(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記内部の温度が予め設定された第2の閾値以上となった場合に、前記基地局へ第2のデータを送信し、前記第2のデータに対する前記基地局からの応答に基づいて第2の通信パラメータを設定する制御手段と、を備えた請求項1に記載された無線通信装置。
前記第2のデータの送信電力は、前記内部の温度が予め設定された第2の閾値以上となった時点における前記基地局に対して設定されていた送信電力よりも低い、請求項6又は7に記載された無線通信装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の無線通信装置の実施形態について図面を参照して説明する。
第1から第5の実施形態で説明する携帯端末装置は、基地局2との間で上り高速パケット通信を行う無線通信システムで用いられる無線通信装置である。
図1は本発明の第1から第5の実施の形態に共通する、無線通信システムの構成及び携帯端末装置の構成を示す図である。
図1において、携帯端末装置1は、アンテナ10と、アンテナ共用部11と、受信電力増幅部12と、送信電力増幅部13とを備える。携帯端末装置1は、さらに、ベースバンド部14と、CPU(Central Processing Unit)15と、温度センサ16と、不揮発メモリ17と、比較部18と、メモリ19とを備える。そして、携帯端末装置1は、アンテナ10を通して基地局2との間で無線通信を行う。送信電力増幅部13は、CPU15からの送信電力指示に基づいて送信電力を制御する。また、ベースバンド部14は、CPU15から指示された最大送信データレート情報に基づいて、送信データの送信速度を制御する。アンテナ共用部は、1本のアンテナを、受信電力増幅部12と、送信電力増幅部13とで共有するための回路である。
CPU15は、メモリ19に記憶されているプログラムに従って動作する。そして、CPU15は、携帯端末装置1の送信電力や送信データレートを決定する機能を備える。
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図2は第1の実施形態の携帯端末装置1の動作手順及び基地局2との間の通信手順を示す図である。まず、
図1及び
図2を参照して、第1の実施形態による携帯端末装置1の動作について説明する。
第1の実施形態において、携帯端末装置1は、上り高速パケット通信を行う。なお、以下で説明する携帯端末装置1の動作は、メモリ19に格納されたプログラムをCPU15が実行することで実現してもよい。
図2を参照して、第1の実施形態における携帯端末装置1の動作を説明する。
携帯端末装置1は、温度センサ16にて温度を感知する(S101)。感知された温度が、不揮発メモリ17で保持されている第1の閾値を超えた場合(S102:YES)、携帯端末装置1は、第1のデータを基地局2へ送信する(S103)。
基地局2は、携帯端末装置1から受信した第1のデータに基づいて、携帯端末装置1に第1の応答を送信する(S201)。
携帯端末装置1は、基地局からの第1の応答に基づいて、第1の通信パラメータを設定する(S104)。
以上の動作では、携帯端末装置1は、感知された温度が第1の閾値を越えた場合に、基地局2へ第1のデータを送信する。そして、携帯端末装置1は、第1のデータに対する基地局2からの第1の応答に基づいて、第1の通信パラメータを設定する。
ここで、携帯端末装置1のデータレートを低下させ、携帯端末装置1のあるいは送信電力を低下させるように第1の通信パラメータを設定してもよい。
携帯端末装置1のデータレートを低下させることにより、CPU15の消費電力が低下するので、CPU15の発熱量が低下する。また、携帯端末装置1の送信電力を低下させることにより、送信電力増幅部13の発熱量が低下する。従って、携帯端末装置1の発熱量を低下させるように第1の通信パラメータを設定することによって、携帯端末装置1の温度の上昇を抑制することができる。
このように、第1の実施形態の携帯端末装置1は、温度が閾値を超えた際には、基地局からの指示に基づいて通信条件を設定する。その結果、第1の実施形態の携帯端末装置は、基地局との間で通信条件を整合させながら携帯端末装置の通信パラメータを変更することで、温度上昇を抑えることができるという効果がある。
また、第1の実施形態の携帯端末装置は、温度上昇を抑制するための特殊な構造や材料を使用しないので、携帯端末装置の大型化や価格の上昇も抑制できるという効果もある。
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態における携帯端末装置1の構成は、第1の実施形態の説明において、
図1で説明したものと同様である。
図3は、本発明の第2の実施形態の携帯端末装置1の動作手順及び基地局2との間の通信手順を示す図である。
図1及び
図3を参照して、第2の実施形態による携帯端末装置1の動作について説明する。
携帯端末装置1は、温度センサ16にて温度を感知する(S301)。感知された温度が、不揮発メモリ17で保持されている第1の閾値を超えた場合(S302:YES)、携帯端末装置1は、第1のデータを基地局2へ送信する(S303)。
基地局2は、携帯端末装置1から受信した第1のデータに基づいて、携帯端末装置1に第1の応答を送信する(S401)。
携帯端末装置1は、基地局からの第1の応答に基づいて、第1の通信パラメータを設定する(S304)。そして、引き続き温度センサによる温度の検知を継続する(S305)。
携帯端末装置1は、感知された温度が第2の閾値を超えた場合(S306:YES)、携帯端末装置1は、第2のデータを基地局2へ送信する(S307)。
基地局2は、携帯端末装置1から受信した第2のデータに基づいて、携帯端末装置1に第2の応答を送信する(S402)。
携帯端末装置1は、基地局からの第2の応答に基づいて、第2の通信パラメータを設定する(S308)。
このように、第2の実施形態の携帯端末装置1は、
図2で説明した第1の実施形態の手順を続けて繰り返す。ただし、1回目の手順(ステップS301〜S304)と、2回目の手順(ステップS305〜S308)とで、第1及び第2の閾値、第1及び第2のデータの内容は異なっていてもよい。また、第1及び第2の応答の内容、第1及び第2の通信パラメータの内容も異なっていてもよい。たとえば、第1の閾値の温度よりも第2の閾値の温度を高く設定してもよい。また、1回目の手順の実行後になお携帯端末装置1の温度が上昇した場合に、第1の通信パラメータよりも大きい温度抑制効果が見込まれるような、第2の通信パラメータを設定してもよい。
ここで、携帯端末装置1に設定する第1及び第2の通信パラメータとしては、データレートまたは送信電力のいずれかを任意に用いてよい。例えば、ステップS304では携帯端末装置1のデータレートを設定し、ステップS308では携帯端末装置1の送信電力を設定してもよい。また、逆にステップS304で送信電力を設定し、ステップS308でデータレートを設定してもよい。あるいは、ステップS304とS308とで、値の異なるデータレートを設定してもよい。さらに、ステップS304とS308とで、値の異なる送信電力を設定してもよい。
このように、第2の実施形態においては、携帯端末装置1は、温度が第1の閾値を超えると、第1のデータを基地局に送信する。そして、携帯端末装置1は、基地局からの第1の応答に基づいて、第1の通信パラメータを設定する。その後、温度が第2の閾値を超えると、携帯端末装置1は第2のデータを基地局に送信する。そして、携帯端末装置1は、基地局からの第2の応答に基づいて、さらに、第2の通信パラメータを設定する。すなわち、第2の実施形態においては、携帯端末装置1は、第1の通信パラメータを設定後に筐体の温度が第2の閾値を越えた場合には、第2の通信パラメータを設定する。このように、第2の実施形態の携帯端末装置1は、温度上昇の程度に応じて複数の通信パラメータを設定する。このため、第2の実施形態の携帯端末装置1は、第1の実施形態で説明した効果に加えて、さらに、きめ細かく通信パラメータを設定できるという効果を奏する。
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態における携帯端末装置1の構成は、第1の実施形態の説明において、
図1で説明したものと同様である。
第3の実施形態の携帯端末装置1は、基地局2の指示に基づいて、MCS(Modulation and Coding Scheme)を選択して通信に使用する。
ここで、MCSについて説明する。MCSは、無線環境の変化に応じて通信パラメータを変化させる無線伝送システムで用いられる、送信データの変調方式、誤り訂正符号化率、使用コード数の設定を含む通信パラメータの組み合わせをいう。すなわち、MCSは、値の異なる通信パラメータのセットである。そして、MCSは、複数の伝送速度のそれぞれに対応して用意される。
携帯端末装置1は、無線通信環境の変化に応じて、基地局2からの指示に基づいて、通信に使用するMCSを選択する。そして、携帯端末装置は、選択したMCSにおいて規定されている通信パラメータに基づいて、データを送信する。一般に、異なるMCSを選択すると、それに伴って、送信電力も変化する。
図4は、本発明の第3の実施形態の携帯端末装置1の動作手順及び基地局2との間の通信手順を示す図である。
携帯端末装置1は、温度センサ16にて温度を感知する(S501)。感知された温度が、不揮発メモリ17が保持する第1の閾値を超えた場合(S502:YES)、携帯端末装置1は、基地局に対して送信可能な送信データレートの最大値の情報を、現在の最大送信データレートから所定の段階だけ下げて、基地局2へ送信する(S503)。
なお、データレートの段階の例としては、HSUPA(High Speed Uplink Packet Access)及びLTEにおけるCategoryがあげられる。
基地局2は、携帯端末装置1の送信データレートが、携帯端末装置1から受信した送信速度の最大値以下となるように、携帯端末装置1に対してMCSの指示を送信する(S601)。
携帯端末装置1は、現在の送信データレートが、ステップS503で基地局に通知した最大送信データレート以上だった場合には、基地局からのMCSの指示に基づいて、現在のMCSをより低いデータレートのMCSへ変更する(S504)。その結果、携帯端末装置1の、CPU15の演算量も下がる。
また、現在のMCSをより低いデータレートのMCSへ変更した結果、所望の伝送品質を得るために必要とする1bit当たりのエネルギが下がる。従って、基地局2は、伝送品質が改善したと判断して、送信電力を低下させるように携帯端末装置1へ指示する(S602)。これに従い、携帯端末装置1は送信電力を下げる(S505)。その結果、送信電力増幅部13の消費電力が下がり、送信電力増幅部13の発熱が低く抑えられる。
以上の動作では、携帯端末装置1は、感知された温度が第1の閾値を越えた後に、基地局2へ送信可能な送信データレートの最大値を送信する。そして、携帯端末装置1は、それに対する基地局2からのMCSの指示に基づいて、携帯端末装置1に、送信データレートを設定する。携帯端末装置1の送信データレートが低下すると、CPU15の消費電力が低下し、CPU15の発熱量が低下する。その結果、第3の実施形態の携帯端末装置1には、携帯端末装置1の温度上昇を抑制することができるという効果がある。
さらに、第3の実施形態においては、ステップS505において、基地局2の指示により、携帯端末装置1は送信電力を低下させる。その結果、送信電力増幅部13の発熱が低く抑えられるので、第3の実施形態の携帯端末装置1には、発熱がさらに抑えられるという効果もある。
このように、第3の実施形態の携帯端末装置1は、第1の実施形態の携帯端末装置1と同様に、基地局との間で通信条件を整合させながら、携帯端末装置1の温度上昇を抑えることができるという効果がある。また、第3の実施形態の携帯端末装置1は、第1の実施形態の携帯端末装置1と同様に、温度上昇を抑制するための特殊な構造や材料を使用しないので、携帯端末装置の大型化や価格の上昇が抑制できるという効果もある。
なお、
図4におけるステップS602及びステップS505の処理は、省略することも可能である。例えば、第3の実施形態において、ステップS504までの手順で携帯端末装置1の温度上昇が抑えられている場合には、携帯端末装置1は、S505の処理を実施しなくともよい。ステップS505の処理を行わない場合でも、第3の実施形態の携帯端末装置1は、CPU15の演算量を下げることで、特殊な構造を用いることなく、携帯端末装置の温度上昇や消費電力の増大を防ぐことができるという効果を奏する。
次に、
図5を参照して、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態における携帯端末装置1の構成は、第4の実施形態の説明において、
図1で説明したものと同様である。携帯端末装置1は、不揮発メモリ17に閾値#2(第2の閾値)を保持している。
図5は、本発明の第4の実施形態の携帯端末装置1の動作手順及び基地局2との間の通信手順を示す図である。
携帯端末装置1は、温度センサ16にて温度を感知する(S701)。感知された温度が第2の閾値を超えた場合(S702:YES)、携帯端末装置1は、送信電力を基地局2からの指示に関わらず、所定の比率だけ下げる(S703)。
送信電力の低下によって、携帯端末装置1と基地局2との間では、現在のMCSで必要とする伝送品質が得られなくなる。従って、基地局2は、携帯端末装置1に対して、より送信データレートが低いMCSを選択するよう指示する(S801)。そして、携帯端末装置1は、基地局からの指示に基づいて、MCSをより低い送信データレートのMCSへ変更する(S704)。その結果、携帯端末装置1のCPU15の演算量も下がる。
また、MCSをより送信データレートが低いMCSへ変更することにより、所望の伝送品質を得るために必要とする1bit当たりのエネルギが下がる。このため、基地局2は伝送品質が改善したと判定する。そして、基地局2は、送信電力を低く抑えるように携帯端末装置1へ指示する(S802)。これにより、携帯端末装置1は、送信電力を下げるので(S705)、送信電力増幅部13の消費電力も下がる。その結果、さらに、携帯端末装置1は、送信電力増幅部13の発熱を低く抑えることもできるようになる。
このように、第4の実施形態の携帯端末装置1も、基地局2との間で通信条件を整合させながら通信条件を変更する。その結果、携帯端末装置の温度上昇や消費電力の増大を防ぐことができるという効果を奏する。また、第4の実施形態の携帯端末装置においても、温度上昇を防ぐための特殊な構造や材料を使用しないので、携帯端末装置の大型化や価格の上昇も抑制できるという効果も奏する。
なお、
図5における携帯端末装置1のステップS705の処理は、省略することも可能である。すなわち、第4の実施形態において、ステップS704までの手順で携帯端末装置1の温度上昇が抑えられていれば、携帯端末装置1は、ステップS705の処理を実施しなくともよい。ステップS705の処理を行わない場合でも、第4の実施形態の携帯端末装置1は、CPU15の演算量を下げることで、特殊な構造を用いることなく、携帯端末装置の温度上昇や消費電力の増大を防ぐことができるという効果を奏する。
ここで、第3及び第4の実施形態における第1の閾値及び第2の閾値は、設計時に決定されてもよい。これにより、携帯端末装置1の表面温度を、許容される最高温度(例えば、法令、通信キャリアの品質基準、メーカの品質基準等で規定される最高温度)以下となるように設定することが可能となる。
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
第5の実施形態の携帯端末装置は、上述した第3及び第4の実施形態の手順を共に備える。
第5の実施形態の携帯端末装置1の構成は、
図1で説明した携帯端末装置と同様である。
第5の実施形態の携帯端末装置1は、第1の閾値と第2の閾値との2つの温度の閾値を設定し、かつ、第1の閾値を第2の閾値よりも低い温度に設定する。
図6は、第5の実施形態の携帯端末装置1と基地局2との動作を示すフローチャートである。
図6において、携帯端末装置1は、温度センサ16にて温度を感知する(S901)。感知された温度が第1の閾値を超えた場合(S902:YES)、携帯端末装置1は、基地局に対して送信可能な送信データレートの最大値の情報を、現在の最大送信データレートから所定の段階だけ下げて、基地局2へ送信する(S903)。
基地局2は、携帯端末装置1の送信データレートが、携帯端末装置1から受信した送信速度の最大値以下となるように、携帯端末装置1に対してMCSの指示を送信する(S1001)。
携帯端末装置1は、現在の送信データレートが、ステップS903で基地局に通知した最大送信データレート以上だった場合には、基地局からのMCSの指示に基づいて、MCSをより低いデータレートのMCSへ変更する(S904)。
ここで、現在のMCSをより低いデータレートのMCSへ変更した結果、所望の伝送品質を得るために必要とする1bit当たりのエネルギが下がる。従って、基地局2は、伝送品質が改善したと判断して、送信電力を低下させるように携帯端末装置1へ指示する(S1002)。これに従い、携帯端末装置1は送信電力を下げる(S905)。その結果、送信電力増幅部13の消費電力が下がり、送信電力増幅部13の発熱が低く抑えられる。
上記の手順によっても携帯端末装置1の温度が上昇し続ける場合には、以下の手順が続けて実行される。
すなわち、携帯端末装置1は、温度センサ16にて温度を感知する(S906)。感知された温度が第2の閾値を超えた場合(S907:YES)、携帯端末装置1は、送信電力を基地局2からの指示に関わらず、所定の比率だけ下げる(S908)。
送信電力の低下によって、携帯端末装置1と基地局2との間では、現在のMCSで必要とする伝送品質が得られなくなる。従って、基地局2は、携帯端末装置1に対して、より送信データレートが低いMCSを選択するよう指示する(S1003)。そして、携帯端末装置1は、MCSをより送信データレートが低いMCSに変更する(S909)。その結果、携帯端末装置1の送信データレートが下がるので、携帯端末装置1のCPU15の演算量も下がる。
また、MCSをより送信データレートが低いMCSに変更することにより、所望の伝送品質を得るために必要とする1bit当たりのエネルギが下がる。このため、基地局2は伝送品質が改善したと判定する。そして、基地局2は、送信電力を低く抑えるように携帯端末装置1へ指示する(S1004)。これにより、携帯端末装置1は、送信電力を下げる(S910)。その結果、送信電力増幅部13の消費電力が下がるので、携帯端末装置1は、さらに、送信電力増幅部13の発熱を低く抑えることもできるようになる。
以上説明したように、第5の実施形態の携帯端末装置1は、まず、第3の実施形態における手順により携帯端末装置1の温度上昇の抑制を図る。そして、第3の実施形態における手順では携帯端末装置1の温度上昇が防げず、筐体の温度が第2の閾値を越えた場合には、第4の実施形態の手順によって温度上昇が抑えられる。このため、第5の実施形態の携帯端末装置1は、第3及び第4の実施形態で説明した効果に加えて、温度上昇の程度に応じてよりきめ細かく通信パラメータを設定できるという効果がある。
このように、第5の実施形態の携帯端末装置は、基地局との間で通信条件を整合させながら通信条件を変更して、携帯端末装置の温度上昇や消費電力の増大を防ぐことができる。また、第5の実施形態の携帯端末装置においても、温度上昇を防ぐための特殊な構造や材料を使用しないので、第3及び第4の実施形態と同様に、携帯端末装置の大型化や価格の上昇が抑制される。
なお、第5の実施形態の変形例として、ステップS903とステップS1001とで構成される手順と、ステップS908とステップS1003とで構成される手順とを入れ換えた手順も利用可能である。
第5の実施形態の変形例の手順は、以下のようになる。すなわち、携帯端末装置1は、温度が第一の閾値を超えると(S902:Yes)、まず、送信電力を所定の段階だけ下げる(S908)。そして、基地局2は、より低い送信データレートのMCSを用いるように携帯端末装置1へ指示する(S1003)。その後、温度が第2の閾値を越えると(S907:Yes)、携帯端末装置1は、基地局に対して送信可能な送信データレートの最大値の情報を、現在の最大送信データレートから所定の段階だけ下げて、基地局2へ送信する(S903)。そして、基地局2は、送信データレートの最大値以下の送信データレートのMCSを用いるように、携帯端末装置1に指示する。
このように、第5の実施形態の変形例においても、携帯端末装置1は、基地局との間で通信条件を整合させながら通信条件を変更して、携帯端末装置の温度上昇や消費電力の増大を防ぐことができる。
さらに、
図6に示した第5の実施形態の携帯端末装置1の動作において、ステップ1002及びステップ905の処理は、省略することも可能である。また、ステップ1004及びステップ910の処理も、省略することが可能である。たとえば、ステップS904またはステップS909までの手順の実行によって携帯端末装置1の温度が所定の温度以下に抑えられていれば、その後の処理を実施しないようにしてもよい。
図7は、本発明の第6の実施形態の携帯端末装置の構成例を示すブロック図である。
図7において、携帯端末装置1は、アンテナ10と、アンテナ共用器11と、受信電力増幅器12と、送信電力増幅器13と、ベースバンド部14と、CPU15と、温度センサ16と、不揮発メモリ17と、比較部18とから構成されており、アンテナ10を通して基地局2との間で無線通信を行う。送信電力増幅器13は、CPU15からの送信電力指示にて制御され、ベースバンド部14は、CPU15からの最大レート情報にて制御される。
比較部18は、温度センサ16で感知された温度と、不揮発メモリ17に保持されている閾値#1,#2とを比較し、その比較結果をCPU15に通知する。CPU15は、比較部18の比較結果に応じて送信電力指示、最大レート情報を可変させる。
図8及び
図9は本発明の第6の実施の形態による携帯端末装置1の動作例を示すフローチャートである。これら
図7〜
図9を参照して本発明の実施の形態による携帯端末装置1の動作例について説明する。
図8は本発明の実施の形態における第一の仕組みを示しており、
図9は本発明の実施の形態における第二の仕組みを示している。また、携帯端末装置1は、上り高速パケット通信を行うものとする。尚、
図8及び
図9に示す携帯端末装置1の動作は、CPU15が図示せぬメモリに格納されたプログラムを実行することで実現される。
まず、
図8を参照して、本発明の第6の実施形態における第一の仕組みについて説明する。携帯端末装置1は、装置内の温度を感知する温度センサ16を装置内部に備え、不揮発メモリ17に閾値#1(第一の閾値)を保持している。
携帯端末装置1は、温度センサ16にて感知された温度が閾値#1を超えた場合(
図8ステップS1,S2)、基地局2に携帯端末装置1が送信可能な最大送信データレート[HSUPA(High Speed Uplink Packet Access)、LTE(Long Term Evolution)では、Category]を所定の段階だけ下げて送信する(
図8ステップS3)。
基地局2は、携帯端末装置1から受け取った最大送信データレートを基に、携帯端末装置1に指示するMCSを最大送信データレート以下とするように携帯端末装置1へ送信する(
図8ステップS11)。携帯端末装置1は、現在のMCSが最大送信データレート以上だった場合、低いデータレートのMCSへシフトダウンすることで、CPU15の演算量を下げることができる(
図8ステップS4)。
また、基地局2は、所望の伝送品質を得るために必要とする1bit当たりのエネルギが下がるため、伝送品質が改善したと判定し、送信電力を低く抑えるように携帯端末装置1へ指示するため、携帯端末装置1は送信電力を下げて、送信電力増幅器13の消費電力を下げることができ、送信電力増幅器13の発熱を低く抑えることになる。
次に、
図9を参照して、本発明の第6の実施形態における第二の仕組みについて説明する。携帯端末装置1は、不揮発メモリ17に閾値#2(第二の閾値)を保持している。
携帯端末装置1は、温度センサ16にて感知された温度が閾値#2を超えた場合(
図9ステップS21,S22)、送信電力を基地局2からの指示に係わらず、所定の電力比分下げる(
図9ステップS23)。
これによって、本実施の形態では、現在のMCSで必要とする伝送品質が得られなくなることで、基地局2よりMCSを下げるよう指示がくるため(
図9ステップS31)、CPUの演算量を下げることができる(
図9ステップS24)。
また、基地局2は、所望の伝送品質を得るために必要とする1bit当たりのエネルギが下がるため、伝送品質が改善したと判定し、送信電力を低く抑えるように携帯端末装置1へ指示するため、携帯端末装置1は、送信電力を下げて送信電力増幅器13の消費電力を下げることができ、送信電力増幅器13の発熱を低く抑えることになる。
本実施の形態では、設計者が閾値#1,#2のいずれか、もしくは両方を適切に設定すれば、携帯端末装置1の表面温度を所望の最大温度(例えば、法令、通信キャリアの品質基準、メーカの品質基準等で規定される最大温度)以下となるように設計することが比較的容易に可能となる。
また、上記の本実施の形態による第二の仕組みは、基地局2からの指示を無視して送信電力を下げるため、基地局2よりMCSを下げるよう指示が来るまで伝送品質が劣化してしまうという問題がある。そのため、閾値#1を閾値#2よりも低く設定し、第一の仕組みを適用しても、携帯端末装置1の温度上昇が防げない場合、閾値#2によって確実に所望の表面温度以下となるよう設計すべきである。
つまり、上述した本発明の第一の仕組み及び第二の仕組みは、それぞれ個別に動作させるようにしてもよいが、第二の仕組みに上記の問題があるため、連続的に実行させることが最良の形態である。
図10は、本発明の第7の実施形態の無線通信装置の構成を示す図である。
図10に示した無線通信装置71は、感知手段72と、制御手段73とを備える。
感知手段72は、無線通信装置71の内部の温度を感知する。制御手段73は、感知手段72が感知した温度が予め設定された第1の閾値以上となった場合に、図示されていない基地局へ第1のデータを送信する。そして、制御手段73は、第1のデータに対する図示されていない基地局からの第1の応答に基づいて第1の通信パラメータを設定する。
以上のように、
図10に示した構成を備える無線通信装置72は、温度が第1の閾値を超えると、基地局からの応答に基づいて通信パラメータを設定する手順を備える。従って、第7の実施形態の無線通信装置も、通信速度の高速化や高出力化に起因する温度上昇や消費電力の増大を抑えながら、無線通信装置の大型化や価格上昇を抑制できるという効果を奏する。
なお、本発明では、上記の第1から第6の実施の形態において、感知手段として1つの温度センサ16を使用する例について述べたが、発熱箇所が複数ある場合は、温度センサを複数設け、それぞれに閾値を設定してもよい。
また、上記の温度センサの代わりに、サーミスタ等の熱可変抵抗によって温度を検知し、CPU15に割り込みを行う方法等を用いることも可能である。さらに、上記の温度センサの代わりに、発熱する回路各々の消費電流を監視するような間接的な方法で温度を感知する方法等を用いることも可能である。
以上、第1から第7の実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明の応用形態は、上記の実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
図11は、本発明に関連する無線通信システムの構成及び携帯端末装置の構成を示す図である。
図11において、携帯端末装置3は、アンテナ30と、アンテナ共用部31と、受信電力増幅部32と、送信電力増幅部33とを備える。さらに、携帯端末装置3は、ベースバンド部34と、CPU35とを備える。そして、携帯端末装置3は、アンテナ30を通して基地局4との間で無線通信を行う。送信電力増幅部33は、CPU35からの送信電力指示にて制御され、ベースバンド部34は、CPU35からの最大レート情報にて制御される。
フェージングや伝送損失の変動等がないStaticな伝送環境において、携帯端末装置3がより伝送速度の高いMCSを選択すると、同じ送信電力のままではビット当たりエネルギが減少する。このため、携帯端末装置3が伝送速度を上げようとすると、ビット当たりのS/N(Signal to Noise)比が悪化し、所望の回線品質を確保できない場合がある。
そこで、携帯端末装置3は、現在よりも伝送速度の高いMCSを選択すると、それに伴って送信電力を上げようとする。これを繰り返すと、携帯端末装置3は、常に自分自身が送信可能な最大電力で送信を行うことになってしまう。
したがって、上記の本発明に関連する上り可変レート無線伝送システムにおいては、携帯端末装置3が最大電力で送信し続けた場合においても、表面温度が許容される最高温度以下となるよう設計する必要がある。
携帯端末装置内部の発熱量の多くを占めるのは、電力増幅部とCPUとである。さらに、一般的な電力増幅部の消費電力に対する出力電力の比率は、通常のクラスA増幅回路においては50%程度である。この場合、送信電力と等価な電力が熱となる。また、高いデータレートのMCSを選択すると、CPUの処理負荷も高くなる。このことも、発熱が大きくなる要因となる。
一方、上りリンク通信方式においても、携帯端末装置の低消費電力化は重要な設計要件である。方式上の低消費電力化による、部品の発熱低減も行われている。例えば、LTE(Long Term Evolution)においては、送信すべきトラフィックのデータレートに応じてできるだけ小さい送信電力でデータチャネルが送信される。また、LTEにおいては、単一の搬送波を用いるSC−FDMA(Single Carrier−Frequency Division Multiple Access)が採用されている。SC−FDMAの採用により、LTEは低消費電力化を図っている。
本発明は、通信速度の高速化や高出力化に起因する温度上昇を防ぐという効果がある。また、本発明は、携帯端末装置の大型化や価格の上昇も抑制できるという効果もある。
この出願は、2008年8月6日に出願された日本出願特願2008−202503を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。