特許第5652807号(P5652807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5652807携帯機器におけるバックライト方式の表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5652807
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】携帯機器におけるバックライト方式の表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13357 20060101AFI20141218BHJP
   F21S 2/00 20060101ALI20141218BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20141218BHJP
【FI】
   G02F1/13357
   F21S2/00 431
   G09F9/00 350Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2009-139757(P2009-139757)
(22)【出願日】2009年6月11日
(65)【公開番号】特開2010-286623(P2010-286623A)
(43)【公開日】2010年12月24日
【審査請求日】2012年5月10日
【審判番号】不服2013-19181(P2013-19181/J1)
【審判請求日】2013年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】314008976
【氏名又は名称】レノボ・イノベーションズ・リミテッド(香港)
(74)【代理人】
【識別番号】100084250
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】笹本 和孝
【合議体】
【審判長】 吉野 公夫
【審判官】 畑井 順一
【審判官】 江成 克己
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−109855(JP,A)
【文献】 特開2003−255847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/1333
G09F9/00
G06F3/03
H04M1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯機器におけるバックライト方式の表示装置であって、
所定の表示範囲を有する透過型表示手段と、
前記透過型表示手段の前記表示範囲を背後から光照射するバックライト手段と、
前記透過型表示手段と前記バックライト手段とを枠内に取り付ける取付枠と、
前記取付枠上を覆う透明パネルと、
を有し、前記透明パネルの内面側に前記表示範囲を囲む窓枠を形成する第1窓枠印刷層と第2窓枠印刷層とが順次積層形成され、更に前記第2窓枠印刷層の上に、前記取付枠の内枠と前記透過型表示手段のエッジとの間隙を少なくとも覆う遮光印刷層が積層形成され、
前記第1窓枠印刷層は前記窓枠の見切り線よりも外側に形成され、前記第2窓枠印刷層のエッジが前記窓枠の見切り線を構成し、前記遮光印刷層が前記見切り線より印刷誤差を吸収する所定オフセット量だけ前記窓枠より外側へ後退して印刷形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第2窓枠印刷層の上に前記遮光印刷層が前記見切り線より前記オフセット量だけ後退して印刷されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の表示装置を搭載した携帯電話機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話機等の携帯機器に係り、特にそのバックライト方式の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、多くの携帯電話機にはバックライト方式の表示パネルが搭載されている。バックライト方式では、液晶表示パネルの背面側に表示領域の全体を照らすためのバックライト光源が設けられているので、バックライト光源からの光が表示側に不必要に漏れるという問題があり、この光漏れを防止する技術が種々提案されている。
【0003】
たとえば特許文献1には、バックライト光源からの光を導く導光体の端面を接着シートの被覆突縁で被覆することにより光漏れを防止する液晶表示装置が開示されている。また、特許文献2には、表示パネルの表示領域以外の領域を覆う遮光部を設け、その遮光部を部分的に突出させることによりバックライト用光源からの光漏れを防止する表示装置が開示されている。これらの特許文献に開示された表示装置は、接着シートや遮光部を複数のフレームや透明基板などの部品と重ねて組み立てた構造を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−107715号公報
【特許文献2】特開2006−154383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献では、バックライトからの光漏れを防止する突出部を有する接着シートなどをフレームに組み込んだ構成であるから、光漏れ防止用のシート等を別個に用意しなければならない。このために、部品点数が増加し、携帯電話機の軽量化が阻害されると共に、製造工程が煩雑になるという難点がある。
【0006】
そこで本発明の目的は、バックライト光漏れを効果的に防止することができ、かつ、部品点数を削減して携帯機器の軽量化および製造の容易化を達成することができる、携帯機器におけるバックライト方式の表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるバックライト方式の表示装置は、所定の表示範囲を有する透過型表示手段と、前記透過型表示手段の前記表示範囲を背後から光照射するバックライト手段と、前記透過型表示手段と前記バックライト手段とを枠内に取り付ける取付枠と、前記取付枠上を覆う透明パネルと、を有し、前記透明パネルの内面側に前記表示範囲を囲む窓枠を形成する第1窓枠印刷層と第2窓枠印刷層とが順次積層形成され、更に前記第2窓枠印刷層の上に、前記取付枠の内枠と前記透過型表示手段のエッジとの間隙を少なくとも覆う遮光印刷層が積層形成され、前記第1窓枠印刷層は前記窓枠の見切り線よりも外側に形成され、前記第2窓枠印刷層のエッジが前記窓枠の見切り線を構成し、前記遮光印刷層が前記見切り線より印刷誤差を吸収する所定オフセット量だけ前記窓枠より外側へ後退して印刷形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バックライト光漏れを効果的に防止することができ、かつ、部品点数を削減して携帯機器の軽量化および製造の容易化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(A)は本発明の一実施形態による携帯機器の表示装置の外観を示す平面図、(B)はそのa−a線断面構成図である。
図2図1(A)に示す表示装置の内部構成を示す平面構成図である。
図3】(A)は図1(B)のb部分を拡大した断面構成図、(B)はその比較例を示す断面構成図である。
図4】(A)は本実施形態による印刷層構成を示す模式的断面図、(B)はその比較例としての印刷層構成を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、バックライト方式の透過型表示装置として液晶表示装置(LCD:Liquid-Crystal Display)を用い、LCDを搭載した携帯電話機を一例として本発明の一実施形態について詳細に説明する。
【0011】
図1に示すように、本実施形態による携帯電話機の筐体10の表示側には、アクリル製の透明パネル11、LCD13、バックライト導光部14および取付枠15が搭載されている。透明パネル11の裏側には、後述する表示部窓枠の印刷層が形成され、そのエッジが見切り線12を形成する。この見切り線12からなる矩形の表示部窓枠内にLCD13の表示範囲13dが位置する。LCD13の裏側にはバックライト導光部14が重ねられ、LCD13とバックライト導光部14とが取付枠15内に固定されている。取付枠15は筐体10の凹部に固定されており、透明パネル11は取付枠15に取り付けられたLCD13を保護するように筐体10の主表面に貼り付けられている。
【0012】
図2に示すように、バックライト導光部14の所定箇所にはツメ部14aが形成されており、バックライト導光部14はツメ部14aを取付枠15に嵌合させて位置決めされ固定される。このバックライト導光部14の上にLCD13が重ねて載置される。バックライト導光部14は、LCD13の表示領域13dに対応して配置されるので、寸法はLCD13よりも若干小さい。したがって、ツメ部14aはLCD13の下を通って取付枠15に嵌合している。
【0013】
バックライト導光部14は、図示しないバックライト光源(発光ダイオードなど)からの光をLCD表示範囲13dの全体に広げる機能を有する。このためにツメ部14aにも光が導かれ、それがLCD13と取付枠15との間の間隙21から表側に漏れてしまう。一般に、LCDはガラスを割ることで外形形状を決定するので、取付枠15の内枠寸法はガラスバリの存在を考慮して大きめに形成される。このためにLCD13と取付枠15との間にはいくらかの隙間が存在することとなり、その隙間を通して光が漏れてしまう。
【0014】
図3(A)に示すように、本発明の一実施形態によれば、透明パネル11の内側であって見切り線12より外側の窓枠領域がシルク印刷で加飾されている。淡い色味の場合、1層目にパールなどの外観色A層30a、2層目にホワイトなどの外観色B層30bが積層印刷され、さらに3層目にシルバー、ブラックなどの遮光印刷層30cが印刷されている。遮光印刷層30cが印刷技術を用いて他の外観色層と同様に形成されるので、製造が容易となり、しかも透明パネル11に印刷するだけで組み立てることができ、部品点数の削減効果を得ることもできる。
【0015】
しかしながら、印刷技術を用いた場合には、通常、印刷ごとに0.15mm程度のズレが生じるという新たな技術的な課題に対処しなければならない。たとえば、表示パネルの表示領域の周りに複数色の層を重ねて印刷する場合、このような印刷ズレがあると、表示領域の周りに色ズレが目立つようになり見映えが悪くなる。特に、遮光層をパール層および白色層の上に更に重ねて印刷する場合、遮光層がずれて露出すると、表示パネルの見映えが大きく劣化する。
【0016】
そこで、本実施形態によれば、透明パネル11上に、見切り線12より外側に0.2mm程度のオフセット量をもって外観色A層30aが印刷形成され、その上に見切り線12を形成する外観色B層30bが印刷される。外観色B層30bのエッジ(見切り線12)は、LCD表示範囲13dを覆わないように配置されている。更にその上に、見切り線12より外側に0.2mm程度のオフセット量をもって遮光印刷層30cが印刷されている。
【0017】
すなわち、図4(A)に示すように、外観色A層30aと遮光印刷層30cとは見切り線12より外側に0.2mm程度のオフセット量をもって印刷形成される。したがって、印刷ズレが生じた場合にも外観色B層30bのエッジ(見切り線12)より内側に入ることはない。
【0018】
このように遮光印刷層30cは見切り線12より外側に0.2mm程度のオフセット量をもって印刷形成されるので、たとえ印刷ズレが生じても、LCD13と取付枠15との間の間隙21から漏れる光を遮光印刷層30cが有効に遮断することができる。
【0019】
図3(B)に示す比較例では、外観色A層40aで表示部窓枠の見切り線12を構成し、外観色A層40aから外側にオフセットして外観色B層40bが、さらに外側にオフセットして遮光印刷層40cがそれぞれ印刷形成される。この場合、図4(B)に示すように、見切り線12から外観色B層40bまで、外観色B層40bから遮光印刷層40cまでのオフセット量がそれぞれ0.2mm程度であるから、見切り線12から遮光印刷層40cまでのオフセット量は0.4mm程度となる。一般化すれば、通常、遮光層は最後に形成されるので、第1層の端から第n層(遮光層)の端までは平均して0.2mm×(n−1)だけの位置ズレが生じることとなる。このように遮光層の位置が後退すると、バックライト光源からの光漏れを効果的に防止できない場合が生じうる。
【0020】
すなわち、本来、遮光印刷層40cで覆われるべきLCD13と取付枠15との間の間隙21が覆われず、透明パネル11の外観色A層40aから遮光印刷層40cまでの範囲からの光が漏れる原因となる。この対策案の一つとして、透明パネル11の見切り線12に囲まれた表示部窓枠を小さくすることも考えられる。しかしながら、印刷のズレや組立時のズレを考慮した最悪のケースを想定すると、見切り線12がLCD表示範囲13dの一部に被さることも起こり得る。
【0021】
これに対して、本実施形態によれば、このような間隙21からの光漏れは、図3(A)に示す外観色A層30a、外観色B層30bおよび遮光印刷層30cからなる印刷構成により防止することができる。すなわち、表示部窓枠の大きさを変更せずに表示部パネルの見切り線12から遮光印刷層30cまでのオフセット量を図4(B)に示す0.4mm程度から図4(A)に示す0.2mm程度に短くすることができ、0.4mm程度のオフセット量では覆うことのできなかった表示LCDのバックライト漏れ光を覆うことができる。
【0022】
最近の携帯電話機では、デザイン面から表示パネルを種々の色合いで仕上げることが要求されている。このようなデザイン上の要求に細かく答えるために、印刷技術の使用が考えられる。たとえば、表示部パネルに淡い色を実現するには、1層目にパール層、2層目に白色層を重ねて印刷する技術が必要となる。本実施形態による遮光印刷層30cは、このような印刷技術をそのまま利用することができるという利点もある。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、バックライト方式のLCDによる表示部を有する携帯機器に適用できる。携帯機器としては、携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistants)、電子辞書、電卓、ノートパソコン、携帯テレビ等が挙げられる。
【符号の説明】
【0024】
10 筐体
11 透明パネル
12 見切り線
13 LCD
13d LCD表示範囲
14 バックライト導光部
15 取付枠
21 間隙
30a 外観色A印刷層
30b 外観色B印刷層
30c 遮光印刷層
図1
図2
図3
図4