【文献】
渡辺 嘉二郎, 高橋 雄一郎, 萱原 冨士生,「煙道・パイプを通過する煤塵・塵埃の質量流量の計測」,計測自動制御学会論文集,1999年10月30日,Vol. 35, No. 10,p. 1236-1242
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
A.第1実施例:
図1(A)は本発明の一実施例としての微粒子センサを搭載する車両の構成を示す概略図である。この車両500は、内燃機関400と、燃料供給部410と、車両制御部420とを備える。内燃機関400は、車両500の動力源であり、例えばディーゼルエンジンによって構成することができる。
【0014】
燃料供給部410は、燃料配管411を介して内燃機関400に燃料を供給する。内燃機関400には、排ガス配管415が接続されており、内燃機関400からの排ガスは、排ガス配管415を介して車両500の外部へと排出される。排ガス配管415には、排ガス中に含まれる煤などの微粒子を除去するためのフィルタ装置416(例えば、DPF(Diesel particulate filter))が設けられている。
【0015】
車両制御部420は、マイクロコンピュータによって構成され、車両500全体の運転状態を制御する。具体的には、車両制御部420は、燃料供給部410からの燃料の供給量や、内燃機関400の燃焼状態などを制御する。
【0016】
車両500には、さらに、微粒子センサ100と、センサ駆動部110とが搭載されている。微粒子センサ100は、排ガス配管415のフィルタ装置416より下流側に取り付けられており、センサ駆動部110とケーブル120を介して接続されている。
【0017】
センサ駆動部110は、微粒子センサ100を駆動し、微粒子センサ100の検出信号に基づき排ガス中の微粒子量を検出する。ここで、排ガス中の微粒子量は、例えば、微粒子の表面積を基準とする量であるものとしても良いし、微粒子の質量を基準とする量であるものとしても良い。あるいは、排ガス中の微粒子量は、微粒子の個数を基準とする量であるものとしても良い。
【0018】
図1(B)は、排ガス配管415への微粒子センサ100の取付状態と、センサ駆動部110の内部構成とを説明するための概略図である。微粒子センサ100は、直棒状の先端部100eが排ガス配管415の内部に挿入された状態で、排ガス配管415の外表面に固定的に取り付けられる。より具体的には、微粒子センサ100の先端部100eは、微粒子センサ100の取付部位における排ガス配管415の延伸方向に対してほぼ垂直に挿入される。
【0019】
先端部100eのケーシングの壁面には、排ガスのための流入孔45と排出孔35とが設けられている。微粒子センサ100では、排ガス配管415を流れる排ガスの一部が、流入孔45を介して、先端部100eのケーシング内部に取り込まれる。そして、その取り込まれた排ガス中に含まれる微粒子は、微粒子センサ100において生成されたイオン(本実施例では、陽イオン)によって帯電される。帯電した微粒子を含む排ガスは、排出孔35から先端部100eのケーシング外部に排出される。排ガス中の微粒子量を検出する際の微粒子センサ100の具体的な動作や、先端部100eのケーシング内部における排ガスの流れについては後述する。
【0020】
ここで、本実施例の微粒子センサ100であれば、排ガスを取り込む先端部100eが排ガス配管415内に収容・配置されているため、排ガスを排ガス配管415の外部へと分岐・流入させることなく、排ガス中の微粒子の量を検出することができる。従って、排ガス中の微粒子量を検出するためのシステムが小型化される。
【0021】
微粒子センサ100の後端側には、複数の配線や管などを内部に一体的に収容したケーブル120が接続されている。ケーブル120は、排ガス配管415から離隔して設置されたセンサ駆動部110に接続されている。ケーブル120は可撓性を有しているため、比較的自由に車両500内に配設することが可能である。ケーブル120の詳細な構成については後述する。
【0022】
センサ駆動部110は、センサ制御部111と、電気回路部112と、エア供給部113とを備えている。センサ制御部111は、マイクロコンピュータによって構成され、電気回路部112と、エア供給部113とを制御するとともに、微粒子センサ100を用いて検出した排ガス中の微粒子量を車両制御部420に送信する。
【0023】
なお、車両制御部420は、センサ制御部111から送信された排ガス中の微粒子量が、所定量より多い場合には、フィルタ装置416の劣化や異常を車両500の運転手に警告するとしても良い。また、車両制御部420は、センサ制御部111の検出値に基づき、内燃機関400における燃焼状態を調整するとしても良い。
【0024】
電気回路部112は、ケーブル120に収容されている第1と第2の絶縁電線121,122(
図5も参照)を介して微粒子センサ100を駆動するための電力を供給する。また、電気回路部112は、同じくケーブル120に収容されている信号線124(
図5も参照)を介して微粒子センサ100のセンサ信号を受信するとともに、そのセンサ信号に基づく計測結果をセンサ制御部111に送信する。電気回路部112の詳細な構成については後述する。
【0025】
エア供給部113は、ポンプ(図示は省略)を備えている。エア供給部113は、センサ制御部111からの指令に基づき、微粒子センサ100の駆動の際に用いられる高圧空気をケーブル120に収容されている空気供給管123を介して供給する。なお、微粒子センサ100は、空気供給管123を介して、他の種類の圧縮気体の供給を受けるものとしても良い。
【0026】
図2〜
図4は、微粒子センサ100の構成を示す概略図である。
図2,
図3はそれぞれ、異なる方向から見た微粒子センサ100の概略断面図であり、
図4は微粒子センサ100の分解斜視図である。
図2〜
図4には、先端部100e側(単に「先端側」とも呼ぶ)を紙面上側とし、ケーブル120側(単に「後端側」とも呼ぶ)を紙面下側として、微粒子センサ100が図示されている。また、
図2,
図4には、微粒子センサ100の仮想中心線CLを一点鎖線で図示してある。
【0027】
さらに、
図2〜
図4には、各図が対応するように三次元矢印X,Y,Zを図示してある。具体的には、矢印Zは、微粒子センサ100の仮想中心軸CLに沿った方向を示しており、紙面上方向を示している。矢印Xは、フランジ103fの短手方向に沿った方向を示しており、
図2では、紙面手前方向を示し、
図3では紙面右方向を示し、
図4では紙面右斜め手前方向を示している。矢印Yは、フランジ103fの長手方向に沿った方向を示しており、
図2では紙面右方向を示し、
図3では紙面奥行き方向を示し、
図4では紙面右斜め奥行き方向を示している。
【0028】
微粒子センサ100は、第1と第2の電極10,20を備えている。第1の電極10は、先端部11(紙面上側の端部)が略U字状に湾曲した棒状の電極である。第1の電極10における湾曲部より後端側の本体部12の外周は、セラミックパイプ15によって気密に被覆されている。セラミックパイプ15は、絶縁性セラミック(例えばアルミナ)によって構成され、第1の電極10と他の導電性部材とを絶縁する。セラミックパイプ15から露出した第1の電極10の後端部13(紙面下側の端部)は、ケーブル120の端部から露出した第1の絶縁電線121と電気的に接続され、陽イオンの捕捉を補助する補助電極として機能するが、その詳細は後述する。
【0029】
第2の電極20は、直線的に延びる棒状の電極である。第2の電極20は、本体部22の外周がセラミックパイプ25によって気密に被覆されている。セラミックパイプ25は、絶縁性セラミック(例えばアルミナ)によって構成され、第2の電極20と他の導電性部材とを絶縁する。第2の電極20の先端部21(紙面上側の端部)と、後端部23(紙面下側の端部)とはセラミックパイプ25から露出している。第2の電極20の後端部23は、第2の絶縁電線122と電気的に接続され、コロナ放電のための放電電極として機能するが、その詳細は後述する。
【0030】
微粒子センサ100は、イオン捕捉部30と、排ガス帯電部40と、イオン発生部50とを備える。イオン捕捉部30と排ガス帯電部40とイオン発生部50とはそれぞれ、導電性を有する部材によって構成されており、それぞれが直列に嵌合して連結されることにより、先端部100eを構成する。なお、各構成部30,40,50の外壁は、先端部100eの略円筒状の連続的なケーシングを構成する。
【0031】
イオン捕捉部30の内部には、ガス流路31と、パイプ挿通孔33とが、紙面上下方向(矢印Zの方向)に延びる互いに並列な貫通孔として形成されている。ガス流路31は、排ガス帯電部40の内部空間71に接続し、先端側に向かって開口面積が縮小する第1流路部31aと、イオン捕捉部30の内部空間70に接続し、開口面積が先端側に向かって拡大する第2流路部31bとを有している。このガス流路31の機能については後述する。
【0032】
パイプ挿通孔33には、第1の電極10の本体部12を収容するセラミックパイプ15が気密的に挿通されて保持される。第1の電極10の先端部11は、パイプ挿通孔33から折り返して、ガス流路31における第2流路部31bのほぼ中央に懸垂配置される。なお、イオン捕捉部30の紙面上側の端部は、導電性を有するキャップ101によって封止される。ここで、イオン捕捉部30の外壁には、排ガスのための排出孔35が貫通孔として形成されている。排出孔35は、ガス流路31とキャップ101との間の内部空間70に連通するように形成されている。
【0033】
排ガス帯電部40は、イオン捕捉部30のガス流路31と連通する内部空間71を有しており、後端側端部に隔壁41が設けられている。即ち、排ガス帯電部40の内部空間71とイオン発生部50とは、隔壁41によって仕切られて分離されている。隔壁41には、排ガス帯電部40とイオン発生部50とを連通する連通孔であるノズル42が設けられている。ノズル42は、イオン捕捉部30のガス流路31に向かってガスを噴射可能なように、ガス流路31に向かって開口面積が縮小する微小穴(オリフィス)として設けられている。
【0034】
また、隔壁41には、第1の電極10を収容するセラミックパイプ15を挿通して保持するパイプ挿通孔43が設けられている。さらに、排ガス帯電部40の外壁には、排ガスを先端部100eの内部に流入させるための流入孔45が貫通孔として形成されている。流入孔45は、微粒子センサ100を構成したときに、内部空間71に連通するように形成されている。
【0035】
ここで、イオン捕捉部30と排ガス帯電部40とが嵌合して連結される際には、ガス流路31の一部は、排ガス帯電部40の内部に収容される。流入孔45は、その開口方向に沿って微粒子センサ100を見たときに(より詳細には、流入孔45の開口方向に沿った方向であって微粒子センサ100の軸線CLに直交する方向に沿って見たときに)、ガス流路31と重なる位置に形成されている。流入孔45は、ガス流路31を構成する壁部に設けられた、ガス流路31の流路方向と並列に伸びる溝部34を介して内部空間71と連通する。
【0036】
イオン発生部50には、ノズル42を介して、排ガス帯電部40の内部空間71と連通する内部空間72が設けられている。内部空間72には、第2の電極20の先端部21が、コロナ放電を発生させることが可能な程度の空隙をノズル42との間に形成しつつ保持されている。
【0037】
内部空間72の紙面下側の底部には、紙面上下方向に延びる第1と第2のパイプ挿通孔52,53と、空気供給孔54とが形成されている。第1のパイプ挿通孔52は、第1の電極10を収容するセラミックパイプ15を気密に保持する。第2のパイプ挿通孔53は、第2の電極20を収容するセラミックパイプ25を気密に保持する。空気供給孔54は、ケーブル120の空気供給管123(図示せず)からの空気を内部空間72へと流入させるための流路である。
【0038】
ここで、第1と第2の電極10,20の後端部13,23は、イオン発生部50の後端側において外部に露出している。第1と第2の電極10,20の後端部13,23のそれぞれは、ケーブル120の端部から伸びた第1と第2の絶縁電線121,122に電気的に接続されている。なお、これらの電極10,20と電線121,122の接続部は、イオン発生部50の下端に嵌合して連結される略円筒状の内筒102に収容されることによって保護される。
【0039】
内筒102は、その下端部が、ケーブル120の端部を収容して緊密に保持する。ここで、内筒102は、導電性を有する部材によって構成されており、ケーブル120の第1のシールド線SL1(後述)と電気的に接続される。即ち、内筒102は、先端部100eを構成する各構成部30,40,50とケーブル120の第1のシールド線SL1との間の導電パスとして機能する。
【0040】
イオン発生部50の外周には鍔部50fが設けられている。鍔部50fは、イオン発生部50の外周に取り付けられる絶縁性を有する円環状の第1と第2の保持部材61,62によって、紙面上下方向に狭持される。ここで、第1と第2の保持部材61,62の外側には、微粒子センサ100を排ガス配管415に固定するための取付固定部103が取り付けられる。
【0041】
取付固定部103は、略円筒形状の本体部103sと、本体部103sの紙面上側の端部に設けられたフランジ103fとを有している。取付固定部103の本体部103sの筒内と、イオン発生部50に取り付けられた第1と第2の保持部材61,62の外周とには、互いに係合し合う段部が形成されている。これらの段部が互いに係合し合うことにより、イオン発生部50は、取付固定部103の筒内の所定の位置で係止される。具体的には、イオン発生部50は、第2の電極20の先端部21がフランジ103fより突出する位置で係止される。なお、取付固定部103のフランジ103fには、リング状のガスケット64がイオン発生部50の突出部位を囲むように配置される。また、第1の保持部材61の段部と取付固定部103の筒内における段部との間には板パッキン65が配置される。
【0042】
ここで、取付固定部103は導電性を有する部材によって構成されるが、取付固定部103は、第1と第2の保持部材61,62によってイオン発生部50と絶縁されている。また、第1の保持部材61は、フランジ103fの面より突出した部位を有しており、微粒子センサ100が排ガス配管415に取り付けられたときに、排ガス配管415と先端部100eとを絶縁する。
【0043】
取付固定部103の下端部には、ジョイント部104が、イオン発生部50に取り付けられた第2の保持部材62を紙面下側から支持するように螺合連結されている。ジョイント部104には、貫通孔104pが設けられており、イオン発生部50の下端部および内筒102を挿通する。なお、貫通孔104pの内壁面と、イオン発生部50および内筒102の外表面との間には、空隙が形成されており、ジョイント部104とイオン発生部50とを絶縁する。また、ジョイント部104の外周には、六角レンチなどの工具と係合させるための工具係合部104eが設けられている。
【0044】
ジョイント部104の下端には、内筒102とケーブル120との連結部を保護するための略円筒状の外筒105が嵌合されている。外筒105とケーブル120との間には、ケーブル120を保護するための円環状のグロメット66が配置される。外筒105の下端側は、ケーブル120を保持するために加締められる。ここで、この加締めの際には、ケーブル120の外皮1204(後述)に切れ目を設けるとともに、外筒105の一部を、その切れ目に入り込ませる。これによって、外筒105の下端側には、ケーブル120の第2のシールド線SL2(後述)と電気的に導通する加締め部105cが形成される。なお、
図4では、加締められる前の外筒105が図示されている。
【0045】
図5は、本実施例の微粒子センサ100に接続されるケーブル120の構成を示す概略断面図である。前記したとおり、ケーブル120には、第1と第2の絶縁電線121,122と、空気供給管123と、信号線124とが一体的に収容されている。これによって、微粒子センサ100に接続される配線・配管の取り回しが容易となるため、微粒子センサ100の車両500に対する搭載性が向上している。具体的に、ケーブル120は以下のような構成を有している。
【0046】
第1の絶縁電線121は、その中心に導電線である芯線1210を有している。芯線1210の外周には、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)などのフッ素系樹脂による第1の樹脂被覆層1211が設けられている。第1の樹脂被覆層1211の外周には編組シールド1212が設けられ、その編組シールド1212の外周には、さらに、FEPなどのフッ素系樹脂による第2の樹脂被覆層1213が設けられている。
【0047】
第2の絶縁電線122も、第1の絶縁電線121と同様な構成を有しており、導電線である芯線1220と、その外周を被覆する第1の樹脂被覆層1221,編組シールド1222,第2の樹脂被覆層1223を有している。空気供給管123は、PTFE (ポリテトラフルオロエチレン)などの樹脂部材によって中空筒状に構成される。空気供給管123の外周は、補強部材123sによって被覆されている。補強部材123sは、編み組された金属線によって構成することができる。
【0048】
第1と第2の絶縁電線121,122と空気供給管123の補強部材123sの外周には、ガラス繊維が充填されたガラス繊維部1201が形成されている。そして、ガラス繊維部1201の外周は、第1の樹脂被覆層1202によって被覆されている。第1の樹脂被覆層1202は、PTFEなどの樹脂部材によって構成することができる。
【0049】
第1の樹脂被覆層1202の外周には、導電線が編み組された第1のシールド線SL1が配設され、第1のシールド線SL1の外側には、PTFEなどの樹脂部材によって構成された第2の樹脂被覆層1203が設けられている。第2の樹脂被覆層1203の外周には、導電線が編み組みされた第2のシールド線SL2が配設され、第2のシールド線SL2の外周は、FEPなどのフッ素系樹脂などで構成された外皮1204によって被覆されている。
【0050】
このように、このケーブル120では、第1と第2のシールド線SL1,SL2が二重で設けられている。このうち、第1のシールド線SL1は、前記したように、先端部100eの各構成部30,40,50と電気的に接続される。これによって、第1のシールド線SL1は、微粒子センサ100の先端部100eと電気回路部112とを接続する信号線124として機能する。一方、第2のシールド線SL2は、前記したように、外皮1204を貫通する外筒105の加締め部105cと導通する。そして、外筒105、ジョイント部104、取付固定部103、排ガス配管415を介して、車両500のシャーシ(図示せず)などと電気的に接続されることにより、接地される。
【0051】
ここで、ケーブル120には、微粒子センサ100の駆動の際に用いられる高圧空気のための空気供給管123が収容されている。後述するように、この空気供給管123によって微粒子センサ100に供給される空気の圧力は高いほど好ましい。即ち、ケーブル120の空気供給管123は、より高い圧力の空気を供給可能なように構成されていることが好ましい。また、ケーブル120は、その取り回し性を向上させ、微粒子センサ100の車両500への搭載性を向上させるために可撓性を有することが好ましい。そのため、ケーブル120に収容される空気供給管123も可撓性を有するように樹脂部材で構成されることが好ましい。
【0052】
ところで、一般に、内燃機関の排ガス配管近傍の領域は、高温(例えば600℃程度)になる場合がある。本実施例の微粒子センサ100は排ガス配管415に取り付けられるため、微粒子センサ100に接続されるケーブル120も排ガス配管415の近傍に配設されることになる。しかし、ケーブル120が排ガス配管415の近傍領域などの車両500内の高温領域に配設された場合には、ケーブル120の温度の上昇に伴って、樹脂部材で構成された空気供給管123の耐圧性が低下してしまう可能性がある。
【0053】
そこで、本実施例のケーブル120では、空気供給管123の外周に、樹脂部材より熱可塑性の低い部材によって構成された可撓性を有する補強部材123sが設けられている。補強部材123sは、可撓性を有しつつ、樹脂部材よりも高い剛性を有するように構成されていることが好ましく、例えば、金属線を編み組みすることによって構成されるものとしても良い。この補強部材123sによって、温度上昇に伴って空気供給管123を構成する樹脂部材が少なからず軟化した場合であっても、空気圧による空気供給管123の膨張変形が抑制される。即ち、このケーブル120を用いれば、高温環境下においても微粒子センサ100に、より高い圧力の空気を供給することが可能である。
【0054】
このように、微粒子センサ100は、排ガス配管415内に先端部100eが挿入・配置されるとともに、ケーブル120によって、離隔配置されたセンサ駆動部110と接続されて駆動する。車両500では、この微粒子センサ100を用いて、以下のように、排ガス中に含まれる微粒子量を検出する。
【0055】
図6は、排ガス中の微粒子量を検出するための微粒子センサ100の動作を説明するための模式図である。
図6には、排ガス配管415内に挿入された微粒子センサ100の先端部100eの内部を模式的に図示してある。より具体的には、
図6では、先端部100eのケーシングCS(各構成部30,40,50の内部空間70,71,72を囲む壁部)を、各構成部30,40,50の境界線の図示を省略するとともに、同じハッチングを付すことにより一体的に図示してある。また、
図6では、第1の電極10は、先端部11以外の図示を省略してある。さらに、
図6には、排ガス配管415における排ガスの流れ方向(矢印F)と、先端部100eの内部におけるガスの流れ方向とを模式的に図示してある。
【0056】
排ガス中の微粒子量を検出する際には、微粒子センサ100は、イオン発生部50において、陽イオンPIを発生させる。より具体的には、電気回路部112によって第2の電極20を陽極とし、ノズル42を陰極として電圧を印加し、第2の電極20の先端部21とノズル42との間にコロナ放電を発生させて、陽イオンPIを発生させる。
【0057】
イオン発生部50において発生した陽イオンPIは、エア供給部113から空気供給孔54を介して内部空間72に供給される高圧空気とともに、ノズル42から排ガス帯電部40の内部空間71へと噴射される。ノズル42から陽イオンPIを含む空気が噴射されると、内部空間71に負圧が発生し、微粒子である煤Sを含む排ガスが流入孔45から内部空間71へと吸引される。
【0058】
ここで、ノズル42からの空気(圧縮空気)の噴射によって、内部空間71に、より大きな負圧を発生させることができれば、流入孔45から所定量の排ガスを内部空間71へと良好に取り込むことができ、排ガス中の微粒子量の検出精度を向上させることができる。従って、内部空間71への排ガスの取り込みを安定させるためにも、微粒子センサ100に供給される空気の圧力は高いほど好ましい。具体的には、微粒子センサ100に供給される空気の圧力は、ノズル42からの空気の噴射速度が音速程度となる程度の圧力であることが好ましい。
【0059】
ノズル42から噴射された空気と、流入孔45から吸引された排ガスとは、排ガス帯電部40の内部空間71において混合される。これによって、排ガス中に微粒子である煤Sが存在する場合に、煤Sに空気中の陽イオンPIが吸着して煤Sが帯電する。
【0060】
ここで、
図2で説明したとおり、流入孔45は溝部34を介して内部空間71に連通している。この構成により、流入孔45から内部空間71に流入する排ガスの流れ方向と、ノズル42から内部空間71に噴射される空気の噴射方向とが互いに対向し合うことになるため、内部空間71において、より大きな乱流が発生する。この乱流により、空気と排ガスとの混合が促進され、煤Sの帯電が促進される。
【0061】
内部空間71において空気と混合された排ガスは、イオン捕捉部30に設けられたガス流路31を介して内部空間70へと流れる。なお、ガス流路31には、上流側から下流側に向かって開口面積が次第に縮小する第1流路部31aが設けられている。本実施例の微粒子センサ100では、この第1流路部31aによって、排ガスをより円滑に下流側へと誘導できるとともに、陽イオンPIと煤Sとの衝突を促進させて、煤Sの帯電を促進させることができる。
【0062】
ここで、イオン捕捉部30では、ガス流路31の第2流路部31bから内部空間70に渡って、第1の電極10の先端部11が、排ガスの流れ方向に沿って配置されている。イオン捕捉部30では、電気回路部112によって、第1の電極10を陽極とし、第1の電極10を囲むケーシングCSを陰極として電圧が印加される。
【0063】
これによって、煤Sの帯電に用いられなかった陽イオンPI、即ち、煤Sに吸着することのなかった陽イオンPIは、第1の電極10から斥力を受けるため、その移動方向が第1の電極10の外側へと反らされる。移動方向を反らされた陽イオンPIは、陰極として機能するガス流路31の第2流路部31bや内部空間70の外壁に捕捉される。なお、陽イオンPIが吸着して帯電した煤Sは質量が大きいため、外部の電気的な斥力や引力による影響が単体の陽イオンPIに比較して小さい。そのため、帯電した煤Sは、排ガスの流れに従って、排出孔35から排ガス配管415へと排出される。
【0064】
ところで、本実施例の微粒子センサ100におけるガス流路31の第2流路部31bでは、下流側に向かって開口面積が次第に拡大している。この構成により、帯電した煤Sや、帯電に用いられなかった陽イオンPIを含む排ガスを、内部空間70の壁面に向かって、放射状に拡散させることができるため、イオン捕捉部30における陽イオンPIの捕捉効率が向上する。
【0065】
ここで、微粒子センサ100の先端部100eでは、イオン捕捉部30における陽イオンPIの捕捉量に応じた電流の変化を検出することができる。センサ制御部111(
図1(B))は、電気回路部112を介して、そうした微粒子センサ100における電流の変化を、微粒子センサ100の検出信号として検出し、その検出信号に基づいて排ガス中に含まれる煤Sの量を検出する。具体的には、センサ制御部111は、以下のように、排ガス中の煤Sの量を検出する。
【0066】
図7は、センサ制御部111による微粒子センサ100を用いた排ガス中の煤量の検出を説明するための概略図である。
図7には、微粒子センサ100の先端部100eの模式図と、センサ駆動部110のうちのセンサ制御部111と電気回路部112とが模式的に図示されている。なお、
図7では、
図6と同様に、先端部100eの各構成部30,40,50の外壁を、ケーシングCSとして一体的に図示してある。また、
図7では、電気回路部112の内部構成を概略的に図示してある。
【0067】
電気回路部112は、一次側電源部210と、二次側電源部220と、電流差計測部230とを備える。一次側電源部210は、センサ制御部111の指令に従って、トランスを介して二次側電源部220に高圧電力を供給する。二次側電源部220は、第1電流供給回路221と、第2電流供給回路222とを備えている。
【0068】
第1電流供給回路221は、第1の絶縁電線121を介して、第1の電極10と接続されている。第2電流供給回路222は、第2の絶縁電線122を介して第2の電極20と接続されている。即ち、微粒子センサ100は、第1電流供給回路221から陽イオンPIの捕捉のための電力の供給を受け、第2電流供給回路222から陽イオンPIを発生させるコロナ放電のための電力の供給を受ける。なお、第2電流供給回路222は、定電流回路であり、コロナ放電に際して、例えば5μA程度の一定の電流I
inを第2の電極20に供給する。
【0069】
ここで、微粒子センサ100の先端部100eは、排ガス配管415や車両500のシャーシなどとは絶縁された状態で排ガス配管415内に保持される。即ち、微粒子センサ100の先端部100eは、いわゆるシャーシグラウンドとも呼ばれる車両500の基準電位とは異なる基準電位を有する閉回路を構成していると解釈することができる。
【0070】
第2電流供給回路222から第2の電極20に入力電流I
inが流れると、コロナ放電により、第2の電極20からノズル42を介してケーシングCSに放電電流I
dcが流れるとともに、陽イオンPIが発生する。
図6で説明したように、陽イオンPIの一部は煤Sの帯電に用いられ、残りの陽イオンPIは、イオン捕捉部30においてケーシングCSに捕捉される。
【0071】
ここで、煤Sの帯電に用いられてケーシングCSの外部へと漏洩する陽イオンPIの流れに相当する電流を「漏洩電流I
esc」と呼ぶ。一方、ケーシングCSに捕捉される陽イオンPIの流れに相当する電流を「捕捉電流I
trp」と呼ぶ。このとき、コロナ放電によって流れるこれらの4つの電流I
in,I
dc,I
esc,I
trpについて、以下の関係式(1)が成り立つ。
I
in=I
dc+I
trp+I
esc …(1)
【0072】
これらの電流のうち、放電電流I
dcと、捕捉電流I
trpとは、ケーシングCSに流れる電流である。また、前記したとおり、第2の電極20への入力電流I
inは、第2電流供給回路222によって一定に制御されている。従って、入力電流I
inと、ケーシングCSに流れる2つの電流I
dc,I
trpの合計との差をとることにより、漏洩電流I
escを得ることができる(下記(2)式)。
I
esc=I
in−(I
dc+I
trp)…(2)
【0073】
電気回路部112は、電流差計測部230によって、入力電流I
inとケーシングCSに流れる2つの電流I
dc,I
trpの合計との差を、漏洩電流I
escとして検出し、その検出結果に基づく信号をセンサ制御部111に出力する。具体的には、電気回路部112は、漏洩電流I
escを以下のように検出する。
【0074】
電気回路部112の電流差計測部230は、信号線124(ケーブル120の第1のシールド線SL1)を介して、先端部100eのケーシングCSと電気的に接続されている。また、電流差計測部230は、排ガス配管415または車両500のシャーシを介して接地されている。
【0075】
ケーシングCSでは、入力電流I
inに対して漏洩電流I
escの分が不足する分だけ、その基準電位が外部の基準電位より低下する。これに対し、電流差計測部230からは、その低下分を補償するように、補償電流I
cが信号線124に流れる。この補償電流I
cは漏洩電流I
escに相当する電流であり、電流差計測部230は、補償電流I
cの計測値を漏洩電流I
escの計測値として、センサ制御部111に送信する。
【0076】
ここで、漏洩電流I
escは、煤Sの帯電に用いられた陽イオンPIの量と相関関係を有する電流であり、煤Sの帯電に用いられた陽イオンPIの量は、排ガス中の煤Sの量に相当する量である。従って、漏洩電流I
escを計測(検出)することにより、排ガス中の煤Sの量を求めることができる。センサ制御部111は、予め記憶されたマップや演算式などを用いて、電流差計測部230において検出された漏洩電流I
escに対する排ガス中の煤Sの量を取得する。
【0077】
このように、センサ制御部111は、陽イオンPIの捕捉量に応じた微粒子センサ100のケーシングCSにおける電流変化を利用して、排ガス中の煤Sの量を検出する。即ち、センサ制御部111は、微粒子センサ100における陽イオンPIの捕捉量に基づいて、排ガス中の煤Sの量を検出する。
【0078】
ところで、排ガス配管415における排ガスの流れは、内燃機関400の運転状態に応じて変動する。排ガス配管415内における排ガスの流速や流量が変動すると、先端部100eへの排ガスの流入量が変動し、微粒子センサ100を用いた微粒子量の検出精度が不安定になってしまう可能性がある。
【0079】
そこで、本実施例の微粒子センサ100では、先端部100eにおける流入孔45および排出孔35の配列構成や、微粒子センサ100の排ガス配管415に対する取付構造を以下のように構成する。これにより、排ガスの流れの変動による微粒子センサ100の検出精度の低下を抑制することができる。
【0080】
図8(A)は、微粒子センサ100の先端部100eにおける流入孔45と排出孔35の配列構成を示す概略図であり、微粒子センサ100の先端部100eの外表面が模式的に図示されている。先端部100eに設けられた排ガスのための流入孔45および排出孔35は、先端部100eの延伸方向、即ち、排ガス帯電部40とイオン捕捉部30とが配列された方向(矢印Pで図示した方向)に沿って見たときに、互いに重なり合うように形成されている。なお、
図8(A)では、上述の流入孔45と排出孔35との形成位置の重なりを示すために、矢印Pに沿った方向に対する排出孔35の形成幅を示す破線を図示してある。
【0081】
流入孔45および排出孔35が、このように配列されていることにより、先端部100eを排ガス配管415内に挿入したときに、流入孔45と排出孔35とは、ほぼ同じ圧力を排ガス配管415の排ガスから受けることとなる。従って、流入孔45への排ガスの流入量や、排出孔45からの排ガスの排出量に対する排ガスの流れの影響をほぼ同程度とすることができ、先端部100eにおける排ガスの流入量・排出量を安定させることができる。
【0082】
図8(B)は、微粒子センサ100の先端部100eにおける流入孔45と排出孔35の他の配列構成を説明するための模式図である。
図8(B)は、流入孔45の形成位置が、先端部100eの周方向(紙面左右方向)に沿ってオフセットされている点以外は、
図8(A)とほぼ同じである。このように、矢印Pの方向に沿って見たときに、流入孔45と排出孔35とは完全に重なり合っていなくとも良く、少なくとも互いの一部が重なり合っていれば良い。このような配列構成であっても、
図8(A)で示した配列構成とほぼ同様に、先端部100eにおける排ガスの流入量・排出量を安定させることができる。
【0083】
ところで、本実施例の微粒子センサ100では、排ガスのための流入孔45および排出孔35はそれぞれ、異なるサイズで形成されるものとしても良い。この場合であっても、流入孔45および排出孔35は、微粒子センサ100の先端部100eを
図8における矢印Pの方向に沿って見たときに、少なくとも互いの一部が重なり合うように配列されていれば良い。
【0084】
図8(C)は、微粒子センサ100の排ガス配管415に対する取付構造を説明するための模式図である。
図8(C)には、排ガス配管415に取り付けられた微粒子センサ100の先端部100eを、その延伸方向に沿って見たときの底面図を図示してある。また、
図8(C)では、先端部100eに設けられた排出孔35および流入孔45を破線で図示するとともに、排出孔35および流入孔45の開口方向を示す矢印ODと、排ガス配管415内における排ガスの流れ方向を示す矢印Fとを図示してある。
【0085】
微粒子センサ100は、先端部100eの流入孔45および排出孔35の開口方向ODが、排ガスの流れ方向Fに沿って下流方向を向くように、排ガス配管415に取り付けられることが好ましい。微粒子センサ100が、このように取り付けられることにより、先端部100eは、排出孔35や流入孔45の設けられた側とは反対の側において、排ガスの流れを受けることになる。
【0086】
従って、排出孔35や流入孔45の近傍における排ガスの流れを比較的緩やかにでき、先端部100eにおける排ガスの流入量・排出量を安定させることができる。また、排ガス配管415内に発生した凝縮水等の液滴が排ガスの流れによって排出孔35や流入孔45を介して先端部100eのケーシングCS内に入り込むのを抑制することができる。なお、排出孔45および排出孔35の開口方向ODは、排ガスの流れ方向Fとは平行でなくとも良い。開口方向ODは、排ガス配管415の下流方向に向いていれば良く、排ガスの流れ方向Fに対して、例えば、45°以内の角度を有しているものとしても良い。
【0087】
このように、本実施例の微粒子センサ100によれば、簡易かつ小型な構成で、内燃機関400から排出される排ガスに含まれる煤Sなどの微粒子の量を検出することができる。また、本実施例の微粒子センサ100によれば、先端部100eに対する排ガスの流入および排出を安定化させることができ、微粒子量の検出精度を向上させることができる。さらに、本実施例のケーブル120であれば、空気供給管123の外周に補強部材123sが設けられているため、微粒子センサ100により高い圧力の空気を供給することができ、微粒子センサ100による微粒子量の検出精度を向上させることができる。
【0088】
B.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0089】
B1.変形例1:
上記実施例では、微粒子センサ100のうち、排ガス配管415内に配置される先端部100eに、イオン発生部50と、排ガス帯電部40と、イオン捕捉部30とが配列されていた。しかし、先端部100eには、少なくとも排ガス帯電部40とイオン捕捉部30とが配列されていれば良く、イオン発生部50については、例えば、微粒子センサ100のうち排ガス配管415の外側に配置される部位に離隔して設けられるものとしても良い。
【0090】
B2.変形例2:
上記実施例では、イオン発生部50の内部空間72と排ガス帯電部40の内部空間71との間にノズル42が形成されていた。しかし、それら2つの内部空間71,72の間にはノズル42は形成されていなくとも良い。ただし、2つの内部空間71,72の間にノズル42を設けることにより、ノズル42からの噴流によって内部空間71に負圧を発生させることができる。従って、流入孔45を介した外部からの排ガスの取り込みを良好にして、その取り込み量を安定させることができ、排ガス中の微粒子量の検出精度を向上させることが可能である。
【0091】
B3.変形例3:
上記実施例では、微粒子センサ100の先端部100eは、排ガス配管415の延伸方向(排ガスの流れ方向)に対してほぼ垂直に挿入されていた。しかし、微粒子センサ100の先端部100eは、排ガス配管415の延伸方向に対して垂直に挿入されていなくとも良い。微粒子センサ100の先端部100eは、排ガス配管415の延伸方向に対して斜めに挿入されるものとしても良い。
【0092】
B4.変形例4:
上記実施例では、ケーブル120の空気供給管123の外周に設けられた補強部材123sは、金属線を編み組することにより構成されていた。しかし、補強部材123sは、他の部材によって構成されるものとしても良い。例えば、補強部材123sは、空気供給管123を構成する樹脂部材より熱可塑性の低い部材で構成されるものとしても良い。このような部材で構成されていれば、温度の上昇に伴う空気供給管123の耐圧性の低下を、補強部材123sによって補償することができる。
【0093】
B5.変形例5:
上記実施例では、ケーブル120に収容された空気供給管123の補強部材123sは、空気供給管123の外周全体を被覆するように形成されていた。しかし、補強部材123sは、空気供給管123の外周の一部にのみ形成されるものとしても良い。例えば、補強部材123sは、微粒子センサ100の近傍の部位や排ガス配管415の近傍に配設される部位にのみ形成されるものとしても良い。
【0094】
B6.変形例6:
上記実施例では、ケーブル120に、第1と第2の絶縁電線121,122と、補強部材123sが設けられた空気供給管123とが収容されていた。しかし、ケーブル120には、少なくとも、補強部材123sが設けられた空気供給管123と、放電電極として機能する第2の電極20に接続された第2の絶縁電線122とが収容されていれば良い。
【0095】
B7.変形例7:
上記実施例では、ケーブル120内に二重のシールド線SL1,SL2を設け、第1のシールド線SL1を、電気回路部112と微粒子センサ100の先端部100eとを接続する信号線124として機能させていた。しかし、ケーブル120の第1のシールド線SL1は省略されるものとしても良く、電気回路部112と先端部100eとを接続する信号線124は、第1のシールド線SL1とは別個に設けられるものとしても良い。この場合に、信号線124は、ケーブル120内に収容されていなくとも良い。
【0096】
B8.変形例8:
上記実施例において、センサ制御部111は、電流差計測部230が出力する漏洩電流I
escに相当する補償電流I
cに基づいて排ガス中の微粒子である煤Sの量を検出していた。しかし、センサ制御部111は、微粒子センサ100のイオン捕捉部30における陽イオンPIの捕捉量に基づいて排ガス中の煤Sの量を検出すれば良く、上記実施例以外の他の方法によって煤Sの量を検出するものとしても良い。具体的には、センサ制御部111は、コロナ放電後に、イオン捕捉部30における陽イオンPIの捕捉量に応じて低下した先端部100eのケーシングCSの電位の計測値に基づいて排ガス中の煤Sの量を検出するものとしても良い。
【0097】
B9.変形例9:
上記実施例では、先端部100eにおけるケーシングCSの内壁面の一部をコロナ放電の陰極や陽イオンPIを捕捉するための陰極として機能させていた。しかし、それらの陰極は、先端部100eのケーシングCSとは別の部材として別個に設けられるものとしても良い。
【0098】
B10.変形例10:
上記実施例では、コロナ放電により第2の電極20とノズル形成部材41との間で陽イオンを発生させ、第1の電極10にて陽イオンとの間で斥力を生じさせる構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、これらの部材10,20,41の正負の接続先を変更することで、 コロナ放電により第2の電極20とノズル形成部材41との間で陰イオンを発生させ、第1の電極10にて陰イオンとの間で斥力を生じさせる構成を採って被検出ガス中に含まれる微粒子の量を検出するようにしてもよい。