(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
グロープラグの発熱体に対して、ダイオードとヒューズと抵抗器が順に直列接続されてなる追加回路が並列接続されてなり、前記ダイオードは、そのアノードが前記発熱体の正極側に、そのカソードが前記ヒューズ側に位置するよう設けられてなることを特徴とするグロープラグ。
ヒューズは、グロープラグへの通電開始の際の突入電流のピークが生じた後の減少域において溶断可能にその容量が設定されてなることを特徴とする請求項1記載のグロープラグ。
グロープラグの発熱体に対して、ダイオードとヒューズと抵抗器が順に直列接続されてなる追加回路が並列接続されてなり、前記ダイオードは、そのアノードが前記発熱体の正極側に、そのカソードが前記ヒューズ側に位置するよう設けられてなるグロープラグの単体試験方法であって、
前記発熱体の負極側に、正の試験電圧を印加し、前記ヒューズを溶断することなく、その際流れる電流によって良否判定を行うことを特徴とするグロープラグの単体試験方法。
発熱体に対して、ダイオードとヒューズと抵抗器が順に直列接続されてなる追加回路が並列接続されてなり、前記ダイオードは、そのアノードが前記発熱体の正極側に、そのカソードが前記ヒューズ側に位置するよう設けられてなり、車両に搭載されたグロープラグの新品判別方法であって、
前記グロープラグの車両搭載後の初回通電時において、突入電流の発生時及びヒューズ溶断時における通電状態の変化を取得、記憶する一方、
前記グロープラグの交換後の通電の際に、前記突入電流の発生時及び前記ヒューズ溶断時と同じタイミングにおいて、それぞれ通電状態の変化を取得し、当該取得されたそれぞれの通電状態の変化と、前記記憶した初回通電時における通電状態の変化とを比較し、新品か否かを判別することを特徴とするグロープラグの新品判別方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、
図1乃至
図7を参照しつつ説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態におけるグロープラグの機械的構成について、
図1を参照しつつ説明する。
図1に示されたグロープラグは、セラミックス型グロープラグの構成例であり、後述するように従来には無い新たな電気部品が追加されている点を除けば、その基本的な構成は従来から知られているものとほぼ同一であるので、
図1に示された構成においては、概略的に説明することとする。
【0010】
このグロープラグ1は、セラミックスヒータ2、金属製外筒3、電極取り出し線4、第一電極棒5、及び、第二電極棒6が、ハウジング7内に挿入、固定されてなるものである。
セラミックスヒータ2は、セラミックス絶縁体2aの内部に図示されない発熱体が埋設されてなるもので、その発熱体の負極側は、セラミックス絶縁体2aの外周面に取り出され、金属製外筒3に電気的に接続されたものとなっている。
一方、上述の図示されない発熱体の正極側は、導電性部材からなる電極取り出し線4、第一電極棒5、及び、第二電極棒6を介して、ハウジング7の後端部側から突出する第二電極棒6のネジ部6aが、図示されないバッテリに接続されるようになっている。
【0011】
本発明の実施の形態におけるグロープラグ1は、上述した従来と基本的に同様の構成に加えて、追加回路12が、例えば、第一電極棒5と金属製外筒3との間隙の適宜な位置に設けられたものとなっている。
かかる追加回路12は、次述するような回路構成を有してなるもので、例えば、薄膜半導体技術を用いてシート状絶縁基板上に次述するような電子部品を形成して回路を構築したものなどが好適である。
【0012】
図2には、本発明の実施の形態におけるグロープラグ1の電気回路の構成例が示されており、以下、同図について説明する。
まず、発熱体11は、先に述べたように、その負極側が金属製外筒3(
図1参照)の発熱体負極接続部3aに接続される一方、他端は、
図2には図示が省略されている電極取り出し線4、第一電極棒5、及び、第二電極棒6(
図1参照)を介して、ネジ部6aと接続されたものとなっており、発熱体負極接続部3aとネジ部6aとの間に直列接続された構成となっている。
かかる構成は、従来のグロープラグと基本的に同一である。
【0013】
本発明の実施の形態におけるグロープラグ1にあっては、さらに、発熱体11に対して、追加回路12が並列接続されて設けられたものとなっている。
すなわち、追加回路12は、ネジ部6a側から、ダイオード13、ヒューズ14、及び、調整抵抗器15が直列接続されて構成されたものとなっている。
【0014】
ダイオード13は、そのアノードが、発熱体11の正極側と共に、最終的にネジ部6aと導通するように、例えば、第一電極棒5(
図1参照)の適宜な位置に接続されるものとなっている一方、カソードがヒューズ14の一端に、それぞれ接続されたものとなっている(
図2参照)。
そしてヒューズ14の他端と調整抵抗器15の一端が相互に接続され、調整抵抗器15の他端が、発熱体負極接続部3aに接続されたものとなっている。
【0015】
次に、かかる構成のグロープラグ1の生産工程における単体試験方法について、
図3を参照しつつ説明する。
単体試験の際に、試験のための電源21の正極側は、従来とは逆に、発熱体負極接続部3aに接続され、電源21の負極側は、ネジ部6aと共にアースに接続されるものとなっている(
図3参照)。
かかる接続において、ダイオード13は、逆方向の電圧が印加された状態となるため、非導通状態となり、そのため、電流は発熱体11にのみ流れることとなり、追加回路12には電流が流れないので、単体検査においてヒューズ14が溶断されることはない。
【0016】
かかる単体試験においては、電源21の電圧を予め規定すると共に、その印加電圧において、発熱体11のみに流れる電流を予め求めて基準電流として規定し、その基準電流が得られるか否かによって、良品か否かの判定を行う。
通常、発熱体11の抵抗値は、グロープラグ1の仕様に基づいて、製造に先立って規定されるため、電源21の電圧が規定されれば、正常時における電流が定まることとなる。したがって、その電流値が、上述の検査において良品か否かを判断する基準とされるが、その電流値を中心にある許容範囲を定めて、その許容範囲にあれば 良品と判断するのが一般的である。
また、電流の計測は、
図3においては、省略してあるが、ネジ部6aとアースとの間に電流計を直列接続して設けることによって行うのが好適である。
【0017】
次に、グロープラグ1を車両に組み付けた状態における本発明の実施例のグロープラグ新品判別方法について、
図4乃至
図6を参照しつつ説明する。
最初に、グロープラグ1が車両に組み付けられた状態における回路構成について、
図4(A)を参照しつつ説明することとする。
グロープラグ1は、その発熱体負極接続部3aがアースに接続される一方、ネジ部6aは、グロープラグ駆動制御装置(以下「GCU」と称する)100を介して車両バッテリ22の正極側に接続されるものとなっている。
【0018】
GCU100は、通電駆動回路31と、電流計測回路32と、演算制御部(
図4においては「CPU」と表記)33とに大別されて構成されたものとなっている。
通電駆動回路31は、通電制御用半導体素子35と、抵抗器36とを主たる構成要素として、グロープラグ1の通電制御を行うよう構成されたものとなっている。
通電制御用半導体素子35は、例えば、MOSFETなどが用いられ、そのドレインは、車両バッテリ22の正極に、ソースは、抵抗器36を介してグロープラグ1のネジ部6aに接続される一方、ゲートには、演算制御部33からの制御信号が印加されて、その導通、非導通が制御されるものとなっている。かかる通電制御用半導体素子35の導通制御によって、グロープラグ1の通電が制御されるものとなっている。なお、かかる通電駆動回路31と演算制御部33による通電制御は、基本的に従来と同様のものである。
【0019】
電流計測回路32は、演算増幅器37とアナログ・ディジタル変換器38とを主たる構成要素として、グロープラグ1に流れる電流に比例した抵抗器36における電圧降下を演算制御部33に入力可能に構成されたものとなっている。
演算増幅器37には、抵抗器36の両端の電圧が入力されるようになっており、その出力電圧は、アナログ・ディジタル変換器38によりディジタル値として演算制御部33に入力されるようになっている。
演算制御部33においては、所定の演算式により、上述のようにディジタル入力された抵抗器36における電圧降下の値を、抵抗器36の抵抗値で除し、その除算結果を、グロープラグ1に流れる電流として、適宜な記憶領域に記憶されるものとなっている。
【0020】
演算制御部33は、例えば、公知・周知の構成を有してなるマイクロコンピュータ(図示せず)を中心に、RAMやROM等の記憶素子(図示せず)を有すると共に、先の通電制御用半導体素子35へ対する制御信号を出力するためのインターフェイス回路(図示せず)などを主たる構成要素として構成されたものとなっているものである。
【0021】
次に、本発明の実施の形態におけるグロープラグ新品判別方法について、最初に、その概要を説明し、次いで、具体的に説明することとする。
まず、このグロープラグ新品判別方法は、車両に取り付けられたグロープラグが、先に
図1及び
図2を参照しつつ説明した構成を有するグロープラグ1であるか否かを判別するに適するものである。
かかる新品判別方法においては、グロープラグ1が最初に通電された際の電流の変化をGCU100により取得、記憶し、その後、グロープラグ1が交換された際に、新たに取り付けられたグロープラグが
図1及び
図2に示された構成を有するグロープラグであるか否かの判定を、交換されたグロープラグに流れる電流と、GCU100に記憶された電流のデータとを比較することで行うものとなっている。
【0022】
次に、グロープラグ1の初回通電時における電流変化の取得、記憶の具体的手順について、
図4(A)に示された構成例及び
図5に示されたサブルーチンフローチャートを参照しつつ説明する。
まず、前提として、GCU100においては、従来と同様に、グロープラグ1の通電駆動制御処理が実行されるものとなっている。かかる通電駆動制御処理は、図示されないエンジンの駆動状態に応じて、グロープラグ1の通電を制御、換言すれば、通電制御用半導体素子35の導通、非導通を制御するものである。かかる通電駆動制御処理においては、通電制御用半導体素子35の導通、非導通は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)制御によって行われるものとなっている。
【0023】
図5に示されたサブルーチンフローチャートは、上述した従来の処理手続によるグロープラグ1の通電制御処理が実行されるなかで、その一つのサブルーチン処理として、車両に取り付けられたグロープラグ1の初回の通電の際に演算制御部33によって実行されるものである。
しかして、演算制御部33によって処理が開始されると、最初に、グロープラグ1への初回の通電が開始されたか否かが判定され(
図5のステップS102)、初回の通電であると判定された場合(YESの場合)には、次述するステップS104の処理へ進む一方、初回通電ではないと判定された場合(NOの場合)には、この一連の処理の実行不要として処理が終了され、図示されないメインルーチンへ戻ることとなる。
【0024】
なお、初回通電か否かの判定は、例えば、フラグを用いる方法が好適である。
すなわち、車両の製造段階においてグロープラグ1を取り付け、出荷する際に、演算制御部33における初回通電判定用フラグを所定の値、例えば、”1”に設定し、ステップS102の実行の際に、初回通電判定用フラグが”1”の場合に、初回通電であると判定できるようにすると好適である。なお、この場合、初回通電と判定された後は、初回通電判定用フラグを”0”にリセットするものとする。
【0025】
ステップS104においては、演算制御部33に通電直後のグロープラグ1の通電電流の変化が電流計測回路32を介して読み込まれ、演算制御部33の適宜な記憶領域に記憶されることとなる。
ここで、本発明のグロープラグ1の動作について、
図7を参照しつつ説明することとする。
まず、本発明の実施の形態におけるグロープラグ1は、初回通電の際に、ヒューズ14を溶断し、以後、従来構成のグロープラグ同様、発熱体11にのみ通電して用いるようになっているものである。
初回通電開始の際には、発熱体11に対してヒューズ14がダイオード13及び調整抵抗器15と共に並列接続されるため、全体としての抵抗値は、発熱体11のみの場合に比して低くなるため、発熱体11のみの場合に比して大きな突入電流が流れるものとなっており、ヒューズ14は、その突入電流によって確実に溶断できるものが選定されるものとなっている。なお、ヒューズ14の溶断に要する電流は、調整抵抗器15の抵抗値を適宜選択することで所望する大きさに調整可能である。
【0026】
図7には、かかるグロープラグ1の初回通電時における通電電流の変化を示す特性線(実線の特性線)の一例が、従来の構成を有するグロープラグの同様な特性線(二点差線の特性線)の一例と共に示されている。
同図において、符号Aが付された点線円で囲まれた部分は、通電開始時における電流変化であり、グロープラグ1の場合、従来と比して、その電流のピーク値が大きいだけでなく、時間の経過に対する電流変化の割合(電流変化率)が大、すなわち、換言すれば、特性線の立ち上がりの傾斜が大となっていることが確認できるものとなっている。なお、このように通電開始において、大きな電流変化率で、大きなピーク値を以て流れる電流を、「突入電流」と称することとする。
かかる通電開始の時点においては、発熱体11が未だ発熱しておらず、抵抗値が比較的低いために、突入電流の大半は発熱体11側に多く流れるために、この時点でヒューズ14は、まだ溶断されない。
【0027】
上述のような突入電流が流れ込み、その後、発熱体11が発熱し始めると、発熱体11の抵抗値の上昇に伴いグロープラグ1全体に流れる電流は徐々に減少してゆくが(
図7参照)、発熱体11に流れる電流よりも、ヒューズ14側に流れる電流が増すため、ある時点でヒューズ14が溶断し、通電電流は一気に低下し、ほぼ従来品と同程度の電流となる(
図7の符号Bが付された点線円の部分参照)。
【0028】
しかして、ステップS104においては、
図7において符号Aが付された点線円の範囲における通電開始時からの時間経過に対する電流値が、所定のサンプリングタイミングで取得され演算制御部33の適宜な記憶領域に記憶されることとなる。
なお、通電開始からどの程度の時間の間、サンプリングを行うか、また、サンプリングの間隔は、使用されるグロープラグ1の突入電流の大きさの違い等の電気的特性の違いに応じて、適切なものが選定されるべきものであり、特定の値に限定される必要はなく、個々に、試験やシミュレーション結果等に基づいて定められるのが好適である。
【0029】
次いで、ステップS106においては、ヒューズ溶断前後の電流変化が取得される。
すなわち、
図7において、符号Bが付された点線円で囲まれた部分における時間経過に対する電流値が、ステップS102に同様にサンプリングされ演算制御部33の適宜な記憶領域に記憶されることとなる。
なお、このステップS106におけるサンプリングの開始時点は、例えば、先に
図7で説明した突入電流が流れた後の電流の低下が始まり、その後、電流値が所定以上となった時点とする、また、通電開始からの経過時間が所定時間を経過した時点とするなど種々選択可能であり、特定の手法に限定される必要はないものである。
また、ステップS106におけるサンプリング終了時は、電流値が所定以下となった時点とする、また、サンプリング開始から所定時間経過した時点とするなど、サンプリング開始時同様、種々選択可能であり、特定の手法に限定される必要はないものである。
【0030】
上述のようにしてステップS106の処理が実行された後は、ある一定期間経過後のグロープラグ1の抵抗値の取得が行われる(
図5のステップS108参照)。なお、
図5のステップS106において、「GLP」は、グロープラグの意味である。
すなわち、グロープラグ1の抵抗値は、演算制御部33において次述するように演算算出されるものとなっている。
【0031】
すなわち、演算制御部33におけるグロープラグ1の抵抗値Rgの算出は、通電制御用半導体素子35における電圧降下を無視できると仮定し、抵抗器36の抵抗値R、電流計測回路32を介して取得された抵抗器36における電圧降下Vr、車両バッテリ22の電圧VBとして、Rg=(VB−Vr)÷(Vr÷R)として実行されるものとなっている。
なお、上述のようにして演算算出されたグロープラグ1の抵抗値Rgは、ステップS104、S106で得られたデータと共に、演算制御部33の適宜な記憶領域に記憶され、一連の処理が終了されることとなる。
【0032】
次に、グロープラグの交換が行われた場合に演算制御部33により実行される新品判別処理について、
図4(B)及び
図6を参照しつつ説明する。
まず、
図4(B)に示されたようにヒューズ14が既に溶断されているグロープラグ1aが交換された場合を前提として、以下、新品判別処理の手順について説明することとする。
また、この
図6に示された一連の処理は、グロープラグの交換後に、グロープラグの通電開始前に、GCU100に所定のコマンドが入力、又は、所定のフラグが設定された場合にのみ開始されるようにするのが好適である。
GCU100への所定のコマンドの入力、又は、所定のフラグの設定は、図示されないエンジンの動作制御や燃料噴射制御を行う車両搭載の電子制御ユニットを、例えば、故障診断モードにして、所定のスイッチ操作等によって、GCU100へ対して、
図6に示された一連の処理開始のためのコマンドの出力、又は、フラグ設定を可能とするのが好適である。
【0033】
演算制御部33により処理が開始されると、グロープラグ1aへの通電が開始されたか否かが判定され(
図4(B)、及び、
図6のステップS202参照)、通電開始されたと判定された場合(YESの場合)には、次述するステップS204の処理へ進む一方、未だ通電されていないと判定された場合(NOの場合)には、この一連の処理の実行不要として処理が終了され、図示されないメインルーチンへ戻ることとなる。
【0034】
ステップS204においては、通電直後の電流変化の取得が行われる。すなわち、
図5のステップS104の処理同様に、突入電流の発生する期間における時間経過に対する電流値が、所定のサンプリングタイミングで取得され演算制御部33の適宜な記憶領域に記憶されることとなる。
なお、このステップS204における具体的なサンプリング期間の設定は、先のステップS104の場合に準じて設定するのが好適である。
【0035】
次いで、ヒューズ溶断タイミングにおける電流変化の取得が行われることとる(
図6のステップS206参照)。
すなわち、先にステップS106(
図5参照)で説明したように、ヒューズ14が溶断されると想定される前後の時期に対応するタイミングにおけるグロープラグ1aの電流変化が取得される。
先に前提条件としたように、ヒューズ14が既に溶断されているグロープラグ1aや従来構造のグロープラグ(図示せず)が接続されている場合には、このステップS206で取得される電流変化は、先に説明したような
図7の符号Bが付された点線円で囲まれた範囲のようなものとはならず、
図7において二点鎖線で表された特性線に近似したものとなる。
【0036】
次いで、上述のように取得された通電直後の電流変化及びヒューズ溶断タイミングにおける電流変化と、先に説明したように
図5に示された処理によって既に演算制御部33に記憶されている同種のデータとの比較が行われ、新品か否かが判定されることとなる(
図6のステップS208参照)。
ステップS204,S206で取得された電流変化と、演算制御部33に記憶されている同種のデータとの比較は、ステップS204,S206で取得された電流変化が、演算制御部33に記憶されている同種のデータに対して所定の許容範囲で近似したものとなっているか否かを判断し、所定の許容範囲で近似している場合には、新品と判定し、それ以外の場合には、中古品と判定するのが好適である。
【0037】
しかして、上述のようにして新品であると判定された場合(YESの場合)には、その判定結果が、ステップS204,S206で取得された電流変化と共に、演算制御部33の適宜な記憶領域に記憶されることとなる(
図6のステップS210参照)。
一方、ステップS208において、中古品と判定された場合(NOの場合)には、その判定結果が、ステップS204,S206で取得された電流変化と共に、演算制御部33の適宜な記憶領域に記憶されることとなる(
図6のステップS212参照)。
そして、ステップS210又はS212の処理後は、一連の処理が終了されることとなり、図示されないメインルーチンへ戻ることとなる。
【0038】
演算制御部33の適宜な記憶領域に記憶された判定結果は、GCU100に、試験器(図示せず)を接続して、演算制御部33の記憶領域のデータを抽出、確認できるようにしても良く、また、車両搭載の電子制御ユニット(図示せず)を用いて、故障診断モードで確認できるようにしても良い。
【0039】
図5及び
図6を用いて説明したグロープラグ新品判別方法にあっては、ヒューズ14の溶断前におけるグロープラグ1への突入電流発生期間における電流変化と、ヒューズ14の溶断タイミングにおける電流変化を取得、記憶し、グロープラグの交換の際に、同様な電流変化を取得し、記憶されたデータと比較することで、新品か否かの判別を行うようにしたが、新品か否かの判断要素として、電流変化に限定される必要はない。例えば、突入電流発生期間におけるグロープラグ1の抵抗値の変化、及び、ヒューズ14溶断タイミングにおけるグロープラグ1の抵抗値の変化を、上述の電流変化の場合同様に新品か否かの判別に用いるようにしても良い。この場合、グロープラグ1の抵抗値は、先に
図5のステップS108で説明したようにして、電流計測回路32を介して得られたデータ等を基に、演算制御部33において演算算出可能である。
【0040】
なお、本発明の実施の形態においては、セラミック型グロープラグを例に採り説明したが、これに限定されるものではなく、他の種類のグロープラグにも適用できるものである。
また、本発明の実施の形態においては、GCU100が演算制御部33を有する構成であることを前提に、
図5、
図6に示された演算処理等が実行されるとして説明したが、GCU100が演算制御部33を有しない構成のものが用いられる事もあり、このような場合には、演算制御部33に代えて車両の燃料噴射制御等を実行する車両動作制御用の電子制御ユニット(図示せず)において、
図5、
図6に説明した処理を実行するようにしても好適である。