特許第5653276号(P5653276)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5653276
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】固体インクプリンター
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20141218BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20141218BHJP
【FI】
   B41J2/175 401
   B41J2/01 111
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-76623(P2011-76623)
(22)【出願日】2011年3月30日
(65)【公開番号】特開2011-218808(P2011-218808A)
(43)【公開日】2011年11月4日
【審査請求日】2014年3月26日
(31)【優先権主張番号】12/759,186
(32)【優先日】2010年4月13日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カレン・ヴイ・ツォッチ
(72)【発明者】
【氏名】ブレント・ロドニー・ジョーンズ
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー・エル・クロフォード
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・ビー・ヘンケル
(72)【発明者】
【氏名】パトリシア・エル・ワーナー
【審査官】 小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−067050(JP,A)
【文献】 特表2005−503937(JP,A)
【文献】 特開2006−267601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体インクプリンターであって、
固体インクスティックを受容するように構成された挿入用開口部を有するフィードチャンネルと、
前記フィードチャンネルの前記挿入用開口部の近隣に配置されたセンサーであって、前記フィードチャンネルの前記挿入用開口部に挿入された固体インクスティックから固体インクスティック種類データを入手するように構成されたセンサーと、
前記固体インクスティック種類データを受信するように前記センサーに動作可能に接続されたコントローラであって、前記コントローラは、前記固体インクスティック種類データが非後発/汎用インクスティックである場合、前記個体インクプリンターが初期化状態にある時に、前記固体インクスティック種類データをメモリに保存し、かつ、その後に前記挿入用開口部に挿入された固体インクスティックから、前記コントローラによって前記メモリ内に保存された前記固体インクスティック種類データに対応する固体インクスティック種類データが得られた場合にのみ応答して、前記フィードチャンネルを遮断するゲートを移動させることによって、前記メモリ内に保存された前記固体インクスティック種類データを参照して前記固体インクプリンターを動作させるように構成される、コントローラと、を含み、
前記コントローラは、前記センサーから受信された前記固体インクスティック種類データから汎用固体インクスティックを検出し、汎用固体インクスティックのカウントを生成し、前記汎用固体インクスティックのカウントが所定の閾値を越えるのに応答してプリンター動作を変更する固体インクプリンター。
【請求項2】
前記センサーは、さらに、
固体インクスティックが挿入された前記フィードチャンネル内の前記挿入用開口部の領域の一部に光を方向づける少なくとも1つの光源と、
前記フィードチャンネルの前記挿入用開口部に挿入された固体インクスティックによる光の反射を検出するために前記少なくとも1つの光源に近接して配置された検出器と、
を含む、請求項1に記載の固体インクプリンター。
【請求項3】
前記コントローラは、リセット信号が前記コントローラによって受信されるのに応答して前記フィードチャンネルの前記挿入用開口部内に挿入された新しい固体インクスティックのための前記固体インクスティック種類データを前記メモリに保存するようにさらに構成される、請求項1に記載の固体インクプリンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に説明する固体インクスティック学習システムは、主に固体インクプリンターに関し、より詳細には、異なる種類の固体インクスティックを異なる溶融装置に送達させるための複数のフィードチャンネルを有する固体インクプリンターに関する。
【背景技術】
【0002】
固体インクまたは相変化インク画像生成装置(以下、固体インクプリンターと呼ぶ)は、多様な画像生成装置(例えば、プリンターおよび多機能デバイス)を包含する。これらのプリンターには、他の種類の画像生成装置(例えば、レーザー画像生成装置および水性インクジェット画像生成装置)と比較して、多くの利点がある。従来の固体インクプリンターまたは相変化インクプリンターの場合、固体状のインクをペレットとしてまたはインクスティックとして受け取る。カラープリンターでは典型的には、4色のインク(黄色、シアン、マゼンタ、および黒色)が用いられる。
【0003】
固体インクペレットまたはインクスティック(以下、インクスティック(単数または複数))は、溶融装置に送達される。この溶融装置は典型的には、固体インクを液体に変換するために、インクローダーに接続される。典型的なインクローダーは、複数のフィードチャンネルを含む。これらの複数のフィードチャンネルのそれぞれが、画像生成装置において用いられる各色に対応している。各チャンネルは、挿入用開口部を有する。この挿入用開口部内に、特定の色のインクスティックが配置された後、当該インクスティックは、重力送りされるかまたは前記フィードチャンネルに沿ってコンベヤまたはバネ仕掛けのプッシャーによって送られる。各フィードチャンネルは、前記チャンネル内の固体インクを、前記チャンネルの端部において発見される溶融装置に向かって方向付ける。各溶融装置は、前記溶融装置の接続先である前記フィードチャンネルから固体インクを受け取り、自身の上に衝突してくる固体インクを加熱して、前記固体インクを液体インクに変換する。この液体インクは、印字ヘッドへと送達されて、記録媒体または中間転写面上へとジェット噴射される。
【0004】
各フィードチャンネル挿入用開口部は、鍵付き開口部を有する捨て版によって被覆され得る。この鍵付き開口部により、プリンターユーザが正しい色のインクスティックをフィードチャンネル内に確実に配置することが可能になる。この目的を達成するために、各鍵付き開口部は、ユニークな形状となっている。すなわち、特定のフィードチャンネルに対応する色のインクスティックの形状は、鍵付き開口部の形状に対応している。これらの鍵付き開口部および対応するインクスティック形状は、当該フィードチャンネルに適した色のインクスティックを除いて、全色の各インクフィードチャンネルインクスティックから除外される。
【0005】
鍵付き開口部は、誤った色のインクスティックがフィードチャンネルに挿入される可能性を低減する点では有用であるものの、他の重要な局面において、インクスティックが変化する可能性もある。これらの他の変化局面を検出し、不適合スティックがフィードチャンネル内で用いられないよう遮断するために、他のインクスティック特定システムも開発されている。これらのシステムでは、画像生成装置、接触型および/または非接触型のスイッチおよびセンサーを用いて、フィードチャンネル内に挿入されたインクスティックを特定し、不適合インクスティックの検出に応答して、前記フィードチャンネルを遮断する。しかし、これらのシステムの場合、プリンター内において使用される予定のインクスティックの種類に合わせてセンサーまたはスイッチを製造工場において構成する必要がある。識別システムの場合、当該インクスティックを識別するためのデータを、製造現場においてプリンターソフトウェア内に保存する必要がある。製造工場において各プリンターを適切に構成するために、感知システムおよび/またはデータを前記工場において識別し、前記プリンター内にインストールする必要がある。そのため、プリンターの組み立て時に、マシンの用途または顧客が分かっている必要がある。顧客がプリンターを入手できる前に製造現場でのプリンターの完成が必要である場合、遅れが発生し、見込み顧客もより容易に入手可能なデバイスを購入することを決心し得る。あるいは、異なる様態で事前規定されかつ構成された複数のプリンターの在庫を持つことも非実際的である。
【0006】
この問題に対応するための1つのアプローチとして、ユーザが居る現場においてメモリフォブまたはデータ入力デバイス(例えば、キーボードまたは他のユーザインターフェース)を用いて識別用データを当該プリンターにイントールする方法がある。しかし、この方法の場合、不適合インクスティックが一時的に使用できるよう他のプリンターをプログラムするために、メモリフォブまたはキーストロークシーケンスが不正に入手される可能性がある。換言すれば、不適合インクスティックを検出して、このようなインクスティックがプリンターにおいて使用されている可能性についてユーザに警告するという識別システムのの言う力が失われ得る。不適合インクスティックを挙げると、多様なインク配合組成、色相および彩度、ならびに異なるサイズおよび形状がある。プリンターにおける不適合インクスティックが一時的であったとしても、印字ヘッドの動作に影響が出る可能性あがり、また印刷画質も劣化する。インク品質への影響は、適合インクスティックの使用が再開した後も存続する可能性がある。そのため、プリンターにおけるインクスティック識別システムをイネーブルするためのよりロバストな方法があると有用である。
【0007】
固体インクスティックプリンターは、当該プリンターにおける使用が認証された固体インクスティックについての固体インクスティック識別情報を学習するように、構成される。前記固体インクプリンターは、固体インクスティックを受容するように構成された挿入用開口部を有するフィードチャンネルと、前記フィードチャンネルの前記挿入用開口部の近隣に配置されたセンサーであって、前記フィードチャンネルの前記挿入用開口部に挿入された固体インクスティックから固体インクスティック種類データを入手するように構成されたセンサーと、前記固体インクスティック種類データを受信するように前記センサーと通信可能に接続されたコントローラとを含む。前記コントローラは、前記固体インクスティック種類データが非後発/汎用インクスティックである場合、前記個体インクプリンターが初期化状態にある時に、前記固体インクスティック種類データをメモリ内に保存し、かつ、その後に前記挿入用開口部に挿入された固体インクスティックから、前記コントローラによって前記メモリ内に保存された前記固体インクスティック種類データに対応する固体インクスティック種類データが得られた場合にのみ応答して、前記フィードチャンネルを遮断するゲートを移動させることによって、前記コントローラによって前記メモリ内に保存された前記固体インクスティック種類データを参照して前記固体インクプリンターが動作するように、構成される。かつ、前記コントローラは、前記センサーから受信された前記固体インクスティック種類データから汎用固体インクスティックを検出し、汎用固体インクスティックのカウントを生成し、前記汎用固体インクスティックのカウントが所定の閾値を越えるのに応答してプリンター動作を変更する。

【0008】
固体インクプリンターを動作させる方法により、前記プリンターにおける使用が認証された固体インクスティックに関する識別情報を学習することを可能にする。前記方法は、フィードチャンネルの挿入用開口部に固体インクスティックを挿入することと、前記フィードチャンネルの前記挿入用開口部に挿入された固体インクスティックから固体インクスティック種類データを入手することと、初期化状態がアクティブになるのに応答して前記固体インクスティック種類データをメモリに保存することと、前記メモリ内に保存された前記固体インクスティック種類データを参照して前記固体インクプリンターを動作させることとを含む。
【0009】
プリンターにおいて用いられる固体インクスティックから得られた識別情報と共にプログラムされたプリンターの特徴について、以下の図面を参照しつつ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】固体インクプリンター内のインクローダーの斜視図である。
図2A】光学センサーを備えた固体インクスティックの端面図である。
図2B図1Aの固体インクスティックの別の側面図である。
図3】固体インクスティックからの識別データを保存する方法のフロー図である。
図4】プリンターをインクスティック種類データと共にプログラムした後に後発/汎用インクスティックを受け入れるプロセスのフロー図である。
図5図2の方法と共に用いることが可能なインクスティック識別子の例示的な順序付きリストのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
「プリンター」という用語は、例えば、一般的に再生デバイス(例えば、プリンター、ファクシミリ装置、コピー機、および関連する多機能製品)を指す。本明細書では、固体インクプリンター内の固体インクスティックを用いて画像化を行うシステムについて焦点を当てるが、このシステムは、画像形成においてマーキング材料を用いる任意のプリンターにおいて用いることができる。本明細書中用いられる「コントローラ」という用語は、電子制御ユニットを指し、典型的には、マイクロプロセッサ、汎用CPU(例えば、ARMファミリーからのCPU)、またはデータの送受信およびプリンターの動作の制御ができるように適合された任意のデータ処理デバイスを含む。他のプリンター設計を挙げると、全てのプリンター動作に対して単一のコントローラを用いた設計、または、前記プリンターの機能のサブセットをそれぞれ制御する複数のコントローラを用いた設計がある。「メモリ」という用語は、当該コントローラが利用することが可能な方法でデジタル情報の保存および検索を行うことが可能な任意のデバイスを指す。一般的な例を非限定的に挙げると、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)およびスタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)がある。メモリという用語は、プリンター、コントローラまたはメモリのうちいずれかの電力が無くなった場合にデジタル情報を保持することが可能な不揮発性データ記憶デバイスも含む。不揮発性メモリの一般的例を挙げると、磁気ハードディスクドライブ、NORおよびNANDベースのソリッドステート記憶デバイス、バッテリーによりバックアップされたダイナミックまたはスタティックランダムアクセスメモリ(RAM)デバイス、磁気RAM(MRAM)デバイス、相変化RAM(PRAM)デバイス、または電力が無くても保存されているデジタル情報を保持することが可能な任意のデバイスがある。メモリは典型的にはプリンターのハウジング内にあることが多いが、前記メモリは前記プリンターから物理的に離れていてもよく、例えば、データネットワーク接続を介してコントローラがデータ記憶システムにアクセスできるようにしてもよい。「インクスティック」という用語は、任意の形態の固体インク(例えば、ブロック、トローチ、または液体インクへの変換のために溶融装置へと送達される他の固形物)を指す。
【0012】
図1に、インクローダー110を示す。インクローダー110は、機械化ドライブと、重力送り部とを含む。図1に示すように、曲線状のフィードチャンネル114は、エンドレスベルト118を含む。エンドレスベルト118は、プーリ120の周囲に取り付けられる。これらのプーリ120のうち少なくともいくつかは、モータおよび歯車列122などによって駆動される。ポート124の挿入用開口部に挿入されたインクスティック126は、ベルト118と係合し、プーリ120が駆動されるのに応答して、フィードチャンネル114に沿って搬送される。曲線128を通じて移動した後、インクスティック126は、溶融装置130に向かって働く重力により、落下する。図1に示すように、インクスティックのスタックは、フィードチャンネル114の重力送り部内において、発達し得る。これらのスティックの重量により、最下部にあるスティックが溶融装置130に向かって押し出され、より効率的な溶融が可能となる。
【0013】
本開示の実施形態によれば、図1を参照して、システム146は、インク供給物(例えば、固体インクスティック172)についての識別データを入手したローダーポート124内にインストールされたインク供給物が識別できるよう、インクローダー110に接続される。システム146は、固体インクスティックセンサー156と、コントローラ136と、メモリ182とを含む。コントローラ136は、デジタル形態のデータの保存および検索が可能なように、動作可能かつ通信可能にメモリ182に接続される。メモリ182中に保存されているデジタルデータは、センサー156から入手されたインクスティック種類識別データを含む。固体インクスティックセンサー156は、ポート124内に配置された固体インクスティック172からの固体インクスティック種類識別データを入手するように、構成される。
【0014】
図2Aおよび図2Bは、光学検出器との使用に適した識別機能を有する固体インクスティック200を示す。インクスティック200は、1つ以上の挿入領域220、224および228を有する。これらの挿入領域220、224および228は、インクスティック表面の一部(例えば、側部210)に任意選択的に切り込むことができるが、インクスティック表面を挿入物と共に構成してもよい。このインクスティックは、フィードチャンネル(図示せず)用の挿入用開口部内に配置され、前記プリンターとの使用について評価される。光学センサー220は、前記挿入用開口部内に配置されたインクスティックからインクスティック種類識別データが入手できるよう、前記挿入用開口部の近隣に取り付けられる。光学センサー220は、光源212および光学検出器216を含む。光源212から生成された光は、挿入用開口部に挿入されたインクスティックによって占有されている位置において、前記挿入用開口部に向けられる。前記挿入用開口部内のインクスティックの部分が、側部210に光が入射した位置において発見された挿入物を有していない場合、前記光は、前記インクスティックによって反射されて、図2A中の実線で示すように、検出器216内へと入る。逆に、光源212から方向付けられた光がある位置において側部210内に挿入物が構成されている場合、光が表面から反射されて、図2A中の破線によって示すように、光学検出器216から離隔方向に出て行く。そのため、光学検出器216は、インクスティックから検出器内へと反射された光に対応する電気信号を生成する。この電気信号は、デジタル値に変換することができ、前記プリンター内のコントローラへと入力される。前記インクスティック内に配置された複数のセンサー機能と協調して、複数のセンサーが用いられ得る。追加的にまたは代替的に、ジオメトリによって影響される光強度反射の変化は、インク種類を区別するように、検出することができる。この場合、前記コントローラは、前記変換された電気信号の大きさと、閾値とを比較する。この閾値により、インクスティックの表面210内に挿入物が存在するかを前記コントローラが識別することが可能になる。
【0015】
図2Bは、インクスティックの側面図を示す。図2Bにおいて、前記インクスティックの表面210内に4つの可能な挿入領域224、228、232または236が設けられている様子が図示されている。各挿入領域は、光を前記インクスティックに向かって方向付けるように前記挿入用開口部の近隣に配置された光学センサー220を有し得る。前記光学センサーそれぞれに動作可能に接続されたコントローラは、領域224、228、232または236のうち1つ以上が挿入物と共に構成されているかを検出することができる。2進数を用いて、挿入物が存在することを表す際に2値1を用い、挿入物が存在しないことを表す際に2値0を用いることができる。そのため、4つの機能により、16個までの異なる組み合わせが可能となり、これらの組み合わせを用いて、16個の異なるインクスティック種類を識別することができる。本明細書中、インクスティックから得られた2進化ワードをインクスティック種類識別データと呼ぶ。進化ワードについて説明したが、挿入物を異なる深さで形成してもよく、また、光学センサー内に2個以上の光学検出器を設けてもよい。このように、インクスティック種類識別データを3桁でまたデータコード化のための他の公知のデジタルデータスキームを用いて表すことができる。また、インクスティック構成内により多数のまたはより少数の挿入領域を設けてもよい。このインクスティック種類識別データは、メモリ内のコントローラによって保存され得る。このメモリは、前記コントローラに動作可能に接続され、前記プリンターを動作させるために前記コントローラによって用いられる。1つの現在の実装様態では、インクスティック識別のために8つの異なる組み合わせを用いることを可能にする3つのバイステートセンサー機能が用いられる。
【0016】
光学センサー220は、固体インクスティックから固体インクスティック種類識別データを入手できかつ種類識別データをコントローラに通信できるものであれば、任意の適切な感知デバイスでよい。固体インクスティックセンサーの可能な実施形態を非限定的に挙げると、インクスティック上の磁気インクを検出する磁気センサーまたは置換可能な部材がある。この置換可能部材は、インクスティックと係合し、スイッチ上に作用するように適合されるか、または、前記置換可能部材の移動距離に対応する電気信号を生成し得る。
【0017】
図3中に、図2Aおよび2Bのインクスティックとの使用に適したインクスティック識別およびプリンター動作の方法のフロー図を示す。動作プロセス300は、プリンターの初期化状態の活性化(ブロック304)と共に開始する。初期化状態が活性化された後、プロセスはブロック308に入り、フィードチャンネルの挿入用開口部に挿入されたインクスティックを有効化する。この初期化は、プリンターの製造時に行うことができるが、より典型的には、初期化は、新規のプリンターを顧客の居る現場において初めてインストールする際またはその後に行われることが多い。初期化は、プリンターが初期化モードまたは初期化状態にある時にしか可能ではなく、このような初期化時において、第1のインクスティックをプリンター内にロードする(ブロック308)。その後、上述したようなセンサーを用いて、インクスティック種類識別データをインクスティックから入手する(ブロック312)。前記インクスティックから入手された識別データと、後発/汎用インクスティックの種類識別コードとを比較する(ブロック316)。前記インクスティックが後発/汎用インクスティック(例えば、便宜上新規プリンター用に供給されるインクスティック)である場合、後発/汎用インクスティックのカウントをインクリメントする(ブロック320)。前記後発/汎用インクスティックのカウントが所定の閾値を下回る場合(ブロック324)、前記プリンターは、前記後発/汎用インクスティックを受け入れ、新しいインクスティックがロードされる(ブロック308)まで、前記プリンターは、前記後発/汎用インクスティックを用いて動作する(ブロック328)。前記後発/汎用インクスティックのカウントが(不適切に入手されたかまたは不適合であるインクスティックを示す)前記所定のカウントを越える場合、前記プリンターは、不正なインクスティックが前記プリンターに挿入されている状態に対応するモードで動作する(ブロック332)。例えば、前記プリンターは、挿入用開口部内のインクスティックがフィードチャンネル内に入って溶融装置へと送られることを可能にするように動作すべき1つ以上のゲートまたは運搬装置を有し得る。これらのゲートおよび/または運搬装置は、プリンター内における不正なインクスティックの使用を回避するように動作する必要は無い。あるいはまたはさらに、前記コントローラに動作可能に接続されたディスプレイを操作して、後発/汎用インクスティックの上限に達したことを示すメッセージをユーザに表示してもよい。また、メッセージを用いて、プリンターの動作が許可されるようにプリンター内に挿入することが可能なインクスティックの種類(単数または複数)を示してもよい。プリンターの動作は、変更または阻止することができる。ユーザの便宜のためにプリンターに供給される後発/汎用インクスティックの数は、プログラムされた、後発/汎用インクスティックの許可されたカウント以下であり得る。
【0018】
再度図3を参照して、非後発/汎用インクスティックが検出された場合(ブロック316)、前記コントローラは、初期化状態がアクティブであるか決定する(ブロック344)。当該プリンター内において使用可能なインクスティックの種類についてのデータとして保存可能であるよう、固体インクスティック種類識別データは、コントローラに動作可能に接続されたメモリ内に保存されているインクスティック種類識別ワードと対応していなければならない(ブロック348)。これらのインクスティック識別ワードは、当該プリンター内において使用可能なインクスティック種類のグループを含む。新規のインクスティック種類識別データが、前記コントローラに動作可能に接続されたメモリ内に保存されているインクスティック識別ワードのうちの1つと対応する場合、この新規インクスティックから得られた固体インクスティック種類識別データを、前記コントローラに動作可能に接続された前記メモリ内に、プリンター動作について許可されたインクスティック種類として保存する(ブロック352)。その後、初期化状態を不活性化するかまたはリセットする(ブロック356)。その後、コントローラは、検出されている許可済みのインクスティックを参照して、前記プリンターを動作させる(ブロック364)。前記新規インクスティック種類識別データが、前記コントローラに動作可能に接続された前記メモリ内に保存されているインクスティック識別ワードのうちの1つと対応しない場合(ブロック348)、前記プリンターは、不正インクスティックモードで動作する(ブロック332)。
【0019】
前記初期化状態がアクティブではない場合(ブロック344)、インクスティック種類識別データは、前回の初期化状態時に前記メモリ内に保存されている。従って、前記コントローラは、前記インクスティックから得られたインクスティック種類識別データと、前記コントローラに動作可能に接続された前記メモリ内に保存されている前記インクスティック種類識別データとを比較する(ブロック360)。前記挿入用開口部内のインクスティックについてのインクスティック種類識別データが、前記メモリ内に保存されている前記インクスティック種類識別データに対応する場合、前記コントローラは、許可済みインクスティックモードで前記プリンターを動作させる(ブロック364)。前記挿入用開口部内のインクスティックについてのインクスティック種類識別データが、前記メモリ内に保存されている前記インクスティック種類識別データに対応しない場合、前記コントローラは、前記プリンターを不正インクスティックモードで動作させる(ブロック332)。
【0020】
初期化状態がアクティブである限り、図3のプロセスにより、顧客による初回使用を含む任意の時に、インクスティック種類を前記プリンターに対してセットするために、非後発/汎用インクスティックを挿入することが可能となる。インクスティック種類の設定後も、後発/汎用スティックを任意のカウント上限まで使用することが可能である。インクスティック種類の設定後は、前記コントローラは、後発/汎用インクスティック以外の異なる種類のデータを有するインクスティックの挿入に応答する。この応答は、上述したように、非後発/汎用インクスティックの使用を排除し、初期化状態に保存されたインクスティック種類データに適合しないインクスティック種類の認識と一貫する様式で応答することにより、行われる。前記許可されたインクスティック種類が前記コントローラに動作可能に接続された前記メモリ内に保存された後に前記挿入用開口部に挿入されたインクスティックは、後発/汎用インクスティック、許可されたインクスティック、または不正なインクスティックの3種類のうちの1つである。後発/汎用インクスティックについての許可されたカウントを越えた場合、後発/汎用インクスティックは受け入れられなくなる(ブロック324)。他のインクスティック種類については、前記コントローラは、当該スティック上のインクスティック種類識別データが、初期化状態時に前記メモリ内に保存されたインクスティック種類識別に対応するかを決定する(ブロック360)。そして、前記種類データが対応している場合、前記コントローラは、前記プリンターを許可済みモードで動作させ(ブロック364)。前記種類データが対応していない場合、前記コントローラは、前記プリンターを不正モードで動作させる。
【0021】
図3中に示すプロセスはひとえに例示的なものであり、他の様態で行うことも可能である。このプロセスにより、当該プリンターと共に用いられるべきインクスティックの種類を工場において指定せずに、当該プリンターを顧客に渡すことが可能になる。その代わりに、当該プリンターは、所定数の後発/汎用インクスティックを受け入れることができる。このような受け入れは典型的には、システム設定時、サービス時または修理時にサービススタッフによって行われ得る。プログラミングは、インクスティック種類のグループのうちの1つを当該プリンターに挿入することにより行われ、その後、前記挿入されたインクスティックに対応するインクスティック種類が保存され、この保存されたインクスティック種類は、その後に当該プリンターに挿入されたインクスティックを評価する際に用いられる。製造工場から引き渡されたプリンターは典型的には、動作目的のために、ごく限られた数の種類の後発/汎用インクスティックしか受け入れることができない場合が多い。第1の受容可能なインクスティック種類が受け入れられた後は、前記プリンターは、この非後発/汎用インクスティック種類との使用に限定される。このようにして、ごく一部の固体インクスティックのみを、当該プリンター内における使用が可能な唯一の種類の固体インクスティックとして、唯一の種類の固体インクスティックとして選択することが可能となる。
【0022】
プリンターのサービス作業をより柔軟にするために、サービススタッフは、当該プリンターを公知の様式でサービスモードまたは診断モードにすることができる。このようなサービスを用いて、当該プリンターがさらなる後発/汎用インクスティックを受け入れかつ/また当該プリンターを再プログラムすること可能になる。これらの目的において有用なサービスモードプロセスの一例を図4に示す。プロセス400において、プリンターはサービスモードに入り(ブロック404)、プリンターは、後発/汎用インクスティックカウントを表示することができる(ブロック408)。ユーザインターフェース内において実行されたアクチュエータまたはスクリーンタッチエリアを用いて、サービス担当者は、後発/汎用インクスティックカウントをリセットすることができる(ブロック412)。このカウントがゼロまたは許可されている最大カウント未満の値にリセットされると、当該プリンターが、プリンター動作のために後発/汎用インクスティックを前記許可されているカウントまで受け入れることが可能になる。典型的には、サービス担当者は、自身がサービス要請において必要であると見積もった複数の後発/汎用インクスティックに対応する値まで、後発/汎用インクスティックカウントを変更する。後発/汎用インクスティックカウントが前記所定の上限値まで複数の後発/汎用インクスティックが用いられた後は、プリンターは再度、その後の後発/汎用インクスティックを拒絶する。
【0023】
プリンターと共に用いられるインクスティックの種類をリセットするために、別のシナリオを用いることもできる。例えば、顧客は、プリンターを購入した後、自身の居る地理的地域内の随時購入型プログラムと関連付けられたインクスティック種類で前記プリンターをプログラムすることができる。一定期間後、顧客は、プリンターによって作製されたコピー数が一定数に達したため、自身が「サプライ提供」プログラムに申し込む資格が有ることに気付くことができる。この「サプライ提供」プログラムにおいて、顧客は、1個売り請求金額と関連付けられたインクスティック種類を用いる。顧客のためにプログラムを適切に変更した後、サービス担当者は、前記プリンターをインク種類初期化状態にして、前記プリンターに対するインクスティック種類を設定するために、次の非後発/汎用インクスティックの挿入をイネーブルする。この次の非後発/汎用インクスティックは、前記顧客の居る地理的地域に合った「サプライ提供」プログラムを通じて提供された種類のインクスティックであるべきである。その後、前記プリンターは、この適切な「サプライ提供」インクスティックを受け入れ、その後は、随時購入型プログラムに対応するインクスティック種類識別データを有するインクスティックを受け入れない。
【0024】
不正インクスティックモードの動作において、プリンターは、プリンターのメモリ内に保存されているインクスティック種類に対応していないインクスティック種類の検出と一貫した1つ以上の動作を行い得る。これらの動作を挙げると、不正なインクスティックの没収、印刷動作の停止、および/または不正なインクスティックの使用の記録がある。また、プリンターは、不正なインクスティックが印刷動作において用いられるのを回避し、前記不正なインクスティックの除去を許可することもでき、これにより、保存されているインクスティック種類に対応する新規インクスティックがロードされるようにする。例えば、コントローラは、奥の位置に停止部材を配置することで、挿入されたインクスティックがフィードチャンネルを下降して溶融装置に到達する事態を回避することができる。当該インクスティックが除去されかつ新規インクスティックが識別対象として挿入されるまで、この停止部材を奥の位置に留まらせておくことができる。不正なインクスティックの挿入と一貫する他の動作を挙げると、「受容不可能なインクスティック」インジケータの点灯、挿入されたインクスティックの不適合点に関するメッセージの表示、インクローダーへのアクセスドアの遮断、プリンターの電源オフなどがある。許可されたインクスティックの挿入と一貫するプリンター動作を挙げると、典型的なプリンターによる印刷画像生成動作があり、また、「受容可能なインクスティック」インジケータの点灯、ロードされたインクスティックが受容可能である旨のメッセージの表示などがある。不正なインクスティックの挿入に対する他のプリンター応答に関係無く、いくつかの機能(例えば、走査)が継続的に影響を受けないようにすることも可能である。
【0025】
後発/汎用インクまたは設定されたインク種類以外のインクスティックについては、代替的使用により不利な影響(当該プリンター内に保存されているインクスティック種類よりも良い値段でスティックを売ることができること)が生じない場合、その使用をイネーブルすることができる。この例において、価格設定による影響が商品の魅力に及ぼされ、そのため、グレーマーケット、裁定取引および不適切な地理的再分配が自己制御状態となり得る。図5は、プリンターをプログラムする際に用いられるインクスティック以外のインクスティックを前記プリンターの動作において用いることを可能にするためのインクスティック識別子の順序付きリストの一例を示す。図5において、順序付きリスト500は、インクスティックについての識別情報(例えば、種類C518のスティック、種類B524のスティック、および種類A530のスティック)を含む。これらの識別子は、種類Aの識別子530から始まって種類Cの識別子518で終わる1方向順序でさらに配列される。検出されたインクスティックについての識別情報がメモリ内に保存されると、この識別情報は、順序付きリスト500中の種類のうちの1つに対応し得る。.「種類B」のインクスティックについてのインクスティック識別情報がプリンターのメモリに保存された場合、この識別情報は、図5中の識別子524に対応する。この識別情報が前記メモリ内に保存された後、前記順序付きリスト中の対応する登録事項から到達可能な図5中で保存された種類のインクスティックのうちの1つに当該識別情報が対応する場合、新規にロードされたインクスティックを受容することが可能な状態となる。一例として、種類Bのインクスティックについての識別情報がメモリに保存された場合、新規にロードされた種類Bのインクスティック524または種類Cのインクスティック518が受容可能である。しかし、種類Aのインクスティック518は、種類Bについてのリスト登録事項524から出発した場合、順序付きリスト500内において到達することができない。すなわち、種類Aのインクスティックは、当該プリンターとの使用について受容されない。プリンターは、新規にロードされたインクスティックについての識別情報と、多様な基準(例えば、インクスティックサイズ、インク品質、またはインクコスト)などに基づいて順序を決定することが可能な1つ以上の順序付きリスト(例えば、順序付きリスト500)とを任意選択的に比較することができる。
【0026】
上述した実施形態において、挿入用開口部およびフィードチャンネルがそれぞれ1つだけある場合について説明した。固体インクプリンターは典型的には、複数の色のインクによる印刷をサポートする複数のフィードチャンネルおよびセンサーを有する。各フィードチャンネルは、自身の固有の挿入用開口部を有し、独立的にプログラマブルである。これらの機能により、例えば、後発/汎用インク挿入カウントを相互に追跡することが可能になる。あるいは、前記挿入用開口部のうちの1つが、プリンター内に保存されている部材のグループのうちの1つに対応するインクスティック種類データを有するインクスティックを受け入れ、このインクスティック種類データがメモリ内に保存されると、このインクスティック種類データに基づいて、前記挿入用開口部のうち任意の挿入用開口部内にロードされている全てのインクスティックの評価が行われるようになる。固体インクスティックから得られた固体インクスティック種類データと、メモリ内に保存された種類データとをコントローラを用いて比較する別の方法も可能である。例えば、固体インクスティック種類データの順序付きリストを固体インクプリンターの製造時にメモリ内に保存することができる。この順序付きリストにより、1つ以上の要素(例えば、インクスティックのサイズまたは価格)に従って、異なる固体インクスティック種類をランク付けする。異なるインク色に対して、別個のランキングが存在し得る。例えば、受容可能なインク種類の順序付きリストは、黒色インクスティックに限定され得る。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5