特許第5653442号(P5653442)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5653442
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】縮合環化合物
(51)【国際特許分類】
   C07C 233/32 20060101AFI20141218BHJP
   C07C 235/14 20060101ALI20141218BHJP
   C07C 49/84 20060101ALI20141218BHJP
   C07F 7/18 20060101ALI20141218BHJP
   C07D 261/04 20060101ALI20141218BHJP
   C07C 231/06 20060101ALI20141218BHJP
   C07C 251/48 20060101ALN20141218BHJP
   C07C 47/575 20060101ALN20141218BHJP
   C07C 259/02 20060101ALN20141218BHJP
   C07C 69/157 20060101ALN20141218BHJP
   C07C 49/835 20060101ALN20141218BHJP
   C07C 43/178 20060101ALN20141218BHJP
   C07C 49/517 20060101ALN20141218BHJP
   A61K 31/42 20060101ALN20141218BHJP
   C07D 413/10 20060101ALN20141218BHJP
   A61K 31/422 20060101ALN20141218BHJP
【FI】
   C07C233/32CSP
   C07C235/14 Z
   C07C49/84 B
   C07F7/18 H
   C07D261/04
   C07C231/06
   !C07C251/48
   !C07C47/575
   !C07C259/02
   !C07C69/157
   !C07C49/835
   !C07C43/178 C
   !C07C49/517
   !A61K31/42
   !C07D413/10
   !A61K31/422
【請求項の数】4
【全頁数】90
(21)【出願番号】特願2012-530650(P2012-530650)
(86)(22)【出願日】2011年8月19日
(86)【国際出願番号】JP2011068767
(87)【国際公開番号】WO2012026403
(87)【国際公開日】20120301
【審査請求日】2013年1月18日
(31)【優先権主張番号】特願2011-110685(P2011-110685)
(32)【優先日】2011年5月17日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2011-80164(P2011-80164)
(32)【優先日】2011年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2011-40966(P2011-40966)
(32)【優先日】2011年2月25日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2011-25367(P2011-25367)
(32)【優先日】2011年2月8日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2010-186680(P2010-186680)
(32)【優先日】2010年8月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004307
【氏名又は名称】日本曹達株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 芳和
(72)【発明者】
【氏名】久保田 靖
(72)【発明者】
【氏名】市成 大輔
(72)【発明者】
【氏名】井上 博生
(72)【発明者】
【氏名】岩田 淳
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 良洋
(72)【発明者】
【氏名】来島 広哲
(72)【発明者】
【氏名】松田 啓一郎
(72)【発明者】
【氏名】久戸瀬 耕一
【審査官】 斉藤 貴子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/112275(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/027051(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/022746(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/092771(WO,A1)
【文献】 特開2011−219431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C C07D
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される縮合環化合物。
【化1】
(式(I)中、X”は、ハロゲン原子、またはC1〜6ハロアルキル基を示す。
nは、X”の置換数を示し且つ0〜5のいずれかの整数である。nが2以上のとき、X”どうしは互いに同一でも相違してもよい。
は、C1〜6ハロアルキル基を示す。
は、C1〜6アルコキシ基、またはトリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基を示す。
は、水素原子を示す。
qは、炭素原子数を示し且つ1又は2である。
pは、Rの置換数を示し且つである。
炭素原子1と炭素原子2との間の結合は、単結合を示す)。
【請求項2】
式(VII)で表される縮合環化合物。
【化2】
(式(VII)中、X”は、ハロゲン原子、またはC1〜6ハロアルキル基を示す。
nは、X”の置換数を示し且つ0〜5のいずれかの整数である。nが2以上のとき、X”どうしは互いに同一でも相違してもよい。
は、C1〜6ハロアルキル基を示す。
21は、C1〜6アルコキシ基、またはトリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基を示す。
31は、水素原子を示す。
qは、炭素原子数を示し且つ1又は2である。
p'は、R31の置換数を示し且つである。
炭素原子1と炭素原子2との間の結合は、単結合を示す。
波線で表される結合は、Rに対してトランス配座またはシス配座であることを示す。
Zは、酸素原子を示す。)
【請求項3】
式(X)で表される縮合環化合物
【化3】
(式(X)中、X”は、ハロゲン原子、またはC1〜6ハロアルキル基を示す。
nは、X”の置換数を示し且つ0〜5のいずれかの整数である。nが2以上のとき、X”どうしは互いに同一でも相違してもよい。
は、C1〜6ハロアルキル基を示す。
22は、C1〜6アルコキシ基、またはトリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基を示す。
qは、炭素原子数を示し且つ1又は2である。)と、C1〜6アルキルシアニド化合物、C3〜8シクロアルキルC1〜6アルキルシアニド化合物、C1〜6ハロアルキルシアニド化合物、またはC1〜6アルコキシC1〜6アルキルシアニド化合物とを、プロトン酸またはルイス酸存在下反応させて、
式(XI)で表される縮合環化合物
【化4】
(式(XI)中、X”、n、R、およびqは前記と同様の意味を示す。
23は、C1〜6アルキル基、C3〜8シクロアルキルC1〜6アルキル基、C1〜6ハロアルキル基、またはC1〜6アルコキシC1〜6アルキル基を示す。)を製造する方法。
【請求項4】
式(XII)で表される縮合環化合物
【化5】
(式(XII)中、X”は、ハロゲン原子、またはC1〜6ハロアルキル基を示す。
nは、X”の置換数を示し且つ0〜5のいずれかの整数である。nが2以上のとき、X”どうしは互いに同一でも相違してもよい。
は、C1〜6ハロアルキル基を示す。
22は、C1〜6アルコキシ基、またはトリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基を示す。
qは、炭素原子数を示し且つ1又は2である。
波線で表される結合は、Rに対してトランス配座またはシス配座であることを示す。
Zは、酸素原子を示す。)と、C1〜6アルキルシアニド化合物、C3〜8シクロアルキルC1〜6アルキルシアニド化合物、C1〜6ハロアルキルシアニド化合物、またはC1〜6アルコキシC1〜6アルキルシアニド化合物とを、プロトン酸またはルイス酸存在下反応させて、
式(XIII)で表される縮合環化合物
【化6】
(式(XIII)中、X”、n、R、q、Zおよび破線で表された結合は前記と同様の意味を示す。
23は、C1〜6アルキル基、C3〜8シクロアルキルC1〜6アルキル基、C1〜6ハロアルキル基、またはC1〜6アルコキシC1〜6アルキル基を示す。)を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許文献1などに開示されているイソオキサゾリン誘導体の製造中間体に成り得る縮合環化合物に関する。
本願は、日本に、2010年8月23日に出願された特願2010−186680号、2011年2月8日に出願された特願2011−025367号、2011年2月25日に出願された特願2011−040966号、2011年3月31日に出願された特願2011−080164号、および2011年5月17日に出願された特願2011−110685号、に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
農園芸分野や畜産分野等において、多数の殺虫剤、殺ダニ剤などの有害生物防除剤が使用されているが、それらは、その効力が不十分であったり、薬剤抵抗性問題によりその使用が制限されたり、また、植物体に薬害や汚染を生じさせたり、あるいは人畜魚類などに対する毒性が強かったりする場合がある。そこで、かかる欠点の少ない安全に使用できる薬剤として、式(A)で表されるイソオキサゾリン誘導体(以下、イソオキサゾリン誘導体Aという)が、特許文献1、特許文献2または特許文献3に開示されている。
【0003】
【化1】
【0004】
(式(A)中、Zは、無置換の若しくは置換基(ハロゲン原子、ハロアルキル基など)を有するアリール基などを示す。Rは、ハロゲン原子、ハロアルキル基などを示す。Yはニトロ基などを示し、pは0〜3の整数を示す。RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ニトロ基、水酸基、メルカプト基、無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、または有機基を示す。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2009/022746パンフレット
【特許文献2】WO2009/112275パンフレット
【特許文献3】WO2010/027051パンフレット
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Tetrahedron Lett. 1976, 51, 4691-4694
【非特許文献2】J. Org. Chem. 2002, 67, 4615-4618
【非特許文献3】J. Org. Chem. 1999, 64, 2873-2876
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
イソオキザリン誘導体Aは、広い殺虫・殺ダニスペクトラムを有すると共に、低濃度活性に優れ、前記の欠点を克服した化合物として開発が有望視されている。
しかしながら、イソオキサゾリン誘導体Aは、特徴的な1−置換インダン骨格を有するため、工業的に安定に、効率的に製造することが困難であった。
そこで、本発明は、有害生物防除剤として有用なイソオキサゾリン誘導体Aなどを、工業的に安定に効率的に製造するために有用な製造中間体に成り得る縮合環化合物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、式(I)または式(II)で表される縮合環化合物を見出した。この縮合環化合物を用いると、イソオキサゾリン誘導体Aなどを効率的に製造することができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の形態を包含する。
〔1〕式(I)、式(II)、式(VII)または式(VIII)で表される縮合環化合物。
〔2〕式(I)、式(II)、式(VII)または式(VIII)で表される縮合環化合物からなる、イソオキサゾリン誘導体の製造中間体。
〔3〕式(I)、式(II)、式(VII)または式(VIII)で表される縮合環化合物を製造中間体として用いることを含むイソオキサゾリン誘導体の製造方法。
【0010】
【化2】
【0011】
前記式(I)中、X”は、ハロゲン原子、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するC2〜6アルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するC2〜6アルキニル基、水酸基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、ニトロ基、またはシアノ基を示す。
nは、X”の置換数を示し且つ0〜5のいずれかの整数である。nが2以上のとき、X”どうしは互いに同一でも相違してもよい。
X'は、ハロゲン原子、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するC2〜6アルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するC2〜6アルキニル基、水酸基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、ニトロ基、またはシアノ基を示す。
mは、X'の置換数を示し且つ0〜7のいずれかの整数である。mが2以上のとき、X'どうしは互いに同一でも相違してもよい。
は、水素原子、ハロゲン原子、または無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基を示す。
は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、トリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルオキシ基、アジド基、スクシンイミド基、フタルイミド基、ホルムアミド基、またはアセチルアミド基を示す。
は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルオキシ基、トリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基、アジド基、スクシンイミド基、フタルイミド基、ホルムアミド基、またはアセチルアミド基を示す。
qは、炭素原子数を示し且つ1又は2である。
pは、Rの置換数を示し且つ0又は1である。
炭素原子1と炭素原子2との間の結合は、pが1のときは単結合を示し、pが0のときは二重結合を示す。
とRは一緒になって、オキソ基、または無置換の若しくは置換基を有するヒドロキシイミノ基を形成してもよい。
【0012】
【化3】
【0013】
前記式(II)中のX'は、ハロゲン原子、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するC2〜6アルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するC2〜6アルキニル基、水酸基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、ニトロ基、またはシアノ基を示す。
mは、X'の置換数を示し且つ0〜7のいずれかの整数である。mが2以上のとき、X'どうしは互いに同一でも相違してもよい。
2つのX'が同一の炭素原子上に置換されている場合、一緒になって、オキソ基を形成してもよい。
は、ハロゲン原子、ホルミル基、ヒドロキシイミノメチル基、N−ヒドロキシ−クロロカルボニイミドイル基、1,1−ジ(C1〜6アルコキシ)メチル基〔C1〜6アルコキシどうしが一緒になって環を形成してもよい。〕、1−C1〜6アルコキシビニル基、1−C3〜6シクロアルコキシビニル基、アセチル基、2−(C1〜6アルコキシ)カルボニルアセチル基、3−(C1〜6アルコキシ)カルボニル−3−オキソ−プロピオニル基、またはシアノ基を示す。
21は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、トリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルオキシ基、アジド基、アミノ基、スクシンイミド基、フタルイミド基、ホルムアミド基、または無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルアミノ基を示す。
31は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、トリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルオキシ基、アジド基、アミノ基、スクシンイミド基、フタルイミド基、ホルムアミド基、または無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルアミノ基を示す。
qは、炭素原子数を示し且つ1又は2である。
p'は、R31の置換数を示し且つ0又は1である。
炭素原子1と炭素原子2との間の結合は、p'が1のときは単結合を示し、p'が0のときは二重結合を示す。
21とR31は一緒になって、オキソ基、または無置換の若しくは置換基を有するヒドロキシイミノ基を形成してもよい。
【0014】
【化4】
【0015】
前記式(VII)中、X”は、ハロゲン原子、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するC2〜6アルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するC2〜6アルキニル基、水酸基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、ニトロ基、またはシアノ基を示す。
nは、X”の置換数を示し且つ0〜5のいずれかの整数である。nが2以上のとき、X”どうしは互いに同一でも相違してもよい。
X'は、ハロゲン原子、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するC2〜6アルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するC2〜6アルキニル基、水酸基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、ニトロ基、またはシアノ基を示す。
mは、X'の置換数を示し且つ0〜7のいずれかの整数である。mが2以上のとき、X'どうしは互いに同一でも相違してもよい。
2つのX'が同一の炭素原子上に置換されている場合、一緒になって、オキソ基を形成してもよい。
は、水素原子、ハロゲン原子、または無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基を示す。
21は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、トリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルオキシ基、アジド基、アミノ基、スクシンイミド基、フタルイミド基、ホルムアミド基、または無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルアミノ基を示す。
31は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、トリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルオキシ基、アジド基、アミノ基、スクシンイミド基、フタルイミド基、ホルムアミド基、または無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルアミノ基を示す。
qは、炭素原子数を示し且つ1又は2である。
p'は、R31の置換数を示し且つ0又は1である。
炭素原子1と炭素原子2との間の結合は、p'が1のときは単結合を示し、p'が0のときは二重結合を示す。
21とR31は一緒になって、オキソ基、または無置換の若しくは置換基を有するヒドロキシイミノ基を形成してもよい。
波線で表される結合は、Rに対してトランス配座またはシス配座であることを示す。
Zは、酸素原子またはヒドロキシイミノ基を示す。
【0016】
【化5】
【0017】
前記式(VIII)中、X”は、ハロゲン原子、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するC2〜6アルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するC2〜6アルキニル基、水酸基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、ニトロ基、またはシアノ基を示す。
nは、X”の置換数を示し且つ0〜5のいずれかの整数である。nが2以上のとき、X”どうしは互いに同一でも相違してもよい。
X'は、ハロゲン原子、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するC2〜6アルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するC2〜6アルキニル基、水酸基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、ニトロ基、またはシアノ基を示す。
mは、X'の置換数を示し且つ0〜7のいずれかの整数である。mが2以上のとき、X'どうしは互いに同一でも相違してもよい。
2つのX'が同一の炭素原子上に置換されている場合、一緒になって、オキソ基を形成してもよい。
は、水素原子、ハロゲン原子、または無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基を示す。
21は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、トリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルオキシ基、アジド基、アミノ基、スクシンイミド基、フタルイミド基、ホルムアミド基、または無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルアミノ基を示す。
31は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、トリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルオキシ基、アジド基、アミノ基、スクシンイミド基、フタルイミド基、ホルムアミド基、または無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルアミノ基を示す。
qは、炭素原子数を示し且つ1又は2である。
p'は、R31の置換数を示し且つ0又は1である。
炭素原子1と炭素原子2との間の結合は、p'が1のときは単結合を示し、p'が0のときは二重結合を示す。
21とR31は一緒になって、オキソ基、無置換の若しくは置換基を有するヒドロキシイミノ基を形成してもよい。
【0018】
さらに、本発明は以下の形態を包含する。
〔4〕アリル位に無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、トリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基、または無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルオキシ基を有する芳香族炭化水素環と脂肪族炭化水素環との縮合環化合物と、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルシアニド化合物とを、プロトン酸またはルイス酸存在下反応させて、アリル位に無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルアミノ基を有する芳香族炭化水素環と脂肪族炭化水素環との縮合環化合物を製造する方法。
〔5〕前記縮合環化合物がインダン誘導体またはテトラヒドロナフタレン誘導体である、前記〔4〕に記載の方法。
【0019】
〔6〕下記式(X)で表される縮合環化合物と、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルシアニド化合物とを、プロトン酸またはルイス酸存在下反応させて、下記式(XI)で表される縮合環化合物を製造する、前記〔5〕に記載の方法。
【0020】
【化6】
【0021】
前記式(X)中、X”は、ハロゲン原子、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するC2〜6アルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するC2〜6アルキニル基、水酸基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、ニトロ基、またはシアノ基を示す。
nは、X”の置換数を示し且つ0〜5のいずれかの整数である。nが2以上のとき、X”どうしは互いに同一でも相違してもよい。
X'は、ハロゲン原子、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するC2〜6アルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するC2〜6アルキニル基、水酸基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、ニトロ基、またはシアノ基を示す。
mは、X'の置換数を示し且つ0〜7のいずれかの整数である。mが2以上のとき、X'どうしは互いに同一でも相違してもよい。
は、水素原子、ハロゲン原子、または無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基を示す。
22は、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、トリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基、または無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルオキシ基を示す。
qは、炭素原子数を示し且つ1又は2である。
【0022】
【化7】
【0023】
前記式(XI)中、X”、n、X'、m、R、およびqは前記と同様の意味を示す。
23は、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基を示す。
【0024】
〔7〕下記式(XII)で表される縮合環化合物と、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルシアニド化合物とを、プロトン酸またはルイス酸存在下反応させて、下記式(XIII)で表される縮合環化合物を製造する、前記〔5〕に記載の方法。
【0025】
【化8】
【0026】
前記式(XII)中、X”は、ハロゲン原子、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するC2〜6アルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するC2〜6アルキニル基、水酸基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、ニトロ基、またはシアノ基を示す。
nは、X”の置換数を示し且つ0〜5のいずれかの整数である。nが2以上のとき、X”どうしは互いに同一でも相違してもよい。
X'は、ハロゲン原子、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するC2〜6アルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するC2〜6アルキニル基、水酸基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、ニトロ基、またはシアノ基を示す。
mは、X'の置換数を示し且つ0〜7のいずれかの整数である。mが2以上のとき、X'どうしは互いに同一でも相違してもよい。
は、水素原子、ハロゲン原子、または無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基を示す。
22は、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、トリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基、または無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルオキシ基を示す。
qは、炭素原子数を示し且つ1又は2である。
波線で表される結合は、Rに対してトランス配座またはシス配座であることを示す。
Zは、酸素原子またはヒドロキシイミノ基を示す。
【0027】
【化9】
【0028】
前記式(XIII)中、X”、n、X'、m、R、q、Zおよび破線で表された結合は前記と同様の意味を示す。
23は、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基を示す。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る縮合環化合物は、有害生物防除剤として有用なイソオキサゾリン誘導体Aなどを、工業的に安定に効率的に製造するために有用な製造中間体に成り得る物質である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の第一実施形態に係る縮合環化合物は式(I)で表される化合物(以下、化合物(I)と表記することがある。)である。化合物(I)はイソオキサゾリン誘導体Aなどの製造中間体になりうる物質である。
【0031】
【化10】
【0032】
式(I)にて使用される記号、用語などの意味は以下のとおりである。
先ず、「無置換の」の用語は、母核となる基のみであることを意味する。「置換基を有する」との記載がなく母核となる基の名称のみで記載しているときは、別段の断りがない限り「無置換の」意味である。
一方、「置換基を有する」の用語は、母核となる基のいずれかの水素原子が、母核と同一または異なる構造の基で置換されていることを意味する。従って、「置換基」は、母核となる基に結合した他の基である。置換基は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。2つ以上の置換基は同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
「C1〜6」などの用語は、母核となる基の炭素原子数が1〜6個などであることを表している。この炭素原子数には、置換基の中に在る炭素原子の数を含まない。例えば、置換基としてエトキシ基を有するブチル基は、C2アルコキシC4アルキル基に分類する。
【0033】
「置換基」は化学的に許容され、本発明の効果を有する限りにおいて特に制限されない。
「置換基」となり得る基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子; メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などのC1〜6アルキル基; シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などのC3〜8シクロアルキル基; ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基などのC2〜6アルケニル基; 2−シクロプロペニル基、2−シクロペンテニル基、3−シクロヘキセニル基、4−シクロオクテニル基などのC3〜8シクロアルケニル基; エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−メチル−3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−メチル−2−ブチニル基、2−メチル−3−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、1,1−ジメチル−2−ブチニル基などのC2〜6アルキニル基;
【0034】
メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基などのC1〜6アルコキシ基; ビニルオキシ基、アリルオキシ基、プロペニルオキシ基、ブテニルオキシ基などのC2〜6アルケニルオキシ基; エチニルオキシ基、プロパルギルオキシ基などのC2〜6アルキニルオキシ基; フェニル基、ナフチル基などのC6〜10アリール基; フェノキシ基、1−ナフトキシ基などのC6〜10アリールオキシ基; ベンジル基、フェネチル基などのC7〜11アラルキル基; ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのC7〜11アラルキルオキシ基; ホルミル基; アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、シクロヘキシルカルボニル基などのC1〜6アルキルカルボニル基; ホルミルオキシ基; アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基などのC1〜6アルキルカルボニルオキシ基; メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基などのC1〜6アルコキシカルボニル基; カルボキシル基;
【0035】
水酸基; オキソ基; クロロメチル基、クロロエチル基、トリフルオロメチル基、1,2−ジクロロ−n−プロピル基、1−フルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基などのC1〜6ハロアルキル基; 2−クロロ−1−プロペニル基、2−フルオロ−1−ブテニル基などのC2〜6ハロアルケニル基; 4,4−ジクロロ−1−ブチニル基、4−フルオロ−1−ペンチニル基、5−ブロモ−2−ペンチニル基などのC2〜6ハロアルキニル基; 2−クロロ−n−プロポキシ基、2,3−ジクロロブトキシ基などのC1〜6ハロアルコキシ基; 2−クロロプロペニルオキシ基、3−ブロモブテニルオキシ基などのC2〜6ハロアルケニルオキシ基; 4−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基などのC6〜10ハロアリール基; 4−フルオロフェニルオキシ基、4−クロロ−1−ナフトキシ基などのC6〜10ハロアリールオキシ基; クロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、トリクロロアセチル基などのハロゲン置換C1〜6アルキルカルボニル基;
【0036】
シアノ基;イソシアノ基;ニトロ基;イソシアナト基;シアナト基;アミノ基; メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などのC1〜6アルキルアミノ基; アニリノ基、ナフチルアミノ基などのC6〜10アリールアミノ基; ベンジルアミノ基、フェニルエチルアミノ基などのC7〜11アラルキルアミノ基; ホルミルアミノ基; アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、ブチリルアミノ基、i−プロピルカルボニルアミノ基などのC1〜6アルキルカルボニルアミノ基; メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、n−プロポキシカルボニルアミノ基、i−プロポキシカルボニルアミノ基などのC1〜6アルコキシカルボニルアミノ基; アミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、N−フェニル−N−メチルアミノカルボニル基などの無置換の若しくは置換基を有するアミノカルボニル基; イミノメチル基、(1−イミノ)エチル基、(1−イミノ)−n−プロピル基などのイミノ基で置換されたC1〜6アルキル基;メトキシイミノメチル基、(1−メトキシイミノ)エチル基; ヒドロキシイミノメチル基、(1−ヒドロキシイミノ)エチル基、(1−ヒドロキシイミノ)プロピル基などのヒドロキシイミノ基で置換されたC1〜6アルキル基;
【0037】
メルカプト基;イソチオシアナト基;チオシアナト基; メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、i−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、i−ブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基などのC1〜6アルキルチオ基; ビニルチオ基、アリルチオ基などのC2〜6アルケニルチオ基; エチニルチオ基、プロパルギルチオ基などのC2〜6アルキニルチオ基; フェニルチオ基、ナフチルチオ基などのC6〜10アリールチオ基; チアゾリルチオ基、ピリジルチオ基などのヘテロアリールチオ基; ベンジルチオ基、フェネチルチオ基などのC7〜11アラルキルチオ基; (メチルチオ)カルボニル基、(エチルチオ)カルボニル基、(n−プロピルチオ)カルボニル基、(i−プロピルチオ)カルボニル基、(n−ブチルチオ)カルボニル基、(i−ブチルチオ)カルボニル基、(s−ブチルチオ)カルボニル基、(t−ブチルチオ)カルボニル基などの(C1〜6アルキルチオ)カルボニル基;
【0038】
メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、t−ブチルスルフィニル基などのC1〜6アルキルスルフィニル基; アリルスルフィニル基などのC2〜6アルケニルスルフィニル基; プロパルギルスルフィニル基などのC2〜6アルキニルスルフィニル基; フェニルスルフィニル基などのC6〜10アリールスルフィニル基; チアゾリルスルフィニル基、ピリジルスルフィニル基などのヘテロアリールスルフィニル基; ベンジルスルフィニル基、フェネチルスルフィニル基などのC7〜11アラルキルスルフィニル基; メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、t−ブチルスルホニル基などのC1〜6アルキルスルホニル基; アリルスルホニル基などのC2〜6アルケニルスルホニル基; プロパルギルスルホニル基などのC2〜6アルキニルスルホニル基; フェニルスルホニル基などのC6〜10アリールスルホニル基; チアゾリルスルホニル基、ピリジルスルホニル基などのヘテロアリールスルホニル基; ベンジルスルホニル基、フェネチルスルホニル基などのC7〜11アラルキルスルホニル基;
【0039】
ピロリル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、テトラゾリル基などの5員ヘテロアリール基; ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダニジル基、トリアジニル基などの6員ヘテロアリール基; アジリジニル基、エポキシ基、ピロリジニル基、テトラヒドロフラニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、モルホリニル基などの飽和ヘテロシクリル基; トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基などのトリC1〜6アルキル置換シリル基; トリフェニルシリル基; などを挙げることができる。
【0040】
また、これらの「置換基」は、当該基の中のいずれかの水素原子がさらに別の「置換基」で置換されたものであってもよい。
【0041】
(X”)
式(I)中のX”は、ハロゲン原子、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するC2〜6アルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するC2〜6アルキニル基、水酸基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、ニトロ基、またはシアノ基を示す。
nは、X”の置換数を示し且つ0〜5のいずれかの整数である。nが2以上のとき、X”どうしは互いに同一でも相違してもよい。
【0042】
X”における「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
【0043】
X”における「C1〜6アルキル基」は、直鎖であってもよいし、分岐鎖であってもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、i−ペンチル基、ネオペンチル基、2−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、i−ヘキシル基などを挙げることができる。
【0044】
X”における「置換基を有するC1〜6アルキル基」としては、 シクロプロピルメチル基、2−シクロプロピルエチル基、シクロペンチルメチル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロオクチルエチル基などのC3〜8シクロアルキルC1〜6アルキル基; フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、ジブロモメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、2,2,2−トルフルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、ペンタフルオロエチル基、4−フルオロブチル基、4−クロロブチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル基、パーフルオロヘキシル基、パークロロヘキシル基、2,4,6−トリクロロヘキシル基などのC1〜6ハロアルキル基;
【0045】
ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基などのヒドロキシC1〜6アルキル基; メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシ−n−プロピル基、n−プロポキシメチル基、i−プロポキシエチル基、s−ブトキシメチル基、t−ブトキシエチル基などのC1〜6アルコキシC1〜6アルキル基; メトキシメトキシメチル基、1−メトキシエトキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基、2−(1−メトキシエトキシ)エチル基、2−(2−メトキシエトキシ)エチル基などのC1〜6アルコキシC1〜6アルコキシC1〜6アルキル基; ジメトキシメチル基、ジエトキシメチル基、2,2−ジメトキシエチル基、1,2−ジメトキシエチル基、3,3−ジメトキシn−プロピル基、2,2−ジエトキシエチル基などのジC1〜6アルコキシC1〜6アルキル基; ホルミルオキシメチル基などのホルミルオキシC1〜6アルキル基; アセトキシメチル基、2−アセトキシエチル基、プロピオニルオキシメチル基、プロピオニルオキシエチル基などのC1〜6カルボニルオキシC1〜6アルキル基; イミノメチル基、(1−イミノ)エチル基、(1−イミノ)プロピル基などのイミノ基で置換されたC1〜6アルキル基; ヒドロキシイミノメチル基、(1−ヒドロキシイミノ)エチル基、(1−ヒドロキシイミノ)−n−プロピル基、メトキシイミノメチル基、(1−メトキシイミノ)エチル基などのヒドロキシイミノ基で置換されたC1〜6アルキル基; 無置換の若しくは置換基を有するベンジル基、無置換の若しくは置換基を有するフェネチル基などの無置換の若しくは置換基を有するC7〜11アラルキル基; などを挙げることができる。
【0046】
X”における「C2〜6アルケニル基」としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基などを挙げることができる。
X”における「置換基を有するC2〜6アルケニル基」としては、2−クロロ−1−プロペニル基、2−フルオロ−1−ブテニル基などのC2〜6ハロアルケニル基; などを挙げることができる。
【0047】
X”における「C2〜6アルキニル基」としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−メチル−3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−メチル−2−ブチニル基、2−メチル−3−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、1,1−ジメチル−2−ブチニル基などを挙げることができる。
X”における「置換基を有するC2〜6アルキニル基」としては、4,4−ジクロロ−1−ブチニル基、4−フルオロ−1−ペンチニル基、5−ブロモ−2−ペンチニル基などのC2〜6ハロアルキニル基;などを挙げることができる。
【0048】
X”における「C1〜6アルコキシ基」としては、メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、i−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基などを挙げることができる。
X”における「置換基を有するC1〜6アルコキシ基」としては、フルオロメトキシ基、クロロメトキシ基、ブロモメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、ジクロロメトキシ基、ジブロモメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、トリクロロメトキシ基、トリブロモメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2,2−トリクロロエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、4−フルオロブトキシ基、3,3,3−トリフルオロプロポキシ基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエトキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基などのC1〜6ハロアルコキシ基; メトキシメトキシ基、1−メトキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基、エトキシメトキシ基、1−エトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、1−メトキシ−n−プロポキシ基、2−メトキシ−n−プロポキシ基、3−メトキシ−n−プロポキシ基などのC1〜6アルコキシC1〜6アルコキシ基; シクロプロピルメトキシ基、シクロブチルメトキシ基、シクロペンチルメトキシ基、シクロヘキシルメトキシ基、2−メチルシクロプロピルメトキシ基、2,3−ジメチルシクロプロピルメトキシ基、2−シクロプロピルエトキシ基などのC3〜8シクロアルキルC1〜6アルコキシ基; ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのC7〜11アラルキルオキシ基; などを挙げることができる。
【0049】
これらのうち、X”は、ハロゲン原子またはC1〜6ハロアルキル基であることが好ましい。
【0050】
(X')
式(I)中のX'は、ハロゲン原子、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するC2〜6アルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するC2〜6アルキニル基、水酸基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、ニトロ基、またはシアノ基を示す。
mは、X'の置換数を示し且つ0〜7のいずれかの整数である。mが2以上のとき、X'どうしは互いに同一でも相違してもよい。
【0051】
X'における「ハロゲン原子」、「C1〜6アルキル基」、「C2〜6アルケニル基」、「C2〜6アルキニル基」、および「C1〜6アルコキシ基」としては、前記X”において挙げたそれらと同じものを挙げることができる。
これらのうち、X'は、水素原子であることが好ましい。
【0052】
(R
式(I)中のRは、水素原子、ハロゲン原子、または無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基を示す。
【0053】
における「ハロゲン原子」および「C1〜6アルキル基」としては、前記X”において挙げたそれらと同じものを挙げることができる。
これらのうち、Rは、C1〜6ハロアルキル基であることが好ましい。
【0054】
(R
式(I)中のRは、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、トリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルオキシ基、アジド基、スクシンイミド基、フタルイミド基、ホルムアミド基、またはアセチルアミド基を示す。
【0055】
における「ハロゲン原子」および「C1〜6アルコキシ基」としては、前記X”において挙げたそれらと同じものを挙げることができる。
における「トリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基」としては、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基などを挙げることができる。
【0056】
における「C1〜6アルキルカルボニルオキシ基」としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基などのC1〜6アルキルカルボニルオキシ基などを挙げることができる。
これらのうち、Rは、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、トリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基であることが好ましい。
【0057】
(R
式(I)中のRは、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルオキシ基、トリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基、アジド基、スクシンイミド基、フタルイミド基、ホルムアミド基、またはアセチルアミド基を示す。
【0058】
における「ハロゲン原子」および「C1〜6アルコキシ基」としては、前記X”において挙げたそれらと同じものを挙げることができる。
における「トリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基」としては、前記Rにおいて挙げたそれと同じものを挙げることができる。
における「C1〜6アルキルカルボニルオキシ基」としては、前記Rにおいて挙げたそれと同じものを挙げることができる。
これらのうち、Rは、水素原子であることが好ましい。
【0059】
(q)
式(I)中のqは、炭素原子数を示し且つ1又は2を表す。qが1のときは、本発明の縮合環化合物はインダン誘導体を示す。また、qが2のときは本発明の縮合環化合物は、テトラヒドロナフタレン誘導体を示す。
【0060】
pは、Rの置換数を示し且つ0又は1を表す。
pが1のときは炭素原子1と炭素原子2との間の結合は単結合を示し、pが0のときは炭素原子1と炭素原子2との間の結合は二重結合を示す。
すなわち、pが1のときはインダン環またはテトラヒドロナフタレン環を形成し、pが0のときはインデン環または1,2−ジヒドロナフタレン環を形成する。
【0061】
とRは一緒になって、オキソ基、または無置換の若しくは置換基を有するヒドロキシイミノ基を形成してもよい。
とRが一緒になって形成する「置換基を有するヒドロキシイミノ基」としては、メトキシイミノ基、エトキシイミノ基などのC1〜6アルコキシイミノ基を挙げることができる。
【0062】
本発明の第二実施形態に係る縮合環化合物は式(II)で表される化合物(以下、化合物(II)と表記することがある。)である。化合物(II)は、前述の化合物(I)の製造中間体; または後述する式(VII)で表される縮合環化合物、式(VIII)で表される縮合環化合物、若しくはイソオキサゾリン誘導体Aなどの製造中間体になりうる物質である。
【0063】
【化11】
【0064】
前記式(II)にて使用される記号、用語などの意味は以下のとおりである。
「無置換の」の用語および「置換基を有する」の用語は、式(I)における意味と同じである。また、式(II)中のX'、mおよびqは、式(I)のX'、mおよびqと同じ意味である。
2つのX'が同一の炭素原子上に置換されている場合、一緒になって、オキソ基を形成してもよい。
【0065】
(R
は、ハロゲン原子、ホルミル基、ヒドロキシイミノメチル基、N−ヒドロキシ−クロロカルボニイミドイル基、1,1−ジ(C1〜6アルコキシ)メチル基〔C1〜6アルコキシどうしが一緒になって環を形成してもよい〕、1−C1〜6アルコキシビニル基、1−C3〜6シクロアルコキシビニル基、アセチル基、2−(C1〜6アルコキシ)カルボニルアセチル基、3−(C1〜6アルコキシ)カルボニル−3−オキソ−プロピオニル基、またはシアノ基を示す。
における「ハロゲン原子」としては、前記X”において挙げたそれと同じものを挙げることができる。
における「1,1−ジ(C1〜6アルコキシ)メチル基」としては、1,1−ジメトキシメチル基、1,1−ジエトキシメチル基、[1.3]ジオキソラン−2−イル基、[1.3]ジオキサン−2−イル基などを挙げることができる。
【0066】
における「1−C1〜6アルコキシビニル基」としては、1−メトキシビニル基、1−エトキシビニル基、1−n−プロポキシビニル基、1−n−ブトキシビニル基などを挙げることができる。
における「1−C3〜6シクロアルコキシビニル基」としては、1−シクロプロポキシビニル基、1−シクロブトキシビニル基、1−シクロペンチルオキシビニル基、1−シクロヘキシルオキシビニル基などを挙げることができる。
【0067】
における「2−(C1〜6アルコキシ)カルボニルアセチル基」としては、2−メトキシカルボニルアセチル基、2−エトキシカルボニルアセチル基、2−n−プロポキシカルボニルアセチル基などを挙げることができる。
における「3−(C1〜6アルコキシ)カルボニル−3−オキソ−プロピオニル基」としては、3−メトキシカルボニル−3−オキソ−プロピオニル基、3−エトキシカルボニル−3−オキソ−プロピオニル基、3−n−プロポキシカルボニル−3−オキソ−プロピオニル基などを挙げることができる。
【0068】
(R21
21は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、トリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルオキシ基、アジド基、アミノ基、スクシンイミド基、フタルイミド基、ホルムアミド基、または無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルアミノ基を示す。
21における「ハロゲン原子」および「C1〜6アルコキシ基」としては、前記X”において挙げたそれらと同じものを挙げることができる。
21における「トリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基」としては、前記Rにおいて挙げたそれと同じものを挙げることができる。
21における「C1〜6アルキルカルボニルオキシ基」としては、前記Rにおいて挙げたそれと同じものを挙げることができる。
【0069】
21における「C1〜6アルキルカルボニルアミノ基」としては、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、n−プロピルカルボニルアミノ基、i−プロピルカルボニルアミノ基などを挙げることができる。
21における「置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルアミノ基」としては、 シクロプロピルメチルカルボニルアミノ基、シクロブチルメチルカルボニルアミノ基、シクロペンチルメチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルメチルカルボニルアミノ基、2−シクロプロピルエチルカルボニルアミノ基などのC3〜8シクロアルキルC1〜6アルキルカルボニルアミノ基; ジフルオロアセチルカルボニルアミノ基、ジクロロアセチルカルボニルアミノ基、トリフルオロアセチルアミノ基、トリクロロアセチルアミノ基、2,2,2−トリフルオロエチルカルボニルアミノ基、2,2,2−トリクロロエチルカルボニルアミノ基、ペンタフルオロエチルカルボニルアミノ基などのC1〜6ハロアルキルカルボニルアミノ基; メトキシアセチルアミノ基、2−メトキシエチルカルボニルアミノ基、2−メトキシ−n−プロピルカルボニルアミノ基などのC1〜6アルコキシC1〜6アルキルカルボニルアミノ基; を挙げることができる。
これらのうち、R21は、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、トリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルアミノ基であることが好ましい。
【0070】
(R31
31は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、トリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルオキシ基、アジド基、アミノ基、スクシンイミド基、フタルイミド基、ホルムアミド基、または無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルアミノ基を示す。
31における「ハロゲン原子」および「C1〜6アルコキシ基」としては、前記X”において挙げたそれと同じものを挙げることができる。
31における「トリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基」としては、前記Rにおいて挙げたそれと同じものを挙げることができる。
31における「C1〜6アルキルカルボニルオキシ基」としては、前記Rにおいて挙げたそれと同じものを挙げることができる。
31における「C1〜6アルキルカルボニルアミノ基」としては、前記R21において挙げたそれと同じものを挙げることができる。
これらのうち、R31は、水素原子であることが好ましい。
【0071】
p'は、R31の置換数を示し且つ0又は1を表す。
p'が1のときは炭素原子1と炭素原子2との間の結合は単結合を示し、p'が0のときは炭素原子1と炭素原子2との間の結合は二重結合を示す。
【0072】
21とR31は一緒になって、オキソ基、または無置換の若しくは置換基を有するヒドロキシイミノ基を形成してもよい。R21とR31が一緒になって形成する「置換基を有するヒドロキシイミノ基」としては、前記RとRにおいて挙げたそれと同じものを挙げることができる。
【0073】
本発明の第三実施形態に係る縮合環化合物は式(VII)で表される化合物(以下、化合物(VII)と表記することがある。)である。化合物(VII)は、前述の化合物(I)の製造中間体、またはイソオキサゾリン誘導体Aなどの製造中間体になりうる物質である。
【0074】
【化12】
【0075】
式(VII)にて使用される記号、用語などの意味は以下のとおりである。
「無置換の」の用語および「置換基を有する」の用語は、式(I)における意味と同じである。また、式(VII)中のm、X”、n、qおよびRは、式(I)のm、X”、n、qおよびRと同じ意味である。式(VII)中のX'、R21、R31、およびp'は、式(II)のX'、R21、R31、およびp'と同じ意味である。
式(VII)中の波線で表される結合は、Rに対してトランス配座またはシス配座であることを示す。
【0076】
(Z)
Zは、酸素原子またはヒドロキシイミノ基を示す。
【0077】
本発明の第四実施形態に係る縮合環化合物は式(VIII)で表される化合物(以下、化合物(VIII)と表記することがある。)である。化合物(VIII)は、前述の化合物(VII)の製造中間体の製造中間体になりうる物質である。
【0078】
【化13】
【0079】
式(VIII)にて使用される記号、用語などの意味は以下のとおりである。
「無置換の」の用語および「置換基を有する」の用語は、式(I)における意味と同じである。また、式(VIII)中のm、X”、n、q、およびRは、式(I)のm、X”、n、q、およびRと同じ意味である。式(VIII)中のX'、R21、R31、およびp'は、式(II)のX'、R21、R31、およびp'と同じ意味である。
【0080】
〔製造中間体としての用途〕
本発明の式(I)または式(II)で表される縮合環化合物は、式(III)で表されるイソオキサゾリン誘導体などの製造中間体に成り得る有用な物質である。
【0081】
【化14】
【0082】
前記式(III)中のX”、n、R、X'、m、およびqは、式(I)または(II)におけるものと同じ意味を示す。
およびRは、それぞれ独立に、水素原子、または無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニル基を例示することができる。
【0083】
本発明の一実施形態として、式(1)、式(2)、式(3)、式(9)などで表される縮合環化合物から、イソオキサゾリン誘導体(A')に至る製造フローの例を示す。
【0084】
下記各製造フローにおける式中のPhは、無置換の若しくは置換基を有するフェニル基を示す。
下記各製造フローにおける式中のRは、前記式(I)中のRと同様のものを示す。
下記各製造フローにおける式中のqは、炭素原子数を示し且つ1又は2を示す。
下記各製造フローにおける式中のRは、C1〜6アルキル基、C1〜6アルコキシC1〜6アルキル基、トリ置換シリル基などの保護基を示す。
下記各製造フローにおける式中のRは、無置換の若しくは置換基を有してもよいC1〜6アルキル基を示す。
下記式(2)中のRは、水素原子、C1〜6アルキル基などを示す。
下記式(6)中のXは、ハロゲン原子を示す。
下記式(7)中のRは、それぞれ独立に、水素原子、C1〜6アルキル基、C6〜10アリール基を示す。ここでRは一緒になってエチレン基、フェニレン基を形成してもよい。
前記「無置換の」の用語および「置換基を有する」の用語は、式(I)における意味と同じである。
【0085】
【化15】
【0086】
第一の製造ルートは、式(9)で表される化合物と式(10)で表される化合物を特許文献1(例えば、28ページ、0085段落参照)などに記載の2+3環化反応(反応m)によって縮合させ、イソオキサゾリン誘導体(A')へと誘導するものである。ここで、2+3環化反応とは、1,3−双極子と二重結合との環化付加反応(1,3−双極子付加反応)を意味する。化合物(9)から誘導されるニトリルオキサイドが1,3−双極子として、化合物(10)の二重結合に対して付加反応が進行し、イソオキサゾリン環を構築することができる。
【0087】
第二の製造ルートは、式(3)で表される化合物を特許文献3(例えば、48ページ、0074段落参照)などに記載のハロゲン化法(反応e)によって式(6)で表される化合物へと誘導し、式(6)で表される化合物を特許文献3(例えば、46ページ、0068段落と、47ページ、0069段落参照)などに記載の一般的なハロゲン原子のアミノ化法(反応h)によって式(8)で表される化合物へと誘導し、最後に式(8)で表される化合物を一般的なアシル化(反応k)によってイソオキサゾリン誘導体(A')へと誘導するものである。
【0088】
第二の製造ルートの中間体である式(8)で表される化合物への誘導は、別の方法によっても行うことができる。
中間体である式(6)で表される化合物をフタルイミド化(反応i)などすることによって式(7)で表される化合物へと誘導し、次いで式(7)で表される化合物を特許文献2(例えば、126ページ、ステップ6参照)などに記載の脱保護法(反応j)によって式(8)で表される化合物へと誘導することができる。
【0089】
式(8)で表される化合物の製造中間体である式(6)で表される化合物は、式(1)で表される化合物または式(2)で表される化合物からも誘導できる。
式(1)で表される化合物を定法により脱保護(反応a)して式(4)で表される化合物へと誘導し、式(4)で表される化合物を一般的な水酸基のハロゲン化法(反応f)によって式(6)で表される化合物へと誘導することができる。
また、式(2)で表される化合物を酸性条件下(反応b)で式(5)で表される化合物へと誘導し、式(5)で表される化合物を特許文献2(例えば、126ページ、ステップ5参照)などに記載の一般的な還元法(反応d)によって式(4)で表される化合物へと誘導し、前記と同じ方法(反応f)によって式(6)で表される化合物へと誘導することができる。
【0090】
式(8)で表される化合物は、式(1)で表される化合物または式(2)で表される化合物から他の製造ルートを経て誘導することができる。
式(1)で表される化合物を定法により脱保護(反応a)して式(4)で表される化合物へと誘導し、式(4)で表される化合物を一般的な酸化法(反応c)によって式(5)で表される化合物へと誘導し、式(5)で表される化合物をカルボニル基の還元的アミノ化など(反応g)することによって式(8)で表される化合物へと誘導することができる。
また、式(2)で表される化合物を酸性条件下(反応b)で式(5)で表される化合物へと誘導し、式(5)で表される化合物を前記と同じ方法(反応g)によって式(8)で表される化合物へと誘導することができる。
【0091】
また、第三の製造ルートは、式(1)で表される化合物または式(4)で表される化合物を、酸性条件下に、式: RC≡N(式中、Rは無置換の若しくは置換基を有してもよいC1〜6アルキル基を示す。)で表されるアルキルシアニド化合物と反応させ、式(A')で表される化合物へと誘導するものである。いわゆるリッター反応(反応p)が利用できる。
【0092】
【化16】
【0093】
式(1)で表される化合物は、式(11)で表される化合物と式(10)で表される化合物を特許文献1(例えば、28ページ、0085段落参照)などに記載の2+3環化反応(反応m')によって縮合させて誘導することができる。
また、式(1)で表される化合物は、式(14)で表される化合物に、ヒドロキシアミンを塩基存在下、特許文献3(例えば、70ページ、0091段落参照)などに記載の方法(反応o)によって縮合させて誘導することができる。
式(14)で表される化合物は、式(12)で表される化合物と式(13)で表される化合物を特許文献3(例えば、70ページ、0091段落参照)などに記載の方法(反応n)によって縮合させて誘導することができる。
【0094】
また、第四の製造ルートは、式(14)で表される化合物を、酸性条件下に、式: RC≡N(式中、Rは無置換の若しくは置換基を有してもよいC1〜6アルキル基を示す。)で表されるアルキルシアニド化合物とリッター反応(反応q)させ、式(15)で表される化合物へと誘導するものである。さらにヒドロキシアミンを塩基存在下、特許文献3(例えば、70ページ、0091段落参照)などに記載の方法(反応r)によって縮合させ、式(A')で表される化合物へと誘導することができる。なお、式(14)および式(15)中の、波線で表される結合は、Phに対してトランス配座またはシス配座であることを示す。
【0095】
【化17】
【0096】
前記式中、RはC1〜6アルキル基を示す。
は、前記のOR、またはNHCORを示す。
波線で表される結合は、Phに対してトランス配座またはシス配座であることを示す。
【0097】
前記式(14)で表される化合物または前記式(15)で表される化合物(前記式(18)で表される化合物)は、式(17)で表される化合物または式(19)で表される化合物から誘導することができる。
具体的には、式(18)で表される化合物は、式(17)で表される化合物を、例えばピリジン、DMAP等の塩基存在下にて、無水酢酸、塩化チオニル等を用いて脱水すること(反応t)によって誘導することができる。なお、式(17)で表される化合物は、式(16)で表される化合物と式(13)で表される化合物を、弱アルカリ性水溶液中で、非特許文献2記載(例えば、4161ページ、スキーム2参照)の方法(反応s)によって縮合させて誘導することができる。
また、式(18)で表される化合物は、式(19)で表される化合物と式(13)で表される化合物を、非特許文献1(例えば、4692ページ、スキーム参照)に記載の方法(反応u)によって縮合させて誘導することもできる。
【0098】
また、前記式(13)で表される化合物のうち、下記式(22)で表される化合物(式(22)中、X”およびnは、式(I)におけるものと同じ意味を示す。)は、非特許文献3(例えば、2874ページ、スキーム2参照)に記載の方法によって誘導することができる。
具体的には、テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリドまたはフッ化セシウムなどの触媒存在下にて、下記式(20)で表される化合物(式(20)中、X”、およびnは前記と同じ意味を示し、Ra1は、C1〜6アルキル基を示す。)と、トリフルオロメチルトリメチルシランとを反応させて、下記式(21)で表される化合物(式(21)中、X”、n、およびRa1は前記と同じ意味を示す。)を得る。次いで、得られたシリルエーテルを加水分解反応で切断することによって、式(22)で表される化合物へ誘導することができる。
【0099】
【化18】
【0100】
なお、式(21)で表される化合物としては以下の化合物を例示することができる。
【0101】
【化19】
【0102】
また、式(II)で表される縮合環化合物のうち、インダン誘導体において、インダン環自体は次の方法で構築することができる。
下記式(IV)で表されるβ−フェニル−β―アラニン誘導体のアミノ基を保護基で保護して、下記式(V)で表される化合物を得て、この化合物をFriedel-Craftsアシル化をすることにより、下記式(VI)で表される化合物を得ることができる。さらに、下記式(VI)で表される化合物は、公知方法によりオキソ基を除去できる。
【0103】
【化20】
【0104】
(式(IV)中、Y'は式(II)のRと同じ意味を示し、好ましくはハロゲン原子を示す。)
【0105】
【化21】
【0106】
(式(V)中、AはRCO−基を示す。Rは水素原子またはアルキル基(好ましくは、C1〜6アルキル基)等である。Y'は前記と同じ意味を示す。)
【0107】
【化22】
【0108】
(式(VI)中、AおよびY'は前記と同じ意味を示す。)
【0109】
〔リッター反応〕
本発明の第五実施形態に係る製造方法は、リッター反応を鍵反応とする。
すなわち、アリル位に無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、トリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基、または無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルオキシ基を有する芳香族炭化水素環と脂肪族炭化水素環との縮合環化合物と、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルシアニド化合物とを、プロトン酸またはルイス酸存在下反応させて、アリル位に無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルアミノ基を有する芳香族炭化水素環と脂肪族炭化水素環との縮合環化合物を製造する方法である。
【0110】
(縮合環化合物)
本反応の原料となる化合物は、「アリル位に無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、トリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基、または無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルオキシ基を有する芳香族炭化水素環と脂肪族炭化水素環との縮合環化合物」である。
「C1〜6アルコキシ基」としては、前記X”において挙げたそれらと同じものを挙げることができる。
「トリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基」、「C1〜6アルキルカルボニルオキシ基」としては、前記Rにおいて挙げたそれと同じものを挙げることができる。
これらのうちで、C1〜6アルコキシ基が好ましい。
【0111】
「芳香族炭化水素環と脂肪族炭化水素環との縮合環化合物」としては、ベンゼン環、ナフタレン環などの芳香族炭化水素環と、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環などの脂肪族炭化水素環との縮合環化合物を上げることができる。
これらのうちで、インダン環またはテトラヒドロナフタレン環が好ましい。
【0112】
すなわち、本反応の原料となる縮合環化合物としては、「アリル位に無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、トリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基、または無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルオキシ基を有するインダン誘導体またはテトラヒドロナフタレン誘導体」が好ましい。
「C1〜6アルコキシ基」としては、前記X”において挙げたそれらと同じものを挙げることができる。
「トリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基」、「C1〜6アルキルカルボニルオキシ基」としては、前記Rにおいて挙げたそれと同じものを挙げることができる。
これらのうちで、アリル位にC1〜6アルコキシ基を有するインダン誘導体またはテトラヒドロナフタレン誘導体が特に好ましい。
【0113】
本反応の目的物となる化合物は、「アリル位に無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルアミノ基を有する芳香族炭化水素環と脂肪族炭化水素環との縮合環化合物」であり、「アリル位に無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルアミノ基を有するインダン誘導体またはテトラヒドロナフタレン誘導体」であることが好ましい。
「C1〜6アルキルカルボニルアミノ基」としては、前記R21において挙げたそれらと同じものを挙げることができる。
「置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルアミノ基」としては、 シクロプロピルメチルカルボニルアミノ基、シクロブチルメチルカルボニルアミノ基、シクロペンチルメチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルメチルカルボニルアミノ基、2−シクロプロピルエチルカルボニルアミノ基などのC3〜8シクロアルキルC1〜6アルキルカルボニルアミノ基; ジフルオロアセチルカルボニルアミノ基、ジクロロアセチルカルボニルアミノ基、トリフルオロアセチルアミノ基、トリクロロアセチルアミノ基、2,2,2−トリフルオロエチルカルボニルアミノ基、2,2,2−トリクロロエチルカルボニルアミノ基、ペンタフルオロエチルカルボニルアミノ基などのC1〜6ハロアルキルカルボニルアミノ基; メトキシアセチルアミノ基、2−メトキシエチルカルボニルアミノ基、2−メトキシ−n−プロピルカルボニルアミノ基などのC1〜6アルコキシC1〜6アルキルカルボニルアミノ基; を挙げることができる。
【0114】
(アルキルシアニド化合物)
「C1〜6アルキル基」としては、前記X”において挙げたそれらと同じものを挙げることができる。
「置換基を有するC1〜6アルキル基」としては、 シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、2−シクロプロピルエチル基などのC3〜8シクロアルキルC1〜6アルキル基; ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、ペンタフルオロエチル基などのC1〜6ハロアルキル基; メトキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−メトキシ−n−プロピル基などのC1〜6アルコキシC1〜6アルキル基;を挙げることができる。
【0115】
(プロトン酸またはルイス酸)
プロトン酸としては、硫酸、発煙硫酸、サルファン、安息香酸、酢酸、蟻酸、燐酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、クロロスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、陽イオン交換樹脂などを挙げることができる。
【0116】
プロトン酸は、単独で用いても、2種以上を混合して用いても良い。これらは、触媒量用いても、量論量用いても良い。溶液状のプロトン酸の場合は溶媒量用いても良い。
前記触媒量とは、反応の原料に対して試薬の使用量が少量の意味であり、数値で表すならば、1/10〜1/100当量である場合を意味する。一方、量論量とは、反応の原料に対して、試薬の必要量が推論的に当量またはそれ以上である場合を意味する。
【0117】
ルイス酸としては、
水銀トリフラート、硫酸水銀、銀トリフラート、銅トリフラート、鉄トリフラート、亜鉛トリフラート、インジウムトリフラート、スカンジウムトリフラートなどの金属トリフルオロメタンスルホン酸塩;
銀テトラフルオロボレートなどの金属テトラフルオロホウ酸塩;
銀パークロレートなどの金属過塩素酸塩;
銀ヘキサフルオロアンチモネートなどの金属SbF6塩;
硝酸銀などの金属硝酸塩;
硫酸銀などの金属硫酸塩;などを挙げることができる。
【0118】
ルイス酸は、単独で用いても、2種以上を混合して用いても良い。これらは、触媒量用いても、量論量用いても良い。
ルイス酸を用いる場合は、反応促進剤を添加しても良い。反応促進剤として前記のプロトン酸を挙げることができる。
【0119】
製造には、溶媒を用いることもできるし、無溶媒とすることもできる。前記のシアニド化合物を溶媒とすることもできる。
製造に用いることができる溶媒としては、反応を阻害しなければ特に制限はないが、
塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;
アセトン、MIBKなどのケトン類;
酢酸エチルなどのエステル類;
テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、t−ブチルメチルエーテル(MTBE)などのエーテル系溶媒;
トルエン、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素系溶媒;
DMF、DMSO、HMPA、NMP、DMIなどの非プロトン性溶媒;
メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール類;
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートなどのイオン性液体;
水;などが挙げられる。
これらの溶媒は、1種単独で、または2種以上混合して用いることができる。溶媒量(L)は、前記リッター反応の原料となる縮合環化合物(kg)に対して、容積(L)/重量(kg)で好ましくは1.0倍〜100倍、より好ましくは3倍〜30倍である。
【0120】
反応は攪拌することにより行われ、溶媒の融点から沸点までの適宜な温度で、好ましくは−20℃〜180℃である。好ましくは−20℃〜140℃である。反応時間は反応速度に応じて適宜に設定できるが、好ましくは3〜50時間、より好ましくは6〜24時間である。
【0121】
反応系の構築は、適宜好適なものを選択することができる。
用いる試薬全てを一時に混合し、反応させることもできる。また、プロトン酸、ルイス酸など(適当な溶媒に希釈してもよい)を、それ以外の試薬を含む反応系中に滴下することで反応させることもできる。その他にも、前記リッター反応の原料となる縮合環化合物と、プロトン酸、ルイス酸など(適当な溶媒に希釈してもよい)を同時に反応系中に滴下することでも、反応させることができる。
反応系内は、窒素雰囲気下とすることもできる。また、還流条件、加圧条件でも行うことができる。
無水条件で行う場合は、減圧による脱気、脱水溶媒の使用もできる。
【0122】
本発明の第六実施形態に係る製造方法は、前記リッター反応を用いた式(XI)で表される縮合環化合物を製造する方法である。
【0123】
【化23】
【0124】
前記式(XI)中、X”、n、X'、m、R、およびqは、前記式(I)と同様の意味を示す。
23は、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基を示す。
23において、「C1〜6アルキル基」としては、前記X”において挙げたそれらと同じものを挙げることができる。
「置換基を有するC1〜6アルキル基」としては、 シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、2−シクロプロピルエチル基などのC3〜8シクロアルキルC1〜6アルキル基; ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、ペンタフルオロエチル基などのC1〜6ハロアルキル基; メトキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−メトキシ−n−プロピル基などのC1〜6アルコキシC1〜6アルキル基;を挙げることができる。
【0125】
本発明の製造方法に用いる原料は、下記式(X)で表される縮合環化合物である。
【0126】
【化24】
【0127】
式(X)中、X”、n、X'、m、R、およびqは、前記式(XI)と同様の意味を示す。
22は、無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、トリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基、または無置換の若しくは置換基を有するC1〜6アルキルカルボニルオキシ基を示す。
【0128】
「C1〜6アルコキシ基」としては、前記X”において挙げたそれらと同じものを挙げることができる。
「トリC1〜6アルキル置換シリルオキシ基」、「C1〜6アルキルカルボニルオキシ基」としては、前記Rにおいて挙げたそれと同じものを挙げることができる。
これらのうちで、C1〜6アルコキシ基が好ましい。
【0129】
本発明の第七実施形態に係る製造方法は、前記リッター反応を用いた式(XIII)で表される縮合環化合物を製造する方法である。
【0130】
【化25】
【0131】
式(XIII)中、X”、n、X'、m、R、q、およびR23は、前記式(XI)と同様の意味を示す。
Zは、酸素原子またはヒドロキシイミノ基を示す。
波線で表される結合は、Rに対してトランス配座またはシス配座であることを示す。
【0132】
本発明の製造方法に用いる原料は、式(XII)で表される縮合環化合物である。
【0133】
【化26】
【0134】
式(XII)中、X”、n、X'、m、R、q、およびR22は、前記式(X)と同様の意味を示す。
Z、および波線で表される結合は、前記式(XIII)と同様の意味を示す。
【実施例】
【0135】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はそれら実施例によって何ら制限されるものではない。
先ず、式(I)で表される縮合環化合物の製造例を第1表に示す。
【0136】
【表1】
【0137】
【表2】
【0138】
【表3】
【0139】
さらに、式(I)で表される縮合環化合物の原料となる式(II)で表される縮合環化合物の製造例を第2表に示す。
【0140】
【表4】
【0141】
【表5】
【0142】
【表6】
【0143】
【表7】
【0144】
【表8】
【0145】
【表9】
【0146】
【表10】
【0147】
【表11】
【0148】
【表12】
【0149】
【表13】
【0150】
さらに、式(VII)で表される縮合環化合物の製造例を第3表に示す。
【0151】
【表14】
【0152】
【表15】
【0153】
【表16】
【0154】
【表17】
【0155】
【表18】
【0156】
さらに、式(VIII)で表される縮合環化合物の製造例を第4表に示す。
【0157】
【表19】
【0158】
【表20】
【0159】
【表21】
【0160】
【表22】
【0161】
【表23】
【0162】
次に、前記のうちのいくつかの化合物の製造実施例を示し、より具体的に説明する。
製造実施例
(実施例1)
1−(メトキシメトキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−カルバルデヒド オキシム〔1-(methoxymethoxy)-2,3-dihydro-1H-indene-5-carbaldehyde oxime〕の合成
1−(メトキシメトキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−カルバルデヒド〔1-(methoxymethoxy)-2,3-dihydro-1H-indene-5-carbaldehyde〕7.24g(35.1mmol)をジオキサン130mlおよび水20mlに溶解させた。これに塩化ヒドロキシルアンモニウム2.68g(38.6mmol)および炭酸ナトリウム2.08g(19.7mmol)を添加し、室温で2時間反応させた。反応終了後、ジオキサンを留去し、水を加え、次いで酢酸エチルで抽出した。抽出液を水で洗浄し、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、溶媒を留去した。1−(メトキシメトキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−カルバルデヒド オキシム7.65g(34.8mmol、収率99%)が得られた。これ以上の精製を行うことなく、実施例2の反応に使用した。
【0163】
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 8.13 (s, 1H), 7.58 (br, 1H), 7.39-7.49 (m, 3H), 5.13 (dd, 1H), 4.80 (s, 2H), 3.45 (s, 3H), 3.03-3.13 (m, 1H), 2.78-2.88 (m, 1H), 2.38-2.49 (m, 1H), 2.06-2.17 (m, 1H).
【0164】
また、原料である1−(メトキシメトキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−カルバルデヒドのNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 10.0 (s, 1H), 7.77-7.74 (m, 2H), 7.54 (d, 1H) ,5.16 (t, 1H), 4.81 (s, 2H), 3.47 (s, 3H), 3.17-3.07 (m, 1H), 2.93-2.83 (m, 1H), 2.55-2.44 (m, 1H), 2.19-2.07 (m, 1H).
【0165】
(実施例2)
3−(1−(メトキシメトキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール〔3-(1-(methoxymethoxy)-2,3-dihydro-1H-inden-5-yl)-5-(trifluoromethyl)-5-(3-(trifluoromethyl)phenyl)-4,5-dihydroisoxazole〕の合成
【0166】
【化27】
【0167】
1−(メトキシメトキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−カルバルデヒド オキシム〔1-(methoxymethoxy)-2,3-dihydro-1H-indene-
5-carbaldehyde oxime〕3.80g(17.2mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド60mlに溶解させた。これに、N−クロロスクシンイミド2.29g(17.2mmol)を添加し、40℃で1時間反応させた。続いて反応液を5℃に冷却し、1−(トリフルオロメチル)−3−(3,3,3−トリフルオロプロパ−1−エン−2−イル)ベンゼン〔1-(trifluoromethyl)-3-(3,3,3-trifluoroprop-1-en-2-yl)benzene〕5.22g(20.6mmol)およびトリエチルアミン2.08g(20.6mmol)を加え、室温で4時間反応させた。反応終了後、反応液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水で洗浄し、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、溶媒を留去して、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。3−(1−(メトキシメトキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール7.26g(15.8mmol、収率92%)が得られた。
【0168】
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ:7.87-7.81 (m, 2H), 7.69 (d, 1H), 7.52-7.61 (m, 3H), 7.49 (d, 1H), 5.13 (t, 1H), 4.78 (s, 2H), 4.13 (d, 1H), 3.75 (d, 1H), 3.44 (s, 3H), 3.03-3.08 (m, 1H), 2.81-2.86 (m, 1H), 2.41-2.49 (m, 1H), 2.04 -2.16 (m, 1H).
【0169】
(実施例3)
5−(5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール〔5-(5-(trifluoromethyl)-5-(3-(trifluoromethyl)phenyl)-4,5-dihydroisoxazol-3-yl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-ol〕の合成
【0170】
【化28】
【0171】
3−(1−(メトキシメトキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール3.00g(6.53mmol)をジオキサン20mlに溶解させた。これに、2%塩酸14.5mlを添加し、40℃で7時間、次いで60℃で51時間反応させた。反応終了後、ジオキサンを留去して、水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水で洗浄し、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、溶媒を留去して、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。5−(5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール2.24g(5.39mmol、収率83%)が得られた。
【0172】
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 7.81-7.87 (m, 2H), 7.69 (d, 1H), 7.53 -7.61 (m, 3H), 7.49 (d, 1H), 5.26 (t, 1H), 4.14 (d, 1H), 3.75 (d, 1H), 3.02-3.07 (m, 1H), 2.81-2.89 (m, 1H), 2.49 -2.60 (m, 1H), 1.91-2.01 (m, 1H).
【0173】
(実施例4)
3−(1−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール〔3-(1-bromo-2,3-dihydro-1H-inden-5-yl)-5-(trifluoromethyl)-5-(3-(trifluoromethyl)phenyl)-4,5-dihydroisoxazole〕の合成
【0174】
【化29】
【0175】
5−(5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール0.21g(0.51mmol)を塩化メチレン1.5mlに溶解させ、5℃に冷却した。これに、三臭化リン0.51g(0.76mmol)を添加し、室温で1時間反応させた。反応終了後、反応液を氷水に注ぎ、塩化メチレンで抽出した。抽出液を水で洗浄し、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、溶媒を留去した。3−(1−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール0.21g(0.44mmol、収率87%)が得られた。
【0176】
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ:7.81-7.87 (m, 2H), 7.70 (d, 1H), 7.53-7.61 (m, 3H), 7.47 (d, 1H), 5.54 (dd, 1H), 4.14 (d, 1H), 3.74 (d, 1H), 3.16-3.26 (m, 1H), 2.88-2.95 (m, 1H), 2.49-2.69 (m, 2H).
【0177】
(実施例5)
3−(1−クロロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール〔3-(1-cholro-2,3-dihydro-1H-inden-5-yl)-5-(trifluoromethyl)-5-(3-(trifluoromethyl)phenyl)-4,5-dihydroisoxazole〕の合成
【0178】
【化30】
【0179】
5−(5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール0.30g(0.72mmol)を塩化メチレン1.4mlに溶解させ、5℃に冷却した。これに、塩化チオニル0.094g(0.79mmol)を添加し、室温で2時間反応させた。反応終了後、反応液を氷水に注ぎ、塩化メチレンで抽出した。抽出液を水で洗浄し、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、溶媒を留去した。3−(1−クロロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール0.27g(0.62mmol、収率86%)が得られた。
【0180】
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ:7.81-7.87 (m, 2H), 7.70 (d, 1H), 7.54-7.61 (m, 3H), 7.48 (d, 1H), 5.40 (dd, 1H), 4.19 (d, 1H), 3.74 (d, 1H), 3.16-3.26 (m, 1H), 2.88-2.98 (m, 1H), 2.70-2.58 (m, 1H), 2.46-2.36 (m, 1H).
【0181】
(実施例6)
2−(5−(5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)イソインドリン−1,3−ジオン〔2-(5-(5-(trifluoromethyl)-5-(3-(trifluoromethyl)phenyl)-4,5-dihydroisoxazol-3-yl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl)isoindoline-1,3-dione〕の合成
【0182】
【化31】
【0183】
3−(1−クロロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール0.42g(0.97mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド2mlに溶解させた。これに、フタルイミドカリウム0.31g(1.65mmol)を添加し、80℃で1.5時間反応させた。反応終了後、氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水で洗浄し、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、溶媒を留去して、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。2−(5−(5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)イソインドリン−1,3−ジオン0.37g(0.69mmol、収率71%)が得られた。
【0184】
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ:7.41-7.86 (m, 11H) , 5.87 (dd, 1H), 4.11 (d, 1H), 3.72 (d, 1H), 3.30-3.41 (m, 1H), 2.92-3.07 (m, 1H), 2.42-2.63 (m, 2H).
【0185】
前記と同様の方法で以下の化合物を合成した。
1−(5−(5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)ピロリジン−2,5−ジオン〔1-(5-(5-(trifluoromethyl)-5-(3-(trifluoromethyl)phenyl)-4,5-dihydroisoxazol-3-yl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl)pyrrolidine-2,5-dione〕
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 7.85 (s, 1H), 7.40 -7.85 (m, 5H), 7.06 (d, 1H), 5.71 (dd, 1H), 4.08-4.18 (m, 1H), 3.68-3.75 (m, 1H), 3.22-3.38 (m, 1H), 2.85-3.00 (m, 1H), 2.60-2.80 (m, 4H), 2.28-2.52 (m, 2H),
【0186】
(実施例7)
1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−カルバルデヒド オキシム〔1-methoxy-2,3-dihydro-1H-indene-5-carbaldehyde oxime〕の合成
【0187】
【化32】
【0188】
1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−カルバルデヒド〔1-methoxy-2,3-dihydro-1H-indene-5-carbaldehyde〕7.02g(40mmol)をジオキサン120mlおよび水25mlに溶解させた。これに、塩化ヒドロキシルアンモニウム3.34g(48mmol)および炭酸ナトリウム2.54g(24mmol)を添加し、室温で2時間反応させた。反応終了後、ジオキサンを留去し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水で洗浄し、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、溶媒を留去した。1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−カルバルデヒド オキシム7.84g(34.8mmol、収率100%)が得られた。これ以上の精製を行うことなく、実施例8の反応に使用した。
【0189】
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ:8.13 (s, 1H), 7.79 (br, 1H), 7.39-7.48 (m, 3H), 4.82 (dd, 1H), 3.42 (s, 3H), 3.03-3.13 (m, 1H), 2.77-2.87 (m, 1H), 2.31-2.43 (m, 1H), 2.06-2.15 (m, 1H).
【0190】
また、原料である1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−カルバルデヒド〔1-methoxy-2,3-dihydro-1H-indene-5-carbaldehyde〕のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ:10.0 (s, 1H), 7.76-7.73 (m, 2H), 7.54 (d, 1H), 4.84 (dd, 1H), 3.45 (s, 3H), 3.17-3.07 (m, 1H), 2.93-2.82 (m, 1H), 2.48-2.37 (m, 1H), 2.17-2.06 (m, 1H).
【0191】
(実施例8)
3−(1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール〔3-(1-methoxy-2,3-dihydro-1H-inden-5-yl)-5-(trifluoromethyl)-5-(3-(trifluoromethyl)phenyl)-4,5-dihydroisoxazole〕の合成
【0192】
【化33】
【0193】
1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−カルバルデヒド オキシム1.91g(10mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド36mlに溶解させた。これに、N−クロロスクシンイミド1.34g(10mmol)を添加し、40℃で1時間反応させた。続いて反応液を5℃に冷却し、1−(トリフルオロメチル)−3−(3,3,3−トリフルオロプロパ−1−エン−2−イル)ベンゼン2.88g(12mmol)およびトリエチルアミン1.21g(12mmol)を加え、室温で3時間反応させた。反応終了後、反応液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水で洗浄し、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、溶媒を留去して、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。3−(1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール3.75g(8.7mmol、収率87%)が得られた。
【0194】
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ:7.81-7.87 (m, 2H), 7.69 (d, 1H), 7.50-7.61 (m, 3H), 7.44 (d, 1H), 4.82 (dd, 1H), 4.14 (d, 1H), 3.74 (d, 1H), 3.42 (s, 3H), 3.03-3.30 (m, 1H), 2.60-2.88 (m, 1H), 2.33-2.45 (m, 1H), 2.05-2.14 (m, 1H).
【0195】
また、反応系中で生成するN−ヒドロキシ−1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−カルビイミドイル クロライド〔N-hydroxy-1-methoxy-2,3-dihydro-1H-indene-5-carbimidoyl chloride〕を以下の方法で合成することができる。
【0196】
【化34】
【0197】
1−(メトキシイミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−カルバルデヒド オキシム〔1-methoxy-2,3-dihydro-1H-indene-5-carbaldehyde oxime〕382mg(2.0mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド7.2mlに溶解させた。その溶液にN−クロロスクシンイミド267mg(2.0mmol)を添加し、40℃で1時間攪拌した。続いて反応液を室温に冷却し、氷水へ注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水で3回洗浄し、次いで飽和食塩水で洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を留去してN−ヒドロキシ−1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−カルビイミドイル クロライド450mg(2.0mmol、収率100%)を得た。
【0198】
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ:8.28 (s, 1H), 7.71-7.69 (m, 2H), 7.43-7.41 (d, 1H), 4.85 (dd, 1H), 3.43 (S, 3H), 3.10-3.07 (m, 1H), 2.88-2.83 (m, 1H), 2.41-2.34 (m, 1H), 2.16-2.10 (m, 1H).
【0199】
前記と同様の方法で、3−[1−(t−ブチルジメチルシリロキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−5−トリフルオロメチル−5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール〔3-[1-((tert-butyldimethylsilyloxy)-2,3-dihydro-1H-inden-5-yl]-5-trifluoromethyl-5-(3-trifluoromethyl-phenyl)-4,5-dihydroisoxazole〕を合成した。
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 7.89 (1H, s, Ar-H), 7.82 (1H, d, Ar-H), 7.68 (1H, d, Ar-H), 7.51-7.60 (3H, m, Ar-H), 7.34 (1H, d, Ar-H), 5.25 (1H, t, O-CH), 4.15 (1H, dd, N=C-CH2), 3.75 (1H, dd, N=C-CH2), 2.72-3.06 (2H, m, Ar-CH2), 2.40-2.51 (1H, m, O-CH-CH2), 1.90-2.00 (1H, m, O-CH-CH2), 0.95 (9H, s, tBu), 0.17 (6H, d, SiCH3).
【0200】
また、原料である1−(t−ブチルジメチルシリロキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−カルバルデヒド オキシム〔1-(tert-butyldimethylsilyloxy)-2,3-dihydro-1H-indene-5-carbaldehyde oxime〕のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ:8.98 (s, 1H), 8.15 (s, 1H), 7.30-7.45 (m, 3H), 5.25 (t, 1H), 2.93-3.03 (m, 1H),2.72-2.83 (m, 1H), 2.40-2.49 (m, 1H), 1.88-2.00 (m, 1H), 0.96 (s, 9H), 0.17 (d, 6H).
【0201】
(実施例9)
5−(3、5−ジクロロフェニル)−3−(1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール〔5-(3,5-dichlorophenyl)-3-(1-methoxy-2,3-dihydro-1H-inden-5-yl)-5-(trifluoromethyl)- 4,5-dihydroisoxazole〕の合成
【0202】
【化35】
【0203】
フラスコに塩化メチレン5ml、5%次亜塩素酸ナトリウム14.89g(10mmol)、および1、3−ジクロロ−5−(3,3,3−トリフルオロプロパ−1−エン−2−イル)ベンゼン〔1,3-dichloro-5-(3,3,3-trifluoroprop-1-en-2-yl)benzene〕2.89 g(12 mmol)を仕込み、内温を15℃に調製した。そこへ1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−カルバルデヒド オキシム1.91 g(10 mmol)を塩化メチレン 10 mlに溶かした溶液を3.5時間かけて内温を15〜20 ℃を保ちながら滴下した。滴下終了後、内温20 ℃でさらに2時間攪拌した。反応終了後、下層の塩化メチレンを分液し、水層からさらに塩化メチレンで生成物を抽出し、有機層を合わせた。有機層を水、5% チオ硫酸ナトリウム、水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を留去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、3.59g(8.3mmol、収率83%)の5−(3、5−ジクロロフェニル)−3−(1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾールを得た。
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ:7.57 (d, 1H), 7.52-7.49 (m, 3H), 7.45 (s, 1H), 7.43-7.41 (m, 2H), 4.83 (dd, 1H), 4.09 (d, 1H), 3.70 (d, 1H), 3.42 (s, 3H), 3.10-3.04 (m, 1H), 2.82-2.81 (m, 1H), 2.43-2.34 (m, 1H), 2.13-2.05 (m, 1H).
【0204】
(実施例10)
5−(5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オン O−メチルオキシム〔5-(5-(trifluoromethyl)-5-(3-(trifluoromethyl)phenyl)-4,5-dihydroisoxazol-3-yl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-one O-methyl oxime〕の合成
(工程1) 1−(メトキシイミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−カルバルデヒド オキシム〔1-(methoxyimino)-2,3-dihydro-1H-indene-5-carbaldehyde oxime〕の合成
【0205】
【化36】
【0206】
1−(メトキシイミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−カルバルデヒド〔1-(methoxyimino)-2,3-dihydro-1H-indene-5-carbaldehyde〕74.03g(393mmol)をジオキサン590mlおよび水275mlに溶解させた。これに、塩化ヒドロキシルアンモニウム32.77g(472mmol)および炭酸ナトリウム24.99g(236mmol)を添加し、室温で2時間反応させた。反応終了後、ジオキサンを留去して、水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水で洗浄し、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、溶媒を留去した。1−(メトキシイミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−カルバルデヒド オキシム80.30g(393mmol、収率100%)が得られた。これ以上の精製を行うことなく、実施例10の反応に使用した。
【0207】
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ:7.35-8.13 (m, 4H), 4.01 (s, 3H), 2.96-3.09 (m, 2H), 2.86-2.93 (m, 2H).
【0208】
(工程2) 5−(5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オン O−メチルオキシム〔5-(5-
(trifluoromethyl)-5-(3-(trifluoromethyl)phenyl)-4,5-dihydroisoxazol-3-yl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-one O-methyl oxime〕の合成
【0209】
【化37】
【0210】
1−(メトキシイミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−カルバルデヒド オキシム2.72g(13.3mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド48mlに溶解させて、5℃に冷却した。これに、N−クロロスクシンイミド1.78g(13.3mmol)を加え、室温で1.5時間反応させた。続いて反応液を5℃に冷却し、1−(トリフルオロメチル)−3−(3,3,3−トリフルオロプロパ−1−エン−2−イル)ベンゼン4.21g(17.6mmol)およびトリエチルアミン1.61g(16.0mmol)を加え、5℃で4時間、次いで室温で2時間反応させた。反応終了後、反応液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水で洗浄し、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、溶媒を留去して、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。5−(5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オン O−メチルオキシム5.12g(11.6mmol、収率87%)が得られた。
【0211】
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 7.54-7.87 (m, 7H), 4.10 (d, 1H), 4.01 (s, 3H), 3.76 (d, 1H), 3.02-3.14 (m, 2H), 2.87-2.96 (m, 2H).
【0212】
(実施例11)
5−(5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オン〔5-(5-(trifluoromethyl)-5-(3-(trifluoromethyl)phenyl)-4,5-dihydroisoxazol-3-yl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-one〕の合成
【0213】
【化38】
【0214】
5−(5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オン O−メチルオキシム1.77g(4.0mmol)をジオキサン6mlおよびアセトン6mlに溶解させた。これに、6N塩酸6mlを添加し、3時間還流させた。反応終了後、ジオキサンおよびアセトンを留去して水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水で洗浄し、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、溶媒を留去して、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。5−(5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オン1.50g(3.64mmol、収率91%)が得られた。
【0215】
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ:7.58-7.87 (m, 7H), 4.18 (d, 1H), 3.79 (d, 1H), 3.17-3.21 (m, 2H), 2.73-2.77 (m, 2H).
【0216】
(実施例12)
N−ヒドロキシ−1−(3−メトキシプロパンアミド)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−カルボイミドイル クロライド〔N-hydroxy-1-(3-
methoxypropanamido)-2,3-dihydro-1H-indene-5-carbimidoyl chloride〕の合成
【0217】
【化39】
【0218】
N−(5−((ヒドロキシイミノ)メチル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−3−メトキシプロパンアミド〔N-(5-((hydroxyimino)methyl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl)-3-methoxypropanamide〕0.30g(1.14mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド4.1mlに溶解させた。これに、N−クロロスクシンイミド0.15g(1.14mmol)を加え、45℃で1.5時間反応させた。反応終了後、反応液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水で洗浄し、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、溶媒を留去して、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。N−ヒドロキシ−1−(3−メトキシプロパンアミド)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−カルボイミドイル クロライド0.16g(0.54mmol、収率47%)が得られた。
【0219】
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ:7.70 (m, 1H), 7.26-7.38 (m, 3H), 6.62 (br, 1H), 5.51 (m, 1H), 3.68 (t, 2H), 3.36 (s, 3H), 2.82-3.03 (m, 2H), 2.59-2.68 (m, 1H), 2.49-2.54 (m, 2H), 1.76-1.89 (m, 1H).
【0220】
また、原料であるN−(5−((ヒドロキシイミノ)メチル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−3−メトキシプロパンアミド〔N-(5-((hydroxyimino)methyl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl)-3-methoxypropanamide〕のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ:9.51 (br, 1H), 8.09 (s, 1H), 7.43 (s, 1H), 7.38 (d, 1H), 7.29 (d, 1H), 6.62 (br, 1H), 5.48 (dd, 1H), 3.69 (t, 2H), 3.36 (s, 3H), 3.01-2.79 (m, 2H), 2.66-2.49 (m, 3H), 1.87-1.74 (m, 1H).
【0221】
(実施例13)
前記(実施例10)と同様の方法で、N−(5−(5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−アセトアミド 〔N-{5-[5-trifluoromethyl-5-(3-trifluoromethyl-phenyl)-4,5-dihydroisoxazol-3-yl]-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl}-acetamide〕を合成した。
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ:7.87 (s, 1H), 7.82 (d, 1H), 7.70 (d, 1H), 7.46 -7.62 (m, 3H), 7.34 (d, 1H), 5.66 (d, 1H), 5.51 (dd, 1H), 4.14 (dd, 1H), 3.74 (dd, 1H), 2.84-3.04 (m, 2H), 2.59-2.68 (m, 1H), 2.06 (s, 3H), 1.50-1.90 (m, 1H).
【0222】
N−(5−(5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−ホルムアミド〔N-{5-[5-trifluoromethyl-5-(3-trifluoromethyl-phenyl)-4,5-dihydroisoxazol-3-yl]-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl}-formamide〕
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 8.30 (s, 1H), 7.87 (s, 1H), 7.82 (d, 1H), 7.70 (d, 1H), 7.47-7.64(m, 3H), 7.35 (d, 1H), 5.80 (d, 1H), 5.60 (dd, 1H), 4.14 (dd, 1H), 3.75 (dd, 1H), 2.81-3.10 (m, 2H), 2.60-2.70 (m, 1H), 1.81-1.95 (m, 1H).
【0223】
3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−5−トリフルオロメチル−5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール〔3-(2,3-dihydro-1H-inden-5-yl)-5-trifluoromethyl-5-(3-trifluoromethyl-phenyl)-4,5-dihydroisoxazole〕
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ:7.87 (s, 1H), 7.82 (d, 1H), 7.68 (d, 1H), 7.11-7.60 (m, 4H), 4.13 (d, 1H), 3.73 (d, 1H), 2.92 (t, 4H), 2.08-2.17 (m, 2H)
【0224】
3−(1H−インデン−6−イル)−5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール〔3-(1H-inden-6-yl)-5-(trifluoromethyl)-5-(3-(trifluoromethyl)phenyl)-4,5-dihydroisoxazole〕
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ:7.89-7.83 (m, 3H), 7.69 (d, 1H), 7.61-7.54 (m, 2H), 7.43 (d, 1H), 6.90 (m, 1H), 6.70 (m, 1H), 4.19 (d, 1H), 3.78 (d, 1H), 3.45 (s, 2H).
【0225】
(実施例14)
公知の方法を用いて、5−ブロモ−1−(メトキシメトキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン〔5-bromo-1-(methoxymethoxy)-2,3-dihydro-1H-indene〕を合成した。
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ:7.40 (s, 1H) , 7.36-7.24 (m, 2H), 5.06 (dd, 1H), 4.78 (s, 2H), 3.42 (s, 3H), 3.11-3.01 (m, 1H), 2.85-2.75 (m, 1H), 2.46-2.34 (m, 1H), 2.15-2.04 (m, 1H).
【0226】
5−ブロモ−1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン〔5-bromo-1-methoxy-2,3-dihydro-1H-indene〕
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ:7.39 (s, 1H) , 7.35-7.24 (m, 2H), 4.75 (dd, 1H), 3.40 (s, 3H), 3.11-3.00 (m, 1H), 2.84-2.75 (m, 1H), 2.39-2.28 (m, 1H), 2.13-2.02 (m, 1H).
【0227】
5−ヨード−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オン O−メチルオキシム〔5-iodo-2,3-dihydro-1H-inden-1-one O-methyl oxime〕
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ:7.68 (s, 1H) , 7.57 (d, 1H), 7.41 (d, 1H), 3.97 (s, 3H), 3.03-2.96 (m, 2H), 2.89-2.80 (m, 2H).
【0228】
N−(5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−3−メトキシプロパンアミド〔N-(5-bromo-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl)-3-
methoxypropanamide〕
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ:7.37 (s, 1H), 7.33 (d, 1H), 7.14 (d, 1H), 6.37 (br, 1H), 5.43 (dd, 1H), 3.66 (t, 2H), 3.35 (s, 3H), 2.95-2.78 (m, 2H), 2.65-2.48 (m, 3H), 1.85-1.72 (m, 1H).
【0229】
N−(5−ヨード−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−3−メトキシプロパンアミド〔N-(5-iodo-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl)-3-
methoxypropanamide〕
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ:7.59 (s, 1H), 7.53 (d, 1H), 7.02 (d, 1H), 6.37 (br, 1H), 5.44 (dd, 1H), 3.66 (t, 2H), 3.49 (s, 3H), 2.99-2.78 (m, 2H), 2.63-2.48 (m, 3H), 1.83-1.70 (m, 1H).
【0230】
N−(5−シアノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−3−メトキシプロパンアミド〔N-(5-cyano-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl)-3-
methoxypropanamide〕
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ:7.52 (s, 1H), 7.51 (d, 1H), 7.37 (d, 1H), 6.45 (br, 1H), 5.55 (dd, 1H), 3.67 (t, 2H), 3.36 (s, 3H), 3.05-2.84 (m, 2H), 2.70-2.60 (m, 1H), 2.53 (t, 2H), 1.89-1.76 (m, 1H).
【0231】
(実施例15)
(E)−5−ジメトキシメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オン O−メチル−オキシム〔(E)-5-Dimethoxymethyl-2,3-dihydro-1H-inden-1-one O-methyl-oxime〕の合成
公知の方法で得られる(E)−5−ホルミル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オン O−メチル−オキシム〔(E)-5-formyl-2,3-dihydro-1H-inden-1-one O-methyl-oxime〕1.24g(6.56mmol)、オルトギ酸トリメチル2.37g(13.78mmol)、およびp−トルエンスルホン酸(TsOH)20mg(0.1mmol)を50mLのフラスコに添加し、3.5時間加熱還流して反応させた。反応終了後、これに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液10mLを加え、有機相を酢酸エチル20mLで2回抽出した。
各回の抽出操作で得られた有機相を一つにまとめた。それを食塩水10mLで洗浄し、分液した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。目的物である(E)−5−ジメトキシメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オン O−メチル−オキシム1.57gが得られた。これ以上の精製をすることなく実施例16にて使用した。
【0232】
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR(CDCl3)δ:7.68(2H, d), 7.41(1H, s), 7.33(1H, d), 5.39(1H, s), 3.99(3H, s), 3.32(6H, s), 3.06-3.02(2H, m), 2.91-2.88(2H, m)
13C-NMR(CDCl3)δ:162.1, 148.1, 140.1, 136.2, 125.5, 123.6, 102.9, 62.0, 52.8, 28.6, 26.6
【0233】
(実施例16)
(E)−5−ジメトキシメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−アミン〔(E)-5-Dimethoxymethyl-2,3-dihydro-1H-inden-1-amine〕の合成
100mLの4頚フラスコに、窒素雰囲気下、実施例15にて得た(E)−5−ジメトキシメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オン O−メチル−オキシム800mg(3.4mmol)およびメタノール7mLを仕込み、続いて氷冷下にしてPd−C 180mg(10wt%)を添加した。その後、風船を用いて、適当量の水素雰囲気下25℃で5時間反応させた。反応終了後、Pd−Cの残骸をセライト(登録商標)ろ過し、ろ液を濃縮乾固させた。目的物である(E)−5−ジメトキシメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−アミン0.64g(収率92.6% 2step)が得られた。これ以上の精製をすることなく実施例17にて使用した。
【0234】
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (CDCl3)δ:7.34-7.28(3H, m), 5.36(1H, s), 4.37(1H, t), 3.36(6H, s), 2.98-2.95(1H, m), 2.80-2.78(1H, m), 2.52-2.35(1H, m), 1.75-1.70(1H, m)
【0235】
(実施例17)
N−(5−(ジメトキシメチル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−3−メトキシプロパンアミド〔N-(5-(Dimethoxymethyl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl)-3-methoxypropanamide〕の合成
100mLの4頚フラスコに、実施例16にて得た(E)−5−ジメトキシメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−アミン640mg(3.09mmol)およびジクロロメタン7mLを仕込み、続いて氷冷下にして3−メトキシプロピオン酸890mg(3.40mmol)を添加した。これにエチル[(3−ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミド塩酸塩(EDCI−HCl)350mg(4.63mmol)を添加した。その後、室温まで昇温し1時間反応させた。反応終了後、水10mLを加え、有機相を分離した。ジクロロメタン10mLで2回抽出した。各回の抽出操作で得られた有機相をひとつにまとめて、それを飽和NaHCO3水溶液、食塩水10mLで順次洗浄し、次いで分液した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いで濃縮した。目的物であるN−(5−(ジメトキシメチル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−3−メトキシプロパンアミド780mg(収率86.1%)が得られた。
【0236】
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR(CDCl3)δ:7.33(1H, s), 7.30-7.25(2H, m), 6.38(2H, d), 5.50(1H, q) , 5.35(1H, s) , 5.36(1H, s) , 3.67(2H, t), 3.38(9H, s), 3.05-2.80(2H, m) , 2.70-2.55(2H, m), 2.51 (2H, t), 1.85-1.75(2H, m)
【0237】
得られたN−(5−(ジメトキシメチル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−3−メトキシプロパンアミドを、脱保護によってホルミル体に変換した。得られたN−(5−ホルミル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−3−メトキシプロパンアミド〔N-(5-formyl-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl)-3-methoxypropanamide〕のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ:9.99 (s, 1H), 7.75 (s, 1H), 7.73 (d, 1H), 7.42 (d, 1H), 6.51 (br, 1H), 5.56 (dd, 1H), 3.68 (t, 2H), 3.36 (s, 3H), 3.06-2.90 (m, 2H), 2.72-2.62 (m, 1H), 2.53 (t, 2H), 1.91-1.78 (m, 1H).
【0238】
その後、実施例1に記載の方法と同じ方法で、N−(5−((ヒドロキシイミノ)メチル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−3−メトキシプロパンアミドを誘導することができる。
【0239】
(実施例18)
N−(5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−3−メトキシプロピオンアミド〔N-(5-Bromo-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl)-3-
methoxypropionamide〕の合成
(工程1) 3−(4−ブロモフェニル)−3−(3−メトキシプロピオニルアミノ)プロピオン酸〔3-(4-Bromophenyl)-3-(3-methoxypropionylamino)propionic acid〕の合成
反応器Aにて、3−メトキシプロピオン酸3.13g(30.1mmol)をテトラヒドロフラン30mLに溶解させた。これを0℃に冷却し、カルボニルジイミダゾール4.81g(29.7mmol)を添加して11.5時間反応させた。
反応器Bにて、公知の方法で得られる3−アミノ−3−(4−ブロモフェニル)プロピオン酸〔3-amino-3-(4-bromophenyl)propionic acid〕4.87g(20.0mmol)、トリエチルアミン6.07g(60.0mmol)、アセトン30mLおよび水10mLを溶解させた。次いで0℃に冷却した。
反応器Aで調製した溶液全量を前記反応器Bに4℃以下を保って添加した。その後1時間撹拌した。次いで室温で一晩放置した。得られた溶液に28%水酸化ナトリウム水溶液6.46g(45.2mmol)を添加して7時間反応させた。35%塩酸を加えて反応を止め、塩化メチレンで抽出した。抽出液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、溶媒を留去した。得られた粗生成物を熱ヘキサンで洗浄し、減圧乾燥させた。目的物である3−(4−ブロモフェニル)−3−(3−メトキシプロピオニルアミノ)プロピオン酸が白色結晶として1.57g(4.76mmol,収率24%)得られた。
【0240】
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (CDCl3)δ:2.50(t, 2H), 2.88(ddd, 2H), 3.36(s, 3H), 3.60-3.69(m, 2H), 5.37-5.42(m, 1H), 7.18(d, 2H), 7.45(d, 2H).
13C-NMR (CDCl3)δ:36.9, 39.7, 48.8, 58.8, 68.6, 121.4, 127.9, 131.6, 139.3, 171.1, 174.0.
【0241】
(工程2) 3−(4−ブロモフェニル)−3−(3−メトキシプロピオニルアミノ)プロピオン酸クロライド〔3-(4-Bromophenyl)-3-(3-methoxypropionylamino)propionyl chloride〕の合成
3−(4−ブロモフェニル)−3−(3−メトキシプロピオニルアミノ)プロピオン酸1.57g(4.76mmol)を塩化メチレン19.3gに溶解させた。これに、塩化チオニル1.05g(8.83mmol)を添加して、室温で2.5時間反応させた。反応終了後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣に塩化メチレンを添加し、再度減圧留去した。目的物である3−(4−ブロモフェニル)−3−(3−メトキシプロピオニルアミノ)プロピオン酸クロライドを得た。これ以上の精製を行うことなく実施例20にて使用した。
【0242】
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (CDCl3)δ:2.60(bs, 2H), 3.37(s, 3H), 3.37-3.59(ddd, 2H), 3.65(bs, 2H), 5.39(q, 1H), 7.19(d, 2H), 7.50(d, 2H).
13C-NMR(CDCl3)δ:36.2, 49.8, 51.9, 58.9, 68.3, 122.2, 128.0, 132.0, 137.4, 171.0, 172.3.
【0243】
(工程3) N−(5−ブロモ−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−3−メトキシプロピオンアミド〔N-(5-Bromo-3-oxo-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl)-3-methoxypropionamide〕の合成
3−(4−ブロモフェニル)−3−(3−メトキシプロピオニルアミノ)プロピオン酸クロライドに塩化メチレン10.4gおよび塩化アルミ1.81g(13.6mmol)を添加して4時間還流して反応させた。この反応液を氷水に注ぎ、28%水酸化ナトリウム水溶液で中和して、塩化メチレンで抽出した。抽出液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、溶媒を留去した。目的物であるN−(5−ブロモ−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−3−メトキシプロピオンアミドが薄茶色結晶として1.15g(3.68mmol,収率77%,2工程)得られた。これ以上の精製を行うことなく実施例21にて使用した。
【0244】
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (CDCl3)δ:2.48-2.54(m, 3H), 3.24(dd, 1H), 3.35(s, 3H), 3.66(t, 2H), 5.64(td, 1H), 6.67(d, 1H), 7.50(d, 1H), 7.76(dd, 1H), 7.88(s, 1H).
13C-NMR (CDCl3)δ:37.0, 45.0, 47.0, 58.9, 68.5, 123.5, 126.2, 127.4, 138.0, 138.2, 152.4, 171.5, 201.3.
【0245】
(工程4) N−(5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−3−メトキシプロピオンアミド〔N-(5-Bromo-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl)-3-methoxypropionamide〕の合成
N−(5−ブロモ−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−3−メトキシプロピオンアミド55.0mg(0.176mmol)を、35%塩酸5.6mLおよび水8mLに溶解させた。これに、亜鉛粉1.41g(21.5mmol)を加えて室温で13.5時間反応させた。この反応液に98%硫酸4.8gを添加し、室温で更に1時間反応させた。反応液をろ紙でろ過した。ろ液を氷水に注ぎ、28%水酸化ナトリウム水溶液で中和して、塩化メチレンで複数回抽出した。各回の抽出操作で得られた抽出液をひとつにまとめて、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。目的物であるN−(5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−3−メトキシプロピオンアミドが黄色オイルとして6.6mg(0.022mmol,13%)得られた。
【0246】
(実施例19)
N−(5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)アセトアミド〔N-(5-bromo-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl)acetamide〕の合成
公知の方法で合成したN−(5−ブロモ−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)アセトアミド〔N-(5-Bromo-3-oxo-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl)acetamide〕1.07g(4mmol)、炭酸カリウム2.75g(20mmol)、ヒドラジン・一水和物3.43g(68mmol)およびジエチレングリコール18.4mLを反応器に仕込み、85℃まで加温した。この反応液に水酸化カリウム1.21g(20mmol)を添加して135℃まで昇温し1時間反応させた。冷却後、この反応液に水40mL、メタノール40mLおよびクロロホルム20mLを加えて分液した。水相をクロロホルム20mLで2回、クロロホルム10mLで2回抽出した。各抽出操作で得られた抽出液をひとつにまとめて、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物に水およびクロロホルムを加えてろ紙でろ過した。このろ液を分液し、クロロホルム相を硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をカラム精製した。目的物であるN−(5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)アセトアミド346mg(1.36mmol, 収率34%)が得られた。
【0247】
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (CDCl3)δ:1.76-1.85(m, 1H), 2.04(s, 3H), 2.55-2.62(m, 1H), 2.81-2.99(m, 2H), 5.42(q, 1H), 5.61(bs, 1H), 7.15(d, 1H), 7.32(d, 1H), 7.37(s, 1H).
13C-NMR (CDCl3)δ:23.6, 30.2, 34.2, 54.2, 121.8, 125.4, 127.8, 129.7, 142.1, 145.5, 169.5.
【0248】
(実施例20)
3−メトキシ−N−(5−(5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロパンアミド〔3-methoxy-N-(5-(5-(trifluoromethyl)-5-(3-(trifluoromethyl)phenyl)-4,5-dihydroisoxazol-3-yl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl) propanamide〕の合成
【0249】
【化40】
【0250】
硫酸6mlを5℃に冷却した。そこに3−(1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール〔3-(1-methoxy-2,3-dihydro-1H-inden-5-yl)-5-(trifluoromethyl)-5-(3-(trifluoromethyl)phenyl)-4,5-dihydroisoxazole〕2.58g(6mmol)を3−メトキシプロピオニトリル20.4mlに溶かした溶液を少量ずつ5分間かけて滴下した。半分程度滴下した時点で溶液の粘度が増して攪拌しにくくなったため、氷バスを外して残りを滴下した。全量滴下後、室温で1.5時間攪拌した。その後、反応液を氷水に注ぎ、生成物を酢酸エチルで抽出した。抽出液を水、飽和重曹水、水および飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。目的物である3−メトキシ−N−(5−(5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロパンアミド2.23g(4.46mmol、収率74%)が得られた。
【0251】
(実施例21)
N−(5−(5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロパンアミド〔3-methoxy-N-(5-(5-(trifluoromethyl)-5-(3-(trifluoromethyl)phenyl)-4,5-dihydroisoxazol-3-yl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl) propanamide〕の合成(リッター反応による合成)
3−(1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(1 mmol)と、プロピオニトリル(13 mmol)を混合し、硫酸192mgを少量ずつ滴下した。全量滴下後、室温で2時間攪拌した後、反応液を氷水に注ぎ、生成物を酢酸エチルで抽出した。抽出液を水、飽和重曹水、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を留去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。目的物であるN−(5−(5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロパンアミドを、収率93%で得た。
【0252】
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.88 (s, 1H), 7.81 (d, 1H), 7.69 (d, 1H), 7.44 -7.61 (m, 3H), 7.29 (d, 1H), 5.88-5.91 (br, 1H), 5.48 (dd, 1H), 4.13 (dd, 1H), 3.75 (dd, 1H), 2.80-3.02 (m, 2H), 2.54-2.64 (m, 1H), 2.26 (q, 2H), 1.76-1.87 (m, 1H), 1.17 (t, 3H).
【0253】
(実施例22)
前記(実施例21)と同様のリッター反応を、ブチロニトリルを用いて行い、N−(5−(5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)ブチリルアミド〔N-(5-(5-(trifluoromethyl)-5-(3-(trifluoromethyl)phenyl)-4,5-dihydroisoxazol-3-yl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl) butyramide〕を合成した。
目的物の収率は93%であった。
【0254】
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.88 (s, 1H), 7.82 (d, 1H), 7.69 (d, 1H), 7.44 -7.61 (m, 3H), 7.29 (d, 1H), 5.88-5.92 (m, 1H), 5.49 (dd, 1H), 4.13 (dd, 1H), 3.75 (dd, 1H), 2.81-3.01 (m, 2H), 2.55-2.64 (m, 1H), 2.21 (t, 2H), 1.64-1.86 (m, 3H), 0.97 (t, 3H).
【0255】
前記(実施例21)と同様のリッター反応を、シクロプロパンカルボニトリルを用いて行い、N−(5−(5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)シクロプロパンカルボアミド〔N-(5-(5-(trifluoromethyl)-5-(3-(trifluoromethyl)phenyl)-4,5-dihydroisoxazol-3-yl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl) cyclopropanecarboxamide〕を合成した。
目的物の収率は89%であった。
【0256】
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.88 (s, 1H), 7.82 (d, 1H), 7.69 (d, 1H), 7.44 -7.61 (m, 3H), 7.32 (d, 1H), 6.00-6.08 (m, 1H), 5.49 (dd, 1H), 4.13 (dd, 1H), 3.75 (d, 1H), 2.79-3.05 (m, 2H), 2.54-2.65 (m, 1H), 1.76-1.90 (m, 1H), 1.34-1.43 (m, 1H), 0.96-1.07 (m, 2H), 0.72-0.81 (m, 2H).
【0257】
(実施例23)
前記(実施例21)と同様のリッター反応を、3−メトキシブチロニトリルを用いて行い、3−メトキシ−N-(5-(5-(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)ブチルアミド〔3-methoxy-N-(5-(5-(trifluoromethyl)-5-(3-(trifluoromethyl)phenyl)-4,5-dihydroisoxazol-3-yl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl) butyramide〕を合成した。
目的物の収率は86%であった。
【0258】
前記(実施例21)と同様のリッター反応を、3,3,3−トリフルオロプロピオニトリルを用いて行い、3,3,3トリフルオロ−N-(5-(5-(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロパンアミド〔3,3,3-trifluoro-N-(5-(5-(trifluoromethyl)-5-(3-(trifluoromethyl)phenyl)-4,5-dihydroisoxazol-3-yl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl) propanamide〕を合成した。
目的物の収率は46%であった。
【0259】
(実施例24)
{5−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−4,4,4,−トリフルオロ−2−ブテノイル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル}−酢酸エステル〔Acetic acid 5-[3-(3,5-dichloro-phenyl)-4,4,4-trifluoro-but-2-enoyl]-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl ester〕の合成
(工程1) (5−アセチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)酢酸エステル 〔Acetic acid 5-acetyl-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl ester〕の合成
【0260】
【化41】
【0261】
市販の5−ブロモ−1−インダノンから公知の方法で(5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)酢酸エステルを製造した。(5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)酢酸エステル19.1gを、N,N−ジメチルホルムアミド200mlおよび水50mlに溶解させた。この溶液に炭酸カリウム12.4g、酢酸パラジウム(II)0.84g、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン3.1g、およびn−ブチルビニルエーテル19gを加えた。これを、窒素雰囲気下で、80℃にて一晩撹拌して反応させた。該反応液を氷冷し、これに2N塩酸160mlを滴下し、次いで室温にて2時間撹拌した。該反応液を氷水に注加し、酢酸エチルで抽出した。有機相を水で洗浄し、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒= 酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1〔体積比〕)で精製することによって目的化合物13.8g(収率84%)を得た。
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (CDCl3)δ:2.08(s,3H),2.10-2.19(m,1H),2.50-2.61(m,1H),2.60(s,1H),2.88-2.98(m,1H),3.09-3.18(m,1H),6.19-6.23(m,1H),7.48(d,1H),7.82-7.86(m,2H)
【0262】
(工程2) {5−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−4,4,4,−トリフルオロ−2−ブテノイル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル}−酢酸エステル 〔Acetic acid 5-[3-(3,5-dichloro-phenyl)-4,4,4-trifluoro-but-2-enoyl]-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl ester〕の合成
【0263】
【化42】
【0264】
(5−アセチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)酢酸エステル4.28g、および3',5'−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロアセトフェノン4.77gをトルエン10mlに溶解させた。この溶液に1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン0.3gを加え、還流下で、一晩撹拌した。該反応液を氷水に注加し、酢酸エチルで抽出し、有機相を水で洗浄し、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒=酢酸エチル/n−ヘキサン=3/2〔体積比〕)で精製することによって目的化合物6.27g(収率75%)を得た。
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (CDCl3)δ:2.09(s,3H),2.10-2.18(m,1H),2.50-2.61(m,1H),2.88-2.96(m,1H),3.08-3.18(m,1H),6.17-6.20(m,1H),7.15-7.71(m,2H)
【0265】
(実施例25)
3−メトキシ−N−(5−(4,4,4−トリフルオロ−3−(3−トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エノイル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロパンアミド〔3-methoxy-N-(5-(4,4,4-trifluoro-3-(3-(trifluoromethyl)phenyl)but-2-enoyl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl)propanamide〕の合成
(工程1)5-(1-ブトキシビニル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン〔5-(1-butoxyvinyl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-one〕の合成
【0266】
【化43】
【0267】
窒素雰囲気下にて1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン0.62g(1.50mmol)および酢酸パラジウム0.17g(0.76mmol)を50℃でエチレングリコール60mlとともに20分間熟成させた。これに5-ブロモ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン〔5-bromo-2,3-dihydro-1H-inden-1-one〕6.33g(29.99mmol)を添加し、55〜60℃で5分間熟成させた。その後、トリエチルアミン9.17g(90.62mmol)を滴下し、5分間熟成させた。この赤褐色溶液にブチルビニルエーテル9.06g(90.46mmol)を滴下した。滴下終了後、65〜75℃で25時間熟成させた。
反応終了後、ヘキサン60mlを添加し、50〜60℃で10分間熟成させた。その後、セライト(登録商標)濾過し、ヘキサン60mlで残渣を洗浄して、濾液を得た。濾液からエチレングリコール相を分取し、ヘキサン20mlで抽出した。ヘキサン抽出液を水90mlで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、溶媒を留去し、赤褐色油状物の5-(1-ブトキシビニル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン6.52g(28.31mmol、収率94%)が得られた。
得られた化合物のNMR分析結果は以下の通りであった。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ:7.62-7.73(m,3H),4.78(d,1H),4.34(d,1H),3.88(t,2H),3.15(t,2H),2.71(t,2H),1.77-1.85(m,2H),1.49-1.58(m,2H),1.00(t,3H).
13C-NMR (400MHz, CDCl3)δ:7206.279,158.876,155.035,142.627,136.688,124.677,123.242,123.085,84.648,67.768,36.630,31.189,25.972,19.635,14.053.
【0268】
(工程2) 5−(1−ブトキシビニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール〔5-(1-butoxyvinyl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-ol〕の合成
【0269】
【化44】
【0270】
5−(1−ブトキシビニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オン197.2mg(0.86mmol)をエタノール4.3mlに溶解させた。これに、テトラヒドロホウ酸ナトリウム32.3mg(0.86mmol)を添加し、25〜28℃で70分間反応させた。反応終了後、水21.5mlを添加し、塩化メチレン13.0mlで3回抽出を行った。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し、目的物である5−(1−ブトキシビニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オールが黄色オイルとして130.3mg(0.56mmol、収率65%)得られた。
【0271】
(工程3) 1−(1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)エタノン〔1-(1-(tert-butyldimethylsilyloxy)-2,3-dihydro-1H-inden-5-yl)ethanone〕の合成
【0272】
【化45】
【0273】
5−(1−ブトキシビニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール 2.26g(9.7mmol)をトルエン20mlに溶解させた。これに、t−ブチルジメチルシリルクロリドの50%トルエン溶液3.56g(11.8mmol)とイミダゾール0.82g(12.0mmol)を添加し、47〜52℃で80分間反応させた。反応終了後、水15mlを添加し、氷冷下35%塩酸でpH1以下に調整し、トルエン10mlを添加して分液した。有機相を10%食塩水10mlで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。目的物である1−(1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)エタノンが黄色オイルとして1.33g(4.6mmol,収率47%)得られた。
得られた化合物のNMR分析結果は以下の通りであった。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ:0.16(s,3H), 0.19(s,3H), 0.95(s,9H), 1.95(tdd,1H), 2.47(tdd,1H), 2.59(s,3H), 2.80(td,1H), 3.01(ddd,1H), 5.26(t,1H), 7.37(d,1H), 7.80(s,1H), 7.83(d,1H).
【0274】
(工程4)1−(1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−4,4,4−トリフルオロ−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エン−1−オン〔1-(1-(tert-butyldimethylsilyloxy)-2,3-dihydro-1H-inden-5-yl)-4,4,4-trifluoro-3-(3-(trifluoromethyl)phenyl)but-2-en-1-one〕の合成
【0275】
【化46】
【0276】
1−(1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)エタノン0.58gと2,2,2−トリフルオロ−3'−(トリフルオロメチル)アセトフェノン0.75g(3.1mmol)をトルエン2.0mlに溶解させた。これに、テトラ n−ブチルアンモニウムブロミド65.5mgと炭酸カリウム0.28g(2.0mmol)を添加し、還流温度で2時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、トルエン6.0mlを添加した。反応液を水2.0mlで2回、次いで10%食塩水2.0mlで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。目的物である1−(1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−4,4,4−トリフルオロ−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エン−1−オンの2種類の異性体AおよびBがそれぞれ0.81g(1.6mmol,収率79%)および0.06g(0.1mmol,収率6%)得られた。
得られた化合物のNMR分析結果は以下の通りであった。
【0277】
(異性体A)
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ:0.15(s,3H), 0.17(s,3H), 0.94(s,9H), 1.92(tdd,1H), 2.45(tdd,1H), 2.76(td,1H), 2.97(ddd,1H), 5.22(t,1H), 7.34(d,1H), 7.39-7.47(m,3H), 7.54(s,1H), 7.56(d,1H), 7.65(s,1H), 7.70(d,1H).
(異性体B)
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ:0.18(s,3H), 0.20(s,3H), 0.97(s,9H), 1.99(tdd,1H), 2.51(tdd,1H), 2.84(td,1H), 3.05(ddd,1H), 5.29(t,1H), 6.88(s,1H), 7.45(d,1H), 7.60(t,1H), 7.72-7.76(m,2H), 7.80(s,1H), 7.84(s,1H), 7.85(d,1H).
【0278】
(工程5−1) 3−メトキシ−N−(5−(4,4,4−トリフルオロ−3−(3−トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エノイル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロパンアミド〔3-methoxy-N-(5-(4,4,4-trifluoro-3-(3-(trifluoromethyl)phenyl)but-2-enoyl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl)propanamide〕の異性体Aの合成
【0279】
【化47】
【0280】
工程4で得た1−(1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−4,4,4−トリフルオロ−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エン−1−オンの異性体A 0.78g(1.5mmol)を3−メトキシプロピオニトリル3.0mlに溶解させた。これに、濃硫酸0.29g(2.9mmol)を添加し、18℃で3時間反応させた。反応終了後、氷水10mlに反応液を滴下し、28%水酸化ナトリウム水溶液で中和して、塩化メチレン10mlで2回抽出を行った。各抽出液をそれぞれ10%食塩水5mlで洗浄したのち、ひとつにまとめて硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、酢酸エチルとヘキサンから結晶化させた。目的物である3−メトキシ−N−(5−(4,4,4−トリフルオロ−3−(3−トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エノイル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロパンアミドの異性体Aが0.48g(1.0mmol,収率65%)得られた。
得られた化合物のNMR分析結果は以下の通りであった。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ:1.78(tdd,1H), 2.50(t,2H), 2.59(tdd,1H), 2.83(td,1H), 2.95(ddd,1H), 3.33(s,3H), 3.65(td,2H), 5.47(q,1H), 6.61(d,1H), 7.29(d,1H), 7.38-7.47(m,3H), 7.51(s,1H), 7.56(d,1H), 7.63(s,1H), 7.64(d,1H).
【0281】
(工程5−2) 3−メトキシ−N−(5−(4,4,4−トリフルオロ−3−(3−トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エノイル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロパンアミド〔3-methoxy-N-(5-(4,4,4-trifluoro-3-(3-(trifluoromethyl)phenyl)but-2-enoyl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl)propanamide〕の異性体Bの合成
工程4で得た1−(1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−4,4,4−トリフルオロ−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エン−1−オンの異性体B 0.05g(0.12mmol)から、工程5−1に記載の方法と同じ方法で、3−メトキシ−N−(5−(4,4,4−トリフルオロ−3−(3−トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エノイル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロパンアミドの異性体Bがオイルとして0.04g(0.08mmol,収率71%)得られた。
得られた化合物のNMR分析結果は以下の通りであった。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ:1.86(tdd,1H), 2.54(t,2H), 2.67(tdd,1H), 2.94(td,1H), 3.05(ddd,1H), 3.36(s,3H), 3.68(t,2H), 5.56(q,1H), 6.57(d,1H), 6.88(s,1H), 7.41(d,1H), 7.61(t,1H), 7.71-7.76(m,2H), 7.78-7.85(m,3H).
【0282】
(実施例26)
3−メトキシ−N−(5−(4,4,4−トリフルオロ−3−(3−トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エノイル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロパンアミド[3-methoxy-N-(5-(4,4,4-trifluoro-3-(3-(trifluoromethyl)phenyl)but-2-enoyl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl)propanamide]の合成
(工程1) 1−(1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)エタノン〔1-(1-methoxy-2,3-dihydro-1H-inden-5-yl)ethanone〕の合成
【0283】
【化48】
【0284】
5−(1−ブトキシビニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール 130.3mg(0.56mmol)をメタノール5.6mlに溶解させた。これに、14%塩化水素−ジオキサン溶液431.8mgを添加し、40〜45℃で1.5時間反応させた。反応終了後、水30mlを添加し、塩化メチレン20mlで2回抽出を行った。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去して得られた粗生成物を薄層クロマトグラフィーで精製した。目的物である1−(1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)エタノンが85.6mg(0.45mmol,収率80%)得られた。
得られた化合物のNMR分析結果は以下の通りであった。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ:2.06-2.14(m,1H), 2.36-2.45(m,1H), 2.60(s,3H), 2.86(ddd,1H), 3.10(ddd,1H), 3.43(s,3H), 4.84(dd,1H), 7.47(d,1H), 7.82-7.84(m,2H).
【0285】
(工程2) 4,4,4−トリフルオロ−1−(1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エン−1−オン〔4,4,4-trifluoro-1-(1-methoxy-2,3-dihydro-1H-inden-5-yl)-3-(3-(trifluoromethyl)phenyl)but-2-en-1-one〕の合成
【0286】
【化49】
【0287】
1−(1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)エタノン85.6mg(0.45mmol)から、実施例25に記載の方法と同じ方法で、4,4,4−トリフルオロ−1−(1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エン−1−オンが113.5mg(0.27mmol,収率61%)得られた。
得られた化合物のNMR分析結果は以下の通りであった。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ:2.02-2.11(m,1H), 2.34-2.43(m,1H), 2.81(td,1H), 3.05(ddd,1H), 3.41(s,3H), 4.81(dd,1H), 7.39-7.46(m,4H), 7.53-7.58(m,2H), 7.67-7.70(m,2H).
【0288】
(工程3) 3−メトキシ−N−(5−(4,4,4−トリフルオロ−3−(3−トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エノイル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロパンアミド[3-methoxy-N-(5-(4,4,4-trifluoro-3-(3-(trifluoromethyl)phenyl)but-2-enoyl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl)propanamide]の合成(リッター反応による合成)
【0289】
【化50】
【0290】
4,4,4−トリフルオロ−1−(1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エン−1−オン 40.86g(98.6mmol)から、実施例25の工程5−1に記載の方法と同じ方法で、3−メトキシ−N−(5−(4,4,4−トリフルオロ−3−(3−トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エノイル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロパンアミドが結晶として40.91g(84.3mmol,収率85%)得られた。
得られた化合物のNMR分析結果は以下の通りであった。
1H-NMR (300MHz, CDCl3)δ:7.20-7.68 (m, 8H), 6.41 (d, 1H), 5.51 (d, 1H), 3.67 (t, 2H), 3.69 (s, 3H), 2.75-3.05 (m, 2H), 2.57-2.70 (m, 1H), 2.52 (t, 2H), 1.71-1.86 (m, 1H).
【0291】
前記の工程2と同様の方法で4,4,4−トリフルオロ−1−(1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−3−(3、5−ジクロロフェニル)ブタ−2−エン−1−オン〔4,4,4-trifluoro-1-(1-methoxy-2,3-dihydro-1H-inden-5-yl)-3-(3,5-dichlorophenyl)but-2-en-1-one〕を合成した。
得られた化合物のNMR分析結果は以下の通りであった。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ:6.85 -7.86 (m, 7H), 4.83 (t, 1H), 3.43 (s, 3H), 3.03-3.19 (m, 1H), 2.78-2.94 (m, 1H), 2.35-2.49 (m, 1H), 2.02-2.18 (m, 1H).
【0292】
(実施例27)
3−メトキシ−N−(5−(4,4,4−トリフルオロ−3−(3−トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エノイル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロパンアミド[3-methoxy-N-(5-(4,4,4-trifluoro-3-(3-(trifluoromethyl)phenyl)but-2-enoyl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl)propanamide]の合成
(工程1) 4,4,4−トリフルオロ−1−(1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エン−1−オン[4,4,4-trifluoro-1-(1-hydroxy-2,3-dihydro-1H-inden-5-yl)-3-(3-(trifluoromethyl)phenyl)but-2-en-1-one]の合成
【0293】
【化51】
【0294】
1−(1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)エタノン0.88g(5.0mmol)から、実施例25に記載の方法と同じ方法で、4,4,4−トリフルオロ−1−(1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エン−1−オンが0.45g(1.1mmol,収率22%)得られた。
得られた化合物のNMR分析結果は以下の通りであった。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ:1.90-2.15(m,2H), 2.49-2.58(m,1H), 2.81(td,1H), 3.03(ddd,1H), 5.23(t,1H), 7.39-7.47(m,4H), 7.53(s,1H), 7.57(d,1H), 7.67(s,1H), 7.70(d,1H).
【0295】
(工程2)5−(4,4,4−トリフルオロ−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エノイル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル アセテート[5-(4,4,4-trifluoro-3-(3-(trifluoromethyl)phenyl)but-2-enoyl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl acetate]の合成
【0296】
【化52】
【0297】
4,4,4−トリフルオロ−1−(1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エン−1−オン0.51g(1.1mmol)を塩化メチレン5.6mlに溶解させ、5℃に冷却した。これに、N,N−ジメチルアミノピリジン13.7mg(0.1mmol),無水酢酸171mg(1.7mmol),ピリジン133mg(1.7mmol)を添加し、5℃で1.5時間反応させた。反応終了後、塩化メチレン5.6mlを添加し、水2.2mlで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製した。目的物である5−(4,4,4−トリフルオロ−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エノイル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル アセテートが297mg(0.67mmol,収率64%)得られた。
得られた化合物のNMR分析結果は以下の通りであった。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ:2.06-2.15(m,1H), 2.08(s,3H), 2.53(tdd,1H), 2.88(ddd,1H), 3.10(ddd,1H), 6.16(dd,1H), 7.40-7.47(m,4H), 7.52(s,1H), 7.57(d,1H), 7.68(d,1H), 7.70(s,1H).
【0298】
(工程3)3−メトキシ−N−(5−(4,4,4−トリフルオロ−3−(3−トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エノイル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロパンアミド[3-methoxy-N-(5-(4,4,4-trifluoro-3-(3-(trifluoromethyl)phenyl)but-2-enoyl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl)propanamide]の合成(リッター反応による合成)
【0299】
【化53】
【0300】
5−(4,4,4−トリフルオロ−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エノイル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル アセテート 295mg(0.67mmol)から、工程5−1に記載の方法と同じ方法で、3−メトキシ−N−(5−(4,4,4−トリフルオロ−3−(3−トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エノイル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロパンアミドが254mg(0.52mmol,収率79%)得られた。
【0301】
(実施例28)
3−メトキシ−N−(5−(5−トリフルオロメチル−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾール−3−イル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロパンアミド〔3-methoxy-N-{5-[5-trifluoromethyl-5-(3-trifluoromethyl-phenyl)-4,5-dihydro-isoxazol-3-yl]-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl}-propionamide〕の合成
【0302】
【化54】
【0303】
トルエン2mlに、3−メトキシ−N−(5−(4,4,4−トリフルオロ−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エノイル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロパンアミド〔3-methoxy-N-(5-(4,4,4-trifluoro-3-(3-(trifluoromethyl)phenyl)but-2-enoyl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl)propanamide〕90mg(0.186mmol)と、50%ヒドロキシルアミン水溶液 36.7mg(0.556mmol)と、テトラブチルアンモニウムブロマイド5.9mg(10mol%)とを溶解させた。得られたトルエン溶液を攪拌しながら、50%水酸化カリウム水溶液0.5mLを滴下した。室温にて15時間攪拌を行った後、水を加え、トルエン溶媒にて抽出を行った。乾燥・濃縮・カラム精製(展開溶媒=ヘキサン/酢酸エチル=1/1〔体積比〕)を経て目的物 (収率91%)を得た。
【0304】
(実施例29)
3−メトキシ−N−(5−(4,4,4−トリフルオロ−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エノイル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)ブタンアミド〔3-methoxy-N-(5-(4,4,4-trifluoro-3-(3-(trifluoromethyl)phenyl)but-2-enoyl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl)butanamide〕の合成(リッター反応による合成)
【0305】
【化55】
【0306】
4,4,4−トリフルオロ−1−(1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エン−1−オン(1mmol)と3−メトキシブチロニトリル(13mmol)混合し、硫酸192mgを少量ずつ滴下した。全量滴下後、室温で2時間攪拌した後、反応液を氷水に注ぎ、生成物を酢酸エチルで抽出した。抽出液を水、飽和重曹水、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を留去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物を41%の収率で得た。
【0307】
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ:7.28-7.70 (m, 8H), 6.56 (t, 1H), 5.49 (dd, 1H), 3.65-3.81 (m, 1H), 3.32, 3.31 (s x2, 3H, diastereomer), 2.80-3.02 (m, 2H), 2.57-2.67 (m, 1H), 2.34-2.48 (m, 2H), 1.65-1.85 (m, 1H), 1.22 (t, 3H).
【0308】
前記と同様のリッター反応を、3,3,3−トリフルオロプロピオニトリルを用いて、3,3,3−トリフルオロ−N−(5−(4,4,4−トリフルオロ−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エノイル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロパンアミド〔3,3,3-trifluoro-N-(5-(4,4,4-trifluoro-3-(3-(trifluoromethyl)phenyl)but-2-enoyl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl)propanamide〕を合成した。目的物の収率は85%であった。
【0309】
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ:7.22-7.68 (m, 8H), 5.92 (d, 1H), 5.52 (d, 1H), 3.12 (q, 2H), 2.82-3.04 (m, 2H), 2.57-2.69 (m, 1H), 1.77-1.88 (m, 1H).
【0310】
前記と同様のリッター反応を、アセトニトリルを用いて行い、N−(5−(4,4,4−トリフルオロ−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エノイル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)アセトアミド〔N-(5-(4,4,4-trifluoro-3-(3-(trifluoromethyl)phenyl)but-2-enoyl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl)acetamide〕を合成した。目的物の収率は75%であった。
【0311】
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ:7.65-7.27 (m, 8H), 5.79 (d, 1H), 5.48 (d, 1H), 3.00-2.90 (m, 1H), 2.86-2.79 (m, 1H), 2.62-2.56 (m, 1H), 2.25 (t, 2H), 1.81-1.76 (m, 1H), 1.18 (t, 3H).
【0312】
前記と同様のリッター反応を、プロピオニトリルを用いて行い、N−(5−(4,4,4−トリフルオロ−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エノイル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロパンアミド〔N-(5-(4,4,4-trifluoro-3-(3-(trifluoromethyl)phenyl)but-2-enoyl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl)propanamide〕を合成した。目的物の収率は77%であった。
【0313】
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ:7.66-7.28 (m, 8H), 5.71 (d, 1H), 5.48 (d, 1H), 3.01-2.91 (m, 1H), 2.89-2.78 (m, 1H), 2.62-2.52 (m, 1H), 2.21 (t, 2H), 1.81-1.67 (m, 3H), 0.98 (t, 3H).
【0314】
前記と同様のリッター反応を、シクロプロパンカルボニトリルを用いて行い、N−(5−(4,4,4−トリフルオロ−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタ−2−エノイル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)シクロプロパンカルボアミド〔N-(5-(4,4,4-trifluoro-3-(3-(trifluoromethyl)phenyl)but-2-enoyl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl)cyclopropanecarboxamide〕を合成した。目的物の収率は77%であった。
【0315】
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ:7.66-7.31 (m, 8H), 5.91 (d, 1H), 5.50 (d, 1H), 3.00-2.92 (m, 1H), 2.90-2.78 (m, 1H), 2.65-2.50 (m, 1H), 1.84-1.72 (m, 1H), 1.38-1.30 (m, 1H), 1.10-0.95 (m, 1H), 0.82-0.71 (m, 1H).
【0316】
(実施例30)
N−{5−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−2−ブテノイル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル}−プロピオン酸アミド〔N-{5-[3-(3,5-dichloro-phenyl)-4,4,4-trifluoro-but-2-enoyl]-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl}-propionamide〕の製造
(工程1)
N−(5−アセチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロピオン酸アミド〔N-(5-acetyl-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl)-propionamide〕の合成
市販の5−ブロモ−1−インダノンから、還元的アミノ化および酸塩化物との反応などの公知の方法を経ることによって、N−(5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロピオン酸アミド2gを製造した。得られたN−(5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロピオン酸アミド2gを、N,N−ジメチルホルムアミド20mlおよび水5mlに溶解させた。この溶液に炭酸カリウム1.24g、酢酸パラジウム(II)84mg、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン0.31g、およびn−ブチルビニルエーテル1.9gを加えた。これを、窒素雰囲気下で、80℃にて一晩撹拌して反応させた。該反応液を氷冷し、これに2N塩酸16mlを滴下した。その後、室温にて2時間撹拌した。得られた反応液を氷水に注加し、酢酸エチルで抽出した。有機相を水で洗浄し、次いで飽和食塩水で洗浄し、その後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒=酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1〔体積比〕)で精製することによって目的化合物1.2g(収率69%)を得た。
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (CDCl3)δ:1.20(t,3H),1.56-1.86(m,1H),2.26(q,2H),2.59(s,3H),2.60-2.70(m,1H),2.89-3.05(m,2H),5.53-5.59(m,2H),7.35(d,1H),7.80-7.83(m,2H)
【0317】
(工程2)
N−{5−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシブタノイル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル}−プロピオン酸アミド〔N-{5-[3-(3,5-dichloro-phenyl)-4,4,4-trifluoro-3-hydroxy-butyryl]-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl}-propionamide〕の合成
【0318】
【化56】
【0319】
N−(5−アセチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)プロピオン酸アミド1.21gおよび3',5'−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロアセトフェノン1.4gをトルエン10mlに溶解させた。この溶液にトリ−n−ブチルアミン0.48gを加え、60℃にて一晩撹拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒=酢酸エチル/n−ヘキサン=3/2〔体積比〕)で精製することによって目的化合物1.22g(収率49%)を得た。
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (CDCl3)δ:1.21(t,3H),1.80-1.89(m,1H),2.29(q,2H),2.64-2.71(m,1H),2.88-3.10(m,2H),3.65(d,1H),3.83(d,1H),5.52-5.62(m,2H),5.86(s,1H),7.33-7.80(m,6H)
【0320】
(工程3)
N−{5−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−2−ブテノイル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル}−プロピオン酸アミド〔N-{5-[3-(3,5-dichloro-phenyl)-4,4,4-trifluoro-but-2-enoyl]-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl}-propionamide〕の合成
【0321】
【化57】
【0322】
N−{5−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシブタノイル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル}−プロピオン酸アミド1.22gをトルエン10mlに溶解させた。この溶液にトリエチルアミン0.53gおよびN,N−ジメチルアミノピリジン30mgを加えた。該液を氷冷し、無水酢酸0.53gを加え、60℃にて2時間撹拌した。該反応液を氷水に注加し、酢酸エチルで抽出し、有機相を水で洗浄し、次いで飽和食塩水で洗浄し、その後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒=酢酸エチル/n−ヘキサン=3/2〔体積比〕)で精製することによって目的化合物1.04g(収率89%)を得た。
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (CDCl3)δ:1.21(t,3H),1.74-1.88(m,1H),2.30(q,2H),2.59-2.70(m,1H),2.86-3.05(m,2H),5.50-5.61(m,2H),7.14-7.68(m,7H)
【0323】
(実施例31)
N−{5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル}−プロピオン酸アミド〔〔N-{5-[5-trifluoromethyl-5-(3,5-dichloro-phenyl)-4,5-dihydroisoxazol-3-yl]-2,3-dihydro-1H-inden-1-yl}-propionamide〕の合成
【0324】
【化58】
【0325】
N−{5−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−2−ブタノイル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル}−プロピオン酸アミド32mgを、1,2−ジメトキシエタン2mlおよび水0.5mlに溶解させた。これに塩化ヒドロキシルアンモニウム9mgを加えた。該反応液を室温で30分間攪拌した。その後、これに水酸化リチウム・1水和物11mgを加え、室温にて一晩撹拌した。この反応液を氷水に注加し、酢酸エチルで抽出し、有機相を水で洗浄し、次いで飽和食塩水で洗浄し、その後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、目的化合物32mg(収率100%)を得た。
得られた化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
1H-NMR (CDCl3)δ:1.21(t,3H),1.74-1.84(m,1H),2.27(q,2H),2.61-2.67(m,1H),2.86-3.01(m,2H),3.68(d,1H),4.08(d,1H),5.51-5.60(m,2H),7.31-7.58(m,6H)
【0326】
(実施例32)
メチル 3−(1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−3−オキソプロピオネート〔methyl 3-(1-methoxy-2,3-dihydro-1H-inden-5-yl)-3-oxopropanoate〕の合成
【0327】
(工程1)5−ブロモ−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデンの合成
5−ブロモ−1−インダノン10.55gをメタノール50mlに懸濁させ、0℃で攪拌した。これにテトラヒドロホウ酸ナトリウム1.89gをゆっくり加え、その後、0℃で2時間攪拌した。これに3N塩酸をゆっくり加えてpH2に調整した。これを酢酸エチルで抽出し、水で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水・乾燥し、ろ過した。溶媒をエバポレーターで留去し粗5−ブロモ−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン10.92gを得た。得られた物質はこれ以上の精製をすることなく、次工程にて使用した。
【0328】
(工程2)5−ブロモ−1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデンの合成
粗5−ブロモ−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン10.92gにメタノール100mlを加え、メタンスルホン酸9.61gをゆっくり滴下した。その後、室温で一晩攪拌し、次いで40℃にて4時間攪拌した。室温に冷却し、飽和重曹水を加えてpH8.6に調整した。これを塩化メチレンで抽出し、硫酸マグネシウムで脱水・乾燥し、ろ過した。エバポレーターで溶媒を留去した。5−ブロモ−1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン10.36gが得られた。得られた物質はこれ以上の精製をすることなく、次工程にて使用した。
【0329】
(工程3)5−シアノ−1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデンの合成
5−ブロモ−1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン5.04g、シアン化銅3.98gおよびN−メチルピロリドン20mlを反応器に入れ、140℃で20時間攪拌した。これを室温まで冷却した。次いで、酢酸エチル30mlで希釈し、28%アンモニア水15mlをゆっくり滴下した。室温で30分間攪拌した。その後、セライト(登録商標)ろ過した。ろ液を分液し、水相を酢酸エチルで複数回抽出した。各回の抽出操作で得られた有機相をひとつにまとめ合わせ、それを水で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水・乾燥し、ろ過した。エバポレーターで溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することによって5−シアノ−1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン2.85gを得た。
【0330】
得られた化合物のNMR分析結果は以下の通りであった。
1H-NMR (CDCl3)δ:7.5(m, 3H), 4.8(m, 1H), 3.4(m, 3H), 3.1(m, 1H), 2.8(m, 1H), 2.4(m, 1H), 2.1(m, 1H)
【0331】
(工程4)メチル 3−(1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−3−オキソプロピオネートの合成
亜鉛0.38gを反応器に入れ、反応器内を窒素置換した。触媒量のメタンスルホン酸と、脱水テトラヒドロフラン4mlとを加え、10分間還流した。これにブロモ酢酸メチルを4滴添加し、さらに30分間攪拌した。これに5−シアノ−1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン0.50gを加え、還流させながらブロモ酢酸メチル0.66gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間熟成した。これを室温まで冷却し、50%炭酸カリウム水溶液2mlおよびテトラヒドロフラン9mlを加え室温で激しく攪拌した。有機相を分離し、水相をテトラヒドロフランで抽出した。この溶液に1N塩酸9mlを加え、室温で4時間攪拌した。溶媒をエバポレーターで留去し、酢酸エチルで抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで脱水乾燥し、ろ過した。その後、溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィーにて精製することによってメチル 3−(1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−3−オキソプロピオネート0.33gを得た。
【0332】
得られた化合物のNMR分析結果は以下の通りであった。
1H-NMR (CDCl3)δ:12.5(s, 0.15H), 7.8-7.47(m, 3H), 5.6(s, 0.16H), 4.8(m, 1H), 4.0(s, 1.7H), 3.8(s, 0.6H), 3.7(s, 2.6H), 2.9(s, 3H), 3.0(m, 1H), 2.8(m, 1H), 2.4(m, 1H), 2.1(m, 1H)
【0333】
(実施例33)
4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1−(1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタン−1−オン〔4,4,4-trifluoro-3-hydroxy-1-(1-methoxy-2,3-dihydro-1H-inden-5-yl)-3-(3-(trifluoromethyl)phenyl)butan-1-one〕の合成
【0334】
【化59】
【0335】
メチル 3−(1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−3−オキソプロピオネート0.12gと水1mlとを混合し、これを40℃に加熱した。28%苛性ソーダ0.1gを滴下し、40℃にて4時間攪拌した。これにベンジルトリブチルアンモニウムクロリド0.05g、および2,2,2−トリフルオロ−3'−(トリフルオロメチル)アセトフェノン0.12gを加え、次いで1N塩酸を加えてpH8.0に調製しながら、40℃で3時間攪拌した。1N塩酸でpH3に調製した。その後、30分間攪拌した。酢酸エチルで抽出し、有機相を硫酸マグネシウムで脱水乾燥し、ろ過した。その後、溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィーにて精製することによって4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1−(1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタン−1−オン0.07gを得た。
【0336】
得られた化合物のNMR分析結果は以下の通りであった。
1H-NMR (CDCl3)δ:7.92(br s, 1H), 7.82-7.76(m, 3H), 7.60(d, J=8.0Hz, 1H), 7.52-7.46(m, 2H), 5.90(d, 1H, J=2.4Hz), 4.85(m, 1H), 3.97(d, J=17.6Hz, 1H), 3.69(d, J=17.6Hz, 1H), 3.09(m, 1H), 2.88(m, 1H), 2.41(m, 1H), 2.10(m, 1H)
【0337】
(実施例34)
2,2,2−トリフルオロ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)エタノン〔2,2,2-trifluoro-1-(3-(trifluoromethyl)phenyl)ethanone〕の合成
(工程1)トリメチル(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)シラン〔trimethyl(2,2,2-trifluoro-1-methoxy-1-(3-(trifluoromethyl)phenyl)ethoxy)silane〕の合成
3−トリフロロメチル安息香酸メチルエステル4.30g(21.1mmol)にフッ化セシウム92.6mg(0.696mmol)をアルゴン雰囲気下に加え、次いで−10℃以下に冷却した。これにトリフロロメチルトリメチルシラン約4mL(約27mmol)を−10℃以下で滴下した。−10℃で1時間、さらに室温で1時間攪拌した。その後、反応液に水と塩化メチレンとを添加して抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いで濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(展開溶媒=n−へキサン/酢酸エチル=98/2〔体積比〕)で精製した。Rf値0.9付近に相当する部分を集め濃縮すると、無色透明液体としてトリメチル(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)シランが4.46g(65%)得られた。なお、Rfは、原点から溶媒の先端までの距離に対する原点から目的とする試料の移動した距離の割合(相対移動距離)である。
得られた化合物のNMR分析結果は以下の通りであった。
1H-NMR (CDCl3)δ:0.28(9H,s)、3.23(3H,s)、7.5〜7.9(4H,m)
【0338】
(工程2)2,2,2−トリフルオロ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)エタノン〔2,2,2-trifluoro-1-(3-(trifluoromethyl)phenyl)ethanone〕の合成
トリメチル(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)シラン4.34gをメタノール12mLに溶かし、36%塩酸0.67gを添加した。これを約60℃で2時間攪拌した。その後、濃縮し、メタノールをほぼ完全に除去した。残渣に水とヘキサンとを加え抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いで濃縮した。残渣を23kPa未満に減圧して65℃で蒸留した。無色透明液体として2,2,2−トリフルオロ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)エタノンが2.19g(63%)得られた。
【産業上の利用可能性】
【0339】
前記縮合環化合物を用いることにより、有害生物防除剤として有用なイソオキサゾリン誘導体Aなどを、工業的に安定かつ効率的に製造することができる。