(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施の形態について説明する。
【0009】
−断熱層−
本発明の断熱層は、(a−1)結合材(以下、「(a−1)成分」ともいう。)、(a−2)中空粒子(以下、「(a−2)成分」ともいう。)、(a−3)熱伝導率が0.2〜50W/(m・K)である粉粒体(以下、「(a−3)成分」ともいう。)を含むものである。
【0010】
(a−1)成分としては、有機質結合材及び/または無機質結合材が使用できる。このうち有機質結合材としては、例えば、合成樹脂エマルション、水溶性樹脂、溶剤型樹脂、無溶剤型樹脂、粉末樹脂等を使用することができる。これらは架橋反応性を有するものであってもよい。また、その形態は特に限定されず、1液型、2液型等のいずれであってもよい。具体的に、樹脂の種類としては、例えば、エチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂、セルロース、ポリビニルアルコール、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、アスファルト、ゴムアスファルト等が挙げられる。
また、無機質結合材としては、例えば、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ等のコロイダル金属酸化物、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム等の水溶性ケイ酸アルカリ金属塩、ポルトランドセメント、アルミナセメント、酸性リン酸塩セメント、シリカセメント、高炉セメント等の各種セメント等が挙げられる。
(a−1)成分としては、これら有機質結合材、無機質結合材のうち1種または2種以上を混合して用いることができる。(a−1)成分としては、特に、有機質結合材が好適である。
【0011】
(a−2)成分は、主に、断熱性を付与する成分である。
(a−2)成分としては、例えば、中空セラミック粒子、中空樹脂粒子等が挙げられる。中空セラミック粒子を構成するセラミック成分としては、例えば、珪酸ソーダガラス、アルミ珪酸ガラス、硼珪酸ソーダガラス、フライアッシュ、アルミナ、シラス、黒曜石等が挙げられる。中空樹脂粒子を構成する樹脂成分としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル−スチレン共重合樹脂、アクリル−アクリロニトリル共重合樹脂、アクリル−スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、アクリロニトリル−メタアクリロニトリル共重合樹脂、アクリル−アクリロニトリル−メタアクリロニトリル共重合樹脂、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合樹脂等が挙げられる。中空粒子は、これらの成分を公知の方法で発泡させることにより得られる。
【0012】
(a−2)成分の平均粒子径は通常0.1〜200μm(好ましくは1〜150μm)程度である。また、(a−2)成分の密度は通常0.01〜1g/cm
3(好ましくは0.01〜0.8g/cm
3)程度である。(a−2)成分の形状は、特に限定されないが、真球状であるものが好適である。
【0013】
(a−2)成分の混合比率は、(a−1)成分の固形分100重量部に対し、通常1〜200重量部、好ましくは2〜100重量部である。(a−2)成分が、このような範囲である場合、断熱性と強度等が両立可能である。(a−2)成分が少なすぎる場合は、断熱性が不十分となりやすい。(a−2)成分が多すぎる場合は、強度等の被膜物性が低下するおそれがある。
【0014】
(a−3)成分は、熱伝導率が0.2〜50W/(m・K)の粉粒体である。この(a−3)成分は、膨れ、剥がれ等の被膜劣化を抑制する効果、及び温度上昇を抑制する効果に大きく寄与する成分である。
【0015】
(a−3)成分の作用機構は明確でないが、概ね以下のように推測できる。
通常、最表面で発生した熱は内部(断熱層側)へと伝わっていく。このとき、内部が断熱性の高い材料である場合、最表面で発生した熱が逃げ場を失い、表面側の被膜の劣化を引き起こすおそれがある。一方、内部が熱伝導性の高い材料である場合は、最表面で発生した熱が内側へと伝わってしまい、基材や屋内等の温度が上昇しやすくなる。特に、最表面が多色模様である場合、多色模様のうち最も明度の低い色相部位にて温度が上昇し、上述のような不具合が生じやすくなる。
これに対し、本発明では、(a−3)成分を高比率で用いることによって、断熱層内部に、空隙が多数形成される。また、断熱層内部には、(a−2)成分による中空部も形成される。一方、断熱層の表層部では、(a−3)成分が連結した形態となりやすくなる。
本発明では、このような断熱層の作用によって、装飾層から受ける熱が、断熱層表層部で効率よく移動・拡散され、内側方向には伝わり難くなる。そのため、被膜劣化を抑制する効果、温度上昇を抑制する効果等が奏されるものと考えられる。
【0016】
(a−3)成分の熱伝導率は、通常0.2〜50W/(m・K)であり、好ましくは0.5〜45W/(m・K)、より好ましくは1〜40W/(m・K)である。(a−3)成分の熱伝導率が小さすぎる場合は、断熱層表層部での熱移動・熱拡散が起こりにくく、膨れ、剥がれ等の発生の原因となるおそれがある。(a−3)成分の熱伝導率が大きすぎる場合は、断熱層の内側方向に熱が移動・拡散しやすく、熱が基材にまで伝わり、温度上昇を招くおそれがある。なお、熱伝導率は常温にて測定される。
(a−3)成分としては、上記熱伝導性を有する材料が使用できるが、具体的には、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等が挙げられる。
【0017】
さらに、本発明では、(a−3)成分のうち、熱伝導率が10〜30W/(m・K)である粉粒体が1重量%以上(より好ましくは2重量%以上、さらに好ましくは3重量%以上)含まれることが好ましい。このような粉粒体としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。
【0018】
(a−3)成分の比熱容量は、好ましくは1kJ/(kg・K)以下、より好ましくは0.8kJ/(kg・K)以下、さらに好ましくは0.6kJ/(kg・K)以下)である。
【0019】
(a−3)成分の平均粒子径は、好ましくは0.1〜800μm、より好ましくは0.3〜500μm程度である。
さらに、本発明では、(a−3)成分のうち、平均粒子径が0.1〜50μmである粉粒体が1重量%以上(より好ましくは2重量%以上、さらに好ましくは3重量%以上)含まれることにより、本発明の効果をよりいっそう高めることができる。
【0020】
(a−3)成分の混合比率は、(a−1)成分の固形分100重量部に対し、通常450〜1500重量部、好ましくは480〜1300重量部、より好ましくは500〜1200重量部である。(a−3)成分が少なすぎる場合は、被膜劣化が生じやすく、また温度上昇抑制効果が得られ難くなる。(a−3)成分が多すぎる場合は、断熱層の強度等において実用的な性能が得られ難くなる。
【0021】
本発明における断熱層は、上記成分以外に、本発明の効果を阻害しない程度に、必要に応じその他の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、着色顔料、体質顔料、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、希釈剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、繊維、触媒、架橋剤等が挙げられる。
本発明における断熱層は、上述の成分を均一に混合して得られる断熱組成物によって形成することができる。
【0022】
−装飾層−
本発明積層体における装飾層は、装飾性被覆材によって多色模様が形成されたものである。このような装飾性被覆材としては、多色模様が形成可能なものであれば、特に制限されず使用することができる。なお、ここに言う多色模様とは、少なくとも2色以上の色彩が視認可能な状態で混在する模様のことである。
【0023】
装飾性被覆材の具体例としては、(1)石材調仕上塗材、(2)JIS K5667の多彩模様塗料等が挙げられる。
【0024】
(1)石材調仕上塗材
石材調仕上塗材は、骨材の発色によって多色模様が形成可能な塗材であり、構成成分として合成樹脂エマルション及び骨材を必須成分とする塗材である。このうち、合成樹脂エマルションとしては、例えば酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合系等を挙げることができる。
【0025】
骨材としては、通常、平均粒子径0.05〜5mmの骨材を使用する。かかる骨材としては、自然石、自然石の粉砕物等の天然骨材、及び着色骨材等の人工骨材から選ばれる少なくとも1種以上を好適に使用することができる。具体的には、例えば、大理石、御影石、蛇紋岩、花崗岩、蛍石、寒水石、長石、石灰石、珪石、珪砂、砕石、雲母、珪質頁岩、及びこれらの粉砕物、陶磁器粉砕物、セラミック粉砕物、ガラス粉砕物、ガラスビーズ、樹脂粉砕物、樹脂ビーズ、ゴム粒、金属粒等が挙げられる。また、貝殻、珊瑚、木材、炭、活性炭等の粉砕物を使用することもできる。さらに、これらの表面を、顔料、染料、釉薬等で表面処理を行うことにより着色コーティングしたもの等も使用できる。このような骨材の2種以上を適宜組み合せて使用することにより、種々の多色模様を表出することができる。
骨材は、合成樹脂エマルションの固形分100重量部に対し、好ましくは100〜4000重量部、より好ましくは150〜3000重量部、さらに好ましくは200〜2000重量部の比率で混合する。骨材の混合比率がこのような範囲内であれば、形成被膜の意匠性、ひび割れ防止性等の点において好適である。
【0026】
石材調仕上塗材は、上記以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、着色顔料、体質顔料、繊維、造膜助剤、可塑剤、凍結防止剤、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、消泡剤、顔料分散剤、増粘剤、レベリング剤、湿潤剤、pH調整剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、触媒、架橋剤等が挙げられる。
【0027】
(2)多彩模様塗料
多彩模様塗料は、液状またはゲル状の2色以上の色粒が分散媒に懸濁したものである。これらは水中油型(O/W型)、油中水型(W/O型)、油中油型(O/O型)、水中水型(W/W型)に分類することができる。このうち、水中油型(O/W型)及び水中水型(W/W型)の多彩模様塗料については、いずれも分散媒が水性であり、環境面等において好ましいものである。
【0028】
多彩模様塗料における色粒は、樹脂と着色剤、及び必要に応じ各種添加剤等を含む着色塗料が、分散媒中に粒状に分散されたものである。
着色塗料中の樹脂としては、塗料のビヒクルとして作用するものであればよく、公知の樹脂を特に制限なく使用することができる。このような樹脂としては、例えば、アクリル、ウレタン、酢酸ビニル、アクリル酢酸ビニル、アクリルウレタン、アクリルシリコン、フッ素、ポリビニルアルコール、バイオガム、ガラクトマンナン誘導体、アルギン酸誘導体、セルロース誘導体等が挙げられる。これら樹脂の形態は、溶剤可溶型樹脂、非水分散型樹脂、水溶性樹脂、水分散性樹脂等のいずれであってもよい。また、これら樹脂は、硬化剤や硬化触媒によって架橋可能な官能基を有するものであってもよい。
【0029】
なお、上記樹脂が溶剤可溶型樹脂及び/または非水分散型樹脂である場合は、溶剤型着色塗料が得られ、これを水性分散媒に分散させると水中油型(O/W型)の多彩模様塗料となる。また、上記樹脂が水溶性樹脂及び/または水分散性樹脂である場合は、水性着色塗料が得られ、これを水性分散媒に分散させると水中水型(W/W型)の多彩模様塗料となる。
【0030】
着色塗料中の着色剤としては、一般的に塗料に配合可能なものを使用することができる。具体的には、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、黒色酸化鉄、銅クロムブラック、コバルトブラック、銅マンガン鉄ブラック、べんがら、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、パーマネントカーミン、アントラキノンレッド、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、ベンツイミダゾロンイエロー、クロムグリーン、コバルトグリーン、フタロシアニングリーン、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット、アルミニウム顔料、パール顔料等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
【0031】
着色塗料においては、公知の塗料用添加剤を適宜使用することができる。このような添加剤としては、例えば、粘性調整剤、架橋剤、触媒、充填剤、繊維類、顔料分散剤、造膜助剤、凍結防止剤、乾燥調整剤、可塑剤、艶消剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、防黴剤、防腐剤等が挙げられる。
【0032】
着色塗料を粒状に分散させる方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。
色粒の粒子径や形状は、適宜設定することができる。具体的には、製造時における攪拌羽根の形状、攪拌槽に対する攪拌羽根の大きさや位置、攪拌羽根の回転速度、着色塗料の粘性、分散安定剤の添加方法や濃度、水性分散媒の粘性等を適宜選択・調整すればよい。
色粒の粒子径は、特に限定されないが、通常0.01〜10mm(好ましくは0.1〜5mm)程度である。
【0033】
本発明における多彩模様塗料としては、骨材を含むものも使用できる。骨材を含む多彩模様塗料の使用は、本発明の効果向上化の点で好適である。骨材としては、石材調仕上塗材で例示したものと同様のものが使用できる。この中でもガラス質骨材が好適である。このような骨材の平均粒子径は、好ましくは0.05〜2mm、より好ましくは0.1〜1mm程度である。骨材の混合比率は、多彩模様塗料中に好ましくは3〜50重量%、より好ましくは5〜40重量%程度である。
【0034】
―積層体―
本発明の積層体は、上記断熱層、装飾層が積層されたものであり、建築物における外壁、屋根、屋上等の基材に対して適用できる。このような基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、繊維混入セメント板、セメント珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、ALC板、サイディング板、石膏ボード、磁器タイル、木材、合板、有機フォーム板、押出成形板、金属板等が挙げられる。このような基材に本発明積層体を適用することにより、基材の上に、断熱層、及び装飾層が順に積層された形態となる。
【0035】
上述のような基材上に、本発明積層体を適用する際には、公知の方法を用いればよい。例えば、
(1)基材に断熱組成物を塗装後、装飾性被覆材を塗装する方法
(2)予め断熱層・装飾層からなる積層体を製造しておき、該積層体を基材に貼着する方法
等の方法を採用することができる。
上記(1)において、断熱組成物、装飾性被覆材を塗装する方法としては、刷毛、ローラー、こて、スプレーガン等の塗装器具を使用すればよい。上記(2)における積層体の製造は、公知の方法を採用することができる。また、上記(2)において、積層体を基材に貼着する際には、公知の接着剤、粘着剤等を用いて貼着すればよい。
【0036】
本発明積層体では、必要に応じ、断熱層と装飾層の間に、シーラー、プライマー等による処理層等を設けることができる。積層体の断熱層側ないし内部には、各種補強材を設けることができる。このような補強材としては、例えば、織布、不織布、合成紙、ガラス繊維、ポリエステル繊維、ビニロン繊維、セラミックペーパー、ガラスクロス、メッシュ等が挙げられる。また、装飾層の上には、装飾性の美観性を阻害しない範囲内で、透明保護層等を設けることもできる。
【0037】
本発明積層体の厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.5〜30mm、より好ましくは0.8〜20mm程度である。このうち、断熱層の厚さは、好ましくは0.4〜25mm、より好ましくは1〜20mm程度である。装飾層の厚さは、好ましくは0.1〜3mm、より好ましくは0.2〜2mm程度である。
【実施例】
【0038】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0039】
(1)断熱組成物の製造
表1に示す配合にて、各原料を常法で均一に混合し、断熱組成物を得た。なお、断熱組成物の製造においては、以下の原料を使用した。
・結合材1:アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%、ガラス転移温度30℃)
・中空粒子1:閉気泡型中空樹脂ビーズ(アクリル−アクリロニトリル共重合樹脂、平均粒子径45μm、密度0.025g/cm
3)
・中空粒子2:真球状ガラスバルーン(平均粒子径40μm、密度0.45g/cm
3)
・粉粒体1:酸化亜鉛粒子(平均粒子径0.3μm、熱伝導率21W/(m・K))
・粉粒体2:酸化亜鉛粒子(平均粒子径11μm、熱伝導率21W/(m・K))
・粉粒体3:酸化チタン粒子(平均粒子径0.3μm、熱伝導率13W/(m・K))
・粉粒体4:酸化チタン粒子(平均粒子径0.5μm、熱伝導率13W/(m・K))
・粉粒体5:炭酸カルシウム粒子(平均粒子径30μm、熱伝導率5W/(m・K))
・粉粒体6:炭酸カルシウム粒子(平均粒子径100μm、熱伝導率5W/(m・K))
・粉粒体7:アルミニウム粒子(平均粒子径20μm、熱伝導率214W/(m・K))
・添加剤:消泡剤、分散剤等
【0040】
(2)装飾性被覆材の製造
(多彩模様塗料1の製造)
・黒色粒子分散液1
まず、容器内にアクリル樹脂エマルションを85.0重量部仕込み、攪拌羽根の回転速度を1800rpmとして攪拌を行いながら、造膜助剤8.3重量部、水5.7重量部、ゲル化剤として硫酸アルミニウム0.5重量部、消泡剤0.5重量部を均一に混合することにより、水性分散媒1を製造した。
次に、別の容器内にアクリル樹脂エマルションを40.0重量部仕込み、攪拌羽根の回転速度を1800rpmとして攪拌を行いながら、造膜助剤4.0重量部、黒色酸化鉄50重量%分散液12.0重量部、ゲル形成物質としてカルボキシメチルセルロース2重量%水溶液43.5重量部、消泡剤0.5重量部を均一に混合することにより黒色水性塗料1を製造した。
上述の水性分散媒1(100重量部)に対し、黒色水性塗料1を100重量部加えて分散(攪拌羽根の回転速度;600rpm)することにより、粒径約2mmの黒色粒子が分散した黒色粒子分散液1を得た。
【0041】
・褐色粒子分散液1
容器内にアクリル樹脂エマルションを40.0重量部を仕込み、攪拌羽根の回転速度を1800rpmとして攪拌を行いながら、造膜助剤4.0重量部、酸化チタン60重量%分散液3.5重量部、黄色酸化鉄60重量%分散液11.5重量部、黒色酸化鉄50重量%分散液0.2重量部、弁柄60重量%分散液1.5重量部、ゲル形成物質としてカルボキシメチルセルロース2重量%水溶液43.5重量部、消泡剤0.5重量部を均一に混合することにより褐色水性塗料1を製造した。
上述の水性分散媒1(100重量部)に対し、褐色水性塗料1を100重量部加えて分散(攪拌羽根の回転速度;1600rpm)することにより、粒径約1mmの褐色粒子が分散した褐色粒子分散液1を得た。
【0042】
以上の方法で得られた黒色粒子分散液1と褐色粒子分散液1とを3:7の重量比率にて混合することにより、多彩模様塗料1を得た。
【0043】
(多彩模様塗料2の製造)
上記方法で得られた多彩模様塗料1の100重量部に対し、ガラス質骨材(ガラス粉粒体、平均粒子径0.5mm)22重量部を均一に混合し、多彩模様塗料2を得た。この多彩模様塗料2におけるガラス質骨材の比率は18重量%である。
【0044】
(試験例1)
ガラス不織布の上に、表1に示す断熱組成物1を、乾燥膜厚が約2.0mmとなるように塗付し、温度50℃下で1時間硬化させた。次に、多彩模様塗料1を、乾燥膜厚が約0.5mmとなるように塗付し、温度50℃下で1時間硬化させ、積層体(300mm×150mm×2.5mm)を得た。
【0045】
(試験1)
スレート板(300mm×150mm)の上に、接着剤を介して積層体を貼り付け、試験体を得た。この試験体の装飾層に対し、赤外線ランプ(出力250W)を40cmの距離から照射し、試験体裏面の温度を測定した。評価は、温度が65℃未満であったものを「A」、65℃以上70℃未満であったものを「B」、70℃以上75℃未満であったものを「C」、75℃以上であったものを「D」とした。
【0046】
(試験2)
試験1と同様の方法で得られた試験体について、赤外線ランプ(出力250W)を60cmの距離から8時間照射した後、23℃の水に16時間浸漬するサイクルを、合計10サイクル行った後、その外観変化を目視にて観察した。評価は、異常(膨れ、剥れ、浮き等)が認められなかったものを「A」、一部に異常が認められたものを「B」、明らかに異常が認められたものを「C」として行った。
【0047】
(試験例2〜10)
断熱組成物、装飾性被覆材として、表2に示すものをそれぞれ使用した以外は、実施例1と同様の方法で積層体を作製し、実施例1と同様の試験を行った。
【0048】
(試験結果)
試験結果を表2に示す。試験例1〜7は概ね良好な結果を示した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】