特許第5653912号(P5653912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5653912マルチキャスト・グループ管理のための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5653912
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】マルチキャスト・グループ管理のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/70 20130101AFI20141218BHJP
   H04W 4/08 20090101ALI20141218BHJP
【FI】
   H04L12/70 F
   H04W4/08
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-510933(P2011-510933)
(86)(22)【出願日】2009年5月7日
(65)【公表番号】特表2011-525313(P2011-525313A)
(43)【公表日】2011年9月15日
(86)【国際出願番号】EP2009055515
(87)【国際公開番号】WO2009144125
(87)【国際公開日】20091203
【審査請求日】2011年12月6日
(31)【優先権主張番号】08305210.0
(32)【優先日】2008年5月29日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501263810
【氏名又は名称】トムソン ライセンシング
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(72)【発明者】
【氏名】リャオ,ニン
(72)【発明者】
【氏名】シ,ユン・タオ
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジュン
【審査官】 松崎 孝大
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−506300(JP,A)
【文献】 特表2009−512315(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0076715(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/70
H04W 4/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
WiMAXネットワーク装置におけるマルチキャスト・グループ管理の方法であって、
移動局がマルチキャスト・サービスに加入したい場合、前記方法は、
前記マルチキャスト・サービスを送信するために前記WiMAXネットワーク装置と前記移動局との間のWiMAX MAC層接続を確立する工程であって、前記マルチキャスト・サービスのマルチキャスト・アドレスが動的サービス追加メッセージに含まれる工程と、
前記動的サービス追加メッセージに基づいて、前記マルチキャスト・サービスを判定する工程と、
前記マルチキャスト・サービスが前記ネットワーク装置において利用可能でない場合に、前記マルチキャスト・サービスへの加入を示すIGMPメッセージを送出する工程と
を含む方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、前記移動局が前記マルチキャスト・サービスから離脱したい場合、前記方法は、
前記WiMAX MAC層接続を解放する工程であって、前記マルチキャスト・サービスのマルチキャスト・アドレスが動的サービス削除メッセージに含まれる工程と、
前記動的サービス削除メッセージに基づいて、前記マルチキャスト・サービスを判定する工程と、
前記移動局が、前記ネットワーク装置を介して前記マルチキャスト・サービスを受信する唯一のものである場合に、前記マルチキャスト・サービスからの離脱を示すIGMPメッセージを送出する工程と
を更に含む方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、
少なくとも1つの移動局と少なくとも1つのマルチキャスト・サービスとの関係を示すデータベースを保持する工程であって、前記MAC層接続を確立又は解放するために使用されるメッセージから前記マルチキャスト・サービスが導き出される場合に前記データベースが更新される工程と、
前記データベースの内容に基づいて前記少なくとも1つの移動局の代わりにプロキシ機能を行う工程と
を更に含む方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法であって、前記ネットワーク装置及び地局が、別々の装置である場合、前記方法は、
前記MAC層接続を確立又は解放するために使用されるメッセージから前記基地局によって導き出される、加入又は離脱を前記移動局が行いたいマルチキャスト・サービスを示す情報を前記基地局から受信する工程を更に含む方法。
【請求項5】
請求項記載の方法であって、更に、
地局が前記移動局の例外的な電源切断又は終りを検出し、相応に更新するよう前記データベースに要求する方法。
【請求項6】
送信モジュールを備えた、マルチキャスト・グループ管理のための装置であって、
マルチキャスト・サービスを送信するためにWiMAXネットワーク装置と移動局との間のWiMAX MAC層接続を確立するよう構成された処理モジュールであって、前記マルチキャスト・サービスのマルチキャスト・アドレスが動的サービス追加メッセージに含まれ、更に、前記動的サービス追加メッセージに基づいて、前記マルチキャスト・サービスを判定し、前記マルチキャスト・サービスがネットワーク装置において利用可能でない場合に、前記マルチキャスト・サービスへの加入を示すIGMPメッセージを前記送信モジュールを介して送出するよう構成された処理モジュール、
を更に備える装置。
【請求項7】
請求項6記載の装置であって、前記処理モジュールは、前記WiMAX MAC層接続を解放するよう更に構成され、前記マルチキャスト・サービスのマルチキャスト・アドレスが動的サービス削除メッセージに含まれ、前記処理モジュールは、前記動的サービス削除メッセージに基づいて、前記マルチキャスト・サービスを判定し、前記移動局が、前記ネットワーク装置を介して前記マルチキャスト・サービスを受信する唯一のものである場合に、前記マルチキャスト・サービスからの離脱を示すIGMPメッセージを送出するよう更に構成される装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の装置であって、
少なくとも1つの移動局と少なくとも1つのマルチキャスト・サービスとの関係を示すデータベースを更に備え、
前記処理モジュールは、前記MAC層接続を確立又は解放するために使用されるメッセージから前記マルチキャスト・サービスが導き出された場合に前記データベースを更新するよう更に構成される装置。
【請求項9】
請求項6乃至8の何れか一項に記載の装置であって、前記装置及び地局が別々の装置である場合、前記装置は、前記移動局が加入又は離脱したいマルチキャスト・サービスを示す情報を前記基地局から受信するよう構成され、前記情報は、前記MAC層接続を確立又は解放を行うために使用されるメッセージから前記基地局によって導き出される装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ通信に関し、特に、マルチキャスト・グループ管理に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット・グループ管理プロトコル(IGMP)は、インターネット・プロトコル・マルチキャスト・グループのメンバシップを管理するために使用される通信プロトコルである。IGMPは、マルチキャスト・グループ・メンバシップを確立するためにIPホスト及び隣接するマルチキャスト・ルータによって使用される。例として、IPホストは、一マルチキャスト・グループに対応するマルチキャスト・サービスに加入したい場合、IGMPを使用してマルチキャスト・グループに加入する。更に、IPホストはIGMPを用いてそのマルチキャスト・グループのメンバシップを直接隣接するマルチキャスト・ルータに報告する。マルチキャスト・リスナ・ディスカバリ(MLD)は、Ipv6におけるホストルータ部分の同等のプロトコルである。
【0003】
報告メッセージは2つの場合にトリガされる。ホストは、マルチキャスト・ストリームを受信したい場合、そのグループに加入するための要求されていないメンバシップ報告メッセージを局所ルータに送出する。別のケースは、ホストが、クエリ・メッセージへの応答でその関心グループの報告メッセージを生成するというものである。
【0004】
離脱報告メッセージは、マルチキャスト・グループを離脱する際にホストによって送出されるIGMPv2によって規定される。これは、グループ・メンバシップ終結がユーザにすばやく報告されることを可能にする。
【0005】
マルチキャスト・ルータは、IGMPを使用して、接続された物理ネットワークそれぞれにどのグループがメンバを有するかを知る。ルータは、接続されたネットワーク毎にマルチキャスト・グループ・メンバシップのリストを保持し、ホスト・メンバシップ・クエリ・メッセージを全ホスト・グループ・アドレス224.0.0.1に周期的に送出することにより、リストを維持する。送出されたクエリ・メッセージに応じた特定のマルチキャスト・グループのメンバシップ報告メッセージが所定の時間内に受信されなかった場合、マルチキャスト・グループに関連付けられたマルチキャスト・サービスをホストが受信していないとルータはみなす。更に、その結果、マルチキャスト・グループの記録が削除され、対応するマルチキャスト・パケットは、サブネットワークにルーティングされない。よって、「マルチキャスト・グループ・メンバシップ」は、マルチキャスト・グループの少なくとも一メンバの存在を意味する。なお、ルータは、マルチキャスト・サービスを受信するホストのリストを保持しなくてよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
IEEE 802.16(WiMAX。ワイマックス)などの無線通信ネットワークは、マルチキャスト・グループを管理するためにIGMPを利用することが可能である。しかし、時間変動性フェージングやバースト誤りなどの要因により、移動局(MS)などの受信装置と基地局(BS)などのアクセス装置との間のエア・インタフェースは通常、信頼度が低い。よって、IGMP関連メッセージは失われるか、又は正しく受信されず、それにより、サービス割り込みがもたらされ得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面によれば、ネットワーク装置におけるマルチキャスト・グループの管理の方法が提供される。移動局がマルチキャスト・サービスに加入したい場合、前記方法は、
前記マルチキャスト・サービスを判定する工程であって、前記マルチキャスト・サービスが、前記移動局と、前記移動局が接続される基地局との間でMAC層接続を確立するために使用されるメッセージから導き出される工程と、前記マルチキャスト・サービスが前記ネットワーク装置において利用可能でない場合に、前記マルチキャスト・サービスへの加入を示すIGMPメッセージを送出する工程とを含む。
【0008】
本発明の別の局面によれば、マルチキャスト・グループ管理のための装置を提供する。装置は、送信モジュール(803)と、マルチキャスト・サービスを判定し、上記マルチキャスト・サービスが、移動局と基地局との間でMAC層接続を確立するために使用されるメッセージから導き出され、上記マルチキャスト・サービスがネットワーク装置において利用可能でない場合に、上記マルチキャスト・サービスへの加入を示すIGMPメッセージを送信モジュールを介して送出するよう構成された処理モジュール(802)とを備える。
【0009】
本発明の局面によれば、受信器装置に代わってプロキシ機能を装置が行うために、装置と受信器装置との間で交換されるメッセージが削減され、よって、サービス中断の確率が削減される。
【0010】
本発明の上記概要の説明、及び以下の詳細な説明は、説明のためであり、例示的なものに過ぎない。
【0011】
本発明の更なる理解をもたらすために含められ、本出願に組み入れられ、本出願の一部を構成する添付図面は、本発明の原理を説明する役目を担う明細書とともに本発明の実施例を示す。よって、本発明は、前述の実施例に限定されるものでない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】マルチキャスト・サービスのモバイルWiMAXネットワークを示すブロック図である。
図2】マルチキャスト・グループを管理するための従来の手法を示すメッセージ系列チャートである。
図3】本発明の実施例による、マルチキャスト・グループを管理する方法を示すメッセージ系列チャートである。
図4】本発明の実施例による、マルチキャスト・サービスへの加入の要求があった場合の、IGMPプロキシのワークフローを示すフローチャートである。
図5】本発明の実施例による、上流マルチキャスト・ルータからのIGMPクエリ・メッセージを処理する場合の、IGMPプロキシのワークフローを示すフローチャートである。
図6】本発明の実施例による、マルチキャスト・サービスから離脱の要求があった場合の、IGMPプロキシのワークフローを示すフローチャートである。
図7】本実施例の変形による、マルチキャスト・グループを管理する別の方法を示すメッセージ系列チャートである。
図8】本発明の実施例によるIGMPプロキシを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施例を次に、図面に関して詳細に説明する。以下の説明では、知られている機能及び構成の詳細な説明は一部、明確性及び簡潔性のために省略されていることがあり得る。
【0014】
上記実施例は、無線通信機器において明らかにしている。例として、IEEE Std 802.16e−2005−Amendment to IEEE standard for Local and Metropolitan Area Networks − Part 16: Air Interface for Fixed Broadband Wireless Access Systems−Physical and Medium Access Control Layers for Combined Fixed and Mobile Operation in Licensed Bandsという、IEEEウェブサイトから入手できる文書が、前述の無線環境の特定の局面を規定している。以下に説明する実施例は、明細書に示す変更に沿った前述の環境の枠組みに入れられている。しかし、本発明は、上記実施例に制限されるべきでない。IEEWウェブサイトにおいて入手可能なAir Interface for Fixed Broadband Wireless Access Systems−Physical and Medium Access Control Layers for Combined Fixed and Mobile Operation in Licensed Bandsは、無線環境の特定の局面を規定する。以下の実施例は、前述の環境の枠組みに入れられ、当該変更は明細書中に示す。しかし、本発明は、当該記載された実施例に限定されるべきでない。
【実施例】
【0015】
図1は、マルチキャスト・サービスのための従来のモバイルWiMAXネットワークを示す。移動局(MS)と基地局(BS)との間のエア・インタフェースは、IEEE802.16標準によって規定されている。複数のBSが、R6参照点を介してアクセス・ルータ(AR)に接続される。ARは、インターネットへのゲートウェイである。ネットワークへのエントリの間、MSは、BSと、MAC層において3種の接続(すなわち、双方向基本接続、一次接続及び二字接続)を確立する。これらは、緊急MAC層管理メッセージ、非緊急MAC層管理メッセージ、及びIPプロトコルそれぞれの送信のために使用される。MSが、TVマルチキャスト・サーバによって提供されるマルチキャスト・サービスに加入する旨を要求した場合、IGMP報告(加入)メッセージをマルチキャスト・サービスのマルチキャスト・グループに送出する。
【0016】
モバイルWiMAXネットワークにおけるIPマルチキャストには、MAC層及びセッション層のマルチキャスト管理が関係する。図2に示すように、メッセージ・シーケンス・チャートは、マルチキャスト・サービスを提供する場合にマルチキャスト・グループを管理する従来の手法を示す。TV番組を受信するために、IGMP報告(加入)メッセージの送出に加えて、MSはまず、MAC層における三方向の動的サービス追加(DSA)手順を介して、一意の接続ID(CID)によって識別されMBS(マルチキャスト及びブロードキャスト・サービス)を確立すべきである。WiMAXネットワークは接続指向のため、MAC層接続を確立しなければならない。ハードウェアMACアドレスとは異なる一意のCIDは、MAC層レベルにおけるサービス・フローを差別化するためにIEEE802.16MAC PDUヘッダにおいて使用される。接続が、動的サービス追加(DSA)、動的サービス変更(DSC)、及び動的サービス削除(DSD)管理メッセージを介して確立され、修正され、削除される。
【0017】
MSとBSとの間のエア・インタフェースにおける低信頼度の送信によってもたらされるサービス中断の問題の他に、マルチキャスト・サービスを提供するためにIGMPを使用する従来のモバイルWiMAX通信システムにおける更に2つの問題が存在している。
【0018】
(1)MSのスリープ・モードの中断
MS全てが傍受する全ホスト・グループ・アドレス224.0.0.1に向けられているのでメンバシップ・クエリ・メッセージは、ブロードキャスト接続を介して送出される。その結果、クエリされたマルチキャスト・グループに属さないMSは、ブロードキャスト接続上でデータを受信するためにスリープ・モードからのウェークアップが強いられる。電力節減のやり方で、対応するマルチキャスト接続上でMSが、関心のあるマルチキャスト・メッセージを受信している場合、クエリされたグループのメンバであるMSにも行われる。
【0019】
(2)MSからの大量のIGMPメンバシップ報告メッセージのオーバヘッド。
【0020】
帯域幅は、無線ネットワークにおいて特に貴重な資源である。報告抑制機構がどのようにしてIGMPv1/2におけるように実現されても、IGMPv3において取り消されても、クエリ・メッセージに応じたメンバシップ報告メッセージは、帯域幅のうちの無視できない部分を費やす。
【0021】
図3は、本実施例による、マルチキャスト・グループを管理する方法を示すメッセージ・系列チャートである。ARにおいて導入されるIGMPは、例えば、MSがマルチキャスト・サービスへの加入、クエリ・メッセージへの応答、又はマルチキャスト・サービスからの離脱を行いたい際にARに接続されたMSのためにプロキシ機能を行う。マルチキャスト・サービスに加入する手順、IGMPクエリ・メッセージを処理する手順、及びマルチ・サービスを離脱する手順は以下に詳細に説明する。
【0022】
1. マルチキャスト・サービスへの加入
マルチキャスト・サービスへの加入を要求するMSは、MAC層接続を確立する旨のDSA/DSC要求を開始し、トラフィック伝送のためにマルチキャストCIDを得る。DSA手順を介したMAC層接続の確立中に、どのマルチキャスト・サービスにMSが加入したいかを示すための一部の情報が、MSからBSに送信される。接続を確立した後、BSは、接続情報を含むメッセージを送出し、これは、IGMPプロキシに、MSとBSとの間のDSA手順を介して接続の確立中に導き出される。ここで、IGMPプロキシは、BSから受信された接続情報に基づいてマルチキャスト・グループ・メンバシップ・リストを維持する。要求されたマルチキャスト・サービスがARにおいて利用可能でない場合、IGMPプロキシは直接、IGMP報告(加入)を上流マルチキャスト・ルータに送出する。要求されたマルチキャスト・サービスがARにおいて入手可能な場合、IGMPプロキシがIGMP報告(加入)メッセージを送出する必要はない。その結果、マルチキャスト・サービスへの加入を要求するMSの命令がMAC層において暗黙的に送信されるので、送信は、上位層において送信されるよりも高信頼度かつ高速である、更に、低信頼度の無線接続上でIGMP加入メッセージを交換することによってもたらされるサービス中断の確率を削減するように、上流ルータにMSの代わりにIGMP加入メッセージを当初、生成し、送出する。
【0023】
この段落は、接続情報の例を表す。DSA手順による接続の確立の間、CS(収束サブ層)パラメータ(すなわち、分類規則)の組がDSAメッセージに含められる。CSパラメータは、IPソース・アドレス、IPソース・ポート、IPデスティネーション・アドレス、IPデスティネーション・ポート、優先度クラス、イーサネット(登録商標)アドレス、IPプロトコル等を含み得る。本実施例では、例として、マルチキャスト・グループIPアドレスがDSAメッセージに含められる。マルチキャストIPアドレスはマルチキャスト・サービスを一意に識別することが可能である。本実施例における接続情報は、MSを一意に識別するために使用されるMS識別子及びマルチキャスト・グループIPアドレスを含む。例として、MS識別情報は、MSのIPアドレス又はMSのMACアドレスであり、これは、MSがネットワーク・エントリ手順を行う際にBSに知られる。マルチキャスト・グループIPアドレスは、便宜上、以下の説明においてxGroupAddr’と呼ぶ。
【0024】
一意のCIDによるマルチキャスト接続がMAC層において確立されると、マルチキャスト・サービスへの加入を要求するMSに、MS識別子とこの段落は、接続情報の例を表す。DSA手順による接続の確立の間、CS(収束サブ層)パラメータ(すなわち、分類規則)の組がDSAメッセージに含められる。CSパラメータは、IPソース・アドレス、IPソース・ポート、IPデスティネーション・アドレス、IPデスティネーション・ポート、優先度クラス、イーサネット(登録商標)アドレス、IPプロトコル等を含み得る。本実施例では、例として、マルチキャスト・グループIPアドレスがDSAメッセージに含められる。マルチキャストIPアドレスはマルチキャスト・サービスを一意に識別することが可能である。本実施例における接続情報は、MSを一意に識別するために使用されるMS識別子及びマルチキャスト・グループIPアドレスを含む。例として、MS識別情報は、MSがネットワーク・エントリ手順を行う際にBSに知られるMSのMACアドレス又はMSのIPアドレスである。マルチキャスト・グループIPアドレスは、便宜上、以下の説明において「GroupAddr」と呼ぶ。一意のCIDとのマルチキャスト接続がMAC層において確立されると、MS識別子とGroupAddrとの間のマッピングが、マルチキャスト・サービスへの加入を要求するMSについて確立される。マッピング情報が、IGMPプロキシによってもメンバシップ管理テーブルに記憶される。例として、メンバシップ管理テーブルは、MS識別子及びGroupAddrのフィールドを含む。
【0025】
図4は、本実施例による、マルチキャスト・サービスへの加入の要求があった場合の、IGMPプロキシのワークフローを示すフローチャートである。
【0026】
工程401: MAC層加入イベント(MBSサービス・フローを起動させるためのDSA/DSCなど)によってトリガされるマルチキャスト・サービスへの加入を要求するメッセージをARにおいて導入されたIGMPプロキシが受信し、ここで、メッセージは接続情報を含む。ここで、「トリガ」は、MAC層加入イベントが行われると、GroupAddr がMSからBSにDSA/DSC関連メッセージにおいて送信され、次いで、BSは接続情報を導き出し、これをIGMPプロキシに送出する。
【0027】
工程402: IGMPプロキシは、接続情報から導き出されたGroupAddrがメンバシップ管理テーブルにおけるエントリを有するか否かを判定することにより、ARにおいて、要求されたマルチキャスト・サービスが利用可能であるかを判定する。GroupAddrがテープルに存在する場合、工程405に進み、又は工程403に進む。
【0028】
工程403: IGMPプロキシは、メンバシップ管理テーブル内にGroupAddrの記録を生成する。
【0029】
工程404: IGMPプロキシは、要求されたマルチキャスト・サービスへの加入を示すGroupAddrを含むIGMP加入メッセージを上流マルチキャスト・ルータに送出する。
【0030】
工程405: IGMPプロキシは、メンバシップ管理テーブルを更新する。要求されたマルチキャスト・サービスが利用可能であり、これは、少なくとも1つの他のMSが、要求されたマルチキャスト・サービスを受信していることを意味し、よって、IGMPプロキシは、要求されたマルチキャスト・サービスのGroupAddr、MS識別子の関係、及びMS識別子に関する情報を追加するようメンバシップ管理テーブルを更新すべきである。
【0031】
2. IGMPクエリ・メッセージの処理
上流マルチキャスト・ルータからIGMPクエリ・メッセージを受信すると、IGMPは、従来の解決策のように無線サブネットワークに転送することなく、代わりに、メンバシップ管理テーブルに基づいて直接応答する。その結果、IGMPプロキシは、低信頼度の無線接続上でMSとBSとの間でIGMPメッセージを交換することによってもたらされるサービス中断の確率を削減するように、MSの代わりにIGMP応答メッセージを当初、生成し、送出する。更に、IGMPにより、MSに転送することなく、クエリ・メッセージは、IGMPプロキシにおいて終端させられ、電力節減モードの不要な中断を何らもたらさない。
【0032】
図5は、本発明の実施例による、上流マルチキャスト・ルータからのIGMPクエリ・メッセージを処理する場合の、IGMPプロキシのワークフローを示すフローチャートである。
【0033】
工程501 IGMPプロキシは、上流ルータからGroupAddrを含むIGMPクエリ・メッセージを受信する。クエリ・メッセージは、クエリ・メッセージに含まれるGroupAddrによって識別されるマルチキャスト・サービスを受信するMSが存在するかを問い合わせるために使用される。
【0034】
工程502 IGMPプロキシは、IGMPクエリから導き出されたGroupAddrが、メンバシップ管理テーブル内にエントリを有するか否かを判定する。IGMPクエリ・メッセージから導き出されたGroupAddrがテーブル内に存在する場合、工程503に進むか、又はさもなければ、工程504に進む。
【0035】
工程503 IGMPプロキシは、GroupAddrに関連したマルチキャスト・サービスが少なくとも1つのMSによって受信されていることを示すIGMP報告メッセージを上流マルチキャスト・ルータに送出する。
【0036】
工程504 IGMPプロキシは、IGMPクエリ・メッセージをサブネットワークに転送することなくフローを終了する。
【0037】
マルチキャスト・サービスからの離脱
MSは、マルチキャスト・サービスを離脱すると、対応するマルチキャスト接続を解放する旨のDSD/DSC要求を起動させる。接続解放の手順の間、GroupAddrがMAC層においてBSにMSから送信される。IFMPプロキシがAR内で導入される図3に示すように、マルチキャスト・サービスを離れるMSのMS識別子、及びGroupAddrを含む接続情報がBSからARに送出される。IGMPプロキシによって維持されるメンバシップ管理テーブルは、受信された接続情報に基づいて更新される。IGMPプロキシは、必要に応じて、MSの代わりに、メンバシップ管理テーブルに基づいてIGMP離脱メッセージを送出する。その結果、マルチキャスト・サービスを離脱する旨を要求するMSの命令がMAC層において暗黙的に送信されることにより、送信が、上位層における送信よりも高精度かつ高速になる。更に、IGMPプロキシは、低信頼度の無線接続上でIGMP離脱メッセージを交換することによってもたらされるサービス中断の確率を削減するように、上流ルータにMSの代わりにIGMP離脱メッセージを当初、生成し、送出する。
【0038】
図6は、本発明の実施例による、マルチキャスト・サービスからの離脱の要求があった場合の、IGMPプロキシのワークフローを示すフローチャートである。
【0039】
工程601 MAC層離脱イベント(MBSサービス・フローを非能動化するか、又は削除するためのDSD/DSCなど)によってトリガされるマルチキャスト・サービス離脱を要求するメッセージを受信する。
【0040】
工程602 IGMPプロキシは、マルチキャスト・サービス離脱を要求するMS以外の何れかの別のMSが、メンバシップ管理テーブルに基づいてマルチキャスト・サービスを受信しているか否かを判定する。例として、IGMPプロキシはまず、工程601において受信されたメッセージからGroupAddrを導き出し、次いで、導き出されたGroupAddrを使用して、メンバシップ管理テーブル内のエントリを求め、最後に、GroupAddrに関連付けられた何れかの他のMSが存在しているか否かを判定する。何れかの他のMSが存在する場合、工程605に進みか、又は工程603に進む。
【0041】
工程603 IGMPプロキシは、メンバシップ管理テーブル内のGroupAddrのレコードを削除する。
【0042】
工程604 IGMPプロキシは、GroupAddrを含むIGMP離脱メッセージを上流マルチキャスト・ルータに送信する。
【0043】
工程605 IGMPプロキシは、メンバシップ管理テーブルを更新する。ここでは、IGMPプロキシは、離脱が要求されるマルチキャスト・サービスを一意に識別するGroupAddrとMS識別子との間の関係、及びMS識別子に関する情報を除去するようメンバシップ管理テーブルを更新すべきであるが、GroupAddrをテーブル内に残すべきである。
【0044】
本実施例によれば、メンバシップ管理テーブルは2つのフィールドを含む。GroupAddrは一方のフィールドを占め、他方のフィールドは、同じマルチキャスト・サービスを受信しているMSの1つ又は複数のMS識別子を含めるために使用される。したがって、GroupAddr及びMS識別子の組み合わせがレコードを構成する。しかし、本実施例の変形によれば、他方のフィールドは単一のMS識別子を含むにすぎない。よって、レコードは、GroupAddr及び単一のMS識別子を含む。本実施例の別の変形によれば、他方のフィールドは、MS識別子以外の同じマルチキャスト・サービスを受信するMSの数を記録するために使用される。
【0045】
更に、MSは、UDPソケットのステータスを検出することにより、アプリケーション層などの、MAC層の上位層におけるマルチキャスト・サービスのステータスを周期的に検出する。BSとMSとの間のマルチキャスト接続を外す旨のメッセージをトリガすることなく例外的にアプリケーション層内のアプリケーションを終結させる場合、MSはこれを検出し、DSC/DSD_REQメッセージを送出することにより、MAC層における接続削除手順を起動させることが可能である。
【0046】
更に、BSは、測距手法を周期的に使用し、次いで、メンバシップ管理テーブルを相応に更新するようIGMPプロキシに要求することにより、MSの例外的な電力低下又は終りを検出するよう構成される。
【0047】
本実施例の変形によれば、IGMPプロキシが、ARでなくBSにおいて導入される。したがって、BSが接続情報をARに送信する必要はない。図7に示すように、IGMPプロキシがBSにおいて導入された場合、BSからIGMPプロキシへの接続情報の送信は冗長である。更に、工程401及び601で、マルチキャスト・サービスに加入し/マルチキャスト・サービスから離脱する旨を要求するメッセージは、他方の装置から明示的に受信されたメッセージに限定されるものでない。例として、接続情報を導き出すために使用されるDSA/DSC/DSDは、マルチキャスト・サービスへの加入/マルチキャスト・サービスからの離脱を暗黙的に要求するメッセージとみなし得る。
【0048】
本実施例の変形によれば、作成する工程403、更新する工程405、605、及び削除する工程603などのメンバシップ管理テーブル上の動作工程は、IGMPプロキシによって行われないが、IGMPプロキシと信号通信する別の装置によって行われる。例えば、IGMPプロキシがARにおいて導入された場合、メンバシップ管理テーブルの動作はBSによって行われる。
【0049】
本実施例の変形によれば、方法/装置はWiMAXに限定されない。方法は、同一又は同様の課題に対処する他の通信システムに適用することが可能である。
【0050】
本実施例の変形によれば、方法は、同様な問題を解決するためにIPv6におけるMLDに施すことが可能である。
【0051】
本発明の実施例によれば、図8に示すように、IGMPプロキシ800は、受信モジュール801と、処理モジュール802と、送信モジュール803と、サーチ・モジュール804とを含む。
【0052】
受信モジュール801は、メッセージを受信するよう構成される。
【0053】
送信モジュール803は、メッセージを送出するよう構成される。
【0054】
サーチ・モジュール804は、入力された少なくとも1つのサーチ基準又はキーワードでマッピング情報データベースをサーチするよう構成される。
【0055】
処理モジュール802は、受信モジュール801によって受信されたメッセージから導き出された情報の入力により、サーチ・モジュールから得られたサーチ結果に基づいて、IGMP関連メッセージの処理により、プロキシ機能を行うよう構成される。より具体的には、
(1) 処理モジュール802は、受信モジュール801によって受信された、マルチキャスト・サービス加入を要求するメッセージからGroupAddrを導き出し、サーチ・モジュール804への入力としてのGroupAddrを使用してサ―チ結果を取得し、次いで、要求されたマルチキャスト・サービスが装置において利用可能であるか否かを判定するよう構成される。ここで、IGMPプロキシは、サーチ結果に基づいてマッピング情報データベースにエントリをGroupAddrが有するか否かを判定することによって導入される。利用可能でない場合、処理モジュール802は、マルチキャスト・サービスへの加入を示すGroupAddrを含む別のメッセージを送出するよう送信モジュール803を呼び出す。
【0056】
(2)処理モジュール802は、受信モジュール810によって受信されたIGMPクエリ・メッセージからGroupAddrを導き出し、GroupAddrを入力として、マッピング情報データベースにGroupAddrがエントリを有しているか否かを判定するためにサーチ・モジュール804を利用するよう構成される。エントリが存在している場合、処理モジュール802は、クエリ・メッセージをMSに転送することなく、クエリ・メッセージに応じて応答メッセージを送出するよう送信モジュールを呼び出す。エントリが存在していない場合、処理モジュール802はクエリ・メッセージを廃棄する。
【0057】
(3)処理モジュール802は、受信モジュール801によって受信された、マルチキャスト・サービス離脱を要求するメッセージからGroupAddrを導き出し、サーチ・モジュール804に対する入力としてGroupAddrを使用してサーチ結果を取得し、次いで、サーチ結果に基づいてマッピング情報データベースにおいて、離脱を要求するMSに関連付けられたものの他に少なくとも1つ多くのエントリをGroupAddrが有するか否かを判定することにより、離脱を要求するMSの他に、何れかの他のMSがマルチキャスト・サービスを受信しているか否かを判定するよう構成される。否定の場合、処理モジュール802は、マルチキャスト・サービスからの離脱を示すGroupAddrを含む別のメッセージを送出するよう送信モジュール803を呼び出す。
【0058】
IGMPプロキシは更に、受信装置がマルチキャスト・サービスに加入するか、マルチキャスト・サービスから離脱するか、又はマルチキャスト・サービスを変更する場合に、マッピング情報データベースを更新するよう構成される(図示せず)。
【0059】
更に、マッピング情報データベースは、IGMPプロキシと信号通信する装置に記憶されるか、又は、IGMPプロキシの一部である。例として、マッピング情報データベースの形式は、上記テーブルの形式である。
【0060】
いくつかの実現形態を説明してきた。しかし、種々の修正を行うことができることが理解されるであろう。例えば、別々の実現形態の構成要素を組み合わせ、補完し、修正し、又は除外して他の実現形態を生成することができる。更に、他の構造及び処理で、開示されたものを置き換えることができ、結果として生じる実現形態は少なくとも実質的に同じ機能を少なくとも実質的に同じやり方で行って、開示された実現形態と、少なくとも実質的に同じ結果を達成することを当業者は理解するであろう。よって、前述及び他の実現形態は、本出願によって想定され、特許請求の範囲記載の範囲内に収まる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8