(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ロック装置は、内扉が、前記第1角度よりも大きい所定の第2角度に開いた状態から第2の内扉ヒンジ部の閉状態に達するまで、内扉の第1の内扉ヒンジ部を介しての閉方向への回動動作を阻止する閉動作時ロック機構を有することを特徴とする請求項1または2に記載の自動販売機の内扉の取付構造。
ロック装置は、第1の内扉ヒンジ部に回動可能に取り付けられたロックレバーと、支持連結部から内扉の一端面側に延びる姿勢で取り付けられたロックプレートと、内扉に取り付けられた被係合部とを備えており、
内扉が閉状態から第1の内扉ヒンジ部による前記第1角度に開いた状態に達するまでは、ロックプレートが被係合部に係合することで、内扉の第2の内扉ヒンジ部を介しての開方向への回動動作が阻止される一方、内扉が第1の内扉ヒンジ部による前記第1角度に開いた状態に達すると、ロックレバーによりロックプレートが、被係合部から離脱するロック解除位置まで移動されて、内扉の第2の内扉ヒンジ部を介しての開方向への回動動作が許容されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の自動販売機の内扉の取付構造。
【背景技術】
【0002】
図20、
図21に示すように、自動販売機は、前面が開口した略箱型の自動販売機本体101と、この自動販売機本体1の前面開口部を開閉する外扉102とを備えている。また、いわゆるホット商品やコールド商品などの調温された商品を販売する自動販売機では、商品を収納する商品収納部103内を調温するため、商品収納部103をなす商品収納庫108が断熱構造とされており、商品収納庫108の前面開口部を開閉する内扉104が、外扉102と同じ向きに開閉するように取り付けられている。なお、商品収納庫108(商品収納部103)は、一般的には自動販売機本体101の上部から中央部などにかけて配設されており、商品収納庫108の天面部や背面部、両側面部は、自動販売機本体101の天面部や、背面部および側面部の上部から中央部にかけての外殻部分と兼用(共通化)されている。
【0003】
商品収納部103には複数列の商品ストッカ105が商品補充などのために前後方向にスライド可能な状態で、横並びに配設されている。ここで、
図20、
図21における、106は外扉102を自動販売機本体101の一端部に開閉自在に取り付けるための外扉ヒンジ装置、107は内扉104を開閉自在に支持するための内扉ヒンジ装置であり、外扉102は外扉ヒンジ装置106に設けられた外扉ヒンジ軸106aを中心に開閉自在に支持され、また、内扉104は内扉ヒンジ装置107に設けられた内扉ヒンジ軸107aを中心に開閉自在に支持されている。
【0004】
ところで、自動販売機の設置場所によっては、自動販売機本体101における、外扉ヒンジ装置106や内扉ヒンジ装置107が設けられている側の側面(
図20、
図21においては左側面)に近接して、壁110などの固定障害物がある場合がある。この場合、従来の自動販売機では、
図20に示すように、外扉102は約90度の角度まで開けられるが、内扉104は、
図21に示すように、外扉102が干渉して、90度よりも小さい角度しか開けることができず、その結果、内扉ヒンジ装置107寄りの商品ストッカ105を手前に引き出すことができなくなって、商品の補充ができなくなる不具合が発生していた。
【0005】
このような不具合に対処可能な自動販売機が、例えば特許文献1に記載されている。この自動販売機は、
図22、
図23に示すように、内扉114が、内扉ヒンジ装置117に寄った箇所(詳しくは
図23に示すように、外扉112が約90度の角度まで開けられた際に、外扉112における外扉ヒンジ装置116が設けられている側の内側角部に近接する内扉114の箇所)で左右に分割されて、この分割部118に連結ヒンジ装置119が形成されている。そして、この構成により、
図23に示すように、外扉112が約90度の角度まで開けられた際でも、内扉114が、連結ヒンジ装置119を中心として、外扉112の内面に沿う姿勢に屈曲できるようになっている。この結果、自動販売機本体111における、外扉ヒンジ装置116や内扉ヒンジ装置117が設けられている側の側面(
図22、
図23においては左側面)に近接して、壁などの固定物がある場合でも、内扉114を、ほぼ90度に近い角度まで開けることができて、内扉ヒンジ装置117寄りの商品ストッカでも手前に引き出すことができて、商品の補充を支障なく行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、
図22、
図23に示す構造の自動販売機では、内扉114を開閉する際に、内扉ヒンジ装置117と連結ヒンジ装置119との2つのヒンジ部分において同時に自由に回動自在であるので、内扉114の姿勢がふらつくことがある。したがって、内扉114の回動時の姿勢が不安定となるおそれがある。
【0008】
本発明は上記課題を解決するもので、自動販売機の外扉ヒンジ装置が設けられている側の側面に近接して壁などの固定障害物が存在する場合でも、外扉だけでなく内扉も大きく開くことができ、しかも、内扉を開閉する際に内扉を安定した状態で開けることができる自動販売機の内扉取付構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、自動販売機本体に、商品を収納する商品収納部を形成する商品収納庫が設けられ、自動販売機本体の前面開口部を開閉する外扉と、商品収納庫の前面開口部を開閉する内扉とを有する自動販売機における、内扉の取付構造であって、自動販売機本体の側面部近傍に設けられた第1の内扉ヒンジ部と、その一端部が、前記第1の内扉ヒンジ部を介して前記自動販売機本体に回動自在に取り付けられた支持連結部と、前記支持連結部の他端部に連結され
、前記内扉を前記支持連結部に対して回動自在に取り付ける第2の内扉ヒンジ部と、第1の内扉ヒンジ部または第2の内扉ヒンジ部により回動することを阻止するようにロックするロック装置とを備え、内扉を開け始めた際には、第2の内扉ヒンジ部が前記ロック装置によりロックされており、第1の内扉ヒンジ部だけを介して内扉が開方向に回動され、第1の内扉ヒンジ部を介して内扉が所定の第1角度に開いた際に、前記ロック装置のロックが解除されて、第2の内扉ヒンジ部を介して内扉が開方向に回動されるよう構成されていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、第1の内扉ヒンジ部と第2の内扉ヒンジ部とによって内扉が開閉されることになるが、常に第1の内扉ヒンジ部と第2の内扉ヒンジ部との何れか一方のヒンジ軸を中心として回動するので、第1の内扉ヒンジ部と第2の内扉ヒンジ部との両方のヒンジ軸を同時に回動中心として内扉が回動する場合のように内扉の姿勢がふらつくことがない。したがって、内扉の回動時の姿勢が安定して、良好に開閉動作を行うことができる。
【0011】
また、本発明は、第1の内扉ヒンジ部のヒンジ軸が、内扉の一端部よりも前方の箇所に配設されていることを特徴とする。この構成によれば、第1の内扉ヒンジ部のヒンジ軸が内扉の一端部の箇所に設けられている場合と比較して、内扉を開方向に回動させた際に、内扉が前方寄りに移動するため、自動販売機本体内を大きく開けることができて、操作性が向上する。
【0012】
また、本発明のロック装置は、内扉が前記第1角度よりも大きい所定の第2角度に開いた状態から第2の内扉ヒンジ部の閉状態に達するまで、内扉の第1の内扉ヒンジ部を介しての閉方向への回動動作を阻止する閉動作時ロック機構を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明のロック装置は、第1の内扉ヒンジ部に回動可能に取り付けられたロックレバーと、支持連結部から内扉の一端面側に延びる姿勢で取り付けられたロックプレートと、内扉に取り付けられた被係合部とを備えており、内扉が閉状態から第1の内扉ヒンジ部による前記第1角度に開いた状態に達するまでは、ロックプレートが被係合部に係合することで、内扉の第2の内扉ヒンジ部を介しての開方向への回動動作が阻止される一方、内扉が第1の内扉ヒンジ部による前記第1角度に開いた状態に達すると、ロックレバーによりロックプレートが、被係合部から離脱するロック解除位置まで移動されて、内扉の第2の内扉ヒンジ部を介しての開方向への回動動作が許容されることを特徴とする。
【0014】
この構成により、内扉を開ける際に、まず、第1の内扉ヒンジ部のみによって開方向に回動でき、第1の内扉ヒンジ部を介して内扉が前記第1角度に開いた際に、第2の内扉ヒンジ部を介して内扉を開方向に回動させて、大きく開いた状態にすることができる。
【0015】
また、本発明は、第2の内扉ヒンジ部に、内扉が第1の内扉ヒンジ部および第2の内扉ヒンジ部を介して前記第2角度に全開いた状態に達すると、ロックレバーが嵌まり込む窪み部が形成され、前記内扉側に、第2の内扉ヒンジ部を介して内扉が前記第1角度まで閉じた際に、ロックレバーを、前記窪み部から離脱方向に押圧されて離脱させる突部を形成したことを特徴とする。
【0016】
この構成により、内扉が前記第2角度に開いた状態に達すると、ロックレバーが、第2の内扉ヒンジ部に設けた窪み部に嵌まり込んで第2の内扉ヒンジ部の第2のヒンジ軸側への移動が阻止されて、内扉の閉方向への移動時における第1の内扉ヒンジ部による回動が禁止される。そして、第2の内扉ヒンジ部を介して内扉が前記第1角度まで閉じられた際に、内扉側に取り付けられた突部によりロックレバーが、前記窪み部から離脱方向に押圧されて離脱することにより、第1の内扉ヒンジ部を介して内扉が閉方向に回動されることが許容される。これにより、内扉を閉じる際に、まず、第2の内扉ヒンジ部のみによって閉方向に回動でき、第2の内扉ヒンジ部を介して内扉が前記第1角度まで閉じられた際に、第1の内扉ヒンジ部を介して内扉を閉方向に回動させて、全閉状態にすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、2つのヒンジ装置によって内扉が開閉されることになるが、第1の内扉ヒンジ部と第2の内扉ヒンジ部との何れか一方のヒンジ軸を中心として回動するので、開閉時に内扉の姿勢がふらつくことがなく、内扉に対する操作性も良好となる。
【0018】
また、内扉を回動可能に支持する第1の内扉ヒンジ部のヒンジ軸を、内扉の一端部よりも前方の箇所に配設することで、内扉を開方向に回動させた際に、内扉が前方寄りに移動するため、自動販売機本体内を大きくあけることができて、操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態に係る自動販売機の全体斜視図である。
【
図2】同自動販売機を左上前方から見た斜視図(内扉を閉じた状態)である。
【
図3】同自動販売機の内扉ヒンジ装置を左上前方から見た全体斜視図(内扉を閉じた状態)である。
【
図4】同自動販売機の内扉ヒンジ装置の上部を左上前方から見た拡大斜視図(内扉を閉じた状態)である。
【
図5】同自動販売機の内扉ヒンジ装置の下部を左上前方から見た拡大斜視図(内扉を閉じた状態)である。
【
図6】同自動販売機を左上前方から見た斜視図(内扉を開けた状態)である。
【
図7】同自動販売機を右上前方から見た斜視図(内扉を開けた状態)である。
【
図8】同自動販売機の内扉ヒンジ装置の上部の拡大斜視図(内扉を開けた状態)である。
【
図9】同自動販売機の内扉ヒンジ装置の下部の拡大斜視図(内扉を開けた状態)である。
【
図10】同自動販売機の要部平面図(内扉を閉じた状態)である。
【
図11】同自動販売機の要部拡大斜視図(内扉を閉じた状態)である。
【
図12】同自動販売機の要部平面図(内扉を開け始めた状態)である。
【
図13】同自動販売機の要部拡大斜視図(内扉を開け始めた状態)である。
【
図14】同自動販売機の要部拡大斜視図(内扉を開けている途中の状態)である。
【
図15】同自動販売機の要部平面図(内扉を第1の内扉ヒンジ軸を介して第1角度に開けた状態)である。
【
図16】同自動販売機の要部拡大斜視図(内扉を第1の内扉ヒンジ軸を介して第1角度に開けた状態)である。
【
図17】同自動販売機の要部平面図(内扉を第2角度に開けた状態)である。
【
図18】同自動販売機の要部拡大斜視図(内扉を第2角度に開けた状態)である。
【
図19】同自動販売機の要部拡大斜視図(内扉を閉じている途中の状態)である。
【
図20】従来の自動販売機の平面図(外扉を開けた状態)である。
【
図21】同従来の自動販売機の平面図(外扉と内扉とを開けた状態)である。
【
図22】他の従来の自動販売機の正面図(外扉は省いている)である。
【
図23】同他の従来の自動販売機の要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態に係る自動販売機を、図面に基づき説明する。なお、ここで示す実施の形態はあくまでも一例であって、必ずしもこの実施の形態に限定されるものではない。また、以下の説明における左右方向とは自動販売機に対向した状態で左右となる方向を言い、内扉の左右方向とは原則的に内扉を閉じた状態での左右方向を言う。
【0021】
図1、
図2、
図6、
図7に示すように、本発明の実施の形態に係る自動販売機1は、前面が開口した略箱型の自動販売機本体2と、この自動販売機本体2の前面開口部を開閉する外扉3とを備えている。自動販売機本体2には、商品を収納する商品収納部(いわゆる庫内)4を断熱的に形成する商品収納庫5が設けられており、商品収納部4内は冷凍サイクルの熱交換器などにより内部空気が冷却または加温されて、いわゆるコールド商品やホット商品などの調温された商品を当該自動販売機1で販売するよう構成されている。商品収納庫5の前面開口部は、断熱機能を有する内扉10により開閉され、この内扉10は、外扉3と同じ向きに(この実施の形態では右向きに)開閉するように取り付けられている。また、
図2、
図6に示すように、本発明の実施の形態に係る自動販売機1は、後述する外扉ヒンジ装置7や内扉ヒンジ装置11が設けられている側である自動販売機1の左右一側方(この実施の形態に係る自動販売機1では、右側方)に壁50などの固定障害物が存在する場所にも据え付け可能に構成されている。
【0022】
商品収納部4は、自動販売機本体2の上部から中央部などにかけて配設されており、商品収納庫5の天面部や背面部、両側面部は、自動販売機本体2の天面部や、背面部および側面部の上部から中央部にかけての外殻部分と、兼用(共通化)されている。商品収納部4には、複数列の商品ストッカ6が商品補充などのために、スライドレール8(
図1参照)などのスライド機構を介して、自動販売機本体2内に収容された収納位置から自動販売機本体2から手前に引き出された引き出し姿勢にわたって、前後方向に個別にスライド可能な状態で横並びに配設されている。なお、
図1における9aは外扉3の下部に形成された商品取出口、9bは内扉10の下部に形成された商品出口で、商品出口9bには断熱扉(図示せず)が開閉自在に配設されている。
【0023】
図1、
図2、
図6、
図7に示すように、外扉3は、外扉ヒンジ装置7に設けられた上下一対の外扉ヒンジ軸7aを中心に開閉自在に支持されている。この実施の形態では、下の外扉ヒンジ軸7aは、自動販売機本体2の底面部から上方に延びる姿勢で配設され、上の外扉ヒンジ軸7aは、自動販売機本体2の天面部前縁一端から前方に突出する姿勢で固定されたヒンジ板7bから下方に延びる姿勢で配設されている。なお、
図6に示すように、外扉3を約90度開いた場合には、外扉3の外表面と自動販売機本体2の一側面(この実施の形態では右側面)とが略同一面状となるように構成されている。
【0024】
図1〜
図9に示すように、内扉10は、内扉ヒンジ装置11により、商品収納庫5の前面開口部を開閉自在な姿勢で支持されている。ここで、
図2、
図6、
図7などは、それぞれ、内扉10の取付構造がわかるように、外扉3を取り外した状態の、自動販売機本体2、断熱庫5および内扉10などの斜視図であり、
図2〜
図5は内扉10を閉じた状態を示し、
図6〜
図9は内扉10を開けた状態を示す。また、
図2、
図6はそれぞれ左上前方から見た自動販売機1の斜視図、
図7は右上前方から見た自動販売機1の斜視図、
図3は内扉10を開閉自在に支持する内扉ヒンジ装置11の全体斜視図、
図4、
図8はそれぞれ、内扉ヒンジ装置11の上部の拡大斜視図、
図5、
図9はそれぞれ、内扉ヒンジ装置11の下部の拡大斜視図である。
【0025】
図2、
図3などに示すように、内扉ヒンジ装置11は、自動販売機本体2の一側面部(この実施の形態では右側面部)近傍に設けられた第1の内扉ヒンジ部12と、その一端部が第1の内扉ヒンジ部12を介して自動販売機本体2に回動自在に取り付けられた支持連結部13と、支持連結部13の他端部に連結された第2の内扉ヒンジ部14と、第1の内扉ヒンジ部12または第2の内扉ヒンジ部14により回動することを阻止するようにロックするロック装置15とを備えている。
【0026】
図3〜
図5、
図8、
図9などに示すように、第1の内扉ヒンジ部12は、自動販売機本体2の一側面(この実施の形態では右側面)2aに設けられた補強側面枠2bの上部に取り付けられた本体側上支持部材16と、本体側上支持部材16の上部と下部とにそれぞれ形成された水平片部16aに通された第1の内扉ヒンジ上軸17Aと、補強側面枠2bの下部に取り付けられた本体側下支持部材18と、本体側下支持部材18の上部と下部とにそれぞれ形成された水平片部18aに通された第1の内扉ヒンジ下軸17Bとを有している。そして、第1の内扉ヒンジ上軸17Aと第1の内扉ヒンジ下軸17Bとからなる第1の内扉ヒンジ軸17を中心として、支持連結部13を回動自在に支持する。ここで、第1の内扉ヒンジ上軸17Aと第1の内扉ヒンジ下軸17Bとからなる第1の内扉ヒンジ軸17は、内扉10の一端部(この実施の形態では右端部)よりも(より詳しくは閉状態の内扉10の右端部よりも)前方の箇所に配設されている。
【0027】
支持連結部13は、第1の内扉ヒンジ上軸17Aにより回転自在に取り付けられた支持連結上部材19と、第1の内扉ヒンジ下軸17Bにより回転自在に取り付けられた支持連結下部材20と、これらの支持連結上部材19と支持連結下部材20とに渡って上下につなぐように取り付けられた支持連結中間部材21とを有し、支持連結上部材19と支持連結下部材20とは、何れも平面視して略L字形状とされている。そして、支持連結上部材19の、内扉10が閉じられた状態で前後方向に延びる部分(第1板部19cと称す)の上部と下部とから水平に延びる水平片部19aに第1の内扉ヒンジ上軸17Aが通され、また、支持連結下部材20の、内扉10が閉じられた状態で前後方向に延びる部分の上部と下部とから水平に延びる水平片部20aに第1の内扉ヒンジ下軸17Bが通されることで、支持連結部13が第1の内扉ヒンジ軸17を中心として回動可能な姿勢で連結されている。また、支持連結上部材19の、内扉10が閉じられた状態で横方向に延びる部分(第2板部19dと称す)の上部と下部とには水平に延びる水平片部19bが形成され、支持連結下部材20の、内扉10が閉じられた状態で横方向に延びる部分の上部と下部とには水平に延びる水平片部20bが形成されており、支持連結上部材19の水平片部19bには、後述する第2の内扉ヒンジ部14の第2の内扉ヒンジ上軸23Aが挿通され、支持連結下部材20の水平片部20bには、後述する第2の内扉ヒンジ部14の第2の内扉ヒンジ下軸23Bが挿通されている。
【0028】
第2の内扉ヒンジ部14は、平面視して、内扉10の一端部から内扉10の外表面部に沿って延びるように、内扉10の一端部の上部に取り付けられた内扉側上支持部材22と、内扉側上支持部材22の上部と下部とにそれぞれ形成された水平片部22aに通された第2の内扉ヒンジ上軸23Aと、平面視して、内扉10の一端部から内扉10の外表面部に沿って延びるように、内扉10の一端部の下部に取り付けられた内扉側下支持部材24と、内扉側下支持部材24の下部に形成された水平片部24aに通された第2の内扉ヒンジ下軸23Bとを有している。そして、上記したように、第2の内扉ヒンジ上軸23Aには、支持連結上部材19の水平片部19bが挿通されて連結され、第2の内扉ヒンジ下軸23Bには、支持連結下部材20の水平片部20bが挿通されて連結され、これにより、支持連結部13が、第2の内扉ヒンジ上軸23Aと第2の内扉ヒンジ下軸23Bとからなる第2の内扉ヒンジ軸23を中心として、内扉10を回動自在に支持している。
【0029】
図11、
図13、
図15、
図16、
図18、
図19などに示すように、ロック装置15は、第1の内扉ヒンジ部12における本体側上支持部材16の裏面側に取り付けられたロックレバー支持用部材25により、第1の内扉ヒンジ上軸17Aの後方箇所において、第1の内扉ヒンジ上軸17Aと平行に配設された一端側の突軸26aを中心に回動可能に取り付けられたロックレバー26と、基端部がロックレバー26に固定され、先端部が支持連結上部材19における第2板部19d(
図4参照)の裏面に当接されて、ロックレバー26の先端部を内扉側上支持部材22に接近する方向に付勢する板ばねからなる押圧部材29と、支持連結部13の支持連結上部材19における第1板部19c(
図4参照)の裏面(第1の内扉ヒンジ上軸17Aに臨む面)にその基端部側がねじ27で固定され、内扉10の一端面(右端面)側に先端部が延びる姿勢で取り付けられた弾性変形可能なロックプレート28と、内扉側上支持部材22に形成され、その先端部が内扉10の右端面からさらに右側方に突出して、ロックプレート28と係合可能な被係合部22b(
図15、
図16参照)などを備えている。そして、これらの構成要素(ロックレバー26、ロックプレート28、被係合部22など)で、内扉10が閉状態から第1の内扉ヒンジ部12による所定の角度(第1角度と称す)に開いた状態に達するまで、内扉10の第2の内扉ヒンジ部14を介しての開方向への回動動作を阻止する開動作時ロック機構を構成している。なお、
図11、
図13、
図15、
図16、
図18、
図19では、ロック装置15の構造がわかりやすいように、内扉側上支持部材22や支持連結中間部材21の前側部分を省いた状態で示している。
【0030】
詳しくは、ロックプレート28には中央部から先端部寄り部分にかけて、略角形の窓部28aが形成され、この窓部28aにおける基端部寄り箇所でロックレバー26が挿通されているとともに、窓部28aにおける先端部寄り箇所に、内扉側上支持部材22の被係合部22bが、内扉10の閉状態時では突入されており、ロックプレート28と係合されている。そして、
図10、
図12、
図15に示すように、内扉10が閉状態時から、第1の内扉ヒンジ部12を介して内扉10が前記第1角度に開くまでの間は、ロックプレート28が内扉側上支持部材22の被係合部22bに係合することで、内扉10が第2の内扉ヒンジ部14を介して開方向へ回動することが阻止されてロックされている。
【0031】
また、ロックレバー26は、先端部側ほど上下に順に広幅となる2つの段付部を有し、突軸26aが設けられている基端部側の細幅部26bと、この細幅部26bよりも広幅の中間幅部26cと、この中間幅部26cよりもさらに広幅の広幅部26dとが形成されている。ここで、ロックレバー26は、ロックプレート28の窓部28aに、細幅部26bで挿通されており、ロックプレート28の窓部28aは、ロックレバー26の中間幅部26cは通さない寸法に形成されている。したがって、
図14〜
図16に示すように、内扉10が第1の内扉ヒンジ部12を介してある程度開けられると、ロックレバー26の細幅部26bから中間幅部26cへ広がる段付部が、ロックプレート28の窓部28aよりも上方部分と下方部分とに係合し、
図15、
図16に示すように、ロックプレート28の中間部が内扉10の一端面(右側面)から離反する方向に弾性変形する。そして、内扉10が第1の内扉ヒンジ部12を介して前記第1角度に開いた状態となると、ロックプレート28の先端部が、内扉側上支持部材22の被係合部22bから離脱する位置まで変形されてロック解除されるため、この状態からは、内扉10が第2の内扉ヒンジ部14を介して開くことを許容する。
【0032】
また、
図11、
図13などに示すように、支持連結中間部材21における上部は、内扉側上支持部材22に対向する位置まで上方に延設されているが、この支持連結中間部材21の上部においては、横長の角孔21aが上下に2箇所形成されている。この角孔21aに対応して、内扉側上支持部材22には、前方に突出して角孔21aに突入可能な突部22cが上下に2箇所形成されている。また、支持連結中間部材21の上部における内扉側上支持部材22に対向する箇所の裏面側には、ロックレバー26の広幅部26dに摺接可能な摺接片部30aが上下2箇所に形成された摺接用部材30が取り付けられている。摺接用部材30の摺接片部30aには、左側より順に、右側ほど前方への突出量が増加する傾斜面部30aと、傾斜面部30aの右端部と同じ前方への突出量で右側に延びる平坦部30cと、平坦部30cよりも大きく窪んで同じ前方への突出量が小さくなっている窪み部30dと、前方への突出量が極めて大きくなってロックレバー26の広幅部26dが右側へ移動することを規制する規制部30eなどが形成されている。そして、これらの構成要素(ロックレバー26、摺接用部材30など)で、内扉10が第1角度よりも大きい所定の第2角度の状態(いわゆる全開状態)から第2の内扉ヒンジ部14の閉状態に達する(すなわち第1角度となる)まで、内扉10の第1の内扉ヒンジ部12を介しての閉方向への回動動作を阻止する閉動作時ロック機構を構成している。
【0033】
つまり、支持連結部13に対して(すなわち、第2の内扉ヒンジ部14において)内扉10が閉じられている際には、
図11に示すように、ロックレバー26の広幅部26dが摺接用部材30の傾斜面部30aに摺接している状態であるが、第2の内扉ヒンジ部14を介して内扉10が開けられ始めると、ロックレバー26の広幅部26dが摺接用部材30の傾斜面部30aから平坦部30cに摺接し(
図13参照)、第2の内扉ヒンジ部14を介して内扉10が開かれて前記第2角度に開いた状態となると、
図18に示すように、ロックレバー26の広幅部26dが摺接用部材30の窪み部30dに嵌まり込み、ロックレバー26がの広幅部26dが平坦部30c側に戻ることが阻止される。これにより、ロックレバー26を介して、支持連結部13が第1の内扉ヒンジ部12や自動販売機本体2の一側面2aに対して突っ張った状態となり、内扉10の第1の内扉ヒンジ部12を介しての閉方向への回動動作が阻止されてロックされる。
【0034】
したがって、内扉10が一旦、第2角度に開いた状態となると、その後に内扉10を閉める際には、第2の内扉ヒンジ部14が閉状態に達するまで、第2の内扉ヒンジ部14だけを介して内扉10が閉じられる構造とされている。さらに第2の内扉ヒンジ部14を介して内扉10を閉じ、内扉10に取り付けられた内扉側上支持部材22が、支持連結中間部材21の上部に近接すると、内扉側上支持部材22の突部22cが支持連結中間部材21の角孔21a内に突入してロックレバー26の広幅部26dに当接し始める。そして、内扉側上支持部材22が、支持連結中間部材21の上部に接するまで内扉10が前記第1角度まで閉じられると、内扉側上支持部材22の突部22cによりロックレバー26の広幅部26dが押し込まれて、摺接用部材30の窪み部30dから離脱する。これにより、ロックレバー26による突っ張り状態が解除されて、内扉10が第1の内扉ヒンジ部12を介して閉じられることを許容された状態となるので、その後、内扉10を第1の内扉ヒンジ部12を介して閉じるようになっている。
【0035】
上記構成において、内扉10を開ける場合には、まず外扉3を開けた状態で、内扉10を開け始める。この際には、ロックプレート28の先端部が内扉側上支持部材22の被係合部22bに係合されて、ロック装置15(詳しくは、開動作時ロック機構)がロックされているため、第1の内扉ヒンジ部12だけを介して内扉10が開けられる。そして、第1の内扉ヒンジ部12を介して内扉10が前記第1角度まで開いた際に、ロックプレート28の先端部が、内扉側上支持部材22の被係合部22bから離脱して前記ロック装置15のロック(詳しくは、開動作時ロック機構)が解除されるので、第2の内扉ヒンジ部14を介して内扉10を開方向に回動することとなる。
【0036】
このように、第1の内扉ヒンジ部12と第2の内扉ヒンジ部14とを介して内扉10を開方向に回動できる構造であるので、
図6に示すように、自動販売機本体2における、第1の内扉ヒンジ部12や第2の内扉ヒンジ部14が設けられている側の側面(この実施の形態では自動販売機本体2の右側面)に近接して、壁50などの固定物がある場合でも、内扉10を、ほぼ90度に近い角度まで開けることができて、これらの内扉ヒンジ部12、14寄りの商品ストッカ6でも手前に引き出すことができて、商品の補充を支障なく行うことができる。
【0037】
上記のようにして、内扉10をまず第1の内扉ヒンジ部12を介して第1角度まで開き、次に、第2の内扉ヒンジ部14を介して内扉10を第2角度まで開いた際には、ロックレバー26の広幅部26dが摺接用部材30の窪み部30dに嵌まり込んでロック装置15(詳しくは、閉動作時ロック機構)が作動してロックされている。これにより、第1の内扉ヒンジ部12を介して内扉10が閉方向に回動することが阻止される。したがって、内扉10を第2角度に開いた状態から閉じる際には、第2の内扉ヒンジ部14だけを介して内扉10を回動できる。この後、内扉10の閉方向への回動動作が続けて行われ、内扉10が第2の内扉ヒンジ部14を介して閉められて、支持連結部13に密接した状態(すなわち、第1角度まで閉められた状態)となると、ロックプレート28が平面視して湾曲した状態から真直ぐな状態に戻って、ロックプレート28の先端部が内扉側上支持部材22の被係合部22bに係合して、ロック装置15(詳しくは、開動作時ロック機構)がロックされる。したがって、第2の内扉ヒンジ部14を介して内扉10が回動することが阻止(禁止)される。また、これと同様なタイミングで、内扉側上支持部材22の突部22cによりロックレバー26の広幅部26dが押し込まれて、摺接用部材30の窪み部30dから離脱し、内扉10が第1の内扉ヒンジ部12を介して閉じられることが許容される。これにより、内扉10を、第1の内扉ヒンジ部12を介して閉じることができる。
【0038】
このように、上記構成によれば、常に第1の内扉ヒンジ部12と第2の内扉ヒンジ部14との何れか一方を介して(詳しくは、第1の内扉ヒンジ部12のヒンジ軸17と第2の内扉ヒンジ部14のヒンジ軸23との何れか一方のヒンジ軸を中心として)回動するので、2つのヒンジ部のヒンジ軸を同時に回動中心として内扉が回動する場合のように内扉の姿勢がふらつくことがない。したがって、内扉10に対する操作性も良好となる。
【0039】
また、内扉10を回動可能に支持する第1の内扉ヒンジ部12のヒンジ軸17(17A、17B)が、内扉10の一端部(右端部)よりも前方の箇所に配設されているので、第1の内扉ヒンジ部のヒンジ軸が内扉の一端部の箇所(位置)に設けられている場合と比較して、内扉10を開方向に回動させた際に、内扉10が前方寄りに移動する。これにより、自動販売機本体2内を大きく開けることができて、商品の補充時などにおいての操作性が向上する。
【0040】
また、ロック装置15として、内扉10が閉状態から第1の内扉ヒンジ部12による全開状態に達するまで、内扉10の第2の内扉ヒンジ部14を介しての開方向への回動動作を阻止する開動作時ロック機構と、内扉10が全開状態から第2の内扉ヒンジ部14の閉状態に達するまで、内扉10の第1の内扉ヒンジ部12を介しての閉方向への回動動作を阻止する閉動作時ロック機構とを備えたことにより、第1の内扉ヒンジ部12と第2の内扉ヒンジ部14との2つの内扉ヒンジ部12、14を有しながら、何れか一方の内扉ヒンジ部12、14(ヒンジ軸)を中心として回動させることを確実に行え、良好な信頼性を得ることができる。
【0041】
なお、上記実施の形態では、外扉ヒンジ装置7と内扉ヒンジ装置11とが向って自動販売機本体2における右側の端部に配設されている場合を述べたが、外扉ヒンジ装置7と内扉ヒンジ装置11とが自動販売機本体2における向って左側の端部に配設されている場合でも、左右を逆にした同様の構造を採用することで適用可能である。
【0042】
また、上記実施の形態では、本発明を、外扉と内扉とを有する自動販売機に適用した場合を述べたが、これに限るものではなく、恒温室、冷蔵庫、家具または金庫などの各種の外扉と内扉とを有する機器に対しても適用可能である。