(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
開閉体(2)とこれを開閉方向に案内する固定部材(1)とを有する開閉装置に装着され、開閉体(2)の閉まり際に、固定部材(1)に固定された被捕捉部材(11)を捕捉引込機構(20)で捕捉して所定の向きに引き寄せることにより開閉体(2)を強制的に閉位置に誘導する開閉体閉止装置(10)において、
前記捕捉引込機構(20)は、
前記開閉体(2)に固定される本体(21)と、
前記被捕捉部材(11)を捕捉するキャッチャ(30)と、
前記キャッチャ(30)と一体的に前記本体(21)内を摺動するスライダ(40)と、
前記スライダ(40)を前記所定の方向に引き寄せる弾性体(50)と、
前記固定部材(1)に対する開閉体(2)の板厚方向への片寄りを抑制するべく前記固定部材(1)に摺接する摺接体(70)と、を備え、
前記摺接体(70)が前記スライダ(40)に搭載されている、開閉体閉止装置。
【背景技術】
【0002】
従来の開閉体閉止装置として、
図19に示す捕捉引込機構を備えたものがある。
図19に示す捕捉引込機構110は、被捕捉部材111を捕捉する捕捉体112と、引張ばね113の張力によって図示しない引き戸(開閉体)を閉じる向きに付勢されている引込体114と、を有している。引き戸(開閉体)は、その上方に敷設された図示しないガイドレールに沿って開閉方向に案内される。被捕捉部材111は、ガイドレール内の所定の位置に固定されている。
捕捉体112は、円弧状に湾曲した一対の捕捉片115a、115bと、引込体114の先端部に前後に移動可能に挿入されたスライド体116とを有している。捕捉片115a、115bは、スライド体116の先端にヒンジ部115cを介して左右対称に回動自在に設けられている。
スライド体116の後端には後方に突き出した軸部116aが設けられている。この軸部116aは、コイルばね118に挿入され、コイルばね118と共に引込体114の内部の図示しない孔に挿入されている。コイルばね118の弾性力により、スライド体116は先端側に常時付勢されている。
捕捉片115a、115bの先端近傍下端には、両捕捉片115a、115bを左右対称に回動させるための操作突起115dが各々設けられている。操作突起115dは、図示しないカム部に係合している。カム部は、捕捉体112及び引込体114を収容している図示しない筐体に形成されており、引込体114に対してスライド体116が先端側に移動したときに捕捉片115a、115bを開側に回動させ、引込体114に対してスライド体116が後端側すなわち、引込体114側に移動したときに捕捉片115a、115bを閉側に回動させるように、両捕捉片115a、115bの操作突起115dを案内する。
【0003】
引込体114には、スライド体116の前後動に伴って上下動するキャッチャストッパ117が組み付けられている。キャッチャストッパ117は、捕捉片115a、115bを閉じた状態すなわち、被捕捉部材111を捕捉している状態(以下、捕捉状態と記す。)に保持するための部材である。引込体114の上端部には、キャッチャストッパ117の上端部117aが嵌るロック孔114aが設けられており、キャッチャストッパ117の上端部117aがこのロック孔114aに嵌ることにより、引込体114にスライド体116が固定され、捕捉片115a、115bが捕捉状態に保持される仕組みになっている。
【0004】
引込体114、スライド体116、及びキャッチャストッパ117には、引込体114に対するスライド体116の移動方向(前後方向)とキャッチャストッパ117の移動方向(上下方向)とに直交する方向(水平方向)に貫通させて孔114b、116b、117bがそれぞれ形成されている。引込体114の孔114bは上下に延びる直線状のガイド孔であり、スライド体116の孔116bは円弧状のガイド孔であり、キャッチャストッパ117のガイド孔117bは円形の軸孔である。孔114b、116b、117bには、これらを互いに連通させた状態で軸119が挿着され、これにより引込体114とスライド体116とキャッチャストッパ117とが互い相対移動可能に連結されている。そして、スライド体116が引込体114に対して後端側に移動したときに、軸119と共にキャッチャストッパ117が上方に移動し、キャッチャストッパ117の上端部117aが引込体114のロック孔114aに嵌ることにより、捕捉片115a、115bが捕捉状態に保持される。
この捕捉引込機構110によれば、引き戸(開閉体)の閉まり際に、水平方向に対称的に開閉動する一対の捕捉片115a、115bで被捕捉部材111を捕捉し、引っ張りばね113の力で所定の方向に引き寄せることにより引き戸(開閉体)を強制的に閉じることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ガイドレール1に対して引き戸2がその板厚方向に片寄っていると、引き戸2を開け閉めする際に引き戸2がガイドレール1の内壁に接しやすくなるため、捕捉体112による被捕捉部材111の捕捉が不確実になるという問題や、引き戸2の摺動抵抗が増大する影響で、被捕捉部材111を捕捉した後の引っ張りばね113による引き寄せが不十分になるといった問題が生じる。その結果、捕捉引込機構110が有効に働かなくなる。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、ガイドレールに対する引き戸の板厚方向への片寄りを抑制して、引き戸を円滑に閉位置に誘導することができる開閉体閉止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、開閉体とこれを開閉方向に案内する固定部材とを有する開閉装置に装着され、開閉体の閉まり際に、固定部材に固定された被捕捉部材を捕捉引込機構で捕捉して所定の向きに引き寄せることにより開閉体を強制的に閉位置に誘導する開閉体閉止装置において、
前記捕捉引込機構は、
前記開閉体に固定される本体と、
前記被捕捉部材を捕捉するキャッチャと、
前記キャッチャと一体的に前記本体内を摺動するスライダと、
前記スライダを前記所定の方向に引き寄せる弾性体と、
前記固定部材に対する開閉体の板厚方向への片寄りを抑制するべく前記固定部材に摺接する摺接体と、を備え、
前記摺接体が前記スライダに搭載されていることを特徴としている。
【0009】
上記のように構成された開閉体閉止装置によれば、固定部材に対する開閉体の板厚方向への片寄りを抑制するべく固定部材に摺接する摺接体を備えていることにより、開閉体の摺動抵抗を抑制して、開閉体の円滑な開け閉めを可能にすると共に、捕捉体による被捕捉部材の捕捉が確実になされるようにすることができる。
更に、上記の構成によれば、摺接体がスライダと共に移動するため、キャッチャが被捕捉部材を捕捉し、弾性体がスライダの引き寄せを行っている間、開閉体は固定部材に対して移動するが、摺接体は固定部材に対して停止している。したがって、開閉体を弾性体の張力で閉方向に移動させる際、固定部材と摺接体との間に摺動抵抗が全く発生しないため、開閉体をスムーズに閉位置に誘導することができる。
【0010】
本発明の開閉体閉止装置は、前記摺接体の前記開閉体の板厚方向における相対位置を調節するための位置調節機構を更に有していることが望ましい。
この構成によれば、固定部材に対して開閉体がその板厚方向に片寄っている等の原因で、開閉体を開け閉めする際に摺接体が固定部材に強く接し、摺接体と固定部材との間の摺動抵抗が大きくなる事態が生じた場合でも、摺接体の位置を微調整することにより、摺接体と固定部材との間の摺動抵抗を小さくすることができる。
【0011】
前記位置調節機構は、前記スライダに所定の方向に相対的に移動可能に組み付けて設けられた前後調整ブロックと、前記スライダに対する前記前後調整ブロックの前記所定の方向における位置を調整するための操作子と、前記摺接体を支持している摺接体支軸と、を有し、
前記スライダは、前記摺接体支軸を案内するべく前記スライダの摺動方向に対して水平方向に傾斜して直線状に延びるガイド孔を有し、
前記前後調整ブロックは、前記スライダに対し前記所定の方向に摺動する摺動部と、前記摺動部の一端から前記所定の方向に延び且つ水平方向に弾性変形可能な弾性変形部と、前記摺接体支軸を保持するべく前記弾性変形部の自由端部に設けられた支軸保持孔と、を有し、
前記摺接体支軸は、前記ガイド孔に挿通された状態で前記支軸保持孔に保持されていることが望ましい。
【0012】
この構成によれば、操作子を操作することにより、スライダ内における前後調整ブロックの位置を前記所定の方向に微調整することができる。この前後調整ブロックの前後移動に伴って、摺接体支軸がスライダのガイド孔に沿って移動する。ガイド孔がスライダの移動方向に対して水平方向に傾斜して直線状に延びているため、摺接体支軸は、ガイド孔に沿って移動することにより、スライダの移動方向に対して水平方向に直交する方向すなわち、開閉体の板厚方向に変位する。この方向への回転支軸の移動は、前後調整ブロックの弾性変形部が弾性変形することにより許容される。摺接体は摺接体支軸と共に移動するため、操作子を操作することにより、開閉体の板厚方向における摺接体の位置を微調整することができる。
【0013】
前記摺接体が前記固定部材と接しつつ従動回転するガイドローラであり、
当該ガイドローラが前記摺接体支軸に回転自在に支持されていることが望ましい。この構成によれば、ガイドローラが固定部材と接しつつ従動回転することにより、固定部材との摺動抵抗を極力小さくすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の開閉体閉止装置によれば、ガイドレールに対する引き戸の板厚方向への片寄りを抑制して、引き戸を円滑に閉位置に誘導することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。この実施形態では、本発明を引き戸装置用の開閉体閉止装置に適用した場合を例にとり説明する。
図1は本発明の開閉体閉止装置を備えた引き戸装置の形態例を示す部分正面図である。
図1に示す引き戸装置は、建物の開口部を開閉する引き戸(開閉体)2と、引き戸2をその上方に敷設されているガイドレール(固定部材)1に沿わせて案内するべく引き戸2の上端に取り付けられた図示しない一対のガイド部材と、引き戸2を閉まり際に制動しつつ閉位置に誘導する開閉体閉止装置10と、を有している。
【0017】
開閉体閉止装置10は、ガイドレール1に固定して設けられた被捕捉部材11と、引き戸2に設けられた捕捉引込装置(捕捉引込機構)20と、を有している。被捕捉部材11は、ガイドレール1の戸当り3近傍の所定の位置に取り付けられている。捕捉引込装置20は、引き戸2の戸当り3側の上端角部に形成された細長い埋設孔2aに嵌め込んだ状態で引き戸2内に埋設されている。捕捉引込装置20の上端及び先端は、埋設孔2aから露出している。
この開閉体閉止装置10は、引き戸2の閉まり際に、被捕捉部材11を捕捉して、引き戸2側(
図1の例では右側)に相対的に引き寄せることにより引き戸2を強制的に閉じる働きをする。
【0018】
図2及び
図3は捕捉引込装置20の斜視図であり、それぞれ待機状態及び引き込み状態を示している。
図4は捕捉引込装置20の分解斜視図である。
図5、
図6及び
図7は捕捉引込機構20の要部平面図であり、それぞれ待機状態、捕捉引込機構と被捕捉体とが当接した瞬間の状態及び引き込み状態を示している。
図8は捕捉引込機構の待機状態及び捕捉状態を示す要部斜視図である。
【0019】
捕捉引込装置20は、金属製の本体21と、本体21の先端(木口2b側の端)に固定された先端側固定ブロック22と、本体21の後端に固定された後端側固定ブロック23とを有している。
本体21は、底を有し上端が開口している細長い箱状の部材である。本体21は、金属製の板材を切断、孔あけ及び折り曲げ加工することにより形成されたものである。
先端側固定ブロック22及び後端側固定ブロック23は、樹脂成型品である。両固定ブロック22、23には、それぞれ螺子孔22a、23aが設けられている。本体21の両端部には、両固定ブロック22、23の螺子孔22a、23aと連通する螺子孔21fが設けられている。
捕捉引込装置20は、引き戸2の埋設孔2aに嵌め込んだ状態で、螺子孔22a、23aにそれぞれ螺子(図示省略)を挿通して引き戸2に締着することにより、引き戸2に強固に固定されている。
【0020】
図4に示すように、捕捉引込装置20は、被捕捉部材11を捕捉するキャッチャ30と、先端側固定ブロック22及び本体21内を長手方向(矢印A方向)にスライドするスライダ40と、スライダ40を本体21の後端側に付勢している引張りばね(弾性体)50と、キャッチャ30を作動させるキャッチャガイド65と、この捕捉引込装置20とガイドレール1との摺動抵抗を軽減するためのガイドローラ70と、ガイドローラ位置調節機構80と、引張りばね50の張力に抗してキャッチャ30を待機位置すなわち、被捕捉部材11を捕捉するための位置に保持するためのロック機構90と、引張りばね50による引き込み力を調整する引き込み力調節機構100と、を有している。
【0021】
キャッチャ30は、水平方向に弾性変形して開閉する一対の捕捉片31、32を一体成型してなる樹脂成型品である。
【0022】
両捕捉片31、32の先端面は、被捕捉部材11を受け入れてキャッチャ30内に案内するべく先端に向かって外側に傾斜した傾斜面34になっている。両捕捉片31、32の先端近傍には、被捕捉部材11を係止する係合突起部31a、32aが互いに内向きに突出させて形成されている。傾斜面34は、捕捉片31、32の先端から係合突起部31a、32aに延びている。
【0023】
キャッチャ30は、これが自然状態のとき、両捕捉片31、32の先端部同士の間隔が被捕捉部材11を受け入れ可能な間隔D1aに開いた待機状態にある(
図5参照)。そして、両捕捉片31、32自体が互いに内向きに弾性変形させられることによって捕捉状態すなわち、被捕捉部材11を両側から掴んで捕捉した状態になる。キャッチャ30が捕捉状態にあるとき、両係止突起部31a、32a間の間隔D1bは、被捕捉部材11の幅D2a、D2bよりも狭い(
図7参照)。
【0024】
両捕捉片31、32の先端近傍外側には、係止突起部(第1係止部)31d、32dが外方に突出させて形成されている。一方、先端側固定ブロック22には、両捕捉片31、32の係止突起部31d、32dと係脱する係止孔(第2係止部)22bが形成されている。そして、係止突起部31d、32dと係止孔22bとが互いに係合することによりキャッチャ30が待機位置に保持され、キャッチャ30の待機状態から捕捉状態への状態変化に伴って、係止突起部31d、32dと係止孔22bとの互いの係合が解かれるように構成されている。すなわち、この実施形態では、ロック機構90が両捕捉片31、32に形成された係止突起部31d、32dと、先端側固定ブロック22に形成された係止孔22bと、により構成されている。
【0025】
両捕捉片31、32の先端近傍下端には、後述するガイド孔61aに係合しつつ案内されるガイド突起部31c、32cが下方に突出させて形成されている。
キャッチャ30の後端には、キャッチャ30とスライダ40とを互いに一体的に連結するための水平断面が略T字状の嵌合凸部33が形成されている。
【0026】
キャッチャガイド65は、キャッチャ30の両捕捉片31、32の間に介在し、引き戸2の閉まり際に被捕捉部材11に押されてキャッチャ30の奥部に移動するストライカ部60と、ストライカ部60のキャッチャ30の奥部への移動に連動して、キャッチャ30をその両捕捉片31、32自体の弾性力に抗して被捕捉部材11を捕捉した捕捉状態に導くガイド部61と、を有している。両捕捉片31、32の内面の前後方向中間部には、ストライカ部60を両側から狭持した状態で両捕捉片31、32間に介在させるべく、狭持突起部31b、32bが互いに内向きに突出させて形成されている。キャッチャ30がそれ自体の弾性により自然状態を維持し、且つ、ストライカ部60が両捕捉片31、32間に介在することにより、キャッチャ30が待機状態に保持される。
キャッチャ30内の両狭持突起部31b、32bよりも奥側には、ストライカ部60を若干余裕を持って収容可能な空間30sが設けられている。
【0027】
ガイド部61は、ストライカ部60の下端部に一体的に設けられている。ガイド部61は、平板状に形成され、その下面がスライダ40の上面41aに摺接している。ストライカ部60の上端部には、キャッチャ30の上端面に接する張り出し部62が設けられている。
ガイド部61の先端近傍には、両捕捉片31、32のガイド突起部31c、32cを水平方向に対称的に案内する一対の円弧状のガイド孔61aが設けられている。ストライカ部60の後端部とキャッチャ30の最奥部との間には、コイルスプリング(弾性部材)63が設けられている。コイルスプリング63は、
図9乃至
図11に示すように、ストライカ部60の後端部に形成された穴60aに挿入されており、ストライカ部60がキャッチャ30の奥部空間30s内にあるときは、圧縮された状態で穴60a内に収容されている(
図7参照)。キャッチャガイド65は、このコイルスプリング63の弾性反発力によってキャッチャ30の先端側に常時付勢されている。
【0028】
キャッチャ30の待機状態から捕捉状態への状態変化は、引き戸2を閉める際に、キャッチャガイド65のストライカ部60が被捕捉部材11に当接して押されることによりなされる。
図8(a)中の矢印Cは、被捕捉部材11がキャッチャガイド65のストライカ部60を押す力の向きを示している。この力に押されてキャッチャガイド65のストライカ部60がキャッチャ30の奥部側に移動することにより、ガイド部61もストライカ部60と共に移動する。ストライカ部60が両狭持突起部31b、32bの間から抜けることにより、キャッチャ30の待機状態が解かれる。そして、ガイド部61の移動に伴って両捕捉片31、32のガイド突起部31c、32cがガイド孔61aに沿って互いに内向きに案内される。その結果、
図8(a)中に矢印Dで示すように、両捕捉片31、32が互いに内向きに弾性変形し、
図8(b)に示す捕捉状態になる。
【0029】
スライダ40は、キャッチャ30とキャッチャガイド65とを搭載する前半部41と、ガイドローラ70を搭載する後半部42とからなる。前半部41の上面41aは平坦であり、ここにキャッチャガイド65のガイド部61が摺接している。後半部42の上部は、前半部41よりも段状に高くなっている。後半部42の上部前端には、キャッチャ30の嵌合凸部33が嵌合する水平断面が略T字状の嵌合凹部43が形成されている。後半部42の下部後端には、引張りばね50を連結するための連結溝44aが形成され、ここに引張りばね50の一方の端部51がその括れた部分を係合させて連結されている。
【0030】
スライダ40の後半部42の両側には、スライダ40の移動方向に延びる直線状のガイド突起42aが外方に突出させて設けられている。本体21の両側壁21a、21bには、スライダ40の移動方向に延びる細長いガイド孔21cが設けられており、ガイド孔21cにスライダ40のガイド突起42aが摺動可能に嵌合している。
スライダ40は、そのガイド突起42aが本体21のガイド孔21cに案内されることにより、本体21の長手方向に直線的に案内される。ガイド孔21cは、本体21の先端近傍から長手方向の中心部まで延びている。
【0031】
ガイドローラ70は、ガイドレール1の内側面と接しつつ略水平方向に従動回転する薄い円板状の部材であり、その直径寸法はガイドレール1の両内側面の間の間隔よりも若干小さめの寸法に選定されている。ガイドローラ70は、その中心部に軸孔71を有しており、その軸孔71に挿通された回転支軸81によって回転自在に支持されている。
【0032】
スライダ40の後半部42には、回転支軸81が挿通されるガイド孔45が設けられている。ガイド孔45は、スライダ40の移動方向に対して水平方向に傾斜して直線状に延びる長孔である。
【0033】
スライダ40の内部には、前後調整ブロック82が収容されている。前後調整ブロック82は、スライダ40に対して、前後方向すなわちスライダ40の移動方向に相対的に移動可能に設けられている。前後調整ブロック82は、スライダ40の内面に接して前後方向に摺動する略直方体形状の摺動部82aと、摺動部82aの後端からさらに後方に延びる弾性変形部82bとを有する。弾性変形部82bの自由端部(後端部)には、回転支軸81が挿通される支軸保持孔82cが設けられている。弾性変形部82bは、軸孔82cが設けられている後端部を除いて薄厚に形成されており、この薄厚の部分82dが水平方向に弾性変形し得る構造になっている。
【0034】
回転支軸81は、ガイドローラ70、スライダ40、及び前後調整ブロック82の孔71、45、及び82cに挿通されている。
スライダ40の先端壁には、螺子通し孔46が貫通させて設けられ、この螺子通し孔46に、前後調整ブロック82を進退操作するための操作螺子(操作子)83が挿通されている。前後調整ブロック82の摺動部82aの前端部には操作螺子83が螺入される螺子穴82eが設けられている。
操作螺子83は、スライダ40の螺子通し孔46に挿通されるとともに前後調整ブロック82の螺子穴82eに螺入されており、この操作螺子83をドライバなどの工具を使用して回転操作することにより、
図12に示すように、スライダ40内における前後調整ブロック82の位置を前後(矢印A方向)に微調整することができるようになっている。
【0035】
この前後調整ブロック82の前後移動に伴って、回転支軸81がスライダ40のガイド孔45に沿って移動する。ガイド孔45がスライダ40の移動方向(矢印A方向)に対して水平方向に傾斜して直線状に延びているため、回転支軸81は、ガイド孔45に沿って移動することにより、スライダ40の移動方向(矢印A方向)に対して水平方向に直交する方向(矢印B方向)、すなわち引き戸2の板厚方向に変位する。この方向(矢印B方向)への回転支軸81の移動は、前後調整ブロック82の弾性変形部82bが弾性変形することにより許容される。ガイドローラ70は回転支軸81と共に移動するため、操作螺子83を回転操作することにより、引き戸2の板厚方向におけるガイドローラ70の位置を微調整することができる。すなわち、この実施形態の例では、回転支軸81、前後調整ブロック82、ガイド孔45、操作螺子83、等によりガイドローラ位置調節機構80が構成されている。
【0036】
スライダ40の後端部には、本体21に沿って延びるカバー47が取り付けられている。カバー47は、スライダ40と共に移動し、スライダ40よりも後端側の所定の範囲にかけて本体21の上端開口部を簡易的に閉塞する薄く細長い板状の部材である。スライダ40の後端上縁近傍には、カバー47を取り付けるための螺子穴48が設けられている。カバー47の一方の端部には、螺子挿通孔47aが設けられている。カバー47は、その螺子挿通孔47aに挿通した螺子49を螺子穴48に締着することにより、スライダ40の後端部に片端支持の状態で取り付けられている。
【0037】
本体21内には、引き戸2の閉まり際に圧縮され反発することにより制動力を発生する直動式のダンパユニット(緩衝機構)55が設けられている。ダンパユニット55は、出力軸55Aと、出力軸55Aを軸方向に進退自在に保持しているユニット本体55Bとを有する。ユニット本体55B内には、出力軸55Aの縮長方向への移動に制動力を作用させるオイルなどの抵抗流体(図示省略)が収容されている。本体21の後端部には、ユニット本体55Bの端部を保持するブラケット状のダンパ保持部24が形成されている。ユニット本体55Bは、その後端がダンパ保持部24に設けられた保持孔24aに挿入され、ダンパ保持部24の後端内面に当接している。
ユニット本体55B内には、ユニット本体55Bの前後動を防止するべくダンパ押さえ56が設けられている。ダンパ押さえ56には、出力軸55Aの移動方向に貫通した軸孔56aが設けられている。ダンパユニット55の出力軸55Aは、この軸孔56aを非接触で貫通し、その先端部がスライダ40の後端部に連結されている。より詳細には、
図5及び
図6に示すように、スライダ40の後半部42の上部後端には、出力軸55Aを連結するための連結溝44bが形成され、ここに出力軸55Aの先端部55aがその括れた部分を係合させて連結されている。
【0038】
ダンパ押さえ56には、出力軸55Aの移動方向と水平方向に直交する止め孔56bが貫通させて形成されている。本体21の両側壁21a、21bには、ガイド孔21cの後端近傍に止め孔21dが設けられている。ダンパ押さえ56は、その止め孔56bを本体21の両側壁21a、21bの止め孔21dと連通させた状態で、止め孔56b、21dに止めピン57が挿着されることにより本体21に固定されている。そして、ダンパ押さえ56とダンパ保持部24の後端内面との間に挟まれた状態でユニット本体55Bが本体内の所定の位置に保持されている。
【0039】
引き込み力調節機構100は、引張りばね50の他端に固定して取り付けられたばね力調整ブロック101と、ばね力調整ブロック101を後端側固定ブロック23に前後方向すなわち引張りばね50の張力方向に位置調節可能に固定する調整ブロック固定機構102と、を有する。ばね力調整ブロック101は、後端側固定ブロック23内に前後移動可能に収容されている。
【0040】
図13に示すように、ばね力調整ブロック101の上面部には、引張りばね50の張力方向に対して水平方向に直交する方向に延びる矩形状の山部102aと谷部102bとを、引張りばね50の張力方向に交互に形成してなる第1係合部102が設けられている。
一方、後端側固定ブロック23の内部上面部には、ばね力調整ブロック101の第1係合部102と噛み合う第2係合部103が設けられている。第2係合部103は、引張りばね50の張力方向に対して水平方向に直交する方向に延びる矩形状の山部103aと谷部103bとを、引張りばね50の張力方向に交互に形成してなる。
【0041】
後端側固定ブロック23の上端部には、前後方向に延びる長孔状の螺子通し孔104が設けられている。螺子通し孔104には、ばね力調整ブロック101を位置調整して固定するための螺子105が挿通されている。螺子通し孔104は、螺子105のヘッド部105aを収容している。螺子通し孔104の下側開口縁部には、螺子105のヘッド部105aの下面が係合する座部104aが形成されている。
ばね力調整ブロック101の中央部には、これを上下方向に貫通させて螺子孔106が設けられている。この螺子孔106に、螺子105の螺子部105bが螺合している。
【0042】
ばね力調整ブロック101は、その第1係合部102を後端側固定ブロック23の第2係合部103に噛合させた状態で、螺子105を螺子孔106に締着することにより、後端側固定ブロック23に固定されている。ばね力の調整は、螺子105を一旦緩めて、ばね力調整ブロック101を前後に移動させ、第1係合部102と第2係合部103との噛合位置を変更した後、再度螺子105を締め付けることによりなされる。
図14(a)は、ばね力が最大になるように調整した状態を、
図14(b)は、ばね力が最小になるように調整した状態を、それぞれ示している。
【0043】
図7に示すように、被捕捉部材11は、引き戸2の移動方向両端部に係合部11a、11bを有し、両係合部11a、11b間がくびれた構造になっている。両係合部11a、11bのうち、キャッチャガイド65のストライカ部60と当接する方の係合部(以下、第2係合部と記す。)11bの幅D2bは、もう一方の係合部(以下、第1係合部と記す。)11aの幅D2aよりも小寸に選定されている。そして、被捕捉部材11は、
図9に示すように、ストライカ部60がキャッチャ30の奥部に移動した状態においても、
図10及び
図11に示すように、第2係合部11bをキャッチャ30の両捕捉片31、32の係合突起部(先端部)31a、32a間に圧入して、両係合突起部31a、32aに係合させることにより、キャッチャ30に連結することができるようになっている。
【0044】
図16に示すように、第2係止部11bの両側面は、両捕捉片31、32の係合突起部(先端部)31a、32a間への圧入を可能にするべく、ストライカ部60側に向かって互いに内向きに傾斜した傾斜面11cになっている。第2係合部11bの括れ部11eとの境界には、両捕捉片31、32からの第2係止部11bの抜けを防止するべく角部11dが形成されている。
【0045】
図10に示すように、被捕捉部材11の第2係合部11bをキャッチャ30の両捕捉片31、32の係合突起部(先端部)31a、32a間に圧入する際、両捕捉片31、32が被捕捉部材11によって押し拡げられるため、本体21の両側壁21a、21bが両捕捉片31、32の係止突起部31d、32dに内側から押されて撓む。その結果、本体21の両側壁21a、21bは、外方に一時的に若干膨らむ。
【0046】
図15に示すように、本体21の両側壁21a、21bと引き戸2の埋設孔2aの両内側面2dとの間には、若干隙間2cが形成されている。この隙間2cの存在により、本体21の両側壁21a、21bの外方への若干の膨みを許容している。
【0047】
図16に示すように、被捕捉部材11は、矩形平板状のスライド部12を有している。スライド部12は、被捕捉部材11の上端から水平方向に張り出している。
被捕捉部材11は、保持体13に保持されている。保持体13の一方の端部には、スライド部12を引き戸2の開閉方向に対して水平方向に直交する方向(矢印B方向)すなわち、引き戸2の板厚方向に若干変位可能に保持している保持部14を有している。保持部14は、スライド部12の両端縁部に嵌合してスライド部12を変位方向に案内する互いに向き合うガイド溝14aを有している。
図18に示すように、保持部14の下面には、保持体13からの被捕捉部材11の外れ防止用の係合突起14bが設けられている。一方、
図17に示すように、スライド部12の上面には、係合溝12aと案内溝12bとが形成されている。係合突起14bは、保持部14の下面から少し突起した円形の突起である。係合溝12aは、係合突起14bと係合して保持体13からの被捕捉部材11の外れを防止するとともに、保持体13に対するスライド部12の変位を許容するべく形成された長溝である。案内溝12bは、係合溝12aの一端からスライド部12の側縁に延びる溝であり、スライド部12の側縁から係合溝12aにかけて漸次浅くなっている。被捕捉部材11は、スライド部12を案内溝12b側から保持部14にスライドさせつつ嵌合させることにより、保持体13に取り付けられる。その際、係合突起14bが案内溝12bに案内されて係合溝12aに嵌ることにより、スライド部12が保持部14から外れなくなる。保持体13には、螺子通し孔13aが設けられている。保持体13は、螺子(図示省略)を螺子通し孔13aに挿通し、ガイドレール1に設けられた螺子孔(図示省略)に締着することによりガイドレール1に固定されている。
【0048】
つぎに、上記のように構成された開閉体閉止装置10の作用・効果について説明する。
引き戸2が開位置にあるとき(
図1(a))、キャッチャ30はロック機構90により待機位置に保持されている。待機位置に保持されている時、キャッチャ30は自然状態にあり、それ自体の弾性に加えて、両捕捉片31、32の先端部に設けられているガイド突起部31c、32cがキャッチャガイド65のガイド孔61aによって外方に案内されていること、及びキャッチャガイド65が両狭持突起部31b、32b間に介在していることにより、待機状態すなわち、両捕捉片31、32の係合突起部(先端部)31a、32a同士の間隔が被捕捉部材11を受け入れ可能な間隔D1aに開いた状態にある。引き戸2を閉める際、キャッチャガイド65のストライカ部60が被捕捉部材11に当接し、キャッチャ30の奥部側に押される。ストライカ部60の移動に連動して、キャッチャガイド65のガイド部61によりキャッチャ30の両捕捉片31、32が互いに内向きに弾性変形させられる。この時、ストライカ部60が両狭持突起部31b、32bから抜けてキャッチャ30の奥部の空間30sに移動する。その結果、キャッチャ30の待機状態が解かれる。その結果、キャッチャ30が捕捉状態すなわち、被捕捉部材11を捕捉した状態になる。このとき、ロック機構90を構成する係止突起部31d、32dと係止孔22bとの互いの係合が解除され、引張りばね50の張力によるスライダ40の引き寄せが開始される。被捕捉部材11を捕捉した状態のキャッチャ30を搭載しているスライダ40が引張りばね50の張力で所定の方向に引き寄せられることにより、引き戸2が強制的に閉じられる。その際、ダンパユニット55が作動し、引き戸2の急激な動きが制動されるため、引き戸2は静かに閉位置に導かれる。
【0049】
キャッチャ30は、待機位置から外れると、その両捕捉片31、32の外側に設けられた係止突起部31d、32dが本体21の両側壁21a、21bの内面に摺接し、両捕捉片31、32の外方への変形が阻止された状態になるため(
図7参照)、これが再び待機位置に戻り、その両係止突起部31d、32dが先端側固定ブロック22の両係止孔22bに係合するまで、捕捉状態が解除されることはない。
【0050】
このように、キャッチャとして、それ自体が弾性変形することによって被捕捉部材11を両側から掴んで捕捉する一対の捕捉片31、32を一体成型してなり、これが自然状態のときに両捕捉片31、32の先端部係合突起部(先端部)31a、32a同士の間隔が被捕捉部材11を受け入れ可能な間隔D1aに開いた待機状態にある樹脂成型品を採用し、キャッチャ30をそれ自体の弾性に加えて、両捕捉片31、32のガイド突起部31c、32cがガイド孔61aによって外方に案内されていること及びキャッチャガイド65が両狭持突起部31b、32b間に介在していることにより待機状態にしておき、引き戸2を閉める際、キャッチャガイド65が被捕捉部材11に押されてキャッチャ30の奥部側に相対的に移動することにより、その動きに連動して、キャッチャ30が捕捉状態に導かれるとともに、キャッチャ30を待機位置に保持しているロック機構90が解除されるように構成したことにより、従来の捕捉引込機構よりも部品点数が少なく且つ構造がより単純な捕捉引込機構により開閉体閉止装置を実現することができる。
【0051】
また、この実施形態では、キャッチャ30の両捕捉片31、32の先端近傍下端部に設けられたガイド突起部31cがキャッチャガイド65のガイド部60に設けられたガイド孔61aに係合しつつ案内されることにより、両捕捉片31、32が互いに内向きに弾性変形する構成を採用したので、両捕捉片31、32の先端部を力点にして、小さい力で両捕捉片31、32を互いに内向きに弾性変形させて被捕捉部材11を捕捉することができる。
【0052】
また、この実施形態では、キャッチャ30が被捕捉部材11を捕捉していないにもかかわらず、何らかの原因で、
図9に示すように、捕捉状態すなわち、キャッチャ30の奥部に移動した状態になっている場合でも、引き戸2を閉方向に移動させて、
図10乃至
図11に示すように、被捕捉部材11の先端の第2係合部11bをキャッチャ30の両捕捉片31、32の先端部間に圧入し係合させることにより、被捕捉部材11の先端部をキャッチャ30に連結することができる。そして、被捕捉部材11の先端の第2係合部11bをキャッチャ30に連結した状態で、引き戸2を開方向に移動させることにより、キャッチャ30を
図5に示すように待機位置に保持された状態に復帰させることができる。
【0053】
また、この実施形態では、ガイドレール1の内側面と接しつつ略水平方向に従動回転するガイドローラ70が、キャッチャ30を搭載したスライダ40と共に移動するように構成されているため、キャッチャ30が被捕捉部材11を捕捉し、引張りばね50がスライダ40の引き寄せを行っている間、引き戸2はガイドレール1に対して移動するが、ガイドローラ70はガイドレール1に対して停止している。したがって、引き戸2を引張りばね50の張力で閉方向に移動させる際、ガイドレール1とガイドローラ70との間に全く摺動抵抗が発生しないため、引き戸2をスムーズに閉位置に誘導することができる。
【0054】
また、この実施形態では、ガイドローラ位置調節機構80の操作螺子83をドライバなどの工具を使用して回転操作することにより、
図12に示すように、スライダ40の移動方向に対して水平方向に直交する方向(矢印B方向)すなわち、引き戸2の板厚方向におけるガイドローラ70の位置を微調整することができる。したがって、ガイドレール1に対して引き戸2がその板厚方向に片寄っている等の原因で、引き戸2を開け閉めする際にガイドローラ70がガイドレール1の内壁に強く接し、ガイドローラ70とガイドレール1との間の摺動抵抗が大きくなる場合でも、ガイドローラ70の位置を微調整することにより、ガイドローラ70とガイドレール1との間の摺動抵抗を小さくして、引き戸2の円滑な開け閉めを可能にするすることができる。また、ガイドローラ70の位置を微調整することにより、キャッチャ30による被捕捉部材11の捕捉が確実になされるようにすることができる。
【0055】
また、この実施形態の開閉体閉止装置10は、引き込み力調節機構100を備えているので、引き戸2の荷重抵抗や摺動抵抗、ダンパユニット55による制動抵抗などの大きさに応じて、引張りばね50の張力を適切に調節できる。
【0056】
また、この実施形態では、被捕捉部材11が、引き戸2の開閉方向に対して水平方向に直交する方向すなわち、引き戸2の板厚方向に変位可能に保持されているので、キャッチャ30と被捕捉部材11とが引き戸2の板厚方向に相対的に片寄っている場合でも、キャッチャ30の先端部の傾斜面34と被捕捉部材11の第2係合部11bの傾斜面11cとが互いに当接することにより、被捕捉部材11が変位して、キャッチャ30と被捕捉部材11との間の相対的な片寄りが解消される。したがって、キャッチャ30による被捕捉部材11の捕捉が常に確実になされる。
【0057】
また、この実施形態では、本体21の両側壁21a、21bと引き戸2の埋設孔2aの両内側面2dとの間に隙間2cが形成されているので、何らかの原因で埋設孔2aの板厚方向の幅が狭くなった場合でもこれを許容し、本体21の両側壁21a、21bが埋設孔2aの両内側面2dに圧迫されて内側へ湾曲変形するのを防止できる。これにより、キャッチャ30やスライダ40の円滑な動作を確保できる。埋設孔2aの板厚方向の幅が狭くなる原因として、引き戸2を構成する板材の吸湿膨張を挙げることができる。
【0058】
なお、上記実施形態では、引き戸2の板厚方向への片寄りを抑制する摺接体として、ガイドレール1の内側面と接しつつ従動回転するガイドローラ70を備えた構成について説明したが、摺接体が回転することは必須ではない。すなわち、ガイドレール1と摺接体との摺動抵抗が問題にならなければ、摺接体が摺接体支軸81に回転不能に支持されている構成を採用することもできる。
また、ガイドレール1の代わりに、例えば、引き戸2を開閉方向に案内するレール溝を有する戸枠部材(固定部材)を使用してもよい。
また、上記実施形態では、被捕捉部材11をガイドレール1に取り付け、捕捉引込装置を引き戸2に取り付けた例を示したが、これとは反対に、被捕捉部材11を引き戸2など開閉体に取り付け、捕捉引込装置をガイドレール1など固定部材に取り付けてもよい。
また、上記実施形態では、キャッチャ30が自然状態のときに、待機状態すなわち、被捕捉部材11を受け入れ可能な状態になっていて、両捕捉片31、32をキャッチャガイド65により強制的に内方に弾性変形させることにより捕捉状態が実現されるように構成した例について説明したが、これとは逆に、キャッチャ30が自然状態のときに捕捉状態になり、両捕捉片31、32をキャッチャガイド65により強制的に外方に弾性変形させることにより待機状態が実現されるように構成してもよい。
また、上記実施形態では、ダンパユニット55を備えている装置構成について説明したが、ダンパユニット55は必須の構成要素ではない。
また、上記実施形態では、両捕捉片31、32に係止突起部(第1係止部)31d、32dが設けられ、先端側固定ブロック22に係止孔(第2係止部)22bが設けられているが、これとは反対に、両捕捉片31、32に係止孔(第2係止部)22bを設け、先端側固定ブロック22に係止突起部(第1係止部)31d、32dを設けてもよい。
また、上記実施形態では、前後調整ブロック82を進退操作するために操作螺子83を使用しているが、螺子以外のその他の操作子を使用することも可能である。
また、本発明の開閉部材閉止装置は、開き戸装置や抽斗装置などその他の開閉装置の開閉部材閉止装置としても有効に利用可能である。