【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述の課題を、特許請求範囲の各特徴により、特に、Mはいずれも、好適には酸化数II、非常に好ましくは酸化数IIIのいずれか1つの希土類金属、好ましくはEu、Tb、Pr、DyまたはTmであり、またリガンド系AおよびBは、トータルで見たときにMに対する補償電荷を有する、次式I
【0012】
【化1】
【0013】
で表される、トータルで見たときに電荷が中立であるインジケータ化合物の発光量、または、次式II
【0014】
【化2】
【0015】
で表されるその誘導体の発光量を検出することによって、光触媒活性を示す化合物の活性、特に何らかの担体の表面に積層されている1つの光触媒の活性を決定する方法により、解決するものである。
【0016】
この金属錯体には、EおよびTにより結合した、環の大きさが可変である(m、nならびにo=1、2、3または4)、2つまたはそれ以上(p=0、1、2、3)の芳香族基を有している、r(r=0、1、2または3)個の中立性または陰イオン性のリガンド系Aが含まれている。
【0017】
EおよびTは、互いに独立して1つの化学結合であるか、または、特にN、C、OおよびSが含まれている群の中から選ばれる1〜3個の原子である。EおよびTは、Hの代わりに、オプションとしてヘテロ原子が含まれているC1からC12の炭化水素基により置換されたものであってもよい。
【0018】
芳香族基の中では、X1、X2、Xm、Y1、Y2、Yn、Z1、Z2、Zoが、C、O、S、N、Seを含む群、またはこれらから成る群の中から選ばれたものであってよく、また電荷が中立またはマイナスである原子A1、A2、A3は、C、O、S、N、Seを含む群、またはこれらから成る群の中から選ばれたものであってよく、またこれらは1つの共有結合または配位結合により希土類金属Mに結合されると好適である。
【0019】
これらの芳香族基は、それぞれ独立して、X1、X2、Xm、Y1、Y2、Yn、Z1、Z2、Zoのところで置換されたものであってもかまわない。
【0020】
式Iにおいて、リガンド系Aは、単結合により互いに結合された、電子的に切り離されている、複数の、それぞれ独立して共役化された共役基、または芳香族基を有しているか、あるいは、1つの架橋π系を生成するものであってよく、特に共役化されたリガンド系A、アネレーションにより環形成されたリガンド系A、または芳香族のリガンド系Aであってよい。
【0021】
式IIにおいて、Q1およびQ2は、互いに独立して1つの化学結合、特に1つの単結合または二重結合であるか、あるいは、C、O、S、N、Se、および、オプションとしてヘテロ原子が含まれる他にも、オプションとして置換されている飽和5員環基または6員環基、不飽和5員環基または6員環基、アネレーションにより環形成された5員環基または6員環基、および芳香族の5員環基または6員環基が含まれている群、またはこれらから成る群の中から選ばれる、1つの原子または1つの基である。Q1およびQ2は、いずれも1つのC=C-基であると好適であり、それによりリガンド系AはMを錯体化する架橋π系となる。この架橋π系は、共役化されたリガンド系A、アネレーションにより環形成されたリガンド系A、または芳香族のリガンド系Aであってよい。
【0022】
式IIに従ったQ1およびQ2による結合は、リガンド系Aの内部にアネレーションにより環形成された芳香族基、または縮合芳香族基を生じさせることになる。p=0である場合は、両脇に位置する芳香族基がEにより結合されるが、それ以外にも第II結合のQ2がなくなるために、X1がQ1によりZ1と結合されることになる。
【0023】
それ以外にもこれらの化合物は、C、O、S、NおよびSeを含む群、またはこれらから成る群の中から互いに独立して選ばれる原子VもしくはWを介在してMに結合されているq=0、1、2、3、4または5個のモノアニオン性リガンドを有するリガンド系Bを有しており、式中Uは、VとWの間のオプションとして置換される1つのブリッジを表すが、これは、好ましくはさらに別の複数の残基により置換されたものであってもよい。またその際にはこれらの残基が、C1からC6のアルキル基およびヘテロアルキル基、フェニル基、チエニル基、およびその他の(ヘテロ)芳香族基の中から選ばれたものであってよい。Uは、VとWとの間に配置される、および/またはVとWとを互いに結合する、1から5個の原子から成る1つの基、または、そのような1から5個の原子を持つ1つの基から成ると好適であり、好適には1から3個のC原子に、オプションとして1から2個のヘテロ原子を加えたものから成る基、例えば、選択により1から2個のヘテロ原子が追加されるC1からC3の基、例えば1つの(ヘテロ)芳香族基、および1つの(ヘテロ)アルキレン基などを有し1つ、その際にこの基は、飽和状態にある基であっても、部分的に飽和状態にある基であってもかまわず、またこのヘテロ原子は、特にN、S、OおよびSeの中から選ばれる。Uは特に、-C=C-N-の基、フェニレン基、チエニレン基、メチレン基、トリフルオロメチレン基、エチレン基、エテニレン基、プロピレン基、プロペニレン基、エチリデン基、およびエチニレン基を含む群、またはこれらから成る群の中から選ばれる。VおよびWは、C、O、S、NおよびSe、特にO、Sおよび/またはNを含む群、またはこれらから成る群の中から選ばれる、電荷が中立またはマイナスである同じ原子、または異なる原子、であると好適である。極めて好ましくは、Uは、WおよびVとともに、後ほど提示する群の中から選ばれるリガンド系Bを生成する。
【0024】
リガンド系Bのモノアニオン性リガンドの個数qは、次式に従って、金属原子Mの電荷から、A1、A2、A3のマイナス電荷の単位量の総数にrを乗じたものを差し引いたものと等しくなると好適である。
q=電荷(M)-r×(電荷|(A1+A2+A3)|)
【0025】
接頭辞「(ヘテロ)」は、本発明の意図するところでは、オプションとして1つの基の内部に、1つまたは複数の炭素原子の代わりに、ヘテロ原子、例えばO、S、N、Seが存在することを意味するものであって、例えば(ヘテロ)アルキルという表現は、ヘテロアルキルおよび/またはアルキルに、(ヘテロ)アリルは、へテロアリルおよび/またはアリルに、(ヘテロ)芳香族化合物は、ヘテロ芳香族化合物および/または芳香族化合物に当該する。
【0026】
本発明に従って上述の方法において使用されるインジケータ化合物自体は、すなわち何らかの光触媒との接触状態にないインジケータ化合物は、照射時に光分解を被ることはなく、実質的に安定性を示すようになっている。したがってこれらの化合物は、照射時にそれ自体が光分解により実質的に劣化することなく、むしろ光触媒の活性だけに依存して劣化するようになっており、このためその発光量の低下が、光触媒の活性の指標となるという長所を有している。有利なことには、本発明に従った化合物の、光触媒の存在下での劣化反応は、少なくともところどころ線形に推移するようになっている。
【0027】
それ以外にも本発明に従って使用されるインジケータ化合物は、その劣化生成物が光触媒の触媒反応波長域においては光吸収性を示さないために、インジケータ化合物の劣化により、光触媒の触媒反応波長での光触媒の照射を弱めることにはならないという長所を有している。本発明に従ったインジケータ化合物の劣化生成物は、インジケータ化合物の誘導放出波長についても実質的に吸収性を示さないために、劣化生成物により発光状態の誘導に影響を来たすこともない。
【0028】
本発明に従ったインジケータ化合物の特段の長所は、例えば空気中の湿度だけから光触媒に吸着した水分子の存在下で例えば二酸化チタンなどの光触媒により発生されるヒドロキシルラジカルの影響下で、これらのインジケータ化合物に触媒反応波長が照射されると、インジケータ化合物が概ね定常な劣化率で分解される、すなわち概ね線形の分解を被る点にあるが、それにより検出された測定値の評価が容易になる。
【0029】
光触媒は、照射下で、例えば光触媒の表面に付着した水の加水分解により、特に何らかの液相と接触していない状態で、ヒドロキシルラジカルを発生することが好ましい。これに相応して、上述の方法においては、インジケータ化合物と接触している光触媒を、液相のない状態で、または可溶化相のない状態で、存在させるようにするとよい。
【0030】
第1の実施形態においては、誘導放出波長が触媒反応波長域にある、もしくは、誘導放出波長が光触媒を活性化させるために入射される光線に含まれている。この実施形態においては、触媒反応を活性化させる波長域の光線を光触媒に照射することにより、インジケータ化合物の発光状態も誘導されるようになっている。この実施形態においては、誘導放出波長が触媒反応波長に包括されている、すなわち触媒反応波長の中に含まれているため、一波長域を生成して、インジケータ化合物と接触している光触媒の表面に入射してやれば十分であり、それよりも大きい波長での発光が検出されることになる。
【0031】
第2の実施形態において使用される本発明のインジケータ化合物は、光触媒の触媒反応波長とは異なる吸収波長ならびに誘導放出波長を有しているために、インジケータ化合物が光触媒との接触状態にあるとき、例えば光触媒を一定の割合で含有している皮膜の表面にインジケータ化合物を塗布した後には、特に光触媒が二酸化チタンである場合は、光触媒の光触媒活性のために必要な波長の光線が、発光するインジケータ化合物により弱められることはない。この実施形態においては、インジケータ化合物と接触している光触媒に、触媒反応波長の照射に加えて、この触媒反応波長よりも短い、または長い誘導放出波長が入射される。
【0032】
インジケータ化合物によりどの誘導放出波長が吸収されるかは、実質的に有機リガンド系Aおよび/またはBの構造により決まる。このため当業者は、インジケータ化合物の吸収スペクトルを測定することにより、有意な吸収が計測された波長を、誘導放出波長として特定することができる。誘導放出波長が、光触媒を活性化させるために入射される波長域内にある場合は、第1の実施形態に従って、触媒反応波長も、また誘導放出波長も含まれている1つの波長域を使用することができる。これは、二酸化チタンを一定の割合で含有している光触媒の場合は、例えば350から450nmまで、特に360から410nmまでの波長域、または、350、365、405、410および/または450nm、好ましくはこれらの波長の±5〜10nmの波長域である。
【0033】
インジケータ化合物の吸収波長ならび誘導放出波長が触媒反応波長域よりも短いかまたは長い場合は、第2の実施形態に従って、インジケータ化合物に誘導放出を生じさせるために、触媒反応波長に加えて第2の波長が入射されることになる。誘導放出波長が触媒反応波長よりも短い場合は、例えばパルスレーザまたは超短パルスレーザを使用して、光線が誘導放出波長でパルス化されて、好ましくは1ms前後であるとよいルミネセンス持続時間よりも短いパルス持続時間で、入射されることが好ましい。レーザのパルス持続時間は、1fsから200μsまで、好ましくは10fsから100μsまで、または50μsまで、または1μsまでの範囲にあることが好ましい。誘導放出波長が触媒反応波長よりも短い場合は、誘導放出波長のパルス入射の結果として引き起こされる触媒活性の活性化はごく僅かとなるが、それによりこの方案の精度は、例えば誘導放出波長が連続的に照射される方案と比べて向上する。これに相応して、第2の実施形態においてこの方案を実行するためには、誘導放出波長の光線を発生する、好適には誘導放出波長のパルス光線を、触媒反応波長よりも短い誘導放出波長で発生する、第2の照射源を有する装置を使用することが好ましい。
【0034】
それ以外にも本発明に従ったインジケータ化合物は、ストークスシフトが大きい点で有利であるが、なぜならば、吸収される誘導放出波長と放出される波長間の開きがこのように大きいことにより、本発明のいずれの実施形態においても、光触媒に固有の触媒反応波長を含め、入射される波長の反射による干渉の影響なしで、発光量を簡単かつ精確に測定することができるからである。検出に適した発光波長は、Euを含有したインジケータ化合物の場合は、例えば610〜620nmの波長域にあり、Tbを含有したインジケータ化合物の場合は、例えば470〜480nmの波長域、好ましくは540〜560nm、570〜600nmおよび/または610〜630nmの波長域にある。
【0035】
本発明に従った化合物は、溶媒もしくは可溶化剤がなくとも、例えばOLEDにおいて使用されるマトリックス化合物がなくとも、すなわち、液体化合物またはマトリックス化合物が追加されない固体として、光触媒活性を示す固形物質との接触状態にあるときには、高度の固体発光を示すようになっている。この高度の固体発光の原因は、現在では、本発明に従ったインジケータ化合物の分子が球形である点に帰されるが、なぜなら本発明に従ったインジケータ化合物の、固体との接触面積、例えば皮膜として、または粒子形態で存在する光触媒との接触面積は、ごく僅かであるからである。この効果は、例えば水溶液および/または有機溶媒中など、液相中に懸濁された光触媒との接触時にも生じる。これに相応して、本発明に従った方法において、もしくは本発明に従った用途向けに使用されるインジケータ化合物は、式IまたはIIに従った化合物、またはその混合物から成ってもよい。したがって、本発明の方法または用途においては、光触媒および/またはインジケータ化合物が、液相が追加されない状態で存在するか、または水溶液および/または有機溶媒中に懸濁されて、それぞれインジケータ化合物と接触するようにされてもよい。したがってインジケータ化合物は、本発明に従って、マトリックス化合物のない、および/または液相のない、化合物Iおよび/またはIIから成ることが好ましい。
【0036】
本発明に従ったインジケータ化合物とは対照的に、数多くの従来のルミネセンス染料、特にルモゲンは、固体として、または固体光触媒に吸着されているときに、脱励起状態を呈することが多いために、可溶化剤を使用しない場合は、例えばルモゲンをTiO
2光触媒の表面上に固体として使用する場合は、発光量が劇的に低下してしまう。その原因は、現在では、従来のルミネセンス染料が凝集塊を形成する点に帰されている。
【0037】
本発明に従った方法ならびに本発明に従った用途において使用されることが好ましいインジケータ化合物は、リガンドにより6から10重に配位結合された希土類金属イオンを持つ、式IまたはIIで表される希土類金属錯体である。好ましい希土類金属は、ランタノイド希土類であり、いずれも非常に好ましくは酸化数がIIIである特にユーロピウムおよびテルビウム、非常に好ましくはユーロピウム
3+またはテルビウム
3+である。
【0038】
光触媒が、液相なしで、または懸濁液中に存在しており、好適には固形物質となっている、光触媒の活性、特に担体表面の光触媒コーティングの活性を決定する方法は、次の各工程:
1つの光触媒を準備する工程、
前記光触媒を式Iおよび/または式IIで表されるインジケータ化合物と接触させる工程、
前記式Iおよび/または式IIで表されるインジケータ化合物との接触状態にある前記光触媒に、光触媒活性に適した触媒反応波長の光線を照射する工程、
前記式Iおよび/または式IIで表されるインジケータ化合物との接触状態にある前記光触媒に、前記インジケータ化合物に固有の誘導放出波長の光線を照射する工程、および、
前記光触媒に、その触媒反応波長の光線を照射する工程の間の少なくとも1つの時点、好適には2つまたはそれ以上の時点に、前記インジケータ化合物から放出された光線を検出する工程
から成っている。
【0039】
第1の実施形態においては、誘導放出波長が触媒反応波長に含まれているために、発光量の検出は光触媒の照射工程の間に行われるようになっている。この場合は、インジケータ化合物と接触している光触媒に誘導放出波長を照射する工程を、触媒反応波長で光線を照射する工程に含ませることができるために、これに相応して別工程で行われる光触媒への誘導放出波長の照射は省略され、発光量の検出は、触媒反応波長で光線を照射する工程の間に行われることになる。
【0040】
第2の実施形態においては、誘導放出波長が触媒反応波長よりも短く、または長くなっており、誘導放出波長の照射工程および検出工程は、触媒反応波長の照射工程と同時に、または時間をずらして行われるようになっている。誘導波長の光線は、特にこれが触媒反応波長よりも短い場合には、例えばパルス持続時間が1fsから200μsまでのパルスにパルス化されることが好ましい。
【0041】
光触媒とインジケータ化合物との接触は、例えば真空中での(例えばCVDを利用した)蒸着により、または、インジケータ化合物をいずれかの液相と混合したものを(例えば噴霧、ドクターブレード塗布、滴下塗布により)塗布することにより、例えば水溶液または有機溶媒中で行われてもよく、選択的に続いて液相が除去される。
【0042】
触媒反応波長、および、それと同じ、またはそれとは異なる、それよりも長いまたは短い誘導放出波長での照射は、懸濁液中の光触媒に行われても、マトリックス相および/または液相のない状態での光触媒に行われてもかまわない。
【0043】
光触媒の照射時間が異なる少なくとも2つの時点に、好適には光触媒にその触媒反応波長での照射が行われる間に連続して、式IまたはIIに従ったインジケータ化合物の発光量の測定を行うことにより、例えば光触媒にその触媒反応波長での照射を行った後にインジケータ化合物の発光量を一回だけ測定する場合と比べて、光触媒の光触媒活性をより正確に決定することができる。あるいはその代わりに、またはそれに追加して、光触媒を使用しない比較測定を行って、そこから決定されたインジケータ化合物の劣化率を、光触媒の存在下で決定された劣化率から差し引くようにしてもよい。この比較測定においては、同様にインジケータ化合物と接触している、光触媒活性を示さない1つの担体、例えば石英ガラスに、触媒反応波長の光線および誘導放出波長の光線が同じ形で照射されて、発光量が同じ形で測定されるようになっている。
【0044】
本発明に従った方法が、特に、光触媒にその触媒反応波長で光線が照射され続ける間に連続して、2つまたそれ以上の時点においてインジケータ化合物の発光量を決定し、第2の実施形態においては、検出工程の間、例えば触媒反応波長の入射後および/または入射と同時に行われる、誘導放出波長の照射時にインジケータ化合物の発光量を決定することが非常に好ましい。
【0045】
本発明に従った方法は特に、約340nmから410nmまでの波長域の光線により活性化される化合物の光触媒活性、例えば特に365nmで吸収性を示し405nmで励起されるTiO
2の光触媒活性の決定に適したものとなっている。なぜならば、第1の実施形態においては、この触媒反応波長にインジケータ化合物の誘導放出のために必要な波長が含まれているために、光触媒反応の間に発光量の低下を検出することができるからである。第2の実施形態においては、誘導放出波長が触媒反応波長外にあるために、本発明に従って使用されるインジケータ化合物の発光状態が、365nm未満の波長域にある光線、好ましくはパルス光線の入射により誘導される一方で、発光については410nmを上回る波長での検出が可能となり、特に470〜480nm、540〜600nm、および/または610〜630nmの波長の発光が選択的に検出されるようになる。これは特に、例えばTiO
2光触媒に適した触媒反応波長が310〜410nmの波長域にあるのに対して、式IまたはIIに従ったインジケータ化合物の発光波長は、選択によりそれよりも大きいいずれかの波長域にあり、このためその選択的な検出は入射光線の反射や散乱による干渉を受けないことからも、有利である。
【0046】
第2の実施形態においては、本発明に従って使用される式IまたはIIに従ったインジケータ化合物が、340〜410nmの波長域にある光線を、実質的にほんの僅かな程度、または有意ではない程度だけしか吸収しないようになっているために、例えばTiO
2から成るコーティングの光触媒活性の活性化に与える影響についても、式IまたはIIに従ったインジケータ化合物の存在による支障が生じることはない。
【0047】
要するに本発明に従った方法、ならびに式IまたはIIで表されるインジケータ化合物の本発明に従った用途により、光触媒活性を示す化合物の光触媒活性を定量的に決定することが可能となる。
【0048】
本発明に従った方法を実行するために使用可能な装置は、触媒反応波長で、特に好ましくは365nmから405nmまでの波長域の光線を発生する第1の照射源を有している。この第1の照射源は、装置の受け器に配置可能な光触媒試料に向けられている。第1の実施形態においては触媒反応波長が誘導放出波長を含んでいるために、装置に含まれなければならないのはこの第1の照射源だけであるが、これは光触媒に例えば30から90°の角度で向けられている。
【0049】
第2の実施形態用として、装置は、インジケータ化合物を励起して発光させることができる誘導放出波長で光線を入射するために、第1の照射源にさらに追加して、誘導放出波長で、特に280から450nmまで、または400nmまで、例えば280から320nmまでの光線を発生する第2の照射源を有している。この第2の照射源は、光触媒によって跳ね返される屈折光や迷光が検出器に与える影響を最小限化するために、第1の照射源に対して30〜90°の角度で配置される、および/または30から90°の角度で光触媒に向けられることが好ましい。装置は、誘導放出波長の入射後に、光触媒の表面上または接面に位置するインジケータ化合物により放出される発光の状態を測定する1つの検出器を有している。
【0050】
一般にこの検出器には、触媒反応や誘導放出の、反射されたり散乱された光を検出から排除するために、使用されるインジケータ化合物の発光波長を持つ光線を選択的に透過する、特に>450nm、好ましくは>600nmの波長、例えば600から700nmまで、または650nmまでの波長を透過する1つのフィルタが備えられると好適である。
【0051】
以下では、図面を参照しながら本発明をより詳しく説明する。