(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5653299
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1333 20060101AFI20141218BHJP
G02F 1/1347 20060101ALI20141218BHJP
【FI】
G02F1/1333
G02F1/1347
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-129264(P2011-129264)
(22)【出願日】2011年6月9日
(65)【公開番号】特開2012-255937(P2012-255937A)
(43)【公開日】2012年12月27日
【審査請求日】2013年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大平 栄治
(72)【発明者】
【氏名】桑島 由佳
【審査官】
弓指 洋平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−078898(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0147174(US,A1)
【文献】
特開2008−145668(JP,A)
【文献】
特開2001−166259(JP,A)
【文献】
特開平09−073049(JP,A)
【文献】
特開2006−337786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1333
G02F 1/1347
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面及び前記表示面とは反対側の裏面を有する液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルに表示された左眼画像と右眼画像を分離して裸眼立体視を可能にするために、前記液晶表示パネルの前記表示面側に重ねられた視差バリア用液晶パネルと、
前記視差バリア用液晶パネルの、前記液晶表示パネルとは反対側に重ねられた光透過性基板と、
前記液晶表示パネルの表示領域を囲むように前記光透過性基板に形成された遮光枠と、
前記液晶表示パネルの前記裏面側に配置された、導光板を含むバックライトと、
前記導光板の端面と対向するように位置し、前記液晶表示パネルの端部を前記裏面側で支持し、前記液晶表示パネルよりも外側にはみ出す部分を有するフレームと、
を有し、
前記遮光枠は、前記フレームの前記導光板に隣り合う部分及び当該部分よりも外側の部分を覆うように形成され、
前記フレームは、入射する光の一部を反射するとともに一部を透過する材料からなる本体と、前記本体の前記導光板に対向する面を避けて前記本体の前記液晶表示パネル側の面であって前記液晶表示パネルからはみ出した部分に少なくとも形成された遮光膜と、を有し、
前記本体は、前記液晶表示パネルからはみ出した部分に、前記液晶表示パネルを支持する面から上方に突出する凸部を有し、前記凸部は、前記液晶表示パネルの側方に位置し、
前記遮光膜は、前記凸部の側面及び上面を含む領域に形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載された液晶表示装置において、
前記遮光膜は、前記本体の前記導光板に対向する前記面を避けて前記本体の全体に形成されることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された液晶表示装置において、
前記液晶表示パネルを前記フレームに貼り付ける遮光性の両面テープをさらに有し、
前記遮光膜は、前記両面テープと重複するように形成されることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された液晶表示装置において、
前記液晶表示パネルを前記フレームに貼り付ける遮光性の両面テープをさらに有し、
前記遮光膜は、前記両面テープとの重複をさけて形成されることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載された液晶表示装置において、
前記液晶表示パネルの前記視差バリア用液晶パネル側の偏光板と、前記視差バリア用液晶パネルの前記液晶表示パネル側の偏光板は、1つの偏光板が共用され、
前記遮光枠は、共用される前記偏光板の縁部を覆うように形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルにフロントパネルと呼ばれる透明基板を備える液晶表示装置が知られている(特許文献1)。フロントパネルの周辺部には不透明な領域(印刷部)があり、液晶表示パネルの表示領域の周囲を印刷部で隠すようになっている。
【0003】
近年、画像の立体表示の要求に応える製品が開発されており、携帯電話や携帯用情報端末等の中小型用機器としては、裸眼視するために視差バリア用液晶パネルを備えた液晶表示装置が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−78898号公報
【特許文献2】特開2004−294862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液晶表示パネルと視差バリア用液晶パネルを重ねると、液晶表示パネルからフロントパネルが離れてしまうため、フロントパネルを通して液晶表示パネルを斜めに見た際に、表示領域の周囲が視認されることがある。特に、液晶表示パネルの表示領域の周囲の領域(額縁)が狭い場合、液晶表示パネルを支持しているフレームが視認される。このフレームは、バックライトの導光板から光を受けて導波路と化し発光体となっているため、この発光が視認されると表示品位を劣化させることになる。
【0006】
本発明は、表示品位の劣化を防止した液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る液晶表示装置は、表示面及び前記表示面とは反対側の裏面を有する液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルに表示された左眼画像と右眼画像を分離して裸眼立体視を可能にするために、前記液晶表示パネルの前記表示面側に重ねられた視差バリア用液晶パネルと、前記視差バリア用液晶パネルの、前記液晶表示パネルとは反対側に重ねられた光透過性基板と、前記液晶表示パネルの表示領域を囲むように前記光透過性基板に形成された遮光枠と、前記液晶表示パネルの前記裏面側に配置された、導光板を含むバックライトと、前記導光板の端面と対向するように位置し、前記液晶表示パネルの端部を前記裏面側で支持し、前記液晶表示パネルよりも外側にはみ出す部分を有するフレームと、を有し、前記遮光枠は、前記フレームの前記導光板に隣り合う部分及び当該部分よりも外側の部分を覆うように形成され、前記フレームは、入射する光の一部を反射するとともに一部を透過する材料からなる本体と、前記本体の前記導光板に対向する面を避けて前記本体の前記液晶表示パネル側の面であって前記液晶表示パネルからはみ出した部分に少なくとも形成された遮光膜と、を有することを特徴とする。本発明によれば、遮光膜によってフレームから出る光を遮断するので、表示品位の劣化を防止することができる。
【0008】
(2)(1)に記載された液晶表示装置において、前記本体は、前記液晶表示パネルからはみ出した部分に、前記液晶表示パネルを支持する面から上方に突出する凸部を有し、前記凸部は、前記液晶表示パネルの側方に位置し、前記遮光膜は、前記凸部の側面及び上面を含む領域に形成されていることを特徴としてもよい。
【0009】
(3)(1)又は(2)に記載された液晶表示装置において、前記遮光膜は、前記本体の前記導光板に対向する前記面を避けて前記本体の全体に形成されることを特徴としてもよい。
【0010】
(4)(1)から(3)のいずれか1項に記載された液晶表示装置において、前記液晶表示パネルを前記フレームに貼り付ける遮光性の両面テープをさらに有し、前記遮光膜は、前記両面テープと重複するように形成されることを特徴としてもよい。
【0011】
(5)(1)から(3)のいずれか1項に記載された液晶表示装置において、前記液晶表示パネルを前記フレームに貼り付ける遮光性の両面テープをさらに有し、前記遮光膜は、前記両面テープとの重複をさけて形成されることを特徴としてもよい。
【0012】
(6)(1)から(5)のいずれか1項に記載された液晶表示装置において、前記液晶表示パネルの前記視差バリア用液晶パネル側の偏光板と、前記視差バリア用液晶パネルの前記液晶表示パネル側の偏光板は、1つの偏光板が共用され、前記遮光枠は、共用される前記偏光板の縁部を覆うように形成されていることを特徴としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る液晶表示装置を示す平面図である。
【
図2】
図1に示す液晶表示装置のII−II線断面の拡大図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る液晶表示装置の変形例1を説明する図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る液晶表示装置の変形例2を説明する図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る液晶表示装置の変形例3を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る液晶表示装置を示す平面図である。
図2は、
図1に示す液晶表示装置のII−II線断面の拡大図である。
【0015】
液晶表示装置は、液晶表示パネル10を有する。
図3は、液晶表示パネル10を示す平面図である。液晶表示パネル10は、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In-Plane Switching)方式など、構造や方式に限定されない。液晶表示パネル10は、ガラスなどからなる透明の一対の基板12,14を有し、両者間に図示しない液晶が挟まれている。一方の基板12はTFT(Thin Film Transistor)基板であり、他方の基板14はカラーフィルタ基板である。一対の基板12,14の相互に反対側の面にはそれぞれ偏光板16,18が貼り付けられている。液晶表示パネル10は、画像が表示される表示面20と、表示面20とは反対側の裏面22を有する。基板12には、集積回路チップ24が搭載され、フレキシブル配線基板26が取り付けてある。フレキシブル配線基板26は図示しない配線パターンを有する。
【0016】
本実施形態に係る液晶表示装置は、立体画像表示を可能にするものである。詳しくは、人の左右の目に異なる二次元画像を認識させ、その二つの二次元画像を基に、脳が三次元空間を構築する。そのため、液晶表示パネル10には、左眼画像と右眼画像が表示される。
【0017】
液晶表示装置は、視差バリア液晶パネル28を有する。
図4は、視差バリア液晶パネル28を示す平面図である。視差バリア液晶パネル28は、視差バリア方式(パララックスバリア方式)によって、液晶表示パネル10に表示された左眼画像と右眼画像を分離して裸眼立体視を可能にするためのものである。視差バリア方式(パララックスバリア方式)とは、画像の表示面20に縦縞状のフィルタ(視差バリア)を重ねることで、左目には左目用の映像だけが、右目には右目用の映像だけが映るようにする方式である。
【0018】
視差バリア液晶パネル28も、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In-Plane Switching)方式など、構造や方式に限定されない。視差バリア液晶パネル28も、ガラスなどからなる透明の一対の基板30,32を有し、両者間に図示しない液晶が挟まれている。一方の基板30はTFT(Thin Film Transistor)基板である。基板30には、フレキシブル配線基板34が取り付けてある。フレキシブル配線基板34は図示しない配線パターンを有する。
【0019】
視差バリア液晶パネル28は、液晶表示パネル10の表示面20側に重ねられている。視差バリア液晶パネル28と液晶表示パネル10は接着層36を介して接着されている。接着層36は光透過性であり透明であることが好ましい。
【0020】
視差バリア液晶パネル28の液晶表示パネル10とは反対側の基板32には偏光板38が貼り付けられている。これに対して、視差バリア液晶パネル28の液晶表示パネル10側の基板30には、接着層36が密着している。接着層36は、液晶表示パネル10の視差バリア液晶パネル28側の偏光板18に密着している。この偏光板18は、液晶表示パネル10の視差バリア用液晶パネル側の偏光板であるとともに、視差バリア用液晶パネルの液晶表示パネル10側の偏光板でもある。つまり、1つの偏光板18が共用されている。
【0021】
図2に示すように、液晶表示パネル10の裏面22側に重なるように導光板38が配置されている。導光板38は、図示しない点光源から入射した光を面光源に変換するようになっている。導光板38の液晶表示パネル10とは反対側には反射フィルム40が配置され、導光板38から下方(液晶表示パネル10とは反対側)に出射する光を反射して導光板38に戻すようになっている。導光板38及び反射フィルム40に、図示しない光源及び光学フィルムなどを加えてバックライトが構成される。バックライトは、液晶表示パネル10の裏面22側に配置されている。
【0022】
液晶表示装置は、フレーム42を有する。フレーム42は、液晶表示パネル10の端部を裏面22側で支持している。フレーム42は、液晶表示パネル10よりも外側にはみ出す部分を有する。液晶表示パネル10は、遮光性の両面テープ46によってフレーム42に貼り付けられている。フレーム42の本体44は、ポリカーボネートやABS樹脂などの樹脂のモールド成形によって形成されている。フレーム42の本体44は、受けた光の一部を反射するとともに一部を透過する材料(例えば白色の材料)からなる。
【0023】
フレーム42は、導光板38の端面(図示しない光源から光が入射する端面とは反対側の端面)と対向するように位置している。したがって、導光板38の内部を進行する光は、導光板38の端面から出射してフレーム42の方向に進行し、フレーム42の本体44の表面で一部が反射し、一部が本体44の内部に透過する。本体44の表面で反射した光は導光板38に戻るので、バックライトの輝度を向上させることができる。
【0024】
フレーム42の本体44には、例えば黒色の遮光膜48が形成されている。したがって、本体44の内部に透過した光は、遮光膜48によって遮られて出射しないようになっている。遮光膜48は、光を吸収する性質を有していてもよいし、光を反射する性質を有していてもよい。遮光膜48は、印刷により形成してもよいし、塗布により形成してもよい。遮光膜48は、本体44の導光板38に対向する面を避けて形成されているので、導光板38からの光を反射する機能は妨げないようになっている。遮光膜48は、本体44の液晶表示パネル10側の面であって液晶表示パネル10からはみ出した部分に少なくとも形成されている。なお、
図2に示す例では、遮光膜48は、両面テープ46との重複をさけている。
【0025】
視差バリア用液晶パネルの液晶表示パネル10とは反対側には、光透過性基板50が重ねられている。光透過性基板50には、液晶表示パネル10の表示領域を囲むように、遮光枠52が形成されている。遮光枠52は、共用される偏光板18の縁部を上方で覆うように形成されている。遮光枠52は、フレーム42の一部(導光板38に隣り合う部分)を上方で覆うように形成されている。さらに、遮光枠52は、フレーム42の他の一部(導光板38に隣り合う部分よりも外側の部分)も上方で覆うように形成されている。
【0026】
遮光枠52によって、光透過性基板50に対して垂直に見たときにフレーム42は隠れる。しかし、
図2に矢印で示すように、光透過性基板50に対して斜めに見たときに、フレーム42が見えてしまう。このとき、フレーム42が発光していると表示品位に影響を与える。そこで、本実施形態では、遮光膜48によってフレーム42から出る光を遮断するので、表示品位の劣化を防止することができる。
【0027】
図5は、本発明の実施形態に係る液晶表示装置の変形例1を説明する図である。この例では、遮光膜148は、本体144の導光板38に対向する面を避けて本体144の全体に形成されている。液晶表示パネル10は、遮光性の両面テープ46によってフレーム142に貼り付けられている。遮光膜148は、両面テープ46と重複している。
【0028】
図6は、本発明の実施形態に係る液晶表示装置の変形例2を説明する図である。この例では、本体244は、液晶表示パネル10からはみ出した部分に、液晶表示パネル10を支持する面から上方に突出する凸部254を有している。凸部254は、液晶表示パネル10の側方に位置している。遮光膜248は、凸部254の側面及び上面を含む領域に形成されている。
【0029】
図7は、本発明の実施形態に係る液晶表示装置の変形例3を説明する図である。この例では、遮光膜348は、本体344の外側面(導光板38に対向する面とは反対側の面)にも形成されている。また、遮光膜348は、本体344の上面(光透過性基板50を向く面)の全体に形成されている。ただし、遮光膜348は、本体344の導光板38に対向する面及び下面(光透過性基板50とは反対を向く面)を避けて形成されている。液晶表示パネル10は、遮光性の両面テープ46によってフレーム342に貼り付けられており、遮光膜348は、両面テープ46と重複している。遮光膜348は、遮光フィルムからなる。
【0030】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0031】
10 液晶表示パネル、12 基板、14 基板、16 偏光板、18 偏光板、20 表示面、22 裏面、24 集積回路チップ、26 フレキシブル配線基板、28 視差バリア液晶パネル、30 基板、32 基板、34 フレキシブル配線基板、36 接着層、38 導光板、40 反射フィルム、42 フレーム、44 本体、46 両面テープ、48 遮光膜、50 光透過性基板、52 遮光枠、142 フレーム、144 本体、148 遮光膜、244 本体、248 遮光膜、254 凸部、342 フレーム、344 本体、348 遮光膜。