特許第5653971号(P5653971)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5653971
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】スロットマシン
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20141218BHJP
【FI】
   A63F5/04 516F
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-159389(P2012-159389)
(22)【出願日】2012年7月18日
(62)【分割の表示】特願2006-81756(P2006-81756)の分割
【原出願日】2006年3月23日
(65)【公開番号】特開2012-192274(P2012-192274A)
(43)【公開日】2012年10月11日
【審査請求日】2012年7月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000169477
【氏名又は名称】高砂電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078916
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 由充
(74)【代理人】
【識別番号】100142114
【弁理士】
【氏名又は名称】小石川 由紀乃
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸口 太
【審査官】 太田 恒明
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5191100(JP,B2)
【文献】 特開2005−143931(JP,A)
【文献】 特開2005−199049(JP,A)
【文献】 特開2006−61484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の図柄を移動させて表示することが可能な複数の図柄表示器と、通常の遊技モードおよびリプレイタイムの遊技モードでの遊技において、所定の図柄の組み合わせによる複数の役を対象とした抽選を実行するとともに、抽選によりいずれかの役に当選したとき、その当選役が成立するように各図柄表示器の移動表示の停止タイミングを制御する制御装置とを備えたスロットマシンにおいて、
前記役は、ボーナスゲームの実行が可能となる複数種類の特別役と、遊技媒体を消費せずに次ゲームの実行が可能となる第1、第2の再遊技役とを含んでおり、
前記制御装置は、前記複数種類の特別役のうちの特定の特別役の成立を契機として実行されるボーナスゲームの終了後に、所定の初期値を遊技実行可能回数の上限値として、第2の再遊技役の当選確率が通常の遊技モードより高く、かつ第2の再遊技役に関して当該再遊技役に単独で当選する可能性と第2の再遊技役およびいずれかの特別役に同時に当選する可能性とが設定された第1リプレイタイムに遊技モードを変更し、
さらに、前記制御装置は、前記第1リプレイタイムにおいて、第2の再遊技役に単独で当選した場合には、各図柄表示器の移動表示の停止タイミングを制御して第2の再遊技役を成立させるとともに、その成立に応じて前記遊技実行可能回数の上限値または第2の再遊技役の当選確率を変更することにより第1リプレイタイムとは条件が異なる第2リプレイタイムに移行させる一方、第2の再遊技役およびいずれかの特別役に同時に当選した場合には、各図柄表示器の移動表示の停止タイミングを制御して第2の再遊技役を成立させると共にその成立に応じて第1リプレイタイムを終了し、次ゲーム以降の遊技モードを前記第1リプレイタイムにおいて第2の再遊技役と同時に当選した特別役に当選している状態の通常の遊技モードとして、当該特別役が成立するように各図柄表示器の停止タイミングを制御する、スロットマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の図柄を移動させて表示することが可能な複数の図柄表示器を備えたスロットマシンに関する。この発明は、特に、複数種の遊技モードを有し、各遊技モードにおいて、所定の図柄の組み合わせによる複数の役を対象とした抽選を実行し、抽選によりいずれかの役に当選したとき、その当選役が成立するように各図柄表示器の移動表示の停止タイミングを制御するようにしたスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスロットマシンでは、遊技媒体であるメダルを消費せずに次ゲームの実行が可能となる一般に「リプレイ」と呼ばれる再遊技役が設けられており、所定の条件が成立すると、その再遊技役(以下、単に「リプレイ」という。)に当選する確率が通常の遊技モードより高く設定された遊技モード(以下、「高確率再遊技モード」という。)に切り替わるように設計されている。この高確率再遊技モードでは設定回数だけゲームを行うことが可能となっており、この遊技期間は一般に「リプレイタイム」と呼ばれている。
【0003】
典型的なスロットマシンでは、ボーナスゲームが終了したことを条件としてリプレイタイムへ移行するようになっている。リプレイが成立すると、次ゲームではメダルの投入が不要であるため、リプレイタイムではメダルを殆ど消費することなく遊技を楽しむことができる。
【0004】
しかし、従来のスロットマシンでは、リプレイタイムは単にリプレイが頻繁に成立するだけのものであり、メダルの消費は抑えられるものの、ゲーム展開が単調になりやすいという問題があった。
そこで、リプレイタイムのゲーム実行可能回数を可変となすことにより、リプレイタイムにおけるゲーム展開が単調となるのを防止したスロットマシンも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−2051923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、リプレイタイムのゲーム実行可能回数を変更するだけでは、メダルの保有枚数が減少しない期間が増減するだけであり、ゲーム展開が単調となるのを防止する効果に乏しく、ゲームの興趣を高めることは困難である。
【0007】
この発明は、上記の問題に着目してなされたもので、リプレイタイムにおけるゲーム展開が単調となるのを防止でき、ゲームの興趣を高めることができるスロットマシンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明によるスロットマシンは、複数の図柄を移動させて表示することが可能な複数の図柄表示器と、通常の遊技モードおよびリプレイタイムの遊技モードでの遊技において、所定の図柄の組み合わせによる複数の役を対象とした抽選を実行するとともに、抽選によりいずれかの役に当選したとき、その当選役が成立するように各図柄表示器の移動表示の停止タイミングを制御する制御装置とを備えたものである。
前記役は、ボーナスゲームの実行が可能となる複数種類の特別役と、遊技媒体を消費せずに次ゲームの実行が可能となる第1、第2の再遊技役とを含んでいる。
【0009】
前記制御装置は、前記複数種類の特別役のうちの特定の特別役の成立を契機として実行されるボーナスゲームの終了後に、所定の初期値を遊技実行可能回数の上限値として、第2の再遊技役の当選確率が通常の遊技モードより高く、かつ第2の再遊技役に関して当該再遊技役に単独で当選する可能性と第2の再遊技役およびいずれかの特別役に同時に当選する可能性とが設定された第1リプレイタイムに遊技モードを変更する。
さらに制御装置は、第1リプレイタイムにおいて、第2の再遊技役に単独で当選した場合には、各図柄表示器の移動表示の停止タイミングを制御して第2の再遊技役を成立させるとともに、その成立に応じて前記遊技実行可能回数の上限値または第2の再遊技役の当選確率を変更することにより第1リプレイタイムとは条件が異なる第2リプレイタイムに移行させる。一方、第2の再遊技役およびいずれかの特別役に同時に当選した場合には、制御装置は、各図柄表示器の移動表示の停止タイミングを制御して第2の再遊技役を成立させると共にその成立に応じて第1リプレイタイムを終了し、次ゲーム以降の遊技モードを、前記第1リプレイタイムにおいて第2の再遊技役と同時に当選した特別役に当選している状態の通常の遊技モードとして、当該特別役が成立するように各図柄表示器の停止タイミングを制御する。
【0010】
上記した構成のスロットマシンにおいて、第1リプレイタイムの遊技では、第2の再遊技役に当選する確率が通常の遊技モードでの遊技より高いので、第2の再遊技役が成立し易くなる。第1、第2の再遊技役に当選した場合、遊技者は遊技媒体を消費せずに次ゲームを実行できる。第2の再遊技役に当選した場合は、第2の再遊技役にのみ当選している可能性と、第2の再遊技役と特別役との双方に当選している可能性とがある。いずれの場合も、第2の再遊技役が成立するように各図柄表示器の移動表示の停止タイミングが制御される。第2の再遊技役にのみ当選している場合には、第2の再遊技役が成立すると、ゲーム実行可能回数の上限値または第2の再遊技役の当選確率が変更されて、次のゲームから第2リプレイタイムの遊技モードになる。第2の再遊技役と特別役とに同時に当選している場合には、第2の再遊技役が成立すると、次ゲームからは通常の遊技モードになるが、この通常の遊技モードは、第1リプレイタイムで第2の再遊技役と同時に当選した特別役に当選している状態に設定されて、当該特別役が成立するように各図柄表示器の移動表示の停止タイミングが制御されるので、特別役が成立し易くなる。
したがって、第2の再遊技役が成立したとき、遊技者は、特別役に当選している可能性がある、との期待を抱くことになり、その後の遊技に対する遊技者の興奮が高められる。その結果、ゲーム展開が単調となることがなく、遊技者のゲームに対する興趣が高められる。
【0011】
この発明の上記した構成において、「図柄表示器」として、一般に複数の図柄が外周面に表されたリールを用いるが、リールに代えてベルト状のものを用いることもでき、また、複数の図柄を画像で表示することが可能な液晶やCRTなどの画像表示器を用いることもできる。
また、「制御装置」は、専用のハードウェア回路により実現することも可能であるが、プログラムされたコンピュータを用いて構成するのが望ましい。
制御装置により実行される「抽選」は、一般的には、発生した乱数をサンプリングして抽選テーブルと照合することにより実現する。例えば、サンプリングした乱数が「10」〜「20」の範囲の値であれば第2の再遊技役に当選し、サンプリングした乱数が前記範囲内の値(例えば「15」)であれば特別役に当選するような抽選テーブルを用意しておけば、第2の再遊技役と特別役とに同時に当選させることができる。
【0012】
この発明では、第1のリプレイタイムにおいて第2の再遊技役に単独で当選した場合には、第2の再遊技役を成立させた後にリプレイタイムの遊技モードに設定される条件を変更するが、その変更の実施態様として以下の2つが考えられる。
その一は、第1リプレイタイムで第2の再遊技役が成立したことに応じて遊技実行可能回数を変更するもので、その値が第1リプレイタイムの開始時に設定された初期値より小さくなると、第2の再遊技役の成立は遊技者にとって不利なものとなる。これに対し、変更後の遊技実行可能回数が初期値より大きくなると、第2の再遊技役の成立は遊技者にとって有利なものとなる。
【0013】
その二は、第1リプレイタイムでの第2の再遊技役が成立したことに応じて第2の再遊技役の当選確率を変更するもので、その当選確率が第1リプレイタイムよりも高い値になると、第2の再遊技役の成立は遊技者にとって有利なものとなる。一方、第2の再遊技役の当選確率が第1リプレイタイムよりも低い値になると、第2の再遊技役の成立は遊技者にとって不利なものとなる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、第1リプレイタイムの遊技において、第2の再遊技役にのみ当選する可能性と第2の再遊技役および特別役に同時に当選する可能性とを設けているので、第2の再遊技役が成立したとき、遊技者は、特別役に当選している可能性があるとの期待を抱き、その後の遊技に対する遊技者の興奮が高められる。その結果、ゲーム展開が単調となるのを防止でき、遊技者のゲームに対する興趣を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】スロットマシンの外観を示す斜視図である。
図2】スロットマシンの機体の内部構成を示す正面図である。
図3】正面パネルの構成を示す正面図である。
図4】スロットマシンの電気的構成を示すブロック図である。
図5】各リールの図柄配列の具体例を示す説明図である。
図6】特別役およびリプレイを成立させる図柄配列を示す説明図である。
図7】スロットマシンの遊技の流れを示す流れ図である。
図8】各種の遊技モードにおける特別役とリプレイの当選確率を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、この発明の一実施例であるスロットマシンの外観を示している。
図示例のスロットマシン1は、前面が開口した筐体2の前面開口部に扉部3を開閉可能に取り付けて構成されている。筐体2の内部には、図2に示すように、底部上にホッパー6aを備えたメダル払出機6や電源ユニット10が、その上方に3個のリール8a,8b,8cを有するリールユニット7が、それぞれ配備されている。筐体2の背板部には、低音出力用のスピーカー4や制御基板5が取り付けられている。
【0017】
前記扉部3は、金属製の枠体を有し、その枠体の中央部および下部に、それぞれ合成樹脂製の正面パネル11および下部パネル12が組み付けられている。
正面パネル11の上方には、画像やメッセージを表示するための液晶パネル14が設けられ、その両側に楽曲や効果音を出力するためのスピーカー15,15が配備されている。正面パネル11と下部パネル12との間は、遊技者がゲームを実行するための操作部16になっている。
【0018】
下部パネル12の下方には、メダル払出口17やメダル受け皿18が設けられている。扉部3の背面には、図示しないメダル払出通路が設けられ、前記メダル払出機6から放出されたメダルがメダル払出通路を経てメダル払出口17まで運ばれ、メダル受け皿18へ払い出される。
【0019】
正面パネル11の中央部には、無着色で透明の図柄表示窓20が形成され、その下方に数値表示窓19が形成されている。
前記リールユニット7は、図柄表示窓20に対応する位置に配備されており、扉部3を閉じたとき、3個のリール8a,8b,8cが図柄表示窓20内に横一列に並んだ状態になる。各リール8a,8b,8cの外周面には、後述する特別入賞図柄、リプレイ図柄など、複数種の図柄が複数個(この実施例では21個)表されている。これらのリール8a,8b,8cは、それぞれステッピングモータ9a,9b,9cにより個別に駆動される。各リールの停止時には、図柄表示窓20内に、リール毎に3駒の図柄が表示される。
【0020】
各リール8a,8b,8cの背後には、各図柄の停止表示位置に対応させて、それぞれLEDを内蔵した光源(図4に示すバックライト光源38)が配置されている。この実施例では、複数種の色彩光を切り替えて発光させるバックライト光源を使用しており、ゲームの進行に応じて照明色を変更するなど、種々のパターンによる照明を行う。
【0021】
前記図柄表示窓20には、図3に示すように、図柄の停止表示位置を結ぶ複数の入賞ラインL1〜L5が設定されている。この実施例では、3本の水平な入賞ラインL1,L2,L3と、2本の右下がりおよび左下がりの入賞ラインL4,L5との合計5本の入賞ラインが設定されている。
【0022】
前記数値表示窓19の背後には、数値表示用の表示基板192が設けられている。この表示基板192には、7セグメントのLEDによる数値表示器191が複数個搭載されている。表示基板192は、3つの表示エリアA,B,Cに区分けされ、表示エリア毎に2桁または3桁の数値表示器191が割り当てられる。各数値表示器191は、入賞時のメダル払出数、クレジットメダルの貯留枚数、およびビッグボーナスやレギュラーボーナスでの入賞回数などを表示する。
【0023】
前記操作部16には、遊技のためのメダルを受け付けるメダル投入口22、各リール8a,8b,8cを一斉に回転させるための始動レバー23、各リール8a,8b,8cを個別に停止させるための停止スイッチ24a,24b,24c、機械に預け入れられたクレジットメダルから1ゲームに賭けるメダルをゲーム毎に設定するためのベットスイッチ25、クレジットメダルを精算するための精算スイッチ26などが配備されている。
【0024】
メダル投入口22へメダルを投入すると、投入メダルが3枚以下であれば、メダル枚数に応じた数の入賞ラインが有効化されてゲームが実行可能な状態に設定される。この状態からさらにメダルが投入されると、その投入メダルはクレジットメダルとして貯留される。また、ベットスイッチ25によりクレジットメダルを消費してゲームを行ったとき、役が成立すると、実物のメダルを払い出す処理に代えて、払出数分のメダルをクレジットメダルに加算する処理が実行される。
【0025】
図4は、上記したスロットマシン1の電気的構成を示している。
このスロットマシン1の制御装置は、ゲームの進行にかかる制御を実行する主制御部30と、表示や音声等の出力を担当する副制御部31とで構成されている。前記主制御部30には、CPU33、ROM34、RAM35、乱数発生器36などが含まれている。
【0026】
前記ROM34には、プログラムのほか、各リールの図柄配列テーブルや、内部抽選用の抽選テーブルなどが格納されている。RAM35は、前記内部抽選で役に当選したときの当選フラグ(当選状態を記憶するためのもの)など、ゲームを進行させるのに必要なデータの読み書きに用いられる。乱数発生器36は、CPU33が抽選処理を行う際にサンプリングする乱数を発生する。
【0027】
前記主制御部30には、バス32を介して入出力各部が接続されている。入力部として、前記した始動レバー23、停止スイッチ24a,24b,24c、ベットスイッチ25、精算スイッチ26のほか、メダル投入口22への投入メダルを検出するためのメダル検知センサ27などが接続されている。また、出力部として、リール毎のステッピングモータ9a,9b,9cを駆動するリール駆動回路37、メダル払出機6、前記表示基板192に搭載された数値表示器191などが接続されている。
【0028】
副制御部31はマイクロコンピュータであって、図示しないCPU、ROM、RAMを含むものである。この副制御部31は、液晶パネル14、スピーカー4,15、リール照明用のバックライト光源38などの作動を制御するが、その制御は独立では行われず、主制御部30からのコマンドに応じて実行される。
【0029】
上記した構成のスロットマシン1において、ROM34内の内部抽選用の抽選テーブルには、各種の役に対し、それぞれ所定の数値範囲が割り当てられる。CPU33は、メダルの投入またはベットスイッチ25の操作があると、ゲーム開始可能な状態を設定する。つぎに、始動レバー23からの操作信号を受け付けると、3個のリール8a,8b,8cを始動させるとともに、乱数発生器36が発生する乱数をサンプリングし、その乱数をROM34内の抽選テーブルと照合する。この一連の処理が内部抽選であり、この内部抽選でいずれかの役に当選すると、CPU33は停止スイッチ24a,24b,24cが操作される都度、対応するリール8a,8b,8cについて、前記当選役に対応する図柄(当選図柄)を入賞ライン上に引き込んで停止させる制御(引き込み制御)を実行する。
【0030】
図5は、3個のリール8a,8b,8cの外周面に表された図柄の配列を示している。同図中、0〜20の数値は、各図柄に割り当てられた図柄の番号である。前記主制御部30のROM34には、同図に示す内容の図柄配列テーブルが格納されている。CPU33は、ステッピングモータ9a,9b,9cへ供給される駆動パルスを計数してシンボル表示窓20内の図柄を判別するための図柄カウンタの機能を有している。この図柄カウンタは、各ステッピングモータ9a,9b,9cが1回転する間に0〜20の計数を行い、その計数値を図柄配列テーブルと照合することによりシンボル表示窓20内に位置する3駒の図柄を認識する。
【0031】
各リール8a,8b,8cには、ボーナスゲームの実行が可能となる第1〜第4の特別役を成立させる3種類の特別入賞図柄S1〜S3と、メダルを消費せずに次ゲームの実行が可能となる第1,第2の再遊技役(リプレイ)を成立させる2種類のリプレイ図柄S4,S5と、所定枚数のメダルの配当が得られる小役を成立させるベルやチェリーなどの複数種の小役図柄と、いずれの役も成立させないはずれの図柄とを含んでいる。
【0032】
図6は、第1〜第4の各特別役を成立させる図柄の配列と第1、第2の各リプレイを成立させる図柄の配列とを示している。
第1の特別役(以下「BB1」という。)は、白抜きの数字「7」より成る第1の特別入賞図柄S1が入賞ライン上に3個整列したときに成立する。第2の特別役(以下「BB2」という。)は、第1の特別入賞図柄S1と着色された数字「7」より成る第2の特別入賞図柄S2とが入賞ライン上に整列したときに成立する。第3の特別役(以下「BB3」という。)は、第2の特別入賞図柄S2が入賞ライン上に3個整列したときに成立する。第4の特別役(以下「BB4」という。)は、矩形枠内に「BAR」の文字が表されて成る第3の特別入賞図柄S3が入賞ライン上に3個整列したときに成立する。
【0033】
第1のリプレイ(以下「RP1」という。)は、矩形枠内に「RP」の文字が表されて成る第1のリプレイ図柄S4が入賞ライン上に3個整列したときに成立する。第2のリプレイ(以下「RP2」という。)は、第1のリプレイ図柄S4と楕円枠内に「RP」の文字が表されて成る第2のリプレイ図柄S5とが入賞ライン上に整列したときに成立する。
なお、第1、第2の各リプレイ図柄S4,S5は、抽選でRP1やRP2に当選したとき、入賞ライン上に確実に引き込まれてRP1やRP2が成立するように、最大引込可能駒数(4駒)以内の間隔で配置されている。
【0034】
図7は、このスロットマシンにおける遊技の流れを示している。また、同図には、適時設定される各種の遊技モードと各遊技モードでのRP1,RP2の当選確率とが併せて示してある。なお、図中、「ST」はステップ(STEP)の略である。
また、図8は、各種の遊技モードについて、BB1〜BB4およびRP1,RP2の各役の当選確率を示している。
通常の遊技モード(ST1)では、BB1〜BB3の当選確率は1/1260.3に、BB4の当選確率は1/799.2に、RP1の当選確率は1/7.3に、RP2の当選確率は1/1456.4に、それぞれ設定されている。
【0035】
通常の遊技モードでの1ゲーム毎の遊技において、特別役に当選して入賞すると、その特別役がBB1であればBB1のボーナスゲーム(ST2)へ、BB2やBB3であればBB2やBB3のボーナスゲーム(ST3)へ、BB4であればBB4のボーナスゲーム(ST4)へ、それぞれ移行する。各ボーナスゲームは所定の枚数のメダル(例えば、BB1〜BB3は471枚、BB4は171枚)が払い出されたときに終了する。
【0036】
BB1のボーナスゲームが終了すると、RP1,RP2の当選確率が通常の遊技モードより高く設定された高確率再遊技モードのリプレイタイム(以下「RT1」という。)へ移行する(ST5)。また、BB2,BB3のボーナスゲームが終了すると、RP1,RP2の当選確率が通常の遊技モードより高く設定され、かつRP2の当選確率がRT1より高く設定された高確率再遊技モードのリプレイタイム(以下「RT2」という。)へ移行する(ST6)。さらに、BB4のボーナスゲームが終了すると、RP1の当選確率が通常の遊技モードより高く設定された高確率再遊技モードのリプレイタイム(以下「RT3」という。)へ移行する(ST7)。
【0037】
図8に示すように、RT1〜RT3の各高確率再遊技モードでは、BB1〜BB3の当選確率は1/1260.3、BB4の当選確率は1/799.2、RP1の当選確率は1/1.2である。また、RP2の当選確率は、RT1では1/120.0、RT2では1/45.0、RT3では1/1456.4である。
RT1およびRT2では、設定回数(この実施例では1000回)のゲームが実行可能であり、また、RT3では、それより少ない設定回数(この実施例では30回)のゲームが実行可能である。このゲーム実行可能回数の設定値は、後述するように、RP2が成立する度に変更されるが、その設定値に相当する回数のゲームが実行されると、RT1やRT2は終了する。
【0038】
前記主制御部30は、RT1,RT2の1ゲーム毎の遊技において、RP1,RP2に当選する確率が通常の遊技モードでの遊技より高く、かつRP2とBB1〜BB3とに同時に当選する可能性のある同時抽選を実行する。この実施例では、サンプリングした乱数が所定の範囲N〜N(ただし、N<N)であればRP2に当選し、サンプリングした乱数が前記範囲内の所定の値N(ただし、N<N<N)であればBB1に、前記範囲内の他の所定の値N(ただし、N<N<N)であればBB2に、前記範囲内のさらに他の所定の値N(ただし、N<N<N)であればBB3に、それぞれ当選する抽選テーブルを用意しており、サンプリングした乱数がN,N,Nのいずれかであるとき、RP2とBB1〜BB3のいずれかとが同時に当選するようになっている。
なお、この実施例では、同時当選の対象とする特別役をBB1〜BB3の3種類としているが、これに限らず、特定の1種類(例えばBB1)としてもよく、また、特定の2種類としてもよい。
【0039】
上記抽選の結果、RP2にのみ当選したときは(ST8,ST12)、RP2が成立するように各リールの停止動作を制御し、当選したゲームでRP2を確実に成立させる。
なお、通常の遊技モードでの遊技においても主制御部30による前記同時抽選は行われるが、通常の遊技モードでは、RP2の当選確率が非常に小さい(1/1456.4)ため、RP2とBB1〜BB3との同時当選が起こり得る可能性はきわめて小さい。
【0040】
RT1やRT2の遊技においてRP2が成立すると、主制御部30は、RT1やRT2のゲーム実行可能回数を、そのときの設定値より小さな値(例えば1/2の値)に変更してRAM35に再設定し、それ以降、新たな設定値をゲーム実行可能回数の上限値とするRT1やRT2の高確率再遊技モードに設定する(ST10,ST14)。
それ以降、RP2に当選してRP2が成立する度に(ST11,ST15)、主制御部30は、RT1やRT2のゲーム実行可能回数を、そのときの設定値より小さな値(例えば1/2の値)にその都度変更して再設定する。
リプレイタイムのゲーム実行可能回数は液晶パネル14にデジタル的に、或いはアナログ的に逐次表示して報知してもよい。また、上記ゲーム実行可能回数の再設定は、初期値(1000回)またはそれをベースにした変更値に対する減算処理により行ってもよく、残りのゲーム実行可能回数に対する減算処理により行ってもよい。
【0041】
また、RT1やRT2の1ゲーム毎の遊技において、RP2とBB1〜BB3のうちのいずれかとに同時に当選したときは(ST9,ST13)、主制御部30は、まず、RP2が成立するように各リールの停止動作を制御し、当選したゲームでRP2を確実に成立させる。このRP2の成立によってリプレイタイムは終了する。なお、図7において、破線で示すように、RP2の成立に伴ってリプレイタイムを終了させずに、ゲーム実行可能回数の再設定を行うようにしてもよい。すなわち、主制御部30は、RT1やRT2のゲーム実行可能回数を、そのときの設定値より小さな値(例えば1/8の値)に変更して再設定し、ボーナスゲーム終了後も、新たな設定値をリプレイタイムにおけるゲーム実行可能回数の上限値とする高確率再遊技モードで継続させてもよい。
【0042】
RP2が成立した後、次ゲーム以降は通常の遊技モード(ただし、特別役に当選した状態)となり(ST16,17)、この通常の遊技モードでの遊技において、主制御部30は、当選した特別役が成立するように各リールの停止動作を制御する。その結果、BB1〜BB3のいずれかの特別役が成立したときは、該当するボーナスゲームへ移行する。
なお、RT3の高確率再遊技モードでは、RP1については通常の遊技モードより当選確率は高められるが、RP2については当選確率がきわめて小さいので(1/1456.4)、RP2に当選する可能性は殆どなく、RP2に当選したときの遊技の流れは図示を省略してある。
【0043】
上記の実施例では、RT1〜RT3におけるゲーム実行可能回数を、当初は大きな値(RT1,RT2は1000回、RT3は30回)に設定しておき、RP2が成立する度にゲーム実行可能回数を1/2に減少するようにしているが、当初はゲーム実行可能回数を小さい値(例えば、RT1,RT2は50回、RT3は30回)に設定しておき、RP2が成立する度にゲーム実行可能回数を2倍に増加するように構成してもよい。
【0044】
上記した実施例によれば、RP2が成立したとき、遊技者は、BB1〜BB3のいずれかに当選している可能性があるとの期待を抱くことになり、その後の遊技に対する遊技者の興奮が高められる。すなわち、通常の遊技時より発生確率が高められたRP2の成立を契機に、リプレイタイムの継続回数が変動するとともに、特別役の当選の可能性を予測させるといったリプレイタイムにおける展開となるため、リプレイタイム中の遊技が単調とならず、遊技者のゲームに対する興趣が高められる。
【符号の説明】
【0045】
8a,8b,8c リール
30 主制御部
33 CPU
34 ROM
S1,S2,S3 特別入賞図柄
S4,S5 リプレイ図柄
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8