(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
入力ポートと出力ポートとの間に弁座が形成されたボディと、前記入力ポートまたは前記出力ポートの少なくとも一方側で、前記ボディと接続するフランジとを有し、前記弁座に弁体が当接または離間することにより、流体の流れを制御する流体制御弁において、
前記ボディは、樹脂製であり、前記入力ポートまたは前記出力ポートの軸線方向に対し、凸状に突出して形成されたフランジ接続部を有し、
前記フランジは、樹脂製であり、内部に貫通穴を有したリング状に形成され、
前記フランジ接続部が前記貫通穴に挿入され、前記フランジと前記ボディとが、ネジ締結で固定されるときに、前記フランジの一面は前記挿入方向に前記ボディと当接することを特徴とする流体制御弁。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の排液弁では、以下の問題があった。
特許文献1,2のように、ボディとフランジとが互いに別体で構成された排液弁(別体化構造排液弁)では、フランジは、排液弁の製品仕様に基づき、他の製品のボディとの互換性を持たず、ボディの形状及び寸法や、洗浄槽等の接続部と連結する相手側のフランジの形状及び寸法に対応して設計された専用の仕様で、ボディと一体で固定されている。すなわち、フランジ各部の寸法は、フランジに要求される耐強度、及び他の部材との取り付け位置関係等を考慮して設計されているが、実際には、顧客のニーズにより製品仕様が多少異なる程度でも、相手側フランジの寸法等に合わせた特有の製品仕様として、製品毎に一品一様に任意に設計されて製作されたものとなっている。そのため、フランジには汎用性がなく、製品のコスト高にもなっていた。
【0008】
このような別体化構造排液弁に対し、排液弁401のように、フランジ部を、ボディの一部とした一体構造で形成され、入力ポートと出力ポートとがインライン上に配置された排液弁(一体化構造排液弁)では、フランジ部が、JIS規格の寸法で形成されたものもある。この点では、一体化構造排液弁は、フランジの寸法について、別体化構造排液弁より汎用性があると言える。
一体化構造排液弁は、参照する
図11に示すように、弁体440等をボディ403の径方向中央部に、その周りに本体部流路426を形成しているため、ボディ403の径が必然的に大きくなってしまい、フランジ部にある孔のピッチ円径が、ボディ403の径より相対的に小さくなる構造となっている。
しかしながら、フランジ部をJIS規格の寸法で形成した一体化構造排液弁では、フランジ部にある孔のピッチ円径が、ボディの径より小さい上、一種の寸法仕様で規格化された寸法となっている。そのため、このような一体化構造排液弁のフランジ部と相手側フランジとを連結するにあたり、この一体化構造排液弁のフランジ部と連結させる相手側フランジの仕様が顧客のニーズによって多少異なっていると、一種の寸法仕様で形成された一体化構造排液弁のフランジ部では、相手側フランジに対し、顧客のニーズに合わせて汎用性を持たせて、フランジ部と相手側フランジとを連結することができない。
【0009】
特に、ボディの形状や寸法等の製品仕様がほぼ同じである製品Aと製品Bとにおいて、相手側フランジに、例えば、JIS規格で規格されたフランジやこれに準じるフランジとして、規格寸法「呼び100」が同じでも、顧客のニーズによって、一方で「JIS 5Kフランジ」を、他方で「JIS 10Kフランジ」を用いたい場合がある。「JIS 5Kフランジ」と「JIS 10Kフランジ」とでは、外径、厚さ、締結孔のピッチ円径等の寸法が互いに異なっている。
このような場合、一体化構造排液弁のフランジ部では、フランジ部の径が、ボディの径より相対的に小さく、上記のように、フランジ各部の寸法が両者で異なっているため、「JIS 5Kフランジ」や「JIS 10Kフランジ」にそれぞれ相当するフランジ部を有した一体化構造排液弁を製作する必要がある。すなわち、「JIS 5Kフランジ」の規格と「JIS 10Kフランジ」の規格にそれぞれ合わせて、それぞれ専用に設計されたボディが必要となり、両者の間でボディの汎用性がないことから、コストも掛かる。また、一体化構造排液弁のボディは、弁体等の周りに本体部流路が位置する関係上、径を大きくしたものとなり、製造に掛かるコストも大きくかかる。
【0010】
従って、任意に設計されたフランジと接続するボディのほか、規格化されたフランジを有するボディでは、製品仕様が異なりフランジの各部寸法が多少の程度で異なる場合でも、ボディの共用化ができず、ボディを製品毎に一品一様で製造しなければならないため、これに合わせてボディを多品種少量の生産体制で製造すると、コスト高となる問題があった。
【0011】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、部品の共通化を図ることにより、製造コストを低減することができる流体制御弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の問題点を解決するために、本発明の流体制御弁は、次の構成を有している。
(1)入力ポートと出力ポートとの間に弁座が形成されたボディと、入力ポートまたは出力ポートの少なくとも一方側で、ボディと接続するフランジとを有し、弁座に弁体が当接または離間することにより、流体の流れを制御する流体制御弁において、ボディは、樹脂製であり、入力ポートまたは出力ポートの軸線方向に対し、凸状に突出して形成されたフランジ接続部を有し、フランジは、樹脂製であり、内部に貫通穴を有したリング状に形成され、フランジ接続部が貫通穴に挿入され、フランジとボディとが、ネジ締結で固定されるときに、前記フランジの一面は前記挿入方向に前記ボディと当接す
ることを特徴とする。
(2)(1)に記載する流体制御弁において、フランジには、ボディと締結させる第1締結部材が挿入する第1締結孔と、フランジと突き合わさる相手側フランジと締結させる第2締結部材が挿入する第2締結孔とが、それぞれ複数形成され、第1締結孔と第2締結孔とが交互に配置されていることを特徴とする。
(3)(2)に記載する流体制御弁において、第2締結部材は、第2締結ナットであり、第2締結ナットは、第2締結孔に圧入されていることを特徴とする。
(4)(2)または(3)に記載する流体制御弁において、第1締結部材は、第1締結ボルトであり、第1締結ボルトと螺合する第1締結ナットが、ボディに設けられていることを特徴とする。
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載する流体制御弁において、フランジは、入力ポート側に設けられる第1フランジと、出力ポート側に設けられる第2フランジとからなることを特徴とする。
(6)(5)に記載する流体制御弁において、入力ポートと出力ポートとは、同じ前記軸線上の位置に配置されており、第1フランジで、第1締結孔を挿通する入力ポート側第1締結ボルトと、第2フランジで、第1締結孔を挿通し、入力ポート側第1締結ボルトと同じ軸線上に配置される出力ポート側第1締結ボルトとが、共に第1締結ナットと螺合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記構成を有する本発明の流体制御弁の作用・効果について説明する。
(1)入力ポートと出力ポートとの間に弁座が形成されたボディと、入力ポートまたは出力ポートの少なくとも一方側で、ボディと接続するフランジとを有し、弁座に弁体が当接または離間することにより、流体の流れを制御する流体制御弁において、ボディは、樹脂製であり、入力ポートまたは出力ポートの軸線方向に対し、凸状に突出して形成されたフランジ接続部を有し、フランジは、樹脂製であり、内部に貫通穴を有したリング状に形成され、フランジ接続部が貫通穴に挿入され、フランジとボディとが、ネジ締結で固定されるときに、前記フランジの一面は前記挿入方向に前記ボディと当接す
るので、当該流体制御弁である一の製品仕様が他の製品仕様と一定の範囲内で異なる場合でも、フランジ接続部の径と貫通穴の径とを、それぞれ対応し合う径に設定した上で、単一の寸法仕様で形成されたボディに対し、貫通穴の径以外の各部寸法について、複数種の寸法仕様で形成されたフランジの中から、適合するフランジをボディに選択的に取付けることができ、ネジ締結により固定できる。
あるいは、単一の寸法仕様で形成されたフランジに対し、フランジ接続部の径以外の各部寸法について、複数種の寸法仕様で形成されたボディの中から、適合するボディをフランジに選択的に取付けることができ、ネジ締結により固定できる。
【0014】
よって、一の製品と他の製品との間で寸法仕様が一定の範囲内で異なる場合でも、フランジ接続部の径と貫通穴の径とをそれぞれ対応し合う径に設定して、ボディまたはフランジのいずれかを共通化して、当該流体制御弁の部品として用いることができる。
特に、本発明の流体制御弁は、例えば、JIS規格等で規格された市販品のフランジを用いて構成することもできる。
このとき、ボディの形状や寸法等の製品仕様がほぼ同じである製品Aと製品Bとにおいて、相手側フランジに、例えば、JIS規格で規格されたフランジやこれに準じるフランジとして、規格寸法「呼び100」が同じでも、顧客のニーズによって、一方で「JIS 5Kフランジ」を、他方で「JIS 10Kフランジ」を用いたい場合がある。「JIS 5Kフランジ」と「JIS 10Kフランジ」とでは、外径、厚さ、締結孔のピッチ円径等の寸法が互いに異なっている。このような場合でも、「JIS 5Kフランジ」に規格されたフランジと、「JIS 10Kフランジ」に規格されたフランジとを、形状や寸法等の製品仕様が同じボディに接続することができる。そのため、「JIS 5Kフランジ」に規格されたフランジと、「JIS 10Kフランジ」に規格されたフランジとの違いだけで、各規格に合った寸法仕様のボディを別々に製造する必要がなく、ボディの製造に掛かるコストが抑制できる。
また、凸状に突出したボディのフランジ接続部がフランジの貫通穴に挿入されているため、本発明の流体制御弁は、フランジとボディとが一体化した流体制御弁に比して、コンパクトに構成することができ、コストも抑制できる。
従って、本発明の流体制御弁では、ボディまたはフランジのうち、単一の寸法仕様で形成された部材については、製品毎に一品一様の仕様で製造する必要がなく、部品の共通化を図って少品種による量産体制で製造できると共に、コンパクトにできるため、製造コストを低減することができる、という優れた効果を奏する。
【0015】
なお、組付けるフランジとボディとを選択するときの条件(選択条件)として、当該流体制御弁に流れる流体の制御流量、流体圧力、及びボディやフランジに要求される耐強度を考慮した上で、適切なボディまたは適切なフランジを選択する必要がある。
また、流体制御弁において、一の製品仕様が他の製品仕様と一定の範囲内で異なる場合とは、一の製品仕様と他の製品仕様とが、フランジ接続部の径と貫通穴の径とがそれぞれ対応し合える関係で、かつフランジ接続部の径及び貫通穴の径以外の各部寸法について、上記選択条件を満たして、設計上許容できる寸法範囲内に収まる関係にある場合をいう。
【0016】
(2)また、フランジには、ボディと締結させる第1締結部材が挿入する第1締結孔と、フランジと突き合わさる相手側フランジと締結させる第2締結部材が挿入する第2締結孔とが、それぞれ複数形成され、第1締結孔と第2締結孔とが交互に配置されているので、ボディは、フランジ接続部の径を所定の大きさに統一した単一の仕様で形成し、フランジは、貫通穴を、ボディのフランジ接続部の径に対応した所定の径に統一すると共に、第1締結孔の配置位置を一定して形成しておくことで、上記の選択条件を満たした上で、設計上、許容できる寸法範囲内においてボディを共通化し、このボディに設けるフランジを、複数種の寸法仕様で取付けることができるようになる。
また、このとき、ボディと、フランジと、このフランジと突き合わさる相手側フランジとを固定させるのに、第1締結孔と第2締結孔とが交互に配置されているため、ボディとフランジとが、連結するフランジ及び相手側フランジ同士とが、それぞれ均等に密着して固定することができる。
【0017】
(3)また、第2締結部材は、第2締結ナットであり、第2締結ナットは、第2締結孔に圧入されているので、フランジと相手側フランジとを固定させるのに、第2締結ナットと螺合する相手側締結ボルトを、相手側フランジからフランジの第2締結孔に挿通するだけで、相手側締結ボルトと第2締結ナットとを締結することができる。このとき、相手側締結ボルトの頭部が相手側フランジ側に位置することから、相手側締結ボルトの頭部とボディとの干渉がなく、締結作業がスムーズにできる。
また、第2締結ナットが第2締結孔に圧入されているため、第2締結孔に不動で固定できているため、相手側締結ボルトを第2締結ナットと締結する際にも、第2締結ナットのみの回り止め対策を行う必要がなく、この点においても締結作業がスムーズにできる。
【0018】
(4)また、第1締結部材は、第1締結ボルトであり、第1締結ボルトと螺合する第1締結ナットが、ボディに設けられているので、ボディとフランジとを固定させるのに、第1締結ナットがボディに不動で固定できているため、第1締結ボルトを第1締結ナットと締結する際にも、第2締結ナットのみの回り止め対策を行う必要がなく、締結作業がスムーズにできる。
また、特に、第1締結ナットが、第1締結部材が挿通する貫通孔内に設けられていると、第1締結ナットの取付けスペースがボディの外側に必要としなくなることから、ボディをコンパクト化することできる。さらに、ボディの形状がより簡単になることから、ボディの加工に掛かるコストを低減することができる。
【0019】
(5)また、フランジは、入力ポート側に設けられる第1フランジと、出力ポート側に設けられる第2フランジとからなるので、ボディのフランジ接続部の径が単一の寸法仕様で形成され、第1フランジ及び第2フランジにおいて、貫通穴の径がフランジ接続部の径に対応し、第1締結孔の配置位置がフランジの種類に因らず共通化していれば、入力ポート側の相手側フランジ側の径や、出力ポート側の相手側フランジ側の径が異なる場合でも、第2締結孔の配置位置ほか、フランジ各部の寸法仕様が異なる第1フランジと第2フランジとを、ボディの入力ポート側と出力ポート側にそれぞれ取付けることができる。
そのため、入力ポート側の相手側フランジ側の径と、出力ポート側の相手側フランジ側の径とが同じか異なるかに関わらず、同じ寸法仕様のボディを用いることができる。
【0020】
(6)また、入力ポートと出力ポートとは、同じ軸線上の位置に配置されており、第1フランジで、第1締結孔を挿通する入力ポート側第1締結ボルトと、第2フランジで、第1締結孔を挿通し、入力ポート側第1締結ボルトと同じ軸線上に配置される出力ポート側第1締結ボルトとが、共に第1締結ナットと螺合するので、第1フランジと第2フランジの双方をボディに接続しても、入力ポート側第1締結ボルトと出力ポート側第1締結ボルトとを、同じ第1締結ナットで締結できることから、締結構造が簡単で、本発明の流体制御弁をコンパクトにすることができる。
また、一つの第1締結ナットで、入力ポート側第1締結ボルトと出力ポート側第1締結ボルトの2本の締結ボルトを締結させているため、部品点数が削減でき、コストを低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1の実施形態)
以下、本発明に係る流体制御弁について、第1,第2の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
第1,第2の実施形態に係る流体制御弁は、例えば、半導体やFDP製造工程において、ウエハやLCD基板等を純水等で洗浄する洗浄装置の槽内や、薬液により基板の処理を行う薬液処理装置の槽内から、純水、薬液(以下、単に「排液」と称する。)を外槽に溜め、この外槽から排出した排液を分別回収するときに、液回収槽への流れを制御する排液弁である。この排液弁は、弁体を弁座に当接または離間させることにより、外槽から液回収槽に向けて排出する排液の流れを流通制御する。排液弁は、外槽側の配管部材と、分別された液の液回収槽側の配管部材との管路上にインラインで配設され、両側の配管部材と、これらに設けたフランジ(相手側フランジ)と当該排液弁のフランジとを付き合せて連結されている。
【0025】
(第1実施例)
図1は、第1実施形態のうち、第1実施例に係る排液弁を示す側面図であり、
図1中、A−A矢視断面図を、
図2に示す。
図3は、第1実施例に係る排液弁を示す上面図である。
排液弁1は、入力ポート11と出力ポート31との間に弁座12が形成されたボディ3と、弁座12に当接または離間する弁体40と、フランジ50等からなる。ボディ3は、
図2及び
図3に示すように、入力ポート11側に位置する第1本体部10、出力ポート31側に位置する第3本体部30、第1本体部10と第3本体部30との間に位置する第2本体部20とからなる。フランジ50は、形状及び大きさが実質的に同じである第1フランジ51及び第2フランジ52からなり、第1フランジ51は第1本体部10と、第2フランジ52は第3本体部30と、それぞれ接続している。ボディ3及びフランジ50はいずれも、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン (PP)等の樹脂からなる。
【0026】
はじめに、ボディ3について説明する。
第1本体部10は、弁座12のほか、
図2に示すように、入力ポート11及び出力ポート31の軸線AX方向に対し、その一方側にある入力側端面10aから凸状に突出すると共に、円筒状に形成された入力側フランジ接続部13(フランジ接続部)を有している。この入力側フランジ接続部13の径内が、入力ポート11となっている。入力側フランジ接続部13の外周面13aは、直径ΦD0(0<D0)で形成されている。第1本体部10の入力側端面10aには、ボルト用貫通孔10Hが、本実施形態では、ピッチ円径ΦD1(0<D1)上に8等分された位置にそれぞれ形成されている。
【0027】
第3本体部30は、
図2に示すように、軸線AX方向に対し、他方側にある出力側端面30aから凸状に突出すると共に、円筒状に形成された出力側フランジ接続部33(フランジ接続部)を有している。この出力側フランジ接続部33の径内が、出力ポート31となっている。出力側フランジ接続部33の外周面33aは、本実施形態では、入力側フランジ接続部13の外周面13aと同様、直径ΦD0で形成されている。第3本体部30の出力側端面30aには、ボルト用貫通孔30Hが、本実施形態では、ピッチ円径ΦD1上に8等分された位置にそれぞれ形成されている。
【0028】
第2本体部20は、軸線AXを中心とする中央部に、有底状に凹設されたシリンダ20aを有し、このシリンダ20aの径外側には、入力ポート11と出力ポート31との間を繋ぐ流路である第2本体部流路26が形成されている。また、第2本体部20には、第2本体部流路26を避けた位置に、シリンダ20aの径内に連通する第1操作ポート23と第2操作ポート24とがそれぞれ形成されている。
【0029】
また、第2本体部20には、第1本体部10及び第3本体部30と同様、ボルト用貫通孔20Hが、ピッチ円径ΦD1上に8等分された位置にそれぞれ形成されている。
図2及び
図3に示すように、第1本体部10と第2本体部20と第3本体部30とを組付けたときに、ボルト用貫通孔10Hと、ボルト用貫通孔20Hと、ボルト用貫通孔30Hとは、それぞれの軸心が軸線AXに沿う同一の軸心上に位置し、1つの貫通孔として連通している。すなわち、ボルト用貫通孔10H、ボルト用貫通孔20H、及びボルト用貫通孔30Hは、いずれもピッチ円径ΦD1上に8等分された位置にそれぞれ配置されている。
また、第2本体部20には、第1締結ナット62が、例えば、アウトサート等の圧入により、ボルト用貫通孔20H周囲に配設されており、軸線AX方向両側から、入力ポート側第1締結ボルト61a(第1締結ボルト60)と出力ポート側第1締結ボルト61b(第1締結ボルト60)とが、共に螺合できる位置に配置されている。
【0030】
次に、弁体40について説明する。
弁体40は、Oリング47を介し、シリンダ20aと摺動可能なピストン41と、Oリング49を介して、このピストン41から軸線AX方向に延びるピストンロッド42と連結する弁部44と、この弁部44を支える弁部支持部材43とを有している。ピストンロッド42とシリンダ20aとの間には、Oリング48を介してロッドガイド部25が設けられ、ピストンロッド42を保持している。ピストン41は、シリンダ20aのうち、第1操作ポート23と第2操作ポート24との間をストロークとして移動し、ピストン41を挟んで、第1操作ポート23側に1次室21が、第2操作ポート24側に2次室22が、それぞれ区画されている。
【0031】
排液弁1では、操作エアが第1操作ポート23を通じて1次室21に供給され、2次室22の操作エアが第2操作ポート24を通じて排出されると、ピストン41が第2操作ポート24側に向けて移動して、弁部44が弁座12と離間する。これにより、排液管路部から入力ポート11に流入した排液は、第2本体部流路26を通じて出力ポート31に流れ、廃液処理槽に向けて流れる。
一方、図示しない電磁弁により、操作エアの供給を第1操作ポート23から第2操作ポート24に切り換えると、操作エアが第2操作ポート24を通じて2次室22に供給され、1次室21の操作エアが第1操作ポート23を通じて排出されると、ピストン41が第1操作ポート23側に向けて移動して、弁部44が弁座12と当接する。これにより、排液管路部から入力ポート11に流入した排液の流れが、弁部44で遮断され、出力ポート31から廃液処理槽には、排液は流れない。
【0032】
次に、フランジ50について説明する。
前述したように、本実施形態では、第1フランジ51と第2フランジ52とは、形状及び大きさを実質的に同じに形成したものであり、第1,第2フランジ51,52は、その各部の寸法について、JIS規格により規格されたフランジである。
具体的には、第1,第2フランジ51,52は、本実施例では、規格「JIS 5Kフランジ」の「呼び100」のフランジである。この規格で「呼び100」のフランジでは、各部の寸法仕様が、外径200mm、厚さ20mm、後述する第1,第2締結孔51Ha,51Hb(第2締結孔)のピッチ円径ΦD2=165mm等となっている。
第1,第2フランジ51,52は、内部に貫通穴50Hを有したリング状に形成されている。第1フランジ51には、
図1及び
図2に示すように、第1本体部10及び第2本体部20(ボディ3)と締結させる入力ポート側第1締結ボルト61a(第1締結部材)が挿入する第1締結孔51Hb(第1締結孔)が、8箇所に、いずれもピッチ円径ΦD1上に等分された位置にそれぞれ配置されている。
【0033】
また、第1フランジ51には、当該第1フランジ51と突き合わさる相手側フランジ90と締結させる相手側締結ボルト91と螺合する第2締結ナット65(第2締結部材)が挿入する第2締結孔51Ha(第2締結孔)が、8箇所に、いずれもピッチ円径ΦD2(0<D2)上に等分された位置にそれぞれ配置されている。第2締結ナット65は、例えば、アウトサート等の圧入により、第2締結孔51Haに設けられている。第2締結ナット65は、ゴム製のシール材66と共に第1締結孔51Haに圧入されている。
第1フランジ51では、
図1及び
図2に示すように、8つの第1締結孔51Hbと8つの第2締結孔51Haとが、交互に配置され、隣接する第1締結孔51Hb同士の位相が45°であり、隣接する第2締結孔51Ha同士の位相も45°となっている。
【0034】
第1フランジ51と同様、第2フランジ52には、
図1乃至
図3に示すように、第3本体部30及び第2本体部20(ボディ3)と締結させる出力ポート側第1締結ボルト61b(第1締結部材)が挿入する第1締結孔52Hb(第1締結孔)が、8箇所に、いずれもピッチ円径ΦD1上に等分された位置にそれぞれ配置されている。
また、第2フランジ52には、当該第2フランジ52と突き合わさる相手側フランジ90と締結させる相手側締結ボルト91と螺合する第2締結ナット65(第2締結部材)が挿入する第2締結孔52Ha(第2締結孔)が、8箇所に、いずれもピッチ円径ΦD2上に等分された位置にそれぞれ配置されている。第1フランジ51と同様、第2フランジ52でも、第2締結ナット65は、例えば、アウトサート等の圧入により、第2締結孔51Haに設けられている。第2締結ナット65は、ゴム製のシール材66と共に第1締結孔52Haに圧入されている。
第2フランジ52でも、8つの第1締結孔52Hbと8つの第2締結孔52Haとが、交互に配置され、隣接する第1締結孔52Hb同士の位相が45°であり、隣接する第2締結孔52Ha同士の位相も45°となっている。
【0035】
次に、排液弁1の組付けについて、簡単に説明する。
ピストン41を、第2本体部20のシリンダ20a内に挿入し、ピストンロッド42に弁部支持部材43と共に弁部44を連結させ、弁体40を組付ける。
次いで、弁体40を取付けた第2本体部20と、第1本体部10と、第3本体部30とを、ボルト用貫通孔10Hと、ボルト用貫通孔20Hと、ボルト用貫通孔30Hとの各軸心が同心上に位置するよう配置する。
はじめに、第2フランジ52の第1締結孔52Hbと第3本体部30のボルト用貫通孔30Hとを位置合わせしておき、第2フランジ52が第3本体部30の出力側端面30aに当接するまで、第3本体部30の出力側フランジ接続部33を第2フランジ52の貫通穴50Hに挿入する。
次に、8本の出力ポート側第1締結ボルト61bを、第2フランジ52の第1締結孔52Hbから挿入し、第3本体部30のボルト用貫通孔30Hを通じて、入力ポート側第1締結ボルト61aとは反対側から第1締結ナット62と螺合させて、第2フランジ52を、第2,第3本体部20,30に固定する。
【0036】
次いで、第1フランジ51の第1締結孔51Hbと第1本体部10のボルト用貫通孔10Hとを位置合わせしておき、第1フランジ51が第1本体部10の入力側端面10aに当接するまで、第1本体部10の入力側フランジ接続部13を第1フランジ51の貫通穴50Hに挿入する。
次に、8本の入力ポート側第1締結ボルト61aを、第1フランジ51の第1締結孔51Hbから挿入し、第1本体部10のボルト用貫通孔10Hを通じて、第1締結ナット62と螺合させて、第1フランジ51を、第1,第2本体部10,20に固定する。
かくして、第1,第2フランジ51,52と、第1,第2,第3本体部10,20,30とが一体に組み付けられて、排液弁1の組み付けが完了する。
【0037】
次に、排液弁1の第1,第2フランジ51,52と、外槽側や液回収槽側にある相手側フランジ90と連結方法について、説明する。
排液弁1の入力ポート11側では、相手側締結ボルト91を挿通させる相手側フランジ90の貫通孔と、第1フランジ51の第1締結孔51Haとを、1つの貫通孔として互いに連通するよう位置決めした上で、第1フランジ51と相手側フランジ90とを突き合わせる。次に、相手側締結ボルト91を、相手側フランジ90の貫通孔から挿入し、第1締結孔51Haに圧入された第2締結ナット65と螺合させて締結する。
一方、排液弁1の出力ポート31側では、相手側締結ボルト91を挿通させる相手側フランジ90の貫通孔と、第2フランジ52の第1締結孔52Haとを、1つの貫通孔として互いに連通するよう位置決めした上で、第2フランジ52と相手側フランジ90とを突き合わせる。次に、相手側締結ボルト91を、相手側フランジ90の貫通孔から挿入し、第1締結孔52Haに圧入された第2締結ナット65と螺合させて締結する。
かくして、排液弁1が、入力ポート11側の排液管路部と、出力ポート31側の廃液処理槽との間の管路上にインラインで配設される。
【0038】
(第2実施例)
次に、第2実施例について、
図4乃至
図6を用いて説明する。
図4は、第1実施形態のうち、第2実施例に係る排液弁を示す側面図であり、
図4中、B−B矢視断面図を、
図5に示す。
図6は、第2実施例に係る排液弁を示す上面図である。
第1実施例に係る排液弁1では、フランジ50(第1,第2フランジ51,52)を、規格「JIS 5Kフランジ」の「呼び100」のフランジとした。
これに対し、第2実施例に係る排液弁2では、フランジ50が第1実施例と同じ「呼び100」であるものの、規格「JIS 10Kフランジ」の「呼び100」のフランジであるフランジ50(第1,第2フランジ56,57)が配設されている。
しかしながら、第2実施例では、排液弁2は、フランジの耐強度に基づく分類において、「JIS 5Kフランジ」から「JIS 10Kフランジ」に変更している点で、排液弁1と異なっているが、その他の部分については、第1実施例の排液弁1と同様である。
したがって、第1実施例は異なる部分を中心に説明し、同様な部分は第1実施例と同じ符号を用いて、説明を省略または簡単に行う。
【0039】
規格「JIS 10Kフランジ」である第1,第2フランジ56,57では、各部の寸法仕様が、外径210mm、厚さ24mm、第1,第2締結孔56Ha,57Ha(第2締結孔)のピッチ円径ΦD2=175mm等となっている。第1,第2フランジ56,57は、内部に貫通穴50Hを有したリング状に形成されている。
第1フランジ56には、
図4及び
図5に示すように、第1本体部10及び第2本体部20と締結させる入力ポート側第1締結ボルト61a(第1締結部材)が挿入する第1締結孔56Hb(第1締結孔)が、8箇所に、いずれもピッチ円径ΦD1上に等分された位置にそれぞれ配置されている。
また、第1フランジ56には、当該第1フランジ56と突き合わさる相手側フランジ90と締結させる相手側締結ボルト91と螺合する第2締結ナット65が挿入する第1締結孔56Ha(第2締結孔)が、8箇所に、いずれもピッチ円径ΦD2上に等分された位置にそれぞれ配置されている。第2締結ナット65は、ゴム製のシール材66と共に第1締結孔56Haに圧入されている。
第1フランジ56では、
図4及び
図5に示すように、8つの第1締結孔56Hb,57Hbと8つの第2締結孔56Ha,57Haとが、交互に配置され、隣接する第1締結孔56Hb,57Hb同士の位相が45°であり、隣接する第2締結孔56Ha,57Ha同士の位相も45°となっている。
【0040】
第1フランジ56と同様、第2フランジ57には、
図1及び
図2に示すように、第3本体部30及び第2本体部20と締結させる出力ポート側第1締結ボルト61bが挿入する第1締結孔57Hb(第1締結孔)が、8箇所に、いずれもピッチ円径ΦD1上に等分された位置にそれぞれ配置されている。
また、第2フランジ52には、当該第2フランジ52と突き合わさる相手側フランジ90と締結させる相手側締結ボルト91と螺合する第2締結ナット65が挿入する第1締結孔57Ha(第2締結孔)が、8箇所に、いずれもピッチ円径ΦD2上に等分された位置にそれぞれ配置されている。第2締結ナット65は、ゴム製のシール材66と共に第1締結孔52Haに圧入されている。
第2フランジ52でも、8つの第1締結孔51Hbと8つの第2締結孔52Haとが、交互に配置され、隣接する第1締結孔52Hb同士の位相が45°であり、隣接する第2締結孔52Ha同士の位相も45°となっている。
【0041】
次に、排液弁2の組付けについて、簡単に説明する。
はじめに、第2フランジ57の第1締結孔57Hbと第3本体部30のボルト用貫通孔30Hとを位置合わせしておき、第2フランジ57が第3本体部30の出力側端面30aに当接するまで、第3本体部30の出力側フランジ接続部33を第2フランジ57の貫通穴50Hに挿入する。
次に、8本の出力ポート側第1締結ボルト61bを、第2フランジ57の第1締結孔57Hbから挿入し、第3本体部30のボルト用貫通孔30Hを通じて、入力ポート側第1締結ボルト61aとは反対側から第1締結ナット62と螺合させて、第2フランジ57を、第2,第3本体部20,30に固定する。
また、第1フランジ56の第1締結孔56Hbと第1本体部10のボルト用貫通孔10Hとを位置合わせしておき、第1フランジ56が第1本体部10の入力側端面10aに当接するまで、第1本体部10の入力側フランジ接続部13を第1フランジ56の貫通穴50Hに挿入する。
次に、8本の入力ポート側第1締結ボルト61aを、第1フランジ51の第1締結孔56Hbから挿入し、第1本体部10のボルト用貫通孔10Hを通じて、第1締結ナット62と螺合させて、第1フランジ56を、第1,第2本体部10,20に固定する。
【0042】
前述した構成を有する本実施形態に係る排液弁の作用・効果について説明する。
本実施形態では、入力ポート11と出力ポート31との間に弁座12が形成されたボディ3(第1,第2,第3本体部10,20,30)と、入力ポート11側で第1本体部10と接続する第1フランジ51,56、及び出力ポート31側で第3本体部30と接続する第2フランジ52,57を有し、弁座12に弁体44が当接または離間することにより、排液の流れを制御する排液弁1,2において、ボディ3は、入力ポート11または出力ポート31の軸線AX方向に対し、凸状に突出して形成された入力側フランジ接続部13と出力側フランジ接続部33とを有し、第1,第2フランジ51,52及び第1,第2フランジ56,57(フランジ50)は、内部に貫通穴50Hを有したリング状に形成され、入力側フランジ接続部13及び出力側フランジ接続部33がそれぞれ貫通穴50Hに挿入され、フランジ50とボディ3とが、ネジ締結で固定されているので、当該排液弁において、一の製品仕様である排液弁1と、他の製品仕様である排液弁2とが一定の範囲内で異なる場合でも、入力側フランジ接続部13の外周面13aの径、及び出力側フランジ接続部33の外周面33aの径ΦD0と貫通穴50Hの径とを、それぞれ対応し合う径に設定した上で、単一の寸法仕様で形成されたボディ3に対し、貫通穴50Hの径以外の各部寸法について、複数種の寸法仕様で形成されたフランジの中から、適合するフランジ50をボディ3に選択的に取付けることができ、入力ポート側第1締結ボルト61a及び出力ポート側第1締結ボルト61bと第1締結ナット62とによるネジ締結により固定できる。
【0043】
よって、第1実施例と第2実施例との違いのように、一の製品である排液弁1と他の製品である排液弁2との間で寸法仕様が一定の範囲内で異なる場合でも、入力側フランジ接続部13の外周面13aの径、及び出力側フランジ接続部33の外周面33aの径ΦD0と貫通穴50Hの径とを、それぞれ対応し合う径に設定して、排液弁1と排液弁2とに対し、ボディ3を共通化して、当該排液弁1,2の部品として用いることができる。
【0044】
特に、本実施形態のように、例えば、JIS規格等で規格された市販品のフランジを用いて構成することもできる。
このとき、ボディの形状や寸法等の製品仕様がほぼ同じである製品A(排液弁1)と製品B(排液弁2)とにおいて、相手側フランジ90に、例えば、JIS規格で規格されたフランジやこれに準じるフランジとして、規格寸法「呼び100」が同じでも、顧客のニーズによって、一方で「JIS 5Kフランジ」を、他方で「JIS 10Kフランジ」を用いたい場合がある。前述したように、「JIS 5Kフランジ」と「JIS 10Kフランジ」とでは、外径、厚さ、締結孔のピッチ円径等の寸法が互いに異なっている。このような場合でも、「JIS 5Kフランジ」に規格されたフランジ50と、「JIS 10Kフランジ」に規格されたフランジ50とを、形状や寸法等の製品仕様が同じボディ3に接続することができる。
そのため、「JIS 5Kフランジ」に規格されたフランジ50と、「JIS 10Kフランジ」に規格されたフランジ50との違いだけで、各規格に合った寸法仕様のボディを別々に製造する必要がなく、ボディ3の製造に掛かるコストが抑制できる。
【0045】
また、フランジは、その各部の寸法について、例えば、JIS規格等で規格され、規格では、フランジに要求される耐強度に基づき所定の寸法毎に分類されており、規格品として市販されている。このように市販された規格品を排液弁1,2のフランジ50として用いれば、フランジを新たに設計し、製作しなくても良いから、排液弁1,2のコストダウンが期待できる。さらに、規格品で市販品のフランジに追加工を施して排液弁1,2に用いれば、フランジを新たに設計し、製作しなくても良いから、排液弁1,2のコストダウンが期待できる。
また、凸状に突出したボディ3の入力側フランジ接続部13、及び出力側フランジ接続部33がフランジ50の貫通穴50Hに挿入されているため、本実施形態に係る排液弁1,2は、フランジとボディとが一体化した流体制御弁に比して、コンパクトに構成することができ、コストも抑制できる。
従って、本実施形態に係る排液弁1,2では、寸法仕様が単一に形成されたボディ3については、製品毎に一品一様の仕様で製造する必要がなく、ボディ3の共通化を図って少品種による量産体制で製造できると共に、排液弁1,2をコンパクトできるため、排液弁1,2の製造コストを低減することができる、という優れた効果を奏する。
【0046】
なお、組付けるフランジ50とボディ3とを選択するときの条件(選択条件)として、排液弁1,2に流れる排液の制御流量、流体圧力、及びボディ3やフランジ50に要求される耐強度を考慮した上で、適切なフランジ50を選択する必要がある。
また、一の製品である排液弁1と他の製品である排液弁2との間で寸法仕様が一定の範囲内で異なる場合とは、排液弁1の製品仕様と排液弁2の製品仕様とが、入力側フランジ接続部13の外周面13aの径、及び出力側フランジ接続部33の外周面33aの径ΦD0と貫通穴50Hの径とが、それぞれ対応し合える関係で、かつ入力側フランジ接続部13及び出力側フランジ接続部33の径ΦD0や、貫通穴50Hの径以外の各部寸法について、上記選択条件を満たして、設計上、許容できる寸法範囲内に収まる関係にある場合をいう。
【0047】
また、本実施形態に係る排液弁1,2のうち、フランジ50には、ボディ3と締結させる入力ポート側第1締結ボルト61a及び出力ポート側第1締結ボルト61bが挿入する第1締結孔51Hb,52Hb,56Hb,57Hbと、フランジ50と突き合わさる相手側フランジ90と締結させる第2締結ナット65が挿入する第2締結孔51Ha,52Ha,56Ha,57Haとが、それぞれ8箇所形成され、第1締結孔51Hb,52Hb,56Hb,57Hbと第2締結孔51Ha,52Ha,56Ha,57Haとが交互に配置されているので、ボディ3は、入力側フランジ接続部13及び出力側フランジ接続部33の径を所定の大きさΦD0に統一した単一の仕様で形成し、フランジ50は、貫通穴50Hを、ボディ3の入力側フランジ接続部13及び出力側フランジ接続部33の径ΦD0に対応した所定の径に統一すると共に、第1締結孔51Hb,52Hb,56Hb,57Hbの配置位置を一定して形成しておくことで、上記の選択条件を満たした上で、設計上、許容できる寸法範囲内においてボディ3を共通化し、このボディ3に設けるフランジ50を、複数種の寸法仕様で取付けることができるようになる。
また、このとき、ボディ3と、フランジ50と、このフランジ50と突き合わさる相手側フランジ90とを固定させるのに、第1締結孔51Hb,52Hb,56Hb,57Hbと第2締結孔51Ha,52Ha,56Ha,57Haとが交互に配置されているため、ボディ3とフランジ50とが、連結するフランジ50及び相手側フランジ90同士とが、それぞれ均等に密着して固定することができる。
【0048】
また、本実施形態に係る排液弁では、第2締結部材は、第2締結ナット65であり、第2締結ナット65は、第2締結孔51Ha,52Ha,56Ha,57Haに圧入されているので、フランジ50と相手側フランジ90とを固定させるのに、第2締結ナット65と螺合する相手側締結ボルト91を、相手側フランジ90からフランジ50の第2締結孔51Ha,52Ha,56Ha,57Haに挿通するだけで、相手側締結ボルト91と第2締結ナット65とを締結することができる。このとき、相手側締結ボルト91の頭部が相手側フランジ側に位置することから、相手側締結ボルト91の頭部とボディ3との干渉がなく、締結作業がスムーズにできる。
また、第2締結ナット65が第2締結孔51Ha,52Ha,56Ha,57Haに圧入されているため、第2締結孔51Ha,52Ha,56Ha,57Haに不動で圧入されていることにより、相手側締結ボルト91を第2締結ナット65と締結する際にも、第2締結ナット65のみの回り止め対策を行う必要がなく、この点においても締結作業がスムーズにできる。
【0049】
また、本実施形態に係る排液弁では、第1締結部材60は、入力ポート側第1締結ボルト61a及び出力ポート側第1締結ボルト61bであり、入力ポート側第1締結ボルト61a及び出力ポート側第1締結ボルト61bと螺合する第1締結ナット62が、ボディ3のうち、第2本体部20のボルト用貫通孔20Hに圧入等により配設されているので、ボディ3とフランジ50とを固定させるのに、第1締結ナット62がボディ3に不動で固定できているため、入力ポート側第1締結ボルト61a及び出力ポート側第1締結ボルト61bを第1締結ナット62と締結する際にも、第1締結ナット62のみの回り止め対策を行う必要がなく、締結作業がスムーズにできる。
また、特に、第1締結ナット62が、入力ポート側第1締結ボルト61a及び出力ポート側第1締結ボルト61bが挿通するボルト用貫通孔20H内に設けられていると、第1締結ナット62の取付けスペースがボディ3の外側に必要としなくなることから、ボディ3をコンパクト化することができる。さらに、ボディ3の形状がより簡素化されることから、ボディ3の加工に掛かるコストを低減することができる。
【0050】
また、本実施形態に係る排液弁では、フランジ50は、入力ポート11側に設けられる第1フランジ51,56と、出力ポート側31に設けられる第2フランジ52,57とからなるので、ボディ3の入力側フランジ接続部13及び出力側フランジ接続部33の第1締結孔52Hb,57Hbのピッチ円径ΦD1が単一の寸法仕様で形成され、第1フランジ51,56及び第2フランジ52,57において、貫通穴50Hの径ΦD0が、入力側フランジ接続部13の外周面13aの径、及び出力側フランジ接続部33の外周面33aの径に対応し、第1締結孔51Hb,52Hb,56Hb,57Hbの配置位置がフランジの種類に因らず共通化していれば、入力ポート11側の相手側フランジ90側の径や、出力ポート31側の相手側フランジ90側の径が異なる場合でも、第2締結孔51Ha,52Ha,56Ha,57Haの配置位置ほか、フランジ各部の寸法仕様が異なる第1フランジ51,56と第2フランジ52,57とを、ボディ3の入力ポート11側と出力ポート31側にそれぞれ取付けることができる。
そのため、入力ポート11側の相手側フランジ90側の径と、出力ポート31側の相手側フランジ90側の径とが同じか異なるかに関わらず、同じ寸法仕様のボディ3を用いることができる。
【0051】
また、本実施形態に係る排液弁1,2では、入力ポート11と出力ポート31とは、同じ軸線AX上の位置に配置されており、第1フランジ51,56で、第1締結孔51Hb,56Hbを挿通する入力ポート側第1締結ボルト61aと、第2フランジ52,57で、第1締結孔52Hb,57Hbを挿通し、入力ポート側第1締結ボルト61aと同じ軸線AX上に配置される出力ポート側第1締結ボルト61bとが、共に第1締結ナット62と螺合するので、第1フランジ51,56と第2フランジ52,57の双方をボディ3に接続しても、入力ポート側第1締結ボルト61aと出力ポート側第1締結ボルト61bとを、同じ第1締結ナット62で締結できることから、締結構造が簡単で、排液弁1,2をコンパクトにすることができる。
また、一つの第1締結ナット62で、入力ポート側第1締結ボルト61aと出力ポート側第1締結ボルト61bの2本の締結ボルトを締結させているため、部品点数が削減でき、コストを低減することができる。
【0052】
次に、本発明に係る流体制御弁の
参考例について、
図7及び
図8を用いて説明する。
図7は、
参考例に係る排液弁を示す側面図であり、
図8は、
図7中、C−C矢視断面図である。
第1実施形態に排液弁1,2では、ボディ3とフランジ50とを締結するのに、第1締結部材である入力ポート側第1締結ボルト61a及び出力ポート側第1締結ボルト61bを、フランジ50の第2締結孔51Hb,52Hb等を挿通させ、第2本体部20のボルト用貫通孔20Hの第1締結ナット62に螺合させた。
これに対し、
参考例に係る排液弁101では、ボディのフランジ接続部の外周に雄ネジを、フランジの内周に雌ネジを、それぞれ形成し、この雄ネジと雌ネジとの締結により、ボディとフランジとを締結させている。
しかしながら、
参考例では、ボディのフランジ接続部とフランジとの締結が異なるが、その他の部分については、第1実施形態の排液弁1,2と同様である。
したがって、第1実施形態とは異なる部分を中心に説明し、同様な部分は第1実施形態と同じ符号を用いて、説明を省略または簡単に行う。
【0053】
ボディ3のうち、第1本体部10の入力側フランジ接続部113の周囲に雄ネジ113Sが、第3本体部30の出力側フランジ接続部133の周囲に雄ネジ133Sが、それぞれ形成されている。
入力ポート側にある第1フランジ151と出力ポート側にある第2フランジ152とは、形状及び大きさを実質的に同じに形成したものである。第1,第2フランジ151,152は、第1実施形態のフランジ50において、入力側フランジ接続部13の外周面13a及び出力側フランジ接続部33の外周面33aの径ΦD0と同様であり、その他の各部の寸法についても、JIS規格により規格されたフランジである。
第1,第2フランジ151,152には、当該第1,第2フランジ151,152と突き合わさる相手側フランジ90と締結させる相手側締結ボルト91と螺合する第2締結ナット165(第2締結部材)が挿入する第2締結孔151H,152H(第2締結孔)が、8箇所に、いずれもΦD4ピッチ円上に等分された位置にそれぞれ配置されている。第2締結ナット165は、ゴム製のシール材と共に第1締結孔151Hに圧入されている。
第1,第2フランジ151,152の貫通孔の内周面には、雄ネジ113S,133Sと螺合する雌ネジ151S,152Sがそれぞれ形成されている。
【0054】
参考例に係る排液弁101では、第1フランジ151が第1本体部10の入力側端面10aに当接するまで、雄ネジ113Sと雌ネジ151Sとを螺合させて、第1フランジ151を、ボディ3の第1本体部10に固定させる。また、第2フランジ152が第3本体部30の出力側端面30aに当接するまで、雄ネジ133Sと雌ネジ152Sとを螺合させて、第2フランジ152を、ボディ3の第3本体部30に固定させる。
【0055】
前述した構成を有する
参考例に係る排液弁の作用・効果について説明する。
第1実施形態と同様、
参考例に係る排液弁101でも、寸法仕様が単一に形成されたボディ3については、製品毎に一品一様の仕様で製造する必要がなく、ボディ3の共通化を図って少品種による量産体制で製造できると共に、排液弁101をコンパクトできるため、排液弁101の製造コストを低減することができる、という優れた効果を奏する。
【0056】
参考例に係る排液弁101では、入力側フランジ接続部113の周囲に雄ネジ113Sが、第3本体部30の出力側フランジ接続部133の周囲に雄ネジ133Sが、それぞれ形成され、第1,第2フランジ151,152の貫通孔の内周面には、雄ネジ113S,133Sと螺合する雌ネジ151S,152Sがそれぞれ形成され、第1,第2フランジ151,152とボディ3とが、雄ネジ113S,133Sと雌ネジ151S,152Sとの螺合により固定されているので、単一の寸法仕様で形成されたボディ3に対し、雌ネジ151S,152S径以外の各部寸法について、複数種の寸法仕様で形成されたフランジの中から、適合するフランジ151,152をボディ3に選択的に取付けることができ、ネジ締結により固定できる。
【0057】
参考例に係る排液弁101では、フランジ151,152は、入力ポート11側と出力ポート31側の両側に、それぞれ設けられているので、ボディ3の入力側フランジ接続部113及び出力側フランジ接続部133の雄ネジ151S,152S径とフランジ1
51,152の貫通穴の雌ネジ雄ネジ113S,133S径とが、単一の寸法仕様で対応していれば、フランジの種類に因らず共通化していれば、入力ポート11側の相手側フランジ90側と出力ポート31側の相手側フランジ90側との間で、ネジ径以外の各部寸法が異なっている場合でも、フランジ各部の寸法仕様が異なるフランジを、ボディ3の入力ポート11側と出力ポート31側にそれぞれ取付けることができる。
そのため、入力ポート11側の相手側フランジ90側の径と、出力ポート31側の相手側フランジ90側の径とが同じか異なるかに関わらず、同じ寸法仕様のボディ3を用いることができる。
【0058】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
(1)例えば、実施形態1,2では、フランジ50等を、入力ポート11と出力ポート31に設け、大きさや形状について、いずれも実質的に同じフランジを配設した。しかしながら、フランジを、入力ポートまたは出力ポートの片方に設ける流体制御弁であっても良い。
(2)フランジは、入力ポート側と出力ポート側で異なる仕様であっても良い。
【0059】
(3)また、実施形態1,2では、凸状に突出したボディ3の入力側フランジ接続部13、及び出力側フランジ接続部33を、フランジ50(第1,第2フランジ51,52,56,57)の各貫通穴50Hに挿入し、第1フランジ51、56を第1本体部10の入力側端面10aに、第2フランジ52,57を第3本体部30の出力側端面30aに、それぞれ当接させて、ボディ3とフランジ50とをネジ締結により固定させた。
しかしながら、参照する
図1において、入力側フランジ接続部13と出力側フランジ接続部33とを形成せず、入力側端面10a及び出力側端面30aにそれぞれ相当する面を、ボディの端面として、この端面にフランジを当接させ、フランジの貫通孔を入力ポート及び出力ポートとしても良い。
【0060】
(4)また、実施形態1,2では、第1,第2フランジ51,52,56,57には、8つの第1締結孔52Hbと8つの第2締結孔52Haとを、それぞれ1つずつ入れ替わるよう交互に配置した。
しかしながら、第1締結孔と第2締結孔52との配置位置については、実施形態1,2に限定されるものではなく、例えば、隣接する第2締結孔同士の間に、第1締結孔が複数配置されていたり、あるいは、第1締結孔が一まとめに複数配置された第1締結孔の群と、第2締結孔が一まとめに複数配置された第2締結孔の群とが、交互に配置されていても良く、第1締結孔と第2締結孔52との配置位置については、適宜変更可能である。
【0061】
(5)また、実施形態1,2では、第1締結ボルト60と螺合する第1締結ナット62を、第2本体部20に設けたが、第1締結ボルトと螺合する雌ネジをボディに形成しても良い。また、第2締結ナット65をフランジ50に設けたが、相手側フランジとの締結のため、相手側フランジを貫通する締結ボルトと螺合する雌ネジをフランジに形成しても良い。
(6)また、実施形態1,2では、入力ポート側第1締結ボルト61aと出力ポート側第1締結ボルト61bとを、1つの第1締結ナット62に共に螺合させた。しかしながら、入力ポート側の第1締結ボルトと、同じ軸線上にある出力ポート側の第1締結ボルトとを、ボディ内で別々の部位に、それぞれ設けた第1締結ナットや、それぞれ形成された雌ネジと螺合するようにしても良い。
(7)また、実施形態1,2では、第1締結ナット62を、アウトサート等の圧入により第2本体部20に設けたが、第1締結ナットは、圧入以外にも、例えば、インサート成形、ヘリサート等によってボディに設けても良い。また、第2締結ナット65を、アウトサート等の圧入により第2締結孔51Ha,52Ha,56Ha,57Haに設けたが、第2締結ナットは、圧入以外にも、例えば、インサート成形、ヘリサート等によって第2締結孔に設けても良い。