(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【実施例】
【0020】
以下に、本発明の第一実施例を、図面を参照しつつ説明する。
図1乃至
図3に示した本発明の第一実施例は、流し台に設けられた槽体であるシンクSと、排水器との取付構造に関するものであって、以下に記載した槽体であるシンクSと、排水器本体4と、ナット部材21と、環状パッキング20と、排水トラップ配管22と、から構成される。
シンクSは厚みが1〜2センチメートル程度の、人工大理石と呼ばれる樹脂材からなる部材であって、上方が開口した箱体からなり、底面に排水を排出するための平面視円形を成す排水口1を備えてなる。また、該排水口1の周縁から、下方に向けて円筒状の接続筒部2を垂下して設けてなり、更に、該接続筒部2外側面に、水平方向に、円周に沿って連続して断面四角形状を成す溝部3と、該溝部3の下方に、同様に水平方向に、円周に沿って連続して断面四角形状を成す環状溝部19と、を設けてなる。
排水器本体4は上方が開口した、有底円筒状の部材であって、上方の開口部分の内周面の内径は、接続筒部2の外周面の径よりわずかだけ大きい。
また、該排水器本体4の上端部分の内面には、施工完了時接続筒部2の溝部3に嵌合する、内向きに突出した爪部本体5を備えてなる。また、該排水器本体4の上端部分の外面には、周縁に沿って雄ネジ部23が備えられてなる。また、該排水器本体4の上端部分には、該爪部本体5が半径方向に弾性を備えるために設けられた、垂直方向に複数設けられたスリット部12を備えてなる。上記スリット部12の下端は、施工完了時、環状溝部19の環状パッキング20よりも上方の位置になるように構成され、環状パッキング20の当接面8にはスリット部12は掛からない。
また排水器本体4の底面下端に、排水器本体4内の排水を排出する排出口24を備えてなる。
ナット部材21は円環状の部材であって、その内面に排水器本体4の雄ネジ部23と螺合する雌ネジ部25を備えてなる。尚、排水器本体4の雄ネジ部23と、上記ナット部材21とで、施工完了時爪部本体5を固定する固定機構を構成する。
環状パッキング20は断面円形状を成すリング形状の部材であって、ゴムなどの弾性を有した素材から成り、応力の無い状態では、その内径は環状溝部19の内径より若干小径で、その外径は排水器本体4の内周面よりも若干大径である。
排水トラップ配管22は円筒状の管体を途中部分にてS字形状に屈曲させた部材であって、上端は排水器本体4の排出口24に、下端は屋内の床下に設けられた床下配管に、それぞれ接続される。また、上記した管体のS字の屈曲部分に排水を溜めることで、該排水配管は臭気や害虫類が屋内側に逆流することを防ぐ、トラップ機能を備える。
【0021】
上記のように構成した槽体であるシンクSと排水器とは、以下のように施工される。
まず環状溝部19内に環状パッキング20をはめ込み、その上で接続筒部2を覆うように排水器本体4を挿通する。爪部本体5は接続筒部2に当接するが、弾性部7の作用により外径方向に拡がるため、支障無く排水器本体4を環状筒部の側面に沿って上昇することができる。
排水器本体4の上昇を行うと、爪部本体5が溝部3に到達した時点で弾性部7の弾性により拡径していた爪部本体5が溝部3内に突出し、爪部本体5と溝部3が嵌合した状態となる。
この状態においては、環状溝部19の環状パッキング20が、外周面は排水器本体4の当接面8に、内周面は環状溝部19に、それぞれ当接した状態となり、水密性を発揮する。
この状態より、ナット部材21を排水器本体4に挿通して、排水器本体4の雄ネジ部23と、ナット部材21の雌ネジ部25を螺合させることで、排水器本体4の爪部本体5が拡径する事ができなくなり、該爪部本体5が溝部3と嵌合した状態で爪部本体5が固定される。
更に排水器本体4の排出口24と床下配管とを、排水トラップ配管22を介して接続して、槽体である流し台のシンクSへの排水器の施工が完了する。
【0022】
上記のように構成した槽体であるシンクS内部に、流し台の使用により排水が生じると、排水は排水口1から排水器本体4内部を通過し、排出口24、排水トラップ配管22を通過して、最終的に床下配管から下水側に排出される。
また、排水が行われたことによって、排水トラップ配管22のS字の屈曲部部に排水が溜まり(この溜まり水を「封水」と呼ぶ)、この封水により配管の途中部分が必ず満水状態となるため、下水側の臭気また害虫類は屋内側に逆流することがない。
また、環状溝部19の環状パッキング20は、外周面は排水器本体4の当接面8に、内周面は環状溝部19に、それぞれ当接した状態となっている。上記したシンクSと排水器本体4の接続は、上下方向に対しては必ずしも強固な物ではなく、溝部3と爪部本体5の上下の隙間分(数ミリメートル程度)上下動する場合があるが、環状パッキング20を介した接続は、排水器本体4と接続筒部2の側面方向によって行われており、水密性を確保するために必要な当接の応力は、環状溝部19の外径と、当接面8の内径とによってのみ決定されるため、シンクSと排水器本体4が強固に固定されておらず、上下方向に対して若干上下動しても、水密性に支障はなく、漏水は生じない。
【0023】
次に、本発明の第二実施例を、図面を参照しつつ説明する。
図4乃至
図6に示した本発明の第二実施例は、流し台に設けられた槽体であるシンクSと、排水器との取付構造に関するものであって、以下に記載した槽体であるシンクSと、排水器本体4と、排水器本体4に備えられる爪部本体5を備えたナット部材21と、環状パッキング20と、排水トラップ配管22と、から構成される。
シンクSは厚みが1〜2センチメートル程度の、人工大理石と呼ばれる樹脂材からなる部材であって、上方が開口した箱体からなり、底面に排水を排出するための平面視円形を成す排水口1を備えてなる。また、該排水口1の周縁から、下方に向けて円筒状の接続筒部2を垂下して設けてなり、更に、該接続筒部2内側面に、水平方向に、円周に沿って連続して断面四角形状を成す溝部3を設けてなる。また排水口1には、内周面側に向かって突出した鍔部26を備えてなる。また、上記鍔部26と溝部3の間となる高さ位置の部分に、施工完了時、後述する環状溝部19の環状パッキング20が当接する環状パッキング20の当接面8が形成されてなる。
排水器本体4は上方が開口した、有底円筒状の部材であって、上方の開口部分の外周面の外径は、接続筒部2の内周面の径よりもわずかだけ小さい。また、排水器本体4の上方の開口の内径は、鍔部26の内径よりも小径である。また、排水器本体4の上端より若干下方の外側面には、水平方向に、円周に沿って連続して断面四角形状を成す環状溝部19が設けられてなる。
また、排水器本体4の外側面部分であって、環状溝部19の下方となる位置に、下方に向かうほど縮径する傾斜面6と、その下方に雄ネジ部23が形成されてなる。また排水器本体4の底面下端に、排水器本体4内の排水を排出する排出口24を備えてなる。
排水器本体4に備えられるナット部材21は、円環状の部材であって、下端内面には雄ネジ部23と螺合する雌ネジ部25を備えてなる。また、上方に外向きに突出した爪部本体5と、該爪部本体5に半径方向に弾性を備えるために設けられた、垂直方向に複数設けられたスリット部12を備えてなる。
爪部本体5の内径部分の径は、排水器本体4の傾斜面6の下端の外径部分の径よりも大きく、傾斜面6の上端の外径部分の径よりも小さい。このため、排水器本体4の雄ネジ部23分にナット部材21の雌ネジ部25分を螺合させると、爪部本体5の内径部分が傾斜面6に乗りあげ(実質上、排水器本体4に対してナット部材21が上方にスライドする事となる)、更に螺合を上方に向かって進めると、爪部本体5は傾斜によって外周側に突出して固定される。
爪部本体5の先端部分の外径は、傾斜面6に乗りあげていない状態では、接続筒部2内周面よりも小径で、傾斜面6に乗りあげた状態では、接続筒部2内周面よりも大径となるように構成されてなる。
尚、排水器本体4の雄ネジ部23と、上記ナット部材21とで、施工完了時爪部本体5を固定する固定機構を構成する。
尚、施工時には排水器本体4とナット部材21は組み合わせた状態で提供され、ナット部材21は排水器本体4の一部として扱われる。
環状パッキング20は断面円形状を成すリング形状の部材であって、ゴムなどの弾性を有した素材から成り、応力の無い状態では、その内径は環状溝部19の内径より若干小径で、その外径は排水器本体4の内周面よりも若干大径である。
排水トラップ配管22は円筒状の管体を途中部分にてS字形状に屈曲させた部材であって、上端は排水器本体4の排出口24に、下端は屋内の床下に設けられた床下配管に、それぞれ接続される。また、上記した管体のS字の屈曲部分に排水を溜めることで、該排水配管は臭気や害虫類が屋内側に逆流することを防ぐ、トラップ機能を備える。
【0024】
上記のように構成した槽体であるシンクSと排水器とは、以下のように施工される。
まず環状溝部19内に環状パッキング20をはめ込み、その上で接続筒部2の内周側に排水器本体4を挿通する。爪部本体5の外径は、傾斜面6に乗りあげていないため、排水器本体4は支障無く接続筒部2内面を上昇することができる。爪部本体5が接続筒部2の溝部3と同じ高さ位置となった状態で、ナット部材21の雌ネジ部25を排水器本体4の雄ネジ部23と螺合させると、排水器本体4の傾斜面6に爪部本体5の内径部分が傾斜面6に乗りあげる(この時には、ナット部材21の爪部本体5は溝部3上の同じ高さ位置にあるため、排水器本体4が螺合に併せて降下する事となる)。螺合を進めると、弾性部7の作用により爪部本体5は外径方向に拡径し、爪部本体5が接続筒部2の溝部3内に突出して、該爪部本体5が溝部3と嵌合した状態で爪部本体5が固定される。
この状態においては、環状溝部19の環状パッキング20が、外周面は接続筒部2の当接面8に、内周面は環状溝部19に、それぞれ当接した状態となり、水密性を発揮する。
更に排水器本体4の排出口24と床下配管とを、排水トラップ配管22を介して接続して、槽体である流し台のシンクSへの排水器の施工が完了する。
【0025】
上記のように構成した槽体であるシンクSは、上記段落0022に記載した第一実施例と同様に使用することができる。また、排水口1の鍔部26が、排水器本体4の上面を覆った状態となっているため、槽体であるシンクSの内面の意匠性は良好で、また継ぎ目が垂直面上に生じていることから、継ぎ目部分にゴミが溜まりにくく、また容易に取り除くことができる。
【0026】
次に、本発明の第三実施例を、図面を参照しつつ説明する。
図7乃至
図12に示した本発明の第三実施例は、流し台に設けられた槽体であるシンクSと、排水器との取付構造に関するものであって、以下に記載した槽体であるシンクSと、排水器本体4と、環状パッキング20と、排水トラップ配管22と、から構成される。
シンクSは厚みが1〜2センチメートル程度の、人工大理石と呼ばれる樹脂材からなる部材であって、上方が開口した箱体からなり、底面に排水を排出するための平面視円形を成す排水口1を備えてなる。また、該排水口1の周縁から、下方に向けて円筒状の接続筒部2を垂下して設けてなり、更に、該接続筒部2外側面に、水平方向に、円周に沿って連続して断面四角形状を成す溝部3を設けてなる。
排水器本体4は上方が開口した、有底円筒状の部材であって、上方の開口部分の内周面の内径は、接続筒部2の外周面の径よりわずかだけ大きい。
また排水器本体4の内周面には、途中部分で段部27が形成され、施工完了時この段部27の上面が、当接面8として、環状パッキング20を介して接続筒部2下端と当接する。
また、該排水器本体4の上端部分には、施工完了時接続筒部2の溝部3に嵌合する掛止部材9を、平面視90度毎に4個備えてなる。
該掛止部材9について詳述すると、掛止部材9はフック部9a、ヒンジ部9bの2つの部材の組み合わせからなる。
フック部9aは上端に、環状筒部の溝部3下端に係合する爪部本体5を備えてなり、下端はヒンジ部9bの中間部分に回動自在に軸止される。
ヒンジ部9bは一端が排水器本体4の側面に回動自在に軸止され、反対側の端部は施工者が施工時に把持する掴み部9cとして機能する。また、中間部分の、排水器本体4との回動の軸に近い側に、ヒンジ部9b材との回動の軸を備えてなる。
また排水器本体4の底面下端に、排水器本体4内の排水を排出する排出口24を備えてなる。
環状パッキング20は断面四角形状を成すリング形状の部材であって、ゴムなどの弾性を有した素材からなる。
排水トラップ配管22は円筒状の管体を途中部分にてS字形状に屈曲させた部材であって、上端は排水器本体4の排出口24に、下端は屋内の床下に設けられた床下配管に、それぞれ接続される。また、上記した管体のS字の屈曲部分に排水を溜めることで、該排水配管は臭気や害虫類が屋内側に逆流することを防ぐ、トラップ機能を備える。
【0027】
上記のように構成した槽体であるシンクSと排水器とは、以下のように施工される。
まず段部27の上面にある当接面8に環状パッキング20を載置し、その上で接続筒部2を覆うように排水器本体4を挿通して、排水器本体4の当接面8に、環状パッキング20を介して接続筒部2の下端が当接するように配置する。更に掛止部材9の爪部本体5を、
図10の状態から、
図11に示した様に接続筒部2の溝部3下端に掛止させ、更に施工作業者が掴み部9cを把持し、排水器本体4とヒンジ部9bとの接続の軸を回動させ、
図12に示したように掴み部9cが下方となるように回動させ固定すると、梃子の作用により、接続筒部2に対して排水器本体4が強い応力で上昇する。これによって、段部27の上面にある当接面8と、接続筒の下端とが環状パッキング20を介して強く当接した状態となり、槽体であるシンクSの接続筒部2に排水器本体4が固定される。
この状態においては、当接面8上の環状パッキング20が、上面は接続筒部2の下端面に、下面は排水器本体4の当接面8に、それぞれ当接した状態となり、水密性を発揮する。
更に排水器本体4の排出口24と床下配管とを、排水トラップ配管22を介して接続して、槽体である流し台のシンクSへの排水器の施工が完了する。
【0028】
上記のように構成した槽体であるシンクS内部に、流し台の使用により排水が生じると、排水は排水口1から排水器本体4内部を通過し、排出口24、排水トラップ配管22を通過して、最終的に床下配管から下水側に排出される。
また、排水が行われたことによって、排水トラップ配管22のS字の屈曲部部に排水が溜まり(この溜まり水を「封水」と呼ぶ)、この封水により配管の途中部分が必ず満水状態となるため、下水側の臭気また害虫類は屋内側に逆流することがない。
また、上記したシンクSと排水器本体4の接続は、環状パッキング20を介して上下方向に対して強固に行われており、上下方向に対して上下動する事はなく、また環状パッキング20の作用により水密性を確実に発揮する。
【0029】
次に、本発明の第四実施例を、図面を参照しつつ説明する。
図13乃至
図16に示した本発明の第四実施例は、流し台に設けられた槽体であるシンクSと、排水器との取付構造に関するものであって、以下に記載した槽体であるシンクSと、排水器本体4と、環状部材10と、環状パッキング20と、排水トラップ配管22と、から構成される。
シンクSは厚みが1〜2センチメートル程度の、人工大理石と呼ばれる樹脂材からなる部材であって、上方が開口した箱体からなり、底面に排水を排出するための平面視円形を成す排水口1を備えてなる。また、該排水口1の周縁から、下方に向けて円筒状の接続筒部2を垂下して設けてなり、更に、該接続筒部2外側面に、水平方向に、円周に沿って連続して断面四角形状を成す溝部3を設けてなる。
排水器本体4は上方が開口した、有底円筒状の部材であって、上方の開口部分の内周面の内径は、接続筒部2の外周面の径よりわずかだけ大きい。
また排水器本体4の内周面には、途中部分で段部27が形成され、施工完了時この段部27の上面が、当接面8として、環状パッキング20を介して接続筒部2下端と当接する。
また、該排水器本体4の上端部分側面には、施工完了時、後述する環状部材10の掛止部材9が掛け止めする、下方を向いた掛止部11を、平面視90度毎に4個備えてなる。
また排水器本体4の底面下端に、排水器本体4内の排水を排出する排出口24を備えてなる。
環状部材10は、
図16に示した、樹脂など基本的に硬質ではあるが、若干の弾性を有する素材から構成され、接続筒部2の溝部3に収納される環状の部材であって、その内径は接続筒部2の溝部3内径よりも若干大径である。また、環状部材10の環の一部に切り欠き部分28を設けて、素材の弾性により若干の拡径を可能とすると共に、切り欠き部分28に留め金部29を設け、留め金部29を利用して切り欠きの端部同士を適宜接続固定する事ができる。
また、環状部材10の外側面には、掛止部材9を、平面視90度毎に4個備えてなる。
該掛止部材9について詳述すると、掛止部材9はフック部9a、ヒンジ部9bの2つの部材の組み合わせからなる。
フック部9aは下端に、排水器本体4の掛止部11に係合する爪部本体5を備えてなり、上端はヒンジ部9bの中間部分に回動自在に軸止される。
ヒンジ部9bは一端が環状部材10の外側面に回動自在に軸止され、反対側の端部は施工者が施工時に把持する掴み部9cとして機能する。また、中間部分の、排水器本体4との回動の軸に近い側に、ヒンジ部9b材との回動の軸を備えてなる。
環状パッキング20は断面四角形状を成すリング形状の部材であって、ゴムなどの弾性を有した素材からなる。
排水トラップ配管22は円筒状の管体を途中部分にてS字形状に屈曲させた部材であって、上端は排水器本体4の排出口24に、下端は屋内の床下に設けられた床下配管に、それぞれ接続される。また、上記した管体のS字の屈曲部分に排水を溜めることで、該排水配管は臭気や害虫類が屋内側に逆流することを防ぐ、トラップ機能を備える。
【0030】
上記のように構成した槽体であるシンクSと排水器本体4とは、以下のように施工される。
まず接続筒部2の溝部3に環状部材10を収納配置する。この場合、環状部材10には切り欠き部を設けてなるため、素材の弾性を利用して一時的に拡径し、溝部3内部に収納配置することができる。環状部材10を溝部3に収納後、留め金部30を利用して切り欠きの端部同士を接続固定する。
次に、排水器本体4の、段部27の上面にある当接面8に環状パッキング20を載置し、その上で接続筒部2を覆うように排水器本体4を挿通して、排水器本体4の当接面8に、環状パッキング20を介して接続筒部2の下端が当接するように配置する。更に、掛止部材9の爪部本体5を、排水器本体4の掛止部11に掛止させ、更に施工作業者が掴み部9cを把持し、環状部材10とヒンジ部9bとの接続の軸を回動させ、掴み部9cが上方となるように回動させると、梃子の作用により、接続筒部2に対して排水器本体4が強い応力で上昇する。
これによって、段部27の上面にある当接面8と、接続筒の下端とが環状パッキング20を介して強く当接した状態となり、槽体であるシンクSの接続筒部2に排水器本体4が固定される。
この状態においては、当接面8上の環状パッキング20が、上面は接続筒部2の下端面に、下面は排水器本体4の当接面8に、それぞれ当接した状態となり、水密性を発揮する。
更に排水器本体4の排出口24と床下配管とを、排水トラップ配管22を介して接続して、槽体である流し台のシンクSへの排水器の施工が完了する。
【0031】
上記のように構成した槽体であるシンクSは、上記段落0028に記載した第三実施例と同様に使用することができ、同様の効果を有する。
【0032】
次に、本発明の第五実施例を、図面を参照しつつ説明する。
図17乃至
図18に示した本発明の第五実施例は、流し台に設けられた槽体であるシンクSと、排水器との取付構造に関するものであって、以下に記載した槽体であるシンクSと、排水器本体4と、環状パッキング20と、排水トラップ配管22と、固定部材14と、から構成される。
シンクSは厚みが1〜2センチメートル程度の、人工大理石と呼ばれる樹脂材からなる部材であって、上方が開口した箱体からなり、底面に排水を排出するための平面視円形を成す排水口1を備えてなる。また、該排水口1の周縁から、下方に向けて円筒状の接続筒部2を垂下して設けてなり、更に、該接続筒部2内側面に、水平方向に、円周に沿って連続して断面四角形状を成す溝部3を設けてなる。
更に、溝部3には、平面視90度毎に4箇所、溝部3の下面から下方に向けてスリット部12を備えてなる。また、溝部3下面の、スリット部12近傍に、軸対象形状に4箇所、円周に沿って溝部3の縦幅を狭める傾斜面6を備えてなる。
また、溝部3よりも上方の高さ位置となる、接続筒部2の内周面に、施工完了時、後述する環状溝部19の環状パッキング20が当接する環状パッキング20の当接面8が形成されてなる。
排水器本体4は上方が開口した、有底円筒状の部材であって、上方の開口部分の外周面の外径は、接続筒部2の内周面の径よりわずかだけ小さい。
また、該排水器本体4の上端部分の外面には、水平方向に、円周に沿って連続して断面四角形状を成す環状溝部19と、該環状溝部19の下に、施工完了時接続筒部2の溝部3に嵌合する、外向きに突出した突起部13を備えてなる。該突起部13は、平面視接続筒部2のスリット部12に収まる位置と形状にて構成されている。
また排水器本体4の底面下端に、排水器本体4内の排水を排出する排出口24を備えてなる。
固定部材14は略T字形状の部材であって、その上端に、スリット部12に嵌合する係合部30を設けてなる。
環状パッキング20は断面円形状を成すリング形状の部材であって、ゴムなどの弾性を有した素材から成り、応力の無い状態では、その内径は環状溝部19の内径より若干小径で、その外径は排水器本体4の内周面よりも若干大径である。
排水トラップ配管22は円筒状の管体を途中部分にてS字形状に屈曲させた部材であって、上端は排水器本体4の排出口24に、下端は屋内の床下に設けられた床下配管に、それぞれ接続される。また、上記した管体のS字の屈曲部分に排水を溜めることで、該排水配管は臭気や害虫類が屋内側に逆流することを防ぐ、トラップ機能を備える。
【0033】
上記のように構成した槽体であるシンクSと排水器とは、以下のように施工される。
まず環状溝部19内に環状パッキング20をはめ込み、その上で、排水器本体4の内面の突起部13が、接続筒部2のスリット部12に収まるようにしつつ、接続筒部2を覆うように排水器本体4を上昇させる。突起部13がスリット部12を通過して溝部3の上方の壁に当接した時点で上方への移動を止め、排水器本体4を、突起部13が傾斜面6に向かうように回転させると、傾斜面6によって、回転が進むほど溝部3の上下の幅が狭くなり、最終的に突起部13が溝部3に嵌合して固定される。
この状態においては、環状溝部19の環状パッキング20が、外周面は排水器本体4の当接面8に、内周面は環状溝部19に、それぞれ当接した状態となり、水密性を発揮する。
更に固定部材14の係合部30をスリット部12と嵌合させ固定させる。
更に排水器本体4の排出口24と床下配管とを、排水トラップ配管22を介して接続して、槽体である流し台のシンクSへの排水器の施工が完了する。
【0034】
上記のように構成した槽体であるシンクS内部に、流し台の使用により排水が生じると、排水は排水口1から排水器本体4内部を通過し、排出口24、排水トラップ配管22を通過して、最終的に床下配管から下水側に排出される。
また、排水が行われたことによって、排水トラップ配管22のS字の屈曲部部に排水が溜まり(この溜まり水を「封水」と呼ぶ)、この封水により配管の途中部分が必ず満水状態となるため、下水側の臭気また害虫類は屋内側に逆流することがない。
上記第五実施例においては、排水器本体4と槽体の接続筒部2との嵌合が必ずしも強固な物ではなく、場合によっては、嵌合が緩み、突起部13が傾斜面6を下るように排水器本体4が動作することがあるが、上記係合部30によりスリット部12が、突起部13が挿通不能となるように閉塞されるため、接続筒部2に対する排水器本体4の回転が完全に行われ、嵌合が完全に解除されて排水器本体4が槽体であるシンクSから脱落することはない。
また、環状溝部19の環状パッキング20は、外周面は排水器本体4の当接面8に、内周面は環状溝部19に、それぞれ当接した状態となっている。上記したようにシンクSと排水器本体4の接続は、上下方向また円周方向に対しては必ずしも強固な物ではなく、上下また円周に沿って動作する場合があるが、環状パッキング20を介した接続は、排水器本体4と接続筒部2の側面方向によって行われており、水密性を確保するために必要な当接の応力は、環状溝部19の外径と、当接面8の内径とによってのみ決定されるため、シンクSと排水器本体4が強固に固定されておらず、上下方向また円周方向に対して若干上下動しても、水密性に支障はなく、漏水は生じない。
【0035】
次に、本発明の第六実施例を、図面を参照しつつ説明する。
図20乃至
図22に示した本発明の第六実施例は、流し台に設けられた槽体であるシンクSと、排水器との取付構造に関するものであって、以下に記載した槽体であるシンクSと、排水器本体4と、係止部材としてのボルト部材31と、環状パッキング20と、排水トラップ配管22と、から構成される。
シンクSは厚みが1〜2センチメートル程度の、人工大理石と呼ばれる樹脂材からなる部材であって、上方が開口した箱体からなり、底面に排水を排出するための平面視円形を成す排水口1を備えてなる。また、該排水口1の周縁から、下方に向けて円筒状の接続筒部2を垂下して設けてなり、更に、該接続筒部2外側面に、水平方向に、円周に沿って連続して断面四角形状を成す溝部3と、該溝部3の下方に、同様に水平方向に、円周に沿って連続して断面四角形状を成す環状溝部19と、を設けてなる。
排水器本体4は上方が開口した、有底円筒状の部材であって、上方の開口部分の内周面の内径は、接続筒部2の外周面の径よりわずかだけ大きい。
また、該排水器本体4の上方近傍の側面には、同じ高さ位置に、内部まで貫通した貫通孔としての雌ネジ部25を、平面視90度毎に4箇所、形成してなる。
また、上記排水器本体4の、雌ネジ部25よりも下方に、施工完了時環状パッキング20が当接する、排水器本体4の内周面である当接面8を備えてなる。
また排水器本体4の底面下端に、排水器本体4内の排水を排出する排出口24を備えてなる。
ボルト部材31は排水器本体4の雌ネジ部25と螺合する雄ネジ部23を備えた部材である。
環状パッキング20は断面円形状を成すリング形状の部材であって、ゴムなどの弾性を有した素材から成り、応力の無い状態では、その内径は環状溝部19の内径より若干小径で、その外径は排水器本体4の内周面よりも若干大径である。
排水トラップ配管22は円筒状の管体を途中部分にてS字形状に屈曲させた部材であって、上端は排水器本体4の排出口24に、下端は屋内の床下に設けられた床下配管に、それぞれ接続される。また、上記した管体のS字の屈曲部分に排水を溜めることで、該排水配管は臭気や害虫類が屋内側に逆流することを防ぐ、トラップ機能を備える。
【0036】
上記のように構成した槽体であるシンクSと排水器とは、以下のように施工される。
まず環状溝部19内に環状パッキング20をはめ込み、その上で接続筒部2を覆うように排水器本体4を挿通する。排水器本体4の雌ネジ部25が接続筒部2の溝部3の高さ位置に達した状態で、雌ネジ部25にボルト部材31の雄ネジ部23を螺合させる。螺合が進むとボルト部材31の雄ネジ部23が雌ネジ部25を貫通して排水器本体4の内面側(中心側)に突出し、雄ネジ部23の先端が溝部3内に突出することで、排水器本体4は接続筒部2に接続される。
この状態においては、環状溝部19の環状パッキング20が、外周面は排水器本体4の当接面8に、内周面は環状溝部19に、それぞれ当接した状態となり、水密性を発揮する。
更に排水器本体4の排出口24と床下配管とを、排水トラップ配管22を介して接続して、槽体である流し台のシンクSへの排水器の施工が完了する。
【0037】
上記のように構成した槽体であるシンクSは、上記段落0022に記載した第一実施例と同様に使用することができる。
【0038】
次に、本発明の第七実施例を、図面を参照しつつ説明する。
図23乃至
図27に示した本発明の第七実施例は、流し台に設けられた槽体であるシンクSと、排水器との取付構造に関するものであって、以下に記載した槽体であるシンクSと、排水器本体4と、係止部材16と、環状パッキング20と、排水トラップ配管22と、から構成される。
シンクSは厚みが1〜2センチメートル程度の、人工大理石と呼ばれる樹脂材からなる部材であって、上方が開口した箱体からなり、底面に排水を排出するための平面視円形を成す排水口1を備えてなる。また、該排水口1の周縁から、下方に向けて円筒状の接続筒部2を垂下して設けてなり、更に、該接続筒部2外側面に、水平方向に、円周に沿って連続して断面四角形状を成す溝部3と、該溝部3の下方に、同様に水平方向に、円周に沿って連続して断面四角形状を成す環状溝部19と、を設けてなる。
排水器本体4は上方が開口した、有底円筒状の部材であって、上方の開口部分の内周面の内径は、接続筒部2の外周面の径よりわずかだけ大きい。
また、該排水器本体4の上方近傍の側面には、排水器本体4の内部まで貫通した貫通孔15を4箇所、形成してなる。
貫通孔15の形成位置は、上下方向においては同じ高さ位置である。
また、平面視においては、4箇所設けられた貫通孔15の2箇所ずつが、同軸位置に形成され、2つの軸は平行に設けられており、両軸の間隔は、後述する係止部材16の直線部分の間隔と同じである。
また、上記排水器本体4の、雌ネジ部25よりも下方に、施工完了時環状パッキング20が当接する、排水器本体4の内周面である当接面8を備えてなる。
また排水器本体4の底面下端に、排水器本体4内の排水を排出する排出口24を備えてなる。
係止部材16は、平面視U字形状を成す硬質樹脂から成る部材であって、施工完了時、U字の両端の直線部分が排水器本体4の4箇所有る貫通孔15を、2箇所ずつ貫通した状態で、排水器本体4に係止固定される。尚、U字の両端の直線の内側面の隔は、接続筒部2の溝部3の外径と同一乃至若干大きい。
環状パッキング20は断面円形状を成すリング形状の部材であって、ゴムなどの弾性を有した素材から成り、応力の無い状態では、その内径は環状溝部19の内径より若干小径で、その外径は排水器本体4の内周面よりも若干大径である。
排水トラップ配管22は円筒状の管体を途中部分にてS字形状に屈曲させた部材であって、上端は排水器本体4の排出口24に、下端は屋内の床下に設けられた床下配管に、それぞれ接続される。また、上記した管体のS字の屈曲部分に排水を溜めることで、該排水配管は臭気や害虫類が屋内側に逆流することを防ぐ、トラップ機能を備える。
【0039】
上記のように構成した槽体であるシンクSと排水器とは、以下のように施工される。
まず環状溝部19内に環状パッキング20をはめ込み、その上で接続筒部2を覆うように排水器本体4を挿通する。排水器本体4の雌ネジ部25が接続筒部2の溝部3の高さ位置に達した状態で、貫通孔15に係止部材16のU字の両端の直線部分を挿通すると、
貫通孔15に挿入された係止部材16の直線部分が、
図26から
図27に示したように、平面視溝部3上を通過した後、再度反対側の貫通孔15を挿通して排水器本体4の外部に突出し、排水器本体4に係止固定される。
この状態においては、環状溝部19の環状パッキング20が、外周面は排水器本体4の当接面8に、内周面は環状溝部19に、それぞれ当接した状態となり、水密性を発揮する。
更に排水器本体4の排出口24と床下配管とを、排水トラップ配管22を介して接続して、槽体である流し台のシンクSへの排水器の施工が完了する。
【0040】
上記のように構成した槽体であるシンクSは、上記段落0022に記載した第一実施例と同様に使用することができる。
【0041】
次に、本発明の第八実施例を、図面を参照しつつ説明する。
図28乃至
図31に示した本発明の第八実施例は、流し台に設けられた槽体であるシンクSと、排水器との取付構造に関するものであって、以下に記載した槽体であるシンクSと、排水器本体4と、取り付け部材17と、環状パッキング20と、排水トラップ配管22と、から構成される。
シンクSは厚みが1〜2センチメートル程度の、人工大理石と呼ばれる樹脂材からなる部材であって、上方が開口した箱体からなり、底面に排水を排出するための平面視円形を成す排水口1を備えてなる。また、該排水口1の周縁から、下方に向けて円筒状の接続筒部2を垂下して設けてなり、更に、該接続筒部2外側面に、水平方向に、円周に沿って連続して断面四角形状を成す溝部3と、該溝部3の下方に、同様に水平方向に、円周に沿って連続して断面四角形状を成す環状溝部19と、を設けてなる。
排水器本体4は上方が開口した、有底円筒状の部材であって、上方の開口部分の内周面の内径は、接続筒部2の外周面の径よりわずかだけ大きい。
また、該排水器本体4の上端部分の外側面に、周縁に沿って連続して突出したフランジ部18を形成してなる。
上記フランジ部18には平面視60度毎となる位置に計6箇所貫通孔15を備えてなる。
また、上記排水器本体4の、雌ネジ部25よりも下方に、施工完了時環状パッキング20が当接する、排水器本体4の内周面である当接面8を備えてなる。
また排水器本体4の底面下端に、排水器本体4内の排水を排出する排出口24を備えてなる。
取り付け部材17は円環を二等分した形状の部材であって、2つを組み合わせることで平面視正円形状を構成する。また、平面視において、フランジ部18の貫通孔15に対応する位置に6箇所、上下に貫通するように雌ネジ部25を備えてなる。
ボルト部材31はフランジ部18の貫通孔15を貫通し、取り付け部材17の雌ネジ部25と螺合する雄ネジ部23を備えた部材である。
環状パッキング20は断面円形状を成すリング形状の部材であって、ゴムなどの弾性を有した素材から成り、応力の無い状態では、その内径は環状溝部19の内径より若干小径で、その外径は排水器本体4の内周面よりも若干大径である。
排水トラップ配管22は円筒状の管体を途中部分にてS字形状に屈曲させた部材であって、上端は排水器本体4の排出口24に、下端は屋内の床下に設けられた床下配管に、それぞれ接続される。また、上記した管体のS字の屈曲部分に排水を溜めることで、該排水配管は臭気や害虫類が屋内側に逆流することを防ぐ、トラップ機能を備える。
【0042】
上記のように構成した槽体であるシンクSと排水器とは、以下のように施工される。
まず環状溝部19内に環状パッキング20をはめ込む。また、分離した取り付け部材17を、溝部3を挟むようにして接続筒部2に取り付ける(この時の取り付けは仮止め程度の強度で、実用に達する強さの係止ではない)。
更に接続筒部2を覆うようにして、フランジ部18上面が取り付け部材17下面に当接するまで排水器本体4を挿通する。フランジ部18上面が取り付け部材17下面に当接した状態で、取り付け部材17または排水器本体4を回転させ、フランジ部18の貫通孔15と取り付け部材17の雌ネジ部25の位置を合しさせた上で、貫通孔15を挿通しつつ、ボルト部材31の雄ネジ部23を取り付け部材17の雌ネジ部25に螺合させる。これにより、フランジ部18材に固定された取り付け部材17が分離して溝部3から外れることが無くなり、排水器本体4が槽体である流し台のシンクSに接続される。
この状態においては、環状溝部19の環状パッキング20が、外周面は排水器本体4の当接面8に、内周面は環状溝部19に、それぞれ当接した状態となり、水密性を発揮する。
更に排水器本体4の排出口24と床下配管とを、排水トラップ配管22を介して接続して、槽体である流し台のシンクSへの排水器の施工が完了する。
【0043】
上記のように構成した槽体であるシンクSは、上記段落0022に記載した第一実施例と同様に使用することができる。
【0044】
本発明の実施例は以上のようであるが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、主旨を変更しない範囲において自由に変更が可能である。
例えば、上記実施例では、排水配管が備えられる槽体を、流し台のシンクSとしているが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、洗面台の洗面ボウル、浴室の防水パンまたは浴槽など他の槽体に使用してももちろん構わない。
また使用する素材も必要に応じて槽体にステンレス材を使用するなど、必要に応じ自由に変更することができる。
また、請求項7、請求項8に記載した本発明を除き、本発明の排水器本体4と接続筒部2とは必ずしも平面視円形を成す必要はない。