特許第5653821号(P5653821)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5653821
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】ハンドセットの保持構造
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/02 20060101AFI20141218BHJP
   H04M 1/03 20060101ALI20141218BHJP
【FI】
   H04M1/02 D
   H04M1/03 A
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-81778(P2011-81778)
(22)【出願日】2011年4月1日
(65)【公開番号】特開2012-217079(P2012-217079A)
(43)【公開日】2012年11月8日
【審査請求日】2013年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100067138
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 弘朗
(72)【発明者】
【氏名】西川 晃勝
(72)【発明者】
【氏名】田島 和実
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】常盤 孝広
(72)【発明者】
【氏名】安藤 和秀
(72)【発明者】
【氏名】清水 宏
(72)【発明者】
【氏名】飯島 康之
(72)【発明者】
【氏名】坂本 篤史
【審査官】 宮田 繁仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−041381(JP,A)
【文献】 特開平09−261317(JP,A)
【文献】 特開平04−156151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/02− 1/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話機筺体の側方に上下方向に揺動自在に支持されたハンガーアームが備えられ、このハンガーアームの揺動端部に設けた受話部用保持部にハンドセットの受話部を掛けるハンドセットの保持構造において、
電話機筺体の側方に、受話部が前記受話部用保持部に掛けられこの受話部用保持部が下限に位置した状態で、ハンドセットの送話部を弾性変形可能な保持部によって着脱自在に保持する送話部用保持部材を設けるとともに、
前記ハンドセットの送話部からハンドセット内に導入するハンドセット用コードが電話機筺体の側板の前記ハンガーアームよりも後方側の部位から導出され、
前記送話部用保持部材の下方に、ハンドセットを前記ハンガーアームから取り外すときに、前記ハンドセット用コードを前記送話部用保持部材から離間させる方向に案内する第1案内部を設け、
この第1案内部と電話機筺体の側板との間隔をハンドセット用コードの直径よりも小さく設定したことを特徴とするハンドセットの保持構造。
【請求項2】
前記送話部用保持部材の両側部に前記送話部を挟持する互いに対向する弾性変形可能な一対の挟持片を設け、
前記送話部用保持部材の底部に、ハンドセットをハンガーアームから取り外すときに、前記ハンドセット用コードを前記一対の挟持片間の領域の外側に案内する第2案内部を設けたことを特徴とする請求項1記載のハンドセットの保持構造。
【請求項3】
電話機筺体の側方に上下方向に揺動自在に支持されたハンガーアームが備えられ、このハンガーアームの揺動端部に設けた受話部用保持部にハンドセットの受話部を掛けるハンドセットの保持構造において、
電話機筺体の側方に、受話部が前記受話部用保持部に掛けられこの受話部用保持部が下限に位置した状態で、ハンドセットの送話部を弾性変形可能な保持部によって着脱自在に保持する送話部用保持部材を設けるとともに、
前記送話部用保持部材の両側部に前記送話部を挟持する互いに対向する弾性変形可能な一対の挟持片を設け、
前記送話部用保持部材の底部に、ハンドセットをハンガーアームから取り外すときに、前記ハンドセット用コードを前記一対の挟持片間の領域の外側に案内する第2案内部を設けたことを特徴とするハンドセットの保持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話機に備え付けられるハンドセットの保持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のハンドセットの保持構造としては、電話機筺体の側方に上下方向に揺動自在に支持されたハンガーアームが備えられ、通常、このハンガーアームの揺動端部に設けた受話部用保持部にハンドセットの受話部が掛けられており、通話をするために、この受話部用保持部からハンドセットを取り上げると、これと連動してフックスイッチが電気的に閉成され、この状態で硬貨を投入することにより通話が可能になるように構成されたものが従来から広く知られている(例えば、特許文献1参照)。また、特許文献2,3には、電話機筺体を構成するフロントケースに、ハンドセットの受話部および送話部を載置する一対の凹部が設けられたものも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−178955号公報
【特許文献2】特開2001−223775号公報
【特許文献3】特開2000−216923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような従来のハンドセットの保持構造のうち、特許文献1に記載されたものは、ハンドセットの受話部をハンガーアームに掛けた状態で、ハンドセットの下方側に位置する送話部が何ら保持されていない、いわばフリーな状態となっている。また、特許文献2,3に記載されたものでは、ハンドセットの送・受話部が単に凹部に載置されているだけの構造になっている。公衆電話機が電話ボックス内やスタンドに設置される通常の使用形態では、地震等の特殊な状況以外では、上述したような従来のハンドセットの保持構造でも大きな問題は発生しなかった。しかしながら、船舶や列車等、常時揺れが激しい不安定な場所に設置される場合は、ハンドセットがハンガーアームや凹部から脱落するおそれがあり、脱落したハンドセットが壁等に叩き付けられて壁等に傷が付いたりハンドセット自体が破損するという問題がある。また、ハンドセットが外れたままの状態になると、オフフック状態となって着信が受けられないという問題もある。
【0005】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、船舶や列車等の揺れが激しい不安定な場所に設置されても、ハンドセットのハンガーアームからの脱落を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、電話機筺体の側方に上下方向に揺動自在に支持されたハンガーアームが備えられ、このハンガーアームの揺動端部に設けた受話部用保持部にハンドセットの受話部を掛けるハンドセットの保持構造において、電話機筺体の側方に、受話部が前記受話部用保持部に掛けられこの受話部用保持部が下限に位置した状態で、ハンドセットの送話部を弾性変形可能な保持部によって着脱自在に保持する送話部用保持部材を設けるとともに、前記ハンドセットの送話部からハンドセット内に導入するハンドセット用コードが電話機筺体の側板の前記ハンガーアームよりも後方側の部位から導出され、前記送話部用保持部材の下方に、ハンドセットを前記ハンガーアームから取り外すときに、前記ハンドセット用コードを前記送話部用保持部材から離間させる方向に案内する第1案内部を設け、この第1案内部と電話機筺体の側板との間隔をハンドセット用コードの直径よりも小さく設定したものである。
【0007】
本発明は、前記発明において、前記送話部用保持部材の両側部に前記送話部を挟持する互いに対向する弾性変形可能な一対の挟持片を設け、前記送話部用保持部材の底部に、ハンドセットをハンガーアームから取り外すときに、前記ハンドセット用コードを前記一対の挟持片間の領域の外側に案内する第2案内部を設けたものである。
【0008】
本発明は、電話機筺体の側方に上下方向に揺動自在に支持されたハンガーアームが備えられ、このハンガーアームの揺動端部に設けた受話部用保持部にハンドセットの受話部を掛けるハンドセットの保持構造において、電話機筺体の側方に、受話部が前記受話部用保持部に掛けられこの受話部用保持部が下限に位置した状態で、ハンドセットの送話部を弾性変形可能な保持部によって着脱自在に保持する送話部用保持部材を設けるとともに、 前記送話部用保持部材の両側部に前記送話部を挟持する互いに対向する弾性変形可能な一対の挟持片を設け、前記送話部用保持部材の底部に、ハンドセットをハンガーアームから取り外すときに、前記ハンドセット用コードを前記一対の挟持片間の領域の外側に案内する第2案内部を設けたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、船舶や列車等、常時揺れが激しい不安定な場所に設置されても、ハンドセットの受話部がハンガーアームに掛けられた状態で、ハンドセットの送話部が送話部用保持部材の保持部に保持されるから、ハンドセットのハンガーアームからの脱落を防止することができる。
【0010】
前記発明のうちの一つの発明によれば、ハンドセットをハンガーアームから取り外すときに、ハンドセット用コードが第1案内部と電話機筺体の側部との間に入り込むようなことがなく、かつ第1案内部によって送話部用保持部材から離間する方向に案内されるため、ハンドセット用コードが送話部用保持部材に引っ掛かることがない。
【0011】
前記発明のうちの一つの発明によれば、ハンドセットをハンガーアームから取り外すときに、第2案内部によってハンドセット用コードの挟持片間への入り込みが阻止されるので、ハンドセット用コードが挟持片に引っ掛かることがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係るハンドセットの保持構造を実施した公衆電話機の全体の外観を示す正面側から見た斜視図である。
図2】本発明に係るハンドセットの保持構造を実施した公衆電話機において、ハンドセットをハンガーアームに掛けようとしている状態を示す側面図である。
図3】本発明に係るハンドセットの保持構造を実施した公衆電話機において、ハンドセットをハンガーアームから取り外した状態を示す側面図である。
図4図1におけるIV-IV 線断面図である。
図5】本発明に係るハンドセットの保持構造を実施した公衆電話機のハンガーアームおよびハンドセットを取り外した状態を示す側面図である。
図6】同図(A)は図5におけるVI(A)矢視図、同図(B)は図5におけるVI(B)矢視図である。
図7】本発明に係るハンドセットの保持構造における送話部用保持部材を示し、同図(A)は正面側から見た斜視図、同図(B)は側面図、同図(C)は背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図1図7に基づいて説明する。
【0014】
図1に全体を符号1で示す公衆電話機は、電話機筐体2と、この電話機筐体2の側方において保持されるハンドセット3とを備える。電話機筐体2は、前面が開口されたリアーケース4と、このリアーケース4の開口部を開閉するように開口部の一方の側端に枢支されたフロントケース5とからなり、フロントケース5によってリアーケース4の開口部を閉じ、鍵操作でフロントケース5の開閉を規制することにより、密閉された電話機筐体2が形成される。
【0015】
フロントケース5の前面部6には、複数のダイヤルボタン7、このダイヤルボタン7によって発信される電話番号あるいは通話時間等を表示する表示部8、硬貨が投入される硬貨投入口9、投入された硬貨を返却する硬貨返却口10が設けられている。
【0016】
リアーケース4の左側の側板12の上部の後部側(矢印A方向)には、図2に示すようにハンドセット用コード13を電話機筐体2内から導出されたコードを保護するコードカバー14が取り付けられている。このコードカバー14から導出されたハンドセット用コード13は、ハンドセット3の後述する送話部20の下端部からハンドセット3内に導入される。
【0017】
また、側板12のコードカバー14のやや前方(矢印B方向)かつ下方の部位には、逆くの字状の揺動孔15が設けられており、この揺動孔15の下方で、リアーケース4の側板12の略中央部には、上下方向に細長く形成された貫通孔16が設けられている。17はハンガーアームであって、基端部17aが直角に折曲形成され揺動孔15から電話機筐体2内に導入されており、導入された部位が電話機筐体2内に横架されたハンガーシャフト(図示せず)に回動自在に支持されることにより、この基端部17a側を揺動中心として揺動端部17bが上下方向へ揺動するように構成されている。
【0018】
揺動端部17bには、図1に示すようにハンドセット3の受話部18が掛けられる載置部19aと、この載置部19aの両端部に位置し受話部18の両側部を挟持する一対の挟持部19b,19bとによって受話部用保持部19が設けられている。なお、受話部18の下部には、図3に示すように受話部18が受話部用保持部19の載置部19aに掛けられた際、載置部19aに係合する係合突起18aが突設されている。
【0019】
ハンガーアーム17は、電話機筐体2内の付勢手段(図示を省略)によって、図3に二点鎖線に示すように揺動端部17bが上方に移動するように付勢されている。したがって、ハンガーアーム17の受話部用保持部19にハンドセット3の受話部18が掛けられていないときは、揺動端部17bが上限に位置付けられる。この状態でハンガーアーム17と連動動作する電話機筐体2内に設けたフックスイッチが閉成されるので、硬貨投入口9から硬貨が投入されると、ダイヤルボタン7による発信が可能になる。
【0020】
一方、ハンドセット3の受話部18が受話部用保持部19に掛けられると、図3に実線で示すようにハンドセット3の重量によりハンガーアーム17の揺動端部17bが下方に移動する。揺動端部17bが図3に実線で示す下限に位置付けられると、ハンガーアーム17と連動して動作する電話機筐体2内に設けたフックスイッチが開成され、通話が切断されるとともに、硬貨返却口10から収納されなかった硬貨が返却される。以上説明した公衆電話機およびハンドセットの保持構造は、従来から広く知られているものと変わるところはない。
【0021】
本発明の特徴とするところは、ハンドセット3の受話部18を受話部用保持部19に掛け、ハンガーアーム17の揺動端部17bを下限に位置付けたとき、ハンドセット3の送話部20を着脱自在に保持する送話部用保持部材22を設けた点にある。21は送話部用保持部材22をリアーケース4の側板12に固定するための固定用アームであって、図6(A)に示すように一端部が直角に折曲げられて折曲部21aが形成されている。
【0022】
この固定用アーム21は、側板12の貫通孔16から電話機筺体2内に嵌挿された折曲部21aがブラケット(図示せず)を介して側板12に固定されており、固定された固定用アーム21は、側板12に近接した状態で側板12と平行となるように、図5に示すように前方側(矢印B方向)に向かって延設されている。
【0023】
この固定用アーム21の他端部(矢印B方向側の端部)には、折曲部21aと反対側に直角に折曲形成された第1案内部21bが設けられており、この第1案内部21bの底面には、図6(B)に示すように側板12から離間する方向(矢印C方向)に向かって上方に傾斜した案内面21cが形成されている。この第1案内部21bと側板12との間に設けられた隙間21gの間隔D1は、ハンドセット用コード13の直径よりも小さく設定されている。また、この第1案内部21bの上部には、ねじ挿通孔21eが設けられ送話部用保持部材22が固定される固定部21dが延設されている。
【0024】
次に、図7を用いて、本発明の特徴である送話部用保持部材22について説明する。送話部用保持部材22は、図7(A)に示すように、正面視四角形に形成された後面部23および角筒部24によって前面側(矢印B方向側)に開口部25aが形成された有底角筒状の送話部収納凹部25と、角筒部24を囲むように角筒部24の開口部25a側の端部から折り返された枠状の袴部26とによって全体がプラスチックによって形成されている。
【0025】
角筒部24の両側部には、弾性変形可能な一対の挟持片27,27が矢印B方向に向かって互いに対向するように突設されており、これら挟持片27,27の自由端部には、ハンドセット3の送話部20を保持する突起27a,27aが互いに向き合う方向に突設されている。角筒部24の底部と両側部とには、矢印B方向に向かって突設された第2案内部28が設けられており、この第2案内部28は、底面部29と両側面部30,30とによって断面コ字状に形成されている。
【0026】
各側面部30,30は挟持片27,27のそれぞれの直下に位置し、これら挟持片27と側面部30との間には隙間31が設けられており、この隙間31の間隔D2はハンドセット用コード13の直径よりも小さく設定されている。また、側面部30の袴部26からの突出量L1は、同図(B)に示すように挟持片27の突出量L2よりもやや短く形成されている。また、側面部30の矢印B方向側の端面30aは下方から上方に向かうにしたがって矢印B方向に向かって突出するように傾斜している。後面部23の背面側には、同図(C)に示すように四本のボス32が突設されている。
【0027】
このように構成された送話部用保持部材22は、図1図4に示すように上記した固定用アーム21の固定部21dのねじ挿通孔21eに挿通されたねじ33をボス32にねじ込むことにより、開口部25aが矢印B方向を指向するように固定部21dに取り付けられる。
【0028】
次に、このように構成されたハンドセットの保持構造において、ハンガーアームにハンドセットを掛ける動作およびハンガーアームからハンドセットを取り外す動作について説明する。先ず、ハンガーアームにハンドセットを掛ける動作について説明する。通話が終了した等の理由により、ハンドセット3をハンガーアーム17に掛ける場合は、先ず図2に示すようにハンドセット3の受話部18を受話部用保持部19の一対の挟持部19b,19b間に差し入れ載置部19aに掛けることにより、受話部18を受話部用保持部19に保持させる。
【0029】
この状態で、ハンドセット3を介して受話部用保持部19を押し下げると、ハンガーアーム17が基端部17aを揺動中心として二点鎖線で示す位置から実線で示す下限位置へ位置付けられ、このハンガーアーム17の動作と連動してフックスイッチ(図示せず)が開成される。次いで、ハンドセット3の送話部20を、送話部用保持部材22の一対の挟持片27,27間に差し入れ、これら挟持片27,27を互いに離間させる方向に弾性変形させながら、送話部20を送話部収納凹部25内に押し込む。
【0030】
送話部収納凹部25内に押し込まれた送話部20は、図4に示すように一対の挟持片27,27によって弾性保持され、送話部収納凹部25からの脱落が規制される。この状態で、コードカバー14から導出されたハンドセット用コード13は、図3に実線で示すようにハンガーアーム17および固定用アーム21ならびに送話部用保持部材22を囲むように、側面視U字状を呈している。
【0031】
このように、ハンドセット3の受話部18がハンガーアーム17の受話部用保持部19に掛けられて、受話部18が受話部用保持部19に保持されるだけでなく、送話部20が送話部用保持部材22の送話部収納用凹部25内に収容された状態で挟持片27によって弾性的に保持されて、送話部20も送話部用保持部材22に保持される。したがって、公衆電話機1が船舶や列車等の揺れが激しい不安定な場所に設置されても、ハンドセット3のハンガーアーム17からの脱落を防止することができる。
【0032】
次に、ハンガーアーム17からハンドセット3を取り外す動作について説明する。ハンドセット3の受話部18がハンガーアーム17の受話部用保持部19に掛けられ、送話部20が送話部用保持部材22の送話部収納用凹部25内に収容された図3に実線で示す状態から、ハンドセット3を把持し挟持片27,27を強制的に弾性変形させるようにして送話部20を送話部収納用凹部25内から取り外す。次いで、ハンドセット3の受話部18をハンガーアーム17の受話部用保持部19から取り上げると、ハンガーアーム17が基端部17aを揺動中心として実線で示す位置から二点鎖線で示すように反時計方向に揺動するので、このハンガーアーム17の動作と連動してフックスイッチ(図示せず)が閉成される。
【0033】
図3に二点鎖線で示すようにハンドセット3をさらに持ち上げると、この動作に連動して引っ張り上げられるハンドセット用コード13が、送話部用保持部材22の下方に設けられた固定用アーム21の第1案内部21bの案内面21cに接触することがある。この場合、図6に示すように第1案内部21bと電話機筺体2の側板12との間に形成された隙間21gの間隔D1がハンドセット用コード13の直径よりも小さく設定されていることにより、引っ張り上げられるハンドセット用コード13が第1案内部21bと側板12との間に形成された隙間21gに入り込むようなことがない。
【0034】
したがって、案内面21cに接触したハンドセット用コード13は、引っ張り上げられる動作にしたがって、案内面21cに沿って電話機筺体2の側板12から離間する方向(矢印C方向)、すなわち送話部用保持部材22から離間する方向へ案内されるため、ハンドセット用コード13が送話部用保持部材22に引っ掛かるようなことがない。
【0035】
また、ハンドセット用コード13が案内面21cに沿って電話機筺体2の側板12から離間する方向に案内されているとき、図3に示すようにハンドセット用コード13が挟持片27の下方に設けられた第2案内部28の底面部29に接触することがある。この場合、底面部29に接触したハンドセット用コード13は、底面部29によって一対の挟持片27,27間に入り込むことが阻止されるとともに、側面部30の端部30aに沿って側面部30の外側(図4および図7(A)において矢印C方向)に案内される。
【0036】
このとき、各側面部30,30が挟持片27,27のそれぞれの直下に位置するように形成され、かつ側面部30と挟持片27と間の隙間31の間隔D2がハンドセット用コード13の直径よりも小さく設定されていることにより、ハンドセット用コード13は、側面部30と挟持片27と間の隙間31から一対の挟持片27,27間に入り込むことがない。したがって、ハンドセット用コード13は、第2案内部28によって一対の挟持片27,27間の領域の外側に案内され、一対の挟持片27,27間に入り込むようなことがないため、挟持片27に引っ掛かることがない。
【0037】
すなわち、一対の挟持片27,27間の領域の下方を覆う底面部29と、一対の挟持片27,27の直下に設けられた各側面部30,30とからなる第2案内部28は、上方に引っ張り上げられるハンドセット用コード13の一対の挟持片27,27間の領域内への入り込みを規制する。
【0038】
なお、本実施の形態においては、ハンドセット3の送話部20を弾性的に保持する部材として一対の挟持片27,27としたが、これに限定されることなく、例えば送話部用保持部材22の開口部25aの周縁部にリング状の弾性部材を設け、この弾性部材に送話部20を嵌合させることにより、弾性部材によって送話部を弾性的に保持するようにしてもよく、種々の設計変更が可能である。また、ハンドセット保持構造を公衆電話機に適用した例を説明したが、家庭用電話機やビジネス用電話機にも適用できる。また、第1案内部21bと側板12との間に隙間21gを設けたが、固定用アーム21を側板12に直接固定することにより、隙間21gを設けないようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…公衆電話機、2…電話機筺体、3…ハンドセット、12…側板、13…ハンドセット用コード、17…ハンガーアーム、18…受話部、19…受話部用保持部、20…送話部、21…固定用アーム、21b…第1案内部、22…送話部用保持部材、27…挟持片、28…第2案内部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7