特許第5653556号(P5653556)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5653556
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】光ファイバ加速度計
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/093 20060101AFI20141218BHJP
【FI】
   G01P15/08 A
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-136686(P2014-136686)
(22)【出願日】2014年7月2日
【審査請求日】2014年8月18日
(31)【優先権主張番号】13/935,955
(32)【優先日】2013年7月5日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514169253
【氏名又は名称】ヴィブロサウンド、エルティディ.
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】パリツキー、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】コッツ、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】カハナ、ユヴィ
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−23223(JP,A)
【文献】 特開平9−33332(JP,A)
【文献】 特開平8−145780(JP,A)
【文献】 実開平5−45566(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P15/00−15/18
G01H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバ加速度計(10)であって、
中空状本体部と、
第一端部(12)および前記第一端部から遠い第二端部(13)を有し、前記中空状本体部の中でカンチレバー部を形成するように前記第二端部の手前で支持される光ファイバ(11)と、
前記光ファイバの前記第一端部に結合された光ファイバスプリッタ(14)と、 前記光ファイバに前記光ファイバスプリッタの第一分岐を介して光を導く光源(16)と、
前記光ファイバを通り前記光ファイバスプリッタの第二分岐を介して搬送される光を受光し、前記受光した光の強度を測定するために配置された光検出器(18)と、
前記加速度計に何の力も加えられていないときに、前記光ファイバの前記第二端部と軸方向に整列するように、前記中空状本体部の中に配置され該本体部の第二端部で支持される反射対象物(22)と、を備え、
前記加速度計が振動または加速度を受けると、カンチレバー部が、前記反射対象物に対するその位置が変化するように動き、それによって、前記光ファイバの前記第二端部の中に向けて前記対象物によって反射され、前記光検出器によって測定される光の瞬間強度が低減するようになっている、前記光ファイバ加速度計において、
前記反射対象物(22)は、前記光ファイバの自由な前記第二端部に近接した第一端部と、該第一端部から遠い第二端部を有する光ファイバスタブ(27)で形成され、
前記光ファイバスタブの前記第一端部は、(i)前記光ファイバスタブの光軸に対して所定の角度で形成された傾斜面、または(ii)前記光ファイバスタブの前記端部により近い第一部分と、より離れた第二面部を呈する段差状切り口のいずれかを有し、
前記光ファイバスタブの前記第二端部は、前記光軸に対して垂直に切断され、研磨された光反射材料で被覆されている、
ことを特徴とする、光ファイバ加速度計。
【請求項2】
前記中空状本体部の中の前記光ファイバの固定点は調整可能であり、それによって前記カンチレバー部の長さを調整することができる
ことを特徴とする、請求項1に記載の光ファイバ加速度計。
【請求項3】
前記光ファイバの前記第二端部と前記光反射対象物との間隔は、組立時に環状スペーサ(26)によって固定される
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の光ファイバ加速度計。
【請求項4】
前記光ファイバスタブの前記第一端部は傾斜しており、前記光ファイバスタブは、前記光ファイバスタブの前記第一端部の前記傾斜面の方向を変えられるように軸回転可能であり、それによって前記加速度計の方向感度を調整する
ことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の光ファイバ加速度計。
【請求項5】
前記光ファイバスタブの前記第一端部は段差状切り口を有し、前記光ファイバスタブは、前記光ファイバスタブの前記第一端部の前記段差状切り口の方向を変えられるように軸回転可能であり、それによって前記加速度計の方向感度を調整する
ことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の光ファイバ加速度計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カンチレバー構造の光ファイバを有する光ファイバセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
加速度計および圧力センサ、温度センサ、変位センサ等の光ファイバセンサは、光エネルギーと光ファイバを使用して、物理的パラメータを感知し、測定された、物理的パラメータを表す信号を、光エネルギーを変調したものに変換することが知られている。このようなセンサの例は、米国特許第5771091号、米国特開2009/0123112号および米国特開2007/0247613号で開示され、センサは、二本の光ファイバを備えている。 一本目のファイバは、音や振動・加速度の影響を受けて動く検知対象物に、光源から光エネルギーを導く。二本目のファイバは、これらの運動によって変調された反射光エネルギーを、電気的なセンサ出力信号を生成する光検出器に導く。
【0003】
米国特許第4414471号は、固定されたカンチレバー構造の光ファイバを、離間した状態で、複数提供することによって達成される音響波の検出方法を開示しており、その方法によれば、音響信号によって形成される慣性力が、カンチレバー構造の光ファイバの振動を介し、ファイバによって搬送される光信号を変調する。
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明の大きな目的は、非常に広い周波数範囲、高感度、低自己雑音を有し、あらゆる測定分野に使用可能な光ファイバ加速度計を提供することである。更なる目的は、すべてシリカやセラミックなどの非金属材料から形成されて極限温度に耐えられる単純な構造を有し、しかも製造、設置および保守が低コストで済むようなセンサを提供することである。
これらの目的は、本発明に基づき、請求項1の特徴を有する光ファイバ加速度計によって実現される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本発明を理解し、それが実際にどのように実施されるのかを理解するために、ほんの非限定的な例として、添付図面を参照しつつ、実施形態を説明することにする。
図1】本発明によって構築され、動作する光ファイバ加速度計を概略的に示している。
図2図1に示した光ファイバ加速度計の部分断面図を、加速度計本体内の光ファイバの取り付け位置を変更する可能性も含めて概略的に示している。
図3】光ファイバの自由端と反射対象物の間に隙間のある光ファイバ加速度計の概略的な部分断面図である。
図4】光を反射する対象物の異なる構造を概略的に示したものであり、(a)は傾斜状切り口の光ファイバを示し、(b)は段差状切り口の光ファイバであり、(c)は加速度を測定する方向を変化させる原理を説明するのに有用であり、(d)は(a)の対象物をD−Dの方向から見た正面図であって、感度と段差状切り口面との関係を示しており、(e)は(a)の対象物の部分側面図であって、感度と傾斜面との関係を示している。
【発明を実施するための形態】
【0006】
いくつかの実施形態に関する以下の説明では、複数の図形に現れるか、または同様の機能を共有する同一構成要素は、同一符号で参照することにする。
【0007】
図1は、本発明によって構築され、動作する光ファイバ加速度計10の概略図である。加速度計10は、入出力を構成する第一端部12と第二端部13を有する光ファイバ11を備えている。第一端部12は、光ファイバスプリッタ14に固定され、その第一分岐には、その端部に光源16を有する第一ファイバ15が結合され、その第二分岐には、その端部に光検出器18を有する第二ファイバ17が結合されている。加速度計10は、端壁20を有するほぼ中空状本体部19を有しており、その端壁を通してファイバ11が突出し、ファイバの第二端部13の手前で、本体19の振動もしくは加速度の結果として撓むことが可能な、短いカンチレバー部21が形成されるように、端壁によって支持されている。カンチレバー部21は、このように中空状本体部の中で、第二端部と光ファイバの固定点との間の、加速度センサとして機能する、光ファイバの短い部分である。中空状本体部19の外側の光ファイバの長さは、長さが数キロメートルであってもよい。反射対象物22は、中空状本体部の中で、その静止位置または平衡位置にあるときに光ファイバと軸方向に整列した状態で、対向する端壁の内面に固定されている。
【0008】
光源16からの光は、光ファイバ15を通り光スプリッタ14の第一分岐を介して光ファイバ11へ搬送され、そこから第二端部13に向けられる。自由端13から放出された光は、反射対象物22に当たり、これが光の一部を光ファイバ11の第二端部13へ反射する。第二端部13に当たった反射光は、光ファイバ11を通り、光ファイバスプリッタ14の第二分岐とファイバ17を介して光検出器18に搬送され、それが反射光の強度を測定する。
【0009】
加速度計本体19が振動または加速すると、カンチレバー部21の第二端部13は結合部分を中心として上下に揺動し、軸から外れた位置23まで動くことで、光反射対象物22に対する位置を変える。これは、対象物22の手前にある、光ファイバの自由端部によって、搬送される光の瞬間強度が低減されるので、対象物22によって反射され光ファイバに向かう光の瞬間強度も同様に低減されることを意味する。結果的に、光検出器18に到達する光の強度は加速度計本体19の振動・加速度に応じて変化し、光検出器18の出力信号は加速度の関数として変化する。
【0010】
図2は、カンチレバー部21の長さが調整可能な、別の実施形態に係る加速度計10の部分断面図を概略的に示している。前の実施形態と同様に、光ファイバ11は、カンチレバー部21を形成するように、加速度計本体19内の一端の手前で強固に固定されていて、このカンチレバー部は、本体19に対して自由慣性運動を行ない、光ファイバ11と同軸上でその自由端13の反対側に固定された反射対象物22に対する位置を変えるように構成される。対象物は、光ファイバの運動している第二端部13から発する光24によって照らされる。光24は、対象物22によって自由な第二端部13に向けて一部が反射して戻り、光ファイバによって光ファイバスプリッタ14の第二分岐とファイバ17を介して光検出器18へ搬送される。自由な第二端部13の位置は対象物22に対して変化するので、対象物22によって光ファイバの自由な第二端部13に反射する光の強度も、それに応じて変化する。
【0011】
【0012】
図3は、さらに別の実施形態に係る光ファイバ加速度計の部分断面の概略図であって、この場合は、中央開口部を有する環状スペーサ26が、光ファイバの第二端部13と反射対象物22との間に配置される。スペーサ26は、光ファイバの自由端とスタブ(後述)の対向端の間隔が10〜15μmのオーダーであることを保証するように寸法決めされている。中央開口部があることで、スペーサが光を妨げずに通過させることが保証される。光ファイバ11の端部13と反射対象物22との間隔で、加速度センサ感度が決まる。最適な間隔は、加速度計組立時にスペーサ26を用いて設定される。
【0013】
図4(a)、(b)、(c)は、すべて光ファイバの断面から形成された光反射対象物の異なる構造を概略的に示している。
【0014】
図4(a)では、対象物は、フェルール28の内側に固定されて、端部が面取りされ傾斜反射面29を形成する、光ファイバスタブ27で形成されている。光ファイバスタブ27の後端30は、良好な反射面を形成するように、金のような高度に研磨された効率的な光反射材料で被覆されている。光ファイバ11と光ファイバスタブ27は、加速度計の平衡状態で、同軸である。光源16から光ファイバ11を通って搬送され、運動する第二端13から出る光は、光ファイバスタブ27内に導かれ、その後端30で反射され光ファイバスタブ27を通って戻る。この光の一部は、光ファイバ11の第二端部13に入射し、光ファイバを通り光ファイバスプリッタ14の第二分岐とファイバ17を介して光検出器18に搬送される。
【0015】
振動・加速度を受けると、光ファイバ11の自由な第二端部13はその位置を変化させ、光ファイバ11によって光ファイバスタブ27に供給され反射されて光ファイバ11に戻る光量も同様に変化することになる。光ファイバ11が光ファイバスタブ27との共通軸から撓むほど、反射されて光ファイバ11に戻る光量は少なくなる。光ファイバ11の第二端部13の面に対する、光ファイバスタブ27の傾斜端面の角度配置によって、加速度計が光ファイバ11の運動方向に対して高感度になる。具体的には、図4(a)の平衡位置で、光ファイバ11の端部13によってスタブ27に透過した光は、光ファイバ11開口部の捕捉角度内にある角度αで反射される。したがって、カンチレバー部21が紙面内外で水平振動を受けた場合、スタブ27によって反射される光の強度は変化しない。逆に、カンチレバー部21が紙面で垂直振動を受けた場合、カンチレバー部21の端部13が下降すると、スタブ27によって反射される光がより多く光ファイバ11に再入力し、光検出器18によって検出されることになる。しかし、カンチレバー部21が上昇すると、スタブ27によって反射される光がより少ししか光ファイバ11に再入力し、光検出器18によって検出されないことになる。つまり、光ファイバスタブ27によって形成される反射対象物の角度方向によって、センサの振動・加速度を測定するベクトルが決まる。
【0016】
図4(b)は、光反射対象物の別の実施形態を示している。この場合、対象物は、光ファイバ11の自由な第二端部13に近い前面が、下面部分32は光ファイバ11の端部13に近く上面部33は当該端部からやや遠く呈するように、段差状になっているか奥まっている光ファイバスタブ31でできている。前の実施形態のように、光ファイバ11と光ファイバスタブ31は、加速度計の平衡状態で光学的に同軸である。光ファイバスタブ31の後面34は、良好な反射面を形成するように、金のような高度に研磨された効率的な光反射材料で被覆されている。光ファイバ11からの光は、光ファイバスタブ31内に導かれ、その後面34から反射されてファイバ11に戻り、光ファイバスプリッタ14の第二分岐とファイバ17を介して光検出器18へ搬送される。装置の振動または加速時には、光ファイバ11の自由な第二端部13は、その平衡軸から外れて、反射される光量は変化する。
【0017】
図4(c)は、装置の最大感度を調整するためには、フェルール28を回転させるだけで加速度計10の縦軸の向きを変えればよく、加速度計の残りの要素には何の変更も必要としない方法を示している。
【0018】
図4(d)は、感度と段差状切り口面の関係を説明するために、図4(b)のD−D線の方向から見た正面図である。段差状切り口面で、センサの最大感度の方向が決まる。したがって、感度は、x−x方向で最小となり、y−y方向で最大となる。図4(e)は、図4(a)の対象物の部分側面図であり、最大感度がy−y線で示した傾斜面方向であることを示す。
【0019】
発明として記録に記され、請求項に定義された本発明の概念は、光ファイバの短い部分をカンチレバー部として確保することであり、ここで当該部は振動を受け、その際に、対象物に当たり受光される光の方向を小刻みに変える。
【0020】
【0021】
【0022】
なお、本発明は上述の例示した実施形態の詳細に限定されるものではなく、本発明は、その本質的な属性から逸脱することなく、他の形態で実施することができることは、当業者には明らかであろう。したがって、本実施形態は、すべての点で例示としてみなされるべきであり、本発明の範囲は前述の説明ではなく別記の請求項によって示される。
【要約】
光ファイバ加速度計(10)は、カンチレバー部を形成するように内部で光ファイバ(11)を支持する中空状本体と、光ファイバの第一端部(12)と光源(16)に結合された光ファイバスプリッタ(14)と、を有しており、後者は、光を光ファイバに光スプリッタの第一分岐を介して導くためのものである。光検出器(18)は、光ファイバを通り光スプリッタの第二分岐を介して搬送される光を受光し、受光した光の強度を測定する。反射対象物(22)は、加速度によって中空状本体の第二端部との位置合わせに変動が生じ、それによってカンチレバー部が、対象物によって光ファイバの第二端部に反射される光の瞬間強度を変化させる。反射対象物は、傾斜面または段差面を有する光ファイバスタブ(27)で形成されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4