【実施例】
【0068】
本発明のプラクティスは、例示のみを目的にここに表される、上述の例からさらに十分に理解されるであろうが、決して本発明を制限するものと解釈されるべきではない。
【0069】
<実施例1> 例示的なトラマドール含有放出制御調製物の調製
この実施例は、例示的な誤用予防錠剤と、それが作られうる方法を記載する。製剤は、トラマドール:中度から中程度の強さの痛み(moderate to moderately severe pain)の治療に使用されるオピオイド剤を含み、該オピオイド剤は、乱用される可能性があり、誤用による過剰暴露によりその有害な副作用をもたらしうる。この実施例に記載された誤用防止錠剤は、100mgの塩酸トラマドールを含み、実施例2から確認されるように、24時間にわたって原形の錠剤から放出される。完全な錠剤の製剤は、表1で説明され、調剤用の構成成分の夫々の製造は、この実施例の以下のセクションで明らかにする。
【0070】
表1
【0071】
表1の製剤は、多段階プロセスによって調製され、サブセクションA〜Dで以下に概説される。
A.トラマドール含有放出制御微小粒子の製造
【0072】
非被覆の微小粒子の製剤は、表2に表され、非被覆の微小粒子は、以下のように製造される。様々な構成成分を、低せん断条件下で、3分間ミキサーで混合した。次いで、乾燥ブレンドを、押出成形に適した均質の湿塊が製造されるまで、水を徐々に添加することによって同じミキサーで攪拌しながら湿らせた。次いで、湿塊を、0.6mm直径ホール及び固定された押出しギャップを有するドーム型のダイを備えた実験室用の多軸造粒用押出機(Multigranulator extruder)モデルMG−55(LCI, Inc., NC, USA)を使用して、一定速度(45rpm)で押出成形した。次いで、押出成形品を、マルメライザー(Marumerizer)モデルQJ-230T(LCI, Inc., NC5 USA)を用いて、一定速度(1,800rpm)で球体化させた。水分含有量が約2%になるまで、湿潤微小粒子を、流動層にて45℃で乾燥させた。
【0073】
表2
【0074】
次いで、得られた微小粒子を、放出制御被覆及び表3に記載されるようにオパドライIIホワイト含有フィルムで被覆した。微小粒子を、流動層塗工機で被覆した。微小粒子を、オイドラギット(Eudragid) RS30C含有のプラスアクリル(Plasacryl)及びトリメチルシトラート(TEC)の水溶液を用いて、7%〜15%質量増加するまでフィルム被覆した。その後、硬化溶液含有オパドライIIホワイトを加えて、微小粒子同士の癒着の尤度を減少させるためにオイドラギット(Eudragit)含有被覆の回りにフィルムを施した。
【0075】
表3
【0076】
得られた放出制御微小粒子の平均直径は、光学顕微鏡で測定すると、約700μmだった。
B.コア組成物の製造
【0077】
放出制御微小粒子に加えて、コアに、ポリカルボフィル及び様々な別の構成成分を含有させた。コアの残りの賦形剤は、表4に記載され、混合され、ローラー圧縮機(Vector Corp.)で、乾燥顆粒化された(ロール速度5rpm、スクリュー速度19rpm、及び圧力800psi)。
表4
【0078】
次いで、トラマドール含有微小粒子を、残りの顆粒コア賦形剤と混合し、表5に示される製剤のコアを製造した。
表5
C.被覆組成物の製造
【0079】
放出制御微小粒子に加えて、被覆に、コリドン(Kollidon)(登録商標)SR及びキサンタンガム、並びに、様々な別の構成成分を含有させた。被覆の残りの賦形剤は、表6に記載され、混合され、ローラー圧縮機(Vector Corp.)で、乾燥顆粒化された(ロール速度5rpm、スクリュー速度19rpm、及び圧力800psi)。
表6
【0080】
次いで、トラマドール含有微小粒子を、残りの顆粒化被覆賦形剤と混合し、表7に示される製剤の被覆を製造した。
表7
D.錠剤の製造
【0081】
次いで、乾燥-被覆錠剤を、ドライコタ(Dry-Cota)16-ステーション(Station)錠剤プレス機(Manesty, UK)を用いて調製した。コア製剤を、錠剤プレス機における第一ホッパーに添加し、コア錠剤に圧縮した。次いで、被覆製剤を、錠剤プレス機における第二ホッパーに添加し、コア及び被覆を一緒に圧縮して、乾燥被覆錠剤を形成した。次いで、得られた乾燥被覆錠剤を、完全な穴あきパンコーティング機(fully perforated pan coating machine)(O'Hara, Mississauga, ON, CA)を用いて、オパドライIIの溶液でフィルム被覆した。製剤のフィルム被覆錠剤は、表8に記載される。
表8
【0082】
得られた錠剤の硬度は、約350Nの目標硬度に対し、約300Nから約400Nであった。
<実施例2>原形の錠剤の放出特性
【0083】
実施例1で製造された錠剤の原形の状態での放出反応速度を、この実施例で調査した。更に、放出反応速度は、アルコールが抽出媒体に含まれる場合、また、抽出媒体のpHが変化する場合について調査された。
【0084】
最初に、トラマドール放出を、1分当たり100回転で、37±0.5℃で、900mLのpH6.8のリン酸二水素カリウム溶液(緩衝液ステージ)中で、25時間、U.S.P.30で記載されたように、ローテーションバスケット法(rotating basket method)(U.S.P.タイプI装置)を用いて測定した。3回の実験の結果を
図2に要約する。
図2から分かりうるように、実施例1で製造された錠剤は、24時間にわたって、表9に要約される反応速度で、トラマドールを放出した。
表9
【0085】
図2に表され、表9に要約された放出反応速度から、試験された条件下で、実施例1で製造された錠剤は、24時間にわたって、準0次(quasi-zero order)の放出反応速度で、トラマドールを放出した。
【0086】
加えて、上述と同じ条件下(但し、抽出溶媒は、水、20%アルコール水、40%アルコール水、60%アルコール水、80%アルコール水、100%アルコールを含むよう変化させた)で放出反応速度のアルコールの効果を調査した。結果は
図3に表され、抽出溶媒が、60%エタノール含有に至るまで、6時間にわたってトラマドールの約30%未満を放出することを示す。錠剤は、水、20%エタノール、40%エタノール、及び60%エタノールにさらされた場合は、同様に挙動した。しかしながら、錠剤が80%及び100%のエタノール含有抽出溶媒にさらされた場合には、トラマドールの約50%が6時間にわたって放出された。
【0087】
図3に記載された結果は、実施例1で製造された錠剤の放出制御特性が、100%水又は100%エタノールを含む抽出溶媒中でも維持されたことを示す。ある状況においては、例えば、20%エタノールの存在下で、放出速度が、水中より一層遅くなった。さらに、試験された条件下において、20%未満のトラマドールが、水、20%エタノール、40%エタノール、60%エタノール、80%エタノール、又は、100%エタノールに入れた場合に、原形の錠剤から30分間で放出された。また、本発明の製剤は、通常のアルコール飲料と混同しても化学反応を起こさないことが明らかになった。
【0088】
更に、放出反応速度におけるpHの効果を、上述と同じ条件下(但し、抽出溶媒が、水、pH6.8のリン酸緩衝液、pH5.0のリン酸緩衝液、pH3.0のリン酸緩衝液、pH1.2の酸性化水を含むよう変化させた)で、調査した。結果は
図4に表され、実施例1で製造された錠剤の放出制御特性は、pHを1.2に減少させた場合にも維持されたことを示す。しかしながら、pHが6.8から1.2に減少するに従って、放出速度は増加したことが明らかになった。また、本発明の製剤は、pHが約3.5である様々な一般的な飲料(例えば炭酸飲料)と混同しても化学反応を起こさないことが明らかになった。
<実施例3> 二分された錠剤の放出特性
【0089】
この実施例は、試験された条件下で、実施例1で製造された錠剤が、錠剤の放出制御特性を損なうことなく二分されうることを示す。言い換えると、剤形ダンピングは、錠剤が半分に割れた場合にも、起こらない。
【0090】
簡単に、実施例1で製造された錠剤を半分に二分した。原形の錠剤の放出反応速度及び二分された半分の錠剤の放出反応速度をU.S.PタイプI装置で測定した。結果は、二分された錠剤用に正規化され、
図5に要約される。タイプI装置における原形の錠剤及び二分された錠剤からのトラマドール放出の反応速度は、表10及び表11に夫々要約している。
表10
表11
【0091】
図5は、原形の錠剤及び二分された錠剤の双方がそれらの放出制御特性を維持しており、20〜24時間にわたってトラマドールを放出することを示す。二分された錠剤の放出プロフィールは、原形の錠剤のそれと類似しているが、二分された錠剤は、トラマドールを原形の錠剤よりも少し早く放出していることが明らかになった。例えば、12時間の時点で、二分された錠剤は、トラマドールの開始量の80〜90%を放出する一方で、原形の錠剤は、トラマドールの65〜75%を放出した。
<実施例4> 破砕された錠剤の放出特性
【0092】
この実施例は、実施例1で作られた錠剤の一般的なピル破砕機を用いて破砕した後の性能を記載する。特に、破砕された錠剤の性能は、異なる条件下で多くの抽出溶媒にさらされた後に測定された。
【0093】
最初に、実施例1で製造された錠剤をピル破砕機で破砕し、2mLの水(静脈注射による薬物乱用における一般的な容量で、破砕された錠剤を食べ物と混合する場合に、一般的に使用されうる容量よりも多い)とガラスバイアル中で混ぜ合わせた。実験は、錠剤の4つの異なるロットを用いて行われた。破砕された錠剤が2mLの水と混合されると、それぞれの底部でシリンジに吸い込めうる液体を残さずに、20から30秒以内にハードゲルが形成された。
図6で示されたように、バイアルは反転させることができ、ハードゲルは、夫々のバイアルの底部に残っていた。
図6において、第一バイアルは2mLの水を含み、及び、バイアル2〜5(反転している)は夫々2mLの水と混合された4つの別々のロット(ロット1〜4と表される)の破砕錠剤を含む。夫々の場合において、製造されたゲルは、反転させた場合でさえ、バイアルの底部に留まるのに十分程度、固定されていた。
【0094】
更に、実施例1で製造された錠剤からトラマドールを抽出する力は、夫々の錠剤が、ピル破砕機で破砕された後に、異なる条件下で、試験された。簡単に言うと、破砕された錠剤は、10mLの抽出媒体(水、酸、塩基、又は、アルコール含有溶媒)と、バイアル中で混合された。溶液を、特定温度(室温(RT)、50℃、75℃又は100℃)に加熱し、リストアクションバレル(Bunrrell)攪拌機を用いて15分間、機械的にかき混ぜた。しかしながら、残った上清は製造されなかったことが分かった。
図7は、実施例1で錠剤が調製された後に製造されたハードゲルを含有する夫々7本の逆さのバイアルを示し、ピル破砕機で破砕され、10mLの抽出媒体にさらされ、様々な条件下でインキュベートされ、その条件は、以下を含む:
(1)水(室温で、15分間)(バイアル1、
図7)、
(2)水(50℃で、15分間)(バイアル2、
図7)、
(3)水(75℃で、15分間)(バイアル3、
図7)、
(4)水(100℃で、15分間)(バイアル4、
図7)、
(5)酸性媒体(酸性化水)(室温で、15分間)(バイアル5、
図7)、
(6)塩基性溶媒(水酸化ナトリウムpH 10)(室温で、15分間)(バイアル6、
図7)、及び、
(7)40%エタノール(室温で、15分間)(バイアル7、
図7)。
図7から分かりうるように、全ての試験される条件で、逆さにした夫々のバイアルの底部に残るハードゲルの製剤が確認された。このプロセスで、上清は残らず、したがって、製剤から放出されているドラマドールの量は、たとえあったとしても、測定することはできない。
【0095】
その別の実験において、トラマドールの放出は、それらが破砕されて、異なる濃度のエタノール(20%、40%、及び60%エタノール)を含む溶液にさらされた後に、実施例1に従って製造された錠剤から測定された。簡潔に言うと、錠剤は、破砕され、100rpmで、37℃で、30分間にわたって攪拌しながら、U.S.PタイプI装置をもって、900mLの抽出媒体にその薬剤量を放出した。結果は、
図8において表されるバーチャートにおいて要約される。また、実施例1において製造された錠剤に用いられた条件と同じ条件下で、市販されているUltram ERを破砕し、水にさらしてから、Ultram ERのトラマドールの抽出を測定した。
【0096】
図8に要約された結果は、900mLの水、20%エタノール、40%エタノール、又は60%エタノールにさらされた場合にも、本発明の錠剤のトラマドールの用量ダンピングはないことを示した。試験された条件下で、トラマドールの20%未満が30分後に放出された。対照的に、市販されているUltram ERが、抽出媒体として水を使用した同じ条件下で試験された場合に、トラマドールのおおよそ80%が放出された。
【0097】
別の実験において、トラマドールの放出は、錠剤が破砕されて様々なpH値を有する抽出媒体にさらされた後に、実施例1に従って製造された錠剤から測定され、抽出媒体は、水、pH6.8のリン酸緩衝液、pH5のリン酸緩衝液、pH3のリン酸緩衝液、及びpH1.2の酸性化水であった。錠剤は、破砕され、100rpmで、37℃で、30分間にわたって攪拌しながら、U.S.PタイプI装置をもって、900mLの抽出媒体にその薬剤量を放出した。結果は、
図9において表されるバーチャートにおいて要約される。また、実施例1において製造された錠剤に用いられた条件と同じ条件下で、Ultram ERが破砕されて水にさらされてから、市販されているUltram ERのトラマドールの抽出を測定した。
【0098】
図9に要約された結果は、試験された条件下で、900mLの抽出溶媒(水、pH6.8のリン酸緩衝液、pH5.0のリン酸緩衝液、pH3.0のリン酸緩衝液、及びpH1.2の酸性化水)中でインキュベートされた場合に、トラマドールの用量ダンピングはないことを示した。しかしながら、試験された条件下で、pHが下がるにしたがって、トラマドールの放出量が増加したことが、特徴的だった。例えば、水中で、トラマドールの20%未満が放出された。対照的に、市販されているUltram ERにおいては、抽出媒体として水を使用した同じ条件下で試験された場合に、トラマドールのおおよそ100%が放出された。pH6.8、5、及び3のリン酸緩衝液において、トラマドールのおおよそ30〜35%が本発明の錠剤から放出され、pH1.2の酸性化水において、トラマドールのおおよそ65%が放出された。
<実施例5> トラマドール錠剤の薬物動態特性
【0099】
実施例1において調製された100mg錠剤の薬物動態特性は、単回投与で、ランダムに、絶食条件下及び摂食条件下で、18人の健康な大人における交差研究で評価された。投与後に、血漿サンプルが、定期的に採取され、血漿中に含まれるトラマドールの濃度は、液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析で測定された。
【0100】
図10において結果をプロットし、絶食条件下の血漿中に含まれるトラマドールの平均血漿濃度を
図10Aに示し、摂食条件下の血漿中に含まれるトラマドールの平均血漿濃度を
図10Bに示す。メジアンT
max(時間)は、摂食及び絶食条件の双方で6.0時間だった。C
max(ng/mL)は、絶食及び摂食投与でそれぞれ、120±32ng/mL及び154±41ng/mLだった。T
1/2(時間)は、夫々絶食及び摂食投与後の、8.4±2.9時間、及び、6.8±2.1時間だった。AUC
0-t(ng・h/mL)は、絶食状態及び摂食状態で夫々2556±1026、及び、2746±1057だった。そして、AUC
0-∞(ng・h/mL)は、絶食及び摂食状態で夫々2703±1109、及び、2829±1119だった。
<実施例6> 例示的なオキシコドン錠剤
【0101】
この実施例は、コア及び放出制御被覆を有する40mgの塩酸オキシコドン錠剤(BID)の製造及び試験について記載する。該被覆は、放出制御特性を提供し、微小粒子の内部に配置されたオキシコドンの誤用を減らした微小粒子を含む。
【0102】
微小粒子は、押出球体化(extrusion spheronization)によって製造され、次いで、流動層被覆で被覆される。得られた被覆微小粒子は、被覆マトリクス賦形剤とブレンドされ、次いで、あらかじめ形成されたポリカルボフィルコアの周りを包囲する。
【0103】
オキシコドン含有微小粒子の組成は、表12に表される。
表12
【0104】
次いで、得られた微小粒子を、ボトムスプレーを備えた流動層塗装機で被覆した。微小粒子を、オイドラギット(Eudragid) RS30C含有のプラスアクリル(Plasacryl)及びトリメチルシトラート(TEC)の水溶液を用いて、7%〜15%質量増加するまでフィルム被覆した。その後、硬化溶液含有オパドライIIホワイトを加えて、微小粒子同士の癒着の尤度を減少させるためにオイドラギット(Eudragit)含有被覆の回りにフィルムを施した。
【0105】
コア及び被覆の組成は、表13に表す。
表13
【0106】
乾燥-被覆錠剤を、ドライコタ(Dry-Cota)16-ステーション(Station)錠剤プレス機(Manesty, UK)を用いて調製した。コア製剤を、錠剤プレス機における第一ホッパーに添加し、コア錠剤に圧縮した。次いで、被覆製剤を、錠剤プレス機における第二ホッパーに添加し、コア及び被覆を一緒に圧縮して、乾燥被覆錠剤を形成した。次いで、得られた乾燥被覆錠剤を、完全な穴あきパンコーティング機(fully perforated pan coating machine)(O'Hara, Mississauga, ON, CA)を用いて、オパドライIIの溶液でフィルム被覆した。
【0107】
得られた錠剤のインビトロ放出特性を、リン酸緩衝液(pH6.8)か、40%エタノール水中で、U.S.PタイプI装置で測定した。放出反応速度を、原形の錠剤(
図11A参照のこと)、又は、従来のピル破砕機を用いて破砕された破砕錠剤(
図11B参照のこと)で測定した。
図11Bは、また、パーデュファーマから市販されているオキシコンチン錠剤からの長期にわたるオキシコドンの放出を示す。更に、放出反応速度は、リン酸緩衝液(pH6.8)の存在下における原形の錠剤で、及び、リン酸緩衝液(pH6.8)の存在下における、二分された錠剤(半分の錠剤)で測定された(
図12参照のこと)。
図12に示されるように、放出プロフィールは、実質的に原形の錠剤及び二分された錠剤で同じである。
【0108】
原形の錠剤は、12時間にわたって放出を制御し、この放出は、40%エタノールの存在によって実質的に影響を受けなかった。破砕されたオキシコンチン錠剤と比較して、本発明に従って製造された破砕された錠剤も、二分された錠剤(半分の錠剤)も、用量ダンピングでオキシコドンを放出せず、用量ダンピングは、40%エタノールの存在下でも見られなかった。
<実施例7> 例示的な塩酸オキシコドン/アセトアミノフェン錠剤
【0109】
この実施例は、20mgの塩酸オキシコドン及び650mgのアセトアミノフェンを含む1日2回用の錠剤(BID)の製造の試験について記載する。錠剤は、腸溶性の放出制御被覆(オイドラギット(Eudragit) L30D55)と呼ばれる)によって包囲されたコアを含む(コアは、二重層の形態である)。
微小粒子の組成は、表14に記載される。
表14
【0110】
微小粒子は、表14に記載された構成成分(オイドラギット(Eudragit) NE 3OD及びタルクを除く)を混合することによって製造される。得られた混合物を、押出成形し、球体化し、得られた微小粒子を、ボトムスプレーが備わった流動層塗装機によって、オイドラギット(Eudragit) NE 30D及びタルクで被覆した。錠剤のコアを、二重層にした。オキシコドン含有微小粒子は、二重層の徐放層に組み込まれ、一方で、アセトアミノフェン(放出形態であり、微小粒子に組み込まれないCOMPAP(登録商標)を用いた)は、急速放出層及び徐放層の双方に含ませた。
【0111】
二重層コアの組成は、表15に記載される。
表15
【0112】
二重層コアは、各層の構成成分を混合し、ピッコラ(Piccola
TM)二重層錠剤プレス機(SMI Inc., NJ, USA)で材料を圧縮することによって調製された。二重層錠剤の硬度は、190から230ニュートンだった。次いで、得られた二重層コアを、完全な穴あきパンコーティング機(fully perforated pan coating machine)(O'Hara, Mississauga, ON, CA)を用いて、オイドラギット(Eudragit) L30D 55で被覆した。得られた被覆は、錠剤の8質量%を占める82mgのオイドラギットL30D 55を含んでいた。
【0113】
得られた錠剤のインビトロ放出反応速度を、0.1Mの塩酸(pH1.2)中で1時間インキュベーションした後に、リン酸緩衝液(pH6.8)中で11時間インキュベーションして、20dpmでU.S.P.タイプIII装置で測定した。
図13に示される結果は、錠剤が0.1MのHClに入れた場合に、約1時間錠剤からオキシコドンが放出されなかったことを示す。pHが1時間後に上昇すると、オキシコドンは、放出制御反応速度で放出された。
<実施例8> 例示的な、1日1回用の150mgトラマドール錠剤
【0114】
この実施例は、例示的な1日1回用の150mg塩酸トラマドール錠剤の製造及び試験について記載する(錠剤は、モノリシックコアと放出制御被覆を有する)。コアは高吸収性ポリカルボフィルを含み、放出制御被覆はキサンタンガム及びコリドン(Kollidon)を含む。トラマドール含有微小粒子は、コア及び被覆の双方の内部に配置された。
【0115】
微小粒子の組成を、表16に記載する。
表16
【0116】
非被覆の微小粒子を以下のように製造した。トラマドール及びアビセル(Avicel)PH 101を、低せん断条件下で、3分間ミキサーで混合した。次いで、乾燥ブレンドを、押出成形に適した均質の湿塊が製造されるまで、水を徐々に添加することによって同じミキサーで攪拌しながら湿らせた。次いで、湿塊を、0.6mm直径ホール及び固定された押出しギャップを有するドーム型のダイを備えた実験室用の多軸造粒用押出機モデルMG−55(LCI, Inc., NC, USA)を使用して、一定速度(45rpm)で押出成形した。次いで、押出成形品を、マルメライザー(Marumerizer)モデルQJ-230T(LCI, Inc., NC5 USA)を用いて、一定速度(1,800rpm)で球体化させた。水分含有量が約2%になるまで、湿潤微小粒子を、流動層にて45℃で乾燥させた。
【0117】
得られた微小粒子の一部を、流動層塗装機を用いて、オイドラギット(Eudragit) RS 30Dを含む水溶液で被覆した。微小粒子を、7%〜15%質量増加するまでフィルム被覆した。その後、硬化溶液含有オパドライIIホワイトを加えて、微小粒子同士の癒着の尤度を減少させるためにオイドラギット(Eudragit)含有被覆の回りにフィルムを施した。
【0118】
コア顆粒の組成を表17に記載する。
表17
【0119】
放出制御微小粒子に加えて、コアに、ポリカルボフィル及び様々な別の構成成分を含有させた。コアの残りの賦形剤は、混合され、ローラー圧縮機(Vector Corp.)で、乾燥顆粒化された(ロール速度5rpm、スクリュー速度19rpm、及び圧力800psi)。次いで、非被覆の微小粒子を、顆粒化コア賦形剤と混合し、コア製剤を製造した。
【0120】
被覆顆粒の組成を、表18に記載する。
表18
【0121】
被覆の残りの賦形剤は、混合され、ローラー圧縮機(Vector Corp.)で、乾燥顆粒化された(ロール速度5rpm、スクリュー速度19rpm、及び圧力800psi)。次いで、被覆微小粒子を、顆粒化被覆賦形剤と混合し、コア製剤を製造した。
【0122】
錠剤の組成を、表19に記載する。
表19
【0123】
次いで、乾燥-被覆錠剤を、ドライコタ(Dry-Cota)16-ステーション(Station)錠剤プレス機(Manesty, UK)を用いて調製した。コア製剤を、錠剤プレス機における第一ホッパーに添加し、コア錠剤に圧縮した。次いで、被覆製剤を、錠剤プレス機における第二ホッパーに添加し、コア及び被覆を一緒に圧縮して、乾燥被覆錠剤を形成した。次いで、得られた乾燥被覆錠剤を、完全な穴あきパンコーティング機(fully perforated pan coating machine)(O'Hara, Mississauga, ON, CA)を用いて、オパドライIIの溶液でフィルム被覆した。
【0124】
得られた錠剤(原形及び破砕の双方)のインビトロ放出特性をリン酸緩衝液(pH6.8)中で、U.S.P.タイプI装置で測定した。3つの別々のバッチを試験した。原形の錠剤のインビトロ放出の結果を、
図14Aに示し、破砕された錠剤の結果を、
図14Bに示す。錠剤を、ピル破砕機を用いて破砕した。本発明の原形の錠剤が24時間にわたってリン酸緩衝液(pH6.8)中で、トラマドールの放出を制御するという結果を示した。更に、同じ溶解条件にさらされた場合に、破砕された錠剤からのトラマドールの用量ダンピングはなかった。試験された条件下で、トラマドールの50%未満が、60秒以内に放出された。
【0125】
更に、得られた錠剤(原形及び破砕の双方)のインビトロ放出特性を、水、又は、20%エタノール、40%エタノール、及び、60%エタノール含有水中で、U.S.P.タイプI装置で測定した。同様の3つのバッチを試験した。60%エタノール含有水中の原形の錠剤のインビトロ放出の結果を
図15Aに示し、60%エタノール含有水中の破砕された錠剤のインビトロ放出の結果を
図15Bに示す。同様の結果を、水が20%又は40%エタノールを含有する場合についても得た。結果から少なくとも60%のアルコール濃度に至るまでは、放出プロフィールへの影響があまりないか、全くないことということが分かる。破砕された錠剤に関して、
図15Bに示すように、トラマドールの25%が、60%エタノール含有水中に60秒で放出された。
<実施例9> 例示的な、1日1回用の200mgのトラマドール錠剤
【0126】
この実施例は、例示的な1日1回用の200mg塩酸トラマドール錠剤の製造及び試験について記載する(錠剤は、モノリシックコアと放出制御被覆を有する)。コアは高吸収性ポリカルボフィルを含み、放出制御被覆はキサンタンガム及びコリドン(Kollidon)を含む。トラマドール含有微小粒子は、コア及び被覆の双方の内部に配置される。
【0127】
微小粒子の4つの異なるロットの組成は、表20に記載される。
表20
【0128】
非被覆の微小粒子の製剤を以下のように製造した。トラマドール及びアビセル(Avicel)PH 101を、低せん断条件下で、3分間ミキサーで混合した。次いで、乾燥ブレンドを、押出成形に適した均質の湿塊が製造されるまで、水を徐々に添加することによって同じミキサーで攪拌しながら湿らせた。次いで、湿塊を、0.6mm直径ホール及び固定された押出しギャップを有するドーム型のダイを備えた実験室用の多軸造粒用押出機モデルMG−55(LCI, Inc., NC, USA)を使用して、一定速度(45rpm)で押出成形した。次いで、押出成形品を、マルメライザー(Marumerizer)モデルQJ-230T(LCI, Inc., NC5 USA)を用いて、一定速度(1,800rpm)で球体化させた。水分含有量が約2%になるまで、湿潤微小粒子を、流動層にて45℃で乾燥させた。
【0129】
次いで、得られた微小粒子を、流動層塗装機を用いて、オイドラギット(Eudragit) RS 30Dを含む水溶液で被覆した。微小粒子を、7%〜15%質量増加するまでフィルム被覆した。その後、ロット2のみに硬化溶液含有オパドライIIホワイトを加えて、オイドラギット(Eudragit)含有被覆の回りにフィルムを施した。
【0130】
コア顆粒の組成を、表21に表す。
表21
【0131】
放出制御微小粒子に加えて、コアに、ポリカルボフィルの酸及び様々な別の構成成分を含有させた。コアの残りの賦形剤は、混合され、ローラー圧縮機(Vector Corp.)で、乾燥顆粒化された(ロール速度5rpm、スクリュー速度19rpm、及び圧力800psi)。次いで、被覆微小粒子を、顆粒化コア賦形剤と混合し、コア製剤を製造した。
【0132】
被覆顆粒の組成を表22に記載する。
表22
【0133】
被覆の残りの賦形剤は、混合され、ローラー圧縮機(Vector Corp.)で、乾燥顆粒化された(ロール速度5rpm、スクリュー速度19rpm、及び圧力800psi)。次いで、被覆微小粒子を、顆粒化被覆賦形剤と混合し、コア製剤を製造した。
【0134】
錠剤の4つの異なるロットの組成を表23に記載する。
表23
【0135】
次いで、乾燥-被覆錠剤を、ドライコタ(Dry-Cota)16-ステーション(Station)錠剤プレス機(Manesty, UK)を用いて調製した。コア製剤を、錠剤プレス機における第一ホッパーに添加し、コア錠剤に圧縮した。次いで、被覆製剤を、錠剤プレス機における第二ホッパーに添加し、コア及び被覆を一緒に圧縮して、乾燥被覆錠剤を形成した。次いで、得られた乾燥被覆錠剤を、完全な穴あきパンコーティング機(fully perforated pan coating machine)(O'Hara, Mississauga, ON, CA)を用いて、オパドライIIの溶液でフィルム被覆した。
【0136】
得られた錠剤(原形及び破砕の双方)のインビトロ放出特性をリン酸緩衝液(pH6.8)又は水中で、U.S.P.タイプI装置で測定した。原形の錠剤のインビトロ放出の結果を、
図16Aに示し、破砕された錠剤の結果を、
図16Bに示す。錠剤を、ピル破砕機を用いて破砕した。結果から、本発明の原形の錠剤が24時間にわたってリン酸緩衝液(pH6.8)中で、トラマドールの放出を制御するということが分かった。更に、同じ溶解条件にさらされた場合に、破砕された錠剤からのトラマドールの用量ダンピングはなかった。試験された条件下で、トラマドールの50%未満が、60秒以内に放出された。
【0137】
更に、ロット4から得られた錠剤(完全及び破砕の双方)のインビトロ放出特性を、リン酸緩衝液(pH6.8)、又は、20%エタノール、40%エタノール、及び、60%エタノール含有水中で、U.S.P.タイプI装置で測定した。緩衝液中の原形の錠剤のインビトロ放出の結果を
図17Aに示し、破砕された錠剤のインビトロ放出の結果を
図17Bに示した。結果から、少なくとも60%のアルコール濃度に至るまでは、放出プロフィールへの影響があまりないか、全くないことということが分かった。破砕された錠剤に関して、トラマドールの15%未満が、60%エタノール含有水中に60秒で放出された。
<実施例10>
例示的な30mgのヒドロコドンビタルトラート錠剤(12時間)
【0138】
この実施例では、30mgのヒドロコドン ビタルトラートを含有する錠剤の製造及び例示的な12時間の試験について記載する。錠剤は、モノリシックコア及び放出制御被覆を有する。コアは、超吸収性ポリカルボフィルを含み、放出制御被覆は、キサンタンガムとコリドンとを含む。ヒドロコドン含有微小粒子は、被覆の内部に配置される。活性成分はコアの内部に配置されなかった。
【0139】
ヒドロコドン含有微小粒子の組成は、表24に記載される。
表24
【0140】
微小粒子は、以下のように製造された。ヒドロコドンビタルトラート及びアビセル(Avicel)PH 101を、低せん断条件下で、3分間ミキサーで混合した。次いで、乾燥ブレンドを、押出成形に適した均質の湿塊が製造されるまで、水を徐々に添加することによって同じミキサーで攪拌しながら湿らせた。次いで、湿塊を、0.6mm直径ホール及び固定された押出しギャップを有するドーム型のダイを備えた実験室用の多軸造粒用押出機モデルMG−55(LCI, Inc., NC, USA)を使用して、一定速度(45rpm)で押出成形した。次いで、押出成形品を、マルメライザー(Marumerizer)モデルQJ-230T(LCI, Inc., NC5 USA)を用いて、一定速度(1,800rpm)で球体化させた。水分含有量が約2%になるまで、湿潤微小粒子を、流動層にて45℃で乾燥させた。
【0141】
得られた微小粒子の一部を、流動層塗工機で、オイドラギット(Eudragid) RS30C含有の水溶液を用いて被覆した。微小粒子は、7%〜15%質量増加するまでフィルム被覆された。
【0142】
コア顆粒の組成は、表25に記載される。
表25
【0143】
コアに、ポリカルボフィル及び様々な別の構成成分を含有させた。これらの賦形剤は、混合され、ローラー圧縮機(Vector Corp.)で、乾燥顆粒化された(ロール速度5rpm、スクリュー速度19rpm、及び圧力800psi)。
【0144】
コア顆粒の組成は、表26に記載される。
表26
【0145】
被覆の残りの賦形剤は、混合され、ローラー圧縮機(Vector Corp.)で、乾燥顆粒化された(ロール速度5rpm、スクリュー速度19rpm、及び圧力800psi)。次いで、被覆微小粒子を、顆粒化被覆賦形剤と混合し、コア製剤を製造した。
【0146】
原形の錠剤の組成は、表27に記載される。
表27
【0147】
次いで、乾燥-被覆錠剤を、ドライコタ(Dry-Cota)16-ステーション(Station)錠剤プレス機(Manesty, UK)を用いて調製した。コア製剤を、錠剤プレス機における第一ホッパーに添加し、コア錠剤に圧縮した。次いで、被覆製剤を、錠剤プレス機における第二ホッパーに添加し、コア及び被覆を一緒に圧縮して、乾燥被覆錠剤を形成した。次いで、得られた乾燥被覆錠剤を、完全な穴あきパンコーティング機(fully perforated pan coating machine)(O'Hara, Mississauga, ON, CA)を用いて、オパドライIIの溶液でフィルム被覆した。
【0148】
得られた錠剤(原形のものと破砕されたもの双方)のインビトロ放出特性を、リン酸緩衝液(pH6.8)か、0.1Mの塩酸(pH1.2)中で、U.S.PタイプI装置で測定した。原形の錠剤のインビトロ放出の結果を、
図18Aに示し、破砕された錠剤の結果を、
図18Bに示す。錠剤は、従来のピル破砕機を用いることで破砕された。結果として、原形の錠剤は、リン酸緩衝液(pH6.8)中及び酸中(pH1.2)で12時間にわたって、ヒドロコドンビタルトラートの放出を制御することがわかった。しかしながら、酸中での薬剤放出速度は、リン酸緩衝液(pH6.8)中での放出速度よりわずかに高かった。更に、同じ溶解条件にさらされた場合に、破砕された錠剤からのヒドロコドンビタルトラートの用量ダンピングはなかった。試験された条件下で、ヒドロコドンの30%未満、及び55%未満が、それぞれ、リン酸緩衝液(pH6.8)中及び酸(pH1.2)中で、60分以内に放出された。
【0149】
本発明をその好ましい実施態様を利用して説明してきたが、当然ながら、添付の特許請求の範囲において定義されるとおり、本発明は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなくその広範な態様を包含することを意図する。