(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5653497
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】遠隔操作回路遮断器
(51)【国際特許分類】
H01H 71/68 20060101AFI20141218BHJP
H01H 73/36 20060101ALI20141218BHJP
【FI】
H01H71/68
H01H73/36 D
【請求項の数】20
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-177410(P2013-177410)
(22)【出願日】2013年8月28日
(65)【公開番号】特開2014-49448(P2014-49448A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2013年8月28日
(31)【優先権主張番号】13/598,217
(32)【優先日】2012年8月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508117743
【氏名又は名称】カーリング テクノロジーズ、 インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CARLING TECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100116263
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ファザーノ,マイケル
【審査官】
関 信之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−101320(JP,A)
【文献】
特開平02−109232(JP,A)
【文献】
特開平05−067425(JP,A)
【文献】
特開平04−312736(JP,A)
【文献】
米国特許第5381121(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 71/68
H01H 73/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の接点と、
前記第1の接点に対する閉位置と前記第1の接点に対する開位置の間を移動可能であり、前記閉位置においてのみ前記第1の接点と接触するように配置される第2の接点と、
前記第2の接点が取り付けられた第1の端部と、第2の端部と、前記第1の端部および前記第2の端部間に配置されるピボット・ポイントとを有する接点アームおよびレバーアッセンブリと、
始動状態と非始動状態とを有し、回路遮断器連結機構が状態変更する際に前記第2の接点の位置を変更するように配置される回路遮断器連結機構と、
オン状態とオフ状態とを有し、それが状態を変更する際に前記回路連結遮断器機構の状態を変えないで前記第2の接点の位置を変更するように配置されるアクチュエータとであって、前記アクチュエータが前記複数接点の相対位置を変更するために状態を変更する際に前記アクチュエータが前記接点アームおよびレバーアッセンブリを前記ピボット・ポイントの周りに単独で移動させるように、前記アクチュエータが前記接点アームおよびレバーアッセンブリの前記第2の端部に直接作用しているものと、
を具備する回路遮断器。
【請求項2】
前記回路遮断器連結機構が前記始動状態のときに、前記接点が前記開位置であることを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項3】
前記回路遮断器連結機構が前記始動状態のときに、前記接点が前記閉位置へ移動できないことを特徴とする請求項2に記載の回路遮断器。
【請求項4】
前記アクチュエータが前記オフ状態ならば、前記接点が前記開位置であることを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項5】
前記アクチュエータが前記オフ状態のときに、前記回路遮断器連結機構が前記接点を前記閉位置へ移動できないことを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項6】
前記アクチュエータが、信号に応じて前記接点アームおよびレバーアッセンブリの状態を変更するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項7】
前記回路遮断器連結機構が、過電流状態に応じて、前記接点を前記閉位置から前記開位置に移動するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項8】
前記回路遮断器連結機構が、手動操作に応じて、前記接点を前記閉位置から前記開位置へ移動するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項9】
単一のピボット・ポイントの周りに回動可能な接点アームおよびレバーアッセンブリを回動させることを経由して、開位置および閉位置間で第1の接点に対して相対的に移動可能な第2の接点であって、前記ピボット・ポイントが第1の端部および第2の端部間で前記接点アームおよびレバーアッセンブリ上に配置されて、前記接点アームおよびレバーアッセンブリが前記第2の接点が取り付けられた第1の端部と第2の端部を有するものと、
回路遮断器が作動される際に、前記第2の接点の位置を変更するように配置された回路遮断器連結機構と、
前記回路遮断器連結機構を作動することなしに、前記接点を開くまたは閉じるように配置されたスイッチング機構であって、前記スイッチング機構が前記単一のピボットの周りに前記接点アームおよびレバーアッセンブリを回動させることで、前記アクチュエータが前記第2の接点の相対位置を変更するために状態を変更する際に前記回路遮断器の単一の部分だけを前記単一のピボット・ポイントの周りに回動させるべく、前記第2の接点の相対位置を変更するように前記スイッチング機構が前記接点アームおよびレバーアッセンブリの前記第2の端部に直接接続されているものと、
を具備する回路遮断器。
【請求項10】
前記アクチュエータがソレノイドあることを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項11】
前記接点が、ばねを用いて付勢されることを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項12】
前記接点が、永久磁石を用いて付勢されることを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項13】
前記ソレノイドが、前記接点を付勢するように配置された永久磁石を具備することを特徴とする請求項10に記載の回路遮断器。
【請求項14】
前記永久磁石が、前記ソレノイドの電源が切断されるときに、前記接点を付勢するように配置されることを特徴とする請求項13に記載の回路遮断器。
【請求項15】
前記ソレノイドが、このソレノイドの電源が切断されるときに、前記接点を前記開位置へ移動するように配置された永久磁石を具備することを特徴とする請求項13に記載の回路遮断器。
【請求項16】
前記回路遮断器機構が脱進機を具備することを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項17】
前記回路遮断器機構がダッシュポットを具備することを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項18】
前記回路遮断器機構が前記アクチュエータとは別体であることを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項19】
第1の接点と、
第1の接点と、
閉位置と開位置の間で、ピボット・ポイントの周りに回動可能な可動部材であり、前記可動部材は第1の端部および第2の端部を有し、前記ピボット・ポイントが前記第1の端部および前記第2の端部間の前記可動部材上に配置されているものと、
前記可動部材が前記閉位置の際のみに前記第1の接点と接触するように配置される、前記可動部材の前記第1の端部に取り付けられた、第2の接点と、
オン位置とオフ位置間でユーザーにより手動操作可能なハンドルと、
始動状態と非始動状態とを有し、前記可動部材に接続されて、回路遮断器機構が状態を変更する際に前記移動可能部材を移動するように配置された回路遮断器連結機構であって、
前記ハンドルの手動操作が前記回路遮断器連結機構の移動を引き起こし、それにより、前記可動部材の移動を引き起こすように、前記回路遮断器連結機構が前記ハンドルおよび前記可動部材間に接続されるものと、
オン状態とオフ状態とを有し、前記可動部材に接続されて、ソレノイドが状態を変更する際に、前記回路遮断器連結機構の状態を変えないで、また、前記ソレノイドが状態を変更する際に、前記ハンドルの位置を変更しないで、前記移動可能部材を移動するように配置されたソレノイドであって、前記ソレノイドは、前記ソレノイドが前記可動部材をそのピボット・ポイントの周りに回動させることで前記接点の相対位置変更するように、また、前記アクチュエータが前記接点の相対位置を変更するために状態を変更する際に、前記回路遮断器の単一の部分だけを単一のピボット・ポイントの周りに回動させるように、前記可動部材の前記第2の端部に直接接続されるものと、
前記ソレノイドを前記オフ状態へと付勢する永久磁石と、
を具備する回路遮断器。
【請求項20】
前記回路遮断器連結機構が、前記接点の位置を変更するために、お互いに対して回動できる少なくとも2つの中枢的に接続された機構リンクを具備することを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、遠隔操作回路遮断器に関し、また、回路遮断器ハンドル機構とは別個のソレノイド機構を用いて操作できる接点アームを用いて遠隔操作される回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
回路遮断器は、過負荷または短絡回路に起因する破損から電気回路を保護するために使用できる装置である。もし、回路遮断器により保護された回路に電力サージが生じると、例えば、遮断器が始動するであろう。これは、「オン」位置にあった遮断器の「オフ」位置への反転を引き起こすであろうし、電力がその遮断器から導かれるのを遮断するであろう。このように始動することで、回路遮断器は、過負荷回路時に、火災が起きることを防げるし、電気を引き出している装置または被保護回路に接続されたその他の装置の破壊を防ぐことができる。
【0003】
標準回路遮断器は、線路と負荷を有する。一般的に、線路は、ほとんどの場合、電力会社から流入電気を受け取る。これは、回路遮断器への入力と称される場合がある。負荷は、出力と称される場合があり、回路遮断器から外へ給電し、回路遮断器から給電される電気部品に接続する。回路遮断器は、回路遮断器に直接接続される個別の部品、例えば、空気清浄機を保護するだろうし、または、回路遮断器は、電気コンセントで終端する電力回路に接続された複数部品、例えば、家庭用器具を保護するだろう。
【0004】
回路遮断器は、ヒューズの代替物として使用できる。一度作動して、その後、入れ替えなければならないヒューズと違って、回路遮断器は、通常動作を復旧させるために、(手動または自動のいずれかで)リセットすることができる。エリアへの電力が遮断した際に、操作者は、どの遮断器が「オフ」位置に始動したかを理解するために、電気パネルを検査することができる。この遮断器は、それから、「オン」位置へ反転することができ、電力が再び復旧するであろう。
【0005】
一般に、回路遮断器は、ハウジングの内部に置かれた2つの接点を有する。一般的に、この第1の接点は固定で、線路または負荷のどちらかに接続されるだろう。一般的に、回路遮断器が「オフ」または始動位置の際に、第1と第2の接点間にギャップが存在し、線路負荷から切断されるように、この第2の接点は、第1の接点に対して可動である。
【0006】
回路遮断器は、不定期に動作するように、通常設計される。典型的な応用においては、回路遮断器は、電力スパイクまたは他の電気的じょう乱によって始動されるときのみに、動作されるであろう。電力スパイクは、典型的な回路の通常動作期間中は、通常は発生しない。
【0007】
いくつかの応用においては、しかしながら、回路遮断器をより頻繁に作動させることが望ましい。例えば、電気を節約する利益のために、ビルデイングの全フロアへの電力分配を、1つの位置から制御することが有益だろう。これは、全フロア回路用の遮断器を手動で始動することにより成され得る。遠隔制御、タイマー、動きセンサーなどを用いて、遠隔的に回路遮断器を手動で始動することが、また、望ましいだろう。
【0008】
その他の応用では、維持の目的ために、回路遮断器を遠隔的に作動させることが望ましい。例えば、操作者は、検査でき、または、サービスできるように、被保護回路の電源を切断するために、回路遮断器を手動で始動するだろう。しかしながら、いくかの回路において、遮断器を作動させることは、操作者にとって安全上の問題を起こす危険なアークを産出しかねない。さらに他の回路において、回路遮断器は、閉じ込められるか、または、危険な環境に置かれるだろう。これらの状況において、この回路遮断器を遠隔的に作動させることが、また、有益である。
【0009】
回路遮断器を遠隔的に制御する既知のアプローチは、回路遮断器に、回路遮断器機構を意図的に始動できて、リセットできる機構を組み入れることを含んでいる。そのような機構の例は、始動機構を作動させるために用いられるソレノイドまたはモーターであり、そして、始動機構を再武装することで回路遮断器をリセットするために用いられるソレノイドまたはモータである。
【0010】
しかしながら、このようにパワースイッチまたは遠隔制御として回路遮断器を用いることは、それが、そうでなければ、典型的な回路保護応用において経験するであろうよりもはるかに多数の動作サイクルを遮断器に受けさせる。これは、回路遮断器の受け入れがたいほど早期な故障をもたらし得る。典型的な回路遮断器機構は、故障前にたった20,000〜30,000サイクルだけ耐え抜くように設計される。
【0011】
そのような回路遮断器が故障前に耐えることができるサイクル数を増大させるために、始動機構や、任意のばね、連結、脱進機、シアー、ダッシュポット、バイメタル熱部品、または、機構の一部である他の部品を含む回路遮断器の全ての部品は、そうでなければ、要求されるであろうよりも頑丈な方法にて設計されなければならない。これは、回路遮断器を生産するコストを著しく増大させる。
【0012】
したがって、望まれることは、これらの制限に対処した、遠隔的または手動で作動できる回路遮断器である。
【発明の開示】
【0013】
したがって、本発明の一つの目的は、遠隔的にオン・オフできる回路遮断器を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、回路遮断器機構から分離している機構を用いてオン・オフできる回路遮断器を提供することである。
【0015】
これらおよびその他の目的は、第1の接点と、前記第1の接点に対する閉位置と前記第1の接点に対する開位置の間を移動可能であり、前記閉位置においてのみ前記第1の接点と接触するように配置される第2の接点と、始動状態と非始動状態とを有し、前記回路遮断器機構が状態変更する際に前記接点の位置を変更するように配置される回路遮断器機構と、オン状態とオフ状態とを有し、それが状態を変更する際に前記回路遮断器機構の状態を変えないで前記接点の位置を変更するように配置されるアクチュエータとを有する回路遮断器を提供することによって達成される。
【0016】
いくつかの実施例において、前記回路遮断器機構が前記始動状態ならば、前記接点が前記開位置である。
【0017】
いくつかの実施例において、前記回路遮断器機構が前記始動状態ならば、前記接点が閉位置へ移動できない。
【0018】
いくつかの実施例において、前記アクチュエータが前記オフ状態ならば、前記接点が前記開位置である。
【0019】
いくつかの実施例において、前記アクチュエータが前記オフ状態ならば、前記回路遮断器機構が前記接点を前記閉位置へ移動できない。
【0020】
いくつかの実施例において、前記アクチュエータが、信号に応じて前記レバーの状態を変更するように配置されている。
【0021】
いくつかの実施例において、前記回路遮断器機構が、過電流状態に応じて、前記接点を前記閉位置から前記開位置に移動するように配置されている。
【0022】
いくつかの実施例において、前記回路遮断器機構が、手動操作に応じて、前記接点を前記閉位置から前記開位置へ移動するように配置されている。
【0023】
いくつかの実施例において、前記アクチュエータが、レバーを用いて、前記接点を前記閉位置と前記開位置の間で移動させる。
【0024】
いくつかの実施例において、前記アクチュエータがソレノイドある。
【0025】
いくつかの実施例において、前記接点が、ばねを用いて付勢される。
【0026】
いくつかの実施例において、前記接点が、永久磁石を用いて付勢される。
【0027】
いくつかの実施例において、前記ソレノイドが、前記接点を付勢するように配置された永久磁石を具備する。
【0028】
いくつかの実施例において、前記永久磁石が、前記ソレノイドの電源が切断されるときに、前記接点を付勢するように配置される。
【0029】
いくつかの実施例において、前記ソレノイドが、このソレノイドの電源が切断されるときに、前記接点を前記開位置へ移動するように配置された永久磁石を具備する。
【0030】
いくつかの実施例において、前記回路遮断器機構が脱進機を具備する。
【0031】
いくつかの実施例において、前記回路遮断器機構がダッシュポットを具備する。
【0032】
いくつかの実施例において、前記回路遮断器機構が前記アクチュエータとは別体である。
【0033】
本発明のその他の目的は、開位置と閉位置の間で相対的に移動可能な接点と、回路遮断器が作動される際に、前記接点の位置を変更するように配置された回路遮断器機構と、前記回路遮断器機構作動することなしに、前記接点を開くまたは閉じるように配置されたスイッチング機構と、を有する回路遮断器を提供することによって達成される。
【0034】
本発明のさらなる目的は、第1の接点と、閉位置と開位置とを有する可動部材と、前記可動部材が前記閉位置の際のみに前記第1の接点と接触するように配置される、前記可動部材上の、第2の接点と、始動状態と非始動状態とを有し、前記可動部材に接続されて、前記回路遮断器機構が状態を変更する際に前記移動可能部材を移動するように配置された回路遮断器機構と、オン状態とオフ状態とを有し、前記可動部材に接続されて、ソレノイドが状態を変更する際に、前記回路遮断器機構の状態を変えないで、前記移動可能部材を移動するように配置されたソレノイドと、前記ソレノイドを前記オフ状態へと付勢する永久磁石と、を有する回路遮断器を提供することによって達成される。
【0035】
本発明のさらに他の目的およびその特別な特徴と利点は、以下の図面と付随する詳細な説明の考慮からより明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
図1は、本発明の態様に従って、実施例の回路遮断器100を図解している。
【0037】
回路遮断器100は、線路端子110に接続された固定接点105を備える。線路端子は、いくつかの応用においては電力会社によって供給される、発電機(図示せず)などの電源、から電気を受け取る。
【0038】
可動接点115は、第1のピボット135および第2のピボット170でピボットすることによって閉位置125および開位置200、300(
図2、
図3)の間を移動できる可動接点アーム120上に配置される。
【0039】
可動接点アーム120は、連結145により、始動機構140に接続される。示されているように、始動機構140は非始動状態にある。連結は、始動機構140が始動される際に可動接点アームを閉位置から開位置に移動させるために付勢されるばね機構(図示せず)を有するだろう。
【0040】
故障検出器150が、可動端子に接続されており、過剰電流などの故障状態が生じる際に、始動機構140を始動させるように構成される。いくつかの応用において、故障検出器は、回路にインライン配置されるソレノイドである。もし、ソレノイドを介する電流が一定のレベルを越えると、ソレノイドは始動機構を作動させるために十分な電磁界を発生する。ソレノイドは、また、電流が一定のレベルを越える際に始動機構を作動させるプランジャ、または、他のアーマチュアを必要に応じて組み込むだろう。
【0041】
特定の条件の発生時に始動機構を始動するその他の故障検出方法が、また、採用されもよいことが理解される。
【0042】
可動接点115は、故障検出器150およびコネクター116を介して負荷端子199に接続される。可動接点115が閉位置にあるときは、
図1に示すように、固定接点105と移動可能接点115は互いに接触しており、接点105、115を介して、線路端子110から負荷端子199に電気が流れることができる。
【0043】
ハンドル160が、また、始動機構140をリセットするために、または、始動機構140を手動で始動するために備えられる。
【0044】
移動可能接点アーム120は、移動可能接点アーム120が第2のピボットポイント170の回りをスライドおよび/またはピボットすることを可能にするガイドチャンネル165を有する。移動可能接点アーム120は、また、レバー175を有する。レバーは、可動接点アーム120と一体で形成されてもよいし、あるいは、可動接点アーム120に取り付けられた別個の片でもよい。
【0045】
アクチュエータソレノイド180は、レバー175に接続されるプランジャ185を有する。レバー175、可動接点アーム120およびガイドチャンネル165は、始動機構140が非始動状態にあって、示されているように、アクチュエータソレノイド180が作動される際に、プランジャ185が矢印190の方向に移動して、ピボットポイント135の回りに可動接点アーム120をピボットし、第2のピボットポイント170に沿ってガイドチャンネル165をスライドすることにより、閉位置125から第2の開位置(
図2の200)に可動接点アーム120を移動させる。
【0046】
接点105、115をこのように開閉するために、アクチュエータソレノイド180のようなアクチュエータを組み入れることは、始動機構140とその関連部品の強靭性を増大させることに関連した追加のコストを招くことなく、回路遮断器の手動操作サイクル数を増大させることを可能にする利点を得ることができる、これは、接点がアクチュエータソレノイドを経由して開く際にそれらが作動されないからである。このようにして、動作寿命は、典型的な応用において、約200,000サイクルに増大させることができる。
【0047】
アクチュエータソレノイド180は、遠隔信号を用いて作動されるだろう。アクチュエータソレノイド180は、永久磁石192を組み入れているバイスティブル、または、ラッチィングソレノイドであろう。この場合、プランジャ185は、アクチュエータソレノイド180が正しい極性でエネルギー供給されない限りその位置を保持するであろう。
【0048】
極性スイッチ194は、コネクター196を用いてアクチュエータソレノイド180に接続されるだろう。極性スイッチ194は、プランジャ185を伸ばす、または、引っ込めるためにアクチュエータソレノイド180にいずれかの極性のパルス信号を提供できる。信号が無いときは、プランジャ185はソレノイド180により同じ場所に保持される。
【0049】
永久磁石192は、また、アクチュエータソレノイド180の電源が切断されるとき、プランジャ185が矢印190の方向に引かれて、閉位置125から第2の開位置(
図2の200)に可動接点115を移動させることにより回路を開くように配置されるだろう。
【0050】
プランジャ185が一方向に力を提供するだけでよいように、付勢ばね198が、レバー175を付勢するために、必要に応じて配置されるだろう。
【0051】
図2は、
図1と同様に始動機構140が始動されていないが、可動接点アーム120が第2の開位置200にある状態における実施例の回路遮断器100を図解している。
【0052】
図3は、始動機構140が始動される状態における実施例の回路遮断器100を図解している。ここでは、可動接点115が開位置300にて保持されるように、可動接点レバー120が、連結145を経由して始動機構140を始動することにより、移動されている。始動状態における始動機構140によって、プランジャ185の位置にかかわらず、可動接点115は、固定接点105に対する閉状態に戻ることはできない。これは、アクチュエータソレノイド180を経由した遠隔システム用いて、故障後に回路遮断器を再係合することは不可能であることを意味する。
【0053】
始動機構140が、
図1および
図2に示すように非始動状態にあるときは、接点115と105は、ソレノイド180を作動させることにより自在に開閉されるだろう。しかしながら、始動機構140が始動状態にあるときは、接点115と105は、ソレノイド180を作動させることでは、閉状態に戻すことはできない。これにより、回路遮断器100の直下にある操作者が、危険な状態をもたらしてしまうであろう、遮断器を遠隔的にまたは自動的に再閉するためのいかなる試みを無効にできるようにして、安全性を増加させる利点を得ることができる。
【0054】
同様に、延長位置にある間に、極性スイッチ194への電力が失われて、アクチュエーションソレノイド180の作動を防止しているならば、始動機構140またはハンドル160を用いて接点115と105の開くこと、および、ハンドル160用いて接点115と105を閉じることを可能に保持している。しかしながら、後退位置にある間に、極性スイッチ194への電力が失われて、アクチュエーションソレノイド180の作動を防止しているならば、ハンドル160を用いて接点を再閉することはできない。これにより、危険な状態をもたらすであろう、ハンドル160を操作することで、遮断器を再閉するためのいかなる試みを防ぐことにより、安全を増加させる利点を得ることができる。いくつかの応用において、極性スイッチ194への電力を要求することなくして、追加の機構(図示せず)が、アクチュエーションソレノイド180のプランジャ185を延長位置に移動させることを可能にするために組み入れられるだろう。
【0055】
図4は、本発明の実施形態による可能な回路遮断器位置の様々な組み合わせを図解しているテーブルである。
【0056】
回路遮断器機構140とレバー175の双方がオン位置(状態A)にあるとき、可動接点アームは閉位置にあり、電流は回路遮断器100を介して流れることができる。
【0057】
状態Aから、もし、回路遮断器機構140がトグルされると、例えば、手動で、または、過電流状態を経由して回路遮断器機構140を始動することにより、移動可能接点アーム120は第1の開位置300に移動し、電流はもはや回路遮断器100を介して流れることができない。
【0058】
状態Aから、もし、レバー175がトグルされると、例えば、アクチュエーションソレノイドを遠隔的に作動させることにより、移動可能接点アーム120は第2の開位置に移動し、電流はもはや回路遮断器100を介して流れることができない。
【0059】
回路遮断器機構140とレバー175の双方がオフ位置(状態B)にあるとき、接点アームは第1の開位置300にあり、電流は回路遮断器100を介して流れることができない。
【0060】
状態Bから、もし、回路遮断器機構140がトグルされると、例えば、回路遮断器機構をリセットすることにより、可動接点アーム120は第2の開位置に移動し、電流はまだ回路遮断器100を介して流れることができない。これにより、例えば、安全上の問題が遠隔操作者に知られている際に、現場操作者が遮断器をスイッチオンしようと試みたとしても、遠隔操作者が、電流が流れることを防ぐことを可能にする利点を得ることができる。
【0061】
状態Bから、もし、レバー175がトグルされると、例えば、アクチュエーションソレノイドを遠隔的に作動させることにより、移動可能接点アーム120は第1の開位置300に移動し、電流はまだ回路遮断器100を介して流れることができない。これにより、例えば、安全上の問題が現場操作者に知られている際に、遠隔操作者が回路遮断器をスイッチオンしようと試みたとしても、現場操作者にとって、電流が流れることを防止することを可能にする利点を得ることができる。
【0062】
回路遮断器機構140がオン位置にあり、レバー175がオフ位置にあるときは(状態C)、可動接点アームは第2の開位置にあり、電流は回路遮断器100を介して流れることができない。
【0063】
状態Cから、もし、回路遮断器機構140がトグルされると、例えば、手動で、または、過電流状態を経由して回路遮断器機構140を始動することにより、移動可能接点アーム120は第1の開位置300に移動し、電流はまだ回路遮断器100を介して流れることができない。
【0064】
状態Cから、もし、レバー175がトグルされると、例えば、アクチュエーションソレノイドを遠隔的に作動させることにより、可動接点アームは閉位置に移動し、電流は回路遮断器100を介して流れることができる。
【0065】
回路遮断器機構140がオフ位置にあり、レバー175がオン位置にあるときは(状態D)、可動接点レバー175は第1の開位置300にあり、電流は回路遮断器100を介して流れることができない。
【0066】
状態Dから、もし、回路遮断器機構140がトグルされると、例えば、回路遮断器機構をリセットすることにより、可動接点レバー175は閉位置に移動し、電流は回路遮断器100を介して流れることができる。
【0067】
状態Dから、もし、レバー175がトグルされると、例えば、アクチュエーションソレノイドを遠隔的に作動させることにより、可動接点アームは第1の開位置300に移動し、電流はまだ回路遮断器100を介して流れることができない。
【0068】
図5は、本発明の実施例によって可能な、異なる状態遷移を図解しており、
図4のテーブルにおいて示されているような状態図である。電流が回路遮断器を介して流れることを可能にする唯一の状態が、状態Aである。状態Dか状態Cのいずれかを最初に通過しないで、状態Bから状態Aへ直接遷移することは不可能であることが、この状態図から明白である。従って、状態Bは回路遮断器100の安全状態として考えられる。
【0069】
状態Dから状態Aへの遷移は、回路遮断器機構140により、例えば、機構をリセットできる現場操作者により制御される。遠隔操作者は、現場操作者によって制御される、状態Dに遭遇することによってのみ、状態Bから状態Aへの遷移を開始できる。
【0070】
同様に、状態Cから状態Aへの遷移は、レバー操作者により、例えば、ソレノイド180を用いてレバー175を作動させる遠隔操作者により制御される。現場操作者は、遠隔操作者により制御される、状態Cに遭遇することによってのみ、状態Bから状態Aへの遷移を開始できる。
【0071】
このようにして、被保護回路にエネルギー供給する前に回路遮断器100の操作者間の論理的合意を要求することにより、回路遮断器100が、安全の付加層を提供するように構成され得る。
【0072】
本発明は、部品、特徴などの特別な配置を参照して記述されてきたが、全ての可能な配置または特徴を論じ尽くすことは意図されておらず、実際に、多くの変形および変更が当業技術者によって確かめられるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【
図1】
図1は、本発明の態様による実施例の回路遮断器の側面図であり、閉位置を示している。
【
図2】
図2は、
図1に示す実施例の回路遮断器の他の側面図であり、遠隔的な開位置を示している。
【
図3】
図3は、
図1および
図2に示す実施例の回路遮断器の他の側面図であり、始動位置を示している。
【
図4】
図4は、本発明の態様による
図1〜
図3に示す実施例の回路遮断器の構成要素の位置の様々な組み合わせを示しているテーブルである。
【
図5】
図5は、本発明の態様による
図1〜
図3に示す実施例の回路遮断器に対して可能な様々な状態遷移を示している状態図である。