【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、鋭意検討の結果、基体部とその先端に接触部を備えたクリーニングブレードを用い、また該クリーニングブレードを像担持体または転写体と適切な当接角度や当接圧力にて配設することにより、耐摩耗性にも優れ、長期のクリーニング性も良好なクリーニングブレード及び画像形成装置を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明に係るクリーニングブレードは、像担持体または転写体上の残留トナーを除去するためのクリーニングブレードであって、前記クリーニングブレードは基体部の先端に接触部を備え、初期には前記接触部のみが前記像担持体または転写体と接触し、前記基体部のショアD硬度が50以上80以下であり、ASTM D 1894の動摩擦係数が0.4以下であり、また前記接触部のショアA硬度が1以上70以下であり、摩擦速度2000mm/分におけるヘイドン式対ポリカーボネート動摩擦係数が1.2以下であることを特徴とするクリーニングブレードである。
【0012】
本発明に用いるクリーニングブレードの基体部は、像担持体表面を傷付けないが、像担持体と接触しても摩耗しない程度の硬度を有し、ブレードめくれやビビリが発生しない程度の滑り性を有していれば良く、それ以外は特には限定されない。
【0013】
前記基体部の材質は、特には限定されないが、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)やフッ素樹脂を好適に用いることができる。
【0014】
前記基体部に用いられるフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETEF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などが挙げられる。中でもPFAは耐摩耗性に優れることから好適に用いられる。
【0015】
前記基体部のショアD硬度は、50以上80以下であることが好ましい。さらには60以上70以下であることが好ましい。50以上であると摩耗を防ぐことができる。80以下であると像担持体表面を傷付けない。
【0016】
前記基体部のASTM D 1894の動摩擦係数は、0.4以下であることが好ましい。さらには0.3以下であることが好ましい。0.4以下であると像担持体表面上での滑り性が良好である。
【0017】
前記基体部の摩耗減量は、0.004g/時間以下であることが好ましい。0.004g/時間であるとほとんど摩耗しない。
【0018】
前記基体部の先端角度は、15度以上80度以下であることが好ましい。さらには20度以上60度以下であることが好ましい。さらには30度以上50度以下であることが好ましい。15度以上であると先端部の機械的強度が得られ、当接圧による先端部の反り返りが抑えられ、トナーすり抜け等の不具合が生じない。80度以下であると残留トナーが堆積せず掻き取ることができる。
【0019】
前記基体部には、像担持体の表面に触れない部分に金属やセラミックス等の補強部を取り付けることができる。
【0020】
本発明に用いるクリーニングブレードの接触部は、クリーニングブレードと像担持体の隙間を無くせる程度の硬度を有し、ブレードめくれやビビリが発生しない程度の滑り性を有していれば良く、それ以外は特には限定されない。
【0021】
前記接触部のショアA硬度は、1以上70以下であることが好ましい。さらには10以上60以下であることが好ましい。さらには20から50であることが好ましい。1以上であるとタック感がそれほど無くブレードが巻き込むことも無い。70以下であると像担持体を傷付けることなく、またクリーニングブレードと像担持体または転写体表面との微小な隙間を埋めることができ良好なクリーニング性が得られる。
【0022】
前記接触部の摩擦速度2000mm/分におけるヘイドン式対ポリカーボネート動摩擦係数が1.2以下であることが好ましい。さらには1.0以下であることが好ましい。1.2以下であると像担持体表面上での滑り性が良好である。
【0023】
前記接触部の材質は、特には限定されないが、滑り性を有する弾性体が好ましく、フッ素ゴムや、シリコーンゴム等のゴム材料にフッ素樹脂等の滑り性付与剤を添加しても良い。
【0024】
前記接触部の厚みは、20μm以上500μm以下であることが好ましい。さらには20μm以上300μm以下であることが好ましい。20μm以上であると十分な耐久性が得られ、クリーニングブレードと像担持体または転写体表面との微小な隙間を埋めることができ良好なクリーニング性が得られる。500μm以下であると掻き取り性が損なわれない。
【0025】
前記接触部の材質が、シリコーンゴムとフッ素樹脂の混合物であった場合、前記混合物に対するフッ素樹脂の配合割合は20体積%以上80体積%以下であることが好ましい。さらには30体積%以上60体積%以下であることが好ましい。20体積%以上であると像担持体または転写体表面との滑り性が良好でビビリ等の不具合が生じない。80体積%以下であると柔軟性が得られ、クリーニングブレードと像担持体または転写体表面との微小な隙間を埋めることができ良好なクリーニング性が得られる。
【0026】
前記接触部の製造方法は、液状シリコーンゴム等にフッ素樹脂粉末等を必要量配合し、プロペラ式攪拌装置、ロールミル、混練機等で均一に分散するまで攪拌混合する。こうして得られた混合液を塗布、加熱硬化することにより、ゴム弾性を有する接触部用の材料が得られる。
【0027】
前記基体部に前記接触部を接着する方法としては、特には限定されないが、基体部の表面をコロナ処理、プラズマ処理、ブラスト処理、エッチング処理、研磨処理等した後、プライマーやシランカップリング剤等の接着用材料を塗布乾燥し、その後接触部を貼付ける方法が用いられる。
【0028】
本発明のクリーニングブレードを用いる電子写真画像形成装置は、像担持体または転写体にクリーニングブレードを適切な当接角度と当接圧力で配設する。当接角度とは、像担持体または転写体の接線とクリーニングブレードのトナーと接する側の面との角度を言う。また、当接圧力とは、クリーニングブレードを像担持体に押し当てる線圧力を言う。
【0029】
像担持体または転写体の材質は、特に限定されないが、一般的に用いられるものとして、ポリカーボネート、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等が挙げられる。
【0030】
前記クリーニングブレードと前記像担持体または転写体表面との当接角度は、100度以上165度以下であることが好ましい。
【0031】
前記クリーニングブレードと前記像担持体または転写体表面との当接圧力は、5g/cm以上500g/cm以下であることが好ましい。