のアルカリ金属塩、またはメタクリル酸コポリマーL等の高分子多価カルボン酸があげられる。
【0023】
本明細書中に記載されている「pH」とは、対象物質を50mg秤量し、水1950μLに溶解または懸濁させた液(2.5%濃度)のpHをpHメーターで測定した値である。
【0024】
式(2)化合物等の生成をより抑制するという点から、本実施形態の固形医薬組成物に含有される酸性物質(2種類以上のpHが4.0以下である酸性物質が含有される場合はその総量)は、式(1)化合物またはその塩1質量部に対し、0.05質量部以上0.50質量部以下であることが好ましい。より好ましくは、式(1)化合物またはその塩1質量部に対し、0.05質量部以上0.40質量部以上、さらに好ましくは0.10質量部以上0.30質量部以上、より一層好ましくは0.15質量部以上0.30質量部以上の割合でpHが4.0以下である酸性物質が本実施形態の固形医薬組成物に含有される。
【0025】
また、本実施形態の固形医薬組成物が例えば素錠にコーティングが施された錠剤として調製されるような場合、コーティング溶液中の水分により表面付近に存在する酸性物質が溶解し、固形医薬組成物表面において斑点(凹凸)が生じてしまう場合がある。当該斑点は見た目が悪く、患者の服用コンプライアンスを低下させる恐れがあるため好ましくない。式(1)化合物またはその塩の分解を抑制しつつ本実施形態の固形医薬組成物の表面において斑点が観察される現象を抑えることも可能とするという点で、pH4.0以下の酸性物質として、グルタミン酸塩酸塩等のアミノ多価カルボン酸の無機酸塩、アジピン酸若しくはコハク酸等の飽和多価カルボン酸、フマル酸等の不飽和多価カルボン酸、グルタミン酸若しくはアスパラギン酸等のアミノ多価カルボン酸、アルギン酸等の酸性多糖類、クエン酸二水素ナトリウム等のヒドロキシ多価カルボン酸のアルカリ金属塩、またはメタクリル酸コポリマーL等の高分子多価カルボン酸のうち1種または2種以上が本実施形態の固形医薬組成物に含有されることが好ましい。
また、固形医薬組成物の表面において斑点が観察される現象を抑えることも可能とするという点で、本実施形態の固形医薬組成物に含有される酸性物質として、20℃における水への溶解度が、30%以下である酸性物質を使用することがより好ましい。20℃における水への溶解度が、30%以下である酸性物質として、L−グルタミン酸塩酸塩、クエン酸二水素ナトリウム、アジピン酸、コハク酸、フマル酸、L−グルタミン酸、L−アスパラギン酸、アルギン酸等が挙げられる。このうち、アルギン酸は、水にほとんど溶けないため本実施形態に含有される酸性物質として特に好ましい。
【0026】
本明細書において、「水への溶解度」とは、水100gに対し溶質が溶解する質量(g)に基づき、以下の式(A)を用いた計算によって得られる値をいう。
【0027】
MW={C/(100+C)}×100 (A)
【0028】
式(A)中、MWは水への溶解度(%)を、Cは水100gに対し溶質が溶解する質量(g)を示す。
【0029】
本実施形態の固形医薬組成物は例えば経口用組成物とすることが挙げられる。このうち、例えば式(1)化合物またはその塩を含む成分が圧縮成形や打錠などの加圧される工程を経て製造される剤形とする場合、本実施形態に係る技術が好適に適用され得る。具体的には、本実施形態の固形医薬組成物は、錠剤、顆粒剤(細粒剤)、カプセル剤、散剤などの経口用固形製剤とすることができ、好ましくは錠剤とすることができる。
【0030】
本実施形態の固形医薬組成物における各成分の割合は特に限定されず、剤形等に応じて当業者が適宜設定することができる。
例えば本実施形態の固形医薬組成物が錠剤として調製される場合、式(1)化合物またはその塩の好ましい含有量としては、素錠の全体質量中10質量%以上70質量%以下とすることが挙げられる。さらに好ましくは20質量%以上60質量%以下、特に好ましくは30質量%以上50質量%以下、より一層好ましくは35質量%以上45質量%以下、例えば43質量%が挙げられる。
また、本実施形態の固形医薬組成物におけるセルロース系賦形剤の含有量としては、素錠の全体質量中10質量%以上70質量%以下が挙げられる。さらに好ましくは20質量%以上60質量%以下、特に好ましくは25質量%以上50質量%以下、より一層好ましくは30質量%以上40質量%以下、例えば34%または37質量%が挙げられる。
さらに、本実施形態の固形医薬組成物の表面において斑点が観察される現象を抑えるという点で、pH4.0以下の酸性物質の含有量(2種類以上の酸性物質を使用している場合はその総含有量)は、素錠の全体質量中5質量%以上20質量%以下、さらに好ましくは7質量%以上15質量%以下が挙げられる。
なお、本明細書中に記載されている「素錠」とは、原料を打錠したものであり、コーティングを施す前の錠剤を意味する。
【0031】
本実施形態の固形医薬組成物は、剤形に応じた通常の方法に従って製造することができ、製造方法は当業者が適宜選択することができる。
ここで、本実施形態の固形医薬組成物が造粒される工程を経て製造される場合、当該造粒は乾式造粒法により行われることが好ましい。本明細書中に記載されている「乾式造粒法」とは、原料粉体を圧縮成形した後に適当な大きさの粒子に破砕分級する方法である。乾式造粒法によれば、水を使用せずに造粒が可能なため、水の影響による式(1)化合物またはその塩のゲル化を抑制することができる。
【0032】
以下に本実施形態の固形医薬組成物を錠剤として製造する場合の製造方法の一例を示して、本実施形態の固形医薬組成物の内容を更に詳細に説明するが、これらにより本発明の範囲を限定するものではない。
【0033】
(一般的製造方法)
1. 以下に示すA、B及びC成分を混合する。混合により得られた粉末には、さらにステアリン酸、ステアリン酸塩(アルミニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム等の金属塩)、ラウリル硫酸ナトリウム等の滑沢剤を加えてもよい。
A成分:式(1)で表される化合物またはその塩
B成分:結晶セルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる1種または2種以上のセルロース系賦形剤
C成分:グルタミン酸塩酸塩等のアミノ多価カルボン酸の無機酸塩、酒石酸、クエン酸若しくはリンゴ酸等のヒドロキシ多価カルボン酸、アジピン酸若しくはコハク酸等の飽和多価カルボン酸、フマル酸等の不飽和多価カルボン酸、グルタミン酸若しくはアスパラギン酸等のアミノ多価カルボン酸、アルギン酸等の酸性多糖類、クエン酸二水素ナトリウム等のヒドロキシ多価カルボン酸のアルカリ金属塩、及びメタクリル酸コポリマーL等の高分子多価カルボン酸からなる群から選ばれる1種または2種以上の酸性物質
【0034】
2. 例えば乾式造粒法に基づき造粒を行う。具体的には、得られた混合物を、ローラーコンパクターまたは打錠機(スラッグマシン)等の圧縮成形機で圧縮成形した後、ロールグラニュレーターまたは篩等の整粒装置を用いて粉砕、整粒し、造粒物を得る。得られた造粒物には、さらに、結晶セルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系賦形剤を添加することもできるし、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、バレイショデンプン、トウモロコシデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポピドン、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム等の崩壊剤を添加することもできる。さらに、ステアリン酸、ステアリン酸塩(アルミニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム等の金属塩)、ラウリル硫酸ナトリウム等の滑沢剤を得られた造粒物に添加することもできる。
【0035】
3. 得られた造粒物または造粒物と添加剤の混合物を、打錠機を用いて打錠することにより、錠剤(素錠)を得る。打錠後、得られた素錠を、ヒプロメロースやコリコートIR等のコーティング剤を用いて被覆してもよい。
【実施例】
【0036】
以下に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
【0037】
以下の実施例において、NMRスペクトルは、日本電子JNM−EX400型核磁気共鳴装置を使用し、内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)を使用して測定した。MSスペクトルは日本電子JMS−T100LP型及びJMS−SX102A型質量分析計で測定した。元素分析はヤナコ分析CHN CORDER MT−6元素分析装置で行った。
【0038】
(参考例1)
ビス(アセタト−O)−〔6,7−ジフルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキシラト−O,O〕ボロン
窒素雰囲気下、無水酢酸21.4L(225mol)に、ホウ酸(触媒作成用)103g(1.67mol)を加え、70.0〜76.9°Cで30分間加熱撹拌した(撹拌速度69.5rpm)。内温24.6°Cまで冷却した後、1回目のホウ酸1.01kg(16.3mol)を加え、24.6〜27.4°Cで30分撹拌した。2回目のホウ酸1.01kg(16.3mol)を加え、24.7〜27.5°Cで30分撹拌した。3回目のホウ酸1.01kg(16.3mol)を加え、24.7〜27.7°Cで30分撹拌した。4回目のホウ酸1.01kg(16.3mol)を加え、25.4〜29.4°Cで30分撹拌した。さらに、50.0〜56.9°Cで30分撹拌し、ホウ酸トリアセテート調整液とした。当該調整液に、6,7−ジフルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸エチルエステル5.50kg(16.7mol)を加え、得られた混液を54.7〜56.9°Cで3時間撹拌した。当該混液を30.0°Cまで冷却し、室温で一夜放置した。混液を58.6°Cまで加熱し析出した化合物を溶解させ、アセトン16.5 Lを混液に加え、反応液(a)とした。
窒素雰囲下、常水193L及びアンモニア水(28%)33.7 L(555mol)の混合液を、−0.6°Cまで冷却した。当該混合液に、前述の反応液(a)を添加し、アセトン11.0Lで洗い込んだ。15.0°Cまで冷却後、4.3〜15.0°Cで1時間撹拌した。析出した結晶をろ取し、常水55.0Lで洗浄し、湿潤粗結晶を14.1kg得た。設定温度65.0°Cで約22時間減圧乾燥し、粗結晶を6.93kg得た(収率96.7%)。
得られた粗結晶に、窒素雰囲下、アセトン34.7Lを加え、加熱溶解した(温水設定温度57.0°C)。加熱時、ジイソプロピルエーテル69.3Lを晶析するまで滴下した(滴下量12.0 L)。晶析確認後、48.3〜51.7°Cで15分撹拌し、残りのジイソプロピルエーテルを滴下し、45.8〜49.7°Cで15分撹拌した。15°Cまで冷却後、6.5〜15.0°Cで30分撹拌した。析出した結晶をろ取し、アセトン6.93L及びジイソプロピルエーテル13.9Lで洗浄し、湿潤結晶を7.41kg得た。得られた湿潤結晶を設定温度65.0°Cで約20時間減圧乾燥し、ビス(アセタト−O)−〔6,7−ジフルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキシラト−O,O〕ボロンを 6.47kg得た(収率90.3%)。
元素分析(%):C1715BFNOとして
計算値:C,47.58;H,3.52;N,3.26.
実測値:C,47.41;H,3.41;N,3.20.
H−NMR(CDCl,400 MHz)δ:2.04(6H,s),4.21(3H, d,J=2.9Hz),4.88(2H,dt,J=47.0,4.4Hz),5.21(2H,dt,J=24.9,3.9Hz),8.17(1H,t,J=8.8Hz),9.10(1H,s).
ESI MS(positive) m/z:430(M+H)+.
【0039】
(参考例2)
7−[(3S,4S)−3−{(シクロプロピルアミノ)メチル}−4−フルオロピロリジン−1−イル]−6−フルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸塩酸塩の製造
窒素雰囲気下、(3R,4S)−3−シクロプロピルアミノメチル−4−フルオロピロリジン3.56kg(15.4mol)、トリエチルアミン11.7 L(84.2mol)及びジメチルスルホキシド30.0Lの混液を、23.0〜26.3°Cで15分撹拌した。当該混液に23.0〜26.3°Cでビス(アセタト−O)[6,7−ジフルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキシラト−O,O]ボロン6.00kg(14.0mol)を加え、反応液とした。反応液を23.7〜26.3°Cで2時間撹拌した。反応液に酢酸エチル120Lを加え、さらに常水120Lを加えた後、水酸化ナトリウム960g(2mol/Lとする量)及び常水12.0Lの溶液を加え、5分間撹拌後、水層を分取した。水層に、酢酸エチル120Lを加え、5分間撹拌後、酢酸エチル層を分取した。酢酸エチル層を合わせて、常水120Lを加え、5分間撹拌後、静置し、水層を廃棄した。酢酸エチル層を減圧留去した。得られた残留物を、2−プロパノール60.0Lに溶解させ、室温で一夜放置した。当該溶液に塩酸5.24L(62.9mol)及び常水26.2L(2mol/Lとする量)の溶液を加え、28.2〜30.0°Cで30分撹拌した。外温55.0°Cで加熱し、溶解後(47.1°Cで溶解確認)、冷却し晶析させた。39.9〜41.0°Cで30分撹拌し、冷却後(目安:20.0°Cまでは設定温度7.0°C、それ以下は−10.0°C)、2.2〜10.0°Cで1時間撹拌した。析出した結晶をろ取、2−プロパノール60Lで洗浄し、7−{(3S,4S)−3−[(シクロプロピルアミノ)メチル]−4−フルオロピロリジン−1−イル}−6−フルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸塩酸塩の湿潤粗結晶を9.57kg得た。
【0040】
(参考例3)
7−[(3S,4S)−3−{(シクロプロピルアミノ)メチル}−4−フルオロピロリジン−1−イル]−6−フルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸塩酸塩(A形結晶、化合物1)の製造方法
7−{(3S,4S)−3−[(シクロプロピルアミノ)メチル]−4−フルオロピロリジン−1−イル}−6−フルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸塩酸塩の湿潤粗結晶9.57kgをエタノール60L、精製水10.8Lの混液に添加し、加熱溶解した。この溶解液を、フィルターを通すことによりろ過し、エタノール24.0L及び精製水1.20Lの混液で洗い込んだ。溶解を確認し、加熱したエタノール(99.5)96.0Lを71.2〜72.6°Cで添加した。その溶解液を冷却し(温水設定温度60.0°C)晶析確認後(晶析温度61.5°C)、59.4〜61.5°Cで30分撹拌した。段階的に冷却させ(50.0°Cまで温水設定温度40.0°C、40.0°Cまで温水設定温度30.0°C、30.0°Cまで温水設定温度20.0°C、20.0°Cまで設定温度7.0°C、15.0°Cまで設定温度−10.0°C、これ以降溜置き)、4.8〜10.0°Cで1時間撹拌した。析出した結晶をろ取し、エタノール30.0Lで洗浄し、7−{(3S,4S)−3−[(シクロプロピルアミノ)メチル]−4−フルオロピロリジン−1−イル}−6−フルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸塩酸塩の湿潤結晶を5.25kg得た。得られた湿潤結晶を設定温度50.0°Cで約13時間減圧乾燥し、化合物1を4.83kg得た(収率72.6%)。
国際公開第2013/069297号に基づく化合物1の粉末X線回折の結果を図1に示す。図1から理解できるように4.9度、10.8度、12.9度、18.2度、21.7度、24.7度及び26.4度にピークが見られ、10.8度、12.9度、及び24.7度に特徴的なピークが確認できる。
元素分析値(%):C2124HClとして
計算値:C,53.00;H,5.30;N,8.83.
実測値:C,53.04;H,5.18;N,8.83.
H NMR(DMSO−d,400MHz)δ(ppm):0.77−0.81(2H,m),0.95−1.06(2H,m),2.80−2.90(2H,m),3.21−3.24(1H,m),3.35−3.39(1H,m),3.57(3H,s),3.65−3.78(3H,m),4.13(1H,dd,J=41.8,13.1Hz),4.64−4.97(3H,m),5.14(1H,dd,J=32.7,15.6Hz), 5.50(1H,d,J=53.7Hz),7.80(1H,d,J=13.7Hz), 8.86(1H,s),9.44(2H,brs),15.11(1H,brs).
ESI MS(positive) m/z:440(M+H)+.
(参考例4)
7−[(3S,4S)−3−{(シクロプロピルアミノ)メチル}−4−フルオロピロリジン−1−イル]−6−フルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸塩酸塩水和物(B形結晶、化合物2)
参考例2で得られた7−{(3S、4S)−3−[(シクロプロピルアミノ)メチル]−4−フルオロピロリジン−1−イル}−6−フルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1、4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸塩酸塩30.0 g(63.0 mmol)を2−プロパノール600 mL及び常水90.0 mLの混合溶媒に添加し、加熱溶解(内温72℃)した。溶解液を冷却し、晶析を確認(内温49℃)後、晶析温度付近で5分間撹拌した(内温48〜49℃)。晶析温度から内温が10℃程度上昇するまで溶解液を加熱し、その温度で30分間撹拌した(内温48〜60℃)。溶解液を徐々に冷却(毎分約1℃冷却)し、10℃以下で1時間撹拌した(内温2〜10℃)。析出した結晶をろ過し、2−プロパノール143mL及び常水7.5mLの混合溶媒で洗浄して白色粉末の7−{(3S,4S)−3−[(シクロプロピルアミノ)メチル]−4−フルオロピロリジン−1−イル}−6−フルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1、4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸塩酸塩水和物(B形結晶)を34.5g得た。
国際公開第2013/069297号に基づく化合物2の粉末X線回折の結果を図2に示す。図2から理解できるように4.8度、9.4度、17.7度、22.8度、25.8度および27.0度にピークが見られ、9.4度および17.7度に特徴的なピークが確認できる。
H NMR(DMSO−d、400MHz)δ(ppm):0.77−0.81(2H、m)、0.98−1.00(2H、m)、2.79−2.93(2H、m)、3.22(1H、dd、J = 8.4、12.2 Hz)、3.58(3H、s)、3.65−3.81(3H、m)、4.13(1H、dd、J = 13.2、42.1 Hz)、4.81−4.97(2H、m)、5.15(1H、dd、J = 15.7、32.8 Hz)、5.55(1H、d、J = 53.8 Hz)、7.79(1H、dd、J = 2.4、13.2 Hz)、8.85(s、1H)、9.56(2H、brs)、15.07(1H、brs).
【0041】
(実施例1)
表1記載の処方に従い、化合物1、乳棒乳鉢で粉砕後に目開き212μm篩を用いて篩過したL-グルタミン酸塩酸塩、及び結晶セルロースをポリエチレン袋中で3分間混合した。さらに、当該混合品にステアリン酸マグネシウムを加え、ポリエチレン袋中で1分間混合した。当該混合品を、ローラーコンパクター(TF−MINI、フロイント産業社製、ロール圧力:70kgf、ロール回転数:3min−1)を用いて圧縮成形した後、ロールグラニュレーター(GRN−T−54−S、日本グラニュレーター社製)を用いて整粒し造粒物を得た(ピッチ幅6mm、2mm、1.2mm、0.6mmの4種類のロールを使用した。)。得られた造粒物を目開き850μm篩を用いて篩過し、得られた篩過品を主薬顆粒とした。次に主薬顆粒、結晶セルロースと低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをポリエチレン袋中で3分間混合した。さらに、当該混合品にステアリン酸マグネシウムを加え、ポリエチレン袋中で1分間混合した。当該混合品を、打錠機(HT―AP―18SS−II、畑鉄工所、直径8.5mmの臼、曲率半径10mmのR面杵)を用いて質量250mg、錠厚4.2mmとなるように打錠し、素錠を得た。さらに、当該素錠に対し、ハイコーター(HCT−MINI、フロイント産業社製)を用いて、ヒプロメロース、酸化チタン、及びポリエチレングリコール400の混合物を水系コーティングした。
【0042】
(実施例2)
L-グルタミン酸塩酸塩の代わりにL-(+)酒石酸を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行った。
【0043】
(実施例3)
L-グルタミン酸塩酸塩の代わりに無水クエン酸を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行った。
【0044】
(実施例4)
L-グルタミン酸塩酸塩の代わりにDL-リンゴ酸を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行った。
【0045】
(実施例5)
L-グルタミン酸塩酸塩の代わりにフマル酸を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行った。
【0046】
(実施例6)
L-グルタミン酸塩酸塩の代わりにクエン酸二水素ナトリウムを用いた以外は、実施例1と同様に操作を行った。
【0047】
(比較例1)
L-グルタミン酸塩酸塩の代わりにクエン酸二ナトリウムを用いた以外は、実施例1と同様に操作を行った。
【0048】
(比較例2)
L-グルタミン酸塩酸塩の代わりにクエン酸ナトリウム水和物を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行った。
【0049】
(比較例3)
表1記載の処方に従い、化合物1、乳棒乳鉢で粉砕後に目開き212μm篩を用いて篩過した結晶セルロースをポリエチレン袋中で3分間混合した。さらに、当該混合品にステアリン酸マグネシウムを加え、ポリエチレン袋中で1分間混合した。当該混合品を、ローラーコンパクター(TF−MINI、フロイント産業社製、ロール圧力:70kgf、ロール回転数:3min−1)を用いて圧縮成形した後、ロールグラニュレーター(GRN−T−54−S、日本グラニュレーター社製)を用いて整粒し造粒物を得た(ピッチ幅6mm、2mm、1.2mm、0.6mmの4種類のロールを使用した。)。得られた造粒物を目開き850μm篩を用いて篩過し、得られた篩過品を主薬顆粒とした。次に主薬顆粒、結晶セルロースと低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをポリエチレン袋中で3分間混合した。さらに、当該混合品にステアリン酸マグネシウムを加え、ポリエチレン袋中で1分間混合した。当該混合品を、打錠機(HT―AP―18SS−II、畑鉄工所直径8.5mmの臼、曲率半径10mmのR面杵)を用いて質量250mg、錠厚4.2mmとなるように打錠し、素錠を得た。さらに、当該素錠に対し、ハイコーター(HCT−MINI、フロイント産業社製)を用いて、ヒプロメロース、酸化チタン、及びポリエチレングリコール400の混合物を水系コーティングした。
【0050】
【表1】
【0051】
(実施例7)
表2記載の処方に従い、化合物1、乳棒乳鉢で粉砕後に目開き212μm篩を用いて篩過したアルギン酸、目開き212μm篩を用いて篩過したクエン酸二水素ナトリウム、及び結晶セルロースをポリエチレン袋中で3分間混合した。さらに、当該混合品にステアリン酸マグネシウムを加え、ポリエチレン袋中で1分間混合した。当該混合品を、ローラーコンパクター(TF−MINI、フロイント産業社製、ロール圧力:70kgf、ロール回転数:3min−1)を用いて圧縮成形した後、ロールグラニュレーター(GRN−T−54−S、日本グラニュレーター社製)を用いて整粒し造粒物を得た(ピッチ幅6mm、2mm、1.2mm、0.6mmの4種類のロールを使用した。)。得られた造粒物を目開き850μm篩を用いて篩過し、得られた篩過品を主薬顆粒とした。次に主薬顆粒、結晶セルロースと低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをポリエチレン袋中で3分間混合した。さらに、当該混合品にステアリン酸マグネシウムを加え、ポリエチレン袋中で1分間混合した。当該混合品を、打錠機(HT―AP―18SS−II、畑鉄工所、直径8.5mmの臼、曲率半径10mmのR面杵)を用いて質量250mg、錠厚4.2mmとなるように打錠し、素錠を得た。さらに、当該素錠に対し、ハイコーター(HCT−MINI、フロイント産業社製)を用いて、ヒプロメロース、酸化チタン、及びポリエチレングリコール400の混合物を水系コーティングした。
【0052】
(実施例8)
アルギン酸の代わりにL-アスパラギン酸を用いた以外は、実施例7と同様に操作を行った。
【0053】
(実施例9)
アルギン酸の代わりにL-グルタミン酸を用いた以外は、実施例7と同様に操作を行った。
【0054】
【表2】
【0055】
(実施例10)
表3記載の処方に従い、化合物1、目開き212μm篩を用いて篩過したアルギン酸とクエン酸二水素ナトリウム、及び結晶セルロースをポリエチレン袋中で3分間混合した。さらに、当該混合品にステアリン酸マグネシウムを加え、ポリエチレン袋中で1分間混合した。当該混合品を、ローラーコンパクター(TF−MINI、フロイント産業社製、ロール圧力:70kgf、ロール回転数:3min−1)を用いて圧縮成形した後、ロールグラニュレーター(GRN−T−54−S、日本グラニュレーター社製)を用いて整粒し造粒物を得た(ピッチ幅6mm、2mm、1.2mm、0.6mmの4種類のロールを使用した。)。得られた造粒物を目開き850μm篩を用いて篩過し、得られた篩過品を主薬顆粒とした。次に主薬顆粒、結晶セルロースと低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをポリエチレン袋中で3分間混合した。さらに、当該混合品にステアリン酸マグネシウムを加え、ポリエチレン袋中で1分間混合した。当該混合品を、打錠機(HT―AP―18SS−II、畑鉄工所、直径7.5mmの臼、曲率半径9mmのR面杵)を用いて質量190mg、錠厚3.9mmとなるように打錠し、素錠を得た。さらに、当該素錠に対し、ハイコーター(HCT−MINI、フロイント産業社製)を用いてヒプロメロース、酸化チタン、ポリエチレングリコール400、及び黄色三二酸化鉄の混合物を水系コーティングした。
【0056】
(実施例11)
表3記載の処方に従い、化合物2と目開き212μm篩を用いて篩過したアルギン酸、クエン酸二水素ナトリウムと結晶セルロースを乳棒乳鉢で均一に混合した。さらに、当該混合品にステアリン酸マグネシウムを加え、乳棒乳鉢中で混合し、打錠機(HT―AP―18SS−II、畑鉄工所)を用いて直径7.5mmの臼、曲率半径9mmのR面杵を用いて質量190mgとなるように、打錠した。錠剤を乳棒乳鉢で粉砕し、得られた造粒物を主薬顆粒とした。次に主薬顆粒、結晶セルロース、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをポリエチレン袋中で3分間混合した。さらに、当該混合品にステアリン酸マグネシウムを加え、ポリエチレン袋中で1分間混合し、打錠機(HT―AP―18SS−II、畑鉄工所、直径7.5mmの臼、曲率半径9mmのR面杵)を用いて質量190mg、錠厚3.9mmとなるように打錠し、素錠を得た。さらに、当該素錠に対し、ハイコーター(HCT−MINI、フロイント産業社製)を用いて、ヒプロメロース、酸化チタン、ポリエチレングリコール400、及び黄色三二酸化鉄の混合物を水系コーティングした。
【0057】
【表3】
【0058】
(試験例1)
実施例1〜11で使用した酸性物質、比較例1で使用したクエン酸二ナトリウム、比較例2で使用したクエン酸ナトリウム水和物について、それぞれ50mgを秤量し、水1950μLに溶解または懸濁させた液(2.5%濃度)のpHをpHメーターで測定した。当該測定結果を表4に示す。
【0059】
【表4】
【0060】
(試験例2)
実施例2〜6、11、比較例1〜3の各組成物(錠剤)をガラス瓶に充填し、開栓及び密栓した状態で60℃90%RH条件下、2週間保存した。保存後における7−{(3S,4S)−3−アミノメチル−4−フルオロピロリジン−1−イル}−6−フルオロ−1−(2−フルオロエチル)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸(化合物3)の含有量と、化合物1の含有量を液体クロマトグラフィーで測定し、化合物3の含量を化合物1の含量に対する百分率で表した。
【0061】
液体クロマトグラフィーによる試験条件
カラム:内径4.6mm、長さ150mmのそれぞれのステンレス管に3μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填し、分離カラムとした(ジーエルサイエンス、Inertsil ODS−3)。
A液:1−オクタンスルホン酸ナトリウム2.16gを薄めたリン酸(1→1000)に溶かして1000mLとした。
B液:液体クロマトグラフィー用メタノール
送液:A液及びB液の混合比を変えて濃度勾配を制御した。
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:294nm)
化合物3の化合物1に対する保持時間:0.69
【0062】
実施例2〜6、11及び比較例1〜3の安定性試験結果を表5に示す。pH4.0以下の酸性物質を配合した錠剤(実施例2〜6及び11)は、pHが4.0より高い酸性物質を配合した錠剤(比較例1)、酸性物質を配合していない錠剤(比較例3)及び塩基性物質を配合した錠剤(比較例2)と比べ、分解物の生成が抑制される傾向が認められた。このような安定化効果は特に密栓保存後の錠剤において顕著に見られる。また、より低いpHを有する酸性物質を配合した錠剤の方が、安定化効果が高かった。
【0063】
【表5】
【0064】
(試験例3)外観観察(製造直後)
実施例1〜9で得られたコーティング錠剤の外観観察結果を表6に示す。
【0065】
【表6】
【0066】
実施例2〜4において確認された凸状の斑点は、表6から分かる通り、20℃における水への溶解度が30%より高い酸性物質を使用した場合には、錠剤の表面に斑点が生じた。一方、L−グルタミン酸塩酸塩、フマル酸、クエン酸二水素ナトリウム、アルギン酸、L−アスパラギン酸及びL−グルタミン酸などの20℃における水への溶解度が30%以下の酸性物質を使用した場合には錠剤の表面において斑点は確認されなかった。実施例1〜9の錠剤の製造直後における写真を図3〜11に示す。(実施例1:図3、実施例2:図4、実施例3:図5、実施例4:図6、実施例5:図7、実施例6:図8、実施例7:図9、実施例8:図10、実施例9:図11
【0067】
(試験例4)外観観察(2週間保存後)
実施例1〜7、9及び11をガラス瓶に充填し、開栓した状態で、60℃90%RH条件で2週間保存を行った。2週間保存後の外観観察結果を表7に示す。
【0068】
【表7】
【0069】
表7から分かる通り、pHが2.2未満の酸性物質を使用すると、上記条件下で保存することで、外観変化が生じた。その一方で、pHが2.2以上である酸性物質を使用した場合には、外観変化を生じなかった。この点から、pH2.2以上である酸性物質を使用することが好ましいことが理解できる。
実施例1〜7、9及び11で得られた錠剤を、60℃90%RH条件で2週間保存した後の写真を図12〜20に示す。(実施例1:図12、実施例2:図13、実施例3:図14、実施例4:図15、実施例5:図16、実施例6:図17、実施例7:図18、実施例9:図19、実施例11:図20
【産業上の利用可能性】
【0070】
式(1)化合物またはその塩を含有する固形医薬組成物において、セルロース系賦形剤、及びpH4.0以下である酸性物質を含有することにより、式(1)化合物またはその塩の分解が抑制された固形医薬組成物を提供することができる。
【要約】

【課題】含有される一般式(1)で表される化合物またはその塩の分解を抑制できる医薬組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表される化合物またはその塩、セルロース系賦形剤及びpH4.0以下の酸性物質を含有する固形医薬組成物。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20