特許第5653863号(P5653863)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5653863
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】自己拡張端部部分を有するステント
(51)【国際特許分類】
   A61M 29/02 20060101AFI20141218BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20141218BHJP
   A61M 25/09 20060101ALI20141218BHJP
【FI】
   A61M29/02
   A61M25/00 410H
   A61M25/00 450B
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-174902(P2011-174902)
(22)【出願日】2011年8月10日
(62)【分割の表示】特願2001-101430(P2001-101430)の分割
【原出願日】2001年3月30日
(65)【公開番号】特開2011-218228(P2011-218228A)
(43)【公開日】2011年11月4日
【審査請求日】2011年8月10日
【審判番号】不服2014-2339(P2014-2339/J1)
【審判請求日】2014年2月7日
(31)【優先権主張番号】540629
(32)【優先日】2000年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597041828
【氏名又は名称】コーディス・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Cordis Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シーン・サルモン
(72)【発明者】
【氏名】ディーター・ストッケル
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・イー・フィッシェル
(72)【発明者】
【氏名】ティム・エイ・フィッシェル
(72)【発明者】
【氏名】デビッド・アール・フィッシェル
【合議体】
【審判長】 山口 直
【審判官】 土田 嘉一
【審判官】 松下 聡
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第99/60953(WO,A1)
【文献】 特表2002−516143(JP,A)
【文献】 米国特許第5980530(US,A)
【文献】 特表平11−511361(JP,A)
【文献】 特開平4−64367(JP,A)
【文献】 特開2000−37466(JP,A)
【文献】 米国特許第5976181(US,A)
【文献】 特開平8−164210(JP,A)
【文献】 特開平10−5343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/82
A61M 25/00
A61M 25/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の脈管の開通性を維持するためのシステムにおいて、
柔軟性のガイド・ワイヤと、
前記ガイド・ワイヤが内部において摺動自在に移動できる内孔部を有し、さらに、膨張可能なバルーンが配置されている先端側部分を有するバルーン式血管形成カテーテルとを備えており、前記バルーンを約10気圧の圧力まで膨張した時にこのバルーンがその円筒形の中央部分において長さL4を有し、さらに、
前記バルーン式血管形成カテーテルの前記バルーン上に取り付けた未拡張状態のハイブリッド型ステントを備えており、当該ステントが拡張状態の長さL5を有していて、L5>L4であり、さらに、前記ステントが前記バルーンにより拡張可能な中央部分および自己拡張性の端部部分を有し、さらに、
エラストマーの端部チューブを備え、前記ステントの自己拡張性の前記端部部分の各々が前記エラストマーの端部チューブにより少なくとも部分的に被覆されており、前記エラストマー端部チューブが、前記ステントのバルーン式膨張可能型の前記中央部分を拡張するために前記バルーンが膨張する際に、前記ステントの各エッジ部分を越えて外側に向かって摺動するように構成されており、
前記ステントが、非拡張状態の前記ステントの隙間の中に前記バルーンの一部を膨張させることにより、膨張状態のバルーン上に嵌め合わせされ
前記端部部分および前記中央部分が、夫々の転移温度よりも高い温度において所定の状態になろうとする形状記憶合金により形成されており、前記端部部分の前記転移温度が37℃未満であり、前記中央部分の前記転移温度が37℃を超えている、システム。
【請求項2】
前記ステントの前記端部部分および前記中央部分を形成するためにニチノール(Nitinol)が使用されている、請求項に記載のシステム。
【請求項3】
前記ステントが配置されると、当該ステントが膨張状態の前記バルーンの概ね長手方向の中央に配置されている請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記長さL5は4mm乃至20mmであって、膨張状態の前記バルーンの前記長さL4よりも長い請求項1乃至のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記ステントが前記バルーン式血管形成カテーテルの前記バルーン上に縮小された状態で配置されている請求項1乃至のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記ハイブリッド型ステントが放射性同位体型ステントである請求項1乃至のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記放射性同位体型ステントがβ粒子線のエミッターである請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記β粒子線のエミッターがリン32(32P)である請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記β粒子線のエミッターが0.1マイクロキューリー乃至100マイクロキューリーの供給源強度を有する請求項またはに記載のシステム。
【請求項10】
前記放射性同位体型のハイブリッド型ステントがガンマ線エミッターである請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記ガンマ線エミッターがパラジウム103(103 Pd)である請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ガンマ線エミッターが0.1ミリキューリー乃至100ミリキューリーの供給源強度を有する請求項10または11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人体の脈管部分の開通性を維持するための医療装置の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
自己拡張型ステント、特に形状記憶合金であるニチノール(Nitinol)により作成された自己拡張型ステントは脈管内ステント業界において周知である。一般に、これらのステントは人体の動脈のような脈管の狭窄部分の中に配置するためのシース(または鞘)状のステント供給システムの中に配置されている。このステント供給システムを引き戻すと、自己拡張型ステントが冠動脈のような人体の脈管の壁部に対して半径方向または放射状に拡張する。この自己拡張ステントの拡張の後に、ステントを供給したシース状のカテーテルを取り外してから、この動脈の狭窄部位においてステントをさらに拡張するためのバルーン式血管形成カテーテルを挿入することが一般に必要である。この結果、この処理を行なうための付加的な時間および費用がかかる。ステントをさらに拡張するためのバルーンは一般にステント自体よりも長い。それゆえ、ステントの先端側および基端側の各端部から直ぐ先の動脈の領域がバルーンの拡張によりある程度損傷する。このようなステントの両端部から先の領域におけるバルーンの拡張により生じる損傷はバルーン式拡張可能型ステントの場合においても生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
自己拡張ステント(すなわち、シース状カテーテル)用の既存の供給システムの不都合点の一つは当該供給システムがシースを使用しないステント供給システムに比してさらに大きな直径を有していることである。また、別の不都合点は上記の供給システムが柔軟性に欠けていて冠動脈のような高度に湾曲した動脈の中に供給することが比較的困難であることである。ステントの両端部の先まで延在している拡張可能なバルーンを有する全てのステント供給システムはステントの両端部から直ぐ先の動脈部分を狭める「エッジ作用(edge effect)」を生じる可能性がある。このエッジ作用は放射性同位体型ステントを動脈狭窄部内に配置した場合に特に顕著である。自己拡張ステントを拡張するためのシースを使用することのさらに別の不都合点は、バルーン式拡張可能型ステントにより達成できる正確な位置決めに比べて、狭窄部内にステントを正確に位置決めすることが困難であることである。
【0004】
一方、バルーン式拡張可能型ステントはステントの両端部から先に延在する膨張したバルーンを有し、動脈壁部をエッジ部分により切り裂く場合がある。このような切り裂きにより、急性または亜急性的な血栓症または再狭窄が生じる可能性を減少するために切り裂いた部分を修復する別のステントを移植する処置が一般的に必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は既存のステントおよびステント供給システムの潜在的な欠陥の幾つかを解消することである。本発明はバルーン式拡張可能型の中央部分と自己拡張型の端部部分とを有するステントとして定義されるハイブリッド型ステントまたは混成型ステントである。このステントの全体は、本明細書に参考文献として含まれる米国特許出願第09/444,105号において記載されるステントのように、バルーン式血管形成カテーテルのバルーン上に嵌め合わせることにより取り付けられる。このような嵌め合わせ方式(nesting)の利点はステントがバルーン式血管形成カテーテルのバルーン上に保持されることにより人体の曲りくねった脈管内にステントを挿入する信頼性が高められ、ステントによる塞栓形成の可能性が減少できることである。
【0006】
このようなステントの嵌め合わせ方式の技術の従来の段階と本発明の段階との間の主要な差は、既存の嵌め合わせ方式のステントが全てバルーン式拡張可能型であるが、本発明は部分的にバルーン式拡張型で部分的に自己拡張型であるハイブリッド型ステントであることである。バルーン上に嵌め合わせたステントの自己拡張型部分を当該バルーン上に保持するための方法の一例はステントの各自己拡張型端部部分の周囲に円筒形のエラストマー・チューブを配置することである。また、ステント供給システム上にハイブリッド型ステントを保持するための別の方法はステント拡張を開始する際に引き戻される慣用的なシースを使用することである。
【0007】
本発明の非シース型の実施形態の利点はシース型またはシース類似型ステント供給システムを使用せずに狭窄部分にステントを供給できることである。上記の嵌め合わせ方式およびステントの各端部部分の周囲のエラストマー・チューブを使用することにより、シースを使用することの必要性が排除できる。従って、ステント供給システムの先端側部分において、これまでよりも、柔軟性を高めることができ、その外径を小さくすることが可能になる。このことにより、ステントを人体の湾曲した脈管内に進行させて狭窄部分内において位置決めする際に、ステントの配置がさらに容易になり、且つ、正確に行なえるようになる。それゆえ、本発明は直接ステント処理に対して理想的な適性を有しており、動脈狭窄部の予備拡張の必要性を排除する。
【0008】
本発明のさらに別の特徴は本明細書において記載するステント供給システムがステント拡張用バルーンを使用しており、当該バルーンがステントの全長に比して短い長さの円筒形の中央部分を有していることである。従って、ステントの各端部部分はバルーンの拡張を必要とすることなく脈管壁部に対して自己拡張性を有する。一方、ステントの中央部分は16気圧程度の高圧までバルーンを膨張することにより狭窄部分に対して半径方向に外側に高圧下で押し出すことが可能である。また、ステントの各端部部分はそれぞれの形状記憶特性により狭窄部分の両側に位置する動脈の比較的正常な(すなわち、非狭窄)部分に外側に向かって拡張される。それゆえ、ステントの各端部部分には高圧バルーンによる拡張作用が及ばないので、これらの端部部分が配置される動脈の各部分において生じる損傷が減少できる。最も重要なことは、ステントの各エッジ部分から先に延在する膨張状態のバルーンの部分が無くなるので、これらのエッジ部分による動脈壁部の切り裂きの発生が大幅に減少できることである。バルーンの高圧下での膨張作用は狭窄部分の一般的に高い抵抗に対してステントにおけるバルーン式拡張可能型の中央部分を半径方向に外側に拡張するためにのみ用いられる。このような技法により、ステントの各エッジ部分およびその直ぐ先の領域における動脈部分のバルーンによる損傷が回避できる。従って、動脈壁部における切り裂きおよびエッジ部分における狭窄の発生の傾向が減少できる。このことはステントの各エッジ部分の直ぐ基端側および直ぐ先端側において動脈を狭める傾向の高い放射性同位体型ステントの場合に特に重要である。
【0009】
本発明の目的はバルーン式拡張可能型の中央部分および自己拡張型の端部部分を有するハイブリッド型ステントを提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は中央部分において体温よりも明らかに高い転移温度を有し、端部部分において正常な体温よりも低い転移温度を有する形状記憶合金により作成したステントを提供することである。
【0011】
本発明のさらに別の目的はバルーンにより拡張可能なステンレス・スチールのような従来の金属材料により形成された中央部分、および体温よりも低い転移温度を有する形状記憶金属材料により形成された端部部分を有するステントを提供することである。
【0012】
本発明のさらに別の目的は自己拡張型の端部部分を有するステントを人体の脈管内に供給する際にシースの必要性を除去してステント供給システムに比較的小さい外径を備えることである。
【0013】
本発明のさらに別の目的はハイブリッド型ステントを含む先端側部分を有するステント供給システムを使用することであり、当該ステント供給システムはシースを備えているステントに比してさらに高い長手方向の柔軟性を有している。
【0014】
本発明のさらに別の目的はステントの各エッジ部分およびその先の部分における脈管の壁部に対するバルーンによる損傷の可能性を減少するためにハイブリッド型ステントを使用することである。
【0015】
本発明の別の目的は自己拡張型の端部部分およびステントの各エッジ部分から先に延出しない膨張可能なバルーンを有するハイブリッド型ステントを提供することであり、この組合せはステント移植による動脈壁部の切り裂きの発生を大幅に減少できる。
【0016】
本発明のさらに別の目的はシースをハイブリッド型ステント用のステント供給システムの部品として使用することである。
【0017】
本発明のさらに別の目的は少なくとも一部分が自己拡張型であるステントを配置するためのさらに正確な手段を提供することである。
【0018】
本発明のさらに別の目的はステントの基端側および先端側の各エッジ部分の近くに位置する動脈壁部に対する損傷を減少するための自己拡張型の端部部分を有する放射性同位体型のハイブリッド型ステントを提供することである。
【0019】
本発明のさらに別の目的は動脈狭窄の直接ステント処理のために使用できる自己拡張型の端部部分を有するステントを含むステント供給システムを提供することである。
【発明の効果】
【0020】
従って、本発明によれば、人体の曲りくねった脈管内に挿入する信頼性が高められ、塞栓形成の可能性が減少できると共にステント・エッジ部分の近傍における脈管内組織の損傷の発生が減少できるステントが提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1はハイブリッド型ステント15、ガイド・ワイヤ20、バルーン式血管形成カテーテル30、および基端側および先端側のエラストマー・チューブ32Pおよび32Dを含むシステム10の先端側部分の長手方向に沿う断面図である。バルーン式血管形成カテーテル30は内側軸部11、外側軸部12、膨張可能なバルーン14、バルーン膨張用内孔部16、ガイド・ワイヤ用内孔部17、基端側放射線不透過マーカー帯域18Pおよび先端側放射線不透過マーカー帯域18Dを有している。図1に示すように、バルーン14はステント15の隙間の中に拡張した状態で形成されており、このような方式は「嵌め合わせ方式(nesting)」と呼ばれる技法である。バルーン式血管形成カテーテルのバルーン上にステントを嵌め合わせるための方法が本明細書に参考文献として含まれる米国特許出願第09/444,105号に詳細に記載されている。
【0022】
一般に、ステント15は脈管用ステントの技術分野において周知の形状記憶合金の金属材料である「ニチノール(Nitinol)」により作成されている。ステント15の端部部分の金属材料の転移温度は37℃よりも低いことが好ましい。一方、形状記憶合金により完全に作成されているハイブリッド型ステントの場合に、ステント15の中央部分における転移温度は39℃よりも高いことが好ましい。この転移温度は形状記憶金属材料のステントが空気中においてその所定の状態を採ることによりその公称の拡張状態の直径になる温度として定義される。端部部分における転移温度が体温よりも僅かに低い場合は、ステント15は室温でその拡張状態になろうとしない。しかしながら、ステント15が人体の中に配置されてバルーン14が膨張されることにより、チューブ32Pおよびチューブ32Dが長手方向に沿って外側に移動してこれらのチューブ32Pおよびチューブ32Dにより被覆されていたステント15の両側の自己拡張型端部部分が表面に現れると、ステントの各端部部分は拡張状態の直径になる。従って、さらに大きな直径を有して柔軟性の低い場合に不所望な作用を示すシースを必要とせずに狭窄部位にステント15が供給できる。
【0023】
基端側および先端側のエラストマー・チューブ32Pおよび32Dは一般にシリコーン・ゴムまたはポリウレタンまたは類似のプラスチック材料のようなエラストマー(弾性体)により作成できる。これらのチューブ32Pおよび32Dは溶媒によりそれぞれ膨張して図1に示すような状態で配置される。その後、このエラストマー材料から溶媒が蒸発すると、各チューブ32Pおよび32Dはステント15の各端部部分の外周に接合する。この状態において、これらのチューブ32Pおよび32Dはステントを患者の脈管系の中に導入する際のステント15の各端部部分の膨張を阻止できる。
【0024】
図2はシステム10’の先端側部分の長手方向に沿う断面図であり、バルーン14’が完全に膨張されてステント15’が半径方向に外側に拡張している。図2に示す形態を実現するためには、図1のバルーン14を少なくとも6気圧、好ましくは、10気圧乃至24気圧の圧力まで膨張することが必要である。このバルーン14が膨張する際に、基端側チューブ32Pおよび先端側チューブ32Dはそれぞれバルーン14の中心部分から長手方向に沿って外側に移動して、図2におけるチューブ32P’およびチューブ32D’の形状および位置になる。このことにより、バルーン14’の各端部部分における被覆を除去するという所望の作用が実現でき、各端部部分はそれぞれの形状記憶特性によりその所定の状態に復帰しようとする。なお、この所定状態はステント15’の公称の最大直径を有する円筒体である。
【0025】
バルーン14’が完全に膨張すると、バルーン14’の中央の長さL4の部分のみが拡張状態のステント15’を狭窄部位の中に配置するための半径方向に外側に向かう力を加えるように作用する。この膨張状態のバルーン14’の中央部分の長さL4は約10気圧の膨張圧力において空気中で測定できる。また、バルーンにより拡張可能なステント15(または15’)の中央部分の長さはL1である。基端側の自己拡張型のステント部分は長さL2を有しており、先端側の自己拡張型の端部部分は長さL3を有している。ハイブリッド型ステント15’の各端部部分L2およびL3はそれぞれの形状記憶に基づく所定の状態であるので外側に拡張している。この所定の状態はステント15をバルーン14上に取り付ける前にステント15の金属材料の形状記憶に設定される。バルーン14’は長さL4の中に位置する狭窄部分を拡張するためにかなり大きな力を加えることができる。しかしながら、ステント15’の各端部部分L2およびL3はこれらの端部部分の自己拡張性により生じる最少量の力のみを加えることができる。このことは拡張状態のステント15’の各エッジ部に近接する脈管壁部の部分に対するバルーンにより生じる損傷を最少にできる点で理想的な状態である。この目的を達成するためには、ステント15’の合計の長さ、すなわち、L1+L2+L3=L5をバルーン14’の中央部分の長さL4よりも4mm乃至20mm長くする必要がある。なお、ステント15’の各端部部分の長さL2および長さL3は異なっていてもよいが、最も有望な形態は長さL2が長さL3にほぼ等しくなるようにステント15をバルーン14’上に配置する形態である。さらに、ステント15’の中央部分の長さL1はバルーン14’の長さL4に比べて幾分長くてもよく、あるいは、幾分短くてもよい。
【0026】
ハイブリッド型ステント15はその中央部分にその端部部分とは異なる熱処理を加えることにより、形状記憶合金のニチノール(Nitinol)により形成できる。すなわち、ステント15はその中央部分において37℃よりも明らかに高い転移温度を示すように熱処理され、その各端部部分は当該端部部分において37℃よりも明らかに低い転移温度を示すように熱処理される。さらに、ステント15は当該ステント15の(長さL1を有する)中央部分においてステンレス・スチールのような金属材料を使用して、この中央部分に長さL2および長さL3をそれぞれ有するニチノール(Nitinol)の端部部分を溶接することにより形成できる。
【0027】
人体の脈管内にステントを供給する技術分野において周知であるように、バルーン14’がステント15’を脈管内において拡張し、その後に、バルーン14’が収縮し、さらに、バルーン式血管形成カテーテル30およびガイド・ワイヤ20が患者の体外に取り出される。
【0028】
米国特許第5,059,166号において記載されているような放射性同位体型ステントはステント内における組織成長の問題を排除できることが知られている。しかしながら、放射性同位体型ステントは当該ステントの各エッジ部分の直ぐ先の領域において過剰な組織成長を生じることも知られている。このような過剰な組織成長は放射性同位体型ステントの各エッジ部分の直ぐ先の領域におけるバルーンによる損傷および放射線の作用の組合せにより引き起こされると考えられる。一方、上記の本発明のシステム10は拡張状態のステント15’の各エッジ部分およびその直ぐ先の領域におけるバルーンによる損傷の問題を排除するので、放射性同位体型ステントの場合にこのシステム10を使用することが極めて有利である。一般に、ステント15を放射性にするためにリン32(32P)のようなβ粒子線を放射する同位体を使用することが好まれる。しかしながら、パラジウム103(103 Pd)のようなガンマ線エミッターもステントを放射性にするために使用されている別の良好な同位体である。ガンマ線エミッターは光子を放射する同位体として本明細書において定義される。望ましくは、リン32型ステントは0.1マイクロキューリー乃至100マイクロキューリーの放射能強度を有しており、パラジウム103型ステントは0.1ミリキューリー乃至100ミリキューリーの放射能強度を有している。
【0029】
嵌め合わせ方式が本発明の好ましい実施形態であるが、ステントが「嵌め合わせ」されていなくてもバルーン上にけん縮されている場合は、このシステムが十分に実施できることが当然に理解されると考える。このような状況を図3におけるシステム40により示す。このシステム40はガイド・ワイヤ20、バルーン式血管形成カテーテル31およびハイブリッド型ステント35を含む。この構成はシステム40の先端側部分が人体の脈管内に導入される際にステント35の自己拡張型の端部部分が外側に拡張することを阻止するためにシース41を使用している。さらに、ステント35が、例えば、冠動脈の中の狭窄部位内に配置された後に、シース41は基端側方向に引き戻されてステント35が露出する。その後、このステント35の自己拡張型の端部部分が半径方向に外側に向かって拡張する。この際に、バルーン34が迅速に拡張してステント35の全体を動脈壁部に対して良好な位置に配置する。その後、バルーン式血管形成カテーテル31、ガイド・ワイヤ20およびシース41は患者の身体から引き出される。
【0030】
図4は本発明のハイブリッド型ステントの一実施形態の長手方向に沿う断面図である。実際は、図4のハイブリッド型ステント45は中実の壁部を有していなくてもよく、その代わりに、レース状の薄い壁部を有する円筒体とすることができる。このハイブリッド型ステント45は自己拡張型の端部部分46および48およびバルーン式拡張可能型の中央部分47を有している。各端部部分46および48の材料は形状記憶金属材料とすることができ、あるいは、本質的に自己拡張性の(ステンレス・スチールのような)慣用的な材料により構成できる。中央部分47の金属材料および構成はハイブリッド型ステント45が体温では自己拡張しないが膨張するバルーンの使用により拡張できるように設定できる。
【0031】
図5はハイブリッド型ステント50の長手方向に沿う断面図であり、このステント50の全長にわたる部分が自己拡張型の金属部分51と、自己拡張性でない慣用的な金属材料により形成したバルーン式拡張型の中央部分52とにより形成されている。図5はハイブリッド型ステント50が中実の壁部を有するチューブであることを示している図であるが、実は、このステント50はレース状で中実でない壁部を有する薄い壁部のチューブであってもよいことが当然に理解されると考える。図5の構成の場合に、ステント部分51における各端部部分は自己拡張型であり、中央部分52はバルーン式拡張可能型である。このハイブリッド型ステント50の典型的な金属材料は各端部部分を含むステント50の全長にわたって形状記憶合金のニチノール(Nitinol)とすることができ、バルーン式拡張可能型の中央部分52においては、ステンレス・スチールまたはタンタルのような金属材料、あるいはステンレス・スチールの外側および内側チューブの間にタンタルを挟んだ複合式チューブ材料とすることができる。
【0032】
図5はステント50の自己拡張型の部分51における凹み部分の中に配置した中央部分52を示している図である。しかしながら、自己拡張型部分51が均一な壁厚を有していて、バルーン式拡張可能型の中央部分52が自己拡張型部分51に対して長手方向に沿う中心部分に同軸に配置されていてもよいことが当然に理解されると考える。中央部分52が自己拡張性になることを防ぐために、当該中央部分52を自己拡張型部分51の外表面部上に同軸に取り付けることができる。あるいは、自己拡張型部分51および中央部分52を例えばスポット溶接等により一体に固定して取り付けることにより、中央部分52を自己拡張型部分51の内表面部に配置できる。
【0033】
ハイブリッド型ステント50における有利な構成は37℃よりも低い転移温度を有するニチノール(Nitinol)により作成した自己拡張型部分51およびタンタルにより作成したバルーン式拡張型の中央部分52を備えていることである。このタンタルの理想的な壁厚は約0.06mmである。また、自己拡張型部分51の理想的な壁厚はその中央部分において0.06mmにほぼ等しく、その各端部部分においてその2倍の厚さである。このようなハイブリッド型ステント50の構成は理想的な放射線不透過性を有し、その各端部部分は自己拡張型のニチノール(Nitinol)ステントにおけるほぼ最適な壁厚を有する。従って、この構成によれば、中央部分52を動脈の狭窄領域内に理想的に配置することができると共に、自己拡張型部分51の各端部部分を近接する正常な動脈部分内に理想的に配置できる。この結果、ステント50の各エッジ部分はステント50の中央部分52よりも僅かに基端側および先端側に存在する正常な動脈壁部に対して最少の気圧性外傷を生じる。従って、本発明によれば、従来のバルーン式拡張可能型ステントに比して、エッジ部分による切り裂きの発生が有意差をもって減少できる。
【0034】
ステントにおけるあらゆるバルーン式拡張可能型の部分のための金属材料がステンレス・スチールまたはタンタルまたは2個のステンレス・スチールのチューブの間にタンタルを挟んだ複合式サンドイッチ構造のような慣用的な材料として定められていることが当然に理解されると考える。もちろん、ステントが自己拡張性である状態でステンレス・スチールのような慣用的な金属材料によりステントを作成することが可能である。例えば、ウォールステント(Wallstent(登録商標))(ミネソタ州プリマス、Schneider社)がこのような自己拡張型ステントである。なお、バルーン式拡張可能型であって自己拡張型でないようにするためには、このバルーン式膨張可能型ステントを慣用的な金属材料(すなわち、体温よりも低い温度において形状記憶特性を示さない材料)により作成し、パルマツ−シャッツ(Palmaz-Shatz)ステントにおいて使用されている構成のような自己拡張型ではない構成を有するようにすればよい。本発明のステントが慣用的なバルーン式拡張可能型の金属材料により形成した中央部分とウォールステント(Wallstent(登録商標))において使用されているような自己拡張性の構成を伴う慣用的な金属材料の使用により自己拡張性を有して作成された端部部分とを有することが可能であると考えられる。
【0035】
種々の別の変形、適応および別の構成が本明細書において記載した種々の教示に鑑みて当然に可能になる。それゆえ、本明細書に記載する特許請求の範囲およびその実施態様の範囲および趣旨を維持する限りにおいて本発明は本明細書に特定的に記載した以外の様式で実施可能であることが当然に理解されると考える。
【0036】
本発明の実施態様及び参考態様は以下の通りである。
(A)人体の脈管の開通性を維持するためのシステムにおいて、
柔軟性のガイド・ワイヤと、
前記ガイド・ワイヤが内部において摺動自在に移動できる内孔部を有し、さらに、膨張可能なバルーンが配置されている先端側部分を有するバルーン式血管形成カテーテルとを備えており、前記バルーンを約10気圧の圧力まで膨張した時にこのバルーンがその円筒形の中央部分において長さL4を有し、さらに、
前記バルーン式血管形成カテーテルのバルーン上に取り付けた予備拡張状態のハイブリッド型ステントを備えており、当該ステントが拡張状態の長さL5を有していて、L5>L4であり、さらに、前記ステントがバルーンにより拡張可能な中央部分および自己拡張性の端部部分を有しているシステム。
(1)前記端部部分が一定の転移温度を有する形状記憶合金により形成されており、前記転移温度が37℃よりも低い温度であり、当該転移温度よりも高い温度において前記端部部分がその所定の状態になろうとする実施態様(A)に記載のシステム。
(2)前記ステントの前記端部部分を形成するためにニチノール(Nitinol)が使用されている実施態様(1)に記載のシステム。
(3)前記ステントの拡張状態において当該ステントが前記膨張状態のバルーン上における概ね長手方向に沿う中央の位置に配置されている実施態様(A)に記載のシステム。
(4)前記長さL5は4mm乃至20mmであって、前記膨張状態のバルーンの長さL4よりも長い実施態様(A)に記載のシステム。
(5)前記ステントが前記バルーン式血管形成カテーテルのバルーン上にけん縮されている実施態様(A)に記載のシステム。
【0037】
(6)前記ステントが非拡張状態のステントの隙間の中にバルーンの部分を膨張させることにより膨張状態のバルーン上に嵌め合わせされる実施態様(A)に記載のシステム。
(7)前記ステントの各自己拡張型端部部分がエラストマーの端部チューブにより少なくとも部分的に被覆されており、当該エラストマー端部チューブが、ステントのバルーン式膨張可能型の中央部分を拡張するためにバルーンが膨張する際に、ステントの各エッジ部分よりも先の領域において外側に向かって摺動するように構成されている実施態様(A)に記載のシステム。
(8)前記ハイブリッド型ステントが放射性同位体型ステントである実施態様(A)に記載のシステム。
(9)前記放射性同位体型ステントがβ粒子線のエミッターである実施態様(8)に記載のシステム。
(10)前記β粒子線のエミッターがリン32(32P)である実施態様(9)に記載のシステム。
【0038】
(11)前記β粒子線のエミッタ−が0.1マイクロキューリー乃至100マイクロキューリーの供給源強度を有する実施態様(9)に記載のシステム。
(12)前記放射性同位体型のハイブリッド型ステントがガンマ線エミッターである実施態様(8)に記載のシステム。
(13)前記ガンマ線エミッターがパラジウム103(103 Pd)である実施態様(12)に記載のシステム。
(14)前記ガンマ線エミッターが0.1マイクロキューリー乃至100マイクロキューリーの供給源強度を有する実施態様(12)に記載のシステム。
(15)人体の脈管の狭窄部位内に自己拡張型のステントを配置するための方法において、
(a)自己拡張型の端部部分を有するハイブリッド型ステントをバルーン式血管形成カテーテルの先端部分に配置されたバルーン上に配置する工程を備えており、前記自己拡張型の端部部分が37℃よりも低い一定の転移温度を有する形状記憶金属により形成されており、前記ステントが前記バルーンを10気圧の圧力まで膨張させる際の当該バルーンの円筒形の中央部分の長さL4よりも長い長さL5を有しており、さらに、
(b)前記バルーン式血管形成カテーテル上に取り付けた前記ステントを人体の脈管内における狭窄部位の中に挿入する工程と、
(c)前記バルーンの中にコントラスト媒体または膨張用媒体を少なくとも6気圧の圧力まで注入する工程と、
(d)前記バルーンを収縮する工程と、
(e)前記バルーン式血管形成カテーテルを人体から取り外す工程とを備えている方法。
【0039】
(16)前記ハイブリッド型ステントが放射性同位体型のハイブリッド型ステントである実施態様(15)に記載の方法。
(17)前記ステントを作成している金属がニチノール(Nitinol)である請求項2に記載のシステム。
(B)人体の脈管の開通性を維持するためのシステムにおいて、
柔軟性のガイド・ワイヤと、
前記ガイド・ワイヤが内部において摺動自在に移動できる内孔部を有し、さらに、膨張可能なバルーンが配置されている先端側部分を有するバルーン式血管形成カテーテルとを備えており、前記バルーンを約10気圧の圧力まで膨張した時にこのバルーンがその円筒形の中央部分において長さL4を有し、さらに、
前記膨張可能なバルーン上にけん縮した予備拡張状態のハイブリッド型金属ステントを備えており、当該ステントが拡張状態において長さL5を有し、さらに、一定の転移温度を有する形状記憶金属により形成されている端部部分を有しており、前記転移温度が37℃よりも低い温度であって、当該転移温度よりも高い温度において前記ステントがその公称の拡張状態の直径を有している時の状態であるその所定の状態になろうとするシステム。
(18)前記ステントがその拡張状態において前記膨張状態のバルーン上における概ね長手方向に沿って中央の位置に配置される実施態様(B)に記載のシステム。
(19)前記長さL5が4mm乃至20mmであって、前記膨張状態のバルーンの長さL4よりも長い実施態様(B)に記載のシステム。
(20)前記ハイブリッド型ステントが放射性同位体型のハイブリッド型ステントである実施態様(B)に記載のシステム。
【0040】
(C)人体の脈管の開通性を維持するためのシステムにおいて、
柔軟性のガイド・ワイヤと、
前記ガイド・ワイヤが内部において摺動自在に移動できる内孔部を有し、さらに、膨張可能なバルーンが配置されている先端側部分を有するバルーン式血管形成カテーテルと、
前記膨張可能なバルーン上に配置された予備拡張状態のハイブリッド型金属ステントとを備えており、当該ステントが一定の転移温度を有する形状記憶金属により形成されている端部部分を有しており、前記転移温度が37℃よりも低い温度であって、当該転移温度よりも高い温度において前記ステントがその公称の拡張状態の直径を有している時の状態であるその所定の状態になろうとし、さらに、前記ステントが人体の温度で膨張可能なバルーンである中央部分を有しているシステム。
(21)前記ステントの全体がニチノール(Nitinol)により作成されている実施態様(C)に記載のシステム。
(22)前記ニチノール(Nitinol)のステントが37℃よりも明らかに高い転移温度を有するように熱処理された中央部分と、37℃よりも明らかに低い転移温度を有するように熱処理された端部部分とを有している実施態様(C)に記載のシステム。
(23)前記ステントがバルーン式膨張可能型の中央部分に固定して取り付けた自己拡張型の端部部分を有している実施態様(C)に記載のシステム。
(24)前記端部部分がニチノール(Nitinol)により形成されていて、前記中央部分がステンレス・スチールにより形成されている実施態様(C)に記載のシステム。
(25)前記端部部分がニチノール(Nitinol)により形成されていて、前記中央部分がタンタルにより形成されている実施態様(C)に記載のシステム。
【0041】
(26)前記ステントがその拡張状態において前記膨張状態のバルーン上における概ね長手方向に沿って中央の位置に配置される実施態様(C)に記載のシステム。
(27)前記ハイブリッド型ステントが放射性同位体型のハイブリッド型ステントである実施態様(C)に記載のシステム。
(D)人体の脈管の中に配置するためのハイブリッド型ステントにおいて、自己拡張型である端部部分と、慣用的な金属材料により形成されているバルーン式拡張可能型であって自己拡張型でないステント構成を有する中央部分とを有しているハイブリッド型ステント。
(28)前記端部部分が37℃よりも低い一定の転移温度を有する形状記憶合金により形成されている実施態様(D)に記載のハイブリッド型ステント。
(29)前記端部部分が自己拡張型の構成で慣用的な金属材料により形成されている実施態様(D)に記載のハイブリッド型ステント。
(30)前記中央部分がステンレス・スチールにより形成されている実施態様(D)に記載のハイブリッド型ステント。
【0042】
(31)前記中央部分がタンタルにより形成されている実施態様(D)に記載のハイブリッド型ステント。
(32)前記中央部分が2個のステンレス・スチールのチューブの間にタンタルの中央チューブを挟むことにより構成した複合体チューブにより形成されている実施態様(D)に記載のハイブリッド型ステント。
(33)前記自己拡張型の端部部分が自己拡張型の構成でステンレス・スチールにより作成されており、前記バルーン式拡張可能型の中央部分がバルーン式拡張可能型の構成でステンレス・スチールにより作成されている実施態様(D)に記載のハイブリッド型ステント。
(34)2個の部材片により形成されていて、第1の部材片が前記ハイブリッド型ステントの全長にわたって延在するニチノール(Nitinol)ステントであり、第2の部材片が前記第1の部材片の長手方向に沿って中央の位置に配置されている凹み部分の中に配置されたステンレス・スチールにより形成されている中央部分により構成されている実施態様(D)に記載のハイブリッド型ステント。
(35)2個の部材片により形成されていて、第1の部材片が前記ハイブリッド型ステントの全長にわたって延在するニチノール(Nitinol)ステントであり、第2の部材片が前記第1の部材片の長手方向に沿って中央の位置に配置されている凹み部分の中に配置されたタンタルにより形成されている中央部分により構成されている実施態様(D)に記載のハイブリッド型ステント。
【0043】
(36)2個の部材片により形成されていて、第1の部材片が前記ハイブリッド型ステントの全長にわたって延在するニチノール(Nitinol)ステントであり、第2の部材片が2個のステンレス・スチールのチューブの間に挟んだタンタルにより形成される中央チューブを有する複合体チューブにより形成されている中央部分であり、当該複合体チューブが前記第1の部材片の長手方向に沿って中央の位置に配置された凹み部分の中に配置されている実施態様(D)に記載のハイブリッド型ステント。
(E)人体の脈管の中に移植するのに適しているハイブリッド型ステントにおいて、2個の部材片により形成されていて、第1の部材片が中央部分と2個の端部部分とを有する自己拡張型ステントであり、第2の部材片が前記自己拡張型ステントよりも短い長さのバルーン式拡張可能型ステントであり、前記自己拡張型ステントが前記ハイブリッド型ステントの全長にわたって延在しており、前記第2の部材片が前記自己拡張型ステントの中央部分において同軸に配置されていて、前記バルーン式拡張可能型ステントが前記自己拡張型ステントの中央部分の拡張を拘束するように構成されているハイブリッド型ステント。
(37)前記バルーン式拡張可能型ステントが前記自己拡張型ステントの外側に同軸に取り付けられている実施態様(E)に記載のハイブリッド型ステント。
(38)前記バルーン式拡張可能型ステントがステンレス・スチールにより作成されている実施態様(E)に記載のハイブリッド型ステント。
(39)前記バルーン式拡張可能型ステントがタンタルにより作成されている実施態様(E)に記載のハイブリッド型ステント。
(40)前記自己拡張型ステントがステンレス・スチールにより作成されている実施態様(E)に記載のハイブリッド型ステント。
(41)前記自己拡張型ステントがニチノール(Nitinol)により作成されている実施態様(E)に記載のハイブリッド型ステント。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】ガイド・ワイヤおよび自己拡張型の端部部分を有するステントを含むバルーン式血管形成カテーテルを備えているシステムの先端側部分の長手方向に沿う断面図であり、このステントはカテーテルにおいて非膨張状態のバルーン上に嵌め合わせされている。
図2図1に示すシステムの長手方向に沿う断面図であり、狭窄した脈管の壁部に対してステントを供給するためにバルーンが膨張状態になっている。
図3】非膨張状態のバルーン上にけん縮されているが嵌め合わせされていないハイブリッド型ステントを拡張するためのシステムにおける先端側部分の長手方向に沿う断面図であり、このステント供給システムはステントの自己拡張型の端部部分の時期尚早の拡張を防止するためのシースを使用している。
図4】本発明のシステムの長手方向に沿う断面図であり、2個の自己拡張型の端部部分に連結したバルーン式拡張可能型のステント中央部分を示している。
図5】ステントの全長にわたる自己拡張型の部分および当該自己拡張型の部分の上に同軸に長手方向に沿って中央に配置されているバルーン式拡張可能型の部分を有するハイブリッド型ステントの長手方向に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0045】
10 システム
14 バルーン
15 ハイブリッド型ステント
20 ガイド・ワイヤ
30 バルーン式血管形成カテーテル
32P エラストマー・チューブ
32D エラストマー・チューブ
図1
図2
図3
図4
図5