(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の多層ポリエステル容器においては、中間層が、バリア性樹脂、ポリエステル樹脂及びクレイから成ると共に、該バリア性樹脂とポリエステル樹脂が,2.5:7.5乃至5:5、好ましくは3:7乃至5:5、より好ましくは3:7乃至4:6の重量比で含有され、且つポリエステル樹脂から成る連続相中にバリア性樹脂から成る分散相が形成されて成る海島分散構造を構成していることが重要な特徴である。
前述した通り、ポリエステル樹脂から成る内外層及びバリア性樹脂にクレイを配合して成る樹脂組成物から成る中間層から成る多層ポリエステル容器においては、自生圧力を有する内容物を充填した場合には、衝撃により層間剥離を生じたり、或いは経時保管の際に容器が大きく膨らみ、開栓の際に減圧変形を生じることがあったが、中間層として、バリア性樹脂に、ポリエステル樹脂を2.5:7.5乃至5:5の重量比で含有させることにより、上述したような問題を有効に防止することが可能となるのである。
【0011】
すなわち、中間層にポリエステル樹脂を配合することによって、内外層と中間層の接着性を向上することが可能になり、その結果、層間剥離を有効に防止することが可能となる。その一方、ポリエステル樹脂を中間層に配合することにより、バリア性の低下をもたらすことが考えられるが、本発明においては、ポリエステル樹脂の配合量を上記範囲とし、ポリエステル樹脂から成る連続相中に、バリア性樹脂の分散相が形成された海島分散構造を形成することにより、クレイの存在と相俟って、透過ガスを迂回効果によって有効に遮断することが可能となり、器壁が薄肉化されても有効なバリア性を発現することが可能となるのである。
【0012】
本願発明のこのような作用効果は、後述する実施例の結果から明らかである。
すなわち、ポリエステル樹脂の単層から成り、容器胴部が0.36mm未満に薄肉化されている容器においては、バリア性能に劣っており(比較例1)、また中間層にバリア層を有する多層構造を有し、容器胴部が0.36mm未満に薄肉化された容器では、中間層のポリエステル樹脂の配合量が上記範囲よりも多い場合には、有効なバリア性が得られておらず(比較例4,5)、一方中間層にポリエステル樹脂が全く配合されていない場合、或いは配合されているとしても、配合量が上記範囲よりも少ない場合には、層間剥離や開栓時の変形が生じている(比較例2,3)。
これに対して、中間層のポリエステル樹脂の配合量が上記範囲にある場合には、容器胴部が0.36mm未満に薄肉化されていても優れたバリア性を発現できると共に、層間剥離及び開栓時の変形を生じることもないのである(実施例1〜9)。
【0013】
(内外層)
本発明の内外層に用いるポリエステル樹脂は、従来公知のジカルボン酸成分及びジオール成分から成るポリエステル樹脂を用いることができる。
ジカルボン酸成分としては、ジカルボン酸成分の50%以上、特に80%以上がテレフタル酸であることが機械的性質や熱的性質から好ましいが、テレフタル酸以外のカルボン酸成分を含有することも勿論できる。テレフタル酸以外のカルボン酸成分としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、アジピン酸、セバシン酸等を挙げることができる。
【0014】
ジオール成分としては、ジオール成分の50%以上、特に80%以上がエチレングリコールであることが、機械的性質や熱的性質から好ましく、エチレングリコール以外のジオール成分としては、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−へキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、グリセロール、トリメチロールプロパン等を挙げることができる。
また上記ジカルボン酸成分及びジオール成分には、三官能以上の多塩基酸及び多価アルコールを含んでいてもよく、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ヘミメリット酸,1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸、1,1,2−エタントリカルボン酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸、ビフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸等の多塩基酸や、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、ソルビトール、1,1,4,4−テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等の多価アルコールが挙げられる。
【0015】
本発明の内外層に用いるポリエステル樹脂は、重量比1:1のフェノール/テトラクロロエタン混合溶媒を用い、30℃にて測定した固有粘度が、0.60乃至1.40dL/gの範囲にあることが好ましい。また多層容器の耐熱性、加工性等を向上するため、200乃至275℃の融点(Tm)を有することが好ましい。またガラス転移点は、30℃以上、特に50乃至120℃の範囲であることが好ましい。
本発明の内外層に用いるポリエステル樹脂には、それ自体公知の樹脂用配合剤、例えば着色剤、酸化防止剤、安定剤、各種帯電防止剤、離型剤、滑剤、核剤等を最終成形品の品質を損なわない範囲で公知の処方に従って配合することができる。
【0016】
(中間層)
本発明の多層ポリエステル容器の中間層は、ポリエステル樹脂、バリア性樹脂及びクレイから成る樹脂組成物(以下、「クレイ配合バリア性樹脂組成物」と呼ぶことがある)から成ると共に、該樹脂組成物において、バリア性樹脂とポリエステル樹脂が2.5:7.5乃至5:5、好ましくは3:7乃至4:6、より好ましくは3:7乃至4:6の重量比で含有され、且つポリエステル樹脂から成る連続相中にバリア性樹脂から成る分散相が形成されて成る海島分散構造を構成している。
本発明においては、上記海島分散構造において、バリア性樹脂から成る分散相が1乃至40μm、好適には1乃至20μmのドメイン径を有することがバリア性能の点で望ましい。
【0017】
本発明に用いるバリア性樹脂としては、ガスバリア性、水蒸気バリア性、酸素吸収ガスバリア性等の従来公知のバリア性樹脂を使用することができ、具体的には、ガスバリア性樹脂のポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンセバカミド等のキシリレン基含有ポリアミド樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体等や、水蒸気バリア性樹脂の環状オレフィン系樹脂等を挙げることができるが、本発明においては特に、ガスバリア性に優れたポリメタキシレンアジパミド(MXD6)を用いる場合に、その優れた作用効果を顕著に発現することができる。
【0018】
ポリエステル樹脂としては、内外層に用いるポリエステル樹脂として例示したものを用いることができ、特に、内外層に用いた樹脂と同じ樹脂を用いることが層間接着性を向上させる上で好ましい。
またクレイとしては、マイカ、バーミキュライト、スメクタイト等であり、好ましくは0.25〜0.6の電荷密度を有する2−八面体型や3−八面体型の層状珪酸塩であり、2−八面体型としては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト等、3−八面体型としてはヘクトライト、サポナイト等が挙げられる。
本発明で用いるクレイは、クレイを有機化剤で膨潤化処理したものであることが特に好適である。この場合、上記クレイの中でも、モンモリロナイトは高膨潤性を有し、有機化剤の浸透による膨潤が起こり層間が広がりやすいため特に好ましい。
有機化剤としては、第4級アンモニウム塩が好ましく使用できるが、より好ましくは、炭素数12以上のアルキル基を少なくとも一つ以上有する第4級アンモニウム塩、具体的には、トリメチルドデシルアンモニウム塩、トリメチルテトラデシルアンモニウム塩等が用いられる。
【0019】
本発明においては、クレイをバリア性樹脂100重量部当たり1乃至10重量部、特に1乃至8重量部の割合で、バリア性樹脂に配合することが好ましい。上記範囲よりもクレイの量が少ない場合には、クレイを配合することにより得られるガスバリア性を上記範囲にある場合に比して充分に得ることができず、一方上記範囲よりもクレイの量が多い場合には、上記範囲にある場合に比して成形性に劣ると共に、容器がパール状を呈するように成り、容器の透明性を重視する場合には望ましくない。
【0020】
また上記クレイ配合バリア性樹脂組成物に、酸化性有機成分及び遷移金属触媒の組み合わせを配合して、酸素吸収性を付与することもできる。
酸化性有機成分としては、側鎖または末端に官能基を有し且つ酸化可能なもの、具体的には、ブタジエン、無水マレイン酸変性ブタジエン等の酸乃至酸無水物で変性されたポリエンオリゴマー乃至ポリマーを挙げることができ、また遷移金属触媒としては、鉄、コバルト、ニッケル等の周期律表第VIII族金属成分が使用されるが、勿論、これらの例に限定されない。
酸化性有機成分の配合量は、バリア性樹脂100重量部当たり2乃至10重量部の量で配合されていることが好ましく、また遷移金属触媒は、金属換算で少なくとも300ppm配合されていることが好ましい。
【0021】
本発明の中間層においては、クレイ配合バリア性樹脂組成物に、上述した酸化性成分及び遷移金属触媒の組み合わせ、或いは、脱酸素剤、充填剤、着色剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、金属セッケンやワックス等の滑剤、改質用樹脂乃至ゴム等の公知の樹脂配合剤を、本発明の目的を損なわない範囲で、それ自体公知の処方に従って配合することもできる。
【0022】
(多層構造)
本発明の多層ポリエステル容器は、ポリエステル樹脂から成る内外層、クレイ配合バリア性樹脂組成物から成る中間層を少なくとも1層有する限り種々の層構成を採用することができ、
図1に示すような、ポリエステル樹脂から成る内層1及び外層2の間にクレイ配合バリア性樹脂組成物から成る中間層3を有する層構成のものを特に好適に採用できるが、
図2に示すような、ポリエステル樹脂から成る内層1及び外層2に、ポリエステル樹脂からなる内層1とポリエステル樹脂から成る中間層4の間及びポリエステル樹脂から成る外層2及びポリエステル樹脂から成る中間層4の間に、クレイ配合バリア性樹脂組成物から成る中間層3a,3bが2つ形成された層構成等であってもよい。
【0023】
本発明においては、内外層及び中間層の層間接着性が向上されているので、多層容器の製造に当たって、各樹脂層間に接着剤樹脂を介在させる必要はないが、勿論介在させることもできる。
このような接着剤樹脂としては、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸塩、カルボン酸アミド、カルボン酸エステル等に基づくカルボニル(−CO−)基を主鎖又は側鎖に、1乃至700ミリイクイバレント(meq)/100g樹脂、特に10乃至500meq /100g樹脂の濃度で含有する熱可塑性樹脂が挙げられる。接着剤樹脂の適当な例は、エチレン−アクリル酸共重合体、イオン架橋オレフイン共重合体、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、アクリル酸グラフトポリオレフイン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、共重合ポリエステル等である。
【0024】
本発明の多層ポリエステル容器は、胴部の厚みは、容器の容積(目付)や容器の用途によっても相違するが、0.36mm未満、特に0.20乃至0.30mmの範囲に薄肉化されていることが好ましい。
尚、本発明で規定する上記胴部の肉厚は、容器胴部の最も薄い部分の肉厚を測定したものである。
中間層の厚みは、容器胴部における全肉厚の10乃至30%、特に20乃至25%の範囲にあることが好適である。上記範囲よりも中間層の厚みが厚い場合には、経済性、成形性及び容器の透明性の点で望ましくなく、一方上記範囲よりも中間層の厚みが薄いと充分なバリア性を付与することが困難になる。
また前述したように、クレイ配合バリア性樹脂組成物から成る中間層を複数存在させるときは、中間層全体として胴部の全厚みの10乃至30%の範囲にあることが望ましい。
【0025】
(製造方法)
本発明の多層ポリエステル容器は、自生圧力を有する炭酸飲料等を充填した場合にも、層間剥離や開栓時の変形が有効に防止されていることから、特に耐圧性ポリエステル容器に好適に使用できる。以下、本発明の多層ポリエステル容器として最も好適に利用できる耐圧性二軸延伸ブロー成形容器の製法を説明する、
上述した多層構造を有するプリフォームを成形し、このプリフォームを110乃至120℃の高温に加熱して、このプリフォームを軸方向に引っ張り延伸すると共に周方向にブロー延伸し、
図3に示すような所謂ペタロイド型形状や、底部が中心部に凹部が形成されたシャンパン型等の従来公知の耐圧性の底部形状とすることにより耐圧性ポリエステル容器として製造することができる。
【0026】
本発明においては、バリア性樹脂にクレイを予め配合してペレット化したマスターバッチを製造し、このマスターバッチとポリエステル樹脂を、ポリエステル樹脂とバリア性樹脂が上述した量比となるようにブレンドしたクレイ配合バリア性樹脂組成物を中間層用樹脂として用いることが好ましい。これによりクレイはバリア性樹脂から成る分散相中に存在することになり、バリア性樹脂のバリア性を更に向上させることが可能となる。上記マスターバッチとポリエステル樹脂に、さらにバリア性樹脂を加えてブレンドしてもよい。いずれにしても、中間層用樹脂全体でクレイが0.3〜5重量部配合されるように調製するのが好ましい。
多層プリフォームの製造は、それ自体公知の成形法で行うことができ、例えば、クレイ配合バリア性樹脂組成物を、内外層を構成するポリエステル樹脂と共押出する共押出成形法:クレイ配合バリア性樹脂組成物とポリエステル樹脂とを金型内に同時に射出する同時射出成形法:ポリエステル樹脂、クレイ配合バリア性樹脂組成物、ポリエステル樹脂を金型内に逐次射出する逐次射出法:クレイ配合バリア性樹脂組成物とポリエステル樹脂との共押出物をコア型とキャビティ型とで圧縮成形する圧縮成形法で製造することができる。これらの成形法により容器胴部における中間層の厚みを上述の範囲とするには、多層プリフォームの重量に対してクレイ配合バリア性樹脂組成物の量比を5〜10重量%とするとよい。
【0027】
これら何れの方式による場合にも、形成されるプリフォームは過冷却状態、即ち非晶質状態にあるべきであり、またクレイ配合バリア性樹脂組成物から成る中間層は、熱可塑性ポリエステルの内外層中に内封されていることが好ましい。
多層プリフォームの成形とその延伸ブロー成形とは、上記の通りコールドパリソン方式で実施することが好ましいが、形成される多層プリフォームを完全に冷却しないで延伸ブロー成形を行うホットパリソン方式にも適用できる。
延伸ブロー成形に先立って、プリフォームを熱風、赤外線ヒーター、高周波誘導加熱等の手段で延伸温度まで予備加熱するが、本発明においては、110乃至120℃の通常の延伸ブロー成形よりも高温に加熱して延伸ブローすることが好ましい。これによりクレイ配合バリア性樹脂組成物の延伸応力の上昇を抑制して、延伸配向による結晶化の促進を図ることが可能となる。
【0028】
この加熱されたプリフォームを、それ自体公知の延伸ブロー成形機中に供給し、金型内にセットして、延伸棒の押し込みにより軸方向に引張延伸すると共に、流体の吹き込みにより周方向に延伸する。この際、多層プリフォームを300乃至600℃に加熱された加熱体を用いて内部加熱すること及び/又は150乃至220℃のホットエアーを用いることが好ましい。
すなわち、上記温度範囲に加熱されたプリフォームを二軸延伸ブロー成形するに際して、プリフォーム内部に高温に加熱された加熱体が挿入されて内部加熱されていること及び/又は高温の熱風が圧入されていることにより、プリフォーム内部の温度がより高温になると共に、延伸ブロー成形時においてプリフォーム内部の温度が高温に保たれるため、歪の緩和が促進され、延伸応力の高いクレイ配合バリア性樹脂組成物から成る中間層の歪も緩和されるため、透明性及びガスバリア性等の機能を損なうことが有効に抑制される。
内部加熱の加熱時間は、プリフォームの予備加熱温度及び内部加熱に用いる加熱体の設定温度によって変化させることが好ましく、好適には、8乃至20秒、特に10乃至15秒の範囲で加熱を行うことが望ましい。また、延伸ブロー成形する際に用いられるホットエアーは金型内にセットされたプリフォーム内部に2乃至3秒間圧入されることが望ましい。
【0029】
最終製品である耐圧性ポリエステル容器における延伸倍率は、面積倍率で1.5乃至25倍、軸方向延伸倍率で1.2乃至6倍、周方向延伸倍率で1.2乃至4.5倍の範囲にあることが好ましい。
本発明方法により得られた耐圧性ポリエステル容器は、容器胴部におけるポリエステル樹脂の密度が1.353g/cm
3以上であり、密度法による結晶化度で15%以上であり、優れた透明性も有している。
【実施例】
【0030】
共射出成形機を使用し、
図3に示す耐圧ボトル用の多層プリフォームを表1の内容で成形した。層構成は2種3層(PET/中間層/PET)である。中間層にはMXD6にクレイを配合したバリア材とPET材の乾燥済みペレットを表1に示した重量比率でドライブレンドして成形機のホッパーに投入し、共射出成形した。内外のPET層には中間層のPET材と同じものを使用した。プリフォームの重量は24g、中間層の成形温度は280乃至290℃とした。成形したプリフォームを500ml用耐圧ボトルに二軸延伸ブロー成形し、外観特性,バリア性能,デラミ特性を評価した。
尚、実施例1〜8及び比較例2〜5の多層ボトルにおいては、中間層が底部まで形成されたプリフォームを成形し、実施例9の多層ボトルでは、中間層が底部に達しないようにプリフォームを成形した。
対照品として、従来品である重量31gのPET材単層からなる同形状のボトルについても、同様の評価を行った。
【0031】
(使用材料)
PET材:イソフタル酸共重合PET(イソフタル酸1.5mol%、IV=0.83μg/L)
バリア材:ポリメタキシレンアジパミド(MXD6、97%)+有機処理クレイ(モンモリロナイト、3%)
【0032】
(評価方法、条件)
酸素透過:MOCON社OXTRAN装置を使用し、23℃50%RHでの常圧、空ボトルでの酸素透過度を測定した。
炭酸透過:4.0GV炭酸水充填ボトルを23℃50%RHに制御した密封チャンバーに入れ、チャンバー雰囲気の二酸化炭素濃度を測定し、ボトルの二酸化炭素透過度を算出した。
層間剥離:4.0GV炭酸水充填ボトルを30℃80%RHで7日間保管し、ベンダーに通して衝撃を与えた後、目視で層間剥離の有無を確認する。
ヘイズ:ボトル胴中央部を切り出し(直径3cm)、ヘイズメーターで測定した。
海島構造観察:ボトル胴中央部をミクロトームで断面方向に10μmの厚さで切り出し、偏光顕微鏡(×1000倍)で観察した。
【0033】
(評価結果)
バリア性について、PET材単層品31gから24gへの軽量化により炭酸透過度が増加した(対照と比較例1)。24g中間層ブレンド材多層品(実施例1〜9、比較例2,3)は、PET材単層31g(対照)に比べて、同等あるいはそれ以上の炭酸ガスバリア性能を有していた。
またバリア材の使用比率が少なくても、底部に中間層を形成しないで、ブロー成形により薄肉となるボトル胴部の中間層の厚みを47μmと大きくした実施例9の多層ボトルは、同じ中間層の樹脂比率でバリア材の混合比が多い実施例3の多層ボトルと同等のバリア性を得ることができた。
中間層のバリア材とPET材のブレンド比を1:9(比較例4)、2:8(比較例5)とした場合は、軽量化したPET材単層24g(比較例1)より優れるものの、従来品であるPET材単層31g(対照)には及ばなかった。
層間剥離について、中間層をバリア材のみとした多層24g品(比較例2)では層間剥離が発生したが、バリア材とPET材のブレンド比2.5:7.5乃至5:5(実施例1〜9)では層間剥離は認められなかった。同ブレンド比6:4(比較例3)では、層間剥離が発生した。
ボトル外観について、中間層のバリア材とPET材のブレンド比2.5:7.5(実施例8)、3:7(実施例1,9)、4:6(実施例2〜6)に比べ、5:5(実施例7)と6:4(比較例3)のボトル胴部ヘイズ(曇り度)は、著しく大きくなる。これは、ブレンドした中間層の海島構造(ドメイン径、分布)に起因する(表2)。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】