(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ターゲット核酸配列と非ターゲット核酸配列とを区別することを可能とする下記一般式Iの変形二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有することを特徴とするターゲット区別性プローブ(TDプローブ)。
5’−X’p−Y’q−Z’r−3’ (I)
(式中、X’pは、前記ターゲット核酸配列と相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を有する5’−第2ハイブリダイゼーション部位であり、Y’qは、少なくとも三つのユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Z’rは、前記ターゲット核酸配列と相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を有する3’−第1ハイブリダイゼーション部位であり、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X’、Y’及びZ’は、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドであり、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位のTmは、前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位のTmより低く、前記分割部位は、前記X’p、Y’q及びZ’rの三つの部位のうち、最も低いTmを有し、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位の長さが3〜15ヌクレオチドであり、前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位の長さが15〜60ヌクレオチドであり、前記分割部位の長さが3〜10ヌクレオチドであり、前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位が前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位より長く、前記分割部位は、前記ターゲット核酸配列に対するハイブリダイゼーションに関して、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位を前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位から分割し、前記分割により、前記TDプローブのハイブリダイゼーション特異性は、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位により二重的に決定されるようにし、前記TDプローブの全体ハイブリダイゼーション特異性を向上させて、
(A)前記TDプローブが前記ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合は、5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位が両方ともターゲット核酸配列とハイブリダイズし、(B)前記TDプローブが非ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合は、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記分割部位が両方とも一本鎖を形成し、前記(A)及び(B)により、前記TDプローブは、ターゲット核酸配列と非ターゲット核酸配列とを区別する。)
前記工程(a)が、前記TDプローブがハイブリダイズする位置(site)の下流位置にハイブリダイズする上流プライマーと共に前記TDプローブを利用して行われ、前記5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素が、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する鋳型−依存的核酸ポリメラーゼであり、前記上流プライマーが、前記工程(b)で前記鋳型−依存的核酸ポリメラーゼにより延長される請求項6に記載の方法。
前記工程(a)が、逆方向プライマーと共に前記TDプローブを利用して行われ、前記5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素が、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する鋳型−依存的核酸ポリメラーゼであり、前記工程(b)で前記鋳型−依存的核酸ポリメラーゼによる逆方向プライマーの延長反応によりTDプローブとハイブリダイゼーションできる前記ターゲット核酸配列が生成される請求項6に記載の方法。
前記レポーター分子及び前記クエンチャー分子が、両方とも前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位に位置するか、又は前記レポーター分子及び前記クエンチャー分子のそれぞれが、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記分割部位のそれぞれ異なる部位に位置する請求項6に記載の方法。
前記レポーター分子及び前記クエンチャー分子のそれぞれが、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位のそれぞれ異なる部位に位置する請求項6に記載の方法。
前記ターゲット核酸配列が少なくとも2種の核酸配列を含み、前記TDプローブが少なくとも2種のプローブを含み、かつ前記上流プライマーが少なくとも2種のプライマーを含むか、又は前記逆方向プライマーが少なくとも2種のプライマーを含む請求項8に記載の方法。
前記ターゲット核酸配列がヌクレオチド変異を含み、かつ前記ターゲット核酸配列上の前記ヌクレオチド変異が、前記TDプローブの前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位の向かい側に位置する請求項6に記載の方法。
前記TDプローブが、前記5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素による切断に対して耐性を有する少なくとも一つのヌクレオチドをブロッカー(blocker)として含むブロッカー部位を有し、前記ブロッカー部位は、TDプローブの3’−第1ハイブリダイゼーション部位に位置する請求項6に記載の方法。
前記標識が、蛍光レポーター分子及びクエンチャー分子の一対を含む相互作用的標識システムであり、前記TDプローブが、前記5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断される前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位上の一位置に前記レポーター分子及び前記クエンチャー分子の一つを有し、前記5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されない位置に他の一つを有する請求項17に記載の方法。
前記クエンチャー分子が、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断される前記TDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位上の一位置に位置し、前記蛍光分子が、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されない位置に位置し、
(E)前記プローブがターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合、その5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、前記TDプローブのクエンチャー分子が蛍光レポーター分子から分割されるように、前記5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されて蛍光シグナルが発生し、(F)前記TDプローブが非ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合、5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、前記5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されず、蛍光シグナルが発生せず、前記(E)及び(F)により、前記ターゲット核酸配列の存在が決定されるように前記固相基質上の前記蛍光シグナルが検出される請求項19に記載の方法。
前記ターゲット核酸配列がヌクレオチド変異を含み、かつ前記ターゲット核酸配列上の前記ヌクレオチド変異が、前記TDプローブの前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位の向かい側に位置する請求項17に記載の方法。
前記TDプローブが、前記5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素による切断に対して耐性を有する少なくとも一つのヌクレオチドをブロッカーとして含むブロッカー部位を有し、前記ブロッカー部位が、TDプローブの3’−第1ハイブリダイゼーション部位に位置する請求項17に記載の方法。
前記ターゲット核酸配列が、少なくとも2種の核酸配列を含み、前記TDプローブが、少なくとも2種のプローブを含み、前記正方向プライマーが、少なくとも2種のプライマーを含み、かつ前記逆方向プライマーが、少なくとも2種のプライマーを含む請求項25に記載の方法。
前記ターゲット核酸配列がヌクレオチド変異を含み、かつ前記ターゲット核酸配列上の前記ヌクレオチド変異が、前記TDプローブの前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位の向かい側に位置する請求項25に記載の方法。
前記方法が固相で行われ、前記第1プローブが固相基質の表面上にその5’−末端を通じて固定化され、かつ前記第2プローブが固定化されない請求項28に記載の方法。
前記方法が固相で行われ、前記第2プローブが固相基質の表面上にその3’−末端を通じて固定化され、かつ前記第1プローブが固定化されない請求項28に記載の方法。
前記ターゲット核酸配列が少なくとも2種の核酸配列を含み、かつ前記第1プローブ及び前記第2プローブのそれぞれが少なくとも2種のプローブを含む請求項28に記載の方法。
前記ターゲット核酸配列がヌクレオチド変異を含み、かつ前記ターゲット核酸配列上の前記ヌクレオチド変異が、前記第2プローブの前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位の向かい側に位置する請求項28に記載の方法。
前記工程(a)が、前記TDプローブに、正方向プライマー及び逆方向プライマーとして二つのプライマーからなる一対のプライマー及び鋳型−依存的核酸ポリメラーゼを共に利用して行われることにより、前記TDプローブとハイブリダイゼーション可能な前記ターゲット核酸配列がPCRにより増幅され、前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記蛍光変化を増加させる請求項36に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明者らは、ターゲット核酸配列の検出又は識別を、より簡便でありながらも擬陽性及び擬陰性の結果無しに検出できる技術を開発するために鋭意研究した。その結果、本発明者らは、ターゲット核酸配列と非ターゲット核酸配列との互いに異なるハイブリダイゼーションパターンのため、ターゲット核酸配列と非ターゲット核酸配列とを区別する固有の能力を有する新規なターゲット区別性プローブを製作した。さらに、前記新規なターゲット区別性プローブを通じて、本発明者らは、液相(liquid phase)及び固相(solid phase)反応システムの両方ともに適用できるターゲット核酸配列検出プロトコールを提示した。
【0024】
したがって、本発明に利用される前記プローブは、‘ターゲット区別性プローブ(Target Discriminative Probe;TDプローブ)’と呼称し、前記TDプローブを利用した本発明の技術は、‘TDプローブターゲット検出アッセイ’と呼称する。
【0025】
本発明の前記TDプローブは、一つのオリゴヌクレオチド分子の中に三つの固有の異なる部位を含む変形二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する:5’−第2ハイブリダイゼーション部位、3’−第1ハイブリダイゼーション部位及び分割部位。このような構造は、TDプローブを、さらに高い特異性を示すものにして、これは、本発明を、先行技術に対し新規で且つ進歩性のあるものにする。
【0026】
mDSO構造は、DSO(dual specificity oligonucleotide)の変形された新しい構造であり、本発明者らにより最初に提示された(WO2006/095981)。また、前記DSO構造がプライマーの役割をする場合は、dual priming oligonucleotide(DPO)と命名される(Chun et al.,Dual priming oligonucleotide system for the multiplex detection of respiratory viruses and SNP genotyping of CYP2C19 gene,Nucleic Acid Research,35:6e40(2007))。
【0027】
DSOは、ハイブリダイゼーション又はアニーリングが分割区域により互いに分離された5’−高T
m特異性部位(又は5’−第1ハイブリダイゼーション部位、5’−第1プライミング部位)及び3’−低T
m特異性部位(又は3’−第2ハイブリダイゼーション部位、3’−第2プライミング部位)により二重的に決定されるようにする新規な概念を具現したもので、非常に驚くべき特異性を示す(参照WO2006/095981;Kim et al.,Direct detection of lamivudine−resistant hepatitis B virus mutants by multiplex PCR using dual−priming oligonucleotide primers,Journal of Virological Methods,149:76−84(2008);Kim, et. al.,Rapid detection and identification of 12 respiratory viruses using a dual priming oligonucleotide system−based multiplex PCR assay,Journal of Virological Methods,doi:10.1016/j.jviromet.2008.11.007(2008);Horii et. al.,Use of dual priming oligonucleotide system to detect multiplex sexually transmitted pathogens in clinical specimens,Letters in Applied Microbiology,doi:10.111/j.1472−765X2009.02618x(2009)))。上述のように、DSOは、互いに異なるアニーリングを有する二つの部位を最終的に有するようになる:初期の安定したハイブリダイゼーションを開始する5’−第1ハイブリダイゼーション部位;及びターゲット特異性を決定する3’−第2ハイブリダイゼーション部位。
【0028】
mDSO構造は、前記DSO構造が逆転されたものである:ターゲット特異性を決定する5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び初期の安定したハイブリダイゼーションを招来する3’−第1ハイブリダイゼーション部位。
【0029】
mDSO構造を有するTDプローブは、非ターゲット核酸にハイブリダイズする場合、3’−末端部位ではなく、その5’−末端部位がハイブリダイゼーションに関与せず、これは、本発明により提示された以前のDSO構造とは明らかに異なるものである。
【0030】
特に、プローブに関連した擬陽性シグナル問題を完璧に克服するために、本発明者らは、さらに信頼できて正確な接近法を提示するために鋭意研究し、本発明の方法でターゲット配列を示すシグナルの発生は、プローブハイブリダイゼーション反応だけではなく、追加的な酵素反応、例えば、5’→3’エキソヌクレアーゼ反応又は二つのプローブのライゲーション反応により達成される。本発明の新規な接近法がプローブ5’−末端部位のハイブリダイゼーションに大いに依存的であることに鑑みえ、本発明者らは、5’−末端の特異性が最大限に表れるようにプローブを設計し、公知のDSOを変形してTDプローブを提示する。
【0031】
独特の5’−末端ハイブリダイゼーションパターンを有するTDプローブは、擬陽性シグナル無しにターゲット配列を検出することができ、これは、従来のプローブ及びDSOプローブによっては達成されなかった。
【0032】
mDSO構造によるTDプローブのハイブリダイゼーション特異性(又はターゲット特異性)は、本発明で擬陽性無しにターゲットを検出することができる。
【0033】
興味深いことに、mDSO構造を有するTDプローブは、ターゲットと非ターゲット核酸配列とのそれぞれに対して明確に異なるハイブリダイゼーション挙動(behavior)を示す。
図1〜
図3から分かるように、TDプローブがターゲット核酸配列にハイブリダイズする場合、TDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び3’−第1ハイブリダイゼーション部位がターゲット核酸配列と二本鎖を形成する。TDプローブが非ターゲット核酸配列にハイブリダイズする場合(即ち、非ターゲットハイブリダイゼーション又は結合)、その3’−第1ハイブリダイゼーション部位が優勢的に非ターゲット核酸配列に結合するが、5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び分割部位の両方ともは、非ターゲット核酸にハイブリダイズせず、一本鎖を形成するようになる。
【0034】
3’−第1ハイブリダイゼーション部位が、非ターゲット配列とアニーリングされる一方で、TDプローブのターゲット−特異ハイブリダイゼーション条件下でより短い配列(低いTm値)を有する5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、非ターゲット配列とハイブリダイズしない。その理由は、ハイブリダイゼーション特異性に関して、3’−第1ハイブリダイゼーション部位及び5’−第2ハイブリダイゼーション部位が分割部位により分離されるからである。即ち、ハイブリダイゼーション特異性に関して、5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、3’−第1ハイブリダイゼーション部位とは相対的に独立的な方式でハイブリダイズし、5’−第2ハイブリダイゼーション部位のハイブリダイゼーションは、3’−第1ハイブリダイゼーション部位のハイブリダイゼーションによる影響をあまり大きく受けない。したがって、非ターゲット配列に対する5’−第2ハイブリダイゼーション部位のハイブリダイゼーション可能性は、非常に低くなる。
【0035】
TDプローブの3’−第1ハイブリダイゼーション部位及び5’−第2ハイブリダイゼーション部位が鋳型に相補的な配列を有する場合、ターゲット−特異的ハイブリダイゼーション条件下でTDプローブは、鋳型のターゲット核酸配列に特異的にハイブリダイズし得る。しかし、TDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位のみが鋳型に相補的な配列を有する場合は、ターゲット−特異的ハイブリダイゼーション条件下でTDプローブは、鋳型とハイブリダイズしない。
【0036】
前記上述のTDプローブの特徴により、下記のような二つのターゲット−監視イベント(target−surveillance event)を通じて著しく改善されたターゲット−特異性でターゲット配列が検出可能となる。第一に、上述のように、ターゲット及び非ターゲット核酸配列に対してそれぞれ異なるハイブリダイゼーションパターンを有するTDプローブは、非常に高い特異性で非ターゲット核酸配列からターゲット核酸配列を区別することができる。第二に、連続的な酵素反応(5’→3’エキソ核酸切断反応又はライゲーション)の発生は、TDプローブのハイブリダイゼーションパターンによって決定されて、これは、ターゲット検出過程において、ターゲット特異性を上昇させる。
【0037】
TDプローブは、ターゲット核酸配列にハイブリダイズし、二本鎖を形成する。上述のように、このような巧妙なデザインのmDSO構造を有するTDプローブは、ターゲット核酸配列と非ターゲット核酸配列とを完璧に区別することができるようにする。
【0038】
本発明の好ましい具現例によると、分割部位に位置するユニバーサル塩基は、デオキシイノシン、イノシン、7−デアザ−2’−デオキシイノシン、2−アザ−2’−デオキシイノシン、2’−OMeイノシン、2’−Fイノシン、デオキシ3−ニトロピロール、3−ニトロピロール、2’−OMe3−ニトロピロール、2’−F3−ニトロピロール、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−3−ニトロピロール、デオキシ5−ニトロインドール、5−ニトロインドール、2’−OMe5−ニトロインドール、2’−F5−ニトロインドール、デオキシ4−ニトロベンズイミダゾール、4−ニトロベンズイミダゾール、デオキシ4−アミノベンズイミダゾール、4−アミノベンズイミダゾール、デオキシネブラリン、2’−Fネブラリン、2’−F4−ニトロベンズイミダゾール、PNA−5−イントロインドール、PNA−ネブラリン、PNA−イノシン、PNA−4−ニトロベンズイミダゾール、PNA−3−ニトロピロール、モルフォリノ−5−ニトロインドール、モルフォリノ−ネブラリン、モルフォリノ−イノシン、モルフォリノ−4−ニトロベンズイミダゾール、モルフォリノ−3−ニトロピロール、ホスホルアミデート−5−ニトロインドール、ホスホルアミデート−ネブラリン、ホスホルアミデート−イノシン、ホスホルアミデート−4−ニトロベンズイミダゾール、ホスホルアミデート−3−ニトロピロール、2’−O−メトキシエチルイノシン、2’−O−メトキシエチルネブラリン、2’−O−メトキシエチル5−ニトロインドール、2’−O−メトキシエチル4−ニトロ−ベンズイミダゾール、2’−O−メトキシエチル3−ニトロピロール、及び前記塩基の組み合せからなる群から選択される。より好ましくは、前記ユニバーサル塩基は、デオキシイノシン、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−3−ニトロピロール又は5−ニトロインドールであり、最も好ましくは、デオキシイノシンである。
【0039】
好ましくは、前記分割部位は、少なくとも3個のユニバーサル塩基、より好ましくは、少なくとも4個のユニバーサル塩基、最も好ましくは、少なくとも5個のユニバーサル塩基を有するヌクレオチドを含む。好ましくは、前記分割部位は、少なくとも3個のユニバーサル塩基、より好ましくは、少なくとも4個のユニバーサル塩基、最も好ましくは、少なくとも5個のユニバーサル塩基を有する連続的なヌクレオチドを含む。選択的に、前記分割部位は、3〜10個、3〜8個、4〜7個又は4〜5個の連続したユニバーサル塩基を含む。
【0040】
好ましくは、前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位の長さは、5’−第2ハイブリダイゼーション部位より長い。前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位は、好ましくは15〜60ヌクレオチドの長さを有して、より好ましくは15〜40ヌクレオチドの長さを有し、さらに好ましくは15〜30ヌクレオチドの長さを有する。
【0041】
好ましくは、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、少なくとも3ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも5ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも6ヌクレオチドの長さを有する。好ましくは、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、15以下、より好ましくは13以下、さらに好ましくは12ヌクレオチドの長さを有する。
【0042】
前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、好ましくは3〜15ヌクレオチドの長さを有して、より好ましくは3〜13ヌクレオチド、さらに好ましくは4〜12ヌクレオチド、最も好ましくは5〜11ヌクレオチドの長さを有する。前記分割部位は、好ましくは3〜10ヌクレオチド、より好ましくは3〜8ヌクレオチド、さらに好ましくは4〜7ヌクレオチド、最も好ましくは4〜5ヌクレオチドの長さを有する。5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び分割部位の全長は、少なくとも6ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも9ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも12ヌクレオチド、最も好ましくは、少なくとも15ヌクレオチドである。
【0043】
本発明の好ましい具現例によると、前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位は、40〜80℃のT
mを有し、より好ましくは45〜70℃のT
mを有する。前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、好ましくは6〜40℃のT
mを有し、より好ましくは10〜40℃のT
mを有する。前記分割部位は、好ましくは2〜15℃のT
mを有し、より好ましくは3〜15℃のT
mを有する。
【0044】
本発明の好ましい具現例によると、前記TDプローブは、検出可能なシグナルを発生させる一つの標識又は多数の標識を含む相互作用的標識システムを有する。
【0045】
本発明に利用された検出可能なシグナルを発生する標識は、当業界に公知のあらゆる標識を含む。ある標識は、単一分子又は単一原子標識で構成されるが;標識の大部分(例えば、相互作用的標識システム)は、少なくとも2種又はそれ以上の標識分子又は原子で構成される。
【0046】
本発明の好ましい具現例によると、TDプローブ上の前記標識は、化学的標識、酵素標識、放射能標識、蛍光標識、発光標識、化学発光標識又は金属標識(例えば、金)である。
【0047】
前記化学的標識は、ビオチンを含む。ストレプトアビジン(又はアビジン)とビオチンとの結合特異性は、ターゲット核酸配列を示す間接的なシグナルの発生を可能とする。
【0048】
前記酵素標識は、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、ルシフェラーゼ、シトクロムP
450及びホースラディッシュペルオキシダーゼを含む。前記酵素標識に対する基質を利用することにより、ターゲット核酸配列を示すシグナルを得ることができる。アルカリホスファターゼを利用する場合、BCIP(bromochloroindolylphosphate)、NBT(nitro blue tetrazolium)又はECFが発色反応に対する基質として利用でき、ホースラディッシュペルオキシダーゼを利用する場合、クロロナフトール、アミノエチルカルバゾール、ジアミノベンジジン、D−ルシフェリン、ルシゲニン(ビス−N−メチルアクリジニウムニトレート)、レゾルフィンベンジルエーテル、ルミノール、アンプレックスレッド試薬(10−アセチル−3,7−ジヒドロキシフェノキサジン)、HYR(p−フェニレンジアミン−HCl及びピロカテコール)、TMB(3,3,5,5−テトラメチルベンジジン)、ABTS(2,2−アジン−ジ[3−エチルベンズチアゾリンスルホネート])、o−フェニレンジアミン(OPD)又はナフトール/ピロニンが基質として利用でき;そして、グルコースオキシダーゼを利用する場合、t−NBT(ニトロブルーテトラゾリウム)又はm−PMS(フェナジンメトスルファート)が基質として利用できる。
【0049】
前記放射能性標識は、C
14、I
125、P
32及びS
35を含む。
【0050】
本発明の好ましい具現例によると、TDプローブに連結された標識は、リアルタイムのシグナルを提供できる単一標識である。例えば、前記単一標識は、蛍光テルビウムキレート(terbium chelate)である(Nurmi et al,Nucleic Acids Research,2000,Vol.28 No.8)。Nurmiらは、前記標識がプローブ−連結された形態では低い水準の蛍光を放出するが、5’→3’核酸切断活性によりプローブ−鋳型二合体から解離されると、蛍光シグナルが増加することを開示した。したがって、単一標識がTDプローブに連結された場合も、前記蛍光テルビウムキレートは、本発明でリアルタイムのターゲット検出を可能にする。
【0051】
前記相互作用的標識システムは、供与体分子及び受容体分子間でエネルギーが非放射能的(non−radioacively)に伝達されるシグナル発生システムである。
【0052】
相互作用的標識システムの代表的例として、FRET(fluorescence resonance energy transfer)標識システムは、蛍光レポーター分子(供与体分子)及びクエンチング分子(受容体分子)を含む。FRETでエネルギー供与体は、蛍光性であるが、エネルギー受容体は、蛍光性又は非蛍光性である。
【0053】
相互作用的標識システムの他の形態において、エネルギー供与体は、非蛍光性、例えば、発色団(chromophore)であり、エネルギー受容体は、蛍光性である。相互作用的標識システムのまた他の形態において、エネルギー供与体は、発光性、例えば、生物発光性、化学発光性又は電気化学発光性であり、受容体は、蛍光性である。
【0054】
より好ましくは、TDプローブ上の標識は、相互作用的標識システムであり、さらに好ましくはFRET標識システムであり、最も好ましくはレポーター分子及びクエンチング分子の一対である。
【0055】
好ましくは、FRET標識を利用する場合、二種の標識(TDプローブ上に位置したレポーター分子及びクエンチング分子)は、TDプローブ内の一位置(ヌクレアーゼ切断が発生される部位)により分割されており、これにより、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性は、前記位置における切断反応によりクエンチャー分子からレポーター分子を分離させることができ、これによって、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが得られる。
【0056】
前記標識は、TDプローブに従来方法により連結できる。例えば、前記標識は、少なくとも3個の炭素原子を含むスペーサー(例えば、3−炭素スペーサー、6−炭素スペーサー又は12炭素スペーサー)を通じてTDプローブに連結され得る。
【0057】
本発明の好ましい具現例によると、前記レポーター分子及びクエンチャー分子は、いずれも5’−第2ハイブリダイゼーション部位に位置するか、あるいはレポーター分子及びクエンチャー分子のそれぞれは、5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び分割部位のそれぞれ異なる部位に位置する。例えば、レポーター分子は、5’−第2ハイブリダイゼーション部位に位置して、クエンチャー分子は、分割部位に位置する。
【0058】
より好ましくは、レポーター分子及びクエンチャー分子の一つは、TDプローブの5’−末端に位置し、他の一つは、5’−第2ハイブリダイゼーション部位に位置する。
【0059】
本発明の好ましい具現例によると、前記TDプローブは、その5’−第2ハイブリダイゼーション部位部位上にレポーター分子及びクエンチャー分子の一つを有して、他の一つは、3’−第1ハイブリダイゼーション部位上に有する。
【0060】
より好ましく、レポーター分子及びクエンチャー分子の一つは、TDプローブの5’−末端に位置して、他の一つは、3’−第1ハイブリダイゼーション部位に位置する。
【0061】
本発明の前記TDプローブは、ターゲット配列の検出において、以下のように非常に多様な応用性を有する。
【0062】
I.液相又は固相における5’→3’エキソ核酸切断反応によるターゲット検出方法
1.液相におけるターゲット検出方法
本発明のTDプローブは、ターゲット配列検出に卓越な能力を示す。
【0063】
本発明の他の様態によると、本発明は、下記の工程を含み、ターゲット区別性プローブ(TDプローブ)を利用してDNA又は核酸混合物からターゲット核酸配列を検出する方法を提供する:
(a)前記ターゲット核酸配列を前記TDプローブにハイブリダイゼーションさせる工程であって、前記TDプローブは、前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を含み、前記TDプローブは、下記一般式Iの変形二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する工程と、
5’−X’
p−Y’
q−Z’
r−3’ (I)
(式中、X’
pは、前記ターゲット核酸配列と相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を有する5’−第2ハイブリダイゼーション部位(5’−second hybridization portion)であり、Y’
qは、少なくとも三つのユニバーサル塩基を含む分割部位(separation portion)であり、Z’
rは、前記ターゲット核酸配列と相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を有する3’−第1ハイブリダイゼーション部位(3’−first hybridization portion)であり、前記TDプローブは、蛍光レポーター分子及びレポーター分子の蛍光をクエンチングするクエンチャー分子で二重標識され、前記蛍光レポーター分子及び前記クエンチャー分子の少なくとも一つは、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位に位置して、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X’、Y’及びZ’は、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドであり、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位のT
mは、前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位のT
mより低く、前記分割部位は、前記X’
p、Y’
q及びZ’
rの三つの部位のうち、最も低いT
mを有し、前記分割部位は、前記ターゲット核酸配列に対するハイブリダイゼーションに関して、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位を前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位から分割し、これにより、前記TDプローブのハイブリダイゼーション特異性は、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記TDプローブの全体ハイブリダイゼーション特異性を向上させて、
前記TDプローブが前記ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合は、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位が両方ともターゲット核酸配列とハイブリダイズし、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されて、前記TDプローブが非ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合は、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記分割部位が両方とも一本鎖を形成して、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されず、これにより、前記TDプローブは、前記ターゲット核酸配列と非ターゲット核酸配列とを区別する。)
(b)前記工程(a)の結果物を5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素と接触させる工程であって、前記TDプローブが前記ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合は、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、前記5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されて、前記TDプローブ上にある前記蛍光レポーター分子が前記クエンチャー分子から分離されて、蛍光シグナルが発生し、前記TDプローブが非ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合は、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、前記5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されず、蛍光シグナルが発生しない工程と、
(c)前記蛍光シグナルを検出する工程であって、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位の切断により発生された前記蛍光シグナルは、前記ターゲット核酸配列の存在を示す工程。
【0064】
本発明によると、ターゲット核酸配列をTDプローブにハイブリダイゼーションさせる。
【0065】
本発明によると、単にTDプローブ及び5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素を利用することにより、擬陽性シグナル無しにターゲット核酸配列を検出することができ、これは、本発明者により最初に提示される。
【0066】
図1に示されたように、TDプローブは、ターゲット及び非ターゲット核酸配列に対してそれぞれ明確に異なるハイブリダイゼーション挙動を示す。TDプローブがターゲット核酸配列にハイブリダイズする場合、TDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び3’−第1ハイブリダイゼーション部位がターゲット核酸と二本鎖を形成する。TDプローブが非ターゲット核酸配列にハイブリダイゼーション(即ち、非ターゲットハイブリダイゼーション又は結合)される場合、その3’−第1ハイブリダイゼーション部位が優勢的に非ターゲット核酸配列に結合されるが、5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び分割部位は、両方とも非ターゲット核酸にハイブリダイズせず、一本鎖を形成するようになる。
【0067】
したがって、TDプローブがターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合、その5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素(例えば、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する鋳型−依存的核酸ポリメラーゼ)により切断されて、蛍光レポーター分子及びクエンチャー分子は、互いに分離されて、ターゲット核酸配列に対する蛍光シグナルが発生される。一般に、TDプローブの切断は、最初にその5’−末端で始まって、その後5’→3’方向に起こる。
【0068】
これと対照的に、TDプローブが非ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合、5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び3’−第1ハイブリダイゼーション部位が両方とも一本鎖を形成し、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されない。最終的に、TDプローブは、非ターゲットハイブリダイゼーションに対するシグナルを生成しない。
【0069】
このようなTDプローブの独特なハイブリダイゼーション挙動により、TDプローブ及び5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素のみを利用することにより、擬陽性無しにターゲット核酸配列を検出することができる。
【0070】
本発明の好ましい具現例によると、前記5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素は、二本鎖核酸の5’−末端に対してのみ作用し、5’→3’方向にエキソ核酸切断反応を促進し、一本鎖核酸は切断しない。
【0071】
本発明の好ましい具現例によると、前記5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素は、熱安定性酵素である。本発明の好ましい具現例によると、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素は、鋳型−依存的核酸ポリメラーゼであり、より好ましくは、熱安定性鋳型−依存的核酸ポリメラーゼである。
【0072】
本発明の好ましい具現例によると、前記蛍光レポーター分子及び前記クエンチャー分子のそれぞれは、5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び3’−第1ハイブリダイゼーション部位のそれぞれ異なる部位に位置する。例えば、蛍光レポーター分子が5’−第2ハイブリダイゼーション部位に位置し、クエンチャー分子は、3’−第1ハイブリダイゼーション部位に位置することができる。選択的に、クエンチャー分子が5’−第2ハイブリダイゼーション部位に位置し、蛍光レポーター分子が3’−第1ハイブリダイゼーション部位に位置することができる。
【0073】
本発明の好ましい具現例によると、蛍光レポーター分子及びクエンチャー分子は、いずれも5’−第2ハイブリダイゼーション部位に位置するか、あるいはレポーター分子及びクエンチャー分子のそれぞれは、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記分割部位のそれぞれ異なる部位に位置する。最も好ましくは、蛍光レポーター及びクエンチャー分子が両方ともTDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位に位置することである。
【0074】
5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素(鋳型−依存的核酸ポリメラーゼを含んだ)の一部は、一般に、非常に低いものの、エンドヌクレアーゼ(endonuclease)活性も有すると知られている。エンドヌクレアーゼ活性の程度は、(i)酵素の種類、(ii)鋳型、反応時間及び反応組成物のような反応条件、(iii)プローブの長さ、配列及び5’ミスマッチ配列長さ又は(iv)ターゲット配列により影響を受ける。本発明の好ましい具現例によると、本発明の方法で5’→3’エキソヌクレアーゼ活性及びエンドヌクレアーゼ活性を両方とも有する酵素を利用する場合、本発明は、エンドヌクレアーゼ活性を十分抑制した条件下で行う。好ましくは、本発明でエンドヌクレアーゼ活性がほとんどないか、あるいはエンドヌクレアーゼ活性がない5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素を利用して行う。
【0075】
したがって、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性及びエンドヌクレアーゼ活性を有する酵素及びTDプローブを利用してターゲットを検出することにおいて、エンドヌクレアーゼ活性は、考慮すべき重要要素ではない。しかし、より確実なターゲット検出のために、TDプローブの3’−第1ハイブリダイゼーション部位にブロッカーが含まれていてもよく、これは、非ターゲット核酸配列とハイブリダイズしたTDプローブの3’−第1ハイブリダイゼーション部位のエンドヌクレアーゼ−触媒切断を抑制する。特に、TDプローブが液相で利用される場合、より確実なターゲット検出のために、蛍光レポーター分子及びクエンチャー分子は、両方ともTDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位上に位置してもよい。
【0076】
本発明において、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素は、一般に、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素を含み、普段5’→3’エキソヌクレアーゼ活性だけではなく、追加的なエンドヌクレアーゼ活性を有する酵素も含む。本発明において、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する鋳型−依存的核酸ポリメラーゼは、一般に5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する核酸ポリメラーゼを含み、普段5’→3’エキソヌクレアーゼ活性だけではなく、追加的なエンドヌクレアーゼ活性を有する核酸ポリメラーゼも含む。
【0077】
本発明の好ましい具現例によると、前記TDプローブは、その5’−末端から1〜10ヌクレオチドを含む配列のある位置(site)、より好ましくは5’−末端から1〜5ヌクレオチドを含む配列のある位置、より好ましくはその5’−末端から1〜3ヌクレオチドを含む配列のある位置上に少なくとも一つの標識を含む。最も好ましくは、TDプローブは、その5’−末端に少なくとも一つの標識を含む。
【0078】
本発明の好ましい具現例によると、前記工程(a)は、TDプローブがハイブリダイズする位置の下流位置にハイブリダイズする上流プライマーと共にTDプローブを利用して行って、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する鋳型−依存的核酸ポリメラーゼであり、上流プライマーは、前記工程(b)で前記鋳型−依存的核酸ポリメラーゼにより延長される。
【0079】
ハイブリダイゼーション以後、ターゲット核酸配列とハイブリダイズする上流プライマーは、鋳型−依存的核酸ポリメラーゼのポリメラーゼ活性により延長されて、TDプローブは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性により切断されて、蛍光レポーター分子及びクエンチャー分子が分離されつつ蛍光シグナルが発生される。
【0080】
本発明の好ましい具現例によると、前記工程(a)は、TDプローブ及び逆方向プライマーを共に利用して行われ、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素は、鋳型−依存的核酸ポリメラーゼであり、工程(b)で、鋳型−依存的核酸ポリメラーゼによる逆方向プライマーの延長反応でTDプローブとハイブリダイズするターゲット核酸配列が生成される。
【0081】
逆方向プライマーは、TDプローブとハイブリダイズする追加的なターゲット核酸配列を生成して、ターゲット核酸配列をより明確で高い高蛍光シグナルで示す。
【0082】
本発明に利用可能な蛍光分子及びクエンチャー分子は、蛍光物質であってもよい。レポーター分子及びクエンチャー分子は、当業界に公知されている如何なるものでも利用でき、その例は、下記の通りである:Cy2
TM(506),YO−PRO
TM−1(509),YOYO
TM−1(509),Calcein(517),FITC(518),FluorX
TM(519),Alexa
TM(520),Rhodamine110(520),Oregon Green
TM500(522),Oregon Green
TM 488(524),RiboGreen
TM(525),Rhodamine Green
TM(527),Rhodamine123(529),Magnesium Green
TM(531),Calcium Green
TM(533),TO−PRO
TM−1(533),TOTO1(533),JOE(548),BODIPY530/550(550),Dil(565),BODIPY TMR(568),BODIPY558/568(568),BODIPY564/570(570),Cy3
TM(570),Alexa
TM546(570),TRITC(572),Magnesium Orange
TM(575),Phycoerythrin R&B(575),Rhodamine Phalloidin(575),Calcium Orange
TM(576),Pyronin Y(580),Rhodamine B(580),TAMRA(582),Rhodamine Red
TM(590),Cy3.5
TM(596),ROX(608),Calcium Crimson
TM(615),Alexa
TM594(615),Texas Red(615),Nile Red(628),YO−PRO
TM−3(631),YOYO
TM−3(631),R−phycocyanin(642),C−Phycocyanin(648),TO−PRO
TM−3(660),TOTO3(660),DiD DilC(5)(665),Cy5
TM(670),Thiadicarbocyanine(671),Cy5.5(694),HEX(556),TET(536),Biosearch Blue(447),CAL Fluor Gold 540(544),CAL Fluor Orange 560(559),CAL Fluor Red 590(591),CAL Fluor Red 610(610),CAL Fluor Red 635(637),FAM(520),Fluorescein(520),Fluorescein−C3(520),Pulsar 650(566),Quasar 570(667),Quasar 670(705)及びQuasar 705(610)。括弧の数字は、ナノメートル単位で表示した最大発光波長である。
【0083】
適したレポーター−クエンチャー対は、下記のようなたくさんの文献に開示されている:Pesceら、editors,FLUORESCENCE SPECTROSCOPY(Marcel Dekker,New York,1971);Whiteら、FLUORESCENCE ANALYSIS:A PRACTICAL APPROACH(Marcel Dekker,New York,1970);Berlman,HANDBOOK OF FLUORESCENCE SPECTRA OF AROMATIC MOLECULES,2nd EDITION(Academic Press,New York,1971);Griffiths,COLOUR AND CONSTITUTION OF ORGANIC MOLECULES(Academic Press,New York,1976);Bishop,editor,INDICATORS(Pergamon Press,Oxford,1972);Haugland,HANDBOOK OF FLUORESCENT PROBES AND RESEARCH CHEMICALS(Molecular Probes,Eugene,1992);Pringsheim,FLUORESCENCE AND PHOSPHORESCENCE(Interscience Publishers,New York,1949);Haugland,R.P.,HANDBOOK OF FLUORESCENT PROBES AND RESEARCH CHEMICALS,Sixth Edition,Molecular Probes,Eugene,Oreg.,1996;U.S.Pat.Nos.3,996,345及び4,351,760。
【0084】
本発明において、広範囲波長又は特定波長の蛍光をクエンチングできる非蛍光ブラッククエンチャー分子が利用できるということは、注目すべきことである。非蛍光ブラッククエンチャー分子の例は、BHQ及びDABCYLである。
【0085】
TDプローブに適用されるFRET標識において、レポーターは、FRETの供与体を含み、クエンチャーは、FRETのその他のパートナー(受容体)を含む。例えば、フルオレセイン色素(fluorescein dye)は、レポーター分子として利用されて、ローダミン色素(rhodamine dye)は、クエンチャー分子として利用される。
【0086】
本明細書で使用される用語‘ターゲット核酸’、‘ターゲット核酸配列’又は‘ターゲット配列’は、検出しようとする核酸配列を意味し、ハイブリダイゼーション、アニーリング又は増幅条件下でプライマー及びプローブとアニーリング又はハイブリダイズする。
【0087】
本明細書で使用される用語‘プローブ(probe)’は、ターゲット核酸配列に実質的に相補的な一部位又は複数の部位を含む一本鎖核酸分子を意味する。本発明で利用されるプローブは、天然(naturally occurring)dNMP(即ち、dAMP、dGM、dCMP及びdTMP)、変形されたヌクレオチド又は非天然ヌクレオチドが含まれる。また、プローブは、リボヌクレオチドも含んでもよい。
【0088】
好ましくは、標識プローブの3’−末端は、延長が抑制されるようにブロッキング(blocking)されている。前記ブロッキングは、非相補的な塩基を利用するか、あるいは最後のヌクレオチドの3’ヒドロキシル基にビオチン又はホスフェート基のような化学的部分(moiety)を追加して達成できる。また、ブロッキングは、3’−OH基を除去するか、又はジデオキシヌクレオチドのように、3’−OH基のないヌクレオチドを利用することにより達成できる。
【0089】
本明細書で使用される用語‘プライマー’は、オリゴヌクレオチドを意味するもので、核酸鎖(鋳型)に相補的なプライマー延長産物の合成が誘導される条件、即ち、ヌクレオチドとDNAポリメラーゼのような重合剤の存在下において、そして適した温度とpHの条件で合成の開始点として作用できる。好ましくは、プライマーは、増幅時の最大効率のために、一本鎖である。好ましくは、プライマーは、デオキシリボヌクレオチドである。本発明で利用されるプライマーは、天然(naturally occurring)dNMP(即ち、dAMP、dGMP、dCMP及びdTMP)、変形されたヌクレオチド又は非天然ヌクレオチドが含まれる。また、プライマーは、リボヌクレオチドも含んでもよい。
【0090】
プライマーは、重合剤の存在下で延長産物の合成をプライミングさせることができるほど十分長くなければならない。プライマーの適した長さは、多数の要素、例えば、温度、応用分野及びプライマーの起源(source)によって決定される。用語‘アニーリング’又は‘プライミング’は、鋳型核酸にオリゴデオキシヌクレオチド又は核酸が付加(apposition)されることを意味し、前記並置は、ポリメラーゼがヌクレオチドを重合させて、鋳型核酸又はその一部分に相補的な核酸分子を形成することができる。
【0091】
本明細書で使用される用語‘ハイブリダイゼーション(hybridization)’は、相補的な一本鎖核酸が二本鎖核酸を形成することを意味する。本明細書で使用された用語‘アニーリング’と‘ハイブリダイゼーション’は、差がなく、本明細書で混用される。
【0092】
TDプローブのアニーリング又はハイブリダイゼーションは、当業界に公知された多数のハイブリダイゼーション方法により行うことができる。本発明において、適したハイブリダイゼーション条件は、最適化手順により一連の過程で決定できる。温度、成分の濃度、ハイブリダイゼーション及び洗浄時間、バッファー成分及びこれらのpH及びイオン強度のような条件は、多様な因子、例えば、プローブ及びターゲット核酸配列のようなオリゴヌクレオチドの長さ及びGC量によって多様である。ハイブリダイゼーションの詳細な条件は、Joseph Sambrookら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor5,N.Y.(2001);及びM.L.M.Anderson,Nucleic Acid Hybridization,Springer−Verlag New York Inc.N.Y.(1999)で確認できる。
【0093】
本発明の好ましい具現例によると、前記TDプローブの前記ハイブリダイゼーション温度は、40℃乃至80℃であり、より好ましくは45℃乃至75℃であり、さらに好ましくは50℃乃至72℃である。
【0094】
本明細書で使用される用語‘上流プライマー(upstream primer)’は、TDプローブがハイブリダイズする位置より下流側の位置でターゲット核酸配列にアニーリングされて、鋳型−依存的核酸ポリメラーゼによりターゲット核酸配列に相補的な配列を形成するプライマーを意味する。
【0095】
TDプローブ、上流プライマー及び逆方向プライマーのそれぞれは、ターゲット核酸配列に相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を含む。本明細書で使用される用語‘相補的’は、所定のアニーリング条件又はストリンジェントな条件(stringent conditions)下でプライマー又はプローブがターゲット核酸配列に選択的にハイブリダイゼーションする程度に十分相補的なことを意味し、用語‘実質的に相補的(substantially complementary)’及び‘完全に相補的(perfectly complementary)’を包括する意味を有して、好ましくは、完全に相補的なことを意味する。
【0096】
本発明の好ましい具現例によると、前記TDプローブの前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、ターゲット核酸配列に相補的である。即ち、5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、ターゲット核酸配列に完全なマッチング配列又は不完全なマッチング配列である。必要に応じて、5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、一部ミスマッチヌクレオチドを含むものとして製作できる。
【0097】
本発明の好ましい具現例によると、前記TDプローブの前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、その5’−末端に追加的に1個乃至3個のミスマッチヌクレオチドを含んでもよい。5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素(即ち、核酸ポリメラーゼ)のうち、ターゲット配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドの5’−末端から1個乃至3個のヌクレオチドを切断できる酵素が報告されている(参考:Murante et al.,Journal of Biological Chemistry Vol.269.1191−1196(1994)及び実施例1)。上記のような酵素を利用する場合、TDプローブは、その5’−末端に1個乃至3個の人為的ミスマッチヌクレオチドを含むように製作することができる。
【0098】
本発明で検出できるターゲット核酸配列は、あらゆる核酸分子、例えば、DNA(gDNA又はcDNA)及びRNA分子も全て含む。ターゲット核酸配列は、如何なる天然(naturally occurring)原核細胞核酸、真核細胞(例えば、原生動物と寄生動物、菌類、酵母、高等植物、下等動物及び哺乳動物と人間を含む高等動物)核酸、ウイルス(例えば、ヘルペスウイルス、HIV、インフルエンザウイルス、エプスタインバールウイルス、肝炎ウイルス、ポリオウイルスなど)核酸又はウイロイド核酸も全て含む。
【0099】
試料内ターゲット核酸配列は、DNA又はRNAのいずれであってもよい。前記分子は、二本鎖又は一本鎖形態のいずれであってもよい。初期物質としての核酸が二本鎖である場合、二つの鎖を一本鎖又は部分一本鎖形態になるようにすることが好ましい。鎖を分離する公知の方法は、熱、アルカリ、ホルムアミド、ウレア及びグリコサール処理、酵素方法(例えば、ヘリカーゼ反応)、及び結合タンパク質を含むが、これらに限定されるものではない。例えば、鎖の分離は、80℃乃至105℃範囲の温度に熱を加えて達成できる。このような処理を達成するための一般的な方法は、Joseph Sambrookら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2001)により提供される。
【0100】
mRNAを初期物質として利用する場合、アニーリング工程の実施以前に逆転写工程が必須であり、これの詳細な内容は、Joseph Sambrookら,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2001);及びNoonan,K.F.ら,Nucleic Acids Res.16:10366(1988)に開示されている。逆転写反応のために、ランダムヘキサマー又はmRNAのポリAテールにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドdTプライマーが利用される。オリゴヌクレオチドdTプライマーは、dTMPsから構成され、dTプライマーがプライマーとしての役割ができる範囲内でこのdTMPsの一つ又はそれ以上は、他のdNMPで代替してもよい。逆転写は、RNase H活性を有する逆転写酵素で実施できる。RNase H活性を有する酵素を利用する場合、慎重に反応条件を選択することにより、RNase H切断過程を省いてもよい。
【0101】
本発明で使用されるプローブ又はプライマーは、ターゲット核酸配列(鋳型として)上の位置にハイブリダイゼーション又はアニーリングされて、二本鎖構造を形成する。このような二本鎖構造を形成するに適した核酸ハイブリダイゼーション又はアニーリングの条件は、Joseph Sambrookら,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2001)及びHaymes,B.D.ら,Nucleic Acid Hybridization,A Practical Approach,IRL Press,Washington,D.C.(1985)に説明されている。
【0102】
本発明の好ましい具現例によると、前記上流プライマー及び/又は逆方向プライマーは、下記一般式IIの二重特異性オリゴヌクレオチド(DSO)構造を有する:
5’−X
p−Y
q−Z
r−3’ (II)
(式中、X
pは、前記ターゲット核酸配列と相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を有する5’−第1ハイブリダイゼーション部位であり、Y
qは、少なくとも三つのユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Z
rは、前記ターゲット核酸配列と相補的なハイブリダイゼーション配列を有する3’−第2ハイブリダイゼーション部位であり、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X、Y及びZは、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドであり、前記5’−第1ハイブリダイゼーション部位のT
mは、前記3’−第2ハイブリダイゼーション部位のT
mより高く、前記分割部位は、前記三つの部位のうち、最も低いT
mを有して、前記分割部位は、前記ターゲット核酸配列に対するハイブリダイゼーションに関して、前記5’−第1ハイブリダイゼーション部位を前記3’−第2ハイブリダイゼーション部位から分割し、これにより、前記オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション特異性は、前記5’−第1ハイブリダイゼーション部位及び前記3’−第2ハイブリダイゼーション部位により二重的に決定されるようにして、これは、前記オリゴヌクレオチドの全体ハイブリダイゼーション特異性を向上させる。)
【0103】
DSO構造の詳細な説明は、mDSO構造を引用して説明できる。
【0104】
好ましくは、DSO構造の5’−第1ハイブリダイゼーション部位は、3’−第2ハイブリダイゼーション部位より長い。5’−第1ハイブリダイゼーション部位は、好ましくは15〜60ヌクレオチドの長さを有し、より好ましくは15〜40ヌクレオチドの長さを有し、さらに好ましくは15〜25ヌクレオチドの長さを有する。3’−第2ハイブリダイゼーション部位は、好ましくは3〜15ヌクレオチドの長さ、より好ましくは5〜15ヌクレオチドの長さ、さらに好ましくは6〜13ヌクレオチドの長さを有する。分割部位は、好ましくは3〜10ヌクレオチド、より好ましくは4〜8ヌクレオチド、最も好ましくは5〜7ヌクレオチドの長さを有する。本発明の好ましい具現例によると、前記5’−第1ハイブリダイゼーション部位は、40℃〜80℃のT
mを有し、より好ましくは45℃〜65℃のT
mを有する。前記3’−第2ハイブリダイゼーション部位は、好ましくは、10℃〜40℃のT
mを有する。前記分割部位は、好ましくは、3℃〜15℃のT
mを有する。
【0105】
好ましくは、本発明で利用される5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素及び5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する鋳型−依存的核酸ポリメラーゼは、如何なる5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する鋳型−依存的核酸ポリメラーゼ(例えば、E.coli DNAポリメラーゼI、熱安定性DNAポリメラーゼ及びバクテリオファージT7 DNAポリメラーゼ)も含むことができて、最も好ましくは、多様なバクテリア種から得る熱安定性DNAポリメラーゼ、例えば、Thermus aquaticus(Taq),Thermus thermophilus, Thermus filiformis,Thermus flavus,Thermus antranikianii,Thermus caldophilus,Thermus chliarophilus,Thermus igniterrae,Thermus lacteus,Thermus oshimai,Thermus ruber,Thermus rubens,Thermus scotoductus,Thermus silvanus,Thermus species Z05及びThermus species sps 17のDNAポリメラーゼを含む。最も好ましくは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する鋳型−依存的核酸ポリメラーゼは、Taq DNAポリメラーゼである。
【0106】
5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素(好ましくは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する鋳型−依存的核酸ポリメラーゼ)により、TDプローブは切断され、ターゲット核酸配列を示すシグナルが発生する。各標識に対するシグナルは、従来方法により検出されるか、又は測定してもよい。例えば、蛍光シグナルは、従来方法、例えば、蛍光測定器(fluorometer)により検出されるか測定してもよい。
【0107】
本明細書で使用される用語‘シグナル発生’又は‘シグナルの発生’は、蛍光シグナル強度の変化を含み、蛍光シグナル強度の増加だけではなく、減少も含む。本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルは、蛍光レポーター分子から出るシグナルである。選択的に、クエンチャー分子は、蛍光であり、検出されるターゲット核酸配列の存在を示すシグナルは、蛍光クエンチャー分子から出るシグナルである。
【0108】
TDプローブが非ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合、5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されず、蛍光シグナルが発生しない。
【0109】
本明細書で使用される用語‘シグナル未発生(no fluorescence signal)’は、無視できるほどの微弱な蛍光シグナルだけではなく、何の蛍光シグナルも現れないことを意味する。例えば、前記用語は、陰性対照群又はバックグラウンドから一般的に測定されるか又は観察される蛍光強度を含む。
【0110】
本発明の好ましい具現例によると、本発明は、前記工程(a)−(b)又は(a)−(c)を反復する工程をさらに含み、前記工程(a)−(b)又は(a)−(c)の反復のために、本発明は、前記反復サイクルの間に変性過程をさらに含む。
【0111】
変性方法は、熱、アルカリ、ホルムアミド、ウレア及びグリコサール処理、酵素方法(例えば、ヘリカーゼ反応)、及び結合タンパク質を含むが、これらに限定されるものではない。例えば、変性は、80℃乃至105℃範囲の温度に熱を加えて達成できる。このような処理を達成するための一般的な方法は、Joseph Sambrookら,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2001)により提供される。
【0112】
前記反復は、蛍光レポーター分子から出る蛍光シグナルの強度を増加させる。特に、本発明の方法において、逆方向プライマーを利用した反復は、ターゲット核酸配列の量を増加させて、蛍光レポーター分子から出る蛍光シグナルの強度を向上させるに寄与する。
【0113】
本発明の好ましい具現例によると、利用されるターゲット核酸配列は、増幅プライマーにより前増幅された核酸配列である。
【0114】
前増幅されたターゲット核酸配列は、工程(a)−(c)に対する反応環境(又は反応容器(vessel))と異なる反応環境(又は反応容器(vessel))で前増幅されたターゲット核酸配列を含んでもよい。
【0115】
本発明が工程(a)−(b)又は(a)−(c)の反復をさらに含む場合、好ましくは、シグナル検出は、反復の各サイクルにおいて(即ち、リアルタイム方式)、反復の終了時点で(即ち、エンド−ポイント方式)又は反復において指定時間間隔のそれぞれで実施する。好ましくは、シグナル検出は、反復の各サイクルで実施してもよく、これは、検出の正確性を向上させる。
【0116】
本発明の好ましい具現例によると、前増幅されたターゲット核酸配列の生成のための前記増幅プライマー(例えば、正方向プライマー及び逆方向プライマー)は、本明細書において上述の一般式IIの二重特異性オリゴヌクレオチド(DSO)構造を有する。
【0117】
本発明の好ましい具現例によると、前記TDプローブは、前記5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素による切断に対して耐性を有する少なくとも一つのヌクレオチドブロッカー(blocker)を含むブロッカー部位を有する。本発明の好ましい具現例によると、前記ブロッカー部位は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されるTDプローブの一位置にあり、好ましくは、TDプローブの3’−ハイブリダイゼーション部位にある。
【0118】
5’→3’エキソヌクレアーゼ活性及びエンドヌクレアーゼ活性を有する酵素(例えば、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性及びエンドヌクレアーゼ活性を有する鋳型−依存的核酸ポリメラーゼ)を利用する場合、より確実なターゲット検出のために、TDプローブの3’−第1ハイブリダイゼーション部位にブロッカーが含まれてもよく、これは、非ターゲット核酸配列とハイブリダイズしたTDプローブの3’−第1ハイブリダイゼーション部位のエンドヌクレアーゼ−触媒切断を抑制する。
【0119】
本発明の好ましい具現例によると、前記TDプローブは、前記5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素による切断に対して耐性を有する少なくとも一つのヌクレオチドをブロッカーとして含むブロッカー部位(site)を有し、前記ブロッカー部位は、TDプローブが非ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断される部位に位置し;前記ブロッカー部位を含むTDプローブがターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合、その5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されて、TDプローブ上のクエンチャー分子から蛍光レポーター分子が分離されて蛍光シグナルが発生され;前記ブロッカー部位を含むTDプローブが非ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合、エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されず、蛍光シグナルが発生されない。
【0120】
本発明の好ましい具現例によると、前記TDプローブのブロッカー部位は、TDプローブの3’−第1ハイブリダイゼーション部位上に位置する。より好ましくは、TDプローブのブロッカー部位は、分割部位の3’−末端に近接した3’−第1ハイブリダイゼーション部位に位置する。
【0121】
本発明の好ましい具現例によると、前記ブロッカー部位は、1〜15ブロッカーを含み、より好ましくは2〜10ブロッカーを含み、さらに好ましくは3〜5ブロッカーを含む。
【0122】
ブロッカーとしてのヌクレオチド、即ち、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素による切断に対して耐性を有するバックボーンを含むヌクレオチドは、当業界に知られた如何なるものも含む。例えば、前記ヌクレオチドは、多様なホスホロチオエート連結(linkage)、ホスホネート連結、ホスホロアミデート連結及び2’−カーボヒドレート変形を含む。本発明の好ましい具現例によると、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素による切断に対して耐性を有するバックボーンを含むヌクレオチドは、ホスホロチオエート連結、アルキルホスホネート連結、ハイドロゲンホスホネート連結、アルキルホスホロアミデート連結、アリールホスホロアミデート連結、ホスホロセレネート連結、2’−O−アミノプロピール変形、2’−O−アルキル変形、2’−O−アリール変形、2’−O−ブチル変形、α−アノマオリゴデオキシヌクレオチド及び1−(4’−チオ−β−D−リボフラノシル)変形である。TDプローブに存在するブロッカーヌクレオチドは、一つであるか、あるいは連続的に又は不連続的に存在する一つ以上のヌクレオチドである。
【0123】
本発明の好ましい具現例によると、前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み(より好ましくは少なくとも3種であり、さらに好ましくは少なくとも5種である)、かつ前記TDプローブは、少なくとも2種のプローブを含む(好ましくは少なくとも3種であり、より好ましくは少なくとも5種である)。
【0124】
本発明の好ましい具現例によると、前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み(より好ましくは少なくとも3種であり、さらに好ましくは少なくとも5種である)、前記TDプローブは、少なくとも2種のプローブを含み(好ましくは少なくとも3種であり、より好ましくは少なくとも5種である)、かつ前記上流プライマーは、少なくとも2種のプライマーを含む(より好ましくは少なくとも3種であり、さらに好ましくは少なくとも5種である)。
【0125】
本発明の好ましい具現例によると、前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、さらに好ましくは、少なくとも5種である)、前記TDプローブは、少なくとも2種のプローブを含み(好ましくは、少なくとも3種であり、より好ましくは、少なくとも5種である)、前記逆方向プライマーは、少なくとも2種のプライマーを含む(より好ましくは、少なくとも3種であり、さらに好ましくは、少なくとも5種である)。
【0126】
また、本発明は、ヌクレオチド変異の検出において非常に有用である。本発明で使用される用語‘ヌクレオチド変異(nucleotide variation)’は、連続的DNA断片又は配列が類似したDNA断片において、特定位置に存在するDNA配列のヌクレオチド多様性を意味する。そのような連続的DNA断片は、一つの遺伝子又は一つの染色体のある他の部位を含む。例えば、本発明の方法により検出できるヌクレオチド変異は、SNP(single nucleotide polymorphism)、欠失、挿入、置換及びトランスロケーションを含む。ヌクレオチド変異の例は、ヒトゲノムにある多様な変異(例えば、MTHFR(methylenetetrahydrofolate reductase)遺伝子の変異)、薬剤耐性病原体のヌクレオチド変異及び癌発生−関連ヌクレオチドの変異を含む。
【0127】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列上の前記ヌクレオチド変異は、TDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位の向かい側に位置する。
【0128】
2.
固相におけるターゲット検出方法
本発明は、液相だけではなく、固相(例えば、マイクロアレイ)でも卓越な適応性を有する。
【0129】
本発明の他の様態によると、本発明は、以下の工程を含み、ターゲット区別性プローブ(TDプローブ)を利用し、固相でDNA又は核酸混合物からターゲット核酸配列を検出する方法を提供する:
(a)前記ターゲット核酸配列を前記TDプローブにハイブリダイゼーションさせる工程であって、前記TDプローブは、前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を含み、前記TDプローブは、3’−末端を通じて固相基質の表面に固定化されていて、前記TDプローブは、下記一般式Iの変形二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する工程と、
5’−X’
p−Y’
q−Z’
r−3’ (I)
(式中、X’
pは、前記ターゲット核酸配列と相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を有する5’−第2ハイブリダイゼーション部位(5’−second hybridization portion)であり、Y’
qは、少なくとも三つのユニバーサル塩基を含む分割部位(separation portion)であり、Z’
rは、前記ターゲット核酸配列と相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を有する3’−第1ハイブリダイゼーション部位(3’−first hybridization portion)であり、前記TDプローブは、検出可能なシグナルを発生する標識を有し、前記標識は、TDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位に位置して、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X’、Y’及びZ’は、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドであり、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位のT
mは、前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位のT
mより低く、前記分割部位は、前記X’
p、Y’
q及びZ’
rの三つの部位のうち、最も低いT
mを有し、前記分割部位は、前記ターゲット核酸配列に対するハイブリダイゼーションに関して、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位を前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位から分割し、これにより、前記TDプローブのハイブリダイゼーション特異性が、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記TDプローブの全体ハイブリダイゼーション特異性を向上させて、
前記TDプローブが前記ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合は、5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位が両方ともターゲット核酸配列とハイブリダイズし、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されて、前記TDプローブが非ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合は、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記分割部位が両方とも一本鎖を形成し、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されず、これにより、前記TDプローブは、前記ターゲット核酸配列と非ターゲット核酸配列とを区別する。)
(b)前記工程(a)の結果物を5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素と接触させる工程であって、前記TDプローブが前記ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合は、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、前記5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されて、前記TDプローブから前記標識が放出されて、前記固相基質上に固定化されたTDプローブでシグナル変化が現れて、前記TDプローブが非ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合は、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、前記5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されず、前記固相基質上に固定化されたTDプローブでシグナル変化が現れなく、これにより、前記固相基質上のシグナル変化を検出して、前記ターゲット核酸配列の存在を決定する工程と、
(c)前記固相基質上の前記シグナル変化を検出する工程であって、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位の切断による前記シグナル変化は、前記ターゲット核酸配列の存在を示す工程。
【0130】
本発明の固相方法は、TDプローブを利用して、上述の液相方法の工程に従うため、その重複する内容は、本明細書の複雑性を避けるために、その記載を省く。
【0131】
前記固相反応のために、TDプローブは、3’−末端を通じて固相基質表面に直接的又は間接的に固定化される。また、前記プローブは、共有又は非共有結合方式で固相基質表面に固定化できる。固定化されたプローブが固相基質表面に固定化される場合は、リンカーが関与する。本発明で使用できるリンカーは、マイクロアレイでプローブを固定化するに利用される如何なるリンカーも含む。例えば、アミン基を有するアルキル又はアリール化合物、又はチオール基を有するアルキル又はアリール化合物がリンカーとしてプローブ固定化に利用できる。加えて、ポリ(T)塩基又はポリ(A)塩基がリンカーとして利用されて、酵素作用(例えば、酵素的切断反応)に対する空間的妨害(space hindrance)を最小化するか、又はハイブリダイゼーション効率を増加させることができる。ポリ(T)塩基又はポリ(A)塩基がTDプローブをスパニング(spanning)する配列としてみなされない。例えば、TDプローブの3’−第1ハイブリダイゼーション部位末端に連結されたポリ(T)塩基又はポリ(A)塩基は、3’−第1ハイブリダイゼーション部位としてみなされない。
【0132】
本発明の好ましい具現例によると、本発明で利用される前記固相基質は、マイクロアレイである。本発明で反応環境を提供するマイクロアレイは、当業界に知られた如何なるマイクロアレイも含む。本発明の全ての過程、即ち、ターゲット配列とのアニーリング、延長/切断反応及び蛍光の検出は、マイクロアレイ上でなされる。マイクロアレイで固定化プローブは、ハイブリダイズ可能なアレイ要素(Hybridizable array element)として利用される。マイクロアレイを製作するための固相基質(Solid substrate)は、例えば、金属(例えば、金、金と銅の合金、アルミニウム)、金属オキシド、ガラス、セラミック、石英、シリコン、半導体、Si/SiO
2ウェハー、ゲルマニウム、ガリウムアルセニド、カーボン、炭素ナノチューブ、ポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリルアミド)、セファロース、アガロース及びコロイドを含むが、これらに限定されるものではない。本発明の複数の固定化プローブは、固相基質上の一つのアドレス可能な(addressable)区域(region)又は複数のアドレス可能な区域に固定化されて、固相基質は、2〜1,000,000個のアドレサブル区域を含むことができる。フォトリソグラフィー、インクゼッティング、機械的マイクロスポッティング及びこれの類似方法のような従来製作技術により、特定応用のためのアレイを提供するために、固定化プローブが組み立てられてもよい。
【0133】
本発明の好ましい具現例によると、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素は、熱安定性酵素である。本発明の好ましい具現例によると、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素は、鋳型−依存的核酸ポリメラーゼであり、より好ましくは、熱安定性鋳型−依存的核酸ポリメラーゼである。
【0134】
本発明の好ましい具現例によると、前記工程(a)は、TDプローブがハイブリダイズする位置の下流位置にハイブリダイズする上流プライマーと共にTDプローブを利用して行われ、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する鋳型−依存的核酸ポリメラーゼであり、上流プライマーは、前記工程(b)で前記鋳型−依存的核酸ポリメラーゼにより延長される。
【0135】
本発明の好ましい具現例によると、前記工程(a)は、TDプローブ及び逆方向プライマーを共に利用して行われ、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する鋳型−依存的核酸ポリメラーゼであり、前記工程(b)で鋳型−依存的核酸ポリメラーゼによる逆方向プライマーの延長反応によりTDプローブとハイブリダイゼーションできるターゲット核酸配列が生成される。
【0136】
本発明の好ましい具現例によると、前記標識は、化学的標識、酵素標識、放射能標識、蛍光標識、相互作用的標識、発光標識、化学発光標識又は金属標識である。
【0137】
図4又は
図5に示したように、本発明の固相での方法は、単一標識(例えば、単一蛍光標識)又は相互作用的標識(例えば、レポーター分子及びクエンチャー分子)を利用して行うことができる。
【0138】
例えば、単一蛍光標識を含むTDプローブがターゲット核酸配列の検出に利用される場合、5’−第2ハイブリダイゼーション部位上の蛍光標識が固相基質に固定化されたTDプローブから放出され、固相基質上の蛍光シグナル強度の減少を導く。蛍光シグナル減少又は消滅は、ターゲット核酸配列の存在を示す。
【0139】
本発明の好ましい具現例によると、前記単一標識が蛍光レポーター分子である場合、シグナル変化は、固相基質上の蛍光の減少又は消滅である。
【0140】
本発明の好ましい具現例によると、前記単一蛍光標識を含むTDプローブである場合、工程(c)の検出以前に洗浄する工程をさらに含む。あるいは、前記単一蛍光標識を含むTDプローブである場合、工程(c)の検出以前に洗浄する工程を含まない。
【0141】
本発明の好ましい具現例によると、前記単一蛍光分子は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断される5’−第2ハイブリダイゼーション部位上の一位置(site)に位置する。
【0142】
明確性のために、前記表現‘5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断される5’−第2ハイブリダイゼーション部位上の位置(site)’は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断される5’−第2ハイブリダイゼーション部位上の全ての部分(part)、一部分又は一位置(position)が5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断され得て、前記標識は、5’−第2ハイブリダイゼーション部位が切断されるどんな位置にも位置できるということを意味する。したがって、前記表現‘5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断される5’−第2ハイブリダイゼーション部位上の位置(site)’は、‘5’−第2ハイブリダイゼーション部位上の5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断される位置’とも言える。
【0143】
より好ましくは、前記単一蛍光分子は、TDプローブの5’−末端から1〜10ヌクレオチド、より好ましくは1〜5ヌクレオチド、さらに好ましくは1〜3ヌクレオチドを含む配列のどんな一位置にも位置できる。最も好ましくは、単一蛍光分子は、TDプローブの5’−末端に位置する。
【0144】
本発明の好ましい具現例によると、前記標識は、蛍光レポーター分子及びクエンチャー分子の一対から構成される相互作用的標識システムである。
【0145】
本発明の好ましい具現例によると、前記レポーター分子及びクエンチャー分子の一つは、TDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位上の一位置に位置して、他の一つは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されない位置に位置する。
【0146】
本発明の好ましい具現例によると、前記レポーター分子及びクエンチャー分子のうち一つは、TDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位上の5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断される位置に位置し、他の一つは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されない位置に位置する。
【0147】
本発明の好ましい具現例によると、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されない前記位置は、TDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位、分割部位又は3’−第1ハイブリダイゼーション部位上に存在できる。
【0148】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の方法を固相で行う場合、前記TDプローブは、その3’−末端を通じて固相基質の表面上に固定されて、前記クエンチャー分子は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断される前記TDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位上の一位置(site)に位置し、前記蛍光レポーター分子は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されない位置に位置し、前記TDプローブがターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合、その5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断され、蛍光レポーター分子がTDプローブ上にあるクエンチャー分子から分離されつつレポーター分子から蛍光シグナルが発生し、前記TDプローブが非ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合、5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されず、蛍光シグナルが発生せず、これにより、固相基質上の蛍光シグナルは、ターゲット核酸配列の存在が決定されるように検出される。
【0149】
固定化TDプローブがターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合、5’−末端から3’−末端方向の5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断される。この際、固定化TDプローブ断片及びターゲット核酸配列間の結合が弱いと、これにより、固相基質上の固定化TDプローブ断片からターゲット配列が解離される。したがって、前記固定化TDプローブは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断される部位及び非切断部位の2種の部位を含むとして考慮できる。したがって、前記プローブの非切断部位上に位置する標識は、固相基質の表面に残る。
【0150】
固定化TDプローブの切断パターンに鑑みて、TDプローブも5’−第2ハイブリダイゼーション部位内に切断部位及び非切断部位を含むことができる。TDプローブ内の切断部位及び非切断部位の形成は、分割部位により影響を受け得る。
【0151】
本発明の好ましい具現例によると、クエンチャー分子及びレポーター分子間のTDプローブの一位置に5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対して耐性を有するように変形されたヌクレオチド又はバックボーンのようなブロッカーが含まれる場合、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素は、ブロッカーのため追加的に切断できず、非切断部位になる固定化TDプローブ断片を含む単一標識が固相基質上に残る。
【0152】
本発明の好ましい具現例によると、前記クエンチャー分子は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断される5’−第2ハイブリダイゼーション部位上に位置する。
【0153】
本発明の好ましい具現例によると、前記蛍光レポーター分子は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されない5’−第2ハイブリダイゼーション部位上に位置する。
【0154】
本発明の好ましい具現例によると、前記蛍光レポーター分子は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されない3’−第1ハイブリダイゼーション部位上に位置する。
【0155】
本発明の好ましい具現例によると、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されない位置に位置した前記蛍光レポーター分子は、工程(b)以後に固相基質の表面上に残されて、これは、洗浄工程のないリアルタイム方式でレポーター分子から出た蛍光シグナルを簡便に検出可能となる。
【0156】
好ましくは、クエンチャー分子は、TDプローブの5’−末端に位置するか、あるいは5’−末端から1〜3ヌクレオチド離隔された所に位置して、蛍光レポーター分子は、TDプローブの3’−末端に隣接して位置するか、あるいはTDプローブの3’−第1ハイブリダイゼーション部位の中間に位置する。
【0157】
本発明の好ましい具現例によると、前記クエンチャー分子は、TDプローブの5’−末端から1〜10ヌクレオチド、より好ましくは1〜5ヌクレオチド、さらに好ましくは1〜3ヌクレオチドを含む配列のどんな一位置にも位置する。最も好ましくは、前記クエンチャー分子は、TDプローブの5’−末端に位置する。
【0158】
本発明の好ましい具現例によると、前記レポーター分子は、TDプローブの3’−末端から1〜30ヌクレオチド、より好ましくは1〜20ヌクレオチド、さらに好ましくは1〜15ヌクレオチドを含む配列のどんな一位置にも位置する。
【0159】
本発明の好ましい具現例によると、前記上流プライマー及び/又は逆方向プライマーは、一般式IIの二重特異性オリゴヌクレオチド(DSO)構造を有する。
【0160】
本発明の好ましい具現例によると、本発明は、前記工程(a)−(b)又は(a)−(c)を反復する工程をさらに含み、前記工程(a)−(b)又は(a)−(c)を反復するために、本発明は、反復サイクルの間に変性過程をさらに含む。
【0161】
本発明が工程(a)−(b)又は(a)−(c)の反復をさらに含む場合、好ましくは、シグナル検出は、反復の各サイクルにおいて(即ち、リアルタイム方式)、反復の終了時点で(即ち、エンド−ポイント方式)又は反復において指定時間間隔のそれぞれで実施する。好ましくは、シグナル検出は、反復の各サイクルで実施してもよく、これは、検出の正確性を向上させて、追加的にターゲット核酸を定量することができる。
【0162】
本発明の好ましい具現例によると、利用されるターゲット核酸配列は、増幅プライマーにより前増幅された核酸配列である。
【0163】
本発明の好ましい具現例によると、前増幅されたターゲット核酸配列の生成のための前記増幅プライマー(例えば、正方向プライマー及び逆方向プライマーを含む)は、本明細書に述べた一般式IIの二重特異性オリゴヌクレオチド(DSO)構造を有する。
【0164】
本発明の好ましい具現例によると、リアルタイム方式でターゲット核酸配列を検出するために、前記工程(a)及び(b)は、ターゲット核酸配列の増幅と同時に行われる。
【0165】
本発明の好ましい具現例によると、前記TDプローブは、前記5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素による切断に対して耐性を有する少なくとも一つのヌクレオチドブロッカー(blocker)を含むブロッカー部位を有する。本発明の好ましい具現例によると、前記ブロッカー部位は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されるTDプローブの一位置にあり、好ましくは、TDプローブの3’−ハイブリダイゼーション部位にある。
【0166】
本発明の好ましい具現例によると、前記TDプローブは、酵素(例えば、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する鋳型−依存的核酸ポリメラーゼ)の5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対して耐性を有する少なくとも一つのヌクレオチドブロッカー(blocker)を含むブロッカー部位を有し、TDプローブが非ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合、前記ブロッカー部位は、酵素のエンドヌクレアーゼ活性により切断される位置に位置する。
【0167】
本発明の好ましい具現例によると、TDプローブの前記ブロッカー部位は、TDプローブの3’−第1ハイブリダイゼーション部位に位置する。より好ましくは、TDプローブのブロッカー部位は、分割部位の3’−末端に近接した3’−第1ハイブリダイゼーション部位に位置する。
【0168】
本発明の好ましい具現例によると、前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み(より好ましくは少なくとも3種であり、さらに好ましくは少なくとも5種である)、かつ前記TDプローブは、少なくとも2種のプローブを含む(好ましくは少なくとも3種であり、より好ましくは少なくとも5種である)。
【0169】
本発明の好ましい具現例によると、前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み(より好ましくは少なくとも3種であり、さらに好ましくは少なくとも5種である)、前記TDプローブは、少なくとも2種のプローブを含み(好ましくは少なくとも3種であり、より好ましくは少なくとも5種である)、かつ前記上流プライマーは、少なくとも2種のプライマーを含む(より好ましくは少なくとも3種であり、さらに好ましくは少なくとも5種である)。
【0170】
本発明の好ましい具現例によると、前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み(より好ましくは少なくとも3種であり、さらに好ましくは少なくとも5種である)、前記TDプローブは、少なくとも2種のプローブを含み(好ましくは少なくとも3種であり、より好ましくは少なくとも5種である)、かつ前記逆方向プライマーは、少なくとも2種のプライマーを含む(より好ましくは少なくとも3種であり、さらに好ましくは少なくとも5種である)。
【0171】
さらに、本発明は、ヌクレオチド変異の検出において非常に有用である。
【0172】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列上の前記ヌクレオチド変異は、TDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位の向かい側に位置する。
【0173】
II.
好ましい具現例:TDプローブを利用したリアルタイムPCRアッセイ
好ましくは、本発明は、ターゲット核酸配列を増幅できる正方向プライマー及び逆方向プライマーで構成された一対のプライマーを利用したターゲット拡散配列の増幅と同時に行われる。好ましくは、前記増幅は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)によって行われて、これは、U.S.特許番号4,683,195、4,683,202及び4,800,159に開示されている。
【0174】
本発明のまた他の様態は、以下の工程を含み、ターゲット区別性プローブ(TDプローブ)及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を利用してDNA又は核酸混合物からターゲット核酸配列を検出する方法を提供する:
(a)(i)前記ターゲット核酸配列、(ii)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリダイゼーション配列を有する前記TDプローブ、(iii)それぞれ前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリダイゼーション配列を有する正方向プライマー及び逆方向プライマーとして二つのプライマーからなる一対のプライマー、及び(iv)5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する鋳型−依存的核酸ポリメラーゼを含むPCR混合物を用意する工程であって、前記TDプローブは、前記二つのプライマー間の位置にハイブリダイズし、前記TDプローブは、下記一般式Iの変形二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する工程と、
5’−X’
p−Y’
q−Z’
r−3’ (I)
(式中、X’
pは、前記ターゲット核酸配列と相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を有する5’−第2ハイブリダイゼーション部位(5’−second hybridization portion)であり、Y’
qは、少なくとも三つのユニバーサル塩基を含む分割部位(separation portion)であり、Z’
rは、前記ターゲット核酸配列と相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を有する3’−第1ハイブリダイゼーション部位(3’−first hybridization portion)であり、前記TDプローブは、蛍光レポーター分子及びレポーター分子の蛍光をクエンチングするクエンチャー分子で二重標識されており、前記蛍光レポーター分子及び前記クエンチャー分子は、両方とも前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位に位置するか、又は前記レポーター分子及び前記クエンチャー分子のそれぞれは、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記分割部位のそれぞれ異なる部位に位置し、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X’、Y’及びZ’は、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドであり、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位のT
mは、前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位のT
mより低く、前記分割部位は、前記X’
p、Y’
q及びZ’
rの三つの部位のうち、最も低いT
mを有して、前記分割部位は、前記ターゲット核酸配列に対するハイブリダイゼーションに関して、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位を前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位から分割し、これにより、前記TDプローブのハイブリダイゼーション特異性は、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記TDプローブの全体ハイブリダイゼーション特異性を向上させて、
前記TDプローブが前記ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合は、5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位が両方ともターゲット核酸配列とハイブリダイズし、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、前記鋳型−依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性により切断されて、前記TDプローブが非ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合は、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記分割部位が両方とも一本鎖を形成して、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、前記鋳型−依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性により切断されず、これにより、前記TDプローブは、前記ターゲット核酸配列と非ターゲット核酸配列とを区別する。)
(b)前記PCR混合物を利用して少なくとも2サイクルのプライマーアニーリング、プライマー延長及び変性で前記ターゲット核酸配列を増幅させる工程であって、前記二つのプライマーは、前記鋳型−依存的核酸ポリメラーゼのポリメラーゼ活性により延長されて、前記ターゲット核酸配列を増幅して、前記TDプローブが前記ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合は、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、前記鋳型−依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性により切断されて、前記TDプローブ上にある前記クエンチャー分子から前記蛍光レポーター分子が分離されて、蛍光シグナルが発生し、前記TDプローブが前記非ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合は、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、前記鋳型−依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性により切断されず、その結果、前記蛍光レポーター分子は、前記TDプローブ上にある前記クエンチャー分子から分離されず、蛍光シグナルが現れない工程と、
(c)前記蛍光シグナルを検出する工程であって、前記発生した蛍光シグナルは、前記ターゲット核酸配列の存在を示す工程。
【0175】
本発明のリアルタイムPCR分析は、TDプローブを利用して、上述の本発明の工程に従うため、その共通する内容は、本明細書の過度なる複雑性を避けるために、その記載を省く。
【0176】
5’→3’核酸切断反応を利用したリアルタイムPCRアッセイにおいて、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する鋳型−依存的核酸ポリメラーゼは、シグナル発生だけではなく、ターゲット増幅のために利用される(例えば、TaqManプローブ方法)。前述したように、鋳型−依存的核酸ポリメラーゼは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性及びエンドヌクレアーゼ活性を含む二つの核酸切断活性を有することができる。前記エンドヌクレアーゼ活性は、ターゲットの増幅を実施する過程で擬陽性シグナルを生じ得る。
【0177】
前記エンドヌクレアーゼ活性に係わる問題を完璧に克服するために、本発明は、独特の戦略を採択し、全ての二重標識がTDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位上に位置するようにする。
【0178】
本発明の好ましい具現例によると、リアルタイムPCR反応において、前記蛍光レポーター分子及び前記クエンチャー分子は、両方ともTDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位に位置するか、又は前記蛍光レポーター分子及び前記クエンチャー分子のそれぞれは、TDプローブの前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記分割部位のそれぞれ異なる部位に位置する。
【0179】
PCR反応過程において、TDプローブが非ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合、鋳型−依存的核酸ポリメラーゼのエンドヌクレアーゼ活性が3’−第1ハイブリダイゼーション部位に形成された分岐点(bifurcation)に作用するとしても、5’−第2ハイブリダイゼーション部位上に位置した蛍光レポーター分子及びクエンチャー分子は、お互いから分離されないため、蛍光レポーター分子から出る蛍光シグナルは、エンドヌクレアーゼ活性により発生しない。
【0180】
このような点で、本発明のリアルタイムPCRアッセイは、どんな擬陽性シグナル発生の可能性も除去することを完璧に保障する。
【0181】
本発明の好ましい具現例によると、前記シグナル検出は、反復の各サイクルにおいて(即ち、リアルタイム方式)、反復の終了時点で(即ち、エンド−ポイント方式)又は反復において指定時間間隔のそれぞれで実施する。好ましくは、シグナル検出は、反復の各サイクルで実施してもよく、これは、検出の正確性を向上させる。
【0182】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み(より好ましくは少なくとも3種であり、さらに好ましくは少なくとも5種である)、前記TDプローブは、少なくとも2種のプローブを含み(好ましくは少なくとも3種であり、より好ましくは少なくとも5種である)、正方向プライマーは、少なくとも2種のプライマーを含み(より好ましくは少なくとも3種であり、さらに好ましくは少なくとも5種である)、かつ逆方向プライマーは、少なくとも2種のプライマーを含む(より好ましくは少なくとも3種であり、さらに好ましくは少なくとも5種である)。
【0183】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含む。
【0184】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列上の前記ヌクレオチド変異は、TDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位の向かい側に位置する。
【0185】
本発明の好ましい具現例によると、正方向プライマー及び/又は逆方向プライマーは、前述した一般式IIの二重特異性オリゴヌクレオチド(DSO)構造を有する。
【0186】
III.液相又は固相におけるライゲーション反応によるターゲット検出方法
本発明のまた他の様態によると、以下の工程を含み、ターゲット区別性プローブ(TDプローブ)を利用して、ライゲーション(ligation)反応によりDNA又は核酸混合物からターゲット核酸配列を検出する方法を提供する:
(a)前記ターゲット核酸配列を第1プローブ及び第2プローブにハイブリダイゼーションさせる工程であって、前記第1プローブは、前記ターゲット核酸配列の第1位置に相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を含み、第2プローブは、前記第1位置の上流に位置する前記ターゲット核酸配列の第2位置に相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を含み、前記第1プローブ及び前記第2プローブの少なくとも一つは、検出可能なシグナルを発生する標識を有して、前記第2プローブは、TDプローブであり、前記TDプローブは、下記一般式Iの変形二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造する工程と、
5’−X’
p−Y’
q−Z’
r−3’ (I)
(式中、X’
pは、前記ターゲット核酸配列と相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を有する5’−第2ハイブリダイゼーション部位(5’−second hybridization portion)であり、Y’
qは、少なくとも三つのユニバーサル塩基を含む分割部位(separation portion)であり、Z’
rは、前記ターゲット核酸配列と相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を有する3’−第1ハイブリダイゼーション部位(3’−first hybridization portion)であり、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X’、Y’及びZ’は、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドであり、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位のT
mは、前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位のT
mより低く、前記分割部位は、前記X’
p、Y’
q及びZ’
rの三つの部位のうち、最も低いT
mを有し、前記分割部位は、前記ターゲット核酸配列に対するハイブリダイゼーションに関して、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位を前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位から分割し、これにより、前記TDプローブのハイブリダイゼーション特異性は、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記TDプローブの全体ハイブリダイゼーション特異性を向上させて、
前記第2プローブが前記ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合は、前記第2プローブの前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位が両方ともターゲット核酸配列とハイブリダイズし、前記第1プローブ及び前記第2プローブのライゲーションが起こり、前記第2プローブが非ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合は、前記第2プローブの前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記分割部位が両方とも一本鎖を形成して、前記第1プローブ及び前記第2プローブは、ライゲーションされず、これにより、前記第2プローブは、前記ターゲット核酸配列と非ターゲット核酸配列とを区別する。)
(b)前記ターゲット核酸配列とハイブリダイズした前記第1プローブ及び第2プローブをライゲーションさせる工程であって、これにより、ライゲーションされたプローブ(ligated probe)が生成される工程と、
(c)前記工程(b)の結果物を変性させる工程と、
(d)前記ライゲーションされたプローブ上の前記標識からのシグナルを検出する工程であって、前記シグナルは、前記ターゲット核酸配列の存在を示す工程。
【0187】
ライゲーション反応を利用する本発明の方法は、TDプローブを使用するため、その共通する内容は、本明細書の過度なる複雑性を避けるために、その記載を省く。
【0188】
本発明の方法は、液相又は固相で行うことができる。好ましくは、本発明の方法は、固相で行われる。
【0189】
ライゲーション反応を利用した本発明の方法は、第1プローブ及び第2プローブがターゲット核酸配列とハイブリダイズする。第2プローブは、前述したTDプローブである。第1プローブは、前記ターゲット核酸配列の第1位置に相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を含み、第2プローブは、前記第1位置の上流に位置する前記ターゲット核酸配列の第2位置に相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を含む。第1プローブ及び第2プローブは、前述した順にターゲット核酸配列とハイブリダイズさせなければならない。もし第1プローブ及び第2プローブが上記のように実施されないと、本発明によるターゲット−特異検出は達成できない。
【0190】
本発明の好ましい具現例によると、第1プローブ及び第2プローブが前記ターゲット核酸配列とハイブリダイゼーションする場合、第1プローブ及び第2プローブは、互いに直接隣接した位置に位置する。
【0191】
隣接した位置に位置することが、二つのプローブ間のライゲーション反応のために必要である。本明細書において、第1プローブ及び第2プローブのハイブリダイゼーション位置を言及しながら使用される用語‘隣接した(adjacent)’は、前記二つのプローブの末端が互いに連結され得るように、前記一つのプローブの3’−末端及び他の一つのプローブの5’−末端が互いに十分隣接していることを意味する。
【0192】
本発明の好ましい具現例によると、第1プローブの3’−末端は、ヒドロキシル基を有し、かつ第2プローブの5’−末端は、ホスフェート基を有する。
【0193】
本明細書において、第1プローブ及び第2プローブのハイブリダイゼーション位置を言及しながら使用される用語‘直接隣接(immediately adjacent)’は、第2プローブの5’−末端が第1プローブの3’−末端に隣接して、前記二つのプローブが、適した作用剤、例えば、リガーゼによりライゲーションが可能な程度に十分隣接していることを意味する。第2プローブの5’−末端が第1プローブの3’−末端から0ヌクレオチド離隔された場合、二つのプローブは、リガーゼによりライゲーションされるニック(nick)を形成する。
【0194】
第1プローブ又は第2プローブの一つは、検出可能なシグナルを生成する標識を有する。あるいは、第1プローブ及び第2プローブの両方とも標識を有する。
【0195】
本発明の好ましい具現例によると、標識は、化学的標識、酵素標識、放射能標識、蛍光標識、相互作用的標識、発光標識、化学発光標識又は金属標識である。
【0196】
より好ましくは、標識は、レポーター分子及びクエンチャー分子の一対からなる相互作用的標識システムである。例えば、第1プローブがレポーター分子又はクエンチャー分子の一つで標識され、第2プローブは、クエンチャー分子又はレポーター分子の一つで標識される。
【0197】
本発明の好ましい具現例によると、第1プローブは、前述した一般式IIの二重特異性オリゴヌクレオチド(DSO)構造を有する。
【0198】
より好ましくは、第1プローブがDSO構造を有し、第2プローブは、TDプローブであり、第1プローブの3’−末端は、第2プローブの5’−末端に直接隣接した位置に位置する。
【0199】
プローブを利用したターゲット配列検出の正確性は、一般にターゲット配列に対するプローブの特異性に依存的である。DSO構造を有する第1プローブ及びmDSO構造を有する第2プローブ(TDプローブ)が利用される場合、二つのプローブがターゲット核酸配列にハイブリダイズする時、第1プローブの3’−第2ハイブリダイゼーション部位及び第2プローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、お互い直接隣接した位置に位置する。その後、第1プローブの3’−第2ハイブリダイゼーション部位及び第2プローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位がライゲーションされる。第1プローブ及び第2プローブが非ターゲット配列にハイブリダイズする場合、プローブの第1ハイブリダイゼーション部位のみが非特異ハイブリダイゼーションし、プローブの第2ハイブリダイゼーション部位のそれぞれは一本鎖を形成し、第1プローブ及び第2プローブのライゲーションが起こらない(
図6)。
【0200】
前述したように、DSO構造を有する第1プローブ及びmDSO構造を有する第2プローブの一対のプローブは、ターゲット検出において、擬陽性結果から完璧に自由になる。
【0201】
ハイブリダイゼーション後、ターゲット核酸配列にハイブリダイズした第1プローブ及び第2プローブがライゲーションされる。
【0202】
酵素性ライゲーションは、第1プローブ及び第2プローブを共有結合で連結させる好ましい方法であるため、用語‘ライゲーション’は、本明細書で全体的に利用される。しかし、用語‘ライゲーション’は、一般的な用語であり、二つのプローブを共有結合で連結させる如何なる方法も含むとして理解される。酵素性ライゲーションに対する他の択一的方法は、EP 0324616に詳述されたフォトライゲーション(photoligation)である。
【0203】
本発明のライゲーションは、二つの選択的な方法によって行うことができる:第一、ライゲーションは、ギャップフィリングライゲーション(gap filling ligation)方法により行うことができる(米国特許第6,004,826号)。DNAポリメラーゼにより延長されたプローブの3’−末端は、他のプローブの5’−末端にライゲーションされる。第二、ライゲーションは、延長反応無しにニックシーリング(nick sealing)方法により行うことができる。
【0204】
本発明の好ましい具現例によると、本発明のライゲーションは、ニックシーリングにより行われて、どんな追加的な延長反応無しに、プローブの3’−末端と他のプローブの5’−末端が連結される。
【0205】
ライゲーション反応は、非常に多様なライゲーション作用剤を利用して行うことができ、酵素性ライゲーション作用剤及び非酵素性ライゲーション作用剤(例えば、化学的作用剤及びフォトライゲーション作用剤)を含む。化学的ライゲーション作用剤は、カルボジイミド、BrCN(cyanogen bromide)、N−シアノイミダゾール、イミダゾール、1−メチルイミダゾール/カルボジイミド/シスタミン、DTT(dithiothreitol)及びウルトラバイオレットライトのような活性剤、凝縮剤及び還元剤を含むが、これらに限定されるものではない。また、オートライゲーション、即ち、ライゲーション作用剤の不存在下での自発的ライゲーションも本発明の教示範囲に含まれる。化学的ライゲーション方法の詳細なプロトコール及び適切な作用基の詳細な説明は、Xuら、Nucl.Acids Res.,27:875−81(1999);Gryaznov and Letsinger,Nucl.Acids Res.21:1403−08(1993);Gryaznovら、Nucleic Acid Res.22:2366−69(1994);Kanaya及びYanagawa,Biochemistry 25:7423−30(1986);Luebke及びDervan、Nucl.Acids Res.20:3005−09(1992);Sievers及びvon Kiedrowski、Nature 369:221−24(1994);Liu及びTaylor、Nucl.Acids Res.26:3300−04(1999);Wang及びKool、Nucl.Acids Res.22:2326−33(1994)から見つけられる。
【0206】
ライゲーション作用剤として、適した波長の光を利用したフォトライゲーションも本発明の教示範囲に含まれる。本発明の具現例によると、フォトライゲーションは、ヌクレオチドアナログを含むプローブを含み、s4T(4−thiothymidine)、5−ビニールウラシル及びその類似物又はこれらの組合物を含むが、これに限定されるものではない。本発明の具現例によると、ライゲーション作用剤は、(a) UV−A範囲(約320nm乃至約400nm)、UV−B範囲(約290nm乃至約320nm)又はこれらが組合された光、(b)約300nmと約375nmの間の波長の光、(c)約360nm乃至約370nmの波長の光、(d)約364nm乃至約368nmの波長の光又は(e)約366nmの波長の光を含む。フォトライゲーションの詳細な説明は、他の文献のうちでも、Fujimotoら、Nucl.Acid Symp.Ser.42:39−40(1999);Fujimotor、Nucl.Acid Res.Suppl.20 1:185−86(2001);Fujimotoら、Nucl.Acid Suppl.,2:155−56(2002);Liu及びTaylor、Nucl.Acid Res.26:3300−04(1998)から見つけられる。
【0207】
本発明の好ましい具現例によると、ライゲーション反応は、バクテリオファージT4リガーゼ、E.coliリガーゼ及び熱安定性リガーゼのようなリガーゼを利用して行われる。より好ましくは、ライゲーション反応は、Afuリガーゼ、Taqリガーゼ、Tflリガーゼ、Mthリガーゼ、Tthリガーゼ、Tth HB8リガーゼ、Thermus species AK16Dリガーゼ、Apeリガーゼ、LigTkリガーゼ、Aaeリガーゼ、Rmリガーゼ、及びPfuリガーゼを含む熱安定性リガーゼを利用して行われる(Housbyら、Nucl.Acids Res.28:e10(2000);Tongら、Nucl.Acids Res.28:1447−54(2000);Nakataniら、Eur,J.Biochem.269:650−56(2002);Zirviら、Nucl.Acids Res.27:e40(1999);Sriskandaら、Nucl.Acids Res.11:2221−28(2000))。
【0208】
ライゲーションにより生成されたヌクレオチド間連結(internucleotide linkage)は、ホスホジエステル結合及び他の連結を含む。例えば、リガーゼを利用したライゲーションは、一般にホスホジエステル結合を生成する。ライゲーションのための非酵素性方法は、他のヌクレオチド間連結を形成することができる。他のヌクレオチド間連結は、α−ハロアシル基及びホスホチオエート基間に形成されるチオホスホリルアセチルアミノ基、ホスホチオエート基及びトシレート基又はイオジド基間に形成される5’−ホスホロチオエステル、及びピロホスフェート連結のような、適した反応基間の共有結合の形成を含むが、これに限定されるものではない。
【0209】
ライゲーション反応後、これの結果物は、変性されてターゲット核酸配列から分離される。
【0210】
本発明の固相で実施する方法において、固定化プローブとしての第1プローブ又は第2プローブは、固相基質の表面上に固定化される。非固定化プローブとしての他のプローブは、固定化されない。
【0211】
より好ましくは、固相で実施する方法において、第1プローブは、その5’−末端を通じて固相基質の表面上に固定化されて、第2プローブは、固定化されない。選択的に、固相で実施する方法において、第2プローブは、その3’−末端を通じて固相基質の表面上に固定化されて、第1プローブは、固定化されない(
図6)。
【0212】
単一標識分子を固相に利用する場合、好ましくは、前記単一標識は、非固定化プローブ上に位置する(
図7)。
【0213】
二つのプローブが非ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合、プローブは、互いにライゲーションされず、変性の間、非固定化プローブは、固定化プローブから分離されて、シグナルが生成されない。
【0214】
上述のように、本発明において変性工程は、特異的にターゲット核酸配列を検出するチェックポイントの一つである。
【0215】
最終的に、第1プローブ及び第2プローブのライゲーション結果物上の標識から出るシグナルが検出されて、ターゲット核酸配列の存在が確認される。
【0216】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の固相方法は、工程(d)以前に、固定化プローブにライゲーションされなかった非固定化プローブの除去のために、工程(c)の結果物を洗浄する工程をさらに含む。
【0217】
本発明の好ましい具現例によると、前記方法は、工程(a)−(c)又は(a)−(d)を反復する工程をさらに含む。
【0218】
本発明の好ましい具現例によると、工程(a)に利用されるターゲット核酸配列は、増幅プライマーにより前増幅された核酸配列である。好ましくは、増幅プライマーは、一般式IIの二重特異性オリゴヌクレオチド(DSO)構造を有する。
【0219】
前増幅されたターゲット核酸配列は、工程(a)−(c)に対する反応環境(又は反応容器(vessel))と異なる反応環境(又は反応容器)で前増幅されたターゲット核酸配列を含むことができる。選択的に、前増幅されたターゲット核酸配列は、工程(a)−(c)に対する反応環境(又は反応容器(vessel))と同一な反応環境(又は反応容器)で前増幅されたターゲット核酸配列を収得することができる。
【0220】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み(より好ましくは少なくとも3種であり、さらに好ましくは少なくとも5種である)、第1プローブは、少なくとも2種のプローブを含み(好ましくは少なくとも3種であり、より好ましくは少なくとも5種である)、かつ第2プローブは、少なくとも2種のプローブを含む(より好ましくは少なくとも3種であり、さらに好ましくは少なくとも5種である)。
【0221】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含み、より好ましくは、SNP(single nucleotide polymorphism)である。
【0222】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列上のヌクレオチド変異は、第2プローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位の向かい側に位置する。
【0223】
IV.液相又は固相におけるハイブリダイゼーションによる蛍光シグナル変化によるターゲット検出方法
本発明のまた他の様態によると、本発明は、以下の工程を含み、ターゲット区別性プローブ(TDプローブ)を利用して、DNA又は核酸混合物からターゲット核酸配列を検出する方法を提供する:
(a)前記ターゲット核酸配列とTDプローブをハイブリダイゼーションさせる工程であって、前記TDプローブは、前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を含み、前記TDプローブは、下記一般式Iの変形二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する工程と、
5’−X’
p−Y’
q−Z’
r−3’ (I)
(式中、X’
pは、前記ターゲット核酸配列と相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を有する5’−第2ハイブリダイゼーション部位(5’−second hybridization portion)であり、Y’
qは、少なくとも三つのユニバーサル塩基を含む分割部位(separation portion)であり、Z’
rは、前記ターゲット核酸配列と相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を有する3’−第1ハイブリダイゼーション部位(3’−first hybridization portion)であり、前記TDプローブは、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位上に蛍光レポーター分子で標識され、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X’、Y’及びZ’は、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドであり、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位のT
mは、前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位のT
mより低く、前記分割部位は、前記X’
p、Y’
q及びZ’
rの三つの部位のうち、最も低いT
mを有し、前記分割部位は、前記ターゲット核酸配列に対するハイブリダイゼーションに関して、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位を前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位から分割し、これにより、前記TDプローブのハイブリダイゼーション特異性は、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記TDプローブの全体ハイブリダイゼーション特異性を向上させて、
前記TDプローブが前記ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合は、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位が両方ともターゲット核酸配列とハイブリダイズし、前記蛍光レポーター分子から出る蛍光の変化を誘導し、前記TDプローブが非ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合は、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記分割部位が両方とも一本鎖を形成し、前記蛍光レポーター分子から出る蛍光の変化を誘導できず、これにより、前記TDプローブは、前記ターゲット核酸配列と非ターゲット核酸配列を区別する。)
(b)前記蛍光変化を検出する工程であって、前記蛍光変化は、前記ターゲット核酸配列の存在を示す工程。
【0224】
本発明は、TDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位の他のハイブリダイゼーションパターンを利用するため、その共通する内容は、本明細書の過度なる複雑性を避けるために、その記載を省く。
【0225】
単一蛍光団(fluorophore)−標識オリゴヌクレオチドは、一本鎖及び二本鎖状態で異なる蛍光放出を発生させるということが開示されている(参考;米国特許第7,348,141号及び第7,537,886号)。
【0226】
本発明者らは、TDプローブがその5’−第2ハイブリダイゼーション部位上に単一蛍光レポーター分子で標識される場合、ターゲット又は非ターゲット核酸配列とのハイブリダイゼーションによって異なる蛍光強度が発生されることを見出した。
【0227】
最終的に検出される、蛍光レポーターから出る蛍光の変化は、蛍光の増加だけではなく、減少も含む。変化が検出される蛍光の種類は、蛍光強度、蛍光極性、蛍光寿命及び蛍光の量子収率を含むが、これらに限定されるものではない。最も好ましくは、検出される蛍光は、蛍光レポーター分子から出る蛍光の強度である。
【0228】
ターゲット配列とのハイブリダイゼーションによって蛍光レポーターから出る蛍光の変化は、標識の種類及び位置のような幾つかの要因に依存的であり、これは、米国特許第7,348,141号及び第7,537,886号に開示されている。
【0229】
本発明で利用される蛍光レポーター分子は、上述の本明細書の詳細な説明を参照して説明できる。本発明の好ましい具現例によると、蛍光レポーター分子は、フルオレセインベース分子(例えば、JOE、TET又はFAM)、ローダミンベース分子(例えば、TAMRA又はROX)又はBODIPY530/550である。
【0230】
蛍光レポーター分子は、TDプローブにおいて、ターゲット及び非ターゲット配列に対する最も大きい区別能を有する5’−第2ハイブリダイゼーション部位上に位置する。本明細書全般にかけて記載されたように、5’−第2ハイブリダイゼーション部位のハイブリダイゼーション挙動は、ターゲット配列と非ターゲット配列を区分する最も決定的な要因である。
【0231】
蛍光レポーター分子は、5’−第2ハイブリダイゼーション部位の5’−末端、3’−末端又は内部ヌクレオチド(Internal nucleotide)上に位置する。より好ましくは、蛍光レポーター分子は、内部ヌクレオチド上に位置する。
【0232】
本発明の好ましい具現例によると、蛍光レポーター分子は、ウラシル残基に連結される。
【0233】
本発明の好ましい具現例によると、蛍光変化は、指定温度(Predetermined temperature)又は一定範囲の温度で観察される。
【0234】
本発明の好ましい具現例によると、工程(a)は、前記TDプローブ、逆方向プライマー及び鋳型−依存的核酸ポリメラーゼを共に利用して行われ、これにより、前記TDプローブとハイブリダイズする前記ターゲット核酸配列が追加的に生成され、前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記蛍光変化を増加させる。
【0235】
本発明の好ましい具現例によると、工程(a)は、TDプローブ、正方向プライマー及び逆方向プライマーの二つのプライマーからなる一対のプライマー、及び鋳型−依存的核酸ポリメラーゼを利用して行われ、TDプローブとハイブリダイズするターゲット核酸配列は、PCRにより増幅され、ターゲット核酸配列の存在を示す蛍光変化を向上させる。
【0236】
あるいは、TDプローブは、レポーター分子の蛍光をクエンチャーできるクエンチャー分子で追加的に標識される。TDプローブ又はTDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位がターゲット核酸配列とハイブリダイズしなかった場合は、前記クエンチャーがレポーター分子の蛍光をクエンチングするように位置する。
【0237】
本発明の好ましい具現例によると、TDプローブ又はTDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位がターゲット核酸配列とハイブリダイズしない場合、前記クエンチャーがレポーター分子の蛍光を構造的(conformationally)にクエンチングするように位置する。
【0238】
本発明の好ましい具現例によると、クエンチャー分子は、蛍光であり、検出されるターゲット核酸配列の存在を示すシグナルは、蛍光クエンチャー分子から出るシグナルである。
【0239】
本発明が、逆方向プライマー又は一対のプライマーを利用して行われる場合、鋳型−依存的核酸ポリメラーゼは、好ましくは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性のない熱安定性ポリメラーゼであり、これは、Taqポリメラーゼのストッフェル断片(Stoffel fragment)(F C Lawyerら,Genome Res.2:275−287(1993))及びThermus aquaticus,Thermus flavus又はThermus thermophilusのDNAポリメラーゼの突然変異型を含む(米国特許第5885813号)。これらの例は、下記の通りである:KOD(exo−)DNAポリメラーゼ(TOYOBO),Vent(exo−)DNAポリメラーゼ(NEB),Deep vent(exo−)DNAポリメラーゼ(NEB),Platinum(登録商標)Tfi Exo(−)DNAポリメラーゼ(Invitrogen),Amplitaq DNAポリメラーゼstoffel fragment(ABI),Exo−Pfu DNAポリメラーゼ(Agilent)。
【0240】
また、本発明の方法は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性がある熱安定性ポリメラーゼを利用して行うことができる。
【0241】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の方法は、液相又は固相で行われる。本発明の方法が固相で行われる場合、TDプローブは、その3’−末端を通じて固相基質の表面上に固定化される。
【0242】
V.ターゲット配列を区別できるプローブの設計及び製造
本発明のまた他の様態によると、以下の工程を含み、プローブ分子が非ターゲット核酸配列からターゲット核酸配列を区別するようにする方法を提供する:
(a)ターゲット核酸配列を選択する工程と、
(b)プローブ分子の配列を設計する(designing)工程であって、これにより、(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリダイゼーション配列及び(ii)少なくとも三つのユニバーサル塩基を含む分割部位を有して、前記分割部位は、ハイブリダイゼーション配列内に存在し、前記プローブ分子の三つの部位を形成する工程と、
(c)前記分割部位の前記5’−方向にある部位は、前記分割部位の3’−方向にある部位より低いT
mを有して、前記分割部位は、前記三つの部位のうち、最も低いT
mを有するように前記プローブ分子の前記分割部位位置を決定する工程であって、これにより、それぞれ異なるT
m値を有する三つの部位を有するプローブ分子が提供されて、前記三つの部位において、(i)前記プローブ分子の5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、前記ターゲット核酸配列と相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を有し、(ii)前記プローブ分子の3’−第1ハイブリダイゼーション部位は、前記ターゲット核酸配列と相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を含み、(iii)前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位と前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位との間にある前記プローブ分子の分割部位は、少なくとも三つのユニバーサル塩基を有して、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位のT
mは、前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位のT
mより低く、前記分割部位は、前記三つの部位のうち、最も低いT
mを有し、
前記TDプローブが前記ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合は、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位が両方ともターゲット核酸配列とハイブリダイズし、前記TDプローブが前記非ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合は、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記分割部位が両方とも一本鎖を形成し、これにより、前記プローブ分子は、前記ターゲット核酸配列と非ターゲット核酸配列を区別する工程。
【0243】
本発明の方法は、ターゲット配列に対するプローブの区別能を著しく増加させる新規な接近法を提供する。また、本発明の方法は、ターゲット配列に対するプローブの区別能を改善させる方法として表現することができる。
【0244】
本発明の方法は、本明細書で論議されたTDプローブを製造するために行われる。したがって、その共通する内容は、本明細書の不要な重複をさけるためにその記載を省くが、前記記載事項は、反復記載されたも同然、本明細書に取り込まれる。
【0245】
本発明の方法は、オリゴヌクレオチド配列自体に新規な特徴を導入することにより、区別能を増加させる新規な戦略を提供し、これは、新規なプローブがターゲット及び非ターゲット配列に対して、互いに異なるハイブリダイゼーション挙動を表すようにする。
【0246】
本発明の方法において、プローブ分子の配列を設計することは、非常に重要なことである。前記プローブ分子は、(i)ターゲット核酸配列に相補的なハイブリダイゼーション配列及び(ii)少なくとも三つのユニバーサル塩基を含む分割部位を有し、前記分割部位は、ハイブリダイゼーション配列内に存在し、プローブ分子の三つの部位を形成する。
【0247】
この工程で、オリゴヌクレオチドの構造的形態が提供され、オリゴヌクレオチドに5’−末端部位/分割部位/3’−末端部位を有するようにする。5’−末端部位及び3’−末端部位は、両方ともターゲット核酸配列に相補的なハイブリダイゼーション配列を有し、前記二つの部位間に分割部位が介入するようになる。
【0248】
本発明において最も重要な工程は、プローブ内分割部位の位置を決定することであり、これは、分割部位の5’−方向にある部位が、分割部位の3’−方向にある部位より低いT
mを有するようにして、分割部位は、三つの部位のうち、最も低いT
mを有するようにして、これにより、それぞれ異なるT
m値を有する三つの部位を有するオリゴヌクレオチドが提供される。
【0249】
本発明の方法によりオリゴヌクレオチドに導入される新規な構造的特徴は、下記の通りである:(i)オリゴヌクレオチド配列において三つの異なる部位(5’−第2ハイブリダイゼーション部位、分割部位及び3’−第1ハイブリダイゼーション部位);(ii)三つの部位の異なるT
m値;(iii)5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び3’−第1ハイブリダイゼーション部位の間に少なくとも三つのユニバーサル塩基を含む分割部位;(iv)ハイブリダイゼーションにおいてターゲットとの分子的相互作用に関与する二つの部位、前記二つの部位は、ハイブリダイゼーション過程で分割部位により分離される;(v)3’−第1ハイブリダイゼーション部位、5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び分割部位順のT
m値。このような構造的特徴は、プローブのハイブリダイゼーションがターゲット配列及び非ターゲット配列に対して明確に相異なる方式で起こるようにして、これは、ターゲット配列に対するプローブのハイブリダイゼーション特異性を極めて増加させる。
【0250】
VI.ターゲット検出のためのキット
1.液相におけるターゲット検出のためのキット
本発明のまた他の様態によると、本発明は、DNA又は核酸混合物からターゲット核酸配列を検出するためのキットを提供し、これは、ターゲット核酸配列と非ターゲット核酸配列を区別するようにする上記一般式Iの変形二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有するターゲット区別性プローブ(TDプローブ)を含む。
【0251】
本発明のキットは、前述した本発明の検出方法を実施するために製作されるため、その重複する内容は、本明細書の過度なる複雑性を避けるためにその記載を省く。
【0252】
本発明の好ましい具現例によると、TDプローブは、検出可能なシグナルを発生させる一つの標識又は多数の標識を含む相互作用的標識システムを有する。
【0253】
より好ましくは、相互作用的標識システムは、TDプローブ上に位置したレポーター分子及びクエンチャー分子から構成された一対である。
【0254】
本発明の好ましい具現例によると、レポーター分子及び前記クエンチャー分子は、両方とも5’−第2ハイブリダイゼーション部位に位置するか、又はレポーター分子及び前記クエンチャー分子のそれぞれは、5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び分割部位のそれぞれ異なる部位に位置する。
【0255】
本発明の好ましい具現例によると、TDプローブは、その5’−第2ハイブリダイゼーション部位にレポーター分子及びクエンチャー分子のうち一つを有し、その3’−第1ハイブリダイゼーション部位に他の一つを有する。
【0256】
本発明の好ましい具現例によると、前記キットは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素をさらに含む。
【0257】
本発明の好ましい具現例によると、キットは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する鋳型−依存的核酸配列ポリメラーゼ、及びTDプローブのハイブリダイゼーション位置の下流位置にハイブリダイズする上流プライマーと逆方向プライマーのうち、少なくとも一つのプライマーをさらに含む。
【0258】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、増幅プライマーを利用して前増幅された核酸配列であり、キットは、増幅プライマーをさらに含む。
【0259】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、かつTDプローブは、少なくとも2種のプローブを含む。
【0260】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、TDプローブは、少なくとも2種のプローブを含み、かつ上流プライマーは、少なくとも2種のプライマーを含むか、又は逆方向プライマーは、少なくとも2種のプライマーを含む。
【0261】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含む。
【0262】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列上の前記ヌクレオチド変異は、前記TDプローブの前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位の向かい側に存在する。
【0263】
本発明の好ましい具現例によると、TDプローブは、前記5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素による切断に対して耐性を有する少なくとも一つのヌクレオチドをブロッカー(blocker)として含むブロッカー部位を有し、前記ブロッカー部位は、TDプローブの3’−第1ハイブリダイゼーション部位に位置する。
【0264】
2.固相におけるターゲット検出のためのキット
本発明のまた他の様態によると、以下を含み、ターゲット区別性プローブ(TDプローブ)を利用して、固相でDNA又は核酸混合物からターゲット核酸配列を検出するためのキットを提供する:
(a)ターゲット核酸配列に相補的なハイブリダイゼーション核酸配列を有する前記TDプローブであって、前記TDプローブは、その3’−末端を通じて固相基質の表面上に固定化されて、前記TDプローブは、下記一般式Iの変形二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有するプローブと、
5’−X’
p−Y’
q−Z’
r−3’ (I)
(式中、X’
pは、前記ターゲット核酸配列と相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を有する5’−第2ハイブリダイゼーション部位(5’−second hybridization portion)であり、Y’
qは、少なくとも三つのユニバーサル塩基を含む分割部位(separation portion)であり、Z’
rは、前記ターゲット核酸配列と相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を有する3’−第1ハイブリダイゼーション部位(3’−first hybridization portion)であり、前記TDプローブは、検出可能なシグナルを発生する標識を有し、前記標識は、TDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位に位置して、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X’、Y’及びZ’は、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドであり、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位のT
mは、前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位のT
mより低く、前記分割部位は、前記X’
p、Y’
q及びZ’
rの三つの部位のうち、最も低いT
mを有し、前記分割部位は、前記ターゲット核酸配列に対するハイブリダイゼーションに関して、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位を前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位から分割し、これにより、前記TDプローブのハイブリダイゼーション特異性が前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記TDプローブの全体ハイブリダイゼーション特異性を向上させて、
前記TDプローブが前記ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合は、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位が両方とも前記ターゲット核酸配列とハイブリダイズし、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されて、前記TDプローブが非ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合は、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記分割部位が両方とも一本鎖を形成して、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されず、これにより、前記TDプローブは、前記非ターゲット核酸配列から前記ターゲット核酸配列を区別する。)
(b)前記固相基質。
【0265】
本発明のキットは、前述した本発明の検出方法を実施するために製作されるため、その重複する内容は、本明細書の過度なる複雑性を避けるためにその記載を省く。
【0266】
本発明の好ましい具現例によると、標識は、化学的標識、酵素標識、放射能標識、蛍光標識、相互作用的標識、発光標識、化学発光標識又は金属標識である。より好ましくは、標識は、相互作用的標識システムは、TDプローブ上に位置したレポーター分子及びクエンチャー分子から構成された一対であり、TDプローブは、前記5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断される前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位上の一位置(site)に前記レポーター分子及び前記クエンチャー分子のうち一つを有し、前記5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されない一位置に他の一つを有する。
【0267】
本発明の好ましい具現例によると、クエンチャー分子の5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断される前記TDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位上の一位置(site)に位置し、前記蛍光レポーター分子は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されない位置に位置し、TDプローブがターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合、その5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されて、TDプローブ上の前記クエンチャー分子から蛍光レポーター分子が解離されて蛍光シグナルが発生し、TDプローブが非ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合、5’−第2ハイブリダイゼーション部位が5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により切断されず、蛍光シグナルが表れず、これによりターゲット核酸配列の存在が決定されるように固相基質上の蛍光シグナルが検出される。
【0268】
本発明の好ましい具現例によると、キットは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素をさらに含む。
【0269】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、かつTDプローブは、少なくとも2種のプローブを含む。
【0270】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含み、ターゲット核酸配列上のヌクレオチド変異は、TDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位の向かい側に位置する。
【0271】
本発明の好ましい具現例によると、TDプローブは、前記5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素による切断に対して耐性を有する少なくとも一つのヌクレオチドをブロッカー(blocker)として含むブロッカー部位を有し、前記ブロッカー部位は、TDプローブの3’−第1ハイブリダイゼーション部位に位置する。
【0272】
3.PCRを利用したターゲット検出用キット
本発明のまた他の様態によると、以下を含み、ターゲット区別性プローブ(TDプローブ)及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を利用して、DNA又は核酸混合物からターゲット核酸配列を検出するためのキットを提供する:
(a)ターゲット核酸配列に相補的なハイブリダイゼーション核酸配列を有する前記TDプローブと、
(b)それぞれ前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリダイゼーション配列を有する上流プライマー及び逆方向プライマーとして二つのプライマーからなる一対のプライマー;
前記TDプローブは、前記二つのプライマー間の位置にハイブリダイズし、前記TDプローブは、下記一般式Iの変形二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する。
5’−X’
p−Y’
q−Z’
r−3’ (I)
(式中、X’
pは、前記ターゲット核酸配列と相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を有する5’−第2ハイブリダイゼーション部位(5’−second hybridization portion)であり、Y’
qは、少なくとも三つのユニバーサル塩基を含む分割部位(separation portion)であり、Z’
rは、前記ターゲット核酸配列と相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を有する3’−第1ハイブリダイゼーション部位(3’−first hybridization portion)であり、前記TDプローブは、蛍光レポーター分子及びレポーター分子の蛍光をクエンチングするクエンチャー分子で二重標識され、前記蛍光レポーター分子及び前記クエンチャー分子は、両方とも前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位に位置するか、又は前記レポーター分子及び前記クエンチャー分子のそれぞれは、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記分割部位のそれぞれ異なる部位に位置し、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X’、Y’及びZ’は、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドであり、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位のT
mは、前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位のT
mより低く、前記分割部位は、前記X’
p、Y’
q及びZ’
rの三つの部位のうち、最も低いT
mを有し、前記分割部位は、前記ターゲット核酸配列に対するハイブリダイゼーションに関して、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位を前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位から分割し、これにより、前記TDプローブのハイブリダイゼーション特異性が前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記TDプローブの全体ハイブリダイゼーション特異性を向上させて、
前記TDプローブが前記ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合は、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位が両方とも前記ターゲット核酸配列とハイブリダイズし、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、前記鋳型−依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性により切断されて、前記TDプローブが非ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合は、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記分割部位が両方とも一本鎖を形成して、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位は、前記鋳型−依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性により切断されず、これにより、前記TDプローブは、前記ターゲット核酸配列と非ターゲット核酸配列を区別する)。
【0273】
本発明の好ましい具現例によると、キットは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する鋳型−依存的核酸ポリメラーゼをさらに含む。
【0274】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、増幅プライマーを利用して前増幅された核酸配列であり、キットは、増幅プライマーをさらに含む。
【0275】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、TDプローブは、少なくとも2種のプローブを含み、正方向プライマーは、少なくとも2種のプライマーを含み、かつ逆方向プライマーが少なくとも2種のプライマーを含む。
【0276】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含む。
【0277】
本発明の好ましい具現例によると、正方向プライマー、逆方向プライマー又は増幅プライマーは、一般式IIの二重特異性オリゴヌクレオチド(DSO)構造を有する。
【0278】
本発明の好ましい具現例によると、TDプローブは、前記5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素による切断に対して耐性を有する少なくとも一つのヌクレオチドをブロッカー(blocker)として含むブロッカー部位を有し、前記ブロッカー部位は、TDプローブの3’−第1ハイブリダイゼーション部位に位置する。
【0279】
本発明の好ましい具現例によると、TDプローブのブロッカー部位は、TDプローブの3’−第1ハイブリダイゼーション部位上に位置する。より好ましくは、TDプローブのブロッカー部位は、分割部位の3’−末端に隣接して位置する。
【0280】
本発明の好ましい具現例によると、ブロッカー部位は、1〜10ブロッカーを含む。
【0281】
4.ライゲーション反応を利用したターゲット検出用キット。
本発明のまた他の様態によると、以下を含み、ターゲット区別性プローブ(TDプローブ)を利用して、ライゲーション反応によりDNA又は核酸混合物からターゲット核酸配列を検出するためのキットを提供する:
(a)ターゲット核酸配列の第1位置に相補的なハイブリダイゼーション核酸配列を有する第1プローブと、
(b)第1位置の上流に位置する前記ターゲット核酸配列の第2位置に相補的なハイブリダイゼーション核酸配列を有する第2プローブ;
前記第1プローブ及び前記第2プローブの少なくとも一つは、検出可能なシグナルを発生する標識を有し、前記第2プローブは、TDプローブであり、前記TDプローブは、下記一般式Iの変形二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する:
5’−X’
p−Y’
q−Z’
r−3’ (I)
(式中、X’
pは、前記ターゲット核酸配列と相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を有する5’−第2ハイブリダイゼーション部位(5’−second hybridization portion)であり、Y’
qは、少なくとも三つのユニバーサル塩基を含む分割部位(separation portion)であり、Z’
rは、前記ターゲット核酸配列と相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を有する3’−第1ハイブリダイゼーション部位(3’−first hybridization portion)であり、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X’、Y’及びZ’は、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドであり、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位のT
mは、前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位のT
mより低く、前記分割部位は、前記X’
p、Y’
q及びZ’
rの三つの部位のうち、最も低いT
mを有し、前記分割部位は、前記ターゲット核酸配列に対するハイブリダイゼーションに関して、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位を前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位から分割し、これにより、前記TDプローブのハイブリダイゼーション特異性は、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記TDプローブの全体ハイブリダイゼーション特異性を向上させて、
前記第2プローブが前記ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合は、前記第2プローブの前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位が両方ともターゲット核酸配列とハイブリダイズし、前記第1プローブ及び前記第2プローブのライゲーションが起こり、前記第2プローブが非ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合は、前記第2プローブの前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記分割部位が両方とも一本鎖を形成して、前記第1プローブ及び前記第2プローブがライゲーションされず、これにより、前記第2プローブは、前記ターゲット核酸配列と非ターゲット核酸配列を区別する)。
【0282】
本発明の好ましい具現例によると、キットは、ターゲット核酸配列とハイブリダイズした第1プローブ及び第2プローブをライゲーションするリガーゼをさらに含む。
【0283】
本発明の好ましい具現例によると、標識は、化学的標識、酵素標識、放射能標識、蛍光標識、相互作用的標識、発光標識、化学発光標識又は金属標識である。
【0284】
本発明の好ましい具現例によると、標識は、レポーター分子及びクエンチャー分子の一対を含む相互作用的標識システムである。
【0285】
本発明の好ましい具現例によると、第1プローブは、一般式IIの二重特異性オリゴヌクレオチド(DSO)構造を有する。
【0286】
本発明の好ましい具現例によると、利用されたターゲット核酸配列は、増幅プライマーを利用して前増幅された核酸配列であり、キットは、増幅プライマーをさらに含む。
【0287】
本発明の好ましい具現例によると、キットは、固相で利用されて、前記第1プローブは、その5’−末端を通じて固相基質の表面上に固定化されており、第2プローブは、固定化されない。
【0288】
本発明の好ましい具現例によると、キットは、固相で利用されて、前記第2プローブは、その3’−末端を通じて前記固相基質の表面上に固定化されており、前記第1プローブは、固定化されない。
【0289】
本発明の好ましい具現例によると、第1プローブ及び第2プローブが前記ターゲット核酸配列とハイブリダイゼーションする場合、第1プローブ及び第2プローブは、互いに直接隣接した位置に位置する。
【0290】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、かつ第1プローブ及び第2プローブのそれぞれは、少なくとも2種のプローブを含む。
【0291】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含む。
【0292】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列上の前記ヌクレオチド変異は、第2プローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位の向かい側に存在する。
【0293】
5.ハイブリダイゼーションベースのターゲット検出用キット
本発明のまた他の様態によると、以下を含み、ターゲット区別性プローブ(TDプローブ)を利用してDNA又は核酸混合物からターゲット核酸配列を検出するためのキットを提供する:
ターゲット区別性プローブ(TDプローブ)は、ターゲット核酸配列と非ターゲット核酸配列を区別することができる下記一般式Iの変形二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する:
5’−X’
p−Y’
q−Z’
r−3’ (I)
(式中、X’
pは、前記ターゲット核酸配列と相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を有する5’−第2ハイブリダイゼーション部位(5’−second hybridization portion)であり、Y’
qは、少なくとも三つのユニバーサル塩基を含む分割部位(separation portion)であり、Z’
rは、前記ターゲット核酸配列と相補的なハイブリダイゼーションヌクレオチド配列を有する3’−第1ハイブリダイゼーション部位(3’−first hybridization portion)であり、前記TDプローブは、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位上に蛍光レポーター分子で標識され、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X’、Y’及びZ’は、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドであり、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位のT
mは、前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位のT
mより低く、前記分割部位は、前記X’
p、Y’
q及びZ’
rの三つの部位のうち、最も低いT
mを有し、前記分割部位は、前記ターゲット核酸配列に対するハイブリダイゼーションに関して、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位を前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位から分割し、これにより、前記TDプローブのハイブリダイゼーション特異性は、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記TDプローブの全体ハイブリダイゼーション特異性を向上させて、前記TDプローブが前記ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合は、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記3’−第1ハイブリダイゼーション部位が両方ともターゲット核酸配列とハイブリダイズし、前記蛍光レポーター分子から出る蛍光の変化を誘導して、前記TDプローブが非ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合は、前記5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び前記分割部位が両方とも一本鎖を形成して、前記蛍光レポーター分子から出る蛍光の変化を誘導できず、これにより、前記TDプローブが前記ターゲット核酸配列と非ターゲット核酸配列とを区別する。)
【0294】
本発明の好ましい具現例によると、本発明のキットは、TDプローブにハイブリダイズするターゲット核酸配列を追加的に生成するために、逆方向プライマー及び鋳型−依存的核酸ポリメラーゼを含み、これは、ターゲット核酸配列の存在を示す蛍光の変化を増加させる。
【0295】
好ましくは、キットは、TDプローブにハイブリダイズするターゲット核酸配列をPCRで増幅させるために、正方向プライマー及び逆方向プライマーの二つのプローブから構成された一対のプライマー及び鋳型−依存的核酸ポリメラーゼを含み、これは、ターゲット核酸配列の存在を示す蛍光の変化を増加させる。
【0296】
あるいは、TDプローブは、レポーター分子の蛍光をクエンチングできるクエンチャー分子で追加的に標識される。クエンチャーは、TDプローブがターゲット核酸配列とのハイブリダイゼーションに関与しない場合は、TDプローブ上で自発的クエンチング(Self quenching)を誘導することができるように位置する。
【0297】
本発明のキットが逆方向プライマー又は一対のプライマーを含む場合、鋳型−依存的核酸ポリメラーゼは、好ましくは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性のない熱安定性ポリメラーゼであり、これは、Taqポリメラーゼのストッフェル断片(Stoffel fragment)(F C Lawyerら,Genome Res.2:275−287(1993))及びThermus aquaticus,Thermus flavus又はThermus thermophilusのDNAポリメラーゼの突然変異型を含む(米国特許第5885813号)。
【0298】
本発明のキットは、液相用又は固相用である。
【0299】
本明細書で詳述した本発明のキットは、バッファー、DNAポリメラーゼ助因子及びデオキシリボヌクレオチド−5−トリホスフェートのようなターゲット増幅PCR反応(例えば、PCR反応)に必要な試薬を選択的に含むことができる。任意に、本発明のキットは、多様なポリヌクレオチド分子、逆転写酵素、多様なバッファー及び試薬、及びDNAポリメラーゼ活性を抑制する抗体を含むことができる。また、キットは、陽性対照群及び陰性対照群反応を実施するに必須的な試薬を含むことができる。ある一つの特定反応で使用される試薬の最適量は、本明細書の開示事項を習得した当業者により容易に決定できる。典型的に、本発明のキットは、上記言及された構成成分を含む別途の包装又は区分で製作される。
【0300】
本発明の特徴と利点は、以下のように要約できる:
(a)mDSO構造を有するTDプローブは、5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び3’−第1ハイブリダイゼーション部位を含むその全体的な配列を通じてターゲット核酸配列とハイブリダイズし、これは、5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び3’−第1ハイブリダイゼーション部位を含む。TDプローブのターゲット特異ハイブリダイゼーションの条件下で、TDプローブが非ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合、その3’−第1ハイブリダイゼーション部位が非ターゲット核酸配列と非特異性結合をするが、5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び分割部位が両方とも非ターゲット核酸配列にハイブリダイズせず、一本鎖を形成して、これは、低いT
m値に起因する。
【0301】
上述のように、TDプローブは、ターゲット核酸配列と非ターゲット核酸配列とに対して、その5’−第2ハイブリダイゼーション部位のハイブリダイゼーションパターンに差があり、これは、より高い特異性でターゲット核酸配列と非ターゲット核酸配列とを区別するようにする。
【0302】
(b)TDプローブを利用したターゲット検出応用は、極めて改善されたターゲット−特異性を示し、これは、下記のようなターゲット−監視イベント(target−surveillance event)に起因する:第一に、上述のように、ターゲット及び非ターゲット核酸配列に対してそれぞれ異なるハイブリダイゼーションパターンを有するTDプローブは、非常に高い特異性でターゲット核酸配列と非ターゲット核酸配列とを区別することができる。第二に、連続的な酵素反応(5’→3’エキソ核酸切断反応又はライゲーション)の発生は、TDプローブのハイブリダイゼーションパターンによって決定されて、これは、ターゲット検出過程において、ターゲット特異性を上昇させる。
【0303】
(c)TDプローブのハイブリダイゼーションパターンの差によるターゲット区別性特徴は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素を利用したターゲット検出方法に成功的に適用されることにより、擬陽性シグナル(結果)生成を完璧に防止する。例えば、5’−末端部位に標識を含む従来プローブがその5’−部位で非ターゲット核酸配列とハイブリダイズする場合、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により5’−部位が切断されて、擬陽性シグナルを発生させることができる。これと異なって、TDプローブは非ターゲット核酸配列にハイブリダイズしても、5’−第2ハイブリダイゼーション部位はハイブリダイズしないため、擬陽性シグナルが発生しない。
【0304】
(d)ターゲット核酸配列の検出のためのリアルタイムPCR方法において、レポーター分子及びクエンチャー分子が両方とも5’−第2ハイブリダイゼーション部位に位置するか、あるいはそれぞれ5’−第2ハイブリダイゼーション部位及び分割部位に位置するTDプローブは、卓越な擬陽性シグナル生成防止効果を示す。
TaqMan(登録商標)プローブ方法のような従来の技術は、特にマルチプレックスターゲット検出時に擬陽性シグナルがさらに問題になるが、本発明は、レポーター分子及びクエンチャー分子を両方とも5’−第2ハイブリダイゼーション部位に位置させたTDプローブを使用することにより、このような問題を効果的に克服する。また、前述した5’−第2ハイブリダイゼーション部位に二重標識があるTDプローブを使用することにより、使用されるポリメラーゼの種類及び反応条件によって問題になりえるポリメラーゼの5’→3’エンドヌクレアーゼに係わる短所を克服することができる。
【0305】
(e)TDプローブの独特のハイブリダイゼーションパターンは、ライゲーション活性を利用したターゲット検出方法における擬陽性シグナルを卓越に抑制する。一般に、二つのプローブ(上流第1プローブ及び下流第2プローブ)のライゲーションによりターゲット核酸配列を検出する方法は、ライゲーションのために両プローブの隣接末端部位が二重鎖(二合体)を形成しなければならない。第2プローブとしてTDプローブを使用する本発明のライゲーションアッセイにおいて、TDプローブが非ターゲット配列にハイブリダイズする場合、TDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位は一本鎖を形成することにより、ライゲーション反応が防止されて、擬陽性シグナルが発生しない。
【0306】
(f)5’−第2ハイブリダイゼーション部位の他のハイブリダイゼーションパターンを利用することにより、TDプローブは、単一塩基変異を区別する卓越な特異性を提供する。TDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位と核酸配列間にただ一つのミスマッチ塩基がある場合でも、TDプローブは非ターゲットと認識し、5’−第2ハイブリダイゼーション部位がハイブリダイズせず、一本鎖を形成して、擬陽性シグナルが発生しない。したがって、TDプローブは、SNP検出において非常に優れた区別能を有する。
【0307】
(g)TDプローブは、固相で使用されて、正確で且つ大容量のターゲット核酸配列検出用マイクロアレイシステムを具現することができるようにする。従来のプローブを利用したマイクロアレイシステムは、非特異ハイブリダイゼーションにより擬陽性シグナルが発生する問題がある。これとは対照的に、5’−第2ハイブリダイゼーション部位のハイブリダイゼーションパターンの差からターゲット核酸配列と非ターゲット核酸配列を区別するTDプローブ及び5’→3’エキソヌクレアーゼ活性(又はライゲーション活性)による本発明の固相アッセイは、リアルタイム方式でターゲット核酸配列を検出できるようにするだけではなく、正確で且つ迅速にターゲット核酸配列を検出する。
【0308】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明するが、これら実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれら実施例に限定されないことは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとっては自明なことであろう。
【実施例】
【0309】
実施例1:5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素の5’−末端ミスマッチプローブに対する切断活性評価
本発明者らは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素が5’−末端部位にミスマッチされたヌクレオチドを有するプローブを切断できるかどうかを実験した。
【0310】
この評価を実験するために、Staphylococcus aureus(SA)遺伝子に対する合成オリゴヌクレオチドを鋳型として利用した。5個の異なる類型の二重−標識(dual−labeled)プローブを利用し、それらは、それぞれ5’−末端部位にマッチング(matching)配列、1個のミスマッチヌクレオチド、3個のミスマッチヌクレオチド、6個のミスマッチヌクレオチド及び9個のミスマッチヌクレオチドを含む。前記二重ヌクレオチドを含む。前記二重−標識プローブは、蛍光レポーター分子として5’−末端部位に6−FAM(6−carboxyfluorescein)を有しており、クエンチャー分子として3’−末端部位にBHQ−1(Black Hole Quencher 1)を有している。前記二重−標識プローブは、それの3’−末端部位にあるC3スペーサーにより変形(modifying)されたが、このような二重−標識プローブは、延長されない。
【0311】
前記二重−標識プローブ及び鋳型(S.aureus遺伝子)の5’→3’エキソ核酸切断反応(5’→3’exonucleolytic reaction)のために、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼを利用した。各サイクルのハイブリダイゼーション工程でシグナルを測定した。
【0312】
本実施例で利用されたS. aureus遺伝子に対する合成鋳型及び二重−標識プローブの配列は、下記の通りである:
【化1】
(下線及び太字は、ミスマッチヌクレオチドを示す。)
【0313】
S.aureus(SEQ ID NO:1)に対する合成オリゴヌクレオチド0.2pmole、二重−標識プローブ(SEQ ID NO:2,3,4,5又は6)5pmole及び2×マスターミックス10μLを含有した20μLの最終容量でエキソ核酸切断反応を行った。前記マスターミックスは、6mM MgCl
2、dNTPs 200μM及びDiaStar(登録商標)Taq DNAポリメラーゼ(Solgent、Korea)2unitが含有されている;前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイム熱循環器(CFX96、Bio−Rad)に位置させて;前記反応混合物を95℃で2分間変性させた後、95℃で20秒間及び60℃で60秒間過程を40回繰り返した。各サイクルのハイブリダイゼーション工程(60℃)で発生されたシグナルを検出した。
【0314】
図8に示されたように、5’−末端部位にマッチング配列を有する二重−標識プローブ及び5’−末端部位に1個ミスマッチヌクレオチドを有する二重−標識プローブが利用される場合、SAに対する蛍光シグナルが発生した(NOs.1及び3)。一方、5’−末端部位に少なくとも3個のミスマッチヌクレオチドを有する二重−標識プローブを利用する場合は、SAに対する如何なる蛍光シグナルも得られなかった(NOs.5、7及び9)。鋳型のない陰性対照群の場合、シグナルもなかった(NOs.2、4、8及び10)。
【0315】
このような結果は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素は、5’−末端部位に少なくとも3個のミスマッチヌクレオチドを有する二重−標識プローブを切断しないということを示す。
【0316】
実施例2:5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素を利用したターゲット核酸配列及び非ターゲット核酸配列の区別に対する二重−標識TDプローブの評価
二重−標識TDプローブが5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素を利用して非ターゲット核酸配列からターゲット核酸配列を区別できるかどうかについて、本発明のTDプローブを評価した。
【0317】
まず、本発明者らは、TDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位(second hybridization portion)の相異なるハイブリダイゼーションパターンによりターゲット−特異シグナルが発生するかを確認した。
【0318】
この評価を実験するために、Staphylococcus aureus(SA)及びNeisseria gonorrhoeae(NG)遺伝子に対する合成オリゴヌクレオチドを鋳型として利用した。各遺伝子に対するTDプローブの二つの異なる類型は、それぞれ5’−第2ハイブリダイゼーション部位にマッチング配列及びミスマッチ配列を有する。二重−標識TDプローブは、蛍光レポーター分子として5’−末端に6−FAM(6−carboxyfluorescein)を有しており、クエンチャー分子として3’−第1ハイブリダイゼーション部位にBHQ−1(Black Hole Quencher 1)を有している。前記二重−標識プローブは、それの3’−末端にあるC3スペーサーにより変形(modifying)されたが、そのような二重−標識プローブは、延長されない。
【0319】
前記二重−標識TDプローブ及び前記ターゲット鋳型(S.aureus又はN. gonorrhoeae遺伝子)の5’→3’エキソ核酸切断反応のために、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼを利用した。各サイクルのハイブリダイゼーション工程でシグナルを測定した。
【0320】
A.TDプローブを利用したS.aureus遺伝子に対するターゲット−特異シグナルの発生
本実施例で利用されたS.aureus遺伝子に対する合成鋳型及び二重−標識TDプローブの配列は、下記の通りである:
【化2】
(下線及び太字は、ミスマッチヌクレオチドを示す。)
【0321】
S.aureus(SEQ ID NO:1)に対する合成オリゴヌクレオチド0.2pmole、二重−標識プローブ(SEQ ID NO:7又は8)5pmole及び2×マスターミックス10μLを含有した20μLの最終容量でエキソ核酸切断反応を行った。前記マスターミックスは、6mM MgCl
2、dNTPs 200μM及びDiaStar(登録商標)Taq DNAポリメラーゼ(Solgent、Korea)2unitが含有されている;前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイム熱循環器(CFX96、Bio−Rad)に位置させて;前記反応混合物を95℃で2分間変性させた後(denaturing)、95℃で20秒間及び60℃で60秒間過程を40回繰り返した。各サイクルのハイブリダイゼーション工程(60℃)で発生されたシグナルを検出した。
【0322】
図9Aに示されたように、5’−第2ハイブリダイゼーション部位にマッチング配列を有する二重−標識プローブが利用される場合、SAターゲット核酸配列に対する蛍光シグナルが発生した(NO.1)。一方、5’−第2ハイブリダイゼーション部位にミスマッチ配列を有する二重−標識TDプローブを利用する場合は、SAターゲット核酸配列に対する如何なる蛍光シグナルも得られなかった(NO.3)。鋳型のない陰性対照群の場合、シグナルもなかった(NOs.2及び4)。
【0323】
B.TDプローブを利用したN.gonorrhoeae遺伝子に対するターゲット−特異シグナル発生
本実施例で利用されたN.gonorrhoeae遺伝子に対する合成鋳型及び二重−標識TDプローブの配列は、下記の通りである:
【化3】
(下線及び太字は、前記ミスマッチされたヌクレオチドを示す。)
【0324】
鋳型(N.gonorrhoeae 2pmole)及び二重−標識TDプローブ(SEQ ID NO:10又は11)を除いては、S.aureusに対して利用されたものと同一なプロトコールでエキソ核酸切断反応を行った。
【0325】
図9Bに示されたように、5’−第2ハイブリダイゼーション部位にマッチング配列を有する二重−標識プローブが利用される時、NGターゲット核酸配列に対する蛍光シグナルが発生した(NO.1)。一方、5’−第2ハイブリダイゼーション部位にミスマッチ配列を有する二重−標識TDプローブを利用する場合は、NGターゲット核酸配列に対する如何なる蛍光シグナルも得られなかった(NO.3)。鋳型のない陰性対照群の場合、シグナルもなかった(NOs.2及び4)。
【0326】
このような結果は、5’−第2ハイブリダイゼーション部位のハイブリダイゼーションに依存的なTDプローブのターゲットシグナル発生を示し、これは、TDプローブがターゲット核酸配列と非ターゲット核酸配列とを区別できることを示す。
【0327】
実施例3:TDプローブ及び従来プローブの5’−末端部位の効果
従来プローブの5’−末端部位がTDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位と同一な効果を有するかどうかについて調べた。
【0328】
この実験のために、二つの異なる形態のTDプローブを利用した;一つのTDプローブは、5’−第2ハイブリダイゼーション部位にマッチング配列を有して、他の一つは、5’−第2ハイブリダイゼーション部位に3個のミスマッチヌクレオチドを有する。従来プローブは、デオキシイノシン(deoxyinosine)を除いては、前記TDプローブと同一な配列を有する。
【0329】
Staphylococcus aureus(SA)に対する合成オリゴヌクレオチドを鋳型として利用した。前記従来プローブ及びTDプローブは、それぞれ蛍光レポーター分子として5’−末端に6−FAM(6−carboxyfluorescein)を有しており、クエンチャー分子として3’−末端部位にBHQ−1(Black Hole Quencher 1)を有している。全てのプローブは、それの3’−末端にあるC3スペーサーにより修飾(modifying)されている。
【0330】
前記二重−標識TDプローブ及び前記ターゲット鋳型(S.aureus)の5’→3’エキソ核酸切断反応のために、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼを利用した。
【0331】
本実施例で利用されたS. aureus遺伝子に対する合成鋳型及び二重−標識従来プローブ及びTDプローブの配列は、下記の通りである:
【化4】
(下線及び太字は、前記ミスマッチされたヌクレオチドを示す。)
【0332】
S.aureus(SEQ ID NO:1)に対する合成オリゴヌクレオチド0.2pmole、前記二重−標識TDプローブ(SEQ ID NO:7、12、13又は14)5pmole及び2×マスターミックス10μLを含有した20μLの最終容量でエキソ核酸切断反応を行った。前記マスターミックスは、6mM MgCl
2、dNTPs 200μM及びDiaStar(登録商標)Taq DNAポリメラーゼ(Solgent、Korea)2unitが含有されている;前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイム熱循環器(CFX96、Bio−Rad)に位置させて;前記反応混合物を95℃で2分間変性させた後(denaturing)、95℃で20秒間及び60℃で60秒間過程を40回繰り返した。各サイクルのハイブリダイゼーション工程(60℃)で発生されたシグナルを検出した。
【0333】
図10に示されたように、5’−第2ハイブリダイゼーション部位にマッチング配列を有する二重−標識TDプローブが利用される場合、ターゲット核酸配列に対する蛍光シグナルが発生した(NO.1)。一方、5’−第2ハイブリダイゼーション部位に3個のミスマッチヌクレオチドを有するTDプローブを利用する場合は、如何なる蛍光シグナルも得られなかった(NO.3)。逆に、5’−末端部位に3個のミスマッチヌクレオチドを有する従来プローブだけではなく、5’−末端部位にマッチング配列を有する従来プローブが利用される時も(NO.5及び7)、シグナルが発生された。鋳型のない陰性対照群の場合、シグナルもなかった(NOs.2、4、6及び8)。
【0334】
このような結果は、TDプローブとは対照的に、従来プローブは、非特異ハイブリダイゼーションにおいて擬陽性シグナルを発生させるということを示す。したがって、TDプローブは、擬陽性シグナル無しにターゲット核酸配列を検出できるということが分かる。
【0335】
実施例4: ターゲット核酸配列の検出のためにTDプローブを利用したリアルタイムPCR
本発明者らは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼを利用しつつ、ターゲット核酸配列の検出のために、リアルタイムPCR(real−time PCR)にTDプローブを適用した。
【0336】
この適用のために、Staphylococcus aureus及びNeisseria gonorrhoeaeのゲノムDNAを各細胞株から抽出して利用した。TDプローブは、5’−第2ハイブリダイゼーション部位にマッチング配列又はミスマッチ配列を有する。レポーター分子及びクエンチャー分子は、両方とも二重−標識TDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位に位置する。
【0337】
A.S.aureus遺伝子の検出のためのリアルタイムPCR
S.aureus遺伝子のターゲット核酸配列を鋳型として利用する時、本実施例で利用されたプライマー配列及び二重−標識TDプローブの配列は、下記の通りである:
【化5】
(下線及び太字は、前記ミスマッチされたヌクレオチドを示す。)
【0338】
S.aureuゲノムDNA 1ng、二重−標識TDプローブ(SEQ ID NO:17又は18)5pmole、正方向プライマー(SEQ ID NO:15)10pmole、逆方向プライマー(SEQ ID NO:16)10pmole及び2×マスターミックス10μLを含有した20μLの最終容量でリアルタイムPCR反応を行った。前記マスターミックスは、6mM MgCl
2、dNTPs 200μM及びDiaStar(登録商標)Taq DNAポリメラーゼ(Solgent、Korea)2unitが含有されている;前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイム熱循環器(CFX96、Bio−Rad)に位置させて;前記反応混合物を95℃で2分間変性させた後(denaturing)、95℃で20秒間及び60℃で60秒間過程を40回繰り返した。各サイクルのハイブリダイゼーション工程(60℃)で発生されたシグナルを検出した。
【0339】
図11Aに示されたように、5’−第2ハイブリダイゼーション部位にマッチング配列を有する前記二重−標識TDプローブが利用される場合、S.aureu遺伝子に対するターゲット蛍光シグナルが発生した(NO.1)。一方、5’−第2ハイブリダイゼーション部位にミスマッチ配列を有する二重−標識TDプローブを利用する場合は、S.aureus遺伝子のターゲット核酸配列に対する蛍光シグナルが得られなく(NO.3)、これは、5’−第2ハイブリダイゼーション部位に位置しているレポーター分子及びクエンチャー分子が分離されなかったことを示す。鋳型のない陰性対照群の場合、シグナルがなかった(NOs.2及び4)。
【0340】
B.N.gonorrhoeaeの検出のためのリアルタイムPCR
N.gonorrhoeae遺伝子のターゲット核酸配列を鋳型として利用する時、本実施例で利用されたプライマー配列及び二重−標識TDプローブの配列は、下記の通りである:
【化6】
(下線及び太字は、前記ミスマッチされたヌクレオチドを示す。)
【0341】
鋳型(N.gonorrhoeae 1ng)、二重−標識TDプローブ(SEQ ID NOs:21及び22)及びプライマー(SEQ ID NOs:19及び20)を除いて、S.aureusに対して利用されたものと同一なプロトコールでリアルタイムPCR反応を行った。
【0342】
図11Bに示されたように、5’−第2ハイブリダイゼーション部位にマッチング配列を有する二重−標識TDプローブが利用される場合、N.gonorrhoeae遺伝子に対するターゲット蛍光シグナルが発生した(NO.1)。一方、5’−第2ハイブリダイゼーション部位にミスマッチ配列を有する二重−標識TDプローブを利用する場合は、N. gonorrhoeae遺伝子のターゲット核酸配列に対する蛍光シグナルが得られなく(NO.3)、これは、5’−第2ハイブリダイゼーション部位に位置しているレポーター分子及びクエンチャー分子が分離されなかったことを示す。鋳型のない陰性対照群の場合、シグナルがなかった(NOs.2及び4)。
【0343】
このような結果は、5’−第2ハイブリダイゼーション部位に相互作用的標識システムを有するTDプローブが、非ターゲット核酸配列からターゲット核酸配列を区別するためのリアルタイムPCRに利用できるということを示す。
【0344】
実施例5:リアルタイムPCR反応において、二重−標識TDプローブを利用した単一ヌクレオチド変異の検出
本発明者らは、TDプローブが核酸配列上の単一ヌクレオチド変異を区分できるかどうかについて調べた。
【0345】
この実験のために、TDプローブは、5’−第2ハイブリダイゼーション部位にマッチング配列又は単一ミスマッチヌクレオチドを有する。レポーター分子及びクエンチャー分子は、両方とも二重−標識TDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位に位置する。
【0346】
S.aureusのゲノムDNAを鋳型として利用した。本実施例で利用されたプライマー配列及び二重−標識TDプローブの配列は、下記の通りである:
【化7】
【0347】
S.aureuゲノムDNA 500pg、二重−標識TDプローブ(SEQ ID NO:23又は24)5pmole、正方向プライマー(SEQ ID NO:15)10pmole、逆方向プライマー(SEQ ID NO:16)10pmole及び2×マスターミックス10μLを含有した20μLの最終容量でリアルタイムPCR反応を行った。前記マスターミックスは、6mM MgCl
2、dNTPs 200μM及びDiaStar(登録商標)Taq DNAポリメラーゼ(Solgent、Korea)2unitが含有されている;前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイム熱循環器(CFX96、Bio−Rad)に位置させて;前記反応混合物を95℃で2分間変性させた後(denaturing)、95℃で20秒間及び63℃で60秒間過程を40回繰り返した。各サイクルの前記ハイブリダイゼーション工程(63℃)で発生されたシグナルを検出した。
【0348】
図12に示されたように、5’−第2ハイブリダイゼーション部位にマッチング配列を有する二重−標識TDプローブが利用される場合、S.aureus遺伝子に対する蛍光シグナルが発生した(NO.1)。一方、5’−第2ハイブリダイゼーション部位に単一ミスマッチヌクレオチドを有する二重−標識TDプローブを利用する場合は、蛍光シグナルが得られなかった(NO.3)。鋳型のない陰性対照群の場合、シグナルがなかった(NOs.2及び4)。
【0349】
このような結果は、5’−第2ハイブリダイゼーション部位に単一ヌクレオチドミスマッチがある場合も、TDプローブが異なるハイブリダイゼーションパターンを表すことを示す。したがって、TDプローブは、リアルタイムPCRで擬陽性シグナル無しに、SNPを含んだ単一ヌクレオチド変異を区別する高い特異性を有するということを把握することができる。
【0350】
実施例6:5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素を利用した固相における固定化TDプローブの評価
本発明者らは、固相で固定化Tdプローブ(immobilized TD probe)が5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素を利用して、非ターゲット核酸配列からターゲット核酸配列を区別できるかどうかについてさらに評価した。
【0351】
この評価のために、Staphylococcus aureus(SA)遺伝子に対する合成オリゴヌクレオチドを鋳型として利用した。TDプローブは、5’−第2ハイブリダイゼーション部位にマッチング配列又はミスマッチ配列を有する。TDプローブは、蛍光レポーター分子として3’−第1ハイブリダイゼーション部位にQuasar570を有しており、クエンチャー分子として5’−末端にBHQ−2(Black Hole Quencher 2)を有しており、リンカーとしてポリ(T)
7を有する。前記二重−標識TDプローブは、3’−末端のアミノ基(AminnoC7)を利用して固相基質(solid substrate)の表面上に固定した。5’→ 3’エキソヌクレアーゼ活性を有するBst DNAポリメラーゼを5’→ 3’エキソ核酸切断反応に利用した。
【0352】
本実施例で利用された合成鋳型配列及び二重−標識TDプローブの配列は、下記の通りである:
【化8】
(下線及び太字は、ミスマッチヌクレオチドを示す。)
【0353】
TDプローブの二つの異なる類型(SEQ ID NO:25及び26)をNSB9 NHSスライド(NSBPOSTECH、Korea)上に固定化させた。NSBスポッティングバッファー(NSB spotting buffer)で最終濃度20μMになるように溶解させたTDプローブを、OmniGrid Accent Microarrayer(DIGILAB、US)を利用してNSB9 NHSスライド上にプリントした。それぞれのTDプローブを2×1フォーマット(duplicate spots)で並べてスポッティング(spotting)して、このようにして製作されたマイクロアレイを約85%湿度のチャンバに一晩中インキュベートした。非特異的に結合されたTDプローブを除去するために、前記スライドを2xSSPE(0.3M塩化ナトリウム、0.02Mリン酸水素ナトリウム及び2.0mM EDTA)、pH7.4及び7.0mM SDSを含有したバッファー溶液に37℃で10分間洗浄して、蒸留水で洗浄した。その後、スライド遠心分離機を利用して、前記DNA−機能化された(DNA−functionalized)スライドを乾燥させて、使用前まで4℃暗室で保管した。
【0354】
SA(SEQ ID NO:1)に対する合成オリゴヌクレオチド10pmole、10×反応バッファー3μL、各10mM dNTP 0.6μL及びBst DNAポリメラーゼ(NEB、USA)2unitを含有した30μLの最終容量で、DNA−機能化されたスライドの表面上でエキソ核酸切断反応を行った。TDプローブが交互結合(cross−linked)されたNSBガラススライドの表面上に組み立てられたチャンバに前記全体混合物を適用した。スライドをin situブロック方式で熱循環器(Genepro B4I、China)に位置させた。エキソ核酸切断反応を50℃で30分間行って、95℃で蒸留水で1分間洗浄して停止させた。イメージ獲得は、共焦点レーザースキャナーAxon GenePix4100A(molecular Device、US)を利用し、5−μmピクセル解像度のスキャニングで行った。蛍光強度は、定量的なマイクロアレイ分析ソフトウェア、GenePix pro5.1ソフトウェア(molecular Device、US)を利用して分析した。蛍光強度は、周辺バックグラウンドを除去した後、スポット−中央値で表現した。各スポットの再現性を調べるために、2回反復実験を行った。蛍光強度を、繰り返されたスポットの平均値で示した。
【0355】
図13に示されたように、5’−第2ハイブリダイゼーション部位にマッチング配列を有する二重−標識TDプローブ及び鋳型を利用した場合、S.aureusに対する蛍光シグナルが発生した(SA_TD1_Chip_M、RFU 65472.0±4.2)。一方、5’−第2ハイブリダイゼーション部位にミスマッチ配列を有する二重−標識TDプローブを利用した場合は、S.aureusに対する蛍光シグナルが得られなかった(SA_TD1_Chip_m、RFU 3227.0±17.0)。鋳型のない陰性対照群の場合、シグナルがなかった(SA_TD1_Chip_M、RFU 2798.0±4.2又はSA_TD1_Chip_m、RFU 3077.0±9.9)。
【0356】
このような結果は、前記固定化TDプローブがマイクロアレイに適用されて、非ターゲット核酸配列からターゲット核酸配列を区別することができることを示す。
【0357】
実施例7:固定化TDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位の効果
本発明者らは、固定化TDプローブが5’−第2ハイブリダイゼーション部位の効果により固相で擬陽性シグナルを除去できるかどうかについてさらに実験した。
【0358】
この実験のために、Staphylococcus aureus(SA)遺伝子に対する合成オリゴヌクレオチドを鋳型として利用した。TDプローブは、5’−第2ハイブリダイゼーション部位にマッチング配列又は3個のミスマッチ配列を有する。従来プローブは、デオキシイノシンを除いては、TDプローブと同一な配列を有する。前記TDプローブ及び従来プローブは、蛍光レポーター分子として3’−第1ハイブリダイゼーション部位にQuasar570を有しており、クエンチャー分子として5’−末端にBHQ−2(Black Hole Quencher 2)を有しており、リンカーとしてポリ(T)
7を有する。前記二重−標識TDプローブは、3’−末端のアミノ基(AminnoC7)により固相基質の表面上に固定した。5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するBst DNAポリメラーゼを5’→3’エキソ核酸切断反応に利用した。
【0359】
本実施例で利用された合成鋳型、二重−標識TDプローブ及び従来プローブの配列は、下記の通りである:
【化9】
(下線及び太字は、ミスマッチヌクレオチドを示す。)
【0360】
前記プローブ(SEQ ID NO:25、27、28及び29)をNSB9 NHSスライド(NSBPOSTECH、Korea)上に固定化させた。NSBスポッティングバッファー(NSB spotting buffer)で最終濃度20μMになるように溶解させた各プローブを、OmniGrid Accent Microarrayer(DIGILAB、US)を利用してNSB9 NHSスライド上にプリントした。それぞれのプローブを2×1フォーマット(duplicate spots)で並べてスポッティング(spotting)して、このようにして製作されたマイクロアレイを約85%湿度のチャンバに一晩中インキュベートした。非特異的に結合されたプローブを除去するために、前記スライドは、2×SSPE(0.3M塩化ナトリウム、0.02Mリン酸水素ナトリウム及び2.0mM EDTA)、pH7.4及び7.0mM SDSを含有したバッファー溶液に37℃で10分間洗浄して、蒸留水で洗浄した。その後、スライド遠心分離機を利用して、前記DNA−機能化された(DNA−functionalized)スライドを乾燥させて、使用前まで4℃暗室で保管した。
【0361】
SA(SEQ ID NO:1)に対する合成オリゴヌクレオチド10pmole、10×反応バッファー3μL、各10mM dNTP 0.6μL及びBst DNAポリメラーゼ(NEB、USA)2unitを含有した30μLの最終容量で、DNA−機能化されたスライドの表面上でエキソ核酸切断反応を行った。プローブが交互結合(cross−linked)されたNSBガラススライドの表面上に組み立てられたチャンバに前記全体混合物を適用した。スライドをin situブロック方式で熱循環器(Genepro B4I、China)に位置させた。エキソ核酸切断反応を50℃で30分間行って、95℃で蒸留水で1分間洗浄して停止させた。イメージ獲得は、共焦点レーザースキャナーAxon GenePix4100A(molecular Device、US)を利用し、5−μmピクセル解像度のスキャニングで行った。蛍光強度は、定量的なマイクロアレイ分析ソフトウェア、GenePix pro5.1ソフトウェア(molecular Device、US)を利用して分析した。蛍光強度は、周辺バックグラウンドを除去した後、スポット−中央値で表現した。各スポットの再現性を調べるために、2回反復実験を行った。蛍光強度を、繰り返されたスポットの平均値で示した。
【0362】
図14に示したように、5’−第2ハイブリダイゼーション部位にマッチング配列を有する前記二重−標識固定化プローブ及び鋳型を利用した場合、SAのターゲット核酸配列に対する蛍光シグナルが発生した(SA_TD1_Chip_M、RFU:65467.0±5.7)。5’−第2ハイブリダイゼーション部位に3個のミスマッチヌクレオチドを有するTDプローブを利用する場合、シグナルが得られなかった(SA_TD1_Chip_m1、RFU:6679.5±222.7)。一方、マッチング配列(SA_Con_Chip_M、RFU:65464.5±6.4)を有する前記従来プローブだけではなく、3個のミスマッチヌクレオチド(SA_Con_Chip_m1、RFU:65464.0±5.7)を有する従来プローブを利用する時、シグナルが発生した。鋳型のない陰性対照群の場合、シグナルがなかった(SA_TD1_Chip_M、RFU:2716.5±12.0) (SA_TD1_Chip_m1、RFU:2810.5±14.8) (SA_Con_Chip_m1、RFU:3216.5±41.7) (SA_Con_Chip_M、RFU:2749.5±19.1)。
【0363】
このような結果は、固定化TDプローブとは反対に、従来固定化プローブは、非特異ハイブリダイゼーションにより擬陽性シグナルを発生させるということを示す。したがって、固定化TDプローブが擬陽性シグナル無しにターゲット核酸配列を検出できるということが分かる。
【0364】
実施例8:固相基質の表面上に固定化された単一−標識TDプローブを利用したターゲット核酸配列の検出
本発明者らは、固相におけるターゲット核酸配列の検出のために単一−標識TDプローブをさらに利用した。
【0365】
この評価のために、Staphylococcus aureus(SA)遺伝子に対する合成オリゴヌクレオチドを鋳型として利用した。TDプローブは、5’−第2ハイブリダイゼーション部位にマッチング配列又はミスマッチ配列を有する。前記TDプローブは、蛍光レポーター分子として5’−末端に6−FAM又は6−TAMRA(6−Carboxytetramethylrhodamine)を有しており、リンカーとしてポリ(T)
7を有する。前記単一−標識TDプローブは、3’−末端のアミノ基(AminnoC7)を利用して固相基質(solid substrate)の表面上に固定した。5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するBst又はTaqポリメラーゼを5’→3’エキソ核酸切断反応に利用した。
【0366】
A.エキソ核酸切断反応によるシグナル発生
本実施例で利用された合成鋳型配列及び単一−標識TDプローブの配列は、下記の通りである:
【化10】
(下線及び太字は、ミスマッチヌクレオチドを示す。)
【0367】
前記プローブ(SEQ ID NO:30及び31)をNSB9 NHSスライド(NSBPOSTECH、Korea)上に固定化させた。NSBスポッティングバッファー(NSB spotting buffer)で最終濃度20μMになるように溶解させた各プローブを、OmniGrid Accent Microarrayer(DIGILAB、US)を利用してNSB9 NHSスライド上にプリントした。それぞれのプローブを2x1フォーマット(duplicate spots)で並べてスポッティング(spotting)して、このようにして製作されたマイクロアレイを約85%湿度のチャンバに一晩中インキュベートした。非特異的に結合されたプローブを除去するために、前記スライドは、2×SSPE(0.3M塩化ナトリウム、0.02Mリン酸水素ナトリウム及び2.0mM EDTA)、pH7.4及び7.0mM SDSを含有したバッファー溶液に37℃で10分間洗浄して、蒸留水で洗浄した。その後、スライド遠心分離機を利用して、前記DNA−機能化された(DNA−functionalized)スライドを乾燥させて、使用前まで4℃暗室で保管した。
【0368】
SA(SEQ ID NO:1)に対する合成オリゴヌクレオチド10pmole、10×反応バッファー3μL、各50μM dNTP 0.6μL及びBst DNAポリメラーゼ2unitを含有した30μLの最終容量で、DNA−機能化されたスライドの表面上でエキソ核酸切断反応を行った。プローブが交互結合(cross−linked)されたNSBガラススライドの表面上に組み立てられたチャンバに前記全体混合物を適用した。スライドをin situブロック方式で熱循環器(Genepro B4I、China)に位置させた。エキソ核酸切断反応を50℃で30分間行って、95℃で蒸留水で1分間洗浄して停止させた。イメージ獲得は、共焦点レーザースキャナーAxon GenePix4100A(molecular Device、US)を利用し、5−μmピクセル解像度のスキャニングで行った。蛍光強度は、定量的なマイクロアレイ分析ソフトウェア、GenePix pro5.1ソフトウェア(molecular Device,US)を利用して分析した。蛍光強度は、周辺バックグラウンドを除去した後、スポット−中央値で表現した。各スポットの再現性を調べるために、2回反復実験を行った。蛍光強度を、繰り返されたスポットの平均値で示した。
【0369】
B.反復的酸切断反応によるシグナル発生
本実施例で利用された合成鋳型配列及び単一−標識TDプローブの配列は、下記の通りである:
【化11】
(下線及び太字は、ミスマッチヌクレオチドを示す。)
【0370】
前記プローブ(SEQ ID NO:32及び33)をNSB9 NHSスライド(NSBPOSTECH、Korea)上に固定化させた。NSBスポッティングバッファー(NSB spotting buffer)で最終濃度20μMになるように溶解させた各プローブを、OmniGrid Accent Microarrayer(DIGILAB、US)を利用してNSB9 NHSスライド上にプリントした。それぞれのプローブを2x1フォーマット(duplicate spots)で並べてスポッティング(spotting)して、このようにして製作されたマイクロアレイを約85%湿度のチャンバに一晩中インキュベートした。非特異的に結合されたプローブを除去するために、前記スライドは、2×SSPE(0.3M塩化ナトリウム、0.02Mリン酸水素ナトリウム及び2.0mM EDTA)、pH7.4及び7.0mM SDSを含有したバッファー溶液に37℃で10分間洗浄して、蒸留水で洗浄した。その後、スライド遠心分離機を利用して、前記DNA−機能化された(DNA−functionalized)スライドを乾燥させて、使用前まで4℃暗室で保管した。
【0371】
SA(SEQ ID NO:1)に対する合成オリゴヌクレオチド10pmole、10×反応バッファー(5mM MgCl
2)3μL、各50μM dNTP及びTaq DNAポリメラーゼ(Solgent、Korea)2unitを含有した30μLの最終容量で、DNA−機能化されたスライドの表面上に反復的(cyclic)エキソ核酸切断反応を行った。プローブが交互結合(cross−linked)されたNSBガラススライドの表面上に組み立てられたチャンバに前記全体混合物を適用した。スライドをin situブロック方式で熱循環器(Genepro B4I、China)に位置させた。熱循環反応(thermocycling)を以下のように行った:95℃で2分変性後、95℃で20秒間、55℃で20秒間の過程反復(5、10、20、30、40又は50サイクル)。イメージ獲得は、共焦点レーザースキャナーAxon GenePix4100A(molecular Device、US)を利用し、5−μmピクセル解像度のスキャニングで行った。蛍光強度は、定量的なマイクロアレイ分析ソフトウェア、GenePix pro5.1ソフトウェア(molecular Device、US)を利用して分析した。蛍光強度は、周辺バックグラウンドを除去した後、スポット−中央値で表現した。各スポットの再現性を調べるために、2回反復実験を行った。蛍光強度を、繰り返されたスポットの平均値で示した。
【0372】
エキソ核酸切断反応において、5’−第2ハイブリダイゼーション部位にマッチング配列を有する前記単一−標識固定化TDプローブ及び鋳型を利用した場合、固相基質上の蛍光シグナルが最終的に消滅された。反復的エキソ核酸切断反応の場合において、固相基質上の蛍光強度がサイクル数によって減少された。
【0373】
実施例9:TDプローブ及びリガーゼを利用した固相における単一ヌクレオチド変異の検出
本発明者らは、固相において、リガーゼ反応でTDプローブが核酸配列上の単一ヌクレオチド変異を区別できるかどうかをさらに実験した。
【0374】
この実験のために、DSO構造を有する第1プローブ(first probe)は、蛍光レポーター分子として5’−末端にQuasar570を有しており、非固定化(mobilized)プローブとして利用された。第2プローブ(second probe)としてTDプローブは、5’−第2ハイブリダイゼーション部位にマッチング配列又は1個のミスマッチヌクレオチドを有する。TDプローブは、リンカーとしてポリ(T)
7を有する。3’−末端のアミノ基(AminnoC7)を通じてTDプローブを固相基質の表面上に固定した。Staphylococcus aureus(SA)遺伝子に対する合成オリゴヌクレオチドを鋳型として利用した。5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するBst又はTaqポリメラーゼを5’→3’エキソ核酸切断反応に利用した。アンプリガーゼ(Ampligase Thermostable DNA Ligase)をライゲーションに利用した。
【0375】
本実施例で利用された合成鋳型、第1プローブ及び第2(TD)プローブの配列は、下記の通りである:
【化12】
(下線及び太字は、ミスマッチヌクレオチドを示す。)
【0376】
前記TDプローブ(SEQ ID NO:35及び36)をNSB9 NHSスライド(NSBPOSTECH、Korea)上に固定化させた。NSBスポッティングバッファー(NSB spotting buffer)で最終濃度20μMになるように溶解させた各プローブを、OmniGrid Accent Microarrayer(DIGILAB、US)を利用してNSB9 NHSスライド上にプリントした。それぞれのプローブを2×1フォーマット(duplicate spots)で並べてスポッティング(spotting)して、このようにして製作されたマイクロアレイを約85%湿度のチャンバに一晩中インキュベートした。非特異的に結合されたプローブを除去するために、前記スライドは、2×SSPE(0.3M塩化ナトリウム、0.02Mリン酸水素ナトリウム及び2.0mM EDTA)、pH7.4及び7.0mM SDSを含有したバッファー溶液に37℃で10分間洗浄して、蒸留水で洗浄した。その後、スライド遠心分離機を利用して、前記DNA−機能化された(DNA−functionalized)スライドを乾燥させて、使用前まで4℃暗室で保管した。
【0377】
SA(SEQ ID NO:34)に対する合成オリゴヌクレオチド10pmole、第1プローブ(SEQ ID NO:37)5pmole、アンプリガーゼ(Ampligase)10×反応バッファー3μL及びアンプリガーゼ(Ampligase Thermostable DNA Ligase、5U/μL,Epicentre Biotechnologies,USA)0.2μLを含有した30μLの最終容量でDNA−機能化されたスライドの表面上にリガーゼ反応を行った。前記アンプリガーゼ(Ampligase)10×反応バッファーは、20mM Tris−HCl(pH8.3),25mM KCl、10mM MgCl
2、0.5mM NAD及び0.01%Triton
(R)X−100を含有する。プローブが交互結合されたNSBガラススライドの表面上に組み立てられたチャンバに前記全体混合物を適用した。上記反応を以下のように行った:ターゲット核酸配列、第1プローブ及び固定化TDプローブのハイブリダイゼーションを45℃で5分間行って、リガーゼ反応は、追加的に65℃で30分間行った。前記反応を停止して、蒸留水で95℃で2分間洗浄して変性させた。イメージ獲得は、共焦点レーザースキャナーAxon GenePix4100A(molecular Device,US)を利用し、5−μmピクセル解像度のスキャニングで行った。蛍光強度は、定量的なマイクロアレイ分析ソフトウェア、GenePix pro5.1ソフトウェア(molecular Device、US)を利用して分析した。蛍光強度は、周辺バックグラウンドを除去した後、スポット−中央値で表現した。各スポットの再現性を調べるために、2回反復実験を行った。蛍光強度を、繰り返されたスポットの平均値で示した。
【0378】
第2プローブとして、5’−第2ハイブリダイゼーション部位にマッチング配列を有するTDプローブ及び鋳型を利用した場合、SAのターゲット核酸配列に対する蛍光シグナルが発生した。5’−第2ハイブリダイゼーション部位に1個のミスマッチヌクレオチドを有するTDプローブを第2プローブとして利用する場合は、シグナルが得られなかった。このような結果は、本発明のライゲーション反応が単一ヌクレオチド変異を検出できることを示す。
【0379】
実施例10:Tdプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位のハイブリダイゼーションによる蛍光変化によるターゲット核酸配列の検出
本発明者らは、標識された部位のハイブリダイゼーションによる蛍光シグナル変化に基づいたターゲット検出に、5’−第2ハイブリダイゼーション部位に蛍光分子を有するTDプローブが応用できるかどうかを追加的に実験した。
【0380】
このような応用のために、Staphylococcus aureusのゲノムDNAを鋳型として利用した。TDプローブは、5’−第2ハイブリダイゼーション部位にマッチング配列又はミスマッチ配列を有する。蛍光分子をTDプローブの5’−第2ハイブリダイゼーション部位の内部ヌクレオチドに連結した。5’→3’エキソヌクレアーゼ活性のない鋳型−依存的核酸ポリメラーゼをターゲット増幅に利用した。
【0381】
本実施例で利用されたプライマー及び単一−標識TDプローブの配列は、下記の通りである:
【化13】
(下線及び太字は、ミスマッチヌクレオチドを示す。)
【0382】
S.aureusゲノムDNA 1ng、単一−標識TDプローブ(SEQ ID NO:38又は39)5pmole、正方向プライマー(SEQ ID NO:15)10pmole、逆方向プライマー(SEQ ID NO:16)10pmole、10×ストッフェルバッファー(Stoffel buffer)[100mM Tris−HCl(pH8.3)及び100mM KClを含有した]2μL、四つのdNTPs(dATP、dCTP、dGTP及びdTTP)をそれぞれ200μM、MgCl
2 5mM及びAmpliTaq
(R)DNAポリメラーゼ、ストッフェルフラグメント(Applied BioSystems、US)1unitを含有した20μLの最終容量でリアルタイムPCR反応を行った;前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイム熱循環器(CFX96、Bio−Rad)に位置させた;前記反応混合物を95℃で2分間変性させて、95℃で20秒間、55℃で30秒間及び72℃で10秒間の過程を40回繰り返した。各サイクルのハイブリダイゼーション工程(55℃)で発生したシグナルを検出した。
【0383】
上記の結果は、5’−第2ハイブリダイゼーション部位のハイブリダイゼーションによる単一標識分子から出る蛍光変化を測定することにより、TDプローブがターゲット配列を分別的に検出できるということを示す。
【0384】
以上、本発明の望ましい具現例を詳細に記述したが、当業界の通常の知識を有する者にとっては、このような具体的な記述はただ望ましい具現例に過ぎなく、これに本発明の範囲が限定されないことは明らかである。従って、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその等価物により定義されると言える。