(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
サーバー(server)用ハードディスク(hard disk)駆動装置などの情報記録装置として振動特性に優れた軸をハードディスク(hard disk)駆動装置のボックスに固定した、いわゆる軸固定型のスピンドルモータが主に用いられる。
【0003】
即ち、サーバー用ハードディスクドライブ駆動装置に搭載されるスピンドルモータには、外部の振動でロータ(Rotor)の振幅が大きくなってディスク(Disk)に記録された情報が破損したり、記録/判読ができない状態になることを防止するためにシャフトが固定設置される。
【0004】
このように、固定型シャフトが設置されると、シャフトの上部及び下部にはスラスト部材が固定設置されるようになる。
【0005】
しかしながら、上記シャフトは、上記下部スラスト部材に固定設置され、上記下部スラスト部材がベースに固定されると、回転軸の役割をする上記シャフトが堅固に固定されなければならないため、上記下部スラスト部材の厚さを厚くして上記シャフトの外周面に圧入、ボンディング、スライド結合などの方式を用いて固定する。
【0006】
一方、最近、ハードディスクドライブの厚さが薄くなる傾向に伴い、これに用いられるスピンドルモータの薄型化が行われている。しかしながら、上記の通り、下部スラスト部材の厚さが厚い場合、スピンドルモータの薄型化が阻害され、ベアリングスパンの長さが短くなるため、モータの性能発現を妨害するという短所があった。
【0007】
下記に記載された先行技術文献は、軸固定型スピンドルモータに関するもので、上部及び下部スラスト部材230、220を備える形態である。上記先行技術文献に添付された
図4に示されているように、スラスト部材220にシャフト210が固定される構造の場合、下部スラスト部材220の厚さが厚くなければ、上記シャフト210は堅固に固定されることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した問題点を解消するためのものであり、軸固定型スピンドルモータを用いるにあたり、下部スラスト部材の厚さを薄く形成することができることから、モータの薄型化を可能にするスピンドルモータを提供する。
【0010】
また、軸固定型スピンドルモータを用いるにあたり、下部スラスト部材の厚さを薄く形成することができ、ベアリングスパンの長さを長く形成することができるため、スピンドルモータの作動性能も向上させることができるスピンドルモータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態によるスピンドルモータは、ベース部材に固定設置される下部スラスト部材と、上記下部スラスト部材に固定設置され、外周面に円周方向に膨張溝が備えられるシャフトと、上記下部スラスト部材の上部に配置され、上記シャフトに回転可能に設置されるスリーブと、上記スリーブに結合されて上記スリーブと連動して回転するロータハブと、を含み、上記下部スラスト部材は、内側に軸方向上部に突出し、上記シャフトの下段に軸方向上部に陥入されて形成される固定溝に圧入される嵌合突起を備えることができる。
【0012】
本発明の一実施形態によるスピンドルモータにおいて、上記嵌合突起の外周面には加圧突起が備えられることができる。
【0013】
本発明の一実施形態によるスピンドルモータにおいて、上記嵌合突起は、上記加圧突起が上記膨張溝が備えられる部分の内周面に位置するように嵌められることができる。
【0014】
本発明の一実施形態によるスピンドルモータにおいて、上記膨張溝は、上記加圧突起が嵌められることにより、半径方向の外側に拡大することができる。
【0015】
本発明の一実施形態によるスピンドルモータにおいて、上記膨張溝は、少なくとも一部が上記シャフトの外周面の他の部分と水平をなすように膨張されることができる。
【0016】
本発明の一実施形態によるスピンドルモータにおいて、上記膨張溝は、上記シャフトの外周面の他の部分より外周面が半径方向の内側に位置するように膨張されることができる。
【0017】
本発明の一実施形態によるスピンドルモータにおいて、上記シャフトの外周面または上記スリーブの内周面には、上部及び下部ラジアル動圧グルーブを形成し、上記膨張溝は、上記上部及び下部ラジアル動圧グルーブの間に位置するように形成されることができる。
【0018】
本発明の一実施形態によるスピンドルモータにおいて、上記加圧突起は、上記嵌合突起の外周面に沿って円周方向に円状で備えられることができる。
【0019】
本発明の一実施形態によるスピンドルモータにおいて、上記加圧突起は、上記嵌合突起の外周面に沿って円周方向にらせん状で備えられることができる。
【0020】
本発明の一実施形態によるスピンドルモータにおいて、上記固定溝と上記嵌合突起との間には、接着剤が塗布されることができる。
【0021】
本発明の一実施形態によるスピンドルモータにおいて、上記シャフトは、軸方向に上記固定溝と外部とを連通する貫通孔を備えることができる。
【0022】
本発明の一実施形態によるスピンドルモータにおいて、上記下部スラスト部材の嵌合突起には、軸方向に上下を貫通する連通孔を備えることができる。
【0023】
本発明の一実施形態によるスピンドルモータにおいて、上記下部スラスト部材は、上記スリーブとの間に潤滑流体の気液界面を形成することができる。
【0024】
本発明の一実施形態によるスピンドルモータにおいて、上記シャフトの上段部に固定設置され、上記スリーブとの間に潤滑流体の気液界面を形成する上部スラスト部材と、をさらに含むことができる。
【0025】
本発明の一実施形態によるスピンドルモータにおいて、上記スリーブ及び上記ロータハブは一体に形成されることができる。
【0026】
本発明の一実施形態によるスピンドルモータにおいて、上記ベース部材及び上記下部スラスト部材は一体に形成されることができる。
【0027】
本発明の一実施形態によるハードディスクドライブは、基板を通じて印加される電源によってディスクを回転させるスピンドルモータと、上記ディスクのデータを記録及び再生するための磁気ヘッドと、上記磁気ヘッドを上記ディスク上の所定位置に移動させるためのヘッド移送部と、を含むことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、軸固定型スピンドルモータを用いるにあたり、下部スラスト部材の厚さを薄く形成することができることから、モータの薄型化を可能にするスピンドルモータを提供することができる。
【0029】
また、軸固定型スピンドルモータを用いるにあたり、下部スラスト部材の厚さを薄く形成することができ、ベアリングスパンの長さを長く形成することができるため、スピンドルモータの作動性能も向上させることができるスピンドルモータを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。なお、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0032】
図1は本発明の一実施形態によるスピンドルモータを示す概略断面図であり、
図2は
図1のA部分を示す拡大図であり、
図3は
図1のB部分を示す拡大図であり、
図4は本発明の一実施形態によるスリーブと上部及び下部スラスト部材を示す部分切開斜視図であり、
図5は
図1のB部分を示す拡大図であり、
図6の(a)及び(b)は本発明の一実施形態による下部スラスト部材及びシャフトを示す切開斜視図であり、
図7の(a)及び(b)は本発明の一実施形態による下部スラスト部材を示す切開斜視図である。
【0033】
図1〜
図7を参照すると、本発明の一実施形態によるスピンドルモータ100は、ベース部材110と、下部スラスト部材120と、シャフト130と、スリーブ140と、ロータハブ150と、上部スラスト部材160と、を含んで構成されることができる。下部スラスト部材120は第1スラスト部材の一例であってよく、上部スラスト部材160は第2スラスト部材の一例であってよい。
【0034】
ここで、まず、方向に対する用語を定義すると、軸方向は
図1における上下方向、即ち、シャフト130の下部側から上部側に向かう方向またはシャフト130の上部側から下部側に向かう方向を意味し、半径方向は
図1における左右方向、即ち、シャフト130からロータハブ150の外周面に向かう方向またはロータハブ150の外周面からシャフト130に向かう方向を意味し、円周方向は回転中心から所定半径に沿って回転する方向を意味する。
【0035】
ベース部材110は、ロータハブ150と共に所定空間を形成するように装着溝112を備えることができる。また、ベース部材110は、軸方向上部側に延長形成されて外周面にステータコア102が設置される結合部114を備えることができる。
【0036】
また、結合部114の外周面にはステータコア102が収容されて設置されることができるように収容面114aが備えられることができる。なお、結合部114に収容されたステータコア102は、上記したベース部材110の装着溝112上部に配置されることができる。
【0037】
ここで、上記ベース部材110は、アルミニウム(Al)を材料としたダイカスト(Die−casting)の方式によって製造することができ、鋼板(steel sheet)を焼成加工(例えば、プレス加工)して製造することもできる。
【0038】
下部スラスト部材120は、ベース部材110に固定設置される。即ち、下部スラスト部材120は、結合部114に挿入設置される。より詳しくは、下部スラスト部材120の外周面が結合部114の内周面に接合されるように設置されることができる。
【0039】
また、下部スラスト部材120は、外周面がベース部材110に固定設置される円盤部122と、円盤部122の外側端から軸方向上側に延長形成される延長部124と、上記円盤部122の中心から軸方向上側に突出形成されて後述するシャフト130の下段に形成される固定溝132に圧入結合される嵌合突起126と、を備えることができる。
【0040】
即ち、下部スラスト部材120は、中空を有し、上記中空の中心に突起が備えられたカップ状を有することができる。言い換えると、その断面が「E」字形状を有するように形成されることができる。
【0041】
ここで、上記下部スラスト部材120の嵌合突起126には、軸方向に上下を貫通する連通孔127を備えることができる(
図6(a)参照)。上記連通孔127は、上記嵌合突起126を上記固定溝132に嵌合結合する過程において上記固定溝132に満たされた空気が上記連通孔127を通じて自然に排出されるようにして結合強度を向上させることができる。
【0042】
シャフト130の軸方向下段面には軸方向上側に湾入されて固定溝132が備えられ、上記固定溝132には上記下部スラスト部材120の嵌合突起126が圧入結合されることができる。もちろん、上記固定溝132の内部または上記嵌合突起126の外部に接着剤121が塗布された状態で圧入結合して接着剤121によるボンディング結合がさらに行われるようにすることもできる。
【0043】
外周面に何も形成されない嵌合突起126が固定溝132に嵌合結合される場合には、スライド結合は可能であるが、圧入結合は現実的に極めて困難になる可能性がある。これは、剛体の面と面とを相互密着した状態で圧入結合をすると、非常に大きい力が求められたり、結合過程において結合しようとする部材の変形が発生するためである。
【0044】
そのため、本発明では、上記嵌合突起126の外周面に加圧突起128が備えられることができる(
図7(a)及び(b)参照)。上記加圧突起128は、上記嵌合突起126の外周面から半径方向の外側に突出する形状で備えられることができる。上記嵌合突起126の外周面に加圧突起128が備えられる場合、上記加圧突起128のみが上記固定溝132の内周面と接触するため、接触面積が小さくて上記嵌合突起126を上記固定溝132に圧入結合することが可能になる。
【0045】
但し、上記嵌合突起126の外周面に加圧突起128を備えた状態で上記固定溝132に圧入結合しても、上記加圧突起128によって上記シャフト130の外径が拡大する結果を促す。
【0046】
そのため、本発明では、上記シャフト130の外周面に円周方向に半径方向の内側に湾入されるように形成される膨張溝136を備えることで、上記嵌合突起126の上記加圧突起128は、上記膨張溝136が備えられる部分の内周面に位置するようにして嵌められることができる。
【0047】
このような形状を備えると、上記加圧突起128を備える上記嵌合突起126が上記固定溝132に圧入結合されても、上記シャフト130において上記加圧突起128が嵌められる部分の外周面は、事前に外径拡大を考慮して上記膨張溝136が形成されているため、上記加圧突起128が嵌められる部分の外径が多少拡大しても、上記膨張溝136が備えられる部分以外の部分と水平をなしたり、外周面が半径方向の内側に位置するように膨張されることができるため、結果的にシャフト130の外径拡大を防止する効果を奏することができる。
【0048】
即ち、上記嵌合突起126が上記固定溝132に圧入嵌合されて結合される前におけるシャフト130の外周面に備えられる上記膨張溝136と(
図4を参照)、上記嵌合突起126が上記固定溝132に圧入嵌合されて結合された後におけるシャフト130の外周面に備えられる上記膨張溝136とを比較すると(
図2を参照)、後者の場合には上記膨張溝136が半径方向の外側に拡大したことが分かる。しかしながら、このような拡大によっても、上記膨張溝136の底面は上記シャフト130の外周面において上記膨張溝136が備えられない部分と同一面またはこれより半径方向の内側に位置することができる。
【0049】
また、下部スラスト部材120は、ベース部材110と共に、固定部材、即ち、ステータに含まれる。
【0050】
なお、上記シャフト130の外周面または上記スリーブ140の内周面には上部及び下部ラジアル動圧グルーブ146a、146bを形成し、上記膨張溝136は上記上部及び下部ラジアル動圧グルーブ146a、146bの間に位置するように備えられることができる。上部及び下部ラジアル動圧グルーブ146a、146bは、軸方向において対向する一対のラジアル動圧グルーブの一例であってよい。
【0051】
上記固定溝132に加圧突起128が備えられた上記嵌合突起126が圧入方式で嵌められても、上記膨張溝136が上記膨張溝136が備えられないシャフト130の他の外周面と同一面をなすように膨張されることは容易でない。従って、上記膨張溝136が予想しなかった形状に膨張されても、受ける影響が最小限になる上部及び下部ラジアル動圧グルーブ146a、146bの間に上記膨張溝136が位置するようにすることができる。
【0052】
上記加圧突起128は、上記嵌合突起126の外周面に沿って円周方向に円状で備えられてリング状で形成されたり(
図7(a)参照)、上記嵌合突起126の外周面に沿って円周方向にらせん状で備えられることができる(
図7(b)参照)。
【0053】
また、下部スラスト部材120の上面またはスリーブ140の底面のうち少なくとも一つには、スラスト流体動圧を発生させるためのスラスト動圧グルーブ148が形成されることができる。
【0054】
シャフト130は、下部スラスト部材120に固定設置される。即ち、シャフト130の下段面に備えられる固定溝132に、上記下部スラスト部材120に備えられる嵌合突起126が嵌められることで、上記シャフト130は上記下部スラスト120部材に堅固に固定されることができる。
【0055】
即ち、シャフト130の軸方向下段面には軸方向上側に湾入されて形成される固定溝132が備えられ、上記固定溝132には上記下部スラスト部材120の嵌合突起126が圧入結合されることができる。
【0056】
但し、本実施形態では、シャフト130が下部スラスト部材120に固定設置される場合を例に挙げて説明しているが、これに限定されず、上記下部スラスト部材120がベース部材110に一体に形成される場合、上記シャフト130はベース部材110に固定設置されることもできる。
【0057】
また、シャフト130も上記下部スラスト部材120、ベース部材110と共に、固定部材、即ち、ステータに含まれる。
【0058】
シャフト130の上面には覆い部材(図示せず)が固定設置されることができるように結合手段、例えば、ネジが締結されるネジ部が備えられることができる。
【0059】
また、上記シャフト130には軸方向に上下を貫通して上記固定溝132と外部とを連通する貫通孔134を備えることができる(
図6(b)参照)。上記貫通孔134を備えることで、上記嵌合突起126を上記固定溝132に嵌合結合する過程において上記固定溝132に満たされた空気が上記貫通孔134を通じて自然に排出されるようにして結合強度を向上させることができる。
【0060】
スリーブ140は、シャフト130に回転可能に設置されることができる。そのため、スリーブ140は、シャフト130が挿入される貫通孔141を備えることができる。また、スリーブ140がシャフト130に設置される場合、スリーブ140の内周面及びシャフト130の外周面は、所定間隔離隔配置されてベアリング間隙Gを形成する。なお、このベアリング間隙Gには潤滑流体が充填される。
【0061】
また、スリーブ140の上段部には、上部スラスト部材160と共に気液界面を形成するように上部側外径が下部側外径より長く形成される傾斜部143を有することができる。
【0062】
言い換えると、スリーブ140の外周面と上部スラスト部材160の内周面との間の空間に第1気液界面F1が形成されることができるようにスリーブ140の上段部には上部側外径が下部側外径より長く形成される傾斜部143が形成されることができる。
【0063】
また、スリーブ140の上段部には、スリーブ140の上面と段差をつけるように形成されてシール溝106を形成するための段差面144が形成されることができる。段差面144に対する詳細は後述する。
【0064】
なお、スリーブ140の外周面にはロータハブ150が接合される。言い換えると、段差面144の下部は、ロータハブ150の内周面に対応する形状を有してロータハブ150が固定設置できるように形成されることができる。即ち、スリーブ140の外周面には接合面145が形成されることができる。ここで、上記スリーブ140及びロータハブ150は一体型で備えられることができる。スリーブ140及びロータハブ150が一体型で備えられる場合、一つの部材でスリーブ140及びロータハブ150が共に提供されるため、部品数を減らして製品の組立を容易にすることができる。
【0065】
一方、スリーブ140の外周面下段部は、下部スラスト部材120の延長部124と共に気液界面を形成するように半径方向の内側に向かって上向傾斜するように形成されることができる。
【0066】
即ち、スリーブ140の外周面と下部スラスト部材120の延長部124との間の空間に第2気液界面F2が形成されることができるようにスリーブ140の下段部は、半径方向の内側に向かって上向傾斜するように形成されることができる。
【0067】
このように、第2気液界面F2がスリーブ140の下段部と延長部124との間の空間に形成されるため、ベアリング間隙Gに充填された潤滑流体は、第1気液界面F1及び第2気液界面F2を形成するようになる。
【0068】
また、スリーブ140の内周面には、スリーブ140の回転時に、ベアリング間隙Gに充填された潤滑流体を媒介にして流体動圧を発生させるためのラジアル動圧グルーブ146が形成されることができる。即ち、ラジアル動圧グルーブ146は、
図4に示されているように、上下部ラジアル動圧グルーブ146a、146bからなることができる。
【0069】
但し、ラジアル動圧グルーブは、スリーブ140の内周面に形成される場合に限定されず、シャフト130の外周面に形成されることもできる。また、へリングボーン、スパイラル、ネジ線の形状など多様な形状に備えられることができる。
【0070】
また、上記スリーブ140は、上記スリーブ140の上面と下面とを連通する循環孔147をさらに含むことができる。上記循環孔147は、ベアリング間隙Gの潤滑流体に含まれた気泡を外部に排出することができ、潤滑流体の循環を容易にすることができる。
【0071】
さらに、上記スリーブ140及び上記シャフト130によって形成されるベアリング間隙Gと上記循環孔147とを連通させる連通孔142をさらに含むことができる。上記連通孔142は、上記循環孔147及び上記ベアリング間隙Gにおいて存在する上記上下部ラジアル動圧グルーブ146a、146bの間と連通されることができる。よって、上記上下部ラジアル動圧グルーブ146a、146bの間の負圧発生を防止することができる。
【0072】
ロータハブ150は、スリーブ140に結合されてスリーブ140と連動して回転する。
【0073】
ロータハブ150は、上部スラスト部材160が内部に挿入配置される挿入部152aが形成されたロータハブ本体152と、ロータハブ本体152の縁から延長形成されて内周面にマグネットアセンブリ180が装着される装着部154と、装着部154の末端から半径方向の外側に向かって延長形成される延長部156と、を備えることができる。
【0074】
また、ロータハブ本体152の内周面下段部は、スリーブ140の外周面に接合されることができる。即ち、スリーブ140の接合面145にロータハブ本体152の内周面下段部が圧入またはスライド結合され、選択的に接着剤または/及び溶接によって接合されることができる。
【0075】
これにより、ロータハブ150の回転時に、スリーブ140がロータハブ150と共に回転することができる。
【0076】
また、装着部154は、ロータハブ本体152から軸方向下側に向かって延長形成される。なお、装着部154の内周面にマグネットアセンブリ180が固定設置されることができる。
【0077】
一方、マグネットアセンブリ180は、装着部154の内周面に固定設置されるヨーク182と、ヨーク182の内周面に設置されるマグネット184と、を含むことができる。
【0078】
ヨーク182は、マグネット184からの磁場をステータコア102に向かわせることで、磁束密度を増加させるという役割をする。また、ヨーク182は、環状を有することができ、マグネット184から発生する磁場による磁束密度を向上させることができるように一端部が折り曲げられた形状を有するように形成されることができる。
【0079】
マグネット184は、環状を有することができ、円周方向に沿ってN極、S極が交互に着磁されることで、一定強さの磁気力を発生させる永久磁石になることができる。
【0080】
また、マグネット184は、コイル101が巻線されるステータコア102の先端に対向配置され、コイル101が巻線されたステータコア102との電磁相互作用によってロータハブ150が回転することができるように駆動力を発生させる。
【0081】
即ち、コイル101に電源が供給されると、コイル101が巻線されたステータコア102及びこれに対向配置されるマグネット184の電磁相互作用によってロータハブ150が回転できる駆動力が発生し、これにより、ロータハブ150がスリーブ140と連動して回転することができる。
【0082】
上部スラスト部材160は、固定孔162aを備えてシャフト130の上段部が嵌められて固定されることで、上記シャフト130の上段部に固定設置され、スリーブ140と共に気液界面を形成する。
【0083】
また、上部スラスト部材160は、内周面がシャフト130に接合されるように固定孔162aを備える本体162と、本体162から延長形成されて傾斜部143と共に気液界面を形成する突出部164と、を備えることができる。
【0084】
突出部164は、本体162から軸方向下側に延長形成され、内周面が傾斜部143に対向配置されることができる。
【0085】
また、突出部164は、シャフト130と平行に本体162から延長形成されることができる。
【0086】
なお、上部スラスト部材160は、シャフト130の外周面上段部、スリーブ140の外周面及びロータハブ150の内周面によって形成される空間に挿入配置されることができる。
【0087】
さらに、上部スラスト部材160もベース部材110、下部スラスト部材120、シャフト130と共に、固定設置される固定部材としてステータを構成する部材である。
【0088】
一方、上部スラスト部材160がシャフト130に固定設置され、スリーブ140がロータハブ150と共に回転するため、スリーブ140の傾斜部143と突出部164との間の空間に形成された第1気液界面F1は、スリーブ140の回転時に、
図5に示されているように、スリーブ140の傾斜部143側に傾くようになる。
【0089】
即ち、第1気液界面F1がスリーブ140の外周面側に傾くようになるため、遠心力によって潤滑流体が飛散することをさらに減少させることができる。
【0090】
さらに、上部スラスト部材160の外周面及びこれに対向配置される上記ロータハブ150の内周面は、ラビリンスシール(Labyrinth Seal)を形成する。即ち、上部スラスト部材160の外周面及びロータハブ本体152の内周面は所定間隔離隔配置され、蒸発した潤滑流体を含有した空気が外部に流動することを抑制させるようにラビリンスシールを形成する。
【0091】
これにより、蒸発した潤滑流体を含有した空気が外部に流動することを抑制して潤滑流体の減少を防ぐことができる。
【0092】
また、上部スラスト部材160の外周面及びロータハブ本体152の内周面は、0.3mm以下の間隙を形成することができる。
【0093】
なお、上部スラスト部材160の底面または上部スラスト部材160の底面に対向配置されるスリーブ140の上面のうち少なくとも一つには、スラスト動圧を発生させるためのスラスト動圧グルーブ148が形成されることができる。
【0094】
さらに、上部スラスト部材160は、ベアリング間隙Gに充填される潤滑流体が上部側に漏洩することを防止するシーリング部材の役割も共にすることができる。
【0095】
上部スラスト部材160とロータハブ150との間の間隙間隔を狭く形成することで、蒸発した潤滑流体を含有した空気が外部に流出することを抑制して上部ベアリング間隙Gに充填される潤滑流体の減少を防ぐことができる。
【0096】
また、気液界面、即ち、第1気液界面F1及び第2気液界面F2を形成する回転部材(即ち、スリーブ)と、固定部材(即ち、上下部スラスト部材)のうち回転部材であるスリーブ140が固定部材に対して半径方向の内側に配置されるため、遠心力によって潤滑流体が飛散することを減少させることができる。
【0097】
図8は本発明によるモータが装着された記録ディスク駆動装置を示す概略断面図である。
【0098】
図8を参照すると、本発明によるモータ100が装着された記録ディスク駆動装置800は、ハードディスク駆動装置であり、モータ100と、ヘッド移送部810と、ハウジング820と、を含むことができる。
【0099】
上記モータ100は、上記した本発明によるモータの特徴を全て有し、記録ディスク830を搭載することができる。
【0100】
上記ヘッド移送部810は、上記モータ100に搭載された記録ディスク830の情報を検出する磁気ヘッド815を、検出しようとする記録ディスクの面に移送させることができる。
【0101】
ここで、上記磁気ヘッド815は、上記ヘッド移送部810の支持部817上に配置されることができる。
【0102】
上記ハウジング820は、上記モータ100及び上記ヘッド移送部810を収容する内部空間を形成するために、モータ搭載プレート822と、上記モータ搭載プレート822の上部を遮蔽するトップカバー824と、を含むことができる。