(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記標的システムに動作可能に連結されている同位体抽出システムをさらに備え、該同位体抽出システムは同位体導出材料を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の装置。
前記同位体抽出システムは、第2の流体を含む前記同位体導出材料を搬送する管類を含み、前記核子は、該同位体抽出システムの該管類を貫通し、該第2の流体と反応して放射性同位体を生成する、請求項8に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、高エネルギー陽子源または中性子源として機能し得る、小型デバイスを提供する。一実施形態では、本発明の原理を具現化するデバイスは、
2H−
3He(ジュウテリウム−ヘリウム3)融合反応を利用して、陽子を発生させ、次いで、他の同位体を発生させるために使用され得る。別の実施形態では、デバイスは、基礎反応を
2H−
3H、
2H−
2H、または
3H−
3H反応に変化させることによって、中性子源として機能する。
【0014】
本発明のいずれかの実施形態を詳細に説明する前に、以下の説明に記載される、または以下の図面に例証される構造の詳細および構成要素の配列にその用途が限定されるわけではないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態も可能であって、種々の方法で実践または実行可能である。また、本明細書で使用される表現および用語は、説明の目的のためであって、限定としてみなされるべきものではないことを理解されたい。本明細書における「含む」、「成る」、または「有する」、およびそれらの変形例の使用は、以下に列挙される項目ならびにそれらの同等物同様に、付加的項目を包含することを意味する。指定または限定されない限り、用語「搭載される」、「接続される」、「支持される」、および「連結される」、ならびにそれらの変形例は、広義に使用され、直接および間接的の両方における搭載、接続、支持、ならびに連結を包含する。さらに、「接続される」および「連結される」とは、物理的または機械的接続あるいは連結に制限されない。
【0015】
本発明の少なくとも一実施形態を説明する前に、本発明は、実施例によって例示されるように、以下の説明に記載される詳細にその用途が制限されるものではないことを理解されたい。そのような説明および実施例は、添付の請求項に記載の本発明の範囲を限定するものとして意図されない。本発明は、他の実施形態も可能である、あるいは種々の方法で実践または実行可能である。
【0016】
さらに、本明細書に引用されるいかなる特許または特許文書も含め、いずれの参考文献も、従来技術を構成することを承認するものではない。特に、別段に指定のない限り、本明細書のいかなる文書の参照も、これらの文書のいずれかが、米国または任意の他国における当技術分野における共通の一般的知識の一部を形成することの承認につながるものではないことを理解されるであろう。いずれの参考文献のいかなる議論も、その著者らが主張するものを陳述するものであって、本出願人は、本明細書に引用される文書のいずれかの正確性および適切性に異議を申し立てる権利を留保する。
【0017】
本開示を通して、本発明の種々の側面は、ある範囲形式で提示され得る。範囲形式内の記述は、単に便宜性および簡潔性のためのものであって、本発明の範囲に対する非柔軟的制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。故に、当業者によって理解されるように、あらゆる目的に対して、特に、記述による説明を提供する観点から、本明細書に開示される全範囲は、あらゆる可能な副次的範囲およびそれらの副次的範囲の組み合わせ同様に、その範囲内の全整数および分数値も包含する。単なる一例として、20%乃至40%の範囲は、20%乃至32.5%および32.5%乃至40%、20%乃至27.5%および27.5%乃至40%等の範囲に分割可能である。いずれの列挙される範囲も、少なくとも等しく2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1等に分割される同一範囲を十分に記述および可能にするものとして容易に認識可能である。非限定的実施例として、本明細書で論じられる各範囲は、下3分の1、中3分の1、および上3分の1等に容易に分割可能である。さらにまた、当業者によって理解されるように、「最大」、「少なくとも」、「〜超」、「〜以下」、「〜以上」等の全用語は、引用される数を含み、続いて、上述のように、副次的範囲に分割可能な範囲を指す。同様に、本明細書に開示される全比率は、より広範な比率内の全副次的比率も含む。これらは、具体的に意図されるものの実施例にすぎない。さらに、第1の標示数と第2の標示数と「の間の範囲」および第1の標示数「乃至」第2の標示数「の範囲」は、本明細書では、同義的に使用される。
【0018】
さらに、本明細書における「成る」、「含む」、「有する」、およびそれらの変形例の使用は、以下に列挙される項目およびそれらの同等物同様に、付加的項目を包含する、例えば、最終結果に影響を及ぼさない他のステップおよび成分が追加され得ることを意味する。これらの用語は、「構成される」および「本質的に構成される」という表現を包含する。「本質的に構成される」とは、付加的成分および/またはステップが、請求される組成または方法の基礎および新規特性を実質的に改変させない場合に限り、組成または方法が、付加的成分および/またはステップを含み得ることを意味する。
【0019】
従来の種類の陽子または中性子源に内在する不利点に照らして、本発明は、医療同位体の産生のために利用され得る、新規高エネルギー陽子または中性子源を提供する。本発明によるデバイスは、小量のエネルギーを使用して、融合反応を生成し、次いで、同位体産生のために使用され得るより高いエネルギー陽子または中性子を生成する。小量のエネルギーを使用することによって、デバイスを上述の従来のデバイスより小型にすることが可能となり得る。
【0020】
本発明による装置は、
18F、
11C、
15O、
13N、
63Zn、
124I、およびその他多数を含むが、それらに限定されない、他の同位体を発生させるために使用され得る陽子を好適に発生させる。また、燃料種を変化させることによって、本発明による装置を使用して、
131I、
133Xe、
111In、
125I、
99Mo(
99mTcに崩壊)、およびその他多数を含むが、それらに限定されない、同位体を発生させるために使用され得る高同位体中性子束を発生させ得る。したがって、本発明は、上述の陽子または中性子源に優る多くの利点を有する医療同位体の発生等の使用のために、新規小型高エネルギー陽子または中性子源を提供する。
【0021】
一般に、本発明は、次に、種々の放射性核種(または、放射性同位体)を発生させるために好適に使用される、陽子または中性子を発生させるための装置を提供する。装置は、好適にはRF駆動イオン発生器であり得るプラズマイオン源、加速器(好適には、電極駆動)、および標的システムを含む。また、陽子系放射性同位体の産生の場合、装置は、同位体抽出システムを含み得る。RF駆動プラズマイオン源は、所定の進路に沿って指向されるイオンビームを発生させ、一直線にし、イオン源は、第1の流体の流入のための入口を含む。電極駆動加速器は、イオンビームを受光し、イオンビームを加速させ、加速イオンビームを産出する。標的システムは、加速イオンビームを受光する。標的システムは、加速ビームと反応し、次に、核子、すなわち、陽子または中性子を放出する、核子導出、例えば、陽子導出または中性子導出標的材料を含む。放射性同位体の産生の場合、標的システムは、核子に対して透過性である側壁を有し得る。同位体抽出システムは、標的システムに近接して、またはその中に配置され、核子と反応し、放射性核種(または、放射性同位体)を産出する、同位体導出材料を含む。
【0022】
次に、図面の図を参照する。本発明の原理を具現化する装置は、概して、参照番号10または11として指定され、好適には、2つの構成(磁気構成10および線形構成11)を有する。デバイスの6つの主要区分または構成要素は、磁気デバイスの場合、
図1および
図2、線形構成の場合、
図3に示されるように接続される。本発明の原理を具現化する装置10は、概して、20として指定されるイオン源と、加速器30と、差動ポンプシステム40と、標的チャンバ60または70を含む標的システムと、概して、80として指定されるイオン閉じ込めシステムと、概して、90として指定される同位体抽出システムとを含む。加えて、本発明は、ガス濾過システム50を含み得る。また、本発明による装置は、差動ポンプシステム40の代わりに、またはそれに加えて、同期高速ポンプ100を含み得る。ポンプ100は、標的チャンバの線形構成に有効である。
【0023】
イオン源20(
図4および
図5)は、真空チャンバ25と、高周波(RF)アンテナ24と、イオン入射器第1段階23およびイオン入射器最終段階35(
図6)を有するイオン入射器26とを含む。磁石(図示せず)が含まれ、イオン源が高密度ヘリコンモードで動作し、より高い密度のプラズマ22を生成し、より多くのイオン電流を産出し得る。本磁石の磁場強度は、好適には約50G乃至約6000G、好適には、約100G乃至約5000Gの範囲である。磁石は、軸方向磁場(イオンビームの経路に平行の南北配向)またはカスプ磁場(イオンビームの経路に垂直の南北配向であって、内極は、隣接する磁石に対して、北と南との間を交互する)を生成するように配向され得る。軸方向磁場は、ヘリコンモード(高密度プラズマ)を生成可能でるのに対して、カスプ磁場は、高密度プラズマを発生させ得るが、ヘリコン誘導モードを発生させない。ガス入口21は、真空チャンバ25の一端に位置し、イオン入射器26の第1段階23は、他端にある。ガス入口21は、
1H
2、
2H
2、
3H
2、
3He、および
11Bを含み得るか、または
1H、
2H、
3H、
3He、および
11Bから成り得る、所望の燃料種のうちの1つを提供する。入口21におけるガス流は、好適には、ユーザまたは自動的に制御され得る、質量流コントローラ(図示せず)によって調整される。RFアンテナ24は、好適には、真空チャンバ25の外側の周囲に巻かれる。代替として、RFアンテナ24は、真空チャンバ25内にあり得る。好適には、RFアンテナ24によって放出される高周波放射が、真空チャンバ25の含有物(すなわち、燃料ガス)を励起させ、例えば、プラズマを形成するように、RFアンテナ24は、真空チャンバに近接する。RFアンテナ24は、1つ以上の巻のある管27を含む。RF管またはワイヤ27は、銅、アルミニウム、またはステンレス鋼等の導電性かつ曲げ可能材料から作製され得る。
【0024】
イオン入射器26は、1つ以上の成形段階(23、35)を含む。イオン入射器の各段階は、加速電極32を含み、好適には、金属および合金を含み、イオンビームの効果的一直線化を提供し得る、導電性材料から作製される。例えば、電極は、好適には、低スパッタリング係数を備える導電性金属、例えば、タングステンから作製される。他の好適な材料として、アルミニウム、鋼鉄、ステンレス鋼、黒鉛、モリブデン、タンタル、およびその他を含み得る。RFアンテナ24は、一端において、RFインピーダンス整合回路(図示せず)の出力に、他端において、接地に接続される。RFインピーダンス整合回路は、アンテナを同調させ、発生器によって必要とされるインピーダンスを整合し、RF共鳴を確立し得る。RFアンテナ24は、好適には、0Hz乃至数十kHzから数十MHz乃至GHz以上を含むが、それらに限定されない、広範囲のRF周波数を発生させる。RFアンテナ24は、抵抗の微小変化を伴って、高消費電力に耐え得るように、外部冷水器(図示せず)によって水冷され得る。RFアンテナ24の巻内の整合回路は、RF電力発生器(図示せず)に接続され得る。イオン源20、整合回路、およびRF電力発生器は、最高または若干より高い加速器電位時、浮動(接地から隔離される)し得、本電位は、高電圧電源供給装置への電気接続によって得られ得る。RF電力発生器は、ビーム強度が、ユーザによって、または代替として、コンピュータシステムによって、制御され得るように、遠隔調節可能であり得る。真空チャンバ25に接続されるRFアンテナ24は、好適には、燃料を陽イオン化し、イオンビームを生成する。イオンを生成するための代替手段は、当業者に周知であって、マイクロ波放電、電子衝突イオン化、およびレーザイオン化を含み得る。
【0025】
加速器30(
図6および
図7)は、好適には、一端において、イオン源嵌合フランジ31を介して、イオン源20に接続され、他端において、差動ポンプ嵌合フランジ33を介して、差動ポンプシステム40に接続される、真空チャンバ36を含む。加速器の第1段階は、イオン入射器26の最終段階35でもある。少なくとも1つ、好適には、3乃至50、より好適には、3乃至20の円形加速電極32は、加速器真空チャンバ36の軸に沿って離間され、加速器真空チャンバ36を貫通する一方、真空境界を維持可能にし得る。加速電極32は、その中心を通る孔(加速器チャンバのボアより小さい)を有し、好適には、それぞれ、イオンビームの通過のために、加速器真空チャンバの縦軸(イオン源端から差動ポンプ端)上に芯合せされる。加速電極32内の孔の最小直径は、イオンビームまたは多重イオンビームの強度に伴って増大し、直径約1mm乃至約20cm、好適には、直径約1mm乃至約6cmの範囲である。真空チャンバ36の外側において、加速電極32は、電場を減少させ、コロナ放電を最小限にする、反コロナリング34に接続され得る。これらのリングは、SF
6等の誘電油または絶縁誘電ガス中に浸漬され得る。好適には、差動ポンプ区分40への接続を促進する、差動ポンプ嵌合フランジ33は、加速器の出口にある。
【0026】
加速器30の各加速電極32は、当業者に周知のように、高電圧電源供給装置(図示せず)または抵抗分圧器網(図示せず)からバイアスをかけて供給可能である。ほとんどの場合、分圧器は、その簡素性から、最も好適な構成であり得る。抵抗分圧器網を備える構成では、加速器のイオン源端は、高電圧電源供給装置に接続され得、第2から最終までの加速器電極32は、接地に接続され得る。加速器電極32の中間電圧は、抵抗分圧器によって設定され得る。加速器の最終段階は、好適には、最終加速電極を介して、負にバイアスがかけられ、標的チャンバから電子が加速器30に逆流するのを防止する。
【0027】
代替実施形態では、上述のような加速器30の代わりに、リニアック(例えば、RF四重極)が使用され得る。リニアックは、上述の加速器30と比較して、効率性が低く、サイズが大きい場合がある。リニアックは、第1端において、イオン源20に接続され、他端において、差動ポンプシステム40に接続され得る。リニアックは、直流および高電圧の代わりに、RFを使用して、高粒子エネルギーを得てもよく、当技術分野において周知のように構築され得る。
【0028】
差動ポンプシステム40(
図8および
図9)は、好適には、差動ポンプシステム40を少なくとも1つの段階に分離する、減圧障壁42を含む。減圧障壁42はそれぞれ、好適には、中心に小孔(好適には、直径約1mm乃至約20cm、より好適には、約1mm乃至約6cm)を備える、薄い固体プレートまたは1つ以上の細長い管(典型的には、直径1cm)を含む。各段階は、真空チャンバ44と、関連する減圧障壁42と、真空ポンプ17とから成り、それぞれ、真空ポンプ排気41を備える。各真空チャンバ44は、3、4、5、または6ポートの真空チャンバ44であるかどうかに応じて、1つ以上、好適には、1乃至4の真空ポンプ17を有し得る。真空チャンバ44のポートのうちの2つは、好適には、ビームライン上に配向され、イオンビームの入射および差動ポンプシステム40からの出射のために使用される。また、各真空チャンバ44のポートは、減圧障壁42と同一位置にあり得る。各真空チャンバ44の残りのポートは、好適には、コンフラットフランジによって、真空ポンプ17に接続されるか、または種々の器具または制御デバイスに接続され得る。真空ポンプ17からの排気は、真空ポンプ排気41を介して、必要に応じて、付加的真空ポンプまたはコンプレッサ(図示せず)に送出され、ガス濾過システム50内に送出される。代替として、必要に応じて、本付加的真空ポンプは、ガス濾過システム50と標的チャンバ60または70との間に位置し得る。付加的圧縮段階が存在する場合、真空ポンプ17と濾過システム50との間であり得る。差動ポンプ区分は、一端において、加速器嵌合フランジ45を介して、加速器30に、他端のビーム出射ポート46において、標的チャンバ嵌合フランジ43を介して、標的チャンバ(60または70)に接続される。また、差動ポンプシステム40は、乱流発生装置(図示せず)を含め、層流を妨害し得る。乱流発生装置は、流体の流量を制限し得、表面隆起、または他の特徴、あるいはそれらの組み合わせを含め、層流を妨害し得る。乱流は、典型的には、層流よりも遅く、したがって、標的チャンバから差動ポンプ区分内への流体の漏入速度を低減させ得る。
【0029】
ガス濾過システム50は、好適には、その真空ポンプ隔離弁51において、差動ポンプシステム40の真空ポンプ排気41または付加的コンプレッサ(図示せず)に接続される。ガス濾過システム50(
図10)は、その上を真空ポンプ排気41が流動する、1つ以上の圧力チャンバ、すなわち、「トラップ」(13、15)を含む。トラップは、好適には、例えば、大気からシステム内へと漏入したであろう、標的チャンバまたはイオン源から漏出し得る流体不純物を捕捉する。トラップは、液体窒素によって、極低温度まで冷却され得る(LNトラップ15)。したがって、冷液トラップ13、15は、好適には、大気汚染物質等のガスを液化し、トラップ13、15内に留保させる。直列に接続された1つ以上のLNトラップ15上を流動後、ガスは、好適には、標的チャンバまたはイオン源から漏出し、そうでなければ、標的チャンバを汚染し得るジュウテリウム等の汚染水素ガスを吸収する、チタンゲッタトラップ13へと経由される。ゲッタトラップ13の出口は、好適には、ガス濾過システム50の標的チャンバ隔離弁52を介して、標的チャンバ60または70に接続される。ガス濾過システム50は、システムに一定に流入させ、真空ポンプ排気41から、別の真空ポンプ排気(図示せず)およびシステムの外側へと排気させることを所望する場合、デバイス10から完全に除去され得る。ガス濾過システム50がなくても、装置10の動作は、実質的に改変されないであろう。中性子源として機能する装置10は、ガス濾過システム50のゲッタトラップ13を含まなくてもよい。
【0030】
真空ポンプ隔離弁51および標的チャンバ隔離弁52は、トラップがガスによって飽和状態になると、ガス濾過システム50をデバイスの残りから隔離し、排出弁53を介して、外部ポンプ(図示せず)へと接続するように促進し得る。したがって、真空ポンプ隔離弁51および標的チャンバ隔離弁52が閉鎖される場合、排出弁53が開放され、不純物を排出可能となる。
【0031】
標的チャンバ60(磁気システム10の場合、
図11および
図12)または標的チャンバ70(線形システム11の場合、
図13および
図14)は、圧力約0乃至約100トル、約100mトル乃至約30トル、好適には、約0.1乃至約10トル、好適には、約100mトル乃至約30トルまで、標的ガスで充填され得る。標的チャンバ60または70の特定の幾何学形状は、その主要用途に応じて異なってもよく、多くの変形例を含み得る。標的チャンバは、線形システム14の場合、好適には、長さ約10cm乃至約5m、直径約5mm乃至約100cmの円筒形であり得る。好適には、標的チャンバ70は、線形システム14の場合、長さ約0.1m乃至約2m、直径約30乃至50cmであり得る。
【0032】
磁気システム12の場合、標的チャンバ60は、高さ約10cm乃至約1m、直径約10cm乃至約10mの厚手のパンケーキに類似し得る。好適には、磁気システム12の場合、標的チャンバ60は、高さ約20cm乃至約50cm、直径約50cmであり得る。磁気標的チャンバ60の場合、一対の永久磁石または電磁石(イオン閉じ込め磁石12)は、パンケーキの面上、真空壁の外側、または標的チャンバの外側直径の周囲に位置し得る(
図11および
図12参照)。磁石は、好適には、銅およびアルミニウム、または電磁石の場合、超電導体、すなわち、NdFeBを含むが、それらに限定されない、材料から作製される。磁極は、標的チャンバのかさ容積内に軸方向磁場を生成するように配向され得る。磁場は、好適には、1010鋼鉄、ミュー金属、または他の材料等、高透過性磁気材料から成る磁気回路によって制御される。磁気標的チャンバのサイズおよび磁気ビームエネルギーは、式(1)に従って、磁場強度を決定する。
【0033】
【数1】
重陽子の場合、rの単位は、メートルであって、Eは、ビームエネルギー(eV)であって、Bは、磁気磁場強度(ガウス)である。磁石は、パンケーキの平坦面と平行に配向され、磁場が加速器30からのビームの方向と垂直に存在するように極性化され得、すなわち、磁石は、チャンバの上面および底面に搭載され、イオンを再循環させ得る。磁気標的チャンバ60を採用する別の実施形態では、好適には、標的チャンバの上面および底面上に付加的磁石が存在し、標的チャンバの両端により強い磁場の局在化領域を生成する磁気標的チャンバ(上面および底面)のいずれの端部にもミラー磁場を生成し、イオンビームを標的チャンバ端から反射させるミラー効果を生成する。ミラー磁場を生成するこれらの付加的磁石は、永久磁石または電磁石であり得る。標的チャンバの一端は、差動ポンプ嵌合フランジ33を介して、差動ポンプシステム40に動作可能に接続され、ガス再循環ポート62は、ガス濾過システム50から標的チャンバにガスを再流入させる。また、標的チャンバは、フィードスルーポート(図示せず)を含み、種々の同位体発生装置を接続させ得る。
【0034】
標的チャンバ60の磁気構成では、磁場が、標的チャンバ内にイオンを閉じ込める。標的チャンバ70の線形構成では、入射されるイオンは、標的ガスによって閉じ込められる。陽子または中性子源として使用される場合、標的チャンバは、デバイスの操作者を放射から保護する遮蔽を必要とし、遮蔽は、好適には、少なくとも1フィート厚のコンクリート壁によって提供され得る。代替として、デバイスは、ユーザから離れた地下または遮蔽施設内に格納される、あるいは水または他の流体が、遮蔽として使用される、もしくはそれらの組み合わせであり得る。
【0035】
差動ポンプシステム40およびガス濾過システム50は両方とも、標的チャンバ60または70内に送出し得る。差動ポンプシステム40は、好適には、イオンビームを提供する一方、ガス濾過システム50は、濾過されたガス流を供給し、標的チャンバを充填する。加えて、同位体発生の場合、真空フィードスルー(図示せず)が、標的チャンバ60または70に搭載され、同位体抽出システム90を外側に接続させ得る。
【0036】
同位体発生システム63を含む同位体抽出システム90は親化合物または材料を提供し、標的チャンバ内またはそれに近接して発生される同位体を除去するための任意の数の構成であり得る。例えば、同位体発生システム63は、円筒形標的チャンバの内側にちょうど嵌着するように堅く巻かれた巻線であって、壁65を有する、放射化管64を含み得る。代替として、イオン閉じ込めシステム80を備えるパンケーキ標的チャンバの場合、パンケーキの外周に沿ってデバイスを被覆する巻線と、2つの螺旋(パンケーキの上面および底面に1つずつ)とを含み得る(すべて直列に接続される)。これらの構成において使用される放射化管64の壁65は、破裂に耐えるために十分な強度であるが、14MeV(約10乃至20MeV)を超える陽子が通過し得る一方、依然として、そのエネルギーの大部分を維持するように、十分に薄い。材料に応じて、管類の壁は、厚さ約0.01mm乃至約1mm、好適には、厚さ約0.1mmであり得る。管類の壁は、好適には、中性子を発生させない材料から作製される。薄壁管類は、アルミニウム、炭素、銅、チタン、またはステンレス鋼等の材料から作製され得る。フィードスルー(図示せず)は、放射化管64をシステムの外側に接続し得、娘または産生化合物が豊富な流体は、冷却のための熱交換器(図示せず)と、娘または産生同位体化合物は、親化合物、娘化合物、および不純物の混合物から分離される化学分離器(図示せず)とへ流入し得る。
【0037】
別の実施形態では、
図15に示されるように、高速ポンプ100が、加速器30と標的チャンバ60または70との間に位置付けられる。高速ポンプ100は、差動ポンプシステム40および/またはガス濾過システム50と置換され得る。高速ポンプは、好適には、1つ以上のブレードまたはロータ102と、コントローラ108に動作可能に接続されるタイミング信号104とを含む。高速ポンプは、空隙106がイオンビームと一直線になると、イオンビームまたは複数のビームが、ブレード102間または内の少なくとも1つの空隙106を通過可能となるように、加速器区分からのイオンビーム流と同期され得る。タイミング信号104は、ポンプシャフトに沿って、またはブレードのうちの少なくとも1つ上に、1つ以上のマーカを有することによって生成され得る。マーカは、光学、または磁気、あるいは当技術分野において周知の他の好適なマーカであり得る。タイミング信号104は、ブレード102または空隙106の位置と、イオンビームと一直線の空隙が存在し、加速器30の第1段階35から、高速ポンプ100を通って、標的チャンバ60または70へのイオンビームの通過が可能であるかどうかを標示し得る。タイミング信号104は、イオンビーム抽出電圧のゲートパルススイッチとして使用され、イオンビームをイオン源20および加速器30から出射し、高速ポンプ100に入射させ得る。イオン源20から、加速器30、高速ポンプ100、標的チャンバ60または70へとシステムを流動する際、ビームは、イオンビームと空隙106とが一直線になっている間、オンのままであって、次いで、イオンビームと空隙106とが一直線ではなくなる前に、およびその間、オフにし得る。タイミング信号104とイオンビームとの連携は、コントローラ108によって連携され得る。コントローラ108(
図18)の一実施形態では、コントローラ108は、パルス処理ユニット110と、高電圧隔離ユニット112と、抑圧電圧(イオンビームオフ(差分は、5−10kVであり得る))と抽出電圧(イオンビームオン(差分は、20kvであり得る))との間で加速器30の電圧を制御するための高速スイッチ114とから成り得る。タイミング信号104は、好適には、遅延、または他の論理、あるいは当技術分野において周知の好適な手段を通過する論理パルスを生成する。パルス処理ユニット110は、遅延に適応するために高速ポンプのタービンを改変し得、高速スイッチ114は、MOSFETスイッチまたは当技術分野において周知の他の好適なスイッチ技術であり得る。高電圧隔離ユニット112は、光ファイバ接続または当技術分野において周知の他の好適な接続であり得る。例えば、タイミング信号104は、ブレード102の回転毎に1回のみ、空隙106の有無を標示し得、単一パルスは、コントローラ108を介して、一式の電子機器に信号を送り、n個の空隙が1回のブレード回転中に存在する場合、ブレードの旋回毎に一式のn個のパルスを発生させ得る。代替として、タイミング信号104は、m個の空隙が1回のブレード回転中に存在する場合、ブレード回転の間、m個の空隙のそれぞれの空隙106の有無を標示し得、m個のパルスはそれぞれ、コントローラ108を介して、一式の電子機器に信号を送り、ブレード旋回毎にパルスを発生させ得る。論理パルスは、論理パルスが、加速器区分35の第1段階をトリガし、抑圧状態から抽出状態(その逆も然り)へと変化させるように、コントローラ108を介して、加速器区分35の第1段階(イオン抽出器)へと伝達または連携され得る。加速器が、+300kVの場合、例えば、加速器35の第1段階は、高速ポンプ100内に空隙106が存在しない場合、陽イオンビームが、+295kV乃至+300kVで流動しないように、+295kVにバイアスがかけられ得、加速器35の第1段階は、高速ポンプ100内に空隙106が存在する場合、イオンビームが、加速器30から、高速ポンプ100内の空隙106を通って、標的チャンバ60または70へと進行するように、+310kVにバイアスがかけられ得る。抑圧と抽出状態との間の電圧の差分は、約1kV乃至約50kV、好適には、約10kV乃至約20kV等の比較的微小の変化であり得る。電圧の微小変化は、抑圧(
図17)と抽出(
図16)状態との間の高速変化を促進し得る。タイミング信号104およびコントローラ108は、半導体および光ファイバを含むが、それらに限定されない、当技術分野において周知の任意の好適な手段によって動作し得る。イオンビームがオンおよびオフである期間は、ブレード102の回転速度、ブレードまたは空隙106の数、およびブレードまたは空隙の寸法等の要因に依存し得る。
【0038】
例えば、PETスキャンにおいて利用される同位体
18Fおよび
13Nは、デバイス内側の核反応から発生され得る。これらの同位体は、陽子衝撃によって、その親同位体、
18O(
18Fの場合)および
16O(
13Nの場合)から生成可能である。親の源は、外部ポンプシステム(図示せず)を介して、同位体発生システムを通って流動し、標的チャンバ内の高エネルギー陽子と反応し、所望の娘化合物を生成し得る、水(H
218OまたはH
216O)等の流体であり得る。
18Fまたは
13Nの産生の場合、水(それぞれ、H
218OまたはH
216O)は、同位体発生システム63を通って流動し、上述の融合反応から生成される高エネルギー陽子が、管64の壁を貫通し、親化合物に衝突し、(p,α)反応を生じさせ、
18Fまたは
13Nを産生し得る。その後、閉システムでは、例えば、同位体が豊富な水は、流体を冷却するための熱交換器(図示せず)を通って、次いで、イオン交換樹脂等の化学フィルタ(図示せず)内へと循環し、同位体を流体から分離し得る。次いで、水混合物は、標的チャンバ(60または70)内へと再循環され得る一方、同位体は、撮像または他の手技のために十分に産生されるまで、フィルタ内、注射器内、または当技術分野において周知の他の好適な手段によって、格納される。
【0039】
管状の螺旋が記載されたが、同一または他の放射性核種を産生するために使用可能な多くの他の幾何学形状が存在する。例えば、同位体発生システム63は、好適には、平行ループまたはリブを備える平坦パネルであり得る。別の実施形態では、ウォーター・ジャケットが、真空チャンバ壁に取り付けられ得る。
18Fまたは
13N生成の場合、螺旋は、薄窓を含む、任意の数の薄壁幾何学形状と置換され得るか、または高酸素濃度を含有する固体物質と置換可能であって、変換後、除去および処理されるであろう。他の同位体は、他の手段によって発生可能である。
【0040】
動作前、標的チャンバ60または70は、好適には、最初に、電源をオフの状態で、イオン源20を通して、
3He等の標的ガスを事前に流動させ、装置10を通して、ガスを標的チャンバ内へと流動させることによって充填される。動作の際、
2H
2等の反応ガスは、イオン源20に流入し、プラズマ22を形成するRF場によって、陽イオン化される。真空チャンバ25内側のプラズマ22が、イオン入射器26に向かって広がるのに伴って、プラズマ22は、加速器30内のより多くの負の電位によって影響を受け始める。これは、正電荷を持つイオンを標的チャンバ60または70に向かって加速させる。イオン源20内の段階(23および35)の加速電極32は、イオンビームまたは複数のビームを一直線にし、加速器30の第1段階にわたって、それぞれ略均一イオンビーム形状をもたらす。代替として、加速器30の第1段階は、上述のように、イオンビームのパルス化またはオン/オフの切替を可能にし得る。ビームが、継続して加速器30を進行するのに伴って、各段階において、付加的エネルギーを得て、加速器30の最終段階に到達する時までには、最大5MeV、最大1MeV、好適には、最大500keV、好適には、50keV乃至5MeV、好適には、50keV乃至500keV、および好適には、0乃至10Amps、好適には、10乃至100mAmpsのエネルギーに到達する。本電位は、所望の電圧を産生可能な外部電源(図示せず)によって供給される。また、イオン源20からのある中性ガスは、加速器30内へと漏入し得るが、加速器30内の圧力は、過剰圧力およびシステム故障を防止するために、差動ポンプシステム40または同期高速ポンプ100によって、最小限に維持されるであろう。ビームは、差動ポンプ40内へと高速で存続し、最小限の相互作用を伴う比較的低圧力の短路程段階を通過する。ここから、標的チャンバ60または70内へと存続し、好適には、0乃至100トル、好適には、100mトル乃至30トル、好適には、5乃至20トルの高密度標的ガスに衝突し、減速し、核反応を生成する。放出される核子は、約0.3MeV乃至約30MeV陽子、好適には、約10MeV乃至約20MeV陽子、または約0.1MeV乃至約30MeV中性子、好適には、約2MeV乃至約20MeV中性子であり得る。
【0041】
線形標的チャンバ70の実施形態では、イオンビームは、略直線で存続し、停止するまで、高密度標的ガスに衝突し、核反応を生成する。
【0042】
磁気標的チャンバ60の実施形態では、イオンビームは、略螺旋経路に屈曲し、軌道の半径は(ジュウテリウムイオンの場合、
2H)、式(2)によって求められる。
【0043】
【数2】
式中、rは、軌道半径(cm)であって、T
1は、イオンエネルギー(eV)であって、Bは、磁気磁場強度(ガウス)である。500keVジュウテリウムビームおよび磁気磁場強度5kGの場合、軌道半径は、約20.4cmであって、好適には、25cm半径チャンバ内側に適合する。イオン中和が生じ得るが、再イオン化が生じる速度はずっと速く、粒子は、イオンとして、その時間の大部分を費やすであろう。
【0044】
本磁場内に捕捉されると、イオンは、イオンビームが停止するまで、軌道に乗り、短チャンバ内において、超長路程を達成する。線形標的チャンバ70と比較して増加した本路程によって、磁気標的チャンバ60は、より低い圧力でも動作可能である。したがって、磁気標的チャンバ60は、より好適な構成となり得る。磁気標的チャンバは、ビームが、同一空間内で何度も再循環し得るため、線形標的チャンバよりも小さいが、依然として、長路程を維持可能である。融合産物は、より小さいチャンバ内に凝縮された状態となり得る。説明されるように、より長い路程が、線形チャンバの短路程およびより高い圧力ガスと同一の衝突総数をより低い圧力ガスでもたらし得るため、磁気標的チャンバは、線形チャンバよりも低い圧力で動作し、ポンプシステムにかかる負荷を軽減し得る。
【0045】
加速器30と標的チャンバ60または70との間の圧力勾配によって、ガスは、標的チャンバから、差動ポンプシステム40内へと流入し得る。真空ポンプ17は、本ガスを急速に除去し、約10乃至100倍以上の圧力低下を達成し得る。次いで、本「漏入」ガスは、ガス濾過システム50を介して、濾過および再利用され、標的チャンバ内へと逆排出され、より効率的動作を提供する。代替として、高速ポンプ100は、標的チャンバ内へと逆流する方向となるように配向され、ガスが標的チャンバから流出するのを防止し得る。
【0046】
所望の産物が、医療同位体である場合、本明細書に記載される同位体抽出システム90は、標的チャンバ60または70内へ挿入される。本デバイスは、高エネルギー陽子を所望の同位体の親核種と相互作用させる。
18F産生または
13N産生の場合、本標的は、水系(
13Nの場合、
16O、および
18Fの場合、
18O)であり得、薄壁管類を通って流動するであろう。壁厚は、融合反応から発生される14.7MeV陽子が、実質的エネルギーを損失することなく通過し、親同位体を所望の娘同位体へと変化させるほど十分に薄い。次いで、
13Nまたは
18Fが豊富な水は、外部システムを介して、濾過および冷却される。また、
124I(
124Teまたはその他から)、
11C(
14N、または
11B、あるいはその他から)、
15O(
15Nまたはその他から)、および
63Zn等の他の同位体が、発生され得る。
【0047】
所望の産物が、ある他の目的のための陽子である場合、標的チャンバ60または70は、他の装置に接続され、高エネルギー陽子をこれらの用途に提供し得る。例えば、本発明による装置は、陽子療法のためのイオン源として使用され得、陽子のビームは、加速され、癌細胞を照射するために使用される。
【0048】
所望の産物が、中性子である場合、中性子は、ほとんど減衰を伴わずに、真空システムの壁を貫通し得るため、同位体抽出システム90等のハードウェアは必要とされない。中性子産生の場合、入射器内の燃料はトリチウムまたはジュウテリウムのいずれかに、標的材料はジュウテリウムまたはトリチウムのいずれかにそれぞれ変えられる。最大約10
15中性子/秒以上の中性子収率が、発生され得る。加えて、ゲッタトラップ13は、除去され得る。親同位体化合物は、標的チャンバ60または70の周囲に搭載され得、放出された中性子は、親同位体化合物を所望の娘同位体化合物に変換し得る。代替として、同位体抽出システムは、依然として、または加えて、標的チャンバ内またはその近位において使用され得る。中性子を減速させる減速材(図示せず)は、中性子の相互作用の効率性を増大させるために使用され得る。中性子工学の観点における減速材とは、中性子を減速させる任意の材料または複数の材料であり得る。好適な減速材は、熱中性子を吸収する可能性のない低原子質量を備える材料から作製され得る。例えば、
98Mo親化合物から
99Moを発生させるために、水減速材が使用され得る。
99Moは、
99mTcに崩壊し、医療撮像手技のために使用され得る。また、
131I、
133Xe、
111In、および
125I等の他の同位体が、発生され得る。中性子源として使用される場合、本発明は、放射から操作者を保護するために、少なくとも1フィート厚のコンクリートまたは水のような流体等の遮蔽を含み得る。代替として、中性子源は、放射から操作者を保護するために、地下に格納され得る。中性子モードにおける本発明の使用および動作の態様は、上述の説明において実践されるものと同一である。
【0049】
本発明によると、厚い標的ガスに衝突するビームの融合速度は、計算可能である。厚い標的ガスに衝突するイオンビームの増分融合速度は、式(3)によって求められる。
【0050】
【数3】
式中、df(E)は、エネルギー差間隔dEにおける融合速度(反応/秒)であって、n
bは、標的ガス密度(粒子/m
3)であって、I
ionは、イオン電流(A)であって、eは、1.6022*10
−19クーロン/粒子の基礎電荷であって、σ(E)は、エネルギー依存性断面(m
2)であって、dlは、粒子エネルギーがEである増分路程である。標的内に入ると、粒子は減速するため、粒子は、無限小路程にわたって、当然ながらエネルギーEである。
【0051】
ガス中で停止するビームから総融合速度を計算するために、式(2)は、式(4)に示されるように、そのエネルギーがその最大のE
iにおける点から停止する点までの全粒子路程にわたって積分される。
【0052】
【数4】
式中、F(E
i)は、ガス標的中で停止する初期エネルギーE
iのビームの総融合速度である。本式を解くために、増分路程dlは、エネルギーの観点から解かれる。本関係は、実験的に測定された関数である、ガスの阻止能によって決定され、種々の種類の関数によってフィッティング可能である。これらのフィットおよび融合断面積のフィットは、幾分複雑となる傾向にあるため、これらの積分は、数値的に解かれた。10トルおよび25℃時の
3Heガス中のジュウテリウムの阻止データは、コンピュータプログラム「Stopping and Range of Ions in Matter(SRIM; James Ziegler、www.srim.org)」から求め、
図19に示される。
【0053】
式は、中間値を予測するために使用された。10次多項式が、
図19に示されるデータにフィッッティングされた。係数は、表1に示され、最良近似10次多項式によって得られたフィットは、
図20に示される。
【0054】
【表1】
これらのデータから分かるように、フィットは、検討されるエネルギー範囲にわたって、非常に正確であった。本関係は、上述の一覧の多項式によって、増分路程dlを増分エネルギー区間と関連付けた。これを数値的に解くために、一定長のステップまたは一定のエネルギーステップのいずれかを選択し、粒子が損失したエネルギー量またはそのステップにおける出射距離のいずれかを計算することが好適である。式(4)における融合速度は、dlの観点からであるため、一定長のステップが、使用される方法となった。標的中の進行に伴う粒子エネルギーEの再帰的関係は、式(5)に与えられる。
【0055】
【数5】
式中、nは、現在のステップ(n=0は、初期ステップであって、E
0は、初期粒子エネルギーである)であって、E
n+1は、次の増分ステップにおけるエネルギーであって、S(E)は、粒子エネルギーを阻止能に関連付ける上述の多項式であって、dlは、増分ステップのサイズである。上述の増分エネルギーの形態の場合、Eの単位は、keVであって、dlの単位は、μmである。
【0056】
本式は、プラズマ中の移動に伴う粒子エネルギーを決定する方法をもたらし、これは、各エネルギーにおける融合断面積の評価を促進するため重要であって、任意の増分ステップにおける融合速度の計算を可能にする。各ステップの数値的ケースにおける融合速度は、式(6)によって求められる。
【0057】
【数6】
総融合速度を計算するために、式(7)に示されるように、本式は、E=0(または、n*dl=粒子の範囲)となるまで、E
nの全値にわたって総和された。
【0058】
【数7】
本融合速度は、「厚標的収率(thick−target yield)」として知られる。これを解法するために、初期エネルギーが決定され、小ステップサイズdlが選択された。全エネルギー時の区間dlにおける融合速度が、計算された。次いで、次のステップのエネルギーが計算され、プロセスが繰り返された。これは、ガス中で停止するまで継続する。
【0059】
一価にイオン化されたジュウテリウムビームが、室温、500keVのエネルギー、および100mAの強度で、10トルのヘリウム3背景ガスに衝突する場合、融合速度は、約2x10
13融合/秒であると計算され、同一数の高エネルギー陽子(3μA陽子と同等)を発生させる。本レベルは、当業者によって周知のように、医療同位体の産生のために十分である。10トルにおいて、ヘリウム3標的に衝突する100mA入射ジュウテリウムビームの融合速度を示すプロットは、
図21に示される。
【0060】
本発明による装置は、種々の異なる用途において使用され得る。本発明によると、陽子源を使用して、核廃棄物および核分裂性材料を含む材料を変化させ得る。また、本発明を使用して、材料に陽子を埋入し、物理的特性を向上させ得る。例えば、本発明は、宝石用原石の着色のために使用され得る。また、本発明は、中性子ラジオグラフィのために使用され得る、中性子源を提供する。中性子源として、本発明を使用して、核兵器を検出し得る。例えば、中性子源として、装置を使用して、Pu、
233U、および
233Uまたは
235Uを多く含む材料等、核爆発を生成可能な材料である、特殊核材料を検出し得る。中性子源として、本発明による装置を使用して、中性子パルスを生成し、材料からの中性子の反射および/または屈折を測定することによって、トンネル、油井、および地下同位体特徴を含むが、それらに限定されない、地下特徴を検出し得る。本発明は、材料の元素組成を決定し得る、中性子放射化分析(NAA)における中性子源として使用され得る。例えば、NAAを使用して、ピコグラム範囲内の微量要素を検出し得る。また、中性子源として、本発明を使用して、材料の原子組成を決定することによって、不法目的材料、爆発物、薬物、および生物剤を含むが、それらに限定されない、材料を検出し得る。また、本発明は、未臨界炉のための駆動体として使用され得る。
【0061】
次いで、上述の説明に関して、サイズ、材料、形状、形態、機能、ならびに動作、アセンブリ、および使用の態様における変形例を含めるための本発明の部品の最適寸法関係は、当業者には容易に明白かつ自明であるとみなされ、図面に例証され、明細書に記載されるものに対するあらゆる同等関係は、本発明によって網羅されることが意図されることを認識されたい。
【0062】
本発明は、以下の実施例によって、さらに例証されるが、本発明の範囲を限定するように解釈されるものではない。
【実施例】
【0063】
(実施例1.磁気標的チャンバを備える中性子源)
最初、システムは、清潔かつ空であって、10
−9トル以下の真空を含んでおり、高速ポンプは、所望の性能である(2段階であって、各段階は、ターボ分子ポンプである)。約25−30立方センチメートルのガス(中性子を産生するためのジュウテリウム)が、標的チャンバ内へと流入され、標的ガスを生成する。標的ガスが確立されると、すなわち、指定量のガスがシステム内へと流入され、標的チャンバ内の圧力が、約0.5トルに到達すると、弁が開放され、標的チャンバからイオン源内へと0.5乃至1seem(立方センチメートル毎分)のジュウテリウムを流動させる。本ガスは、システム中を急速に再循環し、略以下の圧力を産生するであろう。イオン源内では、圧力は、数mトルとなるであろう。加速器内では、圧力は、約20μトルとなるであろう。加速器直近のポンプ段階にわたって、圧力は、20μトル未満となるであろう。標的チャンバ直近のポンプ段階にわって、圧力は、約50mトルとなるであろう。標的チャンバ内では、圧力は、約0.5トルとなるであろう。これらの条件が確立されると、イオン源(ジュウテリウムを使用)は、RF電源供給装置(RF整合回路によって、RFアンテナに連結される)を約10−30mHzにすることによって、励起されるであろう。電力レベルは、0乃至約500Wに上昇し、密度約10
11粒子/cm
3の濃密ジュウテリウムプラズマを生成するであろう。イオン抽出電圧が上昇し、所望のイオン電流(約10mA)および集束を提供するであろう。次いで、加速器電圧は、300kVまで上昇し、流量制限を通って、標的チャンバ内へとイオンビームを加速させるであろう。標的チャンバは、約5000ガウス(すなわち、0.5テスラ)の磁場で充填され、イオンビームを再循環させる。イオンビームは、無視できるほどの低エネルギーまで降下するまで、約10回旋回するであろう。
【0064】
再循環の間、イオンビームは、標的ガスと核反応を生成し、ジュウテリウムに対して、4x10
10、最大9x10
10中性子/秒を産生するであろう。これらの中性子は、真空容器を貫通し、適切な核器具類によって検出されるであろう。
【0065】
反応チャンバから差動ポンプ区分内へと漏入する中性ガスは、高速ポンプ、冷却トラップを通過、反応チャンバ内へと戻るであろう。冷却トラップは、微小漏入によって、やがてシステムを汚染し得るより重いガスを除去するであろう。
【0066】
(実施例2.線形標的チャンバを備える中性子源)
最初、システムは、清潔かつ空であって、10
−9トル以下の真空を含んでおり高速ポンプは、所望の性能である(3段階であって、加速器の直近の2つは、ターボ分子ポンプであって、3つ目は、ルーツ送風機等の異なるポンプである)。約1000立方センチメートルのジュウテリウムガスが、標的チャンバ内へと流入され、標的ガスを生成する。標的ガスが確立されると、弁が開放され、標的チャンバからイオン源内へと0.5乃至1seem(立方センチメートル毎分)のジュウテリウムを流動させる。本ガスは、システム中を急速に再循環し、略以下の圧力を産生するであろう。イオン源内では、圧力は、数mトルとなるであろう。加速器内では、圧力は、約20μトルとなるであろう。加速器直近のポンプ段階にわって、圧力は、20μトル未満となるであろう。中央ポンプ段階にわたって、圧力は、約50mトルとなるであろう。標的チャンバ直近のポンプ段階にわって、圧力は、約500mトルとなるであろう。標的チャンバ内では、圧力は、20トル以下となるであろう。
【0067】
これらの条件が確立されると、イオン源(ジュウテリウムを使用)は、RF電源供給装置(RF整合回路によって、RFアンテナに連結される)を約10−30mHzにすることによって、励起されるであろう。電力レベルは、0乃至約500Wに上昇し、密度約10
11粒子/cm
3の濃密ジュウテリウムプラズマを生成するであろう。イオン抽出電圧が上昇し、所望のイオン電流(約10mA)および集束を提供するであろう。次いで、加速器電圧は、300kVまで上昇し、流量制限を通って、標的チャンバ内へとイオンビームを加速させるであろう。標的チャンバは、線形真空チャンバであって、ビームは、無視できるほど低エネルギーまで降下するまで、約1メートル進行するであろう。
【0068】
標的ガスを通過する間、ビームは、核反応を生成し、4x10
10、最大9x10
10中性子/秒を産生するであろう。これらの中性子は、真空容器を貫通し、適切な核器具類によって検出されるであろう。
【0069】
反応チャンバから差動ポンプ区分内へと漏入する中性ガスは、高速ポンプ、冷却トラップを通過、反応チャンバ内へと戻るであろう。冷却トラップは、微小漏入によって、やがてシステムを汚染し得るより重いガスを除去するであろう。
【0070】
(実施例3.磁気標的チャンバを備える陽子源)
最初、システムは、清潔かつ空であって、10
−9トル以下の真空を含んでおり、高速ポンプは、所望の性能である(2段階であって、各段階は、ターボ分子ポンプである)。約25−30立方センチメートルのガス(陽子を生成するためのジュウテリウムとヘリウム3の約50/50の混合物)が、標的チャンバ内へと流入され、標的ガスを生成する。標的ガスが確立されると、すなわち、指定量のガスがシステム内へと流入され、標的チャンバ内の圧力が、約0.5トルに到達すると、弁が開放され、標的チャンバからイオン源内へと0.5乃至1seem(立方センチメートル毎分)のジュウテリウムを流動させる。本ガスは、システム中を急速に再循環し、略以下の圧力を産生するであろうイオン源内では、圧力は、数mトルとなるであろう。加速器内では、圧力は、約20μトルとなるであろう。加速器直近のポンプ段階にわって、圧力は、20μトル未満となるであろう。標的チャンバ直近のポンプ段階にわって、圧力は、約50mトルとなるであろう。標的チャンバ内では、圧力は、約0.5トルとなるであろう。これらの条件が確立されると、イオン源(ジュウテリウムを使用)は、RF電源供給装置(RF整合回路によって、RFアンテナに連結される)を約10−30mHzにすることによって、励起されるであろう。電力レベルは、0乃至約500Wに上昇し、密度約10
11粒子/cm
3の濃密ジュウテリウムプラズマを生成するであろう。イオン抽出電圧が上昇し、所望のイオン電流(約10mA)および集束を提供するであろう。次いで、加速器電圧は、300kVまで上昇し、流量制限を通って、標的チャンバ内へとイオンビームを加速させるであろう。標的チャンバは、約5000ガウス(すなわち、0.5テスラ)の磁場で充填され、イオンビームを再循環させる。イオンビームは、無視できるほど低エネルギーまで降下するまで、約10回旋回するであろう。
【0071】
再循環の間、イオンビームは、標的ガスと核反応を生成し、1x10
11、最大約5x10
11陽子/秒を産生するであろう。これらの陽子は、同位体抽出システムの管を貫通し、適切な核器具類によって検出されるであろう。
【0072】
反応チャンバから差動ポンプ区分内へと漏入する中性ガスは、高速ポンプ、冷却トラップを通過、反応チャンバ内へと戻るであろう。冷却トラップは、微小漏入によって、やがてシステムを汚染し得るより重いガスを除去するであろう。
【0073】
(実施例4.線形標的チャンバを備える陽子源)
最初、システムは、清潔かつ空であって、10
−9トル以下の真空を含んでおり高速ポンプは、所望の性能である(3段階であって、加速器直近の2つは、ターボ分子ポンプであって、3つ目は、ルーツ送風機等の異なるポンプである)。約1000立方センチメートルのジュウテリウムとヘリウム3ガスの約50/50の混合物が、標的チャンバ内へと流入され、標的ガスを生成する。標的ガスが確立されると、弁が開放され、標的チャンバからイオン源内へと0.5乃至1seem(立方センチメートル毎分)のジュウテリウムを流動させる。本ガスは、システム中を急速に再循環し、略以下の圧力を産生するであろうイオン源内では、圧力は、数mトルとなるであろう。加速器内では、圧力は、約20μトルとなるであろう。加速器直近のポンプ段階にわって、圧力は、20μトル未満となるであろう。中央ポンプ段階にわたって、圧力は、約50mトルとなるであろう。標的チャンバ直近のポンプ段階にわって、圧力は、約500mトルとなるであろう。標的チャンバ内では、圧力は、20トル以下となるであろう。
【0074】
これらの条件が確立されると、イオン源(ジュウテリウムを使用)は、RF電源供給装置(RF整合回路によって、RFアンテナに連結される)を約10−30mHzにすることによって、励起されるであろう。電力レベルは、0乃至約500Wに上昇し、密度約10
11粒子/cm
3の濃密ジュウテリウムプラズマを生成するであろう。イオン抽出電圧が上昇し、所望のイオン電流(約10mA)および集束を提供するであろう。次いで、加速器電圧は、300kVまで上昇し、流量制限を通って、標的チャンバ内へとイオンビームを加速させるであろう。標的チャンバは、線形真空チャンバであって、ビームは、無視できるほど低エネルギーまで降下するまで、約1メートル進行するであろう。
【0075】
標的ガスを通過する間、ビームは、核反応を生成し、1x10
11、最大約5x10
11陽子/秒を産生するであろう。これらの中性子は、同位体抽出システムの管の壁を貫通し、適切な核器具類によって検出されるであろう。
【0076】
反応チャンバから差動ポンプ区分内へと漏入する中性ガスは、高速ポンプ、冷却トラップを通過、反応チャンバ内へと戻るであろう。冷却トラップは、微小漏入によって、やがてシステムを汚染し得るより重いガスを除去するであろう。
【0077】
(実施例5.同位体産生のための中性子源)
システムは、実施例1におけるように、磁気標的チャンバによって、または実施例2におけるように、線形標的チャンバによって、動作するであろう。親材料
98Moの固体箔等の固体試料が、標的チャンバの近位に配置される。標的チャンバ内に生成される中性子は、標的チャンバの壁を貫通し、
98Mo親材料と反応し、
99Moを生成し、準安定
99Tnを崩壊させ得る。
99Moは、当技術分野において周知の好適な器具類および技術を使用して検出されるであろう。
【0078】
(実施例6.同位体産生のための陽子源)
システムは、実施例3におけるように、磁気標的チャンバによって、または実施例4におけるように、線形標的チャンバによって、動作するであろう。システムは、標的チャンバ内側に同位体抽出システムを含むであろう。H
216Oから成る水等の親材料が、同位体抽出システム中を流動されるであろう。標的チャンバ内で発生される陽子は、同位体抽出システムの壁を貫通し、
16Oと反応し、
13Nを産生するであろう。
13N産物材料は、イオン交換樹脂を使用して、親および他の材料から抽出されるであろう。
13Nは、当技術分野において周知の好適な器具類および技術を使用して、検出されるであろう。
【0079】
発明の開示において、本発明は、特に、小型高エネルギー陽子または中性子源を提供する。上述の説明は、本発明の原理の単なる例証として捉えられる。さらに、多数の修正および変更が、当業者には容易に想起されるため、図示および記載される正確な構造ならびに動作に本発明を限定することは望ましくなく、故に、あらゆる好適な修正および同等物は、本発明の範囲にあるとみなされ得る。本発明の種々の特徴および利点は、以下の請求項において規定される。