(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5652777
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】生体センサの寿命測定システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1455 20060101AFI20141218BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20141218BHJP
【FI】
A61B5/14 322
A61B5/02 310B
【請求項の数】23
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2009-532585(P2009-532585)
(86)(22)【出願日】2007年10月11日
(65)【公表番号】特表2010-506625(P2010-506625A)
(43)【公表日】2010年3月4日
(86)【国際出願番号】US2007081146
(87)【国際公開番号】WO2008054976
(87)【国際公開日】20080508
【審査請求日】2010年9月27日
(31)【優先権主張番号】11/580,214
(32)【優先日】2006年10月12日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503426972
【氏名又は名称】マシモ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アル−アリ、アマー
(72)【発明者】
【氏名】ウェーバー、ウォルター、エム.
(72)【発明者】
【氏名】ムチャール、ライアン、ティモシー
【審査官】
冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】
特表2003−521985(JP,A)
【文献】
特開平10−314149(JP,A)
【文献】
特開平08−315919(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0267103(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0161054(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0111592(US,A1)
【文献】
国際公開第02/017779(WO,A1)
【文献】
特開平11−156657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06 − 5/15
A61B 5/02 − 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの波長の光を組織を通して照射するよう構成された第1及び第2のエミッタと、
組織を通した光を感知し、感知光を表す信号を生成するよう構成された検知器と、
第1のセンサ使用の指標、前記第1のセンサ使用の指標とは異なる第2のセンサ使用の指標、及びセンサの耐用寿命判定で患者測定器によって用いられる少なくとも一つの関数の指標を保存するよう構成された記憶装置と、前記少なくとも一つの関数で、少なくとも前記第1のセンサ使用の指標を前記第2のセンサ使用の指標より大きく加重して、センサの耐用寿命を判定するように構成し、ここで前記第1、第2のセンサ使用の指標は、センサの年数、センサの押圧回数、センサの使用時間、指への接続時間、センサの起動回数、センサの校正回数、センサの温度、センサへの供給電流、エミッタのパルス数、電力供給時間および使用人数から選択可能であり、
少なくとも前記信号と前記記憶装置に保存された情報とを前記患者測定器に対し送受信するよう構成された通信ポートとを備え、センサの使用情報を保存するよう構成された再利用可能な非侵襲的生体センサ。
【請求項2】
前記記憶装置が読取専用部と読取/書込部を備える請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記関数の指標が前記読取専用部に保存され、前記第1、第2のセンサ使用の指標が前記読取/書込部に保存される請求項2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記記憶装置が複数の記憶装置から構成される請求項1に記載のセンサ。
【請求項5】
前記測定器が前記センサ使用を追跡し、前記センサ使用の指標を前記センサに送信し、この指標が前記記憶装置に保存される請求項1に記載のセンサ。
【請求項6】
記憶装置を備えた生体センサの耐用寿命判定方法であって、
前記方法は、
記憶装置を備えた生体センサから生体情報を取得し、前記記憶装置がセンサの耐用寿命判定で患者測定器によって用いられる少なくとも一つの関数の指標を保存し、
センサの使用を監視し、
前記記憶装置に第1のセンサ使用の指標を保存し、
前記記憶装置に前記第1のセンサの使用の指標とは異なる第2のセンサ使用の指標を保存し、
ここで前記第1、第2のセンサ使用の指標は、センサの年数、センサの押圧回数、センサの使用時間、指への接続時間、センサの起動回数、センサの校正回数、センサの温度、センサへの供給電流、エミッタのパルス数、電力供給時間および使用人数から選択され、
少なくとも前記第1のセンサ使用の指標及び前記少なくとも一つの関数に基づいて、加重された第1のセンサ使用の指標を決定し、
少なくとも前記第2のセンサ使用の指標及び前記少なくとも一つの関数に基づいて、加重された第2のセンサ使用の指標を決定し、
前記加重された第1のセンサ使用の指標、前記加重された第2のセンサ使用の指標、および前記少なくとも一つの関数を用いて、前記センサの耐用寿命が尽きたかを判定する、生体センサの耐用寿命判定方法。
【請求項7】
前記複数の関数が患者測定器に保存されている請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも一つの関数の指標を用いて、前記患者測定器に保存された関数を選択する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも一つの関数が使用データから得られる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのセンサ使用の指標を用いて、前記少なくとも一つの関数を選択する請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも一つの関数が2以上の数学関数を含む請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記センサの使用を監視する工程を患者測定器が行う請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記センサの使用を監視する工程を前記センサが行う請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも一つの関数が前記記憶装置に保存されている請求項6に記載の方法。
【請求項15】
前記数学関数の指標が前記センサ記憶部に保存されている請求項6に記載の方法。
【請求項16】
前記使用データが、使用済みセンサから得られる請求項9に記載の方法。
【請求項17】
使用済みセンサが患者に対して使用されたセンサである請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記生体センサが血中酸素センサ、血圧センサ、心電図センサのうち1又は複数である請求項6に記載の方法。
【請求項19】
前記センサの少なくとも一部が再利用可能かどうかを判定する工程をさらに含む請求項6に記載の方法。
【請求項20】
前記センサの前記少なくとも一部を再利用する工程をさらに含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
再利用工程が、前記センサの前記少なくとも一部を含む修復済みセンサを形成する工程を含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記センサの使用度合を判定するため使用情報を解析する工程をさらに含む請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記修復済みセンサ上に再利用情報を保存する工程をさらに含む請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、「寿命表示を有する遮光型光プローブ及び方法」と題され、2001年3月2日に出願された米国特許第6388240号及び「パルス酸素濃度センサの耐用期間終了表示システム」と題され、2000年2月10日に出願された米国特許第6515273号、これら特許の継続出願、分割出願、一部継続出願その他に関し、これら文献の開示内容全ては参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は血中酸素量計測用センサに関し、特に、パルス酸素濃度センサの寿命測定装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
血中酸素低下の早期検知は、多様な医療用途において非常に重要である。例えば、救命処置及び手術を受けている患者への酸素供給が不足すれば、ほんの数分のうちに脳障害や死につながる可能性もある。このような危険があることから、医療機器各社は血中酸素飽和度を計測する非侵襲的方法としてパルス酸素濃度計を開発した。パルス酸素濃度計は患者に取り付けたセンサからの信号を解読し患者の血中酸素飽和度を判定するものである。
【0004】
従来のパルス酸素濃度センサは、赤色光エミッタ、赤外光エミッタ、フォトダイオード検出器を備えている。センサは通常、患者の指や耳たぶ又は足に取り付けられる。指に取り付けるセンサは、エミッタが指の片側から光を投射し、光が指の外部組織を通過し内部に含まれる血管や毛細血管に届くよう構成されている。フォトダイオードは指の反対側に配され、指の外部組織から出射する光を検知する。フォトダイオードは出射光に基づく信号を生成しパルス酸素濃度計に対してこの信号を伝える。パルス酸素濃度計はセンサから出射された2つの波長光(赤色光及び赤外光)の動脈血による吸収度の違いを計算し血中酸素濃度を判定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のセンサは通常、定期交換が可能なように酸素濃度計から取り外すことができる。定期交換は様々な理由で有益である。例えば、センサが汚れてセンサ感度が落ちたり、患者間の感染につながる恐れがある。また、センサ内の電子回路が損傷してセンサ故障につながったりセンサ結果が不正確となる恐れがある。さらに、粘着板などのセンサ固定機構の機能低下により、測定部位近辺へのセンサ位置決めが不適切となりデータが不正確となる恐れがある。従ってパルス酸素濃度計システムを無菌、高感度、精密に保つためにはセンサの定期交換が重要である。
【0006】
しかしながら従来のパルス酸素濃度センサは一般に、汚染、損傷、又は過剰使用されたセンサを適時に交換するかどうかは操作者次第である。しかし、操作者のミスや見落としの可能性だけでなく、コスト削減その他の目的で故意に不適切使用される可能性もあり、この方法には問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って本発明の一態様は、パルス酸素濃度センサの安全な耐用寿命を測定する、安価で精密なセンサ寿命測定システムを提供するものである。一実施形態において、センサには例えばEPROMやEEPROMなどの記憶装置が設けられている。上記記憶装置上には所定間隔及び/又は所定の出来事に応じて情報が書き込まれる。センサ使用量が所定レベルに達すると、ユーザに対してセンサ交換信号が表示される。
【0008】
一実施形態において、センサ特性によっては、センサがセンサの予測寿命に関する情報を保存する。一実施形態において、上記予測寿命情報とはセンサの耐用寿命算出に用いる1又は複数の関数である。一実施形態において、上記情報とはセンサ使用の指標である。一実施形態において、上記1又は複数の関数はセンサ使用の指標とともにセンサ上に保存される。一実施形態において、上記1又は複数の関数はセンサの耐用寿命を判定するためにセンサ使用の指標と共に用いられる。
【0009】
一実施形態において、上記1又は複数の関数とは、センサ使用を観測及び/又は使用済みセンサを検査することにより得られる経験上のデータに基づく所定の1又は複数の関数である。一実施形態において、上記経験上のデータは患者に対するセンサの通常使用中に実験によって得られるデータである。一実施形態において、上記経験上のデータは患者を用いることなく実験によって得られるデータである。一実施形態において、上記1又は複数の関数とは理論上のデータに基づく関数である。一実施形態において、上記1又は複数の関数とはセンサの各部品それぞれの寿命に基づく関数である。
【0010】
一実施形態においては、患者測定器がセンサと協働でセンサの耐用寿命を判定する。一実施形態において、上記測定器はセンサ使用に関する情報を追跡しセンサ使用に関する情報の指標を保存する。一実施形態において、上記測定器は上記関数及び/又は既に保存されている使用指標を含む、センサ上に保存された情報を用い、センサの耐用寿命を算出する。一実施形態において、上記測定器は既にセンサに保存されている使用指標を更新する。一実施形態において、上記測定器はセンサが寿命切れ状態であることを使用者に表示する。
【0011】
一実施形態においては、センサが上記関数及び/又は使用指標を用い、センサの耐用寿命を算出する。一実施形態において、センサは測定器から得られる情報に基づいてセンサの耐用寿命を算出する。一実施形態において、測定器は上記関数及び/又はある特定のセンサに関するセンサ使用情報を保存する。一実施形態においては、一連の又は複数の関数が測定器に保存され、センサはいずれの関数がセンサの耐用寿命算出に用いられるかを示す指標を保存する。一実施形態においては、記憶容量を節約するため、使用情報の指標はセンサ上に保存される。一実施形態において、センサ記憶部は読取専用部及び読取/書込部の双方を含む。一実施形態において読取専用部は、関数やその他、更新期間・使用期限・関数インデックス・寿命切れまでの残存パーセントなどの、読取専用情報を保存する。一実施形態において、読取/書込部はセンサ使用に従って定期的に変化する使用情報を保存する。
【0012】
一実施形態において上記使用情報は、センサと測定器間の接続及び/又は分離回数、センサの校正完了回数、センサの測定器への接続時間合計、患者の生命維持パラメータ処理にセンサが使用された時間合計、センサ年数、LEDへの累積又は平均印加電流、センサへの累積又は平均供給電流、センサ使用中の累積又は平均温度、センサの寿命切れ状態又は残存寿命の指標、クリップの押圧回数、クリップの患者への取付け回数、センサを使用した患者の人数、センサの清掃及び/又は消毒回数及び間隔時間、特定のセンサが接続された測定器の台数、センサが修理された場合その回数、センサの消毒回数、使用間隔、及び、本明細書中の開示から通常の当業者が理解するであろう、センサ寿命判定に有用なその他の情報、のうち1又は複数を含む。
【0013】
一実施形態は、再利用可能な非侵襲的生体センサである。センサは少なくとも2つの波長の光を組織を通して照射する第1及び第2のエミッタと、組織を通した光を感知し、感知光を表す信号を生成する検知器と、センサ使用情報の指標及びセンサの耐用寿命判定に用いられる関数の指標を保存する記憶装置と、少なくとも上記信号と上記記憶装置に保存された情報とを患者測定器に対し送受信する通信ポートとを備える。一実施形態において、上記記憶装置は読取専用部と読取/書込部とを有する。一実施形態において、上記関数の指標は記憶装置の読取専用部に保存され、センサ使用情報の指標は読取/書込部に保存される。一実施形態において、上記記憶装置は複数の記憶装置から成る。一実施形態において、上記センサ使用情報の指標とは、センサ年数、センサ使用時間、センサへの供給電流、センサ温度、センサ押圧回数、センサ校正回数、センサ起動回数のうち1又は複数の指標である。一実施形態において、上記測定器は使用情報を追跡し、使用情報の指標をセンサに送信し、この指標が記憶装置に保存される。
【0014】
一実施形態は生体センサの耐用寿命判定方法であり、本方法は、記憶装置を備えた生体センサを用いて生体情報を取得する工程と、センサの使用を監視する工程と、記憶装置にセンサの使用を表す指標を保存する工程と、数学関数及び上記使用指標を用いて、センサの耐用寿命がいつ尽きたかを判定する工程を含む。一実施形態において、センサの使用指標は、センサ年数、センサ使用時間、センサへの供給電流、センサ温度、センサ押圧回数、センサ校正回数、センサ起動回数のうち1又は複数の指標を含む。一実施形態において、上記センサの使用を監視する工程は患者測定器が行う。一実施形態において、上記センサの使用を監視する工程は上記センサが行う。一実施形態において、上記数学関数はセンサ記憶部に保存されている。一実施形態において、上記数学関数は患者測定器の記憶部に保存されている。一実施形態においては、上記数学関数の指標がセンサ記憶部に保存されている。一実施形態において、上記数学関数は使用データから取得される。一実施形態において、上記使用データは使用済みセンサから得られる。一実施形態において、上記使用済みセンサとは患者に対して使用されたセンサである。一実施形態において、上記生体センサは血中酸素センサ、血圧センサ、心電図センサのうち1又は複数である。
【0015】
一実施形態は、センサの少なくとも一部を再利用する方法である。本方法は、生体センサの記憶装置にアクセスする工程と、記憶装置上のセンサ使用情報を取り出す工程と、取り出したセンサ使用情報を用いてセンサの少なくとも一部が再利用可能かどうかを判定する工程とを含む。一実施形態において本方法はさらに、センサの少なくとも一部を再利用する工程を含む。一実施形態において、上記再利用工程は、センサの少なくとも一部を含む修復済みセンサを形成する工程を含む。一実施形態において本方法はさらに、センサの使用度合を判定するために使用情報を分析する工程を含む。一実施形態において本方法は、修復済みセンサ上に再利用情報を保存する工程を含む。
【0016】
一実施形態は、生体センサの交換時期表示方法である。本方法は、発光素子から光を射出する工程と、発光素子から出射して組織により減衰された後の光を検知する工程と、センサ記憶モジュールに情報を保存する工程と、センサ記憶モジュールが残量ゼロになる時点を判定する工程と、センサ記憶モジュールが残量ゼロであると判定されたときセンサを交換する必要があることを表示する工程とを含む。一実施形態において、本方法は所定の時間間隔で情報を保存する工程を含む。一実施形態において、上記情報は使用情報を含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】生体計測システムの一実施形態を示す図である。
【
図3】測定システムの一実施例を示すブロック図である。
【
図4】一実施形態におけるセンサ記憶部の内容を示すブロック図である。
【
図5】センサ寿命測定システムの一実施形態を示すフローチャートである。
【
図6A】センサ寿命測定システムの別の実施形態を示すフローチャートである。
【
図6B】センサ寿命測定システムの別の実施形態を示すフローチャートである。
【
図7】センサ寿命測定システムの一実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、測定器101及びセンサ部101を備えた生体計測システム100の一実施形態を示す。生体計測システム100は患者などの人体の測定を可能にする。特に、多波長センサ部101により、血液成分や、酸素飽和度・一酸化炭素ヘモグロビン濃度(HbCO)・Metヘモグロビン濃度(HBMet)・脈拍など、関連のパラメータを計測することができる。
【0019】
一実施形態において、センサ部101は測定器センサポート103に挿し込まれるよう構成されている。測定器キー105により、例えば操作モードやアラームなどの各種操作を行う。表示部107は、例えば酸素飽和度、脈拍、HbCO、HbMetなどのパラメータの計測値を表示する。
【0020】
図2Aは組織部位に取り付けられるセンサ203と、センサケーブル205と、測定器コネクタ201とを備える多波長センサ部201を示す。一実施形態において、センサ203は、指先に取り外し可能に取り付けられ指先に光を透過させる再利用可能なフィンガークリップに内蔵されている。センサケーブル205と測定器コネクタ201は図に示すようにセンサ203と一体となっている。別の実施形態において、センサ203がケーブル205やコネクタ201と別体で構成されていてもよいが、公的又は私的ネットワークあるいはコンピュータシステム又は装置により、これらの間に医療装置又はその他の装置、これらの組合わせを介すなどしてこれらの間の通信を無線で好適に行うことができる。
【0021】
図2B、
図2Cはセンサの別の実施形態を示し、センサ211(
図2B)は使い捨て部分と再利用可能部分とからなり(一部使い捨て)、接着剤取付機構を使用している。また、センサ213は使い捨てタイプで接着剤取付機構を使用している。その他の実施形態において、センサを、足や耳など指以外の様々な組織部位に取り付けるよう構成してもよい。また、センサを、額やその他の組織表面に取り付ける反射又は透射装置として構成してもよい。本明細書中の開示内容から当業者であれば認知する通り、センサが患者種類や測定種類、測定器機種その他に特化させた機械的構造、接着剤又はその他のテープ構造、マジックテープ(登録商標)を巻き付ける構造あるいはこれを用いた構造を備えていてもよい。
【0022】
図3は測定システム300の一実施例のブロック図を示す。
図3に示すように、測定システム300は測定器301と、ケーブル303を介しこれと通信する非侵襲的センサ302とを備える。一実施形態において、センサ302は身体組織306に光を照射する複数のエミッタ304と、組織306による減衰後の光を検知することのできる1又は複数の検知器308を有する。また
図3に示すように、センサ302は例えばサーミスタなどの温度センサ307を備えている。センサ302はさらに、EEPROMやEPROMなどの記憶装置308を備えている。センサ302はまた、検知器コンポジット信号導体310、温度センサ導体312、記憶装置導体314、エミッタ駆動信号導体316など、各々の部品と信号を送受信する複数の導体(導線)を備えている。
【0023】
一実施形態によれば、センサ導体310、312、314、316はケーブル303を介して測定器301に信号を送信する。ここではケーブル303として開示しているが、本明細書中の開示内容から当業者であれば認知する通り、センサ306との通信には、ケーブル、ケーブル構造、公的又は私的通信ネットワークあるいはコンピュータシステム、有線又は無線通信(IEEE801.11a/b/gを含むBluetoothやWi−Fiなど)、移動通信、これらの組合わせなど、多様なものを好適に用いることができる。さらに、通信は単線又は単一チャンネルで行っても多線又は多チャンネルで行ってもよい。
【0024】
一実施形態において、温度センサ307はセンサ302とその部品、例えばエミッタ304の温度を監視する。例えば一実施形態においては、温度センサ307は充分な熱伝導性を有する熱バルク体を備えるかあるいはこれと通信し、発光装置304の基板温度をリアルタイムで概算する。センサ302を身体組織306に取り付けるとセンサ302の部品の表面温度には摂氏10度又はそれ以上もの変化が見られるが、上記のように温度を概算することでこのような温度変化を好適に把握することができる。一実施形態において、測定器101を特に敏感な組織に用いる場合には、何よりも患者の安全確保のために、温度センサ307の出力を好適に用いることができる。一実施形態においては、「多波長センサ基板」と題され、2006年3月1日に出願された米国特許出願第11/366209号に開示の通り、測定器301が温度センサ307の出力及び監視下の動作電流又は電圧を好適に用いて、センサ302の動作条件を修正するようにしてもよい。同出願は参照により本明細書中に組み込まれる。
【0025】
記憶装置308は本明細書中の開示から当業者に明らかな、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、これらの組合わせなど、様々な記憶装置の1又は複数を含むことができる。記憶装置308はROMなど読取専用装置や、RAMなどの読取/書込装置や、これらの組合わせなどを含んでもよい。説明を簡単にするため本明細書中では以後、これらの組合わせを単にEPROMと称するが、本明細書中の開示内容から当業者であれば認知する通り、記憶装置308はROM、RAM、単線メモリ、これらの組合わせなどを含むことができる。
【0026】
記憶装置308は、例えば、センサ302の機種又は動作情報、患者又は身体組織306の種類、購入者又は製造者情報や、照射可能な光波長数・エミッタ仕様・エミッタ駆動要件・復調データ・計算モードデータ・校正データ・スクリプトや実行可能コードなどのソフトウェア・センサ電子要素・一部又は全てのセンサ部品の寿命切れ及び交換必要性を表示するセンサ寿命データ・暗号化情報などを含むセンサ特性、測定器又はアルゴリズム更新指示又はデータなど、様々なデータ及び情報の一部又は全てを好適に保存することができる。一実施形態において、記憶装置308はまた、エミッタ波長修正データを含んでもよい。
【0027】
好適な一実施形態においては、測定器がセンサ上の記憶装置から、次に挙げる様々な選択肢のうちの1又は複数あるいは全てのデータ及び情報を読み出す。これらのデータ及び情報は例えば、センサの機種又は動作情報、患者種類、センサ購買者の種類又はID、センサ製造者情報や、照射装置の数・照射可能な光波長数・光重心に関するデータ・温度変化による照射特性変化に関するデータ・センサ温度履歴・電流又は電圧・エミッタ仕様・エミッタ駆動要件・復調データ・計算モードデータ・測定対象のパラメータ(HbCO、HbMetなど)・校正データ・スクリプトや実行可能コードなどのソフトウェア・センサ電子要素・センサが使い捨てタイプか再利用タイプか又は多点式一部再利用タイプか一部使い捨てタイプか・センサが粘着タイプ又は非粘着タイプか・センサが反射型か透写型か・センサが指、手、足、額、耳のいずれに取り付けられるタイプか・センサがステレオタイプか双方向タイプか・一部又は全てのセンサ部品の寿命切れ及び交換必要性を表示するセンサ寿命データ・暗号化情報・キー又はキーに対応するインデックスあるいはキー機能などを含むセンサ特性、測定器又はアルゴリズム更新指示又はデータ、一部又は全てのパラメータ数式、患者、年齢、性別、投薬についての情報、精度又はアラーム設定及び感度設定に役立つその他の情報、動向履歴、アラーム履歴、センサ寿命その他である。
【0028】
図3はまた、1又は複数のホスト機器320との通信を行う1又は複数の処理基板318を備えた測定器301を示している。一実施形態によれば、基板318は1又は複数のプリント回路基板上に配設された処理回路を有し、前記回路基板は携帯型又はその他の測定器301に内蔵したり、様々な患者情報を測定する様々なホスト機器320に光磁気部品として配設したり、測定器と無線通信を行う別個のユニットに配設することができる。
図3に示すように、基板318は、検知器308からアナログ検知器コンポジット信号を受信する入力とゲインコントロール信号324を受ける入力を有する前置信号変換器322を備える。信号変換器322はアナログ/デジタル変換器326(A/D変換器326)と通信する1又は複数の出力を備える。
【0029】
A/D変換器326は前置信号変換器322の出力及び温度センサ307の出力と通信する入力を備える。変換器326はさらに、デジタル信号処理/信号抽出部328と通信する出力を備える。処理部328は概して、A/D変換器326と通信しゲインコントロール信号324及びエミッタ駆動電流制御信号330を出力する。処理部328はまた記憶装置308とも通信を行う。仮想線で示すように処理部328はメモリ読取器、メモリ書込器その他を用いて記憶装置308と通信を行ってもよい。さらに
図3に示すように処理部328はホスト機器320と通信し、測定及び算出したパラメータやその他データを、例えば画像表示する。
【0030】
また
図3に示すように、基板318は、処理部328から電流制御信号330を受信しエミッタ駆動回路334に制御情報を供給するデジタル/アナログ変換器332(D/A変換器332)を備え、制御情報を受けたエミッタ駆動回路334は導体316を介してセンサ302上の複数のエミッタ304を駆動する。一実施形態において、エミッタ駆動回路334は予め設定された16種の波長光を照射する16のエミッタを駆動するが、回路334が駆動するエミッタの数はこれに限られない。例えば回路334は2以上の波長光を照射する2以上のエミッタを駆動してもよいし、又は、8以上の波長光を照射するマトリックス配置された8以上のエミッタを駆動してもよい。さらに、1又は複数のエミッタにより同一又はほぼ同一の波長光を照射し冗長性を与えてもよい。
【0031】
一実施形態において、ホスト機器320は処理部328と通信し、処理部328が算出する生体パラメータ情報を表す信号を受信する。ホスト機器320は、測定部位の組織306について算出された生体パラメータを表す兆候表示が可能な1又は複数の表示装置336を備えていることが好ましい。一実施形態において、ホスト機器320は、上記測定及び算出された1又は複数のパラメータ表示が可能な携帯式、又はその他のポータブル型のモニタ表示装置を含む様々なハウジングを好適に備えることができる。さらにまた他の実施形態においては、ホスト機器320が測定及び算出された1又は複数のパラメータの動向データを表示することができる。さらに、本明細書中の開示内容から当業者であれば認知する通り、処理部328から得られるデータの表示方法には他にも様々な選択肢がある。
【0032】
一実施形態において、ホスト機器320は、(良い又は悪い)所定方向に動向する1又は複数の生体パラメータが所定の安全域の上限又は下限値を越えたことを介護者に対し警告する聴覚あるいは視覚的アラームを備えており、また、上記パラメータは、介護者が表示データをどの程度信頼できるかを示す指標を含んでいてもよい。さらに別の実施形態では、ホスト機器320が、例えば再利用可能品、使い捨て品、又はこれらの組合わせなど、センサ302の部品の寿命切れ又は過剰使用を判定することのできる回路を含んでいてもよい。さらに、例えば検知器308などの光学部品の明瞭度、不明瞭度、透明度、半透明度を判定する別の検知器を用いて、センサ部品の使用量を表示、及び/又はフォトダイオードの品質を表示するようにしても好適である。
【0033】
本明細書中の開示内容から当業者であれば認知する通り、エミッタ304及び/又は検知器308が測定器又はセンサハウジングの内部に位置すると好適である。このような実施形態では、組織部位への光の入出射は光学繊維により行われる。検知器とは異なり、光学繊維の接点は組織近辺に位置させることができる。一実施形態において、生体測定器は臨床上有用な範囲でHbCOを正確に測定する。この測定は非光学繊維センサにより行ってもよい。また別の実施形態では、生体測定器が複数の、少なくとも4つの非コヒーレント光源を利用して1又は複数の上記生体パラメータを計測する。同様に非光学繊維センサを用いてもよい。場合によっては測定器が光学繊維検知器から光信号を受信することもある。光学繊維検知器は例えばMRIやコバルト放射治療その他を受けている患者の測定に有用である。同様に、光エミッタにより光学繊維導管を通して測定器から組織部位へ光照射することができる。光学繊維はHbCO及びHbMetの測定に特に有用である。また別の実施形態では、エミッタが組織近辺に配されるレーザダイオードである。この場合光学繊維は用いない。このようなレーザダイオードを用いる場合、波長に作用する温度補償を行っても行わなくてもよい。
【0034】
図4はセンサ308上の記憶装置の一実施形態を示す。記憶装置308は読取専用部401と読取/書込部403を有する。当業者であれば理解する通り、読取専用部と読取/書込部は同じ記憶部に設けても、物理的に別個の記憶部に設けてもよい。また、当業者であれば理解する通り、読取専用ブロック401と読取/書込ブロック403は多数の個別の物理的記憶装置から成っても、単一の記憶装置から成ってもよい。読取専用部401は例えばセンサ寿命測定(SLM)関数405、寿命切れまでの残存パーセント407、更新期間409、使用期限411、関数インデックス413、センサ種類その他の読取専用情報を保存する。
【0035】
読取/書込部403は、センサの測定システムへの接続回数415、センサの校正完了回数417、センサの測定システムへの接続時間合計419、患者の生命維持パラメータ処理にセンサが使用された時間合計421、LEDへの累積印加電流423、患者に取り付けたセンサの累積温度425、寿命切れ状態427、クリップの押圧回数429など、多数の読取/書込パラメータを保存する。以上、所定のパラメータや情報について述べたが、当業者であれば本明細書中の開示内容から理解する通り、センサの耐用寿命判定に有用な読取専用及び読取/書込パラメータを記憶部に上述のものより多く、あるいは少なく保存してもよい。
【0036】
図5は測定器とセンサ間の読取/書込処理の一実施形態のフローチャートを示す。ブロック501において、測定器はセンサからセンサパラメータを取得する。例えばブロック501において、測定器は記憶装置の読取専用部401にアクセスしSLM関数405などの関数、寿命切れまでの残存パーセント407、更新期間409、使用期限411、及び/又は関数インデックス413を取得することができる。測定器は次いでブロック503において、これらの関数を用いセンサ使用情報を追跡する。ブロック503において測定器は例えば、センサの使用時間、センサの指への接続時間、センサの開閉回数、平均温度、センサへの平均供給電流、及び、センサに課されるその他の負荷などのセンサ使用情報を追跡する。測定器は次いでブロック505においてこの使用情報を定期的にセンサに書き込む。判定を行うブロック507では、測定器はセンサから取得したパラメータ及び使用情報に基づき、センサ寿命が尽きたかどうかを判定する。ブロック507にてセンサ寿命がまだ尽きていないと判断された場合、ブロック503に戻り測定器はセンサ使用情報の追跡を続ける。これに対し判定ブロック507にて測定器が、センサ寿命が尽きたと判断すると、測定器はブロック509にてセンサ寿命が尽きたことを表示する。
【0037】
センサ使用情報は様々な方法で求めることができる。例えば一実施形態においては、エミッタ寿命を判定するため、エミッタのパルス数を計測しその指標を記憶部に保存してもよい。一実施形態においては、センサへの電力供給期間を求めこの指標を記憶部に保存する。一実施形態においては、センサ及び/又はLEDへの供給電流量を測定しこの指標を記憶部に保存する。一実施形態においては、センサの起動又は終了回数を測定しこの指標を記憶部に保存する。一実施形態においては、センサのある測定器への接続回数を追跡しこの指標を記憶部に保存する。一実施形態においては、センサの患者への取付け又は取外し回数を測定しこの指標を記憶部に保存する。センサの患者への取付け又は取外し回数は、プローブのオフ状態回数を検知してもよいし、又は、別個の測定器をセンサに取り付け、いつクリップが押圧・開放・取り外し・交換・取り付けられたかなどを調べることで測定することができる。一実施形態においては、センサの平均動作温度を測定しこの指標を保存する。これは例えば、上述のようにバルク体を用いて行ってもよいし、又は、各エミッタの温度又はセンサのその他部分の温度を直接測定して行ってもよい。一実施形態においては、センサに接続された異なる種類の測定器台数を追跡しこの指標を記憶部に保存する。一実施形態においては、センサの校正回数を測定しこの指標を記憶部に保存する。一実施形態においては、センサを使用した患者人数を測定しこの指標を保存する。これは例えば、患者に関する情報を検知あるいは手入力にて保存しておき、この情報を、センサが起動・分離及び/又は再接続されたとき、又はその他重要な機会あるいは定期的に得られる新情報と比較し、センサが接続されたのが同一の患者であるか新たな患者であるかを判定することにより行うことができる。一実施形態においては、使用者が患者に関する情報を入力するよう促され、この情報が記憶部に保存され、センサの耐用寿命判定に用いられる。一実施形態においては、使用者がセンサの清掃及び消毒に関する情報を入力するよう促され、この指標が記憶部に保存される。以上、所定の方法による所定のパラメータの計測について述べたが、本明細書中の開示内容から当業者であれば理解する通り、センサの耐用寿命判定に有用なパラメータの計測として他にも様々な電気的又は機械的計測法が可能である。
【0038】
測定器及び/又はセンサはセンサ使用情報に基づきセンサ寿命を決定する。一実施形態においては、測定器及び/又はセンサは、センサ記憶部から与えられる数式を用いて上述の変数からセンサ寿命を測定する。一実施形態においては、上記数式は、SLM関数405など、1又は一連の関数である。一実施形態においては、実験的又は経験的データを用い、センサ寿命判定に用いる数式を決定する。一実施形態においては、損傷を受けた、及び/又は使用済みセンサを分析し、センサの耐用寿命予測に有用な数式作成のために使用情報を取得する。
【0039】
一実施形態においては、1又は複数の数式が測定器の記憶部に保存される。そして、測定器により使用されるべき正しい1又は複数の数式を示す指標がセンサ内に保存される。測定器は、センサ上に保存されたこの指標を読み込むことで、センサの耐用寿命判定用に使用すべき1又は一連の数式を識別する。このように、測定器の記憶部上に複数又は一連の関数を保存し、センサの記憶部には使用すべき正しい関数を示す指標のみを保存することにより、記憶容量を節約することができる。
【0040】
一実施形態においては、センサ/測定器構成に基づき、加重関数又は関数平均が求められる。例えば、一実施形態において、センサ寿命関数は、使用指標の加重和である。例えば一実施形態においては次のようなセンサ寿命関数が用いられる:
【数1】
ここで、関数f
ijは動作条件に基づいて求められる関数であり、c
jはセンサ使用の指標である。例えば、正しい関数f
ijは下のような表から求めることができる:
【表1】
ここでF
iはセンサ種類及び/又は測定するパラメータの種類及び数を指す。異なるセンサ及び異なるパラメータのそれぞれにつき別個の関数を用いて、センサの耐用寿命を決定する。一実施形態においては、あるセンサについての正しいF
iはセンサ記憶部に保存することができる。一実施形態においては、1つのセンサについての全ての関数f
ijがセンサ記憶部に保存される。一実施形態においては、テーブル全体がセンサ記憶部に保存される。c
jは測定されたセンサパラメータから求めることができる。例えば、c
jは、使用時間合計を計測したり、あるパラメータ中の使用時間の平均値を求めたり、使用時間を二乗するなどして求めることができる。従ってc
jは使用を表す指標と言える。一実施形態においては、センサの起動又は終了回数を示す正しい値c
jは次の数式から求めることができる。
【数2】
ここで、cは起動又は終了回数を指す。
【0041】
一実施形態において、あるセンサの耐用寿命が尽きると、測定器又はセンサがアラームを鳴らすか、又は、センサの使用期間が終了したことを視覚的に表示する。一実施形態においては、測定器が、センサが不良である旨の表示を行う。一実施形態においては、測定器がデータを出力しなくなる。一実施形態においては、センサが生命兆候を計測している最中にはセンサ寿命が終了したことを告げる表示は行われない。一実施形態においては、センサの残存寿命がパーセントで表示される。一実施形態においては、推定残存使用期間が表示される。一実施形態においては、具体的なパーセントや期間を示すことなく、センサ寿命が終末に近づいたことを表す表示が出される。
【0042】
図6Aと
図6Bはセンサ寿命測定システムの実施形態のフローチャートを示す。センサ寿命測定システムの一実施形態を示す
図6Aでは、記憶装置を有するセンサが測定器に接続されている。ブロック601においてセンサはセンサ情報を測定器に送信する。この情報は、1又は複数の関数、使用パラメータ、寿命切れパラメータその他、センサ寿命終了の判定に有用な、センサ特有情報が含まれる。ブロック603において、このセンサ情報を用いて、センサの寿命終了日決定のために用いる正しい関数を決定する。過去の使用情報があればこれもこの測定工程中に使用される。ブロック605において、患者測定器はセンサ使用を監視する。測定器は任意でブロック607において、更新される使用情報を定期的にセンサに書き込んでもよいし、又は一実施形態において、測定サイクル終了時に一度、使用情報を書き込んでもよい。ブロック609において、測定器はセンサ寿命パラメータ及びセンサ寿命終了時期を算出する。その後判定ブロック611へ進み、センサ寿命が尽きたかどうかが判定される。センサ寿命が尽きた場合は、ブロック613に進み、センサ寿命が尽きたことが表示される。センサ寿命が尽きていないと判定ブロック611で判断した場合は、ブロック605に戻り、センサ使用が監視される。
【0043】
図6Bは、センサ寿命が測定器上ではなくセンサ上で算出されるフローチャートを示す。ブロック671では患者測定器がセンサ使用を監視する。この使用情報はブロック673でセンサに送られここに記録される。ブロック675でセンサはセンサ寿命終了時期を算出する。その後判定ブロック677へ進む。判定ブロック677にて、センサ寿命が尽きた場合は、ブロック679に進み、センサが寿命切れ指標を測定器に送信し測定器がブロック681にてセンサの寿命切れを表示する。これに対しブロック671にてセンサ寿命が尽きていない場合は、ブロック671に戻り、センサ使用が監視される。
【0044】
図7はセンサ寿命測定システムの一実施形態を示すフローチャートである。患者を測定する工程中に情報がEPROM上に書き込まれる。EPROMの情報保有量には限りがあるため、ある時点でEPROMは残量ゼロになる。EPROMが残量ゼロになると、センサは交換する必要がある。従ってEPROMが残量ゼロであるという信号はセンサの寿命終了を表す。このようにセンサ寿命を推定するためにEPROMの記憶容量を選択することができる。さらに、測定器がセンサに一定間隔で書き込み、EPROMの記憶部が予測可能な時期に残量ゼロとなるようプログラムしてもよい。EPROMが残量ゼロになると測定器はセンサの交換が必要であることを知らせる聴覚的及び/又は視覚的表示を行う。
【0045】
図7において、患者測定システムはブロック700においてセンサのEPROMに書き込むかどうかを判定する。ブロック700にて情報をEPROMに書き込まない場合は引き続きブロック700の工程を繰り返す。ブロック700にて情報をEPROMに書き込む場合はブロック701に進み、EPROMが残量ゼロ(記憶可能容量ゼロ)かどうかを判定する。EPROMが残量ゼロの場合、ブロック703に進み情報をEPROMに書き込む。情報が書き込まれると、ブロック700に戻り、次に情報がEPROMに書き込まれるのを待機する。ブロック701においてEPROMが残量ゼロであると判断されると、ブロック703に進み、センサの交換が必要である旨の表示がユーザに対して出される。
【0046】
一実施形態において、センサは修復し再利用することができる。例えば、使用された記憶部が消去可能な記憶モジュールであれば、センサ記憶部を修復工程中に消去して、センサ全体が再び使用できるようにしてもよい。一実施形態において、記憶部の一部又は全てが消去される度に、記憶部が消去された数を示す指標が記憶装置に保存される。このようにして、特定のセンサの修復回数を示す指標を保存することができる。書込専用メモリを使用している場合は、センサの幾つかの部位を回収し再利用することができるが、使用済のメモリモジュールは新しいものに交換される。一実施形態においては、センサ記憶部が残量ゼロになるとセンサは廃棄される。
【0047】
一実施形態において、使用済みセンサの様々な部位を回収し再利用することができる。一実施形態において、センサは上述のような様々な使用情報を追跡する。このようなセンサ記憶部を調べ、記憶部に保存されたこの使用情報に基づき、使用済みセンサのどの部位が回収可能かを知ることができる。例えば一実施形態においては、クリップの押圧回数を示す指標が記憶部に保存される。修理者はこの使用情報を参照し、機械的クリップを回収し修復済みセンサに使用できるかどうかを判断することができる。例えばLED、ケーブル、検知器、記憶部その他のセンサ部品など、センサのその他の局面についても同じ原理(principals)を適用できることは無論である。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施形態につき説明したが、その他の実施形態も可能であることは本明細書中の開示内容から通常の当業者にとっては明らかであろう。例えば本明細書中ではパルス酸素濃度センサについて説明したが、本発明の発想は例えば心電図センサ、血圧センサその他の生体センサなど他のセンサにも適用することができる。さらに本開示は、例えばセンサを生体測定器に接続するケーブルなど、センサ以外の生体測定器取付機構にも同等に適用可能である。さらに、その他の組合わせ、省略、代用、変更も本明細書中の開示内容から当業者にとっては明らかであろう。以上に説明した本発明の様々な局面や特徴は個別に、又は組み合わせて、あるいはそれぞれを入れ替えて実行することができ、これらの様々な局面や特徴の多岐に渡る組合せは全て本発明の範囲内と考えられる。さらにまた、上述のシステムは上に挙げた好ましい実施形態中の全てのモジュールや機能を含んでいなくてもよい。従って、本発明は好ましい実施形態の表現により制限されるべきものでなく、添付の特許請求の範囲により定義されるべきものである。