(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アンテナ選択部は、前記通信確立数が最多であるアンテナが複数あると前記判定部により判定された場合に、前記通信レベル取得部により取得された前記複数の対における通信レベルのうちで最も低い通信レベルに対応する前記他の通信装置を特定し、特定した当該他の通信装置の前記複数のアンテナのそれぞれに対する通信レベルの中で最も高い通信レベルのアンテナを選択する
請求項1または2に記載の通信装置。
前記カウント部は、さらに、前記複数のアンテナのそれぞれについて、当該アンテナとの通信レベルが最大である前記複数の他の通信装置の数である最大レベル端末数をカウントし、
前記判定部は、さらに、前記カウント部によるカウントの結果、前記最大レベル端末数が最多であるアンテナが複数あるか否かを判定し、
前記アンテナ選択部は、前記通信確立数が最多であるアンテナが複数あると前記判定部により判定された場合であって、前記最大レベル端末数が最多であるアンテナが複数あると前記判定部により判定された場合に、前記通信レベル取得部により取得された前記複数の対における通信レベルのうちで最も低い通信レベルに対応する前記他の通信装置を特定し、特定した当該他の通信装置の前記複数のアンテナのそれぞれに対する通信レベルの中で前記最も低い通信レベルよりも高い通信レベルに対応するアンテナをブロードキャスト送信に使用するアンテナとして選択する
請求項1から8のいずれか1項に記載の通信装置。
前記アンテナ選択部は、前記最大レベル端末数が最多であるアンテナが複数ないと前記判定部により判定された場合に、前記最大レベル端末数が最多であるアンテナを選択する
請求項9に記載の通信装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本発明の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した、通信装置に関し、以下の問題が生じることを見出した。
【0013】
特許文献1に記載の通信装置は、上述したようにブロードキャスト送信の場合のアンテナの選択方法について記載されており、親局が受信したデータの誤りをアンテナごとに検出し、データの誤りが少なかったアンテナを判定して選択している。
【0014】
しかしながら、特許文献1の方法では、複数のアンテナにおいて誤りの数が同数の場合のアンテナ選択方法については明記されていない。このため、最も通信レベルが低い子局に対して最適なアンテナが選択されない場合があり、その場合にそのような子局は通信不能になる可能性がある。
【0015】
このような問題を解決するために、本発明の一態様に係る通信装置は、複数の他の通信装置と無線通信によりデータ通信を行う通信装置であって、前記無線通信に係る電波を送受信する複数のアンテナと、前記通信装置が前記複数の他の通信装置と前記無線通信を行ったときの前記複数のアンテナのそれぞれと、前記複数の他の通信装置のそれぞれとの組み合わせである複数の対における通信レベルを取得する通信レベル取得部と、前記複数のアンテナのそれぞれについて、当該アンテナが前記無線通信を確立できた前記他の通信装置の数である通信確立数をカウントするカウント部と、前記カウント部によりカウントされた前記通信確立数が最多であるアンテナが複数あるか否かを判定する判定部と、前記通信確立数が最多であるアンテナが複数あると前記判定部により判定された場合に、前記通信レベル取得部により取得された前記複数の対における通信レベルのうちで最も低い通信レベルに対応する前記他の通信装置を特定し、特定した当該他の通信装置の前記複数のアンテナのそれぞれに対する通信レベルの中で前記最も低い通信レベルよりも高い通信レベルに対応するアンテナをブロードキャスト送信に使用するアンテナとして選択するアンテナ選択部と、前記アンテナ選択部で選択されたアンテナを用いて前記複数の他の通信装置
にデータをブロードキャスト送信する送信部と、を備える。
【0016】
これによれば、複数のアンテナのうちで通信確立数が互いに同数である場合に、通信レベル取得部により取得された複数の対の全てにおける通信レベルのうちで最低の通信レベルに対応する他の通信装置を特定し、特定した他の通信装置に対応する複数の対における通信レベルのうちの大きい方のRSSIに対応する方のアンテナを選択する。つまり、通信レベル取得部により取得された複数の対における通信レベルのうちで最低の通信レベルに対応するアンテナを少なくとも選択しない。また、最低の通信レベルに対応する子局に注目するため、通信装置に対して最も通信条件の悪い他の通信装置を基準に当該他の通信装置が通信できる可能性の高いアンテナを選択することになる。このように、最も通信条件の悪い子局に対して、通信条件のよい方のアンテナを選ぶため、例えば、複数のアンテナのうちの一つに対する通信確立数と複数のアンテナのうちの他の一つのアンテナに対する通信確立数とが同数であると判定された場合であっても、より通信条件のよい方のアンテナを確実に選択することができる。つまり、フェージングの影響により、RSSIが時間的に変動しても、電波状態が悪い子局にとって最適なアンテナが選択されるため、通信不能の子局を減らすことができ、安定した通信を実現することができる。これにより、通信装置と無線通信を行うことが可能な他の通信装置の数を多くすることができる。
【0017】
また、例えば、前記アンテナ選択部は、前記通信確立数が最多であるアンテナが複数ないと前記判定部により判定された場合に、前記通信確立数が最多であるアンテナを選択してもよい。
【0018】
また、例えば、前記アンテナ選択部は、前記通信確立数が最多であるアンテナが複数あると前記判定部により判定された場合に、前記通信レベル取得部により取得された前記複数の対における通信レベルのうちで最も低い通信レベルに対応する前記他の通信装置を特定し、特定した当該他の通信装置の前記複数のアンテナのそれぞれに対する通信レベルの中で最も高い通信レベルのアンテナを選択してもよい。
【0019】
これによれば、最も高い通信レベルのアンテナを選択するため、少なくとも通信装置に対して最も通信条件の悪い他の通信装置の通信条件を、できる限り通信条件のよいアンテナと通信させることができる。
【0020】
また、例えば、さらに、前記複数のアンテナのうちのいずれかを用いて前記他の通信装置からデータを受信する受信部を備え、前記送信部は、前記他の通信装置のそれぞれに前記複数のアンテナのうちのいずれかのアンテナを用いてデータをユニキャスト送信し、前記受信部は、前記送信部によりユニキャスト送信されたデータを前記他の通信装置が受信した場合に当該他の通信装置から送信される応答情報を前記複数のアンテナのうちのいずれかのアンテナを用いて受信し、前記通信レベル取得部は、前記応答情報が前記受信部により受信されたときの受信レベルを前記通信レベルとして取得してもよい。
【0021】
また、例えば、前記アンテナ選択部は、前記他の通信装置から前記応答情報の受信を前記受信部が行っている間に、当該受信に使用するアンテナの切替えを行い、前記通信レベル取得部は、当該受信に使用した前記アンテナごとの前記受信レベルを前記通信レベルとして取得してもよい。
【0022】
また、例えば、前記アンテナ選択部は、前記他の通信装置から前記応答情報の受信を前記受信部が行っている間であって、前記複数の他の通信装置のすべてと前記複数のアンテナのうちの一つとの間の受信レベルの測定が完了するまで、当該受信に使用するアンテナを前記複数のアンテナのうちのいずれか一つに固定し、前記複数の他の通信装置のすべてについて、当該アンテナでの受信レベルの測定が完了した場合、前記複数のアンテナのうち、まだ前記複数の他の通信装置との受信レベルの測定が完了していないアンテナへの切替えを行い、前記通信レベル取得部は、当該受信に使用した前記アンテナごとの前記受信レベルを前記通信レベルとして取得してもよい。
【0023】
また、例えば、さらに、記憶部を備え、前記通信レベル取得部は、取得した前記通信レベルを、前記複数のアンテナごと、および、前記複数の他の通信装置ごとに対応付けたアンテナテーブルとして前記記憶部に記憶させ、前記カウント部は、前記アンテナテーブルに前記通信レベルが記録されている前記複数のアンテナごとの前記他の通信装置の数を前記通信確立数としてカウントしてもよい。
【0024】
また、例えば、
さらに、記憶部を備え、前記通信レベル取得部は、取得した前記通信レベルを、前記複数のアンテナごと、および、前記複数の他の通信装置ごとに対応付けたアンテナテーブルとして前記記憶部に記憶させ、前記通信レベル取得部は、さらに、前記受信部が前記応答情報を受信する度に、前記記憶部に記憶されている前記アンテナテーブルを更新
する。
【0025】
また、例えば、前記カウント部は、さらに、前記複数のアンテナのそれぞれについて、当該アンテナとの通信レベルが最大である前記複数の他の通信装置の数である最大レベル端末数をカウントし、前記判定部は、さらに、前記カウント部によるカウントの結果、前記最大レベル端末数が最多であるアンテナが複数あるか否かを判定し、前記アンテナ選択部は、前記通信確立数が最多であるアンテナが複数あると前記判定部により判定された場合であって、前記最大レベル端末数が最多であるアンテナが複数あると前記判定部により判定された場合に、前記通信レベル取得部により取得された前記複数の対における通信レベルのうちで最も低い通信レベルに対応する前記他の通信装置を特定し、特定した当該他の通信装置の前記複数のアンテナのそれぞれに対する通信レベルの中で前記最も低い通信レベルよりも高い通信レベルに対応するアンテナをブロードキャスト送信に使用するアンテナとして選択してもよい。
【0026】
また、例えば、前記アンテナ選択部は、前記最大レベル端末数が最多であるアンテナが複数ないと前記判定部により判定された場合に、前記最大レベル端末数が最多であるアンテナを選択してもよい。
【0027】
なお、これらの全般的または具体的な態様は、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0028】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0029】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0030】
(実施の形態1)
実施の形態1において、2本の通信アンテナを備え、複数の他の通信装置である複数の子局への無線通信によるブロードキャスト送信時に、ブロードキャスト送信に係る適切なアンテナを選択する通信装置について説明する。無線通信規格の一例は、IEEE802.15.4である。また、本発明は他の無線通信規格に適用することが可能である。
【0031】
図1は、本実施の形態1に係るシステム構成の一例を示す図である。
【0032】
図1に示されるシステムは、親局101と、子局A111と、子局B112と、子局C113と、子局D114とを備える。親局101は、子局A111、子局B112、子局C113および子局D114と無線通信によりデータ通信を行う。子局A111〜子局D114はアンテナを1つだけ有する構成であってもよいし、アンテナを複数有する構成であってもよい。親局101は、本発明の一態様に係る通信装置の一例である。また、子局A111〜子局D114は、複数の他の通信装置の一例である。
【0033】
図2は、実施の形態1に係るシステム構成の具体的な適用例を示す図である。
【0034】
図2に示されるシステム200は、一般家庭に構築される家庭内ネットワーク210であって、親局220と、太陽光発電機230と、蓄電池240と、燃料電池250と、エアコン260と、テレビ270とを備える。太陽光発電機230、蓄電池240、燃料電池250、エアコン260およびテレビ270のそれぞれの家電は、無線通信機能を有する子局(他の通信装置)の一例である。
【0035】
図3は、本実施の形態1に係る通信装置の機能ブロック構成の一例を示す図である。
【0036】
図3に示されるように、本実施の形態1に係る通信装置1は、複数のアンテナ2、3と、切替部4と、送信部5と、受信部6と、記憶部7と、通信レベル取得部8と、カウント部9と、判定部10と、アンテナ制御部11とを備える。
【0037】
複数のアンテナ2、3は、第一アンテナ2および第二アンテナ3であり、それぞれが無線通信に係る電波を送受信する。
【0038】
切替部4は、後述するアンテナ制御部11による制御信号に応じて、第一アンテナ2および第二アンテナ3のいずれか一方を選択し、かつ、送信部5および受信部6のいずれか一方を選択する。つまり、切替部4は、送信部5による送信および受信部6による受信のいずれかの場合において、第一アンテナ2および第二アンテナ3のいずれか一方を、アンテナ制御部11による制御信号に応じて切り換える切替スイッチである。なお、切替部4は、本実施の形態1では、送信部5による送信と、受信部6による受信とが同時にできない構成であるが、第一アンテナ2および第二アンテナ3の一方を送信用のアンテナとなるように切り換え、他方を受信用のアンテナとなるように切り換えることで、送信部5による送信と、受信部6による受信とが同時にできるような構成としてもよい。
【0039】
送信部5は、アンテナ制御部11による制御信号に応じて切替部4により選択された第一アンテナ2および第二アンテナ3のうちのいずれか一方を用いて、子局である太陽光発電機230と、蓄電池240と、燃料電池250と、エアコン260と、テレビ270との全てに所定のデータをブロードキャスト送信する。ここで、送信部5がブロードキャスト送信する所定のデータとは、例えば、無線通信に係る周波数チャネルを変更するときに使用されるデータであり、周波数チャネルの変更を指示するためのデータである。この場合、送信部5は、例えば、使用していた周波数チャネルの通信状態が悪いと判定されたとき、または、ユーザによる周波数チャネルの変更の指示を受け付けたときに所定のデータとして周波数チャネルの変更を指示するためのデータを全子局230〜270にブロードキャスト送信する。つまり、送信部5は、アンテナ選択部12(後述参照)で選択されたアンテナを用いて複数の他の通信装置に所定のデータをブロードキャスト送信する。
【0040】
また、送信部5は、アンテナ制御部11による制御信号に応じて切替部4により選択されたアンテナを用いて、子局である太陽光発電機230と、蓄電池240と、燃料電池250と、エアコン260と、テレビ270とのそれぞれに所定のデータをユニキャスト送信する。送信部5がユニキャスト送信するデータは、例えば、太陽光発電機230、蓄電池240、燃料電池250、エアコン260、およびテレビ270の各子局の電源のON/OFFを制御するためのデータ、各子局において使用された電力消費量を示すデータの送信を要求するためのデータなどである。これらのデータは、データの種類に応じて、ユーザからの指示を受け付けた場合、データ送信の必要が生じた場合、予め定められたタイミングに到達した場合などに、各子局にユニキャスト送信する。つまり、送信部5は、他の通信装置のそれぞれに第一アンテナ2および第二アンテナ3のうちのいずれかのアンテナを用いてデータをユニキャスト送信する。
【0041】
受信部6は、アンテナ制御部11による制御信号に応じて切替部4により選択された第一アンテナ2および第二アンテナ3のうちのいずれか一方を用いて、各子局230〜270からデータを受信する。具体的には、受信部6は、例えば、送信部5によりユニキャスト送信されたデータを子局が受信した場合に当該子局から送信される応答情報であるACK(Acknowledgement)を第一アンテナ2および第二アンテナ3のうちのいずれか一方のアンテナを用いて受信する。もちろん、受信部6は、ACKの他にも送信部5が送信したデータが例えば電力消費量を要求するデータであれば、当該要求に対する応答として子局から送信される電力消費量を示すデータを受信する。つまり、受信部6は、複数のアンテナ2、3のうちのいずれかを用いて他の通信装置からデータを受信する。
【0042】
記憶部7は、通信レベル取得部8により取得された受信レベルを、複数のアンテナ2、3ごと、および、複数の子局230〜270ごとに対応付けたアンテナテーブルとして記憶する。
【0043】
通信レベル取得部8は、子局230〜270のそれぞれから送信されたACKが受信部6により受信されたときの受信レベルを示すRSSI(Received Signal Strength Indication)を複数のアンテナ2、3ごとに取得する。つまり、通信レベル取得部8は、
図4に示すような第一アンテナ2および第二アンテナ3のそれぞれと、複数の子局230〜270のそれぞれとの組み合わせである複数の対のそれぞれにおける通信により取得されたRSSIを取得する。そして、通信レベル取得部8は、取得した複数の対のそれぞれにおける通信でのRSSIを、複数のアンテナ2、3ごと、および、複数の子局230〜270ごとに対応付けたアンテナテーブルとして記憶部7に記憶させる。また、通信レベル取得部8は、さらに、受信部6がACKを受信する度に、記憶部7に記憶されているアンテナテーブルを更新する。
【0044】
カウント部9は、第一アンテナ2および第二アンテナ3のそれぞれについて、通信確立数をカウントする。ここで、通信確立数とは、一つのアンテナが無線通信を確立できた子局の数である。つまり、例えば、通信装置1が第一アンテナ2を使用して無線通信を確立できた子局が太陽光発電機230と、燃料電池250と、テレビ270との3つの子局である場合には、第一アンテナ2の通信確立数は3となる。カウント部9は、記憶部7に記憶されているアンテナテーブルにRSSIの数値が記録されている子局の数を、第一アンテナ2および第二アンテナ3ごとに通信確立数としてカウントする。つまり、カウント部9は、アンテナテーブルにRSSIの数値が記録されていれば、RSSIの取得に係る通信が確立されたとみなす。なお、カウント部9は、上記のようにアンテナテーブルにRSSIが記録されていることを通信確立数としてカウントすることに限らずに、各アンテナ2、3と各子局230〜240との通信が確立したことをカウントしてアンテナテーブルとは別に記憶部7に記憶させるようにしてもよい。
【0045】
判定部10は、カウント部9によりカウントされた通信確立数が最多であるアンテナが複数あるか否かを判定する。つまり、判定部10は、通信確立数が最多であるアンテナが一つのアンテナに絞り込めない場合があるか否かを判定している。
【0046】
アンテナ制御部11は、通信確立数が最多であるアンテナが複数あると判定部10により判定された場合に、記憶部7に記憶されているアンテナテーブルに格納されているRSSIのうちで最も低いRSSIに対応する子局を特定する。そして、特定した子局の複数のアンテナ2、3のそれぞれに対するRSSIのうちで高いRSSIが取得されたアンテナを選択して当該アンテナを選択したことを示すアンテナ選択情報を保持する。アンテナ制御部11は、送信部5がブロードキャスト送信を行うときに、ブロードキャスト送信のためのアンテナの選択を行う制御信号を送信部5から受け、保持していたアンテナ選択情報が示すアンテナを選択するための制御信号を切替部4に送信する。つまり、通信装置1では、ブロードキャスト送信に使用するためのアンテナを第一アンテナ2および第二アンテナ3のいずれにするかを、アンテナテーブルに基づいてブロードキャスト送信を行う前に予め決定している。なお、切替部4とアンテナ制御部11とを合わせた機能は、アンテナ選択部12としての機能である。つまり、アンテナ制御部11は、上記の制御信号を切替部4に送信し、切替部4は当該制御信号を受けてアンテナの切り替えを行うことにより、アンテナ選択部12としての機能であるアンテナの選択を行っている。なお、アンテナテーブルは上述したように通信レベル取得部8により更新されるため、アンテナ選択部12は、更新された後の最新のアンテナテーブルを用いてアンテナの選択を行う。また、アンテナ制御部11は、通信確立数が最多であるアンテナが複数ないと判定部10により判定された場合に、通信確立数が最多であるアンテナを選択する。
【0047】
図4は、本発明の実施の形態1におけるブロードキャスト送信の処理の流れを示すフローチャートである。
【0048】
まず、通信装置1は、ブロードキャスト送信を行うときに、ブロードキャスト送信に使用するアンテナを選択するためのアンテナテーブルを作成する(S100)。アンテナテーブルの作成処理の詳細は、
図5を用いて後述する。
【0049】
次に、作成されたアンテナテーブルに基づいて、ブロードキャスト送信に使用するアンテナとして第一アンテナ2および第二アンテナ3のいずれか一方を選択する(S200)。ブロードキャスト送信のアンテナ選択の処理の詳細は、
図7を用いて後述する。
【0050】
最後に、選択されたアンテナを用いて複数の子局230〜270に所定のデータをブロードキャストで送信し(S300)、当該処理を終了する。
【0051】
図5は、本発明の実施の形態1におけるアンテナテーブルの作成処理の流れを示すフローチャートである。
【0052】
アンテナテーブルの作成処理は、上述したように、各子局230〜270へのユニキャスト送信を行ったときに、当該ユニキャスト送信によるデータが無事に各子局230〜270により受信されたことを示すACKを各子局230〜270から受信したときのRSSIを通信レベル取得部8が取得することにより行われる処理である。
【0053】
まず、ユニキャスト送信を行う対象となる子局からのACKを受信したときのRSSIを示す情報が、記憶部7に記憶されているアンテナテーブルにあるか否かを送信部5が判定する(S101)。
【0054】
アンテナテーブルにRSSIを示す情報があると送信部5により判定されれば(S101:Yes)、アンテナテーブルに基づいて、第一アンテナ2および第二アンテナ3のうちで当該子局についての最適なアンテナをアンテナ選択部12が選択する(S102)。つまり、アンテナ制御部11が第一アンテナ2および第二アンテナ3のうちの一方の最適なアンテナを選択し、送信部5と選択されたアンテナとを接続するための制御信号を切替部4に送信し、切替部4に送信部5と選択されたアンテナとを接続させる。なお、このときのアンテナテーブルに基づく最適なアンテナを選択するための処理の詳細は、
図6を用いて説明する。
【0055】
図6は、本発明の実施の形態1におけるユニキャスト送信のアンテナ選択の処理の流れを示すフローチャートである。つまり、
図6は、ステップS102のユニキャスト送信を行うときのアンテナ選択の処理について詳細に説明するための図である。
【0056】
まず、記憶部7に記憶されているアンテナテーブルを参照する(S121)。
【0057】
次に、ユニキャスト送信の対象となる子局(つまり、送信宛先の端末)に対する第一アンテナ2(
図6では、「ANT1」と表記)でACKを受信したときのRSSI(以下、「RSSI1」と表記)、および、第二アンテナ3(
図6では、「ANT2」と表記)でACKを受信したときのRSSI(以下、「RSSI2」と表記)を参照する(S122)。
【0058】
そして、RSSI1がRSSI2以上であるか否かを判定する(S123)。
【0059】
RSSI1がRSSI2以上であると判定されれば(S123:Yes)、第一アンテナ2を選択する(S124)。RSSI1がRSSI2未満であると判定されれば(S123:No)、第二アンテナ3を選択する(S125)。
【0060】
ステップS124またはステップS125が行われれば、ユニキャスト送信のアンテナ選択の処理を終了する。
【0061】
図5に戻り、アンテナテーブルにRSSIを示す情報が無いと送信部5により判定されれば(S101:No)、アンテナ選択部12がデフォルト値として予め設定されている第一アンテナ2(
図5では、「ANT1」と表記する)を選択する(S103)。
【0062】
そして、ステップS102またはステップS103において選択されたアンテナを用いて、送信部5が、対象となる子局へユニキャスト送信を行う(S104)。ユニキャスト送信のときに親局である通信装置1から各子局230〜270へ送信されるデータは、既に上述したとおりである。
【0063】
次に、ステップS104において行ったユニキャスト送信の対象となった子局からのACKを受信部6が受信したか否かを、通信レベル取得部8が判定する(S105)。
【0064】
ACKを受信部6が受信したと判定されれば(S105:Yes)、ACKを受信したときのRSSIを通信レベル取得部8が取得し、ACKを送信した子局およびACKを受信したアンテナに対応するアンテナテーブルの該当箇所(セル)に格納することにより、アンテナテーブルを作成または更新する(S106)。
【0065】
ACKを受信部6が受信していないと判定されれば(S105:No)、ステップS104において行ったユニキャスト送信の再送設定があるか否かが判定される(S107)。
【0066】
再送設定がないと判定されれば(S107:No)、ACKが取得できなかったことを示すエラー通知を行う(S108)。
【0067】
再送設定があると判定されれば(S107:Yes)、前回のユニキャスト送信のときに選択したアンテナではないアンテナ(他方のアンテナ)をアンテナ選択部12が選択する(S109)。
【0068】
ステップS109において選択されたアンテナを使用して、ユニキャスト送信の再送信が送信部5により行われる(S110)。
【0069】
再送信が行われた後で、再送信を行った回数を示す再送回数のカウントを一つ増やす(S111)。
【0070】
そして、ステップS110において行ったユニキャスト送信の対象となった子局からのACKを受信部6が受信したか否かを、通信レベル取得部8が判定する(S112)。
【0071】
ACKを受信部6が受信したと判定されれば(S112:Yes)、ステップS106と同様に、ACKを受信したときのRSSIを通信レベル取得部8が取得し、ACKを送信した子局およびACKを受信したアンテナに対応するアンテナテーブルの該当箇所(セル)に格納することにより、アンテナテーブルを作成または更新する(S113)。
【0072】
ACKを受信部6が受信していないと判定されれば(S112:No)、再送回数が予め定められたN回(例えば、2回)以上であるか否かを判定する(S114)。
【0073】
再送回数が予め定められたN回以上であると判定されれば(S114:Yes)、ステップS108のエラー通知を行う。再送回数が予め定められたN回未満であると判定されれば(S114:No)、ステップS109に戻る。
【0074】
ステップS106およびステップS113におけるアンテナテーブルの作成または更新か、ステップS108におけるエラー通知かのいずれかが行われれば、一つの子局に対するアンテナテーブル作成処理を終了する。
【0075】
なお、アンテナテーブル作成処理は、各子局230〜270へのユニキャスト送信が行われる度におこなわれ、アンテナテーブルは常に最新のRSSIに更新される。
【0076】
図7は、本実施の形態1におけるブロードキャスト送信のアンテナ選択の処理の流れを示すフローチャートである。つまり、
図7は、ステップS200のブロードキャスト送信のアンテナ選択の処理について詳細に説明するための図である。
【0077】
まず、記憶部7に記憶されているアンテナテーブルを参照する(S201)。
【0078】
次に、第一アンテナ2および第二アンテナ3のうちで通信NGのアンテナがあるか否かを判定部10が判定する(S202)。
【0079】
カウント部9は、第一アンテナ2(
図7では「ANT1」と表記)と第二アンテナ3(
図7では「ANT2」と表記)とのそれぞれに対して通信OKである子局の数をカウントする(S203)。つまり、カウント部9は、複数のアンテナ2、3のそれぞれについて、無線確立数をカウントする。
【0080】
判定部10は、第一アンテナ2に対する通信確立数と、第二アンテナ3に対する通信確立数との比較を行う(S204)。つまり、第一アンテナ2に対する通信確立数と、第二アンテナに対する通信確立数とのいずれが多いか否か、または同数であるかを判定する。
【0081】
第一アンテナ2に対する通信確立数が第二アンテナ3に対する通信確立数よりも多いと判定部10により判定された場合(S204:ANT1>ANT2)、アンテナ選択部12は第一アンテナ2を選択する(S205)。
【0082】
第一アンテナ2に対する通信確立数が第二アンテナ3に対する通信確立数よりも少ないと判定部10により判定された場合(S204:ANT1<ANT2)、アンテナ選択部12は第二アンテナ3を選択する(S206)。
【0083】
第一アンテナ2に対する通信確立数が第二アンテナ3に対する通信確立数と同数であると判定部10により判定された場合(S204:ANT1=ANT2)、または、第一アンテナ2および第二アンテナ3のうちで通信NGのアンテナがないと判定部10により判定された場合(S202:No)、アンテナテーブル内のRSSIの中で最小値に対応する子局を探索し、当該子局に対応するRSSIの中で高い方のRSSIに対応するアンテナを選択する(S207)。なお、ステップS202で「No」と判定される場合は、第一アンテナ2に対する通信確立数が子局の数(つまり最多数)であり、第二アンテナ3に対する通信確立数が子局の数(つまり最多数)となるため、ともに通信確立数が同数となる。つまり、ステップS204において、第一アンテナ2に対する通信確立数が第二アンテナ3に対する通信確立数と同数であると判定部10により判定される場合と条件は同じである。このため、
図7に示すフローチャートは、ステップS202を省略してもよい。
【0084】
図8は、アンテナテーブルの一例を示す図であり、
図8の(a)は、第一アンテナ2と第二アンテナ3とで、通信確立数が異なる場合を示し、
図8の(b)は、第一アンテナ2と第二アンテナ3とで通信確立数が同じである場合を示す。
【0085】
図8の(a)に示すように、例えば、通信装置1(親局)が子局A111から送信されたACKを第一アンテナ2で受信したときの受信レベルであるRSSIが−93dBmであることを示しており、第二アンテナ3では受信できなかったことを示している。同様に、子局B112に対して、第一アンテナ2により受信されたときのRSSIは−80dBmであり、第二アンテナ3により受信されたときのRSSIは−70dBmであることを示している。子局C113に対して、第一アンテナ2により受信されたときのRSSIは−85dBmであり、第二アンテナ3により受信されたときのRSSIは−80dBmであることを示している。子局D114に対して、第一アンテナ2により受信されたときのRSSIは−75dBmであり、第二アンテナ3により受信されたときのRSSIは−60dBmであることを示している。このように、子局A111からのACKが第二アンテナ3で受信することができず、他の子局B112〜子局D114からのACKは、第一アンテナ2および第二アンテナ3で受信できていることになる。
【0086】
このような場合には、
図7のフローチャートのステップS203において、第一アンテナ2に対する通信確立数が「4」、第二アンテナ3に対する通信確立数が「3」とカウント部9によりカウントされる。このため、ステップS204において、第一アンテナ2に対する通信確立数の方が、第二アンテナ3に対する通信確立数よりも多いと判定部10により判定され、ステップS205に進み、第一アンテナ2がブロードキャスト送信のアンテナとして選択されることになる。
【0087】
一方で、
図8の(b)に示すように、例えば、
図8の(a)で検出されなかったRSSIが検出された場合には、次のようにアンテナが選択される。つまり、通信装置1が子局A111から送信されたACKを第二アンテナ3で受信したときのRSSIが−80dBmと検出された場合を考える。このような場合には、
図7のフローチャートのステップS202において、第一アンテナ2および第二アンテナ3のうちで通信NGのアンテナがないと判定部10により判定され、ステップS207に進む。ステップS202が省略されるフローの場合には、ステップS204において第一アンテナ2に対する通信確立数と第二アンテナ3に対する通信確立数とが同数であると判定部10により判定され、ステップS207に進む。
【0088】
そして、ステップS207において、アンテナテーブルの8つの数値のうちで最小のRSSIである−93dBmに対応する子局A111に対して高い方のRSSIである−80dBmに対応する第二アンテナ3が選択されることになる。
【0089】
図9の(a)はアンテナテーブルの一例を示す図であり
図8の(b)と同じアンテナテーブルである。
図9の(b)は第一アンテナ2を選択し、かつ、−5dBmのフェージングが発生した場合の通信判定を示す図であり、
図9の(c)は第二アンテナ3を選択し、かつ、−5dBmのフェージングが発生した場合の通信判定を示す図である。
【0090】
通信装置1は、RSSIが−94dBm未満では受信することができずに、−94dBm以上で受信できるとする。
図9の(b)に示すように、第一アンテナ2を選択した場合で、−5dBmのフェージングが発生したとき、すべての子局A111〜子局D114においてRSSIが−94dBm未満となるため、すべての子局A111〜子局D114との通信が不可となる。しかし、
図9の(c)に示すように、第二アンテナ3を選択した場合で、同様に、−5dBmのフェージングが発生したときであっても、すべての子局A111〜子局D114においてRSSIが−94dBm以上となるため、すべての子局A111〜子局D114との通信が可能なままとなる。
図9の(a)は、
図8の(b)と同じアンテナテーブルであるため、本実施の形態によれば、第二アンテナ3が選択されることになる。つまり、本実施の形態によれば、よりフェージングの影響を受けない方のアンテナが選択されることになる。
【0091】
図10は、RSSIのフェージング変動の一例を示す図である。
【0092】
同図に示すように、RSSIは、常に一定ではなく、周辺の電波の干渉など周辺環境が変化すればRSSIも時間的に少なくともおよそ10dBm単位で変動する。
【0093】
本実施の形態に係る通信装置1によれば、2つのアンテナのうちで通信確立数が互いに同数である場合に、アンテナテーブルのRSSIのうちで最低のRSSIに対応する子局を特定し、特定した子局に対応する複数の対のRSSIのうち大きい通信レベルに対応する方のアンテナを選択する。つまり、アンテナテーブルのRSSIのうちで最低のRSSIに対応するアンテナを少なくとも選択しない。また、最低のRSSIに対応する子局に注目するため、通信装置1に対して最も通信条件の悪い子局を基準に当該子局が通信できる可能性の高いアンテナを選択することになる。このように、最も通信条件の悪い子局に対して、通信条件のよい方のアンテナを選ぶため、例えば、第一アンテナ2に対する通信確立数と第二アンテナ3に対する通信確立数とが同数であると判定された場合であっても、より通信条件のよい方のアンテナである第二アンテナ3を確実に選択することができる。つまり、フェージングの影響により、RSSIが時間的に変動しても、電波状態が悪い子局にとって最適なアンテナが選択されるため、通信不能の子局を減らし、安定した通信を実現することができる。
【0094】
図11は、ブロードキャスト送信の処理における親局と子局Aおよび子局Bとの間のシーケンス図である。ここでは、複数の子局を子局Aおよび子局Bについてのみ説明し、子局Cおよび子局Dについては同様の処理が行われるため省略する。
【0095】
図11に示すように、親局から
図5で説明したステップS104またはステップS110のユニキャスト送信が複数の子局の1つである子局A行われる。子局Aへのユニキャスト送信が行われることにより子局AからのACKを親局は受信する。このときに親局では、通信レベル取得部8によりACKを受信したときのRSSIが取得され、
図5のステップS106またはステップS113で説明したように子局Aに対するアンテナテーブルが作成または更新される。次に、子局Bへのユニキャスト送信が親局により行われることにより、子局BからのACKを親局は受信する。このときも親局では、通信レベル取得部8によりACKを受信したときのRSSIが取得され、子局Bに対するアンテナテーブルが作成または更新される。なお、ここでは説明を省略するが、子局Cおよび子局Dに対しても同様にユニキャスト送信が行われて、それぞれの子局からACKを受信したときのRSSIを取得することにより、子局Cおよび子局Dに対するアンテナテーブルが作成または更新される。
【0096】
そして、
図7の処理フローにおいて選択されたブロードキャスト送信に使用するアンテナを選択した上で、ステップS300のブロードキャスト送信が全ての子局に対して行われる。
【0097】
(実施の形態2)
上記実施の形態1に係る通信装置1では、
図7で説明したブロードキャスト送信に使用するアンテナ選択の処理のうちのステップS202またはステップS204において第一アンテナ2に対する通信確立数と第二アンテナ3に対する通信確立数とが同じであると判定された場合に、アンテナテーブルに格納されている全てのRSSIのうちで最小のRSSIに対応する子局を特定し、当該子局に対して高い方のRSSIに対応するアンテナを選択しているが、これに限らない。例えば、
図12に示すようなフローチャートを用いてブロードキャスト送信に使用するアンテナを選択するようにしてもよい。
【0098】
図12は、実施の形態2におけるブロードキャスト送信のアンテナ選択の処理の流れを示すフローチャートである。
【0099】
ここでは、実施の形態1とは異なる構成および処理のみの説明をし、共通する構成および処理については説明を省略する。
【0100】
実施の形態2に係る通信装置1では、カウント部9は、さらに、第一アンテナ2および第二アンテナ3のそれぞれについて、当該アンテナとのRSSIが最大である複数の子局の数である最大レベル端末数をカウントする。
【0101】
また、判定部10は、さらに、カウント部9によるカウントの結果、最大レベル端末数が第一アンテナ2および第二アンテナ3とで同数であるか否かを判定する(S307)。
【0102】
第一アンテナ2に対する最大レベル端末数が第二アンテナ3に対する最大レベル端末数よりも多いと判定部10により判定された場合(S307:ANT1>ANT2)、アンテナ選択部12は第一アンテナ2を選択する(S308)。
【0103】
第一アンテナ2に対する最大レベル端末数が第二アンテナ3に対する最大レベル端末数よりも少ないと判定部10により判定された場合(S307:ANT1<ANT2)、アンテナ選択部12は第二アンテナ3を選択する(S309)。
【0104】
そして、アンテナ選択部12は、さらに、第一アンテナ2に対する最大レベル端末数と第二アンテナ3に対する最大レベル端末数とが同数であると判定部10により判定された場合に、通信レベル取得部8により取得されたアンテナテーブルに格納されているRSSIのうちで最も低いRSSIに対応する子局を特定し、特定した当該子局の第一アンテナ2および第二アンテナ3のそれぞれに対するRSSIの中で最も低い通信レベルよりも高い通信レベルに対応するアンテナをブロードキャスト送信に使用するアンテナとして選択する(S310)。
【0105】
なお、実施の形態2に係る通信装置1では、ステップS307の判定は、
図7のフローチャートのステップS202またはステップS204において第一アンテナ2に対する通信確立数と第二アンテナ3に対する通信確立数とが同じであると判定された場合に、ステップS207の処理が行われる代わりに行われることになる。
【0106】
このように、最大レベル端末数が多いアンテナを選択することにより、第一アンテナ2および第二アンテナ3のうちでより確実に通信できるアンテナを選択することができる。
【0107】
(他の実施の形態)
なお、上記実施の形態に係る通信装置1では、通信装置1が備える複数のアンテナは第一アンテナ2および第二アンテナ3の2本であるが、3本以上であっても適用できる。
【0108】
この場合に、実施の形態1の
図7のフローチャートは、例えば、次のようになる。なお、ここでは、アンテナが3本以上になることで異なる部分のみを説明し、同じ処理を行うステップの説明は省略する。
【0109】
ステップS203の代わりに、カウント部9は、複数のアンテナのそれぞれについて、通信確立数をカウントする。次に、ステップS204の代わりに、判定部10は、カウント部9によりカウントされた通信確立数が最多であるアンテナが複数あるか否かを判定する。そして、アンテナ選択部12は、通信確立数が最多であるアンテナが複数あると判定部10により判定された場合に、ステップS207の代わりに、通信レベル取得部8により取得された複数の対におけるRSSIのうちで最も低いRSSIに対応する子局を特定し、特定した子局の複数のアンテナのそれぞれに対するRSSIの中で最も高いRSSIに対応するアンテナをブロードキャスト送信に使用するアンテナとして選択する。また、アンテナ選択部12は、通信確立数が最多であるアンテナが複数ないと判定部10により判定された場合に、ステップS205またはステップS206の代わりに、通信確立数が最多であるアンテナを選択する。このようにして実施の形態1に係る通信装置1がアンテナを3本以上備える場合についても、本発明を適用できる。
【0110】
また、実施の形態2に係る通信装置1についても、3本以上のアンテナとしてもよく、この場合には例えば次のようになる。なお、ここでもアンテナが3本以上になることで異なる部分のみを説明し、同じ処理を行うステップの説明は省略する。
【0111】
実施の形態2の場合には、上記で説明した実施の形態1の通信装置1のアンテナが3本以上である場合に、さらに、カウント部9は、複数のアンテナのそれぞれについて、当該アンテナとのRSSIが最大である複数の子局の数である最大レベル端末数をカウントする。そして、ステップS307の代わりに、判定部10は、さらに、カウント部9によるカウントの結果、最大レベル端末数が最多であるアンテナが複数あるか否かを判定する。アンテナ選択部12は、通信確立数が最多であるアンテナが複数あると判定部10により判定された場合(S202:NoまたはS204:ANT1=ANT2)であって、かつ、最大レベル端末数が最多であるアンテナが複数あると判定部10により判定された場合に、通信レベル取得部8により取得された複数の対における通信レベルのうちで最も低い通信レベルに対応子局を特定し、特定した当該子局の複数のアンテナのそれぞれに対するRSSIの中で最も高い通信レベルに対応するアンテナをブロードキャスト送信に使用するアンテナとして選択する。このようにして実施の形態2に係る通信装置1がアンテナを3本以上備える場合についても、本発明を適用できる。
【0112】
なお、この場合、通信確立数が最多であるアンテナが複数あると判定部10により判定された場合に、最も低いRSSIに対応する子局を特定し、特定した子局の複数のアンテナのそれぞれに対するRSSIの中で最も高いRSSIに対応するアンテナをブロードキャスト送信に使用するアンテナとして選択しているが、最高のRSSIに対応するアンテナを選択することに限らずに、最も低いRSSIよりも高いRSSIに対応するアンテナを選んでも通信条件のよいアンテナを選ぶことができるため、フェージングの影響を低減する効果はある。
【0113】
なお、上記実施の形態に係る通信装置1では、特に言及していないが、アンテナ選択部12は、ステップS105またはステップS112において各子局A111〜子局D114からACKの受信を受信部6が行っている間に、受信するアンテナを第一アンテナ2から第二アンテナ3への切替えを行う。つまり、受信部6は、子局から一つのACKを受信している間に、第一アンテナ2から第二アンテナ3へと受信しているアンテナの切替えを行っているため、2つのアンテナ2、3を使用して当該ACKを受信することになる。このため、通信レベル取得部8は、一つのACKを受信している間に、第一アンテナ2に対する子局からのRSSIと第二アンテナ3に対する子局からのRSSIとの両方を取得することができる。よって、一つの子局から複数回のACKを取得しなくても、2つのアンテナ2、3に対するRSSIを取得することができる。このため、一つのACKごとにアンテナを固定して受信する場合と比較して、2つのアンテナ2、3ごとにおける各子局からのRSSIの取得に係る時間を短縮することができる。
【0114】
なお、この形態は通信装置1のアンテナが2本の場合だけでなく3本以上の複数本の場合であっても適用できる。つまり、アンテナ選択部12は、子局からACKの受信を受信部6が行っている間に、当該受信に使用するアンテナの切替えを行う。そして、通信レベル取得部8は、当該受信に使用したアンテナごとのRSSIを取得し、取得したRSSIをアンテナテーブルに格納する。
【0115】
また、一方で、通信装置1は、2つのアンテナ2、3の切替えを行わずに一つずつのアンテナを固定してACKを受信するような形態としてもよい。つまり、アンテナ選択部12は、ステップS105またはステップS112において各子局A111〜子局D114からACKの受信を受信部6が行っている間に、子局A111〜子局D114の全てと2つのアンテナ2、3のうちの一つ(ここでは第一アンテナ2)との間のRSSIの測定が完了するまでに、当該受信に使用するアンテナを第一アンテナ2に固定しておく。そして、子局A111〜子局D114の全てについて、第一アンテナ2でのRSSIの測定が完了した場合、第一アンテナ2および第二アンテナ3のうち、まだ子局A111〜子局D114とのRSSIの測定が完了していない第二アンテナ3に切り替える。
【0116】
なお、この形態についても通信装置1のアンテナが2本の場合だけでなく3本以上の複数本の場合であっても適用できる。つまり、アンテナ選択部12は、子局からACKの受信を受信部6が行っている間であって、子局A111〜子局A270の全てと複数のアンテナのうちの一つとの間のRSSIの測定が完了するまで、当該受信に使用するアンテナを複数のアンテナのうちのいずれか1つに固定する。その後、アンテナ選択部12は、子局A111〜子局D114のすべてについて、当該アンテナでの受信レベルの測定が完了した場合、複数のアンテナのうち、まだ複数の他の通信装置との受信レベルの測定が完了していないアンテナに切り替えて、子局A111〜子局A270のすべてと切り替えた後のアンテナとの間のRSSIの測定が完了するまで、当該受信に使用するアンテナを固定する。そして、アンテナテーブルの全てにおいてRSSIの測定が完了するまで、アンテナの切り替えを繰り返す。そして、通信レベル取得部8は、当該受信に使用したアンテナごとのRSSIを取得し、取得したRSSIをアンテナテーブルに格納する。
【0117】
なお、アンテナテーブルのRSSIの格納に係るRSSIの測定は、通信が必ず保証されているわけではないため、測定を試みることを含む。つまり、通信が確立されなくても、子局とアンテナとの間の通信の測定が行われたとみなす。
【0118】
上記実施の形態1に係る通信装置1では、通信レベルとして受信部6が各子局から送信されてきたACKを受信したときのRSSIを通信レベル取得部8が取得してアンテナテーブルに格納しているが、各子局から送信されてきたACKを受信したときのRSSIを取得することに限らない。例えば、各子局が親局からのユニキャスト送信時のデータを受信したときにRSSIを測定し、測定したRSSIデータを通信装置1に送信することにより、親局である通信装置1がRSSIを取得するようにしてもよい。なお、この場合には、親局がユニキャスト送信に使用したアンテナを、親局または子局が記憶しておく必要がある。
【0119】
上記実施の形態に係る通信装置1では、アンテナテーブルを作成するためのRSSIを取得するのに、通信装置1がユニキャスト送信を行った結果として子局から送信されるACKを受信したときのRSSIを取得しているが、ユニキャスト送信の際に各子局から送信されるACKに限らずに、ブロードキャスト送信の際に各子局から送信されるACKを受信したときのRSSIであってもよい。一般的には、各子局からACKが一度に大量に送信されてくるため、ブロードキャスト送信の際には各子局からACKは送信される構成ではないが、通信装置1が一度に各子局からのACKを処理できるような構成の場合にはブロードキャスト送信の際にACKを受信するような形態であっても成立する。
【0120】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記各実施の形態の画像復号化装置などを実現するソフトウェアは、次のようなプログラムである。
【0121】
すなわち、このプログラムは、コンピュータに、複数の他の通信装置と無線通信によりデータ通信を行う通信装置の通信方法であって、前記通信装置は、前記無線通信に係る電波を送受信する複数のアンテナを備え、前記通信方法は、前記通信装置が前記複数の他の通信装置と前記無線通信を行ったときの前記複数のアンテナのそれぞれと、前記複数の他の通信装置のそれぞれとの組み合わせである複数の対における通信レベルを取得する通信レベル取得ステップと、前記複数のアンテナのそれぞれについて、当該アンテナが前記無線通信を確立できた前記他の通信装置の数である通信確立数をカウントするカウントステップと、前記カウントステップにおいてカウントされた前記通信確立数が最多であるアンテナが複数あるか否かを判定する判定ステップと、前記通信確立数が最多であるアンテナが複数あると前記判定ステップにおいて判定された場合に、前記通信レベル取得部により取得された前記複数の対における通信レベルのうちで最も低い通信レベルに対応する前記他の通信装置を特定し、特定した当該他の通信装置の前記複数のアンテナのそれぞれに対する通信レベルの中で前記最も低い通信レベルよりも高い通信レベルに対応するアンテナをブロードキャスト送信に使用するアンテナとして選択するアンテナ選択ステップと、前記アンテナ選択ステップにおいて選択されたアンテナを用いて前記複数の他の通信装置に所定のデータをブロードキャスト送信する送信ステップと、を含む通信方法を実行させる。
【0122】
なお、本発明を上記実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限定されないのはもちろんである。以下のような場合も本発明に含まれる。
【0123】
(1)上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムで実現され得る。RAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0124】
(2)上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。ROMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、ROMからRAMにコンピュータプログラムをロードし、ロードしたコンピュータプログラムにしたがって演算等の動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0125】
(3)上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されてもよい。ICカードまたはモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。ICカードまたはモジュールには、上記の超多機能LSIが含まれてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、ICカードまたはモジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有してもよい。
【0126】
(4)本発明は、上記に示す方法で実現されてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムで実現してもよいし、コンピュータプログラムからなるデジタル信号で実現してもよい。
【0127】
また、本発明は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したもので実現してもよい。また、これらの記録媒体に記録されているデジタル信号で実現してもよい。
【0128】
また、本発明は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送してもよい。
【0129】
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、メモリは、コンピュータプログラムを記憶しており、マイクロプロセッサは、コンピュータプログラムにしたがって動作してもよい。
【0130】
また、プログラムまたはデジタル信号を記録媒体に記録して移送することにより、またはプログラムまたはデジタル信号をネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【0131】
(5)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【0132】
以上、本発明の一つまたは複数の態様に係る通信装置などについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。