(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、現在、作動されるアジャスターを機械的に切り替える切替機構が開発されつつある。
【0005】
この切替機構では、スイッチにスイッチシャフト(回転軸)が設けられており、スイッチシャフトは、ラックに噛合されている。スイッチが回転操作されて、スイッチシャフトが一体に回転されることで、ラックがスライドされて、作動されるアジャスターが切り替えられる。
【0006】
しかしながら、この切替機構では、ラックがケースに収容されており、スイッチシャフトは、ケースに挿入されて、ラックに噛合されている。
【0007】
これにより、スイッチシャフトをケース内のラックに噛合させる際には、ケースの外側からラックのスライド位置を確認できないと共に、ケースの外側からラックのスライド位置を調整困難である。このため、ラックのスライド位置とスイッチシャフトの回転位置とが適合しない状態でスイッチシャフトがラックに噛合される可能性があり、ラックのスライド位置とスイッチの回転操作位置とが適合しない(誤差を生じる)可能性がある。
【0008】
本発明は、上記事実を考慮し、動作部材に連絡部材を連絡する際に動作部材の動作位置と連絡部材の動作位置とを容易に適合させることができるシート作動装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載のシート作動装置は、
作動されることで車両のシートを作動させる
複数の作動手段を有する作動機構と、前記作動機構に設けられ、動作
されることで作動される前記作動手段が切り替えられる動作部材と、前記動作部材を収容する収容部材と、前記収容部材に挿入されて前記動作部材に連絡され、前記動作部材の動作に連動して動作される連絡部材と、前記収容部材の外側から前記動作部材の動作位置
の前記連絡部材の動作位置との適合を確認可能にする確認手段と、を備えている。
【0010】
請求項1に記載のシート作動装置では、車両のシートを作動機構が作動させる。さらに、作動機構に動作部材が設けられると共に、動作部材に連絡部材が連絡されており、動作部材の動作に連動して連絡部材が動作される。
【0011】
また、動作部材を収容部材が収容すると共に、連絡部材が、収容部材に挿入されて、動作部材に連絡されている。
【0012】
ここで、確認手段が収容部材の外側から動作部材の動作位置を確認可能にする。このため、動作部材に連絡部材を連絡する際に、動作部材の動作位置と連絡部材の動作位置とを容易に適合させることができる。
【0014】
さらに、確認手段が収容部材の外側から動作部材の動作位置の連絡部材の動作位置との適合を確認可能にする。このため、動作部材に連絡部材を連絡する際に、動作部材の動作位置と連絡部材の動作位置とを一層容易に適合させることができる。
【0015】
請求項2に記載のシート作動装置は、
作動されることで車両のシートを作動させる
複数の作動手段を有する作動機構と、前記作動機構に設けられ、動作
されることで作動される前記作動手段が切り替えられる動作部材と、前記動作部材を収容する収容部材と、前記収容部材に挿入されて前記動作部材に連絡され、前記動作部材の動作に連動して動作される連絡部材と、前記収容部材の外側に露出され、
前記連絡部材の動作位置に対する前記動作部材の動作位置を調整可能にする調整手段と、を備えている。
【0016】
請求項2に記載のシート作動装置では、車両のシートを作動機構が作動させる。さらに、作動機構に動作部材が設けられると共に、動作部材に連絡部材が連絡されており、動作部材の動作に連動して連絡部材が動作される。
【0017】
また、動作部材を収容部材が収容すると共に、連絡部材が、収容部材に挿入されて、動作部材に連絡されている。
【0018】
ここで、収容部材の外側に調整手段が露出されており、調整手段が動作部材の動作位置を調整可能にする。このため、動作部材に連絡部材を連絡する際に、動作部材の動作位置と連絡部材の動作位置とを容易に適合させることができる。
【0019】
請求項3に記載のシート作動装置は、
請求項2に記載のシート作動装置において、前記調整手段は、工具による前記動作部材の動作位置の調整を可能にする調整部を有している。
【0020】
請求項3に記載のシート作動装置では、調整手段の調整部が工具による動作部材の動作位置の調整を可能にする。このため、工具によって動作部材の動作位置を調整でき、動作部材の動作位置を容易に調整できる。
【0022】
請求項1及び請求項2に記載のシート作動装置では、作動機構が複数の作動手段を有しており、作動手段が作動されることで、シートを作動させる。さらに、動作部材が動作されることで、作動される作動手段が切り替えられる。このため、動作部材の動作位置と連絡部材の動作位置とが適合されることで、作動される作動手段を正確に切り替えることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、請求項1に記載のシート作動装置では、確認手段が収容部材の外側から動作部材の動作位置を確認可能にするため、動作部材に連絡部材を連絡する際に、動作部材の動作位置と連絡部材の動作位置とを容易に適合させることができる。
【0024】
さらに、確認手段が収容部材の外側から動作部材の動作位置の連絡部材の動作位置との適合を確認可能にするため、動作部材に連絡部材を連絡する際に、動作部材の動作位置と連絡部材の動作位置とを一層容易に適合させることができる。
【0025】
請求項2に記載のシート作動装置では、収容部材の外側に調整手段が露出されて、調整手段が動作部材の動作位置を調整可能にするため、動作部材に連絡部材を連絡する際に、動作部材の動作位置と連絡部材の動作位置とを容易に適合させることができる。
【0026】
請求項3に記載のシート作動装置では、調整手段の調整部が工具による動作部材の動作位置の調整を可能にするため、動作部材の動作位置を容易に調整できる。
【0027】
請求項1及び請求項2に記載のシート作動装置では、動作部材が動作されることで、作動される作動手段が切り替えられるため、作動される作動手段を正確に切り替えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1には、本発明の実施の形態に係るシート作動装置としての駆動装置10が適用されたシート12(パワーシート)の主要部が前斜め上方から見た斜視図にて示されている。なお、図面では、シート12の前方を矢印FRで示し、シート12の右方を矢印RHで示し、シート12の上方を矢印UPで示している。
【0030】
本実施の形態に係るシート12は、車両(自動車)の車室に設置されるものであり、シート12は、前方、右方及び上方をそれぞれ車両の前方、右方及び上方に向けられる。
【0031】
図1に示す如く、シート12の下部には、シートクッション14が設けられており、シートクッション14は、略水平に配置されて、シート12に着座した乗員の下半身を下側から支持可能にされている。シートクッション14の内部には、骨格部材(フレーム)としての平面視矩形枠状のクッションフレーム16が設けられており、クッションフレーム16は、金属製にされて、シートクッション14を補強している。
【0032】
シート12の後部には、シートバック18が設けられており、シートバック18は、シートクッション14の後端から上側に起立されて、シート12に着座した乗員の上半身を後側から支持可能にされている。シートバック18の内部には、骨格部材(フレーム)としての正面視矩形枠状のバックフレーム20が設けられており、バックフレーム20は、金属製にされて、シートバック18を補強している。
【0033】
クッションフレーム16の後端とバックフレーム20の下端との間には、作動機構を構成する作動手段(傾動手段)としてのリクライニング機構22が設けられており、リクライニング機構22が作動されることで、クッションフレーム16に対しバックフレーム20が前後方向へ傾動(作動)されて、シートクッション14に対するシートバック18の前後方向への傾動角度が調整される。
【0034】
クッションフレーム16の右端及び左端の下側には、スライドフレーム24が設けられている。クッションフレーム16とスライドフレーム24との間には、作動機構を構成する作動手段(上下移動手段)としての昇降機構28が設けられており、昇降機構28が作動されることで、スライドフレーム24に対しクッションフレーム16が上下方向へ移動(作動)されて、シート12(シートクッション14及びシートバック18)の上下方向位置が調整される。
【0035】
各スライドフレーム24の下側には、スライドレール30が設けられている。スライドフレーム24とスライドレール30との間には、作動機構を構成する作動手段(前後移動手段)としてのスライド機構32が設けられており、スライド機構32が作動されることで、スライドレール30に対しスライドフレーム24が前後方向へスライド(作動)されて、シート12(シートクッション14及びシートバック18)の前後方向位置が調整される。
【0036】
クッションフレーム16の内部には、作動機構を構成する切替手段としてのクラッチユニット34が固定されている。
【0037】
図2及び
図3に示す如く、クラッチユニット34の外周には、収容部材としての容器状のケース34Aが設けられている。ケース34Aは、不透明材料により形成されると共に、内部が閉じられており、ケース34Aの外側からケース34Aの内部を視認(確認)不能にされている。
【0038】
ケース34Aの右側部分は、容器状の第1ケース36によって構成されており、第1ケース36の内部は、左側へ開口されている。第1ケース36の左側には、板状の第2ケース38が設けられており、第2ケース38は、第1ケース36に固定されて、第1ケース36の内部を閉じている。第2ケース38には、ラック室40が形成されており、ラック室40の内部は、右側へ開口されている。第1ケース36と第2ケース38との間には、板状の第3ケース42が設けられており、第3ケース42は、第2ケース38に固定されて、ラック室40の内部を閉じている。
【0039】
第1ケース36の右壁外側には、断面略U字形板状のモータブラケット44が固定されており、モータブラケット44の右側には、駆動手段としてのモータ46が固定されている。モータ46の出力軸46Aは、モータブラケット44及び第1ケース36の右壁を貫通されて、第1ケース36の内部に挿入されており、モータ46が駆動されることで、出力軸46Aが回転される。
【0040】
第1ケース36の内部には、モータギア48が配置されており、モータギア48は、モータ46の出力軸46Aに連結されている。これにより、出力軸46Aが回転されることで、モータギア48が出力軸46Aと一体に回転される。
【0041】
第1ケース36の内部には、ギアホルダ50が固定されている。第1ケース36とギアホルダ50との間には、主駆動部材としてのアイドルギア52が回転自在に支持されており、アイドルギア52の右側部は、アイドルギア52の左側部に比し、大径にされている。アイドルギア52の右側部(大径部)の外周は、モータギア48の外周に噛合されており、モータギア48が回転されることで、アイドルギア52が回転される。
【0042】
第1ケース36の内部には、切替機構としてのクラッチ機構54が3個設けられており、3個のクラッチ機構54は、アイドルギア52の前側(一側方)、上側及び後側(他側方)に配置されている。
【0043】
クラッチ機構54には、略円軸状のクラッチシャフト56が設けられており、クラッチシャフト56は、アイドルギア52と軸方向が平行にされて、第1ケース36の内部に回転自在に支持されている。
【0044】
第1ケース36の右壁外側には、略円筒状のケーブルホルダ58が3個固定されている。ケーブルホルダ58には、伝達手段としてのケーブル60(
図1参照)が挿通かつ保持されており、ケーブル60は、第1ケース36の右壁を貫通されて、クラッチシャフト56に接続されている。
【0045】
図1に示す如く、前側のクラッチシャフト56に接続されたケーブル60は、リクライニング機構22に接続されており、前側のクラッチシャフト56が回転されることで、リクライニング機構22が当該ケーブル60を介して駆動力を伝達されて作動される。上側のクラッチシャフト56に接続されたケーブル60は、昇降機構28に接続されており、上側のクラッチシャフト56が回転されることで、昇降機構28が当該ケーブル60を介して駆動力を伝達されて作動される。後側のクラッチシャフト56に接続されたケーブル60は、スライド機構32に接続されており、後側のクラッチシャフト56が回転されることで、スライド機構32が当該ケーブル60を介して駆動力を伝達されて作動される。
【0046】
図4に示す如く、クラッチシャフト56の左端近傍には、外周断面略楕円状(外周断面非円状)の係止部56Aが形成されており、係止部56Aの最大径は、クラッチシャフト56の他の部分の径に比し、大きくされている。
【0047】
クラッチシャフト56には、係止部56Aの右側において、駆動部材(被接近部材)としての略円柱状の駆動クラッチ62が同軸上に支持されている。クラッチシャフト56は、駆動クラッチ62の両側において、略円環状のブッシュ64に挿通されており、駆動クラッチ62は、一対のブッシュ64によってクラッチシャフト56軸方向両側への移動が係止されると共に、クラッチシャフト56に対し回転自在にされている。
【0048】
駆動クラッチ62の左面には、周部全体において、略矩形柱状の駆動歯66が複数形成されており、複数の駆動歯66は、駆動クラッチ62の周方向に沿って、等間隔に配置されている。また、駆動歯66の先端部は、断面三角形状にされている。
【0049】
図3に示す如く、各駆動クラッチ62の外周は、アイドルギア52の左側部(小径部)の外周に噛合されており、アイドルギア52が回転されることで、各駆動クラッチ62が回転される。
【0050】
図4及び
図5に示す如く、クラッチシャフト56には、係止部56Aにおいて、従動部材(接近部材)としての略円柱状の従動クラッチ68が同軸上に支持されており、従動クラッチ68は、クラッチシャフト56と一体回転可能にされると共に、クラッチシャフト56の軸方向(左右方向)へ移動(スライド)可能にされている。
【0051】
クラッチシャフト56と従動クラッチ68との間には、解除手段(付勢手段)としての圧縮コイルスプリング70が架け渡されており、従動クラッチ68は、圧縮コイルスプリング70によって左方への付勢力(解除力)を作用されて、駆動クラッチ62から左側へ離間した位置に係止されている。
【0052】
従動クラッチ68の左端は、クラッチシャフト56と同軸上の円錐台形状にされており、従動クラッチ68の左端縁は、平面状の作動維持面68Aにされると共に、従動クラッチ68の左端縁近傍は、円錐周面状の作動摺動面68Bにされている。作動維持面68Aは、従動クラッチ68の軸方向(左右方向)に対し垂直に配置されており、作動摺動面68Bは、従動クラッチ68の径方向内側へ向かうに従い左側へ向かう方向へ傾斜されている。
【0053】
従動クラッチ68の右面には、周部全体において、伝達歯としての略矩形柱状の従動歯72が複数形成されており、複数の従動歯72は、従動クラッチ68の周方向に沿って、等間隔に配置されている。従動クラッチ68の従動歯72形成部分の径は、駆動クラッチ62の駆動歯66形成部分の径と、同一にされると共に、従動クラッチ68の従動歯72の数は、駆動クラッチ62の駆動歯66の数と、同一にされている。また、従動歯72の先端部は、断面三角形状にされている。
【0054】
図3に示す如く、第1ケース36の内部には、ギアホルダ50の左側において、セレクタを構成する動作部材としての略円軸状のカムシャフト74(セレクタシャフト)が設けられており、カムシャフト74は、アイドルギア52と同軸上に配置されている。カムシャフト74の左部は、第3ケース42を貫通されて第2ケース38のラック室40下部に挿入されると共に、第2ケース38に支持されており、カムシャフト74は、回転(動作)自在にされている。
【0055】
図7及び
図8に示す如く、カムシャフト74の左端は、第2ケース38を貫通されており、カムシャフト74の左端縁は、第2ケース38の左面に対し突出されて(面一にされてもよい)、第2ケース38の左側(外側)に露出されている。カムシャフト74の左端縁には、周方向一部において、確認手段を構成する第1確認部(マーク)として直線状の第1確認線88が表示されており、第1確認線88は、カムシャフト74の径方向に沿って配置されると共に、カムシャフト74と一体に回転される。第2ケース38の左側面には、カムシャフト74の左端縁周囲の周方向一部において、確認手段を構成する第2確認部(マーク)として直線状の第2確認線90が表示されており、第2確認線90は、カムシャフト74の径方向に沿って配置されている。
【0056】
カムシャフト74の左端縁には、調整手段を構成する調整部としての所定形状(本実施の形態では正面視6角形状であるが、正面視が+状や−状等の非円状であればよい)の工具孔92が形成されており、工具孔92は、カムシャフト74の左端縁から開放されている。工具孔92には、図示しない工具(本実施の形態では6角レンチであるが、+ドライバーや−ドライバー等の非円柱状のものであればよい)を嵌入(係合)可能にされており、工具によってカムシャフト74を回転可能にされている。
【0057】
図3に示す如く、カムシャフト74の右端には、セレクタを構成する動作部材としての長尺板状の連結板75の基端が固定されており、連結板75は、カムシャフト74の回転と一体に回動(動作)可能にされている。
【0058】
連結板75の先端には、セレクタを構成する動作部材(切替部材)としての略円盤状のカム76の周部が固定されており、カム76は、カムシャフト74と軸方向が平行に配置されている。カムシャフト74が回転されることで、カム76が、カムシャフト74を中心軸として連結板75と一体に回動(動作)されて、各クラッチ機構54の従動クラッチ68の左側に回動可能にされている。
【0059】
図5に示す如く、カム76の右端は、カム76と同軸上の円錐台形状にされており、カム76の右端縁は、平面状の切替維持面76Aにされると共に、カム76の右端縁近傍は、円錐周面状の切替摺動面76Bにされている。切替維持面76Aは、カム76の軸方向(左右方向)に対し垂直に配置されており、切替摺動面76Bは、カム76の径方向内側へ向かうに従い右側へ向かう方向へ傾斜されている。
【0060】
カム76が従動クラッチ68の左側に回動された際には、カム76が従動クラッチ68と同軸上に配置された状態で、従動クラッチ68が圧縮コイルスプリング70の付勢力に抗して右方(駆動クラッチ62側)へ移動(変位)されると共に、カム76が圧縮コイルスプリング70の付勢力による従動クラッチ68の左方(駆動クラッチ62とは反対側)への移動(変位の解除)を係止する。これにより、従動クラッチ68の複数の従動歯72が駆動クラッチ62の複数の駆動歯66に噛合(係合)される。
【0061】
図3及び
図6に示す如く、第2ケース38のラック室40には、動作部材としてのラック78がスライド(動作)可能に収容されている。ラック78下部のラック歯78Aには、カムシャフト74の左端近傍のギヤ74Aが噛合されており、ラック78がスライドされることで、カムシャフト74が回転される。
【0062】
図1〜
図3に示す如く、クラッチユニット34の左側(第2ケース38の左側)には、作動機構を構成するスイッチ80が配置されている。スイッチ80は、クッションフレーム16の左端外側に取り付けられており、スイッチ80の左側部は、シートクッション14の外部に露出されている。
【0063】
スイッチ80の左側部には、連絡部材(操作部)としての略円柱状の回転部82(ダイヤル部)が回転(動作)可能に設けられており、回転部82は、「リクライニング位置」、「昇降位置」及び「スライド位置」に回転操作可能にされている。
【0064】
回転部82には、中心軸位置において、連絡部材としての円軸状の回転軸84(スイッチシャフト)が一体回転(動作)可能に連結されており、回転軸84は、スイッチ80に対し右方に延出されている。回転軸84は、クッションフレーム16の左端を貫通されてクッションフレーム16の内部に挿入されており、回転軸84の右部は、第2ケース38を貫通されて第2ケース38のラック室40上部に挿入されると共に、第3ケース42に支持されている。回転軸84の右端近傍のギヤ84Aは、ラック室40のラック78上部のラック歯78Bに噛合(連絡)されており、回転部82が回転操作されて、回転軸84が回転されることで、ラック78がスライドされる。このため、カムシャフト74が回転されて、カム76が回動される。
【0065】
図9(A)に示す如く、回転部82が「リクライニング位置」に回転操作された際には、カム76が前側のクラッチ機構54の従動クラッチ68の左側に回動される。
図9(B)に示す如く、回転部82が「昇降位置」に回転操作された際には、カム76が上側のクラッチ機構54の従動クラッチ68の左側に回動される。
図9(C)に示す如く、回転部82が「スライド位置」に回転操作された際には、カム76が後側のクラッチ機構54の従動クラッチ68の左側に回動される。
【0066】
図7及び
図8に示す如く、回転部82が所定の回転操作位置(「リクライニング位置」、「昇降位置」又は「スライド位置」)に回転操作された際(回転軸84が所定の回転位置に回転され、ラック78が所定のスライド位置にスライドされ、カムシャフト74が所定の回転位置に回転され、連結板75及びカム76が所定の回動位置に回動されて、カム76が所定(前側、上側又は後側)の従動クラッチ68の左側に回動された際)には、カムシャフト74の左端縁における第1確認線88の回転位置が第2ケース38の左側面における第2確認線90のカムシャフト74周方向位置に一致される(第1確認線88が第2確認線90と一直線に並ぶ)。
【0067】
図1に示す如く、回転部82の左側には、操作部としての略矩形柱状のスライド部86がスライド可能に保持されており、スライド部86は、「初期位置」から互いに反対側の「正回転位置」と「逆回転位置」とにスライド操作可能にされている。
【0068】
スライド部86は、モータ46に電気的に接続されており、スライド部86が「正回転位置」又は「逆回転位置」にスライド操作されることで、それぞれ、モータ46が正駆動又は逆駆動されて、モータ46の出力軸46Aが正回転又は逆回転される。
【0069】
次に、本実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0070】
以上の構成のシート12では、スイッチ80の回転部82が「リクライニング位置」、「昇降位置」又は「スライド位置」に回転操作されることで、回転軸84が回転部82と一体に回転されて、ラック78がスライドされる。このため、カムシャフト74が回転されて、連結板75及びカム76が回動されることで、それぞれ、カム76が前側、上側又は後側のクラッチ機構54の従動クラッチ68の左側に回動される。
【0071】
カム76が従動クラッチ68の左側に回動された際には、カム76が従動クラッチ68を圧縮コイルスプリング70の付勢力に抗して右方(駆動クラッチ62側)へ移動させる。これにより、従動クラッチ68の複数の従動歯72が駆動クラッチ62の複数の駆動歯66に噛合される。
【0072】
さらに、スイッチ80のスライド部86が「正回転位置」又は「逆回転位置」にスライド操作されることで、それぞれ、モータ46が正駆動又は逆駆動されて、モータ46の出力軸46Aが正回転又は逆回転される。このため、それぞれ、モータギア48が出力軸46Aと一体に正回転又は逆回転されることで、アイドルギア52が正回転又は逆回転されて、各クラッチ機構54の駆動クラッチ62が正回転又は逆回転される。
【0073】
スイッチ80の回転部82が「リクライニング位置」に回転操作された際には、前側のクラッチ機構54において、従動クラッチ68の複数の従動歯72が駆動クラッチ62の複数の駆動歯66に噛合されることで、従動クラッチ68が駆動クラッチ62によって正回転又は逆回転されて(駆動クラッチ62から駆動力を伝達されて)、クラッチシャフト56が正回転又は逆回転される。これにより、リクライニング機構22がケーブル60を介して駆動力を伝達されて正作動又は逆作動されることで、シートクッション14に対しシートバック18が前側又は後側へ傾動されて、シートクッション14に対するシートバック18の前後方向への傾動角度が調整される。
【0074】
スイッチ80の回転部82が「昇降位置」に回転操作された際には、上側のクラッチ機構54において、従動クラッチ68の複数の従動歯72が駆動クラッチ62の複数の駆動歯66に噛合されることで、従動クラッチ68が駆動クラッチ62によって正回転又は逆回転されて(駆動クラッチ62から駆動力を伝達されて)、クラッチシャフト56が正回転又は逆回転される。これにより、昇降機構28がケーブル60を介して駆動力を伝達されて正作動又は逆作動されることで、スライドフレーム24に対しクッションフレーム16が上側又は下側へ移動されて、シート12(シートクッション14及びシートバック18)の上下方向位置が調整される。
【0075】
スイッチ80の回転部82が「スライド位置」に回転操作された際には、後側のクラッチ機構54において、従動クラッチ68の複数の従動歯72が駆動クラッチ62の複数の駆動歯66に噛合されることで、従動クラッチ68が駆動クラッチ62によって正回転又は逆回転されて(駆動クラッチ62から駆動力を伝達されて)、クラッチシャフト56が正回転又は逆回転される。これにより、スライド機構32がケーブル60を介して駆動力を伝達されて正作動又は逆作動されることで、スライドレール30に対しスライドフレーム24が前側又は後側へスライドされて、シート12(シートクッション14及びシートバック18)の前後方向位置が調整される。
【0076】
ところで、クラッチユニット34のラック78、カムシャフト74、連結板75及びカム76は、ケース34Aの内部に収容されており、スイッチ80の回転軸84右部がケース34Aのラック室40上部に挿入されて、回転軸84のギヤ84Aがラック室40のラック78上部のラック歯78Bに噛合されることで、スイッチ80がクラッチユニット34に組み付けられている。
【0077】
ここで、カムシャフト74の左端縁がケース34Aの左側に露出されており、ケース34Aの外側からカムシャフト74左端縁の第1確認線88を視認可能にされている。また、第1確認線88の回転位置がケース34A左側面における第2確認線90のカムシャフト74周方向位置に一致される際には、ラック78が所定のスライド位置にスライドされ、カムシャフト74が所定の回転位置に回転され、連結板75及びカム76が所定の回動位置に回動されて、カム76が所定(前側、上側又は後側)の従動クラッチ68の左側に回動されると共に、回転軸84が所定の回転位置に回転されて、回転部82が所定の回転操作位置(「リクライニング位置」、「昇降位置」又は「スライド位置」)に回転される。
【0078】
このため、クッションフレーム16の内部に固定されたクラッチユニット34にスイッチ80を組み付けると共に、クッションフレーム16の左端外側にスイッチ80を取り付ける際(クラッチユニット34に対するスイッチ80の姿勢(回転位置)を規制しつつクラッチユニット34にスイッチ80を組み付ける際)には、第1確認線88の回転位置が第2確認線90のカムシャフト74周方向位置に一致されると共に、回転部82が所定の回転操作位置に回転操作された状態で、回転軸84の右部をケース34Aのラック室40上部に挿入して、回転軸84のギヤ84Aをラック78のラック歯78Bに噛合させる。
【0079】
これにより、ラック78のスライド位置、カムシャフト74の回転位置、連結板75の回動位置及びカム76の回動位置と、回転軸84の回転位置及び回転部82の回転操作位置と、を容易に適合させることができて、スイッチ80をクラッチユニット34に誤差なく組み付けることができ、スイッチ80のクラッチユニット34への誤組み付けを防止できる。したがって、回転部82を「リクライニング位置」、「昇降位置」又は「スライド位置」に回転操作することで、それぞれ、カム76を前側、上側又は後側のクラッチ機構54の従動クラッチ68の左側に正確に回動させることができる。
【0080】
また、スイッチ80をクラッチユニット34に組み付ける際に、第1確認線88の回転位置が第2確認線90のカムシャフト74周方向位置に一致されていない場合には、カムシャフト74左端縁の工具孔92に工具を嵌入してカムシャフト74を回転させることで、第1確認線88の回転位置を第2確認線90のカムシャフト74周方向位置に一致させる。これにより、カムシャフト74の回転位置を所定の回転位置に容易に調整できて、ラック78のスライド位置、カムシャフト74の回転位置、連結板75の回動位置及びカム76の回動位置と、回転軸84の回転位置及び回転部82の回転操作位置と、を一層容易に適合させることができる。
【0081】
なお、本実施の形態では、カムシャフト74の左端縁に第1確認線88を設けると共に、ケース34Aの左側面に第2確認線90を設けたが、ラック78、カムシャフト74、連結板75及びカム76の少なくとも一つに第1確認線88を設けると共に、ケース34Aの内面に第2確認線90を設け、かつ、ケース34Aの周壁に確認手段を構成する確認部(透明窓や貫通孔)を形成してもよい。
【0082】
この場合、第1確認線88及び第2確認線90をケース34Aの外側から確認部を介して視認(確認)可能にされており、第1確認線88の位置が第2確認線90の位置に一致されることで、ラック78が所定のスライド位置にスライドされ、カムシャフト74が所定の回転位置に回転され、連結板75及びカム76が所定の回動位置に回動されて、カム76が所定(前側、上側又は後側)の従動クラッチ68の左側に回動される。
【0083】
さらに、本実施の形態では、カムシャフト74の左端縁に調整手段(工具孔92)を設けたが、ラック78、カムシャフト74、連結板75及びカム76の少なくとも一つに調整手段を設ければよい。
【0084】
また、本実施の形態では、カムシャフト74の左端縁に調整手段(工具孔92)を設けたが、ケース34Aの周壁に調整手段としての調整孔を貫通形成してもよい。
【0085】
この場合、スイッチ80をクラッチユニット34に組み付ける際には、係止部材が調整孔に貫通(嵌入)されてケース34Aの内部に挿入されることで、係止部材がラック78、カムシャフト74、連結板75及びカム76の少なくとも一つを係止する。これにより、ラック78のスライド位置が所定のスライド位置に係止(調整)され、カムシャフト74の回転位置が所定の回転位置に係止(調整)され、連結板75及びカム76の回動位置が所定の回動位置に係止(調整)されて、カム76の回動位置が所定(前側、上側又は後側)の従動クラッチ68の左側に係止される。その後、スイッチ80の回転部82が所定の回転操作位置に回転操作された状態で、スイッチ80の回転軸84の右部をケース34Aのラック室40上部に挿入して、回転軸84のギヤ84Aをラック78のラック歯78Bに噛合させる。これにより、ラック78のスライド位置、カムシャフト74の回転位置、連結板75の回動位置及びカム76の回動位置と、回転軸84の回転位置及び回転部82の回転操作位置と、を容易に適合させることができる。また、スイッチ80をクラッチユニット34に組み付けた後には、係止部材をケース34A(調整孔)から取り外して、係止部材によるラック78、カムシャフト74、連結板75及びカム76の少なくとも一つの係止を解除する。
【0086】
さらに、本実施の形態では、作動手段(リクライニング機構22、昇降機構28及びスライド機構32)及びクラッチ機構54をそれぞれ3個設けたが、作動手段及びクラッチ機構54をそれぞれ2個又は4個以上設けてもよい。また、この場合等には、スイッチ80が操作されることで、シートクッション14の前部が後部に対し上下方向へ回動され、又は、シートバック18の少なくとも一部(下部等)が前後方向へ移動されてもよい。
【0087】
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施の形態に限定されないことは言うまでもない。