(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両用シートには、例えば、倒す側と起こす側に可動可能なシートバックや、下垂する側と(足を)持ち上げる側に可動可能なオットマンや、上昇側と下降側に可動可能なシートクッション等、複数の可動部が設けられることがある。そして、例えば、各可動部に対してそれぞれ電動モータを2個設け、同時に複数の可動部を駆動させる際、複数の可動部を全て2個の電動モータの駆動力で駆動する場合が考えられるが、このような場合では同時に流れる全体の駆動電流量が増大してしまうことになる。このことは、例えば、車両用シートに繋がる電源線の径を太くする必要を生じさる原因となったり、車両に設けられる他の電動装置の誤動作を招く原因となる。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、車両用シートに同時に流れる全体の駆動電流量を低減することができる車両用シート装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1
乃至4に記載の発明では、車両用シートに、それぞれ正逆可動可能に設けられる複数の可動部と、共同して前記可動部を駆動可能となるように、各可動部に対してそれぞれ2個設けられる電動モータと、前記電動モータを制御する制御部とを備え、前記制御部は、同時に複数の前記可動部を駆動させる際、少なくとも1つの前記可動部を1個の前記電動モータの駆動力のみで駆動させるように制御することを要旨とする。
【0007】
同構成によれば、同時に複数の可動部を駆動させる際、制御部によって、少なくとも1つの可動部が1個の電動モータの駆動力のみで駆動されるように制御されるため、全ての可動部がそれぞれ2個の電動モータの駆動力で駆動される場合に比べて、車両用シートに同時に流れる全体の駆動電流量を低減することができる。よって、例えば、車両用シートに繋がる電源線の径を細くすることができる。又、例えば、車両に設けられる他の電動装置の誤動作が防止される。
【0008】
請求項
1に記載の発明では、
更に、前記可動部は、その正方向の可動が低負荷となり、その逆方向の可動が高負荷となるものであって、前記制御部は、同時に複数の前記可動部を駆動させる際、正方向に駆動させる前記可動部を1個の前記電動モータの駆動力のみで駆動させるように制御することを要旨とする。
【0009】
同構成によれば、制御部は、同時に複数の可動部を駆動させる際、低負荷となる正方向に駆動させる可動部を1個の電動モータの駆動力のみで駆動させるように制御するため、その駆動に大きな支障をきたすことなく全体の駆動電流量を低減することができる。尚、高負荷となる逆方向に駆動させる可動部は2個の電動モータの駆動力で駆動させることで、その駆動に支障が生じない。
【0010】
請求項
2に記載の発明では、
更に、前記各可動部に対してそれぞれ設けられる2個の前記電動モータは、その一方のみが自身の駆動量を検出可能なセンサを有し、前記制御部は、前記可動部を1個の前記電動モータの駆動力のみで駆動させる際、前記センサを有した一方の前記電動モータを駆動させるように制御することを要旨とする。
【0011】
同構成によれば、制御部は、可動部を1個の電動モータの駆動力のみで駆動させる際、自身の駆動量を検出可能なセンサを有した一方の電動モータを駆動させるため、可動部の可動量(位置)が不明確となることがない。
【0012】
請求項
3に記載の発明では、
更に、1つの前記可動部に対して設けられる2個の前記電動モータは、その一方のみが自身の駆動量を検出可能なセンサを有し、前記制御部は、前記可動部を2個の前記電動モータの駆動力で駆動させる際、前記センサを有した一方の前記電動モータを他方よりも先に駆動させるように制御することを要旨とする。
【0013】
同構成によれば、制御部は、可動部を2個の電動モータの駆動力で(共同して)駆動させる際、自身の駆動量を検出可能なセンサを有した一方の電動モータを他方よりも先に駆動させるように制御するため、逆にセンサを有していない他方の電動モータを先に駆動させる場合に比べて、可動部の可動量(位置)を精度良く検出することができる。即ち、センサを有していない他方の電動モータを先に駆動させ、続いて(僅かに遅れて)センサを有した一方の電動モータを駆動させると、前記他方の電動モータによる可動部の僅かな可動が一方の電動モータが有したセンサに検出されず、検出した可動部の可動量(位置)の精度が低くなる虞があるが、これを回避することができる。
【0014】
請求項
4に記載の発明では、
更に、1つの前記可動部に対して設けられる2個の前記電動モータは、その一方のみが自身の駆動量を検出可能なセンサを有し、前記制御部は、前記可動部を2個の前記電動モータの駆動力で駆動させる際、前記センサを有した一方の前記電動モータを他方よりも後に停止させるように制御することを要旨とする。
【0015】
同構成によれば、制御部は、可動部を2個の電動モータの駆動力で(共同して)駆動させる際、自身の駆動量を検出可能なセンサを有した一方の電動モータを他方よりも後に停止させるように制御するため、逆にセンサを有していない他方の電動モータを後に停止させる場合に比べて、可動部の可動量(位置)を精度良く検出することができる。即ち、センサを有した一方の電動モータを先に停止させ、続いて(僅かに遅れて)センサを有していない他方の電動モータを停止させると、前記他方の電動モータによる可動部の僅かな可動が一方の電動モータが有したセンサに検出されず、検出した可動部の可動量(位置)の精度が低くなる虞があるが、これを回避することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、車両用シートに同時に流れる全体の駆動電流量を低減することができる車両用シート装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を
図1〜
図3に従って説明する。
図1に示すように、車両用シート1は、車両フロア上に設けられる後部座席であって、シートクッション2と、シートクッション2の後端部において回動可能に支持された可動部としてのシートバック3と、シートクッション2の前端部において回動可能に支持された可動部としてのオットマン4とを備えている。シートバック3は、シートクッション2の後端部において回動可能に支持されることで倒す側の動作(正方向の可動)と、起こす側の動作(逆方向の可動)とが可能とされている。又、オットマン4は、シートクッション2の前端部において回動可能に支持されることで下垂する側の動作(正方向の可動)と、(足を)持ち上げる側の動作(逆方向の可動)とが可能とされている。
【0019】
又、車両用シート1には、共同してシートバック3を駆動可能となるようにシートバック3に対して2個の電動モータ11A,11Bが設けられている。本実施の形態の2個の電動モータ11A,11Bは、車両用シート1の両側(車両幅方向の両側)に配置されている。そして、それら電動モータ11A,11Bの出力軸は、連結ロッド12を介して連結されるとともに、その駆動力(回転力)がシートクッション2に対してシートバック3を回動させるように連結されている。又、シートバック3に対して設けられる2個の電動モータ11A,11Bの内の一方の電動モータ11Aには、自身の駆動量、ひいてはシートバック3の可動量(位置)を検出可能なセンサとしての回転センサ13が設けられている。
【0020】
又、車両用シート1には、共同してオットマン4を駆動可能となるようにオットマン4に対して2個の電動モータ21A,21Bが設けられている。本実施の形態の2個の電動モータ21A,21Bは、車両用シート1の両側(車両幅方向の両側)に配置されている。そして、それら電動モータ21A,21Bの出力軸は、連結ロッド22を介して連結されるとともに、その駆動力(回転力)がシートクッション2に対してオットマン4を回動させるように連結されている。又、オットマン4に対して設けられる2個の電動モータ21A,21Bの内の一方の電動モータ21Aには、自身の駆動量、ひいてはオットマン4の可動量(位置)を検出可能なセンサとしての回転センサ23が設けられている。
【0021】
又、車両用シート1には、前記電動モータ11A,11B,21A,21Bを制御する制御部としてのECU31が設けられている。ECU31には、前記電動モータ11A,11B,21A,21B(回転センサ13,23を含む)と、操作手段としての操作スイッチ32と、図示しない車両用バッテリから車両用シート1に繋がる電源線等が電気的に接続されている。操作スイッチ32は、例えば、シートクッション2の一側面に露出した態様で設けられ、ECU31は、操作スイッチ32の操作に応じて前記電動モータ11A,11B,21A,21Bを制御することになる。
【0022】
又、本実施の形態の操作スイッチ32は、シートクッション2に対してシートバック3を回動させるためのスイッチやシートクッション2に対してオットマン4を回動させるためのスイッチの他、車両用シート1をリラックスモードとするための専用のスイッチを有する。
【0023】
そして、ECU31は、リラックスモードとするための操作に応じて、
図2(a)に示すように、シートバック3を低負荷となる倒す側に1個の電動モータ11Aの駆動力のみで駆動させるとともに、オットマン4を高負荷となる持ち上げる側に2個の電動モータ21A,21Bの駆動力で駆動させる。
【0024】
詳述すると、ECU31は、リラックスモードとするための操作に応じて、
図3(a)に示すステップS1〜S8の処理を実行する。尚、
図3(a)におけるステップS1〜S3はシートバック3と対応した電動モータ11A,11Bに対する処理であって、ステップS4〜S8はオットマン4に対応した電動モータ21A,21Bに対する処理であり、それらの処理は同時に並列して行われる。
【0025】
ステップS1において、ECU31は、
図2(a)に示すように、シートバック3を低負荷となる倒す側に駆動すべく1個の電動モータ11Aのみに駆動電流を供給させ、次のステップS2に移行する。尚、このとき、ECU31は、回転センサ13を有した一方の電動モータ11Aを駆動させる。
【0026】
ステップS2において、ECU31は、前記回転センサ13の検出信号に基づいて、シートバック3の位置(角度)が予め設定されたリラックスモードの停止位置(角度)と一致すると、ステップS3に移行して、電動モータ11Aを停止させるべくその駆動電流の供給を停止させる。
【0027】
一方、ステップS4において、ECU31は、
図2(a)に示すように、オットマン4を高負荷となる持ち上げる側に駆動すべく、回転センサ23を有した一方の電動モータ21Aに他方の電動モータ21Bよりも先に駆動電流を供給させ、次のステップS5において、他方の電動モータ21Bに駆動電流を供給させて、次のステップS6に移行する。尚、本実施の形態では、一方の電動モータ21Aに駆動電流を供給させてから、他方の電動モータ21Bに駆動電流を供給させるまでの間隔は、例えば、50msec(ミリ秒)〜100msec(ミリ秒)に設定されている。
【0028】
ステップS6において、ECU31は、前記回転センサ23の検出信号に基づいて、オットマン4の位置(角度)が予め設定されたリラックスモードの停止位置(角度)と一致すると、ステップS7に移行する。そして、ステップS7において、ECU31は、回転センサ23を有していない他方の電動モータ21Bを一方の電動モータ21Aよりも先に停止させるべくその駆動電流の供給を停止させ、次のステップS8において、一方の電動モータ21Aを停止させるべくその駆動電流の供給を停止させる。尚、本実施の形態では、他方の電動モータ21Bへの駆動電流の供給を停止させてから、一方の電動モータ21Aへの駆動電流の供給を停止させるまでの間隔は、例えば、50msec(ミリ秒)〜100msec(ミリ秒)に設定されている。
【0029】
このようにして、車両用シート1はリラックスモードとされる。
又、ECU31は、以後、リラックスモードから通常モードとするための操作に応じて、
図2(b)に示すように、シートバック3を高負荷となる起こす側に2個の電動モータ11A,11Bの駆動力で駆動させるとともに、オットマン4を低負荷となる下垂する側に1個の電動モータ21Aの駆動力のみで駆動させる。
【0030】
詳述すると、ECU31は、リラックスモードから通常モードとするための操作に応じて、
図3(b)に示すステップS11〜S18の処理を実行する。尚、
図3(b)におけるステップS11〜S15はシートバック3と対応した電動モータ11A,11Bに対する処理であって、ステップS16〜S18はオットマン4に対応した電動モータ21A,21Bに対する処理であり、それらの処理は同時に並列して行われる。
【0031】
ステップS11において、ECU31は、
図2(b)に示すように、シートバック3を高負荷となる起こす側に駆動すべく、回転センサ13を有した一方の電動モータ11Aに他方の電動モータ11Bよりも先に駆動電流を供給させ、次のステップS12において、他方の電動モータ11Bに駆動電流を供給させて、次のステップS13に移行する。尚、本実施の形態では、一方の電動モータ11Aに駆動電流を供給させてから、他方の電動モータ11Bに駆動電流を供給させるまでの間隔は、例えば、50msec(ミリ秒)〜100msec(ミリ秒)に設定されている。
【0032】
ステップS13において、ECU31は、前記回転センサ13の検出信号に基づいて、シートバック3の位置(角度)がリラックスモードとなる前の元の通常モードの停止位置(角度)と一致すると、ステップS14に移行する。そして、ステップS14において、ECU31は、回転センサ13を有していない他方の電動モータ11Bを一方の電動モータ11Aよりも先に停止させるべくその駆動電流の供給を停止させ、次のステップS15において、一方の電動モータ11Aを停止させるべくその駆動電流の供給を停止させる。尚、本実施の形態では、他方の電動モータ11Bへの駆動電流の供給を停止させてから、一方の電動モータ11Aへの駆動電流の供給を停止させるまでの間隔は、例えば、50msec(ミリ秒)〜100msec(ミリ秒)に設定されている。
【0033】
一方、ステップS16において、ECU31は、
図2(b)に示すように、オットマン4を低負荷となる下垂する側に駆動すべく1個の電動モータ21Aのみに駆動電流を供給させ、次のステップS17に移行する。尚、このとき、ECU31は、回転センサ23を有した一方の電動モータ21Aを駆動させる。
【0034】
ステップS17において、ECU31は、前記回転センサ23の検出信号に基づいて、オットマン4の位置(角度)がリラックスモードとなる前の元の通常モードの停止位置(角度)と一致すると、ステップS18に移行して、電動モータ21Aを停止させるべくその駆動電流の供給を停止させる。
【0035】
このようにして、車両用シート1はリラックスモードから通常モードとされる。
次に、上記実施の形態の特徴的な作用効果を以下に記載する。
(1)同時に複数の可動部(シートバック3とオットマン4)を駆動させる際、ECU31によって、1つの可動部(シートバック3又はオットマン4)が1個の電動モータ11A,21Aの駆動力のみで駆動されるように制御される。よって、複数の可動部(シートバック3とオットマン4)がそれぞれ2個の電動モータ11A,11B,21A,21Bの駆動力で同時に駆動される場合に比べて、車両用シート1に同時に流れる全体の駆動電流量を低減することができる。よって、例えば、車両用シート1に繋がる電源線の径を細くすることができる。又、例えば、車両に設けられる他の電動装置の誤動作が防止される。
【0036】
(2)ECU31は、同時に複数の可動部(シートバック3とオットマン4)を駆動させる際、低負荷となる正方向に駆動させる可動部(シートバック3又はオットマン4)を1個の電動モータ11A,21Aの駆動力のみで駆動させるように制御する。よって、その駆動に大きな支障(例えば、トルクが足りずに動かなくなる等)をきたすことなく全体の駆動電流量を低減することができる。尚、高負荷となる逆方向に駆動させる可動部(シートバック3又はオットマン4)は2個の電動モータ11A,11B,21A,21Bの駆動力で駆動させるため、その駆動に支障が生じない。
【0037】
(3)ECU31は、可動部(シートバック3又はオットマン4)を1個の電動モータ11A,21Aの駆動力のみで駆動させる際、自身の駆動量、ひいては可動部(シートバック3又はオットマン4)の可動量(位置)を検出可能な回転センサ13,23を有した一方の電動モータ11A,21Aを駆動させる。よって、その可動部(シートバック3又はオットマン4)の可動量(位置)が不明確となることがない。
【0038】
(4)ECU31は、可動部(シートバック3又はオットマン4)を2個の電動モータ11A,11B,21A,21Bの駆動力で(共同して)駆動させる際、自身の駆動量を検出可能な回転センサ13,23を有した一方の電動モータ11A,21Aを他方よりも先に駆動させるように制御する。よって、逆に回転センサ13,23を有していない他方の電動モータ11B,21Bを先に駆動させる場合に比べて、可動部(シートバック3又はオットマン4)の可動量(位置)を精度良く検出することができる。即ち、前記他方の電動モータ11B,21Bを先に駆動させると、他方の電動モータ11B,21Bによる可動部(シートバック3又はオットマン4)の僅かな可動が回転センサ13,23に検出されず、検出した可動部(シートバック3又はオットマン4)の可動量(位置)の精度が低くなる虞があるが、これを回避することができる。
【0039】
(5)ECU31は、可動部(シートバック3又はオットマン4)を2個の電動モータ11A,11B,21A,21Bの駆動力で(共同して)駆動させる際、自身の駆動量を検出可能な回転センサ13,23を有した一方の電動モータ11A,21Aを他方よりも後に停止させるように制御する。よって、逆に回転センサ13,23を有していない他方の電動モータ11B,21Bを後に停止させる場合に比べて、可動部(シートバック3又はオットマン4)の可動量(位置)を精度良く検出することができる。即ち、前記一方の電動モータ11A,21Aを先に停止させると、前記他方の電動モータ11B,21Bによる可動部(シートバック3又はオットマン4)の僅かな可動が回転センサ13,23に検出されず、検出した可動部(シートバック3又はオットマン4)の可動量(位置)の精度が低くなる虞があるが、これを回避することができる。
【0040】
(6)ECU31は、操作スイッチ32によるリラックスモードの操作に応じて、シートバック3を低負荷となる倒す側に1個の電動モータ11Aの駆動力のみで駆動させるとともに、オットマン4を高負荷となる持ち上げる側に2個の電動モータ21A,21Bの駆動力で駆動させる。よって、自動的に各駆動に大きな支障をきたすことなく全体の駆動電流量を低減することができる。
【0041】
又、ECU31は、以後、操作スイッチ32の通常モードの操作に応じて、シートバック3を高負荷となる起こす側に2個の電動モータ11A,11Bの駆動力で駆動させるとともに、オットマン4を低負荷となる下垂する側に1個の電動モータ21Aの駆動力のみで駆動させる。よって、この場合も、自動的に各駆動に大きな支障をきたすことなく全体の駆動電流量を低減することができる。
【0042】
(7)シートバック3を倒す側に駆動させる際とオットマン4を下垂する側に駆動させる際は、1個の電動モータ11A,21Aの駆動力のみで駆動させるため、シートバック3又はオットマン4と車両フロアとの間に何かが挟まったとしても、それに加わる力が(2個の電動モータ11A,11B,21A,21Bで駆動した場合より)小さくなる。
【0043】
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、対象となる可動部をシートバック3とオットマン4としたが、車両用シート1に設けられる他の可動部(例えば、上下に可動可能なシートクッション2やヘッドレスト、車両フロアに対して前後方向に可動可能なシートクッション2(車両用シート1自体)等)に変更してもよいし、勿論、それらを組み合わせて実施してもよい。
【0044】
例えば、
図4(a),(b)に示すように、この例(
図4参照)の車両用シート1には、共同してシートクッション2を(上下に)駆動可能となるように2個の電動モータ41A,41Bが設けられている。又、シートクッション2に対して設けられる2個の電動モータ41A,41Bの内の一方の電動モータ41Aには、自身の駆動量、ひいてはシートクッション2の上下の可動量(位置)を検出可能なセンサとしての図示しない回転センサが設けられている。
【0045】
そして、ECU31は、車高の高い車両からの降車時に、乗員が降りやすくなるように、
図4(a)に示すように、シートバック3を高負荷となる起こす側に2個の電動モータ11A,11Bの駆動力で駆動させるとともに、シートクッション2を低負荷となる下降する側に1個の電動モータ41Aの駆動力のみで駆動させる。尚、上記した制御は、車高の高い車両からの降車時であって、例えば、そのためのスイッチの操作や、エンジンが停止され且つシートベルトがバックルから外されたことに応じて、実行される。
【0046】
又、ECU31は、以後、乗車後に、降車前の元の位置(通常モード)となるように、
図4(b)に示すように、シートバック3を低負荷となる倒す側に1個の電動モータ11Aの駆動力で駆動させるとともに、シートクッション2を高負荷となる上昇する側に2個の電動モータ41A,41Bの駆動力で駆動させる。尚、上記した制御は、乗車後であって、例えば、そのためのスイッチの操作や、シートベルトがバックルに装着されたことに応じて、実行される。
【0047】
このようにしても、車両用シート1に同時に流れる全体の駆動電流量を低減することができ、上記実施の形態の効果と同様の効果を得ることができる。
又、例えば、ECU31は、車高の低い車両からの降車時に、乗員が降りやすくなるように、
図5(a)に示すように、シートクッション2を高負荷となる上昇する側に2個の電動モータ41A,41Bの駆動力で駆動させるとともに、オットマン4を低負荷となる下垂する側に1個の電動モータ21Aの駆動力のみで駆動させる。尚、上記した制御は、車高の低い車両からの降車時であって、例えば、そのためのスイッチの操作や、エンジンが停止され且つシートベルトがバックルから外されたことに応じて、実行される。
【0048】
又、ECU31は、以後、乗車後に、降車前の元の位置(通常モード)となるように、
図5(b)に示すように、シートクッション2を低負荷となる下降する側に1個の電動モータ41Aの駆動力で駆動させるとともに、オットマン4を高負荷となる持ち上げる側に2個の電動モータ21A,21Bの駆動力で駆動させる。尚、上記した制御は、乗車後であって、例えば、そのためのスイッチの操作や、シートベルトがバックルに装着されたことに応じて、実行される。
【0049】
このようにしても、車両用シート1に同時に流れる全体の駆動電流量を低減することができ、上記実施の形態の効果と同様の効果を得ることができる。
又、例えば、ECU31は、リラックスモードとするための操作に応じて、
図6(a)に示すように、シートバック3を低負荷となる倒す側に1個の電動モータ11Aの駆動力のみで駆動させるとともに、シートクッション2を高負荷となる上昇する側に2個の電動モータ41A,41Bの駆動力で駆動させる。尚、シートバック3を倒すとともに、シートクッション2の上昇させることは、リラックスモードとした際の前方視認性の悪化を防ぐことになる。
【0050】
又、ECU31は、以後、リラックスモードから通常モードとするための操作に応じて、
図6(b)に示すように、シートバック3を高負荷となる起こす側に2個の電動モータ11A,11Bの駆動力で駆動させるとともに、シートクッション2を低負荷となる下降する側に1個の電動モータ41Aの駆動力のみで駆動させる。
【0051】
このようにしても、車両用シート1に同時に流れる全体の駆動電流量を低減することができ、上記実施の形態の効果と同様の効果を得ることができる。
又、同時に駆動させる複数の可動部は、3つ以上であってもよい。
【0052】
例えば、ECU31は、リラックスモードとするための操作に応じて、
図7(a)に示すように、シートバック3を低負荷となる倒す側に1個の電動モータ11Aの駆動力のみで駆動させるとともに、オットマン4を高負荷となる持ち上げる側に2個の電動モータ21A,21Bの駆動力で駆動させる。またそのとき同時に、ECU31は、シートクッション2を高負荷となる上昇する側に2個の電動モータ41A,41Bの駆動力で駆動させる。
【0053】
又、ECU31は、以後、リラックスモードから通常モードとするための操作に応じて、
図7(b)に示すように、シートバック3を高負荷となる起こす側に2個の電動モータ11A,11Bの駆動力で駆動させるとともに、オットマン4を低負荷となる下垂する側に1個の電動モータ21Aの駆動力のみで駆動させる。またそのとき同時に、ECU31は、シートクッション2を低負荷となる下降する側に1個の電動モータ41Aの駆動力のみで駆動させる。
【0054】
このようにすると、リラックスモードとする際には、全部で5個の電動モータ11A,21A,21B,41A,41Bを駆動することになり、それぞれ2個の電動モータ11A,11B,21A,21B,41A,41Bの駆動力で同時に駆動する場合に比べて、車両用シート1に同時に流れる全体の駆動電流量を低減することができる。
【0055】
又、リラックスモードから通常モードとする際には、全部で4個の電動モータ11A,11B,21A,41Aを駆動することになり、それぞれ2個の電動モータ11A,11B,21A,21B,41A,41Bの駆動力で同時に駆動する場合に比べて、車両用シート1に同時に流れる全体の駆動電流量を大幅に低減することができる。
【0056】
・上記実施の形態では、ECU31は、同時に複数の可動部(シートバック3とオットマン4)を駆動させる際、低負荷となる正方向に駆動させる可動部(シートバック3又はオットマン4)を1個の電動モータ11A,21Aの駆動力のみで駆動させるように制御するとしたが、これに限定されず、負荷に関わらず制御するようにしてもよい。
【0057】
・上記実施の形態では、ECU31は、可動部(シートバック3又はオットマン4)を1個の電動モータ11A,21Aの駆動力のみで駆動させる際、回転センサ13,23を有した一方の電動モータ11A,21Aを駆動させるとしたが、これに限定されず、他の構成及び制御を行うようにしてもよい。例えば、上記実施の形態では、電動モータ11A,21A(41A)が自身の駆動量ひいては可動部の可動量(位置)を検出可能な回転センサ13,23を有するとしたが、その回転センサ13,23を有さずに可動部の可動量(位置)を直接検出するセンサを車両用シート1が有した構成とすると、上記制御以外の制御となる。
【0058】
・上記実施の形態では、ECU31は、可動部(シートバック3又はオットマン4)を2個の電動モータ11A,11B,21A,21Bの駆動力で(共同して)駆動させる際、回転センサ13,23を有した一方の電動モータ11A,21Aを他方よりも先に駆動させるとしたが、これに限定されず、他の構成及び制御を行うようにしてもよい。例えば、上記実施の形態では、電動モータ11A,21A(41A)が自身の駆動量ひいては可動部の可動量(位置)を検出可能な回転センサ13,23を有するとしたが、その回転センサ13,23を有さずに可動部の可動量(位置)を直接検出するセンサを車両用シート1が有した構成とすると、上記制御以外の制御となる。
【0059】
・上記実施の形態では、ECU31は、可動部(シートバック3又はオットマン4)を2個の電動モータ11A,11B,21A,21Bの駆動力で(共同して)駆動させる際、回転センサ13,23を有した一方の電動モータ11A,21Aを他方よりも後に停止させるとしたが、これに限定されず、他の構成及び制御を行うようにしてもよい。例えば、上記実施の形態では、電動モータ11A,21A(41A)が自身の駆動量ひいては可動部の可動量(位置)を検出可能な回転センサ13,23を有するとしたが、その回転センサ13,23を有さずに可動部の可動量(位置)を直接検出するセンサを車両用シート1が有した構成とすると、上記制御以外の制御となる。
【0060】
・上記実施の形態では、2個の電動モータ11A,11B(21A,21B)は、車両用シート1の両側(車両幅方向の両側)に配置され、それらの出力軸が連結ロッド12を介して連結される構成としたが、共同して可動部を駆動可能とされれば他の構成で連結したものとしてもよい。
【0061】
上記実施の形態から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)
前記車両用シート装置において、前記可動部の1つは、その正方向の可動が低負荷となる倒す側の動作で、その逆方向の可動が高負荷となる起こす側の動作であるシートバックであり、他の前記可動部の1つは、その正方向の可動が低負荷となる下垂する側の動作で、その逆方向の可動が高負荷となる持ち上げる側の動作であるオットマンであり、前記制御部は、操作手段によるリラックスモードの操作に応じて、前記シートバックを低負荷となる倒す側に1個の前記電動モータの駆動力のみで駆動させるとともに、前記オットマンを高負荷となる持ち上げる側に2個の前記電動モータの駆動力で駆動させ、以後、操作手段の通常モードの操作に応じて、前記シートバックを高負荷となる起こす側に2個の前記電動モータの駆動力で駆動させるとともに、前記オットマンを低負荷となる下垂する側に1個の前記電動モータの駆動力のみで駆動させることを特徴とする車両用シート装置。
【0062】
同構成によれば、制御部は、操作手段によるリラックスモードの操作に応じて、シートバックを低負荷となる倒す側に1個の電動モータの駆動力のみで駆動させるとともに、オットマンを高負荷となる持ち上げる側に2個の電動モータの駆動力で駆動させるため、自動的に各駆動に大きな支障をきたすことなく全体の駆動電流量を低減することができる。
【0063】
又、制御部は、以後、操作手段の通常モードの操作に応じて、シートバックを高負荷となる起こす側に2個の電動モータの駆動力で駆動させるとともに、オットマンを低負荷となる下垂する側に1個の電動モータの駆動力のみで駆動させるため、この場合も、自動的に各駆動に大きな支障をきたすことなく全体の駆動電流量を低減することができる。