【実施例】
【0321】
以下、具体的な実施例および比較例を挙げて本発明について説明するが、本発明は下記の例により何ら限定されるものではない。
【0322】
先ず、実施例および比較例に適用した分析方法を下記に説明する。
【0323】
〔金属含有触媒組成物中の金属濃度の分析方法〕
試料溶液を採取し、王水による前処理を行い、その後、下記装置によりICP分析を実施し、金属含有触媒組成物中の金属濃度を求めた。
【0324】
分析装置:RIGAKU社製 JY−138ULTRACE高周波誘導結合型プラズマ発光分析計(ICP)システム
〔サリチル酸エステル以外の上記(i)〜(iii)および式(Y)に示す化合物の分析方法〕
〔1〕分析用サンプルの作製
試料溶液を1g計り取り、トリフルオロ酢酸/アセトニトリル(20g/1L)溶液5mLを加えて溶解させ、その後、プロピルスルホン酸フィルターを用いてろ過し、ろ液を分析用サンプルとした。
【0325】
〔2〕分析条件
分析装置:島津製作所製高速液体クロマトグラフィーLC10−ATシステム
カラム:ODS−3V(GL Science Inertsil)
カラムオーブン:25℃
溶離液:アセトニトリル/水
溶離液グラジエント:アセトニトリル15%v/v(11min)→20%(31min)→100%(20min)
流速:1mL/min
注入量:10μL
検出部:UV(254nm)
〔3〕定量分析方法
上記分析条件で、各標準物質の標準サンプルについて分析を実施し作成した検量線を基に、分析用サンプルの定量分析を実施し、サリチル酸エステル以外の上記(i)〜(iii)および式(Y)に示す化合物を定量した。
【0326】
〔式(X)で表される化合物またはサリチル酸エステルの分析方法〕
〔1〕分析サンプル溶液の作製
試料溶液を0.06g計り取り、フェニルメチルエーテルを約1.4g加えた。さらに、内部標準としてトルエンまたはジフェニルエーテル約0.04g、チタン含有組成物処理剤としてカテコール約0.05gを加えて、よく混合した。その後、該混合物を0.45μmのメンブレンフィルターでろ過し、ろ液をガスクロマトグラフィー分析サンプル溶液とした。
【0327】
〔2〕ガスクロマトグラフィー分析条件
分析装置:島津製作所製GC−2010システム
カラム:DB−1(米国、J&W Scientific社製)
液相:100%ジメチルポリシロキサン
長さ:30m
内径:0.25mm
フィルム厚さ:1μm
カラム温度:50℃(5min保持)→200℃(昇温速度10℃/min;200℃で5min保持)→300℃(15min保持)
インジェクション温度:300℃
検出器温度:300℃
検出法:FID
〔3〕定量分析法
上記分析条件で、各標準物質の標準サンプルについて分析を実施し作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施し、式(X)で表される化合物またはサリチル酸エステルを定量した。
【0328】
〔式(1)で表される化合物以外の成分ならびに式(X)および式(Y)で表される化合物以外の成分の分析方法〕
〔1〕分析サンプル溶液の作成
試料溶液を0.15g計り取り、脱水アセトンを約2g加えた。さらに、内部標準としてトルエンまたはジフェニルエーテル約0.04gを加えて、ガスクロマトグラフィー分析サンプル溶液とした。
【0329】
〔2〕ガスクロマトグラフィー分析条件
分析装置:島津製作所製GC−2010システム
カラム:DB−1(米国、J&W Scientific社製)
液相:100%ジメチルポリシロキサン
長さ:30m
内径:0.25mm
フィルム厚さ:1μm
カラム温度:50℃(5min保持)→200℃(昇温速度10℃/min;200℃で5min保持)→300℃(5min保持)
インジェクション温度:300℃
検出器温度:300℃
検出法:FID
〔3〕定量分析法
上記分析条件で、各標準物質の標準サンプルについて分析を実施し作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施し、式(1)で表される化合物以外の成分ならびに式(X)および式(Y)で表される化合物以外の成分を定量した。
【0330】
〔平均多量化度の分析方法〕
平均多量化度は、上記チタン含有組成物中の金属濃度の分析方法と同様にして、ICP分析によりチタン含有化合物のチタン濃度を定量し、さらにアルコキシ基(例えば、ブトキシ)をガスクロマトグラフィー法で定量分析して求めた。
【0331】
〔実施例1〕
(チタン含有組成物の調製)
攪拌機、ヒーターおよび蒸留塔を具備した容積60Lのバッチ型反応器に、テトラブトキシチタン(DuPont社製、製品名:Tyzor TnBT)を窒素雰囲気下で7kg仕込み、次いで予め蒸留精製したフェノールを14kg仕込んだ。
【0332】
次に、常圧において、前記バッチ型反応器中の混合物をヒーターによって180℃に加熱し、反応させた。当該反応によって発生したn−ブタノールを蒸留塔の塔頂から回収した。さらに前記バッチ型反応器を約53kPaに減圧し、n−ブタノールを回収した。
【0333】
その後、前記バッチ型反応器を常圧に戻し、ジフェニルカーボネートを約18kg仕込み、該反応器中の混合物を約190℃に加熱した。次に前記バッチ型反応器を約1.3kPaに減圧し、低沸点成分を含むジフェニルカーボネートを留去して、チタン含有組成物を得た。得られたチタン含有組成物のチタン濃度が5質量%になるようにジフェニルカーボネートを加えた。該チタン含有組成物を200℃,約48hr加熱した後、次のジアリールカーボネートの製造に反応触媒として用いた。
【0334】
(ジアリールカーボネートの製造装置)
図1に、実施例1で用いた製造装置の概略構成図を示す。
【0335】
この製造装置は、連続多段構造の蒸留塔110、120、蒸留塔130、および蒸留精製塔140を具備している。
【0336】
これらは所定のラインにより連通している。
【0337】
具体的には、ライン1,12は、原料化合物やチタン含有組成物等を供給する供給ラインであり、ライン3,9は生成化合物やその他の材料を回収する回収ラインである。ライン2,4,5,6,7,8,10は移送ラインであり、ライン11は抜き出しラインである。
【0338】
符号111,121,131,141はリボイラーを示し、符号112,122,132,142はコンデンサーを示している。符号113は供給材料を所定の温度とするための予熱器である。
【0339】
(ジアリールカーボネートの製造)
(1)スタートアップ操作
蒸留塔110は、段数25のシーブトレイを充填した内径150mm長さ4.8mの濃縮部およびMelapak CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd社製)を充填した内径150mm長さ2.3mの回収部を具備する連続多段構成の蒸留塔とした。
【0340】
当該蒸留塔110において、25段目のシーブトレイから、ビス(3−メチルブチル)カーボネート、フェノール、および上記で調製した反応触媒を、予熱器113を経て供給ライン1から約1830g/Hrで連続的に供給し、エステル交換反応を行った。なお、混合液中のビス(3-メチルブチル)カーボネートのフェノールに対する質量比が約1.08、チタン原子濃度が約500ppmとなるように、各原料混合液の供給割合を調整した。
【0341】
前記混合液を連続的に供給する段よりも下部に濃縮部を設け、上部に回収部を設けた。
【0342】
なお、反応および蒸留に必要な熱量に関しては、外部ヒーターを設けたり、塔下部液をリボイラー111を経て循環させたりすることにより制御した。当該方法により、多段蒸留塔110では、塔底の温度が約230℃であり、塔頂圧力が約140kPaになるように制御した。
【0343】
反応液は、連続多段蒸留塔110の塔底から移送ライン2を経て、約1700g/Hrで連続的に抜き出した。
【0344】
副生3−メチル−1−ブタノールを含む低沸点成分を塔頂から抜き出した。その後、当該低沸点成分をコンデンサー112で凝縮させ、還流比=2で回収ライン3から回収した。
【0345】
上記のようにして移送ライン2から抜き出した反応液を、連続多段蒸留塔120に供給した。
【0346】
この連続多段蒸留塔120は、リボイラー121、段数5のチムニートレイを充填した蒸留塔(内径150mm、長さ約6m)の濃縮部、およびMelapak CYを充填した内径150mm長さ3.8mの回収部を具備しており、反応液の供給位置は前記濃縮部の上部とし、反応液の供給速度は、約1700g/Hrとした。
【0347】
この蒸留塔120では、塔底の温度が200℃、塔頂圧力が約3kPaになるように制御し、この条件で不均化反応を行った。
【0348】
また、蒸留塔120の塔頂から、フェノールおよびビス(3−メチルブチル)カーボネートを含む低沸点成分を、コンデンサー122、移送ライン5および供給ライン1を経て蒸留塔110に循環させた。
【0349】
蒸留塔120の塔底から、ジフェニルカーボネートを含有する反応液を、移送ライン4を経て蒸留塔130に供給し、蒸留分離を行った。
【0350】
蒸留塔130は、Melapak CYを充填した内径150mm長さ4mからなる蒸留塔であり、リボイラー131とコンデンサー132とを備えていた。
【0351】
蒸留塔130は、塔底温度を約180℃、塔頂圧力を約0.5kPaに制御した。
【0352】
塔頂からジフェニルカーボネートを含有する低沸点成分を取り出し、コンデンサー132および移送ライン7を経て蒸留精製塔140に供給した。
【0353】
一方、反応触媒を含む高沸点成分を移送ライン6と供給ライン1とを経て、蒸留塔110に循環させた。
【0354】
蒸留精製塔140は、Melapak CYを充填した内径150mm、長さ5mの蒸留塔であり、リボイラー141とコンデンサー142とを具備していた。
【0355】
前記蒸留塔130から移送ライン7を経て蒸留精製塔140に供給されたジフェニルカーボネートを含有する反応液を、蒸留精製塔140で精製した。当該精製により、回収ライン9から約100質量%のジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を得た。なお、回収ライン9の位置は、塔底より上の蒸留塔下部とした。
【0356】
蒸留精製塔140の塔頂から、3−メチルブチルフェニルカーボネートを含有する低沸点成分を抜き出し、回収ライン10と移送ライン2とを経て蒸留塔120に循環させた。
【0357】
(2)制御操作
抜き出しライン11から抜き出すチタン含有高沸点成分の割合を、約11g/Hr(チタン原子濃度が約1質量%)とし、供給ライン12から供給する反応触媒の割合を、約2.3g/Hr(チタン原子濃度が約5質量%)となるように調整し、供給ライン1からの反応触媒の供給を停止した。
【0358】
同時に、回収ライン9から回収されるジフェニルカーボネートの割合が、約1000g/Hrになるように、各蒸留塔に循環させる液量を徐々に増加させた。
【0359】
上述した連続運転を約12hr行ったところ、定常状態となった。
【0360】
このとき、移送ライン2において、液の組成は、フェノール約15質量%、ビス(3−メチルブチル)カーボネート約67質量%、3−メチルブチルフェニルカーボネート約17質量%、ジフェニルカーボネート約0.3質量%、3−メチル−1−ブタノール約0.2質量%であり、流量は約11402g/Hrであった。
【0361】
前記定常状態における反応液の、蒸留塔110および蒸留塔120での滞留時間は、それぞれ約1Hrおよび約2.5Hrであった。
【0362】
回収ライン3において、液の組成は、3−メチル−1−ブタノール約100質量%であり、流量は約823g/Hrであった。
【0363】
移送ライン4において、液の組成は、ビス(3−メチルブチル)カーボネート約0.2質量%、3−メチルブチルフェニルカーボネート約18質量%、ジフェニルカーボネート約80質量%であり、流量は約1238g/Hrであった。
【0364】
移送ライン5において、液の組成は、3−メチル−1−ブタノール約0.2質量%、フェノール約17質量%、ビス(3−メチルブチル)カーボネート約82質量%であり、流量は約10300g/Hrであった。
【0365】
移送ライン7において、液の組成は、ジフェニルカーボネート約88質量%、3−メチルブチルフェニルカーボネート約12質量%、ビス(3−メチルブチル)カーボネート約0.2質量%であり、流量は約1140g/Hrであった。
【0366】
また、抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、サリチル酸フェニルとサリチル酸(3−メチルブチル)エステルとの合計モル数の、チタン原子のモル数に対する比率は約0.7であった。
【0367】
上述した連続運転を、さらに約100Hr継続したところ、回収ライン9から回収したジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)は約1000g/Hrで安定的に製造できた。
【0368】
その後、抜き出しライン11から抜き出すチタン含有高沸点成分の割合を、約9g/Hr(チタン原子濃度が約1質量%)、供給ライン12から供給する反応触媒の割合を約1.8g/Hr(チタン原子の濃度が約5質量%)となるように調整し、同様に約200Hr連続運転を行った。
【0369】
抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、サリチル酸フェニルおよびサリチル酸(3−メチルブチル)エステルのサリチル酸エステル類の合計モル数のチタン原子のモル数に対する比率は約1.1であり、サリチル酸フェニルカーボネートのモル数のチタン原子のモル数に対する比率は約0.2であった。さらにカテコールのモル数のチタン原子のモル数に対する比率は約0.01であった。
また、蒸留塔130における蒸留分離において、塔底から取り出された高沸点成分中に該ジフェニルカーボネートより高沸点の成分は約8質量%含まれていた。
【0370】
回収ライン9から回収したジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)は、同様に約1200g/Hrで安定的に製造できた。
【0371】
〔実施例2〜6〕
ビス(3−メチルブチル)カーボネートの代わりに、下表2に示す種類のジアルキルカーボネートを用いたこと以外は実施例1と同様にスタートアップ操作をおこないジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を製造した。制御操作については各々のジアルキルカーボネートの種類に応じて流量および圧力の制御を行った。
蒸留塔130における蒸留分離において、塔底から取り出された高沸点成分中に該ジフェニルカーボネートより高沸点の成分は、実施例2〜6の順に、約7質量%、約10質量%、約8質量%、約9質量%、約8質量%含まれていた。
また、抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析した結果を表1に示す。いずれの実施例においても上記(iv)〜(vi)の条件を満たしており、安定的にジアリールカーボネートを製造することができた。
【0372】
【表1】
【0373】
〔実施例7〕
(チタン含有組成物の調製)
攪拌機、ヒーターおよび蒸留塔を具備した容積60Lのバッチ型反応器に、ポリチタノキサンブトキシド(DuPont社製、製品名:Tyzor BTP)を窒素雰囲気下で7kg仕込み、次いで予め蒸留精製したフェノールを14kg仕込んだ。
【0374】
次に、常圧において、前記バッチ型反応器中の混合物をヒーターによって180℃に加熱し、反応させた。当該反応によって発生したn−ブタノールを蒸留塔の塔頂から回収した。さらに前記バッチ型反応器を約53kPaに減圧し、n−ブタノールを回収した。
【0375】
その後、前記バッチ型反応器を常圧に戻し、ジフェニルカーボネートを約18kg仕込み、該反応器中の混合物を約190℃に加熱した。次に前記バッチ型反応器を約1.3kPaに減圧し、低沸点成分を含むジフェニルカーボネートを留去して、チタン含有組成物を得た。得られたチタン含有組成物のチタン濃度が5質量%になるようにジフェニルカーボネートを加えた。
【0376】
(ジアリールカーボネートの製造装置)
図2に、実施例7で用いた製造装置の概略構成図を示す。
【0377】
この製造装置は、連続多段構造の蒸留塔110、120、蒸留塔130、および蒸留精製塔140を具備している。
【0378】
これらは所定のラインにより連通している。
【0379】
具体的には、ライン1,1’,12,13は、原料化合物やチタン含有組成物等を供給する供給ラインであり、ライン3,9は生成化合物やその他の材料を回収する回収ラインである。ライン2,4,5,6,7,8,10は移送ラインであり、ライン11は抜き出しラインである。
【0380】
符号111,121,131,141はリボイラーを示し、符号112,122,132,142はコンデンサーを示している。符号113は供給材料を所定の温度とするための予熱器である。
【0381】
(反応触媒の調製)
蒸留塔130において、以下のとおりジフェニルカーボネートより高沸点生成物を生成させ、反応触媒を調製した。
【0382】
蒸留塔130は、Melapak CYを充填した内径150mm長さ4mからなる蒸留塔であり、リボイラー131とコンデンサー132とを備えていた。
【0383】
当該蒸留塔130の下部に、上記調製したチタン含有組成物(チタン濃度:約5質量%)を約10kg供給し、該チタン含有組成物の温度を約200℃に制御した。この状態を約72hr保持した。その後、該チタン含有組成物を一部サンプリングし分析したところ、ジフェニルカーボネートより沸点の高いサリチル酸フェニルが検出された。該サリチル酸フェニルとチタン原子とのモル比(サリチル酸フェニル/チタン原子)は約0.5であった。蒸留塔130において生成した高沸点生成物とチタン含有組成物との混合物(以下「組成物A」とも記す。)を、次のジアリールカーボネートの製造の反応触媒として用いた。
【0384】
(ジアリールカーボネートの製造)
段数50のシーブトレイを充填した内径150mm長さ12mの連続多段構成の蒸留塔110において、50段目のシーブトレイに、ジメチルカーボネート約30質量%およびフェノール約70質量%よりなる混合液(a)を、予熱器113を経て供給ライン1から約41kg/Hrで連続的に供給した。一方で蒸留塔110の下部に、ジメチルカーボネート約70質量%およびフェノール約30質量%よりなる混合液(b)を、供給ライン1’から約41kg/Hrで連続的に供給した。
【0385】
前記混合液(a)および(b)を連続的に供給する段よりも下部に濃縮部を設け、上部に回収部を設けた。
【0386】
なお、反応および蒸留に必要な熱量に関しては、外部ヒーターを設けたり、塔下部液を、リボイラーを経て循環させたりすることにより制御した。当該方法により、多段蒸留塔110では、塔底の温度が約230℃であり、塔頂圧力が約0.55MPa−Gになるように制御した。
【0387】
次に、上記で調製した反応触媒(組成物A)を、蒸留塔130の下部から移送ライン6を用いて蒸留塔110の45段目に徐々に供給し、蒸留塔110の反応液におけるチタン原子濃度が約300ppmになるように調整した。反応液は、連続多段蒸留塔110の塔底から移送ライン2を経て、約21kg/Hrで連続的に抜き出した。
【0388】
副生メタノールを含む低沸点成分を蒸留塔110の塔頂から抜き出した。その後、当該低沸点成分をコンデンサー112で凝縮させ、回収ライン3から回収した。
【0389】
上記のようにして移送ライン2から抜き出した反応液を、連続多段蒸留塔120に供給した。
【0390】
この連続多段蒸留塔120は、リボイラー121、段数16のシーブトレイ型蒸留塔(内径150mm、長さ約4m)の濃縮部、およびMelapak CYを充填した内径150mm長さ4mの回収部を具備していた。反応液の供給位置は前記濃縮部の上部とし、反応液の供給速度は約21kg/Hrとした。
【0391】
この蒸留塔120では、塔底の温度が約210℃、塔頂圧力が約13.3kPaになるように制御し、この条件で不均化反応を行った。
【0392】
また、蒸留塔120の塔頂から、フェノールおよびジメチルカーボネートを含む低沸点成分を、コンデンサー122、移送ライン5および供給ライン1を経て蒸留塔110に循環させた。
【0393】
蒸留塔120の塔底から、ジフェニルカーボネートを含有する反応液を、移送ライン4を経て蒸留塔130に供給し、蒸留分離を行った。
【0394】
蒸留塔130は、Melapak CYを充填した内径150mm長さ4mからなる蒸留塔であり、リボイラー131とコンデンサー132とを備えていた。
【0395】
蒸留塔130は、塔底温度を約190℃、塔頂圧力を約1.7kPaに制御した。
【0396】
塔頂からジフェニルカーボネートを含有する低沸点成分を取り出し、コンデンサー132および移送ライン7を経て蒸留精製塔140に供給した。
【0397】
一方、反応触媒(組成物A)を含む高沸点成分を移送ライン6と供給ライン1とを経て、蒸留塔110に循環させた。
【0398】
蒸留精製塔140は、Melapak CYを充填した内径150mm、長さ5mの蒸留塔であり、リボイラー141とコンデンサー142とを具備していた。
【0399】
前記蒸留塔130から移送ライン7を経て蒸留精製塔140に供給されたジフェニルカーボネートを含有する反応液を、蒸留精製塔140で精製した。当該精製により、回収ライン9から99.8質量%のジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を得た。なお、回収ライン9の位置は、塔底より上の蒸留塔下部とした。
【0400】
蒸留精製塔140の塔頂から、メチルフェニルカーボネートを含有する低沸点成分を抜き出し、回収ライン10と移送ライン2とを経て蒸留塔120に循環させた。
【0401】
上述した連続運転を約12hr行ったところ、定常状態となった。
【0402】
このとき、移送ライン2において、液の組成は、フェノール約55質量%、ジメチルカーボネート約26質量%、メチルフェニルカーボネート約17質量%、ジフェニルカーボネート約2質量%、メタノール約0.09質量%であり、流量は約40kg/Hrであった。
【0403】
移送ライン4において、液の組成は、ジメチルカーボネート約0.1質量%、メチルフェニルカーボネート約17質量%、フェノール約3質量%、ジフェニルカーボネート約80質量%であり、流量は約6.2kg/Hrであった。
【0404】
移送ライン7において、液の組成はジフェニルカーボネート約78質量%、メチルフェニルカーボネート約19質量%、フェノール約3質量%であり、流量は約5kg/Hrであった。
【0405】
上述した連続運転を、さらに約100Hr継続したところ、回収ライン9から回収したジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)は約4kg/Hrで安定的に製造できた。
【0406】
また、抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、サリチル酸フェニルとサリチル酸メチルエステルとの合計モル数の、チタン原子のモル数に対する比率は約1.2であった。
【0407】
上述した連続運転を、さらに約500Hr継続したところ、回収ライン9から回収したジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)は約4kg/Hrで安定的に製造できた。
【0408】
その後、抜き出しライン11から抜き出されるチタン含有高沸点成分の割合を、約10g/Hr(チタン原子の濃度が約1質量%)、供給ライン12から供給される反応触媒の割合を約2.0g/Hr(チタン原子の濃度が約5質量%)になるように調整し、同様に約500Hr連続運転を行った。
【0409】
抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、サリチル酸フェニルとサリチル酸メチルエステルのサリチル酸エステル類の合計モル数のチタン原子のモル数に対する比率は約1.9であり、サリチル酸フェニルカーボネートのモル数のチタン原子のモル数に対する比率は約0.5であった。さらにカテコールのモル数のチタン原子のモル数に対する比率は約0.02であった。
また、蒸留塔130における蒸留分離において、塔底から取り出された高沸点成分中に該ジフェニルカーボネートより高沸点の成分は約15質量%含まれていた。
【0410】
回収ライン9から回収したジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)は、同様に約4kg/Hrで安定的に製造できた。
【0411】
〔製造例1〕
(アルコキシ基を有するポリチタノキサン組成物(以下、しばしば「ポリチタノキサンアルコキシド」と記す)の製造)
冷却コイル、加熱ジャケット、蒸留塔を具備した攪拌機付き反応器に、テトラブトキシチタン(デュポン社製、Tyzor TnBT)20kgを投入し、次いでn−ブタノール8kgを投入し、内部液温を0℃になるよう調整した。
別の冷却コイル、加熱ジャケット、蒸留塔を具備した攪拌機付き反応器に、水濃度を2質量%とした含水n−ブタノールを0℃となるよう調整した。
ラインを通じ、前記含水n−ブタノールを前記反応器へ攪拌下で添加した。
添加時間は1時間とし、添加した水の量は、0.5モル等量(反応器内のTi原子モル数に対して)とした。
【0412】
反応液を微量水分測定装置で経時的に分析し、添加した水が加水分解反応で消費され、分析値が一定となったことを確認した。
得られた反応液を攪拌下加熱し、150℃となってから蒸留塔を用いてn−ブタノールを留去した。
留去液の組成をガスクロマトグラフィーで分析し、留去量が殆ど無くなったことを確認し、蒸留を終了した。
【0413】
反応器内に残留した無色透明液を分析し、Ti含有量及びアルコキシ基含有量を測定したところ、平均多量化度2のブトキシ基を有するポリチタノキサン(以下、しばしば「ポリチタノキサンブトキシド」と記す)が得られていたことが分かった。
【0414】
〔製造例2〜4〕
表2に示すとおり、添加する水分量を変更し、その他の条件は上記〔製造例1〕と同様としてポリチタノキサンアルコキシドの製造を実施した。水の添加が終了した後、製造例1と同様に得られた反応液を攪拌下加熱し、150℃となってから蒸留塔を用いてn−ブタノールを留去した。留去液の組成をガスクロマトグラフィーで分析し、留去量が殆ど無くなったことを確認し、蒸留を終了した。反応器内に残留した無色透明液を分析し、Ti含有量及びアルコキシ基含有量を測定したところ、表2に示すような平均多量化度の異なるポリチタノキサンブトキシドが得られていたことが分かった。
【0415】
【表2】
【0416】
〔実施例8〜12〕
チタン含有組成物の調製において、ポリチタノキサンブトキシド(DuPont社製、製品名:Tyzor BTP)に代えて、テトラブトキシチタン(デュポン社製、Tyzor TnBT)および製造例1〜4から得られたポリチタノキサンアルコキシドを用いたこと以外は実施例7と同様にしてジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を製造した。
【0417】
蒸留塔130における蒸留分離において、塔底から取り出された高沸点成分中に該ジフェニルカーボネートより高沸点の成分は、実施例8〜12の順に、約16質量%、約15質量%、約17質量%、約16質量%、約18質量%含まれていた。
また、抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、いずれの実施例においても上記(iv)〜(vi)を満たしており、安定的にジアリールカーボネートを製造することができた。結果を表3に示す。
【0418】
【表3】
【0419】
〔比較例1〕
(1)スタートアップ操作
スタートアップ操作までは実施例1と同様にした。
【0420】
(2)制御操作
抜き出しライン11から抜き出されるチタン含有高沸点成分の割合を約12g/Hr(チタン原子の濃度が約1質量%)、供給ライン12から供給される反応触媒の割合を約2.4g/Hr(チタン原子の濃度が約5質量%)になるように調整した。同時に、回収ライン9から回収されるジフェニルカーボネートが約1000g/Hrになるように各蒸留塔に循環させる液量を徐々に増やしていき、連続運転を約12hr行ったところ、定常状態になった。
【0421】
その後、抜き出しライン11から抜き出されるチタン含有高沸点成分の割合を、約2g/Hr(チタン原子の濃度が約1質量%)、供給ライン12から供給される反応触媒の割合を約0.4g/Hr(チタン原子の濃度が約5質量%)になるように徐々に調整し、前記実施例1と同様の液の循環量で連続運転を行った。但し、回収ライン9から回収されたジフェニルカーボネートが徐々に減少するため、供給ライン1から供給する原料液をこれに合わせて調整した。約100Hrの連続運転で定常状態では回収ライン9から回収されたジフェニルカーボネートは約150g/Hrであった。
【0422】
抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、サリチル酸フェニルおよびサリチル酸(3−メチルブチル)エステルの合計モル数のチタン原子のモル数に対する比率は約4.0であった。
【0423】
さらに抜き出しライン11から抜き出されるチタン含有高沸点成分の割合を約1.5g/Hr(チタン原子の濃度が約1質量%)、供給ライン12から供給されるチタンテトラフェノキシド含有フェノール液の割合を約0.3g/Hr(チタン原子の濃度が約5質量%)になるように調整し、同様に連続運転を行った。
【0424】
約100Hrの連続運転で定常状態においては、回収ライン9から回収されたジフェニルカーボネートは約80g/Hrであった。
【0425】
抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、サリチル酸フェニルおよびサリチル酸(3−メチルブチル)エステルの合計モル数のチタン原子のモル数に対する比率は約4.2であった。よって、上記(v)の条件を満たさなかった。
【0426】
〔比較例2〕
(1)スタートアップ操作
スタートアップ操作までは実施例1と同様にした。
【0427】
(2)制御操作
抜き出しライン11から抜き出されるチタン含有高沸成分の割合を約8g/Hr(チタン原子の濃度が約1.5質量%)、供給ライン12から供給される反応触媒の割合を約2.4g/Hr(チタン原子の濃度が約5質量%)になるように調整し、同時に、回収ライン9から回収されるジフェニルカーボネートが約1000g/Hrになるように各蒸留塔に循環させる液量を徐々に増やし、連続運転を約12hr行ったところ、定常状態になった。
【0428】
その後、蒸留塔130の塔底温度が約250℃、塔頂圧力が約20kPaになるように制御し、抜き出しライン11から抜き出されるチタン含有高沸点成分の割合を約4.7g/Hr(チタン原子の濃度が約1.5質量%)、供給ライン12から供給される反応触媒の割合を約1.4g/Hr(チタン原子の濃度が約5質量%)になるように徐々に調整し、上述した実施例1と同様の液の循環量で連続運転を行った。但し、回収ライン9から回収されたジフェニルカーボネートが徐々に減少するため、供給ライン1から供給する原料液をこれに合わせて調整した。
【0429】
約100Hrの連続運転で定常状態においては、回収ライン9から回収されたジフェニルカーボネートは約350g/Hrであった。
【0430】
抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、サリチル酸フェニルおよびサリチル酸(3−メチルブチル)エステルの合計モル数の、チタン原子のモル数に対する比率は約2.8であった。
【0431】
さらに抜き出しライン11から抜き出されるチタン含有高沸点成分の割合を約2g/Hr(チタン原子の濃度が約1.5質量%)、供給ライン12から供給される反応触媒の割合を約0.6g/Hr(チタン原子の濃度が約5質量%)になるように調整し、同様に連続運転を行った。
【0432】
約100Hrの連続運転で定常状態においては、回収ライン9から回収されたジフェニルカーボネートは約100g/Hrであった。
【0433】
抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、サリチル酸フェニルおよびサリチル酸(3−メチルブチル)エステルの合計モル数のチタン原子のモル数に対する比率は約4.2であった。よって、上記(v)の条件を満たさなかった。
【0434】
〔比較例3〕
(1)スタートアップ操作
原料であるビス(3−メチルブチル)カーボネートおよびフェノールとして、それぞれ圧縮空気の雰囲気下に保存したもの(溶存酸素濃度は、順に約60ppm、約80ppmであった)を用いた以外は実施例1と同様にしてスタートアップ操作まで行った。
【0435】
(2)制御操作
抜き出しライン11から抜き出されるチタン含有高沸点成分の割合を約12g/Hr(チタン原子の濃度が約1質量%)、供給ライン12から供給されるチタンテトラフェノキシド含有フェノール液の割合を約2.4g/Hr(チタン原子の濃度が約5質量%)になるように調整した。同時に回収ライン9から回収されるジフェニルカーボネートが約1000g/Hrになるように各蒸留塔に循環させる液量を徐々に増やしていき、連続運転を約12hr行ったところ、定常状態となった。
【0436】
その後、抜き出しライン11から抜き出されるチタン含有高沸点成分の割合を約5g/Hr(チタン原子の濃度が約1質量%)、供給ライン12から供給されるチタンテトラフェノキシド含有フェノール液の割合を約1g/Hr(チタン原子の濃度が約5質量%;サリチル酸エステルを含まない)になるように徐々に調整し、実施例1と同様の液の循環量で連続運転を行った。但し、回収ライン9から回収されたジフェニルカーボネートが徐々に減少するため、供給ライン1から供給する原料液をこれに合わせて調整した。
【0437】
約100Hrの連続運転で定常状態では回収ライン9から回収されたジフェニルカーボネートは約250g/Hrであった。
【0438】
抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、カテコールとサリチル酸フェニルとサリチル酸(3−メチルブチル)エステルとが含まれており、これらの合計モル数のチタン原子のモル数に対する比率は約2.2であった。
【0439】
さらに、抜き出しライン11から抜き出されるチタン含有高沸点成分の割合を約4g/Hr(チタン原子の濃度が約1質量%)、供給ライン12から供給されるチタンテトラフェノキシド含有フェノール液の割合を約0.8g/Hr(チタン原子の濃度が約5質量%;サリチル酸エステルを含まない)になるように調整させ、同様に連続運転を行った。
【0440】
約100Hrの連続運転で定常状態では回収ライン9から回収されたジフェニルカーボネートは約90g/Hrであった。
【0441】
抜き出しライン11から得たチタン含有高沸物を分析したところ、サリチル酸フェニルおよびサリチル酸(3−メチルブチル)エステルの合計モル数のチタン原子のモル数に対する比率は約4.1であり、チタン含有組成物のモル数の4倍よりも大きい値となった。また、カテコールのモル数のチタン原子のモル数に対する比率は約2.1であり、チタン含有組成物のチタン原子の2倍よりも大きい値となった。よって、いずれにおいても上記(v),(vi)の要件を満たさなかった。
【0442】
〔比較例4〜8〕
(反応触媒の調製)
チタン含有組成物の調製において、ポリチタノキサンブトキシド(DuPont社製、製品名:Tyzor BTP)に代えて、テトラブトキシチタン(デュポン社製、Tyzor TnBT)および製造例1〜4から得られたポリチタノキサンアルコキシドを用いた以外は、実施例7と同様にしてチタン含有組成物を調整した。
【0443】
(ジアリールカーボネートの製造)
上記調製したチタン含有組成物を組成物Aとすることなくそのままジアリールカーボネートの反応触媒として用い、蒸留塔130における高沸点成分を95質量%抜出ライン11から回収し、供給ライン13から反応触媒を供給することを以外は実施例7と同様にしてジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を製造した。結果を表4に示す。いずれについても反応触媒を数時間(3〜5Hr)供給したところ、供給ライン13が閉塞し、運転不可能となった。
【0444】
【表4】
【0445】
〔比較例9〜13〕
(反応触媒の調製)
チタン含有組成物の調製において、ポリチタノキサンブトキシド(DuPont社製、製品名:Tyzor BTP)に代えて、テトラブトキシチタン(デュポン社製、Tyzor TnBT)および製造例1〜4から得られたポリチタノキサンアルコキシドを用いた以外は、実施例7と同様にしてチタン含有組成物を調整した。
【0446】
(ジアリールカーボネートの製造)
組成物Aを調製する際の加熱条件を200℃から230℃に変更し、加熱保持時間を72Hrから200Hrに変更したこと以外は実施例7と同様にしてジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を製造した。結果を表5に示す。ジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)の生産量が不安定のため連続運転が8〜30時間程度であった。
【0447】
【表5】
【0448】
〔比較例14〜18〕
(反応触媒の調製)
チタン含有組成物の調製において、ポリチタノキサンブトキシド(DuPont社製、製品名:Tyzor BTP)に代えて、テトラブトキシチタン(デュポン社製、Tyzor TnBT)および製造例1〜4から得られたポリチタノキサンアルコキシドを用いた以外は、実施例7と同様にしてチタン含有組成物を調整した。得られたチタン含有組成物のチタン含有率を5質量%から約0.6質量%になるようにジフェニルカーボネートを加えた。
【0449】
(ジアリールカーボネートの製造)
組成物Aを調製する際の加熱条件を200℃から250℃に変更し、加熱保持時間を72Hrから300Hrに変更したこと以外は実施例7と同様にしてジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を製造した。結果を表6に示す。ジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)の生産量が不安定のため連続運転が9〜20時間程度であった。蒸留塔130における蒸留分離において、塔底から取り出された高沸点成分中に該ジフェニルカーボネートより高沸点の成分は、比較例14〜18の順に、約72質量%、約70質量%、約71質量%、約72質量%、約74質量%含まれていた。
【0450】
【表6】
【0451】
〔実施例13〕
(チタン含有組成物の調製)
攪拌機、ヒーターおよび蒸留塔を具備した容積60Lのバッチ型反応器に、ポリチタノキサンブトキシド(DuPont社製、製品名:Tyzor BTP)を窒素雰囲気下で7kg仕込み、次いで予め蒸留精製したフェノールを14kg仕込んだ。
【0452】
次に、常圧において、前記バッチ型反応器中の混合物をヒーターによって180℃に加熱し、反応させた。当該反応によって発生したn−ブタノールを蒸留塔の塔頂から回収した。さらに前記バッチ型反応器を約53kPaに減圧し、n−ブタノールを回収した。
【0453】
その後、前記バッチ型反応器を常圧に戻し、ジフェニルカーボネートを約18kg仕込み、該反応器中の混合物を約190℃に加熱した。次に前記バッチ型反応器を約1.3kPaに減圧し、低沸点成分を含むジフェニルカーボネートを留去して、チタン含有組成物を得た。得られたチタン含有組成物のチタン濃度が5質量%になるようにジフェニルカーボネートを加えた。
【0454】
(ジアリールカーボネートの製造装置)
図2に、実施例13で用いた製造装置の概略構成図を示す。
【0455】
この製造装置は、連続多段構造の蒸留塔110、120、蒸留塔130、および蒸留精製塔140を具備している。
【0456】
これらは所定のラインにより連通している。
【0457】
具体的には、ライン1,1’,12,13は、原料化合物やチタン含有組成物等を供給する供給ラインであり、ライン3,9は生成化合物やその他の材料を回収する回収ラインである。ライン2,4,5,6,7,8,10は移送ラインであり、ライン11は抜き出しラインである。
【0458】
符号111,121,131,141はリボイラーを示し、符号112,122,132,142はコンデンサーを示している。符号113は供給材料を所定の温度とするための予熱器である。
【0459】
(組成物Aの調製)
蒸留塔130において、以下のとおりジフェニルカーボネートより高沸点生成物を生成させ、組成物Aを調製した。
【0460】
蒸留塔130は、Melapak CYを充填した内径150mm長さ4mからなる蒸留塔であり、リボイラー131とコンデンサー132とを備えていた。
【0461】
当該蒸留塔130の下部に、上記調製したチタン含有組成物(チタン濃度:約5質量%)を約10kg供給し、該チタン含有組成物の温度を約200℃に制御した。この状態を約72hr保持した。その後、該チタン含有組成物を一部サンプリングし分析したところ、ジフェニルカーボネートより沸点の高いサリチル酸フェニルおよびサリチル酸フェニルカーボネートが検出された。該サリチル酸フェニルおよびサリチル酸フェニルカーボネートの合計とチタン原子とのモル比(サリチル酸フェニルおよびサリチル酸フェニルカーボネートの合計/チタン原子)は約0.5であった。蒸留塔130において生成した高沸点生成物とチタン含有組成物との混合物(以下「組成物A」とも記す。)を、次のジアリールカーボネートの製造の反応触媒として用いた。
【0462】
(ジアリールカーボネートの製造)
段数50のシーブトレイを充填した内径150mm長さ12mの連続多段構成の蒸留塔110において、50段目のシーブトレイに、ジメチルカーボネート約30質量%およびフェノール約70質量%よりなる混合液(a)を、予熱器113を経て供給ライン1から約41kg/Hrで連続的に供給した。一方で蒸留塔110の下部に、ジメチルカーボネート約70質量%およびフェノール約30質量%よりなる混合液(b)を、供給ライン1’から約41kg/Hrで連続的に供給した。
【0463】
前記混合液(a)および(b)を連続的に供給する段よりも下部に濃縮部を設け、上部に回収部を設けた。
【0464】
なお、反応および蒸留に必要な熱量に関しては、外部ヒーターを設けたり、塔下部液を、リボイラーを経て循環させたりすることにより制御した。当該方法により、多段蒸留塔110では、塔底の温度が約230℃であり、塔頂圧力が約0.55MPa−Gになるように制御した。
【0465】
次に、上記で調製した組成物Aを、蒸留塔130の下部から移送ライン6を用いて蒸留塔110の45段目に徐々に供給し、蒸留塔110の塔底におけるチタン原子濃度が約300ppmになるように調整した。反応液は、連続多段蒸留塔110の塔底から移送ライン2を経て、約21kg/Hrで連続的に抜き出した。
【0466】
副生メタノールを含む低沸点成分を蒸留塔110の塔頂から抜き出した。その後、当該低沸点成分をコンデンサー112で凝縮させ、回収ライン3から回収した。
【0467】
上記のようにして移送ライン2から抜き出した反応液を、連続多段蒸留塔120に供給した。
【0468】
この連続多段蒸留塔120は、リボイラー121、段数16のシーブトレイ型蒸留塔(内径150mm、長さ約4m)の濃縮部、およびMelapak CYを充填した内径150mm長さ4mの回収部を具備していた。反応液の供給位置は前記濃縮部の上部とし、反応液の供給速度は約21kg/Hrとした。
【0469】
この蒸留塔120では、塔底の温度が約210℃、塔頂圧力が約13.3kPaになるように制御し、この条件で不均化反応を行った。
【0470】
また、蒸留塔120の塔頂から、フェノールおよびジメチルカーボネートを含む低沸点成分を、コンデンサー122、移送ライン5および供給ライン1を経て蒸留塔110に循環させた。
【0471】
蒸留塔120の塔底から、ジフェニルカーボネートを含有する反応液を、移送ライン4を経て蒸留塔130に供給し、蒸留分離を行った。
【0472】
蒸留塔130は、Melapak CYを充填した内径150mm長さ4mからなる蒸留塔であり、リボイラー131とコンデンサー132とを備えていた。
【0473】
蒸留塔130は、塔底温度を約190℃、塔頂圧力を約1.7kPaに制御した。
【0474】
塔頂からジフェニルカーボネートを含有する低沸点成分を取り出し、コンデンサー132および移送ライン7を経て蒸留精製塔140に供給した。
【0475】
一方、組成物Aを含む高沸点成分を移送ライン6と供給ライン1とを経て、蒸留塔110に循環させた。
【0476】
蒸留精製塔140は、Melapak CYを充填した内径150mm、長さ5mの蒸留塔であり、リボイラー141とコンデンサー142とを具備していた。
【0477】
前記蒸留塔130から移送ライン7を経て蒸留精製塔140に供給されたジフェニルカーボネートを含有する反応液を、蒸留精製塔140で精製した。当該精製により、回収ライン9から99.8質量%のジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を得た。なお、回収ライン9の位置は、塔底より上の蒸留塔下部とした。
【0478】
蒸留精製塔140の塔頂から、メチルフェニルカーボネートを含有する低沸点成分を抜き出し、回収ライン10と移送ライン2とを経て蒸留塔120に循環させた。
【0479】
上述した連続運転を約12hr行ったところ、定常状態となった。
【0480】
このとき、移送ライン2において、液の組成は、フェノール約55質量%、ジメチルカーボネート約26質量%、メチルフェニルカーボネート約17質量%、ジフェニルカーボネート約2質量%、メタノール約0.09質量%であり、流量は約40kg/Hrであった。
【0481】
移送ライン4において、液の組成は、ジメチルカーボネート約0.1質量%、メチルフェニルカーボネート約17質量%、フェノール約3質量%、ジフェニルカーボネート約80質量%であり、流量は約6.2kg/Hrであった。
【0482】
移送ライン7において、液の組成はジフェニルカーボネート約78質量%、メチルフェニルカーボネート約19質量%、フェノール約3質量%であり、流量は約5kg/Hrであった。
【0483】
上述した連続運転を、さらに約100Hr継続したところ、回収ライン9から回収したジフェニルカーボネートは約4kg/Hrで安定的に製造できた。
【0484】
抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、サリチル酸フェニルおよびサリチル酸メチルエステルのサリチル酸エステル類の合計モル数のチタン原子のモル数に対する比率は約1.3であり、サリチル酸フェニルカーボネートのモル数のチタン原子のモル数に対する比率は約0.08であった。さらにカテコールのモル数のチタン原子のモル数に対する比率は約0.008であった。
また、蒸留塔130における蒸留分離において、塔底から取り出された高沸点成分中に該ジフェニルカーボネートより高沸点の成分は約11質量%含まれていた。
【0485】
〔実施例14〕
チタン含有組成物の調製において、ポリチタノキサンブトキシド(DuPont社製、製品名:Tyzor BTP)に代えて、テトラブトキシチタン(DuPont社製、製品名:Tyzor TnBT)を用い、組成物Aの調製において、組成物A中のサリチル酸フェニルおよびサリチル酸フェニルカーボネートの合計とチタン原子とのモル比(サリチル酸フェニルおよびサリチル酸フェニルカーボネートの合計/チタン原子)を、約0.5から約1.1に変更したこと以外は実施例13と同様にしてジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を製造した。
【0486】
回収ライン9から99.8質量%のジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を得た。
【0487】
蒸留精製塔140の塔頂から、メチルフェニルカーボネートを含有する低沸点成分を抜き出し、回収ライン10と移送ライン2とを経て蒸留塔120に循環させた。
【0488】
上述した連続運転を約12hr行ったところ、定常状態となった。
【0489】
このとき、移送ライン2において、液の組成は、フェノール約53質量%、ジメチルカーボネート約26質量%、メチルフェニルカーボネート約17質量%、ジフェニルカーボネート約2質量%、メタノール約0.09質量%であり、流量は約40kg/Hrであった。
【0490】
移送ライン4において、液の組成は、ジメチルカーボネート約0.1質量%、メチルフェニルカーボネート約17質量%、フェノール約3質量%、ジフェニルカーボネート約80質量%であり、流量は約6.2kg/Hrであった。
【0491】
移送ライン7において、液の組成はジフェニルカーボネート約78質量%、メチルフェニルカーボネート約19質量%、フェノール約3質量%であり、流量は約5kg/Hrであった。
【0492】
上述した連続運転を、さらに約100Hr継続したところ、回収ライン9から回収したジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)は約4kg/Hrで安定的に製造できた。
【0493】
抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、サリチル酸フェニルおよびサリチル酸メチルエステルのサリチル酸エステル類の合計モル数のチタン原子のモル数に対する比率は約1.6であり、サリチル酸フェニルカーボネートのモル数のチタン原子のモル数に対する比率は約0.4であった。さらにカテコールのモル数のチタン原子のモル数に対する比率は約0.01であった。
また、蒸留塔130における蒸留分離において、塔底から取り出された高沸点成分中に該ジフェニルカーボネートより高沸点の成分は約12質量%含まれていた。
【0494】
〔実施例15〜30〕
チタン含有組成物の調製において、下表7のとおり製造例1〜4から得られた平均多量化度の異なるポリチタノキサンブトキシドを用い、組成物Aの調製において、組成物A中のサリチル酸フェニルとサリチル酸フェニルカーボネートの合計とチタン原子とのモル比((サリチル酸フェニル+サリチル酸フェニルカーボネート)/チタン原子)を下表7のとおり変更したこと以外は実施例13と同様にしてジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を製造した。結果を表7に示す。当該結果から、実施例15〜30で調製した組成物Aを供給する際に、蒸留塔の閉塞が起こらず150〜200時間の連続運転が可能であり、ジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を安定的に製造することができることがわかった。
【0495】
蒸留塔130における蒸留分離において、塔底から取り出された高沸点成分中に該ジフェニルカーボネートより高沸点の成分は、実施例15〜30の順に、約9質量%、約9質量%、約8質量%、約8質量%、約18質量%、約36質量%、約32質量%、約13質量%、約12質量%、約22質量%、約38質量%、約33質量%、約23質量%、約27質量%、約31質量%、約39質量%含まれていた。
また、抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、いずれの実施例においても上記(iv)〜(vi)を満たしており、安定的にジアリールカーボネートを製造することができた。結果を表8に示す。
【0496】
【表7】
【0497】
【表8】
【0498】
〔実施例31〕
(チタン含有組成物の調製)
攪拌機、ヒーターおよび蒸留塔を具備した容積60Lのバッチ型反応器に、ポリチタノキサンブトキシド(DuPont社製、製品名:Tyzor BTP)を窒素雰囲気下で7kg仕込み、次いで予め蒸留精製したフェノールを14kg仕込んだ。
【0499】
次に、常圧において、前記バッチ型反応器中の混合物をヒーターによって180℃に加熱し、反応させた。当該反応によって発生したn−ブタノールを蒸留塔の塔頂から回収した。さらに前記バッチ型反応器を約53kPaに減圧し、n−ブタノールを回収した。
【0500】
その後、前記バッチ型反応器を常圧に戻し、ジフェニルカーボネートを約18kg仕込み、該反応器中の混合物を約190℃に加熱した。次に、前記バッチ型反応器を約1.3kPaに減圧し、低沸点成分を含むジフェニルカーボネートを留去して、チタン含有組成物を得た。得られたチタン含有組成物のチタン濃度が5質量%になるようにジフェニルカーボネートを加えた。
【0501】
(組成物Aの調製)
次いで該チタン含有組成物を200℃に加熱し、約120Hr保持することにより組成物Aを得た。該組成物Aを一部サンプリングし分析したところ、ジフェニルカーボネートより沸点の高いサリチル酸フェニルおよびサリチル酸フェニルカーボネートが検出された。該サリチル酸フェニルおよびサリチル酸フェニルカーボネートの合計とチタン原子とのモル比(サリチル酸フェニルおよびサリチル酸フェニルカーボネートの合計/チタン原子)は2.3であった。ここで生成した組成物Aを、次のジアリールカーボネートの製造の反応触媒として用いた。
【0502】
(ジアリールカーボネートの製造装置)
図1に、実施例31で用いた製造装置の概略構成図を示す。
【0503】
この製造装置は、連続多段構造の蒸留塔110、120、蒸留塔130、および蒸留精製塔140を具備している。
【0504】
これらは所定のラインにより連通している。
【0505】
具体的には、ライン1,12は、原料化合物やチタン含有組成物等を供給する供給ラインであり、ライン3,9は生成化合物やその他の材料を回収する回収ラインである。ライン2,4,5,6,7,8,10は移送ラインであり、ライン11は抜き出しラインである。
【0506】
符号111,121,131,141はリボイラーを示し、符号112,122,132,142はコンデンサーを示している。符号113は供給材料を所定の温度とするための予熱器である。
【0507】
(ジアリールカーボネートの製造)
蒸留塔110は、段数25のシーブトレイを充填した内径150mm長さ4.8mの濃縮部およびMelapak CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd社製)を充填した内径150mm長さ2.3mの回収部を具備する連続多段構成の蒸留塔とした。
【0508】
当該蒸留塔110において、25段目のシーブトレイから、ビス(3−メチルブチル)カーボネート、フェノール、および上記で調製した組成物Aを、予熱器113を経て供給ライン1から約1830g/Hrで連続的に供給し、エステル交換反応を行った。なお、混合液中のビス(3-メチルブチル)カーボネートのフェノールに対する質量比が約1.08、チタン原子濃度が約500ppmとなるように、各原料混合液の供給割合を調整した。
【0509】
前記混合液を連続的に供給する段よりも下部に濃縮部を設け、上部に回収部を設けた。
【0510】
なお、反応および蒸留に必要な熱量に関しては、外部ヒーターを設けたり、塔下部液をリボイラー111を経て循環させたりすることにより制御した。当該方法により、多段蒸留塔110では、塔底の温度が約230℃であり、塔頂圧力が約140kPaになるように制御した。
【0511】
反応液は、連続多段蒸留塔110の塔底から移送ライン2を経て、約1700g/Hrで連続的に抜き出した。
【0512】
副生3−メチル−1−ブタノールを含む低沸点成分を塔頂から抜き出した。その後、当該低沸点成分をコンデンサー112で凝縮させ、還流比=2で回収ライン3から回収した。
【0513】
上記のようにして移送ライン2から抜き出した反応液を、連続多段蒸留塔120に供給した。
【0514】
この連続多段蒸留塔120は、リボイラー121、段数5のチムニー型蒸留塔(内径150mm、長さ約6m)の濃縮部、およびMelapak CYを充填した内径150mm長さ3.8mの回収部を具備しており、反応液の供給位置は前記濃縮部の上部とし、反応液の供給速度は、約1700g/Hrとした。
【0515】
この蒸留塔120では、塔底の温度が200℃、塔頂圧力が約3kPaになるように制御し、この条件で不均化反応を行った。
【0516】
また、蒸留塔120の塔頂から、フェノールおよびビス(3−メチルブチル)カーボネートを含む低沸点成分を、コンデンサー122、移送ライン5および供給ライン1を経て蒸留塔110に循環させた。
【0517】
蒸留塔120の塔底から、ジフェニルカーボネートを含有する反応液を、移送ライン4を経て蒸留塔130に供給し、蒸留分離を行った。
【0518】
蒸留塔130は、Melapak CYを充填した内径150mm長さ4mからなる蒸留塔であり、リボイラー131とコンデンサー132とを備えていた。
【0519】
蒸留塔130は、塔底温度を約180℃、塔頂圧力を約0.5kPaに制御した。
【0520】
塔頂からジフェニルカーボネートを含有する低沸点成分を取り出し、コンデンサー132および移送ライン7を経て蒸留精製塔140に供給した。
【0521】
一方、組成物Aを含む高沸点成分を移送ライン6と供給ライン1とを経て、蒸留塔110に循環させた。
【0522】
蒸留精製塔140は、Melapak CYを充填した内径150mm、長さ5mの蒸留塔であり、リボイラー141とコンデンサー142とを具備していた。
【0523】
前記蒸留塔130から移送ライン7を経て蒸留精製塔140に供給されたジフェニルカーボネートを含有する反応液を、蒸留精製塔140で精製した。当該精製により、回収ライン9から約100質量%のジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を得た。なお、回収ライン9の位置は、塔底より上の蒸留塔下部とした。
【0524】
蒸留精製塔140の塔頂から、3−メチルブチルフェニルカーボネートを含有する低沸点成分を抜き出し、回収ライン10と移送ライン2とを経て蒸留塔120に循環させた。
【0525】
抜き出しライン11から抜き出すチタン含有高沸点成分の割合を、約7.7g/Hr(チタン原子濃度が約1.5質量%)とし、供給ライン12から供給する組成物Aの割合を、約2.3g/Hr(チタン原子濃度が約5質量%)となるように調整し、供給ライン1からの組成物Aの供給を停止した。
【0526】
同時に、回収ライン9から回収されるジフェニルカーボネートの割合が、約1000g/Hrになるように、各蒸留塔に循環させる液量を徐々に増加させた。
【0527】
上述した連続運転を約12hr行ったところ、定常状態となった。
【0528】
このとき、移送ライン2において、液の組成は、フェノール約15質量%、ビス(3−メチルブチル)カーボネート約67質量%、3−メチルブチルフェニルカーボネート約17質量%、ジフェニルカーボネート約0.3質量%、3−メチル−1−ブタノール約0.2質量%であり、流量は約11402g/Hrであった。
【0529】
前記定常状態における反応液の、蒸留塔110および蒸留塔120での滞留時間は、それぞれ約1Hrおよび約2.5Hrであった。
【0530】
回収ライン3において、液の組成は、3−メチル−1−ブタノール約100質量%であり、流量は約823g/Hrであった。
【0531】
移送ライン4において、液の組成は、ビス(3−メチルブチル)カーボネート約0.2質量%、3−メチルブチルフェニルカーボネート約11質量%、ジフェニルカーボネート約84質量%であり、流量は約1238g/Hrであった。
【0532】
移送ライン5において、液の組成は、3−メチル−1−ブタノール約0.2質量%、フェノール約17質量%、ビス(3−メチルブチル)カーボネート約83質量%であり、流量は約10300g/Hrであった。
【0533】
移送ライン7において、液の組成は、ジフェニルカーボネート約88質量%、3−メチルブチルフェニルカーボネート約12質量%、ビス(3−メチルブチル)カーボネート約0.2質量%であり、流量は約1140g/Hrであった。
【0534】
また、抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、サリチル酸フェニルとサリチル酸(3−メチルブチル)エステルとの合計モル数の、チタン原子のモル数に対する比率は約2.6であった。
【0535】
上述した連続運転を、さらに約300Hr継続したところ、回収ライン9から回収したジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)は約1000g/Hrで安定的に製造できた。
【0536】
その後、抜き出しライン11から抜き出すチタン含有高沸点成分の割合を、約6g/Hr(チタン原子濃度が約1.5質量%)、供給ライン12から供給する組成物Aの割合を約1.8g/Hr(チタン原子の濃度が約5質量%)となるように調整し、同様に約300Hr連続運転を行った。
【0537】
回収ライン9から回収したジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)は、同様に約1000g/Hrで安定的に製造できた。
【0538】
抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、サリチル酸フェニルおよびサリチル酸(3−メチルブチル)エステルのサリチル酸エステル類の合計モル数のチタン原子のモル数に対する比率は約3.0であり、サリチル酸フェニルカーボネートのモル数のチタン原子のモル数に対する比率は約1.1であった。さらにカテコールのモル数のチタン原子のモル数に対する比率は約0.04であった。
また、蒸留塔130における蒸留分離において、塔底から取り出された高沸点成分中に該ジフェニルカーボネートより高沸点の成分は約62質量%含まれていた。
【0539】
〔実施例32〜35〕
ビス(3−メチルブチル)カーボネートの代わりに、下表9に示す種類のジアルキルカーボネートを用い、組成物Aの調製において、組成物A中のサリチル酸フェニルおよびサリチル酸フェニルカーボネートの合計とチタン原子とのモル比(サリチル酸フェニルおよびサリチル酸フェニルカーボネートの合計/チタン原子)を下表9のとおり変更したこと以外は実施例31と同様にしてジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を製造した。また、各移送ラインにおける流量や蒸留塔内の圧力はジアルキルカーボネートの種類に応じて調整した。結果を表9に示す。当該結果から、実施例31〜35のいずれにおいても、閉塞が起こらず長時間の安定的な連続運転が可能であった。
【0540】
蒸留塔130における蒸留分離において、塔底から取り出された高沸点成分中に該ジフェニルカーボネートより高沸点の成分は、実施例32〜35の順に、約28質量%、約30質量%、約32質量%、約38質量%含まれていた。
また、抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、いずれの実施例においても上記(iv)〜(vi)を満たしており、安定的にジアリールカーボネートを製造することができた。結果を表10に示す。
【0541】
【表9】
【0542】
【表10】
【0543】
〔比較例19〜22〕
(反応触媒の調製)
チタン含有組成物の調製において、ポリチタノキサンブトキシド(DuPont社製、製品名:Tyzor BTP)に代えて、製造例1〜4から得られた平均多量化度の異なるポリチタノキサンブトキシドを用いた以外は、実施例13と同様にしてチタン含有組成物を調整した。
【0544】
(ジアリールカーボネートの製造)
上記調製したチタン含有組成物を、組成物Aとすることなくそのままジアリールカーボネートの反応触媒として用いた以外は実施例13と同様にしてジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を製造した。結果を表11および12に示す。いずれについてもチタン含有組成物を数時間(3〜6Hr)供給したところ、供給ライン13が閉塞し、運転不可能となった。
【0545】
【表11】
【0546】
【表12】
【0547】
〔比較例23〜26〕
(反応触媒の調製)
チタン含有組成物の調製において、ポリチタノキサンブトキシド(DuPont社製、製品名:Tyzor BTP)に代えて、製造例1〜4から得られた平均多量化度の異なるポリチタノキサンブトキシドを用いた以外は、実施例13と同様にしてチタン含有組成物を調整した。
【0548】
(ジアリールカーボネートの製造)
組成物Aを調製する際の加熱条件を200℃から230℃に変更し、加熱保持時間を72Hrから200Hrに変更したこと以外は実施例13と同様にしてジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を製造した。結果を表13および14に示す。組成物Aを供給する際に閉塞の問題は起こらなかったが、ジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)の生産量が不安定のため連続運転が8〜30時間程度であった。
【0549】
【表13】
【0550】
【表14】
〔実施例36〕
(チタン含有組成物の調製)
攪拌機、ヒーターおよび蒸留塔を具備した容積1800Lのバッチ型反応器に、ポリチタノキサンブトキシド(DuPont社製、製品名:Tyzor BTP)を窒素雰囲気下で200kg仕込み、次いで予め蒸留精製したフェノールを485kg仕込んだ。
【0551】
次に、常圧において、前記バッチ型反応器中の混合物をヒーターによって180℃に加熱し、反応させた。当該反応によって発生したn−ブタノールを蒸留塔の塔頂から回収した。さらに前記バッチ型反応器を約53kPaに減圧し、n−ブタノールを回収した。
【0552】
その後、前記バッチ型反応器を常圧に戻し、ジフェニルカーボネートを約450kg仕込み、該反応器中の混合物を約190℃に加熱した。次に前記バッチ型反応器を約1.3kPaに減圧し、低沸点成分を含むジフェニルカーボネートを留去して、チタン含有組成物を得た。得られたチタン含有組成物のチタン濃度が5質量%になるようにジフェニルカーボネートを加えた。
【0553】
(ジアリールカーボネートの製造装置)
図2に、実施例36で用いた製造装置の概略構成図を示す。
【0554】
この製造装置は、連続多段構造の蒸留塔110、120、蒸留塔130、および蒸留精製塔140を具備している。
【0555】
これらは所定のラインにより連通している。
【0556】
具体的には、ライン1,1’,12,13は、原料化合物やチタン含有組成物等を供給する供給ラインであり、ライン3,9は生成化合物やその他の材料を回収する回収ラインである。ライン2,4,5,6,7,8,10は移送ラインであり、ライン11は抜き出しラインである。
【0557】
符号111,121,131,141はリボイラーを示し、符号112,122,132,142はコンデンサーを示している。符号113は供給材料を所定の温度とするための予熱器である。
【0558】
(反応触媒の調製)
蒸留塔130において、以下のとおりジフェニルカーボネートより高沸点生成物を生成させ、反応触媒を調製した。
【0559】
蒸留塔130は、Melapak CYを充填した内径3.4m長さ17mからなる蒸留塔であり、リボイラー131とコンデンサー132とを備えていた。
【0560】
当該蒸留塔130の下部に、上記調製したチタン含有組成物(チタン濃度:約5質量%)を約5200kg供給し、該チタン含有組成物の温度を約200℃に制御した。この状態を約60hr保持した。その後、該チタン含有組成物を一部サンプリングし分析したところ、ジフェニルカーボネートより沸点の高いサリチル酸フェニルが検出された。該サリチル酸フェニルとチタン原子とのモル比(サリチル酸フェニル/チタン原子)は約0.4であった。蒸留塔130において生成した高沸点生成物とチタン含有組成物との混合物(以下「組成物A」とも記す。)を、次のジアリールカーボネートの製造の反応触媒として用いた。
【0561】
(ジアリールカーボネートの製造)
段数80のシーブトレイを充填した内径5m長さ33mの連続多段構成の蒸留塔110において、ジメチルカーボネート約30質量%およびフェノール約70質量%よりなる混合液(a)を、予熱器113を経て供給ライン1から約57トン/Hrで蒸留塔110上部に連続的に供給した。一方で蒸留塔110の下部に、ジメチルカーボネート約70質量%およびフェノール約30質量%よりなる混合液(b)を、供給ライン1’から約57トン/Hrで連続的に供給した。
【0562】
前記混合液(a)および(b)を連続的に供給する段よりも下部に濃縮部を設け、上部に回収部を設けた。
【0563】
なお、反応および蒸留に必要な熱量に関しては、外部ヒーターを設けたり、塔下部液を、リボイラーを経て循環させたりすることにより制御した。当該方法により、多段蒸留塔110では、塔底の温度が約230℃であり、塔頂圧力が約0.55MPa−Gになるように制御した。
【0564】
次に、上記で調製した反応触媒(組成物A)を、蒸留塔130の下部から移送ライン6を用いて蒸留塔110の上部に徐々に供給し、蒸留塔110の反応液中におけるチタン原子濃度が約300ppmになるように調整した。反応液は、連続多段蒸留塔110の塔底から移送ライン2を経て、約60トン/Hrで連続的に抜き出した。
【0565】
副生メタノールを含む低沸点成分を蒸留塔110の塔頂から連続的に抜き出した。
【0566】
上記のようにして移送ライン2から抜き出した反応液を、連続多段蒸留塔120に供給した。
【0567】
この連続多段蒸留塔120は、内径5m長さ31mであり、段数30のシーブトレイ型の濃縮部、Melapak CYを充填した回収部、コンデンサー122およびリボイラー121を具備していた。反応液の供給位置は前記濃縮部の上部とし、反応液の供給速度は約60トン/Hrとした。
【0568】
この蒸留塔120では、塔底の温度が約210℃、塔頂圧力が約13.3kPaになるように制御し、この条件で不均化反応を行った。
【0569】
また、蒸留塔120の塔頂から、フェノールおよびジメチルカーボネートを含む低沸点成分を、コンデンサー122、移送ライン5および供給ライン1を経て蒸留塔110に循環させた。
【0570】
蒸留塔120の塔底から、ジフェニルカーボネートを含有する反応液約14トン/Hrを、移送ライン4を経て蒸留塔130に供給し、蒸留分離を行った。
【0571】
蒸留塔130は、Melapak CYを充填した内径3.4m長さ17mからなる蒸留塔であり、リボイラー131とコンデンサー132とを備えていた。
【0572】
蒸留塔130は、塔底温度を約190℃、塔頂圧力を約1.7kPaに制御した。
【0573】
塔頂からジフェニルカーボネートを含有する低沸点成分を取り出し、コンデンサー132および移送ライン7を経て蒸留精製塔140に供給した。
【0574】
一方、反応触媒(組成物A)を含む高沸点成分を移送ライン6と供給ライン1とを経て、蒸留塔110に循環させた。
【0575】
蒸留精製塔140は、Melapak CYを充填した内径2.8m、長さ22mの蒸留塔であり、リボイラー141とコンデンサー142とを具備していた。
【0576】
前記蒸留塔130から移送ライン7を経て蒸留精製塔140に供給されたジフェニルカーボネートを含有する反応液を、蒸留精製塔140で精製した。当該精製により、回収ライン9から99.8質量%のジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を得た。なお、回収ライン9の位置は、塔底より上の蒸留塔下部とした。
【0577】
蒸留精製塔140の塔頂から、メチルフェニルカーボネートを含有する低沸点成分を抜き出し、回収ライン10と移送ライン2とを経て蒸留塔120に循環させた。
【0578】
上述した連続運転を約24hr行ったところ、定常状態となった。
【0579】
このとき、移送ライン2において、液の組成は、フェノール約55質量%、ジメチルカーボネート約26質量%、メチルフェニルカーボネート約17質量%、ジフェニルカーボネート約2質量%、メタノール約0.09質量%であり、流量は約60トン/Hrであった。
【0580】
移送ライン4において、液の組成は、ジメチルカーボネート約0.1質量%、メチルフェニルカーボネート約27質量%、フェノール約3質量%、ジフェニルカーボネート約70質量%であり、流量は約14トン/Hrであった。
【0581】
移送ライン7において、液の組成はジフェニルカーボネート約65質量%、メチルフェニルカーボネート約33質量%、フェノール約2質量%であり、流量は約13トン/Hrであった。
【0582】
上述した連続運転を、さらに約100Hr継続したところ、回収ライン9から回収したジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)は約7.5トン/Hrで安定的に製造できた。
【0583】
また、抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、サリチル酸フェニルとサリチル酸メチルエステルとの合計モル数の、チタン原子のモル数に対する比率は約1.3であった。
【0584】
上述した連続運転を、さらに約500Hr継続したところ、回収ライン9から回収したジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)は約7.6トン/Hrで安定的に製造できた。
【0585】
その後、抜き出しライン11から抜き出されるチタン含有高沸点成分の割合を、約2.0kg/Hr(チタン原子の濃度が約1質量%)、供給ライン12から供給される反応触媒の割合を約4.0kg/Hr(チタン原子の濃度が約5質量%)になるように調整し、同様に約500Hr連続運転を行った。
【0586】
抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、サリチル酸フェニルおよびサリチル酸メチルエステルのサリチル酸エステル類の合計モル数のチタン原子のモル数に対する比率は約1.9であり、サリチル酸フェニルカーボネートのモル数のチタン原子のモル数に対する比率は約0.8であった。さらにカテコールのモル数のチタン原子のモル数に対する比率は約0.03であった。
また、蒸留塔130における蒸留分離において、塔底から取り出された高沸点成分中に該ジフェニルカーボネートより高沸点の成分は約40質量%含まれていた。
【0587】
回収ライン9から回収したジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)は、同様に約7.6トン/Hrで安定的に製造できた。
【0588】
〔実施例37〕
(チタン含有組成物の調製)
実施例7と同じ方法でチタン含有組成物の調製をおこなった。
(ジアリールカーボネートの製造装置)
図3に、実施例37で用いた製造装置の概略構成図を示す。
【0589】
この製造装置は、槽型反応器210、220、蒸留塔330、および蒸留精製塔340を具備している。
【0590】
これらは所定のラインにより連通している。
【0591】
具体的には、ライン1,12は、原料化合物やチタン含有組成物等を供給する供給ラインであり、ライン3,9は生成化合物やその他の材料を回収する回収ラインである。ライン2,4,5,6,7,8,10は移送ラインであり、ライン11は抜き出しラインである。
【0592】
符号331,341はリボイラーを示し、符号312,322,332,342はコンデンサーを示している。符号211は供給材料を所定の温度とするための予熱器である。
【0593】
(反応触媒の調製)
蒸留塔330において、以下のとおりジフェニルカーボネートより高沸点生成物を生成させ、反応触媒を調製した。
【0594】
蒸留塔330は、Melapak CYを充填した内径150mm長さ4mからなる蒸留塔であり、リボイラー331とコンデンサー332とを備えていた。
【0595】
当該蒸留塔330の下部に、上記調製したチタン含有組成物(チタン濃度:約5質量%)を約14kg供給し、該チタン含有組成物の温度を約200℃に制御した。この状態を約72hr保持した。その後、該チタン含有組成物を一部サンプリングし分析したところ、ジフェニルカーボネートより沸点の高いサリチル酸フェニルが検出された。該サリチル酸フェニルとチタン原子とのモル比(サリチル酸フェニル/チタン原子)は約0.5であった。蒸留塔330において生成した高沸点生成物とチタン含有組成物との混合物(以下「組成物A」とも記す。)を、次のジアリールカーボネートの製造の反応触媒として用いた。
【0596】
(ジアリールカーボネートの製造)
攪拌装置を備えた槽型反応器210(容積300L)に、ジメチルカーボネート約50質量%およびフェノール約50質量%よりなる混合液を、予熱器211を経て供給ライン1から約80kg/Hrで連続的に供給した。
【0597】
なお、反応および蒸留に必要な熱量に関しては、外部ヒーターを設けたりすることにより制御した。当該方法により、槽型反応器210では、反応液の温度が約230℃であり、蒸留塔310塔頂圧力が約0.55MPa−Gになるように制御した。
【0598】
次に、上記で調製した反応触媒(組成物A)を、蒸留塔330の下部から移送ライン6を用いて槽型反応器210に徐々に供給し、反応液中のチタン原子濃度が約1000ppmになるように調整し、エステル交換反応をおこなった。メチルフェニルカーボネートを含む反応液は、槽型反応器210から移送ライン2を経て、約21kg/Hrで連続的に抜き出した。
【0599】
副生メタノールを含む低沸点成分を蒸留塔310の塔頂から抜き出した。その後、当該低沸点成分をコンデンサー312で凝縮させ、回収ライン3から回収した。
【0600】
上記のようにして移送ライン2から抜き出した反応液を、槽型反応器220に供給した。
【0601】
この槽型反応器220は、攪拌装置およびMelapak CYを充填した内径150mm長さ1.5mの蒸留塔320を具備していた。反応液の供給速度は約21kg/Hrとした。
【0602】
この槽型反応器220では、反応液の温度が約210℃、塔頂圧力が約13.3kPaになるように制御し、この条件でメチルフェニルカーボネートのエステル交換反応または不均化反応をおこないジフェニルカーボネートの製造をおこなった。
【0603】
また、蒸留塔320の塔頂から、フェノールおよびジメチルカーボネートを含む低沸点成分を、コンデンサー322、移送ライン5および供給ライン1を経て槽型反応器210に循環させた。
【0604】
槽型反応器220から、ジフェニルカーボネートを含有する反応液を、移送ライン4を経て蒸留塔330に供給し、蒸留分離を行った。
【0605】
蒸留塔330は、Melapak CYを充填した内径150mm長さ4mからなる蒸留塔であり、リボイラー331とコンデンサー332とを備えていた。
【0606】
蒸留塔330は、塔底温度を約190℃、塔頂圧力を約1.7kPaに制御した。
【0607】
塔頂からジフェニルカーボネートを含有する低沸点成分を取り出し、コンデンサー332および移送ライン7を経て蒸留精製塔340に供給した。
【0608】
一方、反応触媒(組成物A)を含む高沸点成分を移送ライン6と供給ライン1とを経て、蒸留塔110に循環させた。
【0609】
蒸留精製塔340は、Melapak CYを充填した内径150mm、長さ5mの蒸留塔であり、リボイラー341とコンデンサー342とを具備していた。
【0610】
前記蒸留塔330から移送ライン7を経て蒸留精製塔340に供給されたジフェニルカーボネートを含有する反応液を、蒸留精製塔340で精製した。当該精製により、回収ライン9から99.8質量%のジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を得た。なお、回収ライン9の位置は、塔底より上の蒸留塔下部とした。
【0611】
蒸留精製塔340の塔頂から、メチルフェニルカーボネートを含有する低沸点成分を抜き出し、回収ライン10を経て槽型反応器220に循環させた。
【0612】
上述した連続運転を約24hr行ったところ、定常状態となった。
【0613】
このとき、移送ライン2において、液の組成は、フェノール約60質量%、ジメチルカーボネート約28質量%、メチルフェニルカーボネート約10質量%、ジフェニルカーボネート約1質量%、メタノール約0.09質量%であり、流量は約40kg/Hrであった。
【0614】
移送ライン4において、液の組成は、ジメチルカーボネート約0.1質量%、メチルフェニルカーボネート約37質量%、フェノール約3質量%、ジフェニルカーボネート約60質量%であり、流量は約6.2kg/Hrであった。
【0615】
移送ライン7において、液の組成はジフェニルカーボネート約78質量%、メチルフェニルカーボネート約19質量%、フェノール約3質量%であり、流量は約5kg/Hrであった。
【0616】
上述した連続運転を、さらに約100Hr継続したところ、回収ライン9から回収したジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)は約2.7kg/Hrで安定的に製造できた。
【0617】
また、抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、サリチル酸フェニルとサリチル酸メチルエステルとの合計モル数の、チタン原子のモル数に対する比率は約1.2であった。
【0618】
上述した連続運転を、さらに約500Hr継続したところ、回収ライン9から回収したジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)は約2.7kg/Hrで安定的に製造できた。
【0619】
その後、抜き出しライン11から抜き出されるチタン含有高沸点成分の割合を、約5.0g/Hr(チタン原子の濃度が約2質量%)、供給ライン12から供給される反応触媒の割合を約2.0g/Hr(チタン原子の濃度が約5質量%)になるように調整し、同様に約500Hr連続運転を行った。
【0620】
抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、サリチル酸フェニルおよびサリチル酸メチルエステルのサリチル酸エステル類の合計モル数のチタン原子のモル数に対する比率は約1.9であり、サリチル酸フェニルカーボネートのモル数のチタン原子のモル数に対する比率は約0.8であった。さらにカテコールのモル数のチタン原子のモル数に対する比率は約0.04であった。
また、蒸留塔130における蒸留分離において、塔底から取り出された高沸点成分中に該ジフェニルカーボネートより高沸点の成分は約35質量%含まれていた。
【0621】
回収ライン9から回収したジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)は、同様に約2.7kg/Hrで安定的に製造できた。
【0622】
〔製造例5〕
(ポリチタノキサンアルコキシドの製造)
冷却コイル、加熱ジャケット、蒸留塔を具備した攪拌機付き反応器に、テトラブトキシチタン(デュポン社製、Tyzor TnBT)340kgを投入し、次いでn−ブタノール150kgを投入し、内部液温を0℃になるよう調整した。
別の冷却コイル、加熱ジャケット、蒸留塔を具備した攪拌機付き反応器に、水濃度を3質量%とした含水n−ブタノールを0℃となるよう調整した。
ラインを通じ、前記含水n−ブタノールを前記反応器へ攪拌下で添加した。
添加時間は1.5時間とし、添加した水の量は、0.5モル等量(反応器内のTi原子モル数に対して)とした。
反応液を微量水分測定装置で経時的に分析し、添加した水が加水分解反応で消費され、分析値が一定となったことを確認した。
得られた反応液を攪拌下加熱し、150℃となってから蒸留塔を用いてn−ブタノールを留去した。
留去液の組成をガスクロマトグラフィーで分析し、留去量が殆ど無くなったことを確認し、蒸留を終了した。
反応器内に残留した無色透明液を分析し、Ti含有量及びアルコキシ基含有量を測定したところ、平均多量化度2のポリチタノキサンブトキシドが得られていたことが分かった。
【0623】
〔製造例6〜8〕
表15に示すとおり、添加する水分量を変更し、その他の条件は上記〔製造例1〕と同様としてポリチタノキサンアルコキシドの製造を実施した。水の添加が終了した後、製造例5と同様に得られた反応液を攪拌下加熱し、150℃となってから蒸留塔を用いてn−ブタノールを留去した。留去液の組成をガスクロマトグラフィーで分析し、留去量が殆ど無くなったことを確認し、蒸留を終了した。反応器内に残留した無色透明液を分析し、Ti含有量及びアルコキシ基含有量を測定したところ、表15に示すような平均多量化度の異なるポリチタノキサンブトキシドが得られていたことが分かった。
【0624】
【表15】
【0625】
〔実施例38〜42〕
チタン含有組成物の調製において、ポリチタノキサンブトキシド(DuPont社製、製品名:Tyzor BTP)に代えて、テトラブトキシチタン(デュポン社製、Tyzor TnBT)および製造例5〜8から得られたポリチタノキサンアルコキシドを用いたこと以外は実施例36と同様にしてジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を製造した。
蒸留塔130における蒸留分離において、塔底から取り出された高沸点成分中に該ジフェニルカーボネートより高沸点の成分は、実施例38〜42の順に、約41質量%、約45質量%、約39質量%、約50質量%、約45質量%含まれていた。
また、抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、いずれの実施例においても上記(iv)〜(vi)を満たしており、安定的にジアリールカーボネートを製造することができた。結果を表16に示す。
【0626】
【表16】
【0627】
〔製造例9〜14〕
実施例13と同じ方法でチタン含有組成物の調製をおこなった。その後、組成物Aとせずに、該チタン含有組成物にサリチル酸フェニル(Aldrich社製)を添加し、混合物を約170℃に加熱し均一な液にした。該サリチル酸フェニルのチタン原子のモル数に対する比率が下表17に示すように調整した。
【0628】
【表17】
【0629】
〔実施例43〜45〕
製造例9〜11から得られたチタン含有組成物を用いたこと以外は実施例13と同様にしてジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を製造した。
蒸留塔130における蒸留分離において、塔底から取り出された高沸点成分中に該ジフェニルカーボネートより高沸点の成分は、実施例43〜45の順に、約14質量%、約10質量%、約23質量%含まれていた。
また、抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、いずれの実施例においても上記(iv)〜(vi)を満たしており、安定的にジアリールカーボネートを製造することができた。結果を表18に示す。
【0630】
【表18】
【0631】
〔比較例27〜29〕
製造例12〜14から得られたチタン含有組成物を用いたこと以外は実施例13と同様にしてジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を製造した。
チタン含有組成物を供給する際には閉塞の問題は起こらなかったが、ジフェニルカーボネートの生産量が不安定で連続運転は8〜12時間程度であった。また製造例14から得られたチタン含有組成物を用いた比較例29についてはジフェニルカーボネートがほとんど生成しなかった。結果を下表19に示す。
【0632】
【表19】
【0633】
〔実施例46〜51〕
テトラブトキシチタン(DuPont社製、製品名:Tyzor TnBT)、ポリチタノキサンブトキシド(DuPont社製、製品名:Tyzor BTP)、製造例1〜4から得られたポリチタノキサンブトキシドをチタン含有触媒組成物として、ジアリールカーボネートの反応触媒に用いた。実施例1と同様にスタートアップ操作をおこない、ジアリールカーボネートの製造を行った。
蒸留塔130における蒸留分離において、塔底から取り出された高沸点成分中に該ジフェニルカーボネートより高沸点の成分は、実施例46〜51の順に、約5質量%、約6質量%、約5質量%、約7質量%、約6質量%、約6質量%含まれていた。
また、抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析した結果を下表20に示す。いずれの実施例においても上記(iv)〜(vi)の条件を満たしており、安定的にジアリールカーボネートを製造することができた。
【0634】
【表20】
【0635】
〔実施例52〕
前記実施例1において説明した
図1に示すジアリールカーボネートの製造装置を用いて以下のとおりジアリールカーボネートを製造した。
【0636】
(1)スタートアップ操作
段数25のシーブトレイを充填した内径150mm長さ4.8mの濃縮部及びMelapak CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd社製)を充填した内径150mm長さ2.3mの回収部を具備する連続多段蒸留塔110において、25段目のシーブトレイから、ビス(3−メチルブチル)カーボネート、フェノール、及びモノオクチルスズフェノキシドオキシド(モノオクチルスズオキシドヒドロキシド(北興化学工業社製)とフェノールとの反応から合成したもの)からなる混合液(混合液中のビス(3−メチルブチル)カーボネートのフェノールに対する重量比が約1.08、原子としてのスズが全液量の約1500ppmとなるように調整した。)を、予熱器113を経て供給ライン1から約1800g/Hrで連続的に供給し、エステル交換反応を行った。
【0637】
前記混合液を連続的に供給する段よりも下部に濃縮部を設け、上部に回収部を設けた。
反応及び蒸留に必要な熱量に関しては、外部ヒーターを設けたり、塔下部液をリボイラー111を経て循環させて供給したりするようにした。これにより、多段蒸留塔の塔底の温度が約230℃であり、塔頂圧力が約140kPaになるように制御した。
反応液は、連続多段蒸留塔110の塔底から移送ライン2を経て、約1650g/Hrで連続的に抜き出した。
【0638】
副生3−メチル−1−ブタノールを含む低沸点成分を塔頂から抜出した。その後、これをコンデンサー112で凝縮させ、還流比=2で回収ライン3から回収した。
上記のようにして移送ライン2から抜き出した反応液を、連続多段蒸留塔120に供給した。
【0639】
この連続多段蒸留塔120は、リボイラー121と段数5のチムニー型蒸留塔(内径150mm、長さ約6m)の濃縮部、及びMelapak CYを充填した内径150mm長さ3.8mの回収部とを具備しており、反応液は、前記濃縮部の上部に約1700g/Hrで供給した。
【0640】
この蒸留塔120の塔底の温度が200℃、塔頂圧力が約3kPaになるように制御し、この条件で不均化反応を行った。
また、蒸留塔120の塔頂から、フェノール及びビス(3−メチルブチル)カーボネートを含む低沸点成分をコンデンサー122、移送ライン5及び供給ライン1を経て蒸留塔110に循環させた。
【0641】
蒸留塔120の塔底から、ジフェニルカーボネートを含有する反応液を、移送ライン4を経て蒸留塔130に供給し、蒸留分離を行った。
蒸留塔130は、Melapak CYを充填した内径150mm長さ4mからなる蒸留塔であり、リボイラー131とコンデンサー132とを備えている。
【0642】
蒸留塔130は、塔底温度が約180℃、塔頂圧力が約0.5kPaに制御した。
塔頂からジフェニルカーボネートを含有する低沸点成分を取り出し、コンデンサー132及び移送ライン7を経て蒸留精製塔140に供給した。
一方、触媒を含む高沸成分を移送ライン6と供給ライン1とを経て、蒸留塔110に循環させた。
【0643】
蒸留精製塔140は、Melapak CYを充填した内径150mm、長さ5mの蒸留塔であり、リボイラー141とコンデンサー142とを具備している。
前記蒸留塔130から移送ライン7を経て蒸留精製塔140に供給されたジフェニルカーボネートを含有する反応液は、蒸留精製塔140で精製される。これにより塔底よりも上に位置するが蒸留塔下部に位置している回収ライン9から約99質量%のジフェニルカーボネートを得た。
【0644】
蒸留精製塔140の塔頂から、3−メチルブチルフェニルカーボネートを含有する低沸成分を回収ライン10と移送ライン2とを経て蒸留塔120に循環させた。
【0645】
(2)制御操作
抜き出しライン11から抜き出されるスズ含有高沸物を、約2.3g/Hr(スズ原子の濃度が約5質量%)とし、供給ライン12から供給されるオクチルスズオキシドフェノキシド含有フェノール液を、約2.3g/Hr(スズ原子の濃度が約5質量%)になるように調整し、供給ライン1からのオクチルスズオキシドフェノキシドの供給を停止させた。
【0646】
同時に、回収ライン9から回収されるジフェニルカーボネートが、約1000g/Hrになるように、各蒸留塔に循環させる液量を徐々に増加させた。
上述した連続運転を約12hr行ったところ、定常状態となった。
【0647】
このとき、移送ライン2において、液の組成は、フェノール約15質量%、ビス(3−メチルブチル)カーボネート約67質量%、3−メチルブチルフェニルカーボネート約17質量%、ジフェニルカーボネート約0.3質量%、3?メチル−1−ブタノール約0.2質量%であり、流量は約11402g/Hrであった。
【0648】
回収ライン3における液の組成は、3−メチル−1?ブタノール約100質量%であり、流量は約825g/Hrであった。
【0649】
移送ライン4において、液の組成は、ビス(3−メチルブチル)カーボネート約0.2質量%、3−メチルブチルフェニルカーボネート約11質量%、ジフェニルカーボネート約84質量%であり、流量は約1230g/Hrであった。
【0650】
移送ライン5において、液の組成は3−メチル−1−ブタノール約0.2質量%、フェノール約15質量%、ビス(3−メチルブチル)カーボネート約84質量%であり、流量は約10300g/Hrであった。
【0651】
移送ライン7において、液の組成はジフェニルカーボネート約86質量%、3−メチルブチルフェニルカーボネート約13質量%、ビス(3−メチルブチル)カーボネート約0.2質量%であり、流量は約1120g/Hrであった。
また、抜き出しライン11から得た高沸点成分を分析したところ、サリチル酸フェニルとサリチル酸(3−メチルブチル)エステルとの合計モル数の、スズ原子のモル数に対する比率は約0.4であった。
【0652】
上述した連続運転を、さらに約100Hr継続したところ、回収ライン9から回収したジフェニルカーボネートは約1000g/Hrで安定的に製造できた。
その後、抜き出しライン11から抜き出されるスズ含有高沸物が、約1.8g/Hr(スズ原子の濃度が約5質量%)、供給ライン12から供給されるオクチルスズオキシドフェノキシド含有フェノール液が約1.8g/Hr(スズ原子の濃度が約5wt%)になるように調整し、同様に約100Hr連続運転を行った。
【0653】
抜き出しライン11から得た高沸点成分を分析したところ、サリチル酸フェニルとサリチル酸(3−メチルブチル)エステルのサリチル酸エステル類の合計モル数のスズ原子のモル数に対する比率は約0.7であり、サリチル酸フェニルカーボネートのモル数のスズ原子のモル数に対する比率は約0.05であった。さらにカテコールのモル数のスズ原子のモル数に対する比率は約0.02であった。該高沸点成分中にジフェニルカーボネートより高沸点の成分は約23質量%であった。
【0654】
回収ライン9から回収したジフェニルカーボネートは、同様に約1000g/Hrで安定的に製造できた。
【0655】
〔実施例53〜55〕
金属含有触媒として、実施例53〜55においてそれぞれ、順に、トリエトキシ鉄(Strem Chemicals社製)、トリブトキシアルミニウム(和光純薬社製)、トリプロポキシジルコニウム(Strem Chemicals社製)を用いた以外は、実施例52と同様な方法でジアリールカーボネートの製造を行った。
【0656】
蒸留塔130における蒸留分離において、塔底から取り出された高沸点成分中に該ジフェニルカーボネートより高沸点の成分は、実施例53〜55の順に、約14質量%、約15質量%、約17質量%含まれていた。
また、抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、いずれの実施例においても上記(iv)〜(vi)を満たしており、安定的にジアリールカーボネートを製造することができた。結果を表21に示す。
【0657】
【表21】
【0658】
〔比較例30〜33〕
図1に示す製造装置を用いてジアリールカーボネートを製造した。
金属含有触媒として、比較例30〜33においてそれぞれ、モノオクチルスズフェノキシドオキシド、トリエトキシ鉄(Strem Chemicals社製)、トリブトキシアルミニウム(和光純薬社製)、トリプロポキシジルコニウム(Strem Chemicals社製)を用い、制御操作を以下のとおりとした以外は、実施例52と同様な方法でジアリールカーボネートの製造を行った。
【0659】
(制御操作)
実施例52と同様のスタートアップ操作を行い、抜き出しライン11から抜き出される金属含有高沸物を約2.4g/Hr(金属原子の濃度が約5質量%)、供給ライン12から供給される金属含有触媒組成物を約2.4g/Hr(金属原子の濃度が約5質量%)になるように調整し、同時に、回収ライン9から回収されるジフェニルカーボネートが約1000g/Hrになるように各蒸留塔に循環させる液量を徐々に増やし、連続運転を約12hr行ったところ、定常状態になった。
【0660】
その後、抜き出しライン11から抜き出される高沸点成分が約0.4g/Hr(金属原子の濃度が約5質量%)、供給ライン12から供給される金属含有触媒組成物液が約0.4g/Hr(金属原子の濃度が約5質量%)になるように徐々に調整し、実施例52と同様の液の循環量で連続運転を行った。
【0661】
但し、回収ライン9から回収されたジフェニルカーボネートが徐々に減少するため、供給ライン1から供給する原料液をこれに合わせて調整した。
約100Hrの連続運転を行ったところ、定常状態においては、回収ライン9から回収されたジフェニルカーボネートは約150g/Hrであった。
【0662】
さらに抜き出しライン11から抜き出されるスズ含有高沸物が約0.3g/Hr(金属原子の濃度が約5質量%)、供給ライン12から供給される金属含有触媒組成物が約0.3g/Hr(金属原子の濃度が約5質量%)になるように調整し、同様に連続運転を行った。
【0663】
約100Hrの連続運転を行ったところ、定常状態では回収ライン9から回収されたジフェニルカーボネートは20g〜90g/Hrであった。抜き出しライン11から得た高沸点成分を分析した結果を表22に示す。
【0664】
【表22】
【0665】
本出願は、2010年2月23日出願の日本特許出願(特願2010−37928号)および2010年2月23日出願の日本特許出願(特願2010−37930号)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。