特許第5653430号(P5653430)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5653430
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】ケイ質ベースのポリウレア組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 75/02 20060101AFI20141218BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20141218BHJP
   C08G 18/28 20060101ALI20141218BHJP
【FI】
   C08L75/02
   C08K3/34
   C08G18/28
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-522072(P2012-522072)
(86)(22)【出願日】2010年7月7日
(65)【公表番号】特表2013-500364(P2013-500364A)
(43)【公表日】2013年1月7日
(86)【国際出願番号】EP2010059733
(87)【国際公開番号】WO2011012415
(87)【国際公開日】20110203
【審査請求日】2013年7月4日
(31)【優先権主張番号】09166854.1
(32)【優先日】2009年7月30日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503343336
【氏名又は名称】コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Construction Research & Technology GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100167852
【弁理士】
【氏名又は名称】宮城 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】シェーン オリヴァー マクダネル
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン トリーフリンガー
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー テンメ
(72)【発明者】
【氏名】グジェゴシ ゴムウカ
(72)【発明者】
【氏名】ミハエル メルヒャート
(72)【発明者】
【氏名】ブアクハート ヴァルター
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−67839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 75/02
C08G 18/28
C08K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) ポリイソシアネート、
b) 水性ケイ酸塩、
c) 水和性のアルミノケイ酸塩としてのメタカオリン
を含む成分を反応させることによって得られる、ケイ質ベースのポリウレア組成物。
【請求項2】
反応成分がさらに
d) ポリオール、および/または
e) 不活性充填剤
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
反応成分が、
20〜65質量%のポリイソシアネート、
5〜55質量%の水性ケイ酸塩、
2〜20質量%の水和性のアルミノケイ酸塩、
0〜40質量%のポリオール、
0〜40質量%の不活性充填剤
を含む、請求項に記載の組成物。
【請求項4】
ポリイソシアネートが、脂肪族のイソシアネート、芳香族のイソシアネート、または脂肪族/芳香族混合のイソシアネートであって、≧2の−NCO官能価を有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
水性ケイ酸塩が、アルカリケイ酸塩またはアンモニウムケイ酸塩、好ましくはアンモニウム、リチウム、ナトリウムまたはカリウム水ガラスであって、そのSiO2:M2O(前記Mは一価のカチオンを表す)のモル比によって定義される率4.0〜0.2、好ましくは4.0〜1.0を有し、且つ、固体含有率10〜70質量%、好ましくは30〜55質量%を有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
ポリオールが、≧2の−OH官能価を有する多官能価のアルコールである、請求項1から5までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも一部のポリイソシアネートおよびポリオールが、まず反応して≧2の−NCO官能価を有するポリイソシアネートプレポリマーを形成する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
ハロゲン化および/またはリン含有添加剤が、反応成分に含まれていない、請求項1から7までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
泡安定剤、触媒および/または発泡剤が、反応成分に含まれていない、請求項1から8までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項において定義された組成物の製造方法であって、水和性のアルミノケイ酸塩としてのメタカオリンと水性ケイ酸塩とを混合する段階、および、この混合物を随意にポリオールの存在中および/または不活性充填剤を包含して、ポリイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートプレポリマーと反応させる段階を含む、前記製造方法。
【請求項11】
航空、自動車組み立て部品、建築、消費者製品、防火、家具部品、遮断、造船および/または風車建築の分野における、請求項1から9までのいずれか1項において定義された組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はケイ質ベースのポリウレア組成物、それらの製造方法、および様々な分野におけるそれらの使用に関する。より特定には、本発明は、イソシアネート、アルカリケイ酸塩、および水和性のアルミノケイ酸塩を反応させることによって得られるケイ質ベースのポリウレア組成物に関する。
【0002】
ポリウレタン産業において、発泡はポリオール成分中の既知量の水をポリイソシアネートと反応させることによって開始される。解放された二酸化炭素が、樹脂の膨張を引き起こす。耐火性を改善するための手法は、ハロゲン化および/またはリン含有添加剤並びにハロゲン化ポリオールの添加を含む。しかしながら、それらの成分に関しては、環境上の懸念がある。
【0003】
2相のポリウレアケイ酸塩系(PUS)が当該技術分野で公知である。有機成分および無機成分の混合比は、どの液体が連続相を形成するかで測定できる。水中油型エマルションの形態において、有機イソシアネート成分は不連続相を形成し、且つ、その材料特性は硬化された無機成分の反映であり得る。
【0004】
米国特許3607794号は、本質的に、粒状材料、繊維およびそれらの混合物からなる群から選択される不活性材料の存在中、且つ、予め形成された樹脂の不在下での、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液と有機ポリイソシアネートとの間の反応からなるシリカ含有耐火性製品の製造方法を開示しているその米国特許公表においては、アミン触媒、発泡剤、および泡安定剤の使用が推奨されている。
【0005】
エマルション転相は、連続的な有機マトリックスを反映する特性を有する材料を生成し、その際、それはより可燃性である。イソシアネート含有樹脂は、−NCOと、塩基性水溶液との反応により硬化し、生じるカルバミン酸から二酸化炭素が解放され、それが次に水相へと移行し、且つ、水和シリカゲルの沈殿を引き起こす。解放されたアミン単位は、イソシアネート基との反応によってポリウレアを形成する一方、さらなる縮合反応が二酸化ケイ素の網目の形成を引き起こす。二相混合物の均質性は、分散剤、湿潤剤および乳化剤を取り込むことによって改善できる。
【0006】
水硬性結合剤、例えば速硬性セメントと組み合わせた、イオン変性ポリイソシアネートからの相互網目は、水ガラス−ポリイソシアネートのハイブリッドの機械的特性を改善するための手法であった。DE2310559号A1は、アルカリケイ酸塩水溶液、有機ポリイソシアネート、および水−結合添加剤の混合物の反応によって得られる泡コンクートを開示し、且つ特許請求している。それらの添加剤は、水セメントとして、好ましくは速硬性セメント、合成硬セッコウ、セッコウ、生石灰、およびその種のものが記載されている。その実施例においては、イオン変性されたポリイソシアネート、乳化剤、触媒および発泡剤が使用された。
【0007】
米国特許4129696号は、無機−有機のプラスチック複合材および得られる製品の製造方法を記載している。該方法は一般に、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液と、25℃で少なくとも約0.4Pa・sの粘度を有する液体の有機ポリイソシアネートとの反応を含み、前記反応は無機の水−結合充填剤の不在下で行われる。触媒、発泡剤および乳化剤を使用することが推奨されている。
【0008】
ゾルゲル反応から誘導される軽量発泡PUSハイブリッド材料を提供するための方法は、水ガラス−ポリイソシアネートハイブリッドを組み合わせることにより開示されており、その際、相互貫入網目はイオン変性ポリイソシアネートから製造される (GB1483270号、GB1385605号、およびDE2227147号A1)。軽量材料は、この方法によって、クロロフルオロカーボン膨張剤を使用して製造された。挙げられた例において、>30℃の高められた加工温度または緩慢な(40分より長い)泡の発生が報告されている。
【0009】
その最も広い態様において、本発明の基礎をなす課題は上記の先行技術の特定された欠点を緩和することである。特に、適度に広いスペクトルおよびバランスの良い特性を有する材料、特に、軽量、高い機械的耐力、難燃性の材料が必要とされている。ハロゲン化および/またはリン含有添加剤、泡安定剤、触媒および/または発泡剤を回避することは、さらに有利かもしれない。
【0010】
特に、冷蔵庫用断熱材の分野において、ハロゲン化および/またはリン含有添加剤に基づく防炎は一般に使用されておらず、なぜなら、それらの添加剤は食品貯蔵室に移入し、そして毒物学的なリスクを投じるかもしれないからである。従って、冷蔵庫用断熱材はしばしば可燃性材料から構成され、且つ、高い炎負荷(flame load)を内含する。従って、当該技術分野において、低減された炎負荷および低減された可燃性を有するハロゲンおよび/またはリンのない断熱材料についての実際上の必要性がある。
【0011】
それらの課題、および本明細書を熟読し且つ添付される実施例を行うことで専門家にとって明らかとなるさらなる課題は、独立請求項の特徴部によって解決される。従属請求項は、好ましい実施態様に関している。
【0012】
本発明は、a)ポリイソシアネート、b)水性のケイ酸塩、およびc)水和性のアルミノケイ酸塩を含む成分を反応させることによって得られる、ケイ質ベースのポリウレア組成物に関する。好ましくは、反応成分はさらにd)ポリオールおよび/またはe)不活性充填剤を含む。
【0013】
本発明によるポリイソシアネートは、脂肪族のイソシアネート、芳香族のイソシアネート、または脂肪族/芳香族混合のイソシアネートであって、好ましくは≧2の−NCO官能価を有する。
【0014】
適したポリイソシアネートは、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート (HMDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、即ちイソホロンジイソシアネート (IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート (H12MDI)、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート (CHDI)、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシル−2,2−プロパン、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−および2,6−トルエンジイソシアネート (TDI)またはそれらの混合物、トリジンジイソシアネート、2,2’−、2,4’−および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート (MDI)またはそれらの混合物、1,2−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート (TMXDI)、およびそれらの混合物を含む。
【0015】
イソシアネート基を結合する成分中にヘテロ原子を含有するポリイソシアネート、即ちウレア基、ウレタン基、ビウレット基、アロファネート(allophonate)基、ウレチジンジオン基、イソシアヌレート基、イミド基、カルボジイミド基、ウレトンイミン基およびその種のものを含有するポリイソシアネートも、適している。
【0016】
ジフェニルメタンイソシアネート異性体(MDI)、いわゆるMDIグレードに基づくポリマーのポリイソシアネート、およびポリマーのMDI(PMDI)であって、好ましくは≧2の−NCO官能価を有するものを使用することが特に好ましい。本願の目的では、適した(ポリマーの)ポリイソシアネートは、20Pa・s未満、好ましくは10Pa・s未満の粘度を有するべきである。−NCO含有率は、10〜30質量%の範囲であるべきである。
【0017】
本発明による水性ケイ酸塩は、アルカリケイ酸塩またはアンモニウムケイ酸塩、好ましくはアンモニウム、リチウム、ナトリウムまたはカリウム水ガラス、またはそれらの組み合わせであって、SiO2:M2Oのモル比によって定義される(ケイ酸)率 4.0〜0.2、好ましくは4.0〜1.0を有し(前記Mは一価のカチオンを表す)、且つ、固体含有率10〜70質量%、好ましくは30〜55質量%、および/またはSiO2として計算したケイ酸塩含有率12〜32質量%、好ましくは18〜32質量%を有する。ナトリウムおよびカリウム水ガラスが特に好ましい。水ガラスの粘度は、0.2〜1.0Pa・sの範囲であるべきであり、より高い粘度は、適切な水性アルカリの添加によって下げられるべきである。
【0018】
適した水和性のアルミノケイ酸塩は、脱水および/または脱ヒドロキシル化された形態の水和アルミノケイ酸塩、例えばアンチゴライト、クリソタイル、リザダイト; カオリナイト、イライト、スメクタイト粘土、モンモリロナイト、バーミキュライト、タルク、パリゴルスカイト、パイロフィライト、黒雲母、白雲母、金雲母、紅雲母、マーガライト、海緑石; 緑泥石; およびゼオライトである。好ましい水和性のアルミノケイ酸塩は、脱水カオリナイト、メタカオリン、フライアッシュ、ポゾラン、ゼオライトおよびそれらの混合物からなる群から選択される。それらの材料は、セメント質の特性を保有しない。メタカオリンが特に好ましい。脱水(100〜200℃)された場合、アルミノケイ酸塩鉱物は、物理的に結合された水のほとんどを失う。より高い温度では、脱ヒドロキシル化が起き、そしてそれらの鉱物の中間層領域が崩壊する。カオリナイトは500〜800℃で脱ヒドロキシル化して、メタカオリンを形成する。
【0019】
該ポリオールは、好ましくは≧2の−OH官能価を有する多官能価のアルコールである。適したポリオールは、限定されずに、エチレングリコール、1,2−および1,3−プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−、1,4−および2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、1,4−ビス−ヒドロキシメチルシクロヘキサン、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,12−ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール; グリセロール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリトリトール (それらの全ては、>2の−NCO官能価を有するポリイソシアネートプレポリマーのための可能な出発材料である); 脂肪族および/または芳香族の原料、例えばポリカプロラクトン、アジペート、テレフタレートエステル、ポリカーボネートからのポリエステルポリオール; ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールを含むポリエーテルポリオールを含む。ポリヒドロキシル化天然油、またはそれらの誘導体、例えばヒマシ油も適している。
【0020】
少なくとも1部のポリイソシアネートとポリオールとが、まず反応して、ポリイソシアネートプレポリマーを形成することが好ましい。ポリイソシアネートプレポリマーは、好ましくは≧2の−NCO官能価を有するポリマーのイソシアネートである。ポリイソシアネートプレポリマーは、好ましくは、上述のMDIグレードまたはPMDIから合成される。
【0021】
不活性充填剤として、上述の水和アルミノケイ酸塩、ボールクレー、チャイナクレー、バライト粉、炭酸カルシウム例えば方解石、雲母、パーライト、軽石、シリカ例えば石英、ドロマイト、ウォラストナイト、アルミナ、酸化鉄、無水結合ゼオライト(non−water binding zeolite)またはそれらの混合物を使用できる。しかしながら、当該技術分野で公知の任意の他の不活性充填剤を用いてよい。
【0022】
本発明によれば、成分の質量パーセントは、広い範囲にわたってよい。以下のパーセンテージが、ポリイソシアネート、水性ケイ酸塩、水和性のアルミノケイ酸塩および不活性充填剤に適用される:
10〜80質量%のポリイソシアネート、
2〜80質量%の水性ケイ酸塩、
2〜90質量%の水和性アルミノケイ酸塩、
0〜90質量%の不活性充填剤。
【0023】
好ましいパーセンテージは、以下を含む:
20〜65質量%のポリイソシアネート、
5〜55質量%の水性ケイ酸塩、
5〜20質量%の水和性アルミノケイ酸塩、
0〜40質量%のポリオール、
0〜40質量%の不活性充填剤。
【0024】
本発明の特定の実施態様は、例外的に、高強度/高耐力材料を含む。この発明の他の態様は特に、軽量発泡材料を含む。大量の水性ケイ酸塩が使用される場合、ポリイソシアネートと水との反応から生成される全ての二酸化炭素は、水和ケイ酸の沈殿のためにケイ酸塩成分によって使い果たされる傾向があり、従って、その反応混合物は発泡しない。他方で、少量の水性ケイ酸塩が使用される場合、軽量の発泡材料が得られる。
【0025】
本発明の組成物は、難燃特性を有している。いかなる特定の理論に拘束されることを望むものではないが、(再)水和アルミノケイ酸塩成分は、火との接触の際に、消火に寄与する水を放出すると考えられる。従って、本発明の明確な利点は、難燃特性が先行技術のハロゲン化および/またはリン含有添加剤を用いないで達成できることである。
【0026】
通常の添加剤、例えば泡安定剤、湿潤剤、分散剤、触媒および/または発泡剤を、本願の組成物中で使用してもよいのだが、それらの添加物を好ましくは回避できる。
【0027】
本発明のケイ質ベースのポリウレア組成物は一般に、水和性のアルミノケイ酸塩と水性ケイ酸塩とを混合する段階、およびこの混合物を、随意にポリオールの存在中および/または不活性充填剤を包含して、ポリイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートプレポリマーと反応させる段階を含む、段階的混合工程に従って製造される。その後、該材料は適切な支持容器内におかれて熟成される。反応は一般に室温で実施され、且つ、充分な熱がin−situで生成されて反応内容物が硬化される。本発明による組成物の製造方法は、好ましくはさらに、ポリイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートプレポリマーと水との反応において形成されたガスの緩慢な放圧、即ち、放圧制御発泡を含む。
【0028】
本発明のケイ質ベースのポリウレア組成物の使用は、航空、自動車組み立て部品、例は限定されずに座席、ダッシュボード、内装パッド、ステアリングホイール、ドアパネル、収納周囲物(storage surround)およびエンジンスペース部品を含む; 建築、例は限定されずにサンドイッチ構造、断熱パネル、耐力屋根および床仕上げ材系、橋および道路修理系を含む; 消費者製品、例は限定されずに固定式および移動式冷蔵庫ユニットを含む; 防火、例は限定されずに火炎封止材料を含む; 家具部品、例は限定されずにマットレスおよび椅子張りを含む; および遮断、例は限定されずに羽目および外部遮断仕上げ系を含む; 造船および/または風車建築、例は限定されずに、二重壁建設部品の高耐力の現場充填を含む、分野に関する。
【0029】
以下の実施例を参照して、本発明をさらに説明する。
【0030】
実施例
材料を試験するための機械のセットアップはDIN196−1によるものであった。Lupranat(登録商標) MI(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)はElastogran GmbHから入手され、Desmophen(登録商標)3600z(プロピレングリコール)はBayer AGから入手され、Argical M 1000(メタカオリン)はAGS Minerauxから入手され、珪砂(0.06mm〜0.3mm)はCarlo Bernasconi AGから入手され、カリウム水ガラスK−45M(ケイ酸率 1.0、固体含有率 40.5質量%)およびBetol(登録商標)K42T(ケイ酸率 2.9、固体含有率 40.0質量%)はWoellner GmbHから入手され、ナトリウム水ガラスlnocot Na−4830(ケイ酸率 2.9、固体含有率 44.9質量%)およびカリウム水ガラスlnobond K−4250(ケイ酸率 3.2、固体含有率 41.3質量%)は、van Baerle GmbHから得られた。
【0031】
プレポリマーの合成
プレポリマー1は、1000gの市販グレードの4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(Lupranat(登録商標)MI)と、56.0mg/g KOHのOH値を有する863gの市販グレードのポリプロピレングリコール(Desmophen(登録商標) 3600 z)とを反応させることによって得られた。得られたプレポリマー1は、15.6質量%の−NCO含有率、および24℃で709mPa・sの粘度を有した。
【0032】
実施例1
A成分: メタカオリン、Argical M 1000 24.0g
珪砂 55.2g
カリウム水ガラス、K−45M 28.0g
B成分: プレポリマー1 133.91g
C成分: ナトリウム水ガラス、lnocot Na−4830 86.88g。
【0033】
成分AおよびCを30秒間、1000rpmで混合した。成分Bを添加し、そして60秒間、600rpmで混合した。Styropor(登録商標)鋳型内、室温で7日間の貯蔵後の密度は、1.380g/mlであった。該材料は、DIN4102によるB2火炎試験に合格した。20mmの最大火炎高さが、20秒後に記録された。
【0034】
実施例2
A成分: メタカオリン、Argical M 1000 4.19g
珪砂 4.41g
カリウム水ガラス、lnobond K−4250 9.65g
B成分: プレポリマー1 209.24g
C成分: カリウム水ガラス、lnobond K−4250 132.19g。
【0035】
成分AおよびCを900rpmで60秒間、混合した。成分Bを添加し、そして60秒間、600rpmで混合した。該材料を鋳型内に注ぎ、そして3日後、引っ張り強度、圧縮強度、および曲げ強度の値、それぞれ1.7N/mm2、9.4N/mm2、および63.3N/mm2が記録された。試験の間、4・4・4cm3のブロックは圧縮に対して、それが100トンの最大圧力下でその元の高さの21%以内に潰され、さらにそれは圧力解放の際にその元の高さの80%を超えて再膨張するという、異例の応答を実証した。曲げ強度測定の間、4・4・16cm3の試料は46%だけ変形し、そして圧力が解放されたら、その材料は元の形状に戻った。Styropor(登録商標)鋳型内、室温で7日間の貯蔵後の密度は、1.036g/mlであった。
【0036】
実施例3
A成分: メタカオリン、Argical M 1000 16.78g
珪砂 38.59g
カリウム水ガラス、lnobond K−4250 19.63g
B成分: プレポリマー1 167.39g
C成分: カリウム水ガラス、lnobond K−4250 105.75g。
【0037】
成分AおよびCを800rpmで60秒間、混合した。成分Bを添加し、そして60秒間、600rpmで混合した。該材料を鋳型内に注ぎ、そして硬化させた。Styropor(登録商標)鋳型内、室温で7日間の貯蔵後の密度は、0.875g/mlであった。
【0038】
実施例4
A成分: メタカオリン、Argical M 1000 13.43g
珪砂 30.87g
カリウム水ガラス、lnobond K−4250 15.70g
B成分: プレポリマー1 133.92g
C成分: カリウム水ガラス、lnobond K−4250 169.20g。
【0039】
成分AおよびCを800rpmで60秒間、混合した。成分Bを添加し、そして60秒間、600rpmで混合した。該材料を鋳型内に注ぎ、そして3日後、引っ張り強度、圧縮強度、および曲げ強度の値、それぞれ1.5N/mm2、5.2N/mm2、および62.5N/mm2が記録された。試験の間、4・4・4cm3のブロックは圧縮に対して、それが100トンの最大圧力下でその元の高さの23%以内に潰され、さらにそれは圧力解放の際にその元の高さの80%を超えて再膨張するという、異例の応答を実証した。曲げ強度測定の間、4・4・16cm3の試料は48%だけ変形し、そして圧力が解放されたら、その材料は元の形状に戻った。Styropor(登録商標)鋳型内の室温で7日間の貯蔵後の密度は、0.987g/mlであった。該材料は、DIN4102によるB2火炎試験に合格した。30mmの最大火炎高さが、20秒後に記録された。
【0040】
実施例5
A成分: メタカオリン、Argical M 1000 46.98g
珪砂 108.05g
カリウム水ガラス、K−45M 54.97g
B成分: プレポリマー1 156.23g。
【0041】
成分Aの構成要素を1000rpmで60秒間、混合した。成分Bを添加し、そして60秒間、600rpmで混合した。該材料を鋳型内に注ぎ、そして3日後、引っ張り強度を測定した。48%の伸び率で、最大引っ張り強度値3.2N/mm2が記録された。Styropor(登録商標)鋳型内、室温で7日間の貯蔵後の密度は、0.710g/mlであった。
【0042】
実施例6
A成分: メタカオリン、Argical M 1000 44.74g
珪砂 102.91g
カリウム水ガラス、Betol K42T 52.35g
B成分: プレポリマー1 111.60g。
【0043】
成分Aの構成要素を1000rpmで60秒間混合し、成分Bに添加し、そしてさらに60秒間、600rpmで混合した。該材料を鋳型内に注ぎ、そして3日後、引っ張り強度、圧縮強度、および曲げ強度の値、それぞれ1.7N/mm2、6.6N/mm2、および62.5N/mm2が記録された。試験の間、4・4・4cm3のブロックは圧縮に対して、それが100トンの最大圧力下でその元の高さの29%以内に潰され、さらにそれは圧力解放の際にその元の高さの80%を超えて再膨張するという、異例の応答を実証した。曲げ強度測定の間、4・4・16cm3の試料は20%だけ変形された。Styropor(登録商標)鋳型内の室温で7日間の貯蔵後の密度は、0.969g/mlであった。該材料は、DIN4102によるB2火炎試験に合格した。20mmの最大火炎高さが、20秒後に記録された。
【0044】
実施例7
A成分: メタカオリン、Argical M 1000 40.27g
珪砂 92.62g
カリウム水ガラス、Betol K42T 47.11g
B成分: プレポリマー1 133.92g。
【0045】
成分Aの構成要素を1000rpmで60秒間混合し、成分Bに添加し、そしてさらに60秒間、600rpmで混合した。該材料を鋳型内に注ぎ、そして3日後、引っ張り強度、圧縮強度、および曲げ強度の値、それぞれ1.7N/mm2、8.1N/mm2、および66.5N/mm2が記録された。試験の間、4・4・4cm3のブロックは圧縮に対して、それが100トンの最大圧力下でその元の高さの25%以内に潰され、さらにそれは圧力解放の際にその元の高さの80%を超えて再膨張するという、異例の応答を実証した。曲げ強度測定の間、4・4・16cm3の試料は25%だけ変形し、そして圧力が解放されたら、その材料は元の形状に戻った。Styropor(登録商標)鋳型内、室温で7日間の貯蔵後の密度は、0.842g/mlであった。
【0046】
実施例8
A成分: メタカオリン、Argical M 1000 35.85g
カリウム水ガラス、K−45 M 11.30g
B成分: プレポリマー1 45.40g。
【0047】
成分Aの構成要素を2000rpmで60秒間混合し、成分Bを添加し、そして30秒間、1000rpmで混合し、そして500cm3の容器内に設置し、制御して圧力を解放させた。容器を封止した後、10秒間で、泡が立ちはじめ、そして20秒後、10秒の時間にわたる容器からの制御された圧力解放が、安定した発泡材料を提供した。Styropor(登録商標)鋳型内、室温で7日間の貯蔵後の密度は、0.294g/mlであった。