(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5653929
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】正圧マイクロバブル発生装置
(51)【国際特許分類】
B63B 1/38 20060101AFI20141218BHJP
【FI】
B63B1/38
【請求項の数】20
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-539464(P2011-539464)
(86)(22)【出願日】2009年12月2日
(65)【公表番号】特表2012-510406(P2012-510406A)
(43)【公表日】2012年5月10日
(86)【国際出願番号】NL2009050734
(87)【国際公開番号】WO2010064911
(87)【国際公開日】20100610
【審査請求日】2012年11月7日
(31)【優先権主張番号】08170457.9
(32)【優先日】2008年12月2日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512158332
【氏名又は名称】シルバーストリーム・テクノロジーズ・ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100159651
【弁理士】
【氏名又は名称】高倉 成男
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(72)【発明者】
【氏名】ウィンクレル、ヨルン・パウル
【審査官】
須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】
特表2006−514896(JP,A)
【文献】
実開昭61−128184(JP,U)
【文献】
国際公開第2006/075452(WO,A1)
【文献】
特表2001−524421(JP,A)
【文献】
実開昭51−154895(JP,U)
【文献】
特開2008−114710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船の船体(2)に沿ってバブルの層(14)を発生させる方法であって、
少なくとも1mで、船の全長(L)の30%以下の底面(3)に沿った長さを有し、且つ、底面から少なくとも50cm離間されている上面を有するキャビティ(6)を、船(1)の底面(3)のところに設ける工程と、
キャビティから水を少なくとも部分的に出すように、コンプレッサ(12)によって、周囲の圧力より高い圧力で空気を前記キャビティ中に供給して、混合領域を形成するように、キャビティ中に水と空気との界面を形成して、前記混合領域に複数のバブルをケルビンーヘルムホルツ型の不安定性により発生させる工程と、
発生されたバブルを前記混合領域から前記底面に沿って船の後部へと流出させるために、前記キャビティの後部(17)側に、バブル出口(15)を設ける工程と、
を具備する方法。
【請求項2】
船(1)の底面(3)のところに設けられる前記キャビティ(6)は、少なくとも1mで、船の全長(L)の25%以下の底面(3)に沿った長さを有している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
船(1)の底面(3)のところに設けられる前記キャビティ(6)は、少なくとも1mで、船の全長(L)の10%以下の底面(3)に沿った長さを有している、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
船(1)の底面(3)のところに設けられる前記キャビティ(6)は、少なくとも1mで、船の全長(L)の30%以下の底面(3)に沿った長さを有し、、且つ、底面から少なくとも1m離間されている上面を有する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
船(1)の底面(3)のところに設けられる前記キャビティ(6)は、少なくとも1mで、船の全長(L)の25%以下の底面(3)に沿った長さを有し、、且つ、底面から少なくとも1m離間されている上面を有する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
船(1)の底面(3)のところに設けられる前記キャビティ(6)は、少なくとも1mで、船の全長(L)の10%以下の底面(3)に沿った長さを有し、、且つ、底面から少なくとも1m離間されている上面を有する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
バブルは、10マイクロメートル乃至1mmの寸法を有している、請求項1乃至6のいずれか1に記載の方法。
【請求項8】
前記バブル出口(15)は、前記キャビティ(6)の傾斜した上面(16)の後端部に形成されており、この上面(16)は、前記底面へと下方に、前記底面に沿って後方に傾斜している、請求項1乃至7のいずれか1に記載の方法。
【請求項9】
前記キャビティ中に導入される空気の圧力が、前記キャビティ内の空気の圧力と少なくともほぼ同じ高さになるように制御されている、請求項1乃至8のいずれか1に記載の方法。
【請求項10】
前記キャビティ内の水の速度は、前記船の前進速度とほぼ同じ速さである、請求項1乃至9のいずれか1に記載の方法。
【請求項11】
底面(3)と、この底面から少なくとも50cm離間されている上面へと前記底面から上方に50cm乃至5m延びているキャビティ(6、40、40’)とを有する船体(2)と、
1mより長く、前記底面に沿って船の全長Lの30%以下の全長と、
前記キャビティから少なくとも部分的に水を出すように、前記キャビティ中の空気圧力より高い圧力と一定の速度とで前記キャビティ(6)中に空気を供給するためのコンプレッサ(12)と、
を具備し、
前記キャビティ中に供給された空気は、混合領域を形成するようにキャビティ中に複数のバブルをケルビンーヘルムホルツ型の不安定性により発生させ、またこのキャビティは、バブルを前記底面(3)に沿って前記船の後部へと流出させるために、前記キャビティの後部(17)に、バブル出口(15)を有している、船。
【請求項12】
前記キャビティ(6)は、少なくとも1mで、船の全長(L)の25%以下の底面(3)に沿った長さを有している、請求項11に記載の船。
【請求項13】
前記キャビティ(6)は、少なくとも1mで、船の全長(L)の10%以下の底面(3)に沿った長さを有している、請求項11に記載の船。
【請求項14】
前記上面(16)は、上面の高さから前記底面へと下方に、前記底面に沿って後方に、バブルの流出領域まで傾斜している、請求項11乃至13のいずれか1に記載の船。
【請求項15】
前記コンプレッサに接続されており、前記キャビティ内の所定の水位を維持するために、前記キャビティ中の気圧より高い圧力で前記キャビティ中に空気を選択的に供給するための制御ユニット(28)と、
前記混合領域中にほぼ一定の速度で空気を供給するために、前記キャビティ内の混合領域まで延びている空気供給手段(20、21、22、25、26)とを更に具備する、請求項11乃至14のいずれか1に記載の船(1)。
【請求項16】
並べて配置されており区分領域(46’)によって分けられている2つのキャビティ(40、40’)と、
前記区分領域(46’)中に配置されているバブル発生装置(43、44)と、
前記バブル発生装置(43、44)に空気を供給して複数のバブルを発生させるために、バブル発生装置に接続されている空気供給部(26)とを更に具備する、請求項11乃至15のいずれか1に記載の船(1)。
【請求項17】
少なくとも2つのバブル発生装置(20、21、22、50、51、52)が、前記キャビティ中に配置されており、船の長手方向に、所定の距離で相互に離間されている、請求項16に記載の船(1)。
【請求項18】
各バブル発生装置は、バルブ(30、31、32)によって独立して閉鎖可能である空気供給部を有している、請求項17に記載の船(1)。
【請求項19】
前記キャビティ(61)内に湾曲したバブル発生部材(60)を有している、請求項111乃至18のいずれか1に記載の船。
【請求項20】
前記湾曲したバブル発生部材(60)は、船体にヒンジによって接続されており、また、前記バブル発生部材の位置を変えるために駆動部材(75)に接続されている、請求項19に記載の船。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中での摩擦抵抗を減じるために船の船体に沿ってバブルの層を発生させる方法に関わる。また、本発明は、船体の表面に沿って多数のバブルを発生させるためのバブル発生装置を有する船に関わる。
【背景技術】
【0002】
このような方法及び船は、バブルの層が翼付空気導入管システム(a winged air induction pipe system)(WAIP)によってどのように発生されるかを開示している特許文献1によって、知られている。10マイクロメートルほどの所定の径を有するマイクロバブルの層は、周囲の空気を、船の底面の近くのキャビティ中の低圧領域へと引き込むことによって、発生される。前記低圧領域は、周囲からの空気流を、船体の底面の近くにある前記キャビティ中に取着されている翼状部の上方のパイプによって導く。船の前進移動が、翼状部の上方に吸入力を発生させ、この翼状部の上面の上方に周囲の空気を引き込む。前記翼状部上の水と空気との界面のところで、船尾へとすばやく流れる水が、いわゆるケルビン・ヘルムホルツ不安定性(Kelvin Helmholtz Instability)を生じさせ、空気と水との混合と、次のマイクロバブルの発生とをもたらす。このようなマイクロバブルの大きさは、圧縮された空気によって発生されたバブルとは異なって、一度水中に吐出されて、船首から船尾へと延びている全体の大きな表面領域を覆う層を形成すると、変化しない。このようにして、最大15%までの推進力のエネルギーの節約が、果たされ得る。
【0003】
また、船体に複数のバブル発生ノズルを設けることが、周知である。このようなノズルは、スリットのような外形を有しており、マイクロバブル発生装置として作用する。活性の空気圧縮の欠点は、翼付空気導入管システム(WAIP)による低圧発生に比べてエネルギー消費量が増えることである。
【0004】
本発明の課題は、船の船体に沿ってバブルを生じさせるための方法と、抵抗をより減じさせるバブル発生装置とを、提供することである。
【0005】
本発明の更なる課題は、マイクロバブルを発生させるための方法を提供することと、比較的排水量の大きい海上貨物船での摩擦抵抗を減じ、また、使用できる貨物領域を可能な限り多く維持することとである。
【0006】
本発明の更なる目的は、船の船体に沿ってバブルを発生させるための方法と、一般的な海況に適応され得るバブル発生装置を有する船とを提供することである。
【0007】
更に、本発明の更なる目的は、船の船体に沿ってバブルを発生させるための方法と、更なる有効性を有するバブル発生装置を有する船とを、提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US6,789,491
【発明の概要】
【0009】
これら課題を達成するために、本発明は、
少なくとも1mの、船の全長Lの30%
以下、好ましくは25%
以下、最も好ましくは10%
以下の長さを有し、且つ、底面から少なくとも50cm離間されている、好ましくは底面から少なくとも1m離間されている上面を有するキャビティを、船の底面のところに設ける工程と、
キャビティから少なくとも部分的に水を出すように、空気を、コンプレッサによって、周囲の圧力より高い圧力で前記キャビティ中に供給する工程と、
混合領域を形成するために、キャビティ中に水と空気との界面を形成する工程と、
前記混合領域に複数のバブルを発生させる工程と、
バブルが船体に沿って船の後部へと流れ出ることを可能にするために、前記キャビティの後部に、もしくはこの近くに、バブル出口を設ける工程と、を含む、船の船体に沿ってバブルの層を発生させる方法を、提供する。
【0010】
前記キャビティ中に吐出された圧縮空気によって、前記キャビティの底面の近くから、少なくとも部分的に水が出される。このような空気のキャビティは、航海の状況に応じて貨物船の推進力に更なる有効性を与えるために、同出願人によって開発され、例えば、EP1501719及びWO2007/136269に開示されている。発明者は、船体の濡れ表面を減じるために開発された空気キャビティが、比較的小さい寸法のバブル及びマイクロバブルのための発生装置として、意外な予期しない方法で機能することを、実現させている。
【0011】
前記キャビティのドラフトに対応した圧力(10mあたり約1バールのドラフトレベル)で空気を吐出することによって、水と空気との乱れた界面が生じ、これが、中で水が空気によって飽和されている混合領域として機能することが、明らかである。前記キャビティの後部から水と空気との混合物を噴流させることによって、前記水と空気との混合物は、前記キャビティの下方の後部側の近くに配置されている出口領域から排出される。出口の部分からは、バブルが、船体の濡れた表面の20%乃至40%の船体の広い表面領域に渡って広がり、0.1μm乃至100μmのほぼ一定の寸法を維持することが、明らかである。このようにして、摩擦抵抗の削減が、比較的単純でコスト効果のある方法で、果たされ得る。
【0012】
本発明に係るバブルを発生させるためのキャビティは、米国特許6789491に開示されている小さい寸法のキャビティより大きいディメンションであるが、EP1501719とWO2007/136269とに係る空気キャビティの船に使用されているキャビティより、小さい寸法を有している。従って、本発明に係る船の使用可能な貨物空間が、増える。
【0013】
本発明に係るバブル発生装置の単純な構造は、船体の底面のところに比較的小さなディメンションのキャビティを設けることによって、既存の船に対する容易な改良を可能にしている。
【0014】
本発明に係る空気のキャビティを使用することによって、この空気のキャビティは、空気で満たされて、同時に10μm乃至1mmの小さな寸法のバブルを発生させながら、摩擦抵抗を減じるために船体の濡れ領域を減じる。
【0015】
小さいバブルは、前記キャビティから前記後部の近くのバブル出口を通って出て行き、更に摩擦抵抗を減じるために、広範な船体の表面領域に渡って分配される。このようにして、推進力のための最大15%のエネルギーの節約が、果たされる。
【0016】
本発明に従えば、前記キャビティから水を吐出するために空気キャビティ中に導入される圧縮された空気を、マイクロバブルを発生させるための空気供給として使用することが、可能である。好ましい実施形態では、このような空気は、前記キャビティの前端部のところから、導入される。代わって、前記キャビティから水を吐出させるための圧縮された空気の供給に加えて、別の空気供給部に接続されている別のバブル発生装置が、キャビティ中で使用され得る。バブル発生装置は、空気パイプもしくはノズル、翼状の(WAIP)装置、穿孔されたプレート、もしくはいかなる他のバブル発生装置であっても良い。
【0017】
本発明のコンプレッサは、前記キャビティの内の所定の水位を維持するために、前記キャビティ中の空気の圧力より高い圧力で前記キャビティ中に空気を選択的に供給するための制御ユニットに、接続されることができる。複数のセンサが、水位を監察するために、また、前記制御ユニットに入力信号を提供するために、前記キャビティ中に設けられている。波がキャビティから空気を排出すると、前記コンプレッサは、水を排出して十分に乾燥した環境を維持するように前記キャビティへの空気流を増やすために、駆動される。第2の空気供給手段が、船体を覆うためにバブルの一定の流れが発生されるように、空気を前記キャビティ中に一定の速度で供給するために、前記キャビティ中に延びている。
【0018】
好ましくは、本発明に係るバブル発生のコンディションは、前記キャビティの混合領域で形成されるバブルが10μm乃至1mmの寸法を有するように、設定されている。
【0019】
好ましくは、前記キャビティ中に導入される空気の圧力は、前記キャビティ中の空気圧より少なくともわずかに高いかほぼ同じ高さであるように、制御される。一実施形態では、前記キャビティ中の水の速度は、船の前進速度とほぼ同じである。前記キャビティの前端部での空気の流入速度が、とても遅く、好ましくは、約0メートル毎秒である。
【0020】
前記キャビティは、このキャビティの傾斜した上面の後端部に形成されたバブル出口を有し得る。前記上面は、上面の高さから前記底面へと下方に、この底面に沿って後方に、傾斜している。かくして、バブルは、前記キャビティの後部のV字形状の空間中に押し込められ、ここでバブルは、前記キャビティの下流に位置する船体の部分を覆うように、比較的速い後方への(相対)速度で、船体の底面のレベルの近くで排出され得る。
【0021】
更なる実施形態では、バブル発生装置が、並行して配置された2つのキャビティ間の分配領域に配置されており、空気供給部が、バブル発生装置に空気を供給して複数の小さなバブルを発生させるために、バブル発生装置に接続されている。船体を覆っているバブルが水面上に上がるために側方に移動し始めると、これらバブルは、これら空気キャビティから失われた空気を再び補充するために、前記空気キャビティ中に戻って入るように、船体に沿って移動する。このようにして、バブルの補充が、バブル潤滑システム(the air bubble lubrication system)(再生空気潤滑システム)に更なる有効性をもたらすようにして、果たされ得る。
【0022】
本発明のバブル発生装置の更なる実施形態では、少なくとも2つのバブル発生装置が、船の長さ方向に相互に一定の距離で離間されているキャビティ中に配置されている。このようにして、小さい寸法のバブルが、前記キャビティの更なる内側の潤滑のために、このキャビティの内側の傾斜に発生され、また、外側の船体の表面の潤滑のために、前記キャビティから出て行くときに、発生される。穏やかな天候では、船体の底面に最も近いバブル発生装置が、動作可能である。海況が激しい場合では、前記キャビティの上部に最も近いバブル発生装置が、活性であり、一方で、前記船体の底面に最も近いバブル発生装置は、動作不能であり、独立して動作するバルブによって閉じられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明に係るバブル発生装置を有する船の概略側面図である。
【
図2】
図2は、空気キャビティの傾斜した上面に配置された複数のバブル発生装置を有する空気キャビティ船の概略側面図である。
【
図3】
図3は、2つの並行した空気キャビティとこれら空気キャビティ間に配置されているバブル発生装置とを有する空気キャビティ船の底面図である。
【
図4】
図4は、2つの空気供給ダクトを示している、
図3の空気キャビティ船の概略的な横断面図である。
【
図5】
図5は、傾斜したキャビティの上面に配置された3つのバブル発生装置を有している空気キャビティの拡大詳細図である。
【
図6】
図6は、翼状のバブル発生装置の側面図である。
【
図8】
図8は、調整可能な翼状のバブル発生装置の概略的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係るバブル発生装置を具備する船のいくつかの実施形態が、例の目的で、添付の図を参照にして、詳細に説明され得る。
【0025】
図1は、船体2と底面3とを有する船1を示している。この船1は、前記底面に沿って測定すると、例えば50m乃至300mの全長Lhを有している。この船は、キールのレベルからデッキのレベルまで測定すると、例えば、10m乃至40mの高さHを有している。船の船首5の近くでは、キャビティ6が、前記底面3から上方に延びるように形成されている。前記キャビティ6は、船の全長Lと比較すると比較的短く、例えば5m乃至30mの全長Lcを有している。このキャビティは、前記底面3から上面4まで測定すると、例えば50cm乃至5mの高さHを有している。
【0026】
前記キャビティ6の前端部9の近くには、空気供給ダクト11に接続されている空気入口10が、設けられている。コンプレッサ12が、前記キャビティから水を排出するために、ダクト13から外気を取り入れて、前記キャビティ6中に圧縮された空気を供給する。この空気は、前記キャビティ6の内側に広く行き渡っている圧力と比べて、過重圧力であり、この圧力は、船1のドラフトに左右される。
【0027】
空気と水との波打つ界面が、水が空気によって飽和されている混合領域を規定しているキャビティ6の内側に形成されることが判る。前記キャビティ6中の水と空気との界面で移動する水は、ケルビン・ヘルムホルツの不安定性をもたらし、小さい寸法のバブル14を形成している。このようなバブルは、10μm乃至1mmの径を有しており、前記キャビティ6の後部の近くで、バブル出口領域15から出ていく。この後部では、前記キャビティは、下方に傾斜した上面16を有しており、この上面は、前記キャビティの後部17の近くにV字形状の空間を形成している。この出口領域15から、バブルは、前記底面3の大部分を覆うために、船体2の船尾18へと広がる。
【0028】
図2の実施形態では、3つのバブル発生装置20、21、22が、前記傾斜した上面16に設けられている。第2の空気供給ダクト25が、ほぼ一定の速度で空気を供給するために、第2のコンプレッサ26を各発生装置に接続している。前記バブル発生装置20、21、22は、チューブ、穿孔されたプレート、翼状の部材、もしくは、米国2001/0022152、米国2003/0097971もしくは米国6789491に開示されているような形式の他の適切なバブル発生装置であっても良い。
【0029】
前記コンプレッサ12及び/もしくはバルブ35は、水位センサによって監察される前記キャビティ中の水位に応じて前記キャビティ6に空気を供給するために、制御ユニット28によって制御される。バブル発生装置20、21、22の各々は、前記制御ユニット28によって制御されるそれぞれのバルブ30、31、32を通って、前記第2の空気供給ダクト25に接続されている。海が荒れている時は、前記キャビティ6中の水位が比較的高く、バブル発生装置20、21、22はすべて活性であり、前記バルブ30、31、32は開かれる。海況が穏やかである時、前記キャビティ中の水位は比較的低く、前記バルブ32は、バブル発生装置22を不活性にするように、閉じられる。海面が平坦である場合、前記キャビティ6中の水位は低くなり、バブル発生装置20のみが活性であり、前記バルブ30は開かれ、前記バルブ31、32は閉じられる。前記キャビティの内面を覆うバブルは、空気キャビティの摩擦抵抗を大幅に削減する。
【0030】
図3は、2つの並行した空気キャビティ40を有する船体の船1の底面図である。
【0031】
バブル発生装置41、42、45、46が、前記底面3を覆うバブルを発生させる。前記バブル発生装置43、44は、空気キャビティ40、40’間の中心部46’に配置されている。前記底面3の側面から、及び前記中心部46’から上方に移動するバブルは、前記キャビティ40、40’中で少なくとも部分的に回復され、これらキャビティ中に所定量の空気を補充する。
【0032】
図4は、
図3の空気キャビティの概略断面図であり、中心部46’では、バブルはこの中心部46’に設けられている2つの壁47、48間に設けられる。コンプレッサ26が、バブル発生装置43に、一定の空気流を供給する。キャビティ40、40’の各々が、コンプレッサ12に接続されており、このコンプレッサ12は、ユニット28の制御によって、前記キャビティ中の水位をほぼ一定に保っている。
【0033】
図5の実施形態では、バブル発生装置50、51、52は、キャビティ6の傾斜した上面16に、V字形状の空気孔によって形成されている。流出領域15が、この傾斜した上面16が底面3の近くに位置されている領域によって、形成されている。
【0034】
図6は、船体63中のキャビティ61内に配置されている翼状のバブル発生装置60を示している。このバブル発生装置60は、混合チャンバ66を規定しており、中空の翼状空間中に空気を吐出するために、空気ダクト64とコンプレッサ65とを具備している。水が、前記装置60の前面にある開口部67から前記混合チャンバ66中に入れられる。前記混合チャンバ中に発生されたバブルが、開口部68から出て、船体の底面を覆うように、後方に(図では左側へ)移動する。低圧領域が、わずかな圧力Δpを受けて翼状の部材の上方に形成される。
【0035】
図7では、バブル発生装置の区分壁70、71が、コンプレッサ65からの空気流を、それぞれの水入口ノズル67、67’、67’’と連通している個々の混合領域66、66’、66’’へと向けていることが、判る。
図8から判るように、傾斜角度aが、回動式駆動部材75によって変えられ得る。この回動式駆動部材75は、翼状のバブル発生装置60を垂直の支柱76上で、抵抗及び/もしくは波の状況に応じて、回動させることができる。