特許第5653906号(P5653906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5653906
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】電気機械の回転子位置の判定
(51)【国際特許分類】
   H02P 27/06 20060101AFI20141218BHJP
【FI】
   H02P7/63 303V
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-505539(P2011-505539)
(86)(22)【出願日】2009年4月1日
(65)【公表番号】特表2011-519258(P2011-519258A)
(43)【公表日】2011年6月30日
(86)【国際出願番号】FI2009000043
(87)【国際公開番号】WO2009130363
(87)【国際公開日】20091029
【審査請求日】2011年10月28日
(31)【優先権主張番号】20080318
(32)【優先日】2008年4月24日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】591159044
【氏名又は名称】コネ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】KONE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100079991
【弁理士】
【氏名又は名称】香取 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】カウッピネン、 トゥウッカ
(72)【発明者】
【氏名】ストルト、 ラウリ
【審査官】 宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−124835(JP,A)
【文献】 特表2004−519189(JP,A)
【文献】 特開2003−180094(JP,A)
【文献】 特開2004−120888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 1/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷ブリッジおよび該負荷ブリッジの制御回路も含み、該負荷ブリッジと該負荷ブリッジに接続された電気機械との間で給電し、
該電気機械の少なくとも1つの電気パラメータ用の判定回路と、該電気機械の回転子の位置用の判定回路とを含む周波数変換器において、
負荷ブリッジは、基本的に一定の振幅を有し基本的にその基本波について連続であり基本的に正弦波状の第1の交流電気励磁信号および第2の交流電気励磁信号を前記電気機械に供給するように配設され、該第1および第2の交流電気励磁信号は、該電気機械の電気角基準値の関数として、該電気角基準値の値を変化させることにより形成され、該第1の交流電気励磁信号および第2の交流電気励磁信号は、それらの回転方向と反対の方向に配設され、該周波数変換器は、前記電気角基準値の関数として、前記第1および第2の交流電気励磁信号に対応する第1および第2の交流電気応答信号を得るように配設され、前記回転子の進み角は第1および第2の交流電気応答信号を基に判定することを特徴とする周波数変換器。
【請求項2】
請求項1に記載の周波数変換器において、前記交流電気励磁信号は前記電気角に従って変化させ、
前記回転子の進み角は第1の交流電気応答信号を基に求めることを特徴とする周波数変換器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の周波数変換器において、前記負荷ブリッジは、前記電気機械の求めた電気角の値でパルス状電気的励磁信号を該電気機械に供給するよう配設され、該周波数変換器は、前記パルス状電気的励磁信号に対応する複数のパルス状電気的応答信号を得るように配設され、該周波数変換器は、該パルス状電気的応答信号を基に前記電気機械の回転子の位置の基準点を得るように配設され、前記負荷ブリッジは、第2の交流電気励磁信号を前記電気機械に供給するように配設され、該第2の交流電気励磁信号は、該電気機械の電気角に対して形成され、第2の交流電気励磁信号に対応する第2の交流電気応答信号の移相量は、前記電気機械の回転子の位置の基準点と第2の交流電気応答信号にも基づいて得ることを特徴とする周波数変換器。
【請求項4】
請求項1ないしのいずれかに記載の周波数変換器において、該周波数変換器は、前記電気機械の作動状態を示す信号用の入力を含み、該電気機械の回転子の位置は、該回転子を動かさない状態で判定することを特徴とする周波数変換器。
【請求項5】
電気機械および該電気機械に接続された周波数変換器も含み、該電気機械は回転子の動きを防ぐ機械ブレーキを含み、さらに該機械ブレーキの制御回路を含み、
前記周波数変換器は、負荷ブリッジおよび該負荷ブリッジの制御回路も含み、該負荷ブリッジと該負荷ブリッジに接続された電気機械との間で給電し、
前記周波数変換器は、前記電気機械の少なくとも1つの電気パラメータ用の判定回路を含み、該周波数変換器は、該電気機械の回転子の位置用の判定回路を含む電気駆動装置において、
前記電気機械の機械ブレーキは、前記回転子の位置を判定中は、該回転子の動きを防ぐように制御され、前記負荷ブリッジは、基本的に一定の振幅を有し基本的にその基本波について連続である第1および第2の基本的に正弦波状の交流電気励磁信号を前記電気機械に供給するように配設され、該第1および第2の交流電気励磁信号は、該電気機械の電気角基準値の関数として、該電気角基準値の値を変化させることにより形成され、前記周波数変換器は、前記電気角基準値の関数として、第1および第2の交流電気励磁信号にそれぞれ対応する第1および第2の交流電気応答信号を得るように配設され、前記回転子の進み角は第1および第2の交流電気応答信号を基に判定することを特徴とする電気駆動装置。
【請求項6】
請求項に記載の電気駆動装置において、前記交流電気励磁信号は前記電気角に従って変化させ、
前記回転子の進み角は、第1の交流電気応答信号を基に求めることを特徴とする電気駆動装置。
【請求項7】
電気機械の回転子の位置判定方法において、該方法は、
−前記電気機械の回転子の位置を判定中は、該回転子の動きを防ぎ、
−基本的に一定の振幅を有し、基本的にその基本波について連続である第1および第2の基本的に正弦波状の交流電気励磁信号が該電気機械の電気角基準値の関数として、該電気角基準値の値を変化させることにより形成され、
−第1および第2の交流電気励磁信号を前記電気機械に供給し、
−第1および第2の交流電気励磁信号に対応する第1および第2の交流電気応答信号を前記電気角基準値の関数として得て、
−前記回転子の進み角を第1および第2の交流電気応答信号を基に判定することを特徴とする電気機械の回転子の位置判定方法。
【請求項8】
請求項に記載の方法において、該方法は、
−前記交流電気励磁信号を前記電気角に従って変化させ、
−前記回転子の進み角を第1の交流電気応答信号を基に求めることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項またはに記載の方法において、該方法は、
−前記電気機械の電気角の値でパルス状電気的励磁信号を形成し、該パルス状電気的励磁信号を該電気機械に供給し、
−前記パルス状電気的励磁信号に対応する複数のパルス状電気的応答信号を得て、
−該パルス状電気的応答信号を基に前記電気機械の回転子の位置の基準点を得て、
−第2の交流電気励磁信号を前記電気機械の電気角に対して形成し、該第2の交流電気励磁信号を該電気機械に供給し、
第2の交流電気励磁信号に対応する第2の交流電気応答信号の移相量を前記電気機械の回転子の位置の基準点および第2の交流電気応答信号を基に求めることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【詳細な説明】
【0001】
本発明の対象は、請求項1の前段に記載の周波数変換器、請求項6の前段に記載の電気駆動装置、および請求項8の前段に記載の電気機械の回転子の位置判定方法である。
【0002】
電気機械の制御では、回転子の位置は従来、レゾルバなどの絶対位置符号化器で識別していた。最近、様々なセンサレス位置識別方式が開発されている。それらは、電気機械の磁気回路のインダクタンス測定やモータの電源電圧推定に基づくものである。
【0003】
電気機械の制御方法のうち、例えばベクトル制御方法は一般に、とくに同期機械駆動装置では、回転子の始点の識別を必要とする。走行開始時や低速時に生ずる位置誤差によって、モータは制御不能状態になって危機的状況になることがある。
【0004】
公知の方法では、固定子巻線に直流を給電し、磁化した回転子を解放して自由に動ける状態にし、その場合、回転子は固定子磁化によって回転しようさせることによって、回転子と固定子の間の始点を同期させる先行技術がある。この場合、問題は回転子の初期揺動にある。そのため、適用例によっては駆動の滑らかさが損なわれ、実際、危険なことさえあり得る。
【0005】
電気機械の磁気回路のインダクタンスの変化を測定することによって回転子の始点を判定する方法も開発されている。この種の方法は、例えば刊行物、"Peter B. Schmidt, Michael L. Gasperi, Glen Ray, Ajith H. Wijenayake: Initial Rotor Angle Detection Of A Non-Salient Pole Permanent Magnet Synchronous Machine" IEEE Industry Application Society, Annual Meeting, New Orleans, Louisiana, October 5-9, 1997に提示されている。この提示刊行物は、永久磁石モータの回転子位置の識別方法を提供し、これは、モータの電気角の測定値でパルス状電圧信号を永久磁石モータの固定子巻線に励磁信号として供給し、供給されたパルス状電圧信号で生じた電流応答信号を測定するものである。電気機械のインダクタンスはこの場合、電流応答から求めることができる。十分に多数の異なる電気角の値で測定を繰り返すと、インダクタンスの変化を測定することができる。インダクタンスの変化はとりわけ、回転子磁化に起因する磁気回路の飽和現象に基づくので、回転子と固定子の間の位置も判定することができる。
【0006】
上述の固定子位置の判定には、パルス状電圧信号とその電流応答信号によって電気機械に大きな擾乱騒音が生ずる問題がある。このような制御を受けた電気機械を、例えば居住建物に使用すると、実際、騒音に悩まされることがあり、電気機械の遮音が必要なことがある。例えば、巻上機を上述の方法で制御するエレベータシステムの場合、いくつかの問題が生ずることがある。具体的には、巻上機が建物のエレベータ昇降路に配置された機械室なしエレベータシステムの場合、問題が生ずることがある。また、上述の回転子位置の判定方法では、多数の異なる電気角の値で別々にパルス状電圧信号を供給して十分な精度を達成することによってインダクタンス測定を行なわなければならず、測定時間が長引くとともに測定に起因する騒音の時間も長引く問題がある。
【0007】
米国特許第6401875号には、永久磁石モータの回転子位置の識別方法が提示され、これは、電流信号を永久磁石モータの回転子巻線に多数の異なる電気角の値で個々に供給し、供給された電流信号に対応する電源電圧信号を測定するものである。この場合、電気機械のインダクタンスは電源電圧信号から求めることができる。十分に多数の異なる電気角の値で測定を繰り返すと、インダクタンスの変化を求めることができる。インダクタンスの変化はとりわけ、回転子磁化に起因する磁気回路の飽和現象に基づくので、回転子と固定子の間の位置も判定することができる。
【0008】
本発明の目的は、従来技術の説明で上掲した諸問題および以下の発明の説明に開示する諸問題を解決することである。この場合、従来技術より静粛で高速な電気機械の回転子位置の判定の仕方を開示する。本発明による電気機械の回転子位置の判定によって、例えば、回転子の進み角を求めて電気機械を制御することができる。
【0009】
本発明による周波数変換器は、請求項1の特徴段に開示の事項を特徴とする。本発明による電気駆動装置は、請求項6の特徴段に開示の事項を特徴とする。本発明による電気機械の回転子の位置判定方法は、請求項8の特徴段に開示の事項を特徴とする。本発明の他の特徴は、他の請求項に開示の事項を特徴とする。発明のいくつかの実施例は、本願の詳細な説明にも記載されている。本願の発明内容は、以下に提示する特許請求の範囲とは違った定義もできる。発明内容はまた、とくに表現上、もしくは内在するサブタスクの観点で、または達成する利点もしくは各範疇の利点の観点から考察すると、いくつかの別個の発明からなることもある。その場合、以下の特許請求の範囲に含まれる諸属性のいくつかは、個々の発明概念の観点から不要なこともある。
【0010】
本発明による周波数変換器は、例えば電流中間回路付周波数変換器、電圧中間回路付周波数変換器、およびマトリクス変換器でよい。
【0011】
本発明による電気機械は、例えば電動機または発電機でよい。この場合、電気機械は、例えば回転子巻線付もしくは永久磁石で磁化された同期機械、またはブラシレス直流機でよい。電気機械はまた、例えばステップモータまたはリラクタンスモータでもよい。電気機械は、回転型でよく、またはリニアモータ原理で作動するように構成してもよい。
【0012】
本発明の一実施例では、モータ駆動装置は輸送システムの輸送装置を動かすように構成されている。この種の輸送システムは、例えばエレベータシステム、エスカレータシステム、トラベレータシステム、直接駆動エレベータシステム、クレーンシステムまたは車両システムでよい。モータ駆動装置をエレベータシステムに配備する場合、電気機械は、エレベータの巻上げロープまたは巻上げベルトに接続されたトラクションシーブを含んでもよい。この場合の電気機械は、ギア付きまたはギアなしのいずれでもよい。
【0013】
電気機械の電気角とは、電気機械内で回転する磁束の周期長で決まる角度値を言う。本発明の一実施例では、磁束の周期長はこの場合、電気機械における360度の電気角に相当する。
【0014】
本発明において、交流電気励磁信号とは、交流電気信号、基本的にはその基本波について連続的であり、電気機械の電気角に対して形成され電気角に従って変化するものを言う。この種の交流電気励磁信号は、例えばモータの電気角の関数として決まる基本的に正弦波状の電圧信号または電流信号である。したがって交流電気励磁信号は、電気角の値が変化するときのみ変化する。すなわち、電気角の値が一定であると、交流電気励磁信号も変化しないままである。
【0015】
本発明において、パルス状電気的励磁信号とは、基本的に電気機械のある一定値の電気角でパルス状に形成される信号を言う。
【0016】
本発明において、電気機械の電気パラメータとは、例えば電気機械の電流、電圧および出力を言う。
【0017】
本発明による周波数変換器は、負荷ブリッジおよび負荷ブリッジの制御回路も含み、負荷ブリッジと負荷ブリッジに接続された電気機械との間で給電する。周波数変換器はまた、上述の電気機械の少なくとも1つの電気パラメータ用の判定回路と、上述の電気機械の回転子位置用の判定回路とを含む。負荷ブリッジは、第1の交流電気励磁信号を上述の電気機械に供給するように配設され、この第1の交流電気励磁信号は、電気機械の電気角に対して形成される。周波数変換器は、上述の第1の交流電気励磁信号に対応する第1の交流電気応答信号を得るように配設され、回転子の位置は第1の交流電気応答信号を基に求める。
【0018】
本発明の一実施例では、交流電気励磁信号は電気角に従って変化させ、回転子の進み角は第1の交流電気応答信号を基に求める。
【0019】
本発明による電気駆動装置は、電気機械および電気機械に接続された周波数変換器も含む。電気機械は回転子の動きを防ぐ機械ブレーキを含み、電気駆動装置は機械ブレーキの制御回路を含む。周波数変換器は、負荷ブリッジおよび負荷ブリッジの制御回路も含み、負荷ブリッジと負荷ブリッジに接続された電気機械との間で給電する。周波数変換器は、上述の電気機械の少なくとも1つの電気パラメータ用の判定回路を含む。周波数変換器は、上述の電気機械の回転子位置用の判定回路を含む。上述の電気機械の機械ブレーキは、回転子位置の判定中、回転子の動きを防ぐように制御され、負荷ブリッジは、第1の交流電気励磁信号を上述の電気機械に供給するように配設され、この第1の交流電気励磁信号は、電気機械の電気角に対して形成される。周波数変換器は、上述の第1の交流電気励磁信号に対応する第1の交流電気応答信号を得るように配設され、回転子位置は第1の交流電気応答信号を基に求める。
【0020】
本発明による電気機械の回転子の位置判定方法では、電気機械の電気角に対して第1の交流電気励磁信号を形成し、第1の交流電気励磁信号を電気機械に供給し、第1の交流電気励磁信号に対応する第1の交流電気応答信号を得て、さらに回転子位置を第1の交流電気応答信号を基に求める。
【0021】
本発明の一実施例では、電気機械の電気パラメータの判定回路は電流検出器を含む。電流検出器は、例えば変流器、ホール効果検出器、磁気抵抗検出器または測定用抵抗器でよい。
【0022】
本発明の一実施例では、電気機械の電気パラメータの判定回路は電圧検出器を含む。電圧検出器は、例えば測定用変成器、線形光遮断器または測定用抵抗器でよい。
【0023】
本発明の一実施例では、交流電圧信号を交流電気励磁信号として構成し、交流電流信号を交流電気応答信号として構成する。
【0024】
本発明の第2の実施例では、交流電流信号を交流電気励磁信号として構成し、交流電圧信号を交流電気応答信号として構成する。
【0025】
電気機械の回転子位置を第1の交流電気応答信号に基づいて求める際、測定に起因する電気機械の騒音は従来技術より静かである。これは、本発明で提示されるように第1の交流電気励磁信号は本質的にその基本波について一定であり、例えばパルス状電流信号または電圧信号を電気機械に励磁信号として供給する従来技術の方法と同じタイプの擾乱騒音を電気機械に生ずることがないからである。本発明で提示されるように、第1の交流電気励磁信号は電気機械の電気角について形成されるので、磁気回路のインダクタンスを電気機械の各電気角間隔ごとにすべて第1の交流電気励磁信号で測定することができ、電気機械の多数の求めた別々の電気角の値で測定を行なう必要がなく、測定が高速になる。
【0026】
第1および第2の交流電気励磁信号はその回転方向が互いに逆の方向に構成されているが、これらを電気機械に供給すると、交流電気励磁信号と対応の交流電気応答信号の間の移相は、測定誤差を生ずるものであるが、これを補償することができる。これは、上述の移相の正負符号桁が交流電気励磁信号の回転方向の変化とともに変わるためである。この場合、第1の交流電気励磁信号と第1の交流電気応答信号の間の移相は、第2の交流電気励磁信号と第2の交流電気応答信号の間の移相に対して方向が反対であり、この反対方向の移相は、互いの間で補償することができる。
【0027】
電気機械の回転子の進み角を本発明によって求める場合、歩進検出器でなく絶対値検出器を使用して電気機械を制御することができる。この場合、歩進検出器は必ずしも電気機械の軸に直接配設する必要はなく、これに代わって、例えばエレベータの巻上機のトラクションシーブに接続するなど、電気機械の回転部に、例えば粘着摩擦を介して配設することができ、これによって検出器の配設が簡略になる。この場合、絶対値検出器に代わって、例えば符号化器を検出器として使用することもでき、これは一般に、絶対値検出器より費用効率が高い。
【0028】
以下に、添付図面を参照して、本発明のいくつかの実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明による電圧中間回路付周波数変換器を示す図である。
図2】本発明による第2の周波数変換器を示す図である。
図3】本発明による電気機械の回転子位置の判定回路を示す図である。
図4】本発明による回転子位置の1回の判定における電気機械の電気パラメータを示す図である。
図5】本発明による交流電流応答信号の振幅を電気機械の電気角の関数として示す図である。
図6】本発明による電気機械の磁気回路を示す図である。
図7】従来技術による回転子位置の判定の仕方を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明による電圧中間回路付周波数変換器1を示す。周波数変換器は、電源回路と電動機4の間で給電するように構成されている。本発明のこの実施例では、電動機4は永久磁化同期モータである。周波数変換器は負荷ブリッジ2を含み、これは、電動機4に接続されて電動機と負荷ブリッジの間で給電する。負荷ブリッジ2は制御可能な固体スイッチを含む。電動機4の電源電圧は、負荷ブリッジ2の固体スイッチを負荷ブリッジの制御回路3でパルス幅変調制御することによって形成される。周波数変換器は電流検出器5を含み、これは、固定子の給電線に接続されて固定子電流を測定するように構成されている。電動機の回転子位置用の判定回路6も配備され、負荷ブリッジの制御回路3に接続されている。
【0031】
負荷ブリッジ2は、第1の交流電圧励磁信号7を電動機4に供給するよう構成されている。交流電圧励磁信号は、電気機械の電気角18に対して形成される。交流電圧励磁信号の振幅は基本的に一定であり、この励磁信号は上述の電気角18の関数として変化する。供給された交流電圧励磁信号7で電動機の固定子巻線に生ずる電流は、電流検出器5で測定する。測定された電流は、供給された第1の交流電圧励磁信号7に対応する第1の交流電流応答信号9、16を形成し、電動機の回転子位置は、得た上述の第1の交流電流応答信号9、16を基に求める。
【0032】
図2は、本発明による第2の周波数変換器1を示す。本発明のこの実施例では、周波数変換器の負荷ブリッジ2はマトリクス変換器として実現されている。電動機4の電源電圧はこの場合、負荷ブリッジ2の固体スイッチを負荷ブリッジの制御回路3で制御して、電動機4の相が電源回路の求めた相に過渡的に接続されて電動機4の意図した電源電圧を得るようにすることで形成される。
【0033】
負荷ブリッジ2は、第1の交流電圧励磁信号7を電動機4へ図1の実施例に従って供給するように構成されている。供給された交流電圧励磁信号7で電動機の固定子巻線に生ずる電流も、図1の実施例におけるように測定する。測定した電流は、供給された第1の交流電圧励磁信号7に対応する第1の交流電流応答信号9、16を形成し、電動機の回転子位置は、得られた上述の第1の交流電流応答信号9、16を基に求める。
【0034】
本発明で言う負荷ブリッジ2の制御可能な固体スイッチとは、例えばIGBTトランジスタ、MOSFETトランジスタまたはサイリスタでよい。
【0035】
図3は、本発明による電気機械の回転子の位置の一判定回路6をブロック図として示す。電気機械4の回転子は、回転子位置の判定中は動かないようにする。変換ブロック22は、振幅基準信号U^と電気機械の電気角基準値θとから電気機械の三相電源電圧基準信号UR、US、UTを形成する。その場合、三相電源電圧基準信号は、電気角基準値θの関数として形成される。R相の電源電圧基準信号URは、この場合、U^sinθの形をとる。負荷ブリッジの制御回路3は、負荷ブリッジ2の固体スイッチを上述の三相電源電圧基準信号UR、US、UTに従って制御し、電気機械の第1の三相交流電圧励磁信号7を形成する。本発明のこの実施例では、電気角基準値θの値を均等に変化させる。その場合、電源電圧基準信号の回転速度とともに、交流電圧励磁信号7、8の回転速度は一定である。電気機械の巻線に第1の三相交流電圧励磁信号によって生ずる第1の三相交流電流応答信号IR、IS、ITは、電気機械の電気角基準値θの関数として測定される。測定した第1の三相交流電流応答信号9、16の振幅は、ある従来技術の方法で、例えば三相交流電流応答信号の電流ベクトルの回転指標を形成することによって求める23。電気機械の磁気回路のインダクタンスが変化すると、測定した第1の交流電流応答信号9、16の振幅I^も電気角基準値θの関数I^(θ)として変化する。磁気回路のインピーダンスによって、供給された交流電圧励磁信号7と測定した第1の交流電流応答信号9、16の間に位相差も形成される。この位相差を補償するために、第2の交流電圧励磁信号8を電気角基準値θの関数として供給することによって上述の測定を繰り返す。第2の交流電圧励磁信号8の回転方向は、第1の交流電圧励磁信号7の回転方向と反対の方向に選択する。その場合、第1の交流電圧励磁信号7と第1の交流電流応答信号9、16の間の位相差は、第2の交流電圧励磁信号8と第2の交流電流応答信号10、17の間の位相差に対して反対の方向になるように形成する。図4は、R相の第1の交流電圧励磁信号7とR相の第2の交流電圧励磁信号8も示し、これらは続いて形成されている。交流電圧励磁信号の振幅は、それ以外は一定であるが、第2の交流電圧励磁信号8は、始めが減少している。これは、交流電圧励磁信号の回転方向が変化すると電気機械の巻線電流に影響を与える変化現象が生ずるためであり、交流電圧励磁信号8の電圧の振幅を一時的に小さくすることによってこれを補償しようとする。図4は、第1の交流電圧励磁信号7に対応する第1の交流電流応答信号9の振幅も電気角の関数I^(θ)として示し、同様に第2の交流電圧励磁信号8に対応する第2の交流電流応答信号10の振幅も電気角の関数として示す。図5は、第1の交流電流応答信号16と第2の交流電流応答信号17の振幅を電気機械の電気角基準値θの電気角0〜360度の周期長について、より詳細に示す。振幅の電気角基準値θ18の関数としての変化は、電気機械の磁気回路のインダクタンスが、とりわけ磁気回路の局部的飽和によって変化することによる。ここで、局部的変化とは、電気機械の電気角に対して変化するタイプの磁気回路の飽和現象を言う。この種の局部的飽和は、とりわけ回転子の永久磁石に起因する。その場合、回転子の永久磁石の位置は、局部的飽和を利用して求めることができる。その一方、磁気回路の幾何学的変化、例えば電気機械の空隙の長さの変化もまた、電気機械の磁気回路のインダクタンスを局部的に変化させる。この種の空隙の長さの局部的変化は、例えば突出極電気機械において生ずる。上述のタイプの電気機械の磁気回路の幾何学的変化による電気機械の磁気回路のインダクタンスの局部的変化もまた、本発明による回転子位置の判定に使うことができる。こうして回転子の進み角、すなわち回転子の磁極の位置は、回転子をその位置に固定する状態で求めることができる。
【0036】
図5からやはり可能なのは、第1の交流電流応答信号16の振幅と第2の交流電流応答信号17の振幅の各グラフI^(θ)間の位相差32を検出することである。この位相差は、第1の交流電圧励磁信号7と第2の交流電圧励磁信号8の回転方向が互いに反対であることに起因する。この場合、第1の交流電圧励磁信号7と第1の交流電流応答信号16の間の移相の方向は、第2の交流電圧励磁信号8と第2の交流電流応答信号17の間の位相差とは反対であるので、第1の交流電流応答信号16と第2の交流電流応答信号17の間の位相差を補償することができる。
【0037】
電気機械の回転子の位置は第1および第2の交流電流応答信号から次のようにして判定する。すなわち、第1および第2の交流電流応答信号を測定し、測定した信号を基に交流電流応答信号の振幅を電気角基準値の関数I^(θ)として求める。交流電流応答信号の求めた振幅を記録し、その場合、交流電流応答信号の振幅のグラフ16、17を図5に記載の電気角基準値の関数として形成する。振幅の最大値に対応する電気角の値を第1の交流電流応答信号16および第2の交流電流応答信号17の振幅のグラフから求める。これは以下のようにする。すなわち、測定した最大の交流電流応答信号の振幅の値を識別し、最大値の周囲の測定点を使って、例えば最小自乗法で近似曲線27、例えば放物線を形成する。この後、放物線27の最大値に対応する電気角の値25を求める。電気角の値25、26は、交流電流応答信号の振幅の第1のグラフ16と第2のグラフ17について別々に求め、回転子の位置情報を含む電気角の値28は、第1の交流電流応答信号の振幅のグラフ16の最大値に対応する電気角の値25および第2の交流電流応答信号の振幅のグラフ17の最大値に対応する電気角の値26の平均値として求まる。その場合、交流電圧励磁信号7、8と交流電流応答信号の間の位相差は補償される。この場合、回転子の位置情報を含む電気角の値28は、図6に示すような回転子における点に相当し、固定子電流で生ずる磁化30の方向は、回転子磁石29の磁束に対して収束する。
【0038】
図7は、従来技術による回転子位置の判定方法を示す。この場合、負荷ブリッジ2は、パルス状電気的励磁信号19を電気機械の所定の値の電気角θで供給するように構成され、周波数変換器は、上述のパルス状電気的励磁信号に対応する複数のパルス状電気的応答信号を得るように構成されている。周波数変換器はさらに、上述のパルス状電気的応答信号を基に電気機械の回転子位置の基準点28を得るように構成されている。
【0039】
本発明の一実施例では、負荷ブリッジ2は、第2の交流電気励磁信号8を上述の電気機械に供給するように構成され、第2の交流電気励磁信号は電気機械の電気角θ18に対して形成される。この場合、第2の交流電気励磁信号8に対応する第2の交流電気応答信号10、17の移相量20は、電気機械の回転子位置の基準点28および第2の交流電気応答信号17を基に求める第2の交流電気励磁信号8に対応する第2の交流電気応答信号10、17の上述の移相量20は、図5に示されている。
【0040】
本発明をそのいくつかの実施例を挙げて上述した。当業者に明らかなように、本発明が上述の実施例に限定されることはなく、以下に提示する特許請求の範囲で定義される発明概念の範囲内で多くの他の適用例が可能である。
【0041】
当業者に明らかなように、第1および第2の交流電気励磁信号などの第1および第2の電気的励磁信号は、1つの励磁信号に、例えば第1および第2の電気的励磁信号を続けて組み合わせることによって組み合わせることができる。この場合、第1および第2の電気的応答信号もまた、組み合わせた励磁信号に応答する組合せ電気的応答信号として得ることができる。
【0042】
当業者にさらに明らかなように、本発明による電気機械の回転子位置の判定方法は、様々な測定装置方式を使用して実施することができ、その場合、周波数変換器以外の他の何らかの電源方式を使用して電気機械に励磁信号を供給することもできる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7