特許第5651851号(P5651851)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5651851カットテープ付きチャックテープ、及びカットテープ付きチャックテープを具備した包装袋
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5651851
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】カットテープ付きチャックテープ、及びカットテープ付きチャックテープを具備した包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/25 20060101AFI20141218BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20141218BHJP
【FI】
   B65D33/25 A
   B65D33/00 C
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-269147(P2013-269147)
(22)【出願日】2013年12月26日
【審査請求日】2014年1月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514268556
【氏名又は名称】日本竹菱株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】塩田 和明
【審査官】 結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−104440(JP,A)
【文献】 特開2004−155446(JP,A)
【文献】 特開2004−276925(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/062136(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/024241(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/25
B65D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状基部、該帯状基部の長手方向に設けられた雄部材、前記帯状基部の長手方向に設けられ前記雄部材に咬み合う雌部材、前記雄部材及び前記雌部材の中間部分より雄部材又は雌部材側に設けられたカットテープを積層する積層部、並びに該積層部に積層されたカットテープを含み、
前記積層部が、隣接する部分より相対的に薄肉に形成され、且つ前記積層部及び前記積層部に隣接する部分は一体的に製造されていることを特徴とするカットテープ付きチャックテープ。
【請求項2】
前記積層部が、積層部以外の帯状基部より薄い薄肉部として形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカットテープ付きチャックテープ。
【請求項3】
前記積層部に隣接する帯状基部が、積層部より肉厚の第1厚肉部及び第2厚肉部として形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカットテープ付きチャックテープ。
【請求項4】
前記積層部が帯状基部より薄い薄肉部として形成され、前記積層部に隣接する部分が帯状基部より肉厚の第1厚肉部及び第2厚肉部として形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカットテープ付きチャックテープ。
【請求項5】
前記中間部分に、屈曲部が形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のカットテープ付きチャックテープ。
【請求項6】
前記積層部と隣接する部分の境界に切込み線が設けられていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のカットテープ付きチャックテープ。
【請求項7】
前記雄部材及び前記雌部材からなる対が、少なくとも2以上設けられていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のカットテープ付きチャックテープ。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載のカットテープ付きチャックテープが接着していることを特徴とするカットテープ付きチャックテープを具備した包装袋。
【請求項9】
前記カットテープ付きチャックテープの積層部及び該積層部に隣接する部分が少なくとも包装袋に接着していることを特徴とする請求項8に記載のカットテープ付きチャックテープを具備した包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カットテープ付きチャックテープ、及び該カットテープ付きチャックテープを具備した包装袋に関するものであって、特に、チャックテープと包装袋の接着部品数及び面積を少なくすることで製造工程での不良品の発生を抑えることができ、更に、包装袋を正確に開封することができるカットテープ付きチャックテープ、及び該カットテープ付きチャックテープを具備した包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
カットテープ付きチャックテープを具備した包装袋は、開閉操作が容易で密封性にも優れていることから、食品の保存をはじめとし、薬品、衣料品、工業部品、雑貨等の各種物品を包装するための包装袋として広く採用されている。
【0003】
このようなカットテープ付きチャックテープを具備した包装袋は、チャックテープの上部がシールされることによって密封されており、カットテープで包装袋の袋体フィルムを引き裂いて開封することができるようになっている。
【0004】
上記のようなカットテープ付きチャックテープを具備した包装袋としては、突条を有する帯状シート、前記突条に嵌め合う凹溝を有する帯状シート、カットテープを袋体に接着した包装袋が知られている(特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1に記載されている発明は、2つの帯状シート及びカットテープを袋体にそれぞれ接着しているため、開封の際、カットテープで袋体を引き裂く際に袋体に伸び等が生じると突条と凹溝のずれが生じ、チャックテープの開閉がし難くなるという問題がある。また、合計3か所で袋体に部材を接着する必要があることから、接着不良による不良品の発生率が高まるという問題がある。
【0005】
また、単一の帯状シートに突条と凹溝を形成し、当該帯状シートを袋体に接着した包装袋も知られている(特許文献2参照)。特許文献2に記載されている包装袋は、帯状シートをU字型に曲げて袋体と接着し、使用する際には、袋体と帯状シートに形成されている切れ目から袋体及び帯状シートの一部を切り取ることで開封できるようになっている。しかしながら、特許文献2に記載されている包装袋は、製造の際に、帯状シートに形成されている切れ目と袋体の切れ目を一致させる必要があり、製造工程が煩雑になるという問題がある。また、帯状シートを折り曲げてできた2つの面を、異なる袋体に位置ずれを起こすことなく接着する必要があることからも、製造工程が煩雑になるという問題がある。
【0006】
更に、カットテープ及びチャックテープを具備した包装袋は、カットテープ及びチャックテープを袋体に接着する際に、一定の割合で接着不良や袋体の破損等の不良品が発生する。この不良品の発生は、接着するパーツの数や面積が大きくなるほど多くなる。上記のとおり、特許文献1に記載されている包装袋は、2つの帯状シート及びカットテープを袋体に接着する必要があり、また、特許文献2に記載されている包装袋は、帯状シートを折り曲げてできた2つの面を、異なる袋体に位置ずれを起こすことなく接着する必要があるため、不良品の発生が避けられないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−155446号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第547966号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされた発明であり、鋭意研究を行ったところ、単一の帯状基部に雄部材及び該雄部材に咬み合う雌部材を設け、更に、前記雄部材及び雌部材の中間部分より前記雄部材又は前記雌部材側の帯状基部に、隣接する部分より相対的に薄肉に形成した積層部を設け、該積層部にカットテープを積層したカットテープ付きチャックテープを袋体に接着することで、袋体に接着するパーツの数及び面積を少なくすることができ、不良品の発生率を減少させることができることを新たに見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明の目的は、カットテープ付きチャックテープ、及びカットテープ付きチャックテープを具備した包装袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下に示す、カットテープ付きチャックテープ、及びカットテープ付きチャックテープを具備した包装袋に関する。
【0011】
(1)帯状基部、該帯状基部の長手方向に設けられた雄部材、前記帯状基部の長手方向に設けられ前記雄部材に咬み合う雌部材、前記雄部材及び前記雌部材の中間部分より雄部材又は雌部材側に設けられたカットテープを積層する積層部、並びに該積層部に積層されたカットテープを含み、
前記積層部が、隣接する部分より相対的に薄肉に形成され、且つ前記積層部及び前記積層部に隣接する部分は一体的に製造されていることを特徴とするカットテープ付きチャックテープ。
(2)前記積層部が、積層部以外の帯状基部より薄い薄肉部として形成されていることを特徴とする上記(1)に記載のカットテープ付きチャックテープ。
(3)前記積層部に隣接する帯状基部が、積層部より肉厚の第1厚肉部及び第2厚肉部として形成されていることを特徴とする上記(1)に記載のカットテープ付きチャックテープ。
(4)前記積層部が帯状基部より薄い薄肉部として形成され、前記積層部に隣接する部分が帯状基部より肉厚の第1厚肉部及び第2厚肉部として形成されていることを特徴とする上記(1)に記載のカットテープ付きチャックテープ。
(5)前記中間部分に、屈曲部が形成されていることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れか一に記載のカットテープ付きチャックテープ。
(6)前記積層部の境界部分に切込み線が設けられていることを特徴とする上記(1)〜(5)の何れか一に記載のカットテープ付きチャックテープ。
(7)前記雄部材及び前記雌部材からなる対が、少なくとも2以上設けられていることを特徴とする上記(1)〜(6)の何れか一に記載のカットテープ付きチャックテープ。
(8)上記(1)〜(7)の何れか一に記載のカットテープ付きチャックテープが接着していることを特徴とするカットテープ付きチャックテープを具備した包装袋。
(9)前記カットテープ付きチャックテープの積層部及び該積層部に隣接する部分が少なくとも包装袋に接着していることを特徴とする上記(8)に記載のカットテープ付きチャックテープを具備した包装袋。
【発明の効果】
【0012】
本発明のカットテープ付きチャックテープは、隣接する部分より相対的に薄肉に形成した積層部にカットテープが積層されている。そのため、本発明のカットテープ付きチャックテープを具備した包装袋のカットテープを引っ張ると、積層部は帯状基部との境界に沿って切断される。更に、積層部及び積層部に隣接する部分が袋体に接着していることから、積層部が帯状基部から切り離される際、袋体の積層部に接着している部分は積層部と共に袋体から切り離されるが、袋体の他の部分は積層部の隣接する部分と接着しているので、積層部と共に切り離され難い。したがって、所定の位置で、確実に袋を開封することができる。
【0013】
また、帯状基部の雄部材及び雌部材の中間部分を、他の帯状基部より薄肉の屈曲部として形成することで、雄部材及び雌部材の位置合わせを容易に行うことができ、合口作業が容易になる。
【0014】
本発明のカットテープ付きチャックテープは、押出形成等の製造方法により、単一の帯状基部に、雄部材、雌部材、積層部及び屈曲部を一度に設けることができるので、製造工程を少なくすることができる。また、包装袋に接着されるのは、チャックテープの積層部を含む帯状基部の一部のみであることから、接着工程は一回のみであり、不良品の発生率を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明のカットテープ付きチャックテープを具備した包装袋の正面図である。
図2図2は、本発明のカットテープ付きチャックテープ3の一例の断面図である。
図3図3は、図2に示すチャックテープ3のカットテープ4付近を拡大した断面図である。
図4図4は、チャックテープ3のカットテープ4付近の他の実施形態を示す断面図である。
図5図5は、チャックテープ3のカットテープ4付近の他の実施形態を示す断面図である。
図6図6は、チャックテープ3を折り曲げて、雄部材32及び雌部材33が咬み合う様子を示す図である。
図7図7は、本発明のチャックテープ3の中間部分37に屈曲部を形成した実施形態を示す図である。
図8図8は、本発明のチャックテープ3の他の実施形態を示す図である。
図9図9は、図1に示す包装袋1のa−a断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明のカットテープ付きチャックテープ、及びカットテープ付きチャックテープを具備した包装袋について詳しく説明する。
【0017】
図1は、本発明のカットテープ付きチャックテープを具備した包装袋1(以下、「包装袋」と記載することがある。)の正面図である。包装袋1は、袋体2、チャックテープ3、チャックテープ3の積層部に積層され積層部も一緒に切り離すことができるカットテープ4を含んでおり、袋体2の外周はシール5をすることで、密閉状態になっている。
【0018】
袋体2は、当分野において一般的に用いられている材料であれば特に制限は無い。例えば、ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルム、低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム、高密度ポリエチレン(HDPE)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、アルミ等の金属を蒸着したフィルムなど任意の合成樹脂材、紙などの繊維及び生分解性プラスチック等、袋体を形成できる材料であればよい。袋体2は、単層であっても積層であってもよい。また、袋体2の形状は、図1に示す上下2枚のフィルムを合わせ袋の周囲(3か所)をシールした三方シールタイプに限定されず、一枚のフィルムを半分に折り接合部をシールした半折タイプ、一枚のフィルムを左右から折り込みシールしたセンターシールタイプ、一枚のフィルムをシールしながら切って造る溶断タイプ、底が平らな角底袋タイプ等、袋体であれば特に制限は無い。
【0019】
袋体2を積層にする場合は、主にプラスチックを主体とする積層フィルムを用いることができる。積層フィルムを用いる場合、最内層にシーラント層が積層された積層フィルムが一般的には用いられるが、充填される内容物や使用条件などに応じて種々の構成の積層フィルムを使用することができる。例えば、要求される性能に応じて、基材フィルム層とシーラント層との間に、中間層として、水蒸気その他のガスバリヤー層や、遮光層、強度向上層などを積層して構成することができる。上記基材フィルム層、中間層、シーラント層は、それぞれを単独の層で形成してもよいが、複数の層を積層して形成してもよい。
【0020】
上記基材フィルム層には、二軸延伸ポリプロピレンフィルムのほか、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムなどの二軸延伸ポリエステルフィルムや、ナイロン6、ナイロン66、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)などのフィルムを二軸延伸した二軸延伸ポリアミドフィルムなどを好適に使用することができる。これらは単独で使用してもよく、また、複数を組み合わせて積層して使用してもよい。
【0021】
中間層をガスバリヤー層とする場合、中間層には、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、MXD6などのフィルムのほか、アルミニウム箔などの金属箔、或いは、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ITO、アルミニウムなどの無機酸化物や金属の蒸着層、またはポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸(PAA)などの塗膜層を設けた二軸延伸ナイロンフィルム(ONフィルム)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)などを使用することができる。これらのうち、アルミニウム箔またはアルミニウムの蒸着層を設けたフィルムは、不透明で遮光性を有するため遮光層を兼ねることもできる。中間層を強度向上層とする場合は、前記基材フィルムのいずれかを適宜追加して積層してもよく、また、二軸延伸高密度ポリエチレンフィルムなどを防湿層も兼ねて積層してもよい。上記基材フィルム層と中間層の積層には、公知のドライラミネーション法または押し出しラミネーション法(サンドイッチラミネーション法)を用いることができる。
【0022】
最内層のシーラント層には、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L・LDPE)のほか、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・メタクリル酸のランダム共重合体(EMAA)、そして、エチレン・アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)などのエチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリプロピレンまたはその共重合体などのポリオレフィン系樹脂を使用することができ、これらの中から、充填される内容物に応じて、好適なものを適宜選択して使用することができる。シーラント層の積層は、上記の樹脂をフィルム状に製膜し、そのフィルムをドライラミネーション法または押し出しラミネーション法で積層する方法、或いは、上記の樹脂を押し出しコートして積層する方法などを採ることができるが、例えば、内容物がシーラント層に浸透しやすいものを含むような場合は、接着強度に優れたドライラミネーション法で積層することが好ましい。
【0023】
図2は、本発明のカットテープ4が付いているチャックテープ3の一例の断面図である。図2に示すチャックテープ3には、帯状基部31の一端に形成され該帯状基部31の雄部材32、帯状基部31の他端の長手方向に形成され前記雄部材32と咬合部を形成する雌部材33、カットテープ4、カットテープ4を積層する積層部36、積層部36に隣接する部分の帯状基部31を肉厚にした第1厚肉部34及び第2厚肉部35を含んでいる。前記雄部材32、雌部材33、第1厚肉部34、第2厚肉部35、積層部36及びカットテープ4は、長手方向(図1の横方向)に連続的に設けられている。
【0024】
雄部材32及び雌部材33の形状は、互いに咬み合い、又離すことができれば形状に特に制限は無い。前記雄部材32及び雌部材33が咬み合い又離れることで、チャックテープ3を具備した包装袋1を、開封又は再封することができる。
【0025】
図3は、図2に示すチャックテープ3のカットテープ4付近を拡大した断面図である。図3に示すチャックテープ3では、カットテープ4を積層する積層部36が、帯状基部31と同じ厚さで、積層部36に隣接する帯状基部31が、積層部36より肉厚の第1厚肉部34及び第2厚肉部35として形成されている。カットテープ4が積層されている積層部36は、隣接する第1厚肉部34及び第2厚肉部35より相対的に薄肉となっているので、カットテープ4を引っ張ると、積層部36と第1厚肉部34及び第2厚肉部35の境界部分で、カットテープ4及び積層部36を一緒にチャックテープ3から切り離すことができる。帯状基部31の厚さは積層部36が切断できる範囲であれば特に制限は無いが、一般的には、150μm〜170μmであればよい。帯状基部31が薄すぎると全体的な強度が不足し、帯状基部31が厚すぎると、積層部36が切断し難くなり、また、チャックテープ3をドラムロールなどに巻きつけた場合、曲がった状態のまま形状が維持されてしまい、包装袋1に接着した後も曲がった形状になってしまうので好ましくない。第1厚肉部34及び第2厚肉部35の厚さは、境界部分で積層部36が切り離される厚さであれば特に制限は無いが、帯状基部31の厚さの2〜3倍程度が好ましい。カットテープ4及び積層部36の幅、並びに第1厚肉部34及び第2厚肉部35の幅は、具備する包装袋1の大きさに応じて適宜調整すればよい。
【0026】
図4は、チャックテープ3のカットテープ4付近の他の実施形態を示す断面図である。図4に示すチャックテープ3では、カットテープ4を積層する積層部36が、帯状基部31より薄い薄肉部として形成されている。図3に示す実施形態と同様に、カットテープ4が積層されている積層部36(薄肉部)は、隣接する帯状基部31より相対的に薄肉となっているので、カットテープ4を引っ張ると、積層部36(薄肉部)と帯状基部31との境界部分で、カットテープ4及び積層部36(薄肉部)を一緒にチャックテープ3から切り離すことができる。本実施形態においても、帯状基部31の厚さは積層部36が切断できる範囲であれば特に制限は無いが、一般的には、150μm〜170μmであればよい。また、積層部36(薄肉部)の厚さは、所望とする力で切り離しができ、また、成形不良が出ない厚さとなるように適宜調整すればよく、例えば、帯状基部31aの1/3程度にすればよい。本実施形態のチャックテープ3は、図3に示す実施形態と比較して、カットテープ4と一緒に切り離す積層部36(薄肉部)が薄いことから、より小さな力で切り離すことができる。
【0027】
図5は、チャックテープ3のカットテープ4付近の他の実施形態を示す断面図である。図5に示すチャックテープ3では、カットテープ4を積層する積層部36が、帯状基部31より薄い薄肉部として形成され、且つ、積層部36(薄肉部)に隣接する部分が帯状基部31より肉厚の第1厚肉部34及び第2厚肉部35として形成されている。カットテープ4が積層されている積層部36(薄肉部)は、隣接する第1厚肉部34及び第2厚肉部35より相対的に薄肉となっているので、カットテープ4を引っ張ると、積層部36(薄肉部)と第1厚肉部34及び第2厚肉部35との境界部分で、カットテープ4及び積層部36(薄肉部)を一緒にチャックテープ3から切り離すことができる。本実施形態では、帯状基部31の厚さ、及び帯状基部31に対する第1厚肉部34及び第2厚肉部35の厚さは、図3に示す実施形態と同様でよい。また、帯状基部31に対する積層部36(薄肉部)の厚さは、図4に示す実施形態と同様でよい。本実施形態のチャックテープ3は、カットテープ4と一緒に切り離す積層部36(薄肉部)と隣接する第1厚肉部34及び第2厚肉部35との相対厚さを、図3及び図4に示す実施形態より広い範囲で調整することができる。
【0028】
なお、図3図5に示すチャックテープ3において、カットテープ4及び積層部36の切り離しを容易にするために、積層部36と帯状基部31、又は積層部36と第1厚肉部34及び第2厚肉部35の境界部分の角度は約90度にすることが好ましい。また、必要に応じて、境界部分にガスレーザー等を用いて切込み等形成してもよい。なお、切込みを入れる場合は、積層部36(薄肉部)の厚さの半分程度が好ましい。半分より少ないと切込みの効果が得られず、半分より大きいと製造工程の途中で第1帯状基部31aから切れやすくなり好ましくない。切込みは、積層部36の袋体2に接着する面に形成してもよいし、カットテープ4を積層する面に形成してもよい。或いは、両方の面からそれぞれ積層部36(薄肉部)の厚さの約1/4程度、切込みを形成してもよい。
【0029】
本発明のチャックテープ3は、図6に示すように、雄部材32及び雌部材33が咬み合うように折り曲げて使用される。そのため、積層部36は袋体2に接着できる位置となる必要があり、雄部材32及び雌部材33の中間部分37より雄部材32側又は雌部材33側に設ける必要がある。積層部36を設ける位置は、上記のとおり、中間部分37からずれていて袋体2に接着できる位置であれば特に制限は無いが、積層部36を切り離し、包装袋1を開封した後は指を引っ掛けて噛み合っているチャックテープ3を引き離すため、雄部材32又は雌部材33から、8〜10mm程度離れた位置に設けることが好ましい。積層部36は雄部材32又は雌部材33のどちら側に設けてもよい。
【0030】
図7は、本発明のチャックテープ3の中間部分37に屈曲部を形成した実施形態を示す図である。屈曲部は、チャックテープ3を折り曲げ易くし、雄部材32及び雌部材33の咬み合わせの位置合わせが容易になるものであれば特に制限は無い。例えば、チャックテープ3を他の帯状基部31より薄肉にする、楔状の切込みを形成する、線状の型でプレスして曲げやすくする等、が挙げられる。
【0031】
図8は、本発明のチャックテープ3の他の実施形態を示す図である。雄部材32及び雌部材33は一対に限定されず、例えば、2対、3対、4対等、複数対形成してもよい。また、必要に応じて、図3図8に示す各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0032】
図3〜8に示す実施形態のチャックテープ3は、当該実施形態の形状の金型を用いた押出形成方法により、一体的に製造することができる。製造したチャックテープ3に、別途製造したカットテープ4を積層することで、本発明のカットテープ付きチャックテープ3を製造することができる。
【0033】
チャックテープ4の帯状基部31、雄部材32、雌部材33、第1厚肉部34、第2厚肉部35、及び積層部36を形成する材料は、成形性や袋体2との接着性となる熱溶着性を考慮して、例えば、低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、あるいはこれらの共重合体などのポリオレフィン系樹脂などにて形成することが好ましい。ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン(RPP)、プロピレン−エチレン−ブテン1ランダム三元共重合体、ポリオレフィン系特殊軟質樹脂(TPO樹脂。例えばプライムポリマーTPO)等の熱可塑性樹脂や、これらの樹脂を混合した混合物を使用することができる。
【0034】
また、カットテープ4を形成する材料は、例えば、延伸したポリエチレンテレフタレート(OPET)、延伸したポリプロピレン(OPP)、延伸した高密度ポリエチレン(HDPE)などのチャックテープ3とは異質かつ非相溶性の樹脂で形成される。カットテープ4は、例えば、メタロセンLL等の接着剤を積層し、チャックテープ3の積層部36に接着すればよい。
【0035】
なお、包装袋1に食品や医薬品等、人体に取り込まれる内容物を入れる場合は、内容物が接着剤に触れることは好ましくない。その場合、チャックテープ4及びカットテープ3に、比較的融点が低い同種の樹脂を含ませることで融着させてもよい。例えば、融点の低い熱可塑性樹脂としてポリエチレン(PE)を用い、チャックテープ3をポリエチレン(PE)で作製し、カットテープ4をポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)の混合物で作製することで、接着剤を使用することなく、カットテープ4をチャックテープ3の積層部36に融着・積層することができる。具体的には、(1)金型を通じて押し出されたチャックテープ3を水槽で冷却する、(2)金型を通じて押し出されたカットテープ4を、チャックテープ3の積層部36に乗せ水槽にて冷却する、手順で接着することができる。接着力の強さは、カットテープ4に含まれるポリエチレン(PE)の含有量で調整することができる。
【0036】
図9は、図1に示す包装袋1のa−a断面図である。本発明の包装袋1は、チャックテープ3の雄部材32及び雌部材33の中間部分37を境に折り曲げ、帯状基部31の積層部36を含む面が、袋体2の一方の面に接着している。包装袋1に内容物を封入する場合は、例えば、袋体2を構成するフィルム2aにチャックテープ3を接着し、袋体2を構成する2a及び2bのチャックテープ3を接着している部分以外の周辺部をポリエステル/イソシアネート系2液等の接着剤又は熱融着等の手段によりシールし、開口している部分から内容物を包装袋1に投入した後、最後に開口している部分を上記と同様の手段によりシールすればよい。また、図1に示すように、カットテープ4の一端には、例えば、金型を押し付けることで、袋体2及び帯状基部31を貫通する切込みによってタブ41が形成されている。該タブ41をつまんで袋体2から分離するように引っ張ると、タブ41に連続するカットテープ4が引き離され、カットテープ4の引き離しに伴い、積層部36及び袋体2が切り離され、包装袋1を開封することができる。なお、内容物として食品や医薬品等の人体に取り込まれる物を封入する場合は、必要に応じて、チャックテープ3の袋体2への接着及び包装袋1の周辺部のシールは、熱融着により行えばよい。
【0037】
チャックテープ3の袋体2への接着は、少なくとも積層部36及び積層部36に隣接する部分が袋体2と接着していることが好ましい。隣接する部分が袋体2と接着していないと、切開される袋体2は積層部36に接着している部分のみではなく、積層部36に接着していない袋体2部分も切開されていまい、開封面の形状が安定しなくなり好ましくない。なお、本発明において「隣接する部分」とは、積層部36に接着している袋体2が安定的に切り離されるために必要な部分を意味し、例えば、図3及び図5に示す実施形態では、第1厚肉部34及び第2厚肉部35が挙げられ、図4に示す実施形態では、積層部36と同じ長さが挙げられる。勿論、袋体2を切開する形状が一定であれば、上記の長さより長くても、短くてもよい。本発明の包装袋1は、袋体2に接着する部材がチャックテープ3の1個のみであることから、接着不良や包装袋の破損等の不良品の発生を抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明のカットテープ付きチャックテープはカットテープの積層部を相対的に薄肉に形成し、更に、カットテープ付きチャックテープを具備した包装袋は、カットテープの袋体への接着が一か所で済むので、製造工程が簡単で、且つ不良品の発生を低減することができる。したがって、開閉可能な包装袋等の分野において有用である。
【要約】      (修正有)
【課題】袋体に接着するパーツの数及び面積を少なくすることができ、不良品の発生を減少することができるカットテープ付きチャックテープ、及びカットテープ付きチャックテープを具備した包装袋を提供する。
【解決手段】帯状基部、該帯状基部の長手方向に設けられた雄部材32、前記帯状基部の長手方向に設けられ前記雄部材に咬み合う雌部材33、前記雄部材及び前記雌部材の中間部分37より雄部材又は雌部材側に設けられたカットテープを積層する積層部、並びに該積層部に積層されたカットテープを含み、前記積層部が、隣接する部分より相対的に薄肉に形成されていることを特徴とするカットテープ付きチャックテープ。
【選択図】図9
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9