(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フィンガーは、ある位相グループのアーム上のフィンガーが、それぞれ前記極のいずれかに配列している時には、他のどの位相グループのフィンガーも、それぞれ前記極の何れにも配列しないように、配置されている前記請求項1に記載のモータ。
前記フィンガーは、第1の位相の前記フィンガーの中心がその関連する極の中心に配列され、第2の位相の前記フィンガーの中心がその関連する極の先端にオフセットして配列され、また第3の位相の前記フィンガーの中心がその関連する極の後端にオフセットして配列されるように、配置され、前記オフセットは、前記極の離間よりも小さい請求項8に記載のモータ。
【背景技術】
【0002】
一般的にステッピングモータには、可変リラクタンス型、ハイブリッド型、及び永久磁石型の3種類が存在する。適切な電動モータドライバ(すなわち、コントローラ)を用いることで、3種類の全ては、広範囲の角度ステップ又は割出し移動及び特性の性能を提供する。ステッピングモータの制御についての一般的な参照は、オンラインで、アイオワ大学のダグラス・W・ジョーンズ氏による非特許文献1で見つけることができる。
【0003】
可変リラクタンス型(「VR型」)モータは、従来、ロータ突極とステータ突フィンガー(又は歯)で組み立てられるが、磁石は有さない。VR型モータは、そのディテントトルクの欠如と低トルク密度で知られる。トルク密度を向上させるために、ハイブリッド型及び永久磁石型ステッピングモータの両方は、移動部材(例えば、ロータ)及び/又は固定部材(例えば、ステータ)上の永久磁石を使用する。それらは、モータのドライバの観点からは区別できない。従来から、ハイブリッド型ステッピングモータのロータは、2つのロータ円板の中心のドーナッツ型磁石を用いて組み立てられ、その結果、略軸方向磁束フローが磁石から2つのロータ円板に流れる。
【0004】
ハイブリッド型ステッピングモータのステップ間隔は、典型的には、ステップ毎に約0.9°(すなわち、ロータ円板毎に100個のロータ極を有するモータ)、又はステップ毎に約1.8°(すなわち、ロータ円板毎に50個のロータ極を有するモータ)、又はそれ以上である。ステップ移動に付随する本来の機械的共振は、ステップ間隔及びロータイナーシャにより増加する。ステップ間隔が小さいほど、必要なロータ極の個数が増加する分、ロータのサイズを大きくしなければならない。これにより、モータのサイズ、重量、及びコストが増加する。ハイブリッド型のロータ用の大きなドーナッツ型磁石の使用・取扱は、磁石の強い磁力及び脆い性質により問題となり得る。より小さいステップ間隔及びより円滑なステップ移動のための従来の解決策は、マイクロステップモータコントローラを使用して、ステップ間隔を完全基本ステップから、完全基本ステップの1/2、1/4、1/8、1/16、又はより小さい分数に減少させることである。しかしながら、マイクロステッピングは、不均一なステップ間隔及びロータ動作における異常な突然の動きで知られる。マイクロステッピングについての広範な説明については、特許文献1に見つけることができる。
【0005】
永久磁石を有する様々なステッピングモータ設計が、極及び磁石の磁気回路的操作から導き出されている。本改良モータに関連するモータ設計のうち、Mastromattei(特許文献2)、Horber(特許文献3)、及びGamble(特許文献4)は、ステータフィンガーに挟まれた永久磁石を有する磁気強化可変リラクタンス型モータ設計を提示している。Shibayama等(特許文献5)は、ステータ及びロータの両方に磁石を使用してモータトルクを増加させている。Horst(特許文献6)は、ステータアーム内部に磁石を使用して磁石材料及び製造コストを低減させている。
【0006】
しかしながら、全ての参照先行技術の設計における永久磁石は、ステータアームのステータフィンガーと関連付けられており、各ステータフィンガーはロータ極と関連付けられている。小さい磁石の設計上の制約から、上記先行技術特許に代表されるモータ設計を、非常に多数のロータ極及びステータフィンガーを典型的に必要とする非常に短いステップ間隔を有するモータの設計に利用することは非実用的である。
【0007】
Schaeffer(特許文献7及び特許文献8)と、本出願人(例えば、特許文献9参照)によって発明されたステッピングモータは、交互に磁化された非常に多数の磁石をロータ上に有することによって短いステップ間隔を提供している。このステップ間隔は、典型的には、2相、3相、及び4相モータの場合、ステップ毎1.0°、ステップ毎1.5°、若しくはそれより広い間隔である。これらのモータは、高い非通電及び通電ディテントトルク、小型化及び軽量化のための比較的短い軸方向モータ長、小さいロータイナーシャ、及びロータ上の大きな貫通孔を用いる解決策といった利点を提供する。これらのモータは、太陽光発電駆動、アンテナ指向機構、並びに他の案内、展開、及び位置決めシステム等の宇宙の応用分野において、過去30年間にわたって非常に成功してきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
短いステップ間隔及び動作関連の外乱の少ないことが望ましい場合、ロータ極の必要数は劇的に増加する。例えば、ステップ毎1.5°の3相バイポーラ型ステッピングモータは、80極のロータを有する。しかし、ステップ毎1.0°の3相バイポーラ型モータになると、120極のロータが必要になる。宇宙、半導体、印刷装置、及び他のオートメーション分野における最新の用途では、機構サイズの小型化及び軽量化等をしながら、さらに短いステップ間隔、より小さいロータイナーシャ、より円滑なステップ移動、より高い分解能、及びより高いステップ安定度を備えた最新のステッピングモータ設計が必要になるであろう。ステップ間隔をさらに短くするためには、壊れ易い非常に薄型の磁石が必要になり、そのため、製造コスト及び困難性が高まる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の実施例の対応する部品、部分、又は面についての以下の括弧付き参照符号は、単に例示目的のものであり、限定するためのものではない。本発明は、概して、改良されたモータを提供する。改良されたモータ(90)は、概して、互いに対して相対移動するように組み付けられた第1部材(30)及び第2部材(20)を備える。第1部材は、第1部材に沿って略等間隔で離間された複数の極(31,32,33,34,37,38)を有する。第2部材(20)は、複数のアーム(21,22,24)を有する。各アームは、複数のフィンガー(27,28)と、永久磁石(28)と、コイル(25)とを備える。フィンガー(27,28)は、それらの先端が第1部材上の極(37,38)に概ね対向するように配置される。各永久磁石は、極の離間間隔よりも大きい幅を有する。各アームは、多数の位相のうちの1つと関連付けられている。特定の位相内のアームのフィンガーは、第1及び第2部材が互いに相対的なある位置にある時に、各極に対して同時に配列するように配置されている、
【0012】
アーム上のフィンガーは、ある位相グループのフィンガーが、それぞれ極のいずれかに配列している時には、他のどの位相グループのフィンガーも、それぞれ極のいずれにも配列しないように、配置されていてもよい。各永久磁石は、その永久磁石が関連付けられているアームじょうのあるフィンガーの間に配置されていてもよい。
【0013】
コイルは、共通端子を共有していてもよい。ある位相のコイルは、他の位相のコイルに接続されないように構成されていてもよい。各永久磁石は、第1部材に対して同じ方向に磁化されていてもよい。あるアームの各永久磁石は、隣接するアームの永久磁石とは反対方向に磁化されていてもよい。
【0014】
位相の数は、2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上でもよい。3相モータでは、コイルは、Y構成、デルタ構成、又は6本リード線構成で接続されていてもよい。3相モータは、6ステート励磁シーケンスに追従するように構成されていてもよい。
【0015】
各アームは、成形鉄粉複合体、軟磁性鋼鉄、又は電磁鋼板積層材料から形成される部分をさらに含んでいてもよい。各フィンガーは、突極として働くように構成されていてもよい。各アームは、複数の永久磁石を備えていてもよい。極の数は、少なくとも250個であってもよい。アームは、バックアイアン(23)によって接続されていてもよい。
【0016】
第1部材及び第2部材は、軸線周りに互いに相対回転するように配置されていてもよい。第1部材は、第2部材に対して直線状に移動するものであってもよい。
【0017】
アームは、第2部材に沿って、略等間隔に位置付けられていてもよい。各位相は、それに関連付けられた等しい数のアームを有していてもよい。各コイルは、その関連するアームの周りに、第1部材に対して同じ方向に巻回されていてもよい。第1又は第2部材は、成形鉄粉複合体、軟磁性鋼鉄、又は電磁鋼板積層材料を含んでいてもよい。モータは、バイポーラモータドライバによって駆動されるように構成されていてもよい。
【0018】
3相モータ構成において、フィンガーは、第1の位相のフィンガーの中心がその関連する極の中心に配列し、第2の位相のフィンガーの中心がその関連する極の先端にオフセットして配列し、また第3の位相のフィンガーの中心がその関連する極の後端にオフセットして配列するように配置されていてもよく、ここで、オフセットは、前記極の離間よりも小さくてもよい。
【0019】
第1部材の極の数は奇数であってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によれば、第2部材の隣接するフィンガーは、先行技術によって必要と考えられてきたものとは異なり、第1部材の隣接する突極と関連付けられていない。改良されたモータの幾つかの実施例では、第2部材の2本の隣接するフィンガーは、第1部材の多数の極によって離間された第1部材の2個の極と関連付けられている。これによって、小さいステップサイズのための非常に多数のロータ極(例えば、250個、300個、又はそれ以上)を有しつつ、第2部材の2本の隣接するフィンガーの間に適切なサイズの永久磁石を使用するモータの設計が可能になる。このような設計において、磁石のサイズは、第2部材のフィンガーピッチ1つ分よりも大きくてもよい。
【0021】
本発明の他の態様によれば、第2部材の全ての磁石の磁化方向は、先行技術において必要とされる交互に反転させる磁化とは異なり、第1部材に対して同じ方向であってもよい。
【0022】
本発明の他の態様は、マイクロステップドライバを使用することなく、基本ステップ間隔の半分のステッピングが可能なモータを提供することである。
【0023】
本発明の他の態様によれば、例えば、(a)全周360°のステータ及びロータのうち一部のみを使用するセクショナル又はフラクショナルステッピングモータ、(b)回転部材及び固定部材を逆転させた(すなわち、内側の固定部材がステータであり、外側の回転部材がロータである)ステッピングモータ、及び(c)どちらも平板形状のロータ及びステータが共通軸線上に並列に配列された、アキシャルエアギャップ型のステッピングモータなど、本発明の設計概念を利用する他のモータも可能である。
【0024】
本発明の他の態様によれば、バイファイラ巻や冗長巻が、本発明の概念から逸脱することなく容易に実施することができる。モータの半分を一次巻線に、モータの半分を冗長巻線に使用することによって、並列された2つのモータを使用することなく、モータ設計において更なる冗長化が機械的に且つ電気的に実現可能であり、サイズ及び重量を減らすことができる。
【0025】
本発明のさらなる態様によれば、軟磁性鋼鉄を、一片の剛性ステータ積層体を製造するために、若しくは、さらに一片の剛性ステータ筐体及び積層体を製造するために使用して製造コストを削減することが、ヒステリシス及び渦電流効果が最小限の低ステップレート用途のために、実施可能である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
最初に、同一の構造的要素、部分、又は面は、本発明を実施するための形態の説明がその不可欠の部分をなす明細書全体において、さらに記載・説明されることもあるため、同様の符号は、上記幾つかの図面を通じて一貫して、そのような同一の構造的要素、部分、又は面を識別するためのものであることを、明確に理解すべきである。特に指定しない限り、図面は、明細書と併せて読むためのもの(例えば、クロスハッチング、部品配置、割合、程度等)であり、本発明の明細書全体の一部であると考えられる。以下の説明で使用するように、「水平」、「垂直」、「左」、「右」、「上」、及び「下」といった用語、並びにそれらの形容詞的及び副詞的派生語(例えば、「水平に」、「右方に」、「上方に」等)は、特定の図面が読者に対向している状態での図示された構造の配向を簡単に指している。同様に、「内側に」及び「外側に」という用語は概して、伸長方向軸又は回転軸に対する面の配向を適宜指している。
【0028】
本発明は、広義には、可変リラクタンス型ステッピングモータ及び永久磁石型ステッピングモータから引き出される特徴及び特性を有する改良されたモータを提供する。
【0029】
この改良されたモータは、広義には、互いに対して相対移動するように組み付けられた2つの部材を備える。2つの部材は、第1部材30及び第2部材20を有する第1実施例90を示す
図1に図示されるように、回転移動するように配置されていてもよい。第1実施例90において、第2部材20は、ステータとして構成されており、固定されている。第1部材30は、ロータとして構成されており、符号72で示す中心軸線周りに回転するように組み付けられる。2つの部材は、直線変位等、異なる種類の相対移動をするように他の構成に配置されていてもよい。第2部材は、支持構造を追加した又は追加しない、成形鉄粉複合体、軟磁性鋼鉄、電磁鋼板積層材料、又はこれらの材料の組み合わせから形成することができる。第2部材20は、その内面に沿って配置された、アーム22やアーム24等の、多数のアームを有している。改良されたモータは、
図2A及び2Bの実施例に図示されるように、異なる数のアームを有して設計されてもよい。アームの数を変更することによって、モータ運転トルクとモータディテントトルクの比率を調節することができる。
図2Aに示すモータは、36本のステータアームと36個の永久磁石とを有する一方、
図2Bに示すモータは、9本のステータアームと9個の永久磁石のみ有している。
図2Aに示す実施例では、
図1の実施例に比べて、巻線のための余地は少ないが、永久磁石の数は多い。しかし、
図2Bに示す実施例では、
図1の実施例に比べて、巻線のための余地は大きいが、永久磁石の数は少ない。第2部材のアームは、好ましくは、第2部材の周りにほぼ均等に離間される。
【0030】
図3に示すように、第2部材のアームのそれぞれは、アーム22上のコイル25のように、コイル又は物理的な巻線を有している。本実施例では、「A」、「B」、又は「C」とラベルを付けたアームの3つのグループが存在している。アームの個々のグループは、位相又は位相グループとも称する。位相間の電気的且つ性能的バランスをとるために、各位相のアームの数は、好ましくは等しい。一位相内の全てのコイルは、それらが同時に励磁されるように、電気的に接続されている。例えば、実施例90では、Aコイルの全てが、直列に接続されている。A位相の巻線ワイヤ41は、電気端子A1を起点にアーム21の周りに巻回されている。その後、位相Aの巻線ワイヤ41は、アーム22及び24を飛ばして、続けて次の位相Aのアームであるアーム26の周りに巻回される。ワイヤ41は続けて、第1部材30に対して同じ時計回り巻線方向において、3番目のアーム毎に巻回される。他の実施例では、コイルは、交互の方向に巻回されてもよい。コイルは、まずマンドレルに巻かれ、その後アームに移される。位相のそれぞれの巻線は、電気的に接続されて共通端子を共有する。例えば、
図3に示す実施例では、A2、B2、及びC2間が接続されている(
図5では、3本のリード線によるY字状接続として図示されている)。あるいは、3相の実施例の位相は、3本のリード線によるデルタ状接続で接続されていてもよい。位相は、位相間接続無しに配置されていてもよく、この場合、3相の実施例には6本のリード線構成といったように、各位相に対して2本のリード線を設けることができる。
【0031】
図4Aは、
図1に示すモータを4分割したうちの右下部分の拡大図を示す。
図4Bは、
図4Aのステータアーム及びロータ極の更に拡大した図を示す。第1部材30の一面に沿って、極32,34,37,及び38等の多数の極が配置されている。極は一般的に、透磁率が1より高い領域として定義される。第1部材の極は、均等に離間され、同一形状を有する。実施例90において、極は、第2部材に向かって第1部材から延出する概ね矩形状の突起であり、2つの隣接する極の間にはスロットを有する。磁束フローをより良好に補助できるような他のスロット形状(例えば、面取り形状、正方形状、円形状、楕円形状等)については、本発明の改良されたモータが関連する技術分野の当業者であれば通常想到できるであろうと思われるため、ここでは例示しない。
図2A及び2Bでは、各ステータアーム上に2つの耳状部が示されている。これらの耳状部は、巻線をスロット内に固定するための機械的な特徴を提供する。
【0032】
第1部材は、支持構造を追加した又は追加しない、成形鉄粉複合体、軟磁性鋼鉄、電磁鋼板積層材料、又はこれらの材料の組み合わせから形成することができる。第1部材は、このような材料から単一の部分として形成することができる。第1部材はまた、第1部材の重量及びイナーシャを減少させるために、軽量のフレームに支持された上記のような材料からなるスリーブを有するように形成してもよい。
【0033】
各アームは、ロータ極に対向するように配置された多数のフィンガーを有する。各フィンガーの先端部は、第1部材に最も近い、フィンガーの端部として定義される。フィンガーは、広義には、アーム上の透磁率が1より高い突出領域として定義される。例えば、
図4Aに示す実施例90では、各アームは、2本のフィンガーを有しており、例えば、アーム26では、第1部材の極37及び38にそれぞれ対向するように配置されたフィンガー27及び28を有する。また、各アームは、それに付随して少なくとも1つの永久磁石を有する。
図4A及び4Bの実施例90では、各アームは、2本のフィンガーの間に配置された、永久磁石29等の、1つの永久磁石を有する。
【0034】
フィンガーは、ある1つのアームのフィンガーのそれぞれの中心が、各々対応するロータ極の中心と同時に配列するように、アームに沿って離間している。例えば、フィンガー51が極31に配列するのと同時に、フィンガー53は極33に配列する。また、ある1つの位相の全てのアームのフィンガーは、それら全てが第1部材のそれぞれが対応する極に同時に配列するように離間されている。例えば、
図4Aでは、位相Aのアーム26のフィンガーが極37及び38に配列する時、位相Aのアーム21のフィンガーは、極31及び33に配列する。
【0035】
1つの位相のアームは、典型的には、他の位相のフィンガーからオフセットした異なる配列でフィンガーを有する。第1部材が第2部材に対して相対移動すると、各位相のフィンガーは順番にそれぞれの極に配列する。
【0036】
例えば、
図4Aに示す3相の実施例にて示すように、位相Aのフィンガーが極に配列すると、位相B及び位相Cの各フィンガーは、それぞれの極との配列から外れる。位相Bのフィンガーは、第1部材の最も近い極に対して、反時計回りにオフセットし、位相Cのフィンガーは、各々の最も近い極に対して、時計回りにオフセットする。第1部材30が時計回りにステップ回転すると、位相Cのフィンガーは2ステップの各極に配向され、位相Bのフィンガーは更に2ステップの各極に配向される。
【0037】
第2部材のアームの数、並びに各アーム上の永久磁石及びフィンガーの数は、モータディテントトルク、モータ運転トルク、及び巻線抵抗に影響する。
【0038】
極及びフィンガーの離間間隔はピッチに関連して定義することができる。回転型モータの場合、第1部材の極のピッチは、第1部材の2つの隣接する極の中心の、第1部材外径における表面幅である。リニアステッピングモータの場合、第1部材の極のピッチは、2つの隣接するロータ極の中心間の直線距離である。極は、極ピッチの連続する整数倍の各々だけ、第1部材に沿って離間している。
【0039】
リニアステッピングモータの場合、ステータのフィンガーピッチは、ロータの極ピッチと等しい。回転型モータの場合、極とフィンガーが配列するように、フィンガーピッチは、極ピッチに対して線形比例することになる。フィンガーピッチは、第1部材の極ピッチを、モータエアギャップでの第1部材(ロータ)の外径に対する第2部材(ステータ)の内径の比で乗算した積である。
【数1】
【0040】
第1部材の極とは異なり、アームのフィンガーはフィンガーピッチの連続する整数倍離間されていなくてもよいが、磁石幅を収容するために複数位置を飛ばしてもよい。例えば、
図4Bでは、フィンガー51及び53は、フィンガーピッチの3倍の距離だけ離間して配置されている。磁石幅は、フィンガーピッチ1つ分よりも大きいが、フィンガーピッチ3つ分よりも小さい。
図12では、しかしながら、磁石幅はフィンガーピッチ2つ分を収容するように設計されている。従って、永久磁石の幅は、フィンガーピッチ1つ分よりも大きくてもよい。これは、この改良されたモータを、フィンガーピッチ1つ分よりも小さい磁石幅を必要とする先行技術と区別する特徴である。
【0041】
第1部材の極の数は、定数と、位相数と、所望のステップ間隔との関数として設計される。バイポーラ型モータドライバのための第1部材の極の数は、以下の[数2]から決定される偶数又は奇数となる。
【数2】
ここで、基本ステップ角は、2つの隣接する基本ディテント位置間の角度として定義される。偶数又は奇数のいずれかの構成の第1部材の極の使用は、本発明の改良されたモータを、偶数のロータ極数を必要とする先行技術と区別する他の特徴である。
【0042】
表1には、[数2]により計算された、バイポーラモータドライバにおける、第1部材の極数、基本ステップ角、及び位相間の関係のうち幾つか選択したものを列記している。分数の基本ステップ角は、計算において不可避であるが、分数の角度の加工上又は技術上の精度等、実用上の理由から避けることも可能である。
【表1】
【0043】
実施例90〜93において、各永久磁石は、中心回転軸から径方向外方を指す方向に配向している。あるいは、各磁石は、中心回転軸
に向かって径方向内方を指す方向に配向させることもできる。全ての永久磁石を同じ配向とすることができるのは、永久磁石を交互に配向させる必要のあった先行技術と異なるところである。ステータアームの数は、偶数でも奇数でもよい。バイポーラマルチステートドライバを使用する時には、ステップ角は、[数3]で決定される基本ステップ角の半分になる。
【数3】
【0044】
このステップ角は、この改良されたモータを、先行技術と区別するさらに他の特徴である。改良されたモータは、マイクロステップドライバ無しで、基本ステップ角の半分のマイクロステッピングを実現できる。
【0045】
実施例94において、隣接するステータアームのステータ磁石は、モータの中心回転軸に対して内方へ、外方へと交互の方向に磁化されている。ステータアームの数は、内方に磁化されたアームの数と外方に磁化されたアームの数を同じにするという明白な理由から、偶数のみ可能である。実施例94は、ステップ角が基本ステップ角と同じになるように、バイポーラマルチステートドライバを用いて駆動してもよい。
【数4】
【0046】
短いステップ間隔を有する4種類の異なる形態のステッピングモータを本明細書では開示する。第1形態は
図1〜8に、第2形態は
図9に、第3形態は
図10〜12に、そして第4形態は
図13〜14に、それぞれ開示している。
【0047】
これら様々な例は、2本以上のフィンガー間に挟まれた1つ以上の永久磁石を持つアームを有する3相の実施を示している。これらの例はまた、可変リラクタンス型、ハイブリッド型、及び永久磁石型ステッピングモータで一般的に使用される3本リード線構成でのモータの励磁シーケンス及び巻線も示す。
【0048】
ここでは、3相ステッピングモータ用の300及び250極のロータのみ例示するが、異なる極数及び位相数を有するモータ(例えば、表1に列記したもの)についても当業者にとっては容易に理解するところである。
【実施例1】
【0049】
第1形態(図1〜8)
図1は、300個の同一のロータ極と、均等に離間された18本のステータアームと、各ステータアームの2本のステータフィンガー間にそれぞれ挟まれた18個の永久磁石とを有する、ステップ毎に0.20°(すなわち基本ステップサイズが0.40°)の3相バイポーラ型ステッピングモータの断面図を示す。ステータの全体の取付フランジ及び全体の取付穴、並びにロータのシャフトは、本明細書に例示の全てのモータに共通である。また本明細書に開示の他の全てのモータに共通である、ステータ及び取付フランジは、低ステップレート用途の場合、成形鉄粉複合体又は軟磁性鋼鉄から一体に形成することができる。また、高ステップレート用途の場合には、電磁鋼板積層材料を積層したり及び/又は構造的ハウジング内に組み付けたりすることも可能である。
【0050】
図2A及び2Bは、同じステッピングモータの2つの設計変形例を示している。
図2Aに示すモータは、36本のステータアームと36個の永久磁石とを有し、
図2Bに示すモータは、9本のステータアームと9個の永久磁石のみ有する。
図3は、
図5に示すようなY字状接続のステータアームのコイルの物理的巻線図を示す。18本のステータアームと3つの位相があるので、各位相は、直列接続された6つのコイルを有する。
【0051】
図4Aは、
図3の一分割部分の拡大図を示し、ロータ極と、物理巻線と、ステータ磁石と、ステータフィンガー及びロータ極の配列とを示している。
図4Bは、ステータアーム21の一部を関連するロータ極と併せて示す更に拡大した図を示す。
図4A及び4Bに例示する磁石幅は、ステータフィンガーピッチ1つ分よりも大きいが、ステータスフィンガー3つ分よりも小さい。
【0052】
改良されたモータは、幾つかの種類のドライバによって駆動することができる。例えば、改良されたモータは、バイポーラマルチステートドライバによって駆動してもよい。
図6は、
図1〜5に示す3相ステッピングモータ設計のための6ステートバイポーラドライバの、励磁方形波、励磁シーケンス、及び回転方向を示している。
図1〜5に示す実施例では、ステート1からステート6に順に励磁することによって、時計回り方向にロータが回転する。励磁シーケンスを反転させると、反対方向にロータは回転する。同様に、各ステータアームの巻線方向を反対方向に反転させると、ロータの回転方向が反転する。
【0053】
図7A及び7Bは、
図2Aの一分割部分の、有限要素解析モデルに基づく磁束分布の2つの場合を示している。
図7Aに示すように、巻線が無い若しくは巻線が非通電で開路状態にある場合、アーム及びステータバックアイアン23は、最少の磁束線を持つ。ほとんどの磁束線は、自己完結しており、ステータフィンガー、ステータ磁石、及びロータ極の間で閉ループを形成している。しかしながら、電力を巻線に印加すると、巻線によって発生した磁束線が、励磁状態に応じて、ステータ磁石によって発生した磁束線に追加されるか、若しくはステータ磁石によって発生した磁束線を打ち消す。正味の回転トルクが、モータ位置及び励磁状態に応じて発生する。回転角度の関数として各励磁状態によって発生するトルクは、各励磁状態について多数の回転角度での磁束に対して有限要素解析を行うことによって評価される。例えば、
図7Bは、ある所定のロータ角度での励磁状態についての磁束分布を提示している。
図7Bにおいてさらに実証されるように、各フィンガーの形状寸法によって、フィンガーから第1部材の極へ磁束フローを向け直すことができる。符号75及び76で示すような切欠きを、フィンガーの傍に配置して、その形状及び磁束分布を制御するようにしてもよい。
【0054】
図8は、
図1〜4に示すような3相回転設計における各ステートのロータの回転の関数としての非通電トルク及び通電トルクを例示している。非通電ディテントトルクは、全てのモータ巻線が非通電で開路状態にある場合のトルクである。非通電ディテント及び通電ディテントのプロファイルは、例示的なものであり、トルク発生の特徴において限定的なものではない。実際の波形は、正弦波形に重畳された高次高調波を有していてもよい。
図8には、合計7つの通電ディテント位置(ゼロ交差点)が示されており、そのうち4つは、横軸上に大きな円で示されており(すなわち、「0」、「2」、「4」、及び「6」で示された位置)、3つは、印が付けられていない(すなわち、「1」、「3」、及び「5」で示された位置)。円で示された4つの位置は、ステップ毎0.40°間隔の基本ディテント位置でもある。基本ディテント位置は、モータの停止・保持位置である。各ステートの通電トルクのそれぞれは、回転角度の関数としてプロットされる。プロットの上部(横軸の上)の影付き領域は、ロータが時計回り方向に回転する際のステート1からステート6までの6つのステートにおけるトルクを示している。プロットの下部(横軸の下)の二重影付き領域は、ロータが反時計回り方向に回転する際のステート6からステート1までの反転方向の6つのステートにおけるトルクを示している。
【0055】
モータが駆動中に突然通電が切れると、モータは、円で示された4つの基本ディテント位置(すなわち、「0」、「2」、「4」、及び「6」で示された位置)のうちの1つの位置でただ停止し保持される。モータは、3つの印無しディテント位置(通電ディテント位置、すなわち、「1」、「3」、及び「5」で示された位置)のうちの1つから、印付きディテント位置のうちの1つに引き戻されて、モータの負荷トルクによって、若しくは、ロータ、ステータ、又はその両方からのヒステリシスによって停止・保持される。大きな負荷イナーシャによって、モータを強制的に3つの印無しディテント位置の1つから印付きディテント位置の1つへ強制的に前進させて停止・保持することも可能である。よって、始動位置がカウント「0」の場合、偶数のステップ数がモータの基本ディテント位置、言い換えると、停止・保持位置となる。また、奇数のステップ数が通電ディテント位置となる。
【0056】
第1の形態のモータ設計は900箇所の基本ディテント位置を1全回転に有するが、1周の回転を完了するには1800ステップを要する。
【実施例2】
【0057】
第2の形態(図9)
改良されたモータの第2の形態は、第1の形態と同じロータを使用するため、900箇所の基本ディテント位置を1全回転に有するが、1周の回転を完了するには1800ステップを要する。
【0058】
図9A〜9Fは、本発明の第1の形態の
図4Bに示す丸で囲まれたステータアームと比較するための、ステータアーム設計の拡大概略断面図の6つの例を示す。各例は、ステータアーム、ステータ磁石、ステータフィンガー、並びにロータ極及びステータフィンガーの配列の異なる形態を示している。
図9Aは、2つのステータ磁石を有するステータアームを示している。各磁石幅は、フィンガーピッチ1つ分よりも大きいが、フィンガーピッチ3つ分よりも小さい。2つの磁石は、間にスロットを有する2本のステータフィンガーによって分離されている。磁束フローをより良好に補助できるような他のスロット形状(例えば、面取り形状、正方形状、円形状、楕円形状等)については、この改良されたモータが関連する技術分野の当業者であれば通常想到できるであろうと思われるため、ここでは例示しない。各ステータフィンガーは、より良好な配列のために、ステータフィンガーとロータ極との間の重なり合いを避けるために切欠きを有している。
図9Bは、2つの磁石を分離している3本のステータフィンガーを示している。
図9Cでは、
図9Aの2つの磁石を3つに増やし、
図9Eでは、ステータ磁石の数を4つに増やしている。
図9Dでは、磁石のいずれかの側のステータフィンガーの数が、
図9A及び9Bに示すものよりも多い。同様に、
図9Fでは、
図9Aに示すものと比べて、磁石のいずれかの側にフィンガーが追加されている。
【0059】
これらの例は、例示的なものであり、特徴を限定するものではない。これらは、どのように第1の形態の改良されたモータを拡張して、ステータアーム毎に1つ以上のステータ磁石を使用するかを実際に説明するものである。ステータ磁石を分離する又は挟む1つ以上のステータフィンガーを持たせることが可能である。各永久磁石は、中心回転軸から径方向外方を指す方向に配向している。あるいは、各磁石は、中心回転軸から径方向内方を指す方向に配向させることもできる。磁石の数、ステータフィンガーの数、及びステータアームの数の組み合わせは、実施例の第1及び第2の形態の精神から逸脱することなく、
図9に実際に示したものよりも多くすることも可能である。実施例の第2の形態の要素は、以下に記載の実施例に適用することもできる。
【0060】
モータサイズが同じ場合、ステータ磁石の数によって、モータ運転トルクとモータディテントトルクの比率を変更できる。高いディテントトルク対駆動比率が必要な用途では、ステータ磁石の数又は磁石材料の量(磁石サイズ)を減らす必要がある。逆に、高いディテントトルクが必要な用途では、より多くのステータ磁石の数又はより多くの磁石材料の量が、ステータアーム設計において、必要になるであろう。
【実施例3】
【0061】
第3の形態(図10〜12)
図10は、250個のロータ極と、30本のステータアームと、30個のステータ磁石とを有する、ステップ毎に0.24°(すなわち基本ステップサイズが0.48°)の3相バイポーラ型モータ設計の概略断面図を示す。このステップステッピングモータの概略物理巻線図が、
図11において、Y字状接続で示されている。電気接続図を
図5に示す。ロータ極、ステータ磁石、ステータアーム、ステータアーム上の物理巻線、並びにステータフィンガー及びロータ極の配列のために、
図11の構造の一部の拡大詳細図を、さらに、
図12に示す。第3の形態は、750箇所の基本ディテント位置を有し、1周の回転を完了するのに1500ステップを要する。
【0062】
磁石幅は、各位相Aのステータアーム毎に、2本のステータフィンガーに配列される2個のロータ極の間に1個のロータ極があるように構成されている。したがって、磁石幅は、フィンガーピッチ1つ分よりも大きいが、フィンガーピッチ2つ分よりも小さい。位相Aのステータフィンガーに配列された2個のロータ極の間に挟まれた
図4Bの2個のロータ極と比較される。例示の磁石幅は、2本のステータフィンガーの間に必要なものであり、
図4A、4B、7、及び9に示すものとは対照的に、重なり合うことはなく、ステータフィンガー上の切欠きも不要である。
【0063】
位相Aのステータフィンガーがロータ極に配列すると、位相B又は位相Cのステータフィンガーのそれぞれは、先端又は後端側にオフセットして関連のロータ極に配列する。よって、それぞれが各位相に対応した3つの個別に配列されたアーム群が、ロータ極に関連して形成される。したがって、30本の等間隔に離間されたステータアームは、3つの個別に位置付けられたステータアームを10個繰り返されてなるものである。
【実施例4】
【0064】
第4の形態(図13及び14)
図13は、モータの右下の4分の1の部分の拡大図であるが、ステータアーム上の磁石の磁化方向を除いて、
図1及び3の第1の形態で示すものと同様の実施例を示している。隣接するステータアーム上のステータ磁石は、モータの中心回転軸に対して内方及び外方の交互の方向に磁化されている。物理巻線は、
図3に示すものと同じであり、各位相グループの全てのステータアームの巻線方向が、第1部材に対して、同じ時計回り又は反時計回り方向である。
【0065】
図11及び12の第2の形態の設計は同様に、隣接するアーム上の磁石の磁化方向を反転させて実現することができる。
図9A〜9C並びに9E及び9Fの第2の形態で示すように、ステータアーム毎に1つより多い磁石を使用する場合、各ステータアーム上の全ての磁石は、同じ内方又は外方方向に磁化される。
【0066】
図14は、
図13の部分図で例示するように交互の磁化を持つステッピングモータ設計が、3ステートドライバを使用する場合、各ステートにおいてどのようにトルクを発生させるのかを例示している。非通電ディテント及び通電ディテントのプロファイルでの波形が例示されているが、トルク発生のための特徴において限定するものではない。実際の波形は、
図14に示すように、正弦波形に重畳された高次高調波を有してもよい。
【0067】
非通電ディテントのプロファイルは、
図1及び3の設計のための
図8に示すものと同じである。横軸上に大きな丸でしめされるように、ステップ間隔毎0.40°(すなわち、「0」、「1」、「2」、及び「3」で示された位置)に合計4つの通電ディテント位置が存在する。これら4つの通電ディテント位置は、前記4つの基本ディテント位置と一致する。したがって、モータは、ステップ毎に0.4°の完全な基本ステップサイズでステップする。900の基本ディテント位置を有する
図13の設計は、1周の回転を完了するには900ステップを要する。
【0068】
図10及び11の第3の形態の設計と同様に、隣接するステータアーム上のステータ磁石が、モータの中心回転軸に対して内方及び外方の交互の方向に磁化されている場合、基本ディテント位置は、0.48°の間隔で通電ディテント位置と一致する。モータは、ステップ毎に0.48°の完全な基本ステップサイズでステップし、1周の回転を完了するには750ステップを要する。
【0069】
3ステートドライバを使用する場合、3つの励磁ステートの繰り返しによって、モータは連続的に回転する。
図6に示すような6ステート励磁シーケンスを有する一般的に使用されるステッピングモータドライバを、3ステートドライバとして、モータを駆動するために使用することができる。
【0070】
上記実施例の上記例の全ては、ステータアームが等間隔で離間され、ステータアームの数が位相数の整数倍であるものを示している。しかしながら、ステッピングモータは、第1部材の極及び第2部材フィンガーの配列が上記したものである限り、等間隔で離間されていないステータアームを有して、又は、ステータアームの数が位相数の整数倍ではないように、設計することもできる。しかしながら、非等間隔に離間されたステータアームは、不均一なピーク非通電及び通電ティテントトルクを発生し、モータトルク密度を減少し、貴重な巻線空間を無駄にすることがある。
【0071】
上記例の設計概念を利用するリニアステッピングモータを実現することもできる。回転型ステッピングモータを展開してステータ及びロータを直線化することによって、回転型ステッピングモータは、リニアステッピングモータになる。数式1はリニアの実施例には適用できないが、第2部材のフィンガー及び第1部材の極の配列、電気的配線図、励磁極シーケンス、及び数式2〜4は、回転型ステッピングモータで本明細書に開示したものと同一である。
【0072】
本実施例の原則に基づくステッピングモータ設計の幾つかの他の変形例は本明細書では示していない。これらには、(a)全周360°のステータ及びロータのうち一部のみを使用するセクショナル又はフラクショナルステッピングモータ、(b)内側の固定部材がステータであり、他方の回転部材がロータである、回転部材と固定部材を逆転させたステッピングモータ、(c)どちらも平面形状のロータ及びステータが共通軸線上に並列に配列された、アキシャルエアギャップを有するステッピングモータ、及び(d)マイクロステップドライバで駆動されるステッピングモータ、を含む。第1〜第3の形態の円周方向及び径方向のエアギャップと比較すると、アキシャルエアギャップ設計は、磁石を第1〜第4の形態における径方向の代わりに軸方向に磁化し、ステータアーム及びフィンガーを軸方向にロータ極に対向するように配置する必要がある。これらの設計変形例において、巻線方式並びにステータフィンガー及びロータ極の配列は、3相モータで上記したものと同一のままである。
【0073】
バイファイラ巻線及び冗長巻線は、上記の巻線方式の全てにおいて容易に実施可能なさらに他の特徴である。モータ設計におけるさらなる冗長は、2つのモータを並列形式で使用してサイズ及び重量を減らすことなく、一次巻線のモータ半体と冗長巻線のモータ半体を使用することによって、機械的且つ電気的に、実現することができる。
【0074】
アーム及びフィンガーを有する1つの鋼板ステータ積層体を製造するために、又は、1つの鋼板ステータ筐体、積層体、アーム、及びフィンガーを製造するために軟磁性鋼鉄を使用することは、本明細書に開示の改良されたモータのための低ステッピング率の用途において実現可能なさらに他の特徴である。軟磁性鋼鉄には、これらに限定はされないが、成形鉄粉複合体材料や、低炭素鋼(例えば、米国鉄鋼協会(AISI)指定の1010、1015、1018鋼等)、マルテンサイト耐腐食性鋼鉄(416ステンレス鋼等)、高透磁性ニッケル鉄又はニッケルコバルト合金(Hyperco(登録商標)50等)等が含まれる。これらの軟磁性鋼鉄は、一般的に使用される電磁鋼板積層材料(例えば、AISI M−15、M−19等)や、高周波磁性回路用途の高透磁性ニッケル鉄又はニッケルコバルト合金等とは区別される。これらの軟磁性鋼鉄は、渦電流やヒステリシスロスがわずかな、低周波用途の磁石設計者には周知のものである。この特徴は、低ステッピング率のモータ及びアクチュエータにおいて非常に有用であることが証明されている。何故なら、これによって、積層体積層工程及び積層に関する問題を除去し、コストを削減(特に一般的な1018低炭素鋼又は416ステンレス鋼を使用する際)し、また製造工程を簡略化することができるからである。
【0075】
上記説明に基づき、改良されたモータによって、一般的なバイポーラモータドライバと共に使用するためにどのようにモータを小ステップサイズに設計できるかを例示してきた。小ステップサイズのステッピングモータの多くの実施例を示し且つ説明し、それらに対するある変形及び変更についても説明してきたが、当業者であれば、以下の特許請求の範囲において定義されまた差別化される本発明の精神から逸脱することなく、さらに追加的な様々な変形及び変更が可能であることは容易に理解されるであろう。