特許第5653396号(P5653396)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5653396
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20060101AFI20141218BHJP
   F21V 3/02 20060101ALI20141218BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20141218BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20141218BHJP
【FI】
   F21S2/00 481
   F21V3/02 200
   F21V3/02 500
   F21V3/00 510
   F21V3/00 530
   F21Y101:02
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-161324(P2012-161324)
(22)【出願日】2012年7月20日
(65)【公開番号】特開2014-22252(P2014-22252A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2013年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 明日美
【審査官】 石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3173328(JP,U)
【文献】 特開2012−084695(JP,A)
【文献】 特開2010−205553(JP,A)
【文献】 特開2000−307152(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/096204(WO,A1)
【文献】 特開2001−118402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 3/00
F21V 3/02
F21V 5/00
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDを利用した発光装置であって、
1つまたは複数のLEDが中心部に配置された円形のLEDモジュールと、
前記LEDモジュールの各LEDから放射された光を拡散する光拡散部材を有する拡散板と、
を備え、
前記光拡散部材は、半球状で扇形の溝を一定間隔で有する形状、かつ半透明または白色であり、前記LEDの各々または前記LEDモジュールの各々に対して個別に設けられ、各光拡散部材は、対応するLEDから放射された光または対応するLEDモジュールを構成している各LEDから放射された光が中心部に入射するように前記拡散板に取り付けられ、前記LEDモジュールの直下照度を低減するとともに周囲の照度分布を均一化することを特徴とする発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)を使用した発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、白色LEDは照明用途としても広く用いられるようになってきている。ここで、LED自体の大光量化も進んではいるが、大きな光量を必要とする器具では、多数のLEDパッケージを用いて1つのモジュールとするのが一般的である。また、LEDを利用した照明では、正面輝度が非常に高く、まぶしさ(グレアともいう)が問題となる。この問題に対し、小型の低ワットLEDを多数並べて面光源のように見せるグレア低減対策が採られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−509517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LEDを使用した発光装置の課題として、光量を上げるほど発熱量が大きくなり、放熱設計が困難になる問題、高い輝度を持つ光源が必要な場合、光源1つあたりの輝度に対してLEDの実装面積が大きくなる問題がある。
【0005】
また、コスト面を考えた場合、発光装置1台あたりのLEDの数は少ないことが望ましい。
【0006】
上記の特許文献1に記載の発明では、LEDの配列を工夫し、必要な角度に必要なだけLEDを実装することで最低限の大きさで必要な光量を得ているが、光源1つあたりの輝度に対してLEDの実装面積が大きくなる問題は解決できていない。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、低コスト化を実現するとともに、器具の形態によってモジュールや基板の形を変更する必要がなく、かつ高い輝度が必要な場合においても実装面積が大きくなるのを回避可能な発光装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、LEDを利用した発光装置であって、1つまたは複数のLEDが中心部に配置された円形のLEDモジュールと、前記LEDモジュールの各LEDから放射された光を拡散する光拡散部材を有する拡散板と、を備え、前記光拡散部材は、前記LEDモジュールの直下照度を低減するとともに周囲の照度分布を均一化することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光束値が大きいLEDの使用が可能となるので、発光装置1台あたりのLEDの数を削減でき、低コスト化を実現できる、という効果を奏する。また、高い輝度が必要な場合でもLEDの実装面積が大きくなるのを回避できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明にかかる発光装置の実施の形態1の構成例を示す平面図である。
図2図2は、本発明にかかる発光装置の実施の形態1の構成例を示す斜視図である。
図3図3は、発光装置の一例を示す平面図である。
図4図4は、実施の形態1の発光装置を構成している光拡散部材の一例を示す図である。
図5図5は、実施の形態2の発光装置を構成している光拡散部材の一例を示す図である。
図6図6は、実施の形態3の発光装置を構成している光拡散部材の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明にかかる発光装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる発光装置の実施の形態1の構成例を示す平面図である。図2は、図1に示された発光装置の斜視図である。
【0013】
図1に示したように、本実施の形態の発光装置100は、LEDモジュール110を備えて構成されている。また、LEDモジュール110はLED111を備えている。図1に示した例ではLEDモジュール110が4個となっているが、この数に限定されない。また、1つのLEDモジュール110が備えているLED111の数も図示したものに限定されない。LEDモジュール110の数や1つのLEDモジュール110が備えているLED111の数は、発光装置100に対する要求仕様等に応じて決定される。
【0014】
図1および図2に示したものは、照明部分のみの器具筐体にLEDモジュール110を実装したものであり、LEDモジュール110は、LED111を複数実装または大光量のLED111を一灯実装したものである。発光装置100の光束値が4000[lm]程度を満たす必要がある場合、たとえば、1つのLED111の光束値を100[lm]とすると、発光装置100は40灯のLED111を必要とする。図1のように発光装置100の片側に2つのLEDモジュール110を備えている場合、合計4つのLEDモジュール110には、それぞれ10灯のLED111が実装される。また、1つのLED111の光束値を2000[lm]とした場合には、図3に示したように、1灯のLED111が実装されたLEDモジュール110を発光装置100の片側に1つ備えることとなる(拡散板などの光ロスを考慮しない場合)。基板の形はダウンライトと同じような円形である。
【0015】
本実施の形態の発光装置の特徴について説明する。本実施の形態の発光装置においては、図4に示したように、LED111の光源部(ハッチング部分)の真上となる部分に光拡散部材120を配置した拡散板112を備える。光拡散部材120は、光源直下の光を拡散させて周囲に広げることにより、直下の眩しさを軽減する。発光装置をグリッド状に配置することにより、部屋の照度分布を均一に保つことができる。
【0016】
大光量の光源を用いてLEDの灯数を減らした器具では、LED一個あたりの光束が大きく、直下がとても眩しくなる。そのため大光量光源は一般的には高い天井などに向くが、灯数が少ない分安価につくれるというメリットもある。本実施の形態の発光装置は拡散板112を備え、LED111が発する光を拡散させる構成としたので、LED111直下の眩しさを低減できる。すなわち、1つのLED111あたりの光束を大きくしてLED111の総数を削減し、コストを削減できる。
【0017】
なお、図1および図2ではグリッド照明器具の片側に円形光源を2つずつ実装しているが、図3のように片側の円形光源が1つの構成としてもよい。
【0018】
このように、図1図3の構成においては、円形のモジュールの光を広げるよう、拡散板112は図4のような光拡散部材120を持つことを特徴とする。なお、図4においては拡散板112の記載を省略している。
【0019】
図4に示した光拡散部材120は、半球形状のキャップのような形状であり、扇形の溝を一定間隔で有する。色は半透明または白とする。
【0020】
光拡散部材120の扇形の溝を直接通る光と、内側で反射を繰り返し溝部分から出てくる光により、光源部の光は拡散され、部屋の照度分布が均一になるよう、直下照度を和らげる。
【0021】
また、光束値が小さいLED111を多数実装したLEDモジュール110を光源とする場合、拡散板112は、光拡散部材120をLEDモジュール110に対して1つ有し、光束値が大きいLED111を少数(1つあるいは2つ)実装したLEDモジュール110を光源とする場合には、光拡散部材120を1つのLED111に対して1つ有することとする。
【0022】
図1,2ではグリッド照明器具(グリッドライト)への適用例を示したが、ダウンライト等の他の照明器具への適用も可能である。
【0023】
このように、本実施の形態の発光装置は、LEDモジュールまたはLEDが備えているLEDの光源部を覆う光拡散部材を備え、LEDが発する光を拡散し、発光装置直下の照度を和らげるので、光束値が大きいLEDの使用が可能となる。すなわち、LEDの数を削減でき、低コスト化を実現できる。また、LEDの実装面積が大きくなるのを防止できる。
【0024】
実施の形態2.
実施の形態1の発光装置が備えていた拡散板112の光拡散部材120(図1図4参照)を図5に示した光拡散部材121としてもよい。
【0025】
図5は、実施の形態2の発光装置が備えている光拡散部材121の構成を示す図である。図5(a)は正面図、図5(b)は斜視図である。図5(c)にはLED111と光拡散部材121の位置関係を示している。光拡散部材121以外の構成については実施の形態1と同様である。なお、ハッチングされた部分はLED111の光源部である。
【0026】
本実施の形態の発光装置は、図5(c)に示したように、LED111の光源部の真上となる部分に光拡散部材121を配置した拡散板112を備える。なお、説明の便宜上、拡散板112の記載を省略している。光拡散部材121が光源直下の光を拡散させて周囲に広げることにより、直下の眩しさを軽減する。発光装置をグリッド状に配置することにより、部屋の照度分布を均一に保つことができる。
【0027】
図5に示した光拡散部材121は半球の中央が凹んでいるドーム状の構造をしており、半透明である。これにより光を周囲に広げる効果があり、部屋の照度分布を均一にする。
【0028】
また、実施の形態1の光拡散部材120と同様に、光束値が小さいLED111を多数実装したLEDモジュール110を光源とする場合、拡散板112は、光拡散部材121をLEDモジュール110に対して1つ有し、光束値が大きいLED111を少数(1つあるいは2つ)実装したLEDモジュール110を光源とする場合には、光拡散部材121を1つのLED111に対して1つ有することとする。
【0029】
このように、実施の形態1の発光装置が備えていた光拡散部材120を光拡散部材121に置き換えた場合にも、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0030】
実施の形態3.
実施の形態1の発光装置が備えていた拡散板112の光拡散部材120(図1図4参照)を図6に示した光拡散部材122としてもよい。
【0031】
図6は、実施の形態3の発光装置が備えている光拡散部材122の構成を示す図である。図6(a)は正面図、図6(b)は斜視図である。光拡散部材122以外の構成については実施の形態1と同様である。なお、ハッチングされた部分はLED111の光源部である。
【0032】
本実施の形態の発光装置は、LED111の光源部の真上となる部分に光拡散部材122を配置した拡散板112を備える。なお、説明の便宜上、拡散板112の記載を省略している。光拡散部材122が光源直下の光を拡散させて周囲に広げることにより、直下の眩しさを軽減する。発光装置をグリッド状に配置することにより、部屋の照度分布を均一に保つことができる。
【0033】
本実施の形態によると、図6の光拡散部材122は開光側よりも光源側の面積が小さく、正面図は台形形状の平板である。半透明であり、開光側で反射した光が斜面から出光することにより、光を拡散する。
【0034】
また、実施の形態1の光拡散部材120と同様に、光束値が小さいLED111を多数実装したLEDモジュール110を光源とする場合、拡散板112は、光拡散部材122をLEDモジュール110に対して1つ有し、光束値が大きいLED111を少数(1つあるいは2つ)実装したLEDモジュール110を光源とする場合には、光拡散部材122を1つのLED111に対して1つ有することとする。
【0035】
このように、実施の形態1の発光装置が備えていた光拡散部材120を光拡散部材122に置き換えた場合にも、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上のように、本発明にかかる発光装置は、LEDを利用した照明装置(ダウンライト、グリッドライトなど)として有用である。
【符号の説明】
【0037】
100 発光装置、110 LEDモジュール、111 LED、112 拡散板、120,121,122 光拡散部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6