(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5653347
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】高速回転式アテレクトミーデバイスのための偏心研磨および切断ヘッド
(51)【国際特許分類】
A61B 17/22 20060101AFI20141218BHJP
【FI】
A61B17/22
【請求項の数】57
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2011-511690(P2011-511690)
(86)(22)【出願日】2009年5月11日
(65)【公表番号】特表2011-521713(P2011-521713A)
(43)【公表日】2011年7月28日
(86)【国際出願番号】US2009043451
(87)【国際公開番号】WO2009146248
(87)【国際公開日】20091203
【審査請求日】2011年6月23日
(31)【優先権主張番号】12/130,024
(32)【優先日】2008年5月30日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508132034
【氏名又は名称】カーディオバスキュラー システムズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リバーズ, ジョディ
(72)【発明者】
【氏名】プロウィ, チャック
【審査官】
佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第99/08609(WO,A1)
【文献】
米国特許第5681336(US,A)
【文献】
国際公開第2006/084256(WO,A2)
【文献】
特表2002−506668(JP,A)
【文献】
特表2003−504090(JP,A)
【文献】
特表平7−503623(JP,A)
【文献】
特表平8−509390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所与の直径を有する動脈における狭窄を開口するための高速回転式アテレクトミーデバイスであって、
該動脈の該直径よりも小さい最大直径を有するガイドワイヤと、
該ガイドワイヤ上で前進可能である、可撓性で細長い回転可能な駆動シャフトであって、回転軸を有する駆動シャフトと、
該駆動シャフトに取り付けられる、少なくとも1つの偏心研磨ヘッドであって、該少なくとも1つの偏心研磨ヘッドは非可撓性であり、該研磨ヘッドは、該駆動シャフトの該回転軸から半径方向にオフセットされた配置を有する重心を備え、該研磨ヘッドは、近位部分、中間部分、および遠位部分をさらに備え、該近位部分は近位外面を備え、該中間部分は中間外面を備え、該遠位部分は遠位外面を備え、該近位外面は遠位に増加する直径と近位の丸い縁とを備え、該遠位外面は遠位に減少する直径を有し、該中間外面は円柱状であり、少なくとも該中間外面は組織切除部を備え、該研磨ヘッドは、該研磨ヘッドを通る駆動シャフト管腔ならびにサイズおよび形状を有する中空チャンバを画定し、該駆動シャフトは、少なくとも部分的に該駆動シャフト管腔を横断し、該偏心研磨ヘッドの重心の配置は該中空チャンバのサイズおよび形状により決定される、偏心研磨ヘッドと
を備え、
該少なくとも1つの偏心研磨ヘッド全体は、静止直径を備え、高速回転の間に軌道経路を横断し、該少なくとも1つの偏心研磨ヘッドが横断する軌道経路は、該少なくとも1つの偏心研磨ヘッドの偏心性の結果として該静止直径よりも200%から400%大きい、高速回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項2】
前記駆動シャフト管腔を横断し、かつそれに付着する前記駆動シャフトの一部分は、単一の連続した駆動シャフトを備える、請求項1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項3】
前記駆動シャフト管腔を横断し、かつそれに付着する前記駆動シャフトの一部分は、少なくとも2つの部分を備え、各部分は、該少なくとも2つの駆動シャフト部分の間に間隙を伴って、該駆動シャフト管腔に取り付けられる、請求項2に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの偏心研磨ヘッドの前記中間外面は、遠位に増加する直径を備える、請求項1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つの偏心研磨ヘッドの前記中間外面は、遠位に減少する直径を備える、請求項1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つの偏心研磨ヘッドの前記中間外面は、前記近位外面および遠位外面の間に円滑遷移を伴って成形される凸面を備える、請求項1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの偏心研磨ヘッドの前記近位外面は、円錐の外側面によって実質的に画定され、該円錐は、前記駆動シャフトの前記回転軸に交差する軸を有する、請求項1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの偏心研磨ヘッドの前記遠位外面は、円錐の外側面によって実質的に画定され、該円錐は、前記駆動シャフトの前記回転軸に交差する軸を有する、請求項1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項9】
前記近位の丸い縁は、組織切除面を備える、請求項1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項10】
前記遠位外面は、遠位の丸い縁を備え、前記遠位の丸い縁は、組織切除面を備える、請求項1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項11】
前記近位外面、遠位外面、および中間外面は、組織切除部を備える、請求項1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項12】
前記中間外面のみは、組織切除部を備える、請求項1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項13】
前記近位外面、遠位外面、および中間外面を前記中空チャンバから分離する、少なくとも1つの壁をさらに備え、該少なくとも1つの壁は、最低0.008インチの厚さである、請求項1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項14】
前記近位外面の円錐軸および前記遠位外面の円錐軸は、相互に交差し、前記駆動シャフトの前記回転軸と同一平面上にある、請求項7に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項15】
前記遠位外面は、概して一定の割合で遠位に増加する直径を有し、それにより、概して円錐形状を形成する、請求項1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項16】
前記近位外面は、概して一定の割合で遠位に減少する直径を有し、それにより、概して円錐形状を形成する、請求項14に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項17】
各円錐の対向側面は、相互に対して約10°から約30°の間の角度αにある、請求項16に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項18】
各円錐の対向側面は、相互に対して約20°から約24°の間の角度αにある、請求項16に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項19】
前記少なくとも1つの偏心研磨ヘッドの前記円錐の各々は、前記駆動シャフトの前記回
転軸に平行ではない軸を有する、請求項16に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項20】
前記少なくとも1つの偏心研磨ヘッドの前記円錐の前記軸は、同一平面上にあり、約2°から約8°の間の角度βで前記駆動シャフトの前記回転軸と交差する、請求項16に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項21】
前記少なくとも1つの偏心研磨ヘッドの前記円錐の前記軸は、同一平面上にあり、約3°から約6°の間の角度βで前記駆動シャフトの前記回転軸と交差する、請求項16に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項22】
前記近位外面は、少なくとも2つの領域を備え、該2つの領域のうちの第1の領域は、第1の円錐台の外側面によって実質的に画定され、該2つの領域のうちの第2の領域は、第2の円錐台の外側面によって実質的に画定され、該第1の円錐は、前記駆動シャフトの前記回転軸に一致する軸を有し、該第2の円錐は、該第1の円錐の該軸に平行であり、かつそこから離間した軸を有する、請求項1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項23】
前記遠位外面は、少なくとも2つの領域を備え、該2つの領域のうちの第1の領域は、第1の円錐台の外側面によって実質的に画定され、該2つの領域のうちの第2の領域は、第2の円錐台の外側面によって実質的に画定され、該第1の円錐は、前記駆動シャフトの前記回転軸に一致する軸を有し、該第2の円錐は、該第1の円錐の該軸に平行であり、かつそこから離間した軸を有する、請求項1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項24】
前記第1の円錐の前記外側面と、該第1の円錐の前記軸との間に形成される角度は、前記第2の円錐の前記外側面と、該第2の円錐の前記軸との間に形成される角度よりも大きい、請求項22に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項25】
前記第1の円錐の前記外側面と、該第1の円錐の前記軸との間に形成される角度は、前記第2の円錐の前記外側面と、該第2の円錐の前記軸との間に形成される角度よりも大きい、請求項23に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項26】
前記遠位外面および前記近位外面はそれぞれ、少なくとも2つの領域を備え、該2つの領域のうちの第1の領域は、第1の円錐台の外側面によって実質的に画定され、該2つの領域のうちの第2の領域は、第2の円錐台の外側面によって実質的に画定され、該第1の円錐は、前記駆動シャフトの前記回転軸に一致する軸を有し、該第2の円錐は、該第1の円錐の該軸に平行であり、かつそこから離間した軸を有する、請求項1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項27】
前記近位外面および遠位外面の前記第2の円錐は、前記駆動シャフトの前記回転軸に平行であり、かつそこから離間した共通軸を有する、請求項26に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項28】
前記中間外面は、円柱の外側面によって実質的に画定される、請求項26に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項29】
前記近位外面および遠位外面の前記2つの第2の円錐の各々は、前記中間外面を画定する前記円柱の直径に等しい直径を有する基部を有する、請求項28に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項30】
前記中間外面は、前記近位外面および遠位外面の前記第2の円錐の前記軸に共通である軸を有する、円柱の外側面によって実質的に画定される、請求項26に記載の回転式アテ
レクトミーデバイス。
【請求項31】
前記中間外面は、前記偏心研磨ヘッドの前記近位外面および遠位外面の間に円滑遷移を提供するように成形される、請求項26に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項32】
前記少なくとも1つの偏心研磨ヘッドの前記近位外面および遠位外面は、相互に実質的に対称である、請求項26に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項33】
前記少なくとも1つの偏心研磨ヘッドの前記近位外面および遠位外面は、相互に対称ではない、請求項26に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項34】
前記近位外面は、少なくとも2つの領域を備え、該2つの領域のうちの第1の領域は、近位円錐の外側面によって実質的に画定され、該2つの領域のうちの第2の領域は、円柱の外側面によって実質的に画定され、該近位円錐は、前記駆動シャフトの前記回転軸に一致する軸を有し、該円柱は、該駆動シャフトの該回転軸に平行であり、かつそこから離間した軸を有する、請求項1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項35】
少なくとも2つの領域を備える前記遠位外面をさらに備え、該2つの領域のうちの第1の領域は、遠位円錐の外側面によって実質的に画定され、該2つの領域のうちの第2の領域は、円柱の外側面によって実質的に画定され、該遠位円錐は、前記駆動シャフトの前記回転軸に一致する軸を有し、該円柱は、該駆動シャフトの該回転軸に平行であり、かつそこから離間した軸を有する、請求項34に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項36】
前記中間外面は、前記少なくとも1つの偏心研磨ヘッドの前記近位外面および遠位外面の前記第2の領域を画定する、前記円柱の外側面によって実質的に画定される、請求項35に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項37】
前記偏心拡大直径部は、約1.0mmから約1.5mmの間の最大直径を有し、前記重心は、前記駆動シャフトの前記回転軸から、少なくとも約0.013mmの距離だけ離間される、請求項1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項38】
前記偏心拡大直径部は、約1.5mmから約1.75mmの間の最大直径を有し、前記重心は、前記駆動シャフトの前記回転軸から、少なくとも約0.03mmの距離だけ離間される、請求項1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項39】
前記偏心拡大直径部は、約1.75mmから約2.0mmの間の最大直径を有し、前記重心は、前記駆動シャフトの前記回転軸から、少なくとも約0.06mmの距離だけ離間される、請求項1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項40】
前記偏心拡大直径部は、約2.0mmの最大直径を有し、前記重心は、前記駆動シャフトの前記回転軸から、少なくとも約0.1mmの距離だけ離間される、請求項1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項41】
前記偏心拡大直径部は、約1.0mmから約1.5mmの間の最大直径を有し、前記重心は、前記駆動シャフトの前記回転軸から、少なくとも約0.02mmの距離だけ離間される、請求項1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項42】
前記偏心拡大直径部は、約1.5mmから約1.75mmの間の最大直径を有し、前記重心は、前記駆動シャフトの回転軸から、少なくとも約0.05mmの距離だけ離間される、請求項1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項43】
前記偏心拡大直径部は、約1.75mmから約2.0mmの間の最大直径を有し、前記重心は、前記駆動シャフトの前記回転軸から、少なくとも約0.1mmの距離だけ離間される、請求項1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項44】
前記偏心拡大直径部は、少なくとも約2.0mmの最大直径を有し、前記重心は、前記駆動シャフトの前記回転軸から、少なくとも約0.16mmの距離だけ離間される、請求項1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項45】
前記偏心拡大直径部の最大断面直径の位置で得られる、該偏心拡大直径部の横断面は、前記駆動シャフトの前記回転軸から離間される幾何学的中心を有する、請求項1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項46】
前記偏心拡大直径部は、約1.0mmから約1.5mmの間の最大断面直径を有し、前記幾何学的中心は、前記駆動シャフトの前記回転軸から、少なくとも約0.02mmの距離だけ離間される、請求項36に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項47】
前記偏心拡大直径部は、約1.5mmから約1.75mmの間の最大断面直径を有し、前記幾何学的中心は、前記駆動シャフトの前記回転軸から、少なくとも約0.05mmの距離だけ離間される、請求項45に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項48】
前記偏心拡大直径部は、約1.75mmから約2.0mmの間の最大断面直径を有し、前記幾何学的中心は、前記駆動シャフトの前記回転軸から、少なくとも約0.1mmの距離だけ離間される、請求項45に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項49】
前記偏心拡大直径部は、少なくとも約2.0mmの最大断面直径を有し、前記幾何学的中心は、前記駆動シャフトの前記回転軸から、少なくとも約0.15mmの距離だけ離間される、請求項45に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項50】
前記偏心拡大直径部は、約1.0mmから約1.5mmの間の最大断面直径を有し、前記幾何学的中心は、前記駆動シャフトの前記回転軸から、少なくとも約0.035mmの距離だけ離間される、請求項45に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項51】
前記偏心拡大直径部は、約1.5mmから約1.75mmの間の最大断面直径を有し、前記幾何学的中心は、前記駆動シャフトの前記回転軸から、少なくとも約0.07mmの距離だけ離間される、請求項45に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項52】
前記偏心拡大直径部は、約1.75mmから約2.0mmの間の最大断面直径を有し、前記幾何学的中心は、前記駆動シャフトの前記回転軸から、少なくとも約0.15mmの距離だけ離間される、請求項45に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項53】
前記偏心拡大直径部は、少なくとも約2.0mmの最大断面直径を有し、前記幾何学的中心は、前記駆動シャフトの前記回転軸から、少なくとも約0.25mmの距離だけ離間される、請求項45に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項54】
前記偏心拡大直径部は、約1.5mmから約1.75mmの間の最大断面直径を有し、前記幾何学的中心は、前記駆動シャフトの前記回転軸から、少なくとも約0.09mmの距離だけ離間される、請求項45に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項55】
前記偏心拡大直径部は、約1.75mmから約2.0mmの間の最大断面直径を有し、
前記幾何学的中心は、前記駆動シャフトの前記回転軸から、少なくとも約0.20mmの距離だけ離間される、請求項45に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項56】
前記偏心拡大直径区分は、少なくとも約2.0mmの最大断面直径を有し、前記幾何学的中心は、前記駆動シャフトの前記回転軸から、少なくとも約0.30mmの距離だけ離間される、請求項45に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【請求項57】
前記組織切除面は、研磨面である、請求項1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明者)
9881 226
th Ct.NW,Elk River,MN 55330在住の米国市民、Jody Rivers
5965 Goodview Trail Alcove North,Hugo,MN 55038在住の米国市民、Chuck Plowe
(本発明の分野)
本発明は、高速回転式アテレクトミーデバイスを利用して、動脈から動脈硬化プラークを切除する等の、身体通路から組織を切除するためのデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(本発明の背景)
(関連技術の説明)
動脈および類似の身体通路における組織の切除または修復に使用するために、多種多様の技術および器具が開発されてきた。このような技術および器具の主な目的は、患者の動脈における動脈硬化プラークの切除である。アテローム性動脈硬化は、患者の血管の内膜層(内皮の下)における脂肪性沈着物(アテローム)の蓄積を特徴とする。多くの場合、比較的軟性でコレステロールを多く含むアテローム様物質として初めに沈着したものは、経時的に硬化し、石灰化動脈硬化プラークになる。このようなアテロームは、血流を制限するため、しばしば、狭窄性病変または狭窄と呼ばれ、閉鎖物質は、狭窄物質と呼ばれる。処置せずに放置すると、このような狭窄は、狭心症、高血圧症、心筋梗塞、脳卒中等を引き起こし得る。
【0003】
回転式アテレクトミー手技は、このような狭窄物質を切除するための一般的な技術である。このような手技は、冠状動脈における石灰化病変の開口を開始するために、最も頻繁に使用される。最も頻繁には、回転式アテレクトミー手技は単独で使用されないが、その後にバルーン血管形成手技が続き、順に、その後には、非常に頻繁に、開口した動脈の開存性の維持を支援するようにステントの留置が続く。非石灰化病変については、バルーン血管形成術は、最も頻繁には、動脈の開口のために単独で使用され、ステントは、開口した動脈の開存性を維持するように、しばしばステントが留置される。しかしながら、研究によると、バルーン血管形成術を受け、かつステントを動脈に留置した患者のうちの有意な割合が、ステント再狭窄、すなわち、ステント内の瘢痕組織の過度な成長の結果として一定の期間にわたって最も頻繁に発現する、ステントの閉塞を体験することが示されている。そのような状況では、(バルーン血管形成術がステント内であまり効果的ではないため)アテレクトミー手技が、ステントから過剰な瘢痕組織を切除し、それにより、動脈の開存性が復元する、好ましい手技である。
【0004】
いくつかの種類の回転式アテレクトミーデバイスが、狭窄物質の切除を試行するために開発されてきた。特許文献1(Auth)に示されるような一種類のデバイスでは、ダイヤモンド粒子等の研磨材で被覆された外科用バーが、可撓性駆動シャフトの遠位端に運ばれる。外科用バーは、狭窄を横断して前進させられる間に、高速で回転する(通常は、例えば、約150,000〜190,000rpmの範囲)。外科用バーは、狭窄組織を切除するが、血流を閉鎖する。一旦、外科用バーが狭窄を横断して前進させられると、動脈は、外科用バーの最大外径と同等であるか、またはそれよりもわずかに大きい直径まで開口される。頻繁に、動脈を所望の直径まで開口するために、1つより多くのサイズの外科用バーが利用されなければならない。
【0005】
特許文献2(Shturman)は、拡大直径を有する駆動シャフトの部分を伴う駆動シャフトを有する、別のアテレクトミーデバイスを開示し、この拡大表面の少なくとも一区分は、駆動シャフトの研磨区分を画定するように研磨材で被覆される。高速回転させられると、研磨区分は、動脈から狭窄組織を切除することが可能である。このアテレクトミーデバイスは、その可撓性により、Authのデバイスよりも特定の利点を保有し、また、デバイスが本質的に非偏心性であることから、駆動シャフトの拡大研磨面の直径にほぼ等しい直径まで動脈を開口することしかできない。
【0006】
特許文献3(Shturman)は、拡大偏心部を伴う駆動シャフトを有する、既知のアテレクトミーデバイスを開示し、この拡大部の少なくとも一区分は、研磨材で被覆される。高速回転させられると、研磨区分は、動脈から狭窄組織を切除することが可能である。デバイスは、部分的には、高速動作中の軌道回転運動により、拡大偏心部の静止直径よりも大きい直径まで動脈を開口することが可能である。拡大偏心部が、結合されていない駆動シャフトワイヤを備えることから、駆動シャフトの拡大偏心部は、狭窄内の配置中または高速動作中に屈曲してもよい。この屈曲は、高速動作中に、より大きい直径の開口が可能にするが、実際に研磨される動脈の直径に対して所望されるよりも少ない制御を提供する場合がある。加えて、いくつかの狭窄組織は、通路を完全に閉鎖する場合があるため、それを通してShturmanのデバイスを配置することができない。Shturmanは、研磨を達成するために、駆動シャフトの拡大偏心部が狭窄組織内に配置されることを要求することから、拡大偏心部が狭窄の中へ移動することができない場合には、あまり効果的ではなくなる。特許文献3の開示は、その全体が本明細書に参考として援用される。
【0007】
特許文献4(Clement)は、適切な結合材料によってその外面の一部分に固定される、研磨粒子の塗膜を有する偏心組織切除外科用バーを提供する。しかしながら、非対称外科用バーが、「熱または不均衡を補うために、高速焼灼デバイスと共に使用されるよりも低速」で回転させられることを、Clementが第3コラムの53〜55行において説明していることから、この構造は制限される。つまり、中実外科用バーのサイズおよび質量の両方を考えると、アテレクトミー手技中に使用される高速、すなわち、20,000〜200,000rpmで、外科用バーを回転させることは実行不可能である。本質的に、駆動シャフトの回転軸からの重心オフセットにより、有意な遠心力が発達し、動脈壁に過度な圧力が及ぼされ、過度な熱および過度に大きい粒子が生成される。
【0008】
「Eccentric Abrading Head for High−Speed Rotational Atherectomy Devices」と題された、同一出願人による特許出願第11/761,128号は、偏心研磨ヘッドの特定の実施例を開示している。具体的には、第11/761,128号は、それに取り付けられる、少なくとも1つの可撓性または非可撓性偏心拡大研磨ヘッドを伴う、可撓性で細長い回転可能な駆動シャフトを開示し、偏心拡大切断ヘッドの少なくとも一部は、通常は研磨面である、組織切除面を有する。特定の実施形態では、研磨ヘッドは、少なくとも部分的に中空である。狭窄組織に対して動脈内に配置され、かつ十分に高速で回転させられると、拡大切断ヘッドの偏心性質は、拡大切断ヘッドの外径より実質的に大きい直径まで狭窄性病変を開口するような様式で、切断ヘッドおよび駆動シャフトを回転させる。好ましくは、偏心拡大切断ヘッドは、駆動シャフトの回転軸から半径方向に離間される重心を有し、高速で操作させられた時に拡大切断ヘッドの外径よりも実質的に大きい直径まで狭窄性病変を開口するデバイスの能力が促進される。
【0009】
出願第11/761,128号で開示されている偏心研磨ヘッドは、近位、遠位、および中間面を備える。近位および遠位面はそれぞれ、デバイスが取り付けられる駆動シャフトに対して実質的に垂直である、前縁面を有するものとして開示されている。この隆起縁面は、血管内面を損傷することなく、困難な狭窄をナビゲートすることをより困難にする場合がある。出願第11/761,128号の開示は、上記で論議される特徴を開示する限りにおいて、その全体が本明細書に援用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,990,134号明細書
【特許文献2】米国特許第5,314,438号明細書
【特許文献3】米国特許第6,494,890号明細書
【特許文献4】米国特許第5,681,336号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、これらの欠陥を克服し、とりわけ、上記で参照された改良を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(本発明の簡潔な概要)
本発明は、種々の実施形態において、研磨面を備える、それに取り付けられた少なくとも1つの可撓性または非可撓性偏心拡大研磨および切断ヘッドを有する、回転式アテレクトミーデバイスを提供する。狭窄組織に対して配置され、高速で回転させられると、研磨および切断ヘッドの偏心性質は、軌道経路に沿って動き、拡大研磨および切断ヘッドの静止直径よりも大きい直径まで病変を開口する。好ましくは、研磨および切断ヘッドは、駆動シャフトの回転軸から半径方向に離間される重心を有し、軌道経路に沿って移動するデバイスの能力を促進する。研磨および切断ヘッドは、血管への外傷を最小限化しながら、困難な狭窄物質の切断を促進する、近位および/または遠位の丸い面を備える。
【0013】
本発明の目的は、最小限の血管外傷を伴って狭窄内への進入を促進するように、研磨するための少なくとも1つの研磨面と、近位および/または遠位の丸い縁とを有する、少なくとも1つの少なくとも部分的に可撓性の偏心研磨および切断ヘッドを有する高速回転式アテレクトミーデバイスをすることである。
【0014】
本発明の別の目的は、最小限の血管外傷を伴って狭窄内への進入を促進するように、研磨するための少なくとも1つの研磨面と、近位および/または遠位の丸い縁とを有する、少なくとも1つの非可撓性偏心研磨および切断ヘッドを有する高速回転式アテレクトミーデバイスをすることである。
【0015】
本発明の別の目的は、最小限の血管外傷を伴って狭窄内への進入を促進するように、少なくとも1つの少なくとも部分的に可撓性の偏心研磨および切断ヘッドの丸い縁を有し、かつその高速回転直径よりも小さい静止直径を有する、高速回転式アテレクトミーデバイスを提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、最小限の血管外傷を伴って狭窄内への進入を促進するように、少なくとも1つの非可撓性偏心研磨および切断ヘッドの丸い縁を有し、かつその高速回転直径よりも小さい静止直径を有する、高速回転式アテレクトミーデバイスを提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、近位および/または遠位の丸い縁を伴う少なくとも1つの部分的に可撓性の偏心研磨および切断ヘッドを有し、かつ最小限の血管外傷を伴って対象血管をほぼまたは完全に閉鎖する狭窄にパイロット穴を開口することが可能である、高速回転式アテレクトミーデバイスを提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、近位および/または遠位の丸い縁を伴う少なくとも1つの非可撓性偏心研磨および切断ヘッドを有し、かつ最小限の血管外傷を伴って対象血管をほぼまたは完全に閉鎖する狭窄にパイロット穴を開口することが可能である、高速回転式アテレクトミーデバイスを提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、近位および/または遠位の丸い縁を伴う少なくとも1つの可撓性偏心研磨および切断ヘッドを有し、かつ挿入および配置中に屈曲して、最小限の血管外傷を伴って蛇行性管腔をナビゲートする改良型能力を提供する、高速回転式アテレクトミーデバイスを提供することである。
【0020】
本発明の別の目的は、近位および/または遠位の丸い縁を伴う少なくとも1つの非可撓性研磨および偏心切断ヘッドを有し、挿入または高速回転動作中に屈曲しない、高速回転式アテレクトミーデバイスを提供することである。
【0021】
以下の図および発明を実施するための形態は、本発明のこれらの実施形態および他の実施形態をより具体的に例示する。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
所与の直径を有する動脈における狭窄を開口するための高速回転式アテレクトミーデバイスであって、
該動脈の該直径よりも小さい最大直径を有するガイドワイヤと、
該ガイドワイヤ上で前進可能である、可撓性で細長い回転可能な駆動シャフトであって、回転軸を有する駆動シャフトと、
該駆動シャフトに取り付けられる、少なくとも1つの偏心研磨ヘッドであって、該偏心研磨ヘッドは、近位部分、中間部分、および遠位部分を備え、該近位部分は近位外面を備え、該中間部分は中間外面を備え、該遠位部分は遠位外面を備え、該近位外面は遠位に増加する直径と近位の丸い縁とを備え、該遠位外面は遠位に減少する直径を有し、該中間外面は円柱状であり、少なくとも該中間外面は組織切除部を備え、該研磨ヘッドは、該研磨ヘッドを通る駆動シャフト管腔および中空チャンバを画定し、該駆動シャフトは、少なくとも部分的に該駆動シャフト管腔を横断する、偏心研磨ヘッドと
を備える、高速回転式アテレクトミーデバイス。
(項目2)
上記遠位外面は、遠位の丸い縁を備える、項目1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目3)
上記少なくとも1つの偏心研磨ヘッドは、少なくとも部分的に可撓性である、項目1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目4)
上記少なくとも1つの偏心研磨ヘッドは、上記近位部分、中間部分、および/または遠位部分上に配置される、少なくとも1つの可撓性スロットを備え、該少なくとも1つの可撓性スロットは、切断の制御可能な幅、深さ、および角度を有する、項目3に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目5)
上記少なくとも1つの偏心研磨ヘッドは、非可撓性である、項目1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目6)
上記駆動シャフト管腔を横断し、かつそれに付着する上記駆動シャフトの一部分は、単一の連続した駆動シャフトを備える、項目1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目7)
上記駆動シャフト管腔を横断し、かつそれに付着する上記駆動シャフトの一部分は、少なくとも2つの部分を備え、各部分は、該少なくとも2つの駆動シャフト部分の間に間隙を伴って、該駆動シャフト管腔に取り付けられる、項目6に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目8)
上記少なくとも1つの偏心研磨ヘッドの上記中間外面は、遠位に増加する直径を備える、項目1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目9)
上記少なくとも1つの偏心研磨ヘッドの上記中間外面は、遠位に減少する直径を備える、項目1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目10)
上記少なくとも1つの偏心研磨ヘッドの上記中間外面は、上記近位外面および遠位外面の間に円滑遷移を伴って成形される凸面を備える、項目1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目11)
上記少なくとも1つの偏心研磨ヘッドの上記近位外面は、円錐の外側面によって実質的に画定され、該円錐は、上記駆動シャフトの上記回転軸に交差する軸を有する、項目1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目12)
上記少なくとも1つの偏心研磨ヘッドの上記遠位外面は、円錐の外側面によって実質的に画定され、該円錐は、上記駆動シャフトの上記回転軸に交差する軸を有する、項目1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目13)
上記近位の丸い縁は、組織切除面を備える、項目1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目14)
上記遠位の丸い縁は、組織切除面を備える、項目2に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目15)
上記近位外面、遠位外面、および中間外面は、組織切除部を備える、項目1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目16)
上記中間外面のみは、組織切除部を備える、項目1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目17)
上記近位外面、遠位外面、および中間外面を上記中空チャンバから分離する、少なくとも1つの壁をさらに備え、該少なくとも1つの壁は、最低0.008インチの厚さである、項目1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目18)
上記近位外面の円錐軸および上記遠位外面の円錐軸は、相互に交差し、上記駆動シャフトの上記回転軸と同一平面上にある、項目11に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目19)
上記遠位外面は、概して一定の割合で遠位に増加する直径を有し、それにより、概して円錐形状を形成する、項目1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目20)
上記近位外面は、概して一定の割合で遠位に減少する直径を有し、それにより、概して円錐形状を形成する、項目19に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目21)
各円錐の対向側面は、相互に対して約10°から約30°の間の角度αにある、項目20に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目22)
各円錐の対向側面は、相互に対して約20°から約24°の間の角度αにある、項目20に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目23)
上記少なくとも1つの偏心研磨ヘッドの上記円錐の各々は、上記駆動シャフトの上記回転軸に平行ではない軸を有する、項目20に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目24)
上記少なくとも1つの偏心研磨ヘッドの上記円錐の上記軸は、同一平面上にあり、約2°から約8°の間の角度βで上記駆動シャフトの上記回転軸と交差する、項目20に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目25)
上記少なくとも1つの偏心研磨ヘッドの上記円錐の上記軸は、同一平面上にあり、約3°から約6°の間の角度βで上記駆動シャフトの上記回転軸と交差する、項目20に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目26)
上記近位外面は、少なくとも2つの領域を備え、該2つの領域のうちの第1の領域は、第1の円錐台の外側面によって実質的に画定され、該2つの範囲のうちの第2の領域は、第2の円錐台の外側面によって実質的に画定され、該第1の円錐は、上記駆動シャフトの上記回転軸に一致する軸を有し、該第2の円錐は、該第1の円錐の該軸に平行であり、かつそこから離間した軸を有する、項目1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目27)
上記遠位外面は、少なくとも2つの領域を備え、該2つの領域のうちの第1の領域は、第1の円錐台の外側面によって実質的に画定され、該2つの範囲のうちの第2の領域は、第2の円錐台の外側面によって実質的に画定され、該第1の円錐は、上記駆動シャフトの上記回転軸に一致する軸を有し、該第2の円錐は、該第1の円錐の該軸に平行であり、かつそこから離間した軸を有する、項目1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目28)
上記第1の円錐の上記外側面と、該第1の円錐の上記軸との間に形成される角度は、上記第2の円錐の上記外側面と、該第2の円錐の上記軸との間に形成される角度よりも大きい、項目26に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目29)
上記第1の円錐の上記外側面と、該第1の円錐の上記軸との間に形成される角度は、上記第2の円錐の上記外側面と、該第2の円錐の上記軸との間に形成される角度よりも大きい、項目27に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目30)
上記遠位外面および上記近位外面はそれぞれ、少なくとも2つの領域を備え、該2つの領域のうちの第1の領域は、第1の円錐台の外側面によって実質的に画定され、該2つの領域のうちの第2の領域は、第2の円錐台の外側面によって実質的に画定され、該第1の円錐は、上記駆動シャフトの上記回転軸に一致する軸を有し、該第2の円錐は、該第1の円錐の該軸に平行であり、かつそこから離間した軸を有する、項目1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目31)
上記近位外面および遠位外面の上記第2の円錐は、上記駆動シャフトの上記回転軸に平行であり、かつそこから離間した共通軸を有する、項目30に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目32)
上記中間外面は、円柱の外側面によって実質的に画定される、項目30に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目33)
上記近位外面および遠位外面の上記2つの第2の円錐の各々は、上記中間外面を画定する上記円柱の直径に等しい直径を有する基部を有する、項目32に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目34)
上記中間外面は、上記近位外面および遠位外面の上記第2の円錐の上記軸に共通である軸を有する、円柱の外側面によって実質的に画定される、項目30に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目35)
上記中間外面は、上記偏心研磨ヘッドの上記近位外面および遠位外面の間に円滑遷移を提供するように成形される、項目30に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目36)
上記少なくとも1つの偏心研磨ヘッドの上記近位外面および遠位外面は、相互に実質的に対称である、項目30に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目37)
上記少なくとも1つの偏心研磨ヘッドの上記近位外面および遠位外面は、相互に対称ではない、項目30に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目38)
上記近位外面は、少なくとも2つの領域を備え、該2つの領域のうちの第1の領域は、近位円錐の外側面によって実質的に画定され、該2つの領域のうちの第2の領域は、円柱の外側面によって実質的に画定され、該近位円錐は、上記駆動シャフトの上記回転軸に一致する軸を有し、該円柱は、該駆動シャフトの該回転軸に平行であり、かつそこから離間した軸を有する、項目1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目39)
上記遠位外面は、少なくとも2つの領域を備え、該2つの領域のうちの第1の領域は、遠位円錐の外側面によって実質的に画定され、該2つの領域のうちの第2の領域は、円柱の外側面によって実質的に画定され、該遠位円錐は、上記駆動シャフトの上記回転軸に一致する軸を有し、該円柱は、該駆動シャフトの該回転軸に平行であり、かつそこから離間した軸を有する、項目38に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目40)
上記中間外面は、上記少なくとも1つの偏心研磨ヘッドの上記近位外面および遠位外面の上記第2の領域を画定する、上記円柱の外側面によって実質的に画定される、項目39に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目41)
上記少なくとも1つの偏心研磨ヘッドは、上記駆動シャフトの上記回転軸から半径方向に離間される重心を有する、項目1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目42)
上記偏心拡大直径部は、約1.0mmから約1.5mmの間の最大直径を有し、上記重心は、上記駆動シャフトの上記回転軸から、少なくとも約0.013mmの距離だけ離間される、項目41に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目43)
上記偏心拡大直径部は、約1.5mmから約1.75mmの間の最大直径を有し、上記重心は、上記駆動シャフトの上記回転軸から、少なくとも約0.03mmの距離だけ離間される、項目41に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目44)
上記偏心拡大直径部は、約1.75mmから約2.0mmの間の最大直径を有し、上記重心は、上記駆動シャフトの上記回転軸から、少なくとも約0.06mmの距離だけ離間される、項目41に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目45)
上記偏心拡大直径部は、約2.0mmの最大直径を有し、上記重心は、上記駆動シャフトの上記回転軸から、少なくとも約0.1mmの距離だけ離間される、項目41に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目46)
上記偏心拡大直径部は、約1.0mmから約1.5mmの間の最大直径を有し、上記重心は、上記駆動シャフトの上記回転軸から、少なくとも約0.02mmの距離だけ離間される、項目41に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目47)
上記偏心拡大直径部は、約1.5mmから約1.75mmの間の最大直径を有し、上記重心は、上記駆動シャフトの回転軸から、少なくとも約0.05mmの距離だけ離間される、項目41に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目48)
上記偏心拡大直径部は、約1.75mmから約2.0mmの間の最大直径を有し、上記重心は、上記駆動シャフトの上記回転軸から、少なくとも約0.1mmの距離だけ離間される、項目41に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目49)
上記偏心拡大直径部は、少なくとも約2.0mmの最大直径を有し、上記重心は、上記駆動シャフトの上記回転軸から、少なくとも約0.16mmの距離だけ離間される、項目41に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目50)
上記偏心拡大直径部の最大断面直径の位置で得られる、該偏心拡大直径部の横断面は、上記駆動シャフトの上記回転軸から離間される幾何学的中心を有する、項目1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目51)
上記偏心拡大直径部は、約1.0mmから約1.5mmの間の最大断面直径を有し、上記幾何学的中心は、上記駆動シャフトの上記回転軸から、少なくとも約0.02mmの距離だけ離間される、項目40に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目52)
上記偏心拡大直径部は、約1.5mmから約1.75mmの間の最大断面直径を有し、上記幾何学的中心は、上記駆動シャフトの上記回転軸から、少なくとも約0.05mmの距離だけ離間される、項目50に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目53)
上記偏心拡大直径部は、約1.75mmから約2.0mmの間の最大断面直径を有し、上記幾何学的中心は、上記駆動シャフトの上記回転軸から、少なくとも約0.1mmの距離だけ離間される、項目50に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目54)
上記偏心拡大直径部は、少なくとも約2.0mmの最大断面直径を有し、上記幾何学的中心は、上記駆動シャフトの上記回転軸から、少なくとも約0.15mmの距離だけ離間される、項目50に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目55)
上記偏心拡大直径部は、約1.0mmから約1.5mmの間の最大断面直径を有し、上記幾何学的中心は、上記駆動シャフトの上記回転軸から、少なくとも約0.035mmの距離だけ離間される、項目50に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目56)
上記偏心拡大直径部は、約1.5mmから約1.75mmの間の最大断面直径を有し、上記幾何学的中心は、上記駆動シャフトの上記回転軸から、少なくとも約0.07mmの距離だけ離間される、項目50に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目57)
上記偏心拡大直径部は、約1.75mmから約2.0mmの間の最大断面直径を有し、上記幾何学的中心は、上記駆動シャフトの上記回転軸から、少なくとも約0.15mmの距離だけ離間される、項目50に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目58)
上記偏心拡大直径部は、少なくとも約2.0mmの最大断面直径を有し、上記幾何学的中心は、上記駆動シャフトの上記回転軸から、少なくとも約0.25mmの距離だけ離間される、項目50に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目59)
上記偏心拡大直径部は、約1.5mmから約1.75mmの間の最大断面直径を有し、上記幾何学的中心は、上記駆動シャフトの上記回転軸から、少なくとも約0.09mmの距離だけ離間される、項目50に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目60)
上記偏心拡大直径部は、約1.75mmから約2.0mmの間の最大断面直径を有し、上記幾何学的中心は、上記駆動シャフトの上記回転軸から、少なくとも約0.20mmの距離だけ離間される、項目50に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目61)
上記偏心拡大直径区分は、少なくとも約2.0mmの最大断面直径を有し、上記幾何学的中心は、上記駆動シャフトの上記回転軸から、少なくとも約0.30mmの距離だけ離間される、項目50に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目62)
上記組織切除面は、研磨面である、項目1に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目63)
所与の直径を有する動脈における狭窄を開口するための高速回転式アテレクトミーデバイスであって、
該動脈の該直径よりも小さい最大直径を有するガイドワイヤと、
該ガイドワイヤ上で前進可能である、可撓性で細長い回転可能な駆動シャフトであって、回転軸を有する駆動シャフトと、
該駆動シャフトに取り付けられる、少なくとも1つの半王冠状偏心研磨ヘッドであって、該研磨ヘッドは、近位部分および中間部分を備え、該近位部分は近位外面を備え、該中間部分は中間外面を備え、該近位外面は、遠位に増加する直径と、近位の丸い縁とを有し、該中間外面は、円柱状であり、少なくとも該中間外面は、組織切除部を備え、該研磨ヘッドは、該研磨ヘッドを通る駆動シャフト管腔および中空チャンバを画定し、該駆動シャフトは、少なくとも部分的に該駆動シャフト管腔を横断する、偏心研磨ヘッドと
を備える、高速回転式アテレクトミーデバイス。
(項目64)
上記近位外面は、少なくとも2つの領域を備え、該2つの領域のうちの第1の領域は、近位円錐の外側面によって実質的に画定され、該2つの領域のうちの第2の領域は、円柱の外側面によって実質的に画定され、該近位円錐は、上記駆動シャフトの上記回転軸に一致する軸を有し、該円柱は、該駆動シャフトの該回転軸に平行であり、かつ該駆動シャフトの該回転軸から離間した軸を有し、上記中間外面は、上記少なくとも1つの偏心研磨ヘッドの上記近位外面および遠位外面の第2の領域を画定する、該円柱の外側面によって実質的に画定される、項目63に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目65)
上記少なくとも1つの半王冠状偏心研磨ヘッドは、少なくとも部分的に可撓性である、項目63に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目66)
上記少なくとも1つの半王冠状偏心研磨ヘッドは、上記近位部分、中間部分、および/または遠位部分上に配置される、少なくとも1つの可撓性スロットを備え、上記少なくとも1つの可撓性スロットは、切断の制御可能な幅、深さ、および角度を有する、項目64に記載の回転式アテレクトミーデバイス。
(項目67)
所与の直径を有する動脈における狭窄を開口するための方法であって、
該動脈の該直径よりも小さい最大直径を有するガイドワイヤを提供することと、
該狭窄の近位の位置まで、該動脈内へ該ガイドワイヤを前進させることと、
該ガイドワイヤ上で前進可能である、可撓性で細長い回転可能な駆動シャフトであって、回転軸を有する駆動シャフトを提供することと、
該駆動シャフトに取り付けられる、少なくとも1つの偏心研磨ヘッドであって、少なくとも近位部分および中間部分を備える、研磨ヘッドを提供することであって、
該近位部分は、近位外面と、近位の丸い縁とを備え、該中間部分は、中間外面を備え、該近位外面は、遠位に増加する直径を有し、遠位外面は、遠位に減少する直径を有し、該中間外面は、円柱状であり、少なくとも該中間外面は、組織切除部を備え、該研磨ヘッドは、該研磨ヘッドを通る駆動シャフト管腔および中空チャンバを画定し、該駆動シャフトは、少なくとも部分的に該駆動シャフト管腔を横断する、ことと、
該ガイドワイヤ上で該駆動シャフトを前進させることであって、該少なくとも1つの偏心研磨ヘッドは、該狭窄に隣接する、ことと、
該駆動シャフトおよび取り付けられた少なくとも1つの偏心研磨ヘッドを、20,000rpmから200,000rpmの間の速度で回転させることと、
該少なくとも1つの偏心研磨ヘッドが横断する軌道経路を生成することと、
該少なくとも1つの偏心研磨ヘッドで該狭窄を研磨することと
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下の添付の図面に関連する本発明の種々の実施形態に関する以下の発明を実施するための形態を考慮して、本発明がより完全に理解されてもよい。
【
図1】
図1は、本発明の非可撓性偏心切断ヘッドの一実施形態を備える、回転式アテレクトミーデバイスおよびシステムの一実施形態の斜視図である。
【
図2】
図2は、駆動シャフトから形成される従来技術の可撓性偏心切断ヘッドの斜視破断図である。
【
図3】
図3は、駆動シャフトから形成される従来技術の偏心切断ヘッドの破断長手方向断面図である。
【
図4】
図4は、駆動シャフトから形成される従来技術の可撓性偏心拡大切断ヘッドの可撓性を示す、破断長手方向断面図である。
【
図5】
図5は、駆動シャフトに取り付けられた従来技術の中実かつ非可撓性の遠心研磨外科用バーの長手方向断面図である。
【
図6】
図6は、鋭い近位および遠位縁を有する、従来技術の研磨クラウンの破断長手方向断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態の斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態の側面図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態の底面図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態の幾何学形状を示す、破断長手方向断面図である。
【
図12】
図12A−12Cは、本発明の偏心切断ヘッドの一実施形態の横断面図である。
【
図13】
図13は、デバイスによって狭窄が実質的に開口された後の静止(非回転)位置における本発明の切断ヘッドの一実施形態を示す、長手方向断面図である。
【
図14】
図14は、本発明の偏心回転式アテレクトミーデバイスの急速回転式偏心拡大切断ヘッドの3つの異なる位置を示す、横断面図である。
【
図15】
図15は、
図14に示された本発明の偏心回転式アテレクトミーデバイスの急速回転式偏心拡大切断ヘッドの3つの異なる位置を示す、概略図である。
【
図16】
図16は、その中に統合された可撓性スロットを伴う、本発明の一実施形態の破断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(最良の形態を含む本発明の詳細な説明)
本発明は、種々の修正および代替形態に対応可能であるが、その仕様は、一例として示され、本明細書で詳細に説明される。しかしながら、本発明を説明する特定の実施形態に限定することを意図しないことを理解されたい。反対に、本発明の精神および範囲内に入る全ての修正、均等物、および代替案を対象とすることを意図する。
【0024】
図1は、同一譲受人の米国特許出願第11/761,128号の開示による回転式アテレクトミーデバイスの一実施例を示す。デバイスは、ハンドル部分10と、偏心性の細長い研磨ヘッド28を有する、細長い可撓性駆動シャフト20と、ハンドル部分10から遠位に延在する細長いカテーテル13とを含む。駆動シャフト20は、当技術分野で公知のように、螺旋コイル状ワイヤから構築され、研磨ヘッド28は、それに固定して取り付けられる。さらに、本発明によって検討される駆動シャフトの種々の実施形態にとって、駆動シャフトの螺旋コイル状ワイヤは、3本もの少ないワイヤまたは15本もの多くのワイヤを備えてもよく、当業者に公知となるように、右巻装または左巻装を備えてもよい。カテーテル13は、拡大研磨ヘッド28および拡大研磨ヘッド28より遠位の短い部分を除いて、駆動シャフト20の長さの大部分が配置される、管腔を有する。駆動シャフト20はまた、ガイドワイヤ15上で駆動シャフト20が前進および回転させられることを可能にする、内腔も含有する。流体供給ライン17が、冷却および潤滑溶液(通常は、生理食塩水または別の生体適合性流体)をカテーテル13に導入するために提供されてもよい。
【0025】
ハンドル10は、望ましくは、駆動シャフト20を高速で回転させるためのタービン(または同様の回転駆動機構)を含有する。ハンドル10は、通常は、管16を通して送達される圧縮空気等の電源に接続されてもよい。一対の光ファイバケーブル25も、タービンおよび駆動シャフト20の回転速度を監視するために提供されてもよい、あるいは、単一の光ファイバケーブルが使用されてもよい(そのようなハンドルおよび関連器具類に関する詳細は、本業界において周知であり、例えば、Authに発行された米国特許第5,314,407号で説明されている)。ハンドル10はまた、望ましくは、カテーテル13およびハンドルの本体に対してタービンおよび駆動シャフト20を前進および進退させるための制御ノブ11も含む。
【0026】
図2−4は、駆動シャフト20Aの偏心拡大直径研磨部28Aを備える、従来技術のデバイスの詳細を示す。駆動シャフト20Aは、拡大研磨部28A内のガイドワイヤ管腔19Aおよび中空空洞25Aを画定する、1つ以上の螺旋巻きワイヤ18を備える。中空空洞25Aを横断するガイドワイヤ15を除いて、中空空洞25Aは、実質的に空である。偏心拡大直径研磨部28Aは、狭窄の位置に対して、近位30A、中間35A、および遠位40A部分を含む。偏心拡大直径部28Aの近位部分30Aのワイヤ巻線31は、好ましくは、概して一定の割合で遠位に段階的に増加する直径を有し、それにより、概して円錐形状を形成する。遠位部分40Aのワイヤ巻線41は、好ましくは、概して一定の割合で遠位に段階的に減少する直径を有し、それにより、概して円錐形状を形成する。中間部分35Aのワイヤ巻線36には、駆動シャフト20Aの拡大偏心直径部28Aの近位および遠位円錐部分の間に円滑遷移を提供するように成形される、概して凸状外面を提供するように次第に変化する直径が提供される。
【0027】
引き続き
図2−4の従来技術のデバイスに関して、駆動シャフト28Aの偏心拡大直径研磨部の少なくとも一部(好ましくは、中間部分35A)は、組織を切除することが可能な外面を備える。駆動シャフト20Aの組織切除部を画定するように、研磨材24Aの塗膜を備える組織切除面37は、好適な結合剤26Aによって駆動シャフト20Aのワイヤ巻線に直接取り付けられて示されている。
【0028】
図4は、ガイドワイヤ15上で前進させられた駆動シャフト20Aとともに示された、駆動シャフト28Aの従来技術の偏心拡大直径研磨部の可撓性を示す。示された実施形態では、駆動シャフトの偏心拡大切断ヘッドの中間部分35Aの隣接ワイヤ巻線は、研磨粒子を24Aワイヤ巻線36に固定する結合材料26Aによって、相互に固定される。駆動シャフトの偏心拡大直径部の近位部分30Aおよび遠位部分40Aは、それぞれワイヤ巻線31および41を備え、相互に固定されず、それにより、図面に示されるように、駆動シャフトのそのような部分が屈曲することを可能にする。そのような可撓性は、比較的蛇行性の通路を通るデバイスの前進を促進し、いくつかの実施形態では、高速回転中の偏心拡大直径研磨部28Aの屈曲を促進する。あるいは、駆動シャフトの偏心拡大直径研磨部28Aの中間部分35Aの隣接ワイヤ巻線36は、相互に固定されてもよく、それにより、研磨部28Aの可撓性を制限する。
【0029】
図5は、Clementに対する米国特許第5,681,336号によって提供されるような、ガイドワイヤ15上で回転させられる、可撓性駆動シャフト20Bに取り付けられた中実非対称研磨外科用バー28Bを採用する、別の従来技術の回転式アテレクトミーデバイスを示す。 駆動シャフト20Bは、可撓性であってもよいが、中実非対称研磨外科用バー28Bは、非可撓性である。偏心組織切除外科用バー28Bは、好適な結合材料26Bによってその外面の一部分に固定される研磨粒子24Bの塗膜を有する。しかしながら、Clementが第3コラムの53〜55行において説明しているように、非対称外科用バー28Bが、「熱または不均衡を補うために、高速焼灼デバイスと共に使用されるよりも低速」で回転させられなければならないため、この構造は限定された有用性を有する。つまり、中実外科用バー型構造のサイズおよび質量の両方を考えると、アテレクトミー手技中に使用される高速、すなわち、20,000〜200,000rpmで、このような外科用バーを回転させることは実行不可能である。本質的に、この従来技術のデバイスにおける駆動シャフトの回転軸からの重心オフセットにより、有意な遠心力が発達し、動脈壁に過度な圧力を及ぼし、過度な熱、不必要な外傷、および過度に大きい粒子を生成する。
【0030】
図6は、同一譲受人の米国出願第11/761,128号で開示されている、偏心拡大研磨ヘッド28Cのさらなる一実施形態を示す。この実施形態では、駆動シャフト20は、その間に間隙を伴い、偏心研磨ヘッド28が両方の駆動シャフト部に取り付けられた状態で、2つの別個の部分で研磨ヘッド28Cに付着するものとして示されている。あるいは、駆動シャフト20は、単一部品構造であってもよい。近位部分30および遠位部分40は、その間に挟入した中間部分35を伴って、実質的に同等の長さで示されている。近位前縁30Aおよび遠位前縁40Aは、駆動シャフト20と実質的に垂直であり、したがって、硬質で鋭い縁Eを形成するものとして示されている。そのような硬質で鋭い縁は、極めて望ましくない結果である、高速回転中の血管内面の外傷をもたらす場合がある。
【0031】
次に、
図7−11を参照して、本発明の回転式アテレクトミーデバイスの非可撓性偏心拡大研磨ヘッド28について論じる。研磨ヘッド28は、高速回転中に狭窄の研磨を促進するように、中間部分35、遠位部分40、および/または近位部分30の外面上に、少なくとも1つの組織切除面37を備えてもよい。組織切除面37は、研磨ヘッド28の中間部分35、遠位部分40、および/または近位部分30の外面に結合される研磨材24の塗膜を備えてもよい。研磨材は、ダイヤモンド粉末、溶融石英、窒化チタン、炭化タングステン、酸化アルミニウム、炭化ホウ素、または他のセラミック材料等の、任意の好適な材料であってもよい。好ましくは、研磨材は、好適な結合剤によって組織切除面に直接取り付けられるダイヤモンドチップ(またはダイヤモンドダスト粒子)から成る。このような取付は、従来の電気めっきまたは融合技術(例えば、米国特許第4,018,576号参照)等の周知の技術を使用して達成されてもよい。あるいは、外部組織切除面は、好適な研磨組織切除面37を提供するように、中間部分35、遠位部分40、および/または近位部分30の外面の機械的または化学的に粗面化するステップを含んでもよい。さらに別の変化例では、外面は、小さいが効果的な研磨面を提供するように、エッチングまたは切断(例えば、レーザで)されてもよい。他の同様の技術もまた、好適な組織切除面37を提供するために利用されてもよい。
【0032】
図9および10で最も良く示されるように、当業者に周知の方式で研磨ヘッド28を駆動シャフト20に固定するために、駆動シャフト20の回転軸21に沿って拡大研磨ヘッド28を長手方向方向に通って、少なくとも部分的に囲まれた管腔またはスロット23が提供されてもよい。種々の実施形態では、研磨ヘッド28の質量(および駆動シャフトの回転軸21に対する重心の場所)を減少させ、操作して、高速、すなわち、20,000〜200,000rpmの動作中に、非外傷性研磨を促進し、研磨ヘッド28の軌道経路の制御の予測可能性を改善するように、中空チャンバ25が提供されてもよい。当業者であれば認識するように、駆動シャフトの回転軸に関連する重心の位置付けに基づいて、軌道振幅が予測通りに操作される。したがって、より大型の中空チャンバ25は、重心を、より小型の中空チャンバ25よりも(または中空チャンバ25がない)回転軸21に近づけるように、かつ所与の回転速度で稼働し、高速回転中に研磨ヘッド28のより小さい軌道振幅および/または直径を生成する。
【0033】
図7−11のそれぞれは、丸い近位および遠位縁P
R、D
Rを示す。近位縁P
R、D
Rの丸みを帯びた性質は、血管内面の付随的外傷を最小限化しながら、狭窄内への段階的進入を促進する。当業者であれば容易に認識するように、遠位および/または近位縁P
R、D
Rにとって可能な任意の数の半径があり、そのような半径の全範囲は、本発明の範囲内である。図に示された実施形態は、同等の半径である丸い縁を備えるが、近位および/または遠位縁P
R、D
Rは、同等ではない半径を備えてもよい。しかしながら、代替実施形態では、研磨ヘッドが近位の丸い縁を備えてもよい一方で、遠位端面は丸くはない。なおもさらなるあるいは、遠位縁が丸くてもよい一方で、近位端面は丸くはない。
示された実施形態では、研磨ヘッド28は、駆動シャフト20に固定して取り付けられてもよく、駆動シャフトは、単一ユニットを備える。あるいは、以下で論議されるように、駆動シャフト20は、2つの別個の部品を備えてもよく、拡大偏心研磨ヘッド28は、その間に間隙を伴って、両方の駆動シャフト20部品に固定して取り付けられる。中空チャンバ25と組み合わせた、この2部品駆動シャフト構築技術は、研磨ヘッド28の重心の配置のさらなる操作を可能にする。中空チャンバ25のサイズおよび形状は、特に望ましい回転速度について、研磨ヘッド28の軌道回転経路を最適化するように修正されてもよい。当業者であれば、その各々が本発明の範囲内にある、種々の可能な構成を容易に認識するであろう。
【0034】
図7−11の実施形態は、対称的な形状および長さの近位部分30および遠位部分40を示す。代替実施形態は、非対称の長手方向外形を生成するように、近位部分30または遠位部分40のいずれかの長さを増加させてもよい。
【0035】
具体的には、
図11を参照すると、駆動シャフト20は、ガイドワイヤ15と同軸上にある回転軸21を有し、ガイドワイヤ15は、駆動シャフト20の管腔19内に配置される。したがって、偏心拡大研磨ヘッド28の近位部分30は、円錐台の外側面によって実質的に確定される外面を有し、円錐は、比較的浅い角度βで駆動シャフト20の回転軸21と交差する軸32を有する。同様に、拡大研磨ヘッド28の遠位部分40は、円錐台の外側面によって実質的に確定される外面を有し、円錐は、比較的浅い角度βで駆動シャフト20の回転軸21と交差する軸42を有する。近位部分30の円錐軸および32遠位部分40の円錐軸42は、相互に交差し、駆動シャフトの長手方向回転軸21と同一平面上にある。
【0036】
円錐の対向側面は、概して、相互に対して約10°から約30°の間の角度αにあるべきであり、好ましくは、角度αは、約20°から約24°の間であり、最も好ましくは、角度αは、約22°である。また、近位部分30の円錐軸32および遠位部分40の円錐軸42は、通常、約20°から約8°の間の角度βで駆動シャフト20の回転軸21に交差する。好ましくは、角度βは、約3°から約6°の間である。図面に示された好ましい実施形態では、拡大研磨ヘッド28の遠位および近位部分の角度αは、概して同等であるが、同等である必要はない。同じことが、角度βに当てはまる。
【0037】
代替実施形態では、中間部分35は、遠位部分40との交点から近位部分30の交点まで段階的に増加する直径を備えてもよい。この実施形態では、角度αは、
図6に示されるように、遠位部分40よりも近位部分30で大きくてもよく、またはその逆も同様である。さらなる代替実施形態は、凸状である表面を有する中間部分35を備え、中間部分の外面は、近位部分および遠位部分の、近位外面および遠位外面の間に円滑遷移を提供するように、成形されてもよい。
【0038】
円錐軸32および42が、角度βで駆動シャフト20の回転軸21に交差するため、偏心拡大研磨ヘッド28は、駆動シャフト20の長手方向回転軸21から半径方向に離間される重心を有する。以下でより詳細に説明されるように、駆動シャフトの回転軸21から重心をオフセットすることにより、拡大偏心研磨ヘッド28の公称直径よりも実質的に大きい直径まで動脈を開口することを可能にする、偏心性を伴う拡大研磨ヘッド28を提供し、好ましくは、開口直径は、拡大偏心研磨ヘッド28の公称静止直径の少なくとも2倍大きい。
【0039】
図12A−12Cは、偏心拡大研磨ヘッド28が駆動シャフト20に固定して取り付けられ、駆動シャフト20がガイドワイヤ15上で前進させられ、ガイドワイヤ15が駆動シャフト管腔19内にある、
図7−11に示された偏心拡大研磨ヘッド28の3つの断面スライス(横断面図の面として示される)の重心29の位置を描写する。偏心拡大研磨ヘッド28全体は、多くのそのような薄いスライスに分割されてもよく、各スライスが各自の重心を有する。
図12Bは、偏心拡大研磨ヘッド28が最大断面直径(この場合、偏心拡大研磨ヘッド28の中間部分35の最大直径である)を有する位置で得られ、
図12Aおよび12Cは、それぞれ、偏心拡大研磨ヘッド28の遠位40および近位30部分の断面図である。これらの断面スライスのそれぞれにおいて、重心29は、駆動シャフト20の回転軸21から離間され、駆動シャフト20の回転軸は、ガイドワイヤ15の中心と一致する。各断面スライスの重心29も、各断面スライスの幾何学的中心と概して一致する。
図12Bは、研磨ヘッド28の最大断面直径を備える、中間部分35の断面スライスを示し、重心29および幾何学的中心の両方は、近位30および遠位40部分と比較して、駆動シャフト20の回転軸21から最も遠くに位置する(すなわち、最大限に離間される)。
【0040】
本明細書で使用されるような、「偏心」という言葉は、拡大研磨ヘッド28の幾何学的中心と駆動シャフト20の回転軸21との間の場所の違い、または拡大研磨ヘッド28の重心29と駆動シャフト20の回転軸21との間の場所の違いのいずれか一方を指すように規定され、本明細書で使用されることを理解されたい。適正な回転速度における、いずれか一方のそのような違いは、偏心拡大研磨ヘッド28が、偏心拡大研磨ヘッド28の公称直径よりも実質的に大きい直径まで狭窄を開口することを可能にする。さらに、規則正しくない幾何学形状である形状を有する偏心拡大研磨ヘッド28については、「幾何学的中心」という概念は、駆動シャフト28の回転軸21を通って描かれ、偏心拡大研磨ヘッド28の周囲が最大の長さを有する位置で得られる横断面図の周囲上の2つの点を接続する、最長弦の中間点を位置付けることによって、近似され得る。
【0041】
本発明の回転式アテレクトミーデバイスの研磨ヘッド28は、ステンレス鋼、タングステン、または同様の材料から構成されてもよい。研磨ヘッド28は、単一部品の単一構造であってもよく、またはあるいは、本発明の目的を達成するように一緒に嵌合および固定される、2つ以上の研磨ヘッド構成要素のアセンブリであってもよい。
【0042】
当業者であれば、本明細書で例示される実施形態が、上記で説明されるような少なくとも1つの組織切除面37を備えてもよいことを認識するであろう。この組織切除面37は、偏心研磨ヘッド28の中間部分35、近位部分30、および/または遠位部分40のうちの1つ以上の上に配置されてもよい。近位および/または丸い縁P
R、D
Rも、本明細書で説明されるように、その上に配置される研磨材を伴う組織切除面を備えてもよい。
【0043】
現在論議中の状況を含む特定の状況では、研磨ヘッド28は、研磨ヘッド28の遠位部分40の増加する直径を使用して開口を段階的かつ無傷的に作成し、狭窄を通って横断する研磨ヘッド28の前進およびその後退を可能にするように、十分なプラークが切除されるまで、開口の直径を増加させるために使用されてもよい。パイロット穴を作成する能力は、いくつかの特徴によって強化される。円錐状近位部分30は、狭窄への組織切除面37の段階的前進および制御された研磨アクセスを可能にし、研磨ヘッド28の継続的な前進のためにパイロット穴を作成する。丸みを帯びた丸い近位縁および/または遠位縁P
R、D
Rはさらに、パイロット穴の作成を促進し、本明細書で説明されるように、パイロット穴を段階的かつ無傷的に開口するのに役立つ、研磨材および表面をその上に備えてもよい。さらに、円錐状近位部分30(および図に示されていない遠位部分40)の、研磨ヘッド28の円柱状中間部分35との交点は、デバイスが段階的に前進させられるにつれてプラークを切断または研磨する能力を伴う縁を画定してもよく、したがって、研磨された狭窄の直径を増加させる。さらに、上述のように、研磨ヘッド28の近位部分30、ならびに中間部分35および遠位部分40(図に示されていない)の表面は、組織切除面37の研磨材で全体的または部分的に被膜されてもよく、したがって、狭窄を通る前進および後退中に、段階的かつ制御された方式でプラーク研磨および狭窄の開口を促進する。最終的に、研磨ヘッド28全体が、狭窄を横断して前進させられ、かつ後退させられることを可能にするように、十分なプラークが切除される。
【0044】
加えて、非可撓性研磨ヘッド28は、狭窄を通るパイロット穴の作成のために適切にサイズ決定されてもよく、本質的には、開口が段階的に開口されるように、本発明の連続的に大きくなる研磨ヘッド28が辿るためのアクセスを作成し、または恐らくは、Shturmanの第6,494,890号で説明されているもの等の特定の従来技術のデバイス、すなわち、駆動シャフトの可撓性偏心拡大部によって、後続アクセスを可能にするパイロット穴を作成する。このような配置は、2つの別個のデバイスを使用するステップ、または1つのデバイス内に2つ(または2つ以上)のデバイスを組み入れるステップを含んでもよい。例えば、Shturmanの第‘890号で開示されているように、駆動シャフト20のより近位に配置された可撓性偏心大研磨部と組み合わせて、駆動シャフト20に沿って遠位に、本発明の非可撓性偏心研磨ヘッド28を配置することが有利であってもよい。あるいは、連続的に大きくなる非可撓性研磨ヘッド28は、駆動シャフト20に沿って直列に配置されてもよく、最小部分が、駆動シャフト20に沿って最も遠位、すなわち、狭窄の最も近位にある。なおもさらなるあるいは、非可撓性および可撓性(以下で論議される)の偏心研磨ヘッド28の組み合わせが、駆動シャフト20に沿って直列に提供されてもよい。
【0045】
図13は、ガイドワイヤ20および取り付けられた研磨ヘッド28が、ガイドワイヤ15上で前進させられ、狭窄が実質的に開口された後に動脈「A」内の「静止」位置にある、本発明の拡大偏心研磨ヘッド28を描写し、従って、デバイスの公称直径を十分上回る直径まで狭窄を開口するデバイスの能力を示す。
【0046】
本発明の偏心拡大研磨ヘッドの公称直径よりも大きい直径まで、動脈内の狭窄を開口することができる程度は、偏心拡大研磨ヘッドの形状、偏心拡大研磨ヘッドの質量、その質量分布、したがって、駆動シャフトの回転軸に対する研磨ヘッド内の重心の位置、および回転速度を含む、いくつかのパラメータに依存する。
【0047】
回転速度は、拡大研磨ヘッドの組織切除面が狭窄組織に対して押圧される、遠心力を決定する際の重要因子であり、それによって、操作者は、組織切除の割合を制御することが可能になる。回転速度の制御も、ある程度は、デバイスが狭窄を開口する最大直径の制御を可能にする。出願者らはまた、組織切除表面が狭窄組織に対して押圧される力を確実に制御する能力が、操作者が組織切除の割合をより良好に制御することを可能にするだけでなく、切除されている粒子のサイズのより良好な制御を提供することも発見している。
【0048】
図14−15は、本発明の偏心研磨ヘッド28の種々の実施形態が取る、概して螺旋状軌道経路を示し、研磨ヘッド28は、研磨ヘッド28が前進させられたガイドワイヤ15に対して示されている。
図14−15の螺旋状経路のピッチは、例示目的のために誇張されており、実際は、偏心拡大研磨ヘッド28の各螺旋状経路は、組織切除面37を介して、組織の非常に薄い層を切除するだけであり、狭窄を完全に開口するように、デバイスが狭窄を横切って繰り返し前後に移動させられると、多くのこのような螺旋状通路が偏心拡大研磨ヘッド28によって作られる。
図14は、本発明の回転式アテレクトミーデバイスの偏心拡大研磨ヘッド28の3つの異なる回転位置を概略的に示す。各位置において、偏心拡大研磨ヘッド28の研磨面は、切除されるプラーク「P」に接触し、3つの位置は、プラーク「P」との3つの異なる接触点によって識別され、これらの点は、点B1、B2、およびB3として図中で指定されている。各点において、駆動シャフトの回転軸から半径方向に最も遠位にあるのは、組織、つまり組織切除表面37の一部分に接触する偏心拡大研磨ヘッド28の研磨面の概して同一部分であることに留意されたい。
【0049】
上記で説明される、非可撓性研磨ヘッドの実施形態に加えて、本発明の種々の実施形態はさらに、偏心研磨ヘッド28においてある程度の可撓性を備える。例示的な実施形態が、
図15−18に示されている。
【0050】
図15は、
図7−11で提供されたものと同様であるが、可撓性スロット46が研磨ヘッド28上に配置されている、研磨ヘッドを示す。スロット46は、研磨ヘッド28の最大屈曲を可能にするように、研磨ヘッド28を完全に通って管腔23に切り込まれているものとして示されている。しかしながら、当業者であれば、スロット46は、管腔23の中へ延在する必要がなく、その代わり、事実上、管腔23の中へ延在しないが、研磨ヘッド28に浅く切り目を入れることによって、可撓性を達成してもよいことを認識するであろう。種々の実施形態では、研磨ヘッド28は、可撓性駆動シャフト20とともに屈曲して、対象管腔内の蛇行性通路のうまい通り抜けを容易にする。したがって、研磨ヘッド28におけるこのような可撓性は、研磨される病変を通る外傷の少ない進入、ならびにそこからの外傷の少ない退出を提供してもよい。少なくとも1つの可撓性スロット46は、このような可撓性を提供することを必要とし、好ましくは、複数の可撓性スロット46が提供される。
【0051】
図15の可撓性研磨ヘッド28の実施形態は、実質的に一貫した幅および深さの一連の均等に配置された可撓性スロット46を示し、スロット46は、研磨ヘッド28を完全に通って、その中の管腔23まで切断される。当業者であれば、とりわけ、スロット46の数、研磨ヘッド28内のスロット46の深さ、スロット46の幅、スロット46の切断角度、研磨ヘッド28上のスロット46の配置のうちの1つ以上の操作を通して、研磨ヘッド28の可撓性が制御されてもよい、すなわち、修正されてもよいことを認識するであろう。
【0052】
したがって、研磨ヘッドの可撓特性は、可撓性スロット46を使用して、制御または修正されてもよい。本発明のある実施形態は、例えば、研磨ヘッド28の中心付近に集中した、すなわち、中間部分35内に配設された、可撓性スロット46を備えてもよく、1つだけのスロット46が近位部分30に係合し、1つだけのスロット46が遠位部分40に係合する。多くの均等物が可能であり、その各々が本発明の範囲内であることが、当業者にとって明白となるであろう。
【0053】
可撓性研磨ヘッドの実施形態の各々は、非可撓性実施形態に関連して上記で論議されるように、その上に配置された研磨材を備えてもよい。
【0054】
したがって、本発明の偏心研磨ヘッド28は、非可撓性および/または少なくとも部分的に可撓性の実施形態を備えてもよい。
【0055】
動作に関する任意の特定の理論に拘束されることを希望しないが、回転軸から重心をオフセットすることにより、拡大研磨ヘッドの「軌道」移動を生じ、「軌道」の直径は、とりわけ、駆動シャフトの回転速度を変動させることによって制御可能であると、出願者らは考える。「軌道」移動が、
図14−15に示されるように幾何学的に規則的であるか否かは、決定されてはないが、出願者らは、駆動シャフトの回転速度を変動させることによって、狭窄表面に対して偏心拡大研磨ヘッド28の組織切除面を押し進める遠心力を制御できることを経験的に実証している。遠心力は、以下の公式によって決定することができる。
【0056】
F
C=mΔx(πn/30)
2
式中、F
cは、遠心力であり、mは、偏心拡大研磨ヘッドの質量であり、Δxは、偏心拡大研磨ヘッドの重心と駆動シャフトの回転軸との間の距離であり、nは、毎分回転数(rpm)である。この力F
cを制御することによって、組織が切除される速度の制御、デバイスが狭窄を開口する最大直径の制御、および切除されている組織の粒径の改良型制御を提供する。
【0057】
本発明の研磨ヘッド28は、従来技術の高速アテレクトミー研磨デバイスよりも多くの質量を備える。結果として、高速回転中に、より大きな軌道が達成されてもよく、それは順に、従来技術のデバイスよりも小さい研磨ヘッドの使用を可能にする。完全または実質的に閉鎖された動脈等におけるパイロット穴の作成を可能にすることに加えて、より小型の研磨ヘッドを使用することにより、挿入中のアクセスの優れた容易性および少ない外傷を可能にする。
【0058】
動作的に、本発明の回転式アテレクトミーデバイスを使用して、偏心拡大研磨ヘッド28は、狭窄を通って遠位および近位に繰り返し移動させられる。デバイスの回転速度を変更することによって、組織切除面が狭窄組織に対して押圧される力を制御することが可能になり、それにより、プラーク切除の速度ならびに切除された組織の粒径をより良好に制御することが可能になる。狭窄が、拡大偏心研磨ヘッド28の公称直径よりも大きい直径まで開口されることから、冷却溶液および血液は、拡大研磨ヘッドの周囲を絶えず流動することが可能になる。血液および冷却溶液のこのような一定流量は、切除組織粒子を絶えず押し流し、したがって、一旦、研磨ヘッドが病変を通過すると、切除粒子の均一な解放を提供する。
【0059】
偏心拡大研磨ヘッド28は、約1.0mmから約3.0mmに及ぶ最大断面直径を備えてもよい。したがって、偏心拡大研磨ヘッドは、1.0mm、1.25mm、1.50mm、1.75mm、2.0mm、2.25mm、2.50mm、2.75mm、および3.0mmを含むが、それらに限定されない断面直径を備えてもよい。当業者であれば、断面直径の上記列挙内の0.25mmの増分は例示的にすぎず、本発明は、例示的列挙によって限定されず、結果として、断面直径の他の増分が可能であり、かつ本発明の範囲内であることを容易に認識するであろう。
【0060】
上記で説明されるように、拡大研磨ヘッド28の偏心性がいくつかのパラメータに依存するため、出願者らは、偏心拡大研磨ヘッドの最大断面直径の位置で得られる、駆動シャフト20の回転軸21と横断面図の面の幾何学的中心との間の距離に関して、以下の設計パラメータが考慮されてもよいことを見出している。約1.0mmから約1.5mmの間の最大断面直径を伴う偏心拡大研磨ヘッド28を有するデバイスについては、望ましくは、幾何学的中心は、駆動シャフトの回転軸から、少なくとも約0.02mmの距離だけ、好ましくは、少なくとも約0.035mmの距離だけ離間されるべきであり、約1.5mmから約1.75mmの間の最大断面直径を伴う偏心拡大研磨ヘッド28を有するデバイスについては、望ましくは、幾何学的中心は、駆動シャフトの回転軸から、少なくとも約0.05mmの距離だけ、好ましくは少なくとも約0.07mmの距離だけ、最も好ましくは少なくとも約0.09mmの距離だけ離間されるべきであり、約1.75mmから約2.0mmの間の最大断面直径を伴う偏心拡大研磨ヘッドを有するデバイスについては、望ましくは、幾何学的中心は、駆動シャフトの回転軸から、少なくとも約0.1mmの距離だけ、好ましくは少なくとも約0.15mmの距離だけ、最も好ましくは少なくとも約0.2mmの距離だけ離間されるべきであり、2.0mm以上の最大断面直径を伴う偏心拡大研磨ヘッドを有するデバイスについては、望ましくは、幾何学的中心は、駆動シャフトの回転軸から、少なくとも約0.15mmの距離だけ、好ましくは少なくとも約0.25mmの距離だけ、最も好ましくは少なくとも約0.3mmの距離だけ離間されるべきである。
【0061】
設計パラメータはまた、重心の位置に基づくこともできる。約1.0mmから約1.5mmの間の最大断面直径を伴う偏心拡大研磨ヘッド28を有するデバイスについては、望ましくは、重心は、駆動シャフトの回転軸から、少なくとも約0.013mmの距離だけ、好ましくは、少なくとも約0.02mmの距離だけ離間されるべきであり、約1.5mmから約1.75mmの間の最大断面直径を伴う偏心拡大研磨ヘッド28を有するデバイスについては、望ましくは、重心は、駆動シャフトの回転軸から、少なくとも約0.03mmの距離だけ、好ましくは、少なくとも約0.05mmの距離だけ離間されるべきであり、約1.75mmから約2.0mmの間の最大断面直径を伴う偏心拡大研磨ヘッドを有するデバイスについては、望ましくは、重心は、駆動シャフトの回転軸から、少なくとも約0.06mmの距離だけ、好ましくは、少なくとも約0.1mmの距離だけ離間されるべきであり、2.0mm以上の最大断面直径を伴う偏心拡大研磨ヘッドを有するデバイスについては、望ましくは、重心は、駆動シャフトの回転軸から、少なくとも約0.1mmの距離だけ、好ましくは、少なくとも約0.16mmの距離だけ離間されるべきである。
【0062】
好ましくは、例えば、
図10Cに示されるような、近位30、中間35、および/または遠位40部分によって画定される外面から、中空チャンバを分離する壁50の厚さは、構造の安定性および完全性を保存するために、最低0.008インチの厚さとなるべきである。
【0063】
好ましくは、拡大研磨ヘッド28が十分に偏心性であるため、約20,000rpmよりも大きい回転速度で静止ガイドワイヤ15(ガイドワイヤの実質的移動を妨げるよう十分に張りつめて保たれている)上で回転させられると、その組織切除面37の少なくとも一部分が、偏心拡大研磨ヘッド28の最大公称直径よりも大きい直径を有する経路(そのような経路が完全に規則的であるか、円形であるか否かにかかわらず)を通って回転してもよいように、設計パラメータが選択される。例えば、無制限に、約1.5mmから約1.75mmの間の最大直径を有する拡大研磨ヘッド28については、組織切除面37の少なくとも一部分は、偏心拡大研磨ヘッド28の最大公称直径よりも少なくとも約10%大きい、好ましくは偏心拡大研磨ヘッド28の最大公称直径よりも少なくとも約15%大きい、最も好ましくは偏心拡大研磨ヘッド28の最大公称直径よりも少なくとも約20%大きい、直径を有する経路を通って回転してもよい。約1.75mmから約2.0mmの間の最大直径を有する拡大研磨ヘッド28については、組織切除部の少なくとも一部分は、偏心拡大研磨ヘッド28の最大公称直径よりも少なくとも約20%大きい、好ましくは偏心拡大研磨ヘッド28の最大公称直径よりも少なくとも約25%大きい、最も好ましくは偏心拡大研磨ヘッド28の最大公称直径よりも少なくとも約30%大きい、直径を有する経路を通って回転してもよい。約2.0mmの最大直径を有する拡大研磨ヘッド28については、組織切除面37の少なくとも一部分は、偏心拡大研磨ヘッド28の最大公称直径よりも少なくとも約30%大きい、好ましくは偏心拡大研磨ヘッド28の最大公称直径よりも少なくとも約40%大きい、直径を有する経路を通って回転してもよい。
【0064】
好ましくは、拡大研磨ヘッド28が十分に偏心性であるため、約20,000rpmから約200,000rpmの間の速度にて静止ガイドワイヤ15上で回転させられると、その組織切除表面37の少なくとも一部分が、偏心拡大研磨ヘッド28の最大公称直径よりも実質的に大きい最大直径を伴う経路(そのような経路が完全に規則的であるか、円形であるか否かにかかわらず)を通って回転するように、設計パラメータが選択される。種々の実施形態では、本発明は、偏心拡大研磨ヘッド28の最大公称直径よりも増分的に少なくとも約50%から約400%大きい最大直径を伴う、実質的軌道経路を画定することが可能である。望ましくは、そのような軌道経路は、偏心拡大研磨ヘッド28の最大公称直径よりも少なくとも約200%から約400%大きい最大直径を備える。
【0065】
本発明は、上記で説明される特定の実施例に限定されると考えられるべきではなく、むしろ、本発明の全局面を対象にすると理解されるべきである。本発明が適用可能であってもよい、種々の修正、同等のプロセス、ならびに多数の構造は、本明細書を考察することによって、本発明を対象とする当業者にとって容易に明白になるであろう。