【実施例】
【0031】
本発明の一実施例のコインセレクタ100は、
図1〜
図7に示すように、コインセレクタ100を構成する各種の部品が取り付けられた平面視コの字形の本体101と、本体101に回動自在に支持された扉体102と、本体101および扉体102の間に形成されたコイン通路103と、コイン通路103内でコインを下方から案内する第1ガイドレール104と、コイン通路103を転動するコインの真偽を直径に基づいて選別するコイン選別手段105と、コイン選別手段105により真正コインとして選別されたコインを受入または排除するゲート手段106と、ゲート手段106を通過したコインを検知するコイン検知手段107と、コイン通路103内のコインを強制的に排除するリジェクト手段108と、コイン選別手段10
5の選別直径を変更する選別直径変更手段109と、コインをコイン通路103内に受け入れるコイン入口110と、コイン通路103からコインを遊技機へ向けて排出するコイン出口111とを有している。
【0032】
(本体)
本体101は、垂立する第1ガイド壁112、第1ガイド壁112の左右端部からそれぞれ直角に折り曲げられた左側壁114および右側壁116を含み、第1ガイド壁112、左側壁114および右側壁116によって垂立方向に延びる凹溝118が形成されている。第1ガイド壁112の表面は、コイン案内面113として機能する(
図6参照)。
【0033】
本体101の幅は3.5インチであり、所謂デフェクトスタンダードサイズと呼ばれる寸法である。左側壁114および右側壁116には外向きに突出する4つの取り付け用突起122が形成されており、これらの突起122を遊技機の取り付け溝(図示せず)に掛け止めすることによりコインセレクタ100を遊技機に取り付けられるようなっている。
【0034】
本体101の上端部には前面側に突出する突出部124が形成されており、突出部124には左側に延びる扉体支持用支軸126が設けられている(
図6参照)。また、右側壁116にも左側に延びる扉体支持用支軸127が設けられ、これら2つの支軸126、127は左上がりに傾斜する同一軸線L1上に形成されている。
【0035】
(扉体)
扉体102は、第1ガイド壁112と平行に配置される第2ガイド壁132と、第2ガイド壁132の周縁部から前面側に突出する扉体枠134とを有している。第2ガイド壁132の第1ガイド壁112との対向面は、コイン案内面133として機能する。第2ガイド壁132の中央には、後述のコイン通路103に沿って弧状のコイン落下開口135が形成されている。コイン落下開口135は、コイン通路103を転動するコインCが小径の偽コインである場合にそのコインCを落下させるためのものである。
【0036】
扉体枠134は上側枠部136a、左側枠部136b、下側枠部136cおよび右側枠部136dにより構成され、右側枠部136dには右側外方に突出する枠支持部138が形成されている。右側枠部136dおよび枠支持部138のそれぞれの外側面上部には、同一軸線L1上に配置された軸受140、141がそれぞれ形成されている(
図5参照)。軸受140、141には本体101の支軸126、127がそれぞれ挿入され、扉体102が本体101に回動自在に支持される。すなわち、
図10および
図11に示すように、第1ガイド壁112に対し平行なガイド位置GPと、下端部が第1ガイド壁112から離れる所定角度回動したリジェクト位置RPとの間を、扉体102が回動可能に取り付けられる。
【0037】
本体101の右上端部には背面に突出する円筒152が形成され、その円筒152内に掛止ピン153で固定されたスプリング154により付勢されるプッシャ156が配置される。プッシャ156は円筒152から扉体102側に突出して枠支持部138の右上端部に形成された被動斜面142を押圧し、それにより軸受141の軸回りのモーメントが生じ、扉体102が第1ガイド壁112に向かう所定力の付勢力を受ける。換言すれば、扉体102には、第1ガイド壁112に近づくように弾性的な回動力が常時作用する。
【0038】
扉体102には、左側枠部136bから本体101側に突出し、第1ガイド壁112に形成された貫通孔128を通って本体101の背面に突出する被動片144が設けられている(
図5参照)。後述するように、被動片144をリジェクト手段108により押すことにより、扉体102が支軸126、127を支点に第1ガイド壁112から離れる方向に回動され、リジェクト位置RPへ移動可能である。
【0039】
(ガイドレール)
図5および
図7に示すように、第2ガイド壁132の背面(すなわち、第1ガイド壁112との対向面)には、第1ガイド壁112側に突出する突部162が形成されると共に、ガイドプレート164がネジ166により固定されている。突部162は斜め右下がり(
図7では斜め左下がり)に上端面172を有し、ガイドプレート166は斜め右下がり(
図7では斜め左下がり)の弧状の上端面174を有している。第1ガイド壁112には、凹溝118内に突出し、かつ、右下がりに傾斜する上面176を有する板状突出部168が形成されている。突部162の上端面172、ガイドプレート164の上端面174および板状突出部168の上面176は、コインCの厚みよりも僅かに大きい幅(換言すれば、コインCの厚みに対応した幅)を有し、連続して配置されている。これら上端面172、174および上面176は、コインCの外周面を下方から案内するコイン案内面180として機能する。換言すれば、第2ガイド壁132の突部162、ガイドプレート164および第1ガイド壁112の板状突出部168が第1ガイドレール104を構成している。
【0040】
ガイドプレート164は耐摩耗性を有する材料、例えば、金属材料により形成されるのが好ましい。価格を抑制しながら高い耐摩耗性を実現できるからである。
【0041】
なお、第2ガイド壁132に突部162を形成せずに、ガイドプレート164と一体で突部162を形成することも可能であるし、第1ガイドレール104の全体をガイドプレート164で形成することもできる。
【0042】
(コイン通路)
図6に示すように、本体101の凹溝118内には、第1ガイドレール104のコイン案内面180にほぼ平行なコイン案内面204を有する第2ガイドレール202が配置されている。
【0043】
コイン通路103は、第1ガイド壁112の表面のコイン案内面113、第2ガイド壁132のコイン案内面133、第1ガイドレール104のコイン案内面180および第2ガイドレール202のコイン案内面204で画定される。コイン通路103は、略矩形の断面形状を有すると共に、
図6に示すように、右方向に湾曲した平面形状を有している。
【0044】
第1ガイド壁112のコイン案内面113には、第1ガイドレール104のコイン案内面180に沿って複数の突条129が形成されている。これらの突条129は、コイン入口110から垂直に下降してから湾曲した後、右下方に向けて延在してコイン出口111に達している。突条129は、コイン通路103を転動するコインCの移動抵抗を低減する機能を有している。
【0045】
(コイン選別手段)
コイン選別手段105は、コイン上端部側面ガイド206と逸らせ手段210とにより構成され、コイン通路103を転動するコインCを直径により選別し、小径の偽コインをコイン通路103から排除する機能を有する。逸らせ手段210は、逸らせ体212と付勢手段214とを含んでいる。
【0046】
コインCの上端部側面を案内するコイン上端部側面ガイド206は、第2ガイドレール202のコイン案内面204から垂直下方に延び、第1ガイドレール104のコイン案内面180との間に所定の間隔を有している。この間隔は、選別対象のコイン(すなわち、真正コイン)の直径に対応した寸法に設定される、例えば、真正コインの直径よりも僅かに大きい値に設定される。
【0047】
逸らせ体212は、本体101の背面の上端部に配置された支軸216に回転自在に支持され、第1ガイド壁112に形成された弧状開口130を通ってコイン通路103に進退可能に取り付けられている。逸らせ体212は、板状であり、コイン通路103の曲率に合わせて湾曲している。
【0048】
逸らせ体212の第1ガイド壁112の背面側には、付勢手段214としての錘体218が取り付けられている。そのため、逸らせ体212には、支軸216を支点として、
図5の紙面手前側に向かう方向に所定のモーメントが作用する。これにより、通常、逸らせ体212は所定のモーメントでコイン通路103に突出する。
【0049】
逸らせ体212は、コイン通路103を転動するコインCの上端側面を第2ガイド壁132側に押すことができるように、コイン通路103内において第2ガイドレール202に近接して配置されている。また、逸らせ体212の先端はコイン通路103に対し傾斜しているので、逸らせ体212がコイン通路103内に位置する場合、コイン入口110から投入されたコインCは横方向に案内され、コイン通路106から押し出される力を受ける。
【0050】
コイン通路103に導入されたコインCが真正コインである場合、第1ガイドレール104に沿って転動するコインCは、その上端部側面をコイン上端部側面ガイド206によって案内されるので、逸らせ体212に押されてもそのままコイン通路103を移動する。他方、コインCが小径の偽コインである場合、その上端部側面はコイン上端部側面ガイド206に案内されないので、逸らせ体212に押されると第2ガイド壁132側に倒されてコイン落下開口135から落下する。
【0051】
付勢手段214は、逸らせ体212に付勢力を与えればよいので、錘体218に代えてスプリングを用いることができる。しかし、錘体218を用いた場合、個々のバラツキが小さく品質が安定するので好ましい。
【0052】
(ゲート手段)
ゲート手段106は、コインセレクタ100が装着される遊技機の制御部(図示せず)により、コインCの受入を許可または拒否するよう作動が制御される。すなわち、遊技機がコインCの受入を許可する場合(受入許可状態の場合)にはコインCを通過させ、コインの受入を拒否する場合(受入拒否状態の場合)にはコインCをコイン通路103から排除するように、ゲート手段106が作動する。
【0053】
図2、
図4、
図8および
図9に示すように、ゲート手段106は、本体101の背面、換言すれば、第1ガイド壁112の背面に配置され、ゲート302および揺動レバ304を含んでいる。
【0054】
ゲート302は、ほぼ三角柱の外形状を有し、平面視L字形の揺動レバ304の先端に設けられている。そして、ゲート302および揺動レバ304の全体が平面視L字の形状を有している。揺動レバ304の基端は、支軸306に回動自在に支持された回動部308の円柱状外周面に接続されている。回動部308の底部の偏心位置には円柱状の係止部310が形成されている。ゲート302、揺動レバ304、回動部
308および係止部310は一体で形成され、それらの全体が支軸306の回りを回動可能である。なお、必要に応じて、ゲート302、揺動レバ304、回動部
308および係止部310の一部または全部を個別に作製して組み立てることも可能である。しかし、寸法精度およびコストの観点から一体で形成されることが好ましい。
【0055】
図4および
図9に示すように、揺動レバ304を支持する支軸306は、コイン通路103の第1ガイド壁112側において、第1ガイド壁112にほぼ平行に配置され、かつ、コイン通路103を転動するコインCの進行方向DRに対してほぼ垂直に配置される。換言すれば、コイン通路103に対し所定の距離ずれて支軸306が配置される。支軸306は、コイン通路103の延在線に対して正面視垂直方向に配置される。また、支軸306は、ゲート302よりもコイン通路103の下流側に配置される。換言すれば、支軸306は、ゲート302よりもコイン通路103の
コイン出口111側に配置される。
【0056】
図6および
図9に示すように、ゲート302は、第1ガイドレール104を構成する板状突
出部168上において、第1ガイド壁112に形成された貫通孔131を通って出没自在である。換言すれば、ゲート302は、コイン通路103に突出する位置P2と、コイン通路103から退出した位置P1に変位可能である。ゲート302は、板状突
出部168(すなわち、第1ガイドレール104)に隣接して配置される。換言すれば、ゲート302は、コイン通路103に突出した状態で、コイン通路103を転動するコインCの下端部周縁に接触可能な位置に配置される。
【0057】
ゲート302が突出位置P2に位置する場合、コイン通路103を転動するコインCはゲート302に接触して進行を阻まれてコイン通路103から排除される。ゲート302が退避位置P1に位置する場合、コイン通路103を転動するコインCはそのままゲート手段106を通過してコイン出口111を介して遊技機内に受け入れられる。換言すれば、ゲート302は、コイン排除位置として機能する突出位置P2と、コイン受入位置として機能する退出位置P1との間を変位可能である。
【0058】
図8および
図9に示すように、ゲート302は、コイン通路103に突出した場合にコイン通路103を横断し、かつ、コインCの進行方向(換言すれば、コイン通路103の延在方向)DRと対向する斜面303を有している。すなわち、コイン通路103の延在方向DRに垂直な垂直面を鉛直軸線の回りに所定角度回転した面からなる斜面303を有し、鉛直軸の上方から見て垂直面から斜面303に向かう角度が鋭角をなす。そのため、ゲート302に接触したコインCは、その斜面303に沿った方向に逸らされてコイン通路103から速やかに排除される。斜面303とコインCの進行方向に対する傾斜角度は、コインCを排除する能力がより高まるように適宜設定される。斜面303としては平面または湾曲面が適宜選択される。湾曲面は、例えば、突出位置P2においてコイン通路103側に突出する凸型湾曲面である。
【0059】
ゲート302は、軽量化および高い耐久性を実現するため、耐摩耗性を有するフッ素樹脂により形成され、好ましくは、ポリテトラフルオロエチレンにより形成される。低コストで軽量化と高い耐久性とを同時に実現できるからである。
【0060】
図4および
図8に示すように、係止部310は、第1ガイド壁112の背面においてその背面に平行に摺動可能に配置されたスライド部材312の係止溝314に係止されている。スライド部材312は支軸306に垂直な方向に延びるほぼ直方体の外形状を有し、係止溝314はスライド部材312の一端に設けられた2つの突起部313a、313bの間に形成されている。スライド部材312の他端には、支軸306に平行な方向に延びる被動片318が設けられている。
【0061】
第1ガイド壁112の背面に配置された駆動手段320は、アーマチャ324を有するソレノイド322である。ソレノイド322は、ネジ334によって枠体332に固定されている。アーマチャ324の先端はスライド部材312の被動片318に接続されている。アーマチャ324は、被動片318およびソレノイド322の間に配置されたスプリング326により、アーマチャ324が突出する方向に、換言すれば、被動片318がソレノイド322から遠ざかる方向に付勢されている。スプリング326の付勢力は、スライド部材312、係止部319および回動部308を介して揺動レバ302に伝わり、揺動レバ304を
図9の反時計方向に回動させ、ゲート302をコイン通路103に突出させる方向に作用する。
【0062】
(コイン検知手段)
図6に示すように、コイン検知手段107は、コイン通路103のコイン出口111近傍に配置され、ゲート302に排除されることなくゲート手段106を通過したコインCを検知する。コイン検知手段107は、透過型光電センサ、反射型光電センサ、磁気センサおよび接触センサ等使用することができ、複数配置することが好ましい。検知信号の出力順等を判別することにより、外部から挿入した不正用器具挿入による不正を判別できるからである。また、異なる方式のセンサを用いた場合、不正を行うには異なるセンサに対応して誤検知を生じるよう行わねばならないため、不正を一層困難にする利点がある。
【0063】
ここでは、コイン検知手段107は、コイン通路103の上流側に配置された透過型光電式の第1コインセンサ402と、それより下流側に配置された磁気式の第2コインセンサ404とを含んでいる。第1コインセンサ402は、コイン通路103を挟んで投光部と受光部とが配置されている。第2コインセンサ404は、コイン通路103を挟んでコイルが配置されている。第1および第2のコインセンサ402、404はセンサ
支持体406(
図5参照)を介して本体101に取り付けられている。
【0064】
(リジェクト手段)
リジェクト手段108は、コイン通路103においてジャムしたコインCをコイン通路103から排除する機能を有する。リジェクト手段108は、第1ガイド壁112に隣接して伸び、かつ、ピボット軸である支軸216に軸受(図示せず)が回動自在に取り付けられた板状の被動レバ504と、被動レバ504から下方へ伸びる押動レバ506とからなり、扉体102をリジェクト位置RPへ移動させる機能を有する。
【0065】
被動レバ504は、押動レバ506の下端部を扉体102の被動片144の先端に相対させながら、通常は自己モーメントにより
図10(A)において時計方向へ回動される。その状態で、
図10(B)に示すように、係止部505の端面が本体101の背面に係止され、
図10に示すように、扉体102がほぼ垂立状態のガイド位置GPに保持される。
【0066】
コインCがコイン通路103においてジャムして転動しなくなった場合、遊技機の返却レバ(図示せず)が操作される。その場合、被動レバ504の端部が押し下げられ、
図10(A)において反時計方向へ回動され、
図11(B)の状態まで回動される。これにより、押動レバ506が被動片144を押動するので、
図11に示すように、扉体102が回動されてリジェクト位置RPに位置する。この状態では、ガイドプレート164が第1ガイド壁112からコインCの厚み以上離れ、コイン通路103において転動出来なくなったコインCは第1ガイドレール104から落下する。そして、落下したコインCは、凹溝118内のリジェクト通路508を垂直方向へ落下してリジェクトされる。
【0067】
(選別直径変更手段)
図12〜
図17に示すように、選別直径変更手段109は、
コイン上端部側面ガイド206を構成する第1ガイド部材606および第2ガイド部材62
6と、第2ガイド部材62
6の保持手段として機能する保持体640とを含んでいる。選別直径変更手段109は、コイン選別手段105における選別直径を小径コイン用または大径コイン用(例えば、φ25mmまたはφ30.8mm)に設定変更する機能を有する。
【0068】
第1ガイド部材606は、平板状であり、第1ガイドレール104のコイン案内面180に沿って形成された下端面608を有し、その下端面608が第1ガイドレール104のコイン案内面180から所定の第1の間隔d1を有するように配置される(
図17)。第1ガイド部材606が大径コインの上端部側面を案内することができるように、第1の間隔は大径コインの選別直径よりも僅かに小さい寸法に設定されている。第1ガイド部材606は、第1ガイド壁112から第2ガイド壁132側に突出し、かつ、第1ガイドレール104に対向して設けられた支持部602に固定されている。
【0069】
支持部602の下面は、大径コインに対応するコイン案内面604であり、第1ガイドレール104のコイン案内面180に沿って形成されている。コイン案内面604は第1ガイドレール104のコイン案内面180から所定の間隔を有して配置され、選別直径が大径コイン用に設定された場合に支持部602が第2ガイドレール202として機能する。なお、支持部602は第1ガイド壁112と一体で形成されているが、別体で形成された支持部602を第1ガイド壁112に取り付けた構成とすることも可能である。
【0070】
第2ガイド部材626は、平板状であり、第1ガイドレール104のコイン案内面180に沿って形成された下端面628を有し、への字形の断面形状を有する保持体640にネジ(図示せず)により固定されている。
図12〜
図14は、選別直径が小径コインに設定された場合であり、この状態において、第2ガイド部材626の下端面628は、第1ガイドレール104のコイン案内面180から所定の第2の距離d2を有するように配置される(
図14)。
【0071】
保持体640は、第2ガイド部材62
6を支持する支持面648を有する第1部分642と、第1部分642の支持面648にほぼ平行な方向に延びると共に一端が第1部分642に接続された第2部分644と、第1部分642の支持面648に対して所定の角度をなす方向に延びると共に一端が第2部分644に接続された第3部分646と、を有している。第1、第2および第3の部分642、644、646は、一体に形成されている。なお、第1、第2および第3の部分642、644、646を別体として形成することもできるが、寸法精度およびコストの観点から一体で形成することが好ましい。
【0072】
第1部分642の先端には、第1ガイドレール104のコイン案内面180に対向する支持部622が形成されている。支持部622の下面は、小径コインに対応するコイン案内面624であり、第1ガイドレール104のコイン案内面180に沿って形成されている。コイン案内面624は第1ガイドレール104のコイン案内面180から所定の間隔を有して配置され、選別直径が小径コイン用に設定された場合に支持部622が第2ガイドレール202として機能する。
【0073】
第3部分646は、第2部分644(換言すれば、支持面648)に対して所定角度θで傾斜している(
図14参照)。第2部分644および第3部分646には、ネジ挿入孔652、654がそれぞれ形成されている(
図4参照)。
【0074】
第1ガイド壁112の背面には、ネジ挿入孔652、654のそれぞれに対応する位置にネジ穴(図示せず)を有する台座682が設けられている。保持体640は、ネジ挿入孔652、654のいずれか一方を使用して、対応する台座682のネジ穴にネジ660を挿入して固定される(
図4、
図14および
図17参照)。
【0075】
第1ガイド壁112には背面から正面に達する開口662が形成され、保持体640に支持された第2ガイド部材626が開口662を通ってコイン通路103内に出没可能である。換言すれば、第2ガイド部材626は、開口662を通ってコイン通路103の内外に移動可能である。
【0076】
ネジ挿入孔652にネジ660が挿入され、保持体640が第2部分644を介して台座628に固定された場合、
図12〜
図14に示すように、第2ガイド部材626が第1ガイドレール104と第1ガイド部材606の間に配置される。換言すれば、第2ガイド部材626は第1ガイドレール102から第1の間隔d1を有する第1の位置PS1に配置される。さらに換言すれば、第2ガイド部材626はコイン通路103に配置される。そのため、第2ガイド部材626がコインCの上端部側面を案内するガイドとして機能し、選別直径が小径コイン用に設定される。
【0077】
ネジ挿入孔654にネジ660が挿入され、保持体640が第3部分646を介して台座628に固定された場合、
図15〜
図17に示すように、第2ガイド部材626が第1ガイドレール104と第1ガイド部材606の間から排除される。換言すれば、第2ガイド
部材626はコイン通路103外の第2の位置PS2に配置される。そして、第1ガイド
部材60
6および支持部602がコイン通路103に配置される。そのため、第1ガイド部材606がコインCの上端部側面を案内するガイドとして機能し、選別直径が大径コイン用に設定される。
【0078】
第2ガイド部材626の上端面629には平面視三角形状の位置合わせ凸部672が形成され、第1ガイド部材60
6の下端面608には平面視三角形形状の位置合わせ凹部674が形成されている。位置合わせ凸部672および位置合わせ凹部674は、互いに噛み合い可能となる位置に配置され、かつ、形状を有している。第2ガイド部材626が第1の位置PS1に配置された場合に、位置合わせ凸部672および位置合わせ凹部674が噛み合うことにより、第2ガイド部材626が自動的に位置決めされる。
【0079】
(コインセレクタの動作)
遊技機が受入拒否状態の時、ソレノイド322が消磁され、アーマチャ324はスプリング326の付勢力により突出されている。これにより、揺動レバ304が
図9の反時計方向に回動され、ゲート302は突出位置P2の位置に保持される。
【0080】
コイン入口110にコインCが投入され、かつ、そのコインCが真正コインである場合、コインCは第1ガイド壁112、第2ガイド壁132、第1ガイドレール104および第2ガイドレール202のそれぞれのコイン案内面113、133、180、204に案内されながらコイン通路103を転動する。この時、コインCの上端部側面はコイン上端部側面ガイド206によって案内され、コインCの下端部側面は第2ガイド壁132のコイン案内面133に案内される。そのため、コイン選別手段105の逸らせ体212から横方向に押す力が作用しても、そのままコイン通路103を転動してゲート手段106に達する。
【0081】
こうしてゲート手段106に達したコインCは突出位置P2に位置するゲート302に接触し、コインCの下端部周縁がゲート302の斜面303に沿って逸らされる。この際、コインCに上向きの力が作用してゲート302を乗り越えようとしても、第2ガイドレール202のコイン案内面204がコインCの上方への移動量を規制する。その結果、コインCは下端部周縁側から徐々に外側に向かう力が作用してコイン通路103の外部に排除され、リジェクト通路508に落下する。
【0082】
コイン入口110に投入されたコインCが小径の偽コインである場合、第1ガイドレール104上を転動したコインCは、コイン選別手段105においてコイン上端部側面ガイド206に案内されず、逸らせ体212の横方向から押す力によりコイン落下開口135からコイン通路103外に押し出され、リジェクト通路508に落下する。
【0083】
コイン入口110に投入されたコインCが大径の偽コインである場合、第1ガイドレール104および第2ガイドレール202の間に挟まり、コイン通路103を転動できない。この場合、リジェクト手段108が適用され、コインCが排除される。すなわち、遊技機の返却レバの操作により被動レバ504が
図10(A)の反時計方向に回動され、
図11(A)の位置へ回動される。これにより、押動レバ506の下端は被動片144を押動し、扉体102を軸線L1回りに回動させてリジェクト位置RPへ回動させる(
図11(A)および(B)参照)。その結果、扉体102のガイドプレート164と本体101のコイン案内面113との間にはコインCの厚み以上の間隔が形成され、動けなくなったコインCが第1ガイドレール104からリジェクト通路508に落下する。
【0084】
遊技機が受入許可状態の時、ソレノイド322が励磁され、アーマチャ324はスプリング326の付勢力に抗してソレノイド322側に移動している。そのため、揺動レバ304が
図9の時計方向に回動され、ゲート302は退避位置P1の位置に保持される。
【0085】
この状態でコイン入口からコインCが投入され、かつ、そのコインCが真正コインである場合、受入拒否状態の時と同様に、コインCは第1ガイドレール104上を転動してコイン選別手段105で排除されることなくゲート手段106に達する。そして、コインCはゲート302で排除されることなくゲート手段106を通過し、コイン検知手段107で通過を検知された後、コイン出口111を介して遊技機に受け入れられる。
【0086】
コイン検知手段107では、コインCが第1コインセンサ402の透過光を遮断するので第1コインセンサ402が検知信号を出力し、直後に第2コインセンサ404が金属製のコインCを検知して検知信号を出力する。これら検知信号は、真正コインの数量カウント等に用いられる。
【0087】
コイン入口110に投入されたコインCが小径の偽コインである場合や大径の偽コインである場合は、受入拒否状態の時と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0088】
遊技機が受入許可状態から受入拒否状態に変更された時、ソレノイド322が励磁状態から消磁状態に変化する。これにより、スプリング326の付勢力によって揺動レバ304が
図9の反時計方向に回動され、ゲート302が退避位置P1から突出位置P2に変位する。特に、コインCがコイン入口110に連続的に投入されている状態で、受入許可状態から受入拒否状態に変更された場合、コイン通路103には転動中のコインCが存在することになるので、ゲート手段106には高い応答速度が要求される。
【0089】
この実施例のコインセレクタ100では、ゲート302が退避位置(すなわち、コイン受入位置)P1から突出位置(すなわち、コイン排除位置)P2へ変位する際に、ゲート302がコイン通路103を転動中のコインCと接触すると、ゲート302にはコインCの進行方向に向かう力が作用する。ゲート302は回動可能に支持された揺動レバ304の先端に設けられているので、ゲート302に作用する力は揺動レバ304を回動させる。揺動レバの304を支持する支軸306はゲート302よりもコインCの進行方向下流側に設けられるので、この場合にはゲート302を突出させる方向に揺動レバ304が回動する。すなわち、転動中のコインCの周面がゲート302の斜面303に衝突した場合、ゲート302は偏心位置に力を受けるので、その偏心側に回動される。
図9において反時計方向に回動され、コイン通路103に突出するようストッパによって停止されるまで回動される。したがって、コインCの転動速度に比例した力がゲート302を突出させる方向に作用する。そのため、ゲート302が退避位置(すなわち、コイン受入位置)P1から突出位置(すなわち、コイン排除位置)
P2へ変位する時間が短縮され、コイン排除動作の応答速度が十分に速くなり、ゲート手段106としての信頼性が向上する。
【0090】
また、揺動レバ304の先端にゲート302を設けるという簡単な構成であるため、小型化が可能となり、ゲート302の耐久性を高めるために耐摩耗性を有する材料を使用してもコストアップを十分に抑制できる。すなわち、コストを抑制しながら、耐久性を高めることができる。
【0091】
(選別直径の変更方法)
選別直径を小径コイン用に設定する場合、
図4、
図12〜
図14に示すように、第2ガイド部材626は、ネジ挿入孔652に挿入されたネジ660により、保持体640の第2部分644および台座682を介して第1ガイド壁112の背面に固定される。そのため、保持体640が開口662を通って第1ガイド壁112の背面から正面に延在し、第2ガイド部材626および保持体640の支持部602がコイン通路103内に配置される。すなわち、第2ガイド部材626が第1の位置PS1に配置され、選別直径が小径コイン用に設定される。
【0092】
第2ガイド部材626を第1の位置PS1に配置する際、第2ガイド部材626の位置合わせ凸部672を第1ガイド部材606の位置合わせ凹部674に噛み合せながら、保持体640が第1ガイド壁112の背面に固定される。したがって、第2ガイド部材626は、第1ガイド部材606に対して自動的に位置決めされる。換言すれば、第2ガイド部材626は、第1ガイド部材606を介して、第1ガイド壁112に対して自動的に位置決めされる。そのため、第2ガイド部材626の位置合わせを容易かつ高精度に行うことができる。
【0093】
選別直径を大径コイン用に設定する場合、
図15〜
図17に示すように、第2ガイド部材626は、ネジ挿入孔654に挿入されたネジ660により、保持体640の第3部分646および台座682を介して第1ガイド壁112の背面に固定される。そのため、保持体640が開口662を通って第1ガイド壁112の正面から背面に移動し、第2ガイド部材626および保持体640の支持部602がコイン通路103から退出され、コイン通路103外に配置される。すなわち、第2ガイド部材626が第2の位置PS2に配置され、選別直径が大径コイン用に設定される。
【0094】
第1ガイド壁112に固定される部分を第2部分644から第3部分646に変更する際、
図14および
図17に示すように、保持体640による下方へのスライド移動と背面側への回転移動がなされ、第2ガイド部材626が開口662を通って第1ガイド壁112の背面側に収納される。そのため、簡単な操作で選別直径の変更が可能であり、部品の交換も必要としない。しかも、スライド移動および回転移動が組み合されたことにより、第2ガイド部材626の移動に必要な空間が小さく、スペースの利用効率が高く小型化が可能である。