【実施例】
【0017】
図1は、本発明の一実施例としての変速機用電子制御ユニット80により制御される自動変速機30を搭載する自動車10の構成の概略を示す構成図であり、
図2は、自動変速機30を含む自動変速装置20の機械的構成の概略を示す構成図である。実施例の自動車10は、
図1および
図2に示すように、ガソリンや軽油などの炭化水素系の燃料の爆発燃焼により動力を出力する内燃機関としてのエンジン12と、エンジン12を運転制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)16と、エンジン12のクランクシャフト14に取り付けられた流体伝動装置22と、この流体伝動装置22の出力側に入力軸31が接続されると共にギヤ機構48やデファレンシャルギヤ49を介して駆動輪11a,11bに出力軸32が接続され入力軸31に入力された動力を変速して出力軸32に伝達する有段の自動変速機30と、流体伝動装置22や自動変速機30に作動油を供給する油圧回路50と、油圧回路50を制御することによって流体伝動装置22や自動変速機30を制御する変速機用電子制御ユニット(以下、変速機ECUという)80と、図示しない電子制御式油圧ブレーキユニットを制御するブレーキ用電子制御ユニット(以下、ブレーキECUという)17と、を備える。ここで、自動変速装置20としては、主に自動変速機30,油圧回路50,変速機ECU80が該当する。
【0018】
エンジンECU16は、CPUを中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMと、データを一時的に記憶するRAMと、入出力ポートと、通信ポートとを備える。エンジンECU16にはクランクシャフト14に取り付けられた回転速度センサ14aからのエンジン回転速度Neなどのエンジン12の運転状態を検出する各種センサからの信号やアクセルペダル93の踏み込み量としてのアクセル開度Accを検出するアクセルペダルポジションセンサ94からのアクセル開度Acc,車速センサ98からの車速Vなどの信号が入力ポートを介して入力されており、エンジンECU16からは、スロットルバルブを駆動するスロットルモータへの駆動信号や燃料噴射弁への制御信号,点火プラグへの点火信号などが出力ポートを介して出力されている。
【0019】
流体伝動装置22は、
図2に示すように、ロックアップクラッチ付きの流体式トルクコンバータとして構成されており、フロントカバー18を介してエンジン12のクランクシャフト14に接続された入力側流体伝動要素としてのポンプインペラ23と、タービンハブを介して自動変速機30の入力軸31に接続された出力側流体伝動要素としてのタービンランナ24と、ポンプインペラ23およびタービンランナ24の内側に配置されてタービンランナ24からポンプインペラ23への作動油の流れを整流するステータ25と、ステータ25の回転方向を一方向に制限するワンウェイクラッチ26と、ダンパ機構を有するロックアップクラッチ28と、を備える。この流体伝動装置22は、ポンプインペラ23とタービンランナ24との回転速度の差が大きいときにはステータ25の作用によってトルク増幅機として機能し、ポンプインペラ23とタービンランナ24との回転速度の差が小さいときには流体継手として機能する。また、ロックアップクラッチ28は、ポンプインペラ23(フロントカバー18)とタービンランナ24(タービンハブ)とを連結するロックアップとロックアップの解除とを実行可能なものであり、自動車10の発進後にロックアップオン条件が成立すると、ロックアップクラッチ28によってポンプインペラ23とタービンランナ24とがロックアップされてエンジン12からの動力が入力軸31に機械的かつ直接的に伝達されるようになる。なお、この際に入力軸31に伝達されるトルクの変動は、ダンパ機構によって吸収される。
【0020】
自動変速機30は、6段変速の有段変速機として構成されており、シングルピニオン式の遊星歯車機構35とラビニヨ式の遊星歯車機構40と3つのクラッチC−1,C−2,C−3と2つのブレーキB−1,B−2とワンウェイクラッチF−1とを備える。シングルピニオン式の遊星歯車機構35は、外歯歯車としてのサンギヤ36と、このサンギヤ36と同心円上に配置された内歯歯車としてのリングギヤ37と、サンギヤ36に噛合すると共にリングギヤ37に噛合する複数のピニオンギヤ38と、複数のピニオンギヤ38を自転かつ公転自在に保持するキャリア39とを備え、サンギヤ36はケースに固定されており、リングギヤ37は入力軸31に接続されている。ラビニヨ式の遊星歯車機構40は、外歯歯車の2つのサンギヤ41a,41bと、内歯歯車のリングギヤ42と、サンギヤ41aに噛合する複数のショートピニオンギヤ43aと、サンギヤ41bおよび複数のショートピニオンギヤ43aに噛合すると共にリングギヤ42に噛合する複数のロングピニオンギヤ43bと、複数のショートピニオンギヤ43aおよび複数のロングピニオンギヤ43bとを連結して自転かつ公転自在に保持するキャリア44とを備え、サンギヤ41aはクラッチC−1を介してシングルピニオン式の遊星歯車機構35のキャリア39に接続され、サンギヤ41bはクラッチC−3を介してキャリア39に接続されると共にブレーキB−1を介してケースに接続され、リングギヤ42は出力軸32に接続され、キャリア44はクラッチC−2を介して入力軸31に接続されている。また、キャリア44はブレーキB2を介してケースに接続されると共にワンウェイクラッチF−1を介してケースに接続されている。実施例では、クラッチC−1〜C−3は、ピストンや複数の摩擦板,相手板,作動油が供給される油室などにより構成される油圧サーボを有する多板摩擦式油圧クラッチ(摩擦係合要素)であり、ブレーキB−1,B−2は、ピストンや複数の摩擦板,相手板,作動油が供給される油室などにより構成される油圧サーボを有するバンドブレーキあるいは多板摩擦式ブレーキとして構成された油圧ブレーキ(摩擦係合要素)であり、これらのクラッチC−1〜C−3およびブレーキB−1,B−2は、油圧回路50による作動油の給排を受けて動作する。
図3に自動変速機30の各変速段とクラッチC−1〜C−3、ブレーキB−1,B−2の作動状態との関係を表した作動表を示し、
図4に自動変速機30を構成する回転要素間における回転速度の関係を例示する共線図を示す。この自動変速機30は、
図3の作動表に示すように、クラッチC−1〜C−3のオンオフ(オンが係合状態でオフが解放状態)とブレーキB−1,B−2のオンオフとの組み合わせによって前進1速〜6速と後進とニュートラルとを切り替えることができる。
【0021】
流体伝動装置22や自動変速機30は、変速機ECU80によって駆動制御される油圧回路50によって作動する。油圧回路50は、いずれも図示しないが、エンジン12からの動力を用いて作動油を圧送するオイルポンプや、オイルポンプからの作動油を調圧してライン圧PLを生成するプライマリレギュレータバルブ,プライマリレギュレータバルブからのライン圧PLを減圧してセカンダリ圧Psecを生成するセカンダリレギュレータバルブ,プライマリレギュレータバルブからのライン圧PLを調圧して一定のモジュレータ圧Pmodを生成するモジュレータバルブ,シフトレバー91の操作位置に応じてプライマリレギュレータバルブからのライン圧PLの供給先(クラッチC−1〜C−3やブレーキB−1,B−2)を切り替えるマニュアルバルブ,マニュアルバルブからのライン圧PLを調圧して対応するクラッチC−1〜C−3やブレーキB−1,B−2へのソレノイド圧を生成する複数のリニアソレノイドバルブなどを備える。
【0022】
変速機ECU80は、CPUを中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMと、データを一時的に記憶するRAMと、入出力ポートと、通信ポートとを備える。変速機ECU80には、入力軸31に取り付けられた回転速度センサ31aからの入力軸回転速度Ninや、出力軸32に取り付けられた回転速度センサ32aからの出力軸回転速度Nout,シフトレバー91の位置を検出するシフトポジションセンサ92からのシフトポジションSP,アクセルペダルポジションセンサ94からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル95の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ96からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ98からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されており、変速機ECU80からは、油圧回路50への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。
【0023】
なお、エンジンECU16とブレーキECU17と変速機ECU80は、相互に通信ポートを介して接続されており、相互に制御に必要な各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。また、シフトレバー91のシフトポジションSPとしては、実施例では、駐車時に用いる駐車ポジション(Pポジション)、後進走行用のリバースポジション(Rポジション)、中立のニュートラルポジション(Nポジション)、前進走行用の通常のドライブポジション(Dポジション)、アップシフト指示ポジションおよびダウンシフト指示ポジションが用意されている。
【0024】
こうして構成された実施例の自動変速装置20は、シフトレバー91のシフトポジションSPがドライブポジション(Dポジション)のときには、
図5の変速マップに示すように、アクセル開度Accと車速Vとからなる作動ポイントが
図5中実線で示す1−2アップシフトライン,2−3アップシフトライン,3−4アップシフトライン,4−5アップシフトライン,5−6アップシフトラインを左の数字以下の変速段(例えば2−3アップシフトラインでは1速〜2速)の状態で左側から右側に超えるときにそのときの変速段から右の数字の変速段(例えば2−3アップシフトラインでは3速)にアップシフトするようクラッチC−1〜C−3やブレーキB−1,B−2をオンオフし、アクセル開度Accと車速Vとからなる作動ポイントが
図5中破線で示す6−5ダウンシフトライン,5−4ダウンシフトライン,4−3ダウンシフトライン,3−2ダウンシフトライン,2−1ダウンシフトラインを左の数字以上の変速段(例えば4−3ダウンシフトラインでは4速〜6速)の状態で右側から左側に超えるときにそのときの変速段から右の数字の変速段(例えば4−3ダウンシフトラインでは3速)にダウンシフトするようクラッチC−1〜C−3やブレーキB−1,B−2をオンオフする。図中、車速閾値V43は、アクセルオフのときの4−3ダウンシフトライン上の車速Vを示し、車速閾値V34は、アクセルオフのときの3−4アップシフトライン上の車速Vを示す。
【0025】
次に、実施例の自動変速装置20の動作、特にシフトレバー91のシフトポジションSPがドライブポジション(Dポジション)のときの動作について説明する。
図6は、シフトポジションSPがドライブポジション(Dポジション)で車速Vが値0より大きい走行中のときに変速機ECU80により実行される変速制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、数msec毎や数十msec毎)に繰り返し実行される。
【0026】
図6の変速制御ルーチンが実行されると、変速機ECU80は、まず、アクセルペダルポジションセンサ94からのアクセル開度Accやブレーキペダルポジションセンサ96からのBP,車速センサ98からの車速Vなどの制御に必要なデータを入力し(ステップS100)、入力したアクセル開度Accと車速Vと
図5に例示した変速マップとに基づいて目標変速段GS*を設定する(ステップS110)。
【0027】
続いて、自動変速機30をニュートラル状態として惰性により走行している状態(以下、「アイドルコースト」という。)を実行しているか否かを示すアイドルコースト実行フラグFの値を調べ(ステップS120)、アイドルコースト実行フラグFが値0のときにはアイドルコーストを実行していないと判断し、アクセル開度AccとブレーキペダルポジションBPとが共に値0で所定時間経過していないのを確認して(ステップS130)、自動変速機30に設定した目標変速段GS*が形成されるようクラッチC−1〜C−3やブレーキB−1,B−2をオンオフして(ステップS210)、本ルーチンを終了する。ここで、アイドルコースト実行フラグFは、このルーチンにより設定されるものであり、アイドルコーストが実行されているときに値1が設定され、アイドルコーストが実行されていないときには値0が設定される。また、アクセル開度AccとブレーキペダルポジションBPとが共に値0で所定時間経過している条件は、アイドルコーストの実行を開始する条件といえる。アイドルコーストは、そのときの車両の運動エネルギーを用いて惰性(慣性)により走行するものであるから、運転者の意志を確認するため、アクセル開度AccとブレーキペダルポジションBPとが共に値0であることを要すると共にその状態が継続していることが必要となる。したがって、所定時間は、運転者の意志を確認する程度の時間、例えば1秒や2秒などを用いることができる。クラッチC−1〜C−3やブレーキB−1,B−2のオンオフ制御は、実施例では、以下のように行なわれる。例えばクラッチC−1をオフからオンとする場合、クラッチC−1の油室(油圧サーボ)に予め定められた比較的高い油圧で作動油を急速充填するファストフィルが行なわれるようクラッチC−1に対応するリニアソレノイドバルブを駆動制御する。続いて、クラッチC−1の油室(油圧サーボ)に作用する油圧を、クラッチC−1がトルク容量をもたない係合直前の状態となるように予め定められた比較的低い油圧まで低下させて、その状態で待機(低圧待機)させるようクラッチC−1に対応するリニアソレノイドバルブを駆動制御する待機制御を実行する。その後、クラッチC−1の油室に作用する油圧が予め定められたクラッチC−1の完全係合圧まで上昇するようクラッチC−1に対応するリニアソレノイドバルブを駆動制御するスイープアプライ制御を実行する。また、例えばクラッチC−1をオンからオフとする場合、クラッチC−1の油室への油圧供給が解除されるようクラッチC−1に対応するリニアソレノイドバルブを駆動制御する。他のクラッチやブレーキのオンオフ制御も、実施例ではクラッチC−1のオンオフ制御と同様に行なわれる。
【0028】
ステップS120でアイドルコースト実行フラグFが値0でありステップS130でアクセル開度AccとブレーキペダルポジションBPとが共に値0で所定時間経過したと判定されたときには、アイドルコーストを実行すべきと判断し、アイドルコースト実行フラグFに値1を設定する(ステップS140)。さらに、自動変速機30がニュートラル状態である最中に目標変速段GS*の4速以上から3速以下への変更に対して予め準備を開始すべきか否かを示す低速側変更予測フラグF43、および、自動変速機30がニュートラル状態である最中に目標変速段GS*の3速以下から4速以上への変更に対して予め準備を開始すべきか否かを示す高速側変更予測フラグF34を調べる(ステップS160)。ここで、低速側変更予測フラグF43は、初期値としては値0が設定され、自動変速機30がニュートラル状態であるときに目標変速段GS*の4速以上から3速以下への変更(ダウンシフト)や3速以下から4速以上への変更(アップシフト)の有無を予測するための処理として
図7に例示する予測制御実行判定ルーチンにより値1が設定されるフラグである。また、高速側変更予測フラグF34も、初期値としては値0が設定され、
図7の予測制御実行判定ルーチンにより値1が設定されるフラグである。ステップS160で低速側変更予測フラグF43および高速側変更予測フラグF34を調べるのは、低速側変更予測フラグF43に値1が設定されたときや高速側変更予測フラグF34に値1が設定されたときには、後述する別のルーチン(
図9,
図10参照)でクラッチC−1,C−2の制御を行なうためである。
【0029】
低速側変更予測フラグF43および高速側変更予測フラグF34が共に値0のときには、目標変速段GS*を調べ(ステップS170)、目標変速段GS*が1速〜3速のときには、クラッチC−1をオン(係合した状態)とすると共に他のクラッチC−2,C−3やブレーキB−1,B−2をオフ(解放した状態)として(ステップS180)、本ルーチンを終了する。自動変速機30を1速〜3速のいずれかの変速段にするためには、クラッチC−1をオンとすると共にブレーキB−2やブレーキB−1,クラッチC−3のいずれかをオンとする必要があるが、クラッチC−1をオンとしても他のブレーキB−2やブレーキB−1,クラッチC−3のいずれをもオフとすることにより、1速〜3速のいずれの変速段も形成されないため、自動変速機30はニュートラルの状態となる。したがって、車両は、その後、惰性により走行すること、即ち、アイドルコーストによる走行を行なうことになる。なお、エンジン12は、アクセル開度Accが値0であり、自動変速機30がニュートラルの状態となっているから、アイドリング制御によりアイドリング運転されたり、或いは、アイドルストップにより運転停止される。実施例のクラッチC−1をオンとしたときのニュートラルの状態は、シフトレバー91のシフトポジションSPがニュートラルポジション(Nポジション)とされたときとは異なり、クラッチC−1がオンとされているから、ブレーキB−2やブレーキB−1,クラッチC−3のいずれかをオンとすることにより、直ちに1速〜3速を形成することができる。即ち、自動変速機30は、目標変速段GS*としての1速〜3速を形成するための準備(クラッチC−1のオン)ができている状態でのニュートラルと言える。
【0030】
一方、ステップS180で目標変速段GS*が4速〜6速と判定されたときには、クラッチC−2をオン(係合した状態)とすると共に他のクラッチC−1,C−3やブレーキB−1,B−2をオフ(解放した状態)として(ステップS190)、本ルーチンを終了する。
図3の作動表では、自動変速機30を4速〜6速のいずれかの変速段にするためには、クラッチC−2をオンとすると共にクラッチC−1やクラッチC−3,ブレーキB−1のいずれかをオンとする必要があるが、クラッチC−2をオンとしても他のクラッチC−1やクラッチC−3,ブレーキB−1のいずれもオフとすることにより、4速〜6速のいずれの変速段も形成されないため、自動変速機30はニュートラルの状態となる。したがって、車両は、その後、アイドルコーストによる走行を行なうことになる。なお、この場合も、エンジン12は、アクセル開度Accが値0であり、自動変速機30がニュートラルの状態となっているから、アイドリング制御によりアイドリング運転されたり、或いは、アイドルストップにより運転停止される。クラッチC−2をオンとしたときのニュートラルの状態は、前述したクラッチC−1をオンとしたときのニュートラルの状態と同様に、シフトレバー91のシフトポジションSPがニュートラルポジション(Nポジション)とされたときとは異なり、クラッチC−2がオンとされているから、クラッチC−1やクラッチC−3,ブレーキB−1のいずれかをオンとすることにより、直ちに4速〜6速を形成することができる。即ち、自動変速機30は、目標変速段GS*としての4速〜6速を形成するための準備(クラッチC−2のオン)ができている状態でのニュートラルと言える。
【0031】
こうしてアイドルコーストによる走行を開始すると、ステップS120ではアイドルコースト実行フラグFが値1であると判定され、アクセル開度AccとブレーキペダルポジションBPとが共に値0を継続しているか否かを判定し(ステップS150)、アクセル開度AccとブレーキペダルポジションBPとが共に値0を継続していると判定したときには、ステップS170〜S190の処理により目標変速段GS*に応じてクラッチC−1をオンとしたときのニュートラルの状態かクラッチC−2をオンとしたときのニュートラルの状態としてアイドルコーストを継続する。なお、目標変速段GS*が4速以上から3速以下に変更になったときには、クラッチC−2をオンとしたときのニュートラルの状態からクラッチC−1をオンとしたときのニュートラルの状態に移行し、逆に目標変速段GS*が3速以下から4速以上に変更になったときには、クラッチC−1をオンとしたときのニュートラルの状態からクラッチC−2をオンとしたときのニュートラルの状態に移行する。
図8に、自動変速機30の目標変速段GS*に対して、この目標変速段GS*を形成するために係合すべき係合要素のうちのニュートラル状態でオン(係合)する要素とオフ(解放)する要素との関係を示す。図示する関係から分かるように、アイドルコーストによる走行中に、ニュートラル状態の自動変速機30では、目標変速段GS*が4速〜6速のときにはクラッチC−2のみがオンとされており、例えば平坦路などでの減速走行により車速Vが
図5の変速マップに示した車速閾値V43を下回ると、クラッチC−2からクラッチC−1への係合すべき要素の切り替え(つかみ替え)が行なわれる。また、アイドルコーストによる走行中に、ニュートラル状態の自動変速機30では、目標変速段GS*が1速〜3速のときにはクラッチC−1のみがオンとされており、例えば降坂路(下り坂)などでの加速走行により車速Vが
図5の変速マップに示した車速閾値V34を上回ると、クラッチC−1からクラッチC−2への係合すべき要素の切り替え(つかみ替え)が行なわれる。
【0032】
アイドルコーストによって走行している最中に運転者がアクセルペダル93を踏み込んでアクセル開度Accが値0ではなくなったときやブレーキペダル95を踏み込んでブレーキペダルポジションBPが値0ではなくなったときには、ステップS150でアクセル開度AccとブレーキペダルポジションBPとが共に値0を継続していないと判定され、アイドルコースト実行フラグFに値0を設定し(ステップS200)、そのときに設定されている目標変速段GS*を形成するようにクラッチC−1〜C−3やブレーキB−1,B−2をオンオフして(ステップS210)、本ルーチンを終了する。いま、クラッチC−1をオンとしたニュートラル状態でアイドルコーストにより走行している最中にアクセルペダル93が踏み込まれたときを考える。このとき、アクセルペダル93の踏み込み量にもよるが、目標変速段GS*は1速〜3速のいずれかであるから、ブレーキB−2やブレーキB−1,クラッチC−3のいずれか1つをオンとするだけで目標変速段GS*を形成することができる。また、クラッチC−2をオンとしたニュートラル状態でアイドルコーストにより走行している最中にアクセルペダル93が踏み込まれたときを考える。このとき、アクセルペダル93の踏み込み量にもよるが、基本的には目標変速段GS*は4速〜6速のいずれかになるから、クラッチC−1やクラッチC−3,ブレーキB−1のいずれか1つをオンとするだけで目標変速段GS*を形成することができる。したがって、クラッチC−1もクラッチC−2もオフとして自動変速機30をシフトポジションSPがニュートラルポジションのときと同様の状態として走行する場合に比して、アイドルコーストによる走行からの復帰(変速段の形成)を迅速に行なうことができ、再加速を迅速に行なうことができる。なお、目標変速段GS*が4速のときに低速側の変速段(1速〜3速)と共通するクラッチC−1を係合するのではなく高速側の変速段(5速や6速)と共通するクラッチC−2を係合するのは、アイドルコーストによる走行は比較的高車速で走行しているときに行なわれることが多いと想定されることに基づく。
【0033】
また、アイドルコーストによって走行している最中に
図7の予測制御実行判定ルーチンで低速側変更予測フラグF43に値1が設定されるか又は高速側変更予測フラグF34に値1が設定されたときには、ステップS160で低速側変更予測フラグF43が値1または高速側変更予測フラグF34が値1であると判定され、そのまま本ルーチンを終了する。以上、変速制御について説明した。次に、
図7の予測制御実行判定ルーチンについて説明する。このルーチンは、アイドルコースト実行フラグFが値1でアイドルコーストによる走行中に、
図6の変速制御ルーチンと並行して、変速機ECU80により所定時間毎(例えば、数msec毎や数十msec毎)に繰り返し実行される。
【0034】
図7の予測制御実行判定ルーチンが実行されると、変速機ECU80は、まず、車速センサ98からの車速Vや車両の加速度ΔVなどの判定に必要なデータを入力し(ステップS300)、自動変速機30のクラッチC−1が係合されているか否かを判定する(ステップS305)。ここで、車両の加速度ΔVは、本ルーチンの実行間隔である所定時間前に車速センサ98により検出された値(前回V)から車速センサ98により検出された現在の車速Vまでの変化量(V−前回V)をこの所定時間で割ることにより算出したものや、車両の加速度を検出する図示しない加速度センサから入力された値などを用いることができる。
【0035】
クラッチC−1が係合されていないと判定されたときには、クラッチC−2が係合されており自動変速機30は4速〜6速のニュートラル状態であると判断して、車両の加速度ΔVが値0より小さいか否かを判定し(ステップS310)、加速度ΔVが値0以上のときには、ニュートラル状態の自動変速機30で目標変速段GS*の4速以上から3速以下への変更は予測されないと判断して、そのまま本ルーチンを終了する。
【0036】
クラッチC−1が係合されていない4速〜6速のニュートラル状態であるときに、加速度ΔVが値0より小さい減速走行中であると判定されたときには、次式(1)に示すように、アクセルオフ時に4速から3速に変更(ダウンシフト)すべき車速として
図5の変速マップに予め設定された車速閾値V43から現在の車速Vを減じて得られる車速差(絶対値|V43−V|)を車両の加速度ΔVで除することによって、ニュートラル状態である自動変速機30の目標変速段GS*を4速以上から3速以下に変更するまでの予測時間である変更前予測時間T43を算出し(ステップS320)、算出した変更前予測時間T43と第1所定時間T43ref1とを比較し(ステップS330)、変更前予測時間T43が第1所定時間T43ref1より大きいときには、そのまま本ルーチンを終了する。ここで、第1所定時間T43ref1は、ニュートラル状態の自動変速機30でクラッチC−2からクラッチC−1へのつかみ替えの準備を開始すべきか否かを判定するためのものであり、実施例では、クラッチC−1の油室に予め定められた比較的高い油圧で作動油を急速充填するファストフィルを行なうと共にクラッチC−1がトルク容量をもたない係合直前の状態となるように予め定められた比較的低い油圧でクラッチC−1を待機(低圧待機)させる待機制御を実行するのに要する時間として予め実験などにより定められたもの(例えば、300msecや500msec程度)を用いるものとした。
【0037】
T43=|V43-V|/ΔV (1)
【0038】
変更前予測時間T43が第1所定時間T43ref1以下のときには、クラッチC−2からクラッチC−1へのつかみ替えの準備を開始すると判断し、前述した低速側変更予測フラグF43に値1を設定して(ステップS340)、本ルーチンを終了する。低速側変更予測フラグF43に値1が設定されると、
図6の変速制御ルーチンのステップS160で低速側変更予測フラグF43が値1であると判定され、この変速制御ルーチンによるクラッチC−1〜C−3やブレーキB−1,B−2のオンオフは行なわれなくなり、
図9のアイドルコースト中ダウンシフト予測制御ルーチンが実行されてクラッチC−1,C−2の制御が行なわれることになる。
【0039】
ステップS305でクラッチC−1が係合されていると判定されたときには、自動変速機30は1速〜3速のニュートラル状態であると判断して、車両の加速度ΔVが値0より大きいか否かを判定し(ステップS350)、加速度ΔVが値0以下のときには、ニュートラル状態の自動変速機30で目標変速段GS*の3速以下から4速以上への変更は予測されないと判断して、そのまま本ルーチンを終了する。
【0040】
クラッチC−1が係合されている1速〜3速のニュートラル状態であるときに、加速度ΔVが値0より大きい加速走行中であると判定されたときには、次式(2)に示すように、アクセルオフ時に3速から4速に変更(アップシフト)すべき車速として
図5の変速マップに予め設定された車速閾値V34から現在の車速Vを減じて得られる車速差(絶対値|V34−V|)を車両の加速度ΔVで除することによって、ニュートラル状態である自動変速機30の目標変速段GS*を3速以下から4速以上に変更するまでの予測時間である変更前予測時間T34を算出し(ステップS360)、算出した変更前予測時間T34と第1所定時間T34ref1とを比較し(ステップS370)、変更前予測時間T34が第1所定時間T34ref1より大きいときには、そのまま本ルーチンを終了する。ここで、第1所定時間T34ref1は、ニュートラル状態の自動変速機30でクラッチC−1からクラッチC−2へのつかみ替えの準備を開始すべきか否かを判定するためのものであり、実施例では、クラッチC−2の油室に予め定められた比較的高い油圧で作動油を急速充填するファストフィルを行なうと共にクラッチC−2がトルク容量をもたない係合直前の状態となるように予め定められた比較的低い油圧でクラッチC−2を待機させる待機制御を実行するのに要する時間(第1所定時間T43ref1とは独立に設定された時間)として予め実験などにより定められたもの(例えば、300msecや500msec程度)を用いるものとした。
【0041】
T34=|V34-V|/ΔV (2)
【0042】
変更前予測時間T34が第1所定時間T34ref1以下のときには、クラッチC−1からクラッチC−2へのつかみ替えの準備を開始すると判断し、前述した高速側変更予測フラグF34に値1を設定して(ステップS380)、本ルーチンを終了する。高速側変更予測フラグF34に値1が設定されると、
図6の変速制御ルーチンのステップS160で高速側変更予測フラグF34が値1であると判定され、所定時間毎に繰り返し実行される変速制御ルーチンでクラッチC−1〜C−3やブレーキB−1,B−2のオンオフは行なわれなくなり、
図10のアイドルコースト中アップシフト予測制御ルーチンが実行されてクラッチC−1,C−2の制御が行なわれることになる。以上、予測制御実行判定について説明した。次に、
図9のアイドルコースト中ダウンシフト予測制御ルーチン、
図10のアイドルコースト中アップシフト予測制御ルーチンを、この順に説明する。
図9のルーチンは、低速側変更予測フラグF43に値1が設定されたときに実行され、
図10のルーチンは、高速側変更予測フラグF34に値1が設定されたときに実行される。
【0043】
図9のアイドルコースト中ダウンシフト予測制御ルーチンが実行されると、変速機ECU80は、まず、タイマTsetの計測を値0から開始し(ステップS500)、クラッチC−1の油室に予め定められた比較的高い油圧で作動油を急速充填するファストフィルを行なうと共にクラッチC−1がトルク容量をもたない係合直前の状態となるように予め定められた比較的低い油圧で待機(低圧待機)状態とするまでの一連の処理を開始し(ステップS510)、アイドルコースト実行フラグFを調べる(ステップS520)。本ルーチンが実行開始された直後を考えると、いまは、アイドルコースト実行フラグFは値1であると判定されるから、続いて、クラッチC−1のファストフィルを行なって待機状態とするまでの一連の処理を開始してから(即ち、本ルーチンを実行開始してから)前述の第1所定時間T43ref1経過したか否かを判定し(ステップS530)、第1所定時間T43ref1経過していないときには、ステップS520の処理に戻る。ここで、所定時間T43re1は、前述したように、クラッチC−1のファストフィルを行なって待機状態とするのに要する時間であるから、ステップS520,S530の処理は、アイドルコーストによる走行中にクラッチC−1のファストフィルが行なわれて待機状態となるのを待つ処理となる。
【0044】
こうしてアイドルコースト実行フラグFが値1の状態のままクラッチC−1のファストフィルが行なわれてクラッチC−1が待機状態となると、目標変速段GS*を調べる(ステップS540)。本ルーチンは、ニュートラル状態である自動変速機30の目標変速段GS*を4速以上から3速以下に変更するまでの時間として車両の加速度ΔVなどに基づいて予測された変更前予測時間T43が第1所定時間T43ref1未満となったときに実行開始されたものであるから、この実行開始後に車速Vが変化しない限り、ステップS540の判定では、目標変速段GS*は3速となる。目標変速段GS*が3速であるとの判定の結果、ニュートラル状態を維持するためにクラッチC−2をオフ(解放)とすると共にクラッチC−1のスイープアプライ制御を実行し(ステップS610)、低速側変更予測フラグF43に値0を設定して(ステップS620)、本ルーチンを終了する。低速側変更予測フラグF43が値1から値0に変更されると、
図6の変速制御ルーチンのステップS160の判定結果が変わり、アイドルコーストによる走行中に
図6の変速制御ルーチンで繰り返し実行されていたステップS100〜S120,S150,S160の処理に代えて、
図6の変速制御ルーチンではステップS100〜S120,S150,S160〜S190の処理が実行されることになる。即ち、アイドルコースト中のダウンシフト予測制御に代えて、アイドルコースト中の目標変速段GS*に応じたクラッチC−1,C−2のオンオフ制御が実行される。
【0045】
図11に、アイドルコーストによる走行中にダウンシフトされる目標変速段GS*とアイドルコースト実行フラグFとクラッチC−2の油圧とクラッチC−1の油圧とエンジン回転速度Neと変更前予測時間T43との時間変化の様子の一例を示す。図中、クラッチC−1の油圧において、実線は、
図9のアイドルコースト中ダウンシフト予測制御ルーチンを実行する実施例の様子を示し、一点鎖線は、目標変速段GS*が4速から3速に変更されたタイミングからクラッチC−1のファストフィルを開始する比較例の様子を示す。また、変更前予測時間T43において、二点鎖線は、変更前予測時間T43の算出が継続された場合の様子の例を示す。図示するように、4速で走行中に、時刻T1でアクセルオフなどによりアイドルコーストによる走行が開始されてクラッチC−2の油圧が保持されると共にクラッチC−1の油圧が解除されると、4速から3速への変更前予測時間T43の算出が開始され、車速Vの低下に伴って変更前予測時間T43が徐々に短くなる。比較例では、車速Vの低下により目標変速段GS*が4速から3速に変更される時刻T3からクラッチC−1のファストフィル,待機制御,スイープアプライ制御が行なわれる。一方、実施例では、時刻T2で変更前予測時間T43が第1所定時間T43ref1以下になると、クラッチC−1のファストフィルと待機制御が行なわれる。そして、時刻T3で車速Vの低下により目標変速段GS*が4速から3速に変更されたときに、クラッチC−1のスイープアプライ制御が行なわれる。こうした制御により、実施例では、アイドルコーストによる走行中に目標変速段GS*の変更によるクラッチC−2からクラッチC−1へのつかみ替えをより迅速に行なうことができる。
【0046】
ステップS520でアイドルコースト実行フラグFが値0と判定されたときには、アイドルコースト中のダウンシフト予測制御を開始したものの
図6の変速制御ルーチンによりアクセルペダル93の踏み込みなどによってアイドルコーストの実行を解除する、即ちアイドルコーストからの復帰が要求されたと判断し、低速側変更予測フラグF43に値0を設定して(ステップS620)、本ルーチンを終了する。こうして本ルーチンを終了すると、
図6の変速制御ルーチンのステップS210の処理で目標変速段GS*が形成されることになる。例えば、アクセルペダル93の踏み込みによりアイドルコーストの実行が解除された場合を考えると、アクセルペダル93の踏み込み量にもよるが、目標変速段GS*は基本的に4速となり、クラッチC−2のオン(係合)が保持されると共に、ファストフィルや待機制御の途中であるクラッチC−1がオン(係合)とされる。
【0047】
ステップS540で目標変速段GS*が4速以上であると判定されたときには、アイドルコースト実行フラグFを調べ(ステップS550)、アイドルコースト実行フラグFが値1でアイドルコーストによる走行中であるときには、タイマTsetが比較的長いタイマ用所定時間Tsref(例えば、5秒や6秒など)未満であるか否かを判定し(ステップS560)、タイマTsetがタイマ用所定時間Tsref未満のときには、車速センサ98からの車速Vや車両の加速度ΔVを入力して式(1)により変更前予測時間T43を算出し(ステップS570,S580)、算出した変更前予測時間T43が第1所定時間T43ref1より若干長い第2所定時間T43ref2(例えば、1秒程度)以上であるか否かを判定する(ステップS590)。
【0048】
変更前予測時間T43が第2所定時間T43ref2未満と判定されたときには、ステップS540の処理に戻ってステップS540〜S590の処理を繰り返し、変更前予測時間T43が第2所定時間T43ref2以上と判定されたときには、クラッチC−1の油圧を解除(即ち、ファストフィルを解除)してクラッチC−1をオフ(解放)とし(ステップS600)、低速側変更予測フラグF43に値0を設定して(ステップS620)、本ルーチンを終了する。こうした制御により、変更前予測時間T43が第1所定時間T43ref1以下となってアイドルコースト中のダウンシフト予測制御を開始したものの、例えば走行路の路面勾配が変化して平坦路から降坂路(下り坂)に移行し車速Vが低下しなくなるなどによって、目標変速段GS*が4速以上から3速以下に変更されない状況に対処することができる。即ち、目標変速段GS*が4速以上から3速以下に変更されずに変更前予測時間T43が第1所定時間T43ref1より若干長い第2所定時間T43ref2以上となったときには、4速以上の目標変速段GS*に対応してクラッチC−2のオンを保持した状態でクラッチC−1の油圧を解除するから、クラッチC−1への不要な油圧供給を抑制することができる。こうして本ルーチンを終了すると、アイドルコーストフラグFが値1でアイドルコーストによる走行中であるから、
図6の変速制御ルーチンのステップS160〜S200の処理の実行を伴って、アイドルコーストによる走行を行なう。
【0049】
ステップS550でアイドルコースト実行フラグFが値0と判定されたときには、ステップS520でアイドルコースト実行フラグFが値0と判定されたときと同様に、アイドルコースト中のダウンシフト予測制御を開始したものの
図6の変速制御ルーチンによりアクセルペダル93の踏み込みなどによってアイドルコーストの実行を解除する、即ちアイドルコーストからの復帰が要求されたと判断し、低速側変更予測フラグF43に値0を設定して(ステップS620)、本ルーチンを終了する。こうして本ルーチンを終了すると、
図6の変速制御ルーチンのステップS210の処理で基本的には4速の目標変速段GS*が形成される。
【0050】
ステップS560でタイマTsetが比較的長いタイマ用所定時間Tsref以上と判定されたときには、クラッチC−1の油圧を解除してクラッチC−1をオフ(解放)とし(ステップS600)、低速側変更予測フラグF43に値0を設定して(ステップS620)、本ルーチンを終了する。こうした制御により、変更前予測時間T43が第1所定時間T43ref1以下となってアイドルコースト中のダウンシフト予測制御を開始したものの、目標変速段GS*が4速以上から3速以下に変更されず、アイドルコーストからの復帰も要求されず、変更前予測時間T43が車速Vの変化により第2所定時間T43ref2以上ともならない状態に対処して、本ルーチンを終了することができる。こうして本ルーチンを終了すると、アイドルコーストフラグFが値1でアイドルコーストによる走行中であるから、
図6の変速制御ルーチンのステップS160〜S200の処理の実行を伴って、アイドルコーストによる走行を行なう。
【0051】
いま、アイドルコーストによる走行中に目標変速段GS*が4速から3速に変更されたタイミングからクラッチC−1のファストフィルを開始する
図11の比較例において、クラッチC−1のファストフィルや待機制御の途中でアクセルペダル93が踏み込まれてアイドルコーストから復帰する場合を考える。この場合、3速の目標変速段GS*を形成するために、クラッチC−1を完全に係合するまでの油圧制御とクラッチC−2をオフ(解放)からオン(係合)とするための油圧制御とが必要となるため、目標変速段GS*(3速)でのニュートラル状態でクラッチC−1がオン(係合)とされた状態から目標変速段GS*を形成する場合に比べて、目標変速段GS*が形成されるまでの時間が長くなってしまう。これに対し、実施例では、目標変速段GS*が4速から3速に変更される前にこの変更を予測してクラッチC−1のファストフィルと待機制御とを行なっておくから、例えば予測通りに目標変速段GS*が4速から3速に変更されたときに、クラッチC−2のオフ(解放)からオン(係合)への切り替えに伴ってクラッチC−1のスイープアプライ制御を行なうだけでクラッチC−1をオン(係合)とすることができ、目標変速段GS*が形成されるまでの時間が長くなるのを抑制することができる。この結果、自動変速機30をニュートラル状態としてアイドルコーストによる走行中の再加速の応答性を向上させることができる。以上、
図9のアイドルコースト中ダウンシフト予測制御について説明した。次に、
図10のアイドルコースト中アップシフト予測制御について説明する。
【0052】
図10のアイドルコースト中アップシフト予測制御ルーチンのステップS700〜S820の各処理は、
図9のアイドルコースト中ダウンシフト予測制御ルーチンのステップS500〜S620の各処理とそれぞれ対応している。
図10のルーチンでは、
図9のルーチンでクラッチC−1を制御対象とするのに代えてクラッチC−2を制御対象とする共に、
図9のルーチンでクラッチC−2を制御対象とするのに代えてクラッチC−1を制御対象とする。また、
図10のルーチンでは、
図9のルーチンで第1所定時間T43ref1,第2所定時間T43ref2を用いる点に代えて第1所定時間T34ref1,第2所定時間T34ref2を用いる。なお、第2所定時間T34ref2は、第1所定時間T34ref1より若干長い時間(例えば、1秒程度)である。さらに、
図10のルーチンでは、
図9のルーチンで目標変速段GS*が4速以上であるか否かを判定するのに代えて目標変速段GS*が3速以下であるか否かを判定する。そして、
図10のルーチンでは、
図9のルーチンで車速閾値V43等を用いて変更前予測時間T43を算出して第2所定時間T43ref2と比較するのに代えて車速閾値V34等を用いて変更前予測時間T34を算出して第2所定時間T34ref2と比較する。
図10のルーチンの各ステップの処理は、
図9のルーチンの各ステップの処理とこれらの相違点があるのみで、
図9のルーチンと同様に実行することができる。したがって、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0053】
図12は、アイドルコーストによる走行中にアップシフトされる目標変速段GS*とアイドルコースト実行フラグFとクラッチC−1の油圧とクラッチC−2の油圧とエンジン回転速度Neと変更前予測時間T34との時間変化の様子の一例を示す。図中、クラッチC−2の油圧において、実線は、
図10のアイドルコースト中アップシフト予測制御ルーチンを実行する実施例の様子を示し、一点鎖線は、目標変速段GS*が3速から4速に変更されたタイミングからクラッチC−2のファストフィルを開始する比較例の様子を示す。また、変更前予測時間T34において、二点鎖線は、変更前予測時間T34の算出が継続された場合の様子の例を示す。図示するように、3速で走行中に、時刻T5でアクセルオフなどによりアイドルコーストによる走行が開始されてクラッチC−1の油圧が保持されると共にクラッチC−2の油圧が解除されると、3速から4速への変更前予測時間T34の算出が開始され、車速Vの上昇に伴って変更前予測時間T34が徐々に短くなる。比較例では、車速Vの上昇により目標変速段GS*が3速から4速に変更される時刻T7からクラッチC−2のファストフィル,待機制御,スイープアプライ制御が行なわれる。一方、実施例では、時刻T6で変更前予測時間T34が第1所定時間T34ref1以下になると、クラッチC−2のファストフィルと待機制御が行なわれる。そして、時刻T7で車速Vの低下により目標変速段GS*が3速から4速に変更されたときに、クラッチC−2のスイープアプライ制御が行なわれる。こうした制御により、実施例では、アイドルコーストによる走行中に目標変速段GS*の変更によるクラッチC−1からクラッチC−2へのつかみ替えをより迅速に行なうことができる。
【0054】
さらに、アイドルコーストによる走行中に目標変速段GS*が3速から4速に変更されたタイミングからクラッチC−2のファストフィルを開始する
図12の比較例において、クラッチC−2のファストフィルや待機制御の途中でアクセルペダル93が踏み込まれてアイドルコーストから復帰する場合を考える。この場合、4速の目標変速段GS*を形成するために、クラッチC−2を完全に係合するまでの油圧制御とクラッチC−1をオフ(解放)からオン(係合)とするための油圧制御とが必要となるため、目標変速段GS*(4速)でのニュートラル状態でクラッチC−2がオン(係合)とされた状態から目標変速段GS*を形成する場合に比べて、目標変速段GS*が形成されるまでの時間が長くなってしまう。これに対し、実施例では、目標変速段GS*が3速から4速に変更される前にこの変更を予測してクラッチC−2のファストフィルと待機制御とを行なっておくから、例えば予測通りに目標変速段GS*が3速から4速に変更されたときに、クラッチC−1のオフ(解放)からオン(係合)への切り替えに伴ってクラッチC−2のスイープアプライ制御を行なうだけでクラッチC−2をオン(係合)とすることができ、目標変速段GS*が形成されるまでの時間が長くなるのを抑制することができる。この結果、自動変速機30をニュートラル状態としてアイドルコーストによる走行中の再加速の応答性を向上させることができる。
【0055】
以上説明した実施例の変速機用ECU80の制御によれば、車両が走行している最中にアクセル開度AccとブレーキペダルポジションBPとが共に値0といった所定のニュートラル条件が成立しているときに、車速Vに基づいて変速マップを用いて設定される目標変速段GS*を形成するために係合すべき2つの係合要素のうちの予め定められた一方の係合要素を係合した状態とすると共に他方の係合要素を解放した状態とすることにより自動変速機30をニュートラル状態とする。これにより、車両の再加速時には他方の係合要素を係合するだけで自動変速機30の目標変速段GS*を形成することができ、迅速に目標変速段GS*を形成して再加速することができる。そして、自動変速機30がニュートラル状態である最中に、車両の加速度ΔVに基づいて予測される時間であって、ニュートラル状態を維持するためにクラッチC−1(又はクラッチC−2)を解放した状態から係合した状態に変更すべき目標変速段GS*の4速以上から3速以下への変更(又は3速以下から4速以上への変更)が生じるまでの時間としての変更前予測時間T43(又は変更前予測時間T34)が第1所定時間T43ref1(又は第1所定時間T34ref1)以下となったときには、クラッチC−1(又はクラッチC−2)のファストフィルから待機制御までの処理を開始する。これにより、車速の加速度ΔVに基づいて予測される変更前予測時間T43(又は変更前予測時間T34)が第1所定時間T43ref1(又は第1所定時間T34ref1)以下となったときには、クラッチC−1(又はクラッチC−2)のファストフィルから待機制御までの処理を開始しておくから、自動変速機30をニュートラル状態として走行中の目標変速段GS*の変更後にその目標変速段GS*の形成が要求されてその形成までの時間が長くなるのを抑制することができる。この結果、自動変速機30をニュートラル状態として走行している最中の再加速の応答性を向上させることができる。
【0056】
また、実施例の変速機ECU80の制御では、変更前予測時間T43(又は変更前予測時間T34)が第1所定時間T43ref1(又は第1所定時間T34ref1)以下となったときには、ファストフィルと待機制御とによって、クラッチC−1(又はクラッチC−2)がトルク容量をもたない係合直前の状態となるように油室への油圧供給を行なうから、自動変速機30をニュートラル状態として走行している最中に目標変速段GS*の形成が要求された際に目標変速段GS*が形成されるまでの時間が長くなるのをより確実に抑制することができる。
【0057】
さらに、実施例の変速機ECU80の制御では、目標変速段GS*の変更が生じる車速閾値V43(又は車速閾値V34)から現在の車速Vを減じて得られる車速差を車両の加速度ΔVで除することにより車速閾値V43(又は車速閾値V34)を算出するから、変更前予測時間T43(又は変更前予測時間T34)をより適正に算出することができる。
【0058】
しかも、実施例の変速機ECU80の制御では、アイドルコースト中の予測制御によりクラッチC−1(又はクラッチC−2)のファストフィルと待機制御とを行なった後に、変更前予測時間T43(又は変更前予測時間T34)が第1所定時間T43ref1(又は第1所定時間T34ref1)より長い第2所定時間T43ref2(又は第2所定時間T43ref2)以上となったときには、クラッチC−1(又はクラッチC−2)への油圧供給を解除するから、走行路の路面勾配の変化などにより車速Vが変化して、第2所定時間T43ref2(又は第2所定時間T43ref2)経過しても目標変速段GS*が変更されないと予測される場合に、クラッチC−1(又はクラッチC−2)への不要な油圧供給を抑制することができる。
【0059】
実施例の変速機ECU80の制御では、変更前予測時間T43(又は変更前予測時間T34)が第1所定時間T43ref1(又は第1所定時間T34ref1)以下となったときには、クラッチC−1(又はクラッチC−2)のファストフィルと待機制御とを行なうものとしたが、クラッチC−1(又はクラッチC−2)の油室への油圧供給を開始するものであれば如何なるものとしてもよく、例えばクラッチC−1(又はクラッチC−2)のファストフィルを行なうのみとするなどとしてもよい。この場合、第1所定時間T43ref1(又は第1所定時間T34ref1)は、クラッチC−1(又はクラッチC−2)のファストフィルを行なうのに要する時間とすればよい。
【0060】
実施例の変速機ECU80の制御では、変更前予測時間T43(又は変更前予測時間T34)は、車速閾値V43(又は車速閾値V34)から現在の車速Vを減じて得られる車速差を車両の加速度ΔVで除することにより算出するものとしたが、車速Vの変化に基づいて算出するものであれば如何なるものとしてもよく、例えば所定時間前から現在までの車速Vの変化の傾向と現在の車速Vとに基づいて車速Vが車速閾値V43(又は車速閾値V34)に至るまでの時間を推定して算出するなどとしてもよい。
【0061】
実施例の変速機ECU80の制御では、アイドルコースト中の予測制御によりクラッチC−1(又はクラッチC−2)のファストフィルと待機制御とを行なった後に、変更前予測時間T43(又は変更前予測時間T34)が第1所定時間T43ref1(又は第1所定時間T34ref1)より長い第2所定時間T43ref2(又は第2所定時間T43ref2)以上となったときには、クラッチC−1(又はクラッチC−2)への油圧供給を解除するものとしたが、変更前予測時間T43(又は変更前予測時間T34)が第2所定時間T43ref2(又は第2所定時間T43ref2)以上となったときでも、クラッチC−1(又はクラッチC−2)への油圧供給を解除しないものとしてもよい。
【0062】
実施例の変速機ECU80の制御では、クラッチC−1〜C−3およびブレーキB−1,B−2は、油圧サーボを有する摩擦係合要素であるものとしたが、これらのクラッチやブレーキの一部がドグクラッチやドグブレーキであるものとしてもよい。
【0063】
実施例の変速機ECU80の制御では、自動変速機30をニュートラル状態とするために、
図8に示したように、目標変速段GS*が1速〜3速のときにはクラッチC−1のみを係合すると共に目標変速段GS*が4速〜6速のときにはクラッチC−2のみを係合する、即ち、目標変速段GS*が3速と4速との間でクラッチC−1とクラッチC−2とのつかみ替えを行なうものとしたが、例えば、目標変速段GS*が4速のときにはクラッチC−1のみを係合し、目標変速段GS*が4速と5速との間でクラッチC−1とクラッチC−2とのつかみ替えを行なうなどとしてもよい。即ち、自動変速機の構成にもよるが、自動変速機をニュートラル状態とするために如何なる変速段間で係合要素のつかみ替えを行なうものとしても構わない。
【0064】
実施例の変速機ECU80により制御される自動変速機30は、2つのクラッチやブレーキを係合することにより前進用に6速で変速するように構成されているものとしたが、3つ以上のクラッチやブレーキを係合することにより前進用に複数段に変速するように構成されているものとしてもよい。この場合、アイドルコーストによる走行中は、目標変速段GS*を形成する3つ以上のクラッチやブレーキのうちの少なくとも1つを係合した状態とすると共に残余を解放した状態として自動変速機をニュートラル状態とすればよい。この場合も、隣り合う変速段と共通するクラッチやブレーキを係合した状態とするのが好ましい。
図13に、3つのクラッチやブレーキを係合することにより前進用に10速で変速する変形例の自動変速機110の構成の概略を示す構成図を示し、
図14に、この変形例の自動変速機110の作動表を示す。
【0065】
図13に示す自動変速機110は、エンジン側に接続された入力軸114、減速用複式プラネタリギヤ115、変速用複式プラネタリギヤ116、駆動輪側に接続された出力軸117、クラッチC−1,C−2,C−3,C−4,C−5,C−6、ブレーキB−1,B−2、及びワンウェイクラッチF−1等で構成されている。減速用複式プラネタリギヤ115は、互いに噛合するロングピニオン120とピニオン121とを回転可能に支承する減速共通キャリアC0C1と、ロングピニオン120と噛合する第1サンギヤS0と、ピニオン121と噛合する第2サンギヤS1と、ロングピニオン120と噛合する減速共通リングギヤR0R1とで構成されている。変速用複式プラネタリギヤ116は、互いに噛合するロングピニオン124とピニオン125とを回転可能に支承する変速共通キャリアC2C3と、ロングピニオン124と噛合する第3サンギヤS2と、ピニオン125と噛合する第4サンギヤS3と、ロングピニオン124と噛合する変速共通リングギヤR2R3とで構成されている。減速用複式プラネタリギヤ115は、第1サンギヤS0がクラッチC−5を介して入力軸114に連結可能とされ、第2サンギヤS1がトランスミッションケース112に固定されている。減速共通キャリアC0C1は、クラッチC−6を介して入力軸114に連結可能とされている。変速用複式プラネタリギヤ116の第3サンギヤS2は、クラッチC−4を介して減速用複式プラネタリギヤ115の減速共通キャリアC0C1に選択的に連結され、クラッチC−3を介して減速共通リングギヤR0R1に選択的に連結されるとともに、ブレーキB−1を介して選択的に固定される。変速共通キャリアC2C3は、クラッチC−2を介して入力軸114に選択的に連結され、かつブレーキB−2を介して選択的に固定されるとともに、ブレーキB−2と並列に配置されたワンウェイクラッチF−1を介してトランスミッションケース112に連結され逆転を阻止されている。第4サンギヤS3は、クラッチC−1を介して減速共通リングギヤR0R1に選択的に連結される。変速共通リングギヤR2R3は出力軸117に直結されている。以上のように構成された自動変速機110は、クラッチC−1〜C−6を選択的に係合し、ブレーキB−1,B−2を選択的に係合し、入力軸114、出力軸117、減速用複式プラネタリギヤ115及び変速用複式プラネタリギヤ116の各要素を選択的に連結、或いは固定することにより、前進10速段、後進4速段の変速段を成立することができる。
図14の作動表において、クラッチC−1〜C−6、ブレーキB−1,B−2及びワンウェイクラッチF−1の各変速段に対応する欄に「○」が付されている場合、クラッチであれば係合して連結状態、ブレーキであれば係合して固定状態にあることを示す。「(○)」が付されている場合、変速が円滑に行われるように変速時に備えて油圧サーボに油圧は供給されているが、クラッチがトルク伝達していない状態を示す。「●」が付されている場合は、エンジンブレーキをかけるときにブレーキが係合される状態を示す。
【0066】
実施例の変速機ECU80により制御される自動変速機30は、6速の自動変速機として構成されているものとしたが、3速や4速,5速の自動変速機として構成されているものとしてもよく、7速や8速以上の自動変速機として構成されているものとしてもよい。
【0067】
実施例では、本発明を自動変速機30の制御装置としての変速機ECU80の形態に適用するものとしたが、自動変速機30の制御方法の形態としてもよい。
【0068】
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、自動変速機30が「自動変速機」に相当し、アクセル開度Accと車速Vを変速マップに適用して目標変速段GS*を設定する
図6の変速制御ルーチンのステップS110の処理を実行する変速機ECU80が「目標変速段設定手段」に相当し、シフトポジションSPをDポジションとして走行している最中にアクセル開度AccとブレーキペダルポジションBPとが共に値0であるときに、目標変速段GS*に応じてクラッチC−1やクラッチC−2を係合した状態として自動変速機30をニュートラル状態とする
図6の変速制御ルーチンのステップS150,S170〜S190の処理を実行する変速機ECU80が「走行中ニュートラル制御手段」に相当し、変更前予測時間T43が第1所定時間T43ref1以下となり低速側変更予測フラグF43に値1が設定されたときにクラッチC−1のファストフィルと待機制御とを開始する
図9のアイドルコースト中ダウンシフト予測制御ルーチンのステップS510の処理や、変更前予測時間T34が第1所定時間T34ref1以下となり高速側変更予測フラグF34に値1が設定されたときにクラッチC−2のファストフィルと待機制御とを開始する
図10のアイドルコースト中アップシフト予測制御ルーチンのステップS710の処理を実行する変速機ECU80が「予測制御手段」に相当する。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0069】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。